JP6392699B2 - ガスケット、ガスケットの製造方法、及びシリンジ - Google Patents

ガスケット、ガスケットの製造方法、及びシリンジ Download PDF

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Description

本発明は、シリンジのバレルに挿入するガスケットに関する。
液状の医薬品(以下、薬液という)はバイアル瓶やアンプルに封入して提供される。バイアル瓶やアンプルによって提供される薬液は、これらの容器からシリンジ(注射器)に移し替えて使用されるので、薬液を調整する際の過誤や感染、アンプルやゴム栓の破片等の異物混入等の危険がある。このため、近年では、薬液が予め充填されたプレフィルドシリンジが多く利用されている。また、プレフィルドシリンジは、救急時に迅速に使用可能である等の利点もある。
プレフィルドシリンジは、薬液を入れるバレル(注射筒)と、バレルに摺動自在に挿入するガスケットと、ガスケットをバレルに沿って摺動するプランジャ(押子)、薬液を吐出するノズルに取り付けるキャップ(ゴム栓)等から構成される。プレフィルドシリンジの薬液は、キャップとガスケットによってバレルに封止される。薬液を使用する場合には、プランジャをガスケットに取り付け、ノズルからキャップを外す。そして、プランジャによってガスケットをノズルの方向に摺動させることで、ノズルから薬液が吐出する。
プレフィルドシリンジに用いるガスケットは、薬液の使用時まで確実に薬液を封止しておく必要があるので、プレフィルドシリンジに用いるガスケットは、バレルと当接して摺動する摺動面の算術平均粗さ(中心線平均粗さとも言う)Raを0.05μm以下にすることが求められる場合がある(特許文献1)。同様に、ガスケットを成形する金型の表面のうち、摺動面を形成する表面の算術平均粗さRaを0.03μm以下にすることで、摺動面の算術平均粗さRaが極めて小さいガスケットを形成する場合もある(特許文献2及び特許文献3)。
特開平10−314305号公報 特開2014−047828号公報 特開2013−049236号公報
上記のように、プレフィルドシリンジに用いるガスケットは、薬液を確実に密封しておくために、摺動面の算術平均粗さRaを0.05μm以下にし、いわゆる鏡面仕上げの状態にまで摺動面を平滑化するのが一般的である。これは、主としてバレルとガスケットの隙間をなくして密着性を高めることで、薬液を確実に密封するためである。
より具体的には、バレルは、例えばシクロオレフィンポリマー(COP:Cyclo-Olefin Polymer)等の硬い樹脂で形成され、ガスケットは、薬液の溶出を防ぐために、ゴム製のガスケット本体を、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE:PolyTetraFluoroEthylene)等の柔らかい樹脂でラミネートして形成される。そして、PTFE等の柔らかい樹脂をCOP等の硬い樹脂に隙間がない状態で接触させると、PTFEがCOPに吸着して擬似的に接着状態になる。したがって、ガスケットの摺動面を鏡面仕上げにして、バレルとガスケットの境界面の隙間はほぼなくしておくことで、プレフィルドシリンジを長期間保管してもバレルとガスケットの間に毛細管現象によって薬液が侵入して漏れ出す等の不具合が生じるのを確実に防ぐことができるのである。
しかしながら、上記のようにガスケットの摺動面を鏡面仕上げにして、バレルとガスケットが擬似接着状態になっていると、摺動抵抗が大きすぎてプランジャの押圧力が弱いユーザにはプレフィルドシリンジの使用が困難になる場合がある。オートインジェクタによって機械的にプランジャを押圧して薬液をノズルから吐出させる場合もあるが、ガスケットの摺動面が鏡面仕上げになっていることでガスケットの摺動抵抗が極めて大きくなっていると、ガスケットが滑らかに移動しないので、オートインジェクタをもってしても、薬液の吐出速度が波打ち、薬液を安定して吐出させることができない。
また、プレフィルドシリンジは製造の過程で滅菌処理を行うが、滅菌処理の前後等では薬液が膨張及び収縮し、ガスケットには300kPa(約3気圧)程度の圧がかかってガスケットがバレル内を自動的に摺動する。このため、ガスケットの摺動面が鏡面仕上げになっており、ガスケットの摺動抵抗が大きい場合には、オートインジェクタを使用する場合と同様、ガスケットが滑らかに移動しないので、滅菌処理を行うとバレル内でガスケットが傾いてしまうことが多くなる。もちろん、ガスケットの傾きが大きい場合には、薬液の無菌性を保証することができず、廃却することになるので、ガスケットの摺動抵抗が大きいと歩留まりが悪化する。
本発明は、薬液に対する密封性とバレルに対する摺動性を両立したガスケット、ガスケットの製造方法、及びシリンジを提供することを目的とする。
本発明のガスケットは、シリンジのバレルに摺動自在に挿入するガスケット本体と、ガスケット本体を覆い、かつ、バレルと当接して摺動する摺動面を粗面化したラミネートフィルムと、ラミネートフィルムを覆うシリコーンコーティングと、を備え、摺動面は、摺動方向に沿った溝を備える
摺動方向に対して垂直であり、かつ、摺動面に沿って測定する摺動面の算術平均粗さが、摺動方向に沿って測定する摺動面の算術平均粗さよりも大きいことが好ましい。
摺動方向に対して垂直であり、かつ、摺動面に沿って測定する摺動面の算術平均粗さが、0.06μm以上3.0μm未満であることが好ましい。
摺動方向に対して垂直であり、かつ、摺動面に沿って測定する摺動面の算術平均粗さが、0.5μm以上2.0μm未満であることが好ましい。
シリコーンコーティングは、動粘度が100mm/s以上3000mm/s以下であることが好ましい。
ラミネートフィルムがポリテトラフルオロエチレンまたはエチレンテトラフルオロエチレンコポリマーで形成されていることが好ましい。
本発明のガスケットの製造方法は、シリンジのバレルに摺動自在に挿入するガスケット本体と、ガスケット本体を覆い、かつ、バレルと当接して摺動する摺動面を粗面化したラミネートフィルムと、ラミネートフィルムを覆うシリコーンコーティングと、を備えるガスケットの製造方法であり、ラミネートフィルムをガスケット本体の外形に合わせて成形するステップと、ラミネートフィルムで覆ったガスケット本体を、内面を粗面化した治具に通すことで、バレルと接触する摺動面を粗面化するステップと、粗面化した摺動面にシリコーンコーティングを塗工するステップと、を備える。
本発明のシリンジは、薬液を入れるバレルと、バレルに摺動自在に挿入するガスケット本体と、ガスケット本体を覆い、かつ、バレルと当接して摺動する摺動面を粗面化したラミネートフィルムと、ラミネートフィルムをシリコーンコーティングと、を備え、摺動面が摺動方向に沿った溝を有するガスケットと、を備える。
ガスケットと薬液を吐出するノズルに取り付けるキャップとで、バレルに薬液を封止していることが好ましい。
バレルは、シクロオレフィンポリマーで形成されていることが好ましい。
本発明のガスケット、ガスケットの製造方法、及びシリンジは、薬液に対する密封性とバレルに対する摺動性を両立することができる。
プレフィルドシリンジの断面図である。 ガスケットの外観図である。 摺動面の一部拡大図である。 摺動方向に垂直かつガスケットの外周に沿った方向の摺動面の表面形状を表すグラフである。 摺動方向に沿った摺動面の表面形状を表すグラフである。 ガスケットの断面図である。 ガスケットの製造方法を示すフローチャートである。 ラミネートフィルムを成形するステップの説明図である。 ラミネートフィルムを成形するステップの説明図である。 ガスケット本体を成形するステップの説明図である。 ガスケット本体を成形するステップの説明図である。 半製品の断面図である。 摺動面を粗面化するステップの説明図である。 摺動面の拡大断面図である。 従来のガスケットの摺動面を拡大した断面図である。 算術表面粗さが大きい場合の摺動面の拡大断面図である。 実施例及び比較例の構成と性能を示す表である。
図1に示すように、プレフィルドシリンジ10は、薬液11が予め充填された状態で保管されるシリンジ(注射器)であり、薬液11を入れるバレル12と、バレル12に挿入するガスケット13と、バレル12のノズル16に取り付けるキャップ14と、プランジャ15と、を備える。薬液11は、例えば、X線撮影用の血管造影剤(イオヘキソール等)である。
バレル12は、例えば、シクロオレフィンポリマー(COP)や、シクロオレフィンポリマーの共重合体であるシクロオレフィンコポリマー(COC:Cyclo-Olefin Copolymer)等の滅菌処理に耐え得る合成樹脂で形成される。バレル12は概ね円筒形状であり、先端部分には、薬液11を吐出するノズル16とルアーロック17が形成され、基端部分にはフランジ18が形成されている。ノズル16には開口16aが設けられており、ノズル16は開口16aから薬液11を吐出する。ルアーロック17は、内周面にネジ溝が設けられたメス型コネクタであり、薬液11を被検体内に輸液する際に、外周面にネジ溝が設けられたオス型コネクタに螺合することにより、ノズル16を輸液路に確実に接続する。フランジ18は、バレル12の外周に突出しており、プランジャ15を押圧する際にバレル12の持ち手になる。
ガスケット13及びキャップ14はゴム製の封止部材である。ガスケット13は、バレル12に挿入してバレル12の基端側を密封する。キャップ14は、ノズル16に取り付けることによってバレル12の先端側を密封する。すなわち、バレル12に予め充填される薬液11は、ガスケット13及びキャップ14によってバレル12内に密封して保持される。また、キャップ14をノズル16に取り付けると、キャップ14はルアーロック17に嵌合する。
ガスケット13は、バレル12に挿入すると摺動面21a及び摺動面21bでバレル12と当接するが、ガスケット13はバレル12内で摺動自在である。ガスケット13には、プランジャ15を螺合するネジ部19が設けられており、プランジャ15をネジ部19に螺合し、プランジャヘッド15aを用いてプランジャ15を押し込むまたは引き抜く操作をすることで、ガスケット13をバレル12の内部で摺動することができる。プレフィルドシリンジ10の薬液11を使用する際には、上記のようにプランジャ15を取り付け、キャップ14をノズル16から取り外す。その後、プランジャ15を押圧して、ガスケット13をバレル12の先端側に摺動することで、薬液11をノズル16から吐出することができる。
図2に示すように、ガスケット13には概ね円柱状であり、先端面23と、摺動面21a及び摺動面21bと、非摺動面22と、底面24とがある。先端面23は、ガスケット13をバレル12に挿入した際に薬液11に接触する表面である。摺動面21a及び摺動面21bは、ガスケット13をバレル12に挿入した際に、バレル12と接触して摺動する側面である。非摺動面22は、ガスケット13の側面のうち、バレル12と接触しない側面である。底面24は、ガスケット13をバレル12に挿入した際にバレル12の基端側にネジ部19を露呈する。
ガスケット13は、上記各表面のうち、摺動面21a及び摺動面21bを粗面化している。具体的には、図3に摺動面21aの一部を拡大して示すように、摺動面21a及び摺動面21bは、ガスケット13の摺動方向Ds(Z軸の方向)に沿った複数の溝30(いわゆる「縦スジ」)を備える。これらの溝30は、摺動面21aの底面24側から先端面23側まで続いている。同様に、摺動面21bの溝30も、底面24側から先端面23側まで続いている。
一方、溝30の間隔には定まった周期性はなく、ほぼランダムである。したがって、摺動面21a及び摺動面21bの「粗さ」には方向性がある。より具体的には、摺動方向Dsに垂直であり、かつ、ガスケット13の外周(摺動面21a及び摺動面21bの表面に沿って湾曲する方向)に沿って測定する摺動面21a及び摺動面21bの算術平均粗さRa1は、摺動方向Dsに沿って測定する摺動面21a及び摺動面21bの算術平均粗さRa2よりも大きい(Ra1>Ra2)。
ガスケット13の摺動方向Dsに沿ってZ軸をとり、摺動方向Dsに垂直であり、かつ、ガスケット13の外周に沿った方向をX軸とし、Z軸及びY軸に垂直な方向(すなわち、摺動面21a及び摺動面21bの表面に垂直な方向)をY軸とする。この場合、算術平均粗さRa1はX軸方向の算術平均粗さであり、図4に示すように、摺動面21aまたは摺動面21bの表面形状を測定し、X軸上の位置に対する表面の高さの関数をF(X)として、任意の単位長さLについて積分することにより、Ra1=(1/L)×∫|F(X)|dXによって算出することができる。ガスケット13では、算術平均粗さRa1が、0.06μm以上3.0μm未満であり、0.5μm以上2.0μm未満であることが好ましく、0.6μm以上1.0μm未満であることが特に好ましい。算術平均粗さRa1がこれらの範囲にあれば、摺動性と密封性を両立し、かつ、ガスケット13の製造適性が高い。同様に、算術平均粗さRa2はZ軸方向に沿って測定する算術平均粗さであり、図5に示すように、Z軸上の位置に対する表面の高さの関数をG(Z)として、任意の単位長さLについて積分することにより、Ra2=(1/L)×∫|G(Z)|dZによって算出することができる。ガスケット13では、算術平均粗さRa2を約0μm以上0.5μm未満にしてあるが、算術平均粗さRa1よりも算術平均粗さRa2が小さければ、算術平均粗さRa2は0.5μm以上でも良い。なお、Z軸及びX軸の零点(原点)は任意であり、Y軸の零点は設計上の摺動面21a及び摺動面21bの表面である。また、算術平均粗さは中心線平均粗さとも言う。
図6に示すように、ガスケット13は、ガスケット本体41、ラミネートフィルム42、及び、シリコーンコーティング43によって形成される。ガスケット本体41はゴム製である。ガスケット本体41を形成する材料は、例えば、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、イソプレンゴム等が好適であるが、医療用途として実績がある塩素化ブチルゴムを用いてガスケット本体41を形成することが好ましい。ガスケット本体41の製造時には、主原料の塩素化ブチルゴムの他、配合剤として有機過酸化加硫剤または硫黄加硫剤、硬度調整用充填剤、老化防止剤、加工助剤が用いられる。これらの混合混練方法としては、ロール混練機、バンバリー混練機、加圧式ニーダー、または、これらを組み合わせて用いることができる。
ラミネートフィルム42は、例えばフッ素樹脂製であり、ガスケット本体41を覆う。より具体的には、ラミネートフィルム42は、少なくともガスケット13の先端面23と、摺動面21a、摺動面21b、及び非摺動面22を含むガスケット13の側面においてガスケット本体41を覆う。このため、ガスケット13をバレル12に挿入した際に、薬液11に接触するのは、ラミネートフィルム42である。したがって、ラミネートフィルム42は、ガスケット13が薬液11と接触した際に薬液11にガスケット本体41のゴム成分が溶出するのを防ぐために、加工がしやすく、かつ、薬液耐性が高いポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、または、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE:Ethylene TetraFluoroEthylene copolymer)で形成されることが好ましい。
また、ガスケット13をバレル12に挿入した際に、摺動面21a及び摺動面21bにおいてバレル12と当接するのは、ガスケット本体41ではなく、ラミネートフィルム42である。このため、摺動面21a及び摺動面21bを粗面化する溝30は、ラミネートフィルム42の表面に形成されている。本実施形態では、ガスケット本体41の側面は、摺動面21a及び摺動面21bの算術平均粗さRa1と比較して平坦に形成されているが、ガスケット本体41の摺動面21a及び摺動面21bとなる側面に溝30を形成するための凹凸等が形成されていても良い。
シリコーンコーティング43は、ガスケット13とバレル12との間の摩擦力を調節する潤滑剤である。シリコーンコーティング43は、25℃での動粘度が100mm/s(100cSt)以上3000mm/s(3000cSt)以下になっている。動粘度がこの範囲のシリコーンコーティング43であれば、プレフィルドシリンジ10の滅菌処理時や保管時にバレル12と摺動面21a及び摺動面21bの間への薬液11の侵入を防ぎ、かつ、非力なユーザでもプレフィルドシリンジ10を使用可能な程度にバレル12内でのガスケット13の摺動抵抗を保つことができる。
上記ガスケット13は、図7に示すように、ラミネートフィルム42を成形するステップS11と、ガスケット本体41を成形するステップS12と、摺動面21a及び摺動面21bを粗面化するステップS13と、シリコーンコーティング43を塗工するステップS14と、によって製造することができる。
図8に示すように、金型51は、ガスケット本体41の形状に形作られたキャビティ51aと、キャビティ51aに繋がる排気路51bを有する。ラミネートフィルム42を成形するステップS11では、コロナ処理またはプラズマ処理によってラミネートフィルム42にコロナ処理またはプラズマ処理等の表面処理をし、ガスケット本体41を形成するゴムやシリコーンコーティング43との密着性を高める。そして、表面処理をしたラミネートフィルム42を金型51に張り、キャビティ51aを覆う。その後、セラミックヒーター等によってラミネートフィルム42を延伸しやすい温度に加熱し、排気路51bを通じてキャビティ51aを真空引きする。これにより、ラミネートフィルム42を延伸し、図9に示すように、ラミネートフィルム42をキャビティ51aに沿った形状に成形する。
図10に示すように、ガスケット本体41を成形するステップS12では、ラミネートフィルム42で覆われた金型51のキャビティ51aに、ガスケット本体41を形成するゴム生地55をインサートし、図11に示すように、ゴム生地55に加硫処理をして、金型51と第2の金型56によって成形することにより、ラミネートフィルム42と一体にゴム生地55をガスケット本体41の形状に成形する。そして、金型51及び第2の金型56の間に残るラミネートフィルム42や、ゴム生地55のバリ、第2の金型56の逃し部57に入り込んだ余分なゴム生地55等を除去することで、図12に示すように、ラミネートフィルム42で覆ったガスケット本体41を形成する。このようにステップS11で形成するラミネートフィルム42で覆ったガスケット本体41は、外形はガスケット13と同じであり、先端面23、摺動面21a、摺動面21b、非摺動面22、底面24、及びネジ部19が形成されている。但し、摺動面21a及び摺動面21bはまだ粗面化されておらず、また、シリコーンコーティング43も塗工されていない半製品59である。
次のステップS13では、図13に示すように、半製品59にプランジャ61を取り付け、金属製の治具63に通すことで、バレル12と接触する摺動面21a及び摺動面21bを粗面化する。治具63は、概ね円環状に形成されており、半製品59を誘い受けるテーパを有する誘い受け部63aと、半製品59の直径よりも0.05mm〜0.30mm程度径が小さく、内面63cがブラスト処理によって粗面化された粗面化部63bとを有する。半製品59を治具63に真っ直ぐに一度だけ通すと、摺動面21a及び摺動面21bが粗面化部63bの内面63cに擦れ、摺動面21a及び摺動面21bに摺動方向Dsに沿った複数の溝30が形成される。なお、プランジャ61は、半製品59を治具63に通すために適した長さ等を有する製造用のものであり、ユーザが使用するプランジャ15とは異なるが、ユーザが使用するプランジャ15を用いて半製品59を治具63に通すこともできる。
その後、治具63を通すことで摺動面21a及び摺動面21bを粗面化した半製品59に、ステップS14でシリコーンコーティング43を塗工することにより、ガスケット13が完成する。シリコーンコーティング43は、例えば、具体的には、医療用シリコーン(例えば、東レ・ダウコーニング株式会社メディカルグレードオイル360 Medical Fluid 粘度1000cSt)をnヘキサンに溶解させて1wt%とし、その溶解液の中に、摺動面21a及び摺動面21bを粗面化した半製品59を30秒間浸け、100℃乾燥空気によって約1時間乾燥し、nヘキサンを蒸発させることにより塗工する。この他、シリコーンコーティング43は、スプレーや刷毛塗り等によっても塗工することができる。また、溶解液の医療用シリコーンの濃度は0.5wt%以上10wt%にすることが好ましい。
図14に示すように、上記のように形成されるガスケット13の摺動面21a(摺動面21bも同じ)では、溝30間の頂部71がバレル12に摺動方向Dsに沿って線状に接触し、溝30にはシリコーンコーティング43が隙間なく充填された状態になる。シリコーンコーティング43とバレル12との間にはほぼ摩擦はないので、頂部71とバレル12との摩擦がガスケット13の摺動抵抗になる。ガスケット13は、摺動面21aに溝30を設け、算術平均粗さRa1が0.06μm以上3.0μm未満に収まる範囲内で粗面化することで、バレル12に接触する頂部71と、バレル12に接触しない溝30のバランスを調節し、ガスケット13の摺動抵抗を、滅菌処理時の薬液11からの内圧に耐え、かつ、非力なユーザでもプレフィルドシリンジ10の使用可能な範囲に設定している。非力なユーザでもプレフィルドシリンジ10の使用可能な摺動抵抗は、約50N未満である。
図15に示すように、従来のガスケットは、摺動面72を、算術平均粗さRa1が0.06μm未満の鏡面仕上げにしているので、従来のガスケットをバレル12に挿入すると、力の係り具合等によっては、ラミネートフィルム42がバレル12に面で接触する領域73が現れる。ラミネートフィルム42がバレル12に面で接触して吸着し、擬似接着状態になると、50N以上の大きな摺動抵抗を発生するので、非力なユーザではプレフィルドシリンジ10を使用できなくなってしまう。また、摺動面72でラミネートフィルム42とバレル12が面で接触して大きな摺動抵抗を発生する場合、オートインジェクタを使用しても薬液11を安定して吐出させることができない。
従来のガスケットは、上記のようにバレル12と面で接触して擬似接着状態になりやすい。これに対し、ガスケット13の場合、頂部71がバレル12に対して吸着することはあるが、ガスケット13はバレル12に対して頂部71で線状に接触するので、従来のガスケットのような巨大な摺動抵抗を生じるような擬似接着状態になることはない。
本発明のガスケット13は、上記のように、摺動面21a及び摺動面21bを粗面化することによって摺動抵抗を適切な範囲内にしているが、摺動面21a及び摺動面21bを粗面化する溝30は、算術平均粗さRa1が0.06μm以上3.0μm未満の範囲に収まる範囲内の深さになっているので、溝30はシリコーンコーティング43で過不足なく充填される。このため、溝30の部分においてもバレル12との間に隙間はほぼなくなるので、ガスケット13は、摺動面21a及び摺動面21bを粗面化しているが、薬液11の漏れはない。図16に示すように、溝30を、算術用面粗さRa1が3.0μm以上になる深さにすると、溝30に充填するシリコーンコーティング43とバレル12との間に隙間76が生じ、この隙間76に薬液11が侵入する等の漏れが発生する場合がある。
以下、図17の表に示す実施例1〜実施例4と比較例1〜比較例3の構成と性能を説明する。実施例1〜実施例4は、いずれも摺動面21a及び摺動面21bが溝30を備え、かつ、シリコーンコーティング43を塗工した本発明のガスケット13である。実施例1〜4の違いは、摺動方向Dsに垂直かつ摺動面21a及び摺動面21bに沿って測定する算術平均粗さRa1の値と、シリコーンコーティング43の動粘度である。なお、算術平均粗さRa1は、測定装置の接触による変化が好ましくないため、非接触で測定することが好ましい。このため、算術平均粗さRa1は、JIS B 0601:2001規格に準拠して、非接触三次元形状測定装置 NH−3N(三鷹光器社製)にて測定した。他には、キーエンス社 レーザー顕微鏡VK−Xシリーズ等が目的に適う。また、シリコーンコーティング43の動粘度は、例えばJIS K2283 動粘度試験器に規定されるガラス毛細管式粘度計を用いて測定することができる。本明細書で示すシリコーンコーティング43の動粘度は25℃における値である。
実施例1のガスケット13は、算術平均粗さRa1が0.5μmであり、シリコーンコーティング43の動粘度が1000mm/sである。実施例2のガスケット13は、算術平均粗さRa1が2.0μmであり、シリコーンコーティング43の動粘度が1000mm/sである。実施例3のガスケット13は、算術平均粗さRa1が2.0μmであり、シリコーンコーティング43の動粘度が3000mm/sである。実施例4のガスケット13は、算術平均粗さRa1が0.5μmであり、シリコーンコーティング43の動粘度が100mm/sである。
一方、比較例1〜比較例3は、摺動面21a及び摺動面21bを粗面化していないか、または、シリコーンコーティング43を塗工していない比較用ガスケットである。比較例1は、摺動面21a及び摺動面21bを粗面化しておらず、かつ、シリコーンコーティング43も塗工していない半製品59の状態のガスケットである。比較例1の比較用ガスケットは、摺動面21a及び摺動面21bの算術平均粗さRa1が0.05μmであり、ほぼ鏡面仕上げの状態になっている。
比較例2は、摺動面21a及び摺動面21bを粗面化していないが、シリコーンコーティング43は塗工した比較用ガスケットである。比較例2の比較用ガスケットは、摺動面21a及び摺動面21bの算術平均粗さRa1が0.05μmであり、ほぼ鏡面仕上げの状態になっている。また、比較例2の比較用ガスケットは、シリコーンコーティング43の動粘度が1000mm/sである。
比較例3は、摺動面21a及び摺動面21bを本発明のガスケット13と同様に粗面化したが、シリコーンコーティング43は塗工していない比較用ガスケットである。比較例3の比較用ガスケットは、摺動面21a及び摺動面21bの算術平均粗さRa1が0.5μmであり、実施例1及び実施例4のガスケット13と等しい。
上記実施例1〜実施例4のガスケット13及び比較例1〜比較例3の比較用のガスケットの性能については、それぞれ「摺動抵抗」、「密封性(薬液漏れ)」、及び、滅菌処理後のバレル12内での「傾き」の3点について性能を評価した。
摺動抵抗は、薬液11として大塚製薬製の電解質輸液「大塚生食注」をバレル12に充填し、各ガスケットをバレル12に挿入し、かつ、キャップ14を外した状態で、プランジャ15によってガスケットを押圧する際に要する押圧力(すなわちガスケットの摺動に要する押圧力)を測定した。この摺動抵抗の測定では、引張試験機(島津製作所製オートグラフAGS−X)と、引張試験機の引張方向をプランジャ15の押圧方向に変換する治具を用いた。どのようなユーザでも容易にプレフィルドシリンジ10を使用できる押圧力は約40N未満であり、非力なユーザでもプレフィルドシリンジ10を使用可能な押圧力は約50N未満である。このため、測定の結果、押圧力が40N未満の場合に「A」(特に容易に使用可能)、押圧力が40N以上50N未満の場合に「B」(使用可能)、押圧力が50N以上の場合に「C」(ユーザによっては使用困難な場合がある)と評価した。図17には、上記評価とともに括弧書きで摺動抵抗(押圧力)を記載してある。
密封性(薬液漏れ)の測定には、薬液11よりもバレル12とガスケット13の間に侵入し易い注射用蒸留水に、赤色染料を加えて観察しやすくした擬似薬液を用いた。薬液漏れは、擬似薬液をバレル12に充填し、ガスケット13及びキャップ14によって封止し、摺動抵抗の測定に用いる引張試験機でガスケット13に300kPaの圧力を20分間加えた後、目視及び倍率20倍の顕微鏡によってガスケット13の先端側の摺動面21aを観察した。そして、目視観察及び顕微鏡観察でも、バレル12とガスケット13との間への擬似薬液の侵入が認められなかった場合に「A」(密封性が高く漏れがない特に良好な状態)、目視観察では侵入がないが顕微鏡観察では侵入が認められた場合に「B」(使用可能)、目視観察(及び顕微鏡観察)で擬似薬液の侵入が認められた場合に「C」(薬液漏れのため使用不可)と評価した。なお、300kPa(約3気圧)の圧力は、オートクレーブで121℃20分間加熱する滅菌処理時に薬液11から加わる内圧である。
ガスケット13の傾きは、上記擬似薬液を充填したバレル12にオートクレーブで121℃20分間加熱する滅菌処理を行った後、デプスゲージによってフランジ18からのガスケット13の底面24までの深さを8箇所(45度毎)に測定し、最大の深さと最小の深さの差を算出し、かつ、この測定を10本のプレフィルドシリンジ10について行って、上記最大の深さと最小の深さの差の平均値を算出し、この最大の深さと最小の深さの差の平均値に基づいて評価した。最大の深さと最小の深さの差の平均値が、0.6mm未満の場合に「A」(ほぼ傾きがない)、0.6mm以上0.8mm未満の場合に「B」(わずかに傾きがあるが薬液11の無菌性は保証できる)、0.8mm以上の場合に「C」(傾きが大きく、薬液11の無菌性を保証できない)と評価した。図17には、上記評価とともに括弧書きで最大の深さと最小の深さの差の平均値を記載してある。
比較例1の比較用ガスケットは、摺動面21a及び摺動面21bを粗面化しておらず、鏡面仕上げになっており、かつ、シリコーンコーティング43も塗工していないので、摺動抵抗の評価は「C」であり、比較例1の比較用ガスケットを使用すると、ユーザによっては、プレフィルドシリンジ10の使用が困難である。また、比較例1の比較用ガスケットは傾きの評価が「C」であり、比較例1の比較用ガスケットを用いると薬液11の無菌性を保証できないために、滅菌処理後に廃却しなければならないプレフィルドシリンジ10が多く、歩留まりも悪い。
また、比較例2の比較用ガスケットは、摺動面21a及び摺動面21bを粗面化しておらず、鏡面仕上げになっているものの、シリコーンコーティング43を塗工しているので、比較例1の比較用ガスケットに比べれば摺動抵抗は低下する。しかし、摺動抵抗の評価は「C」であり、ユーザによってはプレフィルドシリンジ10の使用が困難であることに変わりはない。また、比較例2の比較用ガスケットは、比較例1の比較用ガスケットに比べれば滅菌処理後の傾きが小さくなるが、傾きの評価も「C」のままであり、滅菌処理後に廃却しなければならないプレフィルドシリンジ10が多く、依然として歩留まりは悪い。
一方、比較例3の比較用ガスケットは、摺動面21a及び摺動面21bを粗面化してあるので、比較例1及び比較例2の比較用ガスケットよりも摺動抵抗を評価「B」にまで低減できている。また、傾きの評価も「B」であり、わずかに傾きがあるが薬液11の無菌性は保証できるプレフィルドシリンジ10が多くなる。しかし、比較例3の比較用ガスケットは、密封性の評価が「C」である。これは、摺動面21a及び摺動面21bを粗面化したにも関わらず、シリコーンコーティング43を塗工していないので、摺動面21a及び摺動面21bの溝30に薬液11が侵入するからである。
比較例3と、比較例1及び比較例2との比較から分かるように、摺動面21a及び摺動面21bの溝30は、摺動抵抗を大きく低減させる効果がある。しかし、摺動面21a及び摺動面21bの溝30は、バレル12とガスケット13の間に隙間を形成するので、密封性が悪化し、薬液漏れ生じやすくなる。一方、比較例1と比較例2を比較すれば分かるように、シリコーンコーティング43の塗工には、摺動抵抗を低下させる作用だけでなく、シリコーンコーティング43の撥水性等により、ガスケット13とバレル12の実質的な密封性を高めて、薬液漏れを防ぐ作用もある。このため、摺動面21a及び摺動面21bに溝30を形成することで悪化する密封性は、シリコーンコーティング43によって補うことができる。
実施例1〜4のガスケット13の摺動抵抗の評価はいずれも「A」であり、薬液漏れの評価も「A」〜「B」であり、かつ、傾きの評価はいずれも「A」であり、密封性と摺動性を両立することができている。これは、上記の通り、摺動面21a及び摺動面21bに溝30を形成することで摺動抵抗を下げ、かつ、摺動面21a及び摺動面21bに溝30を形成したことで悪化する密封性を、シリコーンコーティング43で補っているからである。
なお、実施例1と実施例2を比較すれば分かるように、摺動面21a及び摺動面21bの算術平均粗さRa1が大きくなると密封性が低下するが、実施例3に示すように、シリコーンコーティング43の動粘度を上げれば、密封性を補うことができる。また、実施例1と実施例4(あるいは実施例2と実施例3)を比較すれば分かるように、摺動面21a及び摺動面21bの算術平均粗さRa1が同じでも、シリコーンコーティング43の動粘度が小さくなると、密封性が低下する。但し、シリコーンコーティング43の動粘度が高過ぎると、シリコーンコーティング43が潤滑剤としての摺動抵抗を低下させる作用が得られ難くなる。このため、摺動面21a及び摺動面21bの算術平均粗さRa1を0.06μm以上3.0μm未満にする場合、シリコーンコーティング43の動粘度は、100mm/s以上3000mm/s以下であることが好ましく、500mm/s以上2000mm/s以下であることがより好ましく、750mm/s以上1500mm/s以下であることが特に好ましい。
上記実施形態及び実施例では、摺動面21a及び摺動面21bに摺動方向Dsに沿った溝30を形成しているが、溝30の方向は摺動方向Dsと厳密に平行でなくても良い。例えば、溝30が摺動方向Dsに対して傾斜していても良いし、溝30が曲線になっていても良い。すなわち、算術平均粗さRa1が算術平均粗さRa2よりも大きい(Ra1>Ra2)という条件を満たせば、摺動方向Dsに対する溝30の傾きや、溝30の形状はほぼ任意に変更することができる。もちろん、製造適正に優れ、かつ、本発明の作用を最も容易に得るためには、上記実施形態及び実施例の通り、溝30を摺動方向Dsにほぼ平行に形成して摺動面21a及び摺動面21bを粗面化することが好ましい。
なお、上記実施形態及び変形例では、摺動面21a及び摺動面21bに摺動方向Dsに概ね沿った縦スジ状の溝30を形成し、摺動面21a及び摺動面21bの算術平均粗さRa1を算術平均粗さRa2よりも大きくしているが(Ra1>Ra2)、摺動面21a及び摺動面21bにランダムで等方的な凹凸等を形成し、算術平均粗さRa1と算術平均粗さRa2を等しくした場合(Ra1=Ra2)や、摺動面21a及び摺動面21bに摺動方向Dsに垂直な方向に沿った横スジ状の溝を形成し、算術平均粗さRa1を算術平均粗さRa2よりも小さくした場合(Ra1<Ra2)でも、ガスケット13とバレル12との擬似接着状態を防ぎ、摺動面21a及び摺動面21bを粗面化しない場合に対してガスケット13の摺動抵抗を低減することができる。
但し、ランダムで等方的な凹凸はブラスト処理等によって形成可能であるが、縦スジ状の溝30のようにシャープな深さを有する凹凸は形成しにくいので、縦スジ状の溝30と比較するとガスケット13とバレル12との擬似接着状態を防ぎにくい。また、摺動面21a及び摺動面21bに横スジ状の溝を形成すると、溝間の頂部の全長が摺動方向に垂直な抵抗成分になるので、縦スジ状の溝30を形成する場合と比較すると、ガスケット13の摺動抵抗が大きくなりやすい。したがって、摺動面21a及び摺動面21bにはランダムで等方的な凹凸や横スジ状の溝を形成してもよいが、上記実施形態及び実施例のように、摺動面21a及び摺動面21bには摺動方向Dsに沿った縦スジ状の溝30を形成する方が好ましい。
上記実施形態では、ガスケット13の好適な製造方法の一例を挙げているが、ラミネートフィルム42の成形(ステップS11)及びガスケット本体41の成形(ステップS12)は、別の方法で行うことができる。例えば、上記実施形態では、ラミネートフィルム42を真空成形した後、ガスケット本体41をインサート成形しているが、ラミネートフィルム42にゴム生地55を乗せて、1回のプレスで半製品59を成形することもできる。また、ガスケット本体41を成形し、ガスケット本体41の周囲にラミネートフィルム42を成膜して、半製品59を製造することもできる。
10 プレフィルドシリンジ
11 薬液
12 バレル
13 ガスケット
14 キャップ
16 ノズル
17 ルアーロック
21a,21b 摺動面
30 溝
41 ガスケット本体
42 ラミネートフィルム
43 シリコーンコーティング

Claims (10)

  1. シリンジのバレルに摺動自在に挿入するガスケット本体と、
    前記ガスケット本体を覆い、かつ、前記バレルと当接して摺動する摺動面を粗面化したラミネートフィルムと、
    前記ラミネートフィルムを覆うシリコーンコーティングと、
    を備え、前記摺動面は、摺動方向に沿った溝を備えるガスケット。
  2. 摺動方向に対して垂直であり、かつ、前記摺動面に沿って測定する前記摺動面の算術平均粗さが、摺動方向に沿って測定する前記摺動面の算術平均粗さよりも大きい請求項に記載のガスケット。
  3. 摺動方向に対して垂直であり、かつ、前記摺動面に沿って測定する前記摺動面の算術平均粗さが、0.06μm以上3.0μm未満である請求項1または2に記載のガスケット。
  4. 摺動方向に対して垂直であり、かつ、前記摺動面に沿って測定する前記摺動面の算術平均粗さが、0.5μm以上2.0μm未満である請求項に記載のガスケット。
  5. 前記シリコーンコーティングは、動粘度が100mm2/s以上3000mm2/s以下である請求項1〜のいずれか1項に記載のガスケット。
  6. 前記ラミネートフィルムがポリテトラフルオロエチレンまたはエチレンテトラフルオロエチレンコポリマーで形成されている請求項1〜のいずれか1項に記載のガスケット。
  7. シリンジのバレルに摺動自在に挿入するガスケット本体と、前記ガスケット本体を覆い、かつ、前記バレルと当接して摺動する摺動面を粗面化したラミネートフィルムと、前記ラミネートフィルムを覆うシリコーンコーティングと、を備えるガスケットの製造方法において、
    前記ラミネートフィルムを前記ガスケット本体の外形に合わせて成形するステップと、
    前記ラミネートフィルムで覆った前記ガスケット本体を、内面を粗面化した治具に通すことで、前記バレルと接触する前記摺動面を粗面化するステップと、
    粗面化した前記摺動面にシリコーンコーティングを塗工するステップと、
    を備えるガスケットの製造方法。
  8. 薬液を入れるバレルと、
    前記バレルに摺動自在に挿入するガスケット本体と、前記ガスケット本体を覆い、かつ、前記バレルと当接して摺動する摺動面を粗面化したラミネートフィルムと、前記ラミネートフィルムを覆うシリコーンコーティングと、を備え、前記摺動面が摺動方向に沿った溝を有するガスケットと、
    を備えるシリンジ。
  9. 前記ガスケットと前記薬液を吐出するノズルに取り付けるキャップとで、前記バレルに前記薬液を封止している請求項に記載のシリンジ。
  10. 前記バレルは、シクロオレフィンポリマーで形成されている請求項8または9に記載のシリンジ。
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