以下、車両の運転支援装置を具体化した一実施形態を図1〜図3に従って説明する。
図1には、本実施形態の車両の運転支援装置である制御装置50を備える車両が図示されている。図1に示すように、車両は、左前輪FL、右前輪FR、左後輪RL及び右後輪RRが駆動輪として機能する四輪駆動車である。
こうした車両は、運転者によるアクセルペダル11の操作量に応じた駆動力を出力するエンジン12を備えている。エンジン12から出力された駆動力は、変速機13及び副変速機14を通じてトランスファ15に伝達される。そして、トランスファ15によって前輪側に分配された駆動力が、前輪用デファレンシャル16を通じて前輪FL,FRに伝達され、トランスファ15によって後輪側に分配された駆動力が、後輪用デファレンシャル17を通じて後輪RL,RRに伝達される。なお、本明細書では、運転者がアクセルペダル11を操作することを、「アクセル操作」ということもある。
車両の制動装置20は、運転者によるブレーキペダル21の操作力に応じた液圧を発生する液圧発生装置22と、各車輪FL,FR,RL,RRに対する制動力を個別に調整することのできるブレーキアクチュエータ23とを有している。なお、本明細書では、運転者がブレーキペダル21を操作することを、「ブレーキ操作」ということもある。
また、車両には、各車輪FL,FR,RL,RRに個別対応するブレーキ機構25a,25b,25c,25dが設けられている。ブレーキ機構25a〜25dは、そのシリンダ内で発生している液圧に応じた制動力を車輪FL,FR,RL,RRに付与する。すなわち、運転者がブレーキ操作を行っている場合、液圧発生装置22で発生している液圧に応じた量のブレーキ液がブレーキ機構25a〜25dのシリンダ内に供給されることにより、シリンダ内の液圧が増圧される。また、ブレーキアクチュエータ23が作動している場合、同ブレーキアクチュエータ23によってブレーキ機構25a〜25dのシリンダ内の液圧が調整される。
また、車両には、車両の状態を運転者に報知するための報知装置30が設けられている。例えば、報知装置30は、詳しくは後述する車両降坂制御が実施されている場合、同制御が実施中である旨を運転者に報知する。なお、報知装置30としては、点灯ランプ、スピーカやナビゲーション装置の表示画面などを挙げることができる。
こうした車両には、ブレーキスイッチSW1、アクセル開度センサSE1、車輪速度センサSE2,SE3,SE4,SE5及び前後方向加速度センサSE6が設けられている。ブレーキスイッチSW1は、ブレーキペダル21が操作されているか否かを検出する。アクセル開度センサSE1は、アクセルペダル11の操作量であるアクセル操作量に相当するアクセル開度ACを検出する。車輪速度センサSE2〜SE5は、車輪FL,FR,RL,RR毎に設けられており、対応する車輪の車輪速度VWを検出する。前後方向加速度センサSE6は、車両の前後方向の加速度である前後加速度Gxを検出する。そして、これらの検出系によって検出された情報は、制御装置50に入力される。
制御装置50は、エンジン12を制御するエンジンECU51、変速機13及び副変速機14を制御する変速機ECU52、及びブレーキアクチュエータ23を制御するブレーキECU53を備えている。これら各ECU51〜53は、各種の情報や指令を相互に送受信可能となっている。
こうした車両では、運転支援制御として、ブレーキアクチュエータ23を作動させることにより、極低速(例えば、5km/h)に設定された目標速度VSTrを車両の車体速度VSが超えないように車両に付与する制動力を調整する車両降坂制御が実施される。この車両降坂制御は、舗装されていない路面であるオフロード、及び、雪道などの低μ路で車両を走行させる際に運転者による車両操作を支援する制御である。すなわち、こうした車両降坂制御が実施されることにより、車両の車体速度VSが大きくなりすぎることが抑制されるため、運転者はステアリングホイールの操作に集中することが可能となる。
ただし、車両降坂制御が実施中であっても、ブレーキ操作やアクセル操作によって車両の車体速度VSを調整することが可能である。例えば、車両降坂制御の実施中に運転者がアクセル操作を行うことにより、目標速度VSTrを大きくすることが可能である。
こうした車両降坂制御の実施中にあっては、車両降坂制御が実施中である旨を報知装置30が報知する。そして、報知装置30による報知は、車両降坂制御が終了されると終了される。
次に、図2に示すフローチャートを参照し、報知装置30に報知させる報知制御の終了タイミングを決定するためにブレーキECU53が実行する処理ルーチンについて説明する。なお、本処理ルーチンは、車両降坂制御が実施されているときに、予め設定されている制御サイクルで実行される処理ルーチンである。
図2に示すように、本処理ルーチンにおいて、ブレーキECU53は、車両降坂制御の目標速度VSTrを決定する(ステップS11)。例えば、運転者がアクセル操作及びブレーキ操作の双方を行っていない場合、ブレーキECU53は、目標速度VSTrを、基準目標速度VSTrB(例えば、5km/h)で保持する。また、ブレーキECU53は、運転者がアクセル操作を行っている場合には目標速度VSTrを基準目標速度VSTrBよりも大きくし、運転者がブレーキ操作を行っている場合には目標速度VSTrを基準目標速度VSTrBよりも小さくする。
続いて、ブレーキECU53は、各車輪速度センサSE2〜SE5によって検出された各車輪FL,FR、RL,RRの車輪速度VWを取得する(ステップS12)。そして、ブレーキECU53は、各車輪FL,FR、RL,RRの車輪速度VWのうち少なくとも1つの車輪速度に基づき車両の車体速度VSを演算する(ステップS13)。例えば、車両降坂制御の実施によって車両に制動力が付与されている場合、ブレーキECU53は、各車輪FL,FR、RL,RRの車輪速度VWのうち最も大きい車輪速度に基づいて車体速度VSを演算する。
続いて、ブレーキECU53は、車両降坂制御の実施中における目標制動力BPTを演算する(ステップS14)。すなわち、ブレーキECU53は、車両の車体速度VSと目標速度VSTrとの差が小さくなるように目標制動力BPTを演算する。例えば、車両の車体速度VSが目標速度VSTrよりも小さく、車体速度VSを増大させる場合、ブレーキECU53は、目標制動力BPTを減少させる。また、車両の車体速度VSが目標速度VSTrよりも大きく、車体速度VSを減少させる場合、ブレーキECU53は、目標制動力BPTを増大させる。また、車両の車体速度VSが目標速度VSTrとほぼ等しい場合、ブレーキECU53は、目標制動力BPTを保持させる。
そして、ブレーキECU53は、ステップS14で演算した目標制動力BPTが予め設定されている規定値BPTTh以下であるか否かを判定する(ステップS15)。規定値BPTThは、車両降坂制御が実質的に終了した可能性があるか否かを判断するために設定される基準値であって、「0(零)」又は「0(零)」に近い値に決定されている。ここでは、目標制動力BPTは「0(零)」に決定されている。すなわち、目標制動力BPTが規定値BPTTh以下である場合には、ブレーキアクチュエータ23の作動によって車両に付与する制動力が「0(零)」又はほぼ「0(零)」であり、車両降坂制御が実質的に終了した可能性があると判断することができる。一方、目標制動力BPTが規定値BPTThよりも大きい場合には、車両降坂制御の実施によって車両に制動力が付与されていると判断することができる。
そのため、目標制動力BPTが規定値BPTThよりも大きい場合(ステップS15:NO)、ブレーキECU53は、目標制動力BPTが規定値BPTTh以下である状況の継続時間に相当する制御オフ時間TAを「0(零)」にリセットする(ステップS16)。続いて、ブレーキECU53は、検知フラグFLGにオフをセットする(ステップS17)。この検知フラグFLGは、目標制動力BPTが規定値BPTTh以下である状況でアクセル操作が検知された場合に「オン」とされるフラグである。
そして、ブレーキECU53は、ステップS14で演算した目標制動力BPTに応じてブレーキアクチュエータ23を作動させる(ステップS18)。したがって、この点で、本実施形態では、ブレーキECU53が、目標制動力BPTに応じてブレーキアクチュエータ23を作動させることにより、車両に対する制動力を調整する車両降坂制御を実施する「制動制御部」としても機能する。
続いて、ブレーキECU53は、車両降坂制御が実施中である旨を報知装置30に報知させる報知制御を実施する(ステップS19)。したがって、この点で、本実施形態では、ブレーキECU53が、「報知制御部」としても機能する。その後、ブレーキECU53は、本処理ルーチンを一旦終了する。
その一方で、ステップS15において、目標制動力BPTが規定値BPTTh以下である場合(YES)、ブレーキECU53は、現時点の制御オフ時間TAが報知終了時間TATh以上であるか否かを判定する(ステップS20)。制御オフ時間TAが報知終了時間TATh以上である場合(ステップS20:YES)、ブレーキECU53は、報知制御を終了し(ステップS21)、その後、本処理ルーチンを終了する。
一方、制御オフ時間TAが報知終了時間TATh未満である場合(ステップS20:NO)、ブレーキECU53は、アクセル操作を検知しているか否かを判定する(ステップS22)。例えば、ブレーキECU53は、アクセル開度センサSE1によって検出されているアクセル開度ACが所定の開度閾値以上であるときにアクセル操作を検知するようにしてもよい。
アクセル操作が検知されていない場合(ステップS22:NO)、ブレーキECU53は、その処理を後述するステップS26に移行する。一方、アクセル操作が検知されている場合(ステップS22:YES)、ブレーキECU53は、検知フラグFLGがオフであるか否かを判定する(ステップS23)。検知フラグFLGがオンである場合(ステップS23:NO)、ブレーキECU53は、その処理を後述するステップS26に移行する。
一方、検知フラグFLGがオフである場合(ステップS23:YES)、ブレーキECU53は、現時点の制御オフ時間TAと、所定の補正制御オフ時間TA1とのうち大きい方の値を制御オフ時間TAとする(ステップS24)。すなわち、ステップS24では、現時点の制御オフ時間TAが補正制御オフ時間TA1未満である場合、制御オフ時間TAが増大補正される。また、補正制御オフ時間TA1は、上記の報知終了時間TAThよりも僅かに小さい値に予め設定されている。そして、本実施形態では、この補正制御オフ時間TA1が、「規定時間」の一例に相当する。続いて、ブレーキECU53は、検知フラグFLGにオンをセットし(ステップS25)、その処理を次のステップS26に移行する。
ステップS26において、ブレーキECU53は、制御オフ時間TAを「1」だけインクリメントする。すなわち、ブレーキECU53は、制御オフ時間TAが補正制御オフ時間TA1以下である状況でアクセル操作が検知された場合、制御オフ時間TAを補正制御オフ時間TA1に変更した後でも、制御オフ時間TAの更新を継続する。一方、ブレーキECU53は、制御オフ時間TAが補正制御オフ時間TA1を超えた状況でアクセル操作が検知された場合、制御オフ時間TAを補正制御オフ時間TA1に変更せず、制御オフ時間TAを更新する。その後、ブレーキECU53は、前述したステップS19に移行する。
次に、図3に示すタイミングチャートを参照し、車両降坂制御による車両に対する制動力の付与が終了される際の作用について説明する。なお、前提として、車両の走行する路面が降坂路から平坦路に移行するものとする。
図3(a),(b),(c),(d),(e),(f),(g),(h)に示すように、車両が降坂路を走行しているときには、目標制動力BPTが「0(零)」よりも大きいため、車両降坂制御の実施によって車両に対して制動力が付与されている。また、アクセル操作及びブレーキ操作の双方が行われていないため、目標速度VSTrは、基準目標速度VSTrBとなっている。その結果、坂路を走行する車両の車体速度VSは、目標速度VSTrでもある基準目標速度VSTrB近傍で保持されている。
こうした車両降坂制御が実施中である第1のタイミングt1以降からは、路面勾配θが次第に小さくなる。これに従い、目標制動力BPTもまた次第に減少される。その結果、路面勾配θが変わっても、車体速度VSは目標速度VSTr(=VSTrB)の近傍で保持される。
その後、第2のタイミングt2で、目標制動力BPTが規定値BPTTh(=0(零))となる(ステップS15:YES)。すると、目標制動力BPTが規定値BPTTh以下である状況の継続時間である制御オフ時間TAの計測が開始される(ステップS26)。ただし、この制御オフ時間TAが報知終了時間TATh未満である期間(ステップS20:NO)では、報知制御の実施が継続される(ステップS19)。
こうした制御オフ時間TAの計測が行われている最中の第3のタイミングt3で、アクセル操作が検知される(ステップS22:YES)。第3のタイミングt3では、制御オフ時間TAが補正制御オフ時間TA1未満であるため、制御オフ時間TAが補正制御オフ時間TA1に増大補正される(ステップS24)。なお、アクセル操作が検知されたタイミングの制御オフ時間TAが補正制御オフ時間TA1以上である場合、制御オフ時間TAは増大補正されない。
ここで、アクセル操作を検知しても制御オフ時間TAを増大補正しない比較例の場合にあっては、図3(f)に二点鎖線で示すように、運転者によるアクセル操作の開始からある程度時間が経過した第6のタイミングt6で、制御オフ時間TAが報知終了時間TAThに達する。すなわち、この第6のタイミングt6まで、報知装置30による報知が行われることとなる。
なお、この第6のタイミングt6が、目標制動力BPTが規定値BPTTh以下になってから報知終了時間TATh後の時点であり、「判定時点」に相当する。また、目標制動力BPTが規定値BPTTh以下になってから補正制御オフ時間TA1後の時点である第5のタイミングt5が、目標制動力BPTが規定値BPTTh以下になってから規定時間後の時点である「特定時点」に相当する。
これに対し、本実施形態では、アクセル操作が検知された第3のタイミングt3で、制御オフ時間TAが増大補正される。そして、第3のタイミングt3以降では、増大補正された制御オフ時間TAの更新が継続される。そのため、第6のタイミングt6よりも第3のタイミングt3に近い第4のタイミングt4で、制御オフ時間TAが報知終了時間TAThに達する(ステップS20:YES)。その結果、報知装置30による報知は、第4のタイミングt4で終了される(ステップS21)。
なお、運転者によるアクセル操作は、未だ目標制動力BPTが規定値BPTThよりも大きいときに開始されることがある。この場合、目標制動力BPTが規定値BPTTh以下になると、直ぐにアクセル操作が検知される。すなわち、目標制動力BPTが規定値BPTTh以下となる第2のタイミングt2で、制御オフ時間TAが補正制御オフ時間TA1に増大補正される。したがって、このように目標制動力BPTが規定値BPTThよりも大きい状況でアクセル操作が開始された場合、報知装置30による報知は、目標制動力BPTが規定値BPTTh以下になってからアクセル操作が開始される場合よりも早期に終了される。
また、運転者によるアクセル操作は、第5のタイミングt5と第6のタイミングt6との間で開始されることがある。この場合、アクセル操作が検知された時点では、制御オフ時間TAが補正制御オフ時間TA1よりも大きいため、制御オフ時間TAは増大補正されない。その結果、第6のタイミングt6で、報知装置30による報知が終了される。
以上、上記構成及び作用によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)判定時点よりも前に運転者がアクセル操作を開始したときには、判定時点に達しても運転者がアクセル操作を行っていないときよりも報知制御が早期に終了される。そのため、車両降坂制御の実施による制動力の付与が既に終了し、運転者によるアクセル操作によって車両が加速しているにも拘わらず、報知装置30による報知が行われることによる不快感を運転者に与えにくくなる。したがって、報知制御を、適切なタイミングで終了させることができる。
(2)本実施形態では、目標制動力BPTが規定値BPTTh以下になった時点から計測される制御オフ時間TAが補正制御オフ時間TA1よりも小さいときにアクセル操作が検知されたときには、制御オフ時間TAを補正制御オフ時間TA1に変更し、制御オフ時間TAの更新が継続される。そして、このように更新されている制御オフ時間TAが報知終了時間TAThに達したときに報知制御が終了される。したがって、制御オフ時間TAが補正制御オフ時間TA1に達する以前に運転者がアクセル操作を開始した場合には、報知装置30による報知を、運転者によるアクセル操作の開始が早いほど早期に終了させることができる。
(3)また、制御オフ時間TAが補正制御オフ時間TA1よりも小さいときにアクセル操作が検知された場合、アクセル操作の開始から所定時間が経過すると、報知装置30による報知が終了される。この所定時間は、報知終了時間TAThから補正制御オフ時間TA1を減じた差と等しい。したがって、アクセル操作が検知されてから早期に報知装置30による報知を終了させることができる。
(4)その一方で、制御オフ時間TAが補正制御オフ時間TA1に達した以降で運転者がアクセル操作を開始した場合には、制御オフ時間TAが補正制御オフ時間TA1に変更されない。そして、こうした制御オフ時間TAが報知終了時間TAThに達する時点(すなわち、判定時点)で報知装置30による報知が終了される。したがって、上記の特定時点から判定時点までの間で運転者がアクセル操作を開始した場合であっても、運転者によるアクセル操作によって車両が加速し始めると直ぐに報知装置30による報知を終了させることができる。
なお、上記実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・目標制動力BPTが規定値BPTTh以下になってから補正制御オフ時間TA1後の時点と、目標制動力BPTが規定値BPTTh以下になってから報知終了時間TATh後の時点との間でアクセル操作が開始されたときには、アクセル操作の検知と同時に報知制御を終了させるようにしてもよい。この場合、目標制動力BPTが規定値BPTTh以下になってから報知終了時間TATh後の時点よりも以前で運転者がアクセル操作を開始したときには、同時点に達しても運転者がアクセル操作を行っていないときと比較して、報知制御を早期に終了させることができる。
・上記実施形態では、制御オフ時間TAが補正制御オフ時間TA1以下であるときには、制御オフ時間TAが増大補正され、増大補正された制御オフ時間TAが報知終了時間TATh以上になったときに報知制御を終了するようにしている。しかし、運転者がアクセル操作を行っても、当該アクセル操作が、増大補正された制御オフ時間TAが報知終了時間TATh以上になる前に終了されることがある。このようにアクセル操作が直ぐに終了された場合には、目標制動力BPTが規定値BPTTh以下になってから報知終了時間TATh後の時点である判定時点まで報知制御を実施するようにしてもよい。
・目標制動力BPTが規定値BPTTh以下になってから報知終了時間TATh後の時点である判定時点よりも以前に運転者がアクセル操作を開始したときには、以下に示す方法で制御オフ時間TAを増大補正するようにしてもよい。
図4には、上記の実施形態とは別の方法で報知制御の終了タイミングを決定するためのフローチャートの一例の一部が図示されている。図4に示すように、アクセル操作が検知され(ステップS22:YES)、検知フラグFLGがオフである場合(ステップS23:YES)、ブレーキECU53は、現時点の制御オフ時間TAに補正値Xを加算し、その和を最新の制御オフ時間TAとする(ステップS241)。続いて、ブレーキECU53は、検知フラグFLGをオンとし(ステップS25)、その処理をステップS26に移行する。
なお、この場合、補正値Xは、予め設定された固定値であってもよいし、可変値であってもよい。補正値Xを可変とする場合、アクセル操作が検知された時点の制御オフ時間TAが短いほど補正値Xを大きくするようにしてもよい。
こうした制御構成を採用しても、目標制動力BPTが規定値BPTTh以下になってから報知終了時間TATh後の時点よりも以前に運転者がアクセル操作を開始したときには、運転者によるアクセル操作の開始が早いほど報知装置30による報知を早期に終了させることができる。
・目標制動力BPTが規定値BPTTh以下になってから報知終了時間TATh後の時点よりも以前に運転者がアクセル操作を開始したときには、アクセル操作を検知してからの経過時間を計測するようにしてもよい。
図5には、こうした内容を実現するためのフローチャートの一例の一部が図示されている。図5に示すように、目標制動力BPTが規定値BPTTh以下である場合(ステップS15:YES)、ブレーキECU53は、後述する操作検知後経過時間TBが他の報知終了時間TBTh以上であるか否かを判定する(ステップS200)。この他の報知終了時間TBThは、報知終了時間TAThから補正制御オフ時間TA1を減じた差と等しい値、又は同差よりも小さい値であることが好ましい。
そして、操作検知後経過時間TBが他の報知終了時間TBTh以上である場合(ステップS200:YES)、ブレーキECU53は、報知制御を終了し(ステップS21)、本処理ルーチンを終了する。一方、操作検知後経過時間TBが他の報知終了時間TBTh未満であり(ステップS200:NO)、制御オフ時間TAが報知終了時間TATh以上である場合(ステップS20:YES)、ブレーキECU53は、その処理を前述したステップS21に移行する。一方、制御オフ時間TAが報知終了時間TATh未満である場合(ステップS20:NO)、ブレーキECU53は、既にアクセル操作が検知されているか否かを判定する(ステップS22)。
既にアクセル操作が検知されている場合(ステップS22:YES)、ブレーキECU53は、操作検知後経過時間TBを「1」だけインクリメントし(ステップS242)、その処理をステップS26に移行する。すなわち、操作検知後経過時間TBは、目標制動力BPTが規定値BPTTh以下である状況下でアクセル操作の開始が検知されてからの経過時間に相当する。よって、上記の他の報知終了時間TBThが、報知終了時間TAThよりも短い「補正終了時間」に相当する。一方、未だアクセル操作が検知されていない場合(ステップS22:NO)、ブレーキECU53は、その処理をステップS26に移行する。
こうした制御構成を採用しても、目標制動力BPTが規定値BPTTh以下になってから報知終了時間TATh後の時点よりも以前に運転者がアクセル操作を開始したときには、運転者によるアクセル操作の開始が早いほど報知装置30による報知を早期に終了させることができる。
・目標制動力BPTが規定値BPTTh以下になってから報知終了時間TATh後の時点よりも以前に運転者がアクセル操作を開始したときには、アクセル操作を検知した時点で報知制御を終了するようにしてもよい。こうした制御構成を採用しても、上記実施形態の効果(1)と同等の効果を得ることができる。
・目標制動力BPTが規定値BPTTh以下になってから報知終了時間TATh後の時点よりも以前に運転者がアクセル操作を開始した場合には、報知終了時間TAThを小さくするようにしてもよい。この場合であっても、上記実施形態の効果(1)と同等の効果を得ることができる。なお、このように報知終了時間TAThを減少補正させる場合には、制御オフ時間TAを増大補正しなくてもよい。
・報知装置としては、車両に搭載されているものでなくてもよく、制御装置50と通信可能なユーザ端末(例えば、タブレット端末などの移動型端末)であってもよい。
次に、上記実施形態及び別の実施形態から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)目標制動力に応じてブレーキアクチュエータを作動させることにより、車両に対する制動力を調整する運転支援制御を実施する制動制御部と、
前記目標制動力が規定値以下である状況の継続時間が報知終了時間に達したときに、前記運転支援制御が実施中である旨を報知装置に報知させる報知制御を終了する報知制御部と、を備えた車両の運転支援装置において、
前記目標制動力が前記規定値以下になってから前記報知終了時間後の時点を判定時点とした場合、
前記報知制御部は、前記判定時点よりも前にアクセル操作が検知されたときには、前記判定時点に達してもアクセル操作が検知されないときよりも前記報知制御を早期に終了する、ことを特徴とする車両の運転支援装置。
上記構成によれば、判定時点よりも前に運転者がアクセル操作を開始したときには、判定時点に達しても運転者がアクセル操作を行っていないときよりも報知制御が早期に終了される。そのため、運転支援制御の実施による制動力の付与が既に終了し、運転者によるアクセル操作によって車両が加速しているにも拘わらず、報知装置による報知が行われることによる不快感を運転者に与えにくくなる。したがって、目標制動力に応じて車両に付与する制動力を調整する運転支援制御が実施中である旨を報知する報知制御を、適切なタイミングで終了させることができるようになる。
(ロ)前記報知制御部は、
前記目標制動力が前記規定値以下になった時点から計測される前記継続時間が前記規定時間を超えた後にアクセル操作が検知されたときには、前記継続時間を前記規定時間に変更せず、同継続時間を更新するようにしてもよい。
目標制動力が規定値以下になってから規定時間後の時点(ここでは、「特定時点」ともいう。)は、判定時点とは時間的に近い。そのため、特定時点から判定時点までの間で運転者がアクセル操作を開始した場合にあっては、判定時点で報知制御を終了するようにしても、運転者のアクセル操作によって車両が加速し始めると直ぐに報知装置による報知が終了するようになる。この点、上記構成では、特定時点から判定時点までの間で運転者がアクセル操作を開始した場合でも、報知制御を早期に終了させることができる。
(ハ)前記報知制御部は、前記目標制動力が前記規定値以下になった時点から計測される前記継続時間が前記報知終了時間に達する前にアクセル操作が検知された場合、同アクセル操作の検知時点から計測される前記継続時間が、前記報知終了時間よりも短い補正終了時間に達したときに前記報知制御を終了するようにしてもよい。