JP4297678B2 - ガスケットおよびシリンジ - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、ガスケットおよびこれを備えたシリンジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シリンジは、一般に、外筒と、この外筒内で摺動し得るガスケットと、このガスケットを移動操作するプランジャとで構成されている。
【0003】
そして、従来のガスケットは、例えば、加硫ゴムまたは熱可塑性エラストマー等の弾性材料で構成されたものが広く用いられている。
【0004】
このようなガスケットは、外筒の内周面との密着性を高め、液漏れや空気の流入等を防止することが必要となる。そのため、ガスケットは、その外周面に複数のリング状の凸部を設け、これらの凸部が弾性変形して外筒の内面に密着しつつ摺動するように構成されている。
【0005】
しかしながら、ガスケットの外筒内周面との密着性、すなわち、ガスケットの液密性、気密性が高くなると、逆に、外筒内周面との摺動抵抗が大きくなるため、ガスケットおよびプランジャの押し引き操作の操作性が悪くなる。
【0006】
そのため、例えばガスケットの外面を低摩擦材料で構成された樹脂フィルムで被覆し、摺動性を向上したガスケットおよびその製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
しかしながら、このような樹脂フィルムで被覆されたガスケットを外筒内に挿入すると、ガスケットの最大外径の部分、すなわち前記リング状の凸部が形成された部分は、外筒の内周面から反力を受けて収縮し、その部分の樹脂フィルムに波状のシワ(たるみ)が生じる。このシワにより、ガスケットの凸部の外面と外筒の内周面との間に小さな隙間ができ、ガスケットの液密性、気密性が低下するという問題が生じる。ガスケットの液密性、気密性の低下は、液漏れや空気の流入等を引き起こす原因となり、好ましくない。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−86481号公報(特許請求の範囲、図1)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、摺動性に優れるとともに、十分な液密性、気密性を確保することができるガスケットを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(11)の本発明により達成される。
【0011】
(1) 筒体内に摺動可能に設置されるガスケットであって、
外周部にリング状の凸部が形成されたガスケット本体と、
前記ガスケット本体の先端面および前記凸部を覆うように設けられた樹脂フィルムと、
前記樹脂フィルムの外表面の少なくとも前記凸部をカバーする領域に付された充填材とを有し、
ガスケットを前記筒体内に挿入したとき、前記筒体の内面から受ける反力により前記凸部付近の前記樹脂フィルムが変形して生じた凹部に前記充填材が充填されるよう構成されていることを特徴とするガスケット。
【0012】
(2) 前記樹脂フィルムは、前記ガスケット本体の構成材料より摩擦係数の低い材料で構成されている上記(1)に記載のガスケット。
【0013】
(3) 前記樹脂フィルムは、フッ素系樹脂材料で構成されている上記(1)または(2)に記載のガスケット。
【0014】
(4) 前記樹脂フィルムの外面の表面粗さRaは、0.1〜15μmである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のガスケット。
【0015】
(5) 前記樹脂フィルムの平均厚さは、1〜250μmである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のガスケット。
【0016】
(6) 前記充填材は、常温での粘度が1000〜20000cpsである上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のガスケット。
【0017】
(7) 前記充填材は、主にシリコーンで構成される上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のガスケット。
【0018】
(8) 前記充填材は、ポリアルキレングリコール、流動パラフィンまたはソルビタン脂肪酸エステルで構成される上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のガスケット。
【0019】
(9) 前記ガスケット本体は、弾性材料で構成されている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載のガスケット。
【0020】
(10) 前記筒体は、シリンジの外筒である上記(1)ないし(9)のいずれかに記載のガスケット。
【0021】
(11) 外筒と、前記外筒内に挿入された上記(1)ないし(10)のいずれかに記載のガスケットと、前記ガスケットに装着されたプランジャとを備えることを特徴とするシリンジ。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のガスケットおよびシリンジを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明のガスケットを備えたシリンジの実施形態を示す部分縦断面図、図2は、本発明のガスケットの部分縦断面図、図3は、図2中のA−A線断面図である。以下の説明では、図1および図2中の上側を「基端」、下側を「先端」という。
【0024】
図1に示すように、本発明のシリンジ1は、外筒2と、この外筒2内で摺動し得る本発明のガスケット3と、このガスケット3に装着され、ガスケット3を移動操作するプランジャ4とを備えている。以下、各部の構成について説明する。
【0025】
外筒2は、底部21を有する有底筒状の部材で構成され、この底部21の中央部には、外筒2の胴部より縮径した縮径部22が一体的に形成されている。この縮径部22には、例えば、薬液投与用、採血用等の針管のハブ、各種コネクタ、チューブ、カテーテル等(図示せず)が嵌合、装着されて使用される。
【0026】
この外筒2には、後述するガスケット3とで囲まれる部分に収納空間24が形成され、この収納空間24は、縮径部22の内腔23と連通している。
【0027】
シリンジ1が、プレフィルドシリンジの場合、収納空間24内には、例えば、血液、ブドウ糖等の糖質注射液、塩化ナトリウムや乳酸カリウム等の電解質補正用注射液、ビタミン剤、ワクチン、抗生物質注射液、造影剤、ステロイド剤、蛋白質分解酵素阻害剤、脂肪乳剤、各種蛋白製剤、抗癌剤、麻酔薬、覚せい剤、麻薬のような各種薬液、あるいは、蒸留水、消毒薬、流動食、アルコール等の液体が収納される。
【0028】
なお、本発明のシリンジ1は、前述のようなプレフィルドシリンジに適用される場合に限らず、通常のシリンジ、すなわち、未使用時において収納空間24が空であるシリンジに適用することもできる。
【0029】
外筒2の基端外周には、板状のフランジ25が一体的に形成されている。プランジャ4を外筒2に対し相対的に移動操作する際などには、このフランジ25に指を掛けて操作を行うことができる。
【0030】
この外筒2は、好ましくは透明(無色透明)、有色透明または半透明の樹脂で構成され、収納空間24の視認性が確保されている。
【0031】
外筒2の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、共重合ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタアクリレート、ポリメタアクリル酸等のアクリル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ナイロン等のポリアミド、ポリスチレン、ポリエチレンナフタレート、環状ポリオレフィン(例えば、エチレンとテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン共重合体等)、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルペンテン、ポリカーボネート、ポリスルホンのような熱可塑性樹脂が用いられる。
【0032】
このような熱可塑性樹脂を用いると、外筒2の製造コストの低減、軽量化および形状選択の幅の拡大といった点において有利であるとともに、外筒2の耐破損性が向上する。
【0033】
シリンジ1の外筒2内には、本発明のガスケット3が収納(設置)されている。このガスケット3は、ガスケット本体5と、ガスケット本体5の外面を被覆する樹脂フィルム6とで構成されている。
【0034】
ガスケット本体5には、その基端面に開放する中空孔で構成された螺入部(嵌入部)51が形成されており、この螺入部51には、後述するプランジャ4のヘッド部43が螺合する。
【0035】
ガスケット本体5は、外形がほぼ円柱状の部材で構成され、その外周部には、外筒2の内周面26に向かって突出する一対のリング状の凸部53、54が長手方向に所定間隔おいて形成されている。これらの凸部53、54が形成されていることで、外筒2の内周面26に対する密着性が向上し、液密性、気密性を確保することができる。凸部53、54の断面形状は、例えば、山型、半円形、砲弾形、台形、三角形(スカート状)、W形等、種々の形状が可能である。
【0036】
なお、このようなリング状の凸部の形成数は、3以上であってもよい。ガスケット3の構成の詳細については、後に説明する。
このようなガスケット3には、ガスケット3を外筒2内で長手方向に移動操作するプランジャ4が連結されている。
【0037】
プランジャ4は、主に、横断面が十文字状をなす部材、または、筒状あるいは棒状の部材で構成され、その先端側には、板部材41が一体的に形成されている。本実施形態では、板部材41は、2段形状となっており、その先端側が一部ガスケット本体5の螺入部51に挿入されている。
【0038】
また、プランジャ4の基端には、板状(円盤状)のフランジ42が一体的に形成されている。このフランジ42に指等を掛けてプランジャ4を操作する。
【0039】
また、プランジャ4の板部材41より先端側(先端部)には、ガスケット3の螺入部51に螺合(嵌合)されるヘッド部(連結部)43が形成されている。ヘッド部43には、雄ネジ44が形成されており、螺入部51の内周面に形成された雌ネジ52と螺合する。
【0040】
なお、プランジャ4のガスケット3に対する固定方法は、螺合に限らず、例えば、凹凸の嵌合(遊嵌状態でも可)、カシメ、融着、接着剤による接着等の方法であってもよい。
【0041】
プランジャ4の構成材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12)のような各種樹脂が挙げられるが、その中でも、成形が容易であるという点で、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ−(4−メチルペンテン−1)のような樹脂が好ましい。
【0042】
本発明では、ガスケット3の構成に特徴を有している。以下、ガスケット3について詳細に説明する。
ガスケット3は、ガスケット本体5と、ガスケット本体5の先端面55および凸部53、54を覆う樹脂フィルム6と、樹脂フィルム6の外面(外表面)61の所定箇所に付された充填材7とを有している。
【0043】
ガスケット本体5は、ガスケット3の芯部(芯材)として機能するものであり、弾性材料で構成されている。ガスケット本体5を弾性材料で構成し、ガスケット3の最大外径(凸部53、54の部位)を外筒2の内径より若干大きく設定すると、ガスケット3は、ガスケット本体5の弾性力により、その外周が外筒2の内周面26と圧接して液密性が向上する。
【0044】
このような弾性材料としては、特に限定されないが、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴムのような各種ゴム材料や、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマー等のうちの、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0045】
樹脂フィルム6は、ガスケット本体5の先端面55および外周面全周を覆うように設けられている。これにより、凸部53および54は、樹脂フィルム6に覆われる。
【0046】
樹脂フィルム6は、ガスケット本体5の構成材料(弾性材料)より摩擦係数の低い材料(以下単に「低摩擦材料」と言う)で構成されているのが好ましい。樹脂フィルム6を低摩擦材料で構成することにより、ガスケット3の外周と外筒2の内周面26との摺動抵抗を小さくすることができ、ガスケット3の摺動性を向上することができる。
【0047】
また、ガスケット本体5の先端面55が樹脂フィルム6で覆われていることにより、収納空間24に薬液が収納(または導入)される場合、当該薬液中の薬効成分がガスケット本体5の構成材料と接触してそれに吸着(結合)され、薬液中の薬効成分の濃度低下や活性低下が生じ、十分な量の薬効成分を供給できなくなることがあるという弊害を防止することができる。
【0048】
樹脂フィルム6の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレンまたはその共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、四フッ化エチレン、四フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(例えば、四フッ化エチレンと、アルコキシル基の炭素数が1〜5のパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体)、PVdE(ポリビニリデンフロライド)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、TFE(テトラフルオロエチレン)、FEP(フッ化エチレンプロピレン)等のフッ素系樹脂が挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。このようなフッ素系樹脂は、摩擦係数が低く、しかも耐薬品性(薬液に対し不活性であること)に優れ、また、耐熱性に優れているので、好ましい。
【0049】
また、樹脂フィルム6の他の構成材料としては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、超高密度ポリエチレン(VHDPE)のような低摩擦材料が挙げられる。
【0050】
樹脂フィルム6は、上述したような材料のうちの1種の材料で構成される単層のものでも、それぞれが上述したような材料のうちの異なる材料で構成された2層以上の積層体であってもよい。積層体の場合、最外層が低摩擦材料で構成されていればよい。この場合、積層体の最内層(ガスケット本体5と接触する層)は、ガスケット本体5の構成材料との接着性に優れるもの(例えば、軟化温度が近似したもの、接着面を物理的・化学的に粗したものなどが挙げられ、材料としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどが挙げられる)を用いるのが好ましい。
【0051】
樹脂フィルム6の外面(外表面)61の表面粗さ(JIS B 0601に規定の中心線平均粗さ)Raは、特に限定されないが、ガスケットの摺動性と、後述する充填材の保持性(保液性)とを考慮して、0.1〜15μm程度であるのが好ましく、0.2〜6.5μm程度であるのがより好ましい。樹脂フィルム6の外面61の表面粗さRaがある程度大きい(例えば、0.1μm以上)と、後述する充填材7の保液性が高くなり、充填材7の移動(流出)が抑制されるので好ましい。
【0052】
また、ガスケット3の摺動性に着目した場合、樹脂フィルム6の外面(外筒2側の面)61は、動摩擦係数(対サファイア針)は、0.4以下程度であるのが好ましく、0.1〜0.25程度であるのがより好ましい。
【0053】
樹脂フィルム6の平均厚さ(積層体の場合、合計厚さ)Tは、特に限定されないが、1〜250μm程度であるのが好ましく、10〜160μm程度であるのがより好ましい。樹脂フィルム6の平均厚さTが前記の下限値未満では、強度不足となるおそれがあり、ピンホールの発生や剥離等の欠陥が生じる原因となる。一方、樹脂フィルム6の平均厚さTが前記の上限値を超えると、その構成材料によっては、ガスケット3の変形に際し、樹脂フィルム6のガスケット本体5への追従性が低下し、後述する隙間8がより大きくなるおそれがある。
【0054】
なお、各図では、樹脂フィルム6の厚さや変形(シワ)の度合いは、理解を容易にするために、誇張して示されている。
【0055】
また、樹脂フィルム6によるガスケット本体5の被覆箇所は、図示のものに限定されず、例えば、ガスケット本体5の先端面55と凸部53とを覆うものや、ガスケット本体5の先端面55と凸部54とを覆うものでもよい。また、ガスケット本体5の形状も、図示のものに限定されない。
【0056】
樹脂フィルム6の外面(外表面)61の所定箇所には、充填材7が付されている。この充填材7は、次のような機能を発揮する。
【0057】
ガスケット3を外筒2内に挿入すると、ガスケット3の最大外径の部分、すなわち凸部53、54が形成された部分は、外筒2の内周面26から反力を受けて収縮し、その部分の樹脂フィルム6に波状のシワ(たるみ)が生じることがある(図3参照)。このシワにより、凸部53、54における樹脂フィルム6の外面61と外筒2の内周面26との間に小さな隙間(凹部)8ができる。本発明では、樹脂フィルム6の外面61に付されている充填材7が、この隙間8に入り込み、充填される。またその他、樹脂フィルム6の外面61に微小な凹凸や傷等があった場合にも、充填材7がこれらを埋める。このようなことから、ガスケット3の液密性、気密性を十分に保持することができ、プランジャ4の移動操作(押し引きの操作)に伴う収納空間24からの液漏れや収納空間24への空気の流入等を防止することができる。特に、充填材7は、液状または半固形状(ペースト状)のような流動性物質であるので、例えばガスケット3の摺動等に伴って樹脂フィルム6が変形し、隙間8の大きさや位置が変化したとしても、充填材7の流動性によりそのような変化に対応して隙間8を埋め続けることができ、ガスケット3の液密性、気密性を持続することができる。
【0058】
このように、充填材7は、凸部53、54が形成された部分に生じる隙間8を埋める機能を有するため、図示の実施形態においては、充填材7は、樹脂フィルム6の外面61全体ではなく、凸部53付近および凸部54付近の外面61の全周に付されている。この場合、ガスケット3の先端面(先端面55を覆う樹脂フィルム6の外面61)には、充填材7が付されていない。これにより、充填材7が収納空間24に収納されている薬液と接触する面積が少なく、よって、充填材7が薬液中の薬効成分と反応し得る物質で構成されていたとしても、そのような反応が生じることがほとんどなく、薬液中の薬効成分の濃度低下や活性低下が生じ、十分な量の薬効成分を供給できなくなるという弊害が生じ難い。
【0059】
なお、充填材7は、少なくとも凸部53および/または凸部54をカバーする領域に付されていればよく、充填材7が付される箇所は、図示のものに限定されないことは、言うまでもない。
【0060】
このような充填材7としては、液状または半固形状(ペースト状)のもの(流動性物質)が好ましく、例えば、主にシリコーンで構成されるもの(ワックス、グリス、油脂など)、流動パラフィンで構成されるもの、ソルビタン脂肪酸エステルで構成されるもの、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール等が挙げられるが、その中でも特に、主にシリコーンで構成されるものが好ましい。シリコーンは、隙間8を埋める機能が高く、また、潤滑性、摺動性、安全性、化学的安定性に優れているからである。
【0061】
また、充填材7の粘度は、特に限定されないが、常温での粘度が1000〜20000cpsであるものが好ましく、5000〜15000cpsであるものがより好ましい。充填材7の粘度が低すぎると、環境条件等によっては、収納空間24の薬液中に流出するおそれが生じる。また、充填材7の粘度が高すぎると、ガスケット3の摺動性を低下させるおそれがあり、また、隙間を埋める機能を低下させるおそれがある。
【0062】
以上のようなガスケット3は、例えば、次のようにして製造することができる。なお、以下に述べる方法は一例であって、本発明のガスケット3の製造方法は、これに限定されないことは、言うまでもない。
【0063】
<1> まず、所定材質、寸法、表面粗さのシート(ガスケット本体5を被覆する前の樹脂フィルム6)を製造する。このシートの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、スカイビング加工、キャスティング、射出成形、押出成形等の方法が挙げられる。
【0064】
なお、このシートの厚さおよび表面粗さを調整することにより、完成品での樹脂フィルム6の外面61の表面粗さRaおよび平均厚さTが調整される。
【0065】
<2> 次に、必要に応じ、シートの内面となる側の面に、エッチング処理等により粗面加工を行う。これにより、樹脂フィルム6とガスケット本体5との密着性が向上する。なお、エッチング処理には、例えば、ナトリウムエッチング処理、スパッタエッチング処理等を用いることができる。
【0066】
<3> 次に、ガスケット本体材料からなる混練物とともに、前記のシートを、予め加熱しておいた成形用金型内に設置し、例えば、金型温度を好ましくは130〜200℃程度、型締め圧力を好ましくは0.5〜25MPa程度、処理時間を好ましくは1〜20分間程度で成形し、ガスケット本体5と樹脂フィルム6とが接合(接着)されたガスケット3の成形品を得る。
【0067】
なお、ガスケット本体材料が加硫を必要とする場合には、この工程において同時に加硫がなされるようにしてもよい。これにより、ガスケット本体材料を加硫する工程を省略することができ、ガスケット3の製造コストの低減、製造時間の短縮に有利である。
【0068】
<4> 次に、成形用金型内からガスケット3の成形品を取り出し、室温にて冷却して、この後、抜き型により不要部分を切断・除去してガスケット3の成形品を得る。
【0069】
<5> 次に、ガスケット3の凸部53および54を含む領域に、充填材7を付与する。充填材7の付与は、例えば、塗布法、噴霧法、浸漬(ディッピング)法、ダンブリング法などの方法により行うことができる。
【0070】
具体的には、充填材7の溶液中にガスケット3を浸漬(ディッピング)する方法、ガスケット3の所定部位に充填材7をはけ塗り、ローラー塗り、スプレー等により塗布する方法、ドラム容器内でダンブリングする方法等が挙げられる。
【0071】
以上の各工程を経て、ガスケット3が製造される。なお、ガスケット3は、ガスケット本体5および樹脂フィルム6を、それぞれ完成品の形状またはそれに近い形状に製造しておき、両者を組立てるようにしてもよい。この場合、ガスケット本体5と樹脂フィルム6との固着(固定)方法としては、例えば、嵌合、融着(熱融着、高周波融着等)、接着剤による接着等の方法を用いることができる。この場合、充填材は、樹脂フィルム6に予め(組立て前に)付与しておいても、あるいは組立て後に付与してもよい。
【0072】
以上、本発明のガスケットおよびシリンジを図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を発揮し得る任意の構成と置換することができ、また、任意の構成が付加されているものでもよい。
【0073】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、ガスケットの外表面に樹脂フィルム、特に低摩擦材料で構成された樹脂フィルムを設けたことにより、ガスケットの摺動性を向上することができるとともに、樹脂フィルムの外表面に充填材を付したことにより、樹脂フィルムの変形(シワ)等による隙間に充填材が充填され、高い液密性、気密性が得られる。
【0074】
また、例えば、樹脂フィルムをガスケット本体の先端面に設置したり、充填材をガスケット本体の先端面に付さないようにする等、樹脂フィルムや充填材の設置箇所を工夫することにより、薬液を収納した場合にその薬液中の薬効成分の活性低下、濃度低下を有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガスケットを備えたシリンジの実施形態を示す部分縦断面図である。
【図2】本発明のガスケットの実施形態を示す部分縦断面図である。
【図3】図2中のA−A線断面図である。
【符号の説明】
1 シリンジ
2 外筒
21 底部
22 縮径部
23 内腔
24 収納空間
25 フランジ
26 内周面
3 ガスケット
4 プランジャ
41 板部材
42 フランジ
43 ヘッド部
44 雄ネジ
5 ガスケット本体
51 螺入部
52 雌ネジ
53、54 凸部
55 先端面
6 樹脂フィルム
61 外面
7 充填材
8 隙間
Claims (6)
- 筒体内に摺動可能に設置されるガスケットであって、
外周部にリング状の凸部が形成されたガスケット本体と、
前記ガスケット本体の先端面および前記凸部を覆うように設けられた樹脂フィルムと、
前記樹脂フィルムの外表面の少なくとも前記凸部をカバーする領域に付された充填材とを有し、
ガスケットを前記筒体内に挿入したとき、前記筒体の内面から受ける反力により前記凸部付近の前記樹脂フィルムが変形して生じた凹部に前記充填材が充填されるよう構成されていることを特徴とするガスケット。 - 前記樹脂フィルムは、前記ガスケット本体の構成材料より摩擦係数の低い材料で構成されている請求項1に記載のガスケット。
- 前記樹脂フィルムは、フッ素系樹脂材料で構成されている請求項1または2に記載のガスケット。
- 前記充填材は、常温での粘度が1000〜20000cpsである請求項1ないし3のいずれかに記載のガスケット。
- 前記充填材は、主にシリコーンで構成される請求項1ないし4のいずれかに記載のガスケット。
- 外筒と、前記外筒内に挿入された請求項1ないし5のいずれかに記載のガスケットと、前記ガスケットに装着されたプランジャとを備えることを特徴とするシリンジ。
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