JP2008096072A - 冷凍サイクル装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】
インジェクションサイクルを有する冷凍サイクル装置において、インジェクション流量を冷凍サイクル装置の運転状態に応じて適切に制御して、冷凍サイクルの効率を向上させる。
【解決手段】
二段圧縮機1では、低圧側圧縮部1aと高圧側圧縮部1bを密閉容器1d内に収納している。二段圧縮機と、凝縮用熱交換器2と、第1減圧手段3と、気液分離器4と、第2減圧手段5と、蒸発用熱交換器6とを順次配管接続して冷凍サイクル装置が構成される。気液分離器から低圧側圧縮部の冷媒吐出部と高圧側圧縮部の冷媒吸込部との中間部までをインジェクション配管8で接続する。インジェクション配管は、熱交換器10で加熱される。熱交換器の上下流に、第1,第2温度検出手段20,21を配置する。第1,第2温度検出手段から得られる温度情報を用いて、第1,第2減圧手段の少なくとも一方の開度を制御装置23が制御する。
【選択図】図1
インジェクションサイクルを有する冷凍サイクル装置において、インジェクション流量を冷凍サイクル装置の運転状態に応じて適切に制御して、冷凍サイクルの効率を向上させる。
【解決手段】
二段圧縮機1では、低圧側圧縮部1aと高圧側圧縮部1bを密閉容器1d内に収納している。二段圧縮機と、凝縮用熱交換器2と、第1減圧手段3と、気液分離器4と、第2減圧手段5と、蒸発用熱交換器6とを順次配管接続して冷凍サイクル装置が構成される。気液分離器から低圧側圧縮部の冷媒吐出部と高圧側圧縮部の冷媒吸込部との中間部までをインジェクション配管8で接続する。インジェクション配管は、熱交換器10で加熱される。熱交換器の上下流に、第1,第2温度検出手段20,21を配置する。第1,第2温度検出手段から得られる温度情報を用いて、第1,第2減圧手段の少なくとも一方の開度を制御装置23が制御する。
【選択図】図1
Description
本発明は冷凍サイクル装置に係り、特に空気調和装置に好適な冷凍サイクル装置に関する。
冷凍サイクルが備える圧縮機に冷媒をインジェクション可能な空気調和機の例が、特許文献1に記載されている。この公報に記載の空気調和機では、インジェクションによる性能向上の効果を最大限に発揮させるために、冷凍サイクルの圧縮機回転数と外気温度とを検出し、この検出した圧縮機回転数と外気温度とに基づいて、下流側の絞り装置の絞り量を制御している。そして、圧縮機吐出冷媒温度と圧縮機吸入温度により液インジェクション状態を検出したら、下流側膨張弁を開いて液インジェクション状態を回避している。なお、さらにこの公報には、室内吸込み空気温度に応じて下流側の膨張弁開度をも制御するようにして、中間圧力をより適正に保つことも記載されている。
スクロール圧縮機を有する冷凍サイクルにおいて、圧縮室に冷媒をインジェクションして省電力化するためには、インジェクションされる冷媒の流量(以下、インジェクション量と称す)を適切に制御しなければならない。インジェクションサイクルのインジェクション量は、圧縮機側の圧力と気液分離器との圧力差により定まる。そのため、気液分離器の上流側と下流側に2個の減圧弁を設け、これら減圧弁の減圧量を調節して、気液分離器の圧力を適切に制御する必要がある。
上記特許文献1に記載の従来の空気調和機では、圧縮機の回転速度や外気温度,室内吸込み空気温度等に応じて各減圧弁を所定量だけ絞り、圧縮機へのインジェクション量を適切に設定しようとしている。そしてこの公報に記載の方法により、冷凍サイクル装置の省電力化をかなりの程度達成している。しかしながら更なる省電力化を進めることが求められている状況では、圧縮機へのインジェクション量の設定には、外気温度や室内吸込み空気温度だけではなく、湿度や熱交換器への着霜状態など様々な外的要因の影響をも考慮する必要がある。また、上流側と下流側に設けた各膨張弁の開度がどのように組み合わされているかを、判断することも効率向上や性能向上に必要になっている。
本発明は、上記従来技術の不具合に鑑みなされたものであり、その目的は、インジェクションサイクルを有する冷凍サイクル装置において、インジェクション流量を冷凍サイクル装置の運転状態に応じて適切に制御することにある。本発明の他の目的は、冷凍サイクル装置の効率を向上させることにある。本発明のさらに他の目的は、冷凍サイクル装置の省電力化を図ることにある。
上記目的を達成するための本発明の特徴は、低圧側圧縮部と高圧側圧縮部とを有する二段圧縮機と、この二段圧縮機で圧縮された冷媒を凝縮する凝縮用熱交換器と、凝縮用熱交換器で凝縮した冷媒を減圧する減圧手段と、減圧手段で減圧した冷媒を蒸発させる蒸発用熱交換器とを備えた冷凍サイクル装置において、減圧手段は第1,第2減圧手段を有し、この第1,第2減圧手段間に気液分離器を配設し、気液分離器で分離したガス冷媒を二段圧縮機の低圧側圧縮部の吐出側に導くインジェクション配管と、このインジェクション配管を流通するインジェクション冷媒を加熱する加熱手段と、この加熱手段の前後の温度を検出する第1,第2の温度検出手段とを設けたことにある。
そしてこの特徴において、加熱手段はインジェクション配管を流通するインジェクション冷媒と、低圧側圧縮部で圧縮された冷媒ガスとを熱交換する熱交換器であって、二段圧縮機の機外に配置されることが望ましく、さらに望ましくは熱交換器内では、インジェクション冷媒と圧縮冷媒ガスとが対向流ではなく並行流である。
また上記特徴において、第1,第2の温度検出手段が検出した温度信号に基づいて、第1,第2の減圧手段の少なくともいずれかを制御する制御装置を設けるのがよく、制御装置は、第1温度検出手段と第2温度検出手段が検出する温度の差が予め設定した範囲内になるように第1,第2の減圧手段を制御するのがよい。
上記目的を達成するための本発明の他の特徴は、低圧側圧縮部と高圧側圧縮部を密閉容器内に収納した二段圧縮機と、凝縮用熱交換器と、開度が調節可能な第1減圧手段と、気液分離器と、開度が調節可能な第2減圧手段と、蒸発用熱交換器とを順次接続した冷凍サイクル装置であって、気液分離器から低圧側圧縮部の冷媒吐出部と高圧側圧部の冷媒吸込部との中間部までを接続するインジェクション配管と、インジェクション配管を加熱する加熱手段と、加熱手段の上流側に配置した第1温度検出手段と、加熱手段の下流側に配置した第2温度検出手段と、第1,第2温度検出手段から得られる温度情報を用いて第1,第2減圧手段の少なくとも一方の開度を調節する制御装置とを備えることにある。
そしてこの特徴において、制御装置は、第1,第2温度検出手段が検出した温度の差が所定の範囲内となるように、第1,第2減圧手段の少なくとも一方の開度を制御するのがよく、高圧側圧縮部の吐出冷媒温度を検出する第3温度検出手段を設け、制御手段は第1,第2減圧手段の一方の開度を第3温度検出手段が検出した温度が所定の温度となるように制御し、他方の開度を、第1,第2温度検出手段が検出した温度の差が所定範囲になるように制御するものであってもよい。
また上記特徴において、加熱手段は、二段圧縮機の機外に配置され、インジェクション配管を流通するインジェクション冷媒と低圧側圧縮部を流通した冷媒とを熱交換する熱交換器であることが望ましく、熱交換器内では、インジェクション冷媒と低圧側圧縮部を流通した冷媒とが並行流となっているのがより好ましい。なお、第1の温度検出手段を、気液分離器と第1減圧手段を接続する冷媒配管または気液分離器と第2減圧手段を接続する冷媒配管に設けてもよい。
本発明によれば、インジェクションサイクルを有する冷凍サイクル装置において、インジェクション量を適切に制御することができる。また、冷凍サイクル装置の効率を向上させ、省電力化を図ることができる。
本発明に係る冷凍サイクル装置の一実施例を、図面を用いて説明する。冷凍サイクル装置100は、冷媒を圧縮する二段圧縮機1を有している。二段圧縮機1は、吸入された冷媒を圧縮する低圧側圧縮部1aと、低圧側圧縮部1aで圧縮された冷媒をさらに圧縮する高圧側圧縮部1bと、これら低圧側及び高圧側圧縮部1a,1bを駆動する圧縮機モータ1cとを有している。低圧側圧縮部1aおよび高圧側圧縮部1b,圧縮機モータ1cは、密閉容器1dの内部に収容されている。低圧側圧縮部1aの吐出部と高圧側圧縮部1bの吸込部を中間冷媒流路11a〜11cで接続する。中間冷媒流路11a,11bの一部は、密閉容器1dの外部に延在している。二段圧縮機1の吐出側には、冷媒を凝縮する凝縮用熱交換器2が接続されている。凝縮用熱交換器2には、電動膨張弁等からなる第1減圧手段3と第2減圧手段5が直列接続されており、第1減圧手段3と第2減圧手段5の間には、気液分離器4が設けられている。第1減圧手段3と第2減圧手段5とは、開度が調整可能である。第2の減圧手段5は、冷媒を蒸発させる蒸発用熱交換器6に接続されている。二段圧縮機1および凝縮用熱交換器2,第1減圧手段3,第2減圧手段5,蒸発用熱交換器6は、冷凍サイクルを構成する。
ここで、気液分離器4は密閉容器構造をしており、この気液分離器4で分離されたガス冷媒を熱交換器10に導くために、第1インジェクション配管8が気液分離器4と熱交換器10とを接続している。一方、気液分離器4で分離された液冷媒を、上述したように第2の減圧手段5に導いている。気液分離器4で分離され、熱交換器10に導かれた冷媒は、低圧側圧縮部1aの吐出側に接続された中間冷媒流路11aを流通する冷媒と、熱交換器10で熱交換する。そして熱交換器10を出た後は、第2インジェクション配管9を介して、熱交換器10の出口側と二段圧縮機1の高圧側圧縮部1bの吸込み側とを接続する中間冷媒流路11b内を流通する冷媒と合流し、高圧側圧縮部1bに流入する。
気液分離器4と第1減圧手段3とを接続する配管には、この配管温度を検出するサーミスタ20が設けられている。また、第2インジェクション配管9にも、この配管9の温度を検出するサーミスタ21が設けられている。さらに二段圧縮機1の吐出冷媒温度を検出するために、二段圧縮機の吐出配管にはサーミスタ22が設けられている。各サーミスタ20〜22が検出した温度信号は、制御装置23に入力されている。制御装置23は、入力されたサーミスタ20〜22の温度情報を用いて、第1減圧手段3または第2減圧手段5の開度を調節する。
次に、インジェクションサイクルの動作とサイクル効率向上について、図2により説明する。図2に示したモリエル線図は、横軸に比エンタルピー、縦軸に圧力を取って冷凍サイクルの特性を表している。破線が従来サイクル、実線がガスインジェクションサイクルを表す。従来サイクルでは、A点からD′点まで圧縮機で冷媒が圧縮され、D′点からE点において凝縮器において冷媒は凝縮して外気に放熱する。E点からH′点では、膨張弁によって冷媒は膨張し、H′点からA点では蒸発器において冷媒が蒸発し、室内の空気の熱を吸熱する。
インジェクションサイクルにおいては、二段圧縮機1の低圧側圧縮部1aでまずA点からB点まで冷媒が圧縮され、ここで気液分離器4において分離されたガス冷媒が注入されてC点に至り、更に二段圧縮機1の高圧側圧縮部1bにおいてC点からD点まで圧縮される。D点からE点において冷媒は凝縮用熱交換器2で凝縮し、E点からF点においては、第1減圧手段3で冷媒は膨張し、蒸発圧力と凝縮圧力の中間圧力のF点で気液分離器4において冷媒はガス冷媒と液冷媒に分離される。気液分離器4を出た冷媒の中で、ガス冷媒は気相線との交点であるI点、液冷媒は液相線との交点であるG点の状態にあり、全体としては、これらが混合されたF点の状態にある。したがって、第1インジェクション配管8の入口、つまり、気液分離器4の出口では、冷媒はI点の飽和ガス状態である。ガス冷媒をI点からC点まで加熱して過熱ガス状態で、第2インジェクション配管9を介して二段圧縮機1の中間に注入する。液冷媒はG点からH点まで第2減圧手段5で減圧され、H点からA点において蒸発用熱交換器6で蒸発する。
冷房運転の場合、従来サイクルの蒸発能力即ち冷房能力はA点とH′点の比エンタルピーの差で表され、インジェクションサイクルの蒸発能力はA点とH点の比エンタルピーの差で表される。H点の比エンタルピーはH′点の比エンタルピーよりも小さいので、インジェクションサイクルにおいては冷房能力が増加する。暖房運転の場合、従来サイクルのときの凝縮器の冷媒流量をG、ガスインジェクションサイクルにおいてインジェクションされる冷媒流量をG1とすると、インジェクションサイクルで凝縮用熱交換器2を流れる冷媒流量は(G+G1)となり、凝縮用熱交換器出入口の比エンタルピー差と冷媒流量の積である暖房能力が増加する。
本実施例に示した冷凍サイクル装置100の動作を、以下に説明する。二段圧縮機1の低圧側圧縮部1aで圧縮された冷媒は、中間冷媒流路11a〜11cを通って高圧側圧縮部1bへ吸込まれる。その後、高圧側圧縮部1bでさらに圧縮され、高圧となる。高圧となった冷媒は、圧縮機モータ1cの周囲を通って密閉容器1cの外部へ吐出され、凝縮用熱交換器2で放熱する。凝縮用熱交換器2で放熱して凝縮および液化した冷媒は、第1減圧手段3で所定の圧力まで減圧される。
冷媒は、第1減圧手段3で減圧されて気液二相状態になり、この状態で気液分離器4へ流入する。気液分離器4では、ガス冷媒と液冷媒とに分離される。分離されて生成された液冷媒は、第2減圧手段5でさらに減圧された後、蒸発用熱交換器6で蒸発およびガス化する。その後、再度二段圧縮機1の低圧側圧縮部1aへと流入する。一方、気液分離器4で分離され生成したガス冷媒は、第1インジェクション配管8を通って熱交換器10へ流入する。熱交換器10で中間冷媒流路11c内の冷媒と熱交換して加熱されたガス冷媒は、第2インジェクション配管9を通って中間冷媒流路11bを流れる冷媒に合流する。
ここで本実施例では、サーミスタ22の温度が予め定めた温度になるように第1減圧手段3の開度を調節する。また、サーミスタ20とサーミスタ21の温度差が、予め定めた範囲になるように第2減圧手段5の開度を調節する。ここで、第2減圧手段5の開度をサーミスタ20,21の温度差により調節しているので、外気温度等の運転状態が必ずしも反映しない物理量ではなく、二段圧縮機1の吐出温度にリンクする物理量で第2減圧手段5を制御することになり、適切な冷凍サイクルの運転が可能になる。
したがって、冷凍サイクル装置100の運転状態が変化しても、サーミスタ20〜22が検出した気液分離器4の上流側の配管の温度や気液分離器4で分離されたガス冷媒が熱交換器10を出た後の配管温度や、二段圧縮機1の吐出側の配管温度の温度情報を用いて、制御装置23が常時インジェクション量が適切になるように制御することができる。その結果、冷凍サイクル装置の省電力化が可能になる。
なお、インジェクションを用いた制御における最適値は、気液分離器4で分離されたガス冷媒を全てインジェクションし、液冷媒を全て蒸発用熱交換器6に流すようにすることである。例えば、冷房運転でインジェクション流量が最適値よりも少ないと、蒸発用熱交換器6に液冷媒だけでなくガス冷媒も流入するので、図2におけるG点は右側に移動し、比エンタルピー差が小さくなる。これに対してインジェクション流量が最適値よりも多いと、比エンタルピー差は変わらないものの、流量の低下により冷房能力が低下する。そこで、本実施例では、最適インジェクション量を、温度差で把握できるようにしている。
さらに熱交換器10の内部を流れる冷媒は並行流となっているので、制御装置23が、サーミスタ20とサーミスタ21により検出される温度差が予め設定した範囲になるよう第2減圧手段5を制御すれば、高圧側圧縮部1bへの液戻りが発生することはない。したがって、信頼性を向上できる。この理由を、図3により説明する。
熱交換器10内で、中間冷媒流路11c内の冷媒と第1インジェクション配管8内の冷媒が並行流になっていると、図3(a)に示すように、第2インジェクション配管9内の冷媒温度TPは、中間冷媒流路11c内の冷媒温度TQと同じ程度かそれ以下になる。ここで図3(a)では、横軸に、熱交換器10の出口側から入口側にさかのぼった熱交換器10内の位置を示している。熱交換器10を出た後は断熱状態であるから、各配管9,
11内の温度は一定と仮定している。したがって、熱交換器10の出口における配管9,11bの温度TP,TQは、それぞれ点P,点Qの温度に等しいものとする。
11内の温度は一定と仮定している。したがって、熱交換器10の出口における配管9,11bの温度TP,TQは、それぞれ点P,点Qの温度に等しいものとする。
図2に示すモリエル線図から分かるように、第1のインジェクション配管8の入口温度は飽和温度に等しいので、高圧側圧縮部1bの入口冷媒は、必ず過熱ガス領域となる。これに対して、図3(b)に示すように第1のインジェクション配管8の接続位置を逆にして、熱交換器10内で第1のインジェクション配管8内流れと中間冷媒流路11c内の流れを対向流にすると、熱交換器10の出口における各配管8,11c内の冷媒温度は、中間冷媒流路11bにおける温度TQが第1のインジェクション配管内の温度TPよりも低くなる場合がある。例えば第1のインジェクション配管8の入口流れに液冷媒が混入すると、P点の温度が飽和温度以上になっていても、Q点の温度は飽和温度まで低下する。それにより、高圧側圧縮部1bの入口冷媒が気液二相状態となるおそれが生じる。なお、この図3(b)では、横軸は熱交換器10内の位置を示し、中間冷媒流路11cの出口側からさかのぼった位置を示している。
本実施例によれば、熱交換器10における第1のインジェクション配管8内流れと中間冷媒流路11c内流れを並行流とし、第2のインジェクション配管9における温度TPを飽和温度以上に保つので、高圧側圧縮部1bに冷媒液が戻る液戻り現象を防止できる。この結果、圧縮機の信頼性を向上できる。
また本実施例では、熱交換器10において、中間冷媒流路11c内の冷媒を第1のインジェクション配管8内を流れる冷媒の加熱源に用いている。その結果、高圧側圧縮部1bの吸込みガス温度が低下するだけでなく、吐出ガス温度を低下させることもできる。本実施例の二段圧縮機1では、密閉容器1d内に圧縮機モータ1cを収容し、高圧側圧縮部
1bから吐出された冷媒を圧縮機モータ1cの周囲を経て密閉容器1dの外部に導いているので、高圧側圧縮部1bからの吐出ガス温度が低下すると圧縮機モータ1cの周囲温度の上昇が抑制され、圧縮機モータ1cの効率が向上する。
1bから吐出された冷媒を圧縮機モータ1cの周囲を経て密閉容器1dの外部に導いているので、高圧側圧縮部1bからの吐出ガス温度が低下すると圧縮機モータ1cの周囲温度の上昇が抑制され、圧縮機モータ1cの効率が向上する。
上記実施例では、低圧側圧縮部の吐出冷媒とインジェクション配管内の冷媒とを熱交換する熱交換器を設けているので、高圧側圧縮部の吸込温度を低下させることができる。圧縮機における圧縮動力は、比エンタルピー差と冷媒循環量の積で表される。冷媒循環量を一定とすれば、圧縮機における比エンタルピー差は、圧縮機の吸込みガス冷媒温度が低いほうが小さい。低圧側圧縮部の吸込み温度は冷凍サイクルのサイクル条件により定まるが、高圧側圧縮部の吸込温度は、インジェクション冷媒の温度を変えれば変化させることができる。したがって、冷媒をインジェクションすることにより、高圧側圧縮部の吸込み温度を低下させることができ、圧縮機の圧縮動力を抑制することができる。この場合、高圧側圧縮部の吐出ガス冷媒の温度も低下するので、密閉容器内部に収められたモータは高圧側圧縮部の吐出ガスによって冷却される。これにより、モータの冷却効果が高まり圧縮機の効率が向上する。
上記実施例においては、熱交換器よりも気液分離器側のインジェクション配管温度を、気液分離器と第1減圧手段を接続する冷媒配管の温度としているが、気液分離器と第2減圧手段を接続する冷媒配管の配管温度を用いてもよい。配管内をガス冷媒しか流通していない状態では、ガス冷媒の熱容量が小さいので周囲空気温度等の影響を受けやすく、冷媒温度を検出しにくい。これに対して、気液分離器と第1減圧手段間を流れる気液混合冷媒の配管もしくは第2減圧手段を接続する液冷媒配管内では、同じ飽和温度の液冷媒が内部を常に流れるので、冷媒温度を精度良く検出できる。
本発明に係る冷凍サイクルを搭載した空気調和装置の他の実施例を、図4にシステム図で示す。本実施例が上記実施例と相違するのは、二段圧縮機1の低圧側圧縮部1aから流出する圧縮ガスの配管と第1インジェクション配管8とをほぼ平行に配置し、それぞれの流れが平行流になるようにしてその周囲を断熱材30で覆っている。このようにしても、配管が実質的に熱交換器として作用する。本実施例によれば、装置の配置に制限を受ける場合、少ない空間や空いたスペースを効率的に利用できる。また、装置を簡素化できる。
1 圧縮機
1a 低圧側圧縮部
1b 高圧側圧縮部
1c 圧縮機モータ
1d 密閉容器
2 凝縮用熱交換器
3 第1減圧手段
4 気液分離器
5 第2減圧手段
6 蒸発用熱交換器
8 第1インジェクション配管
9 第2インジェクション配管
10 熱交換器
11a〜11c 中間冷媒流路(配管)
20 第1温度検出手段(サーミスタ)
21 第2温度検出手段(サーミスタ)
22 第3温度検出手段(サーミスタ)
23 制御装置
100 冷凍サイクル装置
1a 低圧側圧縮部
1b 高圧側圧縮部
1c 圧縮機モータ
1d 密閉容器
2 凝縮用熱交換器
3 第1減圧手段
4 気液分離器
5 第2減圧手段
6 蒸発用熱交換器
8 第1インジェクション配管
9 第2インジェクション配管
10 熱交換器
11a〜11c 中間冷媒流路(配管)
20 第1温度検出手段(サーミスタ)
21 第2温度検出手段(サーミスタ)
22 第3温度検出手段(サーミスタ)
23 制御装置
100 冷凍サイクル装置
Claims (11)
- 低圧側圧縮部と高圧側圧縮部とを有する二段圧縮機と、この二段圧縮機で圧縮された冷媒を凝縮する凝縮用熱交換器と、凝縮用熱交換器で凝縮した冷媒を減圧する減圧手段と、減圧手段で減圧した冷媒を蒸発させる蒸発用熱交換器とを備えた冷凍サイクル装置において、前記減圧手段は第1,第2減圧手段を有し、この第1,第2減圧手段間に気液分離器を配設し、気液分離器で分離したガス冷媒を前記二段圧縮機の低圧側圧縮部の吐出側に導くインジェクション配管と、このインジェクション配管を流通するインジェクション冷媒を加熱する加熱手段と、この加熱手段の前後の温度を検出する第1,第2の温度検出手段とを設けたことを特徴とする冷凍サイクル装置。
- 前記加熱手段はインジェクション配管を流通するインジェクション冷媒と、前記低圧側圧縮部で圧縮された冷媒ガスとを熱交換する熱交換器であって、前記二段圧縮機の機外に配置されることを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
- 前記熱交換器内では、インジェクション冷媒と圧縮冷媒ガスとが対向流ではなく並行流であることを特徴とする請求項2に記載の冷凍サイクル装置。
- 前記第1,第2の温度検出手段が検出した温度信号に基づいて、前記第1,第2の減圧手段の少なくともいずれかを制御する制御装置を設けたことを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
- 前記制御装置は、前記第1温度検出手段と第2温度検出手段が検出する温度の差が予め設定した範囲内になるように前記第1,第2の減圧手段を制御することを特徴とする請求項4に記載の冷凍サイクル装置。
- 低圧側圧縮部と高圧側圧縮部を密閉容器内に収納した二段圧縮機と、凝縮用熱交換器と、開度が調節可能な第1減圧手段と、気液分離器と、開度が調節可能な第2減圧手段と、蒸発用熱交換器とを順次接続した冷凍サイクル装置であって、前記気液分離器から前記低圧側圧縮部の冷媒吐出部と前記高圧側圧縮部の冷媒吸込部との中間部までを接続するインジェクション配管と、前記インジェクション配管を加熱する加熱手段と、前記加熱手段の上流側に配置した第1温度検出手段と、前記加熱手段の下流側に配置した第2温度検出手段と、第1,第2温度検出手段から得られる温度情報を用いて前記第1,第2減圧手段の少なくとも一方の開度を調節する制御装置とを備えたことを特徴とする冷凍サイクル装置。
- 前記制御装置は、前記第1,第2温度検出手段が検出した温度の差が所定の範囲内となるように、前記第1,第2減圧手段の少なくとも一方の開度を制御することを特徴とする請求項6に記載の冷凍サイクル装置。
- 前記高圧側圧縮部の吐出冷媒温度を検出する第3温度検出手段を設け、前記制御手段は前記第1,第2減圧手段の一方の開度を第3温度検出手段が検出した温度が所定の温度となるように制御し、他方の開度を、第1,第2温度検出手段が検出した温度の差が所定範囲になるように制御することを特徴とする請求項7に記載の冷凍サイクル装置。
- 前記加熱手段は、前記二段圧縮機の機外に配置され、前記インジェクション配管を流通するインジェクション冷媒と前記低圧側圧縮部を流通した冷媒とを熱交換する熱交換器であることを特徴とする請求項6に記載の冷凍サイクル装置。
- 前記熱交換器内では、インジェクション冷媒と低圧側圧縮部を流通した冷媒とが並行流となっていることを特徴とする請求項9に記載の冷凍サイクル装置。
- 前記第1の温度検出手段を、気液分離器と第1減圧手段を接続する冷媒配管または気液分離器と第2減圧手段を接続する冷媒配管に設けたことを特徴とする請求項6に記載の冷凍サイクル装置。
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