(第1実施形態)
以下、本発明に係る車両用ペダル装置の後退防止装置を、常用ブレーキ用のブレーキペダル装置1に適用した実施形態(第1実施形態)について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
(ブレーキペダル装置の概略構成)
先ず、第1実施形態に係るブレーキペダル装置1の概略構成について、図1〜図4を参照しつつ詳細に説明する。尚、図1、図4は、ブレーキペダル装置1の概略構成を示す側面図であり、ペダルブラケット10を仮想線(破線)で示すことで、その内側の構造が分かるように示している。
第1実施形態に係るブレーキペダル装置1は、エンジンルームと車室内とを区切るダッシュパネルPに対して固設されており、ペダルブラケット10と、操作ペダル20と、中間レバー25と、連結リンク30と、リンク機構部40と、第1リンク固定部50と、第2リンク固定部51とを有している。当該ブレーキペダル装置1は、操作ペダル20の踏込み操作によって当該操作ペダル20が回動した場合に、ブレーキブースタBのオペレーティングロッドRを車両前方側へ変位させることで、車両に対する制動力を発生させるように構成されている。
ブレーキブースタBは、ダッシュパネルPの車両前側(即ち、エンジンルーム側)に一体的に固設されており、出力部材としてのオペレーティングロッドRを有している。当該ブレーキブースタBは、オペレーティングロッドRが車両前側へ変位した場合に、操作ペダル20を介して伝達された制動力を倍化して、倍化した制動力を車両に伝達する。そして、オペレーティングロッドRは、ダッシュパネルPから車両後側の車室内へ突き出すように配設されており、車両前後方向へ変位可能に構成されている。
図1、図4に示すように、インパネリインフォースメントIは、ダッシュパネルPよりも車両後側(運転席側)に配設されており、本発明における車体側部材を構成する。そして、インパネリインフォースメントIは、高強度及び高剛性を有するパイプ状の部材であり、略車両幅方向を長手方向として配置されており、一般に、衝突時等の車両前方からの大荷重入力時に車両後側へ変位する可能性や変形量がダッシュパネルPよりも少ない。又、当該インパネリインフォースメントIには、車両の操舵装置であるステアリングを構成するステアリングシャフト(図示せず)が、ダッシュパネルPの車両前側から車室内に向かって伸びるように固設されている。
尚、図1、図4に示すように、インパネリインフォースメントIには、後述するガイドブラケット60が固設されており、当該ガイドブラケット60は、車両後方側ほど下方に位置するように形成された平面状のガイド面61を有している。当該ガイドブラケット60の詳細については、後に図面を参照しつつ説明する。
ペダルブラケット10は、ダッシュパネルPの車室側に対して、ボルト等を用いて固定されており、車幅方向に間隔をおいて対向する一対の側板を有している。第1実施形態に係るペダルブラケット10は、第1支持軸11と、上側取付軸13を有している。
第1支持軸11は、ペダルブラケット10における一対の側板の間に亘って、略水平で且つ車幅方向と略平行に延びるように、ペダルブラケット10の下部に配設されている。第1実施形態においては、第1支持軸11は、ペダルブラケット10に対して、操作ペダル20の上部を回動自在に支持すると共に、後述するリンク機構部40を構成する下側リンク部材42の一端部をペダルブラケット10に対して回動可能に取り付ける機能を果たしている。
そして、第2支持軸12は、第1支持軸11よりも車両後側において、第1支持軸11と平行に伸びるように配設されている。当該第2支持軸12は、オペレーティングロッドRが接続された中間レバー25の下部を回動可能に支持すると共に、後述するリンク機構部40の下側リンク部材42によって保持されている。更に、第1実施形態に係る第2支持軸12は、後述するリンク機構部40における下側リンク部材42の他端部と、中間リンク部材43の他端部とを回動可能に支持しており、下側リンク部材42及び中間リンク部材43を相互に回動可能に連結している。
上側取付軸13は、ペダルブラケット10における一対の側板の間に亘って、略水平で且つ車幅方向と略平行に延びるように、ペダルブラケット10の上部に配設されている。当該上側取付軸13は、後述するリンク機構部40を構成する上側リンク部材41の一端部をペダルブラケット10に対して回動可能に取り付ける機能を果たしている。
操作ペダル20は、ペダルブラケット10の第1支持軸11によって、その上部を回動可能に支持されており、下端部に踏部21を有している。従って、操作ペダル20は、踏部21を利用して踏込み操作が行われた場合、第1支持軸11を中心に回動し、踏部21は、車両前側に向かって移動する。
そして、中間レバー25は、第1支持軸11に対して車両後方側に配置された第2支持軸12によって、その下端部を回動可能に支持されており、上方に向かって延びている。中間レバー25の上端部には、オペレーティングロッドRが、クレビスを介して連結されている。従って、中間レバー25が第2支持軸12を中心として回動することによって、オペレーティングロッドRは、車両前後方向へ変位し得る。つまり、当該ブレーキペダル装置1によれば、中間レバー25によって、オペレーティングロッドRを車両前側へ押圧することで、ブレーキブースタBを介して制動力を発生させ得る。
連結リンク30は、操作ペダル20の上方後側部分と、中間レバー25の下方前側部分を連結しており、操作ペダル20及び中間レバー25に対して回動可能に取り付けられている。連結リンク30の一端側は、操作ペダル20の上方後側部分に対して、連結ピン31を介して連結されている為、連結リンク30は、連結ピン31を中心として、操作ペダル20に対して回動し得る。又、連結リンク30の他端側は、中間レバー25の下方前側部分に対して、連結ピン32を介して連結されている為、連結リンク30は、連結ピン32を中心として、中間レバー25に対して回動し得る。従って、当該ブレーキペダル装置1においては、第1支持軸11を中心とした操作ペダル20の回動を、連結リンク30を介して、中間レバー25に伝達することができ、中間レバー25を、第2支持軸12を中心として回動させることができる。
リンク機構部40は、ブレーキペダル装置1における車両後方部分において、上側リンク部材41と、下側リンク部材42と、中間リンク部材43とを有して構成されている。当該リンク機構部40は、ペダルブラケット10と、上側リンク部材41と、下側リンク部材42と、中間リンク部材43とを相互に回動可能に連結することによって、所謂、四節リンク機構を構成している。
上側リンク部材41は、リンク機構部40における上側部分を構成する鋼板製の部材であり、その一端部(前側端部)がペダルブラケット10の上側取付軸13によって、ペダルブラケット10に対して回動可能に支持されている。図2に示すように、上側リンク部材41は、ペダルブラケット10の各側板における車幅方向外側表面に沿って配設されている。そして、上側リンク部材41の他端側は、第1連結軸44によって、中間リンク部材43に連結されている為、上側リンク部材41は、中間リンク部材43に対して、第1連結軸44まわりに回動し得る。
図1、図4に示すように、第1実施形態に係る上側リンク部材41の他端部には、荷重入力部41Aが形成されており、インパネリインフォースメントIに対して固定されたガイドブラケット60のガイド面61に接触するように固定されている。当該荷重入力部41Aには、車両の前方衝突等に伴って、ダッシュパネルPとインパネリインフォースメントIの間隔が狭まった場合に、衝突等に基づく荷重が入力される。
下側リンク部材42は、リンク機構部40における下側部分を構成する鋼板製の部材であり、その一端部(前側端部)がペダルブラケット10の第1支持軸11によって、ペダルブラケット10に対して回動可能に支持されている。当該下側リンク部材42は、ペダルブラケット10の各側板における車幅方向外側表面に沿って配設されており、第2支持軸12を支持している(図2参照)。
図1、図4に示すように、第1実施形態に係る下側リンク部材42の他端部は、第2支持軸12によって、中間リンク部材43に連結されている為、下側リンク部材42は、中間リンク部材43に対して、第2支持軸12まわりに回動し得る。
中間リンク部材43は、リンク機構部40の車両後側部分において、上下方向に伸びるように配設される鋼板製の部材であって、上側リンク部材41の他端部と下側リンク部材42の他端部を連結している。中間リンク部材43の上端部は、上側リンク部材41における車幅方向内側表面に沿って配設されており(図2参照)、第1連結軸44によって、上側リンク部材41に対して回動可能に連結されている。そして、中間リンク部材43の下端部は、下側リンク部材42における車幅方向内側表面に沿って配設されており、第2支持軸12によって、下側リンク部材42に対して回動可能に連結されている。
従って、当該ブレーキペダル装置1におけるリンク機構部40によれば、リンク機構部40を構成する上側リンク部材41、下側リンク部材42、中間リンク部材43の何れかに対して、荷重を入力して変位させれば、その変位に連動して、リンク機構部40を構成する他の構成部材を変位させ得る。即ち、上側リンク部材41の荷重入力部41Aに対して荷重を入力して、上側リンク部材41を上側取付軸13まわりに回動させることで、下側リンク部材42及び中間リンク部材43を変位させることができる。
第1リンク固定部50は、ガイドブラケット60のガイド面61に対して、上側リンク部材41の荷重入力部41Aを固定することによって構成されており、本発明におけるリンク固定部として機能している。図3に示すように、第1リンク固定部50は、ガイドブラケット60のガイド面61に対して、一対の上側リンク部材41の間に配設された固定板50Aを、固定用ボルト50C及びナット50Dによって締結固定することで、リンク機構部40における上側リンク部材41の姿勢を固定している。即ち、第1リンク固定部50は、リンク機構部40における上側リンク部材41の姿勢を固定することによって、下側リンク部材42及び中間リンク部材43の姿勢も固定している。
図3(A)に示すように、固定板50Aには、固定用ボルト50Cが挿通される保持穴50Bが、その上方部分が切り欠かれて形成されている。当該保持穴50Bの上方部分における開口寸法は、固定用ボルト50Cの外径よりも小さく形成されており、保持穴50Bの開口部分の強度は、操作ペダル20の踏込み操作に際して作用する荷重による力の大きさよりも大きく、車両の前方衝突等によって作用する荷重による力の大きさよりも小さく設定されている。従って、車両の前方衝突等が生じた場合には、図3(B)、(C)に示すように、保持穴50Bの開口部分を変形させつつ、固定用ボルト50Cが保持穴50Bから離脱する。これにより、ガイドブラケット60に対する上側リンク部材41の締結固定が解除され、上側リンク部材41、下側リンク部材42、中間リンク部材43が相互に可動し得る状態となる。
第2リンク固定部51は、リンク機構部40における上側リンク部材41及び中間リンク部材43を、両者を貫通するように配設された固定用ピン51Aによって固定することで構成されており、本発明におけるリンク固定部として機能している。第2リンク固定部51は、リンク機構部40における上側リンク部材41及び中間リンク部材43の相対的な位置関係を固定することで、下側リンク部材42の姿勢を固定している。
第2リンク固定部51における固定用ピン51Aのせん断強度は、操作ペダル20の踏込み操作に際して作用する荷重による力の大きさよりも大きく、車両の前方衝突等によって作用する荷重による力の大きさよりも小さく設定されている。従って、車両の前方衝突等が生じた場合には、上側リンク部材41及び中間リンク部材43を介して作用する荷重によって、固定用ピン51Aの破断が生じ、上側リンク部材41及び中間リンク部材43の固定が解除される。これにより、当該ブレーキペダル装置1においては、上側リンク部材41、下側リンク部材42、中間リンク部材43が相互に可動し得る状態となる。
上述したように、ガイドブラケット60は、車体側部材を構成するインパネリインフォースメントIに対して固設されており、所定の高強度を有する断面略コ字状に形成されている。当該ガイドブラケット60の車両前側に面して、ガイド面61が形成されており、リンク機構部40における構成部材の一部(第1実施形態においては、上側リンク部材41の荷重入力部41A)と接触している。当該ガイド面61は、車両後方側ほど下方へ向かうように傾斜しており、車両の前方衝突等に伴う荷重を、リンク機構部40における構成部材に対して作用させる。
(操作ペダルの踏込み操作に伴う各部の動作)
次に、上述したブレーキペダル装置1において、操作ペダル20の踏込み操作が行われた場合の各部の動きについて説明する。尚、上述したように、操作ペダル20の踏込み操作により生じる力は、第1リンク固定部50における保持穴50Bの開口部分の強度及び第2リンク固定部51における固定用ピン51Aのせん断強度よりも小さい為、リンク機構部40は、図1に示す状態を維持する。
操作ペダル20に対して踏込み操作が行われた場合、踏部21が車両前側へ踏み込まれることになる為、操作ペダル20は、第1支持軸11を中心として回動する。この時、操作ペダル20の上部は、第1支持軸11を中心として車両下方へ向かって回動する為、操作ペダル20の回動は、連結リンク30を介して、中間レバー25に対して伝達される。
上述したように、連結リンク30は、中間レバー25の下方前側部分に対して、連結ピン32を介して連結されている為、中間レバー25は、操作ペダル20の回動に伴って、第2支持軸12を中心として回動し、中間レバー25の上部を車両前側に向かって移動させ得る。中間レバー25の上部には、ブレーキブースタBのオペレーティングロッドRが、クレビスを介して連結されている為、当該ブレーキペダル装置1は、操作ペダル20の踏込み操作に連動して、オペレーティングロッドRを出力方向(車両前側)へ押圧することができ、車両に対する制動力を発生させ得る。
(前方衝突時におけるブレーキペダル装置の動作)
次に、車両の前方衝突時におけるブレーキペダル装置1の動作について、図4を参照しつつ詳細に説明する。車両の前方衝突等によって車両前側から大荷重が入力された場合、ダッシュパネルPは、入力された大荷重によって車両後側へ変位する。一方、インパネリインフォースメントIは、車両前側から大荷重が入力された場合であっても、車両後側への変位量は少ない。従って、車両前側から入力された大荷重によるダッシュパネルPとインパネリインフォースメントIとの変位差によって、ペダルブラケット10は、ダッシュパネルPと共に、相対的に車両後側へ移動する。
この時、ダッシュパネルPと共に、ペダルブラケット10が車両後側へ相対的に移動することに伴って、ブレーキペダル装置1は、ダッシュパネルPと、インパネリインフォースメントIに固設されたガイドブラケット60の間に挟み込まれ、第1リンク固定部50及び第2リンク固定部51には、ガイドブラケット60を介して、ダッシュパネルPの変位に伴う荷重が作用する。
そして、ダッシュパネルPの変位に伴う荷重による力が第1リンク固定部50における保持穴50Bの開口部分の強度を超えると、第1リンク固定部50は、ガイドブラケット60のガイド面61に対する上側リンク部材41の荷重入力部41Aの固定を解除し、リンク機構部40の構成部材に関する動作を許容する。同様に、ダッシュパネルPの変位に伴う荷重による力が第2リンク固定部51における固定用ピン51Aのせん断強度を超えると、第2リンク固定部51は、上側リンク部材41と中間リンク部材43の固定を解除し、リンク機構部40の構成部材に関する動作を許容する。
これにより、ダッシュパネルPの後方変位による荷重が、車体側部材であるインパネリインフォースメントIを大きく変形させる前に取り除かれ、リンク機構部40の構成部材の変位に用いられることになる為、中間レバー25がインパネリインフォースメントI及びガイドブラケット60に当接することがなく、インパネリインフォースメントIの変形を抑制することができる。即ち、インパネリインフォースメントIの変形に伴うステアリングの車室内への変位を抑制することができるので、当該ブレーキペダル装置1は、車室内における乗員の上半身を確実に保護することができる。
ペダルブラケット10がダッシュパネルPと共に更に車両後側へ相対的に移動すると、上側リンク部材41の荷重入力部41Aは、ガイドブラケット60のガイド面61に沿って移動していく。上述したように、ガイド面61は、車両後方側ほど下方へ向かうように傾斜している為、上側リンク部材41は、上側取付軸13まわりを、後端部側が下方に向かうように回動する。
この時、上側リンク部材41は、第1連結軸44を介して、中間リンク部材43が回動可能に連結されている為、中間リンク部材43は、上側リンク部材41の回動に伴って、下方に移動していく。又、中間リンク部材43の下端には、第2支持軸12を介して、下側リンク部材42の後端が回動可能に連結されている為、下側リンク部材42の後端は、中間リンク部材43の移動に伴って、第1支持軸11まわりに下側へ回動する。即ち、当該ブレーキペダル装置1によれば、ダッシュパネルPの後方変位に伴い、リンク機構部40の構成部材が下方に移動することによって、中間レバー25を支持する第2支持軸12を、操作ペダル20を支持する第1支持軸11よりも下方に変位させることができる。
第2支持軸12の下方への変位によって、中間レバー25も下方へ移動する為、操作ペダル20は、連結リンク30を介して引っ張られ、第1支持軸11まわりに強制的に回動する。図4に示すように、当該ブレーキペダル装置1においては、リンク機構部40の構成部材の変位によって、中間レバー25を支持する第2支持軸12を下方に移動させることで、操作ペダル20及び中間レバー25を強制的に回動させることができ、もって、操作ペダル20の踏部21が運転席側へ後退することを抑制できる。
以上説明したように、第1実施形態に係るブレーキペダル装置1は、ペダルブラケット10と、操作ペダル20と、中間レバー25と、連結リンク30と、を有しており、踏込み操作に伴う操作ペダル20の回動に連動して、連結リンク30を介して中間レバー25を回動させることができ、もって、ブレーキブースタBのオペレーティングロッドRを車両前側へ変位させ得る。
当該ブレーキペダル装置1は、更に、リンク機構部40と、第1リンク固定部50と、第2リンク固定部51とを有しており、リンク機構部40は、ペダルブラケット10と、上側リンク部材41と、下側リンク部材42と、中間リンク部材43からなり、所謂、四節リンク機構を構成する。そして、第1リンク固定部50及び第2リンク固定部51は、通常、リンク機構部40における各構成部材の相対的な位置関係を固定しており、車両後側への前記ダッシュパネルPの変位に伴って、前記リンク機構部40の各構成部材の動作を許容するように構成されている。
図4に示すように、当該ブレーキペダル装置1によれば、前記ダッシュパネルPが車両後側へ変位し、ダッシュパネルPと、インパネリインフォースメントI及びガイドブラケット60との間隔が狭まっていくと、ガイドブラケット60のガイド面61を介して、リンク機構部40に荷重が作用する為、第1リンク固定部50の保持穴50Bから固定用ボルト50Cが離脱すると共に、第2リンク固定部51の固定用ピン51Aが破断する。これにより、当該ブレーキペダル装置1によれば、リンク機構部40の各構成部材の動作が許容され、当該リンク機構部40を構成する上側リンク部材41、前記下側リンク部材42及び前記中間リンク部材43を下方に変位させることができる。
ここで、下側リンク部材42は、ペダルブラケット10の下部に対して一端部が回動可能に取り付けられると共に、前記第2支持軸12を保持している為、上側リンク部材41、中間リンク部材43と連動して下方に移動することに伴い、第2支持軸12も下方に移動していき、ペダルブラケット10の第1支持軸11よりも下方へ移動していく。これにより、中間レバー25も第2支持軸12と共に下方に移動する為、操作ペダル20は、連結リンク30を介して引っ張られ、第1支持軸11を中心として車両前方側へ回動することになる。
即ち、当該ブレーキペダル装置1は、上側リンク部材41、下側リンク部材42及び中間リンク部材43を含むリンク機構部40と、第1リンク固定部50及び第2リンク固定部51とを有し、車両の前方衝突等によって前記ダッシュパネルPが車両後側へ変位した場合に、ガイドブラケット60のガイド面61を介して、リンク機構部40の構成部材を下方に変位させることによって、操作ペダル20及び中間レバー25を強制的に回動させることができ、もって、操作ペダル20の踏部21が車両後側へ変位することを抑制することができる。
又、当該ブレーキペダル装置1によれば、ダッシュパネルPを車両後方側へ変位させる車両前方側からの荷重を、前記第1リンク固定部50及び第2リンク固定部51に作用した後、リンク機構部40を構成する上側リンク部材41、下側リンク部材42及び中間リンク部材43を下方へ移動させる方向に作用させることができるので、車体側部材であるインパネリインフォースメントIの変形を抑制することができ、乗員の確実な保護に貢献し得る。
当該ブレーキペダル装置1において、上側リンク部材41における他端(車両後側の端部)には、荷重入力部41Aが形成されている為、ガイドブラケット60のガイド面61を介して、ダッシュパネルPの変位に伴う荷重が入力されると、当該上側リンク部材41は、ペダルブラケット10側の一端側を中心として回動して、ガイドブラケット60のガイド面61に沿って、他端側を確実に下方へ変位する。上側リンク部材41に対しては、直接又は間接的に下側リンク部材42及び中間リンク部材43が連結されている為、当該リンク機構部40の構成部材は、全体として下方へ変位する。即ち、当該ブレーキペダル装置1によれば、上側リンク部材41の荷重入力部41Aを介して、リンク機構部40の各構成部材を下方に変位させることで、操作ペダル20及び中間レバー25を強制的に回動させることができ、もって、操作ペダル20の踏部21が車両後側へ変位することを抑制することができる。
そして、当該ブレーキペダル装置1において、第1リンク固定部50は、上側リンク部材41の荷重入力部41Aを、固定板50Aを介して、ガイドブラケット60のガイド面61に締結固定することによって、前記上側リンク部材41、前記下側リンク部材42及び前記中間リンク部材43の相対的な位置関係を固定している為、リンク機構部における各構成部材の相対的な位置を効率良く固定することができる。即ち、操作ペダル20に対する踏込み操作が行われた場合であっても、リンク機構部40における各構成部材の相対的な位置が固定された状態を、第1リンク固定部50により維持することができる為、操作ペダル20の踏込み操作及びそれに伴うオペレーティングロッドRの変位を確実に実現し得る。
又、第1リンク固定部50は、ダッシュパネルPの変位に伴う荷重が作用した場合に、前記ガイドブラケット60のガイド面61に対する上側リンク部材41の固定を解除する為、当該ブレーキペダル装置1によれば、リンク機構部40の各構成部材を下方に変位させて、操作ペダル20及び中間レバー25を強制的に回動させることができ、もって、操作ペダル20の踏部21が車両後側へ変位することを抑制することができる。この時、ダッシュパネルPの変位に伴う荷重がインパネリインフォースメントIの変形を引き起こす前に、その荷重を除外して、リンク機構部40の各構成部材の下方への変位に用いることができる為、当該ブレーキペダル装置1は、乗員の確実な保護に貢献し得る。
更に、第2リンク固定部51は、リンク機構部40の構成部材の内、上側リンク部材41と中間リンク部材43の相対的な位置関係を固定することによって、前記リンク機構部40における全ての構成部材における相対的な位置関係を固定している為、リンク機構部40における各構成部材の相対的な位置を効率良く固定することができる。これにより、操作ペダル20に対する踏込み操作が行われた場合であっても、リンク機構部40における各構成部材の相対的な位置が固定された状態を、第2リンク固定部51により維持することができる為、操作ペダル20の踏込み操作及びそれに伴うオペレーティングロッドRの変位を確実に実現し得る。
そして、第2リンク固定部51は、ダッシュパネルPの変位に伴う荷重が作用した場合に、リンク機構部40における上側リンク部材41と中間リンク部材43の固定を解除する為、当該ブレーキペダル装置1によれば、リンク機構部40の各構成部材を下方に変位させて、操作ペダル20及び中間レバー25を強制的に回動させることができ、もって、操作ペダル20の踏部21が車両後側へ変位することを抑制することができる。この時、ダッシュパネルPの変位に伴う荷重がインパネリインフォースメントIの変形を引き起こす前に、その荷重を除外して、リンク機構部40の各構成部材の下方への変位に用いることができる為、当該ブレーキペダル装置1は、乗員の確実な保護に貢献し得る。
当該ブレーキペダル装置1においては、第1支持軸11は、前記ペダルブラケット10に対して前記操作ペダル20を回動可能に支持すると共に、前記ペダルブラケット10に対して前記下側リンク部材42の一端を回動可能に支持している。つまり、当該ブレーキペダル装置1によれば、第1支持軸11に、ペダルブラケット10に対して前記操作ペダル20を回動可能に支持する機能に加えて、ペダルブラケット10に対して前記下側リンク部材42を回動可能に支持する機能を持たせることができ、もって、部品点数を削減して製造コストを低減することができる。
又、前記第2支持軸12は、前記中間レバー25と前記下側リンク部材42とを相互に回動可能に支持すると共に、前記下側リンク部材42の他端側と前記中間リンク部材43の他端側を回動可能に連結している。即ち、当該ブレーキペダル装置1によれば、第2支持軸12に、前記中間レバー25と前記下側リンク部材42とを相互に回動可能に支持する機能に加えて、前記下側リンク部材42の他端側と前記中間リンク部材43の他端側を回動可能に連結する機能を持たせることができ、もって、部品点数を削減して製造コストを低減することができる。
(第2実施形態)
次に、上述した第1実施形態と異なる実施形態(第2実施形態)に係るブレーキペダル装置1の概略構成について、図5、図6を参照しつつ詳細に説明する。尚、第2実施形態に係るブレーキペダル装置1は、ペダルブラケット10及びリンク機構部40の構成を除き、上述した第1実施形態に係るブレーキペダル装置1と同様の構成を有している。従って、以下の説明においては、第1実施形態と同様の構成についての説明を省略し、相違する構成について詳細に説明する。
(第2実施形態に係るブレーキペダル装置の概略構成)
第2実施形態に係るブレーキペダル装置1においても、ペダルブラケット10は、ダッシュパネルPの車室側に対して、ボルト等を用いて固定されており、車幅方向に間隔をおいて対向する一対の側板を有している。当該ペダルブラケット10は、第1実施形態と同様に、第1支持軸11と、上側取付軸13を有している。
第2実施形態に係る第1支持軸11は、第1実施形態と同様に、ペダルブラケット10に対して操作ペダル20の上部を回動可能に支持すると共に、下側リンク部材42の一端部をペダルブラケット10に対して回動可能に取り付けている。
そして、第2実施形態においても、第2支持軸12は、操作ペダル20よりも車両後側において、中間レバー25の下部を回動可能に支持すると共に、下側リンク部材42によって保持されている。そして、第2実施形態に係る第2支持軸12は、第1実施形態と同様に、下側リンク部材42の他端部と、中間リンク部材43の他端部とを回動可能に支持しており、下側リンク部材42及び中間リンク部材43を相互に回動可能に連結している。又、第2実施形態においても、上側取付軸13は、上側リンク部材41の一端部をペダルブラケット10に対して回動可能に取り付ける機能を果たしている。
そして、第2実施形態に係るリンク機構部40は、第1実施形態と同様に、ブレーキペダル装置1における車両後方部分において、上側リンク部材41と、下側リンク部材42と、中間リンク部材43とを有しており、所謂、四節リンク機構を構成している。
第2実施形態に係る上側リンク部材41の一端部(前側端部)が、ペダルブラケット10の上側取付軸13によって、ペダルブラケット10に対して回動可能に支持されている。又、上側リンク部材41の他端側は、第1連結軸44によって、中間リンク部材43に連結されている。従って、上側リンク部材41は、中間リンク部材43に対して、第1連結軸44まわりに回動し得る。
尚、第2実施形態に係る上側リンク部材41の他端部には、第1実施形態と異なり、荷重入力部41Aが形成されていない(図5、図6参照)。
そして、第2実施形態に係る下側リンク部材42は、その一端部(前側端部)が第1支持軸11によって、ペダルブラケット10に対して回動可能に支持されている。又、下側リンク部材42の他端部は、第2支持軸12によって、中間リンク部材43に連結されている。従って、下側リンク部材42は、中間リンク部材43に対して、第2支持軸12まわりに回動し得る。
第2実施形態に係る中間リンク部材43は、第1実施形態と同様に、上側リンク部材41の他端部と下側リンク部材42の他端部を連結している。中間リンク部材43の上端部は、第1連結軸44によって、上側リンク部材41に対して回動可能に連結されており、中間リンク部材43の下端部は、第2支持軸12によって、下側リンク部材42に対して回動可能に連結されている。
図5、図6に示すように、第2実施形態に係る中間リンク部材43における上下方向中間部分には、荷重入力部43Aが、中間リンク部材43の後側端縁から車両後側へ延出形成されており、インパネリインフォースメントIに対して固定されたガイドブラケット60のガイド面61に接触するように固定されている。当該荷重入力部43Aには、車両の前方衝突等に伴って、ダッシュパネルPとインパネリインフォースメントIの間隔が狭まった場合に、衝突等に基づく荷重が入力される。
従って、第2実施形態におけるリンク機構部40によれば、リンク機構部40を構成する上側リンク部材41、下側リンク部材42、中間リンク部材43の何れかに対して、荷重を入力して変位させれば、その変位に連動して、リンク機構部40を構成する他の構成部材を変位させ得る。即ち、中間リンク部材43の荷重入力部43Aに対して荷重を入力して、中間リンク部材43を下方に変位させることで、上側リンク部材41及び下側リンク部材42を下方へ回動させることができる(図5、図6参照)。
(第2実施形態に係るブレーキペダル装置の前方衝突時における動作)
次に、第2実施形態に係るブレーキペダル装置1の車両の前方衝突時における動作について、図面を参照しつつ詳細に説明する。第2実施形態においても、車両の前方衝突等によって車両前側から大荷重が入力された場合、ダッシュパネルPは、入力された大荷重によって車両後側へ変位する。そして、車両前側から入力された大荷重によるダッシュパネルPとインパネリインフォースメントIとの変位差によって、ブレーキペダル装置1は、ダッシュパネルPと共に、相対的に車両後側へ移動する。
この時、ダッシュパネルPと共に、ペダルブラケット10が車両後側へ相対的に移動することに伴って、ブレーキペダル装置1は、ダッシュパネルPと、インパネリインフォースメントIに固設されたガイドブラケット60の間に挟み込まれる。これにより、第2実施形態においても、第1リンク固定部50及び第2リンク固定部51には、ガイドブラケット60及び中間リンク部材43の荷重入力部43Aを介して、ダッシュパネルPの変位に伴う荷重が作用する。
そして、ダッシュパネルPの変位に伴う荷重による力が第1リンク固定部50における保持穴50Bの開口部分の強度を超えると、第1リンク固定部50は、ガイドブラケット60のガイド面61に対する中間リンク部材43の荷重入力部43Aの固定を解除し、リンク機構部40の構成部材に関する動作を許容する。同様に、ダッシュパネルPの変位に伴う荷重による力が第2リンク固定部51における固定用ピン51Aのせん断強度を超えると、第2リンク固定部51は、上側リンク部材41と中間リンク部材43の固定を解除し、リンク機構部40の構成部材に関する動作を許容する。
これにより、ダッシュパネルPの後方変位による荷重が、車体側部材であるインパネリインフォースメントIを大きく変形させる前に取り除かれ、リンク機構部40の構成部材の変位に用いられることになる為、中間レバー25がインパネリインフォースメントI及びガイドブラケット60に当接することがなく、インパネリインフォースメントIの変形を抑制することができる。即ち、第2実施形態に係るブレーキペダル装置1においても、インパネリインフォースメントIの変形に伴うステアリングの車室内への変位を抑制することができ、車室内における乗員の上半身を確実に保護することができる。
そして、ペダルブラケット10がダッシュパネルPと共に更に車両後側へ相対的に移動すると、中間リンク部材43の荷重入力部43Aは、ガイドブラケット60のガイド面61に沿って移動していく。上述したように、ガイド面61は、車両後方側ほど下方へ向かうように傾斜している為、中間リンク部材43は、下方に向かって移動していく。
この時、中間リンク部材43の上端部は、第1連結軸44を介して、上側リンク部材41の他端部が回動可能に連結されている為、上側リンク部材41は、中間リンク部材43の移動に伴って、上側取付軸13まわりを、後端部側が下方に向かうように回動する。又、中間リンク部材43の下端には、第2支持軸12を介して、下側リンク部材42の後端が回動可能に連結されている為、下側リンク部材42の後端は、中間リンク部材43の移動に伴って、第1支持軸11まわりに下側へ回動する。即ち、第2実施形態に係るブレーキペダル装置1においても、ダッシュパネルPの後方変位に伴い、リンク機構部40の構成部材が下方に移動することによって、中間レバー25を支持する第2支持軸12を、操作ペダル20を支持する第1支持軸11よりも下方に変位させることができる。
そして、第2支持軸12の下方への変位によって、中間レバー25も下方へ移動する為、操作ペダル20は、連結リンク30を介して引っ張られ、第1支持軸11まわりに強制的に回動する。図6に示すように、当該ブレーキペダル装置1は、リンク機構部40の構成部材の変位によって、中間レバー25を支持する第2支持軸12を下方に移動させることで、操作ペダル20及び中間レバー25を強制的に回動させることができ、もって、操作ペダル20の踏部21が運転席側へ後退することを抑制できる。
以上説明したように、第2実施形態に係るブレーキペダル装置1は、第1実施形態と同様に、ペダルブラケット10と、操作ペダル20と、中間レバー25と、連結リンク30と、を有しており、踏込み操作に伴う操作ペダル20の回動に連動して、連結リンク30を介して中間レバー25を回動させることができ、もって、ブレーキブースタBのオペレーティングロッドRを車両前側へ変位させ得る。
当該ブレーキペダル装置1は、更に、リンク機構部40と、第1リンク固定部50と、第2リンク固定部51とを有しており、リンク機構部40は、ペダルブラケット10と、上側リンク部材41と、下側リンク部材42と、中間リンク部材43からなり、所謂、四節リンク機構を構成する。そして、第1リンク固定部50及び第2リンク固定部51は、通常、リンク機構部40における各構成部材の相対的な位置関係を固定しており、車両後側への前記ダッシュパネルPの変位に伴って、前記リンク機構部40の各構成部材の動作を許容するように構成されている。
図6に示すように、当該ブレーキペダル装置1によれば、前記ダッシュパネルPが車両後側へ変位し、ダッシュパネルPと、インパネリインフォースメントI及びガイドブラケット60との間隔が狭まっていくと、ガイドブラケット60のガイド面61を介して、リンク機構部40に荷重が作用する為、第1リンク固定部50の保持穴50Bから固定用ボルト50Cが離脱すると共に、第2リンク固定部51の固定用ピン51Aが破断する。これにより、当該ブレーキペダル装置1によれば、当該リンク機構部40を構成する上側リンク部材41、前記下側リンク部材42及び前記中間リンク部材43を下方に変位させることができる。
ここで、下側リンク部材42は、ペダルブラケット10の下部に対して一端部が回動可能に取り付けられると共に、前記第2支持軸12を保持している為、上側リンク部材41、中間リンク部材43と連動して下方に移動することに伴い、第2支持軸12も下方に移動していき、ペダルブラケット10の第1支持軸11よりも下方へ移動していく。これにより、中間レバー25も第2支持軸12と共に下方に移動する為、操作ペダル20は、連結リンク30を介して引っ張られ、第1支持軸11を中心として車両前方側へ回動することになる。
即ち、当該ブレーキペダル装置1は、上側リンク部材41、下側リンク部材42及び中間リンク部材43を含むリンク機構部40と、第1リンク固定部50及び第2リンク固定部51とを有し、車両の前方衝突等によって前記ダッシュパネルPが車両後側へ変位した場合に、ガイドブラケット60のガイド面61を介して、リンク機構部40の構成部材を下方に変位させることによって、操作ペダル20及び中間レバー25を強制的に回動させることができ、もって、操作ペダル20の踏部21が車両後側へ変位することを抑制することができる。
又、当該ブレーキペダル装置1によれば、ダッシュパネルPを車両後方側へ変位させる車両前方側からの荷重を、前記第1リンク固定部50及び第2リンク固定部51に作用した後、リンク機構部40を構成する上側リンク部材41、下側リンク部材42及び中間リンク部材43を下方へ移動させる方向に作用させることができるので、車体側部材であるインパネリインフォースメントIの変形を抑制することができ、乗員の確実な保護に貢献し得る。
第2実施形態に係るブレーキペダル装置1において、中間リンク部材43の車両後側部分には、荷重入力部43Aが形成されているので、ガイドブラケット60のガイド面61を介して、ダッシュパネルPの変位に伴う荷重が入力されると、当該中間リンク部材43は、ガイドブラケット60のガイド面61に沿って、確実に下方へ変位する。そして、中間リンク部材43に対しては、上側リンク部材41及び下側リンク部材42が連結されている為、当該リンク機構部40の構成部材を、全体として下方へ変位させ得る。即ち、当該ブレーキペダル装置1によれば、中間リンク部材43の荷重入力部43Aを介して、リンク機構部40の各構成部材を下方に変位させることで、操作ペダル20及び中間レバー25を強制的に回動させることができ、もって、操作ペダル20の踏部21が車両後側へ変位することを抑制することができる。
そして、当該ブレーキペダル装置1において、第1リンク固定部50は、中間リンク部材43の荷重入力部43Aを、固定板50Aを介して、ガイドブラケット60のガイド面61に対して締結固定することによって、前記上側リンク部材41、前記下側リンク部材42及び前記中間リンク部材43の相対的な位置関係を固定している。そして、第2リンク固定部51は、リンク機構部40の構成部材の内、上側リンク部材41と中間リンク部材43の相対的な位置関係を固定することによって、前記リンク機構部40における全ての構成部材における相対的な位置関係を固定している。即ち、操作ペダル20に対する踏込み操作が行われた場合であっても、リンク機構部40における各構成部材の相対的な位置が固定された状態を、第1リンク固定部50、第2リンク固定部51により維持することができる為、操作ペダル20の踏込み操作及びそれに伴うオペレーティングロッドRの変位を確実に実現し得る。
又、ダッシュパネルPの変位に伴う荷重が作用した場合に、第1リンク固定部50は、前記ガイドブラケット60のガイド面61に対する中間リンク部材43の固定を解除し、第2リンク固定部51は、リンク機構部40における上側リンク部材41と中間リンク部材43の固定を解除する。従って、当該ブレーキペダル装置1によれば、リンク機構部40の各構成部材を下方に変位させて、操作ペダル20及び中間レバー25を強制的に回動させることができる。この時、ダッシュパネルPの変位に伴う荷重がインパネリインフォースメントIの変形を引き起こす前に、その荷重を除外して、リンク機構部40の各構成部材の下方への変位に用いることができる為、当該ブレーキペダル装置1は、乗員の確実な保護に貢献し得る。
図5、図6に示すように、第2実施形態に係るブレーキペダル装置1によれば、第1支持軸11に、ペダルブラケット10に対して前記操作ペダル20を回動可能に支持する機能に加えて、ペダルブラケット10に対して前記下側リンク部材42を回動可能に支持する機能を持たせることができ、もって、部品点数を削減して製造コストを低減することができる。
更に、第2支持軸12に、前記中間レバー25と前記下側リンク部材42とを相互に回動可能に支持する機能に加えて、前記下側リンク部材42の他端側と前記中間リンク部材43の他端側を回動可能に連結する機能を持たせることができるので、当該ブレーキペダル装置1は、部品点数を削減して製造コストを低減することができる。
(第3実施形態)
次に、上述した第1実施形態、第2実施形態と異なる実施形態(第3実施形態)に係るブレーキペダル装置1の概略構成について、図7、図8を参照しつつ詳細に説明する。尚、第3実施形態に係るブレーキペダル装置1は、ペダルブラケット10及びリンク機構部40の構成を除き、上述した第1実施形態、第2実施形態に係るブレーキペダル装置1と同様の構成を有している。従って、以下の説明においては、第1実施形態、第2実施形態と同様の構成についての説明を省略し、相違する構成について詳細に説明する。
(第3実施形態に係るブレーキペダル装置の概略構成)
第3実施形態に係るブレーキペダル装置1においても、ペダルブラケット10は、ダッシュパネルPの車室側に対して、ボルト等を用いて固定されており、車幅方向に間隔をおいて対向する一対の側板を有している。当該ペダルブラケット10は、第1実施形態、第2実施形態と同様に、第1支持軸11と、上側取付軸13を有している。
第3実施形態に係る第1支持軸11は、第1実施形態、第2実施形態と同様に、ペダルブラケット10に対して、操作ペダル20の上部を回動可能に支持すると共に、下側リンク部材42の一端部をペダルブラケット10に対して回動可能に取り付けている。
そして、第3実施形態においても、第2支持軸12は、操作ペダル20よりも車両後側であり、下側リンク部材42の他端側よりも前方側において、中間レバー25の下部を回動可能に支持すると共に、下側リンク部材42によって保持されている。即ち、第3実施形態に係る第2支持軸12は、第1実施形態、第2実施形態と異なり、下側リンク部材42及び中間リンク部材43を相互に回動可能に連結していない(図7、図8参照)。又、第3実施形態に係る上側取付軸13は、ペダルブラケット10の上部において、上側リンク部材41の一端部をペダルブラケット10に対して回動可能に取り付けている。
そして、第3実施形態に係るリンク機構部40は、第1実施形態、第2実施形態と同様に、ブレーキペダル装置1における車両後方部分において、上側リンク部材41と、下側リンク部材42と、中間リンク部材43とを有しており、所謂、四節リンク機構を構成している。
第3実施形態においても、上側リンク部材41の一端部(前側端部)は、ペダルブラケット10の上側取付軸13によって、ペダルブラケット10に対して回動可能に支持されている。又、上側リンク部材41の他端側は、第1連結軸44によって、中間リンク部材43に連結されている。従って、当該上側リンク部材41は、中間リンク部材43に対して、第1連結軸44まわりに回動し得る。
そして、第3実施形態に係る上側リンク部材41の他端部には、荷重入力部41Aが形成されており、インパネリインフォースメントIに対して固定されたガイドブラケット60のガイド面61に接触するように固定されている。当該荷重入力部41Aには、車両の前方衝突等に伴って、ダッシュパネルPとインパネリインフォースメントIの間隔が狭まった場合に、衝突等に基づく荷重が入力される。
第3実施形態において、下側リンク部材42は、リンク機構部40における下側部分を構成する鋼板製の部材であり、その一端部(前側端部)がペダルブラケット10の第1支持軸11によって、ペダルブラケット10に対して回動可能に支持されている。第2支持軸12が、当該下側リンク部材42における車両後側において保持されており、中間レバー25を回動可能に支持している。
図7、図8に示すように、下側リンク部材42の他端部は、第2連結軸45によって、中間リンク部材43の下端に対して回動可能に連結されており、第2連結軸45は、第2支持軸12によりも車両後方側に位置している。第3実施形態に係る下側リンク部材42は、中間レバー25よりも車両後側に位置する中間リンク部材43に対して、第2連結軸45まわりに回動し得る。
第3実施形態において、中間リンク部材43は、第2支持軸12及び中間レバー25よりも車両後方部分において、上下方向に伸びるように配設されており、上側リンク部材41の他端部と下側リンク部材42の他端部を連結している。中間リンク部材43の上端部は、第1連結軸44によって、上側リンク部材41に対して回動可能に連結されており、中間リンク部材43の下端部は、第2連結軸45によって、下側リンク部材42に対して回動可能に連結されている。
従って、第3実施形態におけるリンク機構部40によれば、リンク機構部40を構成する上側リンク部材41、下側リンク部材42、中間リンク部材43の何れかに対して、荷重を入力して変位させれば、その変位に連動して、リンク機構部40を構成する他の構成部材を変位させ得る。即ち、第1実施形態と同様に、上側リンク部材41の荷重入力部41Aに対して荷重を入力して、上側リンク部材41を上側取付軸13まわりに回動させることで、下側リンク部材42及び中間リンク部材43を変位させることができる(図7、図8参照)。
(第3実施形態に係るブレーキペダル装置の前方衝突時における動作)
次に、第3実施形態に係るブレーキペダル装置1の車両の前方衝突時における動作について、図面を参照しつつ詳細に説明する。第3実施形態においても、車両の前方衝突等によって車両前側から大荷重が入力された場合、ダッシュパネルPは、入力された大荷重によって車両後側へ変位する。そして、車両前側から入力された大荷重によるダッシュパネルPとインパネリインフォースメントIとの変位差によって、ブレーキペダル装置1は、ダッシュパネルPと共に、相対的に車両後側へ移動する。
この時、ダッシュパネルPと共に、ペダルブラケット10が車両後側へ相対的に移動することに伴って、第1リンク固定部50及び第2リンク固定部51には、ガイドブラケット60及び上側リンク部材41の荷重入力部41Aを介して、ダッシュパネルPの変位に伴う荷重が作用する。
そして、ダッシュパネルPの変位に伴う荷重による力が第1リンク固定部50における保持穴50Bの開口部分の強度を超えると、第1リンク固定部50は、ガイドブラケット60のガイド面61に対する上側リンク部材41の荷重入力部41Aの固定を解除し、リンク機構部40の構成部材に関する動作を許容する。同様に、ダッシュパネルPの変位に伴う荷重による力が第2リンク固定部51における固定用ピン51Aのせん断強度を超えると、第2リンク固定部51は、上側リンク部材41と中間リンク部材43の固定を解除し、リンク機構部40の構成部材に関する動作を許容する。
これにより、ダッシュパネルPの後方変位による荷重が、車体側部材であるインパネリインフォースメントIを大きく変形させる前に取り除かれ、リンク機構部40の構成部材の変位に用いられることになる為、中間レバー25がインパネリインフォースメントI及びガイドブラケット60に当接することがなく、インパネリインフォースメントIの変形を抑制することができる。即ち、第3実施形態に係るブレーキペダル装置1においても、インパネリインフォースメントIの変形に伴うステアリングの車室内への変位を抑制することができ、車室内における乗員の上半身を確実に保護することができる。
そして、ペダルブラケット10がダッシュパネルPと共に更に車両後側へ相対的に移動すると、上側リンク部材41の荷重入力部41Aは、ガイドブラケット60のガイド面61に沿って移動していく。従って、上側リンク部材41は、上側取付軸13まわりを、後端部側が下方に向かうように回動する。
この時、上側リンク部材41には、第1連結軸44を介して、中間リンク部材43が回動可能に連結されている為、中間リンク部材43は、上側リンク部材41の回動に伴って、下方に移動していく。当該中間リンク部材43の下端には、第2連結軸45を介して、下側リンク部材42の後端が回動可能に連結されている為、下側リンク部材42は、中間リンク部材43の移動に伴って、第1支持軸11まわりに下側へ回動する。
第3実施形態においては、第2支持軸12は、下側リンク部材42における第1支持軸11と第2連結軸45の間において保持されており、中間レバー25の下部を回動可能に支持している。即ち、第3実施形態においては、ブレーキペダル装置1によれば、ダッシュパネルPの後方変位に伴い、リンク機構部40の構成部材が下方に移動することによって、中間レバー25を支持する第2支持軸12を、操作ペダル20を支持する第1支持軸11よりも下方に変位させることができる。
そして、第2支持軸12の下方への変位によって、中間レバー25も下方へ移動する為、操作ペダル20は、連結リンク30を介して引っ張られ、第1支持軸11まわりに強制的に回動する。図8に示すように、当該ブレーキペダル装置1においては、リンク機構部40の構成部材の変位によって、中間レバー25を支持する第2支持軸12を下方に移動させることで、操作ペダル20及び中間レバー25を強制的に回動させることができ、もって、操作ペダル20の踏部21が運転席側へ後退することを抑制できる。
以上説明したように、第3実施形態に係るブレーキペダル装置1は、上述した実施形態と同様に、ペダルブラケット10と、操作ペダル20と、中間レバー25と、連結リンク30と、を有しており、踏込み操作に伴う操作ペダル20の回動に連動して、連結リンク30を介して中間レバー25を回動させることができ、もって、ブレーキブースタBのオペレーティングロッドRを車両前側へ変位させ得る。
当該ブレーキペダル装置1は、更に、リンク機構部40と、第1リンク固定部50と、第2リンク固定部51とを有しており、リンク機構部40は、ペダルブラケット10と、上側リンク部材41と、下側リンク部材42と、中間リンク部材43からなり、所謂、四節リンク機構を構成する。そして、第1リンク固定部50及び第2リンク固定部51は、通常、リンク機構部40における各構成部材の相対的な位置関係を固定しており、車両後側への前記ダッシュパネルPの変位に伴って、前記リンク機構部40の各構成部材の動作を許容するように構成されている。
図8に示すように、当該ブレーキペダル装置1によれば、前記ダッシュパネルPが車両後側へ変位し、ダッシュパネルPと、インパネリインフォースメントI及びガイドブラケット60との間隔が狭まっていくと、ガイドブラケット60のガイド面61を介して、リンク機構部40に荷重が作用する為、第1リンク固定部50及び第2リンク固定部51によって、リンク機構部40の各構成部材の動作が許容され、当該リンク機構部40を構成する上側リンク部材41、前記下側リンク部材42及び前記中間リンク部材43を下方に変位させることができる。
ここで、下側リンク部材42は、ペダルブラケット10の下部に対して一端部が回動可能に取り付けられると共に、前記第2支持軸12を保持している為、上側リンク部材41、中間リンク部材43と連動して下方に移動することに伴い、第2支持軸12も下方に移動していき、ペダルブラケット10の第1支持軸11よりも下方へ移動していく。これにより、中間レバー25も第2支持軸12と共に下方に移動する為、操作ペダル20は、連結リンク30を介して引っ張られ、第1支持軸11を中心として車両前方側へ回動することになる。
即ち、当該ブレーキペダル装置1は、上側リンク部材41、下側リンク部材42及び中間リンク部材43を含むリンク機構部40と、第1リンク固定部50及び第2リンク固定部51とを有し、車両の前方衝突等によって前記ダッシュパネルPが車両後側へ変位した場合に、ガイドブラケット60のガイド面61を介して、リンク機構部40の構成部材を下方に変位させることによって、操作ペダル20及び中間レバー25を強制的に回動させることができ、もって、操作ペダル20の踏部21が車両後側へ変位することを抑制することができる。
又、当該ブレーキペダル装置1によれば、ダッシュパネルPを車両後方側へ変位させる車両前方側からの荷重を、前記第1リンク固定部50及び第2リンク固定部51に作用した後、リンク機構部40を構成する上側リンク部材41、下側リンク部材42及び中間リンク部材43を下方へ移動させる方向に作用させることができるので、車体側部材であるインパネリインフォースメントIの変形を抑制することができ、乗員の確実な保護に貢献し得る。
そして、第3実施形態に係るブレーキペダル装置1においても、上側リンク部材41における他端(車両後側の端部)には、荷重入力部41Aが形成されている為、ガイドブラケット60のガイド面61を介して、ダッシュパネルPの変位に伴う荷重が入力されると、当該上側リンク部材41は、ペダルブラケット10側の一端側を中心として回動して、ガイドブラケット60のガイド面61に沿って、他端側を確実に下方へ変位する。上側リンク部材41に対しては、直接又は間接的に下側リンク部材42及び中間リンク部材43が連結されている為、当該リンク機構部40の構成部材は、全体として下方へ変位する。即ち、当該ブレーキペダル装置1によれば、上側リンク部材41の荷重入力部41Aを介して、リンク機構部40の各構成部材を下方に変位させることで、操作ペダル20及び中間レバー25を強制的に回動させることができ、もって、操作ペダル20の踏部21が車両後側へ変位することを抑制することができる。
そして、第3実施形態においても、第1リンク固定部50は、上側リンク部材41の荷重入力部41Aを、固定板50Aを介して、ガイドブラケット60のガイド面61に対して締結固定することによって、前記上側リンク部材41、前記下側リンク部材42及び前記中間リンク部材43の相対的な位置関係を固定している。そして、第2リンク固定部51は、リンク機構部40の構成部材の内、上側リンク部材41と中間リンク部材43の相対的な位置関係を固定することによって、前記リンク機構部40における全ての構成部材における相対的な位置関係を固定している。即ち、操作ペダル20に対する踏込み操作が行われた場合であっても、リンク機構部40における各構成部材の相対的な位置が固定された状態を、第1リンク固定部50、第2リンク固定部51により維持することができる為、操作ペダル20の踏込み操作及びそれに伴うオペレーティングロッドRの変位を確実に実現し得る。
又、ダッシュパネルPの変位に伴う荷重が作用した場合に、第1リンク固定部50は、前記ガイドブラケット60のガイド面61に対する上側リンク部材41の固定を解除し、第2リンク固定部51は、リンク機構部40における上側リンク部材41と中間リンク部材43の固定を解除する。従って、当該ブレーキペダル装置1によれば、リンク機構部40の各構成部材を下方に変位させて、操作ペダル20及び中間レバー25を強制的に回動させることができる。この時、ダッシュパネルPの変位に伴う荷重がインパネリインフォースメントIの変形を引き起こす前に、その荷重を除外して、リンク機構部40の各構成部材の下方への変位に用いることができる為、当該ブレーキペダル装置1は、乗員の確実な保護に貢献し得る。
図7、図8に示すように、第3実施形態に係るブレーキペダル装置1によれば、第1支持軸11に、ペダルブラケット10に対して前記操作ペダル20を回動可能に支持する機能に加えて、ペダルブラケット10に対して前記下側リンク部材42を回動可能に支持する機能を持たせることができ、もって、部品点数を削減して製造コストを低減することができる。
(第4実施形態)
続いて、上述した第1実施形態〜第3実施形態と異なる実施形態(第4実施形態)に係るブレーキペダル装置1の概略構成について、図9、図10を参照しつつ詳細に説明する。尚、第4実施形態に係るブレーキペダル装置1は、ペダルブラケット10及びリンク機構部40の構成を除き、上述した各実施形態に係るブレーキペダル装置1と同様の構成を有している。従って、以下の説明においては、上述した各実施形態と同様の構成についての説明を省略し、相違する構成について詳細に説明する。
(第4実施形態に係るブレーキペダル装置の概略構成)
第4実施形態に係るブレーキペダル装置1においても、ペダルブラケット10は、ダッシュパネルPの車室側に対して、ボルト等を用いて固定されており、車幅方向に間隔をおいて対向する一対の側板を有している。図9、図10に示すように、第4実施形態に係るペダルブラケット10は、第1支持軸11と、上側取付軸13に加えて、下側取付軸14を有している。
第4実施形態に係る第1支持軸11は、ペダルブラケット10に対して、操作ペダル20の上部を回動可能に支持している。尚、第4実施形態に係る第1支持軸11は、上述した実施形態と異なり、下側リンク部材42の一端部の支持には用いられていない。
そして、第4実施形態に係る第2支持軸12は、操作ペダル20よりも車両後側において、中間レバー25の下部を回動可能に支持すると共に、下側リンク部材42によって保持されている。そして、当該第2支持軸12は、第1実施形態、第2実施形態と同様に、下側リンク部材42の他端部と、中間リンク部材43の他端部とを回動可能に支持しており、下側リンク部材42及び中間リンク部材43を相互に回動可能に連結している。そして、上側取付軸13は、ペダルブラケット10の上部において、上側リンク部材41の一端部をペダルブラケット10に対して回動可能に取り付けている。
第4実施形態に係るペダルブラケット10の下部には、下側取付軸14が形成されており、第1支持軸11よりも上方であって、且つ、上側取付軸13よりも下方となる位置において、一対の側板の間に亘って、略水平で且つ車幅方向と略平行に延びるように配設されている。第4実施形態において、当該下側取付軸14は、下側リンク部材42の一端部をペダルブラケット10に対して回動可能に取り付ける機能を果たしている。
そして、第4実施形態に係るリンク機構部40は、上述した各実施形態と同様に、ブレーキペダル装置1における車両後方部分において、上側リンク部材41と、下側リンク部材42と、中間リンク部材43とを有しており、所謂、四節リンク機構を構成している。
第4実施形態に係る上側リンク部材41の一端部(前側端部)は、上側取付軸13によって、ペダルブラケット10の上部に対して回動可能に支持されている。又、上側リンク部材41の他端側は、第1連結軸44によって、中間リンク部材43に連結されている。従って、上側リンク部材41は、中間リンク部材43に対して、第1連結軸44まわりに回動し得る。
当該上側リンク部材41の他端部には、荷重入力部41Aが形成されており、インパネリインフォースメントIに対して固定されたガイドブラケット60のガイド面61に接触するように固定されている。当該荷重入力部41Aには、車両の前方衝突等に伴って、ダッシュパネルPとインパネリインフォースメントIの間隔が狭まった場合に、衝突等に基づく荷重が入力される。
第4実施形態においても、下側リンク部材42は、リンク機構部40における下側部分を構成する鋼板製の部材であり、ペダルブラケット10に対して回動可能に取り付けられている。図9、図10に示すように、第4実施形態に係る下側リンク部材42の一端部(前側端部)は、第1支持軸11と別に形成された下側取付軸14によって、ペダルブラケット10に対して回動可能に取り付けられている。従って、第4実施形態に係る下側リンク部材42は、ペダルブラケット10に対して、下側取付軸14まわりに回動し得る。又、下側リンク部材42の他端部は、第2支持軸12によって、中間リンク部材43に連結されている。従って、下側リンク部材42は、中間リンク部材43に対して、第2支持軸12まわりに回動し得る。
そして、中間リンク部材43は、リンク機構部40の車両後側部分において、上側リンク部材41の他端部と下側リンク部材42の他端部を連結している。中間リンク部材43の上端部は、第1連結軸44によって、上側リンク部材41に対して回動可能に連結されており、中間リンク部材43の下端部は、第2支持軸12によって、下側リンク部材42に対して回動可能に連結されている。
これにより、第4実施形態におけるリンク機構部40によれば、リンク機構部40を構成する上側リンク部材41、下側リンク部材42、中間リンク部材43の何れかに対して、荷重を入力して変位させれば、その変位に連動して、リンク機構部40を構成する他の構成部材を変位させ得る。即ち、上述した実施形態と同様に、上側リンク部材41の荷重入力部41Aに対して荷重を入力して、上側リンク部材41を上側取付軸13まわりに回動させることによって、下側リンク部材42及び中間リンク部材43を変位させることができる(図9、図10参照)。
(第4実施形態に係るブレーキペダル装置の前方衝突時における動作)
続いて、第4実施形態に係るブレーキペダル装置1の車両の前方衝突時における動作について、図面を参照しつつ詳細に説明する。第4実施形態においても、車両の前方衝突等によって前側から大荷重が入力された場合、ダッシュパネルPは、入力された大荷重によって車両後側へ変位する。そして、車両前側から入力された大荷重によるダッシュパネルPとインパネリインフォースメントIとの変位差によって、ブレーキペダル装置1は、ダッシュパネルPと共に、相対的に車両後側へ移動する。
この時、上述した各実施形態と同様に、ダッシュパネルPと共に、ペダルブラケット10が車両後側へ相対的に移動することに伴って、第1リンク固定部50及び第2リンク固定部51には、ガイドブラケット60及び上側リンク部材41の荷重入力部41Aを介して、ダッシュパネルPの変位に伴う荷重が作用する。
そして、ダッシュパネルPの変位に伴う荷重による力が第1リンク固定部50における保持穴50Bの開口部分の強度を超えると、第1リンク固定部50は、ガイドブラケット60のガイド面61に対する上側リンク部材41の荷重入力部41Aの固定を解除し、リンク機構部40の構成部材に関する動作を許容する。同様に、ダッシュパネルPの変位に伴う荷重による力が第2リンク固定部51における固定用ピン51Aのせん断強度を超えると、第2リンク固定部51は、上側リンク部材41と中間リンク部材43の固定を解除し、リンク機構部40の構成部材に関する動作を許容する。
これにより、ダッシュパネルPの後方変位による荷重が、車体側部材であるインパネリインフォースメントIを大きく変形させる前に取り除かれ、リンク機構部40の構成部材の変位に用いられることになる為、中間レバー25がインパネリインフォースメントI及びガイドブラケット60に当接することがなく、インパネリインフォースメントIの変形を抑制することができる。即ち、第4実施形態に係るブレーキペダル装置1においても、インパネリインフォースメントIの変形に伴うステアリングの車室内への変位を抑制することができ、車室内における乗員の上半身を確実に保護することができる。
そして、ペダルブラケット10がダッシュパネルPと共に更に車両後側へ相対的に移動すると、上側リンク部材41の荷重入力部41Aは、ガイドブラケット60のガイド面61に沿って移動していく。従って、上側リンク部材41は、上側取付軸13まわりを、後端部側が下方に向かうように回動する。
この時、上側リンク部材41には、第1連結軸44を介して、中間リンク部材43が回動可能に連結されている為、中間リンク部材43は、上側リンク部材41の回動に伴って下方に移動していく。当該中間リンク部材43の下端には、第2支持軸12を介して、下側リンク部材42の後端が回動可能に連結されている為、下側リンク部材42は、中間リンク部材43の移動に伴って、下側取付軸14まわりに下側へ回動する。
上述した実施形態と同様に、第2支持軸12は、下側リンク部材42における後端部に保持されており、中間レバー25の下部を回動可能に支持している。従って、第4実施形態に係るブレーキペダル装置1によれば、ダッシュパネルPの後方変位に伴い、リンク機構部40の構成部材が下方に移動することによって、中間レバー25を支持する第2支持軸12を、操作ペダル20を支持する第1支持軸11よりも下方に変位させることができる。
そして、第2支持軸12が下方へ変位することによって、中間レバー25も下方へ移動する為、操作ペダル20は、連結リンク30を介して引っ張られ、第1支持軸11まわりに強制的に回動する。図10に示すように、当該ブレーキペダル装置1においては、リンク機構部40の構成部材の変位によって、中間レバー25を支持する第2支持軸12を下方に移動させることで、操作ペダル20及び中間レバー25を強制的に回動させることができ、もって、操作ペダル20の踏部21が運転席側へ後退することを抑制できる。
以上説明したように、第4実施形態に係るブレーキペダル装置1は、上述した実施形態と同様に、ペダルブラケット10と、操作ペダル20と、中間レバー25と、連結リンク30と、を有しており、踏込み操作に伴う操作ペダル20の回動に連動して、連結リンク30を介して中間レバー25を回動させることができ、もって、ブレーキブースタBのオペレーティングロッドRを車両前側へ変位させ得る。
当該ブレーキペダル装置1は、更に、リンク機構部40と、第1リンク固定部50と、第2リンク固定部51とを有しており、リンク機構部40は、ペダルブラケット10と、上側リンク部材41と、下側リンク部材42と、中間リンク部材43からなり、所謂、四節リンク機構を構成する。そして、第1リンク固定部50及び第2リンク固定部51は、通常、リンク機構部40における各構成部材の相対的な位置関係を固定しており、車両後側への前記ダッシュパネルPの変位に伴って、前記リンク機構部40の各構成部材の動作を許容するように構成されている。
図10に示すように、当該ブレーキペダル装置1によれば、前記ダッシュパネルPが車両後側へ変位し、ダッシュパネルPと、インパネリインフォースメントI及びガイドブラケット60との間隔が狭まっていくと、ガイドブラケット60のガイド面61を介して、リンク機構部40に荷重が作用する為、第1リンク固定部50及び第2リンク固定部51によって、リンク機構部40の各構成部材の動作が許容され、当該リンク機構部40を構成する上側リンク部材41、前記下側リンク部材42及び前記中間リンク部材43を下方に変位させることができる。
ここで、下側リンク部材42は、ペダルブラケット10の下部に対して一端部が回動可能に取り付けられると共に、前記第2支持軸12を保持している為、上側リンク部材41、中間リンク部材43と連動して下方に移動することに伴い、第2支持軸12も下方に移動していき、ペダルブラケット10の第1支持軸11よりも下方へ移動していく。これにより、中間レバー25も第2支持軸12と共に下方に移動する為、操作ペダル20は、連結リンク30を介して引っ張られ、第1支持軸11を中心として車両前方側へ回動することになる。
即ち、当該ブレーキペダル装置1は、上側リンク部材41、下側リンク部材42及び中間リンク部材43を含むリンク機構部40と、第1リンク固定部50及び第2リンク固定部51とを有し、車両の前方衝突等によって前記ダッシュパネルPが車両後側へ変位した場合に、ガイドブラケット60のガイド面61を介して、リンク機構部40の構成部材を下方に変位させることによって、操作ペダル20及び中間レバー25を強制的に回動させることができ、もって、操作ペダル20の踏部21が車両後側へ変位することを抑制することができる。
又、当該ブレーキペダル装置1によれば、ダッシュパネルPを車両後方側へ変位させる車両前方側からの荷重を、前記第1リンク固定部50及び第2リンク固定部51に作用した後、リンク機構部40を構成する上側リンク部材41、下側リンク部材42及び中間リンク部材43を下方へ移動させる方向に作用させることができるので、車体側部材であるインパネリインフォースメントIの変形を抑制することができ、乗員の確実な保護に貢献し得る。
そして、第4実施形態に係るブレーキペダル装置1においても、上側リンク部材41における他端(車両後側の端部)には、荷重入力部41Aが形成されている為、ガイドブラケット60のガイド面61を介して、ダッシュパネルPの変位に伴う荷重が入力されると、当該上側リンク部材41は、ペダルブラケット10側の一端側を中心として回動して、ガイドブラケット60のガイド面61に沿って、他端側を確実に下方へ変位する。上側リンク部材41に対しては、直接又は間接的に下側リンク部材42及び中間リンク部材43が連結されている為、当該リンク機構部40の構成部材は、全体として下方へ変位する。即ち、当該ブレーキペダル装置1によれば、上側リンク部材41の荷重入力部41Aを介して、リンク機構部40の各構成部材を下方に変位させることで、操作ペダル20及び中間レバー25を強制的に回動させることができ、もって、操作ペダル20の踏部21が車両後側へ変位することを抑制することができる。
第4実施形態において、第1リンク固定部50は、上側リンク部材41の荷重入力部41Aを、固定板50Aを介して、ガイドブラケット60のガイド面61に対して締結固定することによって、前記上側リンク部材41、前記下側リンク部材42及び前記中間リンク部材43の相対的な位置関係を固定している。そして、第2リンク固定部51は、リンク機構部40の構成部材の内、上側リンク部材41と中間リンク部材43の相対的な位置関係を固定することによって、前記リンク機構部40における全ての構成部材における相対的な位置関係を固定している。即ち、操作ペダル20に対する踏込み操作が行われた場合であっても、リンク機構部40における各構成部材の相対的な位置が固定された状態を、第1リンク固定部50、第2リンク固定部51により維持することができる為、操作ペダル20の踏込み操作及びそれに伴うオペレーティングロッドRの変位を確実に実現し得る。
又、ダッシュパネルPの変位に伴う荷重が作用した場合に、第1リンク固定部50は、前記ガイドブラケット60のガイド面61に対する上側リンク部材41の固定を解除し、第2リンク固定部51は、リンク機構部40における上側リンク部材41と中間リンク部材43の固定を解除する。従って、当該ブレーキペダル装置1によれば、リンク機構部40の各構成部材を下方に変位させて、操作ペダル20及び中間レバー25を強制的に回動させることができる。この時、ダッシュパネルPの変位に伴う荷重がインパネリインフォースメントIの変形を引き起こす前に、その荷重を除外して、リンク機構部40の各構成部材の下方への変位に用いることができる為、当該ブレーキペダル装置1は、乗員の確実な保護に貢献し得る。
図9、図10に示すように、第4実施形態に係るブレーキペダル装置1によれば、第2支持軸12に、前記中間レバー25と前記下側リンク部材42とを相互に回動可能に支持する機能に加えて、前記下側リンク部材42の他端側と前記中間リンク部材43の他端側を回動可能に連結する機能を持たせることができるので、部品点数を削減して製造コストを低減することができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。例えば、上述した各実施形態においては、リンク機構部40における各構成部材の相対的な位置関係を固定する為に、第1リンク固定部50及び第2リンク固定部51の両者を用いていたが、この態様に限定されるものではない。少なくとも、第1リンク固定部50と第2リンク固定部51の何れかを採用すれば、本発明におけるリンク固定部として機能し得る。
又、上述した各実施形態において、第2リンク固定部51は、上側リンク部材41と中間リンク部材43の相対的な位置関係を固定しており、所定以上の荷重が作用した場合には、上側リンク部材41、中間リンク部材43の動作を許容する構成であったが、この態様に限定されるものではない。第2リンク固定部51としては、リンク機構部40の構成部材の内、直接的に連結されている2つの部材の相対的な位置関係を固定していれば、種々の態様を採用し得る。例えば、ペダルブラケット10に対する上側リンク部材41の位置を固定してもよいし、ペダルブラケット10に対する下側リンク部材42の位置を固定してもよい。又、下側リンク部材42に対する中間リンク部材43の位置を固定する構成を採用することも可能である。
そして、上述した各実施形態では、第1リンク固定部50は、ガイドブラケット60のガイド面61に対して上側リンク部材41等を、固定板50Aの保持穴50Bを介して、固定用ボルト50C及びナット50Dによって締結固定する構成とし、第2リンク固定部51は、上側リンク部材41と中間リンク部材43を貫通するように、固定用ピン51Aを配設することで、上側リンク部材41及び中間リンク部材43を固定する構成であったが、この態様に限定されるものではない。第1リンク固定部50及び第2リンク固定部51における複数の部材(リンク機構部40の構成部材、ガイドブラケット60の何れか)に関する固定の方法は、これらの態様に限定されるものではなく、かしめピンを用いたかしめ接合や、溶接等による接合等、種々の方式を採用し得る。これらの方式を採用した場合、前方衝突等に由来する所定以上の荷重が作用した場合に、当該複数の部材に対する固定が解除されるように構成される。
又、本発明に係る車両用ペダル装置の後退防止装置における各動作を実現することができれば、上述した実施形態に示す態様に限定されるものではなく、ブレーキペダル装置1を構成する各部材の配置を適宜変更することができる。
更に、本発明に係る車両用ペダル装置の後退防止装置における各動作を実現することができれば、各構成部材の形状を適宜変更し得る。各構成部材の形状は、上述した実施形態におけるブレーキペダル装置1の各構成部材の形状に限定されるものではなく、例えば、各構成部材間の干渉を避ける為に、夫々の形状を変更してもよい。