JP5969040B2 - エステル化合物の製造方法及びその方法に用いるパラジウム触媒 - Google Patents

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Description

本発明は、エステル化合物の製造方法並びにその方法に用いるパラジウム触媒に関する。
従来から、エステル化合物を得る方法としてパラジウム触媒を用いて炭素−炭素二重結合を有するノルボルネン系の化合物にアルコールと一酸化炭素とを反応させて前記二重結合を形成する炭素にエステル基を導入(付加)することによりエステル化合物を得る方法(いわゆる酸化的アルコキシカルボニル化反応(エステル化反応)を利用する方法)が知られている。例えば、国際公開2011/099518号(特許文献1)においては、パラジウム触媒と酸化剤とを用いて、ノルボルネン類にアルコールと一酸化炭素とを反応させて、前記ノルボルネン類中の炭素−炭素二重結合(オレフィン二重結合)を形成する炭素にエステル基を導入することによりエステル化合物を得る方法が開示されている。また、上記特許文献1においては、そのようなエステル化合物を得る方法に利用可能なパラジウム触媒として、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、酢酸パラジウム、プロピオン酸パラジウム、パラジウム炭素、パラジウムアルミナ及びパラジウム黒等が開示されている。
国際公開2011/099518号
しかしながら、上記特許文献1において開示されているような、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、酢酸パラジウム、プロピオン酸パラジウム、パラジウム炭素、パラジウムアルミナ及びパラジウム黒等の従来のパラジウム触媒を利用して、ノルボルネン類にアルコールと一酸化炭素とを反応させた場合には、副生成物の生成を必ずしも十分に抑制することができず、エステル化合物を必ずしも十分な選択率で製造することができなかった。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、副生成物の生成を十分に抑制することができ、十分に高い選択率でエステル化合物を効率よく製造することが可能なエステル化合物の製造方法及びその方法に用いるパラジウム触媒を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、パラジウム触媒及び酸化剤を用いて、ノルボルネン環及びノルボルナジエン環のうちの少なくとも1種の環状構造を有する化合物にアルコール及び一酸化炭素を反応させて、前記環状構造中の二重結合を形成する炭素にエステル基(アルコキシカルボニル基)を導入することによりエステル化合物を得るエステル化合物の製造方法において、前記パラジウム触媒として、下記一般式(1)で表わされる亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウムを金属換算で10モル%以上含有するパラジウム触媒を用いることにより、副生成物(前記環状構造(前記ノルボルネン環及び/又は前記ノルボルナジエン環の構造部位)が付加重合した重合物や反応中間物等)の生成を十分に抑制することができ、十分に高い選択率でエステル化合物を効率よく製造することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のエステル化合物の製造方法は、パラジウム触媒及び酸化剤を用いて、ノルボルネン環及びノルボルナジエン環のうちの少なくとも1種の環状構造を有する化合物にアルコール及び一酸化炭素を反応させて、前記環状構造中の二重結合を形成する炭素にアルコキシカルボニル基を導入することによりエステル化合物であるカルボン酸エステルを得るエステル化合物の製造方法であって、
前記パラジウム触媒が、下記一般式(1):
Pd(CHCOO)(NO) (1)
で表される亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウムを金属換算で10モル%以上含有するものである、方法である。
上記本発明にかかるパラジウム触媒としては、前記亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウムを金属換算で30モル%以上含有するものであることが好ましい。
また、本発明のパラジウム触媒は、ノルボルネン環及びノルボルナジエン環のうちの少なくとも1種の環状構造を有する化合物にアルコール及び一酸化炭素を反応させて、前記環状構造中の二重結合を形成する炭素にアルコキシカルボニル基を導入することによりエステル化合物であるカルボン酸エステルを得るエステル化合物の製造方法に酸化剤とともに用いるパラジウム触媒であって、
下記一般式(1):
Pd(CHCOO)(NO) (1)
で表される亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウムを金属換算で10モル%以上含有する、ものである。
さらに、本発明のパラジウム触媒においては、前記亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウムを金属換算で30モル%以上含有することが好ましい。
本発明によれば、副生成物の生成を十分に抑制することができ、十分に高い選択率でエステル化合物を効率よく製造することが可能なエステル化合物の製造方法及びその方法に用いるパラジウム触媒を提供することが可能となる。
実施例1で得られた化合物のIRスペクトルを示すグラフである。 実施例1で得られた化合物のH−NMR(CDCl)スペクトルを示すグラフである。 実施例1で得られた化合物をHPLC測定することにより得られたスペクトルを示すグラフである。 実施例1で得られた化合物をGPC測定することにより得られたスペクトルを示すグラフである。 実施例6で得られた化合物のIRスペクトルを示すグラフである。 実施例6で得られた化合物のH−NMR(CDCl)スペクトルを示すグラフである。 実施例6で得られた化合物をHPLC測定することにより得られたスペクトルを示すグラフである。 実施例6で得られた化合物をGPC測定することにより得られたスペクトルを示すグラフである。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本発明のエステル化合物の製造方法について説明する。本発明のエステル化合物の製造方法は、パラジウム触媒及び酸化剤を用いて、ノルボルネン環及びノルボルナジエン環のうちの少なくとも1種の環状構造を有する化合物にアルコール及び一酸化炭素を反応させて、前記環状構造中の二重結合を形成する炭素にエステル基を導入することによりエステル化合物を得るエステル化合物の製造方法であって、
前記パラジウム触媒が、下記一般式(1):
Pd(CHCOO)(NO) (1)
で表される亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウムを金属換算で10モル%以上含有するものである、方法である(以下、前記一般式(1)で表される亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウムを、場合により「Pd(OAc)(NO)」と省略して示す。)。
本発明にかかるパラジウム触媒は、亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウム(Pd(OAc)(NO))を金属換算で10モル%以上含有するパラジウム触媒である。このようなパラジウム触媒中の前記亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウムの含有比率が前記下限未満では副生成物の生成を十分に抑制することが困難となり、十分に高い選択率でエステル化合物を製造することが困難となる。また、前記パラジウム触媒としては、より高度な水準で副生成物の生成を抑制することができ、より高い選択率でエステル化合物を製造することが可能となるといった観点から、亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウム(Pd(OAc)(NO))の含有比率が、金属換算で(パラジウム触媒中の全パラジウム量に対して)、30モル%以上であることが好ましく、40モル%以上であることがより好ましく、50モル%以上であることが更に好ましく、70モル%〜100モル%であることが特に好ましい。
また、前記パラジウム触媒中に含有され得る亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウム以外の成分(他の触媒成分)としては、特に制限されず、ノルボルネン環及びノルボルナジエン環中の炭素−炭素二重結合(オレフィン二重結合)をアルコキシカルボニル化(エステル化)する際に利用することが可能な公知のパラジウム系の触媒成分(塩化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、酢酸パラジウム、プロピオン酸パラジウム、パラジウム炭素、パラジウムアルミナ及びパラジウム黒等)を適宜利用することができる。また、このようなパラジウム触媒中に含有され得る亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウム以外の成分(パラジウム系の触媒成分)としては、重合物や副生物の抑制、選択性向上の観点からは、酢酸パラジウムを用いることが好ましい。このように、前記パラジウム触媒としては、亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウム(Pd(OAc)(NO))の含有比率が10モル%以上である、亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウムと酢酸パラジウムとの混合触媒、亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウム(Pd(OAc)(NO))からなる触媒を好適に利用することができる。
また、前記亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウム(Pd(OAc)(NO))を製造するための方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜利用することができ、例えば、2005年6月7日に発行されたDalton Trans(vol.11)の第1989頁から第1992頁に記載された方法(著者:Vladimir I, Bakhmutov, et al.)等を適宜利用してもよい。すなわち、このような亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウム(Pd(OAc)(NO))を製造するための方法としては、例えば、金属パラジウムを酢酸中に分散させた後に硝酸を滴下し、得られた混合液を撹拌しながら還流させることにより加熱撹拌して反応させ、得られる固形分の中から紫色の柱状結晶(式:Pd(OAc)(NO)で表わされる化合物の結晶)を取り出すことにより製造する方法を採用してもよい。このような亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウム(Pd(OAc)(NO))を製造するための方法を採用する場合においては、前記混合液を加熱撹拌する際の温度条件を60〜150℃とすることが好ましい。また、前記混合液を加熱撹拌した後においては前記混合液を結晶を成長させるという観点から、ゆっくりとしたマイルドな条件(例えば、エバポレーターを用いて、20〜80℃の温度条件で圧力を100〜500hPa程度の圧力となるまで一気に減圧した後に、更に、その減圧状態(100〜500hPa程度)から1〜5hPa程度となるまで10〜30分間費やして減圧するような条件)で濃縮することが好ましい。そして、このようにして前記混合液を濃縮した後、前記混合液を室温程度に冷却することで結晶を析出させることができる。なお、このようにして析出した結晶中には、Pd(OAc)(NO)の結晶以外の化合物の結晶も含まれ得ることから、前記亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウム(Pd(OAc)(NO))を得るために、その結晶の中から公知の方法を適宜利用してPd(OAc)(NO)の結晶(紫色の柱状結晶)を分別して取り出せばよい。なお、このような製造方法を利用する場合には、前記結晶を得た後に不純物を除去して精製する工程等を適宜実施してもよい。また、本発明にかかるパラジウム触媒としては、前述のようにして得られた亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウム(Pd(OAc)(NO))をそのまま用いてもよく、あるいは、上述のモル比の範囲で他の成分を適宜混合した混合物として用いてもよい。なお、このような亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウム(Pd(OAc)(NO))の構造はNMR測定等によって確認することができる。
さらに、本発明にかかる酸化剤としては、エステル基を導入する反応(酸化的アルコキシカルボニル化(エステル化)反応)中に前記パラジウム触媒中のPd2+がPdに還元された場合に、そのPdをPd2+に酸化することが可能な化合物(還元されたパラジウム触媒を再酸化することが可能な化合物)であればよく、特に制限されず、例えば、塩化銅、酢酸銅、Cu(acac)、安息香酸銅、炭酸銅、硝酸銅等の銅化合物;塩化鉄、酢酸鉄、硫酸鉄、硝酸鉄等の鉄化合物;塩化マンガン、酢酸マンガン、酸化マンガン等のマンガン化合物;塩化亜鉛、酢酸亜鉛等の亜鉛化合物;塩化バナジウム等のバナジウム化合物;塩化クロム、塩化スズ、塩化ビスマス、塩化水銀、塩化リン等の塩化物;リンバナドモリブデン酸などのヘテロポリ酸;過酸化水素;等が挙げられる。また、このような酸化剤としては、より具体的には、塩化第二銅、硝酸第二銅、硫酸第二銅、酢酸第二銅、塩化第二鉄、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄、酢酸第二鉄、二酸化マンガン、酢酸マンガン等が挙げられる。なお、金属又は金属化合物等(前述の銅化合物等)の酸化剤とともに酸素や空気等のガス成分を利用してPdをPd2+に酸化してもよい。また、このような酸化剤としては、効率よくPdをPd2+に酸化可能という観点から、銅化合物が好ましく、特に塩化銅が好ましい。
また、本発明において、ノルボルネン環及びノルボルナジエン環のうちの少なくとも1種の環状構造を有する化合物は、その環状構造中の炭素−炭素二重結合(オレフィン二重結合)にエステル基を導入してエステル化合物を得るために用いる原料化合物である(以下、場合により、ノルボルネン環及びノルボルナジエン環のうちの少なくとも1種の環状構造を有する化合物を単に「原料化合物」という。)。このような原料化合物について、より具体的に説明すると、該化合物は、その構造中に、下記構造式(2):
で表わされるノルボルネン環からなる環状構造及び下記構造式(3):
で表わされるノルボルナジエン環からなる環状構造のうちの少なくとも1種を有するものであればよく、その化合物の他の構造部分は特に制限されるものではない。すなわち、このような原料化合物としては、前記環状構造を備えていればよく、例えば、置換基を有していてもよいノルボルネン、置換基を有していてもよいノルボルナジエン、置換基を有していてもよいノルボルネン及び/又はノルボルナジエンが他の有機化合物(例えば直鎖状炭化水素、分岐鎖状炭化水素、不飽和炭化水素)と結合した化合物、ノルボルネン環及びノルボルナジエン環のうちの少なくとも1種と他の環状炭化水素(置換基を有していてもよく、また、その環中にヘテロ原子を有していてもよい。)とによって形成される縮合環化合物やスピロ化合物等が挙げられる。
このように、前記原料化合物としては前記環状構造を有するものであればよく、いわゆるノルボルネン類、ノルボルナジエン類及びこれらの誘導体等を適宜利用することができる。また、前記原料化合物としては、特に制限されるものではないが、下記一般式(4)〜(11):
[式中、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは0〜12の整数を示し、mは0〜5の整数を示す。]
で表わされる化合物のうちの少なくとも1種を好適に利用することができる。
このような一般式(4)〜(11)中のRとして選択され得るアルキル基の炭素数が前記上限を超えると、製造および精製が困難となる傾向にある。また、このようなRとして選択され得るアルキル基の炭素数としては、製造および精製の容易さという観点から、1〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。また、このようなRとして選択され得るアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。また、前記一般式(4)〜(11)中のRとしては、製造および精製の容易さという観点から、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましく、中でも、原料の入手が容易であることや精製がより容易であるという観点から、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基であることがより好ましく、水素原子又はメチル基であることが特に好ましい。また、このような式中の複数のRは製造および精製の容易さ等の観点から、同一のものであることが特に好ましい。
また、このような一般式(4)〜(11)中のR、Rとして選択され得る炭素数1〜10のアルキル基は、Rとして選択され得る炭素数1〜10のアルキル基と同様のものである。このようなR、Rとして選択され得る置換基としては、精製の容易さの観点から、上記置換基の中でも、水素原子、炭素数1〜10(より好ましくは1〜5、更に好ましくは1〜3)のアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基であることが特に好ましい。
また、前記一般式(4)〜(11)中のnは0〜12の整数を示す。このようなnの値が前記上限を超えると、前記一般式(4)〜(11)で表される化合物の製造および精製が困難になる。また、このような一般式(4)〜(11)中のnの数値範囲の上限値は、より製造および精製が容易となるといった観点から、5であることがより好ましく、3であることが特に好ましい。また、このような一般式(4)〜(11)中のnの数値範囲の下限値は、原料の安定性の観点から、1であることがより好ましく、2であることが特に好ましい。このように、一般式(4)〜(11)中のnとしては、2〜3の整数であることが特に好ましい。
さらに、前記一般式(4)〜(11)中のmは0〜5の整数を示す。このようなmの値が前記上限を超えると、前記一般式(4)〜(11)で表される化合物の製造および精製が困難になる。また、このような一般式(4)〜(11)のmの数値範囲の上限値は、製造および精製の観点から、3であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。また、このような一般式(4)〜(11)中のmの数値範囲の下限値は、製造および精製の観点から、0であることが特に好ましい。このように、一般式(4)〜(11)中のmとしては、0〜1の整数であることが特に好ましい。
さらに、このような一般式(4)〜(11)で表わされる原料化合物をより具体的に例示すると、例えば、下記一般式(12)〜(25):
で表わされる化合物等が挙げられる。
また、このような原料化合物を調製するための方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜利用することができ、例えば、前記原料化合物として前記一般式(11)で表される化合物(スピロ化合物)を利用する場合、国際公開2011/099518号に開示されているスピロ化合物を調製するための方法を適宜利用してもよい。
また、本発明にかかるアルコールとしては、ノルボルネン類のエステル化反応に利用することが可能なアルコール類であればよく、特に制限されないが、中でも、製造および精製の容易さの観点から、下記一般式(26):
OH (26)
[式(26)中、Rは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数7〜20のアラルキル基よりなる群から選択される1種を示す。]
で表されるアルコールであることが好ましい。すなわち、前記アルコールとしては、炭素数が1〜10のアルキルアルコール、炭素数が3〜10のシクロアルキルアルコール、炭素数が2〜10のアルケニルアルコール、炭素数が6〜20のアリールアルコール、炭素数が7〜20のアラルキルアルコールを用いることが好ましい。
このような一般式(26)中のRとして選択され得るアルキル基は、炭素数が1〜10のアルキル基である。このようなアルキル基の炭素数が10を超えると、得られるエステル化合物の精製が困難となる傾向にある。また、このようなRとして選択され得るアルキル基の炭素数としては、製造および精製がより容易となるという観点から、1〜5であることがより好ましく、1〜3であることが更に好ましい。また、このようなRとして選択され得るアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
また、上記一般式(26)中のRとして選択され得るシクロアルキル基は、炭素数が3〜10のシクロアルキル基である。このようなシクロアルキル基の炭素数が10を超えると、得られるエステル化合物の製造および精製が困難となる傾向にある。また、このようなRとして選択され得るシクロアルキル基の炭素数としては、製造および精製がより容易となるという観点から、3〜8であることがより好ましく、5〜6であることが更に好ましい。
さらに、上記一般式(26)中のRとして選択され得るアルケニル基は、炭素数が2〜10のアルケニル基である。このようなアルケニル基の炭素数が10を超えると、得られるエステル化合物の製造および精製が困難となる傾向にある。また、このようなRとして選択され得るアルケニル基の炭素数としては、製造および精製がより容易となるという観点から、2〜5であることがより好ましく、2〜3であることが更に好ましい。
また、上記一般式(26)中のRとして選択され得るアリール基は、炭素数が6〜20のアリール基である。このようなアリール基の炭素数が20を超えると、得られるエステル化合物の製造および精製が困難となる傾向にある。また、このようなRとして選択され得るアリール基の炭素数としては、製造および精製がより容易となるという観点から、6〜10であることがより好ましく、6〜8であることが更に好ましい。
また、上記一般式(26)中のRとして選択され得るアラルキル基は、炭素数が7〜20のアラルキル基である。このようなアラルキル基の炭素数が20を超えると、得られるエステル化合物の製造および精製が困難となる傾向にある。また、このようなRとして選択され得るアラルキル基の炭素数としては、製造および精製がより容易となるという観点から、7〜10であることがより好ましく、7〜9であることが更に好ましい。
さらに、上記一般式(26)中のRとしては、得られるエステル化合物の製造および精製がより容易となるという観点から、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、アリル基、フェニル基又はベンジル基であることが好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
このようなアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、アリルアルコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等が挙げられるが、中でも、得られるエステル化合物の製造および精製がより容易となるという観点から、メタノール、エタノールがより好ましく、メタノールが特に好ましい。また、このようなアルコールは1種を単独であるいは2種以上を混合して用いてもよい。
また、前記ノルボルネン環及びノルボルナジエン環のうちの少なくとも1種の環状構造を有する化合物(原料化合物)にアルコール及び一酸化炭素を反応させて、前記環状構造中の二重結合を形成する炭素にエステル基を導入する反応は、パラジウム触媒及び酸化剤を用いて、前記アルコール(ROH)及び一酸化炭素(CO)と、前記原料化合物とを反応せしめて、前記原料化合物に含まれる環状構造(ノルボルネン環及び/又はノルボルナジエン環)中の二重結合(オレフィン二重結合(−C=C−))を形成する2つの炭素に、それぞれ下記一般式(27):
−COOR (27)
[式(27)中、Rは前記一般式(26)中のRと同義である。]
で表されるエステル基(かかるエステル基は導入される位置ごとにRが同一であっても異なっていてもよい。)を導入してエステル化合物を得る反応(酸化的アルコキシカルボニル化反応:以下、場合により単に「エステル化反応」という。)である。なお、このようなエステル化反応は、例えば、前記原料化合物中のノルボルネン環からなる環状構造(上記構造式(2)で表わされる構造)中の二重結合にエステル基を導入する反応に関して、前記環状構造部分において生じる反応を反応式(I)に例示して示し、また、前記原料化合物にノルボルナジエン環からなる環状構造(上記構造式(3)で表わされる構造)中の二重結合にエステル基を導入する反応に関して、前記環状構造部分において生じる反応を反応式(II)に例示して示して説明すると、前記環状構造部分にエステル基が導入される反応は下記反応式(I)〜(II):
[反応式(I)〜(II)中、Rは前記一般式(27)中のRと同義である。なお、複数のRは、同一であっても異なっていてもよい。]
で表わされるような反応となる。このような反応式(I)〜(II)に示すように、本発明においては、ノルボルネン環及びノルボルナジエン環のうちの少なくとも1種の環状構造を有する原料化合物に前記アルコール及び一酸化炭素を反応せしめてエステル化反応させることにより、原料化合物中の前記環状構造(ノルボルネン環及び/又はノルボルナジエン環)の炭素−炭素二重結合を形成する炭素にそれぞれエステル基が導入(付加)されて、エステル化合物(少なくとも、前記原料化合物中の前記環状構造の部分が、反応式(I)及び/又は(II)に示すようにエステル化された化合物)が得られることとなる。更に、このようなエステル化反応を、例えば、原料化合物として上記一般式(11)で表わされるスピロ化合物を利用した場合を例に説明すると、前記エステル化反応は、下記反応式(III):
[反応式(III)中、R、R、R、nは、前記一般式(11)中のR、R、R、nと同義であり、Rは前記一般式(26)中のRと同義である。なお、複数のRは、同一であっても異なっていてもよい。]
で表わされるような反応となる。なお、このようなエステル化反応においては、前記原料化合物が、前記環状構造(ノルボルネン環及びノルボルナジエン環)以外にも二重結合を含む構造(例えば鎖状又は環状の不飽和炭化水素)を有する化合物である場合には、上述のエステル化反応とともに、前記環状構造以外の構造中の二重結合を形成する炭素にもエステル基を導入してもよく、また、原料化合物自体がカルボン酸無水物基(−CO−O−CO−)を有する場合には、上述のエステル化反応とともに、そのカルボン酸無水物基にアルコールを反応させてエステル基を形成してもよい。
このようなエステル化反応におけるパラジウム触媒の使用量としては、前記パラジウム触媒中のパラジウムのモル量(パラジウム触媒のPd金属換算によるモル量)が、前記原料化合物に対して、0.00001〜1倍モル(より好ましくは0.0001〜1倍モル、更に好ましくは0.001〜0.1倍モル、特に好ましくは0.0025〜0.1倍モル)となる量とすることが好ましい(また、0.01〜0.1倍モルとなる量とすることも好ましい。)。このようなパラジウム触媒の使用量(モル量)が前記下限未満では反応速度が低下し目的物の収率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると反応速度が向上し一気に反応が進み反応を制御することが困難となる傾向にある。
また、このようなエステル化反応における酸化剤の使用量は、前記原料化合物のモル量の2〜16倍(より好ましくは2〜8倍、特に好ましくは2〜6倍)のモル量とすることが好ましい。このような酸化剤の使用量(モル量)が前記下限未満では反応速度が低下し目的物の収率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると反応速度が向上し一気に反応が進み反応を制御することが困難となる傾向にある。
また、このようなエステル化反応における前記アルコールの使用量は、エステル化合物を得ることが可能な量であればよく、特に制限されず、原料化合物の種類等に応じて、その使用量を適宜設定することができる。例えば、前記原料化合物をエステル化してエステル化合物を得るために理論上必要となる量(理論量)以上に前記アルコールを加えて、余剰のアルコールをそのまま溶媒として使用してもよい。
また、このようなエステル化反応における一酸化炭素の使用量も、エステル化合物を得ることが可能な量であればよく、特に制限されず、原料化合物の種類等に応じて、その使用量を適宜設定することができる。例えば、前記原料化合物をエステル化してエステル化合物を得るために理論上必要となる量(理論量)以上に使用してもよい。
このように、本発明においては、前記一酸化炭素(CO)は、エステル化に必要な量を反応系に適宜供給すればよい。そのため、前記一酸化炭素を反応系に供給するためのガスとしては、一酸化炭素の高純度ガスであっても、それ以外のガスであってもよく、例えば、一酸化炭素、一酸化炭素とエステル化反応に不活性なガス(例えば窒素等)とを混合した混合ガス等を用いてもよく、更には、合成ガスや石炭ガス等を用いてもよい。また、このような一酸化炭素を反応系に供給するためのガスとしては、触媒や酸化剤に対して影響を与えないと言う観点から、一酸化炭素、一酸化炭素と他のガス(窒素、空気、酸素、水素、二酸化炭素、アルゴン等)の混合ガスが好ましい。また、前記一酸化炭素(CO)は、雰囲気ガス中に一酸化炭素(CO)を導入することにより反応系に供給してもよく、これにより結果として雰囲気ガスが前述の混合ガスとなってもよい。
また、前記原料化合物とアルコール及び一酸化炭素との反応(エステル化反応)には溶媒を用いることが好ましい。このような溶媒としては特に制限されず、各種溶媒を適宜利用することができるが、前記エステル化反応に利用するアルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等)を、そのまま反応のための原料としつつ溶媒としても利用することが好ましい。また、このようなエステル化反応においては、前記アルコールに他の溶媒を添加して利用してもよい。このような他の溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族系溶媒;エーテル、THF、ジオキサン等のエーテル系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ペンタン等の炭化水素系溶媒;アセトニトリルやベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒;アセトンやMEKなどのケトン系溶媒;DMF、NMP、DMI、DMAc等のアミド系溶媒が挙げられる。
また、前記溶媒中の前記原料化合物の濃度としては、0.001〜500g/Lとすることが好ましく、1〜100g/Lとすることがより好ましく、10〜100g/Lとすることが更に好ましい。このような濃度が前記下限未満では反応速度が低下し目的物の収率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると反応速度が向上し一気に反応が進み反応を制御することが困難となる上に原料や中間体が残存し収率が低下する傾向にある。
さらに、前記エステル化反応においては、前記酸化剤等から酸が副生されることから、かかる酸を除去するために塩基を更に添加してもよい。このような塩基としては、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、酪酸ナトリウム等の脂肪酸塩が好ましい。また、このような塩基の使用量は酸の発生量等に応じて適宜調整すればよい。
また、前記エステル化反応の際の反応温度条件としては特に制限されないが、0℃〜200℃{より好ましくは0℃〜100℃、更に好ましくは10〜30℃程度、特に好ましくは室温±5℃程度の温度}であることが好ましい。このような反応温度が前記上限を超えると、収量が低下する傾向にあり、他方、前記下限未満では、反応速度が低下する傾向にある。また、前記エステル化反応の反応時間は特に制限されないが、30分〜24時間程度とすることが好ましい。
また、前記エステル化反応における雰囲気ガスとしては、特に制限されず、エステル化の反応に利用可能なガスを適宜利用することができ、例えば、一酸化炭素、一酸化炭素と他のガス(窒素、空気、酸素、水素、二酸化炭素、アルゴン等)との混合ガスとしてもよく、触媒や酸化剤に対して影響を与えないと言う観点から、一酸化炭素とエステル化反応に不活性なガス(窒素、アルゴン等)との混合ガスが好ましい。
さらに、前記エステル化反応における圧力条件(雰囲気ガスの圧力条件:反応容器内で反応を進行せしめる場合には容器内のガスの圧力の条件)は特に制限されないが、常圧(0MPaG[1atm])以上15MPaG以下であること(絶対圧では常圧(約0.1MPa[1atm])以上15MPa以下であること)が好ましく、0MPaG以上10MPaG以下であること(絶対圧では0.1MPa以上10MPa以下であること)がより好ましく、0.01MPaG以上5MPaG以下であることが更に好ましい。このような圧力条件が前記下限未満では反応速度が低下し目的物の収率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると反応速度が向上し一気に反応が進み反応を制御することが困難となる傾向にある。
また、このようにしてエステル化反応を行った後においては、より純度の高いエステル化合物を得るために、再結晶等の精製工程を適宜実施してもよい。このような精製の方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。なお、このようにして得られるエステル化合物は、少なくとも、前記環状構造中の二重結合を形成する炭素にエステル基(アルコキシカルボニル基)が導入された化合物となる。
このようにして、本発明においては、前記パラジウム触媒を利用して、前記環状構造(前記ノルボルネン環及び/又は前記ノルボルナジエン環の構造)中の二重結合を形成する炭素にエステル基を導入することで(前記環状構造中のオレフィン二重結合をビスアルコキシカルボニル化することで)、副生成物(前記環状構造部分が付加重合した重合物や、反応が完全に進行していない反応中間物等)の生成を十分に抑制して、十分に高い選択率でエステル化合物を製造することを可能とする。すなわち、本発明によれば、十分に高い選択率でエステル化合物を製造でき、抽出時に乳化して分離が困難であり且つ再結晶等の精製を行っても分離除去することが困難な副生成物の生成を十分に抑制できるため、収率の低下が十分に抑制される。そして、本発明のエステル化合物の製造方法によれば、高転化率、高選択的に反応を進行させることが可能であるため、工業上有利にエステル化合物を製造することが可能である。
次に、本発明のパラジウム触媒について説明する。本発明のパラジウム触媒は、ノルボルネン環及びノルボルナジエン環のうちの少なくとも1種の環状構造を有する化合物にアルコール及び一酸化炭素を反応させて、前記環状構造中の二重結合を形成する炭素にエステル基を導入することによりエステル化合物を得るエステル化合物の製造方法に酸化剤とともに用いるパラジウム触媒であって、
下記一般式(1):
Pd(CHCOO)(NO) (1)
で表される亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウムを金属換算で10モル%以上含有する、ものである。このような本発明のパラジウム触媒は、上記本発明のエステル化合物の製造方法において説明したパラジウム触媒と同様のものである(好適なものも同様である)。なお、前記ノルボルネン環及びノルボルナジエン環のうちの少なくとも1種の環状構造を有する化合物、前記アルコール、前記一酸化炭素及び前記酸化剤も上記本発明のエステル化合物の製造方法において説明したものと同様のものである(使用方法等も同様である。)。このように、本発明のパラジウム触媒は、上記本発明のエステル化合物の製造方法に用いるためのパラジウム触媒であり、これにより、前記原料化合物の環状構造中の炭素−炭素二重結合をアルコキシカルボニル化する反応において、副生成物の生成を十分に抑制することができ、十分に高い選択率でエステル化合物を効率よく製造することが可能となる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(合成例1:Pd(OAc)(NO)の調製)
2005年に発行されたDalton Trans(vol.11)の第1991頁に記載された方法によって調製を行った。先ず、金属Pd(0.304g、2.86mmol)を、氷酢酸(和光純薬社製の商品名「特級酢酸」、20ml、酢酸の濃度:99質量%)中に分散させて撹拌し、分散液を得た。次に、このようにして得られた分散液に対して、撹拌しながら濃度が60質量%の硝酸水溶液(0.3ml:濃硝酸)をゆっくりと滴下し、反応液を得た。次いで、前記濃硝酸滴下後の前記反応液に対して、還流温度(118℃)で30分間撹拌しながら還流させることにより加熱撹拌を行った。次に、前記加熱撹拌後の反応液を、室温(25℃)まで冷却した後、エバポレーターを用いて、圧力が130hPaとなるまで一気に減圧した後に、50℃まで加熱しながら圧力が130hPaから5hPaとなるまで30分間費やす、ゆっくりとしたマイルドな条件で3倍に濃縮して濃縮液を得た。次いで、得られた濃縮液を室温(25℃)に冷却した。このように冷却することで前記濃縮液からオレンジ色の粉末が析出した。次いで、析出した粉末を取り出した後、前記粉末を塩化メチレン(10ml)とヘキサン(10ml)の混合液中に溶解し、得られた溶解液をろ過して不溶物を除去した。次に、前記不溶物除去後の溶解液(ろ液)を、エバポレーターを用いて、窒素気流下、室温(25℃)で圧力が130hPaとなるまで一気に減圧した後に、50℃まで加熱しながら圧力が130hPaから5hPaとなるまで30分間費やして、ゆっくりと濃縮して、2種類の結晶の混合物を得た。なお、前記混合物はオレンジ色の板状結晶と紫色の柱状結晶とを含有するものであった。ここで、得られた板状結晶と柱状結晶に対して、それぞれH−NMR(CDCl)測定を行って各結晶を形成する化合物の種類を確認したところ、オレンジ色の板状結晶がPd(OAc)であり、紫色の柱状結晶がPd(OAc)(NO)であることが分かった。そこで、得られた2種類の結晶の混合物の中から紫色の柱状結晶を手作業で分別することにより、Pd(OAc)(NO)を得た(収量0.26g、収率41%)。
(合成例2:Pd(OAc)の調製)
2005年に発行されたDalton Trans(vol.11)の第1991頁に記載された方法によって調製を行った。先ず、塩化Pd(0.50g、2.86mmol)を水(50mL)に溶解して塩化Pd水溶液(50mL)を準備した後、前記塩化Pd水溶液中に、水酸化Na(1.0g、25mmol)とギ酸Na(0.80g、11.7mmol)の混合物を添加して反応液を得た。このような混合物の添加によって、前記反応液中においては固形分(粉末)が瞬時に生成された。その後、前記反応液中において前記粉末を凝集させるために、前記反応液の撹拌を30分間行った。このようにして生成された粉末をろ過により取り出し、得られた粉末をアセトンで洗浄した後、真空乾燥させた。その後、得られた粉末を、氷酢酸(和光純薬社製の商品名「特級酢酸」、20ml)中に分散させて撹拌し、分散液を得た。次に、このようにして得られた分散液に対して、撹拌しながら60質量%の硝酸水溶液(0.3ml:濃硝酸)をゆっくりと滴下した。次いで、前記濃硝酸滴下後の前記反応液に対して、窒素をバブリングさせながら還流温度(118℃)で30分間還流を施すことにより加熱撹拌を行った。次に、前記加熱撹拌後の反応液を、室温(25℃)まで冷却した後、エバポレーターを用いて、圧力が130hPaとなるまで一気に減圧した後に、50℃まで加熱しながら圧力が130hPaから5hPaとなるまで30分間費やす、ゆっくりとしたマイルドな条件で3倍に濃縮して濃縮液を得た。次いで、得られた濃縮液を室温(25℃)に冷却した。このように冷却することで前記濃縮液からオレンジ色の粉末を得た。このようにして得られたオレンジ色の粉末に対してH−NMR(CDCl)を行ったところ、得られた粉末(化合物)はPd(OAc)であることが確認された。なお、Pd(OAc)の収量は0.61gであり、収率は94%であった。
(実施例1)
1000mlのガラス製オートクレーブ(耐圧ガラス工業製の商品名「ハイパーグラスターTEM−V型」)の容器に、メタノール(600ml)、CuCl(II)(61.1g、454mmol)、下記一般式(16):
で表わされるノルボルネン化合物(26.0g、108mmol)及び合成例1で得られたPd(OAc)(NO)(240mg、0.36mmol)を仕込んで混合液を得た後、前記容器を密閉して内部の雰囲気を窒素置換した。なお、一般式(16)で表わされるノルボルネン化合物は、国際公開公報2011/099518号の合成例1に開示されている方法と同様の方法を採用して製造した。次に、前記容器内部に一酸化炭素を容器内の圧力が0.9MPaG(CO分圧が0.9MPa)となるようにして導入しながら、20℃、0.9MPaG(CO分圧:0.9MPa)の条件で前記混合液を5時間攪拌して反応液を得た。次いで、前記容器の内部から一酸化炭素を除去した後、前記反応液をエバポレーターで濃縮して反応液中からメタノールを完全に除去することにより反応生成物を得た。その後、前記反応生成物にトルエン(900ml)と5質量%塩酸(900ml)とを加え、80℃の温度条件で1時間激しく攪拌して混合液を得た。次に、前記混合液から水層を廃棄することによりトルエン抽出液を得た後、前記トルエン抽出液を再度80℃の温度条件で5質量%塩酸(450ml)で洗浄した。その後、前記塩酸による洗浄後のトルエン抽出液を、80℃の温度条件で飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(450ml)で2回洗浄した。次いで、このようにして洗浄したトルエン抽出液を、トルエン共沸により脱水乾燥した。次いで、前記脱水乾燥後のトルエン抽出液をエバポレーターを用いて濃縮することにより、トルエンを留去して生成物を得た(収量46.5g、収率89.1%)。
このようにして得られた生成物中に含まれる化合物の構造確認のために、IR、NMR、HPLC、GPC測定を行った。このような測定の結果として、IRスペクトルを図1に示し、H−NMR(CDCl)スペクトルを図2に示し、HPLC測定のスペクトルを図3に示し、GPC測定のスペクトルを図4に示す。図1〜4に示す結果からも明らかなように、実施例1で得られた化合物は下記一般式(28):
で表されるノルボルナンテトラカルボン酸テトラメチルエステル(目的化合物)であることが確認された。また、HPLC測定やGPC測定の結果から、得られた生成物中には前記化合物以外にも数種の副生成物が存在することが確認された。なお、HPLCのスペクトルの面積比から、得られた生成物中、反応中間体(以下、単に「中間物」という。)の含有比率が0.4モル%であり、GPC測定結果から、上記一般式(16)で表わされるノルボルネン化合物中のノルボルネン環が付加重合した重合物と複数のノルボルネン環がケト基で結合した重合物の混合物(以下、単に「重合物」という。)の含有比率が0.7モル%であることが確認された。なお、図3に示すスペクトル中、2.076〜2.797分(min)の位置のピークは目的化合物(6種類の異性体)のピークであり、3.297分(min)の位置のピークは溶媒(トルエン)のピークであり、4.830分(min)の位置のピークは中間物のピークである。また、図4に示すスペクトル中、15.96分の位置のピークは目的化合物のピークであり、16.54分の位置のピークは溶媒(トルエン)のピークである。更に、図4中の15.96分よりも前にあるトレース量のシグナルが重合物のシグナルである。このような結果から、目的物である一般式(28)で表わされるノルボルナンテトラカルボン酸テトラメチルエステルの収率は88%であり、選択率が99%であることが確認された。このようにして得られた結果を表1に示す。
なお、上述のように、実施例1で採用したエステル化合物の製造方法においては、ノルボルネン化合物に対してPd(OAc)(NO)の含有比率は金属換算で1モル%であり、ノルボルネン化合物の含有量(メタノール中の濃度)は43g/Lであり、反応時の圧力は0.9MPaGであり、反応時の温度条件は20℃であり、反応時間は20時間であった。
(比較例1)
合成例1で得られたPd(OAc)(NO)を用いる代わりに合成例2で得られたPd(OAc)を、金属(Pd)の含有モル量が同量となるようにして用いた以外は、実施例1と同様にして化合物(目的化合物:一般式(28)で表わされるノルボルナンテトラカルボン酸テトラメチルエステル)を得た。
(比較例2)
合成例1で得られたPd(OAc)(NO)を用いる代わりにPd(NO(Aldrich社製)を、金属(Pd)の含有モル量が同量となるようにして用いた以外は、実施例1と同様にして化合物(目的化合物:一般式(28)で表わされるノルボルナンテトラカルボン酸テトラメチルエステル)を得た。
(比較例3)
合成例1で得られたPd(OAc)(NO)を用いる代わりにPdCl(Aldrich社製)を、金属(Pd)の含有モル量が同量となるようにして用いた以外は、実施例1と同様にして化合物(目的化合物:一般式(28)で表わされるノルボルナンテトラカルボン酸テトラメチルエステル)を得た。
(比較例4)
合成例1で得られたPd(OAc)(NO)を用いる代わりにパラジウムカーボン(Pd/C:Aldrich社製)を、金属(Pd)の含有モル量が同量となるようにして用いた以外は、実施例1と同様にして化合物(目的化合物:一般式(28)で表わされるノルボルナンテトラカルボン酸テトラメチルエステル)を得た。
比較例1〜4で得られた化合物に対して、実施例1で得られた化合物と同様に、それぞれIR、NMR、HPLC、GPC測定を行った。このような測定の結果として、表1に目的化合物(一般式(28)で表わされるノルボルナンテトラカルボン酸テトラメチルエステル)の収率及び選択率、得られた生成物中の中間物及び重合物の含有比率(単位:モル%)を示す。なお、表1中、前記目的化合物を「目的生成物」と示す。
表1に示す結果等からも明らかなように、Pd(OAc)(NO)をPd触媒として用いた場合(実施例1)においては、中間物や重合物といった副生成物の生成が十分に抑制されており、十分に高度な選択率で目的とするエステル化合物が生成されていることが確認された。また、Pd(OAc)(NO)をPd触媒として用いた場合(実施例1)においては、十分に高い収率で目的とするエステル化合物が得られることが確認された。このような結果から、Pd(OAc)(NO)をPd触媒として用いる本発明のエステル化合物の製造方法(実施例1)によれば、反応を高転化率で且つ高選択的に進行させることが可能であり、目的化合物(一般式(28)で表わされるノルボルナンテトラカルボン酸テトラメチルエステル)の収率を十分に高度なものとすることが可能であることが分かった。これに対して、Pd(OAc)(NO)以外のPd触媒を用いた場合(比較例1〜4)においては、選択率が高くても58%程度であり、副生成物の生成を十分に抑制することができなかった。
このような結果から、酸化的アルコキシカルボニル化反応(エステル化反応)に利用するPd触媒として、Pd(OAc)(NO)を利用することで、十分に高度な選択率で目的とするエステル化合物を効率よく製造できることが確認された。
(実施例2〜5及び比較例5〜6)
先ず、合成例1で得られたPd(OAc)(NO)と、合成例2で得られたPd(OAc)とを、それぞれ表2に示す割合(金属換算によるモル比)で混合して、Pd(OAc)(NO)の含有比率の異なるPd触媒を準備した。
次いで、合成例1で得られたPd(OAc)(NO)を用いる代わりに、表2に示すPd触媒をそれぞれ、金属(Pd)の含有モル量が同量となるようにして用いた以外は、実施例1と同様にして化合物(目的化合物:一般式(28)で表わされるノルボルナンテトラカルボン酸テトラメチルエステル)をそれぞれ得た。
実施例2〜5及び比較例5〜6で得られた生成物中に含まれる化合物に対して、実施例1で得られた化合物と同様に、それぞれIR、NMR、HPLC、GPC測定を行った。このような測定結果として、目的化合物(一般式(28)で表わされるノルボルナンテトラカルボン酸テトラメチルエステル)の収率及び選択率、得られた生成物中の中間物及び重合物の含有比率(モル%)を表3に示す。なお、参考のため、表3中に、実施例1で得られた化合物の測定結果も併せて示す。また、表3中、前記目的化合物を「目的生成物」と示す。
表3に示す結果からも明らかなように、Pd(OAc)(NO)の含有比率が10モル%以上となっているPd触媒を用いた場合(実施例1〜5)においては、中間物や重合物といった副生成物の生成が十分に抑制されて、いずれも90%以上の十分に高度な選択率で目的とするエステル化合物が生成されていることが分かった。また、Pd(OAc)(NO)の含有比率が10モル%以上となっているPd触媒を用いた場合(実施例1〜5)においては、十分に高い収率で目的とするエステル化合物が得られることが確認された。このような結果から、Pd(OAc)(NO)の含有比率が10モル%以上となっている触媒をPd触媒として用いる本発明のエステル化合物の製造方法(実施例1〜5)によれば、反応を高転化率で且つ高選択的に進行させることが可能であり、目的化合物(一般式(28)で表わされるノルボルナンテトラカルボン酸テトラメチルエステル)の収率を十分に高度なものとすることが可能であることが分かった。一方、表1及び表3に示す結果から、Pd(OAc)(NO)の含有比率が10モル%未満となっているPd触媒を用いた場合(比較例1〜6)においてはいずれも、副生成物の生成(特に重合物の生成)を十分に抑制することができず、選択率は高くても67%程度であり、十分に高度な選択率で(例えば90%以上程度の選択率で)目的物を生成することはできないことが分かった。
このような結果から、本発明のエステル化合物の製造方法(実施例1〜5)においては、副生成物の生成を十分に低減することができ、十分に高度な選択率で(例えば90%以上程度の選択率で)目的化合物であるエステル化合物を製造できることが分かった。特に、Pd(OAc)(NO)の含有比率が70モル%以上となるようなPd触媒を用いた場合(実施例1〜3)おいては、中間物の含有比率及び重合物の含有比率をそれぞれ1モル%以下とすることも可能となっており、非常に高度な選択率で目的化合物を製造できることも分かった。
(実施例6)
1000mlのガラス製オートクレーブ(耐圧ガラス工業製ハイパーグラスターTEM−V型)の容器に、メタノール(600ml)、CuCl(II)(83.4g、620mmol)、下記一般式(18):
で表わされる5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(49.5g、300mmol)及び合成例1で調製したPd(OAc)(NO)(333mg、0.5mmol)を仕込んで混合液を得た後、前記容器を密閉して内部の雰囲気を窒素置換した。次に、前記容器内部に一酸化炭素を容器内の圧力が0.9MPaG(CO分圧:0.9MPa)となるようにして導入しながら、20℃、0.9MPaG(CO分圧:0.9MPa)の条件で前記混合液を5時間攪拌して反応液を得た。次いで、前記容器の内部から一酸化炭素を除去した後、前記反応液をエバポレーターで濃縮して反応液中からメタノールを完全に除去することにより反応生成物を得た。その後、前記反応生成物にクロロホルム(900ml)と5質量%塩酸(900ml)とを加え、60℃の温度条件で1時間激しく攪拌して混合液を得た。次に、前記混合液から水層を廃棄することによりクロロホルム抽出液を得た後、前記クロロホルム抽出液を再度60℃の温度条件で5質量%塩酸(450ml)で洗浄した。その後、前記塩酸による洗浄後のクロロホルム抽出液を、60℃の温度条件で飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(450ml)で2回洗浄した。次いで、このようにして洗浄したクロロホルム抽出液を、無水硫酸マグネシウム(50g)により脱水乾燥した。次いで、無水硫酸マグネシウムを濾過し、前記脱水乾燥後のクロロホルム抽出液をエバポレーターを用いて濃縮することにより、クロロホルムを留去して生成物を得た(収量94.2g、収率95.6%)。
このようにして得られた生成物中に含まれる化合物の構造確認のために、IR、NMR、HPLC、GPC測定を行った。このような測定の結果として、IRスペクトルを図5に示し、H−NMR(CDCl)スペクトルを図6に示し、HPLC測定のスペクトルを図7に示し、GPC測定のスペクトルを図8に示す。図5〜8に示す結果からも明らかなように、実施例6で得られた化合物は下記一般式(29):
で表されるノルボルナンテトラカルボン酸テトラメチルエステル(目的化合物)であることが確認された。また、HPLC測定やGPC測定の結果から、得られた生成物中には副生成物が存在することが確認された。なお、HPLCのスペクトルの面積比から、得られた生成物中、反応中間体(以下、単に「中間物」という。)の含有比率は0モル%であり、GPC測定結果から、上記一般式(18)で表わされるノルボルネン化合物中のノルボルネン環が付加重合した重合物の含有比率が0.1モル%であることが確認された。なお、図7中、1.785、1.997分(min)の位置のピークは目的化合物(2種類の異性体)のピークであり、1.361分(min)の位置のピークは溶媒(クロロホルム)のピークである。また、図8中、16.41分の位置のピークは目的化合物のピークであり、16.82分の位置のピークは溶媒(クロロホルム)のピークであり、16.41分よりも前にあるトレース量のシグナルは重合物のシグナルを示す。このような結果から、目的物である一般式(29)で表わされるノルボルナンテトラカルボン酸テトラメチルエステルの収率は95.5%であり、選択率が99%であることが確認された。
このような結果からも明らかなように、Pd(OAc)(NO)をPd触媒として用いた場合(実施例6)においては、中間物や重合物といった副生成物の生成が十分に抑制されて、十分に高度な選択率で目的とするエステル化合物が生成されていることが確認された。また、Pd(OAc)(NO)をPd触媒として用いた場合(実施例6)においては、十分に高い収率で目的とするエステル化合物が得られることが確認された。このような結果から、Pd(OAc)(NO)の含有比率が10モル%以上となっている触媒をPd触媒として用いる本発明のエステル化合物の製造方法(実施例6)によれば、反応を高転化率で且つ高選択的に進行させることが可能であり、目的化合物(一般式(29)で表わされるノルボルナンテトラカルボン酸テトラメチルエステル)の収率を十分に高いものとすることが可能であることが分かった。
(実施例7〜9)
上記一般式(16)で表わされるノルボルネン化合物のモル量に対するパラジウム触媒(合成例1で得られたPd(OAc)(NO))のモル量の割合が、表4に記載の割合(式:[ノルボルネン化合物のモル量に対するパラジウム触媒のモル量の割合(%)]={[Pd(OAc)(NO)]/[上記一般式(16)に示すノルボルネン化合物]}×100を計算して求められる割合)となるように、前記パラジウム触媒の使用量を変更した以外は、実施例1と同様にして化合物(目的化合物:一般式(28)で表わされるノルボルナンテトラカルボン酸テトラメチルエステル)をそれぞれ得た(なお、各実施例においてはPd触媒として、実施例1と同様に、合成例1で得られたPd(OAc)(NO)を用いた。)。
実施例7〜9で得られた生成物中に含まれる化合物に対して、実施例1で得られた化合物と同様に、それぞれIR、NMR、HPLC、GPC測定を行った。このような測定結果として、目的化合物(一般式(28)で表わされるノルボルナンテトラカルボン酸テトラメチルエステル)の収率及び選択率、得られた生成物中の中間物及び重合物の含有比率(モル%)を表4に示す。なお、参考のため、表4中に、実施例1で得られた化合物の測定結果も併せて示す。また、表4中、前記目的化合物を「目的生成物」と示す。
(実施例10)
上記一般式(16)で表わされるノルボルネン化合物の濃度(メタノール中の濃度:g/L)が表5に示す割合となるように、前記一般式(16)で表わされるノルボルネン化合物の使用量を変更した以外は、実施例1と同様にして化合物(目的化合物:一般式(28)で表わされるノルボルナンテトラカルボン酸テトラメチルエステル)を得た(なお、Pd触媒としては実施例1と同様に合成例1で得られたPd(OAc)(NO)を用いた。)。
実施例10で得られた生成物中に含まれる化合物に対して、実施例1で得られた化合物と同様に、IR、NMR、HPLC、GPC測定を行った。このような測定結果として、目的化合物(一般式(28)で表わされるノルボルナンテトラカルボン酸テトラメチルエステル)の収率及び選択率、得られた生成物中の中間物及び重合物の含有比率(モル%)を表5に示す。なお、参考のため、表5中に、実施例1で得られた化合物の測定結果も併せて示す。また、表5中、前記目的化合物を「目的生成物」と示す。
(実施例11)
1000mlのガラス製オートクレーブ(耐圧ガラス工業製の商品名「ハイパーグラスターTEM−V型」)の容器に、メタノール(600ml)、CuCl(II)(61.1g、454mmol)、上記一般式(16)で表わされるノルボルネン化合物(26.0g、108mmol:実施例1で利用したノルボルネン化合物と同様のもの)及び合成例1で得られたPd(OAc)(NO)(240mg、0.36mmol)を仕込んで混合液を得た後、前記容器を密閉して内部の雰囲気を窒素置換した。次に、前記容器内部を減圧して真空とした後、前記容器に一酸化炭素を容器内の圧力が0.03MPaG(CO:0.13MPa:容器内のガスはCOのみ)となるようにして導入しながら、20℃、COの圧力:0.13MPaの条件で前記混合液を5時間攪拌して反応液を得た。次いで、前記容器の内部から一酸化炭素を除去した後、前記反応液をエバポレーターで濃縮して反応液中からメタノールを完全に除去することにより反応生成物を得た。その後、前記反応生成物にトルエン(900ml)と5質量%塩酸(900ml)とを加え、80℃の温度条件で1時間激しく攪拌して混合液を得た。次に、前記混合液から水層を廃棄することによりトルエン抽出液を得た後、前記トルエン抽出液を再度80℃の温度条件で5質量%塩酸(450ml)で洗浄した。その後、前記塩酸による洗浄後のトルエン抽出液を、80℃の温度条件で飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(450ml)で2回洗浄した。次いで、このようにして洗浄したトルエン抽出液を、トルエン共沸により脱水乾燥した。次いで、前記脱水乾燥後のトルエン抽出液をエバポレーターを用いて濃縮することにより、トルエンを留去して生成物を得た。
実施例11で得られた生成物中に含まれる化合物に対して、実施例1で得られた化合物と同様に、IR、NMR、HPLC、GPC測定を行った。このような測定の結果から、実施例11で得られた化合物は上記一般式(28)で表されるノルボルナンテトラカルボン酸テトラメチルエステル(目的化合物:実施例1における目的化合物と同様のもの)であることが確認された。更に、このような測定結果として、目的化合物(上記一般式(28)で表わされるノルボルナンテトラカルボン酸テトラメチルエステル)の収率及び選択率、得られた生成物中の中間物及び重合物の含有比率(モル%)を表6に示す。なお、参考のため、表6中に、実施例1で得られた化合物の測定結果も併せて示す。また、表6中、前記目的化合物を「目的生成物」と示す。
表4〜6に示す結果からも明らかなように、エステル化合物の製造方法において、Pd(OAc)(NO)をPd触媒として用いた場合(実施例7〜11)においてはいずれも、中間物や重合物といった副生成物の生成が十分に抑制されており、十分に高度な選択率で目的とするエステル化合物が生成されていることが確認された。また、表4〜6に示すように、Pd(OAc)(NO)をPd触媒として用いた場合(実施例7〜11)においてはいずれも、十分に高い収率で目的とするエステル化合物が得られることが確認された。このような結果から、Pd(OAc)(NO)をPd触媒として用いる本発明のエステル化合物の製造方法(実施例7〜11)によれば、反応を高転化率で且つ高選択的に進行させることが可能であり、目的化合物(一般式(28)で表わされるノルボルナンテトラカルボン酸テトラメチルエステル)の収率を十分に高度なものとすることが可能であることが分かった。
以上のような結果から、Pd(OAc)(NO)の含有比率が10モル%以上となっている触媒をPd触媒として用いる、本発明のエステル化合物の製造方法(実施例1〜11)においては、構造中にノルボルネン環からなる環状構造を有する化合物を原料化合物として利用して、その化合物中のノルボルネン環の二重結合を形成する炭素に効率よくエステル基を導入(付加)させることが可能となり、十分に高度な選択率で目的とするエステル化合物を生成できることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、副生成物の生成を十分に抑制することができ、十分に高い選択率でエステル化合物を効率よく製造することが可能なエステル化合物の製造方法及びその方法に用いるパラジウム触媒を提供することが可能となる。
したがって、本発明のエステル化合物の製造方法は、十分に高度な選択率でエステル化合物を製造できるため、各種用途(例えばポリイミドのモノマー等)に利用することが可能なエステル化合物を工業的に製造するための方法等として特に有用である。

Claims (4)

  1. パラジウム触媒及び酸化剤を用いて、ノルボルネン環及びノルボルナジエン環のうちの少なくとも1種の環状構造を有する化合物にアルコール及び一酸化炭素を反応させて、前記環状構造中の二重結合を形成する炭素にアルコキシカルボニル基を導入することによりエステル化合物であるカルボン酸エステルを得るエステル化合物の製造方法であって、
    前記パラジウム触媒が、下記一般式(1):
    Pd(CHCOO)(NO) (1)
    で表される亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウムを金属換算で10モル%以上含有するものである、エステル化合物の製造方法。
  2. 前記パラジウム触媒が、前記亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウムを金属換算で30モル%以上含有するものである、請求項1に記載のエステル化合物の製造方法。
  3. ノルボルネン環及びノルボルナジエン環のうちの少なくとも1種の環状構造を有する化合物にアルコール及び一酸化炭素を反応させて、前記環状構造中の二重結合を形成する炭素にアルコキシカルボニル基を導入することによりエステル化合物であるカルボン酸エステルを得るエステル化合物の製造方法に酸化剤とともに用いるパラジウム触媒であって、
    下記一般式(1):
    Pd(CHCOO)(NO) (1)
    で表される亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウムを金属換算で10モル%以上含有する、パラジウム触媒。
  4. 前記パラジウム触媒が、前記亜硝酸リガンドを有する酢酸パラジウムを金属換算で30モル%以上含有する、請求項3に記載のパラジウム触媒。
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