JP6369881B2 - ジョイントおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
そして、前記接点を頂点として延びる2つの外周端縁に一致する平面のうち、当該頂点周りに形成される共役角の優角の範囲に広がる優角平面は、前記2つの外周端縁を有する2つの結合部形成部と重ならない範囲に広がる。
さらに、前記接点を頂点として延びる2つの外周端縁に一致する平面のうち、当該頂点周りに形成される共役角の劣角の範囲に広がる劣角平面は、前記2つの外周端縁を有する2つの結合部形成部と重ならない範囲に広がる。
また、前記輪郭外周端縁を構成する外周端縁同士の接点に一端が接している外周縁を少なくとも1つ以上有する開放型ジョイントについて、前記接点に一端を接している前記外周縁を当該接点の外側に延長して形成される延長線と、当該延長線上の点である仮想頂点と、当該仮想頂点から前記接点に向けて延びる延長線分と、前記仮想頂点から前記延長線分との間に共役角を生じる状態で前記開放型ジョイントに向けて延ばした相手方線分とを規定したとき、当該相手方線分が一致する面を有する結合部形成部を含んでいないことを特徴とする。
また、別の発明は、このジョイント部品の前記輪郭外周端縁に板部材が固定されたジョイント。
さらに、このジョイントであって、前記輪郭外周端縁を構成する外周端縁のうちの2つの外周端縁の接点に一端が接している外周縁の他方側面側に形成された谷筋、当該2つの外周端縁のうちの一方の外周端縁を有する前記結合部形成部と前記板部材との当接部に形成された一方の谷筋、当該2つの外周端縁のうちの他方の外周端縁を有する前記結合部形成部と前記板部材との当接部に形成された他方の谷筋の3つの谷筋の端部が接する隅部を有するジョイントである。
曲げ工程によって相互に隣接する状態に加工された結合部形成部の外周縁同士を溶接する溶接工程をさらに備えている。
20,20a,20b…板部(外周部材、結合部形成部、結合部)、
21…外面(外周面)、22…内面、23,24…外周縁、25…穴(結合穴、結合部)、
30…貫通部、40…ボルト(連結部材)、41…ボルト部、42…ヘッド部、
50…梁(被連結部材)、50a,50b…羽根部材、51…梁取付け用のボルト孔部(筒状の連結端部)、
51a…連結端部の端面、52…梁固定用のナット、
B…ブランク材、P,P1,P2…ジョイント部品、W,W1,W2,W3…溶接部位(接合位置)、
α…外面角度。
10a,10b,10c…ジョイント、20(20a,20b,20g,20h) …外周部材(板部)、
20a…第1板部、20b…第2板部、20g…第3板部、20h…第4板部、
21…凸側面(他方の面)、22…凹側面(一方の面)、
23,24,26,27,28,29…外周縁、24,28,29…外周端縁(開放型外周縁)、
27s…選択外周縁、28〜28…輪郭外周端縁、28a…外周縁、28x…外周端縁、
61…穴、62…ツバ部(鍔部)、63…大型面、
BA…ブランク材、E1,E2…頂点、L(23,26,27)…稜線(稜部)、M(23,26,27)…谷筋、
P3,P5…ジョイント部品、P4,P6…板部材(ジョイント部品)、
R1,R2…半直線、S1…内部空間、T…連接点(又は頂点)、T1,T2…開放端、
V1…半直線(延長外周縁)、V2…相手方の直線、
γ…優角(又は開放優角)、δ…劣角(又は開放劣角)。
本ジョイントは、例えば、後述のトラス構造(図7参照)において複数の梁50が結合される結合部材として用いることができるものである。
各外周部材は、矩形(より具体的には正方形)の板状の部材である。そこで、ここでは、外周部材のことを、以下、板部20と称する。
各板部20は、外面21と、外面21の裏側(内側)に位置する内面22とを備えている(図5参照)。そして、各板部20の外形は同じ形状(すなわち正方形)であり、各板部20の外面21及び内面22の外形も正方形である。
各板部20は、いずれも4つの外周縁を備えている。それらのうち、第1板部20aは、4つの外周縁23の全てにおいて、外周縁23を介して隣の板部20bに隣接している。そして、第2板部20bは、4つの外周縁23,24のうちの2つの外周縁23については、外周縁23を介して隣の板部20aに隣接している。
このように、ジョイント10は、外周部に配置された複数の板部20で構成された構造である。ジョイント10の内部空間Sを複数の板部20で取り囲んだ構造であるということもできる。
なお、このジョイント10は18個の板部20で構成されており、18個の板部20のうち第1板部20aは6個であり、第2板部20bは12個である。そして、各板部20はいずれも外形が同じである。つまり、ジョイント10は形状が同じ板部20のみで構成されているということができる。
また、外周に凹部がなければ屋外設置の場合に雨水が溜まるようなことが確実に防止されるので、耐久性に優れるということができる。特に、ジョイント10は、後述するように(図7及び図8参照)、梁50の両端部に取り付けられるものであり、しかもトラス構造の構成する梁50は水平面に対して傾斜した状態である場合が少なくないところ、梁50の下側の連結端部に配置されれたものについては雨水や結露水が流れ込む可能性があり、凹凸構造を有していれば、そこに水が溜まりやすい。この点、ジョイント10は、上述したように、水はけ性能に優れており、屋外等に構築されるトラス構造等で用いるジョイントとして極めて優れている。
各貫通部30は、いずれも、ジョイント10の外側からジョイント10の内部空間Sに連通している。つまり、貫通部30を介して、ジョイント外側から内部空間Sを視認できる。そして、いずれの貫通部30からも、全ての板部20a,20bの内面22を視認することができ、全ての穴25の内側の開口端を視認できる。各板部20の外面21及び内面22がいずれも平面であるので視認性に優れている。このように、ジョイント10は、外側だけでなく、内側についても視認性に優れており、この点においても、取扱い性やメインテナンス性に極めて優れている。
そして、ジョイント10は、内面22に凹凸がなく、しかも貫通部30を有する構造であるので、内部空間Sの水はけ性能に優れている。したがって、屋外設置の場合であってもジョイント内部に雨水が溜まることが確実に防止される構造であり、耐久性に優れているということができる。
また、屋外でも使用されるジョイント10は、温度昇降に対応した構造であることが好ましいが、さらに言えば、いわゆる放射冷却による温度変化に対応した構造であることが好ましい。放射冷却等に起因する温度低下で結露が生じると、ジョイント表面に水分が付着する。この水分は腐食の原因になるおそれがあるので、できるだけ水分が付着していない状態を維持できるジョイント構造が好ましい。この点、貫通部30を有するジョイント10は通気性に優れており、結露による水分付着が生じたとしても、通気によって水分の放散が可能であり優れている。
ところで、放射冷却等に起因する結露では、ジョイントの表面全面に水分が付着することになる。この点に着目し、屋外でも使用されるジョイントについて、さらに好ましい構造を検討したところ、ジョイント全体の通気性を向上させたとしても、隙間構造部分に付着した水分の放散は必ずしも容易でなく、この点に関する配慮も重要ということが解った。この点、ジョイント10は、後述するように、全ての曲げ角度が鈍角である曲げ加工と、一組のジョイント部品P1,P2を接合する溶接とで組み立てられた構造であり、全ての溶接部分をジョイント10の外面側及び内面側の両側から視認可能な構造であり、しかも相互に溶接される板部20,20の外周縁どうしの内面角度β(=360°−α)は曲げ加工の角度と同様に鈍角であり、一組のジョイント部品P1,P2が相互に接触している部分は溶接部分だけの構造であり、面接触部分がない構造(別言すれば、隙間構造が排除された構造)であるので、結露により表面に付着した水分を迅速かつ確実になくすことができるという優れた構造である。
また、上述したように、本実施例のジョイント10は、例えばトラス構造の結合部分に用いられる(図7及び図8参照)。トラス構造は、梁50で構成された隙間の多い構造であるので、トラス構造の強度メンバ全体の視認性に優れた構造であるが、従来の中実の球体のジョイントを用いた場合、ジョイント部分については視認性の劣る構造であった。
この点、本実施例のジョイント10は、上述したように外周及び内部の視認性に優れており、この点で、トラス構造で用いるジョイントとして好適である。さらに、本実施例のジョイント10は、中空構造で軽量であり、この点でも、軽量であることを特徴とするトラス構造との親和性があることから、トラス構造で用いるジョイントとして好適である。
なお、ボルト40を固定する構造は、ねじ込み構造に限られない。例えば、ボルト40を板部20a,20bに溶接する構造や、ジョイント10に締結する後述の梁50の固定用のナット52とボルト40とで板部20a,20bを挟んだ状態で梁50とボルト40を締結することによって、ジョイント10、ボルト40及び梁50を一体的に固定する構造などを挙げることができる(図7及び図8参照)。
そして、用意した鋼板を加工して、図4に示される2つのブランク材B,Bを製造する(ブランク材製造工程)。
本実施例では、打ち抜き加工によって2つのブランク材B,Bを得た。両ブランク材B,Bは、いずれも、9個の正方形の板状部Cに区画可能な形状であり、各板状部Cの中央部に穴D(25)を有するものである。穴Dの形成は、ブランク材B,Bの打ち抜き加工と同時でもよいし、ブランク材B,Bの打ち抜き加工の前又は後でもよい。そして、ボルト40をねじ込みによって固定する場合は、必要に応じて穴Dに雌ねじを形成する。なお、図4においてブランク材B,Bに示されている破線は、後述の折り曲げ工程における折り曲げ位置の説明で用いるために便宜的に示したものであり、実際には無くてもよい。
そして、図示されるように、両ブランク材B,Bは、相互に、上下対称の構造である。別言すれば、両ブランク材B,Bは、一方のブランク材Bを裏返すと、同じ形状である。本実施例では、表裏両面の性能が同じ鋼板すなわち裏表がない鋼板を用いてブランク材B,Bを製造している。したがって、1種類のブランク材Bを製造すれば、一方を裏返して用いるだけで、上下対称構造の一組のブランク材を簡単に用意することができる。
曲げ加工は、各ブランク材B,Bの破線部(図4参照)を折り曲げる加工である。これにより、四方を外周縁23,24で囲まれた9個の正方形の板部20が生成される。また、折り曲げ加工によって、加工物(ブランク材)は、立体形状になり、板部20に囲まれる凹側領域を有することとなり、各板部20について、凹側領域とは反対側の外面21と、凹側領域に面する内面22とが生じる。
また、上述したように、ジョイント10の製造に用いられる2つのブランク材B,Bは、一方を裏返せば同じ形状である。したがって、同じブランク材Bを用意して、それぞれ折り曲げ加工の向きを表裏逆側にすることで、一組のジョイント部品P1,P2を製造することができる。つまり、製造された一組のジョイント部材P1,P2は、面対称構造(ミラー構造)であり、一方を180度回転させれば点対称構造である。
また、ここでいう外側とは、後述の中核板部20cを中心とする放射方向の外側のことである。したがって、後述の隣接板部20d(20d1〜20d4)及び周辺板部20e1,20e2について、各板部に関する外周縁を説明する場合、中核板部20cに近い外周縁を内側外周縁と称し、中核板部20cから遠い外周縁を外側外周縁と称し、内側外周縁と外側外周縁の間の外周縁を縦外周縁(又は直交外周縁)と称することがあり、2つの縦外周縁は、いずれもその一端部(一方の端部)において内側外周縁に接し、もう一つの端部(他端の端部)において外側外周縁に接している。さらに、後述の折り曲げ外周縁は、外周縁を介して一体に連なるジョイント部品の2つの板部の間に、折り曲げ加工によって形成された稜線(折り曲げ稜線)Lのことである。溶接によって形成された稜線のことを溶接稜線と称することがある。
また、折り曲げ加工は、折り曲げ加工により生成された折り曲げ外周縁23a1〜23a4によって四方を囲まれた正方形の中核板部20cを少なくとも一つ生成する工程であるということができる。そして、4つの折り曲げ外周縁23a1〜23a4で構成される正方形の4つの角部kから選択される少なくともいずれか1つ(実施形態では全て)の角部kは、当該角部kに一端が接する2つの折り曲げ外周縁(例えば図10の折り曲げ外周縁23a3,23a4)の反対側に延びる2つの縦外周縁(図10では、縦外周縁24d,24e)とも接している。折り曲げ加工は、曲げ外周縁(折り曲げ外周縁)23を形成すると同時に、中核板部20cの4つの各角部kに一端が接する2つの縦外周縁が貫通部30を取り囲む3辺のうちの2辺を構成できる位置に折り曲げる工程である。つまり、折り曲げ加工は、折り曲げ外周縁を形成すると同時に、角部kに一端が接する2つの縦外周縁(例えば図10の縦外周縁24d,24e)の他端の(例えば図10の端部23da,23ea)の離間距離が当該縦外周縁24d,24eの長さに一致する状態になるように加工する工程である。
ここでは、一組のジョイント部品P1,P2を溶接によって相互に固定して、図1に示されるジョイントを製造した(合体工程)。
ここでは、図5に示されるように、一組のジョイント部品P1,P2を、内側(凹側)が対向するように向かい合わせると共に、相互の形状が点対称で一致する状態になるように配置して合体させ、複数個所ある接合位置W(W1,W2,W3)を溶接して製造した。
より具体的に説明すると、合体工程は、まず、一組のジョイント部品P1,P2を、内側(凹側)が相対向するように向かい合わせに配置し、しかも最終的に形成される内部空間Sの中心点を中心として一組のジョイント部品P1,P2が点対称になるように配置する工程(配置工程)を行い、その後、溶接工程を行う工程であるということができる。この配置工程は、別表現すれば、一組の各ジョイント部品P1,P2が備える周辺板部20e1,20e2及び拡張板部20f1,20f2が交互に、しかも環状に配置される状態になるように、一組のジョイント部品P1,P2を組み合わせた状態に配置する工程であるということができる。その後、このように配置された一組のジョイント部品P1,P2の6つの外周縁を相互に溶接することでジョイント10を製造することができる(溶接工程)。つまり、本実施例のジョイント10は溶接を用いて容易に製造することができるものである。
上述のように、配置工程は、隣接する板部20の外周縁同士が当接する状態になるように配置する工程であり、一組のジョイント部品P1,P2を外周縁同士の線接触部分で接触させるように配置する工程であり、ジョイント部品相互の接触面積が少ない配置にする工程であり、一組のジョイント部品P1,P2同士の面接触部分がなく、隙間構造がない配置にする工程である。
さらに、本実施例の構造のジョイント10では、直線状の溶接部位Wの方向が一方向ではなく、複数の方向の溶接部位W1,W2が存在する(図5参照)。このように、直線状の溶接部位Wの方向が複数方向存在すると、複数のジョイント部品P1,P2の相互の位置決めが容易であると共に位置決め精度をより容易に向上させることができる。ジョイント10はできるだけ高強度であることが求められる部材であるところ、このような構造は、溶接強度、延いてはジョイント強度の向上に寄与する構造であり好ましい。
ジョイント組立体11の製造では、ジョイント10の板部20の穴25にボルト40を固定する工程を行う(ボルト取付け工程)。
ボルト取付け工程を行う時期としては、まず、折り曲げ工程後であって合体工程前を挙げることができる。この場合、ボルト取付け工程では、各ジョイント部品P1,P2の穴25にボルト40を固定する。本実施例ではねじ込み構造を用いている。このとき、すべての穴25にボルト40を固定してもよいし、必要に応じて選択された穴25にのみボルト40を固定してもよい。なお、ボルト40を固定する方法は、ねじ込みに限られない。例えばボルトのヘッド部42と梁50(図7参照)の固定用のナット52とで板部20a,20bを挟んで締め付ける構造や溶接による固定構造を挙げることができる。溶接構造としては、例えば、ボルト40のボルト部41を穴25から外側に突出させた状態で、ボルト40のヘッド部42を板部20の内面22に溶接によって固定する方法を挙げることができる。
また、ボルト取付け工程を行う他の時期として、ジョイント製造完了後を挙げることができる。
本実施例のジョイント10は、貫通部30を備えているので、この貫通部30を利用してボルトやナットなどの部品をジョイント10の内部空間に供給し、ボルトをジョイントに固定することができる。この場合においても、ボルトを固定する構造としては、上述の構造を用いることができる。
錆びが生じない素材を用いてジョイント10を製造する場合は、必ずしも必要な工程ではないが、必要に応じて錆止め工程を行っておけば、屋外など錆が生じやすい環境での使用においても、ジョイントの耐久性を向上させることができる。
錆止め工程を行う時期としては、折り曲げ工程後や合体工程後など、任意の時期を挙げることができる。ただし、合体構成前に行った場合、溶接部分を錆止めできない。また、錆止め工程後の作業で塗膜が剥がれる可能性もある。このようなことからすれば、錆止め工程は、できるだけ後ろ、たとえば、合体工程後がより好ましい。
本実施例では、錆止め対象のジョイント10又はジョイント部品P1,P2を、錆止め剤に浸漬させる方法で錆止め工程を行った。この方法によれば、塗布面全面に、容易、迅速かつ確実に錆止め剤を塗布することができる。
さらに、ジョイント10は、上述したように、ジョイントを構成する一組のジョイント部品P1,P2の接触部分は溶接部のみであり、ジョイント部品相互の接触面積ができるだけ少なくなるようになされた構造であるので、ジョイント全体から隙間構造(面接触構造)が排除されたものであり、ジョイント10の外周面の全面に、錆止め剤を容易、迅速かつ確実に塗布することができるものである。このように、ジョイント10は、製造段階においては防錆剤の塗布性能に優れ、しかも上述のように使用時にはジョイント外周面に付着した結露水の発散性に優れており、随所においてジョイントに適合した構成を有するものであるということができる。
なお、ここで説明するジョイント10のボルト40は、ジョイント10に梁50(に取り付けられた羽根部材50aの連結端部51)を固定するためのナット52が取付けられる部位である。そして、ボルト40は、外周面の外側に向けてボルト部(雄ねじ部)41が突出する状態で穴25に取り付けられている。また、連結端部51の端面は平面であり、連結端部51には、ボルト部41に外挿されるボルト孔部(挿通孔)が形成されている。そして、連結端部51のボルト孔部の長さは、ボルト孔部に雄ねじ部を挿通させつつ連結端部51の端面を外周面に当接させたときに、ボルト部41がボルト孔部を貫通する長さである。
したがって、ボルト部41に連結端部51のボルト孔部が挿通された状態で、連結端部51を貫通したボルト40のボルト部41にナット52を締め付けて板部20a,20b(及び連結端部51)を挟むことによって、ジョイント10と梁50(に固定された羽根部材50aの連結端部51)とを一体に固定できる構造になっている。なお、以下の説明では、羽根部材50aが取り付けられた状態の梁50を、単に梁50と称することがある。
そして、図7には、トラス構造を構成する梁50(の端部に取り付けられた羽根部材50aの連結端部51)どうしを連結する部材としてジョイント10を用いている構造を示した。この場合、図示されるように、ジョイント10に取り付けられたボルト40を用いて梁50(の端部の連結端部51)がジョイント10に連結される。
ところで、本実施例のジョイント10は、ボルト40の固定に用いられている穴25が板部20の中央に形成されている。つまり、穴25の外側の開口端は、平面に取り囲まれた位置に配置されており、ボルト40のボルト部41は、平面の板部20の中央から外側に向けて突出している。したがって、トラス構造の梁50(の端部の連結端部51)をジョイント10に連結する際、梁50の端部(連結端部51)をジョイント10に固定する作業や位置決めする作業を容易に行うことができる。
また、板部20の外面21は平面でありしかも最外周面でもあるので、梁50の端部とジョイント10との結合において、スパナなどの作業用工具を用いて連結作業等の作業を行う際、極めて作業性に優れている。さらに、前記外面21がジョイント10の最外周面であれば、外面21に梁50の連結端部51の端面51aを当接させて板部20に梁50を連結するとき、連結端部51の端面51aの大きさ(面積)について、様々な大きさに対応できる。つまり、端面51aは外面21より大きくても良い(例えば外面21からはみ出すような大きさであってもよい)。端面51aの大きさが外面21より大きくても、ジョイント10に梁50を連結可能である。
なお、実施例1のジョイント10について説明した内容と共通の内容については、説明を省略することがある。同様に、先に説明した実施例で説明した内容と同様の事項については、その後の実施例において説明を省略していることがある。
本実施例のジョイントは、開放型ジョイントということができる構造のものであり、また、1つの部材で構成されたジョイントである。
本実施例のジョイント10Aは、図13に示されるように、上述のジョイント10の製造途中で形成される一組のジョイント部品P1,P2のいずれか1つ(ここでは部品P1)と共通する構成を多く含む。したがって、ここでは、ジョイント部品P1と共通する構成については、説明を省略することがある。
各外周部材は、矩形(より具体的には正方形又は長方形)の板状の部材である。そこで、ここでは、外周部材のことを、以下、板部20と称することがある。
ジョイント10Aは、図14に示されるように、外観的には、外周部材20aの向き(図14では下向き)に突出した凸形状であり、各板部20は、凸側面(他方の面)21と、凸側面21の反対側に位置する凹側面(一方の面)22とを備えている。そして、各板部20の凸側面21及び凹側面22は矩形である。
また、凸側面21及び凹側面22は凹凸がない平面である。なお、平面であると、ボルト40等を用いて梁50(図23〜図25参照)の連結に用いられる羽根部材50aを連結する際、連結状態が安定し、好ましい。つまり、穴25(後述)が平面部に形成されており、穴25の周囲に、連結状態を安定させるのに十分な平面部が確保されていれば、その平面部の周辺は必ずしも平面でなくてもよい。
図13に示されるように、第1板部20aは、4つの外周縁23の全てにおいて、外周縁23を介して隣の板部20bに隣接している。
第2板部20bは、4つの外周縁23,24,26のうちの1つの外周縁23については、外周縁23を介して隣の第1板部20aに隣接しており、一つの外周縁26については、外周縁26を介して隣の第3板部20gに隣接しており、他の2つの外周縁(外周端縁)24は他の外周縁に隣接していない。このように、一つの板部(例えば、第2板部20b)の両面(凸側面21と凹側面22)の境界に位置する外周縁24(別言すれば、両面21,22の両方に連なっている外周縁)のことを、外周端縁(開放型外周縁)と称することがある。
第3板部20gは、4つの外周縁26,27,28のうちの1つの外周縁26については、外周縁26を介して隣の第2板部20bに隣接しており、2つの外周縁27については、外周縁27を介して隣の第4板部20hに隣接している。そして、残る1つの外周縁28は外周端縁28である。
第4板部20hは、4つの外周縁27,28,29のうちの2つの外周縁27については、外周縁27を介して隣の第3板部20gに隣接している。そして、残る2つの外周縁28,29は外周端縁28,29である。
なお、このジョイント10Aは13個の板部20で構成されており、13個の板部20のうち第1板部20aは1個であり、第2板部20bは4個、第3板部20gは4個、第4板部20hは4個である。そして、各板部20はいずれも外形が矩形である。つまり、ジョイント10Aは矩形の板部20のみで構成されているということができる。
図13、図14に示されるように、ジョイント10Aは、複数(8個)の外周縁端縁28を備えている。そして、これらの外周端縁28は環状に連なっており、ジョイント10Aの輪郭外周端縁を形成している。
より具体的に説明すると、本実施例では、複数の外周端縁28は、同一平面上に位置する状態で連なっており、正八角形を構成している。つまり、本実施例のジョイント10Aは、相互に連なる外周端縁28の連接点Tを8か所有している。なお、板部20hは厚さを有する部材であるので、凸側面側からジョイント10Aを見る場合、連接点Tは、隣接する板部20hの凸側面同士が接する位置にあるものとし(図14の連接点T参照)、凹側面側からジョイント10Aを見る場合、連接点Tは、隣接する板部20hの凹側面同士が接する位置にあるものとする(図13の連接点T参照)。
図14に示されるように、ここでいう外周縁の開放端T1とは、相互に隣接する板部20g,20hの境界に位置する外周縁27の一端(図14における上端)であって、当該外周縁27を構成している両板部20g,20hの外周端縁28,28の一端が接する位置のことである。
また、図15に示されるように、別の外周縁の開放端T2とは、一つの板部(例えば板部22)が2つ以上の外周端縁を有する場合であって、それらのうちの2つの外周端縁が接する位置に形成される板部の角部T2のことである。
また、ジョイント10Aでは、相互に連なる2つの外周端縁28の頂点T1における2つの共役角である優角γ及び劣角δは、いずれも、開放角(開放優角及び開放劣角)である。
例えば、開放優角について説明すると、共役角を構成する2つの外周端縁の両方が一致する平面(両方で規定される平面)のうち、共役角の優角の範囲に広がる平面を優角平面と規定したとき、この優角平面がその2つの外周端縁を有する2つの板部と重ならない範囲に広がる位置に形成されるとき、その優角平面の範囲の優角は、開放優角である。
同様に、共役角を構成する2つの外周端縁(一対の外周端縁)の両方が一致する平面(両方で規定される平面)のうち、共役角の劣角の範囲に広がる平面を劣角平面と規定したとき、この劣角平面がその2つの外周端縁を有する2つの板部と重ならない範囲に広がる位置に形成されるとき、その劣角平面の範囲の劣角は、開放劣角である。
また、図14に示されるように、全ての頂点T1は同一平面上に位置している。そして、全ての頂点T1の周りに生成される2つの共役角(優角γ及び劣角δ)は、その同一平面上に位置しており、いずれも開放角である。
図14に示されるように、外周縁27の開放端T1とは、例えば、相互に隣接する板部20g,20hの境界に位置する外周縁27の一端(図14における上端)であって、当該外周縁27を構成している両板部20g,20hの外周端縁28,28の一端が接する位置のことである。つまり、それら以外の外周縁は接していない位置のことである。そして、この2つの外周端縁28,28の接点(図14に示される開放端(角部)T1を頂点T1として延びる2つの外周端縁28,28の共役角γ、δは、いずれも開放角(開放優角、開放劣角)である。そして、開放劣角は鈍角である。
また、図15に示されるように、別の開放端T2とは、一つの板部(例えば板部22)が2つ以上の外周端縁を有する場合であって、それらのうちの2つの外周端縁が接することで形成される板部の角部T2のことである。つまり、それら以外の外周縁は接していない位置のことである。このように、開放端の位置に外周縁(2つの外周端縁のほかの外周縁)の一端が接していない場合、この開放端T2は、外周縁の一端ではなく、単なる開放端ということができる。この場合であっても、その開放端T2に一端を接する2つの外周端縁の延長線上に外周縁(外周端縁ではない外周縁)が存在する場合、開放端T2は、その延長線上に位置する外周縁の開放端であるということができる。なお、図15に示される開放端(角部)T2を頂点として延びる2つの外周端縁の共役角のうち優角γは開放優角であり、劣角δは開放劣角ではない。
このように、開放端における共役角の認定は、開放端から延びる2つの外周端縁を用いて行われる。したがって、開放端が生じる位置とは、2つの外周端縁同士のみが接している接点(頂点)の位置と、外周端縁ではない外周縁の一端であってそこに2つの外周端縁のみが接している接点(頂点)の位置である。
このように、少なくとも共役角や開放端に関する説明においては、外周縁という用語は、外周端縁以外の外周縁のことである。
開放型ジョイントとは、少なくとも1つ以上の開放端T1,T2を有するものである。
そして、開放型ジョイントとしては、少なくともいずれ一方の端部が開放端T1である外周縁を、少なくとも1つ以上有するものが好ましく、2つ以上有するものがより好ましい。
ジョイント10Aにおいて、複数の外周端縁28で構成される輪郭外周端縁は、相互に連なる外周端縁28の全ての頂点T1に形成される共役角のうちの開放劣角が90度より大きい角度である。ジョイント10Aは、このような輪郭外周端縁を少なくとも1つ以上有する開放型ジョイントと言うことができる。なお、ジョイント10Aの輪郭外周端縁は、8つの外周端縁が環状に連なっているものである。
また、輪郭外周端縁としては、さらに、相互に連なる外周端縁が位置する平面を境として、その平面の外側(開放端から延長線を延長する側)板部が存在しないことが好ましい。
図15に示されるように、ジョイント部品P1の頂点E1は、図14の頂点T1と同様であり、頂点E1を構成する2つの外周端縁の共役角は、いずれも開放角(開放優角、開放劣角)である。そして、頂点E2を構成する2つの外周端縁の共役角のうち、優角は開放優角であり、劣角は開放劣角ではない。このように、ジョイント部品P1は、少なくともいずれ一方の端部が開放端T1,T2である外周縁を、少なくとも1つ以上有する。また、ジョイント部品P1は、劣角が90度より大きい角度で連なる複数の外周端縁によって形成された輪郭外周端縁を有する。
例えば、図14に示されるジョイント10Aでは、まず、開放端を有する外周縁27から選択した任意の1つの外周縁(ここでは、選択外周縁27sと称する)について、その開放端側に延長した半直線V1(ここでは、延長外周縁V1と称する)を想定する。なお、ここでは便宜的に、開放端とは反対側延長した半直線R1も図示した。
次に、選択外周縁を延長した延長外周縁V1と交差する相手方の直線V2(つまり、共役角及びその頂点が生じる相手方の直線)を検討する。このとき、相手方の直線とすることができる直線は、選択外周縁27sに接する板部を除いた板部の広がっている方向に沿って延びる直線(例えば、その板部の外周縁を延長した延長外周縁)であるということを条件とする。
そうすると、図14のジョイント10Aでは、そのような直線は存在しない。なお、図14では、参考のために、反対側の半直線R1と交差する直線として、第1板部20aに沿って延びる直線R2を図示した。
このように、開放端を有する選択外周縁27sに隣接する板部以外の板部に沿って延びる直線であって、選択外周縁27sを開放端T1側に延長した半直線V1と交差する直線がない場合、そのジョイントは、開放型ジョイントということができる。
なお、開放端T1を有する外周縁が存在するジョイントとしては、輪郭外周端縁が存在するジョイントと、これが存在しないジョイントがある。これらのうち、輪郭外周縁が存在しないジョイントについては、上述のように開放端T1は着目するのではなく、開放端T2に着目して検討する手順で検討することがより好ましい。この検討については、後述している。
したがって、このような場合は、開放端を有する外周縁の全てについて、交差する直線が生じる場合を検討する。その結果、交差の数が1つの場合、そのジョイントは開放型ジョイントということができる。
また、交差の数が2つ以上の場合は、まず、開放端を有する外周縁の向きを特定する。開放端を有する外周縁が複数存在する場合、それらの向きは並列又はそれに近い向きになる。したがって、それらの外周縁の一方側の開放端から延長した半直線をそれぞれ一方側半直線とし、他方側の開放端から延長した半直線をそれぞれ他方側半直線とする。その上で、交差の全てが、いずれかの一方側半直線上に生じている場合や、いずれかの他方側半直線上に生じている場合、そのジョイントは開放型ジョイントということができる。
なお、開放端T1を有する外周縁が存在する場合でも、輪郭外周端縁が存在しないジョイントの場合は、その開放端T1には着目せず、次に説明するようにして検討することが好ましい。
そして、一方側のみが開放端T2である外周端縁から選択した任意の1つの選択外周縁(例えば28x)について、上述した場合と同様、開放端側から延長した半直線V1(延長外周縁V1)を想定し、さらに同様に、交差する相手方の直線V2を検討する。ここで、そのような相手方の直線が存在しない場合、そのジョイントは、開放型ジョイントということができる。
本実施例のジョイント10Bは、図16及び図17に示されるように、2つの部材で構成されたものであり、一方の部材であるジョイント部品P3は、図13に示されるジョイント10A(実施例2参照)と同じ形状の部品であり、他方の部品P4は、板状の部材である。
そこで、ジョイント部品P3については、ジョイント10Aと共通の符号を用い、説明を省略することがある。
このように、開放型ジョイント10Aに板部材P4が組み合わせると、内部空間S1を有するジョイント(開放型でないジョイント)10Bが形成される。このジョイント10Bでは、被連結部材が連結される結合部が形成されている板部(各結合部形成部)20の外周面は、全て、外側に向けて山折りの稜線部を介して、隣接する結合部形成部の外周面に接している。したがって、ジョイント10Bは、被連結部材が連結される穴(結合部)25が形成されている各板部(結合部形成部)20の外周面が、外側に向けて山折りの稜部を介して、隣接する結合部形成部の外周面に接している。また、板部材P4は、板部材P4の外側に、ジョイントの外周側に位置する大型面63を有している。この大型面は、ジョイント10Bを壁などの平面部に安定した状態で取り付ける際に用いることができる。
なお、ジョイント部品P3の輪郭外周縁の位置に板部材P4が設置されて形成されたジョイント10Bにおいては、外周端縁28の位置に形成される外周縁について、符号「28a」を付すこととする。
板部材P4の各角部には、さらに、第3板部及び第4板部の境界位置に形成されている外周縁27の一端が接している。つまり、板部材P4の各角部は、3つの外周縁27,28a,28aの端部が接する位置である。別言すれば、板部材P4の各角部では、3つの板部の角が接している。
このような板部材の各角部をジョイント10Bの内側から見ると、板部材P4の各角部の内側の隅部には、3つの谷筋Mの端部が接している。3つの谷筋Mが接している板部材P4の各隅部の頂点(各角部の頂点の内側)は、3つの板部によって取り囲まれている。
このようなに、3つの板部によって閉構造で取り囲まれた隅部(角部)を有する構造にすると、ジョイントとして高い強度を確保することができる。
このように、ジョイント10Bは、ジョイントの結合部を有するジョイント部品P3と、ジョイント強度を確保するための板部材P4という異なる機能を有する部品を組み合わせて構成されるものである。
本実施例のジョイント10Cは、図19から図21に示されるように、2つの部材で構成されたものであり、一方の部材であるジョイント部品P5は、図16及び図17に示されるジョイント10B(実施例3参照)と同じ形状の部品である。また、他方のジョイント部品P6は、実施例3のジョイント10Bで用いられている板部材P4とは大きさや形状が異なる板部材P6である。
そこで、ジョイント部品P5については、ジョイント10Aと共通の符号を用い、説明を省略することがある。
そして、ジョイント部品P5に組み付けられた板部材P6は、ジョイント部品P5の板部20g,20hの外側面よりも外側に広がった位置に形成されるツバ部(鍔部)62を有する。また、板部材P4と同様、ジョイントの外周に位置する大型面63を有している。
ジョイント部品P5に板部材P6が組み合わせられて構成されたジョイント10Cでは、実施例3のジョイント10Bと同様の内部空間S1が形成される。また、ジョイント10Bと同様に、3つの板部によって閉構造で取り囲まれた隅部を有する内部構造が構成され、ジョイントとして高い強度を確保することができる。
さらに、ジョイント10Bと同様、ジョイント10cは、ジョイントの結合部を有するジョイント部品P5と、ジョイント強度を確保するための板部材P6という異なる機能を有する部品を組み合わせて構成されるものである。
このようなツバ部があると、強度や取扱い性において利便性が向上する場合がある。
なお、本実施例のジョイントが有するツバ部は、谷筋に外側の位置に、谷筋の方向に沿って延在するものである。また、ツバ部は、全体が同一平面上に形成されている。そして、ツバ部は、いずれかの結合部形成部と同一面上に広がっているものでもよい。また、ツバ部は、隣接する板部とのなす角度が90度以上であることが好ましい。
また、ツバ部としては、その基部(すなわち、ツバ部がなければ外周縁が位置する位置)の一方の面側にだけ、隣接する板部との間に谷筋を有する構成のツバ部と、ツバ部の基部の両側(一方の面側と他方の面側の両方)に、隣接する板部との間に谷筋を有する構成のツバ部がある。
なお、ジョイント10A,10Bの製造方法は、ジョイント10Cの製造方法と共通しているので、ここではジョイント10Cの製造方法について説明し、ジョイント10A,10Bの製造方法の説明を省略する。
そして、用意した鋼板を加工して、図22に示される1つのブランク材BAを製造する(ブランク材製造工程)。
本実施例では、打ち抜き加工によってブランク材BAを得た。ブランク材BAは、13個の矩形の板状部Cに区画可能な形状であり、各板状部Cに穴D(25)を有するものである。穴Dの形成は、打抜き加工と同時でも、打ち抜き加工の前又は後でもよい。また、必要に応じて穴Dに雌ねじを形成してもよい。なお、図22においてブランク材BAに示した破線は、後述の折り曲げ工程における折り曲げ位置の説明で用いるために便宜的に示したものであり、実際には無くてもよい。
まず、曲げ加工を行う(折り曲げ工程)。
曲げ加工は、ブランク材BAの破線部(図22参照)を折り曲げる加工である。これにより、四方を外周縁で囲まれた13個の矩形の板部20が生成される。また、折り曲げ加工によって、加工物(ブランク材)は、立体形状になり、凸側面側と凹側面側が生じる。
折り曲げ加工は、また、板部20が一体に連なる構成のジョイント部品P3,P5(ジョイント10A)を形成する工程であるということができる。また、環状につらなる外周端縁(輪郭外周端縁)を形成する工程であるということがでいる。
なお、曲げ加工については、実施例1のジョイントの製造方法のところで詳細に説明しているので、ここでは詳細な説明を省略する。
これにより、ジョイント10Aが製造される。
ここでは、溶接によって相互に部品を固定してジョイント10C(10B)を製造した(合体工程)。
また、ジョイント10C(10B)は、全ての曲げ角度が鈍角の曲げ加工で加工されたジョイント部品と、板状の板部材とを接合する溶接加工によって組み立てられ、しかも溶接部の全ての部分をジョイントの外側及び内側の両側から視認可能な構造体である。
また、外周縁において相互に線接触する板部20,20の外周縁の直線状の接合部の内面角度β(=360°−α)は90度以上の角度であり、接触部分は溶接部のみであり、ジョイント全体から隙間構造(面接触構造)が排除されており、結露によりジョイントの外周面に付着した水分を迅速かつ確実になくすことができるという優れた構造である。
各結合部が形成されている結合部形成部の外周面は平面であり、相互に隣接する前記結合部形成部の前記外周面は、外側に向けて山折りの稜部を介して隣接していることを特徴とするジョイントである。
本発明のジョイントは、複数の板状部を折り曲げ及び溶接によって組み合わせた簡単な構造であるので、容易かつ迅速に製造することができ、しかも取扱い性にも優れている。
なお、当該発明は、被連結部材が連結される結合部を複数備えているジョイントであって、各結合部が形成されている各結合部形成部の外周面は、外側に向けて山折りの稜部を介して、隣接する結合部形成部の外周面に接していることを特徴とするジョイントである。
また、前記ジョイントは、複数の部品を溶接により合体させて形成されるものであり、溶接位置は、前記稜部の位置である。
そして、複数の前記結合部形成部に囲まれた内部空間と、ジョイント外側から前記内部空間に連通する貫通穴とをさらに備えており、各結合部形成部の前記外周面の裏側の内側面は、ジョイント外側から視認可能である。
さらに、前記貫通穴は複数であり、いずれの貫通穴からも全ての前記結合部形成部の前記内側面を視認可能である。
さらに、結合部に、前記ジョイントと前記被連結部材との連結に用いられる連結部材が取り付け可能になっており、当該連結部材を用いて前記被連結部材を前記ジョイントに連結したときに両者の結合部が視認可能である。
また、前記結合部は、結合穴を備えており、当該結合穴の内側から外側に向けて雄ねじ部を突出させた状態で当該結合穴に取り付け可能なボルトと、当該ボルトの前記雄ねじ部に捩じ込み可能なナットとを備える前記連結部材を有しており、前記結合穴に挿通された前記ボルトの前記雄ねじ部に、前記被連結部材が備えている連結端部の挿通孔が外挿され、当該挿通孔を貫通した前記雄ねじ部の先端部に前記ナットを捩じ込むことで、前記連結端部をジョイントに締め付け固定できるジョイント組立体でもよい。
また、前記曲げ工程は、相互に面対称構造である前記2つのジョイント部品を製造する工程であり、前記合体工程は、当該2つのジョイント部品を、相互に点対称に配置して組合せた状態で行われる工程である。
そして、前記結合部形成部は外形が正方形の板部であり、各板部はいずれも外周縁で囲まれており、前記曲げ工程は、折り曲げ加工により生成される4つの折り曲げ外周縁によって四方を囲まれた中核板部と、当該中核板部に前記折り曲げ外周縁を介して隣接する4つの隣接板部と、隣接板部のうちのいずれか1つである所定の隣接板部の外側外周縁を介して隣接する一方の周辺板部と、前記所定の隣接板部の隣り合わせで配置される2つの隣接板部のうちのいずれか一方の隣接板部の外側外周縁を介して隣接する他方の周辺板部と、前記2つの周辺板部の外周縁であって前記周辺板部との隣接位置の外周縁の両端から外側に向けて延びる合計4つの縦外周縁のうち、相対向する位置に配置された2つの対向縦外周縁のうちのいずれか一方の縦外周縁を介して対応するいずれかの周辺板部に隣接する一方の拡張板部と、前記4つの縦外周縁のうちの残る2つの縦外周縁のうちのいずれか一方の縦外周縁を介して対応するいずれかの周辺板部に隣接する他方の拡張板部とを有すると共に、これらの板部が一体に連なっているジョイント部品を形成する工程である。
さらに、前記結合部形成部である板部の内側面及び外周面は正方形であり、前記ブランク材製造工程は、正方形の中核板部に相当する中核領域と、中核領域に隣接する4つの正方形の隣接板部に相当する隣接領域と、いずれか1つの隣接領域の外側に隣接する一方の周辺板部に相当する一方の周辺領域と、所定の隣接領域の外側に隣接する他方の周辺板部に相当する他方の周辺領域と、一方の拡張板部に相当する一方の拡張領域と、他方の拡張板部に相当する他方の拡張領域とを有すると共にこれらの領域が一体に連なっているブランク材を製造する工程である。
貫通部30を有する構造は、内面の視認が容易である点で好ましく、貫通部を備えていない構成はより堅牢な構造の実現が容易な点で好ましい。
ジョイント部品の数は、1つ又は3つ以上でも良いが、2つが好ましい。高精度の構造のジョイントを容易かつ迅速に製造しやすいと考えられる。
複数のジョイント部品でジョイントを構成する場合、同じ数の板部で構成されたジョイント部品だけを用いてジョイントを構成してもよいし、異なる数の板部で構成された複数のジョイント部品を用いてジョイントを構成してもよい。
また、本実施例のジョイントでは、折り曲げにより構成された稜線の数は、溶接されている稜線の数より多いが、溶接されている稜線の数以下であってもよい。
このジョイント組立体11aを用いる場合、梁50に取り付ける羽根部材50bとして、図11(A)及び(B)に示される羽根部材50bを用いることができる。羽根部材は、羽根部材の本体に連結端部が溶接されたものであり、羽根部材50bの連結端部51bは、ボルト40のボルト部41にねじ込み可能なナット(高ナット、ねじ込み部)である(図11(B)参照)。従って、雌ねじ部51cを有するこの連結端部51bを、ボルト40に締結されたナット44に押し付けるように、ボルト40のボルト部41に捩じ込むことで、梁50(に取り付けられた羽根部材50aの連結端部51b)とジョイント組立体11aとを連結することができる(図12参照)。
ところで、ジョイント組立体11aのボルト40に梁50の連結端部51bを捩じ込むことで、ジョイント組立体11aに梁50を固定する構成の場合、梁50をジョイント組立体11aに強固に固定するためにはしっかりと捩じ込む必要があるところ、ボルト40に対する梁50の向き(捩じ込み位相又は回転位相)を所望の向き(所望の捩じ込み位相又は所望の回転位相)にすることは必ずしも容易でない。
ところが、ジョイント組立体11aは、上述したように、スプリングワッシャー43を装着した構成である。このような構成であると、スプリングワッシャーがない場合と比較して、スプリングワッシャー43に圧縮力を付与できるナット締め付け位置の範囲が広い。
したがって、用いるジョイントがジョイント組立体11aであれば、ボルト40のナット44に梁50の連結端部51bを押し付けるように捩じ込んだときに梁50の向きが所望の向き(捩じ込み位相)になるように、ナット44の締め付け位置を調整することで、捩じ込み完了後の梁50の向きを容易に所望の向き(捩じ込み位相)にすることができる。梁50の向きを所望の向きにすることができれば、構築されるトラス構造体の品質及び外観をより向上させることができるという点で極めて優れている。
Claims (18)
- 被連結部材が連結される結合部を複数備えているジョイントであって、
各結合部が形成されている各結合部形成部の外周面は、外側に向けて山折りの稜部を介して、隣接する結合部形成部の外周面に接していることを特徴とする開放型ジョイント。 - 被連結部材が連結される結合部を複数備えている開放型ジョイントであって、
各結合部が形成されている各結合部形成部のうち、少なくとも1つ以上の結合部形成部は、当該結合部形成部に隣接する他の結合部形成部との境界に位置する外周縁を備えており、
外周縁の位置に稜部が形成されている一方側面と、稜線の裏側に位置する谷筋が形成されている他方側面とを備えており、
各結合部が形成されている各結合部形成部のうち、少なくとも1つ以上の結合部形成部は、当該結合部形成部の前記一方側面と前記他方側面との境界に位置する外周端縁を備えており、
しかも2つの外周端縁の接点を少なくとも1つ以上備えており、
当該接点を頂点として延びる2つの外周端縁の間に形成される共役角のうちの劣角が90度以上である頂点が少なくとも1つあることを特徴とする開放型ジョイント。 - 前記劣角は、前記谷筋が形成されている前記他方側面側に形成される、請求項2に記載の開放型ジョイント。
- 前記接点を頂点として延びる2つの外周端縁に一致する平面のうち、当該頂点周りに形成される共役角の優角の範囲に広がる優角平面は、前記2つの外周端縁を有する2つの結合部形成部と重ならない範囲に広がる、請求項2又は請求項3に記載の開放型ジョイント。
- 前記接点を頂点として延びる2つの外周端縁に一致する平面のうち、当該頂点周りに形成される共役角の劣角の範囲に広がる劣角平面は、前記2つの外周端縁を有する2つの結合部形成部と重ならない範囲に広がる、請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の開放型ジョイント。
- 同一平面上に位置する2つ以上の外周端縁が連なって形成された輪郭外周端縁を備えている、請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の開放型ジョイント。
- 同一平面上に位置する3つ以上の外周端縁が連なって形成された輪郭外周端縁を備えている、請求項6に記載の開放型ジョイント。
- 前記輪郭外周端縁は、これを構成する複数の外周端縁が位置する平面を境として、当該外周端縁を有する前記結合部形成部の反対側に位置する板部が存在しない状態で配置されているものである、請求項6又は請求項7に記載の開放型ジョイント。
- 前記輪郭外周端縁を構成する外周端縁同士の接点に一端が接している外周縁を少なくとも1つ以上有する請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の開放型ジョイントについて、
前記接点に一端を接している前記外周縁を当該接点の外側に延長して形成される延長線と、当該延長線上の点である仮想頂点と、当該仮想頂点から前記接点に向けて延びる延長線分と、前記仮想頂点から前記延長線分との間に共役角を生じる状態で前記開放型ジョイントに向けて延ばした相手方線分とを規定したとき、
当該相手方線分が一致する面を有する結合部形成部を含んでいないことを特徴とする開放型ジョイント。 - 請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の開放型ジョイントの前記輪郭外周端縁は、板部材を固定可能になっており、当該板部材が固定されたジョイントの部品として用いることができるジョイント部品。
- 請求項10に記載のジョイント部品の前記輪郭外周端縁に板部材が固定されたジョイント。
- 請求項11に記載のジョイントであって、
前記輪郭外周端縁を構成する外周端縁のうちの2つの外周端縁の接点に一端が接している外周縁の他方側面側に形成された谷筋、当該2つの外周端縁のうちの一方の外周端縁を有する前記結合部形成部と前記板部材との当接部に形成された一方の谷筋、当該2つの外周端縁のうちの他方の外周端縁を有する前記結合部形成部と前記板部材との当接部に形成された他方の谷筋の3つの谷筋の端部が接する隅部を有するジョイント。 - 前記板部材は、前記輪郭外周端縁を構成する外周端縁の外側に広がるツバ部を備えている請求項11又は請求項12に記載のジョイント。
- 請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の開放型ジョイントの前記結合部に、前記開放型ジョイントと前記被連結部材との連結に用いられる連結部材が取り付け可能になっており、
当該連結部材を用いて前記被連結部材を前記開放型ジョイントに連結したときに両者の結合部が視認可能である、ジョイント組立体。 - 請求項11から請求項13のいずれか一項に記載のジョイントの前記結合部に、前記ジョイントと前記被連結部材との連結に用いられる連結部材が取り付け可能になっており、
当該連結部材を用いて前記被連結部材を前記ジョイントに連結したときに両者の結合部が視認可能である、ジョイント組立体。 - 被連結部材が連結される結合部を複数備えているジョイントの製造方法であって、
板状のブランク材を用意するブランク材製造工程と、
用意された複数のブランク材に折り曲げ加工を施してジョイント部品を製造する曲げ工程と、
前記結合部を形成する結合部形成工程と、を有しており、
前記曲げ工程は、ブランク材のいずれか一方の外面側に全ての山折り構造が現れるように折り曲げて、前記結合部が形成される結合部形成部を複数備えるジョイントを製造する工程であり、
当該曲げ工程によって、ジョイントの一方側面側に稜部が形成されると共に、他方側面側に谷筋が形成され、
前記結合部形成工程によって、前記結合部形成部に結合部が形成され、
前記曲げ工程によって相互に隣接する状態に加工された結合部形成部の外周縁同士を溶接する溶接工程をさらに備えている、ジョイントの製造方法。 - 前記結合部形成部は、外形が矩形の板部であり、
各板部は、いずれも外周縁で囲まれており、
前記曲げ工程は、
折り曲げ加工により生成される4つの折り曲げ外周縁によって四方を囲まれた中核板部と、
当該中核板部に前記折り曲げ外周縁を介して隣接する4つの隣接板部と、隣接板部のうちのいずれか1つである所定の隣接板部の外側外周縁を介して隣接する一方の周辺板部と、
前記所定の隣接板部の隣り合わせで配置される2つの隣接板部のうちのいずれか一方の隣接板部の外側外周縁を介して隣接する他方の周辺板部と、
前記2つの周辺板部の外周縁であって前記周辺板部との隣接位置の外周縁の両端から外側に向けて延びる合計4つの縦外周縁のうち、相対向する位置に配置された2つの対向縦外周縁のうちのいずれか一方の縦外周縁を介して対応するいずれかの周辺板部に隣接する一方の拡張板部と、
前記4つの縦外周縁のうちの残る2つの縦外周縁のうちのいずれか一方の縦外周縁を介して対応するいずれかの周辺板部に隣接する他方の拡張板部とを有すると共に、これらの板部が一体に連なっているジョイント部品を形成する工程である、請求項16に記載のジョイントの製造方法。 - 請求項16又は請求項17に記載のジョイントの製造方法の前記結合部形成工程で形成される前記結合部は、結合穴であり、
当該結合穴に、雄ねじ部が外側に向けて突出する状態になるように前記結合穴にボルトを挿通させる工程と、
前記結合部形成部の外周面の外側に突出した前記雄ねじ部に弾性体を外挿する工程と、
当該弾性体が外挿された前記雄ねじ部に、前記弾性体を前記外周面側に押し付けるナットを捻じ込む工程と、をさらに備えているジョイント組立体の製造方法であり、
前記弾性体を前記外周面に押し付ける状態の前記ナットが捩じ込まれた前記雄ねじ部に、前記被連結部材が備えている連結端部を捩じ込んで、当該連結端部を前記ナットに当接させて締め付けることで当該連結端部を前記ジョイントに締め付け固定することができる、ジョイント組立体の製造方法。
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