本発明は、少なくとも部分的には、ケラチン4、7、8、15、18、および19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB(FLNB)、およびリンパ球抗原9(LY9)が前立腺癌細胞中で示差的に調節されるという出願人の発見に基づく。
従って、本発明は、哺乳動物における腫瘍性疾患状態、例えば、前立腺癌を診断する、モニタリングする(例えば、疾患の進行もしくは処置の)、予後診断する、処置する、その症状を軽減する、その進行を阻害する、または防止するための方法を提供する。本発明はさらに、本発明を実施するためのパネルおよびキットを提供する。
一態様において、本発明は、被験体における異常な前立腺状態を診断するための方法であって、
(1)被験体に由来する生物試料中のフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルを決定すること;ならびに
(2)生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルと、正常対照試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルとを比較すること
を含み、正常対照試料と比較した生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの変化が、被験体における異常な前立腺状態を示す前記方法を提供する。
特定の実施形態においては、1種以上の前立腺癌関連マーカーは、フィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される。特定の実施形態においては、正常対照試料と比較した生物試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの増加は、被験体における異常な前立腺状態を示す。
特定の実施形態においては、正常対照試料と比較した生物試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのそれぞれの発現の検出レベルの増加がないことは、被験体における正常な前立腺状態を示す。そのような実施形態において、フィラミンB、LY9、およびケラチン19の1つ、2つ、または全部のレベルを検出することができる。検出されるマーカーレベルについて、いずれのマーカーもレベルの増加を示さない。
特定の実施形態においては、前記方法はさらに、生物試料中の前立腺特異的抗原(PSA)のレベルを検出することを含み、好ましくは、生物試料中のPSAのレベルと、正常対照試料中のPSAのレベルとを比較することをさらに含む。特定の実施形態においては、正常対照試料と比較した生物試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの増加は、正常対照試料中のPSAのレベルと比較した生物試料中のPSAのレベルの増加と組合わせた場合、単一のマーカー単独の予測値よりも、異常な前立腺状態を有する被験体のより高い予測値を有する。特定の実施形態においては、正常対照試料と比較した生物試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのそれぞれの発現の検出レベルの増加がないことは、正常対照試料中のPSAのレベルと比較した生物試料中のPSAのレベルの低下または正常なレベルと組合わせた場合、いずれかの単一のマーカー単独よりも、正常な前立腺状態を有する被験体のより高い予測値を有する。
本発明の方法、キット、およびパネルを通じて、フィラミンB、LY9およびケラチン19の1種以上とは、フィラミンB;LY9;ケラチン19;フィラミンBとLY9;フィラミンBとケラチン19;LY9とケラチン19;またはフィラミンB、LY9、およびケラチン19のいずれかと理解される。
本発明の特定の実施形態において、異常な前立腺状態は、前立腺癌である。
本発明の特定の実施形態において、前立腺癌は、アンドロゲン依存的前立腺癌である。本発明の特定の実施形態において、前立腺癌は、侵攻性前立腺癌である。本発明の特定の実施形態において、前立腺癌は非侵攻性前立腺癌である。
本発明の特定の実施形態において、異常な前立腺癌は、良性前立腺過形成である。
別の態様において、本発明は、前立腺癌を発症する危険性が高い被験体を同定するための方法であって、
(1)被験体に由来する生物試料中のフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルを決定すること;ならびに
(2)生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルと、正常対照試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルとを比較すること
を含み、対照試料と比較した生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの変化が、被験体において前立腺癌を発症する危険性が高いことを示す、前記方法を提供する。
特定の実施形態においては、1種以上の前立腺癌関連マーカーは、フィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される。特定の実施形態においては、正常対照試料と比較した生物試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの増加は、被験体において前立腺癌を発症する危険性の増加を示す。特定の実施形態においては、正常対照試料と比較した生物試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのそれぞれの発現の検出レベルの増加がないことは、被験体において前立腺癌を発症する危険性が高くないことを示す。
特定の実施形態においては、前記方法は、生物試料中の前立腺特異的抗原(PSA)のレベルを検出することをさらに含み、好ましくは、生物試料中のPSAのレベルと、正常対照試料中のPSAのレベルとを含むことをさらに含む。特定の実施形態においては、正常対照試料と比較した生物試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの増加は、正常対照試料中のPSAのレベルと比較した生物試料中のPSAのレベルの増加と組合わせた場合、個々のマーカー単独のいずれかの増加よりも、被験体において前立腺癌を発症する高い危険性のより高い予測値を有する。特定の実施形態においては、正常対照試料と比較した生物試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのそれぞれの発現の検出レベルの増加がないことは、正常対照試料中のPSAのレベルと比較した生物試料中のPSAのレベルの低下または正常レベルと組合わせた場合、いずれかの単一のマーカー単独よりも、被験体において前立腺癌を発症する危険性が高くないことのより高い予測値を有する。
本発明の実施形態において、フィラミンB、LY9およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌マーカーは、フィラミンB;LY9;ケラチン19;フィラミンBとLY9;フィラミンBとケラチン19;LY9とケラチン19;またはフィラミンB、LY9、およびケラチン19である。
本発明の診断または予後診断方法の特定の実施形態においては、1種以上の前立腺癌関連マーカーは、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される。特定の実施形態においては、1種以上の前立腺癌関連マーカーは、ケラチン7、ケラチン8、およびケラチン15からなる群より選択される。特定の実施形態においては、1種以上の前立腺癌関連マーカーは、ケラチン7およびケラチン15からなる群より選択される。特定の実施形態においては、1種以上の前立腺癌関連マーカーは、ケラチン7、15、および19からなる群より選択される。特定の実施形態においては、本発明の診断または予後診断方法は、生物試料中の前立腺癌特異的抗原(PSA)のレベルを検出することをさらに含み、好ましくは、生物試料中のPSAのレベルと、対照試料中のPSAのレベルとを比較することをさらに含む。
特定の実施形態においては、PSAに関する対照試料は、本発明の他の前立腺癌関連マーカーに関するものと同じ対照試料である。特定の実施形態においては、PSAに関する対照試料は、本発明の他の前立腺癌関連マーカーに関する対照試料と異なる。
本発明の診断方法の特定の実施形態において、1種以上の前立腺癌関連マーカーがケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される場合、正常対照試料と比較した生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの増加は、被験体における異常な前立腺状態を示す。本発明の診断方法の特定の実施形態において、1種以上の前立腺癌関連マーカーがケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される場合、正常対照試料と比較した生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの低下または正常レベルは、被験体における異常な前立腺状態を示す。本発明の診断方法の特定の実施形態において、1種以上の前立腺癌関連マーカーがケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される場合、正常対照試料と比較した生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの増加は、被験体における正常な前立腺状態を示す。本発明の診断方法の特定の実施形態において、1種以上の前立腺癌関連マーカーがケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される場合、正常対照試料と比較した生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの低下または正常レベルは、被験体における正常な前立腺状態を示す。
本発明の予後診断方法の特定の実施形態において、1種以上の前立腺癌関連マーカーがケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される場合、正常対照試料と比較した生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの増加は、被験体において前立腺癌を発症する危険性が高いことを示す。本発明の予後診断方法の特定の実施形態において、1種以上の前立腺癌関連マーカーがケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される場合、正常対照試料と比較した生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの低下または正常レベルは、被験体において前立腺癌を発症する危険性が高いことを示す。本発明の予後診断方法の特定の実施形態において、1種以上の前立腺癌関連マーカーがケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される場合、正常対照試料と比較した生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの増加は、被験体において前立腺癌を発症する危険性が高くないことを示す。本発明の予後診断方法の特定の実施形態において、1種以上の前立腺癌関連マーカーがケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される場合、正常対照試料と比較した生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの低下または正常レベルは、被験体において前立腺癌を発症する危険性が高くないことを示す。
本発明の診断方法の特定の実施形態において、1種以上の前立腺癌関連マーカーがケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される場合、前記方法は生物試料中の前立腺特異的抗原(PSA)のレベルを検出することをさらに含み、好ましくは、生物試料中のPSAのレベルと、正常対照試料中のPSAのレベルとを比較することをさらに含む。本発明の診断方法の特定の実施形態において、1種以上の前立腺癌関連マーカーがケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される場合、正常対照試料と比較した生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの増加は、正常対照試料中のPSAのレベルと比較した生物試料中のPSAのレベルの増加と組合わせた場合、被験体における異常な前立腺状態を示し、前記方法は個々のマーカー単独のいずれかの値よりも高い診断値または予測値を有する。本発明の診断方法の特定の実施形態において、1種以上の前立腺癌関連マーカーがケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される場合、正常対照試料と比較した生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの低下は、正常対照試料中のPSAのレベルと比較した生物試料中のPSAのレベルの増加と組合わせた場合、被験体における異常な前立腺状態を示し、前記方法は個々のマーカー単独のいずれかの値よりも高い診断値または予測値を有する。本発明の診断方法の特定の実施形態において、1種以上の前立腺癌関連マーカーがケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される場合、正常対照試料と比較した生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの低下または正常レベルは、正常対照試料中のPSAのレベルと比較した生物試料中のPSAのレベルの低下または正常レベルと組合わせた場合、被験体における正常な前立腺状態を示す。本発明の診断方法の特定の実施形態において、1種以上の前立腺癌関連マーカーがケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される場合、正常対照試料と比較した生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの増加または正常レベルは、正常対照試料中のPSAのレベルと比較した生物試料中のPSAのレベルの低下または正常レベルと組合わせた場合、被験体における正常な前立腺状態を示す。
本発明の予後診断方法の特定の実施形態において、1種以上の前立腺癌関連マーカーがケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される場合、前記方法は生物試料中の前立腺特異的抗原(PSA)のレベルを検出することをさらに含み、好ましくは、生物試料中のPSAのレベルと、正常対照試料中のPSAのレベルとを比較することをさらに含む。本発明の予後診断方法の特定の実施形態において、1種以上の前立腺癌関連マーカーがケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される場合、正常対照試料と比較した生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの増加は、正常対照試料中のPSAのレベルと比較した生物試料中のPSAのレベルの増加と組合わせた場合、被験体が前立腺癌を発症する危険性が高いを示し、前記方法は個々のマーカー単独のいずれかの値よりも高い診断値または予測値を有する。本発明の予後診断方法の特定の実施形態において、1種以上の前立腺癌関連マーカーがケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される場合、正常対照試料と比較した生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの低下は、正常対照試料中のPSAのレベルと比較した生物試料中のPSAのレベルの増加と組合わせた場合、被験体が前立腺癌を発症する危険性が高いことを示し、前記方法は個々のマーカー単独のいずれかの値よりも高い診断値または予測値を有する。本発明の予後診断方法の特定の実施形態において、1種以上の前立腺癌関連マーカーがケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される場合、正常対照試料と比較した生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの低下または正常レベルは、正常対照試料中のPSAのレベルと比較した生物試料中のPSAのレベルの低下または正常レベルと組合わせた場合、被験体における前立腺癌を発症する危険性が低いか、または危険性が正常であること示し、前記方法は個々のマーカー単独のいずれかの値よりも高い診断値または予測値を有する。本発明の予後診断方法の特定の実施形態において、1種以上の前立腺癌関連マーカーがケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される場合、正常対照試料と比較した生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの増加または正常レベルは、正常対照試料中のPSAのレベルと比較した生物試料中のPSAのレベルの低下または正常レベルと組合わせた場合、被験体における前立腺癌を発症する危険性が低いか、または危険性が正常であること示し、前記方法は個々のマーカー単独のいずれかの値よりも高い診断値または予測値を有する。
本発明の診断または予後診断方法のいずれかの様々な実施形態において、前記方法は、生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルと、生物試料よりも早い時点で同じ被験体から得られた試料、良性前立腺過形成(BPH)を有する被験体に由来する試料、非転移性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、転移性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、アンドロゲン感受性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、アンドロゲン非感受性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、侵攻性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、および非侵攻性前立腺癌を有する被験体に由来する試料からなる群より選択される対照試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルとを比較することをさらに含んでもよい。そのような実施形態において、1種以上のさらなる対照試料との比較は、正常な前立腺と前立腺癌、良性前立腺過形成と前立腺癌、良性前立腺過形成と正常な前立腺、アンドロゲン依存的前立腺癌とアンドロゲン非依存的前立腺癌、侵攻性前立腺癌と非侵攻性前立腺癌、および転移性前立腺癌と非転移性前立腺癌からなる群より選択される2つの前立腺癌状態の識別;または正常な前立腺、前立腺癌、良性前立腺過形成、アンドロゲン依存的前立腺癌、アンドロゲン非依存的前立腺癌、侵攻性前立腺癌、非侵攻性前立腺癌、転移性前立腺癌、および非転移性前立腺癌のいずれか2つ以上の間の区別を容易にすることができる。
本発明の特定の実施形態において、腫瘍が存在する場合、前記方法は、被験体における前立腺腫瘍のサイズを検出することをさらに含む。
本発明の診断および予後診断方法の特定の実施形態において、前記方法は、被験体から試料を取得することをさらに含む。
本発明の診断および予後診断方法の特定の実施形態において、前記方法は、前立腺癌を有するか、または有すると疑われる被験体を選択することをさらに含む。
本発明の特定の実施形態において、前記方法は、1種以上の前立腺癌マーカーのレベルに基づいて被験体のための処置レジメンを選択することをさらに含む。本発明の特定の実施形態において、前記方法は、1種以上の前立腺癌マーカーのレベルに基づく処置レジメンで被験体を処置することをさらに含む。特定の実施形態において、処置レジメンは、外科手術、放射線、ホルモン療法、抗体療法、増殖因子療法、サイトカイン療法、および化学療法からなる群より選択される1種以上の処置を含む。
さらに別の態様において、本発明は、被験体における前立腺癌をモニタリングする方法であって、
(1)前立腺癌を有する被験体から第1の時間に得られた第1の生物試料中のフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルを決定すること;
(2)第1の時間の後であるか、またはそれより遅い第2の時間に被験体から得られた第2の生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現のレベルを決定すること;ならびに
(3)第2の試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルと、第1の試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルとを比較すること
を含み、第1の試料と比較した第2の試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの変化が、被験体における前立腺癌状態の変化を示す、前記方法を提供する。
特定の実施形態において、被験体は、第2の試料を取得する前に前立腺癌について積極的に処置される。すなわち、被験体は、前立腺癌のための積極的な処置を受けている。
特定の実施形態において、被験体は、第2の試料を取得する前に前立腺癌について積極的に処置されない。すなわち、被験体は、待機療法を用いてモニタリングされる。
特定の実施形態において、1種以上の前立腺癌関連マーカーは、フィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される。特定の実施形態において、第1の生物試料と比較した第2の生物試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの増加は、被験体における前立腺癌の進行を示す。特定の実施形態において、第1の生物試料と比較した第2の生物試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのそれぞれの発現の検出レベルの増加がないことは、被験体における前立腺癌の非進行を示す。
ある特定の実施形態において、前記方法は、第1の生物試料および第2の生物試料中の前立腺特異的抗原(PSA)のレベルを決定することをさらに含み、好ましくは、第2の生物試料中のPSAのレベルと、第1の生物試料中のPSAのレベルとを比較することをさらに含む。特定の実施形態において、第1の生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルと比較した第2の生物試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの増加は、第1の生物試料中のPSAのレベルと比較した第2の生物試料中のPSAのレベルの増加と組合わせた場合、いずれか単一のマーカー単独よりも被験体における前立腺癌の進行のより高い予測値を有する。特定の実施形態において、第1の生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルと比較した第2の生物試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのそれぞれの発現の検出レベルの増加がないことは、第1の生物試料中のPSAのレベルと比較した第2の生物試料中のPSAのレベルの低下または同じレベルと組合わせた場合、いずれか単一のマーカー単独よりも被験体における前立腺癌の非進行のより高い予測値を有する。
本発明の実施形態において、フィラミンB、LY9およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌マーカーは、フィラミンB;LY9;ケラチン19;フィラミンBとLY9;フィラミンBとケラチン19;LY9とケラチン19;またはフィラミンB、LY9、およびケラチン19である。
本発明のモニタリング方法の特定の実施形態において、1種以上の前立腺癌マーカーは、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される。本発明のモニタリング方法の特定の実施形態において、1種以上の前立腺癌マーカーは、ケラチン7、ケラチン8、およびケラチン15からなる群より選択される。本発明のモニタリング方法の特定の実施形態において、1種以上の前立腺癌マーカーは、ケラチン7、ケラチン15、およびケラチン19からなる群より選択される。本発明のモニタリング方法の特定の実施形態において、1種以上の前立腺癌マーカーは、ケラチン7およびケラチン15からなる群より選択される。
本発明のモニタリング方法の特定の実施形態において、1種以上の前立腺癌マーカーがケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される場合、前記方法は、第1の生物試料および第2の生物試料中の前立腺特異的抗原(PSA)のレベルを決定することをさらに含み、好ましくは、第2の生物試料中のPSAのレベルと、第1の生物試料中のPSAのレベルとを比較することをさらに含む。
本発明のモニタリング方法の特定の実施形態において、1種以上の前立腺癌関連マーカーがケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される場合、第1の試料と比較した第2の試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの増加は、被験体における前立腺腫瘍の進行を示す。本発明のモニタリング方法の特定の実施形態において、1種以上の前立腺癌関連マーカーがケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される場合、第1の試料と比較した第2の試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの低下または正常レベルは、被験体における前立腺腫瘍の進行を示す。本発明のモニタリング方法の特定の実施形態において、1種以上の前立腺癌関連マーカーがケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される場合、第1の試料と比較した第2の試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの増加は、被験体における前立腺腫瘍の進行がないことを示す。本発明のモニタリング方法の特定の実施形態において、1種以上の前立腺癌関連マーカーがケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される場合、第1の試料と比較した第2の試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの低下または正常レベルは、被験体における前立腺腫瘍の進行がないことを示す。
本発明のモニタリング方法の特定の実施形態において、1種以上の前立腺癌関連マーカーがケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される場合、前記方法は、第2の試料中の前立腺特異的抗原(PSA)のレベルを検出することをさらに含み、好ましくは、第2の試料中のPSAのレベルと、第1の試料中のPSAのレベルとを比較することをさらに含む。本発明のモニタリング方法の特定の実施形態において、1種以上の前立腺癌関連マーカーがケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される場合、第1の試料と比較した第2の試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの増加は、第1の試料中のPSAのレベルと比較した第2の試料中のPSAのレベルの増加と組合わせた場合、被験体における前立腺腫瘍の進行を示し、前記方法は、個々のマーカー単独のいずれかの値よりも高い診断値または予測値を有する。本発明のモニタリング方法の特定の実施形態において、1種以上の前立腺癌関連マーカーがケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される場合、第1の試料と比較した第2の試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの低下は、第1の試料中のPSAのレベルと比較した第2の試料中のPSAのレベルの増加と組合わせた場合、被験体における前立腺腫瘍の進行を示し、前記方法は、個々のマーカー単独のいずれかの値よりも高い診断値または予測値を有し、前記方法は、個々のマーカー単独のいずれかの値よりも高い診断値または予測値を有する。本発明のモニタリング方法の特定の実施形態において、1種以上の前立腺癌関連マーカーがケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される場合、第1の試料と比較した第2の試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの低下または正常レベルは、第1の試料中のPSAのレベルと比較した第2の試料中のPSAのレベルの低下または正常レベルと組合わせた場合、被験体における前立腺腫瘍の進行がないことを示す。本発明のモニタリング方法の特定の実施形態において、1種以上の前立腺癌関連マーカーがケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される場合、第1の試料と比較した第2の試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの増加または正常レベルは、第1の試料中のPSAのレベルと比較した第2の試料中のPSAのレベルの低下または正常レベルと組合わせた場合、被験体における前立腺腫瘍の進行がないことを示し、前記方法は個々のマーカー単独のいずれかの値よりも高い診断値または予測値を有する。
本発明のモニタリング方法の特定の実施形態において、前記方法は、第1の生物試料または第2の生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルと、正常対照試料、良性前立腺過形成(BPH)を有する被験体に由来する試料、非転移性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、転移性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、アンドロゲン感受性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、アンドロゲン非感受性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、侵攻性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、および非侵攻性前立腺癌を有する被験体に由来する試料からなる群より選択される対照試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルとを比較することをさらに含む。
本発明のモニタリング方法の特定の実施形態において、前記方法は、被験体における前立腺腫瘍のサイズを検出することをさらに含む。
本発明のモニタリング方法の特定の実施形態において、前記方法は、被験体から第1の試料および第2の試料を取得することをさらに含む。
本発明のモニタリング方法の特定の実施形態において、前記方法は、被験体における前立腺癌の進行に基づいて被験体のための異なる処置レジメンを選択および/または施すことをさらに含む。
本発明のモニタリング方法の特定の実施形態において、前記方法は、被験体における前立腺癌の非進行に基づいて被験体のための処置レジメンを維持することをさらに含む。
特定の実施形態において、処置レジメンは、外科手術、放射線、ホルモン療法、抗体療法、増殖因子療法、サイトカイン療法、および化学療法からなる群より選択される1種以上の処置を含む。
本発明のモニタリング方法の特定の実施形態において、前記方法は、被験体における前立腺癌の非進行に基づいて被験体における前立腺癌の積極的な処置を保留することをさらに含む。特定の実施形態において、積極的な処置は、外科手術、放射線、ホルモン療法、抗体療法、増殖因子療法、サイトカイン療法、および化学療法からなる群より選択される1種以上の処置である。
さらに別の態様において、本発明は、前立腺癌関連マーカーのセットを検出するための方法であって、
(1)フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3を含む前立腺癌関連マーカーのセットの2つ以上の前立腺癌関連マーカーのレベルについて被験体に由来する生物試料を分析すること;
(2)生物試料中の2つ以上の前立腺特異的マーカーのそれぞれを検出することによって、前立腺癌関連バイオマーカーのセットを検出すること
を含む前記方法を提供する。
特定の実施形態において、前立腺癌関連マーカーのセットは、フィラミンB、LY9、およびケラチン19を含む。特定の実施形態において、2つ以上の前立腺癌関連マーカーは、フィラミンBとLY9;フィラミンBとケラチン19;LY9とケラチン19;またはフィラミンB、LY9およびケラチン19である。特定の実施形態において、前立腺癌関連マーカーのセットは、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3を含む。特定の実施形態において、前立腺癌関連マーカーのセットは、ケラチン7、ケラチン8、およびケラチン15を含む。特定の実施形態において、前立腺癌関連マーカーのセットは、ケラチン7、ケラチン15、およびケラチン19を含む。特定の実施形態において、前立腺癌関連マーカーのセットは、ケラチン7およびケラチン15を含む。
本発明の方法のいずれかの様々な実施形態において、生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルを検出するか、または決定するステップは、生物試料の成分を単離することを含む。
本発明の方法のいずれかの様々な実施形態において、生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルを検出するか、または決定するステップは、生物試料の成分を標識することを含む。
本発明の方法のいずれかの様々な実施形態において、生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルを検出するか、または決定するステップは、生物試料を加工することを含む。
本発明の方法のいずれかの様々な実施形態において、生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルを検出するか、または決定するステップは、検出しようとする前立腺癌関連マーカーを、前立腺癌関連マーカー結合剤と接触させることを含む。
本発明の方法のいずれかの様々な実施形態において、生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルを検出するか、または決定するステップは、検出しようとする前立腺癌関連マーカーと、前立腺癌関連マーカー結合剤との複合体を形成させることを含む。
本発明の方法のいずれかの様々な実施形態において、生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルを検出するか、または決定するステップは、1種以上の前立腺癌関連マーカーのそれぞれを、前立腺癌関連マーカー結合剤と接触させることを含む。
本発明の方法のいずれかの様々な実施形態において、生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルを検出するか、または決定するステップは、1種以上の前立腺癌関連マーカーのそれぞれと、前立腺癌関連マーカー結合剤との複合体を形成させることを含む。
本発明の方法のいずれかの様々な実施形態において、生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルを検出するか、または決定するステップは、検出しようとする前立腺癌関連マーカーを、固相表面に付着させることを含む。
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも2つの検出試薬を含む、検出方法における使用のための試薬のパネルを提供し、それぞれの検出試薬は前立腺癌関連マーカーのセットの少なくとも1つの前立腺癌関連マーカーの検出にとって特異的であり、前立腺癌特異的マーカーのセットはフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3およびPSAからなる群より選択される2つ以上の前立腺癌関連マーカーを含む。
特定の実施形態において、前立腺癌特異的マーカーのセットは、フィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される2つ以上の前立腺癌関連マーカーを含む。特定の実施形態において、2つ以上の前立腺癌関連マーカーは、フィラミンBとLY9;フィラミンBとケラチン19;LY9とケラチン19;またはフィラミンB、LY9およびケラチン19である。
特定の実施形態において、前立腺癌特異的マーカーのセットは、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される2つ以上の前立腺癌関連マーカーを含む。特定の実施形態において、前立腺癌特異的マーカーのセットは、ケラチン7、ケラチン8およびケラチン15からなる群より選択される2つ以上の前立腺癌関連マーカーを含む。特定の実施形態において、前立腺癌特異的マーカーのセットは、ケラチン7およびケラチン15を含む。
特定の実施形態において、前立腺癌特異的マーカーのセットは、PSAをさらに含む。特定の実施形態において、試薬のパネルは、PSAの検出にとって特異的な検出試薬を含む。
さらに別の態様において、本発明は、本発明により提供される方法のいずれかにおける本発明の前記パネルのいずれかの使用を提供する。
さらに別の態様において、本発明は、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3、フィラミンB、およびLY9からなる群より選択される少なくとも1つの前立腺癌関連マーカーのレベルの検出にとって特異的な少なくとも1つの試薬を含む、異常な前立腺状態の診断、モニタリング、または特性評価のためのキットを提供する。
特定の実施形態において、キットは、検出されたケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3、フィラミンB、およびLY9からなる群より選択される少なくとも1つの前立腺癌関連マーカーのレベルに基づく、異常な前立腺状態の診断、モニタリング、または特性評価のための説明書をさらに含む。
特定の実施形態において、キットは、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3、フィラミンB、およびLY9からなる群より選択される少なくとも1つの前立腺癌関連マーカーが検出される試料中のPSAのレベルを検出するための説明書をさらに含む。
特定の実施形態において、キットは、PSAのレベルの検出にとって特異的な少なくとも1つの試薬をさらに含む。
一実施形態において、本発明は、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB、およびLY9からなる群より選択される少なくとも1つの前立腺癌関連マーカーのレベルの検出にとって特異的な少なくとも1つの試薬と、PSAのレベルの検出にとって特異的な少なくとも1つの試薬とを含むキットを提供する。
さらに、本発明は、被験体から得られた生物試料中のケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB(FLNB)、およびリンパ球抗原9(LY9)からなる群より選択される1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8または9種)のマーカーの発現のレベルを決定すること;ならびに被験体から得られた生物試料中の1種以上のマーカーの発現のレベルと、対照試料中の対応する1種以上のマーカーの発現のレベルとを比較することを含み、生物試料中の1種以上のマーカーの発現のレベルの調節が、被験体が前立腺癌に罹患していることを示す、前立腺癌を診断するための方法を提供する。特定の実施形態において、正常対照試料と比較した生物試料中のフィラミンB(FLNB)、リンパ球抗原9(LY9)、またはケラチン19の発現のレベルの増加は、被験体が前立腺癌に罹患していることを示す。
本発明はさらに、被験体が前立腺癌を発症する素因を有するかどうかを予後診断する方法であって、被験体から得られた生物試料中に存在するケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB(FLNB)、およびリンパ球抗原9(LY9)からなる群より選択される1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8または9種)のマーカーの発現のレベルを決定すること;ならびに被験体から得られた生物試料中に存在する1種以上のマーカーの発現のレベルと、対照試料中の対応するマーカーの発現のレベルとを比較することを含み、被験体から得られた生物試料中の1種以上のマーカーの発現のレベルと、対照試料中の対応するマーカーの発現のレベルとの調節が、被験体が前立腺癌を発症する素因を有することを示す、前記方法を提供する。特定の実施形態において、正常対照試料と比較した生物試料中のフィラミンB(FLNB)、リンパ球抗原9(LY9)、またはケラチン19の発現のレベルの増加は、被験体が前立腺癌の素因を有することを示す。
本発明はさらに、被験体における前立腺癌の処置をモニタリングするための方法であって、被験体に処置レジメンの少なくとも一部を施す前に、被験体から得られた第1の試料中に存在するケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB(FLNB)、およびリンパ球抗原9(LY9)からなる群より選択される1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8または9種)のマーカーの発現のレベルを決定すること;被験体に処置レジメンの少なくとも一部を施した後に、被験体から得られた第2の試料中の対応する1種以上のマーカーの発現のレベルを決定すること;ならびに第1の試料中の1種以上のマーカーの発現のレベルと、第2の試料中の対応する1種以上のマーカーの発現レベルとを比較することを含み、第1の試料中の1種以上のマーカーと比較した第2の試料中の1種以上の発現のレベルの調節が、被験体における前立腺癌状態の調節を示す、前記方法を提供する。特定の実施形態において、対照試料と比較した生物試料中のフィラミンB(FLNB)、リンパ球抗原9(LY9)、またはケラチン19の発現のレベルの低下は、被験体が前立腺癌の処置に応答していることを示す。
特定の実施形態において、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB(FLNB)、およびリンパ球抗原9(LY9)からなる群より選択される1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8または9種)のマーカーのレベルを検出することによって前立腺癌の処置を診断する、予後診断する、およびモニタリングする方法は、前立腺癌の処置を診断する、予後診断する、およびモニタリングするための前立腺特異的抗原(PSA)の検出をさらに含む。
本発明はまた、被験体から得られた生物試料中のケラチン7またはケラチン15の発現のレベルを決定すること;および被験体から得られた生物試料中のケラチン7またはケラチン15の発現のレベルと、対照試料中のケラチン7またはケラチン15の発現のレベルとを比較することを含み、対照試料と比較した生物試料中のケラチン7またはケラチン15の発現のレベルの調節が、被験体が前立腺癌に罹患していることを示す、前立腺癌を診断するための方法も提供する。
本発明は、被験体が前立腺癌を発症する素因を有するかどうかを予後診断する方法であって、被験体から得られた生物試料中に存在するケラチン7またはケラチン15の発現のレベルを決定すること;および被験体から得られた生物試料中に存在するケラチン7またはケラチン15の発現のレベルと、対照試料中のケラチン7またはケラチン15の発現のレベルとを比較することを含み、被験体から得られた生物試料中のケラチン7またはケラチン15の発現のレベルと、対照試料中のケラチン7またはケラチン15の発現のレベルとの調節は、被験体が前立腺癌を発症する素因を有することを示す。
本発明は、被験体における前立腺癌の処置をモニタリングするための方法であって、被験体に処置レジメンの少なくとも一部を施す前に、被験体から得られた第1の試料中に存在するケラチン7またはケラチン15の発現のレベルを決定すること;被験体に処置レジメンの少なくとも一部を施した後に、被験体から得られた第2の試料中のケラチン7またはケラチン15の発現のレベルを決定すること;および第1の試料中のケラチン7またはケラチン15の発現のレベルと、第2の試料中のケラチン7またはケラチン15の発現のレベルとを比較することを含み、第1の試料中のケラチン7またはケラチン15と比較した第2の試料中のケラチン7またはケラチン15の発現のレベルの調節が、療法が被験体において前立腺癌を調節していることを示す、前記方法を提供する。
本発明はまた、被験体から得られた生物試料中のケラチン19の発現のレベルを決定すること;および被験体から得られた生物試料中のケラチン19の発現のレベルと、対照試料中のケラチン19の発現のレベルとを比較することを含み、正常対照試料と比較した生物試料中のケラチン19の発現のレベルの増加が、被験体が前立腺癌に罹患していることを示す、前立腺癌を診断するための方法も提供する。
本発明は、被験体が前立腺癌を発症する素因を有するかどうかを予後診断する方法であって、被験体から得られた生物試料中に存在するケラチン19の発現のレベルを決定すること;および被験体から得られた生物試料中に存在するケラチン19の発現のレベルと、対照試料中のケラチン19の発現のレベルとを比較することを含み、被験体から得られた生物試料中のケラチン19の発現のレベルと、正常対照試料中のケラチン19の発現のレベルとの調節が、被験体が前立腺癌を発症する素因を有することを示す、前記方法を提供する。
本発明は、被験体における前立腺癌の処置をモニタリングするための方法であって、被験体に処置レジメンの少なくとも一部を施す前に、被験体から得られた第1の試料中に存在するケラチン19の発現のレベルを決定すること;被験体に処置レジメンの少なくとも一部を施した後に、被験体から得られた第2の試料中のケラチン19の発現のレベルを決定すること;および第1の試料中のケラチン19の発現のレベルと、第2の試料中のケラチン19の発現レベルとを比較することを含み、第1の試料中のケラチン19と比較した第2の試料中のケラチン19の発現のレベルの低下が、被験体が前立腺癌のための処置に応答していることを示す、前記方法を提供する。
特定の実施形態において、ケラチン7、15または19のレベルを検出することにより前立腺癌の処置を診断する、予後診断する、およびモニタリングする方法は、前立腺癌の処置を診断する、予後診断する、およびモニタリングするためのフィラミンBの検出をさらに含む。特定の実施形態において、ケラチン7、15または19のレベルを検出することにより前立腺癌の処置を診断する、予後診断する、およびモニタリングする方法は、前立腺癌の処置を診断する、予後診断する、およびモニタリングするためのLY9の検出をさらに含む。特定の実施形態において、ケラチン7、15または19のレベルを検出することにより前立腺癌の処置を診断する、予後診断する、およびモニタリングする方法は、前立腺癌の処置を診断する、予後診断する、およびモニタリングするためのPSAの検出をさらに含む。特定の実施形態において、ケラチン7、15または19のレベルを検出することにより前立腺癌の処置を診断する、予後診断する、およびモニタリングする方法は、前立腺癌の処置を診断する、予後診断する、およびモニタリングするためのフィラミンBの検出をさらに含む。特定の実施形態において、ケラチン7、15または19のレベルを検出することにより前立腺癌の処置を診断する、予後診断する、およびモニタリングする方法は、前立腺癌の処置を診断する、予後診断する、およびモニタリングするためのケラチン4の検出をさらに含む。特定の実施形態において、ケラチン7、15または19のレベルを検出することにより前立腺癌の処置を診断する、予後診断する、およびモニタリングする方法は、前立腺癌の処置を診断する、予後診断する、およびモニタリングするためのケラチン8の検出をさらに含む。特定の実施形態において、ケラチン7、15または19のレベルを検出することにより前立腺癌の処置を診断する、予後診断する、およびモニタリングする方法は、前立腺癌の処置を診断する、予後診断する、およびモニタリングするためのケラチン18の検出をさらに含む。特定の実施形態において、ケラチン7、15または19のレベルを検出することにより前立腺癌の処置を診断する、予後診断する、およびモニタリングする方法は、前立腺癌の処置を診断する、予後診断する、およびモニタリングするためのチューブリン-ベータ3の検出をさらに含む。
特定の実施形態において、ケラチン7、15または19は、ケラチン7である。特定の実施形態において、ケラチン7、15または19は、ケラチン15である。特定の実施形態において、ケラチン7、15または19は、ケラチン19である。特定の実施形態において、ケラチン7、15または19は、ケラチン7および15である。特定の実施形態において、ケラチン7、15または19は、ケラチン7および19である。特定の実施形態において、ケラチン7、15または19は、ケラチン15および19である。特定の実施形態において、ケラチン7、15または19は、ケラチン7、15および19である。
特定の実施形態において、フィラミンB、LY9またはケラチン19は、フィラミンBである。特定の実施形態において、フィラミンB、LY9またはケラチン19は、LY9である。特定の実施形態において、フィラミンB、LY9またはケラチン19は、ケラチン19である。特定の実施形態において、フィラミンB、LY9またはケラチン19は、フィラミンBおよびLY9である。特定の実施形態において、フィラミンB、LY9またはケラチン19は、フィラミンBおよびケラチン19である。特定の実施形態において、フィラミンB、LY9またはケラチン19は、LY9およびケラチン19である。特定の実施形態において、フィラミンB、LY9またはケラチン19は、フィラミンB、LY9およびケラチン19である。
特定の実施形態において、対照試料は、正常な被験体または正常な組織に由来する試料である。特定の実施形態において、対照試料は、生物試料よりも早い時点からの同じ被験体に由来する試料である。特定の実施形態において、対照試料は、良性前立腺過形成(BPH)を有する被験体に由来する試料である。
特定の実施形態において、診断は、正常な前立腺と、前立腺癌とを区別することを含む。特定の実施形態においては、診断は、良性前立腺過形成と、前立腺癌とを区別することを含む。
本発明は、被験体における前立腺癌状態を特性評価する方法であって、被験体から得られた生物試料中に存在するケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB(FLNB)、およびリンパ球抗原9(LY9)からなる群より選択される1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8または9種)のマーカーの発現のレベルを決定すること;ならびに被験体から得られた生物試料中に存在する1種以上のマーカーの発現のレベルと、対照試料中の1種以上のマーカーの発現のレベルとを比較することを含み、対照試料中の対応するマーカーの発現のレベルと比較した被験体から得られた生物試料中の1種以上のマーカーの発現のレベルが、被験体における前立腺癌状態を示す、前記方法を提供する。
本発明は、被験体における前立腺癌状態を特性評価する方法であって、被験体から得られた生物試料中に存在するケラチン7、15、または19の発現のレベルを決定すること;および被験体から得られた生物試料中に存在するケラチン7、15、または19の発現のレベルと、対照試料中のケラチン7、15、または19の発現のレベルとを比較することを含み、対照試料中のケラチン7、15、または19の発現のレベルと比較した被験体から得られた生物試料中のケラチン7、15、または19の発現のレベルが、被験体における前立腺癌状態を示す、前記方法を提供する。
特定の実施形態において、前記方法はさらに、フィラミンBまたはLY9の発現レベルが前立腺癌の特性評価の方法において検出される生物試料中の前立腺特異的抗原(PSA)の発現のレベルの検出を含む。特定の実施形態において、前記方法はさらに、生物試料中のPSAの発現のレベルと、対照試料中のPSAのレベルとを比較することを含む。特定の実施形態において、PSAの発現レベルの検出から得られる結果は、前立腺癌の特性評価の方法におけるケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3からなる群より選択される1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8または9種)のマーカーのレベルの検出から得られる結果と共に用いられる。
特定の実施形態において、対照試料は、正常な被験体または正常な組織に由来する試料である。特定の実施形態において、対照試料は、生物試料よりも早い時点からの同じ被験体に由来する試料である。特定の実施形態において、対照試料は、良性前立腺過形成(BPH)を有する被験体に由来する試料である。特定の実施形態において、対照試料は、アンドロゲン依存的前立腺癌を有する被験体に由来する試料である。特定の実施形態において、対照試料は、アンドロゲン非依存的前立腺癌を有する被験体に由来する試料である。特定の実施形態において、対照試料は、侵攻性前立腺癌を有する被験体に由来する試料である。特定の実施形態において、対照試料は、非侵攻性前立腺癌を有する被験体に由来する試料である。
本発明の特定の実施形態において、特性評価は、正常な前立腺と、前立腺癌とを区別することを含む。特定の実施形態において、特性評価は、良性前立腺過形成と、前立腺癌とを区別することを含む。特定の実施形態において、特性評価は、アンドロゲン感受性前立腺癌と、アンドロゲン非感受性前立腺癌とを区別することを含む。特定の実施形態において、特性評価は、侵攻性前立腺癌と、非侵攻性前立腺癌とを区別することを含む。特定の実施形態において、特性評価は、正常な前立腺、前立腺癌、良性前立腺過形成、アンドロゲン感受性前立腺癌、アンドロゲン非感受性前立腺癌、侵攻性前立腺癌、非侵攻性前立腺癌、転移性前立腺癌および非転移性前立腺癌のいずれか2つ以上の間を区別することを含む。特定の実施形態において、特性評価は、アンドロゲン非依存的前立腺癌からアンドロゲン依存的前立腺癌への状態の変化を検出することを含む。特定の実施形態において、特性評価は、処置に応答する変化の前に応答するアンドロゲン非依存的前立腺癌からアンドロゲン依存的前立腺癌への状態の変化を検出することを含む。特定の実施形態において、特性評価は、前立腺癌のサイズまたは相対的侵攻性の変化を検出することを含む。特定の実施形態において、特性評価は、非転移性前立腺癌から転移性前立腺癌への変化を検出することを含む。
本発明の特定の実施形態において、ケラチン19の発現レベルの増加は、前立腺癌の病状の増加または前立腺癌を発症する可能性の増加を示す。本発明の特定の実施形態において、ケラチン19の発現レベルの低下は、前立腺癌の病状の減少または前立腺癌を発症する可能性の減少を示す。本発明の特定の実施形態において、ケラチン19の発現レベルの有意な変化がないことは、前立腺癌状態の有意な変化がないことを示す。
本発明の特定の実施形態において、フィラミンBまたはLY9の発現レベルの増加は、前立腺癌の病状の増加または前立腺癌を発症する可能性の増加を示す。本発明の特定の実施形態において、フィラミンBまたはLY9の発現レベルの低下は、前立腺癌の病状の減少または前立腺癌を発症する可能性の減少を示す。本発明の特定の実施形態において、フィラミンBまたはLY9の発現レベルの有意な変化がないことは、前立腺癌状態の有意な変化がないことを示す。
特定の実施形態において、本発明の方法は、被験体から生物試料を取得することをさらに含む。
特定の実施形態において、本発明の方法は、前立腺癌を有するか、または有すると疑われる被験体を選択することをさらに含む。
特定の実施形態において、本発明の方法は、外科手術、放射線、ホルモン療法、抗体療法、増殖因子を用いる療法、サイトカイン、および化学療法からなる群より選択される1種以上の処置を含む被験体の処置のためのレジメンの選択をさらに含む。
特定の実施形態において、前記方法は、該方法の結果に基づく被験体のための1種以上の特定の処置レジメンの選択をさらに含む。
特定の実施形態において、前記方法は、該方法の結果に基づいて被験体の処置レジメンを変更することをさらに含む。
特定の実施形態において、前記方法は、該方法の結果に基づく被験体のモニタリングに基づくホルモンに基づく療法の変更をさらに含む。
特定の実施形態において、前記方法は、本明細書に提供されるその後の診断、予後診断、またはモニタリング方法を実施する前に、ある間隔で外科手術、放射線、ホルモン療法、抗体療法、増殖因子を用いる療法、サイトカイン、または化学療法からなる群より選択される1種以上の処置を用いて被験体を処置しないことをさらに含む。
本発明は、前立腺癌を有する被験体から得られた第1の試料中に存在する、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB(FLNB)、およびリンパ球抗原9(LY9)からなる群より選択される1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8または9種)のマーカーの発現のレベルを決定し;前立腺癌のための処置の少なくとも一部を施した後に被験体から得られた第2の試料中の1種以上のマーカーの発現のレベルを決定し;第1の試料中の1種以上のマーカーの発現のレベルと、第2の試料中の1種以上のマーカーの発現のレベルとを比較し、第1の試料中の1種以上のマーカーと比較した第2の試料中の1種以上のマーカーの発現のレベルの調節が、被験体における前立腺癌の調節を示し;ならびにケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB(FLNB)、およびリンパ球抗原9(LY9)からなる群より選択される1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8または9種)のマーカーの発現レベルに基づいて被験体のための処置を選択することにより前立腺癌を有する被験体を処置する方法を提供する。例えば、フィラミンB、LY9、またはケラチン19のレベルの低下は、被験体が処置に応答していることを示す。フィラミンB、LY9、またはケラチン19のレベルの増加は、被験体が処置に応答していないことを示す。
本明細書で用いられる場合、調節とは、マーカーの発現レベルの変化、特に、適切な対照と比較したマーカーの発現レベルの統計的に有意な変化と理解される。対照と比較したマーカーの発現レベルの増加または低下の意味は、少なくとも、用いられるマーカーおよび対照の特異的な同一性に依存する。そのような考慮は、当業者によってよく理解される。マーカーの発現レベルにおける調節の意味を、本明細書に提供される教示に基づいて決定することができる。
特定の実施形態において、処置方法は、第1の試料中のPSAの発現のレベルを決定すること、および第2の試料中のPSAの発現のレベルを決定することをさらに含む。特定の実施形態において、被験体が処置に応答したことを示す、第2の試料中のフィラミンB、LY9、ケラチン19、またはPSAの少なくとも1つの発現レベルの低下の検出時には、被験体の処置は維持される。特定の実施形態において、疾患が最早存在しないか、または処置が最早必要とされない程度に最小化されることを示す、第2の試料中のフィラミンB、LY9、ケラチン19、またはPSAの少なくとも1つの発現レベルの低下の検出時には、被験体の処置は中止される。特定の実施形態において、第2の試料中のフィラミンB、LY9、ケラチン19、またはPSAの少なくとも1つの発現レベルの低下の検出時、例えば、腫瘍の縮小後の切除時には、被験体の新しい処置が開始される。特定の実施形態において、処置に対する応答の欠如または応答の中止を示す、第2の試料中のフィラミンB、LY9、ケラチン19、またはPSAの少なくとも1つの発現レベルの増加の検出時には、被験体の処置は中止される。特定の実施形態において、例えば、処置に対応する応答の欠如または応答の中止に起因する、第2の試料中のフィラミンB、LY9、ケラチン19、またはPSAの少なくとも1つの発現レベルの増加の検出時には、被験体の新しい処置が開始される。当業者であれば、マーカーの発現レベルにより決定された場合、用いられる処置に対する被験体の応答、または非応答に少なくとも一部基づいて、彼の処置の適切な方法を選択することができる。
本発明は、前立腺癌について積極的に処置されていない前立腺癌を有する被験体から得られた第1の試料中に存在する、フィラミンB、LY9、またはケラチン19の発現のレベルを決定し;被験体から得られた第2の試料中のフィラミンB、LY9、またはケラチン19の発現のレベルを決定し;より早い時点で得られた第1の試料中のフィラミンB、LY9、またはケラチン19の発現のレベルと、第2の試料中のフィラミンB、LY9、またはケラチン19の発現のレベルとを比較し;第1の試料中のフィラミンB、LY9、またはケラチン19と比較した第2の試料中のフィラミンB、LY9、またはケラチン19の発現のレベルの低下が、被験体に前立腺癌のための積極的な処置を施すべきではないことを示し;ならびに前立腺癌のための被験体の積極的な処置に対して選択することによって、待機療法よりもむしろ、積極的な処置の施行のために前立腺癌を有する被験体を選択する方法を提供する。
本発明はまた、前立腺癌について積極的に処置されていない前立腺癌を有する被験体から得られた第1の試料中に存在する、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB(FLNB)、およびリンパ球抗原9(LY9)からなる群より選択される1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8または9種)のマーカーの発現のレベルを決定し;被験体から得られた第2の試料中の対応する1種以上のマーカーの発現のレベルを決定し;より早い時点で得られた第1の試料中の1種以上のマーカーの発現のレベルと、第2の試料中の1種以上のマーカーの発現レベルとを比較し;第1の試料中の1種以上のマーカーと比較した第2の試料中の1種以上のマーカーの発現のレベルの調節が、被験体が前立腺癌について積極的に処置されるべきであるかどうかの決定において考慮されることによって、積極的な処置の施行のために前立腺癌を有する被験体を選択する方法も提供する。
特定の実施形態において、前立腺癌のために被験体を積極的に処置することは、ホルモン療法、化学療法、放射線療法、および外科手術などの1種以上の療法を用いて被験体を処置することを含む。
特定の実施形態において、被験体選択の方法は、第1の試料中のPSAの発現のレベルを決定すること、および第2の試料中のPSAの発現のレベルを決定することをさらに含む。特定の実施形態において、第1の試料中のPSAの発現のレベルと比較した第2の試料中のPSAの発現のレベルの低下は、被験体に前立腺癌のための積極的な処置を施すべきではないことを示す。特定の実施形態において、第1の試料中のPSAの発現のレベルと比較した第2の試料中のPSAの発現のレベルの増加は、被験体に前立腺癌のための積極的な処置を施すべきであることを示す。
本明細書に提供される方法のいずれかの特定の実施形態において、フィラミンBまたはLY9は、フィラミンBおよびLY9であると理解される。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の実施形態において、フィラミンBまたはLY9は、フィラミンBであると理解される。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の実施形態において、フィラミンBまたはLY9は、LY9であると理解される。
本明細書に提供される方法のいずれかの特定の実施形態において、ケラチン7、15または19は、ケラチン7であると理解される。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の実施形態において、ケラチン7、15または19は、ケラチン15であると理解される。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の実施形態において、ケラチン7、15または19は、ケラチン19であると理解される。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の実施形態において、ケラチン7、15または19は、ケラチン7および15であると理解される。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の実施形態において、ケラチン7、15または19は、ケラチン15および19であると理解される。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の実施形態において、ケラチン7、15または19は、ケラチン7および19であると理解される。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の実施形態において、ケラチン7、15または19は、ケラチン7、15、および19であると理解される。
特定の実施形態において、本明細書に提供される任意の群から選択される1種以上のマーカーは、ケラチン4を含まない。特定の実施形態において、本明細書に提供される任意の群から選択される1種以上のマーカーは、ケラチン7を含まない。特定の実施形態において、本明細書に提供される任意の群から選択される1種以上のマーカーは、ケラチン8を含まない。特定の実施形態において、本明細書に提供される任意の群から選択される1種以上のマーカーは、ケラチン15を含まない。特定の実施形態において、本明細書に提供される任意の群から選択される1種以上のマーカーは、ケラチン18を含まない。特定の実施形態において、本明細書に提供される任意の群から選択される1種以上のマーカーは、ケラチン19を含まない。特定の実施形態において、本明細書に提供される任意の群から選択される1種以上のマーカーは、チューブリン-ベータ3を含まない。特定の実施形態において、本明細書に提供される任意の群から選択される1種以上のマーカーは、フィラミンBを含まない。特定の実施形態において、本明細書に提供される任意の群から選択される1種以上のマーカーは、LY9を含まない。特定の実施形態において、本明細書に提供される任意の群から選択される1種以上のマーカーは、PSAを含まない。
本明細書に提供される方法のいずれかの特定の実施形態において、前記方法は、被験体から生物試料を取得することをさらに含む。
本発明は、試験細胞を取得すること;試験細胞と、試験化合物とを接触させること;試験細胞中のケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB(FLNB)、およびリンパ球抗原9(LY9)からなる群より選択される1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8または9種)のマーカーの発現のレベルを決定すること;試験細胞中の1種以上のマーカーの発現のレベルと、試験化合物により接触されていない対照細胞とを比較すること;ならびに試験細胞中の1種以上のマーカーの発現のレベルを調節する試験化合物を選択することによって、被験体における障害を処置するための化合物を同定することを含む、前立腺癌を処置するための化合物を同定する方法を提供する。特定の実施形態においては、前記方法は、PSAの発現のレベルを調節する化合物を同定することをさらに含む。
本発明は、試験細胞を取得すること;試験細胞と、試験化合物とを接触させること;試験細胞中のケラチン7、15、または19の発現のレベルを決定すること;試験細胞中のケラチン7、15、または19の発現のレベルと、試験化合物により接触されていない対照細胞とを比較すること;ならびに試験細胞中のケラチン7、15、または19の発現のレベルを調節する試験化合物を選択することによって、被験体における障害を処置するための化合物を同定することを含む、前立腺癌を処置するための化合物を同定する方法を提供する。
本発明は、試験細胞を取得すること;試験細胞と、試験化合物とを接触させること;試験細胞中のフィラミンBまたはLY9の発現のレベルを決定すること;試験細胞中のフィラミンBまたはLY9の発現のレベルと、試験化合物により接触されていない対照細胞とを比較すること;ならびに試験細胞中のフィラミンBまたはLY9の発現のレベルを調節する試験化合物を選択することによって、被験体における障害を処置するための化合物を同定することを含む、前立腺癌を処置するための化合物を同定する方法を提供する。
特定の実施形態において、前立腺癌を処置するための化合物を同定する方法は、PSAの発現のレベルを調節する化合物を同定することをさらに含む。
特定の実施形態において、試験細胞は、in vitroで薬剤と接触される。
特定の実施形態において、試験細胞は、in vivoで薬剤と接触される。特定の実施形態において、試験細胞は、癌の異種モデル中に存在する。特定の実施形態において、試験細胞は、前立腺癌の動物モデル中に存在する。特定の実施形態において、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB(FLNB)、およびリンパ球抗原9(LY9)からなる群より選択される1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8または9種)のマーカーの発現のレベルは、試験細胞を含有する生物中の生物試料中のケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB(FLNB)、およびリンパ球抗原9(LY9)からなる群より選択される1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8または9種)のマーカーの発現レベルの検出によって試験細胞中で検出される。
本発明は、試料中のケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB(FLNB)、およびリンパ球抗原9(LY9)からなる群より選択される1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8または9種)のマーカーの発現のレベルの検出にとって特異的な少なくとも1つの試薬を含む前立腺癌の診断、モニタリング、または特性評価のためのキットを提供する。
特定の実施形態において、キットは、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB(FLNB)、およびリンパ球抗原9(LY9)からなる群より選択される1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8または9種)のマーカーの発現のレベルに基づく前立腺癌の診断、モニタリング、または特性評価のための説明書をさらに含む。特定の実施形態において、キットは、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB(FLNB)、およびリンパ球抗原9(LY9)からなる群より選択される1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8または9種)のマーカーの発現のレベルが検出される同じ試料中でPSAの発現のレベルを検出するための説明書を含む。特定の実施形態において、キットは、PSAの発現のレベルの検出にとって特異的な少なくとも1つの試薬を含む。特定の実施形態において、キットは、本明細書に提供される方法における使用のためのケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB(FLNB)、およびリンパ球抗原9(LY9)からなる群より選択される1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8または9種)のマーカーへの結合のための少なくとも1つの抗体または核酸を含む。特定の実施形態において、キットは、ケラチン7への結合のための少なくとも1つの抗体または核酸と、ケラチン15への結合のための1つの抗体または核酸とを含む。特定の実施形態において、キットは、本明細書に提供される方法における使用のためのPSAへの結合のための少なくとも1つの抗体または核酸をさらに含む。キットは、本明細書に提供される方法を実施するための説明書をさらに提供してもよい。
好適な場合、または具体的に放棄されない場合、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つは、それらの実施形態が本発明の異なる態様の下で記載される場合であっても、任意の他の1つ以上の実施形態と組合わせることができることが企図される。
定義
本明細書で用いられる場合、以下の用語のそれぞれは、この節においてそれと関連する意味を有する。
本発明の方法により処置される「患者」または「被験体」は、ヒトまたは非ヒト動物、好ましくは、哺乳動物を意味してもよい。「被験体」は、ウマ、イヌ、ネコ、ブタ、ヤギ、ウサギ、ハムスター、サル、モルモット、ラット、マウス、トカゲ、ヘビ、ヒツジ、ウシ、魚類、および鳥類などの任意の動物を意味する。ヒト被験者は、患者と呼んでもよい。本明細書に記載の臨床観察は、ヒト被験者に関して行われたことに留意すべきであり、少なくともいくつかの実施形態においては、被験体はヒトである。
「治療上有効量」は、疾患を処置するために患者に投与された場合、疾患のためのそのような処置を行うのに十分である化合物の量、例えば、任意の処置に対して適用可能な合理的な利益/危険比でいくらかの望ましい局所または全身効果をもたらす、例えば、疾患の少なくとも1つの兆候または症状を改善する、例えば、疾患または状態の進行を防止する、例えば、腫瘍増殖を防止する、腫瘍サイズを減少させる、腫瘍細胞アポトーシスを誘導する、腫瘍血管形成を減少させる、転移を防止するのに十分なものであるそのような物質の量を意味する。疾患を防止するために投与される場合、その量は疾患の開始を回避するか、または遅延させるのに十分なものである。「治療上有効量」は、化合物、その治療指数、溶解度、疾患およびその重篤度ならびに処置しようとする患者の年齢、体重などに依存して変化するであろう。例えば、本発明の方法により発見される特定の化合物を、そのような処置に対して適用可能である合理的な利益/危険比をもたらすのに十分な量で投与することができる。治療上有効量の化合物の投与は、1より多い用量の化合物の投与を必要としてもよい。
「防止すること」または「防止」とは、疾患または障害を得る危険性の低下(すなわち、疾患の少なくとも1つの臨床症状が、疾患に曝露されるか、または疾患の素因を有するが、疾患の症状をまだ経験していないか、または示していない患者において生じないようにすること)を指す。防止は、疾患または状態が被験体において決して生じないことを必要とするものではない。防止は、疾患または状態の開始または重篤度を遅延させることを含む。
用語「予防的」または「治療的」処置とは、所望の臨床効果を提供するための1種以上の薬剤または介入の被験体への投与を指す。それが望ましくない状態(例えば、疾患または宿主動物の多の望ましくない状態)の臨床兆候の前に投与される場合、処置は予防的である、すなわち、それは望ましくない状態の少なくとも1つの兆候または症状が生じることから宿主を保護するが、望ましくない状態の兆候後に投与される場合、処理は治療的である(すなわち、それは存在する望ましくない状態またはそれに由来する副作用の少なくとも1つの兆候または症状を減少させる、改善する、または維持することが意図される)。
本明細書で用いられる場合、「処置」、特に、「積極的処置」とは、被験体における前立腺癌を処置するため、例えば、腫瘍の増殖速度、全身腫瘍組織量の減少の少なくとも1つを減少させるため、腫瘍サイズもしくは腫瘍の悪性度(例えば、転移の可能性)を減少させるか、もしくは維持するため;または治療剤、例えば、化学療法もしくはホルモン療法の施行、放射線療法(例えば、ペレット移植、小線源療法)の施行、もしくは腫瘍の外科的切除のうちの1つ以上により腫瘍におけるアポトーシスを増加させるための介入、または腫瘍の等級およびステージならびに他の日常的な考慮に基づく被験体の処置にとって好適なその任意の組合せを実施することを指す。積極的処置は、被験体および腫瘍をモニタリングするが、腫瘍に影響する介入を実施しない「待機療法」(すなわち、非積極的処置)とは区別される。待機療法は、腫瘍自体の増殖または病理を変化させるために投与されるのではない、腫瘍により引き起こされる効果(例えば、失禁、勃起不全)を変化させる薬剤の投与を含んでもよい。
用語「治療効果」とは、薬理学的に活性な物質により引き起こされる、動物、特に、哺乳動物、より特には、ヒトにおける局所または全身効果を指す。かくして、この用語は、動物またはヒトにおける疾患の診断、治癒、緩和、処置、もしくは防止における、または望ましい身体的もしくは精神的発達および状態の増強における使用について意図される任意の物質を意味する。治療効果は、腫瘍増殖の減少、腫瘍増殖速度の低下、全身腫瘍組織量の安定化もしくは減少、腫瘍サイズの安定化もしくは減少、腫瘍悪性度の安定化もしくは低下、腫瘍アポトーシスの増加、および/または腫瘍血管形成の減少と理解することができる。
用語「障害」、「疾患」、および「異常な状態」は、包括的に用いられ、身体の任意の部分、臓器、または系の正常な構造または機能からの任意の逸脱(またはその任意の組合せ)を指す。特定の疾患は、生物学的、化学的、およぶ物理的変化などの特徴的な症候により現れ、限定されるものではないが、人口統計的、環境的、雇用的、遺伝的、および病歴的因子などの様々な他の因子と関連することが多い。特定の特徴的な兆候、症状、および関連する因子を、重要な診断情報を得るための様々な方法を介して定量することができる。本明細書で用いられる場合、障害、疾患、または異常な状態は、良性前立腺過形成および癌、特に、前立腺癌などの異常な前立腺状態である。前立腺癌の異常な前立腺状態は、例えば、Prostate. In: Edge SB, Byrd DR, Compton CCら(編): AJCC Cancer Staging Manual、第7版、New York, NY: Springer, 2010, pp 457-68(参照により本明細書に組込まれる)に提供されるような前立腺癌のステージおよび等級にさらに細分することができる。さらに、異常な前立腺状態を、良性前立腺過形成(BPH)、アンドロゲン感受性前立腺癌、アンドロゲン非感受性または耐性前立腺癌、侵攻性前立腺癌、非侵攻性前立腺癌、転移性前立腺癌、および非転移性前立腺癌の1つ以上として分類することができる。
「前立腺癌を発症する危険性が高い」被験体は、前立腺癌を発症しても、またはしなくてもよい。前立腺癌を発症する危険性が高い被験体の同定を、前立腺癌のさらなる兆候または症状についてモニタリングするべきである。前立腺癌を発症する危険性が高い被験体を同定するための本明細書に提供される方法を、限定されるものではないが、尿の流れの減少、尿意逼迫、排尿困難、夜間頻尿、不完全な排尿、および年齢などの前立腺癌の他の公知の危険因子または兆候の評価と共に用いることができる。
本明細書で用いられる用語「発現」は、ポリペプチドがDNAから生成されるプロセスを意味する。このプロセスは、遺伝子のmRNAへの転写およびこのmRNAからポリペプチドへの翻訳を含む。用いられる文脈に応じて、「発現」は、RNA、もしくはタンパク質、またはその両方の生成を指してもよい。
用語「遺伝子の発現のレベル」、「遺伝子発現レベル」、「マーカーのレベル」などは、細胞中の遺伝子によりコードされる、mRNA、ならびにプレmRNA発生期転写物、転写プロセッシング中間体、成熟mRNAおよび分解産物のレベル、またはタンパク質のレベルを指す。
用語「特異的同定」は、検出方法が診断的に有用であるような、用いられるアッセイのバックグラウンドおよび試薬の交叉反応性が十分に低い、目的のマーカーの検出と理解される。特定の実施形態において、マーカーの特異的同定のための試薬は、マーカーのただ1つのアイソフォームに結合する。特定の実施形態において、マーカーの特異的同定のための試薬は、マーカーの1つより多いアイソフォームに結合する。特定の実施形態において、マーカーの特異的同定のための試薬は、マーカーの全ての既知のアイソフォームに結合する。
用語「調節」とは、応答の上方調節(すなわち、活性化もしくは刺激)、下方調節(すなわち、阻害もしくは抑制)、または組合せもしくは別々の2つを指す。「モジュレータ」は、調節する化合物または分子であり、例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、アクチベータ、刺激因子、抑制因子、または阻害因子であってもよい。
本明細書で用いられる用語「対照試料」とは、例えば、腫瘍性障害、例えば、前立腺癌に罹患していない健康な被験体に由来する試料、またはより早い時点、例えば、処置の前、より早い腫瘍評価時点、処置のより早い段階からの被験体に由来する試料などの、任意の臨床的に関連する比較試料を指す。対照試料は、キットと共に提供される精製された試料、タンパク質、および/または核酸であってもよい。そのような対照試料を、例えば、試験試料中の分析物、例えば、マーカーのレベルの定量的測定を可能にする希釈系列中で希釈することができる。対照試料は、1つ以上の被験体から誘導される試料を含んでもよい。対照試料はまた、評価しようとする被験体からより早い時点で作られた試料であってもよい。例えば、対照試料は、腫瘍性障害、例えば、前立腺癌の開始前に、疾患のより早い段階で、または処置もしくは処置の一部の施行の前に、評価しようとする被験体から取られた試料であってもよい。対照試料はまた、動物モデルに由来する、または腫瘍性障害、例えば、前立腺癌の動物モデルから誘導される組織もしくは細胞系に由来する試料であってもよい。測定値群からなる対照試料中のケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB(FLNB)、リンパ球抗原9(LY9)、およびPSAからなる群より選択される1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8または9種)のマーカーの活性または発現のレベルを、例えば、平均値、中央値、またはモーダル値などの代表値のような任意の適切な統計的尺度に基づいて決定することができる。対照からの差異は、好ましくは対照とは統計的に有意に異なる。
用語「対照レベル」とは、被験体試料中のマーカーの許容されるか、または所定のレベルを指す。対照レベルは、一定範囲の値であってもよい。マーカーレベルを、アッセイにとって必要に応じて、単一の対照値、一定範囲の対照値、正常の上限レベル、または正常の下限レベルと比較することができる。
一実施形態において、対照は、例えば、癌を有さない被験体、特に、前立腺癌を有さない被験体の集団からの1種以上のマーカーの発現のレベルの平均を用いて予め決定される対照などの、標準化された対照である。本発明のさらに他の実施形態においては、非癌性試料中のマーカーの対照レベルは癌を有する被験体から誘導される。例えば、生検または他の医学的手順が組織の一部において癌の存在を示す場合、マーカーの対照レベルを、組織の非罹患部分を用いて決定し、この対照レベルを、組織の罹患部分中のマーカーのレベルと比較することができる。
特定の実施形態においては、対照は、異常な前立腺状態を有する被験体、または被験体の集団に由来するものであってもよい。例えば、対照は、良性前立腺過形成(BPH)、アンドロゲン感受性前立腺癌、アンドロゲン非感受性もしくは耐性前立腺癌、侵攻性前立腺癌、非侵攻性前立腺癌、転移性前立腺癌、または非転移性前立腺癌に罹患する被験体に由来するものであってよい。全部ではないマーカーが、列挙される異常な前立腺状態のそれぞれについて異なるレベルを有することが理解される。マーカーレベルの組合せは、おそらく他の診断方法と組合わせた場合、異常な前立腺状態間を区別するのに最も有用であってよいことが理解される。さらに、生物試料中のマーカーレベルを、2つ以上の試料(例えば、同じ被験体に由来する、集団対照に由来する、正常、異常)と比較することができる。マーカーレベルを、被験体のための診断を提供するために異常な前立腺状態の他の兆候または症状と組合わせて用いることができる。
対照は、より早い時点での、例えば、疾患が存在すると疑われる前の基準レベルでの、疾患の診断の前の、待機療法中のより早い評価時点での、特定の薬剤(例えば、化学療法、ホルモン療法)または介入(例えば、放射線、外科手術)を用いる処置の前の、被験体に由来する試料であってもよい。特定の実施形態においては、被験体におけるマーカーのレベルの変化は、例えば、対照と比較して、マーカーの絶対レベルよりも有意であってもよい。
本明細書で用いられる場合、「より早い時点」で得られた試料は、臨床的に関連する情報を、より後の時点と比較してより早い時点に由来する試料中で得ることができるような十分な過去の時点で得られた試料である。特定の実施形態において、より早い時点は、少なくとも4週間早い。特定の実施形態において、より早い時点は、少なくとも6週間早い。特定の実施形態において、より早い時点は、少なくとも2ヶ月間早い。特定の実施形態において、より早い時点は、少なくとも3ヶ月間早い。特定の実施形態において、より早い時点は、少なくとも6ヶ月間早い。特定の実施形態において、より早い時点は、少なくとも9ヶ月間早い。特定の実施形態において、より早い時点は、少なくとも1年間早い。複数の被験体試料(例えば、3、4、5、6、7つ以上)を、経時的に規則的な、または不規則な間隔で取得し、マーカーレベルの変化の傾向について分析することができる。当業者であれば、特定の被験体について試験するための適切な間隔を、通常の考慮に基づいて決定することができる。
本明細書で用いられる場合、「対照と比較して変化した」試料または被験体は、正常な、未処置の、または異常な状態の対照試料に由来する試料とは統計的に異なるレベルで検出される分析物または診断もしくは治療指標(例えば、マーカー)のレベルを有するものと理解される。対照と比較した変化はまた、経時的に得られた一連の少なくとも2つの被験体試料中で得られる1つ以上のマーカーのレベルの変化の割合の差異を含んでもよい。統計的有意性の決定は、当業者の能力の範囲内にあり、例えば、陽性または陰性の結果を構成する平均からの標準偏差の数である。
本明細書で用いられる場合、用語「取得すること」は、製造すること、購入すること、またはさもなければ、手に入れることと本明細書では理解される。
本明細書で用いられる場合、「検出すること」、「検出」、「決定すること」などは、アッセイが、試料中の特異的マーカー、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB(FLNB)、リンパ球抗原9(LY9)、およびPSAからなる群より選択される1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8または9種)のマーカーの同定のために実施されることと理解される。試料中で検出されるマーカー発現または活性の量は、なくてもよく、またはアッセイもしくは方法の検出のレベルより下であってもよい。
本明細書で用いられる場合、「より高い予測値」は、それが比較される試験よりも、有意により高い感度および/または特異性、好ましくは、より高い感度および特異性を有するアッセイと理解される。試験の予測値を、ROC分析を用いて決定することができる。ROC分析において、正常状態と疾患状態との間の完全な識別または精度を提供する試験は、曲線下面積(AUC)=1を有するが、無作為な機会よりも良好でない識別を提供する非常に弱い試験は、AUC=0.5を有する。本明細書で用いられる場合、より高い予測値を有する試験は、別のアッセイと比較した場合、統計的に改善されたAUCを有する。このアッセイは、適切な被験体集団中で実施される。
本明細書で用いられる冠詞「a」および「an」は、1または1より多い(すなわち、少なくとも1の)その冠詞の文法的目的語を指す。例えば、「要素(an element)」は、1つの要素または1つより多い要素を意味する。
本明細書で用いられる用語「含む(including)」は、語句「限定されるものではないが、含む」を意味し、それと互換的に用いられる。
用語「または」は、本文が別途明確に指摘しない限り、用語「および/または」を意味するように本明細書では包括的に用いられ、それと互換的に用いられる。例えば、本明細書で用いられる場合、フィラミンBまたはLY9は、フィラミンBのみ、LY9のみ、およびフィラミンBとLY9の組合せを含むと理解される。
用語「など」は、語句「限定されるものではないが、など」を意味するように本明細書で用いられ、それと互換的に用いられる。
特に記述されない限り、または本文から明らかでない場合、本明細書で用いられる用語「約」は、当業界における通常許容される範囲内にある、例えば、平均の2標準偏差内にあると理解される。約は、記述される値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、または0.01%以内と理解することができる。別途本文から明確でない限り、本明細書に提供される全ての数値は、用語「約」によって修飾することができる。
本明細書の変数の任意の定義における化学基の一覧の記載は、任意の単一の基または列挙された基の組合せとしてのその変数の定義を含む。本明細書の変数または態様のための実施形態の記載は、任意の単一の実施形態としての、または任意の他の実施形態もしくはその一部と組合せたその実施形態を含む。
本明細書に提供される任意の組成物または方法を、本明細書に提供される他の組成物および方法のいずれかの1つ以上と組合わせることができる。
本明細書に提供される範囲は、その範囲内にある全ての値の短縮表現であると理解される。例えば、1〜50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50からなる群より選択される任意の数、数の組合せ、またはサブ範囲を含むと理解される。
本明細書で用いられる場合、「1以上」は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10のそれぞれの値、および10より大きい任意の値と理解される。
ここで、本発明の例示的実施形態を詳細に参照する。本発明は例示的実施形態と共に記載されるが、それは本発明をこれらの実施形態に限定することを意図されるものではないことが理解されるであろう。逆に、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の精神および範囲内に含まれるように代替物、改変、および等価物を包含することが意図される。
ケラチン
ケラチン4
K4;CK4;CK-4;CYK4としても知られるケラチン4は、ケラチン遺伝子ファミリーのメンバーである。II型サイトケラチンは、単層および層別化された上皮組織の分化の間に同時発現されるヘテロ型ケラチン鎖の対に配置される塩基性または中性タンパク質からなる。II型サイトケラチンは、ファミリーメンバーKRT13と共に粘膜および食道の上皮の分化した層中で特異的に発現される。これらの遺伝子における突然変異は、口腔、食道、および肛門白板症を特徴とする、白色海綿状母斑と関連している。II型サイトケラチンは、染色体12q12-q13の領域にクラスター化している。
本明細書で用いられる場合、ケラチン4は、本文により別途明確に指摘されない限り、遺伝子とタンパク質の両方を指す。ヒトケラチン4のNCBI GeneIDは、3851であり、詳細な情報はwww.ncbi.nlm.nih.gov/gene/3851(本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)に見出すことができる。ホモサピエンスのケラチン4、GenBank受託番号NM_002272アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号1および2に提供される(GenBank番号は、本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)。
本発明は、断片がケラチン4の特異的同定を可能にする限り、ケラチン4配列の任意の断片の使用を含むことが理解される。さらに、特定の疾患状態と関連しても、またはしなくてもよいケラチン4の天然の変異体が存在し、その使用も本出願に含まれることが理解される。
ケラチン7
CK7、K2C7、K7、SCL、CK-7;サイトケラチン7;サイトケラチン-7;ケラチン、55K II型細胞骨格;ケラチン、単層上皮I型、K7;ケラチン、II型細胞骨格7;ケラチン-7;サルコレクチン;II型中皮ケラチンK7;およびII型ケラチンKb7としても知られるケラチン7は、ケラチン遺伝子ファミリーのメンバーである。II型サイトケラチンは、単層、および層別化された上皮組織の分化の間に同時発現されるヘテロ型ケラチン鎖の対に配置される塩基性または中性タンパク質からなる。このII型サイトケラチンは、内臓の空洞の内側にある単層上皮中ならびに腺管および血管中で特異的に発現される。II型サイトケラチンをコードする遺伝子は、染色体12q12-q13の領域中でクラスター化している。選択的スプライシングはいくつかの転写物変異体をもたらしてもよいが、全ての変異体が完全に記載されているわけではない。
本明細書で用いられる場合、ケラチン7は、本文によって別途明確に指摘されない限り、遺伝子とタンパク質の両方を指す。ヒトケラチン7のNCBI GeneIDは、3855であり、詳細な情報はwww.ncbi.nlm.nih.gov/gene/3855(本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)に見出すことができる。ホモサピエンスのケラチン7、GenBank受託番号NM_005556アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号3および4に提供される(GenBank番号は、本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)。
本発明は、断片がケラチン7の特異的同定を可能にする限り、ケラチン7配列の任意の断片の使用を含むことが理解される。さらに、特定の疾患状態と関連しても、またはしなくてもよいケラチン7の天然の変異体が存在し、その使用も本出願に含まれることが理解される。
ケラチン8
K8;KO;CK8;CK-8;CYK8;K2C8;CARD2としても知られるケラチン8は、第12染色体の長腕上でクラスター化されたII型ケラチンファミリーのメンバーである。I型およびII型ケラチンはヘテロポリマー化して、上皮細胞の細胞質中で中間サイズのフィラメントを形成する。この遺伝子の産物は、典型的にはケラチン18とダイマー化して、単層上皮細胞中で中間フィラメントを形成する。このタンパク質は、細胞構造の完全性を維持する役割を果たし、また、シグナル伝達および細胞分化においても機能する。この遺伝子における突然変異は、原因不明肝硬変を引き起こす。選択的スプライシングされた転写物変異体が、この遺伝子について見出されている。
本明細書で用いられる場合、ケラチン8は、本文によって別途明確に指摘されない限り、遺伝子とタンパク質の両方を指す。ヒトケラチン8のNCBI GeneIDは、3856であり、詳細な情報はwww.ncbi.nlm.nih.gov/gene/3856(本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)に見出すことができる。ホモサピエンスのケラチン8、変異体1、GenBank受託番号NM_001256282アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号5および6に提供される;ホモサピエンスケラチン8、変異体3、GenBank受託番号NM_001256293アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号7および8に提供される(GenBank番号は、本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)。
本発明は、断片がケラチン8の特異的同定を可能にする限り、配列表に提供されるケラチン8の変異体のいずれか1つまたは両方およびケラチン8配列の任意の断片の使用を含むことが理解される。さらに、特定の疾患状態と関連しても、またはしなくてもよいケラチン8の天然の変異体が存在し、その使用も本出願に含まれることが理解される。
ケラチン15
K15;CK15;K1COとしても知られるケラチン15は、ケラチン遺伝子ファミリーのメンバーである。このケラチンは、上皮細胞の構造的完全性を担う中間フィラメントタンパク質であり、サイトケラチンと毛髪ケラチンに細分される。I型サイトケラチンの多くは、ヘテロ型ケラチン鎖の対に配置され、染色体17q21.2上の領域にクラスター化している酸性タンパク質からなる。
本明細書で用いられる場合、ケラチン15は、本文によって別途明確に指摘されない限り、遺伝子とタンパク質の両方を指す。ヒトケラチン15のNCBI GeneIDは、3866であり、詳細な情報はwww.ncbi.nlm.nih.gov/gene/3866(本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)に見出すことができる。ホモサピエンスのケラチン15、GenBank受託番号NM_002275アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号9および10に提供される(GenBank番号は、本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)。
本発明は、断片がケラチン15の特異的同定を可能にする限り、ケラチン15配列の任意の断片の使用を含むことが理解される。さらに、特定の疾患状態と関連しても、またはしなくてもよいケラチン15の天然の変異体が存在し、その使用も本出願に含まれることが理解される。
ケラチン18
K18;CYK18としても知られるケラチン18は、I型中間フィラメント鎖ケラチン18をコードする。ケラチン18は、そのフィラメントパートナーであるケラチン18と一緒に、おそらく中間フィラメント遺伝子ファミリーの最も一般的に見出されるメンバーである。この遺伝子における突然変異は、原因不明肝硬変と関連している。同じタンパク質をコードする2つの転写物変異体がこの遺伝子について見出されている。
本明細書で用いられる場合、ケラチン18は、本文によって別途明確に指摘されない限り、遺伝子とタンパク質の両方を指す。ヒトケラチン18のNCBI GeneIDは、3875であり、詳細な情報はwww.ncbi.nlm.nih.gov/gene/3875(本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)に見出すことができる。ホモサピエンスのケラチン18、変異体1のGenBank受託番号NM_000224アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号11および12に提供され、ホモサピエンスのケラチン18、変異体2のGenBank受託番号199187アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号13および14に提供される(GenBank番号は、本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)。
本発明は、断片がケラチン18の特異的同定を可能にする限り、配列表に提供されるケラチン18の変異体のいずれか1つまたは両方およびケラチン18配列の任意の断片の使用を含むことが理解される。さらに、特定の疾患状態と関連しても、またはしなくてもよいケラチン18の天然の変異体が存在し、その使用も本出願に含まれることが理解される。
ケラチン19
K19;CK19;K1CSとしても知られるケラチン19は、ケラチン遺伝子ファミリーのメンバーである。このケラチンは、上皮細胞の構造的完全性を担う中間フィラメントタンパク質であり、サイトケラチンと毛髪ケラチンに細分される。I型サイトケラチンは、ヘテロ型ケラチン鎖の対に配置される酸性タンパク質からなる。その関連するファミリーメンバーと違って、この最も小さい公知の酸性サイトケラチンは、上皮細胞中の塩基性サイトケラチンと対形成しない。それは、発生中の表皮を包む一時的に表面となる周皮中で特異的に発現される。I型サイトケラチンは、染色体17q12-q21上の領域にクラスター化している。
本明細書で用いられる場合、ケラチン19は、本文によって別途明確に指摘されない限り、遺伝子とタンパク質の両方を指す。ヒトケラチン19のNCBI GeneIDは、3880であり、詳細な情報はwww.ncbi.nlm.nih.gov/gene/3880(本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)に見出すことができる。ホモサピエンスのケラチン19、GenBank受託番号NM_002276アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号15および16に提供される(GenBank番号は、本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)。
本発明は、断片がケラチン19の特異的同定を可能にする限り、ケラチン19配列の任意の断片の使用を含むことが理解される。さらに、特定の疾患状態と関連しても、またはしなくてもよいケラチン19の天然の変異体が存在し、その使用も本出願に含まれることが理解される。
チューブリン-ベータ3
CDCBM;TUBB4;ベータ-4;CFEOM3Aとしても知られるチューブリン-ベータ3は、ベータチューブリンタンパク質ファミリーのクラスIIIメンバーである。ベータチューブリンは、ヘテロダイマー化し、集合して微小管を形成する2つのコアタンパク質ファミリー(アルファおよびベータチューブリン)の1つである。このタンパク質は主にニューロン中で発現され、ニューロン新生および軸索誘導および維持に関与し得る。この遺伝子における突然変異は、3型眼球外筋肉の先天性線維症の原因である。選択的スプライシングは複数の転写物変異体をもたらす。この遺伝子の偽遺伝子が、第6染色体上に見出される。
本明細書で用いられる場合、チューブリン-ベータ3は、本文によって別途明確に指摘されない限り、遺伝子とタンパク質の両方を指す。ヒトチューブリン-ベータ3のNCBI GeneIDは、10381であり、詳細な情報はwww.ncbi.nlm.nih.gov/gene/10381(本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)に見出すことができる。ホモサピエンスのチューブリン-ベータ3、変異体2のGenBank受託番号NM_001197181アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号17および18に提供される。ホモサピエンスのチューブリン-ベータ3、変異体1のGenBank受託番号NM_006086アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号19および20に提供される(GenBank番号は、本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)。
本発明は、断片がチューブリン-ベータ3の特異的同定を可能にする限り、チューブリン-ベータ3配列の任意の断片の使用を含むことが理解される。さらに、特定の疾患状態と関連しても、またはしなくてもよいチューブリン-ベータ3の天然の変異体が存在し、その使用も本出願に含まれることが理解される。
フィラミンB
フィラミンBは、フィラミン-3、ベータ-フィラミン、ABP-280相同体、フィラミン相同体1、甲状腺自己抗原、アクチン結合タンパク質278、アクチン結合様タンパク質、Larsen症候群1(常染色体優性)、AOI;FH1;SCT;TAP;LRS1;TABP;FLN-B;FLN1L;ABP-278;およびABP-280としても知られる。この遺伝子は、フィラミンファミリーのメンバーをコードする。コードされるタンパク質は、血管傷害を修復するプロセスの一部として糖タンパク質Ibアルファと相互作用する。血小板糖タンパク質Ib複合体は糖タンパク質Ibアルファを含み、それはアクチン細胞骨格に結合する。この遺伝子における突然変異はいくつかの状態において見出されている:骨発生不全症1型および3型;ブーメラン型異形成;常染色体優性Larsen症候群;および脊椎手根足根骨癒合症候群。異なるタンパク質アイソフォームをコードする複数の選択的スプライシングされた転写物変異体がこの遺伝子について記載されている。
本明細書で用いられる場合、フィラミンBは、本文によって別途明確に指摘されない限り、遺伝子とタンパク質の両方を指す。フィラミンBのNCBI GeneIDは、2317であり、詳細な情報はwww.ncbi.nlm.nih.gov/gene/2317(本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)に見出すことができる。
ホモサピエンスのフィラミンB、ベータ(FLNB)、第3染色体、遺伝子座NG_012801上のRefSeqGeneは、配列番号21に示される。ホモサピエンスのフィラミンB、ベータ(FLNB)、転写物変異体1のGenBank受託番号NM_001164317.1アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号22および23に提供される。ホモサピエンスのフィラミンB、ベータ(FLNB)、転写物変異体3のGenBank受託番号NM_001164318.1アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号24および25に提供される。ホモサピエンスのフィラミンB、ベータ(FLNB)、転写物変異体4のGenBank受託番号NM_001164319.1アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号26および27に提供される。ホモサピエンスのフィラミンB、ベータ(FLNB)、転写物変異体2のGenBank受託番号NM_001457.3アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号28および29に提供される(それぞれのGenBank番号は、本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)。
本発明は、断片がフィラミンBの特異的同定を可能にする限り、配列表に提供される1つ以上のフィラミンB配列の任意の組合せまたはその任意の断片の使用を含むことが理解される。本発明の方法および試薬を用いて、フィラミンBの単一のアイソフォーム、フィラミンBのアイソフォームの組合せ、または全てのフィラミンBのアイソフォームを同時に検出することができる。特定されない限り、フィラミンBは、全フィラミンBなどのフィラミンBの1つ以上のアイソフォームを指すと考えることができる。さらに、特定の疾患状態と関連しても、またはしなくてもよいフィラミンBの天然の変異体が存在し、その使用も本出願に含まれることが理解される。
リンパ球抗原9
リンパ球抗原9(LY9)は、RP11-312J18.1、CD229、SLAMF3、hly9、mLY9、Tリンパ球表面抗原Ly-9;および細胞表面分子Ly-9としても知られる。LY9は、SLAMファミリーの免疫調節受容体(SLAMF1;MIM603492を参照)に属し、アダプター分子SAP(SH2D1A; MIM300490)と相互作用する(Grahamら、2006)。
本明細書で用いられる場合、LY9は、本文によって別途明確に指摘されない限り、遺伝子とタンパク質の両方を指す。LY9のNCBI遺伝子IDは4063であり、詳細な情報はwww.ncbi.nlm.nih.gov/gene/4063(本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)に見出すことができる。
ホモサピエンスのリンパ球抗原9(LY9)、転写物変異体2のGenBank受託番号NM_001033667アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号30および31に提供される。ホモサピエンスのリンパ球抗原9(LY9)、転写物変異体3のGenBank受託番号NM_001261456アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号32および33に提供される。ホモサピエンスのリンパ球抗原9(LY9)、転写物変異体4のGenBank受託番号NM_001261457アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号34および35に提供される。ホモサピエンスのリンパ球抗原9(LY9)、転写物変異体1のGenBank受託番号NM_002348アミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号36および37に提供される(それぞれのGenBank番号は、本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)。
本発明は、断片がLY9の特異的同定を可能にする限り、配列表に提供される1つ以上のLY9配列の任意の組合せまたはその任意の断片の使用を含むことが理解される。本発明の方法および試薬を用いて、LY9の単一のアイソフォーム、LY9のアイソフォームの組合せ、または全てのLY9のアイソフォームを同時に検出することができる。特定されない限り、LY9は、全LY9などのLY9の1つ以上のアイソフォームを指すと考えることができる。さらに、特定の疾患状態と関連しても、またはしなくてもよいLY9の天然の変異体が存在し、その使用も本出願に含まれることが理解される。
前立腺特異的抗原
前立腺特異的抗原(PSA)は、カリクレイン-3、セミニン、P-30抗原、セメノゲラーゼ、ガンマ-セミノタンパク質、APS、hK3、およびKLK2A1としても知られる。カリクレインは、多様な生理機能を有するセリンプロテアーゼのサブグループである。数多くの証拠が、多くのカリクレインが発癌に関与し、いくつかは新しい癌および他の疾患のバイオマーカーとしての能力を有することを示唆している。この遺伝子は、第19染色体上のクラスター中に位置する15種のカリクレインサブファミリーメンバーの1つである。そのタンパク質産物は、精漿中に存在するプロテアーゼである。それは、おそらく、高分子量精嚢タンパク質の加水分解による精子凝塊(seminal coagulum)の液化において通常機能すると考えられる。臨床設定においてPSAと呼ばれるこのタンパク質の血清レベルは、前立腺癌の診断およびモニタリングにおいて有用である。この遺伝子の選択的スプライシングは、異なるアイソフォームをコードするいくつかの転写物変異体を生成する。
本明細書で用いられる場合、PSAは、本文によって別途明確に指摘されない限り、プロセッシングされた形態とプロセッシングされていない形態の両方の、遺伝子とタンパク質の両方を指す。PSAのNCBI遺伝子IDは354であり、詳細な情報はwww.ncbi.nlm.nih.gov/gene/354(本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)に見出すことができる。
ホモサピエンスのPSAは、第19染色体上の19q13.41配列に位置する:NC_000019.9(51358171...51364020)。ヒトPSAの4種のスプライス変異体が公知である。前立腺特異的抗原アイソフォーム3プレプロタンパク質、NM_001030047.1は、図16に提供される。前立腺特異的抗原アイソフォーム4プレプロタンパク質、NM_001030048.1は、図17に提供される。前立腺特異的抗原アイソフォーム6プレプロタンパク質、NM_001030050.1は、図18に提供される。前立腺特異的抗原アイソフォーム1プレプロタンパク質、NM_001030048.2は、図19に提供される(それぞれのGenBank番号は、本出願が優先権を主張する出願日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる)。
本発明は、断片がPSAの特異的同定を可能にする限り、配列表に提供される1つ以上のPSA配列の任意の組合せまたはその任意の断片の使用を含むことが理解される。本発明の方法および試薬を用いて、PSAの単一のアイソフォーム、PSAのアイソフォームの組合せ、または全てのPSAのアイソフォームを同時に検出することができる。特定されない限り、PSAは、全PSAなどのPSAの1つ以上のアイソフォームを指すと考えることができる。さらに、特定の疾患状態と関連しても、またはしなくてもよいPSAの天然の変異体が存在し、その使用も本出願に含まれることが理解される。
疾患状態の処置
本発明は、被験体、例えば、哺乳動物、例えば、ヒトにおける疾患状態を処置するための、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB(FNLB)、およびリンパ球抗原9(LY9)からなる群より選択される1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、または9種)のマーカーの使用のための方法を提供する。
本発明はまた、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB(FNLB)、およびリンパ球抗原9(LY9)からなる群より選択される1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、または9種)のマーカーの発現または活性を調節する、治療剤、例えば、核酸に基づく治療剤を用いて前立腺癌を有する被験体を処置する方法も提供する。
本発明はまた、対照と比較した、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB(FNLB)、およびリンパ球抗原9(LY9)からなる群より選択される1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、または9種)のマーカーのレベルの変化の検出に応じた、公知の処置剤、特に、ホルモンに基づく療法と非ホルモンに基づく療法、および活動的または積極的処置と「待機療法」の選択および/または施行のための方法も提供する。処置レジメンの選択は、治療方法の選択を補助するためのPSAの検出をさらに含んでもよい。また、処置方法の選択は、画像試験の結果、腫瘍のサイズまたは増殖速度、転帰不良の危険性、日々の活動の破壊、および年齢などの他の診断的考慮および患者の特徴を含んでもよい。
本明細書で用いられる場合、侵攻性前立腺癌などの用語「侵攻性腫瘍性障害」は、速く増殖する腫瘍を含む腫瘍性障害を指す。侵攻性腫瘍性障害は、典型的には、治療的処置に対して応答しない、弱く応答する、または応答を失う。例えば、前立腺癌は、ホルモン療法、化学療法、外科手術、および/または放射線を含む必要とする処置に対する応答の喪失時に侵攻性前立腺癌になると考えられる。本明細書で用いられる場合、侵攻性前立腺癌は、例えば、転移する可能性があるか、または転移したものである。本明細書で用いられる場合、侵攻性前立腺癌は、腫瘍が増殖するにつれて生活の質の有意な変化をもたらすものである。積極的処置は、侵攻性腫瘍性障害、例えば、侵攻性前立腺癌について治療的に指示される。
本明細書で用いられる場合、非侵攻性前立腺癌などの用語「非侵攻性腫瘍性障害」とは、ゆっくりと増殖する腫瘍を含む腫瘍性障害を指す。非侵攻性腫瘍性障害は、典型的には、治療的処置に好意的に、もしくは適度に応答するか、または即時的処置が保証されないほどゆっくりと増殖する。非侵攻性前立腺腫瘍は、当業者、例えば、腫瘍学者であれば、積極的処置は、特に高齢被験体においては、疾患よりも害を及ぼし得るため、癌の処置のための日常的な介入、例えば、化学療法、放射線、外科手術で積極的に処置しないことを決定することができるものである。非侵攻性前立腺腫瘍は、当業者であれば、その人を腫瘍の存在または増殖を変化させるための任意の積極的な治療的介入(例えば、放射線、外科手術、化学療法、ホルモン療法)にかけるよりもむしろ、「待機療法」を用いてモニタリングすることを決定することができるものである。
本発明の診断的/予後診断的使用
本発明は、被験体における、異常な前立腺状態、例えば、BPHまたは腫瘍性疾患状態、例えば、前立腺癌を診断するための方法を提供する。本発明はさらに、異常な前立腺状態、例えば、BPHまたは前立腺癌の進行を予後診断もしくはモニタリングする、または積極的処置もしくは待機療法の間の治療的処置に対する、その応答をモニタリングするための方法を提供する。
本発明は、一実施形態において、腫瘍性障害、例えば、前立腺癌を診断するための方法を提供する。本発明の方法は、腫瘍障害の発生もしくは再発および/または腫瘍障害について処置される被験体の生存を予後診断するために当業者によって用いられる任意の他の方法と共に実施することができる。本明細書に提供される診断方法および予後診断方法を用いて、追加の、および/またはより侵襲的な試験またはモニタリングを被験体に対して実施すべきかどうかを決定することができる。腫瘍性障害ほど複雑な疾患は単一の試験を用いた場合には稀にしか診断されないことが理解される。従って、本明細書に提供される診断、予後診断、およびモニタリング方法は、典型的には、当業界で公知の他の方法と共に用いられることが理解される。例えば、本発明の方法を、被験体から得られた試料の形態学的もしくは細胞学的分析、画像分析、および/または身体検査と共に実施することができる。細胞学的方法は、任意の他の分子マーカー自体、他のマーカーと組合わせた任意の他の分子マーカーの免疫組織化学的検出または免疫蛍光検出(および必要に応じて、定量)を含む。他の方法は、in situ PCRによる、または組織を抽出し、リアルタイムPCRによる他のマーカーを定量することによる、他のマーカーの検出を含む。PCRは、ポリメラーゼ連鎖反応と定義される。
待機療法の間の腫瘍進行または処置レジメン、例えば、化学療法、放射線療法、外科手術、ホルモン療法、もしくは被験体における腫瘍障害を処置するのに有用な任意の他の治療的アプローチの有効性を評価するための方法も提供される。これらの方法においては、一対の試料(より早い時点で、または処置レジメンの前に被験体から得られた第1の試料と、より後の時点で、例えば、被験体が処置レジメンの少なくとも一部を受けた時より後の時点で被験体から得られた第2の試料)におけるマーカーの量が評価される。本発明の方法は、マーカーレベルの評価のために規則的な、または不規則な間隔で2つより多い試料(例えば、3、4、5、6、7、8、9つ以上の試料)を取得し、分析することを含むことが理解される。連続的または非連続的被験体試料の間でペアワイズ比較を行ってもよい。マーカーレベルの傾向およびマーカーレベルの変化の速度を、任意の2つ以上の連続的または非連続的被験体試料について分析することができる。
本発明はまた、腫瘍障害、例えば、前立腺癌が侵攻性であるかどうかを決定するための方法も提供する。この方法は、試料中に存在するマーカーの量を決定し、その量と、「定義」に定義された1種以上の対照試料中に存在するマーカーの対照量とを比較することによって、腫瘍障害が侵攻性であるかどうかを決定することを含む。マーカーレベルを、同じ被験体から異なる時点で得られた試料中のマーカーレベルまたは正常な、もしくは異常な前立腺状態の被験体に由来するマーカーレベルと比較することができる。マーカーのレベルの急速な増加は、マーカーレベルのゆっくりした増加またはその増加もしくは変化がない場合よりも侵攻性が高い癌を示し得る。
本発明の方法を用いて、腫瘍障害、例えば、前立腺癌の侵攻性を調節する、すなわち、低下させることができる化合物を選択することもできる。この方法においては、癌細胞を、試験化合物と接触させ、試験化合物が癌細胞中で本発明のマーカーの発現および/または活性を調節する能力を決定し、それによって、腫瘍障害の侵攻性を調節することができる化合物を選択する。
本明細書に記載の方法を用いれば、様々な分子をスクリーニングして、本発明のマーカー、すなわち、場合によりPSAと共に、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB(FLNB)、およびリンパ球抗原9(LY9)の発現および/または活性を調節する、例えば、増加させるか、または減少させる分子を同定することができる。そのように同定された化合物を被験体に提供して、被験体における腫瘍障害の侵攻性を阻害する、被験体における腫瘍障害の再発を防止する、または被験体における腫瘍障害を処置することができる。
本発明のマーカー
本発明は、マーカー(以後、「バイオマーカー」、「マーカー」または「本発明のマーカー」)に関する。本発明の好ましいマーカーは、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB(FLNB)、およびリンパ球抗原9(LY9)からなる群より選択される1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、または9種)のマーカーである。本発明の方法はまた、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB(FLNB)、およびリンパ球抗原9(LY9)からなる群より選択される1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、または9種)のマーカーと組合わせたマーカーPSAの使用も含む。
本発明は、マーカー(以後、それぞれ、「マーカー核酸」および「マーカータンパク質」)によりコードされる、またはそれに対応する核酸およびタンパク質(例えば、単離された核酸および単離されたタンパク質またはその断片)を提供する。これらのマーカーは、変化した前立腺状態、例えば、BPHまたは前立腺癌の存在のスクリーニング、腫瘍障害の侵攻性および転移能力の評価、腫瘍障害のアンドロゲン依存的状態の評価、被験体が腫瘍性障害に罹患しているかどうかの評価、腫瘍性障害を処置するための組成物の同定、腫瘍性障害を処置するための化合物の有効性の評価、腫瘍性障害の進行のモニタリング、腫瘍性障害の侵攻性の予後診断、腫瘍性障害を有する被験体の生存の予後診断、腫瘍性障害の再発の予後診断、および被験体が腫瘍性障害を発症する素因を有するかどうかの予後診断において特に有用である。
本発明のいくつかの実施形態においては、他のバイオマーカーを、本発明の方法と共に用いることができる。本明細書で用いられる用語「1種以上のバイオマーカー」は、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB(FLNB)、およびリンパ球抗原9(LY9)からなる群より選択される1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、または9種)のマーカーが、場合によりPSAと組合わせてアッセイされること、様々な実施形態においては、一覧中の2種以上の他のバイオマーカー、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9種以上のバイオマーカーをアッセイすることができることを意味することが意図される。ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびケラチン19の1種以上を、フィラミンB、LY9およびPSAの1種以上と組合わせてアッセイすることができる。フィラミンBを、前立腺癌と関連することが知られる1種以上の他のバイオマーカー、例えば、LY9またはPSAと共にアッセイすることができる。LY9を、前立腺癌と関連することが知られる1種以上の他のバイオマーカー、例えば、フィラミンBまたはPSAと共に用いることができる。すなわち、場合によりPSAと共に、フィラミンBとLY9バイオマーカーの任意の組合せ、例えば、フィラミンB;LY9;フィラミンBとPSA;フィラミンBとLY9;LY9とPSA;フィラミンB、LY9、およびPSAを用いることができる;これらの全てを、場合により他のマーカー、例えば、ケラチン4、7、8、15、18、19、またはチューブリン-ベータ3の1種以上と組合わせることができる。
本明細書に提供される方法、キット、およびパネルは、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3のセットの1、2、3、4、5、6、7、8、または9種のマーカーの任意の組合せを含む。そのような組合せは、以下のマーカーセットのいずれかを含む:
1種のメンバーを有するマーカーセット:フィラミンB;LY9;ケラチン4;ケラチン7;ケラチン8;ケラチン15;ケラチン18;ケラチン19;およびチューブリン-ベータ3。任意の単一のマーカーを、PSAと組合わせて用いることができる。
2種のメンバーを有するマーカーセット: フィラミンB、LY9; フィラミンB、ケラチン4; フィラミンB、ケラチン7; フィラミンB、ケラチン8; フィラミンB、ケラチン15; フィラミンB、ケラチン18; フィラミンB、ケラチン19; フィラミンB、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4; LY9、ケラチン7; LY9、ケラチン8; LY9、ケラチン15; LY9、ケラチン18; LY9,ケラチン19; LY9、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン7; ケラチン4、ケラチン8; ケラチン4、ケラチン15; ケラチン4、ケラチン18; ケラチン4、ケラチン19; ケラチン4、チューブリン-ベータ3; ケラチン7、ケラチン8; ケラチン7、ケラチン15; ケラチン7、ケラチン18; ケラチン7、ケラチン19; ケラチン7、チューブリン-ベータ3; ケラチン8、ケラチン15; ケラチン8、ケラチン18; ケラチン8、ケラチン19; ケラチン8、チューブリン-ベータ3; ケラチン15、ケラチン18; ケラチン15、ケラチン19; ケラチン15、チューブリン-ベータ3; ケラチン18、チューブリン-ベータ3; ケラチン18、ケラチン19; およびケラチン19、チューブリン-ベータ3。任意のマーカーセットを、PSAと組合わせて用いることができる。
3種のメンバーを有するマーカーセット: フィラミンB、LY9、ケラチン4; フィラミンB、LY9、ケラチン7; フィラミンB、LY9、ケラチン8; フィラミンB、LY9、ケラチン15; フィラミンB、LY9、ケラチン18; フィラミンB、LY9、ケラチン19; フィラミンB、LY9、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン7; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン8; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン15; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン18; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン19; フィラミンB、ケラチン4、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン7、ケラチン8; フィラミンB、ケラチン7、ケラチン15; フィラミンB、ケラチン7、ケラチン18; フィラミンB、ケラチン7、 ケラチン19; フィラミンB、ケラチン7、 チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン8、ケラチン15; フィラミンB、ケラチン8、ケラチン18; フィラミンB、ケラチン8、ケラチン19; フィラミンB、ケラチン8、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン15、ケラチン18; フィラミンB、ケラチン15、ケラチン19; フィラミンB、ケラチン15、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン19、チューブリン-ベータ3;LY9、ケラチン4、ケラチン7; LY9、ケラチン4、ケラチン8; LY9、ケラチン4、ケラチン15; LY9、ケラチン4、ケラチン18; LY9、ケラチン4、ケラチン19; LY9、ケラチン4、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン7、ケラチン8; LY9、ケラチン7、ケラチン15; LY9、ケラチン7、ケラチン18; LY9、ケラチン7、 ケラチン19; LY9、ケラチン7、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン8、ケラチン15; LY9、ケラチン8、ケラチン18; LY9、ケラチン8、ケラチン19; LY9、ケラチン8、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン15、ケラチン18; LY9、ケラチン15、ケラチン19; LY9、ケラチン15、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン18、ケラチン19; LY9、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン18; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン19; ケラチン4、ケラチン7、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン18; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン19; ケラチン4、ケラチン8、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン15、ケラチン18; ケラチン4、ケラチン15、ケラチン19; ケラチン4、ケラチン15、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン18、ケラチン19; ケラチン4、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15; ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18; ケラチン7、ケラチン8、ケラチン19; ケラチン7、ケラチン8、チューブリン-ベータ3; ケラチン7、ケラチン8、チューブリン-ベータ3; ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18; ケラチン7、ケラチン15、ケラチン19; ケラチン7、ケラチン15、チューブリン-ベータ3; ケラチン7、ケラチン18、ケラチン19; ケラチン7、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; およびケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3。任意のマーカーセットを、PSAと組合わせて用いることができる。
4種のメンバーを有するマーカーセット: フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン8; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン15; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン18; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン19; フィラミンB、LY9、ケラチン4、 チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン18; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン7、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン7、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15; フィラミンB、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18; フィラミンB、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン19; フィラミンB、ケラチン7、ケラチン8、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18; フィラミンB、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19; フィラミンB、ケラチン8、ケラチン15、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8; LY9、ケラチン4、ケラチン7、 ケラチン15; LY9、ケラチン4、ケラチン7、 ケラチン18; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン19; LY9、ケラチン4、ケラチン7、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15; LY9、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18; LY9、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン19; LY9、ケラチン7、ケラチン8、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18; LY9、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19; LY9、ケラチン8、ケラチン15、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; LY9、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン19; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; ケラチン4、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; ならびにケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3。任意のマーカーセットを、PSAと組合わせて用いることができる。
5種のメンバーを有するマーカーセット: ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19 チューブリン-ベータ3; ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; ケラチン4、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; LY9、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、LY9、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン15、ケラチン19 チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン18、ケラチン19 チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、ケラチン7、ケラチン18、ケラチン19 チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; LY9、ケラチン4、ケラチン18、ケラチン19およびチューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; LY9、ケラチン7、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; LY9、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン18、ケラチン19 チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリン-ベータ3; ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、LY9、ケラチン7、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン7、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン7、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、LY9、ケラチン8、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン8、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、LY9、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン18、 チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン8、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン8、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン15、ケラチン18、 チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン18、ケラチン19; LY9、ケラチン4、ケラチン8、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン8、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19; LY9、ケラチン4、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; LY9、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19; LY9、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; LY9、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、 ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、 チューブリン-ベータ3; ならびにケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19。任意のマーカーセットをPSAと組合わせて用いることができる。
6種のメンバーを有するマーカーセット: ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; LY9、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; LY9、ケラチン4、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、 チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19; ならびにLY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18。任意のマーカーセットをPSAと組合わせて用いることができる。
7種のメンバーを有するマーカーセット: ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、 チューブリン-ベータ3; LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、 ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、LY9、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19; ならびにフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18。任意のマーカーセットをPSAと組合わせて用いることができる。
8種のメンバーを有するマーカーセット:LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン19、チューブリン-ベータ3; フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、チューブリン-ベータ3; ならびにフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19。任意のマーカーセットをPSAと組合わせて用いることができる。
9種のメンバーを有するマーカーセット: フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3。
任意のマーカーセットをPSAと組合わせて用いることができる。
本発明は、様々な組合せおよび部分的組合せのマーカーの使用を提供する。別途明確に指摘しない限り、本明細書に提供される任意の単一のマーカーまたはマーカーの組合せを用いることができることが理解される。さらに、本発明の任意の単一のマーカーまたはマーカーの組合せを、PSAと共に用いることができる。
本出願を通じて、フィラミンB、LY9およびケラチン19の1種以上は、フィラミンB;LY9;ケラチン19;フィラミンBとLY9;フィラミンBとケラチン19;LY9とケラチン19;またはフィラミンB、LY9、およびケラチン19のいずれかと理解される。さらに、本発明の任意の単一のマーカーまたはマーカーの組合せを、PSAと共に用いることができる。
本出願を通じて、フィラミンBおよびLY9と、PSAとの組合せは、フィラミンB;LY9;フィラミンBとPSA;フィラミンBとLY9;LY9とPSA;フィラミンB、LY9、およびPSAのいずれかと理解される。
本出願を通じて、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される1種以上の前立腺癌マーカーは、ケラチン4; ケラチン7; ケラチン8; ケラチン15; ケラチン18; チューブリンベータ-3; ケラチン4およびケラチン7; ケラチン4およびケラチン8; ケラチン4およびケラチン15; ケラチン4およびケラチン18; ケラチン4およびチューブリンベータ-3; ケラチン7およびケラチン8; ケラチン7およびケラチン15; ケラチン7およびケラチン18; ケラチンおよびチューブリンベータ-3; ケラチン8およびケラチン15; ケラチン8およびケラチン18; ケラチン8およびチューブリンベータ-3; ケラチン15およびケラチン18; ケラチン15およびチューブリンベータ-3; ケラチン18およびチューブリンベータ-3; ケラチン4、ケラチン7およびケラチン8; ケラチン4、ケラチン7およびケラチン15; ケラチン4、ケラチン7およびケラチン18; ケラチン4、ケラチン7およびチューブリンベータ-3; ケラチン4、ケラチン8およびケラチン15; ケラチン4、ケラチン8およびケラチン18; ケラチン4、ケラチン8およびチューブリンベータ-e; ケラチン4、ケラチン15およびケラチン18; ケラチン4、ケラチン15およびチューブリンベータ-e; ケラチン4、ケラチン18およびチューブリンベータ-3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8およびケラチン15; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8およびケラチン18; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8およびチューブリンベータ-3; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15およびケラチン18; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15およびチューブリンベータ-3; ケラチン4、ケラチン15、ケラチン18およびチューブリンベータ-3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15およびケラチン18; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15,およびチューブリンベータ-3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン18,およびチューブリンベータ-3; ケラチン4、ケラチン7、ケラチン15、ケラチン18,およびチューブリンベータ-3; ケラチン4、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3; またはケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3のいずれかと理解される。さらに、本発明の任意の単一のマーカーまたはマーカーの組合せを、PSAと共に用いることができる。
本出願を通じて、ケラチン7、15、および19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌マーカーは、ケラチン7; ケラチン15; ケラチン19; ケラチン7および15; ケラチン7および19; ケラチン15および19;ならびにケラチン7、15、および19のいずれかと理解される。さらに、本発明の任意の単一のマーカーまたはマーカーの組合せを、PSAと共に用いることができる。
本出願を通じて、ケラチン7、8、および15からなる群より選択される1種以上の前立腺癌マーカーは、ケラチン7; ケラチン8; ケラチン15; ケラチン7および8; ケラチン7および15; ケラチン8および15;ならびにケラチン7、8、および15のいずれかと理解される。さらに、本発明の任意の単一のマーカーまたはマーカーの組合せを、PSAと共に用いることができる。
本出願を通じて、ケラチン7および15からなる群より選択される1種以上の前立腺癌マーカーは、ケラチン7; ケラチン15; またはケラチン7および15のいずれかと理解される。さらに、本発明の任意の単一のマーカーまたはマーカーの組合せを、PSAと共に用いることができる。
本出願を通じて、フィラミンB、LY9、またはケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌マーカーは、フィラミンB; LY9; ケラチン19; フィラミンBおよびLY9; フィラミンBおよびケラチン19; LY9およびケラチン19;ならびにフィラミンB、LY9、およびケラチン19のいずれかと理解される。さらに、本発明の任意の単一のマーカーまたはマーカーの組合せを、PSAと共に用いることができる。
特定の実施形態においては、ケラチン7、15、または19およびフィラミンB; ケラチン7、15、19またはLY9; ケラチン7、15、19、またはPSA; ケラチン4、7、15、または19; ケラチン7、8、15、または19; ケラチン7、15、18、または19;およびケラチン7、15、19、またはチューブリン-ベータ3を含むマーカーセットのレベルを検出することにより前立腺癌の処置を診断する、予後診断する、およびモニタリングする方法。
「マーカー」は、組織または細胞中での発現レベルの、正常または健康な組織または細胞中のその発現レベルからの変化が、異常な前立腺状態などの疾患状態と関連する遺伝子である。好ましい実施形態においては、マーカーは、血液試料、例えば、血清または血漿中で検出される。一実施形態においては、マーカーは、血清中で検出される。一実施形態においては、マーカーは、血漿中で検出される。特定の実施形態においては、血清または血漿をさらに処理して、分析の前に豊富な血液タンパク質(例えば、アルブミン)またはマーカータンパク質ではないタンパク質を除去することができる。「マーカー核酸」は、本発明のマーカーによりコードされるか、またはそれに対応する核酸(例えば、mRNA、cDNA)である。そのようなマーカー核酸は、本明細書に提供される任意の核酸配列の全配列もしくは部分配列またはそのような配列の相補体を含むDNA(例えば、cDNA)を含む。マーカー核酸はまた、全てのチミジン残基がウリジン残基で置き換えられた、本明細書に提供される任意の核酸配列の全配列もしくは部分配列またはそのような配列の相補体を含むRNAを含む。「マーカータンパク質」は、本発明のマーカーによりコードされるか、またはそれに対応するタンパク質である。マーカータンパク質は、本明細書に提供される任意のアミノ酸配列の全配列または部分配列を含む。用語「タンパク質」および「ポリペプチド」は、互換的に用いられる。
「生物試料」または「被験体試料」は、前立腺癌関連マーカーが存在してもよい体液または組織である。特定の実施形態において、試料は、血液または血液生成物(例えば、血清もしくは血漿)である。特定の実施形態において、試料は、組織試料、例えば、前立腺過形成もしくは腫瘍、または疑われる前立腺過形成もしくは腫瘍の部位から、またはその近くから得られた組織試料である。組織試料を、例えば、前立腺の生検または外科的切除中に取得することができる。組織試料は、1つ以上の正常組織、過形成、および癌性組織を含んでもよい。そのような組織型間を識別する方法は公知であり、例えば、組織学的分析、免疫組織化学的分析である。特定の実施形態においては、対照試料は、被験体から取り出された試料組織の正常な部分であってもよい。
「腫瘍性障害関連」体液は、被験体の体内にある場合、腫瘍性細胞と接触するか、もしくは腫瘍性細胞を通過するか、または腫瘍性細胞から剥離した細胞もしくはタンパク質が通過することができる液体である。例示的な腫瘍性障害関連体液は、血液(例えば、全血、血清、血小板が除去された血液)を含み、以下でより詳細に説明される。多くの腫瘍性障害関連体液は、特に、細胞が転移している場合、その中に腫瘍性細胞を有してもよい。腫瘍性細胞を含有してもよい細胞含有液体としては、限定されるものではないが、全血、血小板が除去された血液、リンパ液、前立腺液、尿、および精液が挙げられる。
マーカーの発現の「正常」レベルは、腫瘍性障害または異常な前立腺状態、例えば、BPHもしくは前立腺癌に罹患していないヒト被験者もしくは患者または被験者の集団の細胞中でのマーカーの発現のレベルである。
マーカーの「過剰発現」、「より高レベルの発現」、「より高レベル」などは、発現を評価するために用いられるアッセイの標準誤差よりも高く、好ましくは、対照試料(例えば、疾患、すなわち、異常な前立腺状態と関連するマーカーを有さない健康な被験体に由来する試料)中でのマーカーの発現レベルおよび好ましくは、いくつかの対照試料中でのマーカーまたは複数のマーカーの平均発現レベルよりも少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、または少なくとも10倍高い、試験試料中での発現レベルを指す。
マーカーの「より低レベルの発現」または「より低レベル」とは、対照試料(例えば、疾患、すなわち、異常な前立腺状態と関連するマーカーを有さない健康な被験体に由来する試料)中でのマーカーの発現レベルおよび好ましくは、いくつかの対照試料中でのマーカーまたは複数のマーカーの平均発現レベルの90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、または10%未満である、試験試料中での発現レベルを指す。
「転写されたポリヌクレオチド」または「ヌクレオチド転写物」は、本発明のマーカーの転写ならびに必要に応じて、RNA転写物の正常な転写後プロセッシング(例えば、スプライシング)、およびRNA転写物の逆転写により作られた成熟mRNAの全部または一部と相補的であるか、またはそれと高いパーセンテージの同一性(例えば、少なくとも80%の同一性)を有するポリヌクレオチド(例えば、mRNA、hnRNA、cDNA、またはそのようなRNAもしくはcDNAの類似体)である。
「相補的」とは、2つの核酸鎖の領域間または同じ核酸鎖の2つの領域間の配列相補性の広い概念を指す。第1の核酸領域のアデニン残基は、残基がチミンまたはウラシルである場合に第1の領域と逆平行である第2の核酸領域の残基と特異的水素結合(「塩基対」)を形成することができることが知られている。同様に、第1の核酸鎖のシトシン残基は、残基がグアニンである場合に第1鎖と逆平行である第2の核酸鎖の残基と塩基対を形成することができることが知られている。核酸の第1の領域は、2つの領域が逆平行様式で配置され、第1の領域の少なくとも1個のヌクレオチド残基が第2の領域の残基と塩基対を形成することができる場合、同じか、または異なる核酸の第2の領域と相補的である。好ましくは、第1の領域は第1の部分を含み、第2の領域は第2の部分を含み、それにより、第1および第2の部分が逆平行様式で配置される場合、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約75%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%の第1の部分のヌクレオチド残基が、第2の部分中のヌクレオチド残基と塩基対を形成することができる。より好ましくは、第1の部分の全てのヌクレオチド残基が、第2の部分中のヌクレオチド残基と塩基対を形成することができる。
本明細書で用いられる場合、「同一の」または「同一性」とは、同じ核酸鎖の2つの領域間または2つの異なる核酸鎖の領域間のヌクレオチド配列類似性を指す。両方の領域中のヌクレオチド残基部分が同じヌクレオチド残基により占有される場合、それらの領域はその部分で同一である。第1の領域は、それぞれの領域の少なくとも1個のヌクレオチド残基部分が同じ残基により占有される場合、第2の領域と同一である。2つの領域間の同一性は、同じヌクレオチド残基により占有される2つの領域のヌクレオチド残基部分の割合を単位として表される。例えば、ヌクレオチド配列5'-ATTGCC-3'を有する領域と、ヌクレオチド配列5'-TATGGC-3'を有する領域は、50%の同一性を有する。好ましくは、第1の領域は第1の部分を含み、第2の領域は第2の部分を含み、それによって、それぞれの部分のヌクレオチド残基部分の少なくとも約50%、好ましくは、少なくとも約75%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%が、同じヌクレオチド残基により占有される。より好ましくは、それぞれの部分の全てのヌクレオチド残基部分が、同じヌクレオチド残基により占有される。
「本発明のタンパク質」は、マーカータンパク質およびその断片;変異体マーカータンパク質およびその断片;マーカーまたは変異体マーカータンパク質の少なくとも15アミノ酸のセグメントを含むペプチドおよびポリペプチド;ならびにマーカーもしくは変異体マーカータンパク質、またはマーカーもしくは変異体マーカータンパク質の少なくとも15アミノ酸のセグメントを含む融合タンパク質を包含する。特定の実施形態においては、本発明のタンパク質は、抗体のマーカーへの特異的結合を許容するのに十分な大きさのペプチド配列またはエピトープである。
本発明は、本発明のマーカータンパク質およびマーカータンパク質の断片に特異的に結合する抗体、抗体誘導体および抗体断片をさらに提供する。ここで別途特定しない限り、用語「抗体」は、天然形態の抗体(例えば、IgG、IgA、IgM、IgE)ならびに一本鎖抗体、キメラおよびヒト化抗体および多特異的抗体などの組換え抗体、ならびに少なくとも抗原結合部位を有する、前記の全ての断片および誘導体を包含する。抗体誘導体は、抗体にコンジュゲートしたタンパク質または化学的部分を含んでもよい。
特定の実施形態においては、正または負の倍数変化は、本明細書に記載の任意の遺伝子のものを指す。
本明細書で用いられる場合、「正の倍数変化」は、本明細書に列挙される遺伝子の「上方調節」または「発現の(増加)」を指す。
本明細書で用いられる場合、「負の倍数変化」は、本明細書に列挙される遺伝子の「下方調節」または「発現の(減少)」を指す。
本発明の様々な態様は、以下のサブセクションでさらに詳細に説明される。
単離された核酸分子
本発明の一態様は、マーカータンパク質またはその一部をコードする核酸を含む、単離された核酸分子に関する。本発明の単離された核酸はまた、マーカー核酸分子、およびマーカー核酸分子の断片を同定するためのハイブリダイゼーションプローブとしての使用にとって十分な核酸分子、例えば、特定の生成物の増幅またはマーカー核酸分子の突然変異のためのPCRプライマーとしての使用にとって好適なものも含む。本明細書で用いられる用語「核酸分子」は、DNA分子(例えば、cDNAもしくはゲノムDNA)およびRNA分子(例えば、mRNA)ならびにヌクレオチド類似体を用いて生成されるDNAもしくはRNAの類似体を含むことが意図される。核酸分子は、一本鎖または二本鎖であってもよいが、好ましくは、二本鎖DNAである。
「単離された」核酸分子は、核酸分子の天然の供給源中に存在する他の核酸分子から分離されたものである。一実施形態においては、「単離された」核酸分子(好ましくは、タンパク質をコードする配列)は、その核酸が誘導される生物のゲノムDNA中で核酸に自然に隣接する配列(すなわち、核酸の5'および3'末端に位置する配列)を含まない。例えば、様々な実施形態においては、単離された核酸分子は、核酸が誘導される細胞のゲノムDNA中の核酸分子に自然に隣接する約5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kbまたは0.1kb未満のヌクレオチド配列を含有してもよい。別の実施形態においては、cDNA分子などの「単離された」核酸分子は、組換え技術により産生される場合、他の細胞材料、もしくは培養培地を実質的に含まないか、または化学的に合成される場合、化学的前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まなくてもよい。細胞材料を実質的に含まない核酸分子は、約30%、20%、10%、または5%未満の異種核酸(本明細書では「夾雑核酸」とも呼ばれる)を有する調製物を含む。
本発明の核酸分子を、標準的な分子生物学技術および本明細書に記載のデータベース記録中の配列情報を用いて単離することができる。そのような核酸配列の全部または一部を用いて、本発明の核酸分子を、標準的なハイブリダイゼーションおよびクローニング技術(例えば、Sambrookら(編)、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY、1989に記載のような)を用いて単離することができる。
本発明の核酸分子を、標準的なPCR増幅技術に従って、鋳型としてのcDNA、mRNA、またはゲノムDNAおよび適切なオリゴヌクレオチドプライマーを用いて増幅することができる。そのように増幅された核酸を、適切なベクター中にクローニングし、DNA配列分析により特性評価することができる。さらに、本発明の核酸分子の全部または一部に対応するヌクレオチドを、例えば、自動化DNA合成装置を用いて、標準的な合成技術により調製することができる。
別の好ましい実施形態においては、本発明の単離された核酸分子は、マーカー核酸のヌクレオチド配列またはマーカータンパク質をコードする核酸のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列を有する核酸分子を含む。所与のヌクレオチド配列と相補的である核酸分子は、それが所与のヌクレオチド配列にハイブリダイズすることによって安定な二本鎖を形成することができるような、所与のヌクレオチド配列と十分に相補的であるものである。
さらに、本発明の核酸分子は、核酸配列の一部のみを含んでもよく、ここで、完全長核酸配列は、マーカー核酸を含むか、またはマーカータンパク質をコードする。そのような核酸を、例えば、プローブまたはプライマーとして用いることができる。プローブ/プライマーは、典型的には、1つ以上の実質的に精製されたオリゴヌクレオチドとして用いられる。オリゴヌクレオチドは、典型的には、ストリンジェントな条件下で、本発明の核酸の少なくとも約15、より好ましくは、少なくとも約25、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、または400個以上の連続するヌクレオチドにハイブリダイズするヌクレオチド配列の領域を含む。
本発明の核酸分子の配列に基づくプローブを用いて、本発明の1種以上のマーカーに対応する転写物またはゲノム配列を検出することができる。特定の実施形態においては、プローブは、スプライス部位を横断する核酸配列にハイブリダイズする。プローブは、それに結合する標識基、例えば、放射性アイソトープ、蛍光化合物、酵素、または酵素コファクターを含む。そのようなプローブを、被験体に由来する細胞試料中でタンパク質をコードする核酸分子のレベルを測定すること、例えば、mRNAレベルを検出すること、またはタンパク質をコードする遺伝子もしくはその翻訳制御配列が突然変異もしくは欠失しているかどうかを決定することなどにより、タンパク質を発現するか、または誤発現する細胞または組織を同定するための診断試験キットまたはパネルの一部として用いることができる。
本発明はさらに、遺伝子コードの縮重性のため、マーカータンパク質(例えば、配列表に提供される配列を有するタンパク質)をコードする核酸のヌクレオチド配列と異なり、かくして、同じタンパク質をコードする核酸分子を包含する。
アミノ酸配列の変化をもたらすDNA配列多型が集団(例えば、ヒト集団)内に存在してもよいことが当業者には理解できる。そのような遺伝子多型は、天然の対立遺伝子変異および癌において生じることが知られる変化のため、集団内の個体間に存在してもよい。対立遺伝子は、所与の遺伝子座に選択的に生じる遺伝子群の1つである。さらに、その遺伝子の全体の発現レベルに影響し得る(例えば、調節または分解に影響することにより)RNA発現レベルに影響するDNA多型も存在してもよいことが理解される。
本明細書で用いられる語句「対立遺伝子変異体」は、所与の遺伝子座に生じるヌクレオチド配列またはそのヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドを指す。
本明細書で用いられる用語「遺伝子」および「組換え遺伝子」とは、本発明のマーカーに対応するポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを含む核酸分子を指す。そのような天然の対立遺伝子変異は、典型的には、所与の遺伝子のヌクレオチド配列において1〜5%の相違をもたらし得る。選択的対立遺伝子を、いくつかの異なる個体において目的の遺伝子を配列決定することによって同定することができる。これは、様々な個体において同じ遺伝子座を同定するためのハイブリダイゼーションプローブを用いることにより容易に実行することができる。任意かつ全てのそのようなヌクレオチド変異および天然の対立遺伝子変異の結果であり、機能的活性を変化させない、得られるアミノ酸多型または変異は、本発明の範囲内にあることが意図される。
別の実施形態においては、本発明の単離された核酸分子は、長さ少なくとも15、20、25、30、40、60、80、100、150、200、250、300、350、400、450、550、650、700、800、900、1000、1200、1400、1600、1800、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3500、4000、4500個以上のヌクレオチドであり、マーカー核酸またはマーカータンパク質をコードする核酸に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする。本明細書で用いられる用語「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」は、互いに少なくとも60%(65%、70%、好ましくは75%)同一であるヌクレオチド配列が、典型的には、互いにハイブリダイズしたままであるハイブリダイゼーションおよび洗浄のための条件を記述することを意図される。そのようなストリンジェントな条件は当業者には公知であり、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y. (1989)の6.3.1〜6.3.6節に見出すことができる。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の好ましい非限定例は、約45℃での6X塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でのハイブリダイゼーション、次いで、50〜65℃での0.2X SSC、0.1%SDS中での1回以上の洗浄である。
核酸治療剤
核酸治療剤は、当業界で周知である。核酸治療剤は、細胞中の標的配列と相補的である一本鎖および二本鎖の両方(すなわち、1つまたは2つの核酸鎖であってもよい少なくとも15ヌクレオチドの長さの相補的領域を有する核酸治療剤)の核酸を含む。核酸治療剤を、例えば、核酸を、培養培地に単独で、または薬剤と一緒に添加して、細胞中への核酸の取込みを促進することにより、培養中の細胞に送達することができる。核酸治療剤を、任意の投与経路により、被験体中の細胞に、すなわち、in vivoで送達することができる。特定の製剤は、投与経路に依存する。
本明細書で用いられる場合、別途指摘しない限り、用語「相補的」は、第2のヌクレオチド配列との関連で第1のヌクレオチド配列を記述するために用いられる場合、当業者によって理解されるように、第1のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドが、特定の条件下で、第2のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドとハイブリダイズし、二本鎖構造を形成する能力を指す。そのような条件は、例えば、ストリンジェントな条件であってもよく、その場合、ストリンジェントな条件は、50℃または70℃で12〜16時間の400mM NaCl、40mM PIPES pH6.4、1mM EDTA、次いで、洗浄を含んでもよい。生物の内部で遭遇し得るような生理的に関連する条件などの他の条件も適用することができる。当業者であれば、ハイブリダイズしたヌクレオチドの最終的な適用に従って、2つの配列の相補性の試験にとって最も適切な条件のセットを決定することができる。
配列は、第1および第2のヌクレオチドの全長にわたって、第1のヌクレオチド配列のヌクレオチドと、第2のヌクレオチド配列のヌクレオチドとの塩基対形成が存在する場合、それぞれに関して「完全に相補的」であってもよい。しかしながら、本明細書において第1の配列を、第2の配列に関して「実質的に相補的」であると言う場合、2つの配列は、完全に相補的であってもよいか、またはそれらはハイブリダイゼーション時に1個以上であるが、一般には4、3または2個以下の不一致の塩基対を形成してもよいが、その最終的な適用と最も関連する条件下でハイブリダイズする能力を保持する。しかしながら、2つのオリゴヌクレオチドが、ハイブリダイゼーションの際に、二本鎖核酸治療剤において一般的であるように、1個以上の一本鎖突出を形成するように設計される場合、そのような突出は、相補性の決定に関して不一致と見なすべきではない。例えば、長さ21ヌクレオチドの1つのオリゴヌクレオチドおよび長さ23ヌクレオチドの別のオリゴヌクレオチドを含むdsRNAは、長い方のオリゴヌクレオチドが短い方のオリゴヌクレオチドと完全に相補的である21ヌクレオチドの配列を含む場合、依然として本明細書に記載の目的のために「完全に相補的」であると言うことができる。
本明細書で用いられる「相補的」配列はまた、ハイブリダイズするそれらの能力に関して上記の要件が満たされる限り、非ワトソン・クリック塩基対および/または非天然の改変されたヌクレオチドから形成される塩基対を含むか、または全体としてそれから形成されていてもよい。そのような非ワトソン・クリック塩基対は、限定されるものではないが、G:U WobbleまたはHoogsteinの塩基対が挙げられる。
本明細書における用語「相補的」、「完全に相補的」および「実質的に相補的」は、それらの使用の文脈から理解されるように、dsRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖の間、またはアンチセンス核酸もしくはdsRNAのアンチセンス鎖と、標的配列の間の塩基不一致に関して用いることができる。
本明細書で用いられる場合、メッセンジャーRNA(mRNA)の「少なくとも一部と実質的に相補的」であるポリヌクレオチドは、5'UTR、オープンリーディングフレーム(ORF)、または3'UTRを含む、目的のmRNA(例えば、フィラミンB、LY9、ケラチン、チューブリン-ベータ3、またはPSAをコードするmRNA)の連続的部分と実質的に相補的であるポリヌクレオチドを指す。例えば、ポリヌクレオチドは、その配列がフィラミンB、LY9、ケラチン、チューブリン-ベータ3、またはPSAをコードするmRNAの非中断部分と実質的に相補的である場合、フィラミンB、LY9、ケラチン、チューブリン-ベータ3、またはPSAのmRNAの少なくとも一部と相補的である。
核酸治療剤は、典型的には、その安定性を改善するため、ならびにその薬物動態的および薬力学的特性を調節するための化学的改変を含む。例えば、ヌクレオチド上の改変としては、限定されるものではないが、LNA、HNA、CeNA、2'-メトキシエチル、2'-O-アルキル、2'-O-アリル、2'-C-アリル、2'-フルオロ、2'-デオキシ、2'-ヒドロキシル、およびその組合せが挙げられる。
核酸治療剤は、少なくとも1個のホスホロチオエートまたはメチルホスホネートヌクレオチド間結合をさらに含んでもよい。ホスホロチオエートまたはメチルホスホネートヌクレオチド間結合改変は、鎖の任意の位置でセンス鎖またはアンチセンス鎖またはその両方(センス鎖を含む核酸治療剤における)の任意のヌクレオチド上に存在してもよい。例えば、ヌクレオチド間結合改変は、センス鎖もしくはアンチセンス鎖上の全てのヌクレオチド上に存在してもよい;それぞれのヌクレオチド間結合改変は、センス鎖もしくはアンチセンス鎖上に交互のパターンで存在してもよい;またはセンス鎖もしくはアンチセンス鎖は、交互のパターンで両方のヌクレオチド間結合改変を含んでもよい。センス鎖上のヌクレオチド間結合改変の交互パターンは、アンチセンス鎖と同じであるか、または異なっていてもよく、センス鎖上のヌクレオチド間結合改変の交互パターンは、アンチセンス鎖上のヌクレオチド間結合改変の交互パターンに対してシフトを有してもよい。
一本鎖核酸治療剤
アンチセンス核酸治療剤一本鎖核酸治療剤、典型的には、約16〜30ヌクレオチド長であり、培養物または生物中で、標的細胞中の標的核酸配列と相補的である。
アンチセンス核酸、化学的改変、および治療的使用に関する特許は、例えば、化学的に改変されたRNAを含有する治療化合物に関する米国特許第5,898,031号、および治療剤としてこれらの化合物を用いる方法に関する米国特許第6,107,094号に提供される。一本鎖化学的改変RNA様化合物を投与することによって患者を処置する方法に関する米国特許第7,432,250号;および一本鎖化学的改変RNA様化合物を含有する医薬組成物に関する米国特許第7,432,249号。米国特許第7,629,321号は、複数のRNAヌクレオシドおよび少なくとも1個の化学的改変を有する一本鎖オリゴヌクレオチドを用いる標的mRNAを切断する方法に関する。本段落に列挙された特許はそれぞれ、参照により本明細書に組込まれるものとする。
二本鎖核酸治療剤
多くの実施形態において、二本鎖領域は、長さ15〜30ヌクレオチド対である。いくつかの実施形態においては、二本鎖領域は、長さ17〜23ヌクレオチド対、長さ17〜25ヌクレオチド対、長さ23〜27ヌクレオチド対、長さ19〜21ヌクレオチド対、または長さ21〜23ヌクレオチド対である。
特定の実施形態においては、それぞれの鎖は、15〜30ヌクレオチドを有する。
本発明の方法において用いられるRNAi剤は、例えば、WO2009/073809およびWO/2012/037254(それぞれの全内容は参照により本明細書に組込まれるものとする)に開示された化学的改変を有する薬剤を含む。
「RNAi剤」、「二本鎖RNAi剤」、「二本鎖RNA(dsRNA)分子」は、「dsRNA剤」、「dsRNA」、「siRNA」、「iRNA剤」とも呼ばれ、本明細書で互換的に用いられるが、以下に定義されるように、2個の逆平行の、実質的に相補的な核酸鎖を含む二本鎖構造を有する、リボ核酸分子の複合体を指す。本明細書で用いられる場合、RNAi剤は、dsiRNAを含んでもよい(例えば、参照により本明細書に組込まれる米国特許出願公開第20070104688号を参照されたい)。一般に、それぞれの鎖のヌクレオチドの大部分はリボヌクレオチドであるが、本明細書に記載のように、それぞれ、または両方の鎖は、1個以上の非リボヌクレオチド、例えば、デオキシリボヌクレオチドおよび/または改変ヌクレオチドを含んでもよい。さらに、本明細書で用いられる場合、「RNAi剤」は、化学的改変を含むリボヌクレオチドを含んでもよい;RNAi剤は、複数のヌクレオチドに実質的な改変を含んでもよい。そのような改変は、本明細書に開示されるか、または当業界で公知のあらゆる型の改変を含んでもよい。siRNA型分子において用いられる場合、任意のそのような改変は、本明細書および特許請求の範囲のために「RNAi剤」により包含される。
二本鎖構造を形成する2つの鎖は、1つの大きい方のRNA分子の異なる部分であってもよく、またはそれらは別々のRNA分子であってもよい。2つの鎖が一方の大きい方の分子の一部であり、従って、二本鎖構造を形成する一方の鎖の3'末端と、対応する他方の鎖の5'末端とのヌクレオチドの非中断鎖によって接続される場合、接続するRNA鎖は、「ヘアピンループ」と呼ばれる。2つの鎖が、二本鎖構造を形成する一方の鎖の3'末端と、対応する他の鎖の5'末端とのヌクレオチドの非中断鎖以外の手段によって共有的に接続される場合、接続構造は「リンカー」と呼ばれる。RNA鎖は、同じか、または異なる数のヌクレオチドを有してもよい。塩基対の最大数は、dsRNAの最も短い鎖中のヌクレオチド数から、二本鎖中に存在する任意の突出部を差し引いたものである。二本鎖構造に加えて、RNAi剤は、1個以上のヌクレオチド突出を含んでもよい。用語「siRNA」は、本明細書では上記のRNAi剤を指すように用いられる。
別の態様において、前記薬剤は、一本鎖アンチセンスRNA分子である。アンチセンスRNA分子は、標的mRNA内の配列と相補的である。アンチセンスRNAは、mRNAと塩基対を形成し、翻訳機構を物理的に妨害することによって、化学量論的様式で翻訳を阻害することができる。Dias, N.ら(2002) Mol Cancer Ther 1:347-355を参照されたい。アンチセンスRNA分子は、標的mRNAと相補的である約15〜30個のヌクレオチドを有してもよい。例えば、アンチセンスRNA分子は、本明細書に提供されるフィラミンBまたはLY9と相補的な少なくとも15、16、17、18、19、20個以上の連続するヌクレオチドの配列を有してもよい。
用語「アンチセンス鎖」は、標的配列(例えば、ヒトTTR mRNA)と実質的に相補的である領域を含む二本鎖RNAi剤の鎖を指す。本明細書で用いられる用語「トランスサイレチンをコードするmRNAの一部と相補的な領域」とは、TTR mRNA配列の一部と実質的に相補的であるアンチセンス鎖上の領域を指す。相補性の領域が標的配列と完全に相補的ではない場合、不一致は、末端領域中で最も許容され、存在する場合、一般的には末端領域中、例えば、5'および/または3'末端の6、5、4、2、または2ヌクレオチド以内にある。
本明細書で用いられる用語「センス鎖」とは、アンチセンス鎖の領域と実質的に相補的である領域を含むdsRNAの鎖を指す。
本発明はまた、分子ビーコンが試料中の本発明の核酸の存在を定量するのに有用であるような、本発明の核酸と相補的である少なくとも1つの領域を有する分子ビーコン核酸も含む。「分子ビーコン」核酸は、一対の相補的領域を含み、フルオロフォアおよびそれと会合する蛍光クエンチャーを有する核酸である。フルオロフォアとクエンチャーは、相補的領域が互いにアニーリングする場合、フルオロフォアの蛍光がクエンチャーによってクエンチされるような向きで、核酸の異なる部分と会合する。核酸の相補的領域が互いにアニーリングしない場合、フルオロフォアの蛍光は、より低い程度でクエンチされる。分子ビーコン核酸は、例えば、米国特許第5,876,930号に記載されている。
単離されたタンパク質および抗体
本発明の一態様は、単離されたマーカータンパク質およびその生物学的に活性な部分、ならびにマーカータンパク質またはその断片に対する抗体を上昇させるための免疫原としての使用にとって好適なポリペプチド断片に関する。一実施形態においては、天然のマーカータンパク質を、標準的なタンパク質精製技術を用いる適切な精製スキームにより細胞または組織源から単離することができる。別の実施形態においては、マーカータンパク質の全部またはセグメントを含むタンパク質またはペプチドは、組換えDNA技術により生成される。組換え発現とは別に、そのようなタンパク質またはペプチドを標準的なペプチド合成技術を用いて化学的に合成することができる。
「単離された」または「精製された」タンパク質またはその生物学的に活性な部分は、タンパク質が誘導される細胞もしくは組織源に由来する細胞材料もしくは他の夾雑タンパク質を実質的に含まないか、または化学的に合成される場合、化学的前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まない。用語「細胞材料を実質的に含まない」は、タンパク質が、それが単離されるか、または組換え的に産生される細胞の細胞成分から分離されたタンパク質の調製物を含む。かくして、細胞材料を実質的に含まないタンパク質は、約30%、20%、10%、または5%未満(乾燥重量で)の異種タンパク質(本明細書では「夾雑タンパク質」とも呼ばれる)を有するタンパク質の調製物を含む。タンパク質またはその生物学的に活性なタンパク質を組換え生産する場合、それはまた好ましくは、培養培地を実質的に含まない、すなわち、培養培地はタンパク質調製物の容量の約20%、10%、または5%未満である。タンパク質を化学的合成により生成する場合、それは好ましくは化学的前駆体または他の化学物質を実質的に含まない、すなわち、それはタンパク質の合成に関与する化学的前駆体または他の化学物質から分離される。従って、タンパク質のそのような調製物は、目的のポリペプチド以外に約30%、20%、10%、5%未満(乾燥重量で)の化学的前駆体または化合物を有する。
マーカータンパク質の生物学的に活性な部分は、マーカータンパク質のアミノ酸配列と十分に同一であるか、またはそれから誘導されるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含み、これは完全長タンパク質よりも少ないアミノ酸を含み、対応する完全長タンパク質の少なくとも1つの活性を示す。典型的には、生物学的に活性な部分は、対応する完全長タンパク質の少なくとも1つの活性を有するドメインまたはモチーフを含む。本発明のマーカータンパク質の生物学的に活性な部分は、例えば、長さ10、25、50、100個以上のアミノ酸であるポリペプチドであってもよい。さらに、マーカータンパク質の他の領域が欠失した他の生物学的に活性な部分を、組換え技術により調製し、天然形態のマーカータンパク質の1つ以上の機能的活性について評価することができる。
好ましいマーカータンパク質は、配列表に提供されるヌクレオチド配列によりコードされる。他の有用なタンパク質は、これらの配列の1つと実質的に同一であり(例えば、少なくとも約40%、好ましくは、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)、対応する天然のマーカータンパク質の機能的活性を保持するが、天然の対立遺伝子変異または突然変異誘発のためアミノ酸配列が異なる。
2つのアミノ酸配列または2つの核酸の同一性パーセントを決定するために、それらの配列を、最適な比較のために整列させる(例えば、第2のアミノ酸または核酸配列との最適なアラインメントのために第1のアミノ酸または核酸配列の配列中にギャップを導入してもよい)。次いで、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置のアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第1の配列中の位置が、第2の配列中の対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドにより占有される場合、分子はその位置で同一である。好ましくは、2つの配列間の同一性パーセントを、全体的アラインメントを用いて算出する。あるいは、2つの配列間の同一性パーセントを、部分的アラインメントを用いて算出する。2つの配列間の同一性パーセントは、配列により共有される同一の位置の数の関数(すなわち、同一性% = 同一の位置数/位置の総数(例えば、重複する位置)x100)である。一実施形態においては、2つの配列は同じ長さである。別の実施形態においては、2つの配列は同じ長さではない。
2つの配列間の同一性パーセントの決定を、数学的アルゴリズムを用いて達成することができる。2つの配列の比較のために用いられる数学的アルゴリズムの好ましい非限定例は、KarlinおよびAltschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5877におけるように改変された、KarlinおよびAltschul (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-2268のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、Altschulら(1990) J. Mol. Biol. 215:403-410のBLASTNおよびBLASTXプログラムに組込まれている。BLASTヌクレオチド検索を、BLASTNプログラム、スコア=100、ワード幅=12を用いて実施して、本発明の核酸分子と相同なヌクレオチド配列を得ることができる。BLASTタンパク質検索をBLASTPプログラム、スコア=50、ワード幅=3を用いて実施して、本発明のタンパク質分子と相同なアミノ酸配列を得ることができる。比較のためのギャップ付アラインメントを得るために、プログラムBLASTN、BLASTPおよびBLASTXのためのギャップ付部分的アラインメントを実施することができる、Gapped BLASTと呼ばれるより新しいバージョンのBLASTアルゴリズムを、Altschulら(1997) Nucleic Acids Res. 25:3389-3402に記載のように使用することができる。あるいは、PSI-Blastを用いて、分子間の距離関係を検出する反復検索を実施することができる。BLAST、Gapped BLAST、およびPSI-Blastプログラムを用いる場合、対応するプログラム(例えば、BLASTXおよびBLASTN)のデフォルトパラメータを用いることができる。http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照されたい。配列の比較のために用いられる数学的アルゴリズムの別の好ましい非限定例は、MyersおよびMiller(1988) CABIOS 4:11-17のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、GCG配列アラインメントソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組込まれている。アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを用いる場合、PAM120ウェイト残テーブル(weight residue table)、12のギャップ長ペナルティ、および4のギャップペナルティを用いることができる。部分配列類似性およびアラインメントの領域を同定するためのさらに別の有用なアルゴリズムは、PearsonおよびLipman (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444-2448に記載のFASTAアルゴリズムである。ヌクレオチドまたはアミノ酸配列を比較するためにFASTAアルゴリズムを用いる場合、例えば、PAM120ウェイト残テーブルを、2のκ-タプル値を共に用いることができる。
2つの配列間の同一性パーセントを、ギャップを可能にするか、または可能にせずに、上記のものと類似する技術を用いて決定することができる。同一性パーセントを算出する際に、正確な一致のみを計数する。
本発明の別の態様は、本発明のタンパク質に対する抗体に関する。好ましい実施形態においては、抗体はマーカータンパク質またはその断片に特異的に結合する。本明細書では互換的に用いられる用語「抗体」および「複数の抗体」は、免疫グロブリン分子ならびに免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分を含むその断片および誘導体(すなわち、そのような部分は、マーカータンパク質、例えば、マーカータンパク質のエピトープなどの抗原に特異的に結合する抗原結合部位を含有する)を指す。本発明のタンパク質に特異的に結合する抗体は、タンパク質に結合するが、試料、例えば、自然ではタンパク質を含有する生物試料中の他の分子には実質的に結合しない抗体である。免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分の例としては、限定されるものではないが、一本鎖抗体(scAb)、F(ab)およびF(ab')2断片が挙げられる。
本発明の単離されたタンパク質またはその断片を、免疫原として用いて、抗体を生成することができる。完全長タンパク質を用いることができるか、またはあるいは、本発明は免疫原としての使用のための抗原ペプチド断片を提供する。本発明のタンパク質の抗原ペプチドは、本発明のタンパク質の1つのアミノ酸配列の少なくとも8個(好ましくは、10、15、20、または30個以上)のアミノ酸残基を含み、ペプチドに対して生じた抗体がタンパク質との特異的免疫複合体を形成するようなタンパク質の少なくとも1つのエピトープを包含する。抗原ペプチドにより包含される好ましいエピトープは、タンパク質の表面上に位置する領域、例えば、親水性領域である。疎水性配列分析、親水性配列分析、または同様の分析を用いて、親水性領域を同定することができる。好ましい実施形態においては、単離されたマーカータンパク質またはその断片は、免疫原として用いられる。
本発明は、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体を提供する。本明細書で用いられる場合、用語「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」とは、特定のエピトープと免疫反応することができるただ1種の抗原結合部位を含有する抗体分子の集団を指す。好ましいポリクローナルおよびモノクローナル抗体組成物は、本発明のタンパク質に対する抗体について選択されたものである。特に好ましいポリクローナルおよびモノクローナル抗体調製物は、マーカータンパク質またはその断片に対する唯一の抗体を含有するものである。ポリクローナル、モノクローナル、および組換え抗体および抗体断片を作製する方法は、当業界で周知である。
予測医療
本発明は、診断アッセイ、予後診断アッセイ、薬理ゲノミクス、およびモニタリング臨床試験を予後診断(予測)目的で用いることによって、個体を予防的に処置する予測医療の分野に関する。従って、本発明の一態様は、1種以上のマーカータンパク質または核酸の発現のレベルを決定して、個体が、限定されるものではないが、腫瘍性障害、例えば、前立腺癌などの疾患または障害を発症する危険性があるかどうかを決定するための診断アッセイに関する。そのようなアッセイを、予後診断または予測目的で用いることによって、障害の開始前に個体を予防的に処置することができる。
本発明のさらに別の態様は、臨床試験における本発明のマーカーの発現または活性に対する、薬剤(例えば、腫瘍性障害、例えば、前立腺癌を阻害するか、または任意の他の障害を処置もしくは防止するため(すなわち、そのような処置が有し得る任意の発癌効果を理解するため)に投与される薬物または他の化合物))の影響のモニタリングに関する。これらの薬剤および他の薬剤は、以下のセクションでさらに詳細に説明される。
A.診断アッセイ
生物試料中のマーカータンパク質または核酸の発現レベルの存在または非存在または変化を検出するための例示的方法は、試験被験体から生物試料(例えば、腫瘍性障害関連体液)を取得し、生物試料と、ポリペプチドまたは核酸(例えば、mRNA、ゲノムDNA、もしくはcDNA)を検出することができる化合物または薬剤と接触させることを含む。かくして、本発明の検出方法を用いて、例えば、in vitroならびにin vivoで、生物試料中のmRNA、cDNA、またはゲノムDNAを検出することができる。
生物試料中のマーカータンパク質または核酸の発現レベルの存在、非存在、変化を検出するための本明細書に提供される方法は、検出しようとするマーカータンパク質または核酸を含有してもよいか、または含有しなくてもよい被験体から生物試料を取得すること、その試料と、検出しようとするマーカータンパク質または核酸と複合体を形成することができるマーカー特異的結合剤(すなわち、1種以上のマーカー特異的結合剤)とを接触させること、ならびに形成された場合、試料と、マーカー-マーカー特異的結合剤複合体の検出のための検出試薬とを接触させることを含む。生物試料中のマーカーの発現レベルを検出するための本明細書に提供される方法は、アッセイを実施するための工程を含むことが理解される。検出方法の特定の実施形態においては、試料中のマーカータンパク質または核酸のレベルはないか、または検出のための閾値より低い。
前記方法は、マーカーと、マーカー特異的結合剤との一過的または安定な複合体の形成を含む。この方法には、形成される場合、検出試薬が複合体に結合するのを可能にし、検出可能なシグナル(例えば、蛍光シグナル、酵素反応、例えば、ペルオキシダーゼ反応、ホスファターゼ反応、ベータ-ガラクトシダーゼ反応、もしくはポリメラーゼ反応の生成物からのシグナル)を生成するのに十分な時間にわたって複合体が形成されることが必要である。
特定の実施形態においては、全てのマーカーが、同じ方法を用いて検出される。特定の実施形態においては、全てのマーカーが、同じ生物試料(例えば、同じ体液または組織)を用いて検出される。特定の実施形態においては、異なるマーカーは、様々な方法を用いて検出される。特定の実施形態においては、マーカーは、異なる生物試料中で検出される。
1.タンパク質の検出
本発明の特定の実施形態においては、検出しようとするマーカーは、タンパク質である。タンパク質は、例えば、成分の1つが自然に存在する化合物ではないか、または検出のためのマーカーとマーカー特異的結合剤とが同じ生物に由来しない(例えば、マウス、ラット、またはヤギに由来するマーカー特異的結合抗体を用いて検出されるヒトマーカータンパク質)ため、検出しようとするマーカータンパク質と、マーカー特異的結合剤との複合体が自然に存在しないいくつかのアッセイを用いて検出される。本発明の好ましい実施形態においては、検出のためのマーカータンパク質は、ヒトマーカータンパク質である。特定の検出アッセイにおいて、検出のためのヒトマーカーは、マーカー特異的、非ヒト抗体により結合され、かくして、複合体は自然では形成されない。マーカータンパク質の複合体を、例えば、マーカーに直接結合する標識されたマーカー特異的抗体の使用によるか、またはマーカーのさらなる成分--マーカー特異的抗体の複合体に結合することにより、直接検出することができる。特定の実施形態においては、さらなる成分は、第1のマーカー特異的抗体と同時にマーカーに結合することができる第2のマーカー特異的抗体である。特定の実施形態においては、さらなる成分は、マーカー特異的抗体に結合する第2の抗体であり、ここで第2の抗体は、好ましくは検出可能な標識(例えば、蛍光標識、酵素標識、ビオチン)に連結される。第2の抗体が酵素的検出標識(例えば、ペルオキシダーゼ、ホスファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ)に連結される場合、第2の抗体は、酵素検出標識と、適切な基質とを接触させて、比色分析、蛍光、または他の検出可能な、好ましくは定量的に検出可能な生成物を生成させることによって検出される。本発明の方法における使用のための抗体は、ポリクローナルであってもよいが、好ましい実施形態においては、モノクローナル抗体が用いられる。無傷抗体、またはその断片もしくは誘導体(例えば、FabまたはF(ab')2)を、本発明の方法において用いることができる。マーカータンパク質検出のそのような戦略は、例えば、ELISA、RIA、ウェスタンブロット、および免疫蛍光アッセイ方法において用いられる。
特定の検出アッセイにおいては、検出のための生物試料中に存在するマーカーは酵素であり、検出試薬は酵素基質である。例えば、酵素はプロテアーゼであり、基質は適切なプロテアーゼ切断部位を含む任意のタンパク質であってもよい。あるいは、酵素はキナーゼであり、基質はキナーゼのための任意の基質であってもよい。好ましい実施形態においては、検出しようとするマーカー酵素と複合体を形成する基質は、ヒト被験者における酵素のための基質ではない。
特定の実施形態においては、マーカー--マーカー特異的結合剤複合体は、マーカーの検出のために固相支持体に結合される。複合体を、基質上で形成させるか、または基質上への捕捉の前に形成させることができる。例えば、ELISA、RIA、免疫沈降アッセイ、ウェスタンブロット、免疫蛍光アッセイ、ゲル中酵素アッセイにおいて、検出のためのマーカーは、直接的または間接的に固相支持体に結合される。ELISA、RIA、または免疫蛍光アッセイにおいて、マーカーは典型的には、抗体または結合タンパク質を介して固相支持体に間接的に結合される。ウェスタンブロットまたは免疫蛍光アッセイにおいて、マーカーは、典型的には固相支持体に直接結合される。ゲル中酵素アッセイについては、マーカーは、酵素のための基質が組込まれたゲル、典型的には、アクリルアミドゲル中で分解される。
2.核酸検出
本発明の特定の実施形態においては、マーカーは、核酸である。核酸は、例えば、成分の1つが自然に存在する化合物ではないため、検出しようとするマーカー核酸と、マーカー特異的プローブとの複合体が自然に存在しないいくつかのアッセイを用いて検出される。特定の実施形態においては、分析物は核酸を含み、プローブは1種以上の合成一本鎖核酸分子、例えば、DNA分子、DNA-RNAハイブリッド、PNA、または1個以上の人工塩基、糖、もしくは骨格部分を含有する改変された核酸分子を含む。特定の実施形態においては、合成核酸は一本鎖であり、蛍光標識を含むDNA分子である。特定の実施形態においては、合成核酸は、長さ約12〜約50ヌクレオチドの一本鎖オリゴヌクレオチド分子である。特定の実施形態においては、検出しようとする核酸はmRNAであり、形成される複合体はmRNAと相補的である一本鎖DNA分子にハイブリダイズしたmRNAである。特定の実施形態においては、RNAは、最初にプライマー、例えば、ポリA RNAを転写するための一般的なポリTプライマーとしてRNAにハイブリダイズする一本鎖DNAを用いる、RNA鋳型からのDNA分子(すなわち、cDNA分子)の生成により検出される。次いで、cDNAを、マーカー特異的プローブを用いる増幅反応、例えば、PCR、プライマー伸長アッセイのための鋳型として用いることができる。特定の実施形態においては、標識された一本鎖DNAを、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)によるRNAの検出のため、またはノーザンブロットによるRNAの検出のために試料中に存在するRNAにハイブリダイズさせることができる。
例えば、mRNAの検出のためのin vitro技術としては、ノーザンハイブリダイゼーション、in situハイブリダイゼーション、およびrtPCRが挙げられる。ゲノムDNAの検出のためのin vitro技術としては、サザンハイブリダイゼーションが挙げられる。mRNAの検出のための技術としては、PCR、ノーザンハイブリダイゼーションおよびin situハイブリダイゼーションが挙げられる。方法は、定性的および定量的方法の両方を含む。
そのような診断、予後診断、およびモニタリングアッセイの一般的原理は、適切な条件下で、ならびにマーカーとプローブが相互作用し、結合し、かくして、反応混合物中で除去および/または検出することができる複合体を形成することができる十分な時間にわたってマーカー、およびプローブを含有してもよい試料または反応混合物を調製することを含む。これらのアッセイを、当業界で公知の様々な方法、例えば、ELISAアッセイ、PCR、FISHにおいて行うことができる。
3. 発現レベルの検出
マーカーレベルを、絶対発現レベルまたは正規化もしくは相対発現レベルに基づいて検出することができる。絶対マーカーレベルの検出は、被験体の処置をモニタリングするか、または被験体の前立腺癌状態の変化が存在するかどうかを決定する場合に好ましい。例えば、1種以上のマーカーの発現レベルを、例えば、毎月の間隔などの規則的間隔で、前立腺癌のための処置を受けている被験体においてモニタリングすることができる。1種以上のマーカーのレベルの調節を経時的にモニタリングして、マーカーレベルの変化における傾向を観察することができる。被験体におけるフィラミンB、LY9、またはケラチン19の1つ以上の発現レベルは、正常試料中のこれらのマーカーの発現レベルよりも高くてもよいが、以前の発現レベルより低くてもよく、かくして、被験体のための処置レジメンの利益を示唆する。同様に、マーカーレベルの変化の速度は、前立腺癌のための積極的な処置を受けていない被験体(例えば、待機療法)において重要であり得る。マーカーレベルの変化があるかないかは、集団中に存在するマーカーレベルよりも被験体のための処置決定とより関連し得る。さもなければ正常な前立腺を有すると考えられる被験体におけるマーカーレベルの急速な変化は、そのマーカーが集団にとって正常な範囲にある場合でも、異常な前立腺状態を示し得る。
マーカーの絶対発現レベルに基づいて決定を行う代わりに、決定は、マーカーの正規化された発現レベルに基づくものであってもよい。発現レベルは、マーカーの発現を、マーカーではない遺伝子、例えば、構成的に発現されるハウスキーピング遺伝子の発現と比較することにより、その絶対発現レベルを補正することによって正規化される。正規化のための好適な遺伝子としては、アクチン遺伝子、または上皮細胞特異的遺伝子などのハウスキーピング遺伝子が挙げられる。この正規化により、ある試料、例えば、患者試料における発現レベルを、別の試料、例えば、非癌試料と比較する、または異なる供給源に由来する試料間で比較することができる。
あるいは、発現レベルを、適切な対照、例えば、集団対照、隣接した正常組織対照、より早い時点での対照などと比較した場合の相対発現レベルとして提供することができる。好ましくは、基準決定において用いられる試料は、非癌細胞に由来するものである。細胞供給源の選択は、相対発現レベルの使用に依存する。平均発現スコアとして正常組織中に見出される発現を用いることは、アッセイされるマーカーが癌特異的(正常細胞に対して)であるかどうかを検証する際の助けとなる。さらに、より多くのデータが蓄積されるため、平均発現値を修正し、蓄積されたデータに基づいて改善された相対発現値を提供することができる。癌細胞からの発現データは、癌状態の重症度を等級付けるための手段を提供する。
診断、予後診断、および処置方法
本発明は、
(1)被験体に由来する生物試料と、それぞれの検出試薬が1つの前立腺癌関連タンパク質に特異的であり、前立腺癌関連タンパク質が以下のようなフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3の前立腺癌関連タンパク質セットから選択される1種以上の検出試薬のパネルとを接触させること;
(2)それぞれの検出試薬により、生物試料中で検出されるそれぞれの前立腺癌関連マーカーの量を測定すること;ならびに
(3)被験体から得られた生物試料中の1種以上の前立腺癌関連タンパク質の発現のレベルと、正常対照試料中の1種以上の前立腺癌関連タンパク質の発現のレベルとを比較することによって、異常な前立腺状態を検出すること
により、被験体における異常な前立腺状態を検出するための方法を提供する。
特定の実施形態においては、異常な前立腺状態を検出することは、被験体において前立腺癌状態を診断することを含む。特定の実施形態においては、異常な前立腺状態は、前立腺癌を発症する素因を有すると同定することを含む。
本発明は、
(1)被験体に処置レジメンの少なくとも一部を施す前に被験体から得られた第1の生物試料と、それぞれの検出試薬が1つの前立腺癌関連タンパク質に特異的であり、前立腺癌関連タンパク質が以下のようなフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3の前立腺癌関連タンパク質セットから選択される1種以上の検出試薬のパネルとを接触させること;
(2)被験体に処置レジメンの少なくとも一部を施した後に被験体から得られた第2の生物試料と、それぞれの検出試薬が1つの前立腺癌関連タンパク質に特異的であり、前立腺癌関連タンパク質が以下のようなフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3の前立腺癌関連タンパク質セットから選択される1種以上の検出試薬のパネルとを接触させること;
(3)それぞれの検出試薬により、それぞれ第1の生物試料および第2の生物試料中で検出される前立腺癌関連マーカーの量を測定すること;ならびに
(4)第1の試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現のレベルと、第2の試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現レベルとを比較することによって、被験体における前立腺癌の処置をモニタリングすること
により、前立腺癌の処置をモニタリングするための方法を提供する。
本発明は、
(1)被験体に処置レジメンを施す前に被験体から得られた第1の生物試料と、それぞれの検出試薬が1つの前立腺癌関連タンパク質に特異的であり、前立腺癌関連タンパク質が以下のようなフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3の前立腺癌関連タンパク質セットから選択される1種以上の検出試薬のパネルとを接触させること;
(2)被験体に処置レジメンを施す前に被験体から得られた第2の生物試料と、それぞれの検出試薬が1つの前立腺癌関連タンパク質に特異的であり、前立腺癌関連タンパク質が以下のようなフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3の前立腺癌関連タンパク質セットから選択される1種以上の検出試薬のパネルとを接触させること;
(3)それぞれの検出試薬により、それぞれ第1の生物試料および第2の生物試料中で検出される前立腺癌関連マーカーの量を測定すること;ならびに
(4)第1の試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現のレベルと、第2の試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現レベルとを比較すること
による、被験体における前立腺癌の積極的処置の施行の選択または積極的処置の施行に反対する選択のための方法であって、前立腺癌の積極的処置の施行の選択または積極的処置に反対する選択が、第1の試料と第2の試料との1種以上のマーカーの発現のレベルの変化の存在または非存在に基づくものである、前記方法を提供する。
本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態において、1種以上の前立腺癌関連マーカーは、2種以上のマーカーである。本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、1種以上の前立腺癌関連マーカーは、3種以上のマーカーである。本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、1種以上の前立腺癌関連マーカーは、4種以上のマーカーである。本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、1種以上の前立腺癌関連マーカーは、5種以上のマーカーである。本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、1種以上の前立腺癌関連マーカーは、6種以上のマーカーである。本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、1種以上の前立腺癌関連マーカーは、7種以上のマーカーである。本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、1種以上の前立腺癌関連マーカーは、8種以上のマーカーである。本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、1種以上の前立腺癌関連マーカーは、9種以上のマーカーである。
本明細書に提供される診断方法の特定の実施形態においては、正常対照試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現のレベルと比較した、生物試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現のレベルの増加は、被験体が前立腺癌に罹患していることを示す。本明細書に提供される診断方法の特定の実施形態においては、正常対照試料中の発現レベルと比較して、生物試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19の1種以上の検出された発現レベルの増加がないことは、被験体が前立腺癌に罹患していないか、または前立腺癌を発症する素因を有さないことを示す。
本明細書に提供される診断方法の特定の実施形態においては、正常対照試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現のレベルと比較した、生物試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現のレベルの増加は、被験体が前立腺癌を発症する素因を有することを示す。
本明細書に提供されるモニタリング方法の特定の実施形態においては、第1の試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現のレベルと比較して、第2の試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのいずれかの発現の検出レベルの増加がないことは、療法が被験体における前立腺癌の処置にとって有効であることを示す。特定の実施形態においては、本明細書に提供されるモニタリング方法は、第1の試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現のレベルまたは第2の試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現のレベルと、対照試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現とを比較することをさらに含む。
本明細書に提供されるモニタリング方法の特定の実施形態においては、第1の試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現のレベルと比較した、第2の試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現のレベルの増加は、被験体における前立腺癌の積極的処置の選択を示す。本明細書に提供されるモニタリング方法の特定の実施形態においては、第1の試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現のレベルと比較して、第2の試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのいずれかの発現の検出レベルの増加がないことは、被験体における前立腺癌の積極的処置に反対する選択を示す。本明細書に提供されるモニタリング方法の特定の実施形態においては、第1の試料中の発現レベルと比較した第2の試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19の1種以上の発現レベルの増加は、療法が前立腺癌の処置において有効ではないことを示す。
本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、1種以上の前立腺癌関連マーカーは、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される。本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、1種以上の前立腺癌関連マーカーは、ケラチン7、ケラチン8、およびケラチン15からなる群より選択される。本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、1種以上の前立腺癌関連マーカーは、ケラチン7、ケラチン15、およびケラチン19からなる群より選択される。本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、1種以上の前立腺癌関連マーカーは、ケラチン7またはケラチン15である。本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、正常対照試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルと比較した、生物試料中のケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーは、前立腺癌状態の調節を示す。
本明細書に提供されるモニタリング方法の特定の実施形態においては、第1の試料中のケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現のレベルと比較した、第2の試料中のケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現のレベルの調節は、被験体における前立腺癌の処置に応答した前立腺癌状態の変化を示す。本明細書に提供されるモニタリング方法の特定の実施形態においては、前記方法はさらに、第1の試料中のケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現のレベル、または第2の試料中のケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現のレベルを、正常対照試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現のレベルと比較することを含む。
特定の実施形態においては、本明細書に提供される診断方法は、生物試料中の前立腺特異的抗原(PSA)の発現のレベルを検出することをさらに含み、好ましくは生物試料中のPSAの発現のレベルと、正常対照試料中のPSA発現レベルとを比較することをさらに含む。特定の実施形態においては、PSAレベルと、1種以上の前立腺癌マーカーレベルとの組合せは、方法の予測値を増加させる。
特定の実施形態において、本明細書に提供されるモニタリング方法は、第1の試料および第2の試料中の前立腺特異的抗原(PSA)の発現のレベルを検出することをさらに含み、好ましくは、第1の試料中のPSAの発現のレベルと、第2の試料中のPSAの発現のレベルとを比較することをさらに含む。特定のモニタリング方法においては、前立腺癌マーカーレベルの変化と組合わせたPSAレベルの変化は、方法の予測値を増加させる。
特定の実施形態においては、本明細書に提供される診断およびモニタリング方法は、生物試料中の1種以上の前立腺マーカーの検出レベルと、対照試料が生物試料よりも早い時点で同じ被験体から得られた試料、良性前立腺過形成(BPH)を有する被験体から得られた試料、非転移性前立腺癌を有する被験体から得られた試料、転移性前立腺癌を有する被験体から得られた試料、アンドロゲン感受性前立腺癌を有する被験体から得られた試料、アンドロゲン非感受性前立腺癌を有する被験体から得られた試料、侵攻性前立腺癌を有する被験体から得られた試料、および非侵攻性前立腺癌を有する被験体から得られた試料のうちの1つ以上である、1つ以上の対照試料とを比較することをさらに含む。生物試料中のマーカーレベルと、様々な正常および異常な前立腺状態を有する被験体から得られた対照試料との比較により、正常な前立腺と前立腺癌、良性前立腺過形成と前立腺癌、良性前立腺過形成と正常な前立腺、アンドロゲン依存的前立腺癌とアンドロゲン非依存的前立腺癌、侵攻性前立腺癌と非侵攻性前立腺癌、侵攻性前立腺癌と非侵攻性前立腺癌などの様々な前立腺状態間、または正常な前立腺、前立腺癌、良性前立腺過形成、アンドロゲン依存的前立腺癌、アンドロゲン非依存的前立腺癌、侵攻性前立腺癌、非侵攻性前立腺癌、転移性前立腺癌、および非転移性前立腺癌を含む任意の2つ以上の前立腺状態間の識別が容易になる。
特定の実施形態においては、本明細書に提供される診断およびモニタリング方法は、被験体における前立腺腫瘍のサイズを検出することをさらに含む。特定の実施形態においては、本明細書に提供されるモニタリング方法は、腫瘍のサイズまたは相対的侵攻性の変化を検出することをさらに含む。特定の実施形態においては、被験体における前立腺腫瘍のサイズは、被験体に処置レジメンの少なくとも一部を施す前に検出される。特定の実施形態において、被験体における前立腺腫瘍のサイズは、被験体に処置レジメンの少なくとも一部を施した後に検出される。特定のモニタリング方法は、被験体に処置レジメンの少なくとも一部を施す前の被験体における前立腺腫瘍のサイズと、被験体に処置レジメンの少なくとも一部を施した後の被験体における前立腺腫瘍のサイズとを比較することをさらに含む。
特定の実施形態においては、本明細書に提供される診断およびモニタリング方法は、被験体試料を取得することをさらに含む。
特定の実施形態においては、本明細書に提供される診断およびモニタリング方法は、請求項1に提供される1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現レベルに基づいて被験体のための処置レジメンを選択することをさらに含む。
特定の実施形態においては、本明細書に提供される診断およびモニタリング方法は、前立腺癌を有するか、または有すると疑われる被験体を選択することをさらに含む。
特定の実施形態においては、本明細書に提供される診断およびモニタリング方法は、被験体を、外科手術、放射線、ホルモン療法、抗体療法、増殖因子を用いる療法、サイトカイン、および化学療法からなる群より選択される1種以上の処置を含むレジメンで処置することをさらに含む。
特定の実施形態においては、本明細書に提供される診断およびモニタリング方法は、本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の結果に基づいて、被験体のための1種以上の特異的処置レジメンを選択することをさらに含む。特定の実施形態においては、処置方法は、診断または予後診断方法から得られた結果に基づいて維持される。特定の実施形態においては、処置方法は、診断または予後診断方法から得られた結果に基づいて変更される。
特定の実施形態においては、処置レジメンの変更は、ホルモンに基づく療法処置を変更することを含む。特定の実施形態においては、前立腺癌のための処置は、本明細書に提供されるその後の診断、予後診断、またはモニタリング方法を実施する前の一定間隔での請求項1〜64のいずれか一項に記載の方法の結果に基づく外科手術、放射線、ホルモン療法、抗体療法、増殖因子を用いる療法、サイトカイン、または化学療法の1種以上を含む。
本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、レベルを検出する方法は、生物試料の成分を単離することを含む。
本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、レベルを検出する方法は、生物試料の成分を標識することを含む。
本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、レベルを検出する方法は、生物試料の成分を増幅することを含む。
本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、レベルを検出する方法は、プローブおよび生物試料の成分と複合体を形成させることを含む。特定の実施形態においては、プローブとの複合体の形成は、少なくとも1つの非天然試薬と複合体を形成させることを含む。本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、レベルを検出する方法は、生物試料を加工することを含む。本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、少なくとも2つのマーカーのレベルを検出する方法は、マーカーのパネルを含む。本明細書に提供される診断およびモニタリング方法の特定の実施形態においては、レベルを検出する方法は、検出しようとするマーカーを固相表面に結合させることを含む。
本発明は、被験体における前立腺癌の積極的処置の施行を選択するか、または積極的処置の施行への反対を選択する方法であって、
(1)被験体が前立腺癌について積極的に処置されていない、前立腺癌を有する被験体から得られた第1の試料中の、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータからなる群より選択される1種以上のマーカーのレベルを検出すること;
(2)被験体から得られた第2の試料中の、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3からなる群より選択される1種以上のマーカーのレベルを検出すること;
(3)第1の試料中のフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3からなる群より選択される1種以上のマーカーのレベルと、第2の試料中のフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3からなる群より選択される1種以上のマーカーのレベルとを比較すること
を含み、前立腺癌の積極的処置の施行または積極的処置の施行への反対を選択することは、第1の試料と第2の試料との間の1種以上のマーカーの発現のレベルの変化の存在または非存在に基づくものである、前記方法を提供する。
特定の実施形態においては、前記方法は、被験体から得られる第3の試料を取得すること、第3の試料中のフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3からなる群より選択される1種以上のマーカーのレベルを検出すること、ならびに第3の試料中のフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3からなる群より選択される1種以上のマーカーのレベルと、第1の試料中の1種以上のマーカーまたは第2の試料中の1種以上のマーカーのレベルとを比較することをさらに含む。
特定の実施形態においては、第1の試料中のフィラミンB、LY9、ケラチン4、およびケラチン19の1種以上のレベルと比較した、第2の試料中のフィラミンB、LY9、ケラチン4、およびケラチン19の1種以上のレベルの増加は、療法が前立腺癌の処置において有効ではないことを示す。
特定の実施形態においては、第1の試料中のフィラミンB、LY9、ケラチン4、およびケラチン19の1種以上のレベルと比較した、第2の試料中のフィラミンB、LY9、ケラチン4、およびケラチン19の1種以上のレベルの増加は、前立腺癌のための積極的処置を選択することを示す。
特定の実施形態においては、前記方法は、第1の試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される1種以上のマーカーのレベルまたは第2の試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される1種以上のマーカーのレベルと、対照試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19の1種以上のレベルとを比較することをさらに含む。特定の実施形態においては、前記方法は、第1の試料中のケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリン-ベータ3の1種以上のレベルを検出すること;第2の試料中のケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリン-ベータ3の1種以上のレベルを検出すること;ならびに第2の試料中のケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリン-ベータ3の1種以上のレベルと、第1の試料中のケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリン-ベータ3の1種以上のレベルとを比較することを含む。特定の実施形態においては、前記方法は、ケラチン7、ケラチン8、およびケラチン15;ケラチン7、15、および19;ならびにケラチン7またはケラチン15などのケラチンのサブセットの検出を含む。特定の実施形態においては、前記方法は、第1の試料中のケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3の1種以上のレベル;または第2の試料中のケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3の1種以上の発現のレベルと、対照試料中のケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3の1種以上のレベルとを比較することをさらに含む。
特定の実施形態においては、第1の試料と第2の試料との間のフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3からなる群より選択される1種以上のマーカーの発現のレベルの変化がないことは、前立腺癌のための積極的な処置への反対を選択することを示す。
特定の実施形態においては、前記方法は、第1の試料および第2の試料中の前立腺特異的抗原(PSA)のレベルを検出することをさらに含み、次いで、好ましくは、第1の試料中のPSAのレベルと、第2の試料中のPSAのレベルとを比較することをさらに含む。
特定の実施形態においては、第1の試料中のPSAのレベルと比較した第2の試料中のPSAのレベルの低下と組合わせた、第1の試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19の1種以上のレベルと比較した第2の試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19の1種以上のレベルの低下は、療法が単一のマーカー単独の分析よりも、被験体における前立腺癌を処置するのに有効であることのより高い予測値を有する。
特定の実施形態においては、特定の実施形態においては、第1の試料中のPSAのレベルと比較した第2の試料中のPSAの発現のレベルの低下と組合わせた、第1の試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19の1種以上のレベルと比較した第2の試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19の1種以上のレベルの低下は、単一のマーカー単独の分析よりも、前立腺癌のための積極的処置への反対を選択するためのより高い予測値を有する。
臨床試験のモニタリング
本発明のマーカーの発現のレベルに対する薬剤(例えば、薬物化合物)の影響のモニタリングを、単一の被験体の処置の基礎的薬物スクリーニングまたはモニタリングだけでなく、臨床試験においても適用することができる。例えば、マーカー発現に影響する薬剤の有効性を、腫瘍性障害のための処置を受けている被験体の臨床試験においてモニタリングすることができる。好ましい実施形態においては、本発明は、薬剤(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、ペプチド模倣物質、タンパク質、ペプチド、核酸、低分子、または他の薬物候補)を用いる被験体の処置の有効性をモニタリングするための方法であって、(i)薬剤の投与の前に被験体から投与前試料を取得するステップ;(ii)投与前試料中の本発明の1種以上の選択されたマーカー(例えば、場合によりPSAと組合わせた、フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3)の発現のレベルを検出するステップ;(iii)被験体から1種以上の投与後試料を取得するステップ;(iv)投与後試料中のマーカーの発現のレベルを検出するステップ;(v)投与前試料中のマーカーの発現のレベルと、投与後試料中のマーカーの発現のレベルとを比較するステップ;ならびに(vi)それに応じて被験体への薬剤の投与を変化させるステップを含む、前記方法を提供する。例えば、処置の経過中のマーカー遺伝子の発現の増加は、用量が無効であること、および用量を増加させることが望ましいことを示してもよい。逆に、マーカー遺伝子の発現の低下は、処置が有効であること、および用量を変化させる必要がないことを示してもよい。
キット
本発明はまた、疾患もしくは障害、障害の再発、または障害(例えば、異常な前立腺状態、BPH、腫瘍障害、例えば、前立腺癌)について処置される被験体の生存を診断、予後診断、またはモニタリングするための組成物およびキットも提供する。これらのキットは、1つ以上の以下のもの:本発明のマーカーに特異的に結合する検出抗体、本発明のマーカーに特異的に結合する検出抗体、染色のための被験体組織試料を取得および/または調製するための試薬、ならびに使用のための説明書を含む。
本発明はまた、生物試料中のマーカータンパク質または核酸の存在を検出するためのキットも包含する。そのようなキットを用いて、被験体が異常な前立腺状態に罹患しているか、またはそれを発症する危険性が高いかどうかを決定することができる。例えば、キットは、生物試料中のマーカータンパク質または核酸を検出することができる標識された化合物または薬剤と、試料中のタンパク質またはmRNAの量を決定するための手段(例えば、タンパク質もしくはその断片に結合する抗体、またはタンパク質をコードするDNAもしくはmRNAに結合するオリゴヌクレオチドプローブ)とを含んでもよい。キットはまた、本明細書に提供される方法のいずれかを実施するため、または本明細書に提供される教示に基づいてキットを用いて得られた結果を解釈するための、キットの使用のための説明書を含んでもよい。キットはまた、試料中に存在するマーカーの量の正規化のための、異常な前立腺状態と関連しない試料中の対照タンパク質、例えば、組織試料のためのアクチン、血液もしくは血液由来試料中のアルブミンの検出のための試薬を含んでもよい。キットはまた、対照としての使用のための検出のため、またはキットを用いて行われたアッセイの定量のための精製されたマーカーを含んでもよい。
キットは、被験体における前立腺癌を診断するため(または前立腺癌を発症する素因を有する被験体を同定するためなど)の方法における使用のための試薬のパネルを含み、そのパネルは、少なくとも2つの検出試薬を含み、それぞれの検出試薬は、1つの前立腺癌特異的タンパク質に特異的であり、前記前立腺癌特異的タンパク質は、本明細書に提供される前立腺癌特異的タンパク質から選択される。
抗体に基づくキットについては、キットは、例えば、(1)第1のマーカータンパク質に結合する第1の抗体(例えば、固相支持体に結合した);および場合により、(2)第1のマーカータンパク質または第1の抗体のいずれかに結合し、検出可能な標識にコンジュゲートされた第2の異なる抗体を含んでもよい。特定の実施形態においては、キットは、(1)第2のマーカータンパク質に結合する第2の抗体(例えば、固相支持体に結合した);および場合により、(2)第2のマーカータンパク質または第2の抗体のいずれかに結合し、検出可能な標識にコンジュゲートされた第2の異なる抗体を含む。第1および第2のマーカータンパク質は、異なる。ある実施形態においては、第1および第2のマーカーは、本発明のマーカー、例えば、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB、LY9、およびPSAである。特定の実施形態においては、キットは、第1および第2のマーカータンパク質とは異なる第3のマーカータンパク質に結合する第3の抗体と、第3のマーカータンパク質または第1および第2のマーカータンパク質とは異なる第3のマーカータンパク質に結合する抗体のいずれかに結合する第2の異なる抗体とを含む。
オリゴヌクレオチドに基づくキットについては、キットは、例えば、(1)マーカータンパク質をコードする核酸配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、例えば、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドまたは(2)マーカー核酸分子を増幅するのに有用な一対のプライマーを含んでもよい。特定の実施形態においては、キットは、例えば、(1)第2のマーカータンパク質をコードする核酸配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、例えば、第2の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドまたは(2)第2のマーカー核酸分子を増幅するのに有用な一対のプライマーをさらに含んでもよい。第1および第2のマーカーは、異なる。ある実施形態においては、第1および第2のマーカーは、本発明のマーカー、例えば、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB、LY9、およびPSAである。特定の実施形態においては、第1のマーカーも第2のマーカーもPSAではない。特定の実施形態においては、キットは、例えば、(1)第3のマーカータンパク質をコードする核酸配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、例えば、第3の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドまたは(2)第1および第2のマーカーと異なる第3のマーカー核酸分子を増幅するのに有用な一対のプライマーをさらに含んでもよい。特定の実施形態においては、キットは、定量的PCR方法を用いる検出を可能にするそれぞれの核酸マーカーに特異的な第3のプライマーを含む。
クロマトグラフィー方法について、キットは、クロマトグラフィーによる、本発明の1種以上のマーカー、例えば、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB、LY9、および場合によりPSAの検出および同定を可能にする、標識されたマーカーなどのマーカーを含んでもよい。特定の実施形態においては、クロマトグラフィー方法のためのキットは、本発明の1種以上のマーカーの誘導体化のための化合物を含む。特定の実施形態においては、クロマトグラフィー方法のためのキットは、方法のマーカーを分解するためのカラムを含む。
本発明のマーカー、例えば、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB、LY9、およびPSAの検出にとって特異的な試薬により、複雑な混合物、例えば、血清、組織試料中のマーカーの検出および定量が可能になる。特定の実施形態においては、試薬は、種特異的である。特定の実施形態においては、試薬は、種特異的ではない。特定の実施形態においては、試薬は、アイソフォーム特異的である。特定の実施形態においては、試薬は、アイソフォーム特異的ではない。特定の実施形態においては、試薬は、全ケラチン8、ケラチン18、フィラミンB、PSA、またはLY9を検出する。
特定の実施形態においては、前立腺癌を診断、モニタリング、または特性評価するためのキットは、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3、フィラミンB、およびLY9からなる群より選択される少なくとも1種のマーカーの発現のレベルの検出にとって特異的な少なくとも1つの試薬を含む。特定の実施形態においては、キットは、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3、フィラミンB、およびLY9からなる群より選択される少なくとも1種のマーカーの発現のレベルに基づく前立腺癌の診断、モニタリング、または特性評価のための説明書をさらに含む。特定の実施形態においては、キットは、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3、フィラミンB、およびLY9からなる群より選択される少なくとも1種のマーカーが検出される試料中のPSAのレベルを検出するための説明書をさらに含む。特定の実施形態においては、キットは、PSAの特異的検出のための少なくとも1つの試薬をさらに含む。
本発明は、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3、フィラミンB、およびLY9からなる群より選択される少なくとも1種のマーカーの発現のレベルの検出にとって特異的な少なくとも1つの試薬と、PSAの発現のレベルの検出にとって特異的な少なくとも1つの試薬とを含むキットを提供する。
特定の実施形態においては、キットは、例えば、緩衝剤、保存剤、タンパク質安定化剤、反応バッファーを含んでもよい。キットは、検出可能な標識(例えば、酵素または基質)を検出するのに必要な成分をさらに含んでもよい。キットはまた、アッセイし、試験試料と比較することができる対照試料または一連の対照試料を含有してもよい。対照は、必要に応じて、既知のレベルの標的マーカーを含む、精製されたタンパク質または核酸の対照血清または対照試料であってもよい。キットの各成分を、個々の容器内に封入してもよく、全ての様々な容器が、キットを用いて行われるアッセイの結果を解釈するための説明書と共に、単一のパッケージ内にあってもよい。
本発明のキットは、場合により、本発明の方法を実施するのに有用な追加の成分を含んでもよい。
パネル
本発明は、被験体試料中の1種以上の前立腺関連マーカーの検出のための試薬と、少なくとも1種の対照試薬とのパネルを提供する。特定の実施形態においては、対照試薬は、パネルが陽性対照としての使用のためのマーカーを含有する対照試料と共に提供される生物試料中での検出のためのマーカーを検出するためのもの、および場合により、生物試料中に存在するマーカーの量を定量するためのものである。特定の実施形態においては、パネルは、それぞれ、陽性または陰性対照を提供する、生物試料中の存在するか、または存在しないことが知られる異常な前立腺状態と関連しないマーカーのための検出試薬を含む。パネルを、異常な前立腺状態と関連しない試料中の対照タンパク質、例えば、組織試料のためのアクチン、試料中に存在するマーカーの量の正規化のための血液または血液由来試料中のアルブミンの検出のための試薬と共に提供することができる。パネルを、対照としての使用のための検出のため、またはパネルを用いて行われるアッセイの定量のための精製されたマーカーと共に提供することができる。
好ましい実施形態においては、パネルは、好ましくは対照試薬と共に、2種以上の本発明のマーカー(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9種)の検出のための試薬を含む。パネルにおいて、それぞれのマーカーは、そのマーカーに特異的な試薬によって検出される。特定の実施形態においては、パネルは、PSAの検出のための試薬をさらに含む。特定の実施形態においては、パネルは、生物試料および対照試料の様々な希釈液(例えば、連続希釈液)の分析を可能にするための複数のウェル、スポット、または部分を含む。好ましい実施形態においては、パネルは、1種以上の本発明のマーカーの定量的検出を可能にする。
特定の実施形態においては、パネルは、1種以上のマーカーの検出のためのタンパク質チップである。特定の実施形態においては、パネルは、1種以上のマーカーの検出のためのELISAプレートである。特定の実施形態においては、パネルは、1種以上のマーカーの検出のための定量的PCRのためのプレートである。
特定の実施形態においては、検出試薬のパネルは、1種以上の本発明のマーカーのための検出試薬と、少なくとも1つの対照試料とを含む単一のデバイス上に提供される。特定の実施形態においては、検出試薬のパネルは、2種以上の本発明のマーカーのための検出試薬と、少なくとも1つの対照試料とを含む単一のデバイス上に提供される。特定の実施形態においては、本発明の異なるマーカーの検出のための複数のパネルは、パネル間の結果の比較を容易にするための少なくとも1つの均一な対照試料と共に提供される。
スクリーニングアッセイ
本発明はまた、場合により、PSAと組合わせた、本発明のマーカー、すなわち、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB、またはLY9の発現および/または活性を調節することにより、疾患を有する細胞の状態を調節する、モジュレータ、すなわち、候補または試験化合物または薬剤(例えば、タンパク質、ペプチド、ペプチド模倣物質、ペプトイド、低分子または他の薬物)を同定するための方法(本明細書では「スクリーニングアッセイ」とも呼ばれる)を提供する。そのようなアッセイは、典型的には、本発明のマーカーと、1つ以上のアッセイ成分との反応を含む。他の成分は、試験化合物自体、または試験化合物と、本発明のマーカーの天然の結合パートナーとの組合せのいずれかであってもよい。本明細書に記載のものなどのアッセイにより同定された化合物は、例えば、疾患を調節する、例えば、阻害する、改善する、処置する、または防止するのに有用であってもよい。場合によりPSAと組合わせて、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB、またはLY9の1つ以上の発現レベルを調節するために同定される化合物は、好ましくは、癌、好ましくは、前立腺癌の処置において有用な活性、例えば、腫瘍細胞増殖の阻害、腫瘍血管形成の阻害、腫瘍細胞のアポトーシスの誘導についてさらに試験される。
本発明のスクリーニングアッセイにおいて用いられる試験化合物を、天然および/または合成化合物の体系的ライブラリーを含む、任意の利用可能な供給源から取得することができる。また、試験化合物を、生物ライブラリー;ペプトイドライブラリー(ペプチドの機能を有するが、酵素的分解に対して抵抗性であるが、それにも拘らず生物活性を保持する新規非ペプチド骨格を有する分子のライブラリー;例えば、Zuckermannら、1994, J.Med.Chem.37:2768-85を参照されたい);空間的に接近可能な平行固相または液相ライブラリー;解析を要する合成ライブラリー法;「1ビーズ1化合物」ライブラリー法;およびアフィニティクロマトグラフィー選択を用いる合成ライブラリー法などの当業界で公知のコンビナトリアルライブラリー法におけるいくつかの手法のいずれかにより取得することもできる。生物ライブラリーおよびペプトイドライブラリー手法はペプチドライブラリーに限定されるが、他の4つの手法はペプチド、非ペプチドオリゴマーまたは低分子化合物ライブラリー(Lam、1997、Anticancer Drug Des. 12:145)に適用可能である。
分子ライブラリーの合成のための方法の例を、当業界に、例えば、DeWittら(1993) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90:6909; Erbら(1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:11422; Zuckermannら(1994). J. Med. Chem. 37:2678; Choら(1993) Science 261:1303; Carrellら(1994) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2059; Carellら(1994) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2061; およびGallopら(1994) J. Med. Chem. 37:1233に見出すことができる。
化合物のライブラリーを、溶液中(例えば、Houghten, 1992, Biotechniques 13:412-421)、またはビーズ(Lam, 1991, Nature 354:82-84)、チップ(Fodor, 1993, Nature 364:555-556)、細菌および/または胞子(Ladner, USP 5,223,409)、プラスミド上(Cullら、1992, Proc Natl Acad Sci USA 89:1865-1869)またはファージ上(ScottおよびSmith, 1990, Science 249:386-390; Devlin, 1990, Science 249:404-406; Cwirlaら、1990, Proc. Natl. Acad. Sci. 87:6378-6382; Felici, 1991, J. Mol. Biol. 222:301-310; Ladner、上掲)で提供することができる。
本発明のスクリーニング方法は、細胞、例えば、疾患を有する細胞、特に、前立腺癌細胞と、試験化合物とを接触させること、および試験化合物が、その細胞中で、場合によりPSAと組合わせて、フィラミンB、LY9、またはケラチン19の発現および/または活性を調節する能力を決定することを含む。場合によりPSAと組合わせた、フィラミンB、LY9、またはケラチン19の発現および/または活性を、本明細書に記載のものなどの、当業界で公知の任意の方法を用いて決定することができる。
別の実施形態においては、本発明は、本発明のマーカーまたはその生物学的に活性な部分の基質である候補または試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。さらに別の実施形態においては、本発明は、本発明のマーカーまたはその生物学的に活性な部分に結合する候補または試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。試験化合物がマーカーに直接結合する能力の決定を、例えば、当業界で公知の任意の方法により達成することができる。
本発明はさらに、上記スクリーニングアッセイにより同定される新規薬剤に関する。従って、適切な動物モデルにおいて本明細書に記載のように同定される薬剤をさらに使用することは、本発明の範囲内にある。例えば、本明細書に記載のように同定される本発明のマーカーの発現および/または活性を調節することができる薬剤を動物モデルにおいて用いて、そのような薬剤を用いる処置の有効性、毒性、または副作用を決定することができる。あるいは、本明細書に記載のように同定される薬剤を動物モデルにおいて用いて、そのような薬剤の作用機序を決定することができる。さらに、本発明は、上記処置のための上記スクリーニングアッセイにより同定される新規薬剤の使用に関する。
以下、本発明の実施形態を示す。
(1)被験体における異常な前立腺状態を診断するための方法であって、
(1)被験体に由来する生物試料中のフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルを決定すること;ならびに
(2)生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルと、正常対照試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルとを比較すること
を含み、正常対照試料と比較した生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの変化が、被験体における異常な前立腺状態を示す、前記方法。
(2)1種以上の前立腺癌関連マーカーが、フィラミンB、LY9およびケラチン19からなる群より選択される、(1)に記載の方法。
(3)正常対照試料と比較した生物試料中のフィラミンB、LY9およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの増加が、被験体における異常な前立腺状態を示す、(1)または(2)に記載の方法。
(4)正常対照試料と比較した生物試料中のフィラミンB、LY9およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのそれぞれの検出されたレベルの増加がないことが、被験体における正常な前立腺状態を示す、(1)または(2)に記載の方法。
(5)生物試料中の前立腺特異的抗原(PSA)のレベルを検出することをさらに含む、(1)〜(4)のいずれか1に記載の方法。
(6)生物試料中のPSAのレベルと、正常対照試料中のPSAのレベルとを比較することをさらに含む、(5)に記載の方法。
(7)正常対照試料と比較した生物試料中のフィラミンB、LY9およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの増加が、正常対照試料中のPSAのレベルと比較した生物試料中のPSAのレベルの増加と組合わせた場合、被験体における異常な前立腺状態を示す、(6)に記載の方法。
(8)正常対照試料と比較した生物試料中のフィラミンB、LY9およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのそれぞれの発現の検出レベルの増加がないことが、正常対照試料中のPSAのレベルと比較した生物試料中のPSAのレベルの低下または正常レベルと組合わせた場合、被験体における正常な前立腺状態を示す、(7)に記載の方法。
(9)フィラミンB、LY9およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌マーカーが、フィラミンB;LY9;ケラチン19;フィラミンBとLY9;フィラミンBとケラチン19;LY9とケラチン19;またはフィラミンB、LY9、およびケラチン19である、(2)〜(8)のいずれか1に記載の方法。
(10)異常な前立腺状態が前立腺癌である、(1)〜(3)、(5)〜(7)、および(9)のいずれか1に記載の方法。
(11)前立腺癌がアンドロゲン依存的前立腺癌である、(10)に記載の方法。
(12)前立腺癌がアンドロゲン非依存的前立腺癌である、(10)に記載の方法。
(13)前立腺癌が侵攻性前立腺癌である、(10)に記載の方法。
(14)前立腺癌が非侵攻性前立腺癌である、(10)に記載の方法。
(15)異常な前立腺状態が良性前立腺過形成である、(1)〜(3)、(5)〜(7)、および(9)のいずれか1項に記載の方法。
(16)前立腺癌を発症する危険性が高い被験体を同定するための方法であって、
(1)被験体に由来する生物試料中のフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルを決定すること;ならびに
(2)生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルと、正常対照試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルとを比較すること
を含み、正常対照試料と比較した生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの変化が、被験体において前立腺癌を発症する危険性が高いことを示す、前記方法。
(17)1種以上の前立腺癌関連マーカーが、フィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される、(16)に記載の方法。
(18)正常対照試料と比較した生物試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの増加が、被験体において前立腺癌を発症する危険性が高いことを示す、(16)または(17)に記載の方法。
(19)正常対照試料と比較した生物試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのそれぞれの検出レベルの増加がないことが、被験体において前立腺癌を発症する危険性が高くないことを示す、(16)または(17)に記載の方法。
(20)生物試料中の前立腺特異的抗原(PSA)のレベルを検出することをさらに含む、(16)〜(19)のいずれか1に記載の方法。
(21)生物試料中のPSAのレベルと、正常対照試料中のPSAのレベルとを比較することをさらに含む、(20)に記載の方法。
(22)正常対照試料と比較した生物試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの増加が、正常対照試料中のPSAのレベルと比較した生物試料中のPSAのレベルの増加と組合わせた場合、被験体において前立腺癌を発症する危険性が高いことを示す、(21)に記載の方法。
(23)正常対照試料と比較した生物試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのそれぞれの発現の検出レベルの増加がないことが、正常対照試料中のPSAのレベルと比較した生物試料中のPSAのレベルの低下または正常レベルと組合わせた場合、被験体において前立腺癌を発症する危険性が高くないことを示す、(21)に記載の方法。
(24)フィラミンB、LY9およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーが、フィラミンB;LY9;ケラチン19;フィラミンBとLY9;フィラミンBとケラチン19;LY9とケラチン19;またはフィラミンB、LY9、およびケラチン19である、(17)〜(23)のいずれか1に記載の方法。
(25)1種以上の前立腺癌関連マーカーが、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される、(1)または(16)に記載の方法。
(26)1種以上の前立腺癌関連マーカーが、ケラチン7、ケラチン8、およびケラチン15からなる群より選択される、(1)または(16)に記載の方法。
(27)1種以上の前立腺癌関連マーカーが、ケラチン7およびケラチン15からなる群より選択される、(1)または(16)に記載の方法。
(28)生物試料中の前立腺特異的抗原(PSA)のレベルを検出することをさらに含む、(25)〜(27)のいずれか1に記載の方法。
(29)生物試料中のPSAのレベルと、正常対照試料中のPSAのレベルとを比較することをさらに含む、(28)に記載の方法。
(30)生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルと、生物試料よりも早い時点で同じ被験体から得られた試料、良性前立腺過形成(BPH)を有する被験体に由来する試料、非転移性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、転移性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、アンドロゲン感受性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、アンドロゲン非感受性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、侵攻性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、および非侵攻性前立腺癌を有する被験体に由来する試料からなる群より選択される対照試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルとを比較することをさらに含む、(1)〜(29)のいずれか1に記載の方法。
(31)正常な前立腺と前立腺癌、良性前立腺過形成と前立腺癌、良性前立腺過形成と正常前立腺、アンドロゲン依存的前立腺癌とアンドロゲン非依存的前立腺癌、侵攻性前立腺癌と非侵攻性前立腺癌、および転移性前立腺癌と非転移性前立腺癌からなる群より選択される2つの前立腺癌状態の間を区別することをさらに含む、(1)〜(15)のいずれか1に記載の方法。
(32)正常な前立腺、前立腺癌、良性前立腺過形成、アンドロゲン依存的前立腺癌、アンドロゲン非依存的前立腺癌、侵攻性前立腺癌、非侵攻性前立腺癌、転移性前立腺癌、および非転移性前立腺癌のいずれか2つ以上の間を区別することをさらに含む、(1)〜(3)、(5)〜(7)、および(9)〜(15)のいずれか1に記載の方法。
(33)被験体における前立腺腫瘍のサイズを検出することをさらに含む、(1)〜(15)のいずれか1に記載の方法。
(34)被験体から試料を取得することをさらに含む、(1)〜(33)のいずれか1に記載の方法。
(35)前記方法が、前立腺癌を有するか、または前立腺癌を有すると疑われる被験体を選択することをさらに含む、(1)〜(15)のいずれか1に記載の方法。
(36)前記方法が、1種以上の前立腺癌マーカーのレベルに基づいて被験体のための処置レジメンを選択することをさらに含む、(1)〜(3)、(5)〜(7)、および(9)〜(15)のいずれか1に記載の方法。
(37)前記方法が、外科手術、放射線、ホルモン療法、抗体療法、増殖因子療法、サイトカイン療法、および化学療法からなる群より選択される1種以上の処置を含む処置レジメンで被験体を処置することをさらに含む、(1)〜(3)、(5)〜(7)、および(9)〜(15)のいずれか1に記載の方法。
(38)被験体における前立腺癌をモニタリングする方法であって、
(1)前立腺癌を有する被験体から第1の時間に得られた第1の生物試料中のフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルを決定すること;
(2)第1の時間より後である第2の時間に被験体から得られた第2の生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーの発現のレベルを決定すること;ならびに
(3)第2の試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルと、第1の試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルとを比較すること
を含み、第1の試料と比較した第2の試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの変化が、被験体における前立腺癌状態の変化を示す、前記方法。
(39)被験体が第2の試料を取得する前に前立腺癌について積極的に処置されている、(38)に記載の方法。
(40)被験体が第2の試料を取得する前に前立腺癌について積極的に処置されていない、(38)に記載の方法。
(41)1種以上の前立腺癌関連マーカーが、フィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される、(38)〜(40)のいずれか1に記載の方法。
(42)第1の生物試料と比較した第2の生物試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの増加が、被験体における前立腺癌の進行を示す、(38)〜(41)のいずれか1に記載の方法。
(43)第1の生物試料と比較した第2の生物試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのそれぞれの発現の検出レベルの増加がないことが、被験体における前立腺癌の非進行を示す、(38)〜(41)のいずれか1に記載の方法。
(44)第1の生物試料および第2の生物試料中の前立腺特異的抗原(PSA)のレベルを決定することをさらに含む、(38)〜(41)のいずれか1に記載の方法。
(45)第2の生物試料中のPSAのレベルと、第1の生物試料中のPSAのレベルとを比較することをさらに含む、(44)に記載の方法。
(46)第1の生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルと比較した第2の生物試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルの増加が、第1の生物試料中のPSAのレベルと比較した第2の生物試料中のPSAのレベルの増加と組合わせた場合、被験体における前立腺癌の進行を示す、(45)に記載の方法。
(47)第1の生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルと比較した第2の生物試料中のフィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーのそれぞれの発現の検出レベルの増加がないことが、第1の生物試料中のPSAのレベルと比較した第2の生物試料中のPSAのレベルの低下または同じレベルと組合わせた場合、被験体における前立腺癌の非進行を示す、(45)に記載の方法。
(48)フィラミンB、LY9およびケラチン19からなる群より選択される1種以上の前立腺癌関連マーカーが、フィラミンB;LY9;ケラチン19;フィラミンBとLY9;フィラミンBとケラチン19;LY9とケラチン19;またはフィラミンB、LY9、およびケラチン19である、(38)〜(47)のいずれか1に記載の方法。
(49)1種以上の前立腺癌マーカーが、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される、(38)〜(40)のいずれか1に記載の方法。
(50)1種以上の前立腺癌関連マーカーが、ケラチン7、ケラチン8、およびケラチン15からなる群より選択される、(38)〜(40)のいずれか1に記載の方法。
(51)1種以上の前立腺癌関連マーカーが、ケラチン7およびケラチン15からなる群より選択される、(38)〜(40)のいずれか1に記載の方法。
(52)第1の生物試料および第2の生物試料中の前立腺特異的抗原(PSA)のレベルを決定することをさらに含む、(49)〜(51)のいずれか1に記載の方法。
(53)第2の生物試料中のPSAのレベルと、第1の生物試料中のPSAのレベルとを比較することをさらに含む、(52)に記載の方法。
(54)第1の生物試料または第2の生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルと、正常対照試料、良性前立腺過形成(BPH)を有する被験体に由来する試料、非転移性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、転移性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、アンドロゲン感受性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、アンドロゲン非感受性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、侵攻性前立腺癌を有する被験体に由来する試料、および非侵攻性前立腺癌を有する被験体に由来する試料からなる群より選択される対照試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルとを比較することをさらに含む、(38)〜(53)のいずれか1に記載の方法。
(55)被験体における前立腺癌のサイズを検出することをさらに含む、(38)〜(54)のいずれか1に記載の方法。
(56)被験体から第1の試料および第2の試料を取得することをさらに含む、(38)〜(54)のいずれか1に記載の方法。
(57)前記方法が、被験体における前立腺癌の進行に基づいて被験体のための異なる処置レジメンを選択することおよび/または施すことをさらに含む、(42)に記載の方法。
(58)前記方法が、被験体における前立腺癌の非進行に基づいて被験体のための処置レジメンを維持することをさらに含む、(43)に記載の方法。
(59)処置レジメンが、外科手術、放射線、ホルモン療法、抗体療法、増殖因子療法、サイトカイン療法、および化学療法からなる群より選択される1種以上の処置を含む、(57)または(58)に記載の方法。
(60)前記方法が、被験体における前立腺癌の非進行に基づいて被験体における前立腺癌の積極的処置を保留することをさらに含む、(43)に記載の方法。
(61)積極的処置が、外科手術、放射線、ホルモン療法、抗体療法、増殖因子療法、サイトカイン療法、および化学療法からなる群より選択される1種以上の処置を含む、(60)に記載の方法。
(62)前立腺癌関連マーカーのセットを検出するための方法であって、
(1)フィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3を含む前立腺癌関連マーカーのセットの2種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルについて被験体から得られた生物試料を分析すること;
(2)生物試料中の2種以上の前立腺特異的マーカーのそれぞれを検出することによって、前立腺癌関連バイオマーカーのセットを検出すること
を含む、前記方法。
(63)前立腺癌関連マーカーのセットが、フィラミンB、LY9およびケラチン19を含む、(62)に記載の方法。
(64)前立腺癌関連マーカーのセットの2種以上の前立腺癌関連マーカーは、フィラミンBとLY9;フィラミンBとケラチン19;LY9とケラチン19;またはフィラミンB、LY9、およびケラチン19である、(63)に記載の方法。
(65)前立腺癌関連マーカーのセットが、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18およびチューブリンベータ-3を含む、(62)に記載の方法。
(66)前立腺癌関連マーカーのセットが、ケラチン7、ケラチン8、およびケラチン15を含む、(62)に記載の方法。
(67)前立腺癌関連マーカーのセットが、ケラチン7およびケラチン15を含む、(62)に記載の方法。
(68)生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルを検出することまたは決定することが、生物試料中の成分を単離することを含む、(1)〜(67)のいずれか1に記載の方法。
(69)生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルを検出することまたは決定することが、生物試料中の成分を標識することを含む、(1)〜(67)のいずれか1に記載の方法。
(70)生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルを検出することまたは決定することが、生物試料を加工することを含む、(1)〜(67)のいずれか1に記載の方法。
(71)生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルを検出することまたは決定することが、検出しようとする前立腺癌関連マーカーと、前立腺癌関連マーカー結合剤とを接触させることを含む、(1)〜(67)のいずれか1に記載の方法。
(72)生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルを検出することまたは決定することが、検出しようとする前立腺癌関連マーカーと、前立腺癌関連マーカー結合剤との間で複合体を形成させることを含む、(1)〜(67)のいずれか1に記載の方法。
(73)生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルを検出することまたは決定することが、1種以上の前立腺癌関連マーカーのそれぞれと、前立腺癌関連マーカー結合剤とを接触させることを含む、(1)〜(67)のいずれか1に記載の方法。
(74)生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルを検出することまたは決定することが、1種以上の前立腺癌関連マーカーのそれぞれと、前立腺癌関連マーカー結合剤との間で複合体を形成させることを含む、(1)〜(67)のいずれか1に記載の方法。
(75)生物試料中の1種以上の前立腺癌関連マーカーのレベルを検出することまたは決定することが、検出しようとする前立腺癌関連マーカーを固相表面に結合させることを含む、(1)〜(67)のいずれか1に記載の方法。
(76)検出方法における使用のための試薬のパネルであって、パネルが少なくとも2つの検出試薬を含み、それぞれの検出試薬が前立腺癌関連マーカーのセットの少なくとも1種の前立腺癌関連マーカーの検出にとって特異的であり、前立腺癌特異的マーカーのセットがフィラミンB、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3およびPSAからなる群より選択される2種以上の前立腺癌関連マーカーを含む、前記パネル。
(77)前立腺癌特異的マーカーのセットが、フィラミンB、LY9、およびケラチン19からなる群より選択される2種以上の前立腺癌関連マーカーを含む、(76)に記載のパネル。
(78)2種以上の前立腺癌関連マーカーが、フィラミンBとLY9;フィラミンBとケラチン19;LY9とケラチン19;またはフィラミンB、LY9およびケラチン19である、(77)に記載のパネル。
(79)前立腺癌特異的マーカーのセットが、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、およびチューブリンベータ-3からなる群より選択される2種以上の前立腺癌関連マーカーを含む、(76)に記載のパネル。
(80)前立腺癌特異的マーカーのセットが、ケラチン7、ケラチン8、およびケラチン15からなる群より選択される2種以上の前立腺癌関連マーカーを含む、(76)に記載のパネル。
(81)前立腺癌特異的マーカーのセットが、ケラチン7およびケラチン15を含む、(76)に記載のパネル。
(82)前立腺癌特異的マーカーのセットが、PSAをさらに含む、(77)〜(81)のいずれか1に記載のパネル。
(83)試薬のパネルが、PSAの検出にとって特異的な検出試薬を含む、(82)に記載のパネル。
(84)(1)〜(75)のいずれか1に記載の方法における、(76)〜(83)のいずれか1に記載のパネルの使用。
(85)異常な前立腺状態の診断、モニタリング、または特性評価のためのキットであって、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3、フィラミンB、およびLY9からなる群より選択される少なくとも1種の前立腺癌関連マーカーのレベルの検出にとって特異的な少なくとも1つの試薬を含む、前記キット。
(86)キットが、検出されたケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3、フィラミンB、およびLY9からなる群より選択される少なくとも1種の前立腺癌関連マーカーのレベルに基づく異常な前立腺状態の診断、モニタリング、または特性評価のための説明書をさらに含む、(85)に記載のキット。
(87)キットが、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3、フィラミンB、およびLY9からなる群より選択される少なくとも1種の前立腺癌関連マーカーが検出される試料中のPSAのレベルを検出するための説明書をさらに含む、(85)または(86)に記載のキット。
(88)PSAのレベルの検出にとって特異的な少なくとも1つの試薬をさらに含む、(85)〜(87)のいずれか1に記載のキット。
(89)ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3、フィラミンB、およびLY9からなる群より選択される少なくとも1種の前立腺癌関連マーカーのレベルの検出にとって特異的な少なくとも1つの試薬と、PSAのレベルの検出にとって特異的な少なくとも1つの試薬とを含むキット。
本発明は、限定と解釈されるべきではない以下の実施例によってさらに例示される。本出願を通して引用される全ての参考文献ならびに公開された特許および特許出願の内容は、参照により本明細書に組込まれるものとする。
(実施例)
本発明は、限定と解釈されるべきではない以下の実施例によってさらに例示される。本出願を通して引用される全ての参考文献、GenBank受託番号および遺伝子番号ならびに公開された特許および特許出願の内容は、参照により本明細書に組込まれるものとする。
前立腺癌マーカーとしてのケラチンおよびチューブリンの同定
細胞外ケラチンは、上皮由来前立腺癌の細胞増殖および転移に影響することが知られている。アンドロゲン不応性前立腺癌は、正常組織と比較した場合、ケラチン8(K8)の示差的発現を示す。同様に、ケラチンの調節および分解は、活性酸素種(ROS)のミトコンドリアでの生成により媒介される。これらの進歩にも拘らず、前立腺癌の転移および増殖におけるケラチンおよび他のECタンパク質の理解に対する体系的アプローチは不足している。WO2012119129(参照により本明細書に組込まれる)に開示され、図1に図示される疑問システム生物学に基づく探索プラットフォームは、前立腺癌細胞の挙動におけるミトコンドリアの役割の理解における新しい機構的洞察を提供する。この探索プラットフォームは、in vitroのヒト細胞に基づくモデルおよび前立腺癌患者に由来するヒト血清試料を含むシステムの階層にわたる探索ならびに人工知能(AI)に基づく情報モジュールを用いる下流のデータ統合および数学的モデリングを含む。細胞モデルについては、アンドロゲン感受性LnCAP細胞系および転移性アンドロゲン不応性PC3細胞系を、ユビデカレノン(コエンザイムQ10)で処理して、ミトコンドリア機構に従事させた。プロテオミック特徴を、2D LC-MS orbitrap技術を用いて捕捉した。全タンパク質特徴を、AIに基づく情報モジュールに入力して、原因タンパク質ネットワーク(図2)を生成した。ミトコンドリアのROS、ATPおよびキャスパーゼ3活性化を特異的に測定するウェットラボアッセイにより、これらのマーカーの細胞内レベルの変化を確認した。PC3細胞中でユビデカレノンによるミトコンドリア機構の誘導を支配するいくつかの新規タンパク質原因的相互作用を観察した。原因タンパク質マップは、PC3モデルにおいてはケラチン8および15の関係を示したが、LnCAPでは示さなかった。ケラチン8/15の関係は、ユビデカレノンを用いる処置の際に失われ、ケラチン7と15の直接的関係が確立された(図3)。これらの結果は、ケラチン7、8および15の間の相互作用の変化が、被験体の前立腺癌状態における処置に対する応答または前立腺癌状態の変化を証明するのに特に有用であることを示唆している。さらに、ケラチン8および15は、アンドロゲン不応性、転移性PC3細胞系およびアンドロゲン感受性LnCAP細胞系において示差的に関係した。これは、ケラチン8および15が前立腺癌状態間、例えば、アンドロゲン感受性と転移性、アンドロゲン不応性前立腺癌との間を区別するのに有用であることを示している。
前立腺癌と関連するケラチン19の発現の増加を、適切に一致させた対照集団と比較して、前立腺癌に罹患する被験体から得られた血清試料のパネルを用いて確認した。
かくして、前立腺癌の増殖および転移の調節におけるミトコンドリアの役割における新しい機構的洞察が、新しい化学系生物学手法を用いて得られた。
ここで提供される結果は、アンドロゲン不応性前立腺癌におけるケラチンの調節および潜在的な因果関係がプラットフォーム技術によって推測されることを示すものである。これは、プラットフォーム技術により解読された、ミトコンドリア機能の調節に応答するケラチン調節の潜在的機構を提供する。かくして、癌病態生理学の新規伝達機構が、患者血清試料中で検証された。
前立腺癌マーカーとしてのフィラミンBの同定
疑問システム生物学に基づく探索プラットフォームを用いて、前立腺癌細胞の挙動におけるミトコンドリアの役割の理解における機構的洞察を得た。WO2012119129に詳述されるこのプラットフォーム技術は、in vitroのヒト細胞に基づくモデルおよび前立腺癌患者に由来するヒト血清試料を含むシステムの階層にわたる探索ならびに人工知能(AI)に基づく情報モジュールを用いる下流のデータ統合および数学的モデリングを含む。
ここで提供される結果は、プラットフォーム技術を用いて推測された、アンドロゲン不応性前立腺癌におけるフィラミンBおよびLY9の調節、ならびに潜在的な因果関係を証明するものである。本出願は、プラットフォーム技術により解読された、ミトコンドリア機能の調節に応答するフィラミンBおよびLY9の調節の潜在的機構を提供し、患者血清試料中でのマーカーの検証を提供する。
プラットフォーム方法を用いて、ヒト前立腺癌細胞PC3(アンドロゲン非感受性、転移性)およびLnCap(アンドロゲン感受性)を、低酸素症、還元環境、および高血糖などの癌の微小環境中、ならびにコエンザイムQ10の存在下でモデリングした。正常細胞(ヒト真皮線維芽細胞(HDFa)およびSV40で形質転換されたヒト肝臓細胞(THLE2))を、上記と同様の条件下でモデリングした。細胞タンパク質および上清中に分泌されたタンパク質のプロテオミクスを、LCMSにより実行した。データをBayesian Network Inference(BNI)アルゴリズムREFS(商標)に入力した。
タンパク質間の因果関係を、BNIにより誘導した。示差的ネットワーク分析を用いて、正常な微小環境中の正常細胞と比較した場合の前立腺癌における活性の拠点を引き出した。フィラミンBは、PC3においては活性の示差的拠点であると同定されたが、LnCapおよび正常細胞においてはそうではなかった。すなわち、フィラミンBは、アンドロゲン感受性LnCAP細胞系と、転移性、アンドロゲン不応性PC3細胞系との間で異なることがわかった。これは、フィラミンBが前立腺癌状態間、例えば、アンドロゲン感受性前立腺癌と、アンドロゲン不応性前立腺癌との間を区別するのに有用であり得ることを示している。相互作用拠点の中心にフィラミンBを置く相互作用マトリックスを、図4に示す。LY9とフィラミンBとの相互作用を、図5に示す。
ヒト試料中での前立腺癌マーカーとしてのフィラミンBの検証
プラットフォーム技術を用いて前立腺癌マーカーとしてフィラミンBを同定したら、正常な被験体および前立腺癌を有する被験体から得られたヒト試料を用いて、前立腺癌マーカーとしてのフィラミンBを確認した。
具体的には、ヒト血清試料を、ヒト血清を供給する商業的販売会社から入手した。20の試料は正常なドナーに由来するものであり、20の試料は前立腺癌と診断された患者に由来するものであった。前立腺癌試料は、癌の様々な予後および侵攻性を有する患者に由来するものであった。被験体の臨床特性を、表に提供する。
フィラミンBおよびPSAのための商業的に入手可能なELISA試験を、商業的供給源から入手した。アッセイを、製造業者の説明書を用いて実施した。アッセイから得られた結果を、図6に示す。この結果は、前立腺癌を有さない対照被験体と比較した、前立腺癌の診断を有する患者におけるFlnBおよびPSAのレベルの差異を示す。
示されるように、フィラミンBとPSAレベルは両方とも、前立腺癌と診断された患者からの血清試料中で上昇した。血清試料中のPSA発現とFlnB発現との相関は0.20075であり、変数間の比較的低い相関を示している。これは、フィラミンBおよびPSAが異なる被験体において前立腺癌の検出にとって有用であることを示している。これらの結果は、フィラミンBが前立腺癌の診断にとって有用であり、フィラミンBがPSAによる前立腺癌の検出を改善するのに有用であることを示している。追加の試料を分析して、結果をさらに改良することができる。
LY9を用いる前立腺癌を有する被験体の層別化
実施例4において用いた同じヒト血清試料をさらに試験して、LY9の存在を検出した。LY9のための商業的に入手可能なELISA試験を、商業的供給源から入手した。アッセイを、製造業者の説明書を用いて実施した。アッセイから得られた結果を、図7に示す。この結果は、前立腺癌を有さない対照被験体と比較した、前立腺癌の診断を有する患者におけるLY9のレベルの差異を示す。示されるように、前立腺癌を有する被験体から得られた試料は、正常被験体と比較してより高レベルのLY9を有することがわかった。ヒト血清中のフィラミンBとLY9の両方の発現レベルのアッセイから得られた結果を、タンパク質のng/mlとして表した結果と共に、図8に示す。追加の試料を分析して、結果をさらに改良することができる。
フィラミンBレベルの分析はPSAのみと比較して前立腺癌の検出を改善する
フィラミンBのレベルが前立腺癌を有する被験体の血清中で増加することが証明されたら、その結果を同じ試料中のPSAレベルの試験と共に分析して、フィラミンBとPSAの一緒になった予測値が、いずれかのマーカー単独よりも良好であることを決定した。PSA、フィラミンB、およびPSAとフィラミンBとの組合せの感度および偽陽性率(FPR)の受信者操作特性(ROC)曲線分析を生成した。この曲線と曲線下面積(AUC)値を、図9AおよびBに示す。この分析の目的は、特異的カットオフとは無関係の試験の予測力を測定することである。ROC分析を用いた場合、正常状態と疾患状態との間の完全な識別または精度をもたらす試験はAUC=1を有するが、無作為な機会より良好でない識別をもたらす非常に弱い試験はAUC=0.5を有する。
この分析により示されるように、フィラミンBは単独で、非常に良好に機能し、最も重要なことに、PSAといくらか直交する。PSAは、非常に高い偽陽性率、例えば、約75%を有すると報告されている(参照により本明細書に組込まれる、Gilligan, The new data on prostate cancer screening: What should we do now? Cleveland Clin. J. Med. 76: 446-448, 2009に報告されている)。すなわち、それは高い感度および低い特異性を有する。提示された特異的試験において、FLNBのAUCは、PSAのAUCより低い。しかしながら、実施例3で決定された0.20075の相関レベルは、変数間の比較的低い相関を示す。すなわち、フィラミンBレベルが上昇していると同定された被験体は、必ずしも高いPSAレベルを有するわけではなく、その逆もまた真実であったが、これは、組合わせたマーカーが、いずれかのマーカー単独よりも予測試験を提供することができることを示唆している。
これは、ROC分析において確認された。示されるように、PSAとフィラミンBとの組合せは、PSA単独よりも試験の良好な識別を示すより高いAUCを有し、いずれかのマーカー単独よりも高い予測性を有することがわかった。PSAとフィラミンBとの組合せは、非常に良好であり、試験に関する主要な問題であるPSAの試験特異性の劇的な増加を提供する。
一緒になったフィラミンB、LY9、およびPSAレベルの分析はいずれかのマーカー単独と比較して前立腺癌の検出を改善する
それぞれのフィラミンB、LY9、およびPSAが前立腺癌を有する被験体から得られた血清試料中で全て上昇することを証明したら、線形スコアリング関数を用いて、3つのマーカーのそれぞれを個別に3つ全部のマーカーの組合せと比較し、非線形スコアリング関数を用いて、3つ全部のマーカーの組合せに対する、フィラミンBとLY9との組合せ、およびフィラミンBとPSAとの組合せを比較するROC曲線分析を実施して、マーカーの組合せが被験体における前立腺癌の検出のためのそれぞれ単一のマーカーよりも有効であることを決定した。示されるように、3つ全部のマーカーの組合せは、いずれかのマーカー単独よりも予測性が高かった(図10A)。LY9を含むか、または含まない、フィラミンBとPSAとの組合せは、フィラミンBとLY9との組合せよりも予測性が高かった(図10B)。追加の試料を分析して、結果をさらに改良することができる。AUCの結果を、表にまとめる。
ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3を用いる前立腺癌を有する被験体の層別化
それぞれ実施例3および4で示されたように、フィラミンBレベルとLY9レベルとを用いて、前立腺癌に罹患しているか、または罹患していない被験体を識別することができる。さらに、実施例6および7で示されたように、場合によりLY9とさらに組合わせた、フィラミンBとPSAの両方の分析は、いずれかのマーカー単独に基づく分析よりも高感度である。
一連の被験体試料を、適切な供給源、例えば、試料が、様々なステージの前立腺癌、例えば、侵攻性前立腺癌、アンドロゲン感受性、アンドロゲン非感受性、転移性を有する被験体から、または前立腺癌に罹患していない被験体、例えば、正常な前立腺を有する被験体もしくはBPHを有する被験体から得られた商業的供給源から取得する。この試料を、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3のうちの少なくとも1種、好ましくは、ケラチン7、ケラチン15、およびケラチン19のうちの少なくとも1種;場合によりさらにフィラミンB、LY9、およびPSAのうちの少なくとも1種の発現レベルについて分析する。単独の、および様々な組合せのマーカーの発現レベルは、疾患の存在または非存在、および前立腺癌の重症度と相関する。例えば、前立腺癌に罹患していない被験体から得られた正常試料と比較した、ケラチン19、フィラミンB、LY9、およびPSAのうちの1種以上の発現レベルの増加は、被験体における前立腺癌を示す。ケラチン7、8および15の発現レベルはまた、前立腺癌を有する被験体の層別化において特に有用であり得る。
ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3を用いる前立腺癌処置のモニタリング
前立腺癌を有するとの診断の時点で、被験体は試験に参加するよう招かれる。被験体試料、例えば、血液を取得する。定期的に、モニタリング、待機療法、または被験体の積極的処置、例えば、化学療法、放射線療法、外科手術、ホルモン療法を通じて、新しい被験体試料を取得する。試験の終わりに、全ての被験体試料を、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3のうちの少なくとも1種、好ましくは、ケラチン7、ケラチン15、およびケラチン19のうちの少なくとも1種;場合によりさらにフィラミンB、LY9、およびPSAのうちの少なくとも1種の発現レベルについて試験する。被験体試料を、被験体の医療記録と一致させて、マーカーレベルを、診断時の前立腺癌状態、疾患の進行速度、1つ以上の介入に対する被験体の応答、およびアンドロゲン依存的と非依存的状態の間の移行と相関させる。前立腺癌に罹患していない被験体から得られた正常試料と比較した、ケラチン19、フィラミンB、LY9、およびPSAのうちの1種以上の発現レベルの増加は、被験体における前立腺癌を示す。ケラチン7、8および15の発現レベルはまた、前立腺癌を有する被験体の診断およびモニタリングにおいて特に有用であり得る。
ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3を用いる前立腺癌の検出およびモニタリング
わずか25〜40%の正の予測値などのその限界にも拘らず、PSAは依然として唯一の一般に受け入れられている前立腺癌のためのバイオマーカーである。さらに、前立腺癌は最も一般には、高齢男性においてゆっくり増殖する腫瘍であるため、この癌の処置は、腫瘍自体よりも被験体にとってより有害である可能性がある。従って、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3のうちの少なくとも1種、好ましくは、ケラチン7、ケラチン15、およびケラチン19のうちの少なくとも1種;場合によりさらにフィラミンB、LY9、およびPSAのうちの少なくとも1種の発現レベルに関する試験を一緒に、前立腺癌の検出およびモニタリングのために用いる。単独の、および様々な組合せのマーカーの発現レベルを、前立腺癌の危険性が高い男性(例えば、高齢、家族歴、民族など)における日常的な、防止的、スクリーニング方法などの検出において、またはさらなる、潜在的により侵襲性の診断試験、例えば、前立腺検査もしくは生検、デジタル直腸検査、またはより積極的な処置を必要とする被験体を良好に同定するのに有用であり得る、処置前もしくは処置中の前立腺癌と診断された被験体のモニタリングにおいて用いる。マーカー、またはその様々な組合せの発現のレベルの検出はまた、他の兆候または症状の変化、例えば、ホルモン療法に対する腫瘍応答の喪失の前に、特定の処置レジメンに対する良好な、または弱い応答を示してもよい。
前立腺癌のための日常的なスクリーニング方法においては、被験体から得られた血清試料を、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3のうちの少なくとも1種、好ましくは、ケラチン7、ケラチン15、およびケラチン19のうちの少なくとも1種;場合によりさらにフィラミンB、LY9、およびPSAのうちの少なくとも1種の発現のレベルについて試験する。このレベルを、1種以上の適切な対照、例えば、他の正常な被験体、前立腺癌を有する被験体と比較する。ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3のうちの少なくとも1種、好ましくは、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、およびケラチン19のうちの少なくとも1種の異常なレベルの検出は、被験体が前立腺癌の存在に関するさらなる試験を考えるべきであることを示す。被験体における、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3のうちの少なくとも1種、好ましくは、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、およびケラチン19のうちの少なくとも1種のレベルの変化は、集団対照と比較して前立腺癌状態の変化をより示すものであってもよい。
前立腺癌についてまだ積極的に処置されていない(すなわち、待機療法)前立腺癌を有する被験体のための治療レジメンを決定する際に、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3のうちの少なくとも1種、好ましくは、ケラチン7、ケラチン15、およびケラチン19のうちの少なくとも1種;場合によりさらにフィラミンB、LY9、およびPSAのうちの少なくとも1種の発現レベルの変化が存在するかどうかを決定するために、規則的な間隔で試験することができる。ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3のうちの少なくとも1種、好ましくは、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、およびケラチン19のうちの少なくとも1種;場合によりさらにフィラミンB、LY9、およびPSAのうちの少なくとも1種のレベルの調節は、被験体が前立腺癌をモニタリングするためのさらなる試験を考えるべきであること、およびより積極的な治療的介入を考えるべきであることを示す。
前立腺癌のための処置(例えば、ホルモン療法、化学療法、放射線療法、外科手術)を受けている被験体においては、処置がケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、チューブリン-ベータ3のうちの少なくとも1種、好ましくは、ケラチン7、ケラチン15、およびケラチン19のうちの少なくとも1種;場合によりさらにフィラミンB、LY9、およびPSAのうちの少なくとも1種の発現のレベルの低下をもたらすかどうかを決定するために、処置の開始の前ならびに処置中および/または処置誤に試験する。ケラチン19、フィラミンB、LY9、またはPSAのレベルの低下は、処置に対する応答を示す。ケラチン7、8および15の発現レベルはまた、前立腺癌を有する被験体の診断およびモニタリングにおいて特に有用であり得る。
フィラミンB、PSA、またはLY9を用いる前立腺癌を有する被験体の層別化
それぞれ実施例3および4に示されたように、フィラミンBレベルおよびLY9レベルを用いて、前立腺癌に罹患しているか、または罹患していない被験体を識別することができる。さらに、実施例6および7に示されたように、場合によりさらにLY9と組合わせた、フィラミンBとPSAの両方の分析は、いずれかのマーカー単独に基づく分析よりも高感度である。
一連の被験体試料を、適切な供給源、例えば、試料が、様々なステージの前立腺癌、例えば、侵攻性前立腺癌、アンドロゲン感受性、アンドロゲン非感受性、転移性を有する被験体から、または前立腺癌に罹患していない被験体、例えば、正常な前立腺を有する被験体もしくはBPHを有する被験体から得られた商業的供給源から取得する。この試料を、フィラミンBとPSAの発現レベル、および場合によりLY9のレベル、ならびにさらにケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3の1種以上、特に、ケラチン19について分析する。フィラミンB、LY9およびPSAのレベルは、単独で、および様々な組合せで、場合により他のマーカー、例えば、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3、特に、ケラチン19と共に、疾患の存在または非存在、および前立腺癌の重篤度と相関する。
フィラミンB、PSA、またはLY9を用いる前立腺癌処置のモニタリング
前立腺癌を有するとの診断の時点で、被験体は試験に参加するよう招かれる。被験体試料、例えば、血液を取得する。定期的に、モニタリング、待機療法、または被験体の積極的処置、例えば、化学療法、放射線療法、外科手術、ホルモン療法を通じて、新しい被験体試料を取得する。試験の終わりに、全ての被験体試料を、フィラミンB、PSAのレベル、場合によりさらにLY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3の1種以上と組合わせて試験する。被験体試料を、被験体の医療記録と一致させて、必要に応じて、フィラミンB、PSA、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、またはチューブリン-ベータ3のレベルを、診断時の前立腺癌状態、疾患の進行速度、1つ以上の介入に対する被験体の応答、およびアンドロゲン依存的と非依存的状態の間の移行と相関させる。
フィラミンB、PSA、またはLY9を用いる前立腺癌の検出およびモニタリング
わずか25〜40%の正の予測値などのその限界にも拘らず、PSAは依然として唯一の一般に受け入れられている前立腺癌のためのバイオマーカーである。さらに、前立腺癌は最も一般には、高齢男性においてゆっくり増殖する腫瘍であるため、この癌の処置は、腫瘍自体よりも被験体にとってより有害である可能性がある。本明細書に示されるように、前立腺癌を有する被験体においては、フィラミンBとPSAのレベルの上昇には低い相関がある。さらに、LY9のレベルの上昇は、前立腺癌と関連することが示された。従って、前立腺癌の危険性が高い男性(例えば、高齢、家族歴、民族など)における日常的な、防止的、スクリーニング方法などの検出における、または処置前もしくは処置中の前立腺癌と診断された被験体のモニタリングにおける、場合によりLY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3の1種以上、特に、ケラチン19と組合わせた、特に、フィラミンBとPSAと一緒の試験は、さらなる、潜在的により侵襲性の診断試験、例えば、前立腺検査もしくは生検、デジタル直腸検査、またはより積極的な処置を必要とする被験体を良好に同定するのに有用であり得る。フィラミンB、PSA、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3、特に、ケラチン19の発現のレベルの検出はまた、他の兆候または症状の変化、例えば、ホルモン療法に対する腫瘍応答の喪失の前に、特定の処置レジメンに対する良好な、または弱い応答を示してもよい。
前立腺癌のための日常的なスクリーニング方法においては、被験体から得られた血清試料を、フィラミンBとPSAの両方、および場合により、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3の1種以上、特に、ケラチン19の発現のレベルについて試験する。このレベルを、1種以上の適切な対照、例えば、他の正常な被験体、前立腺癌を有する被験体と比較する。フィラミンB、PSA、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3の1種以上、特に、ケラチン19の異常なレベルの検出は、被験体が前立腺癌の存在に関するさらなる試験を考えるべきであることを示す。被験体における、場合によりPSA、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、またはチューブリン-ベータ3の1種以上と組合わせた、フィラミンB、特に、PSAと組合わせたケラチン19のレベルの変化は、集団対照と比較して前立腺癌状態の変化をより示すものであってもよい。
前立腺癌についてまだ積極的に処置されていない前立腺癌を有する被験体のための治療レジメン(すなわち、待機療法)を決定する際に、フィラミンB、PSA、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3の発現レベルの変化が存在するかどうかを決定するために、規則的な間隔で試験することができる。フィラミンB、PSA、ケラチン19、またはLY9のレベルの増加は、被験体が前立腺癌をモニタリングするためのさらなる試験を考えるべきであること、およびより積極的な治療的介入を考えるべきであることを示す。
前立腺癌のための処置(例えば、ホルモン療法、化学療法、放射線療法、外科手術)を受けている被験体においては、処置がフィラミンB、PSA、LY9、ケラチン4、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン15、ケラチン18、ケラチン19、およびチューブリン-ベータ3のうちの1種以上の発現のレベルの変化をもたらすかどうかを決定するために、処置の開始の前ならびに処置中および/または処置後に試験する。フィラミンB、PSA、ケラチン19、またはLY9のレベルの低下は、処置に対する応答を示す。
等価物:
当業者であれば、日常的なものに過ぎない実験を用いて、本明細書に記載の特定の実施形態および方法に対する多くの等価物を認識するか、または確認することができる。そのような等価物は、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。