JP2007308801A - ニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物及びその用途 - Google Patents

ニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物及びその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】ニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物、該ニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物を有する電気メッキ溶液及び該電気メッキ溶液を用いる表面処理方法を提供する。
【解決手段】本発明によるニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物はニッケル塩、コバルト塩、リン酸含有化合物、並びに、トリエチレン・テトラアミン、ジエチレン・トリアミン及びヒドラゾベンゼンを含む多座キレート剤を有する。また、前記ニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物を含む電気メッキ溶液とこの電気メッキ溶液を用いる材料表面処理方法も提供される。
【選択図】図2

Description

本発明は、電気メッキに関し、具体的に、ニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物、当該ニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物を有する電気メッキ溶液及び当該電気メッキ溶液を用いる表面処理方法に関する。
従来技術では、基板(Substrate)の使用目的に応じて基板の表面に対して電気メッキを行うことが知られている。例えば、表面の輝度を向上するために貴金属電気メッキを行い、表面の硬度と耐摩耗性を向上するためにクロム電気メッキを行い、耐食性を向上するために錫鉛電気メッキを行い、及び、導電性を向上するために銀又は銅電気メッキを行う。特に、クロム電気メッキは、硬度が高く、耐食性と耐摩耗性が良いので、材料の表面処理に幅広く用いられる。しかし、クロム電気メッキに用いられる電気メッキ溶液が有毒であり、また、その電気メッキ溶液によるクロム酸性残液を処理することも難しいので、クロム電気メッキは環境問題を招いており、また、クロム電気メッキによる製品の輸入はヨーロッパの数国により禁止されている。
また、ニッケル電気メッキは、輝度が高く、耐摩耗性と耐食性が良いので、それも材料の表面処理に幅広く用いられる。しかし、純ニッケル電着物の硬度が低いので、他の金属と共に使用してニッケル合金被覆物を形成することにより、その硬度が改善される。例えば、ニッケル・コバルト(Ni/Co)合金被覆物は、その耐摩耗性が良く、硬度が高いので、成形型(Molding Tool)と耐穿孔切断工具(Punching−Resistant Cutting Tool)に、例えばコンパクト・ディスク製造用のメス型の表面の形成と連続作製装置用の銅金型の表面の形成に良く応用される。ニッケル・コバルト(Ni/Co)合金の他、ニッケル・タングステン(Ni/W)合金、ニッケル・マンガニーズ(Ni/Mn)合金、ニッケル・リン(Ni/P)合金又はニッケル鉄(Ni/Fe)合金からなる被覆物も用いられる。ところで、このような合金被覆物は、純金属被覆物より高い強度と硬度を持つが、内部応力と脆さの問題を有する。
特許文献1には、メタンスルホン酸ニッケル(Nickel Methanesulfonate)などのアルカンスルホン酸ニッケル(Nickel Alkane Sulfonate)を含む電気メッキ浴により形成されたニッケル・リン合金被覆物が開示される。メタンスルホン酸ニッケルは、電気メッキ浴においてNi(CHSOイオンに解離され、メッキ中に陰極に移動する。そのため、Ni2+イオンがNi(CHSOイオンから解離され、陰極に堆積される。このように形成された(CHSO2−イオンがマイナスの陰極によりはね返され、結果的に分極(Polarization)がない。よって、特許文献1の実施例に実施された陰極の堆積効率が80%以下であり、そのように形成されたニッケル・リン合金被覆物が脆い。また、特許文献1には、他の金属を電気メッキ浴に添加し三成分の合金被覆物を形成しても良いとのことも記載されている。しかし、合金被覆物の各々の成分が独立的にキレートされるので、電気メッキ浴に含有される他の金属、例えばコルバトが、結果的に、電気メッキ浴における電流の高いと低い領域において不均一に堆積される傾向がある。また、電気メッキ浴への他の金属の添加が、電気メッキ浴の電荷バランス及び形成された合金被覆物の性質に変化を生じさせる。従って、他の金属を電気メッキ浴に添加する場合、所望の多金属合金を形成するために、他のパラメータ、例えば、電気メッキ浴のイオン濃度、温度、組成、PH値及びメッキ中に印加された電流密度を調整する必要がある。また、他の金属の添加が合金被覆物の内部応力と脆さの問題を悪化させる可能性もある。特に、CO2+、CO3+、亜リン酸及び次亜リン酸イオンが、電気メッキ浴において小さい溶解度積を有し、容易に沈殿されるので、多成分の合金被覆物を形成するための製造コストを増加させる可能性がある。
特許文献2には、ニッケル・コバルト・リン合金を電着させるための電気メッキ浴が開示される。その電気メッキ浴は、硫酸ニッケル、硫酸コバルト、次亜リン酸又は次亜リン酸塩、ホウ酸又はホウ酸塩、単座有機酸又は単座有機酸塩、及び多座有機酸又は多座有機酸塩を含む。次亜リン酸又は次亜リン酸塩は、電気メッキ浴のリンのソースとして使用され、電気メッキ浴のPH値は、3〜4.5の範囲内に制御される。亜リン酸イオンとコバルトイオン(CO2+又はCO3+)は、PH値が4であるときに10−6より小さい溶解度積を有し、また、容易に沈殿されるので、亜リン酸コバルトのコロイドを形成させる。従って、電気メッキ浴は不安定であり、操作が難しい。また、不要な懸濁物質が電気メッキ浴に形成されるので、電気メッキセルに電気メッキの失敗を生じさせる。
また、特許文献2には、次亜リン酸ナトリウムが、ニッケル・コバルト・リン合金電着物のリンのソースとして使用される。ナトリウムイオンが次亜リン酸ナトリウムから釈放され、余分な水素フリーラジカルを生じさせる。釈放された水素フリーラジカルがニッケルシード(Nickel Seed)に浸透し、ニッケル・コバルト・リン合金電着物の水素脆化を生じさせる。また、特許文献2の電気メッキ浴において、グリコール酸とリンゴ酸などの有機酸が多座キレート剤として使用される。しかし、有機酸とニッケルイオンのキレート能力がコバルトイオンとのキレート能力より高く、ニッケルイオンの分極(Polarization)がコバルトイオンの分極より高い。従って、低電流領域に形成されたニッケル・コバルト・リン合金電着物のコバルト含有量が、高電流領域に形成されたニッケル・コバルト・リン合金電着物のコバルト含有量より高い。低電流領域と高電流領域にそれぞれ形成されたニッケル・コバルト・リン合金電着物のコバルトとニッケル金属の含有量の差が、形成された電着物の硬度の不均一性、内部電池効果(Internal Battery Effect)、及び大きな内部応力といった問題を生じさせる。
よって、低コストの下で、内部応力が低く、硬度が高く、耐食性が良好なニッケル・コバルト・リン電着物の形成に相応しいニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物を提供する必要が依然ある。
米国特許第6,099,624号公報 米国特許第6,406,611号公報
本発明の目的は、内部応力が低く、硬度が高く、耐食性が良いなどの利点を有するニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物を提供することにある。
前述した課題を解決するために、本発明の一側面によれば、本発明は、ニッケル塩、コバルト塩、亜リン酸含有化合物並びに多座キレート剤(Multidentate Chelating Agent)を有するニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物を提供する。そのうち、多座キレート剤は、トリエチレン・テトラアミン(Triethylene Tetraamine)、ジエチレン・トリアミン(Diethylene Triamine)、ヒドラゾベンゼン(hydrazobenzene)を含む。
本発明の他の側面によれば、本発明は、ニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物と水を含み、PH値が0.2〜5の範囲内にある電気メッキ溶液を提供する。そのうち、ニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物は、水に溶解しニッケルイオンを形成するニッケル塩と、水に溶解しコバルトイオンを形成するコバルト塩と、水に溶解する亜リン酸含有化合物と、水に溶解する多座キレート剤とを有する。その多座キレート剤は、トリエチレン・テトラアミン、ジエチレン・トリアミン、ヒドラゾベンゼンを含む。
本発明の他の側面によれば、本発明は、材料の表面処理方法を提供する。この方法は、ニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物を含む電気メッキ溶液内に材料を置くステップと、材料の表面にニッケル・コバルト・リン電着物を形成するように所定の電流密度の下で電気メッキ溶液内に材料を電気メッキするステップと、を含む。そのうち、ニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物は、ニッケル塩、コバルト塩、亜リン酸含有化合物並びに多座キレート剤を有し、多座キレート剤は、トリエチレン・テトラアミン、ジエチレン・トリアミン、ヒドラゾベンゼンを含む。
本発明は、内部応力が低く、硬度が高く、耐食性が良いなどの利点を有するニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物を提供する。
次に、添付した図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の好適な実施例に係わるニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物と従来技術によるニッケル・コバルト・リン電着物の形成中における閾値電流の変化を示す閾値電流対印加電圧の図である。
図2は、本発明の好適な実施例に係わるニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物と従来技術によるニッケル・コバルト・リン電着物の形成中における閾値電流の変化を示す電流効率対印加電圧の図である。
本発明の好適な実施例におけるニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物は、ニッケル塩、コバルト塩、亜リン酸含有化合物並びに多座キレート剤を有し、そのうち、多座キレート剤は、トリエチレン・テトラアミン、ジエチレン・トリアミン、ヒドラゾベンゼンを含む。好ましくは、ニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物により形成されたニッケル・コバルト・リン電着物は、ニッケル・コバルト・リン電着物のトータル重量に基づいて、ニッケルが68.5〜94.5%を占め、コバルトが5〜15.5%を占め、リンが0.5〜16%を占める。
さらに好ましくは、ニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物に含まれる多座キレート剤がトリエチレン・テトラアミンである。
他の好適な実施例において、ニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物に含まれる亜リン酸含有化合物は、ナトリウムイオンを含んでいない(Sodium−free)亜リン酸含有化合物であり、このような亜リン酸含有化合物は、リン酸(Phosphorous Acid)、亜リン酸ニッケル、亜リン酸コバルトを含む。さらに好ましくは、このような亜リン酸含有化合物は、リン酸である。
また、他の好適な実施例において、ニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物に含まれるニッケル塩は、炭酸ニッケル、水酸化ニッケル並びに酸化ニッケルを含む。さらに好ましくは、ニッケル塩は、炭酸ニッケルと水酸化ニッケルの化合物である。
さらに、他の好適な実施例において、ニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物に含まれるコバルト塩は、炭酸コバルト、水酸化コバルト並びに酸化コバルトを含む。
本発明の好適な実施例に係わる電気メッキ溶液は、前述したニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物と水を含む。好ましくは、電気メッキ溶液は、そのPH値が0.2〜5の範囲内にある。さらに好ましくは、その電気メッキ溶液のPH値が1.2〜2の範囲内にある。一番好ましくは、その電気メッキ溶液のPH値が1.5〜1.9の範囲内にある。ニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物が水に溶解し、メッキ溶液においてニッケルイオン、コバルトイオン、並びにリンイオンを形成する。
他の好適な実施例において、電気メッキ溶液は、更に電解液を有し、この電解液は、リン酸、硫酸並びに塩酸を含む。
好ましくは、ニッケルイオンの濃度が20〜100g/lであり、コバルトイオンの濃度が0.5〜15g/lであり、リンイオンの濃度が5〜80g/lであり、電解液の濃度が20〜200g/lであり、他座キレート剤の濃度が20〜200g/lである。更に好ましくは、ニッケルイオンの濃度が40〜70g/lであり、コバルトイオンの濃度が4〜7g/lであり、リンイオンの濃度が20〜40g/lであり、電解液の濃度が100〜140g/lであり、他座キレート剤の濃度が60〜120g/lである。一番好ましくは、ニッケルイオンの濃度が55g/lであり、コバルトイオンの濃度が5.5g/lであり、リンイオンの濃度が30g/lであり、電解液の濃度が120g/lであり、他座キレート剤の濃度が90g/lである。
他の好適な実施例において、電気メッキ溶液に含まれる電解液は、リン酸(Phosphoric Acid)である。また、他の好適な実施例において、電気メッキ溶液に含まれる多座キレート剤は、トリエチレン・テトラアミン(Triethylene Tetraamine)である。
なお、電気メッキ溶液の多座キレート剤が200g/lより大きい場合、陰極効率(Cathode Efficiency)が小さくなり、それに対して、電気メッキ溶液の多座キレート剤が20g/lより小さい場合、電気メッキ溶液におけるニッケルイオンとコバルトイオンのイオン移動率の差が拡大する。
電気メッキ溶液のリンイオンが80g/lより大きい場合、形成されたニッケル・コバルト・リン電着物が脆すぎであり、それに対して、電気メッキ溶液のリンイオンが5g/lより小さい場合、形成されたニッケル・コバルト・リン電着物が低い硬度を有する。
電気メッキ溶液のニッケルイオンが100g/lより大きい場合、ニッケル・コバルト・リ電着物が低い硬度を有し、これに対して、電気メッキ溶液のニッケルイオンが20g/lより小さい場合、過量のコバルトイオンが必要となり、生産コストが大きくなる。
電気メッキ溶液のコバルトイオンが15g/lより大きい場合、過量のコバルトイオンが必要となり、生産コストも高くなり、これに対して、電気メッキ溶液のコバルトイオンが0.5g/lより小さい場合、形成されたニッケル・コバルト・リン電着物が低い硬度を有する。
また、本発明の電気メッキ溶液に適用した任意の添加物が添加されても良い。このような添加物は、当業者にとって周知であり、且つ適当に選択されることも可能であり、例えば、ニッケル・コバルト・リン電着物の反射特性を向上するための光沢剤、ニッケル・コバルト・リン電着物の平滑度を向上するための平滑剤、及びに湿潤剤を含む。
本発明による材料の表面処理方法は、当該材料を前述した電気メッキ溶液内に置くステップと、当該材料の表面にニッケル・コバルト・リン電着物を形成するように所定の電流密度の下で前記電気メッキ溶液内に当該材料を電気メッキするステップとを含む。
他の好適な実施例において、電気メッキ溶液内に材料を電気メッキするときの電気メッキ溶液の温度が40〜70℃の範囲内に維持される。さらに好ましくは、電気メッキ溶液の温度が50〜60℃の範囲内に維持される。
他の好適な実施例において、電気メッキ溶液内に材料を電気メッキするときの電流密度が0.5〜10A/dmである。さらに好ましくは、電流密度が1.5〜6A/dmである。
また、他の好適な実施例において、電気メッキ溶液内における材料の電気メッキが溶解しない陽極(Anode)により行われ、そのため、陽極から解離する不要なイオン、電気メッキ溶液のイオンバランスの崩れ、及び電気メッキ溶液の短絡などの問題を避けることができる。さらに好ましくは、溶解しない陽極は、プラチナチタンメッシュ(Platinum Titanium Mesh)から形成される。
また、他の好適な実施例において、電気メッキ溶液内に材料を電気メッキするときにイオン濃度調整剤を添加することにより、電気メッキ溶液のイオン濃度を所望の範囲内に維持することもできる。このようなイオン濃度調整剤は、炭酸ニッケル、水酸化ニッケル、酸化ニッケル、炭酸コバルト、水酸化コバルト、酸化コバルト、リン酸などを含む。
あるいは、電気メッキ溶液内における材料の電気メッキが完了後、電気メッキされた材料に対して熱処理を行うこともできる。好ましくは、電気メッキされた材料に対しての熱処理が200〜450℃の範囲内で行われる。
なお、ニッケル・コバルト・リン電着物が本発明の方法により材料の表面に形成される。具体的に言えば、形成されたニッケル・コバルト・リン電着物は、そのニッケルの重量が全体重量の68.5〜94.5%を占め、コバルトの重量が全体重量の5〜15.5%を占め、リンの住重量が全体重量の0.5〜16%を占める。また、本発明によれば、ニッケルの重量が全体重量の81%を占め、コバルトの重量が全体重量の6%を占める場合、材料の表面に形成されたニッケル・コバルト・リン電着物が優れた耐食性を有し、ニッケルの重量が全体重量の80%を占め、コバルトの重量が全体重量の11%を占める場合、ニッケル・コバルト・リン電着物が約1050Hvまでの最適な硬度を有することが分かっている。
また、メッキ後の熱処理が行われていない場合、材料に形成されたニッケル・コバルト・リン電着物が面心立方(FCC)結晶型を有し、ニッケル・コバルト固溶体、非晶質ニッケル・コバルト合金(γ型)、及びニッケル・コバルト固溶体の粒界にドープされ、或いは、無晶形ニッケル・コバルト合金に分散されるリンを含む。メッキ後の熱処理が約400℃で行われた場合、ニッケル・コバルト・リン電着物は、並列配置のNiPとCoPの体心立方(BCT)結晶型に分解される。このように形成された熱処理後のニッケル・コバルト・リン電着物は、ニッケルとコバルトを含有し、FCC結晶型を有する第一の固溶体と、NiPとCoPを含有し、BCT結晶型を有する第二の固溶体と、非晶質金属間化合物とを含む。そのうち、非晶質金属間化合物は、ニッケル、コバルト及びリンの内の少なくとも二つを含み、また、第一の固溶体と第二の固溶体の粒界に分散される。
本発明の方法により形成されたニッケル・コバルト・リン電着物は、メッキ後の熱処理が行われるかどうかにかかわれず、従来の合金被覆物より優れた物理及び化学特性を有する。
特に、メッキ後の熱処理を加えて形成されたニッケル・コバルト・リン電着物は、従来のニッケル電気メッキと同程度の反射能力を有し、その反射率の範囲が45〜65%である。また、メッキ後の熱処理を加えて形成されたニッケル・コバルト・リン電着物は、その中のレイヤードの厚さの平方と反比例する空隙率(Porosity)を有する。特に、前記ニッケル・コバルト・リン電着物は、30μmを超える厚さを有する場合、孔隙フリー(Pore−free)と見なされることも可能である。また、前記ニッケル・コバルト・リン電着物は、熱処理無しで、8.2〜8.4g/cmの密度を有するが、熱処理後、その密度が少し増加する。また、前記ニッケル・コバルト・リン電着物は、70〜85μΩ−cmの抵抗率を有し、また、約1Nの接触圧力による接触抵抗率が25〜35μΩ−cmである。この二つの抵抗率の値は共に、純ニッケルメッキ層の抵抗率の10倍である。さらに、前記ニッケル・コバルト・リン電着物は、−0.5〜0.1μV/Kの熱ポテンシャルと、純ニッケルメッキ層の電磁遮蔽効果の十分の一に相当する電磁遮蔽効果と、4.5〜5.5W/m℃の熱伝導率とを有する。
本発明の方法により材料の表面に形成されたニッケル・コバルト・リン電着物のレイヤードの厚さが実際の要求に応じて薄く又は厚くされても良く、それがそれぞれ電気メッキ(薄いメッキ層)又は電鋳メッキ(厚いメッキ層)と呼ばれる。
なお、ニッケル・コバルト・リン電着物の内部応力の測定が、内部応力のみでニッケル・コバルト・リン電着部を変形させ、そして、最初の形状を十分に回復できる力(単位がkgf/mm)を加えることにより行われる。加えられた力の値が正であれば、引張応力を示すが、負であれば、圧縮応力を示す。
また、ニッケル・コバルト・リン電着物の内部応力は、電着物が形成される基板に使用された材料に基づいて異なる。電気メッキの場合、基板が鋼からなるならば、熱処理無しのニッケル・コバルト・リン電着物の内部応力が2.5〜3.5kPa/mmであり、基板がアルミ合金からなるならば、熱処理無しのニッケル・コバルト・リン電着物の内部応力が7〜10kPa/mmであり、また、基板が銅からなるならば、熱処理無しのニッケル・コバルト・リン電着物の内部応力が2〜3kPa/mmである。それにもかかわらず、前述したニッケル・コバルト・リン電着物が堆積した基板が熱処理される場合、各々が−0.5〜0.5kPa/mmの内部応力を有する。一方、電鋳メッキの場合、熱処理無しのニッケル・コバルト・リン電着物の内部応力が0.5〜1kPa/mmであり、熱処理後のニッケル・コバルト・リン電着物の内部応力が−0.5〜0.5kPa/mmである。
本発明によるニッケル・コバルト・リン電着物の弾性係数が無電解メッキニッケルの弾性係数の5倍であり、また、電着物が形成される基板に使用された材料に基づいてその弾性係数も異なる。電気メッキの場合、熱処理無しのニッケル・コバルト・リン電着物の弾性係数が一般的に約200Gpa/mmに達する。電鋳メッキの場合、熱処理無しのニッケル・コバルト・リン電着物の弾性係数が一般的に約277Gpa/mmに達する。本発明によるニッケル・コバルト・リン電着物は、その引張強度が2,100Mpaに達し、無電解メッキニッケルの引張強度の2〜4倍であり、また、その引張率が8%に達する。
また、他の好適な実施例において、錫メッキ層が、本発明によるニッケル・コバルト・リン電着層に形成されてもよく、これにより、ニッケル・コバルト・リン電着層の構造強度を強化し、その強化された構造強度が650MPaに達することができる。従って、本発明によるニッケル・コバルト・リン電着物は、MILC−26074E、AMS2404B及びAMS2405の標準を満足し、また、鉄銅合金又は銅合金から作られ、頂部又は底部の保護層として使用される耐食プレートに相応しく用いられることもできる。
以下、具体的な実施例を挙げて詳細に説明する。
実施例に使用される化学物質
1、リン酸:市販の85%のリン酸溶液。
2、結晶亜リン酸塩:Merck社の市販の亜リン酸8504、次亜リン酸ナトリウム8467、亜リン酸カリウム7544、次亜リン酸カリウム7502、又は亜リン酸カルシウム1674。
3、トリエチレン・テトラアミン:Aldarich社の市販の112−24−3号商品。
4、炭酸コバルト:Merck社の市販の2391号商品。
5、炭酸水酸化ニッケル:奥野製薬工業株式会社の市販の123987A1号商品。
6、ラウリルスルホン酸ナトリウム:Fluka社の市販の151−21−3号商品。
7、1−ナフトール−4,6,9−トリスルホン酸ナトリウム塩:Merck社の市販の1873号商品。
8、クマリン2543:Merck社の市販商品。
実施例に使用される装置
1、ハルセル(Hull Cell):Jun−Guang社の市販商品。
2、原子吸光分光光度計:Model 906AA、GBC社の市販商品。
電気メッキ溶液の生成
例1
450mlの水、142gのリン酸、30gのリン酸結晶体、20gの炭酸コバルト、及び90gのトリエチレン・テトラアミンをミックスし、かき混ぜて混合物を生成する。そして、混合物のPH値が1.9に達するまでにニッケル・コバルトを徐々に混合物に入れる。次に、混合中に生成した二酸化炭ガスが混合物から消えた後、混合物の容積が1リットルに達するまでに1Lの水を混合物に入れる。このように形成された電気メッキ溶液は、55g/lのニッケルイオン、5.5g/lのコバルトイオン、120g/lのリン酸イオン、30g/lの亜リン酸イオン、及び90g/lのトリエチレン・テトラアミンを含む成分を有する。
比較例1
450mlの水、142gのリン酸、30gのリン酸結晶体、及び20gの炭酸コバルトをミックスし、かき混ぜて混合物を形成する。そして、混合物のPH値が1.9までに達するまでにニッケル・コバルトを徐々に混合物に入れる。次に、二酸化炭ガスが混合物から消えた後、混合物の容積が1リットルに達するまでに1Lの水を混合物に添加する。このように形成された電気メッキ溶液は、55g/lのニッケルイオン、5.5g/lのコバルトイオン、120g/lのリン酸イオン、及び30g/lの亜リン酸イオンを含む成分を有する。
例1の電気メッキ溶液によるニッケル・コバルト・リン電着物サンプルの形成
サンプルSE1〜SE6
例1に生成された電気メッキ溶液に20ppmのラウリルスルホン酸ナトリウムと2g/lの1−ナフトール−4,6,9−トリスルホン酸ナトリウム塩を入れ、電気メッキ浴を形成する。そして、この電気メッキ浴をハルセルに導入する。ハルセルは、電気メッキ浴の温度が55℃、印加される定電流が10.0Aの条件で操作される。プラチナチタンメッシュと10cm×5cmの銅基板がハルセルに置かれて、それぞれ、陽極と陰極として使用される。実験が時間単位で160時間行われる。毎時の終わりに、ニッケル・コバルト・リン電着物が形成された銅基板を電気メッキ浴から取り出し、続いて、新しい銅基板を電気メッキ浴に置いて、次の1時間の電着物の堆積を行う。また、毎時のはじめに、電気メッキ溶液のニッケルとコバルトの濃度が最初の濃度に再調整される。電着物が堆積された基板の各々が、高電流領域に形成された一端から低電流領域に形成された他の端への順で、同じサイズの四つの部分に切断される。四つの部分は、それぞれ、高電流部分、中高電流部分、中低電流部分、及び低電流部分として指定される。各々の切断部分のニッケル・コバルト・リン電着物の重量が測定される。また、前記切断部分の各々に対してその中間において再切断し、二つの基板片を生成する。二つの基板片のうちの一つを王水に溶解させ、そして、原子吸光分光光度計により分析し、基板片に形成されたニッケル・コバルト・リン電着物のニッケルとコバルトの含有量を測定する。続いて、各々の基板片に形成されたニッケル・コバルト・リン電着物のリン含有量が減算により得られる。一方、二つの基板片のうちの他の一つは、硬度テストのために使用される。各々の他の一つの基板片の硬度が、熱処理の前後において、それぞれ、CNS7094 Z8017方法により測定される。この他の一つの基板片に対しての熱処理が、400℃の温度で1時間実施される。表(1)には、サンプルSE1〜SE6についての測定データがリストされる。そのうち、測定データは、それぞれ、第5、10、20、40、80、及び160時間に形成されたニッケル・コバルト・リン電着物に対応するものである。
比較例1の電気メッキ溶液によるニッケル・コバルト・リン電着物サンプルの形成
サンプルCE1〜CE6
サンプルCE1〜CE6のニッケル・コバルト・リン電着物の形成方法は、比較例1の電気メッキ溶液を用いた点以外、サンプルSE1〜SE6のニッケル・コバルト・リン電着物の形成方法と同じである。
表(1)と表(2)において、は、NiCoP電着物の高電流、中高電流、中低電流、低電流領域におけるニッケルの含有量であり、は、NiCoP電着物の高電流、中高電流、中低電流、低電流領域におけるコバルトの含有量であり、は、NiCoP電着物の高電流、中高電流、中低電流、低電流領域におけるりんの含有量であり、は、NiCoP電着物の高電流、中高電流、中低電流、低電流領域の各々におけるニッケル含有量対コバルト含有量の比率であり、は、NiCoP電着物の高電流、中高電流、中低電流、低電流領域におけるニッケル含有量対コバルト含有量の平均比率であり、は、熱処理前の硬度であり、7は、熱処理後の硬度である。
表(1)(サンプルSE1〜SE2)に示される結果によれば、NiCoP電着物の高電流領域、中高電流領域、中低電流領域、低電流領域のそれぞれに含有されるNi含有量、Co含有量及びP含有量、及び、NiCoP電着物の総重量は、サンプルSE1〜SE6に相対的に小さい変化があるとのことが分かった。これは、安定の電着物が形成されたことを示している。この安定状態の条件は、炭酸ニッケル、炭酸コバルト及びリン酸の電気メッキ浴への添加によって生じたものである。このような添加は、電気メッキ浴のニッケルイオン、コバルトイオン及びリンイオンの消費に伴ってそれらのイオンを補充し、電気メッキ浴のイオンのバランスを維持させる。また、本発明の電気メッキ浴が酸性であるため、電気メッキ浴に釈放された炭酸イオンが二酸化炭ガスに変換されて浴内から消散し、電気メッキ浴が炭酸イオンの存在による悪影響を受けない。
また、サンプルSE1〜SE6において、キレート剤として使用されたトリエチレン・テトラアミンは、ニッケルとのキレート能力がコバルトとのキレート能力とほぼ同じであるため、電気メッキ浴内にあるニッケルとコバルトのイオンは、ほぼ同じイオン移動度を有する。キレートされたニッケルとコバルトのイオンは、解離するためにさらなるエネルギーを要求し、その結果、陰極のニッケルとコバルトのイオンの減少を促進する。
表(1)に示された実験データと表(2)に示された実験データとを比べると、サンプルSE1〜SE6のNiCoP電着物の高電流領域、中高電流領域、中低電流領域、低電流領域の各々におけるニッケル含有量対コバルト含有量の比率値(R)、或いは、サンプルSE1〜SE6のNiCoP電着物の高電流領域、中高電流領域、中低電流領域、低電流領域におけるニッケル含有量対コバルト含有量の平均比率値(Rm)がサンプルCE1〜CE6より低いことが分かった。これは、電気メッキ浴内に含有されるトリエチレン・テトラアミンがNiCoP電着物のニッケル含有量を減少させ、コバルト含有量を増加させることを示している。サンプルSE1〜SE6に形成されたNiCoP電着物のリン含有量がサンプルCE1〜CE6のリン含有量より2wt%高い。従って、サンプルSE1〜SE6のNiCoP電着物の硬度が、サンプルCE1〜CE6の硬度より高い。コバルト含有量とリン含有量の増加及びニッケル含有量の減少への影響は、ニッケルとコバルトのイオンが分極するがリン酸又は亜リン酸イオンが分極しないことによって生じられる。リン含有量の増加は、形成された電着物の硬度を増加させる。
また、エチレン・テトラアミンは、ニッケル及びコバルトとNiCo3−x(Triethylene Tetraamine)+6(xは、1〜3の整数)のイオン形態でキレートすることができるので、エチレン・テトラアミンは、所定の比率でニッケルとコバルトイオンを携帯し、双極性のレイヤー(Bipolar Layer)を通過して陰極に持ち運ぶことができる。特に、サンプルCE1〜CE6のNiCoP電着物の高電流領域、中高電流領域、中低電流領域、低電流領域におけるニッケル含有量対コバルト含有量の比率値(R)が実質的に、相対的に狭い範囲内に維持されることができ、これに対して、サンプルSE1〜SE6のNiCoP電着物の高電流領域、中高電流領域、中低電流領域、低電流領域におけるニッケル含有量対コバルト含有量の比率値(R)が狭い範囲内に維持されることができない。
また、電気メッキ浴内のトリエチレン・テトラアミンの含有が、NiCoP電着物の高電流領域、中高電流領域、中低電流領域、低電流領域における「ニッケル含有量:コバルト含有量:リン含有量」の比率値の変化を減少させる。これにより、NiCoP電着物の内部応力の分布が従来技術の内部応力の分布よりさらに均一になり、また、特許文献2に記載された問題点が解決されることもできる。
本発明及び特許文献2によるNiCoP電着物の耐食性の比較
本発明の試料1、2及び3が、10cm×5cmのサイズを有する銅基板を例1の電気メッキ浴に置いて、それぞれにたいして25分間の電気メッキを行うことにより作られる。特許文献2の試料4,5及び6が、本発明の試料の作成方法とほぼ同じ方法により作成されるが、ただ一点が異なり、それは、銅基板が、特許文献2における実施例1の表(1)に記載されたメッキの組成物を有する電気メッキ浴内に個別に電気メッキされることである。本発明と特許文献2のサンプルは、ASTMテスト方法のB368−61Tに従って、標準のASTM B117塩水噴霧室内において、CASSテスト(Copper−accelerated Acetic Acid Salt Spary(Fog)Test:CASS Test、即ち、酢酸と塩水を混ぜたスプレーにさらす実験)を受けた。これに基づいて、本発明と特許文献2のサンプルの耐食効果がASTM委員会のB−8に従って評価され、その結果が表(3)に示されている。
表(3)にリストされている結果によれば、本発明によるNiCoP電着物の耐食性が特許文献2によるものの耐食性より優れたことが分かった。また、本発明の試料と特許文献2の試料におけるNiCoP電着物の耐食性の差が操作時間の増加につれて増加することも分かった。言い換えると、特許文献2によるNiCoP電着物の腐食が操作時間の増加につれて悪化する。
また、本発明によるNiCoP電着物に生じた腐食が孔食であり、これに対して、特許文献2によるものに生じた腐食が抹消腐食(Scratch Corrosion)である。これは、本発明によるNiCoP電着物が銅基板に対する付着能力が、特許文献2によるものが銅基板に対する付着能力より高いと示している。
水素過電圧
本発明の試料は、10cm×5cmのサイズを有する銅基板を例1の電気メッキ浴に入れて5時間の電気メッキを行うことにより生成される。特許文献2の試料は、本発明の試料の作成方法とほぼ同じ方法により作成されるが、ただ一点が異なり、それは、銅基板が、特許文献2における実施例1の表(1)に記載されたメッキの組成物を有する電気メッキ浴において電気メッキされることである。本発明と特許文献2の試料は、電気メッキ中に、電流ボルタンメトリー実験(Current Voltammetry Test)を受けた。閾値電流分析の結果が図1に示されるが、陰極電流効率分析の結果が図2に示される。参考電極がAgC1から作られる。また、ダイヤモンド記号“◆”からなる曲線が本発明の試料から得られた結果を示し、正方形記号“■”からなる曲線が特許文献2の試料から得られた結果を示す。
図1に示された結果によれば、印加電圧が3.25vより高い場合、本発明の試料の閾値電流が電気メッキ中において印加電圧の増加につれて増加しないことが分かった。さらに、図2に示された電流効率分析の結果を参照すると、本発明の試料の陰極電流効率が電気メッキ中において約100%の値に維持され、また、電気メッキ中或いは電気メッキ後に水素ガスが発生しないこともわかった。
再び図1に示された結果を参考する。その結果によれば、印加電圧が3.25vより高い場合、特許文献2の試料の閾値電流が電気メッキ中において印加電圧の増加につれてかなり増加することが分かった。さらに、図2に示された電流効率分析の結果を参照すると、特許2の試料の陰極電流効率が電気メッキ中において約75%の値に減少し、また、電気メッキ中と電気メッキ後に水素ガスが発生することも分かった。従って、特許文献2の電気メッキ浴の組成物が低い水素過電圧を有し、これにより、水素イオンが水素ガスに変換し水素イオンが減少するので、水素脆化現象を生じさせる。これに対して、本発明による電気メッキ浴の組成は、このような問題を有しない。
本発明による電気メッキ浴の組成によって水素脆化の問題を避けることができる原因は、トリエチレン・テトラアミンのニュートラル・プラパティ(Neutral Property)が、陰極のニッケルとコバルトイオンが減少した後に、NiCo3−x(Triethylene Tetraamine)+6(xは、1〜3の整数)から減らされると考えられる。減らされたトリエチレン・テトラアミンは、水素イオン(H)を吸引し、陰極の先端に付着され、これにより、水素過電圧を増加させ、分極効果を生成させることができる。従って、本発明による電気メッキ浴の陰極電流効率が100%に達することができる。また、トリエチレン・テトラアミンが陰極の付近において水素イオンを吸引し、陰極の先端に付着されることができるので、針又は隆起の形状を有するNiCoP電着物の成長を避け、より平らな電着物を提供することができる。
前述したように、本発明は、不要なイオンを避けるための不溶解陽極の使用と、電気メッキ浴のニッケル、コバルト及びリンのイオンを補充するための炭酸ニッケル、炭酸コバルト及びリン酸の添加とを用いる材料表面処理方法を提供する。よって、要求された、或いは所望の特性を有するNiCoP電着物を生成することができる。また、電気メッキ中に生成される副生成物が亜リン酸イオンと二酸化炭ガスを含み、この二つのものの何れも電気メッキ浴のイオンバランスに不利な影響を与えないので、本発明による電気メッキ浴は相対的に長い操作時間を維持することができる。
また、本発明の組成物により生成されたNiCoP電着物と電気メッキ溶液は、優れた物理と化学特性を有する。例えば、本発明によるNiCoP電着物は、熱処理後、1000Hvまでの硬度値を有し、また、この値は、従来の硬質クロミウム電気メッキ層の硬度値より高い。また、本発明によるNiCoP電着物の硬度と靱性は、6W6ダイス鋼に相当する。
さらに、前述したCASS実験の結果により、20μmの厚さを有する本発明のNiCoP電着物が、CASS実験を受けたときに、240時間耐えられる。本発明のNiCoP電着物が、アルミ又はマグネシウム合金などの軽量合金から作られるエンジンの表面に応用される場合、このようなエンジンは、優れた硬度と靱性を有し、また、燃料の消費も抑えられる。また、本発明によるNiCoP電着物が平滑な表面を有するので、潤滑剤の消費を抑えることもできる。よって、本発明の電気メッキの組成物と電気メッキ溶液によるNiCoP電着物は、低い内部応力、高い硬度、良い耐食性、及び平滑な表面を有する。本発明の電気メッキの組成物と電気メッキ溶液を用いる材料表面処理方法は、高汚染の従来の硬質クロミウム方面処理技術を取り替えることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されず、本発明の趣旨を離脱しない限り、本発明に対するあらゆる変更は本発明の範囲に属する。
本発明の好適な実施例に係わるニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物及び従来技術によるニッケル・コバルト・リン電着物の形成中における閾値電流の変化を示す閾値電流対印加電圧の図である。 本発明の好適な実施例に係わるニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物及び従来技術によるニッケル・コバルト・リン電着物の形成中における閾値電流の変化を示す電流効率対印加電圧の図である。
符号の説明
◆ 本発明の試料から得られた結果
■ 特許文献2の試料から得られた結果

Claims (25)

  1. ニッケル塩と、
    コバルト塩と、
    亜リン酸含有化合物と、
    トリエチレン・テトラアミン、ジエチレン・トリアミン、または、ヒドラゾベンゼンを有する多座キレート剤と、
    を含む、
    ニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物。
  2. 前記多座キレート剤は、トリエチレン・テトラアミンである、
    請求項1に記載のニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物。
  3. 前記亜リン酸含有化合物は、リン酸、亜リン酸ニッケル、または、亜リン酸コバルトを含む、ナトリウムイオンのない亜リン酸含有化合物である、
    請求項1に記載のニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物。
  4. 前記亜リン酸含有化合物は、リン酸である、
    請求項3に記載のニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物。
  5. 前記ニッケル塩は、炭酸ニッケル、水酸化ニッケル、または、酸化ニッケルを含む、
    請求項1に記載のニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物。
  6. 前記コバルト塩は、炭酸コバルト、水酸化コバルト、または、酸化コバルトを含む、
    請求項1に記載のニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物。
  7. ニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物と、水と、を含む電気メッキ溶液であって、
    前記ニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物は、
    前記水に溶解し、ニッケルイオンを形成するニッケル塩と、
    前記水に溶解し、コバルトイオンを形成するコバルト塩と、
    前記水に溶解し、リンイオンを形成する亜リン酸含有化合物と、
    前記水に溶解し、トリエチレン・テトラアミン、ジエチレン・トリアミン、または、ヒドラゾベンゼンを有する多座キレート剤と、
    を含み、
    前記電気メッキ溶液のpH値の範囲が、0.2〜5である、
    電気メッキ溶液。
  8. 前記電気メッキ溶液のpH値の範囲は、1.2〜2である、
    請求項7に記載の電気メッキ溶液。
  9. 前記電気メッキ溶液のpH値の範囲は、1.5〜1.9である、
    請求項7に記載の電気メッキ溶液。
  10. 前記電気メッキ溶液は、リン酸、硫酸、または、塩酸を有する電解液をさらに含む、
    請求項7に記載の電気メッキ溶液。
  11. 前記ニッケルイオンの濃度の範囲が、20〜100g/lであり、
    前記コバルトイオンの濃度の範囲が、0.5〜25g/lであり、
    前記リンイオンの濃度の範囲が、5〜80g/lであり、
    前記電解液の濃度の範囲が、20〜200g/lであり、
    前記多座キレート剤の濃度範囲が、20〜200g/lである、
    請求項10に記載の電気メッキ溶液。
  12. 前記ニッケルイオンの濃度の範囲が、40〜70g/lであり、
    前記コバルトイオンの濃度の範囲が、4〜7g/lであり、
    前記リンイオンの濃度の範囲が、20〜40g/lであり、
    前記電解液の濃度の範囲が、100〜140g/lであり、
    前記多座キレート剤の濃度範囲が、60〜120g/lである、
    請求項11に記載の電気メッキ溶液。
  13. 前記ニッケルイオンの濃度の範囲が、55g/lであり、
    前記コバルトイオンの濃度の範囲が、5.5g/lであり、
    前記リンイオンの濃度の範囲が、30g/lであり、
    前記電解液の濃度の範囲が、120g/lであり、
    前記多座キレート剤の濃度範囲が、90g/lである、
    請求項12に記載の電気メッキ溶液。
  14. 前記電解液は、リン酸である、
    請求項10に記載の電気メッキ溶液。
  15. 前記多座キレート剤は、トリエチレン・テトラアミンである、
    請求項14に記載の電気メッキ溶液。
  16. 材料の表面を処理する表面処理方法であって、
    前記材料を、ニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物を含む電気メッキ溶液に置く工程と、
    前記電気メッキ溶液に所定の電流密度で前記材料を電気メッキし、前記材料の表面にニッケル・コバルト・リン電着物を形成する工程と、
    含み、
    前記ニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物は、
    ニッケル塩と、
    コバルト塩と、
    亜リン酸含有化合物と、
    トリエチレン・テトラアミン、ジエチレン・トリアミン、または、ヒドラゾベンゼンを有する多座キレート剤と、
    を含む、
    表面処理方法。
  17. 前記ニッケル・コバルト・リン電気メッキの組成物は、リン酸、硫酸、または、塩酸を有する電解液をさらに含む、
    請求項16に記載の表面処理方法。
  18. 前記電気メッキ溶液に前記材料を電気メッキする際の前記電気メッキ溶液の温度範囲が、40〜70℃に維持される、
    請求項16に記載の表面処理方法。
  19. 前記電気メッキ溶液の温度範囲は、50〜60℃に維持される、
    請求項18に記載の表面処理方法。
  20. 前記電気メッキ溶液に前記材料を電気メッキする際の前記電流密度の範囲が、0.5〜10A/dmである、
    請求項16に記載の表面処理方法。
  21. 前記電流密度の範囲は、1.5〜6A/dmである、
    請求項20に記載の表面処理方法。
  22. 前記電気メッキ溶液に行われる前記材料の電気メッキが、不溶解陽極を用いて実施される、
    請求項16に記載の表面処理方法。
  23. 前記不溶解陽極は、プラチナチタンメッシュより作成される、
    請求項22に記載の表面処理方法。
  24. 前記電気メッキ溶液に前記材料を電気メッキした後に、当該材料に対して熱処理をさらに行う、
    請求項16に記載の表面処理方法。
  25. 前記熱処理は、200〜450℃の温度範囲内に行われる、
    請求項24に記載の表面処理方法。
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