JP6346778B2 - フッ素樹脂粒子分散ニッケルめっき皮膜を形成するための電気めっき液、及びその電気めっき液を用いためっき皮膜の形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電気めっき法により、分散ニッケルめっき皮膜を形成する方法及びその方法に用いられる電気めっき液に関する。詳しくは、表面平滑性の高い、フッ素樹脂粒子を分散させたニッケルめっき皮膜を形成する技術に関する。
従来、基材の表面に摺動性を付与するために、フッ素樹脂粒子を分散させた分散ニッケルめっき皮膜(以下、単に分散ニッケルめっき皮膜とも称する)を形成する技術が知られている。具体的には、例えば、下記特許文献1は、電気めっき法又は無電解めっき法により、ニッケル,ニッケル−リン等のニッケル系合金などの金属マトリックス中にフッ素樹脂粒子を分散させた分散めっき皮膜をその表面に形成させた圧縮ワイヤーメッシュを開示する。
また、下記特許文献2は、電気めっき法又は無電解めっき法により、フッ素樹脂粒子が分散された分散めっき皮膜を形成する際に、フッ素樹脂粒子とフッ素系界面活性剤をめっき液中に分散させて、フッ素樹脂粒子のめっき液に対する濡れ性を向上させることにより分散性を向上させる技術を開示する。
また、下記特許文献3は、ポリテトラフルオロエチレンオリゴマー粒子が分散された電気分散めっき液中に、ポリテトラフルオロエチレンオリゴマー粒子の液中での分散性を均一にしたり、めっき皮膜への共析量を増大させる目的で界面活性剤を添加することを開示する。そして、界面活性剤としては、パーフルオロアルキル系界面活性剤が使用でき、特にカチオン系のパーフルオロアルキルアンモニウム塩剤が好ましいことを開示する。
WO2007/018173号パンフレット 特開2002−348699号公報 特開平4−285199号公報
無電解めっき法によりニッケルめっき皮膜を形成する場合、分解した還元剤がめっき液中に蓄積してしまうためにめっき液を頻繁に交換する必要があり、コスト性が悪かった。一方、電気めっき法によりニッケルめっき皮膜を形成する場合、還元剤を用いないためにめっき液を頻繁に交換する必要がなくコスト性に優れるというメリットがある。しかしながら、電気めっき法により分散ニッケルめっき皮膜を形成させようとした場合、フッ素樹脂粒子が充分に共析しなかったり、分散が不均一になったり、皮膜の平滑性が低くなったりするという問題があった。特許文献3は、ポリテトラフルオロエチレンオリゴマー粒子を含む電気分散めっき液中に、界面活性剤として、パーフルオロアルキル系界面活性剤、とくにカチオン系のパーフルオロアルキルアンモニウム塩を添加することを開示しているが、従来のカチオン系のパーフルオロアルキルアンモニウム塩を界面活性剤として添加しても、フッ素樹脂粒子の共析量や分散性が充分に向上しなかった。
本発明は、電気めっきにより、フッ素樹脂粒子が分散された分散めっき皮膜を形成する場合において、高い共析率で平滑性に優れる皮膜を形成するための手段を提供することを目的とする。
本発明の電気ニッケルめっき液は、フッ素樹脂粒子を分散させたニッケルめっき皮膜を電気めっき法により形成するための電気ニッケルめっき液であって、フッ素樹脂粒子と、疎水性基としてパーフルオロアルケニル基,親水性基として4級アンモニウムの臭素塩を含むフッ素系界面活性剤とを含むものである。フッ素樹脂粒子を含む電気ニッケルめっき液において、このようなフッ素系界面活性剤を添加することにより、従来のフッ素系界面活性剤を添加した場合に比べて共析率及び平滑性が高い皮膜が得られる。
上記フッ素系界面活性剤は、下記一般式(I):
〔式中、R〜Rは炭素数1〜4の直鎖または分枝を有するアルキル基、mは2〜4の整数、Yは酸素原子(O)またはNR(Rは、水素原子、または炭素数1〜4の直鎖または分枝を有するアルキル基)〕
で表される臭化フルオロアルキルトリアルキルアンモニウム塩であることが好ましい。
電気ニッケルめっき液中のフッ素系界面活性剤の含有割合は、0.01〜10g/Lであることが好ましい。
また、本発明のフッ素樹脂粒子分散ニッケルめっき皮膜の形成方法は、フッ素樹脂粒子と上記フッ素系界面活性剤とを含む電気ニッケルめっき液中に、導電性を有する被処理物を浸漬する工程と、被処理物に通電することによりめっき皮膜を成膜する工程と、を備える。
本発明によれば、電気めっきにより、共析率及び平滑性の高いフッ素樹脂粒子を分散させたニッケルめっき皮膜が得られる。
図1は本実施形態の分散ニッケルめっき皮膜の形成方法に用いる電気めっき装置の模式説明図である。 図2は実施例1で得られた分散ニッケルめっき皮膜の走査型レーザー顕微鏡写真の鳥瞰図である。 図3は実施例1で得られた分散ニッケルめっき皮膜の走査型電子顕微鏡写真である。 図4は比較例1で得られた分散ニッケルめっき皮膜の走査型レーザー顕微鏡写真の鳥瞰図である。 図5は比較例2で得られた分散ニッケルめっき皮膜の走査型レーザー顕微鏡写真の鳥瞰図である。 図6は比較例2で得られた分散ニッケルめっき皮膜の走査型電子顕微鏡写真である。 図7は比較例3で得られた分散ニッケルめっき皮膜の走査型レーザー顕微鏡写真の鳥瞰図である。 図8は比較例3で得られた分散ニッケルめっき皮膜の走査型電子顕微鏡写真である。 図9は比較例4で得られた分散ニッケルめっき皮膜の走査型レーザー顕微鏡写真の鳥瞰図である。 図10は比較例4で得られた分散ニッケルめっき皮膜の走査型電子顕微鏡写真である。
以下、本発明に係るフッ素樹脂粒子を分散させたニッケルめっき皮膜の形成方法について、その一実施形態を詳しく説明する。
本発明に係る電気ニッケルめっき液は、電気ニッケルめっきのために用いられるニッケルめっき液であり、ニッケル源を含むニッケルめっき液中に、フッ素樹脂粒子と、特定のフッ素系界面活性剤とを含む。
ニッケルめっき液としては特に限定されないが、その具体例としては、例えば、硫酸ニッケル,塩化ニッケル,ホウ酸を含むいわゆるワット浴や、スルファミン酸ニッケルを含むスルファミン酸ニッケル浴、塩化ニッケルを含むいわゆるストライク浴の他、一水酸化ニッケル,炭酸ニッケル、及び酢酸ニッケル等を含むような各種ニッケル浴等が挙げられる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、ニッケル塩以外のリンイオン、鉄イオン、コバルトイオン等のめっき形成性の金属塩を含んでもよい。
ニッケルめっき液中に含有されるフッ素樹脂粒子の具体例としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー、PFA、FEP、ETFE、PVDF、PCTFE等の粒子が挙げられる。これらの中ではPTFEの粒子が分散性に優れる点から好ましい。フッ素樹脂粒子の粒子径は特に限定されないが、平均粒子径0.1〜10μm、さらには0.2〜3μmであることが分散性に優れている点から好ましい。このようなフッ素樹脂粒子としては、例えば、ダイキン工業(株)製のルブロンL-5や、セントラル硝子(株)製のセフラループ等が挙げられる。
ニッケルめっき液中に含有されるフッ素樹脂粒子の割合としては、1〜300g/L、さらには10〜100g/Lであることが好ましい。
フッ素系界面活性剤は、疎水性基としてパーフルオロアルケニル基を含み、親水性基として4級アンモニウムの臭素塩を含むフッ素系界面活性剤である。具体的には、下記一般式:
〔式中、R〜Rは炭素数1〜4の直鎖または分枝を有するアルキル基、mは2〜4の整数、Yは酸素原子(O)またはNR(Rは、水素原子、または炭素数1〜4の直鎖または分枝を有するアルキル基)〕で示される臭化フルオロアルキルトリアルキルアンモニウムが挙げられる。このような界面活性剤としては、例えば、(株)ネオス製のフタージェント320(商品名)が挙げられる。
このようなフッ素系界面活性剤は、電気めっき液中で極めて高い分解安定性または劣化安定性を示す。電気めっき液は、無電解めっき液と異なり、通常、還元剤を用いないためにめっき液を頻繁に交換する必要がなく、消費した量のめっき液を継ぎ足すようにして用いられる。そのために、組成の経時的な安定性が重要になる。疎水性基としてパーフルオロアルケニル基を含み、親水性基として4級アンモニウムの臭素塩を含むフッ素系界面活性剤は、その他のフッ素系の界面活性剤等に比べても高い安定性を示すために、電気めっき液の組成のコントロールも容易になる。
ニッケルめっき液中に配合される疎水性基としてパーフルオロアルケニル基を含み、親水性基として4級アンモニウムの臭素塩を含むフッ素系界面活性剤の割合としては、0.01〜10g/L、さらには0.01〜1g/Lであることが好ましい。
電気めっきされる導電性を有する被処理物としては、金属等の導電性を有する基材であれば特に限定されない。その具体例としては、例えば、SUS304、SUS316等のオーステナイト系のステンレス鋼、SUS430等のフェライト系のステンレス鋼、鉄(JIS−G−3532)もしくは亜鉛めっき鉄(JIS−G−3547)、銅−ニッケル合金(白銅)、銅−ニッケル−亜鉛合金(洋白)、黄銅、ベリリウム銅等の銅合金等が挙げられる。
上述したようなめっき液を用いて導電性を有する被処理物に電気めっきを行うことにより、被処理物の表面に、共析率及び平滑性の高い分散ニッケルめっき皮膜が形成される。
分散ニッケルめっき皮膜の形成は、例えば、図1に示すようなめっき槽10を用いて行われる。めっき槽10内には上述したようなめっき液1が収容されている。そして、めっき液1中に導電性のクリップ2で吊り下げられた被処理物3を浸漬する。導電性のクリップ2には、図略の電源の陰極が接続されている。一方、めっき液1中に、被処理物3の対極になるニッケル板等の陽極板4が浸漬されている。陽極板4には、図略の電源の陽極が接続されている。そして、このめっき槽10中のめっき液1を充分に撹拌しながら電源から通電することにより、被処理物3の表面にめっき液1中に分散されたフッ素樹脂粒子を取り込みながらニッケル粒子を析出させることにより、分散ニッケルめっき皮膜が形成される。
電気めっきを施す際の電流密度は通常の電気めっきによりニッケルめっき皮膜を形成する条件が特に限定なく用いられるが、具体的には、例えば、1〜30A/dm、1〜20A/dm程度であることが好ましい。
分散ニッケルめっき皮膜中におけるフッ素樹脂粒子の共析量は特に限定されないが、めっき皮膜全質量(100質量%)に対して、1〜30質量%、さらには5〜25質量%、とくには6〜25質量%であることが好ましい。また、分散めっき皮膜の膜厚も特に限定されないが、平均膜厚が、3〜15μm、さらには5〜10μmであることが好ましい。
このようにして形成された分散ニッケルめっき皮膜は分散されたフッ素樹脂粒子を含有するために、共析率が高い場合には特にその表面に凝集した粒子が表出することによる凹凸が生じる。本発明においては、めっき液中に疎水性基としてパーフルオロアルケニル基を含み、親水性基として4級アンモニウムの臭素塩を含むフッ素系界面活性剤を含有させることによりフッ素樹脂粒子の共析率及び分散性が顕著に向上し、共析率が高い場合にも表面の平滑性が高い皮膜が形成される。
形成された分散ニッケルめっき皮膜の表面粗さとしては、中心線平均粗さ(Ra)で0.1847〜0.2097、さらには0.1869〜0.1914であることが好ましい。また、十点平均高さ(Rz)としては、1.7614〜2.5812、さらには1.7903〜2.3524であることが好ましい。なお、中心線平均粗さ及び十点平均高さは、それぞれ、走査型レーザー顕微鏡を用いて測定することができる。
このようにして形成された分散ニッケルめっき皮膜は、表面潤滑性が要求される各種基材のコーティング材として好ましく用いられる。具体的には、例えば、摺動性が要求される圧縮金属ワイヤーメッシュからなるガスケットの表面や、金属製軸受等の部材の摺動性改良に好ましく用いられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明の範囲は下記実施例の内容に限定されるものではない。
[実施例1]
下記組成の電気ニッケルめっき液を用いて下記条件で厚み0.1mmのSUS板(縦30mm,横30mm)に電気めっきを行うことにより、厚み約10μmの、フッ素樹脂粒子を分散させた分散ニッケルめっき皮膜を得た。
(電気ニッケルめっき液組成)
スルファミンニッケル 350g/L
塩化ニッケル 45g/L
ホウ酸 40g/L
疎水性基としてパーフルオロアルケニル基を含み、親水性基として4級アンモニウムの臭素塩を含むカチオン系のフッ素系界面活性剤((株)ネオス製のフタージェント320)
0.5g/L
PTFE粒子(ダイキン工業(株)製のルブロンL-5、平均粒子径5μm)
60g/L
(条件)
pH 4.0
陰極電流密度 5A/dm2
陽極 ニッケル板
温度 45℃
撹拌 機械撹拌
めっき時間 10分
そして、得られた分散ニッケルめっき皮膜の十点平均高さRz及び中心線平均粗さRaを走査型レーザー顕微鏡(OLYMPUS LEXT3100)を用いて観察倍率500倍で測定した。その結果十点平均高さRzは2.127であり、中心線平均粗さRaは0.1929であった。測定で得られた走査型レーザー顕微鏡写真の鳥瞰図を図2に示す。また、図3に、得られた分散ニッケルめっき皮膜を走査型電子顕微鏡(JSM-7001F(日本電子(株)製)を用いて観察倍率7000倍で撮影したときの画像を示す。また、得られた分散ニッケルめっき皮膜中のフッ素樹脂粒子の共析率は23体積%であった。
[比較例1]
下記組成の無電解ニッケルめっき液を用いて下記条件で厚み0.1mmのSUS板(縦30mm,横30mm)に無電解めっきを行うことにより、厚み約10μmの、フッ素樹脂粒子を分散させた分散ニッケルめっき皮膜を得た。
(無電解ニッケルめっき液組成)
硫酸ニッケル 20g/L
次亜リン酸ナトリウム 24g/L
乳酸 27g/L
プロピオン酸 2g/L
PTFE粒子(ダイキン工業(株)製ルブロンL-5、平均粒子径5μm)
5g/L
(条件)
pH 4.5
温度 90℃
撹拌 機械撹拌
めっき時間 60分
そして、得られたフッ素分散ニッケルめっき皮膜の平滑性を実施例1と同様にして評価した。その結果、十点平均高さRzは3.4451であり、中心線平均粗さRaは0.4354あった。また、測定で得られた顕微鏡写真の鳥瞰図を図4に示す。
[比較例2]
実施例1において用いた、疎水性基としてパーフルオロアルケニル基を含み、親水性基として4級アンモニウムの臭素塩を含むフッ素系界面活性剤((株)ネオス製のフタージェント320)の代わりに、疎水性基としてパーフルオロアルケニル基を含み、親水性基としてスルホン酸ナトリウム塩を含むアニオン系のフッ素系界面活性剤((株)ネオス製のフタージェント100)を用いた下記組成の電気ニッケルめっき液を用いて下記条件で厚み0.1mmのSUS板(縦30mm,横30mm)に電気めっきを行うことにより、厚み約10μmの、フッ素樹脂粒子を分散させた分散ニッケルめっき皮膜を得た。
(電気ニッケルめっき液組成)
スルファミンニッケル 350g/L
塩化ニッケル 45g/L
ホウ酸 40g/L
疎水性基としてパーフルオロアルケニル基を含み、親水性基としてスルホン酸ナトリウム塩を含むアニオン系のフッ素系界面活性剤((株)ネオス製のフタージェント100)
0.5g/L
PTFE粒子(ダイキン工業(株)製のルブロンL-5、平均粒子径5μm)
60g/L
(条件)
pH 4.0
陰極電流密度 5A/dm2
陽極 ニッケル板
温度 45℃
撹拌 機械撹拌
めっき時間 10分
図5に、得られた分散ニッケルめっき皮膜の走査型レーザー顕微鏡写真の鳥瞰図を、図6に走査型電子顕微鏡を用いて観察倍率7000倍で撮影したときの画像を示す。また、得られた分散ニッケルめっき皮膜中のフッ素樹脂粒子の共析率は0体積%であった。
[比較例3]
実施例1において用いた、疎水性基としてパーフルオロアルケニル基を含み、親水性基として4級アンモニウムの臭素塩を含むフッ素系界面活性剤((株)ネオス製のフタージェント320)の代わりに、疎水性基としてパーフルオロアルケニル基を含み、親水性基としてトリメチルアンモニウム塩を含むカチオン系のフッ素系界面活性剤(AGCセイミケミカル(株)製のサーフロン221)を用いた下記組成の電気ニッケルめっき液を用いて下記条件で厚み0.1mmのSUS板(縦30mm,横30mm)に電気めっきを行うことにより、厚み約10μmの、フッ素樹脂粒子を分散させた分散ニッケルめっき皮膜を得た。
(電気ニッケルめっき液組成)
スルファミンニッケル 350g/L
塩化ニッケル 45g/L
ホウ酸 40g/L
疎水性基としてパーフルオロアルケニル基を含み、トリメチルアンモニウム塩を含むカチオン系のフッ素系界面活性剤(AGCセイミケミカル(株)製のサーフロン221)
0.5g/L
PTFE粒子(ダイキン工業(株)製のルブロンL-5、平均粒子径5μm)
60g/L
(条件)
pH 4.0
陰極電流密度 5A/dm2
陽極 ニッケル板
温度 45℃
撹拌 機械撹拌
めっき時間 10分
図7に、得られた分散ニッケルめっき皮膜の走査型レーザー顕微鏡写真の鳥瞰図を、図8に走査型電子顕微鏡を用いて観察倍率7000倍で撮影したときの画像を示す。また、得られた分散ニッケルめっき皮膜中のフッ素樹脂粒子の共析率は7体積%であった。
[比較例4]
実施例1において用いた、疎水性基としてパーフルオロアルケニル基を含み、親水性基として4級アンモニウムの臭素塩を含むフッ素系界面活性剤((株)ネオス製のフタージェント320)の代わりに、ベタイン型の両性界面活性剤((株)ネオス製のフタージェント410)を用いた下記組成の電気ニッケルめっき液を用いて下記条件で厚み0.1mmのSUS板(縦30mm,横30mm)に電気めっきを行うことにより、厚み約10μmの、フッ素樹脂粒子を分散させた分散ニッケルめっき皮膜を得た。
(電気ニッケルめっき液組成)
スルファミンニッケル 350g/L
塩化ニッケル 45g/L
ホウ酸 40g/L
ベタイン型の両性界面活性剤((株)ネオス製のフタージェント410)
0.5g/L(有効成分量)
PTFE粒子(ダイキン工業(株)製のルブロンL-5、平均粒子径5μm)
60g/L
(条件)
pH 4.0
陰極電流密度 5A/dm2
陽極 ニッケル板
温度 45℃
撹拌 機械撹拌
めっき時間 10分
図9に得られた分散ニッケルめっき皮膜の走査型レーザー顕微鏡写真の鳥瞰図を、図10に走査型電子顕微鏡を用いて観察倍率7000倍で撮影したときの画像を示す。また、得られた分散ニッケルめっき皮膜中のフッ素樹脂粒子の共析率は0体積%であった。
本発明に係る実施例1の、疎水性基としてパーフルオロアルケニル基,親水性基として4級アンモニウムの臭素塩を含むフッ素系界面活性剤を添加した電気ニッケルめっき液を用いて得られたフッ素樹脂粒子を分散させたニッケルめっき皮膜は、図2に示すように極めて平滑性が高く、非常になめらかな表面を有する皮膜であった。実施例1の分散ニッケルめっき皮膜は、図3のSEM写真を観察しても極めて平滑性が高い皮膜であることがわかる。また、皮膜中のフッ素樹脂粒子の共析率は23体積%と顕著に高かった。一方、例えば、疎水性基としてパーフルオロアルケニル基を含み、親水性基としてスルホン酸ナトリウム塩を含むアニオン系のフッ素系界面活性剤((株)ネオス製のフタージェント100)を添加した電気ニッケルめっき液を用いて得られた比較例2のニッケルめっき皮膜の場合、フッ素樹脂粒子の共析率は0体積%であるにもかかわらず、図5及び図6に示すように平滑性が著しく低い表面を有する皮膜であった。また、例えば、疎水性基としてパーフルオロアルケニル基を含み、親水性基としてトリメチルアンモニウム塩を含むカチオン系のフッ素系界面活性剤(AGCセイミケミカル(株)製のサーフロン221)を添加した電気ニッケルめっき液を用いて得られたフッ素樹脂粒子を分散させた比較例3のニッケルめっき皮膜の場合、共析率は7体積%であるにもかかわらず、図7及び図8に示すように実施例1よりも平滑性が低い表面を有する皮膜であった。また、例えば、ベタイン型の両性界面活性剤((株)ネオス製のフタージェント410)を添加した電気ニッケルめっき液を用いて得られた比較例4のニッケルめっき皮膜の場合、フッ素樹脂粒子の共析率は0体積%であるにもかかわらず、図9及び図10に示すように平滑性が低い表面を有する皮膜であった。
本発明は、めっき液を頻繁に交換する必要がないコスト性に優れた電気めっき法によりフッ素樹脂粒子を分散させた分散ニッケルめっき皮膜を形成する場合において、高い共析率で表面平滑性の高いめっき皮膜を形成することができる。このような分散ニッケルめっき皮膜は、摺動性が要求される各種基材に対する表面コートとして広く用いられうる。
1 めっき液
2 導電性のクリップ
3 被処理物
4 陽極板
10 めっき槽

Claims (4)

  1. フッ素樹脂粒子分散ニッケルめっき皮膜を電気めっき法により形成するための電気ニッケルめっき液であって、
    フッ素樹脂粒子と、疎水性基としてパーフルオロアルケニル基,親水性基として4級アンモニウムの臭素塩を含むフッ素系界面活性剤とを含むことを特徴とする電気ニッケルめっき液。
  2. 前記フッ素系界面活性剤は、下記一般式(I):
    〔式中、R〜Rは炭素数1〜4の直鎖または分枝を有するアルキル基、mは2〜4の整数、Yは酸素原子(O)またはNR(Rは、水素原子、または炭素数1〜4の直鎖または分枝を有するアルキル基)〕
    で表される臭化フルオロアルキルトリアルキルアンモニウム塩である請求項1に記載の電気ニッケルめっき液。
  3. 前記フッ素系界面活性剤を0.01〜10g/L含む請求項1または2に記載の電気ニッケルめっき液。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の電気ニッケルめっき液中に、導電性を有する被処理物を浸漬する工程と、
    前記被処理物に通電することによりめっき皮膜を成膜する工程と、を備えるフッ素樹脂粒子分散ニッケルめっき皮膜の形成方法。

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