JP6395549B2 - オイルセパレータ、冷凍サイクル装置、及び、オイル戻し量の制御方法 - Google Patents

オイルセパレータ、冷凍サイクル装置、及び、オイル戻し量の制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、冷媒に含まれるオイルを分離するオイルセパレータ、オイルセパレータを備える冷凍サイクル装置、及び、オイル戻し量の制御方法に関する。
一般に、冷媒を圧縮する圧縮機、凝縮器(熱源側熱交換器)、膨張弁(減圧装置)及び蒸発器(負荷側熱交換器)を配管接続した冷媒回路を有する冷凍サイクル装置が知られている。この冷凍サイクル装置の圧縮機は、ケース内に圧縮要素とオイルを収容し、このオイルを圧縮要素の軸受部や摺動部に供給して潤滑している。このオイルの一部は、冷媒ガスと共に冷媒回路に吐出されるため、圧縮機の吐出側に冷媒ガスからオイルを分離するオイルセパレータが設けられる。分離されたオイルは、オイルセパレータからキャピラリ管(絞り)を有するオイル戻し管を通じて圧縮機のケース内に戻される。
この種のオイルセパレータでは、従来、キャピラリ管(オイル戻しキャピラリ)の出口に電気ヒータを設け、キャピラリ管の出口温度が所定範囲内に収まるように電気ヒータを制御する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、キャピラリ管を通過するオイルの温度低下に起因するコンタミの発生を抑え、流量低下や詰まりを防止している。
特開平11−201565号公報
ところで、キャピラリ管の長さや管径は、オイルセパレータからオイルだけが戻るように設計されている。しかし、キャピラリ管を流れるオイル流量は、オイルの粘度(温度)とキャピラリ管の出入口の圧力差とに依存するため、単純にコンタミの発生を抑えた温度管理をしてもオイル流量(オイル戻し量)を調整することはできない。このため、オイル流量が過少の場合には圧縮機の圧縮要素の潤滑不良の恐れが生じ、オイル流量が過多の場合にはオイルセパレータ内のオイルがなくなり、オイル戻し管を通じて圧縮機に冷媒ガスが戻され、冷凍能力が低下する恐れがある。これらの問題を解消するために、キャピラリ管と直列に流量調整弁を設けることも考えられるが、装置構成が煩雑になる問題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で圧縮機に戻すオイル流量を調整できるオイルセパレータ、冷凍サイクル装置、及び、オイル戻し量の制御方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、圧縮機から吐出される冷媒に含まれるオイルを該冷媒から分離するオイルセパレータであって、圧縮機から吐出された冷媒が流入するハウジングと、ハウジングで分離されたオイルを圧縮機に戻すオイル戻し管と、オイル戻し管に連なり、オイル戻し管よりも配管径を縮小した絞りと、絞りを流れるオイルを加熱する加熱部と、絞りの出入口の圧力差に基づいて、絞りを流れるオイル流量が予め設定された目標オイル流量となるオイル温度に加熱部を制御する加熱制御部とを備えた。
この構成によれば、絞りの出入口の圧力差に基づいて、絞りを流れるオイル流量が予め設定された目標オイル流量となるオイル温度に加熱部を制御する加熱制御部を備えたため、絞りの出入口の圧力差や、絞りの雰囲気温度が変動する環境であっても、簡単な構成で、絞りを流れるオイル流量を目標オイル流量に調整することができる。
この構成において、加熱制御部は、圧縮機の回転数または運転周波数に基づいて目標オイル流量を設定しても良い。この構成によれば、能力可変式の圧縮機においても、適正量のオイルを圧縮機に戻すことができる。
また、加熱制御部は、目標オイル流量に対する絞りの出入口の圧力差とオイル温度との関係を規定したテーブルを記憶する記憶部を備えることとしても良い。この構成によれば、所望のオイル温度を簡単に決定することができ、絞りを流れるオイル流量を目標オイル流量に簡単に調整することができる。
また、加熱部は、電気ヒータであり、加熱制御部は、目標オイル流量となる目標オイル温度と実際のオイル温度との偏差に応じて、電気ヒータの出力を設定しても良い。この構成によれば、オイル温度を目標オイル温度に正確に制御することができ、絞りを流れるオイル流量を目標オイル流量に正確に調整することができる。
また、絞り及び加熱部を収容する断熱材で形成された箱体を備えることとしても良い。この構成によれば、箱体によって絞りの周囲の雰囲気温度の変動が抑えられるため、その分オイル温度の調整を容易に行うことができ、絞りを流れるオイル流量の調整を正確に行うことができる。
また、本発明の冷凍サイクル装置は、上記したオイルセパレータと、冷媒を圧縮する圧縮機と、熱源側熱交換器と、減圧装置と、負荷側熱交換器とを配管接続した冷媒回路を備えることを特徴とする。この構成によれば、絞りの出入口の圧力差に基づいて、絞りを流れるオイル流量が予め設定された目標オイル流量となるオイル温度に加熱部を制御する加熱制御部を備えたため、簡単な構成で、絞りを流れるオイル流量を目標オイル流量に調整できる冷凍サイクル装置を実現できる。
また、本発明は、絞りを有するオイル戻し管を通じて、オイルセパレータから圧縮機へ戻されるオイル量を制御するオイル戻し量の制御方法であって、絞りの出入口の圧力差を検知するステップと、検知した圧力差に基づいて、絞りを流れるオイル流量が予め設定された目標オイル流量となる目標オイル温度を設定するステップと、目標オイル温度と実際のオイル温度との偏差に応じて、絞りを流れるオイルを加熱する加熱部の出力を設定するステップとを備える。この構成によれば、絞りの出入口の圧力差や、絞りの雰囲気温度が変動する環境であっても、簡単かつ正確に、絞りを流れるオイル流量を目標オイル流量に調整することができる。
本発明によれば、絞りの出入口の圧力差に基づいて、絞りを流れるオイル流量が予め設定された目標オイル流量となるオイル温度に加熱部を制御する加熱制御部を備えたため、絞りの出入口の圧力差や、絞りの雰囲気温度が変動する環境であっても、簡単な構成で、絞りを流れるオイル流量を目標オイル流量に調整することができる。
図1は、本実施形態に係る冷凍サイクル装置の回路構成図である。 図2は、本実施形態のオイルセパレータの側断面図である。 図3は、圧縮機から吐出されるオイル流量と圧縮機回転数との関係を示すグラフである。 図4は、オイル粘度とオイル温度との関係を示すグラフである。 図5は、加熱制御部の機能構成を示すブロック図である。 図6は、キャピラリ管を流れるオイル流量を目標オイル流量に調整する動作手順を示すフローチャートである。
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、以下の実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、本実施形態に係る冷凍サイクル装置の回路構成図である。冷凍サイクル装置10は、図1に示すように、冷凍機ユニット11と負荷ユニット12とを備え、これら冷凍機ユニット11と負荷ユニット12とが、液冷媒配管13及びガス冷媒配管14により連結されて冷凍サイクル運転を行う冷媒回路15を構成している。
冷凍機ユニット11は、冷媒を圧縮する圧縮機16を備え、この圧縮機16の吐出側には、冷媒吐出管17を介して、オイルセパレータ18、凝縮器(熱源側熱交換器)19が順次接続されている。凝縮器19の出口側には、この凝縮器19で凝縮(液化)された冷媒が流通する冷凍機側液冷媒配管17Aが接続され、この冷凍機側液冷媒配管17Aは、上記した液冷媒配管13に接続されている。また、圧縮機16の吸込側には、冷媒吸込管21が接続され、この冷媒吸込管21は、アキュムレータ(図示略)を介して、上記したガス冷媒配管14に接続されている。
圧縮機16は、ケース22内に圧縮要素23を備える。この圧縮要素23は、冷媒吸込管21を通じて吸い込まれた低圧のガス冷媒を圧縮し、高温高圧のガス冷媒を冷媒吐出管17に吐出する。冷媒吐出管17には、圧縮機16とオイルセパレータ18との間に、冷媒の吐出圧力(高圧)を検知する吐出圧センサ37が設けられている。圧縮要素23は、電動機部(図示略)によって駆動され、この電動機部の運転周波数を変更することにより、圧縮要素23の回転数を調整可能となっている。また、ケース22内には、圧縮要素23の各部(軸受部や摺動部)を潤滑するためのオイルが収容されると共に、ケース22内のオイル量を検知するオイルセンサ29が設けられている。
オイルセパレータ18は、圧縮機16から吐出された高圧のガス冷媒に含まれるオイルを冷媒から分離して捕捉する。このオイルセパレータ18は、捕捉したオイルを圧縮機16のケース22に戻すオイル戻し管24を備え、このオイル戻し管24は、電磁弁25、キャピラリ管(絞り)26を介して、冷媒吸込管21に接続されている。キャピラリ管26は、オイル戻し管24よりも配管径を縮小した細管で形成され、オイルや冷媒ガスが流通する際に圧力損失を生じることにより減圧する。本実施形態では、電磁弁25は、上記オイルセンサ29の信号に基づいて開閉される。また、冷媒吸込管21には、圧縮機16とオイル戻し管24との間に冷媒の吸込圧力(低圧)を検知する吸込圧センサ38が設けられている。
凝縮器19は、圧縮機16から吐出された高温高圧のガス冷媒と空気との熱交換を行い、該ガス冷媒を冷却して液化(凝縮)させる。凝縮器19は、フィンアンドチューブ式の熱交換器で構成され、凝縮器19の側方には凝縮器19に向けて送風する送風ファン(図示略)が配置されている。
一方、負荷ユニット12は、上記した液冷媒配管13及びガス冷媒配管14を接続する負荷側配管27を備え、この負荷側配管27には、膨張弁(減圧装置)20と蒸発器(負荷側熱交換器)28とが設けられている。負荷ユニット12は、液冷媒配管13を通じて供給された液冷媒を膨張弁20で減圧させると共に、蒸発器28で蒸発させることにより、対象物を冷却するものであり、低温冷凍庫やショーケース等として利用される。膨張弁20は、凝縮された液冷媒を減圧(膨張)させる。蒸発器28は、凝縮器19と同様にフィンアンドチューブ式の熱交換器で構成され、蒸発器28の側方には蒸発器28に向けて送風する送風ファン(図示略)が配置されている。蒸発器28では、送風された空気から熱を奪って液冷媒が蒸発することで空気を冷却する。蒸発器28で蒸発した低温低圧のガス冷媒は、ガス冷媒配管14、アキュムレータ、冷媒吸込管21を通じて、圧縮機16に吸い込まれ、この圧縮機16で再度圧縮される。なお、本実施形態では、負荷ユニット12は、蒸発器28を1つ設けた構成について説明したが、複数の蒸発器28を並列に設けた構成としても良い。この場合、各負荷側配管27における蒸発器28の入口側(液冷媒配管13側)にそれぞれ膨張弁20を設けることが好ましい。また、本実施形態では、膨張弁20を負荷ユニット12内に設けた構成について説明したが、この膨張弁20を負荷ユニット12の近傍や冷凍機ユニット11内に設けても良い。
図2は、オイルセパレータの側断面図である。オイルセパレータ18は、図2に示すように、密閉容器であるハウジング30を備える。ハウジング30は、円筒形状の本体部31と、この本体部31の上端面31Aに接続される上部鏡板32と、本体部31の下端面31Bに接続される下部鏡板33とを備えて一体に形成されている。上部鏡板32及び下部鏡板33は、それぞれ外側に湾曲して形成される。本体部31の上部には第1吐出管34が接続され、上部鏡板32には第2吐出管35が接続されている。これら第1吐出管34及び第2吐出管35は、上記した冷媒吐出管17の一部を構成している。
第1吐出管34は、圧縮機16から吐出された冷媒ガスをハウジング30内に導くための配管である。第1吐出管34は、図示は省略するが本体部31の内壁面31Cの接線方向に接続されている。これにより、第1吐出管34の吐出口34Aからハウジング30内に流入したオイルミストを含んだ冷媒ガスは、ハウジング30内を旋回運動することにより、オイルがハウジング30の本体部31の内壁面31Cに付着して分離される。この分離されたオイル39(図2)は、自重によって下方に流れ落ちてハウジング30の下部に溜まる。
一方、第2吐出管35は、ハウジング30内でオイルが分離された冷媒ガスをハウジング30の外に流出させる配管であり、上部鏡板32を高さ方向(鉛直方向)に貫通して設けられる。この場合、第2吐出管35の軸心は本体部31の軸心に一致していることが好ましい。第2吐出管35の下端となる流入口35Aは、第1吐出管34の吐出口34Aよりも高さ方向の低い位置に形成される。この構成によれば、ハウジング30内を冷媒ガスが旋回運動する距離を確保することができ、オイルを効果的に分離することができる。
また、下部鏡板33には、ハウジング30内で分離されたオイル39を圧縮機16(図1)に戻すためのオイル戻し管24が連結されている。このオイル戻し管24は、高さ方向の下方に延び、図1に示すように、電磁弁25及びキャピラリ管(絞り)26を介して、冷媒吸込管21に接続されている。ハウジング30内は、圧縮機16の吐出圧力と同等の圧力となっているため、電磁弁25を開放することにより、ハウジング30内で分離されたオイル39は、圧縮機16の吐出圧力と吸込圧力との圧力差で圧縮機16のケース22内に戻される。なお、ハウジング30内の高圧のオイル39は、キャピラリ管26を通過する際に減圧されて圧縮機16の吸込圧力と同等の圧力となる。従って、本実施形態では、キャピラリ管26の出入口の圧力差は、圧縮機16の吐出圧力と吸込圧力との圧力差となるため、吐出圧センサ37と吸込圧センサ38の検知結果によって求められる。
ところで、圧縮機16から冷媒と共に吐出されるオイル流量は、図3に示すように、圧縮機16の回転数(運転周波数)が上昇するに伴い増加する傾向にある。このため、オイルセパレータ18から圧縮機16へと戻すオイル流量は、吐出されたオイル流量と同等にすることが好ましい。また、キャピラリ管26を流れるオイル流量は、キャピラリ管26の長さ、管内径、オイルの粘度やキャピラリ管26の出入口の圧力差に依存する。ここで、キャピラリ管26の長さと管内径は固定されるため、キャピラリ管26を流れるオイル流量は、下記の関係式(1)に示すように、オイルの粘度とキャピラリ管26の出入口の圧力差によって決まる。
オイル流量=k(圧力差/オイル粘度) (kは比例定数) (1)
オイル粘度は、図4に示すように、オイル温度が上昇するに伴い低下する傾向にあり、オイル温度によって求めることができる。この図4において、縦軸に示すオイル粘度は、対数(log)スケールで描かれている。本構成では、オイルセパレータ18は、キャピラリ管26を流れるオイル流量を適正に調整するために以下の構成を備える。
オイルセパレータ18は、図1に示すように、圧縮機16から吐出された冷媒が流入するハウジング30と、ハウジング30で分離されたオイルを圧縮機16に戻すオイル戻し管24と、オイル戻し管24に連なり、このオイル戻し管24よりも配管径を縮小したキャピラリ管26とを備える。また、オイルセパレータ18は、キャピラリ管26を囲んで配置される箱体40と、この箱体40内に収容されてキャピラリ管26を流れるオイルを加熱する電気ヒータ(加熱部)41と、キャピラリ管26を流れるオイルの温度を計測するオイル温度センサ42と、キャピラリ管26を流れるオイル流量が予め設定された目標オイル流量となるオイルの温度に電気ヒータ41を制御する加熱制御部50とを備える。箱体40は、断熱性の高い断熱材(例えば発泡樹脂材)で形成され、少なくともキャピラリ管26と電気ヒータ41とオイル温度センサ42とを収容する。また、箱体40に電磁弁25を収容しても良い。
電気ヒータ41は、この電気ヒータ41に電流を流した場合の抵抗によって発熱するものであり、例えばシーズヒータが用いられる。この電気ヒータ41は、キャピラリ管26に接して配置することでキャピラリ管26を通じてオイルを加熱する構成が好ましい。また、オイル温度センサ42は、キャピラリ管26に接して配置することが好ましいが、断熱材で形成された箱体40に収容された構成では、オイル温度センサ42を箱体40内に配置してキャピラリ管26の雰囲気温度を測定する構成としても良い。
続いて、加熱制御部50について説明する。図5は、加熱制御部の機能構成を示すブロック図である。加熱制御部50は、冷凍サイクル装置10の動作を統括的に司る制御部(不図示)の機能の一部として構成しても良く、また、制御部とは独立して構成しても良い。
加熱制御部50は、図5に示すように、回転数検知部51と、目標オイル流量設定部52と、圧力差検知部53と、記憶部54と、ヒータ出力設定部55とを備える。回転数検知部51は、圧縮機16の運転周波数から回転数を求めて目標オイル流量設定部52に出力する。また、回転数検知部51は、運転周波数から回転数を求めるだけでなく、圧縮要素23の回転部にロータリエンコーダ等の回転計を設け、回転数を直接計測する構成としても良い。
目標オイル流量設定部52は、回転数検知部51から出力された圧縮機16の回転数に基づいて、圧縮機16へ戻すオイル流量、すなわち、キャピラリ管26を流れるオイル流量を、目標オイル流量を設定する。この目標オイル流量は、所定の回転数における吐出されたオイル流量(図3)と同等の流量に設定され、ヒータ出力設定部55に出力される。
圧力差検知部53は、キャピラリ管26の出入口の圧力差を検知する。圧力差検知部53には、吐出圧センサ37が検知する圧縮機16の吐出圧力と、吸込圧センサ38が検知する圧縮機16の吸込圧力とが入力され、これら圧縮機16の吐出圧力と吸込圧力との圧力差からキャピラリ管26の出入口の圧力差を求める。圧力差検知部53で検知されたキャピラリ管26の出入口の圧力差は、ヒータ出力設定部55に出力される。
記憶部54は、目標オイル流量に対するキャピラリ管26の出入口の圧力差とオイル温度との関係を規定したテーブル56が格納されている。テーブル56には、例えば、キャピラリ管26の出入口の圧力差を1〜1.5倍、オイル温度を60〜100℃にそれぞれ変更した場合に流れるオイル流量(目標オイル流量)が規定されている。
ヒータ出力設定部55は、記憶部54のテーブル56から、キャピラリ管26の出入口の圧力差に基づき、キャピラリ管26を流れるオイル流量を目標オイル流量とするための目標オイル温度を読み出す。そして、この目標オイル温度と実際のオイル温度との偏差に応じて、電気ヒータ41を目標オイル温度にするための出力を設定する。例えば、キャピラリ管26を流れるオイル流量が目標オイル流量よりも少ない場合には、電気ヒータ41の出力を上げて設定し、キャピラリ管26を流れるオイルの温度を上げ(粘度を下げ)、オイル流量を増加させる。
次に、キャピラリ管26を流れるオイル流量を目標オイル流量に調整する動作について説明する。図6は、キャピラリ管を流れるオイル流量を目標オイル流量に調整する動作手順を示すフローチャートである。この調整動作制御の前提として、キャピラリ管26を流れるオイルの制御温度範囲(図4)は、オイルセパレータ18の出口(オイル戻し管24との接合部)のオイル温度よりも高い60〜100℃とする。また、圧縮機16の回転数は40〜80rpsとする。この場合、圧縮機16から冷媒と共に吐出されるオイル流量は、圧縮機16の回転数の変動に伴い1〜3倍に変化する。また、キャピラリ管26の出入口の圧力差は、圧縮機16の回転数の変動に伴い1〜1.5倍に変化する。オイルの粘度は、オイル温度を0〜100℃で変化させた場合、1〜1/8倍に変化する。本構成では、圧縮機16の回転数の変化と、上記したキャピラリ管26の出入口の圧力差の変化とを合わせて6倍まであれば制御可能である。従って、粘度の変化が8倍のオイルを用いることにより、上記した圧縮機16の運転条件、キャピラリ管26を流れるオイルの制御温度範囲のすべてを網羅することができる。万一、オイルの制御温度範囲がすべて網羅できない場合には、内径あるいは長さの異なる2種類のキャピラリ管を並列に設け、これらを切り換えることで対応可能である。
図6に示すように、加熱制御部50は、回転数検知部51により圧縮機16の運転周波数から回転数を検知する(ステップS1)。この回転数は、目標オイル流量設定部52に出力される。続いて、加熱制御部50は、回転数に基づいて、目標オイル流量設定部52に、キャピラリ管26を流れる目標オイル流量を設定させる(ステップS2)。この目標オイル流量は、ヒータ出力設定部55に出力される。続いて、加熱制御部50は、圧力差検知部53にキャピラリ管26の出入口の圧力差を検知させる(ステップS3)。この圧力差は、ヒータ出力設定部55に出力される。
続いて、加熱制御部50は、ヒータ出力設定部55に電気ヒータ41への出力値を設定させる。具体的には、ヒータ出力設定部55は、記憶部54のテーブル56から、キャピラリ管26の出入口の圧力差に基づき、キャピラリ管26を流れるオイル流量を目標オイル流量とするための目標オイル温度を読み出す(ステップS4)。
次に、ヒータ出力設定部55は、目標オイル温度と実際のオイル温度とを比較し(ステップS5)、目標オイル温度が実際のオイル温度よりも高い場合(ステップS5;Yes)には、目標オイル温度と実際のオイル温度との偏差に応じて、オイル温度を目標オイル温度にするための出力を設定する(ステップS6)。一方、目標オイル温度が実際のオイル温度よりも低い場合(ステップS5;No)には、出力を0に設定する(ステップS7)。本実施形態では、キャピラリ管26を流れるオイルの制御温度範囲を、オイルセパレータ18の出口のオイル温度よりも高い温度としているため、目標オイル温度が実際のオイル温度よりも低いケースは、ほとんど生じないと考えられる。万一、生じた場合には、オイルの加熱を終了してオイルの冷却を図る。本実施形態では、オイルセパレータ18のハウジング30及びキャピラリ管26の入口までのオイル戻し管24は、断熱材で形成された箱体40に収容されていないため、この領域での放熱によりオイルが冷却される。
次に、ステップS6で設定された出力により、電気ヒータ41を動作させてオイルを加熱する(ステップS8)。この処理が終わると、再び処理をステップS1に戻し、ステップS1〜S8までを繰り返し実行する。
以上、本実施形態に係るオイルセパレータ18は、圧縮機16から吐出された冷媒が流入するハウジング30と、ハウジング30で分離されたオイルを圧縮機16に戻すオイル戻し管24と、オイル戻し管24に連なり、オイル戻し管24よりも配管径を縮小したキャピラリ管26と、キャピラリ管26を流れるオイルを加熱する電気ヒータ41と、キャピラリ管26の出入口の圧力差に基づいて、キャピラリ管26を流れるオイル流量が予め設定された目標オイル流量となる目標オイル温度に、電気ヒータ41を制御する加熱制御部50とを備えたため、キャピラリ管26の出入口の圧力差や、キャピラリ管26の雰囲気温度が変動する環境であっても、キャピラリ管26を流れるオイル流量を簡単に目標オイル流量に調整することができる。さらに、流量調整弁等を新たに設けることなく、オイル流量を目標オイル流量に調整できるため、装置構成を簡素化することができる。
また、本実施形態によれば、加熱制御部50は、圧縮機16の回転数または運転周波数に基づいて目標オイル流量を設定するため、能力可変式の圧縮機16においても、適正量のオイルを常に圧縮機16に戻すことができる。
また、本実施形態によれば、加熱制御部50は、目標オイル流量に対するキャピラリ管26の出入口の圧力差とオイル温度との関係を規定したテーブル56を記憶する記憶部54を備えるため、所望のオイル温度を簡単に決定することができ、キャピラリ管26を流れるオイル流量を目標オイル流量に簡単に調整することができる。
また、本実施形態によれば、キャピラリ管26及び電気ヒータ41を収容する断熱材で形成された箱体40を備えるため、箱体40によってキャピラリ管26の周囲の雰囲気温度の変動が抑えられる。このため、その分オイル温度の調整を容易に行うことができ、キャピラリ管26を流れるオイル流量の調整を正確に行うことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、圧縮機16から吐出された冷媒を熱源側熱交換器、膨張弁20、負荷側熱交換器の順に流す構成を備える冷凍サイクル装置について説明したが、圧縮機の吐出側及び吸込側に四方弁を設け、圧縮機から吐出された冷媒を熱源側熱交換器または負荷側熱交換器の一方に流し、熱源側熱交換器または負荷側熱交換器の一方を凝縮器として作用させ、他方を蒸発器として作用させる冷媒回路を備えた空気調和装置(冷凍サイクル装置)であっても良い。
10 冷凍サイクル装置
15 冷媒回路
16 圧縮機
18 オイルセパレータ
19 凝縮器(熱源側熱交換器)
20 膨張弁(減圧装置)
24 オイル戻し管
25 電磁弁
26 キャピラリ管(絞り)
28 蒸発器(負荷側熱交換器)
30 ハウジング
37 吐出圧センサ
38 吸込圧センサ
39 オイル
40 箱体
41 電気ヒータ(加熱部)
42 オイル温度センサ
50 加熱制御部
51 回転数検知部
52 目標オイル流量設定部
53 圧力差検知部
54 記憶部
55 ヒータ出力設定部
56 テーブル

Claims (6)

  1. 圧縮機から吐出される冷媒に含まれるオイルを該冷媒から分離するオイルセパレータであって、
    前記圧縮機から吐出された冷媒が流入するハウジングと、前記ハウジングで分離されたオイルを前記圧縮機に戻すオイル戻し管と、前記オイル戻し管に連なり、前記オイル戻し管よりも配管径を縮小した絞りと、前記絞りを流れるオイルを加熱する加熱部と、前記絞りの出入口の圧力差に基づいて、前記絞りを流れるオイル流量が予め設定された目標オイル流量となるオイル温度に前記加熱部を制御する加熱制御部と、を備え
    前記加熱制御部は、前記目標オイル流量に対する前記絞りの出入口の圧力差と前記オイル温度との関係を規定したテーブルを記憶する記憶部を備えることを特徴とするオイルセパレータ。
  2. 前記加熱制御部は、前記圧縮機の回転数または運転周波数に基づいて前記目標オイル流量を設定することを特徴とする請求項1に記載のオイルセパレータ。
  3. 前記加熱部は、電気ヒータであり、
    前記加熱制御部は、前記目標オイル流量となる目標オイル温度と実際のオイル温度との偏差に応じて、前記電気ヒータの出力を設定することを特徴とする請求項1または2に記載のオイルセパレータ。
  4. 前記絞り及び前記加熱部を収容する断熱材で形成された箱体を備えることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のオイルセパレータ。
  5. 請求項1〜のいずれか一項に記載のオイルセパレータと、冷媒を圧縮する圧縮機と、熱源側熱交換器と、減圧装置と、負荷側熱交換器とを配管接続した冷媒回路を備えることを特徴とする冷凍サイクル装置。
  6. 絞りを有するオイル戻し管を通じて、オイルセパレータから圧縮機へ戻されるオイル量を制御するオイル戻し量の制御方法であって、
    前記絞りを流れる目標オイル流量に対する前記絞りの出入口の圧力差とオイル温度との関係を規定しておき、
    前記絞りの出入口の圧力差を検知するステップと、検知した前記圧力差に基づいて、前記絞りを流れるオイル流量が予め設定された目標オイル流量となる目標オイル温度を設定するステップと、前記目標オイル温度と実際のオイル温度との偏差に応じて、前記絞りを流れるオイルを加熱する加熱部の出力を設定するステップと、を備えることを特徴とするオイル戻し量の制御方法。
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