JP6392815B2 - キャンディ及び複数領域菓子 - Google Patents

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本発明は、キャンディ及び複数領域菓子、より詳しくは、キシリトールを含有する定形のキャンディ、及びこのキャンディからなる領域を含む複数領域菓子に関する。
キシリトールを含有するキャンディは、一般に、次の工程を経て製造される(例えば、特許文献1参照)。
(1)キシリトール及び他の糖又はポリオールを加熱し、完全に融解させる。
(2)(1)で得た融液に結晶キシリトールを加え、キシリトールの結晶化率が所要の割合に達するまで撹拌しながらキシリトールの結晶化を進める。
(3)(2)を成型し、冷却してキシリトールを完全に結晶化させる。
特開2006−280215号公報
上記結晶化を進める際、キャンディ組成物は、結晶キシリトールと、融解キシリトールと、融解ポリオールとを含有するスラリー状である。(2)で得たキシリトールスラリーは、キシリトール結晶の割合が高いと、粘度が高くなる。そのため、キシリトールスラリーを成型するのは容易でなく、品質低下につながり得る。一方、キシリトール結晶の割合が低いと、キシリトールスラリーを成型するのは容易であるが、成型後、完全に結晶化するまでに長時間を要する。
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、高品質のキシリトール含有キャンディを短時間に得ることのできる手法を提供することである。
本発明者らは、キシリトール含有キャンディの組成を検討することで上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明は以下を提供する。
(1)本発明は、主成分であるキシリトール及びその他の糖質を含む糖組成部と、前記キシリトールの結晶化を促進する結晶化促進剤とを含有し、前記結晶化促進剤が、90℃に保たれた前記糖組成部の融液100gに対して前記結晶化促進剤の粉末0.5g添加し、30分間撹拌した場合において、前記融液に固体残留物を有する物質である、キャンディ組成物である。
(2)また、本発明は、前記結晶化促進剤の含有量が前記キャンディ組成物100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下である、(1)に記載のキャンディ組成物である。
(3)また、本発明は、前記結晶化促進剤が、茶粉末、コーヒー粉末、ココア粉末、タルク粉末、炭酸カルシウム粉末、無水ケイ酸粉末、炭酸マグネシウム粉末及びこれらの組合せから選択される物質である、(1)又は(2)に記載のキャンディ組成物である。
(4)また、本発明は、(1)から(3)のいずれかに記載のキャンディ組成物の硬化物からなる定形の領域を備える複数領域菓子である。
(5)また、本発明は、前記定形の領域の少なくとも一部が露出する、(4)に記載の複数領域菓子である。
キシリトールのほか、結晶化促進剤を含めることで、スラリーの高粘度化を抑えられ、かつ、キシリトールの結晶化を短時間で効率よく進められる。本発明によると、高品質のキシリトール含有キャンディを短時間に得ることができる。
本発明の一実施形態に係る複数領域菓子10の断面図である。 本発明の変形例に係る複数領域菓子を示す図である。 図1の複数領域菓子の製造方法の一例を示す図である。 キシリトールの結晶化速度に関し、実施例1と比較例1とを比較したときの結果を示す図である。 キシリトールの結晶化速度に関し、実施例2と比較例1とを比較したときの結果を示す図である。 キシリトールの結晶化速度に関し、比較例1と比較例2とを比較したときの結果を示す図である。
以下、本発明の実施形態を説明するが、これらが本発明を限定するものではない。
<キャンディ組成物>
本発明のキャンディ組成物は、主成分であるキシリトール及びその他の糖質を含む糖組成部と、上記キシリトールの結晶化を促進する結晶化促進剤とを含有する。
〔糖組成部〕
糖組成部は、主成分であるキシリトール及びその他の糖質を含む。
[キシリトール]
キシリトールは、天然の代用甘味料として知られる。キシリトールは、溶解時の吸熱作用を有するので、口腔内で冷涼感を与えることができる。また、融液の温度が低い場合であっても、キシリトールは、他のポリオールに比べて比較的高い流動性を有する。したがって、キシリトールは、キャンディ組成物に含まれる成分として広く用いられる。
本明細書において、「主成分」とは、糖組成部に含まれる複数種類の糖質のうち、最も含有割合が高いことをいう。すなわち、本発明において、キシリトールは、キャンディ組成物に含まれる複数種類の糖質のうち、含有割合が最も高い糖質である。キシリトールの含有量は特に限定されるものでないが、キャンディ組成物内の糖組成部100質量部に対して50質量部以上98質量部以下であることが好ましく、70質量部以上94質量部以下であることがより好ましい。キシリトールの含有量が少なすぎると、キシリトールスラリーを撹拌して結晶化を進めるのに長時間を要し、また冷却して固化するまでに長時間を要し生産性を著しく損なう可能性がある。キシリトールの含有量が多すぎると、すぐに結晶化してしまうので成型できない可能性がある。
[その他の糖質]
キャンディ組成物は、糖組成部として、キシリトールとは異なるその他の糖質(例えば、糖、キシリトール以外の糖アルコール)を少なくとも一種類以上含む。
その他の糖質は、キシリトール以外であれば、糖であってもよいし、糖アルコールであってもよい。その他の糖質が単糖類を含む場合、単糖類は、炭素原子3個以上のポリヒドロキシアルデヒド又はポリヒドロキシケトン誘導体であり、例えば、グルコース、フルクトース、エリトロース、キシロース、ソルボース、ガラクトース、その他異性化糖等を挙げることができ、これらは単独で使用することもできるが、2つ以上の混合物を使用することもできる。単糖類として、ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、エリトロース、木糖(キシロース)から選ばれる少なくとも1つを用いると、キシリトールスラリーがすぐに結晶化することを防止できることのほか、取り扱い性がよく、入手が容易で安価であるため、好ましい。
その他の糖質が二糖類を含む場合、二糖類は、単糖が2個結合した形のポリヒドロキシアルデヒド又はポリヒドロキシケトン誘導体であり、例えば、スクロース、マルトース、ラクトース、パラチノース、その他異性化糖等を挙げることができ、これらは単独で使用することもできるが、2つ以上の混合物を使用することもできる。二糖類として、ブドウ糖と果糖が結合してできた砂糖(スクロース)、麦芽糖(マルトース)、乳糖(ラクトース)、パラチノースから選ばれる少なくとも1つを用いると、キシリトールスラリーがすぐに結晶化することを防止できることのほか、取り扱い性がよく、入手が容易で安価であるため、好ましい。
その他の糖質が三糖類及び/又はオリゴ糖を含むものであってもよいが、三糖類及びオリゴ糖は、分子量が大きく、加熱時の糖液粘度が高いこと、及びキシリトールスラリーがすぐに結晶化することの防止効果が単糖類及び二糖類に比べて低い。そのため、その他の糖質が糖を含む場合、糖は、単糖類及び/又は二糖類を含むものであることが好ましい。
その他の糖質が糖アルコールを含む場合、糖アルコールは、糖類のアルデヒドやケトンのカルボニル基を還元(水素添加)して得られる鎖状多価アルコールであり、例えば、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、ガラクチトール、マルチトール、還元バラチノース、ラクチトール等を挙げることができ、これらは単独で使用することもできるが、2つ以上の混合物を使用することができる。
中でも、キシリトールスラリーがすぐに結晶化することを効果的に防止できる点で、ブドウ糖(グルコース)を還元反応したソルビトール、異性体としてのマンニトール、エリトロースを還元反応させたエリスリトール等の単糖類を原料とする糖アルコールが好ましい。麦芽糖(マルトース)を還元反応した還元麦芽糖(マルチトール)、パラチノースを還元反応した還元バラチノース、乳糖(ラクトース)を還元反応したラクチトール等も本発明において効果的である。
以上のように、他の糖質は、分子量の小さな単糖類やその糖アルコールが最も好ましいが、二糖類やその糖アルコールにおいても遜色のない効果が得られる。
他の糖質の含有量は特に限定されるものでないが、キャンディ組成物内の糖組成部100質量部に対して2質量部以上50質量部以下であることが好ましく、6質量部以上30質量部以下であることがより好ましい。他の糖質の含有量が少なすぎると、キシリトールスラリーがすぐに結晶化してしまうので成型できない可能性がある。他の糖質の含有量が多すぎると、キシリトールスラリーを撹拌して結晶化を進めるのに長時間を要し、また冷却して固化するまでに長時間を要し生産性を著しく損なう可能性がある。
〔結晶化促進剤〕
本発明のキャンディ組成物は、キシリトールの結晶化を促進する結晶化促進剤を含有する。本明細書において、「結晶化促進剤」とは、90℃に保たれた本発明キャンディ組成物の糖組成部融液に対して結晶化促進剤の粉末0.5g添加し、30分間撹拌した場合において、融液に固体残留物を有する物質をいう。
結晶化促進剤として、茶粉末、コーヒー粉末、ココア粉末、タルク粉末、炭酸カルシウム粉末、無水ケイ酸粉末、炭酸マグネシウム粉末及びこれらの組合せから選択される物質が挙げられる。一方、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸は、本発明の結晶化促進剤には該当しない。
物質が本発明の結晶化促進剤に該当するか否か、すなわち、90℃に保たれた上記糖組成部の融液100gに対して結晶化促進剤の粉末0.5g添加し、30分間撹拌した場合において、融液に固体残留物を有するか否かを判別する手法として、目視での確認、及びマイクロスコープや光学顕微鏡での観察が挙げられる。
結晶化促進剤の含有量は特に限定されるものでないが、キャンディ組成物100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましく、1質量部以上5質量部以下であることがより好ましい。結晶化促進剤の含有量が少なすぎると、キシリトールの結晶化を好適に促進できず、スラリーの高粘度化を抑えられ、かつ、キシリトールの結晶化を短時間で効率よく進めるという本発明の効果を十分に発揮できない可能性がある。結晶化促進剤の含有量が多すぎると、キシリトールの呈味(甘味、冷涼感等)を十分に得られないとともに、ザラツキが発生して、キャンディとしての舐め心地を損なう可能性がある。
〔他の成分〕
必須の構成ではないが、キャンディ組成物は、キシリトール及びその他の糖質を含む糖組成部、並びに結晶化促進剤に加え、任意成分をさらに含んでよい。このような任意成分としては、加温剤、冷却剤、刺激剤、フレーバー、甘味料、酸味料、苦味料、塩味料、界面活性剤、呼気清涼剤、抗菌剤、抗歯石剤、抗歯垢剤、フッ化物化合物、再石灰化剤、薬剤、微量栄養素、喉ケア剤、歯ホワイトニング剤、エネルギー増強剤、集中力増強剤、食欲抑制剤、着色料、その他成分が挙げられる。
<複数領域菓子>
本発明の複数領域菓子は、上記キャンディ組成物の硬化物からなる定形の領域を備える。そして、必須の構成ではないが、本発明の複数領域菓子は、上記定形の領域の少なくとも一部が露出することが好ましい。
図1は、本発明の一実施形態に係る複数領域菓子としてのキャンディ10の模式図である。キャンディ10は、第1領域20及び第2領域30を備え、第1領域20及び第2領域30が隣接して配置されている。キャンディ10は、さらに第1領域40を備え、第2領域30の上下面34,37が第1領域20,40により被覆されている。この結果、第2領域30は、少なくとも一部が露出している。
第1領域20,40は、広く一般に知られたキャンディからなり、組成は特に限定されるものではない。第1領域20,40は、互いに異なる組成であってもよい、同一の組成であってもよい。第2領域は、本発明に係るキャンディ組成物の硬化物からなり、上記キシリトール及び上記結晶化促進剤を含有する。
本明細書において、定形とは、液体や粉体のような不定形でないことを指す一方、固体に限定されず、ガラス体、半固体も包含する。第2領域は、定形であることにより、少なくとも一部を露出させることができる。
以上の要件を満たす限りにおいて、本発明の複数領域菓子の構成は、特に限定されず、第1領域及び第2領域の数、配置、形状、比率等はあらゆるものであってよい。
図2は、本発明の変形例に係る複数領域菓子を示す図である。図2(A)(平面図)のキャンディ10Aは、円柱状であり、第1領域が符号20Aの1つのみである点で前記実施形態と異なる。図2(B)のキャンディ10Bは、円柱状であり、円柱状の第2領域30Bがドーナツ状の第1領域20Bに包囲されている点で、キャンディ10Aと異なる。図2(C)のキャンディ10Cは、直方体状であり、直方体状の第1領域20C及び第2領域30Cで構成される点で、キャンディ10Bと異なる。図2(D)のキャンディ10Dは、直方体状の第1領域20Dの内部に円柱状の第2領域30Bが形成される点で、キャンディ10Cと異なる。
<複数領域菓子の製造方法>
本発明に係る複数領域菓子の製造方法は、第1菓子組成物を溶融した後に硬化して第1領域を製造する工程と、本発明に係る菓子組成物であって、キシリトール及び結晶化促進剤を含有する菓子組成物(以下、「第2菓子組成物」ともいう。)を溶融した後に硬化して第2領域を製造する工程とを有する。
本発明の複数領域菓子の製造方法は、上記要件を満たす限り、任意のプロセスで行われてよい。例えば、スタンピング製法(第1領域及び第2領域を組み合わせた菓子全体を引き伸ばした後、所望の寸法を有する型でスタンプして引きちぎる。なお、引き伸ばす前後の菓子は、既に不定形でないため、硬化後の物体に該当する)、デポジット製法(溶融状態の混合物を成形型内にデポジットして硬化させる工程を逐次繰り返し、積層構造の複数領域菓子を形成する)を使用し得る。ただし、表面をより滑らかに形成できる観点で、デポジット法が好ましい。
そこで、デポジット法を用いて前記実施形態に係る複数領域菓子10の製造方法を、図3を参照しながら説明する。まず、第1菓子組成物を溶融した第1領域溶融体21を、成形型200の型本体210内に供給する(図3(A))。この状態で第1領域溶融体21を冷却して硬化させることで、第1領域20が製造される(図3(B))。次に、第1領域20の上に、第2菓子組成物を溶融した第2領域溶融体31を供給し(図3(C))、冷却して硬化させることで、第2領域30が製造される(図3(D))。
第2領域溶融体31は、キシリトール結晶の割合が高いと、硬く、粘着性を有する。そのため、第1領域20の上に第2領域溶融体31を供給したときに、第2領域溶融体31が第1領域20の上に均一に広がらない可能性があり、不良品となり得る。一方、キシリトール結晶の割合が低いと、第2領域溶融体31が第1領域20の上に均一に広がるものの、その後、第2領域溶融体31が硬化するまでに時間を要する。
本発明は、第2領域溶融体31は、キシリトール及び結晶化促進剤を含有するため、不良品の生成を抑えるとともに、第2領域溶融体31が硬化するまでの時間を短くすることができる。
続いて、第2領域30の上に、第1領域溶融体41を供給し(図3(E))、冷却して硬化させることで、第1領域40が製造される(図3(F))。このようにして、前記実施形態に係る複数領域菓子10が製造される。その後、一般的には、型本体210の底に設けられた棒状体230で複数領域菓子10を押し、型本体210から分離して回収する(図3(G))。この過程で、第1領域20の上面の略中央に凹み(図示せず)が形成される。
図2に示した変形例についても同様であるが、特に、長手状のキャンディを形成した後、この長手状のキャンディを、第2領域の表面が露出するように切断する場合、第2領域溶融体31が硬化した後でなければ、長手状のキャンディを切断できない。本発明によると、第2領域溶融体31が硬化するまでの時間を短くすることができるため、長手状のキャンディを形成してから、この長手状のキャンディを第2領域の表面が露出するように切断するまでの時間を短くすることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
<試験例1> 結晶化速度の測定
〔実施例1及び比較例1〕
Figure 0006392815
表1において、結晶化促進剤は、以下のとおりである。
抹茶粉末(製品名:殺菌済宇治抹茶MOK−5,共栄製茶株式会社製)
ホタテ未焼成カルシウム粉末(製品名:ホタテ末,株式会社エヌ・シー・コーポレーション製)
サンゴ未焼成カルシウム粉末(製品名:コーラルバイオ・PW−S,コーラルバイオテック株式会社製)
炭酸カルシウム粉末(製品名:重質炭酸カルシウム アラゲン,株式会社カルファイン製)
〔実施例1−1〜1−9〕
結晶キシリトール(製品名:XYLITOL C,ダニスコ社製)823.5gと、結晶ソルビトール(製品名:NEOSORB P20/60,ロケット社製)67.5gとを120℃まで加熱し、完全に融解させた。この融液を80℃のオイルバスにて冷却しながら撹拌し、82℃の時点で上記結晶キシリトール9gを添加し、キシリトールの結晶化を開始した。なお、本明細書において、温度は、正しく校正された突き刺し型デジタル温度計を用いて測定するものとする。
続いて、キシリトールスラリー中の結晶量を毎分測定し、結晶量が25質量%に到達した時点で、表1に示す結晶化促進剤27gを添加した。本明細書において、キシリトールスラリー中の結晶量は、FBRM(メトラートレド社)により測定された結晶粒子サイズ分布から算出するものとする。また、結晶化促進剤の添加量は、キシリトールスラリー100質量部に対し、3質量部に相当する。結晶化促進剤の添加後、キシリトールスラリー中の結晶量を毎分測定した。結晶化促進剤を添加してから経過した時間(単位:分)を横軸に、キシリトールの結晶化速度(単位:重量%/分)を縦軸にした結果を図4に示す。
〔比較例1〕
結晶化促進剤27gを添加しなかったこと以外は、実施例1−1〜1−9と同じ手法にてキャンディを調製した。結晶量が25質量%に到達した時点から経過した時間(単位:分)を横軸に、キシリトールの結晶化速度(単位:重量%/分)を縦軸にした結果を図4に示す。
実施例1における各々の結晶化促進剤を用いた場合、結晶化促進剤を用いない場合に比べてキシリトールの結晶化速度が大きい。すなわち、結晶化促進剤を加えることで、キシリトールの結晶化に必要な時間が短くなるといえる。
〔実施例2及び比較例1〕
Figure 0006392815
表2において、結晶化促進剤は、以下のとおりである。
無水ケイ酸粉末(製品名:カープレックス(登録商標) FPS−500,DSLジャパン株式会社製)
炭酸マグネシウム粉末(製品名:食品添加物 炭酸マグネシウム,富田製薬株式会社製)
〔実施例2−1及び2−2〕
表1に示す結晶化促進剤9gを添加したこと以外は、実施例1−1と同じ手法にてキャンディを調製した。結晶化促進剤の添加量は、キシリトールスラリー100質量部に対し、1質量部に相当する。結晶化促進剤を添加してから経過した時間(単位:分)を横軸に、キシリトールの結晶化速度(単位:重量%/分)を縦軸にした結果を図5に示す。参考として、比較例1の結果も図5に示す。
結晶化促進剤が無水ケイ酸粉末、炭酸マグネシウム粉末である場合も同様に、実施例2における各々の結晶化促進剤を用いた場合、結晶化促進剤を用いない場合に比べてキシリトールの結晶化速度が大きい。すなわち、結晶化促進剤を加えることで、キシリトールの結晶化に必要な時間が短くなるといえる。
〔比較例1及び比較例2〕
Figure 0006392815
表3において、結晶化促進剤は、以下のとおりである。
クエン酸一水和物粉末(製品名:クエン酸フソウ,扶桑化学工業株式会社製)
リンゴ酸粉末(製品名:リンゴ酸フソウ,扶桑化学工業株式会社製)
アスコルビン酸粉末(製品名:Ascorbic Acid,Weisheng Pharmaceutical製)
〔比較例2−1〜2−3〕
結晶化促進剤を表3に示す物に置き換えたこと以外は、実施例1−1と同じ手法にてキャンディを調製した。結晶化促進剤を添加してから経過した時間(単位:分)を横軸に、キシリトールの結晶化速度(単位:重量%/分)を縦軸にした結果を図6に示す。参考として、比較例1の結果も図6に示す。
比較例2−1〜2−3に係る物を含む場合、結晶化速度は、添加直後においては比較例1よりも大きくなるものの、添加してから5分後には比較例1と同等になり、それ以降は比較例1より小さくなる。そのため、比較例2に係る物を加えても、キシリトールの結晶化に必要な時間を短くすることはできない。
<試験例2> 溶解性の評価
上記結晶キシリトール92.5gと、上記結晶ソルビトール7.5gとを120℃まで加熱し、完全に融解させた。この融液を90℃まで冷却し、90℃のオイルバスにて保温した。そこに、実施例1−1〜1−4、2−1及び2−2、並びに比較例2−1〜2−3に係る物質を0.5g添加し、30分間撹拌した後、融液内に添加物が残留しているかどうか目視にて確認した。結果を表4に示す。
Figure 0006392815
結晶キシリトール92.5g及び結晶ソルビトール7.5gからなり、90℃に保たれた融液に対して実施例に係る粉末0.5g添加し、30分間撹拌した場合、融液には固体残留物が観察された。一方、上記融液に対して比較例に係る粉末0.5g添加し、30分間撹拌した場合、融液には固体残留物が観察されなかった。
このことから、結晶キシリトール92.5g及び結晶ソルビトール7.5gからなり、90℃に保たれた融液に対して粉末状の物質0.5g添加し、30分間撹拌した場合において、融液に固体残留物を有する場合、その物質は、本明細書における「結晶化促進剤」に相当するといえる。
<試験例3> 生産性の評価
Figure 0006392815
〔実施例3〕
[キャンディ部の調製]
還元麦芽糖水飴132.4gを165℃まで煮詰めた後、−0.09MPa下で水分を蒸発させ、100gのキャンディ生地を得た。この生地を150℃まで冷却後、クチナシ由来の天然緑色素(製品名:ニチノーカラーグリーンR−40,日農化学工業株式会社社製)を0.2g、抹茶香料(高砂香料工業株式会社製)を0.2g添加し、十分撹拌した。
[キシリトール部の調製]
結晶キシリトール92.5gと結晶ソルビトール7.5gとを120℃まで加熱し、完全に溶融させた。この融液を80℃まで冷却し、よく撹拌し、結晶量が25質量%になるまでキシリトールの結晶を析出させた。ここに上記抹茶粉末3gを加え、十分撹拌した。
[成型]
楕円形の金属製飴型に、上記キャンディ部の融液1.3gを流し入れた。キャンディ部が十分固化した後、その上から88℃に保温した上記キシリトール部0.8gを流し入れた。その後、その上から上記キャンディ部1.9gを流し入れ、20℃条件下で10分間冷却後、金型から取り出し、実施例3に係る複数領域菓子を得た。
〔比較例3−1〕
キシリトール部において、上記抹茶粉末を加えなかったこと以外は、実施例3と同じ手法にて、比較例3−1に係る複数領域菓子を得た。
〔比較例3−2〕
キシリトール部において、上記抹茶粉末を加えなかったこと、及びキシリトールを型に流し入れる際の温度が86℃であること以外は、実施例3と同じ手法にて、比較例3−2に係る複数領域菓子を得た。
〔評価〕
実施例3、比較例3−1及び比較例3−2に係る複数領域菓子について、金型から取り出すことができるか、及びキシリトール部が金型の隅々にまで広がっているかを確認した。結果を表6に示す。
Figure 0006392815
実施例3では、全ての製品を取り出すことができ、かつ全ての製品のキシリトール部が、金型の隅々まで広がっていた。比較例1から、比較例3ではキシリトール部の結晶化が不十分であったといえることから、抹茶粉末を添加することで、結晶化速度が大きくなり、製造過程においてキシリトールの結晶化が十分に進み、粘着性を有しなかったためと推察される。
一方、比較例3では、20%の製品を金型から取り出すことができなかった。取り出せなかった製品のキシリトール部を観察すると、結晶化が不十分で、粘着性を有していた。この粘着性が、金型から取り出せないという現象を起こしている。
比較例4では、すべての製品を取り出すことができたが、30%の製品のキシリトール部が、金型の隅々にまで広がっていなかった。
10、10A、10B、10C 複数領域菓子(キャンディ)
20、20A、20B、20C 第1領域
21 第1領域溶融体
30、30A、30B、30C 第2領域
31 第2領域溶融体
33 下面
34 上面
37 側面
40 第1領域
41 第1領域溶融体
200 デポジット用型(成形型)
210 型本体
230 棒状体

Claims (3)

  1. 主成分であるキシリトール及びその他の糖質を含む糖組成部を加熱融解して融液を得、
    前記融液に前記キシリトールの結晶を添加して結晶化を開始し、
    所定の結晶量に達した時点で、前記キシリトールの結晶化を促進する結晶化促進剤を、所定温度に過冷却された前記糖組成部の融液中に添加し、
    前記結晶化促進剤として、90℃に保たれた前記糖組成部の融液100gに対して前記結晶化促進剤の粉末0.5g添加し、30分間撹拌した場合において、前記融液に固体残留物を有する物質を用いる、キャンディ組成物の製造方法。
  2. 前記結晶化促進剤の含有量は、前記キャンディ組成物100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下である、請求項1に記載のキャンディ組成物の製造方法。
  3. 前記結晶化促進剤は、茶粉末、コーヒー粉末、ココア粉末、タルク粉末、炭酸カルシウム粉末、無水ケイ酸粉末、炭酸マグネシウム粉末及びこれらの組合せから選択される物質である、請求項1又は2に記載のキャンディ組成物の製造方法。
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