JP7345461B2 - 耐熱性を有する油性菓子及びその製造方法 - Google Patents

耐熱性を有する油性菓子及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、耐熱性を有する油性菓子及びその製造方法等に関する。
油性菓子の代表的なものであるチョコレートは、味や香りが良いだけでなく、特有の滑らかな口どけを有する嗜好性の高い食品である。チョコレートの滑らかな口どけは、配合されている油脂、一般的にはココアバターの物性に依存している。ココアバターは人の体温付近で急激に融解する性質を有する。そのため、チョコレートを手指でつまむと付着したり、夏季等の高温条件下ではパッケージ内でチョコレートが融けて変形したりする。
チョコレートの耐熱性を向上させる課題に対して、解決手段がこれまでに多数提案されている。例えば、室温で液状のグリセリンを添加する技術(特許文献1:特表昭61-502938)、水に溶解したソルビトールを添加する技術(特許文献2:特開昭59-156246)、高融点油脂を添加して耐熱化する技術(特許文献3:特開2015-173614)、チョコレート生地を焼成することによって表面をビスケット様の硬い組織とする技術(特許文献4:特開2004-254639)等が挙げられる。
特表昭61-502938号公報 特開昭59-156246号公報 特開2015-173614号公報 特開2004-254639号公報
従来の技術のうち、液状の糖類をチョコレートに添加する技術は、糖類を溶解するための水分が含まれていることから、添加されたチョコレート生地の粘度が急激に上昇する。そのため、後に行われるチョコレート生地を成形する工程において成形が困難となる。また、得られたチョコレート製品中の水分含量が高くなることから、チョコレート製品に含まれる粉乳等の成分の品質が経時的に劣化し、良好な風味の維持が困難であった。液状の糖類としてグリセリンを使用した場合、混合や成形が困難であるだけでなく、得られたチョコレートは口どけが悪くぼそぼそした食感となった。
また、高融点油脂をチョコレートに添加することにより得られる耐熱性チョコレートは、一般的なココアバターを配合したチョコレートと比較すると、口どけが悪く感じられてしまう。
チョコレート生地を焼成することにより得られる耐熱性チョコレートは、表面がビスケット様に硬くなるため、口どけが通常のチョコレートとは異なるものとなる。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、良好な風味、食感、口どけを有する耐熱性油性菓子とその製造方法を提供することを目的とする。特に、チョコレートに特有の良好な風味、食感、口どけを有する耐熱性チョコレートとその製造法を提供することを目的とする。
本発明は更に、良好な風味、食感、口どけを有する耐熱性油性菓子を製造する方法において、製造工程におけるエージングに要する時間を低減することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討の結果、油性菓子生地に配合する糖質の一部を融液の状態として用いることにより、意外にも融液状の糖質は油性菓子生地と均一に混合することが可能であり、得られる油性菓子の耐熱性が向上することを見出した。
また、本発明者らは、このような耐熱性油性菓子の製造方法では、混合生地をエージングする工程が耐熱性付与の観点で重要になることを見出した。特に、融液状の糖質と油性菓子生地を穏やかに撹拌した後、25℃程度の比較的低い温度帯でエージングすると、耐熱性を有する状態となるまでに20日間ものエージングが必要となる場合がある。また、このような状況において、融液状の糖質の添加量を増加することにより、油性菓子の耐熱性を得るために必要なエージング時間が短縮される傾向がある。しかしながら、融液状の糖質の添加量が増加すると油性菓子生地と混合した後の生地の粘度が増加するため、型へ充填するための充填装置が限定されてしまう。また、添加量が過剰である場合は、相転移が発生して、油脂が連続層の口どけがよい油性菓子が得られなくなる。
更に、本発明者らは、油性菓子生地に対して、融液状の糖質と、前記糖質と同種の糖質の結晶粉末(以下、種結晶ともいう)を配合するか、あるいは油性菓子生地と融液状の糖質を混合して油性菓子を製造する工程において、せん断作用を与えながら混合する混合工程を加えることにより、得られる油性菓子の耐熱性が向上するだけでなく、エージング時間を短縮できることを見出した。
本発明はこれらの知見に基づくものであり、以下に記載の事項をその特徴とするものである。
[1]耐熱性を有する油性菓子の製造方法であって、
室温で固体の糖質であって、加熱により融液状となっている糖質を、油性菓子の全重量に対して0.5重量%以上~50重量%未満となるように油性菓子生地と混合して混合生地を得る工程を含む、方法。
[2]融液状の糖質が、溶媒の不在下で、糖質のみを加熱することで調製される、[1]に記載の方法。
[3]更に、混合生地を得る工程の後に、混合生地を成形及びエージングする工程を含む、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]エージングを24℃以上で行う、[3]に記載の方法。
[5]融液状の糖質と混合する時の油性菓子生地の温度が30℃~65℃である、[1]~[4]のいずれか一つに記載の方法。
[6]油性菓子生地と混合する時の融液状の糖質の温度が60℃以上200℃未満である、[1]~[5]のいずれか一つに記載の方法。
[7]融液状の糖質が、キシリトール、ソルビトール、フルクトース、エリスリトールのいずれか1種、又は前記糖質を2種以上組み合わせたものである、[1]~[7]のいずれか一つに記載の方法。
[8]融液状の糖質と混合する前の油性菓子生地に含まれる油分が40重量%以下である、[1]~[7]のいずれか一つに記載の方法。
[9]融液状の糖質が、油性菓子の全重量に対して2重量%~20重量%となるように油性菓子生地と混合される、[1]~[8]のいずれかに記載の方法。
[10]油性菓子生地に融液状の糖質の種結晶が配合されている、[1]~[8]のいずれか一つに記載の方法。
[11]融液状の糖質が、油性菓子の全重量に対して0.5重量%~20重量%となるように油性菓子生地と混合される、[10]に記載の方法。
[12]混合生地を得る工程において、混合生地が、せん断作用を与えながら融液状の糖質と油性菓子生地とを混合することにより得られる、[1]~[8]のいずれか一つに記載の方法。
[13]融液状の糖質が、油性菓子の全重量に対して1重量%~20重量%となるように油性菓子生地と混合される、[12]に記載の方法。
[14]融液状の糖質を混合する前の油性菓子生地に含まれる油分が40重量%以下である、[12]又は[13]に記載の方法。
[15][1]~[14]のいずれか一つに記載の方法により得られる、油性菓子。
[16]室温で固体の糖質であって、加熱により融液状となっている糖質を油性菓子生地に添加することにより、油性菓子の耐熱性を向上させる方法。
[17]融液状の糖質を添加する前の油性菓子生地が流動状態にある、[16]に記載の方法。
[18]室温で固体の糖質であって、加熱により融液状となっている糖質を有効成分として含む、油性菓子に対する耐熱性付与剤。
[19]更に、当該融液状の糖質の種結晶を有効成分として含む、[18]に記載の耐熱性付与剤。
本発明の方法によれば、耐熱性を有しながら、食感、風味、口どけがよい油性菓子が提供される。本発明の方法にしたがって融液状の糖質を配合して得られる耐熱性油性菓子は、同じ糖質を融液ではなく結晶糖質として配合された油性菓子に対して格別に高い耐熱性を有している。更に、本発明の耐熱性油性菓子は、高温で静置されても形状が変化しない一方で、口中では従来のチョコレートと変わらない口どけ、食感、風味を有している。
融液状の糖質とその種結晶を配合して油性菓子を得る方法によれば、種結晶を配合しない油性菓子の製造方法と比較して、耐熱性が得られるまでに必要なエージング時間を短縮することが可能になる。この方法にしたがって得られる耐熱性油性菓子は、エージング時間が短縮されているにもかかわらず、高温で静置されても形状が変化しない一方で、口中では従来のチョコレートと変わらない食感、風味、口どけを有している。
油性菓子生地に融液状の糖質を配合して耐熱性油性菓子を製造する方法においてせん断作用を与えながら混合する混合工程を含む方法は、前記混合工程を含まない製造方法と比較すると、耐熱性が得られるまでに必要なエージング時間が大幅に短縮される。この方法にしたがって得られる耐熱性油性菓子は、エージング時間が短縮されているにもかかわらず、高温で静置されても形状が変化しない一方で、口中では従来のチョコレートと変わらない食感、風味、口どけを有している。
第一の実施形態において、本発明は、耐熱性を有する油性菓子の製造方法であって、室温で固体の糖質であって、加熱により融液状となっている糖質を、油性菓子の全重量に対して0.5重量%以上~50重量%未満となるように油性菓子生地と混合して混合生地を得る工程を含む、方法、を提供する。
本明細書では以降、重量、温度等の数値範囲について、それらの下限値や上限値を「以上」、「超」、「以下」「未満」の表現により規定する場合だけでなく、これらの表現を使用せずに各数値範囲を「2重量%~20重量%」、「30℃~65℃」のように規定する場合もある。後者の場合、下限値と上限値の両方がその数値範囲に含まれることを意図している。
(油性菓子)
本発明において「油性菓子」とは、油性原料によってその物性特性が支配されている菓子をいう。油性菓子として、具体的にはチョコレートやナッツクリーム、好ましくはチョコレートが挙げられる。「チョコレート」とは、規格上のチョコレートに限定されるものではなく、日本国公正取引委員会が認定したルールである「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」に定めるチョコレート、準チョコレートを含むものとする。
本発明の方法により得られる油性菓子(以下、本発明の油性菓子という)の水分含量は特に限定されないが、油性菓子中に3重量%未満、好ましくは油性菓子中に2重量%未満、より好ましくは1.5重量%以下である。
本発明の油性菓子は、「耐熱性」を有する。本発明において、「耐熱性」とは、油性菓子が一定温度(例えば30℃、35℃、又は45℃)で一定時間(例えば1時間)静置された後に、軽く指で押しても変形しにくい性質をいう。本発明の油性菓子は、前記静置後に、指でつまみあげても指に付着せず、容易に持ち上げることができる。
本発明の油性菓子の耐熱性は、以下に示す「硬度」により評価することもできる。本発明において、「硬度」とは、以下の条件により測定された数値をいう(単位:gf)。なお、硬度測定用サンプルは、一辺が約15mmの略立方体形状に成形された油性菓子を一定温度(30℃~45℃)の恒温機に1時間静置した後、取り出した直後のものを用いる。
測定機器:FUDOHレオメーターRTC-3010D-CW
プランジャー:直径15mmの円筒状のプランジャー(プラスチック素材)
プランジャーの進入速度:2cm/分
プランジャーの進入深度:3mm
本発明の油性菓子の「硬度」は、35℃で1時間静置した後に、少なくとも100gf以上であることが好ましく、より好ましくは、45℃で1時間静置した後に、少なくとも100gf以上である。ただし、本発明の油性菓子に低融点油脂が配合された場合は、30℃で1時間静置した後に、少なくとも100gf以上であることが好ましい。なお、本発明において「低融点油脂」とは、基準油脂分析試験法による20℃におけるSFC測定値が42%~45%である市販油脂のことをいう。
本発明の油性菓子は、製造工程において「融液状」の糖質が配合されることを特徴とする。本発明の油性菓子は、メカニズムの詳細は不明であるが、同じ糖質を「融液」ではなく「結晶」とした点のみ異なる従来の油性菓子よりも、少なくとも5℃以上高い耐熱性を有している。特に、製造工程において糖質としてキシリトール融液を油性菓子中に2重量%~10重量%配合された油性菓子は、45℃で1時間以上静置された後においても変形しないという著しく高い耐熱性を有している。本発明の油性菓子は、高温で静置されても形状が変化しない一方で、口中では従来のチョコレートと変わらない口どけ、食感、甘味などの風味を有している。
(融液状の糖質)
本発明の油性菓子に配合される「融液状」の糖質とは、固体状の糖質を、水分を添加せずに加熱して融解することによって得られる糖質をいう。本発明の効果を奏する限り、水以外の溶媒やその他の成分を加熱時に添加してもよいが、溶媒の不在下で、糖質のみを加熱することが好ましい。加熱温度は糖質の融点以上であればよい。しかしながら、融液の温度が高い方が結晶を完全に融解することができ、かつ、製造途中での結晶析出を防ぐことができるため、加熱温度は高い方が好ましい。融液状の糖質は、融液状態を維持している限り、配合される前に冷却されていてもよい。加熱して融液状となった糖質を冷却することにより、糖質の粘性が上がり、油性菓子と混合分散しやすくなるという利点もある。
本発明において「固体状の糖質」とは、室温で固体の炭素数4以上の糖質、好ましくは常温常圧下(より具体的には20℃~25℃、1気圧。実施例では単に「室温」ともいう)において固体である糖質をいう。また、「固体状の糖質」は、ガラス転移点が低く、油性菓子と混合できる温度帯で液状アモルファスとなる糖質が好ましい。より好ましくは、キシリトール、ソルビトール、フルクトース、エリスリトールのいずれか1種又は前記糖質を2種以上組み合わせた糖質である。さらにより好ましくは、キシリトール又はソルビトールのいずれか1種である。前記した「糖質を2種以上組み合わせた糖質」としては、キシリトール及びソルビトールの混合物が好ましい。
油性菓子に対して糖質を配合する場合、一般的には粉末の原料が用いられる。油性菓子に水分を追加することは、物性(特に流動性)に大きな影響を与えるため好ましくない。そのため、通常は油性菓子に融液状の糖質を配合することはない。従来技術(特許文献1)において、チョコレートの油脂成分を不動化するために、液状ポリオール、具体的にはグリセリン、水素添加コーンシラップ、ソルビトール70%水溶液が用いられている。しかしながら、液状ポリオールを油性菓子(チョコレート)に添加した場合、添加されたチョコレート生地は粘度が上昇するため、混合やその後の成形が著しく困難となる。
本発明の油性菓子において、融液状の糖質は、油性菓子の全重量に対して0.5重量%以上~50重量%未満となるように油性菓子生地と混合される。融液状の糖質の配合量は、1重量%~20重量%であることが好ましく、2重量%~10重量%がより好ましく、更により好ましくは2重量%~5重量%である。0.5重量%よりも融液状の糖質が少ない場合は、耐熱性の効果が十分に得られにくい。また、50重量%よりも融液状の糖質が多い場合は、融液状の糖質を油性菓子の他原料と混合する工程で、著しく粘度が上昇するために混練作業を連続して行うことが困難となるか、もしくは、前記した混合工程において相転移が起こって、油脂が連続層の口どけがよい油性菓子が得られなくなる。そもそも、融液状の糖質が50重量%超添加された場合に得られる最終製品は油性菓子と呼べないものとなる。
本発明の油性菓子には、本発明の効果を損なわない範囲において、カカオ豆由来原料(カカオマス、ココアパウダー、ココアバター、カカオ豆原料由来抽出物、等)、融液状の糖質以外の糖質、生乳由来原料(全脂粉乳、脱脂粉乳、等)、油脂、乳化剤、香料等を配合することができる。油性菓子に耐熱性を付与する観点からは、融液状の糖質に加え、それ以外の糖質を配合することが好ましい。
本発明の油性菓子には、油性菓子の全重量に対して28重量%~50重量%の油分を含有することが好ましい。油分の含量は30重量%~40重量%であることがより好ましく、32重量%~37重量%であることが特に好ましい。
本発明の油性菓子には、油性菓子の全重量に対して25重量%~45重量%の糖質を含有することが好ましい。
(融液状の糖質を調製する工程)
本発明における「融液状の糖質を調製する工程」は、通常、固体状の糖質を、水分を添加せずに加熱して融解する工程である。融解するための加熱温度、加熱時間、加熱手段は、用いる糖質の融点等に応じて当業者が適宜選択できる。例えば、キシリトールを用いる場合、結晶キシリトールを結晶融解装置に投入して、110℃で結晶が融解するまで撹拌することによって、融液状のキシリトールを調製することができる。また、ソルビトールを用いる場合、結晶ソルビトールを120℃にて同様に操作することにより融液状のソルビトールを調製することができる。
本調製工程により得られた融液状の糖質は、後の混合工程に用いるまでの間、融液状態を維持できる条件(例えば、用いる融液状の糖質の融点以上)で保存されることが好ましい。
(油性菓子生地と融液状の糖質とを混合する工程)
本混合工程では、前記した調製工程によって得られた「融液状の糖質」と、流動状態の「油性菓子生地」とを混合して混合生地を調製する。本混合工程において、融液状の糖質は親水性であるにも関わらず、油系である油性菓子生地と均一に混合することが可能である。ここで、「油性菓子生地」とは、本発明の「油性菓子」を構成する原料のうち、「融液状の糖質」を含まずに構成され、油性原料によってその物性特性が支配されているものをいう。「油性菓子生地」は、融液状の糖質を除いた油性菓子の原料が、焙炒、摩砕、混合、微細化、精練、調温等の工程によって予め均一な状態に調製されたものが好ましい。なお、本明細書の全体において、単に「油性菓子生地」と記載した場合は、融液状の糖質が含まれないものを示す。また、融液状の糖質と油性菓子生地を混合した後(及び、更に必要に応じて油脂結晶安定化剤を添加した後)に得られるものを「混合生地」という。
「油性菓子生地」には、従来から一般的に用いられている原料を適宜使用することができる。例えば、カカオマス、ココアバター、その他の植物油脂、粉糖、全脂粉乳、脱脂粉乳、乳化剤、色素、香料等が挙げられる。
本混合工程において、油性菓子生地は、融液状の糖質と混合する際に流動状態とする。前記流動状態の油性菓子生地は、油性原料の性質に依存するが、流動状態を維持し、延いては油性菓子に耐熱性を付与するために30℃~65℃、好ましくは45℃~60℃、より好ましくは50℃~60℃とする。前記温度帯よりも低い温度の油性菓子生地を用いると、融液状の糖質が分散しにくくなるため、耐熱性を有する油性菓子が得られにくくなる。前記温度帯よりも高い温度の油性菓子生地を用いた場合、耐熱性を有する油性菓子が得られても、融液状の糖質と混合した後の工程で冷却するための時間やエネルギーが多く必要となったり、好ましい風味が得られにくくなったりする。
融液状の糖質は、本混合工程において融液状態であるだけでなく、混合する時点で流動状態の油性菓子生地との混合が可能な温度となるように調整することが好ましい。融液状の糖質の原料がソルビトール又はキシリトールである場合、前記温度として60℃以上200℃未満が好ましく、60℃~150℃がより好ましく、特に好ましくは90℃~145℃である。例えば、キシリトールの融点は92℃~97℃くらいであるが、融液を融点以下に冷却すると「過冷却」状態となる。「過冷却」状態である60℃未満のキシリトールは、直ちに固体にはならないものの、過冷却状態において刺激を与えると、白濁して結晶化が一気に進行する。また、60℃未満の融液を油性菓子生地に添加すると、分散せず、結晶状態の大きな粒が散在した状態となり(つまり、チョコレートとしてざらつきを感じる)、混合生地の粘度が高くなり、本発明の効果の一つである成形困難の緩和が実現されないことになる。
本発明の耐熱性油性菓子の生産性を向上するためには、本混合工程において、融液状の糖質が流動状態の油性菓子生地に対して均一に分散して混合されることが好ましい。融液状の糖質と油性菓子生地を均一に混合するために、油性菓子生地の粘度を少なくとも25,000cps以上、好ましくは40,000cps以上、より好ましくは50,000cps以上とすることが好ましい(粘度測定条件は40℃、B型粘度計、ローターNo.6、ローター回転数4r.p.m.)。油性菓子生地の粘度が前記範囲に満たない場合は、公知の手段で調整することが好ましい。例えば、油性菓子生地の温度又は水分条件の調整、乳化剤の添加、等が挙げられる。
本混合工程において、油性菓子生地に含まれる油分が40重量%を超える場合は、融液状の糖質を均一に分散させて混合することが困難となる。この場合、油性菓子生地に対して降伏値を上げる乳化剤を配合することにより、均一な混合が可能となる。別の手段として、第一工程として油性菓子生地中の油分を40重量%以下(好ましくは35重量%以下)となるように選抜して調製した原料と、融液状の糖質とを均一に混合した後、第二工程として、第一工程で添加しなかったその他の原料を追加して混合することによって、均一に混合することが可能となる。
本混合工程において、油性菓子生地と融液状の糖質を混合する装置は、一般的な混合装置であれば特に限定されない。
本混合工程において、融液状の糖質と油性菓子生地を混合した後、油性菓子の油脂の結晶系を安定化するためのシード剤を添加することができる。シード剤は、前記混合生地を35℃未満となるまで徐冷した後に添加することが好ましい。
通常、本混合工程において融液状の糖質と油性菓子生地を含有する混合生地(結晶系を安定化させるシード剤を含有する場合も含む)の粘度は、混合前の油性菓子生地の粘度よりも上昇する。しかしながら、本発明においては、融液状の糖質を用いることにより、従来よりも混合工程や成形工程における作業効率が大幅に改善される。なお、混合生地の粘度は、油性菓子生地の組成等や融液状の糖質の配合量等に応じて異なるが、例えば40,000cps以上、好ましくは50,000cps以上である(粘度測定条件は40℃、B型粘度計、ローターNo.6、ローター回転数4r.p.m.)。
(混合生地を成形及びエージングする工程)
本成形・エージング工程は、前記混合工程によって得られた混合生地を成形及びエージングする工程である。本工程成形・エージングは、混合生地を成形する工程を含む。前記成形工程の手段は特に限定されず、従来から用いられている装置を用いることができる。例えば、モールド成形機、すりこみ成形機、バー成形機、押出し成形機、エンローバー、シート成形機等が挙げられる。
本成形・エージング工程で、混合生地は、所定の温度のもとで一定期間静置することによりエージングされる。エージングのメカニズムの詳細は不明であるが、所定の期間静置されることで融液状の糖質が結晶化して糖骨格を形成すると推定される。そのため、融液状の糖質の自由度を確保できるように、油性菓子に含まれる油分が液状となる温度条件でエージングされることが好ましい。本成形・エージング工程におけるエージング中の温度条件は、油性菓子に耐熱性を付与する観点から、低くとも24℃以上(例えば24℃~45℃)であり、好ましくは28℃以上(例えば28℃~35℃)である。エージングの時間は、油性菓子の組成や製造工程によって適宜調整されるが、1日以上であることが好ましい。
なお、エージング中の油性菓子は、成形後に脱型された状態であってもよいし、成形用の型に充填された状態であってもよい。例えば、油性菓子を成形用の型に充填した後、冷却固化工程及び脱型工程を実施せず、型に充填された状態でエージングすることができる。
(種結晶の配合によるエージング時間の短縮)
別の実施形態において、混合生地を得る工程は、エージング時間短縮の観点から、室温で固体の糖質であって、加熱により融液状となっている糖質と、その種結晶が配合された油性菓子生地とが混合されてもよい。メカニズムの詳細は不明であるが、融液状の糖質の種結晶を配合して得られる油性菓子は、同じ糖質について「結晶糖質」のみが配合された油性菓子よりも、少なくとも5℃以上高い耐熱性を有している。特に、製造工程において、糖質としてキシリトール融液を0.9重量%~5重量%、種結晶としてキシリトール結晶粉末を0.8重量%~2重量%配合された油性菓子は、45℃で1時間以上静置された後においても変形しないという著しく高い耐熱性を有している。本発明の油性菓子は、高温で静置されても形状が変化しない一方で、口中では従来のチョコレートと変わらない口どけ、食感、風味を有している。
混合生地を得る工程において種結晶が油性菓子生地に配合される場合、融液状の糖質の配合量は、油性菓子の全重量に対して0.5重量%~20重量%であることが好ましく、0.5重量%~10重量%がより好ましく、更により好ましくは0.9重量%~5重量%である。0.5重量%よりも融液状の糖質が少ない場合は、耐熱性の効果が十分に得られにくい。また、50重量%よりも融液状の糖質が多い場合は、融液状の糖質を油性菓子の他原料と混合する工程で、著しく粘度が上昇するために混練作業を連続して行うことが困難となるか、もしくは、前記した混合工程において相転移が起こって、油脂が連続層の口どけがよい油性菓子が得られなくなる。そもそも、融液状の糖質が50重量%超添加された場合に得られる最終製品は油性菓子と呼べないものとなる。
(種結晶)
本明細書において、「種結晶」とは、「融液状の糖質」と同じ糖質を含有する結晶をいう。例えば、融液状の糖質がキシリトールである場合、油性菓子に配合される種結晶としてもキシリトールが使用されることになる。本発明の油性菓子に配合される「種結晶」は、原料として配合する時に粉末状態であることが好ましい。粉末状の種結晶が本発明の油性菓子に配合されることにより、製造工程において耐熱性が発現するまでに必要なエージング時間が短縮される。
前記種結晶の配合量は、本発明の効果を損なわない限り限定されない。例えば、糖融液の糖質の添加量との比較で過剰に種結晶が油性菓子に配合されている場合、融液状の糖質は添加からすぐに結晶化し、それにより混合生地を増粘するため、型への充填を困難にする。反対に、糖融液の糖質の添加量との比較で種結晶が少ない場合、融液状の糖質の結晶化が遅延するため、所望とするエージング期間での耐熱性が得られないことがある。このような観点から、種結晶の配合量は、油性菓子生地全重量に対して0.1重量%~10重量%、好ましくは0.3重量%~5重量%、より好ましくは0.5重量%~2重量%である。
(融液状の糖質とその種結晶が配合された油性菓子生地とを混合する工程)
本混合工程では、前記した調製工程によって得られた「融液状の糖質」と、流動状態の「種結晶が配合された油性菓子生地」とを混合して混合生地を調製する。本混合工程において、融液状の糖質は親水性であるにも関わらず、油系である油性菓子生地と均一に混合することが可能である。ここで、「油性菓子生地」とは、本発明の「油性菓子」を構成する原料のうち、「融液状の糖質」を含まずに構成され、油性原料によってその物性特性が支配されているものをいう。「種結晶が配合された油性菓子生地」は、融液状の糖質を除いた油性菓子の原料であって、種結晶を含む原料が、焙炒、摩砕、混合、微細化、精練、調温等の工程によって予め均一な状態に調製されたものが好ましい。なお、混合生地を得る工程において種結晶が油性菓子生地に配合される態様に関して、単に「油性菓子生地」と記載した場合は、融液状の糖質及びその種結晶が含まれないものを示す。また、融液状の糖質とその種結晶が配合された油性菓子生地を混合した後(及び、更に必要に応じて油脂結晶安定化剤を添加した後)に得られるものを「混合生地」という。
本混合工程における諸条件等は、特に断らない限り、上述した種結晶が配合されない場合のものと同様である。
本混合工程において、融液状の糖質をその種結晶が配合された流動状態の油性菓子生地に対して均一に分散して混合することは、耐熱性油性菓子を確実に得るために重要である。
前記混合工程によって得られた混合生地は、種結晶が配合されない場合と同様に成形及びエージングされる。本成形・エージング工程における諸条件等は、特に断らない限り、上述した種結晶が配合されない場合のものと同様である。しかしながら、種結晶を配合することで得られる効果は、比較的低い温度帯でエージングする場合において顕著であることから、この場合はエージング温度が24℃以上28℃未満であることが好ましい。
エージングの時間は、油性菓子の組成や製造工程によって適宜調整されるが、1日以上であることが好ましい。種結晶を配合する方法によれば、油性菓子生地に種結晶を配合することにより、油性菓子が耐熱性を得るまでに必要なエージング時間を短縮することができる。例えば、製造工程において糖質として油性菓子中に融液状の糖質を0.9重量%~5重量%、及び種結晶を0.8重量%~2重量%配合された油性菓子は、35℃以上で耐熱性を有する状態になるまでに必要なエージング時間(エージング温度:25℃)が、同条件でエージングされた種結晶を配合されていない油性菓子と比較すると、5日~9日間短縮することができる。
(せん断作用によるエージング時間の短縮)
更に別の実施形態において、混合生地を得る工程は、エージング時間短縮の観点から、室温で固体の糖質であって、加熱により融液状となっている糖質を、油性菓子の全重量に対して1重量%~50重量%未満となるように油性菓子生地に添加し、せん断作用を与えながら混合されてもよい。メカニズムの詳細は不明であるが、せん断作用を与えながら混合することで得られる油性菓子は、同じ糖質について「結晶糖質」のみで配合された油性菓子よりも、少なくとも5℃以上高い耐熱性を有している。特に、糖質としてキシリトール融液を油性菓子中に2重量%~10重量%配合された油性菓子は、45℃で1時間以上静置された後においても変形しないという著しく高い耐熱性を有している。本発明の油性菓子は、高温で静置されても形状が変化しない一方で、口中では従来のチョコレートと変わらない口どけ、食感、風味を有している。
せん断作用を与えながら混合する場合、融液状の糖質は、油性菓子の全重量に対して1重量%~20重量%であることが好ましく、2重量%~10重量%がより好ましく、更により好ましくは2重量%~5重量%である。1重量%よりも融液状の糖質が少ない場合は、耐熱性の効果が十分に得られにくい。また、50重量%よりも融液状の糖質が多い場合は、融液状の糖質を油性菓子の他原料と混合する工程で、著しく粘度が上昇するために混練作業を連続して行うことが困難となるか、もしくは、前記した混合工程において相転移が起こって、油脂が連続層の口どけがよい油性菓子が得られなくなる。そもそも、融液状の糖質が50重量%超添加された場合に得られる最終製品は油性菓子と呼べないものとなる。
(油性菓子生地と融液状の糖質とをせん断作用を与えながら混合する工程)
本混合工程における諸条件等は、特に断らない限り、上述した種結晶が配合されない場合のものと同様である。
本混合工程において、融液状の糖質をその種結晶が配合された流動状態の油性菓子生地に対して均一に分散して混合することは、耐熱性油性菓子を確実に得るために重要である。
本混合工程において、混合装置は、せん断作用を与えながら混合することが可能であれば、特に限定されない。例えば、菓子分野で汎用されているタイプのホモジナイザー、ミキサー(ケンミックス(登録商標)、モンドミックス(登録商標)、等)、スクリューニーダー、エクストルーダー、ハイシアミキサー、等を用いることができる。
本混合工程における「せん断作用を与えながら混合する」ための混合条件(混合機の回転速度、回転羽根の形状、等)は、油性菓子生地や融液状の糖質の組成、全体量、温度等に応じて適宜選択することが可能である。実施態様が以下に限定されるものではないが、具体例を示す。ホモジナイザーとして、ヒスコトロンNS-57S8(株式会社マイクロテック・ニチオン製、シャフト形式:NS-20)を用いる場合、回転数1,000rmp~11,000rpmで30秒間~1分間混合することが好ましい。ミキサーとして、ケンミックスKMM770(デロンギ・ジャパン株式会社製、撹拌子:ホイッパー)を用いる場合、回転数430rpm~450rpmで4分~10分間混合することが好ましく、モンドミックス(モンドミックス社製)を用いる場合、回転数265rpm~300rpmでポンプ送液量40kg/hにより混合することが好ましい。スクリューニーダーとして、二軸ニーダーを用いる場合、ジャケット温水温度設定60℃にて30分~60分混合することが好ましい。
本混合工程により、得られる混合生地が、混合後の成形作業(特に充填作業)が可能な性状を維持したままで、融液状の糖質が油性菓子生地に均一に分散された状態になることが好ましい。メカニズムの詳細は不明であるが、本混合工程において高いせん断力で融液状の糖質と油性菓子生地とを混合することにより、混合中に融液状の糖質の結晶化が促進されると推定される。その結果、油性菓子に耐熱性を付与する糖骨格が形成されるまでに必要な時間が、穏やかに撹拌した後に静置状態でエージングした場合に必要な時間よりも短縮されると考えられる。
エージングの時間は、油性菓子の組成や製造工程によって適宜調整されるが、1日以上であることが好ましい。油性菓子生地又は混合生地を、せん断作用を与えながら混合することにより、油性菓子が耐熱性を得るまでに必要なエージング時間を短縮することができる。例えば、製造工程において糖質として油性菓子中に融液状の糖質を2重量%~5重量%配合された油性菓子は、35℃以上で耐熱性を有する状態になるまでに必要なエージング時間(エージング温度:25℃)が、同条件でエージングされた融液状の糖質が配合された油性菓子と比較すると、9日~13日間短縮することができる。
第二の実施形態において、本発明は、上記耐熱性を有する油性菓子の製造方法により得られる、油性菓子、を提供する。油性菓子等の定義は上述したとおりである。
第三の実施形態において、本発明は、室温で固体の糖質であって、加熱により融液状となっている糖質を油性菓子生地に添加することにより、油性菓子の耐熱性を向上させる方法、を提供する。糖質、油性菓子等の定義は上述したとおりである。
(油性菓子の耐熱性を向上させる方法)
製造工程において糖質として油性菓子中に融液状の糖質を1重量%~20重量%配合された油性菓子は、融液状の糖質が配合されていない油性菓子が30℃で1時間静置された場合は静置前の形状を維持できないのに対して、30℃をはるかに超える35℃以上でも形状を維持し、なおかつ持ち上げることができる程度の硬さを有する程度まで耐熱性を向上させることができる。融液状の糖質を添加する前の油性菓子生地は流動状態にあることが好ましい。流動状態に必要な温度等については上述したとおりである。
第四の実施形態において、本発明は、室温で固体の糖質であって、加熱により融液状となっている糖質を有効成分として含む、油性菓子に対する耐熱性付与剤、を提供する。室温で固体の糖質であって、加熱により融液状となっている糖質については上述したとおりである。耐熱性付与剤には、本発明の効果を損なわない範囲において、カカオ豆由来原料(カカオマス、ココアパウダー、ココアバター、カカオ豆原料由来抽出物、等)、融液状の糖質以外の糖質、生乳由来原料(全脂粉乳、脱脂粉乳、等)、油脂、乳化剤、香料等を配合してもよい。
別の実施形態において、耐熱性付与剤は更に、融液状の糖質の種結晶を有効成分として含んでもよい。
本発明を以下の例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[耐熱性の評価方法]
以下の例において、エージングされた後の油性菓子を35℃(一部の実施例では30℃、45℃)環境下で1時間静置した後、指でかるく押して、変形の程度を確認することにより耐熱性を評価した。以下に示した評価結果がCを「耐熱性を有する」、評価結果がBを「高い耐熱性を有する」、評価結果Aを「著しく高い耐熱性を有する」とした。
評価:A … 外観の形状が静置前後で変化しない。指でつまんだ時に油性菓子が指に付着しない。複数回触れても変形しにくい。
評価:B … 外観の形状が静置前後でほぼ維持されている。指でつまんだ時に油性菓子が指に付着しない。複数回触れると、やや変形することがある。
評価:C … 外観の形状が静置前後でほぼ維持されている。バット上に置いた際に衝撃を与えても形状は保っている。指でつまんで持ち上げることが可能であるが、指に油性菓子が付着する。複数回触れると、やや変形することがある。
評価:D … 静置前の形状が保たれていない(崩れている)。指でつまむことができない。
[硬度の測定方法]
以下の例において、硬度の測定は以下に示す条件で実施した。なお、硬度測定用サンプルは、一辺が約15mmの略立方体形状に成形された油性菓子を一定温度(30℃、35℃、又は45℃)の恒温機に1時間静置した後、取り出した直後のものを用いた。
測定機器:FUDOHレオメーターRTC-3010D-CW
プランジャー:直径15mmの円筒状のプランジャー(プラスチック素材)
プランジャーの進入速度:2cm/分
プランジャーの進入深度:3mm 上記の条件において、硬度が100gf以上である場合「耐熱性を有する」とした。
[粘度の測定方法]
以下の例において、油性菓子生地、又は成形前の混合生地の粘度の測定は、B型粘度計を用い、40℃で、ローターNo.6を用いて、回転速度が4rpmの条件で実施した。
[実施例1-1]ソルビトール融液を配合した耐熱性油性菓子
(1)ソルビトール結晶粉末を120℃まで加熱して、ソルビトールを融解させたソルビトール融液を調製した。
(2)カカオマス20重量部、ココアバター17.5重量部、全粉乳20重量部、乳化剤(レシチン)0.5重量部、香料0.1重量部、砂糖42重量部を常法により混合、粉砕及びコンチングして油性菓子生地1を調製した。流動状態(50℃)である前記油性菓子生地1を95重量部に対して、前記(1)で調製したソルビトール融液を90℃まで冷却した後に5重量部となるように添加して、おだやかに混合した。前記混合時の生地に含まれる油分は33重量%であった。ソルビトール融液が添加された混合生地97重量部を35℃まで徐冷し、シード剤(不二製油株式会社製、商品名:チョコシードB)3重量部を添加し、更に混合した。
(3)前記(2)でシード剤を混合して得られた混合生地をモールドに充填した後、冷却固化させ、モールドから外して油性菓子を得た。得られた油性菓子を、25℃で20日間エージングした。
前記(3)で調製された油性菓子について、35℃における耐熱性を評価したところ、35℃における高い耐熱性(評価:B)を有するだけでなく、風味、食感、口どけのいずれも従来のチョコレートと同様に良好であった。風味の中でも甘味については、同一の糖質を用いて従来の製法で製造される油性菓子と同程度であった。
[実施例1-2]ソルビトール融液を配合した耐熱性油性菓子
実施例1-1(2)において、油性菓子生地1を90重量部に対して、ソルビトール融液を10重量部となるように添加混合する以外は、実施例1-1と同様の手順で油性菓子を調製した。得られた油性菓子を25℃で20日間エージングした後、同様に耐熱性を評価したところ、35℃における高い耐熱性(評価:B)を有するだけでなく、風味、食感、口どけのいずれも従来のチョコレートと同様に良好であった。風味の中でも甘味については、同一の糖質を用いて従来の製法で製造される油性菓子と同程度であった。
[実施例1-3]ソルビトール融液を配合した耐熱性油性菓子
実施例1-1(2)において、油性菓子生地1を80重量部に対して、ソルビトール融液を20重量部となるように添加混合する以外は、実施例1-1と同様の手順で油性菓子を調製した。ただし、油性菓子のエージングは25℃で15日間とした。エージングした後、同様に耐熱性を評価したところ、35℃における高い耐熱性(評価:B)を有するだけでなく、風味、食感、口どけのいずれも従来のチョコレートと同様に良好であった。風味の中でも甘味については、同一の糖質を用いて従来の製法で製造される油性菓子と同程度であった。
[実施例1-4]ソルビトール融液を配合した耐熱性油性菓子
実施例1-1(2)において、油性菓子生地1を95重量部に対して、ソルビトール融液を5重量部添加する際に、更にココアバターを添加混合することにより、混合生地中の油分を35重量%となるように調整する以外は、実施例1-1と同様の手順で油性菓子を調製した。得られた油性菓子を25℃で20日間エージングした後、同様に耐熱性を評価したところ、35℃における高い耐熱性(評価:B)を有するだけでなく、風味、食感、口どけのいずれも従来のチョコレートと同様に良好であった。風味の中でも甘味については、同一の糖質を用いて従来の製法で製造される油性菓子と同程度であった。
[比較例1-1]
実施例1-1(2)で調製した油性菓子生地1を50重量部に対して、実施例1-1(1)で調製したソルビトール融液50重量部を90℃まで冷却した後に添加して、おだやかに混合した。混合された生地は、乳化状態がW/O型からO/W型へ変化したため、実施例1-1と同様の手順で油性菓子を成形することができなかった。
[比較例1-2]
実施例1-1(2)で調製した油性菓子生地1を用いて、ソルビトール融液を配合せずに、実施例1-1(3)と同様の手順で油性菓子を調製した。得られた油性菓子を、35℃で1時間静置したところ、静置前の形状が保たれていなかった。(評価:D)。
[比較例1-3]
実施例1-1(2)で調製した油性菓子生地1を95重量部に対して、実施例1-1(1)で使用したソルビトール粉末5重量部を添加して、おだやかに混合した後、実施例1-1(3)と同様の手順で油性菓子を調製した。得られた油性菓子を、35℃で1時間静置したところ、静置前の形状が保たれていなかった。(評価:D)。
実施例1-1~4、及び比較例1-1~3の結果を表1に示した。5重量%~20重量%のソルビトール融液を配合して調製された油性菓子は、35℃で1時間静置された後でも変形しない高い耐熱性を有していた。また、得られた耐熱性油性菓子は、いずれも食感、風味、口どけが従来のチョコレートと同様によいものであった。風味の中でも甘味については、同一の糖質を用いて従来の製法で製造される油性菓子と同程度であった。
Figure 0007345461000001
[実施例2-1]キシリトール融液を配合した耐熱性油性菓子
(1)キシリトール結晶粉末を110℃まで加熱して、キシリトールを融解させたキシリトール融液を調製した。
(2)実施例1-1と同様にして油性菓子生地1を調製した。流動状態(60℃)である前記油性菓子生地1を95重量部に対して、前記(1)で調製したキシリトール融液を90℃まで冷却した後、5重量部となるように添加して、おだやかに混合した。前記混合時の生地に含まれる油分は33重量%であった。キシリトール融液が添加された混合生地97重量部を35℃まで徐冷し、シード剤(不二製油株式会社製、商品名:チョコシードB)3重量部を添加し、更に混合した。
(3)前記(2)でシード剤を混合して得られた混合生地をモールドに充填した後、冷却固化させ、モールドから外した。得られた油性菓子を、25℃で14日間エージングした。
前記(3)で調製された油性菓子について、35℃における耐熱性を評価したところ、35℃における著しく高い耐熱性(評価:A)を有するだけでなく、風味、食感、口どけのいずれも従来のチョコレートと同様に良好であった。風味の中でも甘味については、同一の糖質を用いて従来の製法で製造される油性菓子と同程度であった。
[実施例2-2]キシリトール融液を配合した耐熱性油性菓子
実施例2-1(2)において、油性菓子生地1を90重量部に対して、キシリトール融液を10重量部となるように添加混合する以外は、実施例2-1と同様の手順で油性菓子を調製した。ただし、キシリトール融液と油性菓子生地を均一に混合することは可能だったが、一般的な充填機を用いた型への充填作業を行うことは困難であった。なお、油性菓子のエージングは25℃で1日間とした。エージングした後、同様に耐熱性を評価したところ、35℃における著しく高い耐熱性(評価:A)を有するだけでなく、風味、食感、口どけのいずれも従来のチョコレートと同様に良好であった。風味の中でも甘味については、同一の糖質を用いて従来の製法で製造される油性菓子と同程度であった。
[実施例2-3]キシリトール融液を配合した耐熱性油性菓子
実施例2-1(2)において、油性菓子生地1を95重量部に対して、キシリトール融液を5重量部添加する際に、更にココアバターを添加混合することにより、混合生地中の油分を35重量%とする以外は、実施例2-1と同様の手順で油性菓子を調製した。ただし、油性菓子のエージングは25℃で14日間とした。成型前の混合生地の粘度を測定したところ、142,500cpsであった。エージングした後、同様に耐熱性を評価したところ、45℃における著しく高い耐熱性(評価:A)を有するだけでなく、風味、食感、口どけのいずれも従来のチョコレートと同様に良好であった。風味の中でも甘味については、同一の糖質を用いて従来の製法で製造される油性菓子と同程度であった。
[比較例2-1]
実施例2-1(2)で調製した油性菓子生地1を95重量部に対して、実施例2-1(1)で使用したキシリトール結晶粉末5重量部を添加して、おだやかに混合した後、実施例2-1(3)と同様の手順で油性菓子を調製した。得られた油性菓子を35℃で1時間静置したところ、静置前の形状が保たれていなかった。(耐熱性評価:D)。
実施例2-1~3、及び比較例2-1の結果を表2に示した。5重量%~10重量%のキシリトール融液を配合して調製された油性菓子は、35℃で1時間静置された後でも変形しない高い耐熱性を有していた。特に、キシリトール融液が5重量%添加された油性菓子(実施例2-3)は、45℃で1時間静置された後でも変形しない著しく優れた耐熱性を有していた。また、得られた耐熱性を有する油性菓子は、いずれも食感、風味、口どけが従来のチョコレートと同様によいものであった。風味の中でも甘味については、同一の糖質を用いて従来の製法で製造される油性菓子と同程度であった。
Figure 0007345461000002
[実施例3-1]キシリトール融液配合による低融点油脂配合油性菓子の耐熱化
(1)キシリトール結晶粉末を130℃まで加熱して、キシリトールを融解させたキシリトール融液を調製した。
(2)実施例1-1と同様にして油性菓子生地1を調製した。流動状態(60℃)である前記油性菓子生地1を95重量部に対して、前記(1)で調製したキシリトール融液を90℃まで冷却した後、5重量部となるように添加して、おだやかに混合した。更に、低融点油脂(基準油脂分析試験法による20℃におけるSFC測定値が42%~45%である市販油脂)を添加することにより、前記混合時の生地に含まれる油分が50重量%となるように調整した。キシリトール融液及び低融点油脂が添加された混合生地97重量部を35℃まで徐冷し、シード剤(不二製油株式会社製、商品名:チョコシードB)3重量部を添加し、更に混合した。
(3)前記(2)でシード剤を混合して得られた混合生地をモールドに充填した後、冷却固化させ、モールドから外した。得られた油性菓子を、25℃で7日間エージングした。
前記(3)で調製された油性菓子について、30℃における耐熱性を評価したところ、30℃における高い耐熱性(評価:B)を有するだけでなく、風味、食感、口どけのいずれも従来のチョコレートと同様に良好であった。風味の中でも甘味については、同一の糖質を用いて従来の製法で製造される油性菓子と同程度であった。
[比較例3-1]
実施例1-1(2)で調製した油性菓子生地1を用いて、キシリトール融液を配合せずに、実施例3-1(2)で用いたものと同じ低融点油脂を添加することにより油分が50重量%である油性菓子を調製した。得られた油性菓子は、30℃で1時間静置すると、形状を全く維持できずに融解した状態であった(耐熱性評価:D)。
実施例3-1及び比較例3-1の結果を表3に示した。低融点油脂が添加された油性菓子は、一般的なチョコレートよりも更に低温で融解しやすく調整されている。そのため、口中でさっと融ける独特の食感を有する一方で、指でつまんで持ち上げるときにチョコレートが付着する。5重量%のキシリトール融液を添加して調製された低融点油脂配合油性菓子は、30℃で1時間静置された後でも変形しない高い耐熱性を有していた。また、得られた油性菓子は、いずれも食感、風味、口どけがキシリトール融液を配合されていない低融点油脂配合油性菓子と同様によいものであった。風味の中でも甘味については、同一の糖質を用いて従来の製法で製造される油性菓子と同程度であった。
Figure 0007345461000003
[実施例4]キシリトール融液を配合した耐熱性油性菓子
(1)キシリトール結晶粉末を130℃まで加熱して、キシリトールを融解させたキシリトール融液を調製した。
(2)ココアバター32重量部、全粉乳30.4重量部、乳化剤(レシチン)0.5重量部、香料0.1重量部、砂糖37重量部を常法により混合、粉砕及びコンチングしてホワイトチョコレート生地-を調製した。流動状態(60℃)である前記ホワイトチョコレート生地を99重量部に対して、前記(1)で調製したキシリトール融液を90℃となるまで冷却した後、1重量部となるように添加して、おだやかに混合した。前記混合時の生地に含まれる油分は40重量%であった。キシリトール融液が添加された混合生地97重量部を35℃まで徐冷し、シード剤(不二製油株式会社製、商品名:チョコシードB)3重量部を添加し、更に混合した。
(3)前記(2)でシード剤を混合して得られた混合生地をモールドに充填した後、冷却固化させ、モールドから外した。得られた油性菓子を、25℃で5日間エージングした。
前記(3)で調製された油性菓子について、35℃における耐熱性を評価したところ、35℃における高い耐熱性(評価:B)を有するだけでなく、風味、食感、口どけのいずれも従来のチョコレートと同様に良好であった。風味の中でも甘味については、同一の糖質を用いて従来の製法で製造される油性菓子と同程度であった。
[実施例5]フルクトース融液を配合した耐熱性油性菓子
(1)フルクトース結晶粉末を110℃まで加熱して、フルクトースを融解させたフルクトース融液を調製した。
(2)実施例1-1と同様にして油性菓子生地1を調製した。流動状態(60℃)である前記油性菓子生地1を95重量部に対して、前記(1)で調製したフルクトース融液を90℃となるまで冷却した後、5重量部となるように添加して、おだやかに混合した。前記混合時の生地に含まれる油分は33重量%であった。フルクトース融液が添加された混合生地97重量部を35℃まで徐冷し、シード剤(不二製油株式会社製、商品名:チョコシードB)3重量部を添加し、更に混合した。
(3)前記(2)でシード剤を混合して得られた混合生地をモールドに充填した後、冷却固化させ、モールドから外した。得られた油性菓子を、25℃で20日間エージングした。
前記(3)で調製された油性菓子について、35℃における耐熱性を評価したところ、35℃における高い耐熱性(評価:B)を有するだけでなく、風味、食感、口どけのいずれも従来のチョコレートと同様に良好であった。風味の中でも甘味については、同一の糖質を用いて従来の製法で製造される油性菓子と同程度であった。
[実施例6]エリスリトール融液を配合した耐熱性油性菓子
(1)エリスリトール結晶粉末を130℃まで加熱して、エリスリトールを融解させたエリスリトール融液を調製した。
(2)実施例1-1と同様にして油性菓子生地1を調製した。流動状態(60℃)である前記油性菓子生地1を95重量部に対して、前記(1)で調製したエリスリトール融液を90℃となるまで冷却した後、5重量部となるように添加して、おだやかに混合した。前記混合時の生地に含まれる油分は33重量%であった。エリスリトール融液が添加された混合生地97重量部を35℃まで徐冷し、シード剤(不二製油株式会社製、商品名:チョコシードB)3重量部を添加し、更に混合した。
(3)前記(2)でシード剤を混合して得られた混合生地をモールドに充填した後、冷却固化させ、モールドから外した。得られた油性菓子を、25℃で20日間エージングした。
前記(3)で調製された油性菓子について、35℃における耐熱性を評価したところ、35℃における高い耐熱性(評価:B)を有するだけでなく、風味、食感、口どけのいずれも従来のチョコレートと同様に良好であった。風味の中でも甘味については、同一の糖質を用いて従来の製法で製造される油性菓子と同程度であった。
[実施例7]
(1)ソルビトール結晶粉末を120℃まで加熱して、ソルビトールを融解させたソルビトール融液を調製した。キシリトール結晶粉末を110℃まで加熱して、キシリトールを融解させたキシリトール融液を調製した。
(2)実施例1-1と同様にして油性菓子生地1を調製した。流動状態(60℃)である前記油性菓子生地1を80重量部に対して、前記(1)で調製したソルビトール融液10重量部及びキシリトール融液10重量部を90℃となるまで冷却した後に添加して、おだやかに混合した。ソルビトール融液及びキシリトール融液が添加された混合生地97重量部を35℃まで徐冷し、シード剤(不二製油株式会社製、商品名:チョコシードB)3重量部を添加し、更に混合した。
(3)前記(2)でシード剤を混合して得られた混合生地をモールドに充填した後、冷却固化させ、モールドから外した。得られた油性菓子を、25℃で15日間エージングした。
前記(3)で調製された油性菓子について、35℃における耐熱性を評価したところ、35℃における高い耐熱性(評価:B)を有するだけでなく、風味、食感、口どけのいずれも従来のチョコレートと同様に良好であった。風味の中でも甘味については、同一の糖質を用いて従来の製法で製造される油性菓子と同程度であった。
実施例4~7の結果を表4に示した。フルクトース融液(実施例5)、エリスリトール融液(実施例5)、又は、ソルビトール融液及びキシリトール融液(実施例7)を配合して調製された油性菓子は、35℃で1時間静置された後でも変形しない耐熱性を有していた。また、得られた耐熱性を有する油性菓子は、いずれも食感、風味、口どけが従来のチョコレートと同様によいものであった。風味の中でも甘味については、同一の糖質を用いて従来の製法で製造される油性菓子と同程度であった。また、カカオマスを含有しないホワイトチョコレートである油性菓子(実施例4)に対しても、融液状の糖質を添加することにより、35℃で1時間静置された後でも変形しない高い耐熱性を付与することが可能であった。
Figure 0007345461000004
[参考例1]
特許文献1(特表昭61-502938号)に対応する公告公報(特公平2-31934)に記載された実施例1にしたがって、チョコレート混合物200gに対して2gのグリセリンを加えてヘラでかきまぜたところ、グリセリンを添加した直後に固くなり、混合を継続することが不可能であった。
[実施例8]エージング温度の検討(1)
(1)キシリトール結晶粉末を130℃まで加熱して、キシリトールを融解させたキシリトール融液を調製した。
(2)実施例1-1と同様にして油性菓子生地1を調製した。流動状態(46℃)である前記油性菓子生地1を97重量部に対して、前記(1)で調製したキシリトール融液を140℃に調整した後、3重量部となるように添加して、100ml容プラカップ内で軽く混合した後、ホモジナイザー(商品名:ヒスコトロンNS-57S、株式会社マイクロテック・ニチオン製、シャフト形式:NS-20、回転数:1000rpm)を用いて、プラカップの内容物が全体的にシャフトの撹拌部に触れるようにプラカップを動かしながら30秒間撹拌混合した。キシリトール融液が添加された混合生地97重量部を35℃まで徐冷し、シード剤(不二製油株式会社製、商品名:チョコシードB)3重量部を添加し、更に混合した。
(3)前記(2)でシード剤を添加して得られた混合生地をモールドに充填した後、冷蔵庫で20分間静置して冷却固化し、モールドから外した。得られた油性菓子を、13℃~30℃で0日~5日間エージングした。
前記(3)で調製された油性菓子について、45℃における耐熱性を評価した。結果を表5に示した。キシリトール融液を配合して調製された油性菓子を、25℃以上(25℃~30℃)でエージングすることにより得られた油性菓子(試験区8-3~8-6)は、45℃で1時間静置された後でも変形しない耐熱性を有していた(評価:A~C)。また、得られた耐熱性を有する油性菓子は、いずれも食感、風味、口どけが従来のチョコレートと同様によいものであった。風味の中でも甘味については、同一の糖質を用いて従来の製法で製造される油性菓子と同程度であった。尚、結果は示さないが、特許文献2(特開昭59-156246号公報)との比較実験として、下記のキシリトール溶液を水分1.5%の糖溶液に置き換えてエージングの効果を確認したところ、5日目までD評価であった。
Figure 0007345461000005
[実施例9]エージング温度の検討(2)
(1)キシリトール結晶粉末を130℃まで加熱して、キシリトールを融解させたキシリトール融液を調製した。
(2)実施例4と同様にして油性菓子生地4(ホワイトチョコレート生地)を調製した。流動状態(46℃)である前記油性菓子生地4を97重量部に対して、前記(1)で調製したキシリトール融液を140℃に調整した後、3重量部となるように添加して、100ml容プラカップ内で軽く混合した後、ホモジナイザー(商品名:ヒスコトロンNS-57S、株式会社マイクロテック・ニチオン製、シャフト形式:NS-20、回転数:1000rpm)を用いて、プラカップの内容物が全体的にシャフトの撹拌部に触れるようにプラカップを動かしながら10秒間撹拌混合した。キシリトール融液が添加された混合生地97重量部を35℃まで徐冷し、シード剤(不二製油株式会社製、商品名:チョコシードB)3重量部を添加し、更に混合した。
(3)前記(2)でシード剤を添加して得られた混合生地をモールドに充填した後、冷蔵庫で20分間静置して冷却固化し、モールドから外した。得られた油性菓子を、13℃~30℃で0日~5日間エージングした。
前記(3)で調製された油性菓子について、45℃における耐熱性を評価した。結果を表6に示した。キシリトール融液を配合して調製された油性菓子を、28℃以上(28℃~30℃)でエージングすることにより得られた油性菓子(試験区9-3~9-5)は、45℃で1時間静置された後でも変形しない耐熱性を有していた(評価:A~C)。また、得られた耐熱性を有する油性菓子は、いずれも食感、風味、口どけが従来のチョコレートと同様によいものであった。風味の中でも甘味については、同一の糖質を用いて従来の製法で製造される油性菓子と同程度であった。
Figure 0007345461000006
[実施例10]油性菓子生地の温度と、融液状の糖質の温度の影響
(1)キシリトール結晶粉末を130℃まで加熱して、キシリトールを融解させたキシリトール融液を調製した。
(2)実施例1-1と同様にして油性菓子生地1を調製した。流動状態(温度は表7を参照)である前記油性菓子生地1を95重量部に対して、前記(1)で調製したキシリトール融液を特定温度(温度は表7を参照)に調整した後、5重量部となるように添加して、軽く混合した。ただし、試験区10-5については、油性菓子生地1を98重量部に対して、キシリトール融液を2重量部として同様に混合した。キシリトール融液が添加された混合生地97重量部を35℃まで徐冷し、シード剤(不二製油株式会社製、商品名:チョコシードB)3重量部を添加し、更に混合した。
(3)前記(2)でシード剤を添加して得られた混合生地をモールドに充填した後、冷却固化し、モールドから外した。得られた油性菓子を、室温(24℃)で14日間エージングした。
前記(3)で調製された油性菓子について、45℃における耐熱性を評価した。結果を表7に示した。混合前の油性菓子生地の温度を40℃以上(45℃~54℃)として、かつ、融液状の糖質(キシリトール融液)を60℃以上200℃未満(60℃~145℃)に調整して混合し、室温(24℃)でエージングすることにより、得られる油性菓子(試験区10-1、10-6~10-8)は45℃における耐熱性(評価:C~B)を有していた。特に、油性菓子生地と融液状の糖質を混合した生地の温度が50℃を超える場合(試験区10-6~10-8)については、得られる油性菓子は優れた高い耐熱性(評価:B)を有していた。
Figure 0007345461000007
[実施例11]エージング温度の検討
(1)キシリトール結晶粉末を130℃まで加熱して、キシリトールを融解させたキシリトール融液を調製した。
(2)実施例1-1と同様にして油性菓子生地1を調製した。流動状態(温度は表8を参照)である前記油性菓子生地1を100重量部~97重量部に対して、前記(1)で調製したキシリトール融液を140℃に調整した後、0重量部~3重量部となるように添加して、100ml容プラカップ内で軽く混合した後、ホモジナイザー(商品名:ヒスコトロンNS-57S、株式会社マイクロテック・ニチオン製、シャフト形式:NS-20、回転数:1000rpm)を用いて、プラカップの内容物が全体的にシャフトの撹拌部に触れるようにプラカップを動かしながら30秒間撹拌混合した。キシリトール融液が添加された混合生地97重量部を35℃まで徐冷し、シード剤(不二製油株式会社製、商品名:チョコシードB)3重量部を添加し、更に混合した。
(3)前記(2)でシード剤を混合して得られた混合生地をモールドに充填した後、冷却固化し、モールドから外した。得られた油性菓子を、25℃又は28℃で0日~3日間エージングした。
前記(3)で調製された油性菓子について、45℃における耐熱性を評価した。結果を表8に示した。混合生地中に融液状の糖質(キシリトール融液)を0重量%~1重量%配合した試験区においては、25℃~28℃で3日間エージングした後に耐熱性を有する油性菓子を得ることができなかった(指でつかめる状態ではなかった)。融液状の糖質を2重量%以上配合した試験区においては、25℃及び28℃のいずれのエージング温度においても、耐熱性を有する油性菓子を得ることができた(評価:C~A)。エージング温度が25℃よりも28℃の方が、より高い耐熱性を有する油性菓子を得ることができた(評価:B~A)。得られた耐熱性を有する油性菓子は、いずれも食感、風味、口どけが従来のチョコレートと同様によいものであった。風味の中でも甘味については、同一の糖質を用いて従来の製法で製造される油性菓子と同程度であった。
Figure 0007345461000008
[実施例12]耐熱性を有する油性菓子の硬度(1)
(1)キシリトール結晶粉末を130℃まで加熱して、キシリトールを融解させたキシリトール融液を調製した。
(2)実施例1-1と同様にして油性菓子生地1を調製した。流動状態(40℃)である前記油性菓子生地1を98又は97重量部に対して、前記(1)で調製したキシリトール融液を140℃に調整した後、2又は3重量部となるように添加して、100ml容プラカップ内で軽く混合した後、ホモジナイザー(商品名:ヒスコトロンNS-57S、株式会社マイクロテック・ニチオン製、シャフト形式:NS-20、回転数:1000rpm)を用いて、プラカップの内容物が全体的にシャフトの撹拌部に触れるようにプラカップを動かしながら30秒間撹拌混合した。キシリトール融液が添加された混合生地97重量部を35℃まで徐冷し、シード剤(不二製油株式会社製、商品名:チョコシードB)3重量部を添加し、更に混合した。
(3)前記(2)でシード剤を混合して得られた混合生地をモールドに充填した後、冷却固化し、モールドから外した。得られた油性菓子を、28℃で0日~4日間エージングした。
前記(3)で調製された油性菓子について、40℃及び45℃における耐熱性を評価した。結果を表9に示した。全ての試験区において、高い耐熱性を有する油性菓子が得られた。融液状の糖質の配合量が3重量%である油性菓子は、同配合量が2重量%の油性菓子よりも高い硬度を有していた。同じ条件で製造された油性菓子について、45℃で1時間静置された後に測定した硬度は、40℃で1時間静置された油性菓子の硬度よりも高い値を示す傾向がみられた。いずれの試験区においても、28℃でのエージング2日目~3日目に急激に硬度が上昇した。高い耐熱性を有する油性菓子(評価:B~A)は、硬度が100gf以上を示した。得られた耐熱性を有する油性菓子は、いずれも食感、風味、口どけが従来のチョコレートと同様によいものであった。風味の中でも甘味については、同一の糖質を用いて従来の製法で製造される油性菓子と同程度であった。
Figure 0007345461000009
[実施例13]耐熱性を有する油性菓子の硬度(2)
(1)キシリトール結晶粉末を130℃まで加熱して、キシリトールを融解させたキシリトール融液を調製した。
(2)実施例1-1と同様にして油性菓子生地1を調製した。流動状態(温度は表10を参照)である前記油性菓子生地1を95又は97重量部に対して、前記(1)で調製したキシリトール融液を140℃に調整した後、5又は3重量部となるように添加して、軽く混合した後、ミキサー(商品名:ケンミックスKMM770、デロンギ・ジャパン株式会社、撹拌子:ホイッパー)を用いて撹拌混合した(混合条件は表10を参照)。キシリトール融液が添加された混合生地97重量部を35℃まで徐冷し、シード剤(不二製油株式会社製、商品名:チョコシードB)3重量部を添加し、更に混合した。
(3)前記(2)でシード剤を混合して得られた混合生地をモールドに充填した後、冷却固化し、モールドから外した。得られた油性菓子を、室温(26℃~28℃)でエージングした(エージング時間は表10を参照)。
前記(3)で調製された油性菓子について、45℃における耐熱性を評価した。結果を表10に示した。
温度が30℃である油性菓子生地97重量部に対して140℃に調整された融液状の糖質(キシリトール融液)を3重量部配合して室温(26℃~28℃)で4日間エージングされた油性菓子は、耐熱性を有していた(45℃における評価:C、硬度:207gf、40℃における硬度:143gf)。
また、油性菓子生地95重量部に対して90℃に調整された融液状の糖質(キシリトール融液)を5重量部配合して室温(26℃~28℃)で3日~9日間エージングされた油性菓子は、高い耐熱性を有していた(45℃における耐熱性評価:B~A、45℃における硬度:400gf~677gf、40℃における硬度:293gf~567gf)。得られた耐熱性を有する油性菓子は、いずれも食感、風味、口どけが従来のチョコレートと同様によいものであった。風味の中でも甘味については、同一の糖質を用いて従来の製法で製造される油性菓子と同程度であった。
Figure 0007345461000010
[実施例14]耐熱性を有する油性菓子の硬度(3)
(1)キシリトール結晶粉末を130℃まで加熱して、キシリトールを融解させたキシリトール融液を調製した。
(2)実施例1-1と同様にして油性菓子生地1を調製した。流動状態(31℃)である前記油性菓子生地1を95重量部又は97重量部に対して、前記(1)で調製したキシリトール融液を140℃に調整した後、5重量部又は3重量部となるように添加して、軽く混合した後、ミキサー(商品名:ケンミックスKMM770、デロンギ・ジャパン株式会社、撹拌子:ホイッパー)を用いて10分間撹拌混合した。キシリトール融液が添加された混合生地97重量部を35℃まで徐冷し、シード剤(不二製油株式会社製、商品名:チョコシードB)3重量部を添加し、更に混合した。
(3)試験区14-1、14-2:前記(2)でシード剤を混合して得られた混合生地をモールドに充填した後、冷蔵庫で30分冷却固化し、モールドから外し、室温(26℃~28℃)で5日間エージングした。更に、45℃で2時間、4時間又は24時間静置してエージングした。
試験区14-3:前記(2)でシード剤を混合して得られた混合生地をモールドに充填した後、冷却固化及び脱型は行わず、モールドに充填したまま45℃で24時間静置することによりエージングした。
試験区14-4:前記(2)でシード剤を混合して得られた混合生地をモールドに充填した後、冷蔵庫で30分冷却固化し、モールドから外した後、45℃で2時間、4時間又は24時間静置することによりエージングした。
前記(3)で調製された油性菓子について、耐熱性を評価した。結果を表11に示した。
試験区14-1、14-2:室温でエージングした後のサンプルについて耐熱性を評価した。硬度測定には、室温で5日間エージングした後に45℃で2時間、4時間、24時間エージングしたサンプルを用いた。なお、本試験区では、硬度測定前に45℃で1時間静置する操作は実施せず、エージング直後のサンプルの硬度を測定した。
試験区14-3:エージング後の油性菓子は、指で押しても変形しない程度に固化していた(耐熱性評価:A)。ただし、エージング後のサンプルを30分間冷蔵庫で冷却した後、モールドから外そうとしたところ、外すことができなかったため、硬度測定は実施できなかった。
試験区14-4:45℃でエージングした直後のサンプルを耐熱性評価及び硬度測定に供した。硬度測定は、試験区14-1~2と同様に、エージング直後に実施した。
本実施例の全ての試験区において、高い耐熱性を有する油性菓子が得られた。いずれの試験区の油性菓子においても、融液状の糖質と混合後に45℃で静置された時間が長くなるほど硬度が上昇した。45℃で24時間静置した後の油性菓子の硬度は、測定上限の2000gfを超える値を示し、いずれも指で押した時に硬く感じられた。得られた耐熱性を有する油性菓子は、いずれも食感、風味、口どけが従来のチョコレートと同様によいものであった。風味の中でも甘味については、同一の糖質を用いて従来の製法で製造される油性菓子と同程度であった。試験区14-3においては、混合生地を冷却固化させずに、モールドに充填されたまま45℃でエージングすることにより、著しく高い耐熱性を有する油性菓子を得ることができた。
Figure 0007345461000011
[実施例15]耐熱性を有する油性菓子の硬度(4)
(1)キシリトール結晶粉末を130℃まで加熱して、キシリトールを融解させたキシリトール融液を調製した。
(2)実施例1-1と同様にして油性菓子生地1を調製した。流動状態(31℃)である前記油性菓子生地1を95重量部又は97重量部に対して、前記(1)で調製したキシリトール融液を140℃に調整した後、5重量部又は3重量部となるように添加して、軽く混合した後、ミキサー(商品名:ケンミックスKMM770、デロンギ・ジャパン株式会社、撹拌子:ホイッパー)を用いて10分間撹拌混合した。キシリトール融液が添加された混合生地97重量部を35℃まで徐冷し、シード剤(不二製油株式会社製、商品名:チョコシードB)3重量部を添加し、更に混合した。
(3)試験区15-1、15-2:前記(2)でシード剤を混合して得られた混合生地をモールドに充填した後、冷蔵庫で20分冷却固化し、モールドから外し、室温(26℃~28℃)で6日間エージングした。その後更に35℃で1時間又は24時間静置してエージングした。
試験区15-3:前記(2)でシード剤を混合して得られた混合生地をモールドに充填した後、冷却固化及び脱型は行わず、モールドに充填したまま35℃で24時間静置することによりエージングした。
試験区15-4:前記(2)でシード剤を混合して得られた混合生地をモールドに充填した後、冷蔵庫で30分冷却固化し、モールドから外し、35℃で24時間静置することによりエージングした。
前記(3)で調製された油性菓子について、耐熱性を評価した。
試験区15-1、15-2:室温でエージングした後のサンプルについて耐熱性を評価した。硬度測定には、室温でのエージング後に35℃で1時間又は24時間静置したサンプルを用いた。前記に加えて、前記35℃24時間静置したサンプルを更に常温(26℃~28℃)で72時間静置した後の硬度も測定した。なお、硬度測定は、サンプルを45℃で1時間静置した後に実施した。
試験区15-3:エージング後の油性菓子は、指で押しても変形しない程度に固化していた(耐熱性評価:A)。エージング後に、30分間冷蔵庫で冷却した後、モールドから外して、更に常温(26℃~28℃)で72時間静置したサンプルを、45℃で1時間静置した後、硬度を測定した。
試験区15-4:35℃で24時間エージングした後のサンプルの耐熱性を評価した。硬度測定には、前記サンプルに加えて、35℃24時間静置した後に更に常温(26℃~28℃)で72時間静置したサンプルの硬度も測定した。なお、硬度測定には、45℃で1時間静置した後のサンプルを用いた。
本実施例の全ての試験区において、高い耐熱性を有する油性菓子が得られた。試験区15-1及び15-2によると、融液状の糖質と混合後に35℃で静置された時間が長くなるほど硬度が上昇した。ただし、実施例14の45℃で静置された油性菓子よりも硬度は低かった。得られた耐熱性を有する油性菓子は、いずれも食感、風味、口どけが従来のチョコレートと同様によいものであった。風味の中でも甘味については、同一の糖質を用いて従来の製法で製造される油性菓子と同程度であった。試験区15-3においては、混合生地を冷却固化させずに、モールドに充填されたまま35℃でエージングすることにより、著しく高い耐熱性を有する油性菓子を得ることができた。モールド充填後35℃エージング品は、冷却固化して型から外す際に、形崩れ等の発生もなく、その後常温で3日間保存した後にブルーム等の明らかな外観不良も発生しなかった。
Figure 0007345461000012
[実施例16]ソルビトール融液及びソルビトール種結晶を配合した耐熱性油性菓子
(1)ソルビトール結晶粉末を120℃まで加熱して、ソルビトールを融解させたソルビトール融液を調製した。
(2)カカオマス20重量部、ココアバター17.5重量部、全粉乳20重量部、乳化剤(レシチン)0.5重量部、香料0.1重量部、砂糖41重量部、上記ソルビトール結晶粉末1重量部を種結晶として常法により混合、粉砕及びコンチングして油性菓子生地を調製した。流動状態(50℃)である前記油性菓子生地を99重量部に対して、前記(1)で調製したソルビトール融液を90℃まで冷却した後に1重量部となるように添加して、おだやかに混合した。更にココアバターを添加混合して、前記混合生地中に含まれる油分を35重量%となるように調整した。油分を調整した後の混合生地97重量部を35℃まで徐冷し、シード剤(不二製油株式会社製、商品名:チョコシードB)3重量部を添加し、更に混合した。
(3)前記(2)でシード剤を混合して得られた混合生地をモールドに充填した後、冷却固化させ、モールドから外して油性菓子を得た。得られた油性菓子を、25℃で10日間エージングした。
前記(3)で調製された油性菓子について耐熱性を評価したところ、35℃における高い耐熱性(評価:B)を有するだけでなく、風味、食感、口どけのいずれも従来のチョコレートと同様に良好であった。風味の中でも甘味については、同一の糖質を用いて従来の製法で製造される油性菓子と同程度であった。
[参考例2-1]
(1)ソルビトール結晶粉末を120℃まで加熱して、ソルビトールを融解させたソルビトール融液を調製した。
(2)実施例16(2)に記載した油性菓子生地配合において、ソルビトール結晶粉末(種結晶)を含まない油性菓子生地を同様の手順で調製した。流動状態(50℃)である前記油性菓子生地を95重量部に対して、前記(1)で調製したソルビトール融液を90℃まで冷却した後に5重量部となるように添加して、おだやかに混合した。前記混合時の生地に含まれる油分は33重量%であった。ソルビトール融液を混合した後の混合生地97重量部を35℃まで徐冷し、シード剤(不二製油株式会社製、商品名:チョコシードB)3重量部を添加し、更に混合した。
(3)前記(2)でシード剤を混合して得られた混合生地をモールドに充填した後、冷却固化させ、モールドから外して油性菓子を得た。得られた油性菓子を、25℃でエージングした。
前記(3)において、35℃における高い耐熱性(評価:B)を有する油性菓子を得るまでに必要なエージング時間は20日間であった。ただし、得られた油性菓子は、風味、食感、口どけのいずれも従来のチョコレートと同様に良好であった。風味の中でも甘味については、同一の糖質を用いて従来の製法で製造される油性菓子と同程度であった。
[参考例2-2]
参考例2-1(2)において、油性菓子生地を90重量部に対して、ソルビトール融液を10重量部となるように添加混合する以外は、参考例2-1と同様の手順で油性菓子を調製した。工程(3)において、35℃における高い耐熱性(評価:B)を有する油性菓子を得るまでに必要なエージング時間は20日間であった。ただし、得られた油性菓子は、風味、食感、口どけのいずれも従来のチョコレートと同様に良好であった。風味の中でも甘味については、同一の糖質を用いて従来の製法で製造される油性菓子と同程度であった。
[参考例2-3]
参考例2-1(2)において、油性菓子生地を80重量部に対して、ソルビトール融液を20重量部となるように添加混合する以外は、参考例2-1と同様の手順で油性菓子を調製した。工程(3)において、35℃における高い耐熱性(評価:B)を有する油性菓子を得るまでに必要なエージング時間は15日間であった。ただし、得られた油性菓子は、風味、食感、口どけのいずれも従来のチョコレートと同様に良好であった。風味の中でも甘味については、同一の糖質を用いて従来の製法で製造される油性菓子と同程度であった。
[比較例4-1]
参考例2-1(2)で調製した油性菓子生地を50重量部に対して、実施例16の(1)で調製したソルビトール融液50重量部を90℃まで冷却した後に添加して、おだやかに混合した。混合された生地は、乳化状態がW/O型からO/W型へ変化したため、実施例16と同様の手順で油性菓子を成形することができなかった。
[比較例4-2]
参考例2-1(2)で調製した油性菓子生地を用いて、ソルビトール融液を配合せずに、実施例16と同様の手順で油性菓子を調製した。得られた油性菓子を、35℃で1時間静置したところ、静置前の形状が保たれていなかった。(評価:D)。
[比較例4-3]
参考例2-1(2)で調製した油性菓子生地を95重量部に対して、実施例16の(1)で使用したソルビトール粉末5重量部を添加して、おだやかに混合した後、実施例16と同様の手順で油性菓子を調製した。得られた油性菓子を、35℃で1時間静置したところ、静置前の形状が保たれていなかった。(評価:D)。
実施例16、参考例2-1~3、比較例4-1~3の結果を表13に示した。融液状の糖質を配合しない油性菓子生地を用いて得られた油性菓子(比較例4-2、4-3)は、35℃における高い耐熱性を有していなかった。種結晶を含まない油性菓子生地を用いて、5重量%~20重量%のソルビトール融液を配合して調製された油性菓子(参考例2-1~3、比較例4-1)は、35℃で1時間静置された後でも変形しない高い耐熱性(評価:B)を有していたが、耐熱性を発現するまでに必要なエージング時間(エージング温度:25℃)は15日~20日間であった。一方、実施例16では、油性菓子生地に対して融液状の糖質に加えて種結晶を配合することにより、高い耐熱性(評価:B)を発現するまでに必要なエージング時間は、エージング温度が同じ25℃であるにも関わらず、5日以上短い10日間となった。また、油性菓子生地に対する融液状の糖質の配合量が5重量%~20重量%よりも低い配合量であっても、種結晶が配合された油性菓子生地を用いることにより、同程度の高い耐熱性(評価:B)を有する油性菓子を得ることができた(実施例16:種結晶1重量%含有する油性菓子生地99重量部に対して1重量部の融液状の糖質を配合)。
Figure 0007345461000013
[実施例17]キシリトール融液及びキシリトール種結晶を配合した耐熱性油性菓子
(1)キシリトール結晶粉末を130℃まで加熱して、キシリトールを融解させたキシリトール融液を調製した。
(2)カカオマス20重量部、ココアバター17.5重量部、全粉乳20重量部、乳化剤(レシチン)0.5重量部、香料0.1重量部、砂糖41重量部、キシリトール結晶粉末(種結晶)1重量部を常法により混合、粉砕及びコンチングして油性菓子生地を調製した。流動状態(60℃)である前記油性菓子生地3を99重量部に対して、前記(1)で調製したキシリトール融液を90℃まで冷却した後、1重量部となるように添加しておだやかに混合した。更にココアバターを添加混合して、前記混合生地中に含まれている油分が35重量%となるように調整した。キシリトール融液を混合した後の混合生地97重量部を35℃まで徐冷し、シード剤(不二製油株式会社製、商品名:チョコシードB)3重量部を添加し、更に混合した。
(3)前記(2)でシード剤を混合して得られた混合生地をモールドに充填した後、冷却固化させ、モールドから外した。得られた油性菓子を、25℃で5日間エージングした。
前記(3)で調製された油性菓子について耐熱性を評価したところ、45℃における高い耐熱性(評価:B)を有するだけでなく、風味、食感、口どけのいずれも従来のチョコレートと同様に良好であった。風味の中でも甘味については、同一の糖質を用いて従来の製法で製造される油性菓子と同程度であった。
[参考例3-1]
(1)キシリトール結晶粉末を110℃まで加熱して、キシリトールを融解させたキシリトール融液を調製した。
(2)実施例17(2)に記載した油性菓子生地配合において、キシリトール結晶粉末(種結晶)を含まない油性菓子生地を同様の手順で調製した。流動状態(60℃)である前記油性菓子生地を95重量部に対して、前記(1)で調製したキシリトール融液を90℃まで冷却した後、5重量部となるように添加して、おだやかに混合した。前記混合時の生地に含まれる油分は33重量%であった。キシリトール融液を混合した後の混合生地97重量部を35℃まで徐冷し、シード剤(不二製油株式会社製、商品名:チョコシードB)3重量部を添加し、更に混合した。
(3)前記(2)でシード剤を混合して得られた混合生地をモールドに充填した後、冷却固化させ、モールドから外した。得られた油性菓子を、25℃でエージングした。
前記(3)において、35℃における耐熱性(評価:A)を有する油性菓子を得るまでに必要なエージング時間は14日間であった。ただし、得られた油性菓子は、風味、食感、口どけのいずれも従来のチョコレートと同様に良好であった。風味の中でも甘味については、同一の糖質を用いて従来の製法で製造される油性菓子と同程度であった。
[比較例5-1]
参考例3-1(2)で調製した油性菓子生地を95重量部に対して、参考例3-1(1)で使用したキシリトール結晶粉末5重量部を添加して、おだやかに混合した後、参考例3-1(3)と同様の手順で油性菓子を調製した。得られた油性菓子を35℃で1時間静置したところ、静置前の形状が保たれていなかった。(評価:D)。
[参考例3-2]
参考3-1(2)において、油性菓子生地を90重量部に対して、キシリトール融液を10重量部となるように添加混合する以外は、参考例3-1と同様の手順で油性菓子を調製した。工程(3)において、35℃における著しく高い耐熱性(評価:A)を有する油性菓子を得るまでに必要なエージング時間は1日間であった。得られた油性菓子は、風味、食感、口どけのいずれも従来のチョコレートと同様に良好であった。風味の中でも甘味については、同一の糖質を用いて従来の製法で製造される油性菓子と同程度であった。ただし、工程(2)において、キシリトール融液と油性菓子生地を均一に混合することは可能だったが、一般的な充填機を用いた型への充填作業を行うことは困難であった。
実施例17、参考例3-1、比較例5-1、参考例3-2の結果を表14に示した。融液状の糖質を配合しない油性菓子生地を用いて得られた油性菓子(比較例5-1)は、35℃における高い耐熱性を有していなかった。種結晶を含まない油性菓子生地にキシリトール融液を配合して調製された油性菓子(参考例3-1)は、35℃で1時間静置された後でも変形しない著しく高い耐熱性(評価:A)を有していたが、耐熱性を発現するまでに必要なエージング時間(エージング温度:25℃)は14日間であった。一方、実施例17は、油性菓子生地に対して融液状の糖質に加えて種結晶を配合することにより、同じ25℃でエージングしたにもかかわらず、耐熱性(評価:B)を発現するまでに必要なエージング時間は5日間であり、種結晶を含まない場合よりも9日間短縮することができた。なお、キシリトール融液を10重量%配合した油性菓子(参考例3-2)は、25℃で1日間エージングすることにより35℃における著しく高い耐熱性(評価:A)を有していたが、一般的な充填機を用いた充填作業を行うことは困難であった。実施例17においては、充填作業は何ら問題なく進めることが可能であった。
Figure 0007345461000014
[参考例4]油性菓子生地の温度と、融液状の糖質の温度の影響
(1)キシリトール結晶粉末を130℃まで加熱して、キシリトールを融解させたキシリトール融液を調製した。
(2)カカオマス20重量部、ココアバター17.5重量部、全粉乳20重量部、乳化剤(レシチン)0.5重量部、香料0.1重量部、砂糖42重量部を常法により混合、粉砕及びコンチングして油性菓子生地を調製した。流動状態(温度は表15を参照)である前記油性菓子生地を95重量部に対して、前記(1)で調製したキシリトール融液を特定温度(温度は表15を参照)に調整した後、5重量部となるように添加して、手早く混合した。ただし、試験区7-5については、油性菓子生地を98重量部に対して、キシリトール融液を2重量部として同様に混合した。前記キシリトール融液混合生地97重量部を35℃まで徐冷し、シード剤(不二製油株式会社製、商品名:チョコシードB)3重量部を添加し、更に混合した。
(3)前記(2)でシード剤を添加して得られた混合生地をモールドに充填した後、冷却固化し、モールドから外した。得られた油性菓子を、室温(24℃)で14日間エージングした。
前記(3)で調製された油性菓子について、45℃における耐熱性を評価した。結果を表15に示した。混合前の油性菓子生地の温度を40℃以上(45℃~54℃)として、かつ、融液状の糖質(キシリトール融液)を60℃以上200℃未満(60℃~145℃)に調整して混合し、室温(24℃)でエージングすることにより、得られる油性菓子(試験区7-1、7-5~7-8)は45℃における耐熱性(評価:C~B)を有していた。特に、油性菓子生地と融液状の糖質を混合した生地の温度が50℃を超える場合(試験区7-6~7-8)については、得られる油性菓子は高い耐熱性(評価:B)を有していた。
Figure 0007345461000015
[実施例18]キシリトール融液を配合した耐熱性油性菓子(1)
(1)キシリトール結晶粉末を130℃まで加熱して、キシリトールを融解させたキシリトール融液を調製した。
(2)カカオマス20重量部、ココアバター17.5重量部、全粉乳20重量部、乳化剤(レシチン)0.5重量部、香料0.1重量部、砂糖42重量部を常法により混合、粉砕及びコンチングして油性菓子生地1を調製した。流動状態(31℃~37℃)である前記油性菓子生地1を95重量部に対して、前記(1)で調製したキシリトール融液を65℃~140℃に調整した後に5重量部となるように添加して、ゴムべらで軽く撹拌して混合した。続いて、ホモジナイザー(商品名:ヒスコトロンNS-57S、株式会社マイクロテック・ニチオン製、シャフト形式:NS-20)又はミキサー(商品名:ケンミックスKMM770、デロンギ・ジャパン株式会社製、撹拌子:ホイッパー)を用いて、30秒~10分間せん断混合した。各試験区における油性菓子生地とキシリトール融液の温度、混合条件を表16に示した。前記混合時の生地に含まれる油分は34重量%であった。キシリトール融液が添加された混合生地97重量部を35℃まで徐冷し、シード剤(不二製油株式会社製、商品名:チョコシードB)3重量部を添加し、更に混合した。
(3)前記(2)でシード剤を混合して得られた混合生地をモールドに充填した後、冷却固化し、モールドから外した。得られた油性菓子を、24℃~28℃で1日~9日間エージングした。
前記(3)で調製された油性菓子について、45℃における耐熱性を評価した。キシリトール融液を油性菓子全重量中に5重量%配合された油性菓子は、実施例18の全試験区の油性菓子は、9日以下のエージング時間によって45℃における耐熱性(評価:A~C)を有するだけでなく、風味、食感、口どけのいずれも従来のチョコレートと同様に良好であった。風味の中でも甘味については、同一の糖質を用いて従来の製法で製造される油性菓子と同程度であった。
実施例18-4、18-5、18-10、18-11で得られた油性菓子の硬度を測定した。ただし、硬度測定前の静置温度と静置時間は、以下のとおりとした。
実施例18-4:35℃で1時間静置
実施例18-5:45℃で2時間静置
実施例18-10、18-11:45℃で1時間静置
結果を表16に示した。いずれの実施例についても、硬度は100gf以上であった。
[比較例6]キシリトール融液を配合していない耐熱性油性菓子
比較例6-1
実施例18において、キシリトール融液を添加せず、油性菓子生地1をホモジナイザーで10,000rpmで15秒せん断混合した後、実施例18と同様の手順で油性菓子を調整した。エージングは室温(24℃)で15日間行ったが、35℃における耐熱性を有する油性菓子は得られなかった(評価:D)。
[参考例5]キシリトール融液を配合していない耐熱性油性菓子
参考例5-1~5-4
実施例18の(2)において、せん断混合を行わず、ゴムべらで軽く撹拌することにより混合する以外は、実施例18と同様の手順で油性菓子を調製した。ただし、油性菓子のエージングは24℃~25℃で実施した。各試験区の油性菓子生地とキシリトール融液の温度は、表16に示した。
実施例18-1~11及び比較例6-1、参考例5-1~4の結果を表16に示した。参考例5-1~4が示すように、せん断混合工程を含まない製造方法により耐熱性チョコレートを得るためにはエージング時間として14日間必要であった。一方、実施例18-1~11が示すように、せん断混合工程を実施することにより、45℃における耐熱性を有する油性菓子を得るために必要なエージング時間は1日~9日間となった。すなわち、せん断混合を行うことにより、耐熱性チョコレートを得るまでに必要なエージング時間は5日~13日間短縮された。
Figure 0007345461000016
[実施例19]キシリトール融液を配合した耐熱性油性菓子(2)
(1)キシリトール結晶粉末を130℃まで加熱して、キシリトールを融解させたキシリトール融液を調製した。
(2)カカオマス20重量部、ココアバター17.5重量部、全粉乳20重量部、乳化剤(レシチン)0.5重量部、香料0.1重量部、砂糖42重量部を常法により混合、粉砕及びコンチングして油性菓子生地1を調製した。流動状態(31℃~44℃)である前記油性菓子生地1を97重量部に対して、前記(1)で調製したキシリトール融液を140℃に調整した後に3重量部となるように添加して、ゴムべらで軽く撹拌して混合した。続いて、ホモジナイザー(商品名:ヒスコトロンNS-57S、株式会社マイクロテック・ニチオン製、シャフト形式:NS-20)又はミキサー(商品名:ケンミックスKMM770、デロンギ・ジャパン株式会社製、撹拌子:ホイッパー)を用いて、30秒~10分間せん断混合した。各試験区における油性菓子生地とキシリトール融液の温度、混合条件を表17に示した。前記混合時の生地に含まれる油分は34重量%であった。キシリトール融液が添加された混合生地97重量部を35℃まで徐冷し、シード剤(不二製油株式会社製、商品名:チョコシードB)3重量部を添加し、更に混合した。
(3)実施例19-1~19-6、19-11:前記(2)でシード剤を混合して得られた混合生地をモールドに充填した後、冷却固化し、モールドから外した。得られた油性菓子を、25℃~45℃で1時間~5日間エージングした。
実施例19-7、19-10:前記(2)でシード剤を混合して得られた混合生地をモールドに充填した後、冷却固化せずに、モールドに入れた状態で35℃(実施例19-10)又は45℃(実施例19-1)で1日間エージングした。
実施例19-8、19-9:前記(2)でシード剤を混合して得られた混合生地をモールドに充填した後、冷却固化し、モールドから外した。実施例19-8では、得られた油性菓子を45℃で2時間エージングした。実施例19-9では、得られた油性菓子を35℃で1時間エージングした。
前記(3)のエージング後の油性菓子について、45℃における耐熱性を評価した。実施例19により得られた油性菓子は、45℃における耐熱性(評価:A~C)を有するだけでなく、風味、食感、口どけのいずれも従来のチョコレートと同様に良好であった。風味の中でも甘味については、同一の糖質を用いて従来の製法で製造される油性菓子と同程度であった。実施例19においては、耐熱性が得られるまでに必要なエージング時間は1時間~5日間であり、前記した参考例5-1~5-4における14日間よりも9日以上短縮された。
Figure 0007345461000017
実施例19-3~19-6、19-8、19-9、19-11で得られた油性菓子の硬度を測定した。ただし、硬度測定前の静置温度と静置時間は、以下のとおりとした。
実施例19-3~19-5、19-11:45℃で1時間静置
実施例19-6:45℃で2時間静置
実施例19-8、19-9:エージング直後に硬度測定
結果を表17に示した。いずれの実施例についても、硬度は100gf以上であった。
[実施例20]キシリトール融液を配合した耐熱性油性菓子(3)
(1)キシリトール結晶粉末を130℃まで加熱して、キシリトールを融解させたキシリトール融液を調製した。
(2)カカオマス20重量部、ココアバター17.5重量部、全粉乳20重量部、乳化剤(レシチン)0.5重量部、香料0.1重量部、砂糖42重量部を常法により混合、粉砕及びコンチングして油性菓子生地1を調製した。流動状態(35℃)である前記油性菓子生地1を97重量部に対して、前記(1)で調製したキシリトール融液を140℃に調整した後に3重量部となるように添加した。続いて、ミキサー(商品名:モンドミックス、株式会社モンドミックス・ジャパン社製)を用いて、ポンプ送液量40kg/hとして、表18に示した回転数によりせん断混合した。前記混合時の生地に含まれる油分は34重量%であった。キシリトール融液が添加された混合生地97重量部を35℃まで徐冷し、シード剤(不二製油株式会社製、商品名:チョコシードB)3重量部を添加し、更に混合した。
(3)前記(2)でシード剤を混合して得られた混合生地をモールドに充填した後、冷却固化し、モールドから外した後、油性菓子を得た。
前記(3)で調製された油性菓子を45℃で1時間静置した後、耐熱性を評価した。実施例20により得られた油性菓子は、耐熱性(評価:B~C)を有するだけでなく、風味、食感、口どけのいずれも従来のチョコレートと同様に良好であった。風味の中でも甘味については、同一の糖質を用いて従来の製法で製造される油性菓子と同程度であった。実施例20においては、耐熱性が得られるまでに必要なエージング時間は実質的に1時間であり、前記した参考例5-1~5-4における14日間よりも大幅に短縮された。
Figure 0007345461000018

Claims (19)

  1. 耐熱性を有する油性菓子の製造方法であって、
    室温で固体の糖質であって、加熱により融液状となっている糖質を、油性菓子の全重量に対して0.5重量%以上~50重量%未満となるように油性菓子生地と混合して混合生地を得る工程を含む、方法。
  2. 融液状の糖質が、溶媒の不在下で、糖質のみを加熱することで調製される、請求項1に記載の方法。
  3. 更に、混合生地を得る工程の後に、混合生地を成形及びエージングする工程を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. エージングを24℃以上で行う、請求項3に記載の方法。
  5. 融液状の糖質と混合する時の油性菓子生地の温度が30℃~65℃である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 油性菓子生地と混合する時の融液状の糖質の温度が60℃以上200℃未満である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 融液状の糖質が、キシリトール、ソルビトール、フルクトース、エリスリトールのいずれか1種、又は前記糖質を2種以上組み合わせたものである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 融液状の糖質と混合する前の油性菓子生地に含まれる油分が40重量%以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 融液状の糖質が、油性菓子の全重量に対して2重量%~20重量%となるように油性菓子生地と混合される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 油性菓子生地に融液状の糖質の種結晶が配合されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  11. 融液状の糖質が、油性菓子の全重量に対して0.5重量%~20重量%となるように油性菓子生地と混合される、請求項10に記載の方法。
  12. 混合生地を得る工程において、混合生地が、せん断作用を与えながら融液状の糖質と油性菓子生地とを混合することにより得られる、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  13. 融液状の糖質が、油性菓子の全重量に対して1重量%~20重量%となるように油性菓子生地と混合される、請求項12に記載の方法。
  14. 融液状の糖質を混合する前の油性菓子生地に含まれる油分が40重量%以下である、請求項12又は13に記載の方法。
  15. 請求項1~14のいずれか一項に記載の方法により得られる、油性菓子。
  16. 室温で固体の糖質であって、加熱により融液状となっている糖質を油性菓子生地に添加することにより、油性菓子の耐熱性を向上させる方法。
  17. 融液状の糖質を添加する前の油性菓子生地が流動状態にある、請求項16に記載の方法。
  18. 室温で固体の糖質であって、加熱により融液状となっている糖質を有効成分として含む、油性菓子に対する耐熱性付与剤。
  19. 更に、当該融液状の糖質の種結晶を有効成分として含む、請求項18に記載の耐熱性付与剤。
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