JP4993858B2 - タングステン−リン系合金電気めっき皮膜 - Google Patents
タングステン−リン系合金電気めっき皮膜 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4993858B2 JP4993858B2 JP2005021529A JP2005021529A JP4993858B2 JP 4993858 B2 JP4993858 B2 JP 4993858B2 JP 2005021529 A JP2005021529 A JP 2005021529A JP 2005021529 A JP2005021529 A JP 2005021529A JP 4993858 B2 JP4993858 B2 JP 4993858B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- bath
- electroplating
- acid
- film
- nickel
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Electroplating And Plating Baths Therefor (AREA)
- Electroplating Methods And Accessories (AREA)
Description
さらに詳述すると、工業用機器を構成する構造材の多くは鉄鋼であり、その成型加工には種々の工具、機械、金型、ロール等が用いられる。これらの加工器具の耐久性が生産コストに影響することはいうまでもない。したがって、これらの加工器具の耐久性は大きな関心事であり、構造材自体の特性向上に加えて、表面の硬度を高める方法が講じられてきた。その代表例が六価クロム酸を主成分とするクロムめっき皮膜であり、光沢と硬度の二つを具備するため70年余にわたって幅広く用いられてきたが、毒性の問題から望ましくなく、代替技術が検討されている。
たとえば、Ni−P、Co−Sn、Ni−B、Ti−Ni等のめっきも開発され、さらにW系めっきも検討されている。たとえば、無電解めっきでは硫酸ニッケルを主成分に次亜リン酸ソーダ浴、そして電解めっきでは亜リン酸ソーダ浴等を用いて、Ni−Pの共析により得られた皮膜を熱処理すればHv1000以上の表面硬度が得られ、この皮膜がクロム金属皮膜と類似することから代替法として広く用いられている。しかしながら、これらの方法においては、次亜リン酸ソーダは酸化されて亜リン酸イオンとして浴中に蓄積され、均一な析出を妨害する。また、さらにWも析出させるとき、水素イオンを発生し、浴のpHを変化させるためにpH7.0のW析出条件に影響を及ぼす、等の難点がある。
得ることができるめっき方法を見出すために種々検討を行ない、意外にもWを主としNiを従とした浴を用いることにより到達したものであり、耐磨耗性、耐食性に優れ、摩擦係数の小さいW−P系合金を得るための電気めっき浴、それを用いる電気めっき方法ならびに得られるW−Ni−P系合金めっき皮膜を提供するものである。
(1)W含有量40.0〜50.0wt%、Ni含有量48.0〜59.0wt%およびP含有量1.0〜2.0wt%であり、ビッカ−ス硬さがHv800〜2500であるW−Ni
−P系合金電気めっき皮膜、である。
Wイオンの供給源としては、タングステン酸もしくはタングステン酸塩が、好ましくはタングステン酸イオンとして150〜300g/L含有するように用いられる(基本塩)。タングステン酸もしくはタングステン酸塩として、たとえばリンタングステン酸、リンタングステン酸アンモニウム、リンタングステン酸ソーダもしくはリンタングステン酸カリウム、無水タングステン酸(三酸化タングステン)、無水タングステン酸アンモニウムもしくは無水タングステン酸ソーダ等の1種以上、が好適に用いられる。
Niイオンの供給源としては、Ni塩をNi金属として好ましくは15〜100g/L含有するように用いられる(補助塩)。Niとしては、たとえばクエン酸ニッケル、シュウ酸ニッケル、酒石酸ニッケル、ギ酸ニッケル、酢酸ニッケル、硝酸ニッケル、リン酸ニッケル、ステアリン酸ニッケル、スルファミン酸ニッケル等の塩類の1種以上、が好適に用いられる。
さらに、本発明における浴には、たとえば安定化剤、緩衝剤、光沢剤、錯化剤等を適宜配合しうる。安定化剤としては、たとえばホウ酸アンモニウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸カルシウム、フッ化アンモニウムもしくはフッ化カリウムの1種以上を好ましくは15〜30g/L、使用しうる。緩衝剤としては、皮膜の緻密さを得る、ピンホールを減少させる、等の目的で界面活性剤、等を少量(たとえば、15〜100g/L)添加しうる。界面活性剤としてはカチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性系のいずれでもよい。たとえばカチオン系界面活性剤としてはアルキルアミン酢酸塩、テトラアルキルアンモニウムハライド等、アニオン系界面活性剤としてはアルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩等、ノニオン系界面活性剤としてはポリオキシアルキレン脂肪酸アミド、グリセリン脂肪酸エステル等、そして両性系界面活性剤としてはジメチルアルキルベタイン、アルキルポリアミノエチルグリシン等が挙げられる。
また、光沢剤は、皮膜の粉末化を抑制し、緻密で光沢性が向上した表面を得られやすくするために少量、たとえば5〜15g/L、を添加しうる。光沢剤としては、たとえばアルコキシ基、芳香族アルデヒド基等を有する化合物、たとえばアルコキシル化ブチンジオール、2−メトキシ−1−アルデヒド等、が挙げられる。さらに、浴中での析出を抑制するために錯化剤として有機酸もしくは有機酸塩を有機酸イオンとして50〜400g/L含有する(補助塩由来も含めて)ように用いるのが好ましい。有機酸もしくは有機酸塩としては、たとえばクエン酸、シュウ酸、酒石酸、ギ酸、酢酸、乳酸、リンゴ酸もしくはそれらの塩、たとえばアンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
以上のように、本発明のW−P系合金電気めっき浴は、Wを主体に浴が構成され、Ni等を、たとえば従来のNi浴の10分の1以下、好適には20分の1以下に低減することによりWの析出を促進し、しかも従来の方式に比して厳密な浴の生産管理を必要としない。
本発明におけるW−P系合金の電気めっき方法は、上記のW−P系合金電気めっき浴を用いて、電気めっきを行なうものである。電気めっきによりW−P系合金皮膜を形成される材料としては特に制限されず、金属、導電性樹脂、もしくは表面に導電性材料を付与された非導電性材料、等が挙げられる。好ましくは、これらの材料は常法により洗浄等の下地処理して電気めっきに供される。
電気めっきは、浴温40〜90℃、pH3.0〜9.0および電流密度0.3〜20A/ dm2で電気めっきを行なうのが好ましく、さらに好ましくは浴温45〜70℃、pH5.0〜7.0および電流密度3〜10A/ dm2で攪拌下に行なう。時間は、上記の条件および目的とする皮膜厚さによるが、通常20〜120分間程度である。陽極板としては、WまたはWとNi、Co、Ti、MoもしくはFeが好適に使用される。
つぎに、これらの成分を用いた代表的な建浴の一例を示す。
リンタングステン酸 150〜300g/L
酒石酸ニッケル 5〜100g/L
ピロリン酸カリウム 500〜600g/L
ホウ酸ソーダ 10〜30g/L
電流密度 3〜10A/dm2
pH 5.0〜7.0
浴温 45〜70℃
撹拌 循環方式
時間 20〜30分間
陽極 WおよびNi
電気めっき浴におけるタングステン供給源の補給は、上記のように陽極板にWを使用するときには、その溶出によっても補給されうるが、W陽極板からの溶出はpH値によって変動し、pHが高いほど溶出が多く、陽極板表面は光輝状態であり、溶出が少ないときは鼠色である。したがって、この陽極板表面をモニターすることによりタングステン供給源の補給の要否を判断しうる。皮膜の厚さは目的により適宜選定しうるが、通常5〜15μm程度である。
本発明の電気めっきにおいて、たとえばピロリン酸浴を用いるとき、Ni−PがW−Pより優先して析出され易いので、電解条件によってはNiの含量は当初大きく、ついで小さく、一方Wの含量は当初小さく、ついで大きくなる傾向がみられる。すなわち、Wの含量は、下地側よりも表面側で大きいので、好適である。
得られるW−P系合金めっき皮膜、たとえばW−Ni−P系合金めっき皮膜は、W含有量35.0〜55.0wt%、Ni含有量52.5〜64.3wt%およびP含有量0.7〜2.5wt%であり、ビッカ−ス硬さがHv800〜2500であり、さらに好適にはW含有量40.0〜50.0wt%、Ni含有量48.0〜59.0wt%およびP含有量1.0〜2.0wt%であり、ビッカ−ス硬さがHv1500〜2500である。
得られたW−P系合金めっき皮膜上にさらにクロムめっきして鏡面を得ることができるが、この場合、化学エッチング等の常法により、予めエッチング処理しておくのが好適である。
実施例1
W−Ni−P系合金めっき液として、リンタングステン酸250g/L、酒石酸ニッケル50g/L、ピロリン酸カリウム500g/L、ホウ酸ソーダ20g/Lのめっき液600mLを用いて、陽極板にWおよびNi、そして陰極板にCuを使用し、浴温50℃、pH6.5、電流密度5A/dm2のめっき条件で30分間、撹拌下に電気めっきを行った。
得られたW−Ni−P合金電気めっき皮膜は、厚さ約10μmであり、光輝性に富み、W含有量約43wt%、Ni含有量約56wt%およびP含有量約1wt%であり、ビッカ−ス硬さはHv1000以上であった。
実施例2
W−Ni−P系合金めっき液として、タングステン酸ナトリウム200g/L、硫酸ニッケル50g/L、クエン酸200g/L、酒石酸60g/L、ブチンジオール50g/L、ピロリン酸カリウム300g/Lのめっき液600mLを用いて、陽極板にWおよびNi、そして陰極板にFeを使用し、浴温65℃、pH5.0、電流密度0.5〜2A/dm2のめっき条件で1時間、撹拌下に電気めっきを行った。
得られたW−Ni−P合金電気めっき皮膜は、厚さ約15μmであり、光輝性に富み、ビッカ−ス硬さはHv1200であった。
比較例1
硫酸ニッケル200g/Lを用いる以外は実施例2と同様にして電気めっきを行った。その結果、極端にNiの析出が優先して起こり、大部分のWイオンは浴中に残存したままであった。得られたW−Ni−P合金電気めっき皮膜のビッカ−ス硬さはHv600であった。
Claims (1)
- W含有量40.0〜50.0wt%、Ni含有量48.0〜59.0wt%およびP含有量1.0〜2.0wt%であり、ビッカ−ス硬さがHv800〜2500であるW−Ni−P系合金電気めっき皮膜。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005021529A JP4993858B2 (ja) | 2005-01-28 | 2005-01-28 | タングステン−リン系合金電気めっき皮膜 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005021529A JP4993858B2 (ja) | 2005-01-28 | 2005-01-28 | タングステン−リン系合金電気めっき皮膜 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006206970A JP2006206970A (ja) | 2006-08-10 |
JP4993858B2 true JP4993858B2 (ja) | 2012-08-08 |
Family
ID=36964143
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005021529A Expired - Fee Related JP4993858B2 (ja) | 2005-01-28 | 2005-01-28 | タングステン−リン系合金電気めっき皮膜 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4993858B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101928967B (zh) * | 2010-08-30 | 2011-08-24 | 赵汝山 | 钴-钨-镍-磷合金电镀液 |
KR101229500B1 (ko) * | 2012-07-09 | 2013-02-04 | 이을규 | 티타늄 전기도금액 및 도금방법 |
CN117779130B (zh) * | 2024-02-23 | 2024-05-31 | 昆山一鼎工业科技有限公司 | 一种晶圆电镀钨合金溶液、配制方法和电镀方法 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS53103937A (en) * | 1977-02-23 | 1978-09-09 | Janome Sewing Machine Co Ltd | Ironntungsten alloy plating liquid |
JPH0711409A (ja) * | 1993-06-29 | 1995-01-13 | Nkk Corp | 亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
JP4618907B2 (ja) * | 2001-02-14 | 2011-01-26 | 株式会社サトーセン | ニッケル−タングステン−リン合金皮膜及びそのめっき液 |
-
2005
- 2005-01-28 JP JP2005021529A patent/JP4993858B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2006206970A (ja) | 2006-08-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US20200308723A1 (en) | Electroplating bath containing trivalent chromium and process for depositing chromium | |
TWI409367B (zh) | Electrolytic gold plating and the use of its gold film | |
TWI475134B (zh) | Pd及Pd-Ni電解液 | |
Dolati et al. | The electrodeposition of quaternary Fe–Cr–Ni–Mo alloys from the chloride-complexing agents electrolyte. Part I. Processing | |
JP4945193B2 (ja) | 硬質金合金めっき液 | |
JP2015165053A (ja) | 電着浴、電着システム、及び電着方法 | |
JP2011520037A (ja) | 改良された銅−錫電解液及び青銅層の析出方法 | |
US2693444A (en) | Electrodeposition of chromium and alloys thereof | |
JP3985904B2 (ja) | ニッケル−タングステン合金めっき液及びニッケル−タングステン合金めっき皮膜の形成方法 | |
JPWO2020009096A1 (ja) | 3価クロムメッキ液およびこれを用いたクロムメッキ方法 | |
JP2004536219A (ja) | スズ合金沈着用の電解質媒体及びスズ合金の沈着方法 | |
JP4993858B2 (ja) | タングステン−リン系合金電気めっき皮膜 | |
TW200930844A (en) | Method of obtaining a yellow gold alloy deposition by galvanoplasty without using toxic metals or metalloids | |
JP2007308801A (ja) | ニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物及びその用途 | |
JP6960677B2 (ja) | 無電解Ni−Fe合金めっき液 | |
JP5142571B2 (ja) | アンチモンもしくはその合金の電気めっき浴 | |
JP2002241986A (ja) | Ni−W−P合金めっき液及びその連続めっき方法 | |
JP6542437B1 (ja) | 光沢ニッケルめっき方法及び光沢ニッケルめっき皮膜の制御方法。 | |
TW202024401A (zh) | 熱穩定銀合金層 | |
JPWO2019117230A1 (ja) | 3価クロムメッキ液およびこれを用いた3価クロムメッキ方法 | |
JP2023553958A (ja) | 硬質銀層の堆積のための銀-ビスマス電解液 | |
JP2009149978A (ja) | 銅−亜鉛合金電気めっき浴およびこれを用いためっき方法 | |
KR20190133705A (ko) | 적어도 하나의 기판 상에 크롬 또는 크롬 합금 층을 석출하기 위한 제어된 방법 | |
JP4618907B2 (ja) | ニッケル−タングステン−リン合金皮膜及びそのめっき液 | |
US2489523A (en) | Electrodeposition of tin or lead-tin alloys |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20071227 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20101101 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20101130 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110131 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20111025 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20111226 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120124 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120322 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20120410 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20120508 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150518 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |