JP2023019597A - 油性菓子製造用の含水組成物、油性菓子の製造方法、油性菓子生地、及び油性菓子 - Google Patents

油性菓子製造用の含水組成物、油性菓子の製造方法、油性菓子生地、及び油性菓子 Download PDF

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Kiyomi Onishi
翔 中川
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Abstract

【課題】本発明の課題は、耐熱性を有する油性菓子の製造におけるキュアリング時間を短縮できる技術を提供することである。【解決手段】本発明は、油性菓子製造用の含水組成物であって、前記含水組成物が、水と、エタノールとを含み、前記水と、前記エタノールとの質量比が10:90~90:10である、含水組成物を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、油性菓子製造用の含水組成物、油性菓子の製造方法、油性菓子生地、及び油性菓子に関する。
チョコレート等の油性菓子は、油脂中に固体粒子が分散した構造を有する。したがって、油脂の融点が低いと、油性菓子は暑熱環境下で融け、保形性等の品質が損なわれる。
そのため、油性菓子に対し、耐熱性を付与するための各種方法が開発されている。
例えば、油性菓子に耐熱性を付与する方法として、油性菓子生地に少量の水等を添加することで糖骨格を形成し、暑熱環境下での保形性を高める方法が挙げられる。
また、特許文献1には、耐熱性を有する油性菓子の製造方法として、アモルファス糖を含有した油性菓子生地に、95.0~99.8容量%のエタノール溶液を均一に混合し、ただちに成形、固化させた後、一定期間保管する方法が開示されている。
特開2015-164405号公報
ここで、油性菓子中に充分な糖骨格を形成する場合、油性菓子生地に水等を添加した後、糖骨格を形成するために、「キュアリング」と呼ばれる保温工程を要する。キュアリングには、通常、4日~1週間程度の時間がかかる。
しかし、耐熱性を有する油性菓子の製造における製造期間の短縮や製造コストの削減等の観点から、キュアリング時間の短縮に対するニーズがある。
本発明は以上の実情に鑑みてなされたものであり、耐熱性を有する油性菓子の製造におけるキュアリング時間を短縮できる技術を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、水とともにエタノールを含む含水組成物によれば、上記課題を解決できる点を見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下を提供する。
(1) 油性菓子製造用の含水組成物であって、
前記含水組成物が、水と、エタノールとを含み、
前記水と、前記エタノールとの質量比が10:90~90:10である、
含水組成物。
(2) 前記含水組成物のBrix値が、50以上80以下である、(1)に記載の含水組成物。
(3) (1)又は(2)に記載の含水組成物を、液状の油性菓子生地に添加する添加工程を含み、
前記添加工程における前記含水組成物の添加量が、前記油性菓子生地に対して、0.3質量%以上12.0質量%以下である、
油性菓子の製造方法。
(4) 前記添加工程後、前記油性菓子生地を冷却固化することで得られた油性菓子を保温する保温工程を含み、
前記保温工程における保温時間が、1日間以上4日間以下である、
(3)に記載の製造方法。
(5) 0.8質量%以上2.9質量%以下の水、及び0.02~0.54質量%のエタノールを含む、油性菓子生地。
(6) (5)に記載の油性菓子生地から得られた、34℃における耐荷重応力が100gf以上である、油性菓子。
本発明によれば、耐熱性を有する油性菓子の製造におけるキュアリング時間を短縮できる技術が提供される。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されない。
<含水組成物>
本発明の含水組成物は、油性菓子製造用の含水組成物であって、
該含水組成物が、水と、エタノールとを含み、
該水と、該エタノールとの質量比が10:90~90:10である。
耐熱性を有する油性菓子(チョコレート等)の製造の際には、油性菓子生地に少量の水等を添加することで糖骨格を形成することが知られる。
糖骨格は油脂が融解しても保持される。そのため、糖骨格が形成された油性菓子は、暑熱環境下でも良好な保形性を有する。
しかし、上述のとおり、充分な糖骨格の形成のためには、従来、4日~1週間程度のキュアリング(保温)を要した。
そこで、キュアリング時間を短縮するべく、本発明者が検討したところ、エタノール及び水を含む組成物を生地に添加したところ、意外にも、従来よりも短期間(例えば、2日間以上3日間以下)のキュアリングにより、充分な糖骨格を形成できることが見出された。
その理由は定かではないが以下のように推察される。
まず、糖骨格は、油性菓子生地中において、水及び糖類がネットワーク(網目状構造)を形成することで生じる。そのため、従来、糖骨格の形成のために、油性菓子生地への水の添加が行われてきた。
本発明者は、水を、エタノールとともに添加すると、生地中に水がより分散しやすくなることを見出した。その結果、キュアリングでの糖粒子間の架橋が促進され、従来よりも短期間で糖骨格を形成できるものと考えられる。
本発明において、油性菓子が「耐熱性を有する」とは、暑熱環境下(例えば、28℃以上60℃以下の温度環境下)でも保形性を有することを意味する。
本発明において、油性菓子の「保形性」とは、油性菓子の形が崩れにくいことを意味する。
油性菓子の耐熱性は、実施例に示した方法で耐荷重応力を測定することで評価できる。
本発明において、耐熱性を有する油性菓子の製造における「キュアリング時間の短縮」とは、油性菓子生地中の糖骨格形成時に、本発明の含水組成物を添加した場合、エタノールを含まない含水組成物を添加した場合と比較して、目標とする耐熱性に到達するまでのキュアリングに要する時間が短いことを意味する。
本発明において、「キュアリングに要する時間」とは、油性菓子生地中に、目標とする耐熱性を付与ための糖骨格が充分に形成されるまでの時間を意味する。
油性菓子生地中に充分な糖骨格が形成されたかどうかは、油性菓子の種類により判定方法は異なり得る。
例えば、保形性が重視される成型チョコレートの場合、耐荷重応力が100gf以上(好ましくは200gf)以上であることを基準に、充分な糖骨格が形成されたかどうかを特定する。
(水及びエタノール)
本発明の含水組成物は、水と、エタノールとを含み、かつ、その質量比が、水:エタノール=10:90~90:10であれば特に限定されない。
本発明の含水組成物において、水とエタノールとの質量比(水:エタノール)は、好ましくは30:70~80:20、より好ましくは40:60~70:30である。
[水]
水(HO)としては特に制限されず、食品分野において使用される任意の水を使用できる。例えば、本発明において使用される水は、精製水(蒸留水、濾過水、イオン交換水等)であり得る。
本発明の含水組成物における水の含有量は特に限定されない。油性菓子生地に配合する水の含有量が高いほど、油性菓子生地の粘度が高くなる傾向にあるため、水の含有量は過度でなくともよい。
水の含有量の下限は、含水組成物に対して、好ましくは15質量%以上、より好ましくは18質量%以上である。
水の含有量の上限は、含水組成物に対して、好ましくは48質量%以下、より好ましくは45質量%以下である。
[エタノール]
エタノール(COH)としては特に制限されず、食品分野において使用される任意のエタノールを使用できる。
エタノールは純度の高いもの(例えば99.5質量%以上)であるほど好ましい。
エタノールとしてエタノール水溶液を用いてもよい。エタノール水溶液を用いる場合、含水組成物全体における水とエタノールとの質量比が、上記の比率を満たすように調整する。
本発明の含水組成物におけるエタノールの含有量は特に限定されない。油性菓子生地に配合するエタノールの含有量が高いほど、含水組成物添加直後の油性菓子生地の粘度が高くなる傾向にあるため、エタノールの含有量は過度でなくともよい。
エタノールの含有量の下限は、含水組成物に対して、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上である。
エタノールの含有量の上限は、含水組成物に対して、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。
(Brix値)
本発明の含水組成物は、そのBrix値が、50°Bx以上80°Bx以下であることが好ましい。
含水組成物のBrix値が上記範囲であると、含水組成物中の水が、油性菓子生地に特に分散しやすくなる。その結果、糖骨格の形成が促進され、キュアリング時間をより短縮しやすくなる。
含水組成物のBrix値の下限は、より好ましくは55°Bx以上である。
含水組成物のBrix値の上限は、より好ましくは75°Bx以下である。
本発明において、「Brix値」とは、「可溶性固形物含有量」としても知られ、糖の含有量を意味する。
含水組成物のBrix値は、実施例に示した方法で特定される。
含水組成物のBrix値の調整方法としては、糖の含有量を調整できる方法であれば特に限定されない。
含水組成物のBrix値の調整方法としては、例えば、含水組成物に糖を配合することが挙げられる。
含水組成物に配合できる糖としては特に限定されないが、液糖(果糖ぶどう糖液糖、ぶどう糖果糖液糖等)、還元水飴、糖(果糖、ぶどう糖、ショ糖、麦芽糖、オリゴ糖等)等が挙げられる。
(含水組成物におけるその他の成分)
本発明の含水組成物には、上記の成分に加え、本発明の効果を阻害しない範囲でその他の成分を配合してもよい。
その他の成分としては、糖アルコール、乳糖等が挙げられる。
その他の成分の種類や配合量は、得ようとする効果等に応じて設定できる。
<含水組成物の製造方法>
本発明の含水組成物の製造方法としては特に限定されない。
例えば、上記成分を混合及び撹拌することで本発明の含水組成物が得られる。
本発明の含水組成物は、エタノールの揮発等を防ぐため、容器中に密閉保存することが好ましい。
<含水組成物の用途>
本発明の含水組成物は、油性菓子の製造方法において使用される。
特に、本発明の含水組成物は、油性菓子生地に糖骨格を充分に形成する目的で使用できる。糖骨格が充分に形成された油性菓子は良好な耐熱性を有する。
(油性菓子)
油性菓子の種類は特に限定されないが、少なくとも油脂及び糖類を含むものである。特に、糖類は、本発明の含水組成物による糖骨格形成に寄与する。
油性菓子としては、例えば、チョコレート、シュガークリーム、スプレッド等が挙げられる。本発明の効果を奏しやすいという観点から、油性菓子は、好ましくはチョコレートである。
本発明において「チョコレート」とは、油脂及び糖類を主原料として含む油性菓子である。チョコレートは、さらに、カカオ成分(カカオマス、ココアパウダー等)、乳製品、香料、乳化剤等を必要に応じて含み得る。
このようなチョコレートは、従来知られる工程(混合工程、リファイニング(微細化)工程、コンチング(精錬)工程、テンパリング(調温)工程、成型工程、冷却固化工程、エイジング工程等)の一部又は全部を経て製造できる。
本発明におけるチョコレートの種類は特に限定されず、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」(全国チョコレート業公正取引協議会)又は法規上の規定等を満たすチョコレート、ダークチョコレート、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレート、カラーチョコレート等を包含する。
[油脂]
油性菓子に含まれる油脂の種類は、食用油脂であれば特に限定されない。
油性菓子に含まれる油脂としては、例えば、ココアバター、バター、バターオイル、パーム油、大豆油、菜種油、綿実油、ヤシ油等が挙げられる。油性菓子に含まれる油脂は、混合、分別、エステル交換、水素添加等の加工が行われていてもよい。
油脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
油性菓子に含まれる油脂の含有量は特に限定されない。
油脂の含有量の下限は、油性菓子に対して、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30質量%以上である。
油脂の含有量の上限は、油性菓子に対して、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。
なお、本発明において「油性菓子に含まれる油脂」とは、油性菓子の原料に含まれる油脂そのもの(上記食用油脂)、及び油脂含有成分に含まれる油脂を包含する。
油脂含有成分としては、構成成分の一部として油脂を含む成分(カカオマス、全脂粉乳等)が挙げられる。例えば、20質量%の全脂粉乳(油脂含有量25質量%)を含む油性菓子は、全脂粉乳由来分として5質量%(=20×0.25)の油脂(乳脂肪)を含む。
[糖類]
油性菓子に含まれる糖類の種類は特に限定されない。
油性菓子に含まれる糖類としては、砂糖(ショ糖)、乳糖、ぶどう糖、麦芽糖、オリゴ糖、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、パラチノースオリゴ糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、異性化液糖、ショ糖結合水飴、はちみつ、還元糖ポリデキストロース、ラフィノース、ラクチュロース、還元乳糖、ソルビトール、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、トレハロース、糖アルコール等が挙げられる。
糖類は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
油性菓子に含まれる糖類の含有量は特に限定されない。
糖類の含有量の下限は、油性菓子に対して、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上である。
糖類の含有量の上限は、油性菓子に対して、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下である。
[油性菓子におけるその他の成分]
油性菓子には、菓子に配合されることが知られる任意の成分がさらに含まれていてもよい。このような成分としては、水、乳化剤(レシチン、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル等)、カカオ成分(カカオマス、ココアパウダー等)、乳製品(乳固形類等)、香料、色素、澱粉類、ガム類、熱凝固性タンパク、食品改質材等が挙げられる。
これらの成分の種類や配合量は、得ようとする効果等に応じて適宜設定できる。
油性菓子の水の含有量は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
<油性菓子の製造方法>
油性菓子の製造方法における工程は特に限定されず、油性菓子の種類等に応じて設定できる。
通常、油性菓子の製造方法は、油性菓子生地の製造や、油性菓子生地の成型のための各種工程を含む。
例えば、油性菓子の製造方法は、原料の混合工程、生地のリファイニング(微細化)工程、生地のコンチング(精錬)工程、生地のテンパリング(調温)工程、生地の(撹拌)保持工程、生地の成型工程、成型された生地の冷却固化工程、冷却固化工程後のキュアリング(保温)工程、エイジング工程、等をこの順で含み得る。
油性菓子の製造方法における各工程の条件、順序、及び組み合わせ等は特に限定されない。
これらの諸条件は、油性菓子の種類等に応じて、従来知られるものを適宜採用できる。
ただし、通常、本発明の含水組成物は、冷却固化工程よりも前(好ましくは生地の保持工程前)に油性菓子生地に配合される。
以下、本発明の油性菓子の製造方法の好ましい態様を説明する。
(添加工程)
本発明の一態様に係る油性菓子の製造方法は、本発明の含水組成物を、液状の油性菓子生地に添加する添加工程を含む。
本発明において「油性菓子生地」とは、油性菓子の材料を含み、かつ、成形することで油性菓子となる生地を意味する。生地は、「ドウ(dough)」や「バッター(batter)」、「ミックス(mix)」と称されるものを包含する。
例えば、油性菓子がチョコレートである場合、「チョコレート生地」とは、チョコレートの材料の粉砕やコンチングを経て得られた液状チョコレートであって、かつ、冷却固化等によって固形チョコレートとなる前段階の液状チョコレートを意味する。
本発明において「液状」の生地とは、生地中の油脂が融解された生地を意味する。
生地が液状であるかどうかは、生地を室温(25~30℃)で傾斜(15°)に静置した場合の流動性の有無で判断できる。液状の生地であれば傾斜面を垂れ落ち、流動性を有すると判断できる。
ただし、上記基準に基づく「液状」の生地ではなくとも、冷却固化によって糖骨格が形成される状態の生地であれば「液状」の生地に包含され得る。
液状の油性菓子生地への、本発明の含水組成物の添加量は、得ようとする油性菓子の種類等に応じて適宜調整できる。
油性菓子中に充分な糖骨格を形成する観点から、本発明の含水組成物の添加量の下限は、油性菓子生地に対して、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上である。
油性菓子生地の粘度の過度な増加を防ぐ観点から、本発明の含水組成物の添加量の上限は、油性菓子生地に対して、好ましくは12.0質量%以下、より好ましくは6.0質量%以下である。
本発明の含水組成物の上記添加量は、従来、糖骨格の形成のために用いた水等と比較して(正味の水の量として)低量であり得る。なぜならば、本発明の含水組成物によれば、より少ない量でより高い糖骨格形成効果を奏し得るからである。
液状の油性菓子生地への、本発明の含水組成物の添加量は、含水組成物中の水分量に基づき調整することもできる。
油性菓子中に充分な糖骨格を形成する観点から、本発明の含水組成物の添加量の下限は、油性菓子生地に対して、水分量として、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上である。
油性菓子生地の粘度の過度な増加を防ぐ観点から、本発明の含水組成物の添加量の上限は、油性菓子生地に対して、水分量として、好ましくは3.0質量%以下、より好ましくは2.0質量%以下である。
液状の油性菓子生地への、本発明の含水組成物の添加量は、含水組成物中のエタノール量に基づき調整することもできる。
油性菓子中に充分な糖骨格を形成する観点から、本発明の含水組成物の添加量の下限は、油性菓子生地に対して、エタノール量として、好ましくは0.02質量%以上、より好ましくは0.04質量%以上である。
油性菓子生地の粘度の過度な増加を防ぐ観点から、本発明の含水組成物の添加量の上限は、油性菓子生地に対して、エタノール量として、好ましくは2.00質量%以下、より好ましくは1.00質量%以下である。
本発明の含水組成物は、液状の油性菓子生地へ、1回で全て添加してもよく、数回に分けて添加してもよい。
油性菓子生地に本発明の含水組成物を添加した後は、撹拌等により、該含水組成物を生地中に均一に分散させてもよい。
添加工程におけるその他の条件は特に限定されない。
例えば、液状の生地は、本発明の含水組成物を添加する時点で、生地の温度が30℃以上42℃以下であり得る。
本発明の含水組成物の温度は、生地への分散性を高めやすいという観点から、本発明の含水組成物を添加しようとする生地の温度と同程度の温度であることが好ましい。例えば、本発明の含水組成物の温度と、生地の温度との差は15℃以下であることが好ましい。
添加工程においては、油性菓子の種類等に応じて、本発明の含水組成物以外の成分(シーディング剤等)も添加してもよい。
このような成分の添加順序は特に限定されず、本発明の含水組成物と同時に、又は別々に添加してもよい。
(冷却固化工程)
添加工程後、通常、油性菓子生地を冷却固化する。この工程により、油性菓子生地が油性菓子となる。
好ましくは、添加工程と冷却固化工程との間にはその他の工程が含まれない(ただし、本発明においてその他の工程が含まれる態様は排除されない。)。
冷却固化工程の条件としては特に限定されないが、油性菓子の種類等に応じて異なり、通常、油性菓子生地中の油脂が充分に固化する条件が設定される。
冷却固化工程は、例えば、油性菓子生地を型へ充填した後、低温下で固化する工程に相当し得る。
冷却固化工程における冷却時間は、例えば、5分以上、10分以上であり得る。
冷却固化工程における冷却時間は、例えば、1時間以下、30分以下であり得る。
上記冷却時間は、例えば、油性菓子生地を型へ充填した後、低温下で保持する時間に相当し得る。
冷却固化工程における温度条件は、例えば、5℃以上、8℃以上であり得る。
冷却固化工程における温度条件は、例えば、20℃以下、15℃以下であり得る。
上記冷却温度は、例えば、油性菓子生地を型へ充填した後、固化のために保持する温度に相当し得る。
(保温工程)
本発明の一態様に係る油性菓子の製造方法は、添加工程、冷却固化工程後、油性菓子を保温する保温工程を含む。この工程は、キュアリングに相当する。
保温工程を経た油性菓子は、充分な糖骨格が形成されており、耐熱性を有する油性菓子に相当する。
保温工程における保温時間は、1日間(24時間)以上4日間(96時間)以下であり得る。このような保温時間は従来のキュアリング時間よりも短い。したがって、該保温工程を有する本発明の油性菓子の製造方法によれば、従来よりもキュアリング時間を短縮できる。
保温時間の下限は、好ましくは1日間以上、より好ましくは1.5日間以上である。
保温時間の上限は、好ましくは4日間以下、より好ましくは3日間以下である。
保温工程における保温時間は、油性菓子における糖骨格を形成できれば特に限定されない。
保温温度の下限は、好ましくは24℃以上、より好ましくは26℃以上である。
保温温度の上限は、好ましくは36℃以下、より好ましくは34℃以下である。
上記温度は、油性菓子の周囲の温度(例えば、保温装置内の温度)を意味し、油性菓子の温度は上記温度範囲内であってもよく、上記温度範囲外であってもよい。
保温工程は、油性菓子生地を冷却固化後に連続的に行ってもよい。例えば、冷却固化した油性菓子生地を型に入れたまま、温度条件のみを変えて保温を開始してもよい。
油性菓子生地を型に入れた状態で保温することで、保温工程後、成型された油性菓子が得られる。
保温工程後、得られた油性菓子は、適宜、さらなる工程に供したり、流通させたりすることができる。
例えば、油性菓子の種類等に応じた条件で保管してもよい。
<油性菓子生地及び油性菓子>
本発明は、上述のとおり、油性菓子生地に対して、水及びエタノールを配合する点に技術的特徴がある。
そのため、本発明は、例えば、0.8質量%以上2.9質量%以下の水、及び0.02~0.54質量%のエタノールを含む油性菓子生地も包含する。
上記油性菓子生地は、好ましくは、本発明の含水組成物を含む油性菓子生地である。
上記油性菓子生地から得られた油性菓子には、充分な糖骨格が形成されている。そのため、該油性菓子は暑熱環境下においても高い応力を有し、例えば、34℃における耐荷重応力が100gf以上、好ましくは200gf以上であり得る。
34℃における耐荷重応力は、実施例に示した方法で特定される。
なお、油性菓子中の水及びエタノールの含有量は、通常、油性菓子生地中における含有量と同等である。
上記油性菓子は、好ましくは、本発明の含水組成物を含む油性菓子生地から得られた油性菓子である。
油性菓子生地から油性菓子を得る方法は特に限定されず、油性菓子の種類等に応じて、従来知られる方法を採用できる。
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<チョコレート生地の作製>
常法に基づく下記の方法によって、表1に示す組成を有するチョコレート生地(油性菓子生地に相当する。)を作製した。
なお、表1中、「CP12/10」とは油分が12%から10%のココアパウダーを意味し、「PGPR」とはポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを意味する。
(1)リファイニング(微細化)工程
粉体原料全て(「CP12/10」、脱脂粉乳、砂糖)、一部の油脂(ハードバター、バターオイル)、及び、一部の乳化剤(レシチン、PGPR)で適当な油分に調整してペースト化した後、リファイニングを行った。
(2)コンチング(精錬)工程
リファイニング後、得られたフレークをコンチング釜に入れ、計1時間コンチング(ドライコンチング)を行った。
(3)チョコレート生地の均質化工程
コンチング後、残った原料(油脂、乳化剤、香料)を加え、万能ミキサーを用いて、64rpm、15分間の撹拌を行い、生地を均質化させた後、チョコレート生地を得た。得られたチョコレート生地は、良好な流動性を有していた。
(4)チョコレート生地の保管
得られたチョコレート生地は、アルミ蒸着袋に分け入れて、下記の評価に供するまで20℃で保管した。
Figure 2023019597000001
<含水組成物の作製>
液糖、及び99.5%エタノールを用いて、表2に示す組成を有する含水組成物を作製した。
各含水組成物は、材料を混合及び撹拌することで得た。
なお、液糖としては、果糖ぶどう糖液糖(Brix値=75°Bx、商品名「ニューフラクト55」、昭和産業株式会社製)を用いた。
表2中、「水分」は、含水組成物に含まれる水の総量(液糖及びエタノールに含まれる水の総量)に相当する。
各含水組成物のBrix値は、糖度計で特定した。
Figure 2023019597000002
<成型チョコレートの作製>
上記で得られたチョコレート生地及び含水組成物を用いて、下記の方法によって成型チョコレート(油性菓子に相当する。)を作製した。
(1)テンパリング(調温)工程
各チョコレート生地を融解させ、調温水を循環させた万能撹拌機(ダルトン社製)を用いて40℃に調温した。
(2)生地の撹拌
調温後、各チョコレート生地を63rpmで撹拌しながら、約3~4分間かけて連続的に各含水組成物を添加した後、12rpmで180分間さらに撹拌した。
なお、各含水組成物は、チョコレート生地に対して、3.0質量%、又は4.0質量%添加した。各添加量に応じた、チョコレート生地中の含水組成物由来の水含有量及びエタノール含有量を表3の「水分」及び「エタノール」の項にそれぞれに示す。
(3)冷却固化工程
撹拌後、各チョコレート生地を、型に入れて、8℃で30分冷却固化した。
(4)キュアリング(保温)工程
冷却固後、各チョコレートを型から剥離した後、30℃で1日から4日間保温し(この工程はキュアリングに相当する。)、糖の骨格を形成したチョコレートを作製した。
得られた成型チョコレートは、表4に示す4種類である。
Figure 2023019597000003
Figure 2023019597000004
なお、各成型チョコレートの作製工程において、チョコレート生地の粘度は安定的に成型作業が行える範囲であった。
<成型チョコレートの耐熱性評価>
各成型チョコレートについて、以下の方法で耐熱性を評価した。
レオメーターで、各成型チョコレートの、34℃における耐荷重応力(単位:gf)を測定した。34℃における耐荷重応力が高いほど、耐熱性が良好であることを意味する。
耐荷重応力は、キュアリング開始から、1日後、2日後、及び4日後の各時点で測定した。その結果を表5に示す。
なお、キュアリング開始から4日間の時点における結果については、比較例に対する改善率を括弧内に示した。
Figure 2023019597000005
表5に示されるとおり、本発明の含水組成物を添加したチョコレートによれば、キュアリング時間が1~2日間の段階で耐荷重応力が高く、良好な耐熱性を示した。
この傾向は、生地への含水組成物の配合量の多寡にかかわらず認められた。
<チョコレート生地中のエタノール残存量及び水分量>
実施例2及び3の成型チョコレートについては、その作製時の「(2)撹拌」の工程において、撹拌時間にともなうチョコレート生地中のエタノール残存量(単位:質量%)及び水分量(単位:質量%)の変化を測定した。
チョコレート生地中のエタノール残存量は、ガスグロマトグラフィーで、撹拌開始から、20分後、90分後、及び180分後の各時点で測定した。その結果を表6の「エタノール」の項に示す。
チョコレート生地中の水分量は、加熱乾燥法で、撹拌開始から、20分後、90分後、及び180分後の各時点で測定した。その結果を表6の「水」の項に示す。
Figure 2023019597000006

Claims (6)

  1. 油性菓子製造用の含水組成物であって、
    前記含水組成物が、水と、エタノールとを含み、
    前記水と、前記エタノールとの質量比が10:90~90:10である、
    含水組成物。
  2. 前記含水組成物のBrix値が、50°Bx以上80°Bx以下である、請求項1に記載の含水組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の含水組成物を、液状の油性菓子生地に添加する添加工程を含み、
    前記添加工程における前記含水組成物の添加量が、前記油性菓子生地に対して、0.3質量%以上12.0質量%以下である、
    油性菓子の製造方法。
  4. 前記添加工程後、前記油性菓子生地を冷却固化することで得られた油性菓子を保温する保温工程を含み、
    前記保温工程における保温時間が、1日間以上4日間以下である、
    請求項3に記載の製造方法。
  5. 0.8質量%以上2.9質量%以下の水、及び0.02~0.54質量%のエタノールを含む、油性菓子生地。
  6. 請求項5に記載の油性菓子生地から得られた、34℃における耐荷重応力が100gf以上である、油性菓子。
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