JP2017088708A - ポリアミド樹脂およびポリアミド樹脂の製造方法 - Google Patents

ポリアミド樹脂およびポリアミド樹脂の製造方法 Download PDF

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正義 橋詰
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Abstract

【課題】非可食のバイオマスに含まれる糖類を由来物として用いて生成したとしても、工業的に製造した場合と比較して、ほぼ同等のガラス転移点を示すポリアミド樹脂、および、かかるポリアミド樹脂を製造し得るポリアミド樹脂の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明のポリアミド樹脂は、非可食のバイオマスに含まれる糖類を由来物として、菌体を用いたバイオプロセスにより生成された4−ヒドロキシ安息香酸および4−アミノ安息香酸のうちの少なくとも1種から得られたジカルボン酸と、ジアミンとを重合させることにより生成されたものであり、このポリアミド樹脂のガラス転移点(Tg)は、120℃以上200℃以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、非可食のバイオマスに含まれる糖類を由来物として、菌体を用いたバイオプロセスにより生成された4−ヒドロキシ安息香酸および4−アミノ安息香酸のうちの少なくとも1種を用いたポリアミド樹脂およびポリアミド樹脂の製造方法に関する。
近年、金属製部品の代替や、熱硬化性樹脂の代替用途として、さらなる高耐熱性を備える樹脂に対する要求がますます高まっている。
このように高耐熱性を備える樹脂として、芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位を備えるポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等の高性能樹脂が着目されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
さらに、近年、熱硬化性樹脂の原材料として、非可食のバイオマスを用いることについて、様々な検討がなされている。
特開昭59−155436号公報 特開昭59−53536号公報
ここで、本発明者は、熱硬化性樹脂の原材料として、非可食のバイオマスを用いる具体例として、非可食のバイオマスに含まれる糖類を由来物として、4−ヒドロキシ安息香酸、4−アミノ安息香酸を生成し、これらから得られた芳香族ジカルボン酸を用いて、ポリアミド樹脂を製造することについて検討を行った。
しかしながら、非可食のバイオマスに含まれる糖類を由来物として生成された4−ヒドロキシ安息香酸および/または4−アミノ安息香酸を原材料として製造されたポリアミド樹脂では、工業的に製造された原材料を用いて製造されたポリアミド樹脂と比較して、強度、耐熱性等の物性値において劣っており、特に、ガラス転移点が劣っているのが実状であった。
本発明の目的は、非可食のバイオマスに含まれる糖類を由来物として用いて生成したとしても、工業的に製造した場合と比較して、ほぼ同等のガラス転移点を示すポリアミド樹脂、および、かかるポリアミド樹脂を製造し得るポリアミド樹脂の製造方法を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(9)に記載の本発明により達成される。
(1) 非可食のバイオマスに含まれる糖類を由来物として、菌体を用いたバイオプロセスにより生成された4−ヒドロキシ安息香酸および4−アミノ安息香酸のうちの少なくとも1種から得られたジカルボン酸と、
ジアミンとを重合させることにより生成されたポリアミド樹脂であり、
当該ポリアミド樹脂は、そのガラス転移点(Tg)が120℃以上200℃以下であることを特徴とするポリアミド樹脂。
(2) 曲げ弾性率は、1GPa以上5GPa以下である上記(1)に記載のポリアミド樹脂。
(3) 引張弾性率は、1GPa以上5GPa以下である上記(1)または(2)に記載のポリアミド樹脂。
(4) 前記ジカルボン酸は、下記一般式(1)で表される化合物である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のポリアミド樹脂。
Figure 2017088708
[前記一般式(1)中、Xは、単結合、O、COおよびSOのうちの少なくとも1種を表す。]
(5) 前記ジアミンは、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンおよびオクタメチレンジアミンのうちの少なくとも1種である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のポリアミド樹脂。
(6) 非可食のバイオマスに含まれる糖類を由来物として、菌体を用いたバイオプロセスにより4−ヒドロキシ安息香酸および4−アミノ安息香酸のうちの少なくとも1種を生成する第1の工程と、
前記4−ヒドロキシ安息香酸および前記4−アミノ安息香酸のうちの少なくとも1種を用いてジカルボン酸を生成する第2の工程と、
前記ジカルボン酸とジアミンとを重合させることによりポリアミド樹脂を生成する第3の工程とを有し、
前記第3の工程において、前記ジカルボン酸とジアミンとを150℃以上300℃以下の温度範囲で重合させて低分子量のポリアミド樹脂を生成した後に、前記低分子量のポリアミド樹脂を250℃以上380℃以下の温度範囲で重合させて高分子化させることにより前記ポリアミド樹脂を得ることを特徴とするポリアミド樹脂の製造方法。
(7) 前記低分子量のポリアミド樹脂を生成する際の雰囲気の圧力は、0.1MPa以上10.0MPa以下であり、前記低分子量のポリアミド樹脂を高分子化させる際の雰囲気の圧力は、0.1hPa以上10.0hPa以下である上記(6)に記載のポリアミド樹脂の製造方法。
(8) 前記第3の工程において、前記ポリアミド樹脂のηinh(対数粘度)が1.2超となるまで高分子化させる上記(6)または(7)に記載のポリアミド樹脂の製造方法。
(9) 前記第2の工程に先立って、前記4−ヒドロキシ安息香酸および前記4−アミノ安息香酸のうちの少なくとも1種を精製する工程を有する上記(6)ないし(8)のいずれかに記載のポリアミド樹脂の製造方法。
本発明のポリアミド樹脂の製造方法によれば、非可食のバイオマスに含まれる糖類を由来物として、菌体を用いたバイオプロセスにより生成された4−ヒドロキシ安息香酸および4−アミノ安息香酸のうちの少なくとも1種から得られたジカルボン酸を用いてポリアミド樹脂を生成したとしても、このポリアミド樹脂を、工業的に製造した場合と比較して、ほぼ同等の物性値(特に、ガラス転移点)を示すものを製造することができる。
そのため、本発明のポリアミド樹脂の製造方法により製造されたポリアミド樹脂(本発明のポリアミド樹脂)を、工業的に製造されたポリアミド樹脂と同様に、強度、耐熱性等の物性値(特に、ガラス転移点)に優れたものとして用いることができる。
以下、本発明のポリアミド樹脂およびポリアミド樹脂の製造方法について、好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<ポリアミド樹脂>
本発明のポリアミド樹脂は、非可食のバイオマスに含まれる糖類を由来物として、菌体を用いたバイオプロセスにより生成された4−ヒドロキシ安息香酸および4−アミノ安息香酸のうちの少なくとも1種から得られたジカルボン酸と、ジアミンとを重合させることにより生成されたものであり、このポリアミド樹脂は、そのガラス転移点(Tg)が120℃以上200℃以下である。
このように、本発明では、非可食のバイオマスに含まれる糖類を由来物として、菌体を用いたバイオプロセスにより生成された4−ヒドロキシ安息香酸および4−アミノ安息香酸のうちの少なくとも1種から得られたジカルボン酸を用いてポリアミド樹脂が生成されるが、後述する本発明のポリアミド樹脂の製造方法を適用して製造することで、このポリアミド樹脂のガラス転移点(Tg)を120℃以上200℃以下のものとすることができ、工業的に製造されたポリアミド樹脂と同等のガラス転移点(Tg)を有していると言うことができる。
なお、ポリアミド樹脂(本発明のポリアミド樹脂)のガラス転移点(Tg)は、120℃以上200℃以下であればよいが、130℃以上190℃以下であることが好ましく、140℃以上180℃以下であることがより好ましい。
また、ポリアミド樹脂の曲げ弾性率は、1GPa以上5GPa以下であることが好ましく、2GPa以上4GPa以下であることがより好ましい。
さらに、ポリアミド樹脂の引張弾性率は、1GPa以上5GPa以下であることが好ましく、2GPa以上4GPa以下であることがより好ましい。
かかる範囲内の物性地(ガラス転移点(Tg)、曲げ弾性率および引張弾性率を有することで、工業的に製造されたポリアミド樹脂と同等の物性値を確実に有していると言うことができる。
このようなポリアミド樹脂は、前述の通り、非可食のバイオマスに含まれる糖類を由来物として、菌体を用いたバイオプロセスにより生成された4−ヒドロキシ安息香酸および4−アミノ安息香酸のうちの少なくとも1種から得られたジカルボン酸と、ジアミンとを重合させることにより生成されるものである。
以下、前記ジカルボン酸およびジアミンについて、順次、説明する。
(ジカルボン酸)
ジカルボン酸は、本発明では、4−ヒドロキシ安息香酸および4−アミノ安息香酸のうちの少なくとも1種を用いて製造されたものである。
そして、これら4−ヒドロキシ安息香酸および4−アミノ安息香酸のうちの少なくとも1種は、非可食のバイオマス由来の糖類を、4−ヒドロキシ安息香酸および4−アミノ安息香酸のうちの少なくとも1種の産生能を有する菌体(形質転換細胞)で処理することにより得られる。
すなわち、バイオマス由来の糖類(例えば、グルコース)を、遺伝子が組み換えられた菌体(遺伝子組み換え体(遺伝子組み換え微生物))を用いて分解し、その後、酵素反応を経ることで、4−ヒドロキシ安息香酸および4−アミノ安息香酸のうちの少なくとも1種が生成(製造)される。なお、これらの詳細な生成方法は、非特許文献Biotechnology and Bioengineering,vol76、issue4、p376−390(2001)またはThe Journal of Biological Chemistry,vol.264、No15、p8597−8601(1989)に記載される。
なお、ジカルボン酸は、4−ヒドロキシ安息香酸および4−アミノ安息香酸のうちの少なくとも1種から得られるものの他、4−ヒドロキシ安息香酸および4−アミノ安息香酸のうちの少なくとも1種の誘導体を用いることにより得られたものであってもよい。これらの誘導体としては、例えば、4−ヒドロキシ安息香酸および4−アミノ安息香酸のうちの少なくとも1種をエステル化したものが挙げられる。
また、このような4−ヒドロキシ安息香酸および4−アミノ安息香酸のうちの少なくとも1種を用いて生成し得るジカルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、下記一般式(1)で表される化合物が好ましく用いられる。
Figure 2017088708
[前記一般式(1)中、Xは、単結合、O、COおよびSOのうちの少なくとも1種を表す。]
また、ジカルボン酸は、上述したものの他、さらに他のジカルボン酸が含まれていてもよく、このような他のジカルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸のような芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、ジカルボキシルペンタン、ジカルボキシルヘキサン、ジカルボキシルヘプタン、ジカルボキシルオクタン、ジカルボキシルノナン、ジカルボキシルデカン、ジカルボキシルウンデカン、ジカルボキシルドデカンのような直鎖アルキルジカルボン酸等が挙げられる。
(ジアミン)
ジアミンは、前述したジカルボン酸と重合させることで、ポリアミド樹脂を得るために用いられる化合物である。
このジアミンとしては、特に限定されないが、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミンのような脂肪族ジアミン、フェニレンジアミン、ベンジジンのような芳香族ジアミン等が挙げられるが、中でも、脂肪族ジアミン、特に炭素数が2〜9の脂肪族ジアミンが好ましく用いられる。これにより、得られるポリアミド樹脂に柔軟性を付与することができ、優れたハンドリング性を付与することができる。また、これらの中でも、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンおよびオクタメチレンジアミンのうちの少なくとも1種が、入手が容易である点から、さらに好ましく用いられる。
以上のようなポリアミド樹脂は、さらに、ガラス、シリカ、アルミナ、マイカ、カオリン、クレー、酸化亜鉛、タルクのような無機充填材、木粉、樹脂粉のような有機充填材等が添加された、複合材料であってもよい。なお、これらの充填材は、球状、粉状、針状、繊維状、鱗辺状、平板状、クロス状などの形状または不定形状で用いることができる。
また、このポリアミド樹脂には、滑材、酸化防止剤、離型剤、高温安定剤、カップリング剤等が添加されていてもよい。
さらに、このポリアミド樹脂は、その他の樹脂材料と混合して用いることもできる。他の樹脂材料としては、例えば、ポリフェニレンスルフィド樹脂、半芳香族ポリアミド樹脂、脂肪族ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、液晶ポリマーおよび変性ポリフェニレンエーテル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、このポリアミド樹脂は、ガラス繊維材料と複合化されたガラス繊維複合材料として用いることもできる。このようなガラス繊維複合材料は、例えば、二軸押出法を用いて、ポリアミド樹脂100重量部に対して、ガラス繊維(GF)を30重量部以上50重量部以下添加することにより得ることができる。
以上のようなポリアミド樹脂は、本発明のポリアミド樹脂の製造方法を適用して、以下のようにして製造することができる。
<ポリアミド樹脂の製造方法>
以下に示すポリアミド樹脂の製造方法では、[1]非可食のバイオマスに含まれる糖類を由来物として、菌体を用いたバイオプロセスにより4−ヒドロキシ安息香酸および4−アミノ安息香酸のうちの少なくとも1種を生成する工程と、[2]4−ヒドロキシ安息香酸および4−アミノ安息香酸のうちの少なくとも1種を用いてジカルボン酸を生成する工程と、[3]ジカルボン酸とジアミンとを重合させることによりポリアミド樹脂を生成する工程とを有している。
以下、これらの工程について説明する。
[1]まず、非可食のバイオマスに含まれる糖類を由来物として、4−ヒドロキシ安息香酸および4−アミノ安息香酸のうちの少なくとも1種の産生能を有する菌体を用いたバイオプロセスにより、4−ヒドロキシ安息香酸および4−アミノ安息香酸のうちの少なくとも1種を生成する(第1の工程)。
すなわち、バイオマス由来の糖類(例えば、グルコース)を、遺伝子が組み換えられた菌体(遺伝子組み換え体(遺伝子組み換え微生物))を用いて分解し、その後、酵素反応を経ることで、4−ヒドロキシ安息香酸および4−アミノ安息香酸のうちの少なくとも1種を生成(製造)することができる。
なお、これらの詳細な生成方法は、前述の通り、非特許文献Biotechnology and Bioengineering,vol76、issue4、p376−390(2001)またはThe Journal of Biological Chemistry,vol.264、No15、p8597−8601(1989)に記載される。
[2]次に、4−ヒドロキシ安息香酸および4−アミノ安息香酸のうちの少なくとも1種を用いてジカルボン酸を生成する(第2の工程)。
このジカルボン酸の生成は、例えば、ビフェニルタイプのジカルボン酸を得る場合、例えば、4−アミノ安息香酸をハロゲン化した、4−ハロゲン化安息香酸を生成した後、この4−ハロゲン化安息香酸をカップリングすることにより得ることができる。
また、ジフェニルエーテルタイプのジカルボン酸を得る場合、例えば、4−アミノ安息香酸をハロゲン化した、4−ハロゲン化安息香酸を生成した後、この4−ハロゲン化安息香酸と4−ヒドロキシ安息香酸とをカップリングすることにより得ることができる。
なお、4−ヒドロキシ安息香酸および4−アミノ安息香酸を、カルボキシル基がエステル化された誘導体として、前記ジカルボン酸の生成に、この誘導体を用いることもできる。このエステル化により、前記カップリングする際に、カルボキシル基が反応するのを保護することができるため、ジカルボン酸の収率の向上が図られる。
また、本工程[2]に先立って、4−ヒドロキシ安息香酸および前記4−アミノ安息香酸のうちの少なくとも1種を精製する精製工程を施すことが好ましい。これにより、本工程[2]において得られるジカルボン酸の生成率の向上が図られる。
[3]次に、ジカルボン酸とジアミンとを重合させることによりポリアミド樹脂を生成する(第3の工程)。
本発明では、このジカルボン酸とジアミンとの重合を、ジカルボン酸とジアミンとを第1の温度で加熱することで重合させて低分子量のポリアミド樹脂を生成させた後に、さらに、低分子量のポリアミド樹脂を第2の温度で加熱することで高分子化させる2段階加熱法によりポリアミド樹脂を得る。
このような、方法により低分子量のポリアミド樹脂を高分子化させる構成とすることで、非可食のバイオマスに含まれる糖類を由来物として、菌体を用いたバイオプロセスにより生成された4−ヒドロキシ安息香酸および4−アミノ安息香酸のうちの少なくとも1種から得られたジカルボン酸を用いてポリアミド樹脂を生成したとしても、このポリアミド樹脂を、工業的に製造した場合と比較して、ほぼ同等の物性値(特に、ガラス転移点)を示すものとして製造することができる。
以下、これらの工程について、詳述する。
[3−1]まず、ジカルボン酸とジアミンとを重合させることで、低分子量のポリアミド樹脂(ポリアミド前駆体)を生成させる。
低分子量のポリアミド樹脂(ポリアミド前駆体)の生成には、公知の方法を用いることができる。
具体的には、例えば、熱重縮合法では、原料のジカルボン酸と、ジアミンと、水とをオートクレーブに仕込み、不活性ガスで反応装置を置換し、その後、150℃以上300℃以下程度の温度範囲の第1の温度で、加圧下で加熱することにより、重合させた後、必要に応じ減圧して未反応物および水分を除去することで、低分子量のポリアミド樹脂を得ることができる。
なお、この反応において、原料のジカルボン酸と、ジアミンは、それぞれ単体で仕込んでも良く、予め水溶液等で反応させて得られる、ナイロン塩として仕込んでも良い。
また、熱重縮合により、低分子量のポリアミド樹脂を得る場合、その反応性を向上させるために、添加剤を添加するようにしてもよい。
このような添加剤としては、特に限定されないが、リン化合物が好ましく用いられる。リン化合物としては、リン酸、その塩、ないしはエステル、亜リン酸、その塩、ないしはエステル、次亜リン酸、その塩、ないしはエステルが挙げられる。これら添加剤の添加量としては、ジカルボン酸およびジアミンの合計重量100重量部に対し、0.01重量部以上1重量部以下程度であることが好ましい。
さらに、熱重縮合法の他、溶液重合法では、ジカルボン酸に塩化チオニル等を反応させて酸クロライドに変換した後、溶媒中でジアミンと反応させることで、低分子量のポリアミド樹脂を得ることができる。また、他の溶液重合法としては、ジカルボン酸と、ジアミンと、縮合剤を、溶媒中で反応させることで、低分子量のポリアミド樹脂を得ることもできる。このような縮合剤としては、トリアジン化合物、有機リン化合物等、公知のものを用いることができる。
なお、ジカルボン酸とジアミンとを第1の温度で加熱して重合させる際の温度範囲は、上記の通り150℃以上300℃以下程度であることが好ましいが、より好ましくは180℃以上250℃以下程度に設定される。
また、ジカルボン酸とジアミンとを第1の温度で加熱して重合させる際の雰囲気の圧力は、0.1MPa以上10.0MPa以下程度であることが好ましく、0.5MPa以上8.0MPa以下程度であることがより好ましい。
さらに、ジカルボン酸とジアミンとを第1の温度で加熱して重合させる時間範囲は、1時間以上12時間以下程度であることが好ましく、2時間以上6時間以下程度であることがより好ましい。これにより、下記に示すような重量平均分子量を有する低分子量のポリアミド樹脂を確実に生成することができる。
以上のようにして得られる低分子量のポリアミド樹脂(ポリアミド前駆体)の重量平均分子量は、5000以上20000以下であることが好ましく、8000以上15000以下であることがより好ましい。
また、低分子量のポリアミド樹脂(ポリアミド前駆体)のηinh(対数粘度)は、0.1以上0.7以下であることが好ましく、0.2以上0.5以下であることがより好ましい。
低分子量のポリアミド樹脂の重量平均分子量およびηinh(対数粘度)を前記範囲内に設定することにより、次工程[3−2]において、ポリアミド樹脂のηinh(対数粘度)が1.2超となるまで第2の温度で加熱することにより、比較的容易に高分子化させることができる。
なお、低分子量のポリアミド樹脂を生成する際に使用するジカルボン酸(A)の物質量と、その他併用されるジカルボン酸類の物質量との総量1モルに対し、ジアミン(B)の物質量は、1モルに近い比率で用いるのが好ましく、具体的には、反応中において有効なジアミンの活量を考慮して、ジアミンを0.95〜1.2モル用いるのが好ましい。
[3−2]次いで、低分子量のポリアミド樹脂を第2の温度で加熱することで高分子化させることによりポリアミド樹脂を得る。
この高分子化では、窒素ガス、アルゴンガスのような不活性ガス雰囲気下において、反応容器内に収納された低分子量のポリアミド樹脂を、加熱する。その後、雰囲気を減圧した減圧下において、低分子量のポリアミド樹脂をさらに高分子化させることによりポリアミド樹脂が得られる。
これにより、非可食のバイオマスに含まれる糖類を由来物として、菌体を用いたバイオプロセスにより生成された4−ヒドロキシ安息香酸および4−アミノ安息香酸のうちの少なくとも1種から得られたジカルボン酸を用いてポリアミド樹脂を生成したとしても、このポリアミド樹脂を、工業的に製造した場合と比較して、ほぼ同等の物性値を示すもの、特に、ガラス転移点が120℃以上200℃以下を示すものとして製造することができる。
また、本工程[3−2]では、ポリアミド樹脂のηinh(対数粘度)が好ましくは1.2超、より好ましくは1.3以上2.0以下となるまで第2の温度で加熱することにより高分子化させる。これにより、非可食のバイオマスに含まれる糖類を由来物として、菌体を用いたバイオプロセスにより生成された4−ヒドロキシ安息香酸および4−アミノ安息香酸のうちの少なくとも1種から得られたジカルボン酸を用いてポリアミド樹脂を生成したとしても、このポリアミド樹脂を、工業的に製造した場合と比較して、ほぼ同等の物性値を示すものとして確実に製造することができる。
低分子量のポリアミド樹脂を第2の温度で加熱する際の雰囲気の温度は、250℃以上380℃以下であることが好ましく、260℃以上350℃以下であることがより好ましい。
また、低分子量のポリアミド樹脂を第2の温度で加熱する時間は、1時間以上10時間以下であることが好ましく、2時間以上5時間以下であることがより好ましい。
さらに、低分子量のポリアミド樹脂を第2の温度で加熱する際の雰囲気の圧力は、0.1hPa以上10.0hPa以下であることが好ましく、0.8hPa以上3.0hPa以下であることがより好ましい。
低分子量のポリアミド樹脂を第2の温度で加熱する際の条件を上記のように設定することにより、非可食のバイオマスに含まれる糖類を由来物として、菌体を用いたバイオプロセスにより生成された4−ヒドロキシ安息香酸および4−アミノ安息香酸のうちの少なくとも1種から得られたジカルボン酸を用いてポリアミド樹脂を生成したとしても、このポリアミド樹脂を、工業的に製造した場合と比較して、ほぼ同等の物性値を示すものとしてより確実に製造することができる。
また、高分子化されたポリアミド樹脂の重量平均分子量は40000以上90000以下であることが好ましく、60000以上80000以下であることがより好ましい。
以上のような製造方法を適用してポリアミド樹脂を製造することで、このポリアミド樹脂のガラス転移点(Tg)を120℃以上200℃以下のものとすることができ、工業的に製造されたポリアミド樹脂と同等のガラス転移点(Tg)を有しているポリアミド樹脂が製造されていると言うことができる。
なお、得られたポリアミド樹脂は、熱可塑性を有する。そのため、成形装置を用いることで、所望の形状に成形して用いることができる。このような成形機としては、例えば、圧縮成形機、射出成形機、押し出し成形機等が挙げられる。
以上、本発明のポリアミド樹脂およびポリアミド樹脂の製造方法を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本発明のポリアミド樹脂の製造方法では、任意の目的で、1以上の工程を追加することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。
1.バイオマスを用いた4−ヒドロキシ安息香酸および4−アミノ安息香酸の合成
[4−ヒドロキシ安息香酸]
4−ヒドロキシ安息香酸生産能を付与した菌体(Biotechnology and Bioengineering,vol76、issue4、p376−390(2001)記載の方法により準備)を、グルコースを含有する培地に添加し、30℃で72時間培養することにより、4−ヒドロキシ安息香酸を含有する水溶液を得た。得られた水溶液に塩酸を添加し、水溶液を酸性にし、析出した4−ヒドロキシ安息香酸を減圧ろ過で回収した。
[4−アミノ安息香酸]
4−アミノ安息香酸生産能を付与した菌体(THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY, vol264、No15、p8597−8601(1989)に記載の方法により準備)を、グルコースを含有する培地に添加し、30℃で72時間培養することにより、4−ヒドロキシ安息香酸を含有する水溶液を得た。得られた水溶液に塩酸を添加し、析出した4−アミノ安息香酸を減圧濾過で回収した。
なお、4−ヒドロキシ安息香酸と4−アミノ安息香酸は下記手順に従い、メチルエステル化して使用した。すなわち、4−ヒドロキシ安息香酸14g、メタノール50mLを100mLナス型フラスコに混合し、濃硫酸1mLを添加し、8時間加熱還流撹拌した。反応後、メタノールをエバポレーションし、得られた固体を酢酸エチルに溶解させ、イオン交換水を加え、水層が中性になるまで分液を行った。その後、有機層を分取し、有機層をエバポレーションすることにより固体を得た。固体を減圧乾燥し、4−ヒドロキシ安息香酸メチルを15.0g(収率99%)で得た。また、4−アミノ安息香酸メチルについては、4−ヒドロキシ安息香酸14gを4−アミノ安息香酸14gに代えて、同様に反応することで4−アミノ安息香酸メチル13.8g(収率90%)を得た。
2.ジカルボン酸の合成
[上記一般式(1)で示される化合物(X=Oの場合)]
まず、撹拌機構、還流機構を有する1L反応装置に、4−アミノ安息香酸メチル200gを入れ、窒素ガスを循環させた。反応系を0℃以下に冷却し、48%臭化水素酸450mLを添加した。三角フラスコに亜硝酸ナトリウム95.9gと水165mLを入れ溶解させた後、0℃に冷却した。別の三角フラスコに臭化銅38.0gと48%臭化水素酸25.6mLを入れ溶解させた。反応装置の液温を0〜5℃に保ちながら、1時間程度かけて亜硝酸ナトリウムの水溶液を反応容器内の溶液に滴下して、溶液を撹拌した。その後、臭化銅を含む溶液を滴下した。溶液を室温に昇温し、30分間撹拌した後、溶液を100℃に昇温し2時間加熱撹拌を行った。
反応後の反応溶液に酢酸エチル500mLを添加し、水層を酢酸エチルで抽出して、有機層を回収した。回収した有機層を飽和食塩水100mLで洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去することで粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで処理することにより、ヘキサン/酢酸エチル=97/3の溶出分から4−ブロモ安息香酸メチルを白色固体として106g(収率37.2%)得た。
なお、1H−NMRによる測定では、1H−NMR(500MHz、DMSO−d6) δ3.86(s,3H,CO2Me),7.74(d,2H,J=8.4Hz),7.88(d,2H,J=8.2Hz)であった。
次に、撹拌機構を有する反応装置に70℃で真空乾燥した4−ヒドロキシ安息香酸メチル25gと、炭酸セシウム107g、NMP493mL、4−ブロモ安息香酸メチル42g、塩化銅8.1gを添加し、系中を窒素置換した後、ジピバロイルメタン10mLを加え、窒素ガスを循環させながら130℃で4時間撹拌した。
三角フラスコに酢酸エチル1000mLと1N HCl1000mLを入れ、氷浴につけて0℃に冷却し、反応液を三角フラスコに注ぎ込んだ。水層を酢酸エチルで抽出した。回収した有機層を1N HCl200mL、飽和重曹水200mL、飽和食塩水200mLで洗浄した後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去することで粗生成物を回収した。粗生成物はシリカゲルカラムクロマトグラフィーで処理することにより、ヘキサン/酢酸エチル=92/8の溶出分から上記一般式(1)で示される化合物(X=O)のジメチルエステル体を白色固体として得た。得られた上記一般式(1)で示される化合物(X=O)のジメチルエステル体を1N 水酸化ナトリウム水溶液で処理し、上記一般式(1)で示される化合物(X=O)を32.3g(収率68.6%)得た。
なお、1H−NMRによる測定では、1H−NMR(500MHz,DMSO−d6) δ3.85 (s, 6H, Me)、7.18(d, 4H, J=8.0 Hz, aroma), 8.01 (d, 4H, J=8.8 Hz, aroma)であった。
[上記一般式(1)で示される化合物(X=単結合の場合)]
撹拌機構、還流機構を有する1L反応装置に4−ブロモ安息香酸メチル50g、亜鉛22g、THF600mL、テトラエチルアンモニウムヨージド2.9g、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)ジクロリド7.6g、を加え、反応容器内を窒素置換した。窒素ガスを循環させながら80℃で4時間撹拌した。
三角フラスコにクロロホルム500mLと1N HCl500mLを入れ、0℃に冷却した。反応液を三角フラスコに注ぎ込み、水層をクロロホルムで抽出した。回収した有機層を1N HCl100mL、飽和重曹水100mL、飽和食塩水100mLで洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を留去することで粗生成物を得た。
粗生成物にTHF70mL、1N NaOH水溶液180mLを加え、80℃で2時間撹拌した。
反応後の溶液に6N HClを滴下し弱酸性まで中和し、1N HClを滴下しpH=1にした。エバポレーターによりTHFを除いた。析出した固体を減圧濾過にて回収し、水で洗浄し、乾燥することで上記一般式(1)で示される化合物(X=単結合)を白色固体として25.5g(収率90.5%)得た。
なお、1H−NMRによる測定では、1H−NMR(500MHz,DMSO−d6) δ3.25(s,6H,CO2Me),7.86(d,4H,J=8.2 Hz),8.05(d,4H,J=8.2 Hz),12.96(br−s,1H)であった。
3.ポリアミド樹脂の合成
[実施例1A]
2000mL反応容器に上記一般式(1)で示される化合物(X=O)217g、ヘキサメチレンジアミン99g、水530gを入れ、100℃に昇温し、固体を溶解させ、そのまま1時間加熱撹拌した。撹拌後、溶液を冷却させ、析出した固体を減圧濾過にて回収し、ポリアミド前駆体310gを得た。
次に、撹拌機能を有する300mLオートクレーブに前記ポリアミド前駆体91g、水23g、次亜リン酸ナトリウム0.09gを投入し、反応容器内に窒素ガスを100mL/minで導入し、系中を窒素置換した。その後、反応容器を密閉し系中を230℃に昇温した後、230℃で3時間加圧反応を行った。所定時間経過後、内圧を開放し、230℃で1時間かけて系中の水を除去した。その結果、低分子量ポリアミド樹脂85gが得られた。この低分子量ポリアミド樹脂の対数粘度は0.3であった。
次に、300mL反応容器に低分子量ポリアミド樹脂85gを入れ、窒素ガスを100mL/minで導入し、窒素ガスを流通しながら反応容器を320℃に昇温した。320℃に昇温後、系中を1.33hPaまで減圧し、減圧下で3時間重合を行った。
反応終了後、容器内圧を常圧に戻し、樹脂を回収した結果、ポリアミド樹脂82gが得られた。得られたポリアミド樹脂の対数粘度は1.5であった。
[実施例2A]
実施例1Aに記載の上記一般式(1)で示される化合物(X=O)を、上記一般式(1)で示される化合物(X=単結合)204gに変更した以外は、前記実施例1Aと同様の操作によりポリアミド樹脂80gを得た。
なお、低分子量ポリアミド樹脂の対数粘度は0.3であり、(高分子量)ポリアミド樹脂の対数粘度は1.5であった。
[実施例2B]
実施例1Aに記載のヘキサメチレンジアミンを、テトラメチレンジアミン75gに変更した以外は、実施例1Aと同様の操作により、ポリアミド樹脂80gを得た。
なお、低分子量ポリアミド樹脂の対数粘度は0.4であり、(高分子量)ポリアミド樹脂の対数粘度は1.3であった。
[比較例1A]
実施例1Aに記載の上記一般式(1)で示される化合物(X=O)を試薬品(東京化成工業製)に変更したこと以外は実施例1Aに同じ。その結果、ポリアミド樹脂80gを得た。
なお、低分子量ポリアミド樹脂の対数粘度は0.4であり、(高分子量)ポリアミド樹脂の対数粘度は1.4であった。
[比較例2A]
実施例2Aに記載の上記一般式(1)で示される化合物(X=単結合)を試薬品(東京化成工業製)に変更した以外は、実施例2Aに同じ。その結果、ポリアミド樹脂80gを得た。
なお、低分子量ポリアミド樹脂の対数粘度は0.3であり、(高分子量)ポリアミド樹脂の対数粘度は1.3であった。
[比較例2B]
実施例1Aに記載の式(1)で示される化合物(X=O)を試薬品に変更したこと以外は実施例2Bに同じ。これによって、ポリアミド樹脂80gを得た。
なお、低分子量ポリアミド樹脂の対数粘度は0.4であり、(高分子量)ポリアミド樹脂の対数粘度は1.3であった。
4.評価
各実施例および各比較例のポリアミド樹脂を、以下の方法で評価した。
[ガラス転移点(Tg)]
各実施例および各比較例のポリアミド樹脂のガラス転移点(Tg)を、示差走査熱量計(TAインスツルメント社製、「MDSC Q−1000」)を用いて測定した。
[引張弾性率]
各実施例および各比較例のポリアミド樹脂の引張弾性率は、以下のように算出した。
サーモサイエンティフィック性小型射出成型機(Mini−JET)を用いて、シリンダー温度350℃、金型温度100℃、射出圧力80MPaで平行部分幅5mm、長さ20mm、初期の標線間距離(つかみ具間距離)45mmのダンベル状試験片を用意し、ダンベル状試験片について、それぞれ、初期の厚さを測定した後、オートグラフ精密万能試験機(島津製作所社製、オートグラフ AG−X)を用いて、試験片を5mm/分の速度で引っ張り、伸びが0.5%から1%の間の傾きから引張弾性率を算出した。
なお、ここでは、
(伸び)=(つかみ具間移動距離)/(つかみ具間初期距離)×100 とした。
[曲げ弾性率]
各実施例および各比較例のポリアミド樹脂の曲げ弾性率は、以下のように算出した。
すなわち、各実施例および各比較例のポリアミド樹脂について、それぞれ、サーモサイエンティフィック性小型射出成型機(Mini−JET)を用いて、シリンダー温度350℃、金型温度100℃、射出圧力80MPaで厚み4mm、幅10mm、長さ75mmの万能試験片を作成した。そして、それぞれ、初期の厚み、幅を測定した後、オートグラフ精密万能試験機(島津製作所社製、オートグラフ AG−X)を用いて、試験片を2mm/分の速度で圧縮し(支点間距離64mm)、曲げ応力が40MPaから60MPaの間の傾きから曲げ弾性率を算出した。
以上のようにして得られた各実施例および各比較例のポリアミド樹脂における各評価結果を、それぞれ、下記の表1に示す。
Figure 2017088708
表1に示すように、実施例1A、2A、2Bでは、それぞれ、非可食のバイオマスに含まれる糖類を由来物として、菌体を用いたバイオプロセスにより生成された4−ヒドロキシ安息香酸および4−アミノ安息香酸のうちの少なくとも1種から得られたジカルボン酸を用いてポリアミド樹脂を生成したが、このような生成方法としても、これらに対応する、工業的に製造されたジカルボン酸類を用いて生成されたポリアミド樹脂である比較例1A、2A、2Bとほぼ同等の物性値(ガラス転移点、曲げ弾性率および引張弾性率)を示す結果が得られた。

Claims (9)

  1. 非可食のバイオマスに含まれる糖類を由来物として、菌体を用いたバイオプロセスにより生成された4−ヒドロキシ安息香酸および4−アミノ安息香酸のうちの少なくとも1種から得られたジカルボン酸と、
    ジアミンとを重合させることにより生成されたポリアミド樹脂であり、
    当該ポリアミド樹脂は、そのガラス転移点(Tg)が120℃以上200℃以下であることを特徴とするポリアミド樹脂。
  2. 曲げ弾性率は、1GPa以上5GPa以下である請求項1に記載のポリアミド樹脂。
  3. 引張弾性率は、1GPa以上5GPa以下である請求項1または2に記載のポリアミド樹脂。
  4. 前記ジカルボン酸は、下記一般式(1)で表される化合物である請求項1ないし3のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂。
    Figure 2017088708
    [前記一般式(1)中、Xは、単結合、O、COおよびSOのうちの少なくとも1種を表す。]
  5. 前記ジアミンは、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンおよびオクタメチレンジアミンのうちの少なくとも1種である請求項1ないし4のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂。
  6. 非可食のバイオマスに含まれる糖類を由来物として、菌体を用いたバイオプロセスにより4−ヒドロキシ安息香酸および4−アミノ安息香酸のうちの少なくとも1種を生成する第1の工程と、
    前記4−ヒドロキシ安息香酸および前記4−アミノ安息香酸のうちの少なくとも1種を用いてジカルボン酸を生成する第2の工程と、
    前記ジカルボン酸とジアミンとを重合させることによりポリアミド樹脂を生成する第3の工程とを有し、
    前記第3の工程において、前記ジカルボン酸とジアミンとを150℃以上300℃以下の温度範囲で重合させて低分子量のポリアミド樹脂を生成した後に、前記低分子量のポリアミド樹脂を250℃以上380℃以下の温度範囲で重合させて高分子化させることにより前記ポリアミド樹脂を得ることを特徴とするポリアミド樹脂の製造方法。
  7. 前記低分子量のポリアミド樹脂を生成する際の雰囲気の圧力は、0.1MPa以上10.0MPa以下であり、前記低分子量のポリアミド樹脂を高分子化させる際の雰囲気の圧力は、0.1hPa以上10.0hPa以下である請求項6に記載のポリアミド樹脂の製造方法。
  8. 前記第3の工程において、前記ポリアミド樹脂のηinh(対数粘度)が1.2超となるまで高分子化させる請求項6または7に記載のポリアミド樹脂の製造方法。
  9. 前記第2の工程に先立って、前記4−ヒドロキシ安息香酸および前記4−アミノ安息香酸のうちの少なくとも1種を精製する工程を有する請求項6ないし8のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂の製造方法。
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