JP6475161B2 - ルテニウムインデニリデン錯体を調製するための方法 - Google Patents

ルテニウムインデニリデン錯体を調製するための方法 Download PDF

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Description

本発明は、オレフィンメタセシス反応に用いるためのルテニウム−カルベン触媒、特に、化学名がジクロロ(3−フェニル−1H−インデン−1−イリデン)ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(II)である、式(PCyClRu(3−フェニルインデニリデン)を有するルテニウムインデニリデンカルベン触媒の調製に関する。さらに本発明は、上記触媒の新規な結晶形を対象とする。
この触媒製品は、触媒Umicore M1として市販されており、以後、略称として「Umicore M1」を用いるかまたは短縮して「M1」と称する。この触媒は様々なオレフィンメタセシス反応において有用であり、また、他のルテニウムカルベン触媒を合成するための前駆体としても有用である。本発明は、生成物の単離が簡単な1段法を提供する。非常に結晶化度の高い材料が得られ、この材料は、高い純度および良好な熱安定性を示すのみならず、大気中の酸素に対する安定性も良好である。
オレフィンメタセシスは基本的な触媒反応であり、炭素−炭素多重結合の形成および転位を利用した新規な分子の設計に用いられる最も汎用性のある方法の一つである。メタセシス反応は、決まった目的分子を得るための合成経路を大幅に短縮するだけでなく、有機化学における従来の手段では実現しなかった新規な分野への応用も実現可能にするものである。様々な種類のメタセシス反応、例えば、閉環メタセシス(RCM)、開環メタセシス重合(ROMP)、交差メタセシス(CM)等が知られている。
メタセシスは、ここ何年かの間に、有機合成および高分子化学において炭素−炭素結合を形成するために幅広く利用される方法になった。メタセシス分野は、Grubbsにより明確に定義されたルテニウム系カルベン触媒が開発されたことによって急速に成長した。メタセシス反応が有機化合物合成の設計に応用されたり組み込まれたりする頻度は益々増えており、産業用研究室におけるメタセシス触媒の利用が増加している。この傾向は今後何年も続きそうである。
活性が高く、官能基の影響を受けにくく、かつ十分な安定性を有する最も重要な触媒の1つが、Grubbsの「第1世代」触媒(PCyClRu=CHPhすなわちジ−クロロ(ベンジリデン)ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(II)であった。この触媒は、2個のホスフィン配位子、2個の塩素配位子および1個の非環状ベンジリデン基を有する5配位のRu(II)金属中心を有することを特徴とし、有機合成界で幅広く受け入れられるようになった。
一方、それぞれ特定の特徴および特性を付与するあらゆる種類の異なるメタセシス触媒が様々な供給業者から市販されている。ここ数年の間に、異なる種類のメタセシス触媒、いわゆるルテニウムインデニリデンカルベン触媒の重要性が高まってきた。このような種類のRu−カルベン触媒は、形式上の酸化状態が+IIであるRu原子を含み、これらは主として5配位であり、インデニリデン環を含み、インデニリデン部分のカルベンC原子は縮合二環系の環の一部である。
本発明は、式1:
Figure 0006475161
の構造を有する、Grubbs第1世代型Ru−フェニルインデニリデン触媒を調製するための方法を対象とする。
この触媒すなわちジクロロ(3−フェニル−1H−インデン−1−イリデン)ビス−(トリシクロヘキシルホスフィン)−ルテニウム(II)(CAS Nr.250220−36−1)は、(非特許文献1)において1999年に最初に発表された。これは、ジクロロ(3−フェニル−1H−インデン−1−イリデン)ビス−(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)すなわち(PPhClRu(3−フェニルインデニリデン)(CAS Nr.254972−46−8)をトリシクロヘキシルホスフィン(PCy)を用いて配位子置換反応させることによって得られた。Umicore M1の分子式はC5176ClRuである。
本発明の方法は、基本的に、別個の反応で調製されたPPh置換Ru錯体から出発する1段法である。PPhで置換されたRu−インデニリデンカルベン錯体を式1aに示す。
Figure 0006475161
式1aの出発錯体の合成経路は文献からよく知られており、次に概要を示す。
出発錯体(1a)の調製
Hill(上に引用したA.F.Hillら参照)が記載しているように、出発物質(PPhClRu(3−フェニルインデニリデン)は、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)すなわち[(PPhClRu]を1,1−ジフェニル−2−プロピン−1−オールとをTHF還流下で2.5時間反応させることにより得られる。当初、この反応では、対応するジフェニルアレニリデン錯体(PPhClRu=C=C=CPhが生成するであろうと考えられていた。ところが、後になって、この錯体はアレニリデン構造ではなく、フェニルインデニリデンに転位していることがFuerstnerらによって見出された((非特許文献2)参照)。この錯体(PPhClRu(3−フェニルインデニリデン)は、それ自体はオレフィンメタセシス反応においては活性を示さず、触媒活性を付与するためには2個のトリフェニルホスフィン配位子をトリシクロヘキシルホスフィンに交換しなければならない。
最近になり、(非特許文献3)において、出発錯体(PPhClRu(3−フェニルインデニリデン)の合成に関する詳細な研究が行われた。(PPh3−4ClRuと1,1−ジフェニル−2−プロピン−1−オールとをTHF還流下で1.5時間反応させることによってこの出発錯体が生成し、酸性条件下において収率が改善すると共に生成物の純度が高くなると報告されている。Schanzもまた、反応条件を慎重に制御しないと複数の望ましくない副生成物が生成することを報告している。この調製経路を式1に示す。
Figure 0006475161
この反応に従い、出発錯体である(PPhClRu(3−フェニルインデニリデン)を別個に調製して析出物を固体物質として単離し、本発明の調製方法(実施例1参照)に使用する。
Umicore M1触媒の調製
概して、メタセシス触媒(PCyClRu(3−フェニルインデニリデン(Umicore M1触媒)を得るための合成経路としては、2種の異なる経路が文献に報告されている。これらの経路を式2にまとめる。
Figure 0006475161
経路B((非特許文献4)参照)は、品質に劣る生成物が非常に低い収率で生成する。実際、得られるのは、ジフェニルアレニリデン種およびフェニルインデニリデン種の混合物である。ジフェニルアレニリデン錯体(PCyClRu=C=C=CPhは、フェニルインデニリデン錯体と比較すると触媒活性が低い。本発明者らは、この経路は不首尾に終わったものと見なしており、本明細書においては検討しないことにする。「配位子交換経路」Aは文献に広く記載されており、その変形形態も幾つか知られている。これらの変形形態を本明細書において後述することにする。
Hill(上に引用)によれば、この生成物は、(PPhClRu(3−フェニルインデニリデン)と2.7当量のトリシクロヘキシルホスフィンとを出発錯体であるRu錯体の濃度c=0.015mol/lとしてジクロロメタン中において室温で0.5時間、1段配位子置換反応に付すことにより得られる。生成物である(PCyClRu(3−フェニルインデニリデン)は、溶媒を蒸発乾固させ、残渣をメタノールでトリチュレーションした後、メタノールおよびヘキサンで洗浄することにより、赤レンガ色の固体として88%の収率で単離される。
Fuerstnerは、(PPhClRu(3−フェニルインデニリデン)と3.1当量のトリシクロヘキシルホスフィン(PCy)とを、濃度c=0.043mol/lとして、ジクロロメタン中、室温で2時間、1段反応に付すことに基づく最適化された調製方法について記載している((非特許文献5)参照)。蒸発乾固させ、ヘキサンでトリチュレートして洗浄することにより、生成物が橙色粉末として80%の収率で得られる。単離を行う前に溶媒が完全に除去されるので、この方法は工業規模の製造には適していない。
Nolanら(非特許文献6)は、(PCyClRu(3−フェニルインデニリデン)のワンポットで行う2段合成について記載しており、これは、(PPhRuClと1,1−ジフェニル−2−プロピン−1−オールとをTHF還流下に反応させた後、得られた(PPhClRu(3−フェニルインデニリデン)錯体を2.7当量のPCyと、同一溶媒中で、濃度c=0.031mol/lとして室温で一夜撹拌することによって配位子交換反応に付すことによるものである。溶媒を蒸発させ、残渣をジエチルエーテル中に懸濁させることによって、この錯体が赤レンガ色の固体として92%の収率で単離される。次いで、生成物を濾過してジエチルエーテルやペンタン等の低沸点溶媒で何度も洗浄することによって不純物を取り除く。この手順は、ワンポットで行う2段法であるため、一般には、生成物の純度はより低くなる。中間体である(PPhClRu(3−フェニルインデニリデン)を単離することなく、直接トリシクロヘキシルホスフィンとの反応に付すため、副生成物の量が極めて高くなる。
Dakeら(非特許文献7)は、(PPhClRu(3−フェニルインデニリデン)と、2.99当量のトリシクロヘキシルホスフィンとを、ジクロロメタン中、濃度c=0.022mol/lとして、室温で2時間反応させることによる、(PCyClRu(3−フェニルインデニリデン)の1段合成を報告している。蒸発乾固させ、ヘキサンで12時間トリチュレートした後、生成物が橙色粉末として66%の収率で得られる。単離前に溶媒が完全に除去されるため、この方法は工業規模の製造には適していない。
(特許文献1)には、(PPhRuClと1,1−ジフェニル−2−プロピン−1−オールとを、ジオキサン中、90℃で、酸の存在下に反応させることによる、(PCyClRu(3−フェニルインデニリデン)のワンポットで行う2段合成が記載されている。結果として得られる(PPhClRu(3−フェニルインデニリデン)錯体と、2.33当量のPCyとの間の配位子交換反応は、濃度c=0.12mol/lとして、90℃で10分間行われる。錯体は、溶媒を60%留去した後、濾過してメタノールで洗浄することにより、橙色固体として90%の収率で得られる。この合成は、ワンポットで行う2段法であるため、得られる生成物は純度がより低く、および/または結晶化度がより低い。この方法を、以後、「Umicore標準法」として引用し、比較実験に用いることとする。
Afanasievらによる(特許文献2)には、(PPhRuClを1,1−ジフェニル−2−プロピン−1−オールをTHF還流下に反応させることによる、(PCyClRu(3−フェニルインデニリデン)のワンポットで行う2段合成が記載されている。THFを50%留去した後、得られた(PPhClRu(3−フェニルインデニリデン)錯体を3.2当量のPCyとの配位子交換反応に付す。ここでは、濃度c=0.039mol/lとして、混合物を室温で8時間撹拌する。溶媒を除去し、残渣を−40℃のアセトン中に10時間懸濁させた後、濾過してメタノール、アセトンおよびヘキサンで洗浄することにより、錯体が95%の収率で単離される。前述のNolanの方法と同様に、この合成はワンポットで行う2段法であり、一般に、得られる生成物は純度がより低く、かつ結晶化度がより低い。不純物(例えば、ジフェニルアレニリデン種、二量体化合物、PPh/PCy混合錯体、ホスフィンオキシド等)が存在することにより、最終的な触媒生成物の活性が低下したり、触媒消費が早まったり、回転数(TON)が低下することなどによって最終的な触媒生成物の性能が損なわれる可能性がある。
1段調製法(すなわち、Hill、FuerstnerおよびDakeの方法)について言及すると、ホスフィン配位子交換反応は、塩素化された溶媒(通常はジクロロメタン)中、室温(すなわち20〜25℃)で行われる。反応が完了した後、溶媒を蒸発乾固させ、不純物であるホスフィンを洗い流すために生成物を多量の低沸点溶媒で洗浄する。ほとんどの場合において、大過剰(2.5〜3.2当量の範囲)のトリシクロヘキシルホスフィンが用いられる。このことにより、ホスフィンおよびホスフィンオキシドが最終生成物中に残留する可能性がある。さらに、現時点において知られている手順は具体的な精製ステップを含んでおらず(残留物質を溶媒で洗浄すること以外)、不純物は最終生成物から効果的に除去されない。
総じて、(PCyClRu(3−フェニルインデニリデン)錯体を調製するための現時点において知られている調製方法は(1段法または2段法のどちらであっても)、長時間を要する(長い反応時間を含む)うえに生成物の純度が低く、溶媒はほとんどの場合において蒸発乾固されるため、工業生産規模で利用することができない。
国際公開第2010/037550A1号パンフレット 欧州特許出願公開第2280033A1号明細書
A.F.Hill et al.,J.Chem.Soc.,Dalton Trans.1999,285−291 Fuerstner et al,J.Org.Chem.1999,7,No.64,8275−8280 H.−J.Schanz et al.,J.Organometal.Chemistry 692,5221−5233(2007) S.Nolan et al,Organometallics,1999,18,5187−5190 Fuerstner et al,Chem.Eur.J.2001,7,No.22,4811−4820 Nolan et al.,Adv.Synth.Catal.2004,346,917−920 Dake et al.,J.Org.Chem.,2008,73(11),4131−4138
したがって、本発明の目的は、(PCyClRu(3−フェニルインデニリデン)錯体(Umicore「M1」触媒)を調製するための改善された方法を提供することにある。この方法は、複雑でなく、規模を容易に拡大できるものであるべきである。この方法は、M1触媒を、高純度、高結晶化度および高収率で、特に良好な空間収率(space yield)(すなわち反応器容積当たりの生成物の量)で生成するべきである。さらに、この方法は、基本的に1段法に基づくものであるべきであり、工業生産規模に適用可能であるべきである。
この目的は、本発明の方法により達成される。
本発明は、式1:
Figure 0006475161
のルテニウムインデニリデン触媒を調製するための1段法を対象とし、
上記方法は、
(PPhClRu(3−フェニルインデニリデン)と、トリシクロヘキシルホスフィン(PCy)とを、環状エーテル溶媒中に触媒を0.2〜0.6mol/lの範囲の濃度で含む反応混合物中で反応させるステップと、
その結果として得られる式1の触媒を反応中に上記反応混合物から析出させるステップと
を含む。
X線解析により決定されたM1触媒(THF溶媒和物)の単結晶構造のORTEP図を示すものである。 図2a−cは、本発明の方法に従い作製された触媒Umicore M1の3種のバッチ(H−NMR解析から、それぞれRu錯体1モル当たり異なる量のTHFを含む)のXRD回折図を示すものである。図2aは、M1(赤色結晶性物質、本発明の方法、錯体1モル当たり1.54molのTHFを含む)のXRDチャートを示すものである。 図2bは、M1(赤色の結晶性物質、本発明の方法、錯体1モル当たり1.4molのTHFを含む)のXRDチャートを示すものである。 図2cは、M1(赤色の結晶性物質、本発明の方法、錯体1モル当たり1.1molのTHFを含む)のXRDスペクトルである。 図3aは、比較用として、Umicore標準法(国際公開第2010/037550A1号パンフレットに従う)に従い作製された、THFを含まない(H NMRにより確認)M1触媒のXRD回折図を示すものである。 図3bは、比較用として、欧州特許第2280033号明細書の実施例9に従い作製された、生成物1mol当たり0.1mol未満のTHFを含む(H NMRにより確認)M1触媒のXRD回折図を示すものである。 図4は、Umicore M1触媒の2種の異なるバッチのSEM写真を示すものである。図4aは、M1(赤色結晶性物質、THF溶媒和物、本発明の方法)を示すものである。 図4bは、M1(橙色物質、Umicore標準法)を示すものである。
本方法の特定の実施形態においては、結果として得られる式1のルテニウム−インデニリデン触媒を、環状エーテル溶媒和物結晶として析出させることができる。
好ましくは、触媒1分子当たり1個を超える環状エーテル分子を含む結晶性環状エーテル溶媒和物として析出させることができる。
本発明の方法によれば、出発錯体(PPhClRu(3−フェニルインデニリデン)は、環状エーテル溶媒との混合物中または溶液中に存在し、濃度は、c=0.2〜0.6mol触媒/l、好ましくはc=0.2〜0.5molRu触媒/lの範囲にある。
環状エーテル溶媒は、通常、テトラヒドロフラン(THF)、メチルテトラヒドロフラン、ジメチルテトラヒドロフランおよびこれらの混合物または組合せからなる群から選択される。
好ましい実施形態においては、環状エーテル溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)である。この好ましい実施形態においては、結果として得られる式1のルテニウム触媒は、反応混合物から、触媒1分子当たり1〜2個のTHF分子を含むテトラヒドロフラン(THF)溶媒和物として結晶形態で析出する。その場合、このM1触媒生成物の分子式は、C5176ClRu×n(CO)(1≦n≦2)で与えることができる。
通常は、トリシクロヘキシルホスフィン(PCy)配位子を、反応混合物に、(PPhClRu(3−フェニルインデニリデン)出発錯体を基準として2〜3当量、好ましくは2.1〜2.5当量の範囲の量で加える。
反応条件は、溶媒還流下にあるので、通常、本明細書における反応温度は、環状エーテル溶媒の沸点が決め手となる。一般に、反応温度は、30〜100℃の範囲内とすべきである。THFを使用する場合、反応温度は、50〜80℃の範囲(すなわちTHFの沸点以下)とすべきである。
場合により、この方法は、さらに冷却ステップを含むことができる。生成物の析出を促すために、反応混合物を室温以下、すなわち−30〜25℃の範囲の温度、好ましくは0〜25℃の範囲の温度に冷却することができる。
好適な反応時間は反応規模に依存し、0.1〜3時間の範囲、好ましくは0.5〜2時間の範囲とすることができる。
生成物の収率を高めるため、反応の最中に、環状エーテル溶媒の一部を、真空中または不活性ガス気流中のいずれかで留去することができる。
さらなる実施形態においては、この方法は、触媒生成物を反応混合物から分離するためのステップおよび手段を含む。この種の単離は、濾過、遠心分離、デカンテーションまたは当業者に周知の他の類似の操作により行うことができる。
更なる他の実施形態においては、この方法は、さらなる洗浄ステップおよび/または乾燥ステップを含むことができる。好ましくは、メチルエチルケトンやアセトン等のケトン溶媒が好ましくは洗浄に用いられる。触媒の乾燥をボックス型オーブンを用いて、高温の不活性雰囲気中または真空条件下で行うことができる。
さらなる態様においては、本発明は、Umicore M1触媒の新規な結晶形を対象とする。
驚くべきことに、特定の高濃度条件下で操作を行うことにより、反応中に反応混合物からM1生成物が結晶性材料(すなわち暗赤色結晶)として析出することが見出された。実験データから、本発明の方法により得られるM1触媒生成物が結晶格子中にTHF溶媒分子を伴って結晶化することが実証される。
結晶化した錯体は、2個の共晶化したTHF分子を含む。楕円体は50%の存在確率を示しており、H原子は省略されている。空間群は斜方晶系(Pca2(1))である。格子定数および角度は:a=20.520(4)、b=14.543(3)、c=18.761(5);α=90.00°、β=90.00°、γ=90.00°である。生成物は暗赤色結晶として晶出する。
本発明の生成物の結晶化度に由来する有利な効果は、結晶性M1材料の取扱い、濾過および洗浄を簡単に行えることにある。生成物の洗浄は、反応中に生成したPPhおよび他の不純物を除去するのに必須である。
この結晶性生成物M1は、洗浄、乾燥および他の取扱いの最中に一部のTHFが遊離する可能性があることが分かった。それでも尚、本発明の方法により得ることができる結晶性生成物は、触媒1分子当たり1個を超える環状エーテル分子を含む(X線解析およびH−NMR分光により測定)。好ましくは、結晶性M1生成物は、触媒1分子当たり1〜2個のTHF分子を含む(X線解析およびH−NMR分光により測定)。
現時点における最新の技術により得られる橙色の触媒生成物(先に引用した調製方法参照)は、非常に微細な針状体を含む。標準的な方法に従い製造されるこの橙色の形態の触媒材料は非常に嵩高い。この形態にある材料は、濾過、洗浄および取扱いが非常に難しい。この橙色形態の材料は、濾過に要する時間が実質的に長引き、今度はそのために生成物の純度が低下する。この橙色形態の材料は綿毛状であるため、析出の際に不純物がその中に捕捉されやすい。橙色の触媒材料はまた、比表面積がより高いことから、空気中の酸素の影響をより受けやすい。その結果として、酸化がはるかに起こり易くなるため、不活性条件下で厳重に保管しないと、より多くのホスフィンオキシド不純物を含有しやすくなる。
当該技術分野において周知の手順に従えば、大過剰(通常は3当量の範囲)のPCyを使用するだけで、所望のビスPCy錯体を許容可能な純度で得ることができるが、PCyの費用が高くなるので工業的な観点からは現実的ではない。別法としては、錯体の混合物を単離してから、さらにPCyで処理を行う。これもまた、精製ステップを追加する必要があるので、工業規模で実現するのは難しい。
さらに本発明者らは、本発明の方法の基礎となった既知の合成経路Aが、本質的に、次式3に従い、副生成物X(すなわちPCyおよびPPh配位子を含む混合置換基を有するRu錯体)を様々な量で含み得る生成物を生成することを認識している。
Figure 0006475161
配位子交換反応は平衡反応であるため、当業者は、作業を高濃度で行うと生成物の純度が大幅に低下することになると予想するであろう。反応が進行するにつれ、PCyの量が減少する一方で、遊離したPPhの量は増大する。このことにより、出発物質、生成物M1および混合錯体Xの混合物が生成する。
驚くべきことに、これとは対照的に、本発明者らは、c=0.2〜0.6mol触媒/lの範囲の高濃度で作業することにより、生成物が並行して反応混合物から析出し、それによって生成物が反応平衡系外に取り出されるので、平衡が右側にシフトし、したがって、所望の触媒生成物M1を非常に高い収率および極めて高い品質で得ることが可能になることを見出した。
本発明の方法に従い生成した触媒は高純度の結晶性材料である。生成物の純度の高さは、その結晶形に直接起因している。
通常、本発明に従い作製されるM1生成物中に含まれる不純物Xの量は、<3%、好ましくは<1%、最も好ましい<0.5%である(触媒生成物の総重量を基準とする)。PPh基を有するRu−インデニリデン錯体がメタセシスに活性を示さないことは知られているので、混合錯体XがM1中に存在すると触媒活性は低下するであろう。この不純物Xは、31P−NMRにおいて、生成物のピークの近傍に2本の小さなピークを示す(CDCl中で測定)かまたは1本のみの小さなピークを示す(CDCl中で測定)ので容易に同定することができる。
純度の定量的測定を行うためには、ピーク積分法を用いる。上に示した不純物のデータに基づけば、本発明に従い調製されるRu−インデニリデン触媒の純度は>97%、好ましくは>99%、特に好ましくは>99.5%(31P−NMR分光法にて測定)となる。
この生成物の嵩密度は0.3g/mlであった。
この生成物の嵩密度は0.25g/mlであった。
XRD測定の詳細な測定条件を実施例の項に示す。
一般に、様々な回折角(2θ°)におけるピークの強度およびピークの位置は、試料の調製や測定条件のみならずTHF含有量にもわずかに依存して変化する可能性がある。ピークの位置の不確かさは±0.05°(2θ)である。
総じて、XRD回折図の解析から、図2a〜dと図3aおよび3bとを対比すると、本発明の方法に従い作製されたM1生成物の方が結晶化度が高く、さらに、先行技術に従い入手可能な材料と比較すると異なる構造を有することが明白である。本発明の方法により得られるUmicore M1は、表1に列挙するように、様々な回折角(2θ°の値)に特徴的なピークを示す。この表には相対的なピーク強度も列挙する。さらに、図3aおよび3bの回折図には非晶質に由来するハローが見られることから、先行技術に従うこれらの化合物の結晶化度が、本特許出願に従い得られる化合物の結晶化度よりも低いことが分かる。さらに、3aおよび3bの反射およびそのパターンは図2a〜dとは異なっている。
さらに、THF溶媒和物の単結晶解析を行い、結晶のデータに基づき、粉末回折図のシミュレーションを行った(PANalyticalのX’Pert HighScore Plusソフトウェア)。シミュレーションによる回折図は、本発明に従い生成した材料から実験的に得られた回折図と直接比較できることが分かった。このシミュレーションから、本発明の方法により作製されたUmicore M1が結晶中にTHF分子を含んでいることが確認される。
Figure 0006475161
これらの図から、本発明の方法に従い作製された触媒M1が高い結晶化度を有することが明白である。
総括すると、本発明の調製方法を用いることにより得られるRu−インデニリデン触媒M1は、生成物の純度が高く、特に高い結晶化度を有することが分かる。規模を容易に拡大することができる析出プロセスを採用しているこの調製方法は、工業生産規模にも適用可能である。
本発明のUmicore M1触媒は、閉環メタセシス(RCM)、開環メタセシス重合(ROMP)、交差メタセシス(CM)等の様々なオレフィンメタセシス反応に有用である。さらにこれは、他のさらに改質されたルテニウムカルベン触媒の合成に有用な前駆体である。
本発明は、ルテニウム触媒(PCyClRu(フェニルインデニリデン)(Umicore触媒「M1」)の調製方法を対象とする。この方法は、前駆体化合物(PPhClRu(3−フェニルインデニリデン)とPCyとを、環状エーテル溶媒(好ましくはTHF)中で、0.2〜0.6mol触媒/lの範囲の濃度で反応させると同時に、生成物を反応混合物から析出させる1段反応を含む。結晶化度が非常に高く純度も高い環状エーテル溶媒和物が生成する。
さらに本発明は、触媒1モル当たり1〜2個のTHF分子を含み、分子式C5176ClRu×n(CO)(1≦n≦2)を有するルテニウム触媒Umicore M1(PCyClRu(フェニルインデニリデン)結晶の改質を対象とする。
さらに以下に示す実施例において本発明を説明するが、これらは保護範囲を限定するものではない。
一般には、実施例において、冷却器および撹拌機を備えたガラス製反応器またはフラスコを本発明の方法に使用する。使用前に反応器を乾燥不活性ガス(アルゴン、窒素)でフラッシュする。
NMRスペクトルをBRUKER DRX 500 NMR分光器を用いて約25℃で記録する。外部のリン酸(31P−NMR)または残留溶媒(H−NMR)のシグナルに対する化学シフトを測定する。
X−Celerator検出器を備えたPANalytical X’Pert Proを使用し、Cu線を用いて、5°<2θ<100°の範囲でXRD回折図を記録した。試料を27mmのPAN分析試料ホルダ内に準備した(その都度調製(single preparation))。
次に示す条件下でXRDデータを記録した。
Figure 0006475161
ピーク位置の不確かさは±0.05°(2θ)である。
実施例1
先行技術に従う出発錯体(PPhClRu(3−フェニルインデニリデン)の調製(上に引用したH.−J.Schanzら参照)
冷却器および撹拌機を備えた1リットルのガラス製反応器にアルゴンを充填した後、THF800mlを装入する。溶媒を50℃に加温する。次いで1,1−ジフェニル−2−プロピン−1−オール19.7g(純度98.6%、93.2mmol、1.15eq.)、塩化アセチル2.91ml(40.5mmol、0.5eq.;米国オハイオ州パウエル(Powell,OH,USA)のGFS Chemicals Inc.,)およびRu(PPh3−4Cl(Ru含有率8.22重量%;ハナウ(Hanau)のUmicore AG&Co.KG)99.6g(81mmol、1eq.)を撹拌しながら順次添加する。反応混合物を還流下(65℃)に90分間撹拌する。次いで50℃に冷却し、THF溶媒700mlを真空中で留去する。赤褐色の懸濁液を室温に冷却し、イソプロパノール(600ml)を撹拌しながら加える。得られる析出物を濾過し、イソプロパノールおよび石油エーテルで洗浄した後、40℃の真空中で乾燥させる。
収率:85%(Ru含有率を基準とする)
31P−NMR(C):δ=27.8ppm(s)
実施例2
ジクロロ(3−フェニル−1H−インデン−1−イリデン)ビス−(トリシクロヘキシル−ホスフィン)ルテニウム(II)の調製(本発明による;c=0.5mol/l)
Figure 0006475161
冷却器および撹拌機を備えた1リットルのガラス製反応器にアルゴンを充填した後、THF500mlを装入する。溶媒を40℃に加温する。次いで(PPhClRu(3−フェニルインデニリデン)(ハナウのUmicore AG&Co.KG)221.7g(250mmol、1eq.)およびトリシクロヘキシルホスフィン(PCy、Aldrich)155g(純度98.1%、540mmol、2.16eq.)を撹拌しながら順次添加する。反応混合物を還流下(65℃)に1時間撹拌する。その間に生成物が暗赤色結晶の形態で析出する。反応混合物を5℃に冷却する。析出した結晶を濾過してアセトン400mlで洗浄した後、80℃の真空中で乾燥させる。
収率:236g、88%(Ru含有率(9.41重量%)を基準とする)
31P−NMR(CDCl):δ(ppm)=32.0(s、目的生成物)、31.28および31.18(副生成物)
31P−NMRに基づく純度:>99%
H−NMR(CDCl):δ(ppm)=8.66(d、目的生成物、1H)、7.96(d、副生成物、<0.01H)、7.75(m、目的生成物、2H)、7.7(m、副生成物、<0.02H)、7.52(m、目的生成物、1H)、7.40(ms、目的生成物、3H)、7.28(m、生成物、2H)、7.05(td、副生成物、<0.01H)、7.016(s、副生成物、<0.01H)、3.68(m、THF、6.4H)、2.60(m、目的生成物、6H)、1.9〜1(ms、目的生成物、27H)、1.82(m、THF、6.4H)。
副生成物の他のシグナルは目的生成物のシグナルと重なっている。
H−NMRに基づくTHF含有率:1.6molTHF/mol目的生成物(約11重量%)
H−NMRに基づく副生成物の含有率=<0.01mol(<1重量%)
嵩密度:0.45g/ml
空間収率:236g/l
実施例3
ジクロロ(3−フェニル−1H−インデン−1−イリデン)−ビス−(トリシクロヘキシル−ホスフィン)ルテニウム(II)の調製(本発明による;c=0.2mol/l)
冷却器および撹拌機を備えた1リットルのガラス製反応器にアルゴンを充填した後、THF600mlを装入する。次いで(PPhClRu(3−フェニルインデニリデン)(ハナウのUmicore AG&Co.KG)106.4g(120mmol、1eq.)およびトリシクロヘキシルホスフィンPCyを74g(純度98.1%、258mmol、2.15eq.)を撹拌しながら順次添加する。反応混合物を還流下(65℃)に0.5時間撹拌する。次いで40℃に冷却し、THF溶媒250mlを留去して暗赤色結晶形態の生成物を析出させる。別法として、反応中に不活性ガスを流すことによって溶媒を除去することもできる。得られた赤色の懸濁液を5℃に冷却し、撹拌しながらアセトン(500ml)を加える。析出した結晶を濾過し、アセトンで洗浄した後、80℃の真空中で乾燥させる。
収率:108g、85%(Ru含有率(9.54重量%)を基準とする)
純度(31P−NMR):>99%。生成物の分析データは実施例2のデータと同様である。
空間収率:108g/l
比較例4
ジクロロ(3−フェニル−1H−インデン−1−イリデン)−ビス−(トリシクロヘキシル−ホスフィン)ルテニウム(II)の調製(欧州特許第2280033号明細書の実施例9に従う)
500mlのシュレンクフラスコをアルゴンで15分間置換した。RuCl(PPhを5.21mmol(5.0g)および1,1−ジフェニル−2−プロピン−1−オールを8.49mmol(1.79g)をフラスコに装入した。無水テトラヒドロフラン267mlを加え、反応混合物を撹拌しながら3時間還流した。混合物を真空中で50%蒸発させ、トリシクロヘキシルホスフィン16.67mmol(4.76g)を加えた。懸濁液をアルゴン中、室温で8時間撹拌した。次いで溶媒を真空中で除去した。油状残渣をアセトン135mlに加えた。この混合物を−20℃で10時間静置した。残渣を吸引濾過した(ブフナー漏斗、細孔D4)。固体をメタノール、アセトンおよびヘキサンで洗浄した。生成物を室温の真空中で乾燥させた。生成物4.63g(5.02mmol、収率87%(金属基準))を赤レンガ色粉末として得た。
分析
嵩密度:0.25g/ml
空間収率:約14g/L
純度(31P NMR):約80%
THF含有率(H NMRに基づく、CDCl、20℃):<0.1molTHF/mol生成物(<0.5重量%)
31PおよびH−NMRデータは数種の副生成物が存在することを示している:ジフェニルアレニリデン錯体(δ≒41ppm(31P NMR))およびホスフィンオキシド

Claims (11)

  1. 式1:
    Figure 0006475161
    のルテニウム−インデニリデンカルベン触媒を調製するための方法であって、
    (PPhClRu(3−フェニルインデニリデン)と、トリシクロヘキシルホスフィン(PCy)とを、溶媒としてのテトラヒドロフラン(THF)中に(PPhClRu(3−フェニルインデニリデン)を濃度0.2〜0.6mol/lで含む反応混合物中、50〜80℃の範囲内の温度で反応させるステップと、
    結果として得られる前記式1の触媒を前記反応の最中に析出させるステップと
    を含む、方法。
  2. 前記式1の触媒が、THF溶媒和物結晶の形態で析出する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記THF溶媒和物結晶が、触媒1分子当たり1分子を超えるTHFを含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記PCyが、2〜3当量の範囲で存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記THF溶媒を前記反応の最中に一部留去することができる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記反応混合物を−30〜25℃の範囲の温度に冷却する冷却ステップをさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記反応の時間が、0.1〜3時間の範囲にある、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 結果として得られた前記ルテニウム−インデニリデンカルベン触媒を前記反応混合物から分離するステップをさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 結果として得られた前記ルテニウム−インデニリデンカルベン触媒を洗浄および乾燥するステップをさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. THF溶媒和物結晶の形態で存在し、XRD粉末回折測定(Cu−X線管球、管電圧−管電流40kV,40mA)において、図2a:
    Figure 0006475161
    のXRD回折パターンを示し、次表:
    Figure 0006475161
    に列挙する回折角(2θ°)にピークを示す、式1:
    Figure 0006475161
    のルテニウム−インデニリデンカルベン触媒であって、
    前記THF溶媒和物結晶が、触媒1分子当たり1〜2分子のTHFを含む( H−NMRおよびX線分析により測定)、ルテニウム−インデニリデンカルベン触媒
  11. 純度(31P−NMR分光により測定)が97%より高い、請求項10に記載のルテニウム−インデニリデンカルベン触媒。
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