以下、図面を参照して、本発明の駆動機構にかかる実施の形態を説明する。
各実施形態では、本発明の駆動機構が装備される車両が自動車であり、本発明の駆動機構にかかる変速機(変速比調整機構を含む)が無段変速機であるものを説明する。
〔1.第1実施形態〕
〔1−1.駆動機構の概略構成〕
先ず、本実施形態の駆動機構の概略構成を図1(a)により説明する。
図1(a)に示すように、本実施形態の駆動機構は、自動車の駆動系に装備され、動力源としての原動機(以下、エンジンともいう)1に接続され、このエンジン1から回転トルクを入力される入力軸(本願発明に係る入力軸)10と、駆動輪5に接続されこの駆動輪5に回転トルクを出力する出力軸4と、前記入力軸10に連結され、少なくとも前進、後進及び中立(ニュートラル)の変速段が達成可能で、入力軸10の回転を変速して出力軸4に送る変速機100とを備えて構成される。
変速機100は、トルクコンバータ2と、変速比調整機構としてのバリエータ32を有する変速機構3と、発電機能を備えたモータ(電動発電機)6と、モータ6と動力伝達状態に接続されたオイルポンプ7と、オイルポンプ7からのオイルを適宜の圧力に調整する油圧制御回路7aと、変速機構3に装備された第1動力断続機構81と、第2動力断続機構としてのクラッチ82と、第3動力断続機構としてのクラッチ83と、第4動力断続機構84と、コンピュータを用いた制御装置(制御手段)200とを備えている。
ここで、「動力伝達状態に接続された」とは、一の構成品と他の構成品との間で一方向又は双方向に動力が直接又は動力伝達経路を介して伝達されるように相互に接続されることを意味し、例えば一の構成品から動力が出力されるとこの動力が他の構成品に伝達される場合には、一の構成品と他の構成品とが動力伝達状態に接続されていることとなる。
第1動力断続機構81、第2動力断続機構としてのクラッチ82、第3動力断続機構としてのクラッチ83及び第4動力断続機構84についてさらに説明する。
第1動力断続機構81は、第1メンバと第2メンバとを有し、これらの第1メンバと第2メンバとの間の動力伝達を断続可能な機構である。
同様に、第2動力断続機構としてのクラッチ82は、第1メンバと第2メンバとを有し、これらの第1メンバと第2メンバとの間の動力伝達を断続可能な機構である。
同様に、第3動力断続機構としてのクラッチ83は、第1メンバと第2メンバとを有し、これらの第1メンバと第2メンバとの間の動力伝達を断続可能な機構である。
同様に、第4動力断続機構84は、第1メンバと第2メンバとを有し、これらの第1メンバと第2メンバとの間の動力伝達を断続可能な機構である。
第1動力断続機構81は、入力軸10と出力軸4との間の動力伝達経路303内に設けられており、第1動力断続機構81の入力側は入力軸10と直接又は間接的に接続され、第1動力断続機構81の出力側は出力軸4と直接又は間接的に接続されている。
ここで、「間接的に接続」とは、接続されるものの相互間にギヤやプーリなどにより構成される動力伝達経路を介在させて接続することをいう。
第2動力断続機構としてのクラッチ82は、上記動力伝達経路303外に設けられており、モータ6及びオイルポンプ7とエンジン1(入力軸10)との間の動力伝達経路301内に配置されている(動力伝達経路301上に配置されている)。
動力伝達経路301は後述の動力伝達経路304とは別に設けられており、後述するようにエンジン1からの動力を動力伝達経路301を介してモータ6及びオイルポンプ7に伝達してモータ6及びオイルポンプ7を駆動できるようにしている。
第3動力断続機構としてのクラッチ83は、上記動力伝達経路303外に設けられており、モータ6と駆動輪5(出力軸4)との間の動力伝達経路302内に配置されている(動力伝達経路302上に配置されている)。
詳しくは、動力伝達経路302は、駆動輪5からの回転トルクがバリエータ32を介してモータ6に伝達できるように形成されている。
第4動力断続機構84は、上記動力伝達経路303外に設けられており、モータ6と入力軸10との間の動力伝達経路304内に配置されている(動力伝達経路304上に配置されている)。
動力伝達経路304は上記動力伝達経路301とは別に設けられており、後述するようにモータ6からの動力を動力伝達経路304を介してエンジン1に伝達してエンジン1の始動をアシストできるようにしている。
また、モータ6は上記動力伝達経路303外に設けられ、オイルポンプ7は上記動力伝達経路303外に設けられている。
したがって、クラッチ82を接続すれば、動力伝達経路301を使用してエンジン1から入力される回転トルクによってモータ6及びオイルポンプ7を駆動することができ、クラッチ83を接続すれば、動力伝達経路302を使用して駆動輪5から入力される回転トルク(逆流トルク)によってモータ6及びオイルポンプ7を駆動することができるようになっている。
さらに、第4動力断続機構84を接続すれば、動力伝達経路304を使用してモータ6の回転トルクによって入力軸10を駆動することができるようになっている。
オイルポンプ7からのオイルは、油圧制御回路7aにより適宜の圧力に制御されたのち変速機100の各部に供給されるようになっている。
さらに、クラッチ82及びクラッチ83が油圧作動のクラッチにより構成される場合には、二点鎖線で示すようにオイルポンプ7からのオイルは油圧制御回路7aにより適宜の圧力に調圧されたのちクラッチ82及びクラッチ83に供給されるようになっている(ここではクラッチ83は油圧作動のクラッチにより構成されている)。
また、本駆動機構には、上記入力軸10の回転を検出する入力軸回転センサ(入力軸回転検出手段)201と、上記出力軸4の回転を検出する出力軸回転センサ(出力軸回転検出手段)202と、オイルポンプ7の回転を検出するポンプ回転センサ(ポンプ回転検出手段)203とが備えられており、入力軸回転センサ201、出力軸回転センサ202及びポンプ回転センサ203の各検出信号はそれぞれ制御装置200に入力され、制御装置200は、これらの検出信号に基づいてモータ6や第1動力断続機構81及び第4動力断続機構84の作動を制御し、さらにクラッチ82及びクラッチ83が電子制御式の油圧作動のクラッチの場合にはクラッチ82及びクラッチ83の作動を制御するようになっている。
〔1−2.駆動機構の具体的構成〕
次に、本実施形態の駆動機構の構成を図1(b)により具体的に説明する。
本実施形態の駆動機構は、例えば、図1(b)に示すように、エンジン1からの出力伝達方向順に、入力軸10を有する変速機100と、出力軸4と、動力伝達機構5aと、駆動輪5とを少なくとも備えている。
変速機100は、図1(b)中に一点鎖線で示すように、トルクコンバータ2と、第1動力断続機構81を有する前後進切替機構31、バリエータ(変速比調整機構、無段変速機構)32からなる変速機構3、オイルポンプ7、油圧制御回路7a、発電機能を備えた両軸式のモータ6、第2動力断続機構としてのクラッチ82、第3動力断続機構としてのクラッチ83、第4動力断続機構84及び制御装置200を備えて構成されており、ここでは、クラッチ82はワンウェイクラッチであり、クラッチ83は油圧作動のクラッチである。
オイルポンプ7は、後で詳しく説明するように、エンジン1、駆動輪5又はモータ6により駆動されるようになっている(以下、オイルポンプ7をエンジン1により駆動することをエンジン駆動、モータ6により駆動することをモータ駆動とも言う)。
また、モータ6にはバッテリ(図示省略)が接続されており、モータ6を力行作動させる場合、バッテリの電力を用いて行い、モータ6によって発電を行った場合、生成された電力はバッテリに充電される。
トルクコンバータ2は、エンジン1の出力軸に接続されたトルコン入力軸21と、トルコン入力軸21に固定されたポンプインペラ23と、前後進切替機構31の入力軸すなわち変速機構入力軸31aにタービン軸25を介して接続されたタービンランナ24とを有し、ポンプインペラ23を介して入力されたエンジン1の出力を、タービンランナ24に伝達し、変速機構3に伝達するものである。
そして、上記入力軸10は、トルコン入力軸21とフロントカバー22とポンプインペラ23とポンプインペラ23に固定された中空軸11とを備えて構成されている。
また、トルクコンバータ2にはフロントカバー22とタービンランナ24とを直結するロックアップクラッチ26が設けられている。
前後進切替機構31は、遊星歯車機構31bと、締結されると前進変速段を達成する前進クラッチ31cと、締結されると後進変速段を達成する後退ブレーキ31dとを有し、前進クラッチ31cと後退ブレーキ31dとから第1動力断続機構81が構成され、第1動力断続機構81が解放されることにより、動力遮断状態である中立が達成される。
前進クラッチ31cは、遊星歯車機構31bのリングギアとサンギアとを連結することで出力回転(サンギアの回転)を正回転とし、後退ブレーキ31dは遊星歯車機構31bのキャリアをケース側に締結することで出力回転を逆回転とする。
そして、上記のタービン軸25、変速機構入力軸31aが上記動力伝達経路303内に配置されており、エンジン1から入力軸10に入力される回転トルク(動力)が、第1動力断続機構81(前進クラッチ31c及び後退ブレーキ31d)を介して動力伝達経路303経由で出力軸4に伝達可能となっている。
バリエータ32は、プライマリプーリ32bと、セカンダリプーリ32cと、これらのプーリ32b及びプーリ32cに掛け回されたベルト32dとを有し、プライマリプーリ32bの両側に突出して設けられた入力軸32aの一端側が前後進切替機構31の出力側に接続され、プーリ32b及びプーリ32cの各々へのベルト32dの巻き付き径(プーリの有効半径)が調整されて変速比を変更するものである。
前進クラッチ31cは、図示しないセレクトバーによりドライブ(D)レンジ等の前進走行レンジが選択される走行時に油圧が供給されて締結され、前進クラッチ31cが締結すると、変速機構入力軸31aとプライマリプーリ32bの入力軸32aとが同方向に回転する。
一方、後退ブレーキ31dは、リバース(R)レンジ(後進走行レンジ)が選択される後進走行時に油圧が供給されて締結され、後退ブレーキ31dを締結すると、変速機構入力軸31aに対しプライマリプーリ32bの入力軸32aが逆方向に回転する。
RレンジやDレンジといった走行レンジが選択される車両走行時には、前進クラッチ31c及び後退ブレーキ31dの締結は互いに排他的に行なわれ、前進クラッチ31cが締結されれば後退ブレーキ31dは解放され、後退ブレーキ31dが締結されれば前進クラッチ31cは解放される。
ただし、走行レンジが選択される車両走行時においても後述するようにコースト走行時にセーリング制御が行われると前進クラッチ31c及び後退ブレーキ31dが何れも解放された中立とされる。
一方、パーキング(P)レンジやニュートラル(N)レンジの非走行レンジ選択時には、前進クラッチ31c及び後退ブレーキ31dの何れからも油圧が排出されて、両者とも解放され、中立が達成される。
なお、「前後進切替機構」は前進及び後進の何れについても変速比の変更をともなわないものであるが、この前後進切替機構に替えて、前後進切替機構を有する副変速機構(前進及び後進の少なくとも一方について変速比の変更が可能な機構)を用いても良いし、前後進切替機構に加えて副変速機構を設けても良い。
変速機構3の出力側は出力軸4に接続され、出力軸4は終減速機やディファレンシャルやドライブシャフト等を有する動力伝達機構5aを介して駆動輪5に接続されている。
オイルポンプ7から圧送される作動油(オイル)は、油圧制御回路7aを介して第1動力断続機構81、バリエータ32に供給されるようになっている。
詳しくは、油圧制御回路7aは、図示しない複数のソレノイド弁を有しており、これらのソレノイド弁から制御装置200の指令に応じて各々所定の圧力に制御された作動油が、プライマリプーリ32b、セカンダリプーリ32c、前進クラッチ31c、後退ブレーキ31dへと供給されるようになっている。
そして、プライマリプーリ32b及びセカンダリプーリ32cに供給された作動油の油圧(作動圧)に応じて上述のとおり各プーリの有効半径が調整されるようになっている。
また、前進クラッチ31c及び後退ブレーキ31dへの作動圧の供給、排出を制御することによって前後進切替機構31の作動が制御されるようになっている。
〔1−3.駆動機構の要部〕
ここで、本実施形態の駆動機構の要部であるオイルポンプの駆動系統について説明する。
入力軸10には、ワンウェイクラッチであるクラッチ82を介してスプロケット(回転部材)91が装着されており、クラッチ82はスプロケット91の内周側に組み込まれている。
そして、このスプロケット91には二本のチェーン(無端状部材)92及びチェーン(無端状部材)93が架け回されている。
一方のチェーン92は、上記スプロケット91と、モータ回転軸61の一端側62に装着されたスプロケット(回転部材)94とに架け回され、他方のチェーン93は、上記スプロケット91と、オイルポンプ回転軸71に装着されたスプロケット(回転部材)95とに架け回されている。
そして、スプロケット91、チェーン92及びチェーン93、スプロケット94及びスプロケット95、モータ回転軸61及びポンプ回転軸71が上記動力伝達経路301内に配置されている。
さらにいうと、スプロケット91、チェーン92及びスプロケット94より、入力軸10とモータ6との間の動力伝達機構が構成され、スプロケット91、チェーン93及びスプロケット95より、入力軸10とポンプ回転軸71との間の動力伝達機構が構成されている。
また、モータ回転軸61の他端側63は、スプロケット97の内周側に組み込まれた油圧作動のクラッチ83を介してスプロケット97に接続されており、このスプロケット97と、プライマリプーリ32bの回転軸32aに装着されたスプロケット99とにはチェーン(無端状部材)98が架け回されている。
そして、スプロケット99、チェーン98及びスプロケット97からなる動力伝達機構と、モータ回転軸61とは上記動力伝達経路302内に配置されている。
また、オイルポンプ7がモータ駆動される際には、モータ回転軸61の回転トルクが、スプロケット94、チェーン92、スプロケット91、チェーン93、スプロケット95及びポンプ回転軸71の順に伝達されようになっている。
つまり、スプロケット94、チェーン92、スプロケット91、チェーン93、スプロケット95より、モータ6とオイルポンプ7との間の動力伝達機構が構成されている。
ここで、クラッチ82及びクラッチ83についてさらに説明する。
先ずクラッチ82について説明すると、クラッチ82は上述したとおりワンウェイクラッチであり、入力軸10からの動力は、動力断続機構81を介さず且つクラッチ82を介してモータ6やオイルポンプ7に伝達可能であり、入力軸10からモータ6やオイルポンプ7に向かう動力のみ伝達可能に形成されている。
つまり、入力軸10の回転速度のほうがスプロケット91の回転速度よりも高速で入力軸10からモータ6やオイルポンプ7側に動力が出力されるような場合ではクラッチ82は締結状態となる。
一方、入力軸10の回転速度よりもスプロケット91の回転速度のほうが高速で動力伝達方向がモータ6やオイルポンプ7側から入力軸10へと向かう方向となる場合(例えば入力軸10が停止状態においてモータ6又は駆動輪5によりスプロケット91を介してオイルポンプ7が駆動されるような場合)ではクラッチ82は解放状態(動力遮断状態)となる。
次にクラッチ83について説明すると、クラッチ83は、上述したとおり油圧作動のクラッチであり、後述の制御装置200のクラッチ制御手段200Aによって車両の走行状態などに応じて断続を制御されるもので、ドグクラッチ又は単板型或いは多板型の油圧作動のクラッチであるが、電磁クラッチ、或いは油圧式や電磁式以外のアクチュエータにより断続するクラッチでも良く、さらには、第3動力断続機構はクラッチに限定されずシンクロメッシュ機構でもよい(ここではドグクラッチにより構成されている)。
出力軸4(駆動輪5)側からの動力は動力断続機構81を介さず且つクラッチ83を介してモータ回転軸61に伝達可能となっている。
例えば、エンジン1即ち入力軸10の停止状態において、駆動輪5によりモータ6やオイルポンプ7を駆動するような場合には油圧作動のクラッチ83は締結状態とされる。
一方、駆動輪5や出力軸4の停止状態においてモータ6を作動させてオイルポンプ7をモータ駆動するような場合には油圧作動のクラッチ83は解放状態(動力遮断状態)とされる。
なお、油圧作動のクラッチ83は、ドグクラッチに限定されず、また、その設置場所も動力伝達経路303外に配置され且つ動力伝達経路302上でモータ6と出力軸4との間に介装されていればよく、例えば図1において二点鎖線で示すように、スプロケット99とバリエータ32との間に単板型或いは多板型のクラッチを設置してもよいし、スプロケット99の内周側にドグクラッチを設けても良い。
ここで、「介装」とは部材間に備え付けることを意味するが、本願発明では、この部材間は、物理的な配置上の部材間に限定されるものではない。
すなわち、「部材間」とは、実際の配置において一の部材と他の部材との相互間に形成される空間に限定されるものではない。
したがって、上記のように「クラッチ83は…動力伝達経路302上でモータ6と出力軸4との間に介装されていればよく」とは、クラッチ83が、モータ6と出力軸4との間に形成された動力伝達経路302内に配置されていればよく、モータ6と出力軸4との間の空間内に配置される必要はない。
〔1−4.制御装置〕
本実施形態の駆動機構には、上述したように、制御装置200と、入力軸回転センサ201と、出力軸回転センサ202及びポンプ回転軸71の回転速度(ポンプ回転速度)を検出するポンプ回転センサ203とが設けられており、制御装置200は、クラッチ制御手段200A、モータ制御手段(モータ操作手段)200B、変速比制御手段200C及びアクチュエータ制御手段(断続機構操作手段)200Dを備えている。
なお、クラッチ制御手段200A、モータ制御手段200B、変速比制御手段200C及びアクチュエータ制御手段200Dはそれぞれ別々のハードウェア(制御装置)により構成してもよい。
クラッチ制御手段200Aはドライブレンジなどに応じて油圧制御回路7aを介して第1動力断続機構81(前進クラッチ31c、後退ブレーキ31d)へのオイルの供給、排出を制御し、実質的には前後進切替機構31の変速状態を制御する。
さらに、クラッチ制御手段200Aは、アクセルオフによるコースト走行時には、車速が第1所定速度以上であれば、車速が第1所定速度よりも低い第2所定速度未満に低下するまで前進クラッチ31c及び後退ブレーキ31dを何れも解放して、変速機100をニュートラル状態とするセーリング制御を行う。
このセーリング制御の際には、エンジン1を停止させることで燃費を向上させることができるが、本制御装置200はセーリング制御時に油圧作動のクラッチ83を締結状態として駆動輪5から出力軸4に回転トルクが入力するトルクの逆流状態を利用してオイルポンプ7を駆動する。
また、バッテリのSOC(State Of Charge)が充電可能な状態であればモータ6により発電を行う。
ただし、セーリング制御では、できるだけ車速を低下させたくないのでモータ6による発電負荷を抑制することが好ましい。
また、セーリング制御時にフットブレーキ操作がされたらモータ6による発電負荷を回生制動力とすることができるので、所定の制動力(モータ6の発電負荷)が得られるようにモータ6により発電を行う。
クラッチ制御手段200Aは、アクセルオフによるコースト走行時に、セーリング制御を実施しない場合、前進クラッチ31cを締結状態とする。
例えばセーリング制御時にフットブレーキ操作がされたら、フューエルカット状態で前進クラッチ31cを締結状態としてエンジンブレーキにより制動力を作用させるようにしても良い。
これによりエンジンブレーキが掛かるようになり、加えて油圧作動のクラッチ83を締結状態として動力伝達経路302を接続状態とすればオイルポンプ7及びモータ6による動力負荷を制動力とすることができ、このときモータ6を発電状態とすれば発電負荷をさらに回生制動力とすることができる。
モータ制御手段200Bは、モータ6を電動機、無負荷及び発電機の何れかの状態に制御し、また、モータ6を電動機として作動させる場合には、入力軸回転センサ201により検出されるエンジン回転速度が所定回転速度以下の場合には、エンジン駆動ではオイルポンプ7の出力が不足するおそれがあるためモータ6を作動させる。
モータ制御手段200Bは、ポンプ回転センサ203により検出されるポンプ回転速度に基づいてモータの作動を制御するようにしても良い。
具体的には、モータ制御手段200Bは、ポンプ回転速度が上記設定回転速度域以下の場合には、モータ6を電動機として作動させてオイルポンプ7を駆動してポンプ回転速度を上記設定回転速度域内に入るようにすれば良い。
このように入力軸回転センサ201やポンプ回転センサ203に検出結果に基づいてモータの作動を制御することにより、エンジン回転速度(すなわち入力軸10の回転速度)よりも高速でスプロケット91を回転させれば、ワンウェイクラッチであるクラッチ82の作用によりエンジン1の回転トルクに代わってモータ6の回転トルクがオイルポンプ7に伝達するようになり、オイルポンプ7を上記設定回転速度域で回転させることができる。
また、ポンプ回転軸71とモータ回転軸61とは動力伝達状態に接続されているのでポンプ回転速度とモータ回転速度とには相関関係があるから、モータ回転軸61の回転速度(モータ回転速度)を検出するモータ回転センサを設けて、ポンプ回転速度に代えて前記モータ回転センサにより検出されるモータ回転速度に基づいてモータ6の作動を制御するようにしても良い。
具体的には、モータ制御手段200Bが、モータ6のモータ回転速度が設定回転速度域以下の場合には、モータ6を電動機として作動させてオイルポンプ7を駆動してポンプ回転速度を上記設定回転速度域内に入るようにすれば良い。
また、モータ制御手段200Bは、バッテリのSOCが所定値よりも低いときにはモータ6を発電機として動作させ、通常走行中は要求エンジン負荷を充足できることを条件としてエンジン1によりモータ6を駆動して発電を行わせ、上述したようにコースト走行時には駆動輪によりモータ6を適宜駆動して発電を行わせる。
モータ制御手段200Bによりこのような制御が行なわれる結果、停車アイドルストップが実施されていてオイルポンプ7がエンジン1や駆動輪5からの回転トルクにより駆動されない場合にも、オイルポンプ7がモータ駆動されることとなって、停車アイドルストップ中でも変速機100に所要量、所要圧のオイルを供給できるようになっている。
また、エンジン駆動による走行中に、クラッチ制御手段200Aにより、バッテリのSOCが所定値よりも高いことなどを条件として油圧作動のクラッチ83を締結させるようにすれば駆動輪5をエンジン1に加えモータ6によりアシスト駆動することができる。
この他、モータ制御手段200Bによって、バッテリのSOCが所定値より高いことなどを条件として、エンジン駆動によってオイルポンプ7を設定回転速度域で駆動できるような場合であってもモータ6を作動させてエンジン負荷を軽減するようにしても良い。
さらに、モータ制御手段200Bは、スタータスイッチ(始動要求手段)204がオンされると後述するようにモータ6をスタータモータとして使用すべくモータ6を作動させ、スタータスイッチ204がオフするとモータ6を停止させる。
変速比制御手段200Cは油圧制御回路7aを介してプライマリプーリ32b及びセカンダリプーリ32cへ調圧された作動圧のオイルを供給、排出してプーリの有効半径ひいては変速比を制御する。
本駆動機構の断続機構操作手段はアクチュエータ制御手段200Dにより構成されている。
アクチュエータ制御手段200Dは後述の電磁アクチュエータ62dの駆動軸62eの進退を制御するものであり、スタータスイッチ204がオンされると駆動軸62eが突出して第4動力断続機構84により動力伝達経路304を接続し、スタータスイッチ204がオフされると駆動軸62eが縮退して第4動力断続機構84により動力伝達経路304を切断する。
ここで、上述したように、モータ6とエンジン1との間には動力伝達経路304と、動力伝達経路304に介装された第4動力断続機構84とが備えられており、以下、動力伝達経路304及び第4動力断続機構84について詳しく説明する。
図1(b)に示すように、モータ回転軸61の一端側62には同一軸心上に支持軸としての延長軸62aが設けられており、延長軸62aは、モータ回転軸61に対して軸方向には進退可能に設けられる一方で周方向には固定して設けられている。
具体的には、回転軸61の一端側62は中空状に形成されるとともにその内周面には軸方向に伸びる溝が形成される一方、延長軸62aの外周面には軸方向に伸びる突条が形成されており、これらの溝と突条とを嵌め合わせるようにして延長軸62aが回転軸61の一端側62に挿入されている。
さらに、延長軸62aには車体(図示略)に揺動可能に取り付けられた揺動部材62bの一方の揺動端が接続され、この揺動部材62bの他方の揺動端は圧縮状態のリターンスプリング62cによって電磁アクチュエータ62dの駆動軸62e側に付勢されている。
また、延長軸62aの先端には第1ギヤとしてのギヤ1cが固定されており、ギヤ1cはカウンタギヤ1bに噛合可能であり、カウンタギヤ1bはさらに入力軸10に固定された第2ギヤとしてのギヤ1aに噛合している。
そして、スタータスイッチ204がオンされてエンジン始動要求が制御装置200に入力されると、アクチュエータ制御手段200Dから制御指令が電磁アクチュエータ62dに出力される。
すると、電磁アクチュエータ62dはその駆動軸62eを突出させてリターンスプリング62cの付勢力に反して揺動部材62bを延長軸62aが伸長する方向に揺動させ、これにより、延長軸62aの先端のギヤ1cが二点鎖線で示すようにカウンタギヤ1bに噛合してモータからの回転トルクを入力軸10に伝達可能な動力伝達状態となる。
アクチュエータ制御手段200Dから制御指令が出力されてから所定時間(ギヤ1c及びギヤ1bが噛合する所要時間を見込んだ時間)経過すると(或いはギヤ1c及びギヤ1bの噛合が検出されると)モータ制御手段200Bからモータ6へ作動指令が出力され、ギヤ1cが延長軸62a及びモータ回転軸61と一体に回転を開始し、ギヤ1cの回転トルクがカウンタギヤ1bを介して正回転(モータ回転軸61と同回転方向)状態にギヤ1aに伝達され、エンジンの始動がアシストされるようになっている(すなわちモータ6がスタータモータとして使用されるようになっている)。
なお、カウンタギヤ1b、リターンスプリング62c、電磁アクチュエータ62dは車体(図示略)若しくはエンジン1に取り付けられている。
そして、延長軸62a、ギヤ1c、ギヤ1b及びギヤ1aが上記動力伝達経路304上に配置され、揺動部材62b、リターンスプリング62c及び電磁アクチュエータ62dを備えて第4動力断続機構84が構成されている。
なお、スタータスイッチ204がオンされている間は、電磁アクチュエータ62dはその駆動軸62eを突出状態に維持して動力伝達経路304が接続状態に維持され、スタータスイッチ204がオンされ且つ動力伝達経路304が接続状態である間は、モータ6の作動状態が維持される。
そして、スタータスイッチ204がオフされると電磁アクチュエータ62dは非励磁とされ駆動軸62eは退避状態となり、この結果、ギヤ1cは、延長軸62a及び揺動部材62bを介してリターンスプリング62cに付勢され、カウンタギヤ1bから離脱した動力遮断状態(図1(b)中に実線で示す状態)となる。
〔1−5.駆動機構の作用・効果〕
本発明の第1実施形態の駆動機構は上述のように構成されているので、以下のように種々の態様によりモータの使用用途を拡大するとともにオイルポンプを様々な態様で駆動することができ、これに伴い種々の効果が得られる。
(a)エンジン始動時
スタータスイッチ204がオンされると、動力伝達経路304が接続状態とされた後、モータ6が作動を開始してその回転トルクが動力伝達経路304を介して入力軸10へと伝達され、入力軸10が回転駆動される(すなわちエンジン1の始動がアシストされる)。
スタータスイッチ204がオフされると、動力伝達経路304が切断されるとともにモータ6が停止する。
(b)通常走行中
通常走行中はエンジン1から入力軸10に入力された回転トルクが、ワンウェイクラッチであるクラッチ82を介してオイルポンプ7とモータ6とに入力され、オイルポンプ7とモータ6とがエンジン駆動される。
この際、モータ6が両軸形式であるためモータ回転軸61からクラッチ83側にも回転トルクが出力されるが、クラッチ83を解放すればモータ回転軸61からの回転トルクは出力軸4側には伝達されない。
したがって、バリエータ32や駆動輪5などの作動に影響を及ぼすことなく、オイルポンプ7及びモータ6をエンジン駆動することができる。
そして、このとき、モータ6を発電作動させれば入力軸10に入力される回転トルクの一部で運動エネルギを電力エネルギに変換することができ、バッテリの充電や電装品へ電力を供給することができる。
また、車両の後退時においても、入力軸10に入力された回転トルクは前後進切替機構31に入力される前に(逆方向に変換される前の正回転状態で)モータ6へと伝達されるので、この正回転によりオイルポンプ7及びモータ6をエンジン駆動することができる。
また、エンジン回転速度が設定回転速度域以下の場合やポンプ回転速度が設定回転速度域以下の場合にはモータ6を力行作動させるので、エンジン回転速度が低速のためエンジン駆動では必要油圧の作動油を必要量だけ発生させることができないような場合には、オイルポンプ7がモータ駆動され必要油圧の作動油を必要量だけ発生させることができる。
これによりエンジン低回転速度領域においてキックダウンによる急速な変速を行うような場合にも、オイルポンプ7によりバリエータ32に必要な作動圧を供給でき素早く変速を行うことができる。
具体的には、アクセルペダルが踏まれたとき、アクセルペダルの踏み込み量又はアクセルペダルの踏み込み速度が所定速度以上で、且つ、ダウンシフトが禁止されていない状態であれば、制御装置200は踏み込みダウン(踏み込みダウンシフト)判定を行い、踏み込みダウンが実行される。
踏み込みダウン判定が行われ、且つ、エンジン回転速度が所定回転速度以下であれば、モータ6によりオイルポンプ7を駆動し、踏み込みダウンが実行される。
なお、キックダウンは踏み込みダウンの下位概念であり、アクセルペダルを踏み込みきったとき(アクセル開度が最大のとき)に実行されるダウンシフトを、キックダウンと呼ぶ。
またエンジン駆動による走行中に油圧作動のクラッチ83を締結状態とすればエンジン1に加えてモータ6によるアシスト駆動を行うことができる。
(c)停車アイドルストップ時
モータ制御手段200Bは、エンジン回転速度が設定回転速度域以下の場合やポンプ回転速度が設定回転速度域以下の場合にはモータ6を電動機として作動させてオイルポンプ7を駆動するので、停車アイドルストップが行われたときにはオイルポンプ7をモータ6により駆動可能となっている。
つまり、停車アイドルストップ中は、クラッチ制御手段200Aが入力軸回転センサ201及び出力軸回転センサ202の検出結果に基づいて入力軸10と出力軸4とが共に停止状態にあると判断して油圧作動のクラッチ83を解放するとともに、上述したとおり入力軸10と出力軸4とが停止状態の時にモータ6によりオイルポンプ7を駆動してもワンウェイクラッチであるクラッチ82が解放状態となるのでモータ6がエンジン側及び駆動輪側と動力的に切り離される。
したがって、エンジン1が負荷となるようなこともなく且つ駆動輪を駆動して車両を走行させることもなく、モータ6によりオイルポンプ7を駆動可能となっている。
停車アイドルストップ中にもオイルポンプ7により前後進切替機構31及び変速機構3に油圧を供給できるので、停車アイドルストップから車両を再発進させる場合に、速やかに必要油圧の作動油を必要量だけ供給することが可能になり、発進時のタイムラグの発生を防止できる。
(d)コースト走行時
アクセルオフ操作によりコースト走行となり、セーリング制御を実施しない場合、前進クラッチ31cを締結してエンジンブレーキ制御を行い、セーリング制御を実施する場合、前進クラッチ31c及び後退ブレーキ31dが何れも解放される(変速機100が中立となり動力遮断状態となる)。
そして、油圧作動のクラッチ83を締結状態としておくことで駆動輪5の回転トルクを出力軸4に入力するトルクの逆流状態を利用して、オイルポンプ7を駆動可能であり、さらにモータ6を駆動する回生制動を行なうことも可能である。
この場合、駆動輪5の回転トルクは、動力伝達経路302のモータ回転軸61に伝達されてモータ6を駆動し、モータ回転軸61に伝達された回転トルクはさらに、スプロケット94,チェーン92,スプロケット91,チェーン93及びスプロケット95が配置される動力伝達経路を介してポンプ回転軸71に伝達されてオイルポンプ7を駆動する。
この際、モータ回転軸61からスプロケット91にも回転トルクが伝達するが、ワンウェイクラッチであるクラッチ82の作用によりこの回転トルクは入力軸10やエンジン1には伝達されないので、特に第1動力断続機構81が解放されるセーリング制御中は、エンジン1は駆動輪5から動力的に切り離された状態に維持され、コースト走行を阻害しない。
このようなコースト走行時、モータ6を発電状態にすれば出力軸4に入力される回転トルクの一部で運動エネルギを電力エネルギに変換することができ、モータ6を力行状態にすればモータ6によりオイルポンプ7の駆動をアシストすることができる。
加えて、モータ6やオイルポンプ7は、バリエータ32を介して出力軸4と接続されるため、バリエータ32によって出力軸4からの回転を変速してモータ6及びオイルポンプ7に伝達することができる。
この際、変速比制御手段200Cによりポンプ回転速度が設定回転速度域内になるように変速比が制御されるので、オイルポンプ7の回転速度を上昇させポンプ吐出量を増大させることが可能になる。
例えばコースト走行中に車速が低下していくとオイルポンプ7の回転速度が低下するが、このときにはバリエータ32の変速比をロー側へシフトさせればプライマリプーリ32bひいてはオイルポンプ7の回転速度を上昇させることができる。
さらに、コースト走行時にモータ6により発電を行う場合には、変速比制御手段200Cによりモータ回転速度が発電効率の良い回転速度になるように変速比を制御することもできる。
つまり、発電効率はモータ回転速度に応じて変化し、例えばコースト走行時には出力軸4の回転速度が徐々に低下していくが、バリエータ32の変速比をロー側へシフトさせればモータ回転速度を発電効率の良い回転速度にまで変速することができるので、モータ6により高効率に発電を行える。
この際には、オイルポンプ7の回転速度とモータ回転速度とは相関関係があるので、ポンプ回転センサ203の検出結果に応じて変速比を制御することができる(もちろんモータ回転速度を直接検出するセンサを設けてもよい)。
〔1−6.その他〕
本実施形態では、第2動力断接機構としてのクラッチ82にワンウェイクラッチを使用しているので、オイルポンプ7の駆動源を車両の状態に応じてメカニカルに変更することができ、第2動力断接機構に電気信号で断続を制御されるクラッチを使用する場合に比べて断続制御や当該断続制御に必要な設備が不要となる。
また、モータ6とオイルポンプ7との間の動力伝達機構、モータ6と入力軸10との間の動力伝達機構、オイルポンプ7と入力軸10との間の動力伝達機構、及び、モータ6とオイルポンプと出力軸4との間の動力伝達機構が、回転部材(本実施形態ではスプロケット)と、これらの回転部材に架け回された無端状部材(本実施形態ではチェーン)とを備えて構成されているので、ギヤにより動力伝達機構を構成する場合に比べて、モータ6、オイルポンプ7、入力軸10、出力軸4の位置関係の設定自由度が高まり、例えば駆動機構の全長を短くすることも可能となる。
さらに、オイルポンプ7を駆動するための動力伝達機構にスプロケットやチェーンのような回転部材や無端状部材を使用しているのでギヤを使用するのに較べてスプロケットなどの回転部材の厚みを薄くすることができる。
つまり、オイルポンプ7の駆動に必要な回転トルクは比較的低いので、オイルポンプ7に回転トルクを伝達する動力伝達機構の必要強度は比較的低くて済むが、動力伝達機構としてギヤを使用する場合には、ギヤの厚みを薄くすると大きなノイズが発生するためギヤの幅寸法(厚み)をノイズの発生しない最低寸法以上にしなければならない。
これに対して、スプロケットなどの回転部材は厚みを薄くしても大きなノイズが発生することはないので、動力伝達機構を無端状部材や回転部材により構成する場合には回転部材を必要強度に応じた薄いものとすることができるのである。
さらに、ワンウェイクラッチであるクラッチ82がスプロケット91の内周側に組み込まれるのでワンウェイクラッチをスプロケットやプーリと別々に配置するよりも駆動機構をコンパクトにすることが可能となる。
〔1−7.第1変形例〕
次に、本実施形態の駆動機構の第1変形例について説明する。
本実施形態の駆動機構の変形例の概略構成は前述の実施形態と同様に図1(a)に示す通りであるので説明を省略する。
本変形例の駆動機構の具体的な構成を図2を参照して説明するが、上記実施形態と同一の構成については同じ符号を付して説明は省略する。
図2に示すように、本変形例の駆動機構は、上記第1実施形態に対し、モータ6とエンジンとの間の動力伝達経路304A及び第4動力断続機構の構成が相違する。
具体的には、モータ回転軸61の一端側62と、支持軸62fに固定された第1ギヤとしてのギヤ1dとは、第4断続機構としての電磁クラッチ84Aを介して断続可能に接続されており、ギヤ1d及び支持軸62fはモータ回転軸61と同軸上に配置されている。
ギヤ1dはカウンタギヤ1bに常時噛合状態とされ、カウンタギヤ1bは入力軸10に接続されたギヤ1aに噛合している。
そして、スタータスイッチ204がオンされてエンジン始動要求指令が制御装置200に入力されている間は、電磁クラッチ制御手段200Eから制御指令が出力されてクラッチ84Aが締結されるとともにモータ制御手段200Bからモータ6に作動指令が出力されてモータ6が作動し、モータ6からの回転トルクが、モータ回転軸61、支持軸62f、ギヤ1d、ギヤ1b、ギヤ1a及び入力軸10を介してエンジン1に入力される。
つまり、支持軸62f、ギヤ1d、ギヤ1b及びギヤ1aが上記動力伝達経路304A上に配置され、電磁クラッチ84Aにより第4動力断続機構が構成されているのである。
また、上記第1実施形態では、モータ回転軸63とスプロケット97とをドグクラッチ83を介して接続したが、本変形例では、単板型又は多板型のクラッチ83Bを、モータ回転軸63とスプロケット回転軸96との間に介装している。
この他の構成は上記実施形態と同じなので説明を省略する。
本変形例の駆動機構は上述のように構成されているので、上記実施形態と同様の作用効果が得られる他、以下の効果が得られる。
つまり、第1実施形態ではギヤ1cを進退させてギヤ1bと噛合させたり噛合を解除させたりすることで動力伝達経路304を断続するようにしているため、ギヤ1b及びギヤ1cの回転がほぼ停止してからでないとギヤ1b及びギヤ1cを噛合させて動力伝達経路304を接続するのが困難であるが、本変形例ではギヤ1d及びギヤ1bは常に噛合状態であるのでギヤ1d及びギヤ1bが停止していなくとも動力伝達経路304を同期接続することが可能となる。
〔1−8.第2変形例〕
次に、本実施形態の駆動機構の第2変形例について説明する。
本実施形態の駆動機構の変形例の概略構成は前述の実施形態と同様に図1(a)に示す通りであるので説明を省略する。
本変形例の駆動機構の具体的な構成を図3を参照して説明するが、上記実施形態及び変形例と同一の構成については同じ符号を付して説明は省略する。
図3に示すように、本変形例の駆動機構は、上記第1実施形態に対し、入力軸10とモータ6及びオイルポンプ7との間の動力伝達機構301の構成が相違する。
つまり、本変形例の駆動機構では、中空軸11に、第2動力断続機構としてのクラッチ82を介してスプロケット(回転部材)91Aが装着されており、クラッチ82はワンウェイクラッチでありスプロケット91Aの内周側に組み込まれている。
このスプロケット91Aと、モータ回転軸61の一端側62に装着されたスプロケット(回転部材)94Aとにはチェーン(無端状部材)92Aが架け回されている。
また、モータ回転軸61の一端側62には、上記スプロケット94Aに加えてスプロケット(回転部材)95Aがさらに装着されており、このスプロケット95Aとオイルポンプ回転軸71に装着されたスプロケット(回転部材)96Aとにはチェーン(無端状部材)93Aが架け回されている。
つまり、スプロケット95A、チェーン93A、スプロケット96Aよりモータ6とオイルポンプ7との間の動力伝達機構が構成されている。
そして、スプロケット91A、チェーン92A、スプロケット94A、スプロケット95A、モータ回転軸61、チェーン93A、スプロケット96A及びポンプ回転軸71が本変形例の動力伝達経路301内に配置されている。
さらにいうと、スプロケット91A、チェーン92A及びスプロケット94Aより、入力軸10とモータ6との間の動力伝達機構が構成され、スプロケット91A、チェーン92A、スプロケット94A、スプロケット95A、チェーン93A及びスプロケット96Aより、入力軸10とオイルポンプ7との間の動力伝達機構が構成されている。
そして、停車アイドルストップ時にモータ6によりオイルポンプ7を駆動する場合は、モータ回転軸61の回転トルクがスプロケット95A、チェーン93A及びスプロケット96Aを介してポンプ回転軸71へと入力され、オイルポンプ7が駆動されるようになっている。
なお、停車アイドルストップ時には上記第1実施形態と同様にクラッチ83Bは解放状態とされる。
また、コースト走行時にセーリング制御が行われて、駆動輪5からの逆流トルクによってオイルポンプ7を駆動する場合は、駆動輪5の回転トルクが、スプロケット99、チェーン98及びスプロケット97を有する動力伝達機構や、締結状態の油圧作動のクラッチ83Bを介してモータ回転軸61に入力されてモータ6が駆動され、モータ回転軸61に入力された回転トルクがスプロケット95A、チェーン93A及びスプロケット96Aを介してポンプ回転軸71に入力されてオイルポンプ7が駆動されるようになっている。
このように停車アイドルストップ時にモータ6によりオイルポンプ7を駆動する場合や、コースト走行時のセーリング制御中に駆動輪5の回転トルクによってモータ6やオイルポンプ7を駆動する場合は、モータ回転軸61の回転トルクがスプロケット94A、チェーン92A及びスプロケット91Aの順に伝達されるが、スプロケット91Aの内周側に組み込まれたワンウェイクラッチであるクラッチ82は、モータ6から入力軸10に動力が伝達される場合には解放状態となるので、モータ6からの回転トルクがエンジン側に出力されることはない。
この他の構成は上記実施形態と同じなので説明を省略する。
本変形例の駆動機構は上述のように構成されているので、上記実施形態と同様の作用効果が得られる。
なお、上記の実施形態及び変形例では、第2動力断続機構としてのクラッチ82をワンウェイクラッチで構成したが、クラッチ82を電気信号で断続を制御されるクラッチで構成しても良く、このようなクラッチとしては、例えば、ドグクラッチ、単板型又は多板型の油圧作動のクラッチ、電磁クラッチ、或いは油圧式や電磁式以外のアクチュエータにより断続するクラッチがある。
この場合は、クラッチ制御手段200Aは、入力軸回転センサ201の検出結果及び出力軸回転センサ202の検出結果などに応じて車両の走行状態を判断し、この走行状態に応じてクラッチ82及びクラッチ83Bへの油圧の給排ひいてはクラッチ82及びクラッチ83Bの断続を制御する。
つまり、クラッチ制御手段200Aは、入力軸回転センサ201及び出力軸回転センサ203により入力軸10及び出力軸4がそれぞれ所定回転速度以上で回転していることが検出された場合には通常走行中であると判断して、エンジン1でモータ6やオイルポンプ7を駆動できるよう動力伝達経路301に介装されたクラッチ82を接続状態とするとともに駆動輪5側の作動と干渉しないように動力伝達経路302に介装されたクラッチ83Bを解放状態とする。
また、上述した通り停車アイドルストップが行われたときにはオイルポンプ7がモータ6により駆動されるようになるが、クラッチ制御手段200Aは、入力軸回転センサ201及び出力軸回転センサ203により入力軸10及び出力軸4が何れも停止状態であることを条件の一つとして停車アイドルストップ中であることを検出すると、クラッチ82及びクラッチ83Bの解放により動力伝達経路301及び動力伝達経路302を切断状態としてモータ6をエンジン1及び駆動輪5から動力的に切り離すので、モータ6により駆動輪5を駆動して車両を走行させてしまうことが防止される。
さらに、クラッチ制御手段200Aは、アクセルオフ操作によりコースト走行となってセーリング制御が行われた場合には、クラッチ83Bを接続状態として駆動輪5からの逆流トルクによりオイルポンプ7を駆動するようにし、クラッチ82を解放状態として動力伝達経路301を切断して駆動輪5とエンジン1とを切り離して、エンジン1が動力負荷とならないようにしている。
また上記実施形態では第3動力断続機構としてのクラッチ83Bを電子制御式の油圧作動のクラッチとして構成したが、駆動輪5からモータ6へ向かう動力のみ伝達するワンウェイクラッチとして構成しても良い。
この場合、駆動輪5(出力軸4)により間接的に駆動される回転軸96の回転速度のほうがモータ回転軸61の回転速度よりも高速であるために回転軸96からモータ回転軸61に動力が伝達されるような場合(例えばエンジン1や入力軸10が停止または低速回転状態において、駆動輪5によりモータ6やオイルポンプ7が駆動されるような場合)ではワンウェイクラッチであるクラッチ83Bは締結状態となる。
一方、回転軸96の回転速度よりもモータ回転軸61の回転速度のほうが高速で動力伝達方向がモータ回転軸61から出力軸4へ向かうような方向となる場合(例えば駆動輪5や出力軸4が停止または低速回転状態においてモータ6を作動させてオイルポンプ7をモータ駆動するような場合)ではワンウェイクラッチであるクラッチ83Bは解放状態(動力遮断状態)となる。
このようにクラッチ83Bを駆動輪5からモータ6へ向かう動力のみ伝達するワンウェイクラッチとして構成した場合、モータ6の回転トルクが駆動輪5へ伝達しないため、モータ6によるアシスト駆動はできないもののアイドルストップ時にはモータ駆動によりオイルポンプ7を駆動することができる。
〔2.第2実施形態〕
本実施形態及びその変形例の駆動機構の構成を図4(a),(b)及び図5により説明するが、上記の実施形態及びその変形例と同一の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
〔2−1.駆動機構の概略構成〕
本実施形態の駆動機構は動力伝達経路301A及び動力伝達経路302Aの構成が上記実施形態のものと異なっており、先ず、本実施形態の駆動機構の概略構成を図4(a)により説明する。
図4(a)に示すように、本実施形態では、エンジン1とオイルポンプ7との間に動力伝達経路301Aが形成されるとともに駆動論5とモータ6及びオイルポンプ7との間に動力伝達経路302Aが形成されており、動力伝達経路301Aには第2断続機構としてのクラッチ82Aが介装され、動力伝達経路302Aには第3断続機構としてのクラッチ83B(後述の図5に示す変形例ではクラッチ83A)が介装されている。
詳しくは、動力伝達経路302Aは、駆動輪5からの回転トルクがバリエータ32を介してモータ6及びオイルポンプ7に伝達されるように形成されている。
さらにいうと、クラッチ82Aは、入力軸10の動力を出力軸4へ伝達する動力伝達経路303外に配置され(動力伝達経路303上に配置されていない)、クラッチ83B(後述の変形例ではクラッチ83A)は、入力軸10の動力を出力軸4へ伝達する動力伝達経路303外に配置されている(動力伝達経路上303に配置されていない)。
第2動力断続機構としてのクラッチ82Aは、第1メンバと第2メンバとを有し、これらの第1メンバと第2メンバとの間の動力を断続可能な機構である。
第3動力断続機構としてのクラッチ83B(後述の変形例ではクラッチ83A)は、第1メンバと第2メンバとを有し、これらの第1メンバと第2メンバとの間の動力を断続可能な機構である。
〔2−2.駆動機構の構成及び作用効果〕
本実施形態の駆動機構の具体的な構成を図4(b)により説明すると、入力軸10には、ワンウェイクラッチであるクラッチ82Aを介してスプロケット(回転部材)91Bが接続されており、ここでは、スプロケット91Bがワンウェイクラッチであるクラッチ82Aの内輪に連結されている。
オイルポンプ7の両側に突出するポンプ回転軸71の一端側72にはスプロケット(回転部材)93Bが接続されており、スプロケット91Bとスプロケット93Bとにはチェーン(無端状部材)92Bが架け回されている。
これらのスプロケット91B、チェーン92B及びスプロケット93Bからなる動力伝達機構が上記動力伝達経路301A内に配置されており、エンジン1からの回転トルクが第1断続機構81を介さず且つクラッチ82Aを介して動力伝達経路301A経由でオイルポンプ7に伝達可能となってエンジン1の回転(すなわち入力軸10の回転により)オイルポンプ7を駆動可能になっている。
また、ポンプ回転軸71の他端側73に油圧作動のクラッチ83Bを介してスプロケット97Bの回転軸が接続されている。
プライマリプーリ32bの回転軸32aにはスプロケット99Bが接続されており、スプロケット97Bとスプロケット99Bとにはチェーン(無端状部材)98Bが架け回されている。
これにより、駆動輪5から出力軸4に逆流する回転トルクが第1断続機構81を介さず且つスプロケット99B、チェーン98B及びスプロケット97Bからなる動力伝達機構や締結状態の油圧作動のクラッチ83Bを介してオイルポンプ7に伝達可能となっており、オイルポンプ7を出力軸4により駆動可能となっている。
また、モータ6とオイルポンプ7との間には、モータ回転軸61に取り付けられたスプロケット(回転部材)61B、ポンプ回転軸71の他端側73に取り付けられたスプロケット(回転部材)94B及びこれらのスプロケット61Bとスプロケット94Bとに架け回されたチェーン(無端状部材)95Bが設けられている。
つまり、スプロケット61B、チェーン95B及びスプロケット94Bからモータ6とオイルポンプ7との間の動力伝達機構が構成されている。
これにより、モータ6からの回転トルクをオイルポンプ7に伝達させてオイルポンプ7をモータ駆動できるとともに、エンジン1や駆動輪5からオイルポンプ7に入力した回転トルクをモータ6に伝達してモータ6による発電が可能となっている。
そして、スプロケット99B、チェーン98B、スプロケット97B、ポンプ回転軸73、スプロケット94B、チェーン95B、スプロケット61B及びモータ回転軸61が上記動力伝達経路302A内に配置されている。
なお、クラッチ82Aの設置個所は、入力軸10とオイルポンプ7やモータ6との間の動力伝達経路内であればどこでも良く、例えばクラッチ82Aを図4(b)に二点鎖線で示す位置に配置しても良い。
また、クラッチ83Bの設置個所は、出力軸4とオイルポンプ7やモータ6との間の動力伝達経路内であればどこでも良く、例えばクラッチ83Bを図4(b)に二点鎖線で示す位置に配置しても良い。
この他の構成は上記実施形態と同じなので説明を省略する。
本実施形態の駆動機構は上述のように構成されているので、上記第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
〔2−3.変形例〕
次に、本実施形態の駆動機構の変形例について説明する。
本実施形態の駆動機構の変形例の概略構成は前述の実施形態と同様に図4(a)に示す通りであるので説明を省略する。
本変形例の駆動機構の具体的な構成を図5を参照して説明するが、上記実施形態と同一の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図5に示すように、本変形例の駆動機構は、上記第2実施形態に対し、出力軸4とモータ6及びオイルポンプ7との間の動力伝達経路302Aの構成が相違する。
つまり、ポンプ回転軸71の他端側73にスプロケット(回転部材)97Cが装着されている。
プライマリプーリ32bの回転軸32aにスプロケット(回転部材)96Cが、このスプロケット96Cの内周側に組み込まれているクラッチ83Aを介して装着されており、スプロケット96C及びスプロケット97Cにはチェーン(無端状部材)98Cが架け回されている。
クラッチ83Aは、出力軸4側からスプロケット96Cに出力される動力のみを伝達するワンウェイクラッチである。
これにより駆動輪5から出力軸4に逆流する回転トルクが第1断続機構81を介さず且つバリエータ32やクラッチ83Aを介してオイルポンプ7に伝達可能となっており、出力軸4によりオイルポンプ7を駆動可能となっている。
また、モータ回転軸61にスプロケット(回転部材)61Cが装着されている。
このスプロケット61Cと、上述した駆動輪5からオイルポンプ7への伝達経路の一部を形成する上記スプロケット96Cとにはチェーン(無端状部材)95Cが架け回されている。
すなわち、モータ6とオイルポンプ7との間の動力伝達経路が、上記の駆動輪5とオイルポンプ7との間の動力伝達経路と一部重複して形成されている。
これにより、モータ6からの回転トルクをオイルポンプ7に伝達させてオイルポンプ7をモータ駆動することができ、エンジン1からオイルポンプ7に入力した回転トルクをモータ6に伝達してエンジン駆動によってモータ6により発電することが可能となり、さらには、駆動輪5からスプロケット96Cに入力された逆流トルクをモータ6に伝達して逆流トルクによってモータ6により発電することが可能となっている。
そして、スプロケット96C、チェーン98C、スプロケット97C、ポンプ回転軸73、チェーン95C、スプロケット61C、モータ回転軸61からなる動力伝達機構が上記動力伝達経路302A内に配置されている。
この他の構成は上記各実施形態と同じなので説明を省略する。
本実施形態の駆動機構は上述のように構成されているので、上記各実施形態と同様に作用効果が得られる。
〔3.第3実施形態〕
本実施形態の駆動機構の構成を図6(a),(b)により説明するが、上記の各実施形態及びその変形例と同一の構成については同じ符号を付して説明は省略する。
〔3−1.駆動機構の概略構成〕
本実施形態の駆動機構は動力伝達経路301B及び動力伝達経路302Bの構成が上記各実施形態のものと異なっており、先ず、本実施形態の駆動機構の概略構成を図6(a)により説明する。
図6(a)に示すように、本実施形態では、エンジン1とモータ6及びオイルポンプ7との間に動力伝達経路301Bが形成されるとともに駆動論5とオイルポンプ7との間に動力伝達経路302Bが形成されており、動力伝達経路301B内には第2断続機構としてのクラッチ82が介装され、動力伝達経路302B内には第3断続機構としてのクラッチ83Bが介装されている。
詳しくは、動力伝達経路302Bは、駆動輪5からの回転トルクがバリエータ32を介してオイルポンプ7に伝達されるように形成されている。
〔3−2.駆動機構の構成及び作用効果〕
本実施形態の駆動機構の具体的な構成を図6(b)により説明すると、入力軸10には、第2動力断続機構であってここではワンウェイクラッチにより構成されるクラッチ82を介してスプロケット(回転部材)91Dが装着されており、はスプロケット91Dの内周側に組み込まれている。
オイルポンプ7の両側に突出するポンプ回転軸71の一端側72にスプロケット(回転部材)93Dが接続されており、スプロケット91Dとスプロケット93Dとにチェーン(無端状部材)92Dが架け回されている。
また、ポンプ回転軸71の一端側72にはさらにスプロケット(回転部材)94Dが装着されている。
モータ回転軸61にスプロケット(回転部材)61Dが装着されており、スプロケット61D及びスプロケット94Dにはチェーン(無端状部材)95Dが架け回されている。
そして、スプロケット91D、チェーン92D、スプロケット93D、ポンプ回転軸72、スプロケット94D、チェーン95D、スプロケット61D及びモータ回転軸61からなる動力伝達機構が上記動力伝達経路301B内に配置されており、エンジン1からの回転トルクが第1断続機構81を介さず且つワンウェイクラッチであるクラッチ82を介して動力伝達経路301B経由でモータ6及びオイルポンプ7に伝達可能であるとともにモータ6からの回転トルクがオイルポンプ7に伝達可能となっている。
これにより、モータ6及びオイルポンプ7をエンジン駆動可能であるとともにオイルポンプ7をモータ6の回転により駆動可能となっている。
また、ポンプ回転軸71の他端側73には第3動力断続機構としての油圧作動のクラッチ83Bを介してスプロケット97Dの回転軸96Dが接続され、このスプロケット97Dと、プライマリプーリ32bの回転軸32aに装着されたスプロケット99Dとにはチェーン(無端状部材)98Dが架け回されている。
これらのスプロケット99D、チェーン98D、スプロケット97D及びポンプ回転軸73からなる動力伝達機構が上記動力伝達経路302B内に配置されており、駆動輪5(出力軸4)からの逆流トルクが第1断続機構81を介さず且つクラッチ83Bを介して動力伝達経路302B経由でオイルポンプ7に伝達可能となって出力軸4の回転によりオイルポンプ7を駆動可能となっている。
なお、油圧作動のクラッチ83Bは、モータ6と出力軸4との間に介装されていればよく、図6(b)において二点鎖線で示すように、スプロケット99Dとバリエータ32との間に設置してもよい。
この他の構成は上記実施形態と同じなので説明を省略する。
本実施形態の駆動機構は上述のように構成されているので、上記各実施形態と同様の作用効果が得られる。
〔4.第4実施形態〕
本実施形態及びその変形例の駆動機構の構成を図7(a),(b)及び図8により説明するが、上記の各実施形態及びその変形例と同一の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
〔4−1.駆動機構の概略構成〕
本実施形態の駆動機構は動力伝達経路301C及び動力伝達経路302Cの構成が上記各実施形態のものと異なっており、先ず、本実施形態の駆動機構の概略構成を図7(a)により説明する。
図7(a)に示すように、本実施形態では、エンジン1とモータ6との間に動力伝達経路301Cが形成されるとともに駆動論5とモータ6及びオイルポンプ7との間に動力伝達経路302Cが形成されており、動力伝達経路301C内には第2動力断続機構としてのクラッチ82Aが介装され、動力伝達経路302C内には第3動力断続機構としてのクラッチ83Bが介装されている。
詳しくは、動力伝達経路302Cは、駆動輪5からの回転トルクがバリエータ32を介してモータ6及びオイルポンプ7に伝達されるように形成されている。
さらにいうと、クラッチ82Aは、入力軸10の動力を出力軸4へ伝達する動力伝達経路303外に配置され(動力伝達経路303上に配置されていない)、クラッチ83Bは、入力軸10の動力を出力軸4へ伝達する動力伝達経路303外に配置されている(動力伝達経路上303に配置されていない)。
〔4−2.駆動機構の構成及び作用効果〕
本実施形態の駆動機構の具体的な構成を図7(b)により説明すると、入力軸10には、ワンウェイクラッチであるクラッチ82Aを介してスプロケット(回転部材)91Eが装着されている。
モータ6の両側に突出するモータ回転軸61の一端側62にスプロケット(回転部材)93Eが装着されており、スプロケット91Eとスプロケット93Eとにチェーン(無端状部材)92Eが架け回されている。
そして、スプロケット91E、チェーン92E、スプロケット93E、モータ回転軸61からなる動力伝達機構が上記動力伝達経路301Cに配置されており、エンジン1からの回転トルクが第1断続機構81を介さず且つクラッチ82Aを介して動力伝達経路301C経由でモータ6に伝達可能となってモータ6をエンジン駆動可能となっている。
また、モータ回転軸61の他端側63にはスプロケット63Eが装着されると共に油圧作動式のクラッチ83Bを介してスプロケット94Eの回転軸が接続されている。
プライマリプーリ32bの回転軸32aにはスプロケット96Eが装着されており、スプロケット94E及びスプロケット96Eにチェーン(無端状部材)95Eが架け回されている。
これにより、駆動輪5(すなわち出力軸4)からの逆流トルクが第1断続機構81を介さず且つスプロケット96E、チェーン95E及びスプロケット94Eからなる動力伝達機構や締結状態のクラッチ83Bを介してモータ6に伝達可能となっており、モータ6を出力軸4により駆動可能となっている。
また、モータ回転軸61の他端側63にはスプロケット(回転部材)63Eが装着されている。
そして、オイルポンプ回転軸71にはスプロケット(回転部材)71Eが装着されており、スプロケット63Eとスプロケット71Eとにはチェーン(無端状部材)97Eが架け回されている。
これにより、モータ6からの回転トルクを、スプロケット63Eやチェーン(無端状部材)97Eやスプロケット71Eからなる動力伝達機構を介してオイルポンプ7に伝達させてオイルポンプ7をモータ駆動できるとともに、エンジン1からモータ6に入力した回転トルクをオイルポンプ7に伝達してオイルポンプをエンジン駆動したり、駆動輪5からスプロケット63Eに逆流したトルクをオイルポンプ7にも伝達してオイルポンプ7を駆動したりすることができるようになっている。
そして、スプロケット96E、チェーン95E、スプロケット94E、スプロケット63E、モータ回転軸61、チェーン97E、スプロケット71E、ポンプ回転軸73が上記動力伝達経路302C内に配置されている。
なお、クラッチ83Bは、モータ6と出力軸4との間に介装されていればよく、図7(b)において二点鎖線で示すように、スプロケット96Eとバリエータ32との間に設置してもよい。
この他の構成は上記各実施形態と同じなので説明を省略する。
本実施形態の駆動機構は上述のように構成されているので、上記各実施形態と同様に作用効果が得られる。
〔4−3.変形例〕
次に、本実施形態の駆動機構の変形例について説明する。
本実施形態の駆動機構の変形例の概略構成は前述の実施形態と同様に図7(a)に示す通りであるので説明を省略する。
本変形例の駆動機構の具体的な構成を図8を参照して説明する。
図8に示すように、本変形例の駆動機構は、上記第4実施形態に対し、出力軸4とモータ6及びオイルポンプ7との間の動力伝達機構302Cの構成が相違する。
具体的に説明すると、オイルポンプ回転軸71には、スプロケット71Eが装着されると共に油圧作動のクラッチ83Bを介してスプロケット94Fの回転軸が接続されている。
また、プライマリプーリ32bの回転軸32aにスプロケット96Fが装着されており、スプロケット94Fとスプロケット96Fとにチェーン(無端状部材)95Fが架け回されている。
これにより、駆動輪5(出力軸4)からの逆流トルクが第1断続機構81を介さず且つスプロケット96F、チェーン95F及びスプロケット94Fからなる動力伝達機構や締結状態の油圧作動のクラッチ83Bを介してオイルポンプ7に伝達可能となっており、オイルポンプ7を出力軸4の回転により駆動可能となっている。
また、モータ回転軸61の他端側63にスプロケット(回転部材)63Eが装着されている。
そして、オイルポンプ回転軸71にはスプロケット(回転部材)71Eが装着されており、スプロケット63Eとスプロケット71Eにチェーン(無端状部材)97Eが架け回されており、これらのスプロケット71E、チェーン97E及びスプロケット63Eからモータ6とオイルポンプ7との間の動力伝達機構が構成されている。
これにより、モータ6の出力又はエンジン1から動力伝達経路301Cを経由してモータ6に入力されたエンジン出力をオイルポンプ7に伝達させてオイルポンプ7をモータ駆動又はエンジン駆動できるとともに、駆動輪5からオイルポンプ7に入力する回転トルクをモータ6にも伝達してモータ6を駆動輪5からの逆流トルクによって駆動して発電させることが可能となっている。
なお、油圧作動のクラッチ83Bは、モータ6と出力軸4との間の動力伝達経路内に介装されていればよく、図8において二点鎖線で示すように、スプロケット96Fバリエータ32との間に設置してもよい。
この他の構成は上記各実施形態と同じなので説明を省略する。
本変形例の駆動機構は上述のように構成されているので、上記各実施形態及びそれらの変形例と同様の作用効果が得られる。
〔5.その他〕
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で上記の実施形態を変更したり上記の実施形態を部分的に適用したりして実施することができる。
例えば、上記各実施形態では、変速比調整機構としてのバリエータがベルト式無段変速機構のものを説明したが、バリエータは、ベルト式のものに代えてチェーン式のものなど他の無段変速機構を用いてもよい。
また、各実施形態では、モータ操作手段をモータ制御手段200Bにより、断続機構操作手段をアクチュエータ制御手段200D又は電磁クラッチ制御手段200Eにより構成したが、モータ操作手段及び断続機構操作手段は制御手段により構成される必要はなく、例えばモータ操作手段及び断続機構操作手段の少なくとも一つをスタータスイッチ204により構成しても良い。
すなわち、スタータスイッチ204がオンされると、モータ6及び第4動力断続機構(電磁アクチュエータ62D、電磁クラッチ84A)の少なくとも1つにスタータスイッチ204から直接に動作指令を送信するようにしても良い。
また、図3〜図8に示す実施形態(変形例を含む)において、モータとエンジンとの間の動力伝達経路304及び第4動力断続機構84に代えて図2に示す動力伝達経路304A及び第4動力断続機構84Aを採用しても良い。
さらに、変速比調整機構は、無段変速機構に限定されず有段変速機構を用いても良く、変速比調整機構に有段変速機構を用いる場合は、第1動力断接機構が有段変速機構内に設けられていても良く、第1動力断接機構が有段変速機構外に設けられていても良い。
また、第2動力断続機構としてのクラッチ82は、モータ6又はオイルポンプ7と入力軸10との間であれば上記各実施形態の配置に限定されない。
同様に第3動力断続機構としてのクラッチ83、クラッチ83A及びクラッチ83Bは、モータ6又はオイルポンプ7と出力軸4との間であれば上記各実施形態の配置に限定されない。
また、第2〜第4実施形態においても、第1実施形態と同様に、第2動力断続機構及び第3動力断続機構はワンウェイクラッチ及び油圧作動のクラッチの何れによって構成しても良い。
さらに、上記各実施形態では、前後進を達成するための前後進切替機構31を入力軸10とバリエータ32との間に設け、この前後進切替機構31の前進クラッチ31c及び後退ブレーキ31dを第1動力断続機構81として機能させる構成を例示したが、前後進切替機構31をバリエータ32と出力軸4との間に配設する場合には、入力軸10とバリエータ32との間の動力伝達経路内に第1動力断続機構として油圧作動式クラッチのみを介装し、同クラッチをクラッチ制御手段200Aで制御するように構成すれば、上記各実施形態と同様の作用効果を得ることが可能である。
この場合、前後進切替機構に代えて前後進切替機能付き副変速機を使用しても良いし、前後進切替機構が変速比の変更を伴わないものである場合は、副変速機を別に設けるようにしても良い。
また、モータ6は発電機能を有するものでなくともよい。
また、図1〜図8に示す各実施形態では、モータ回転軸61とオイルポンプ回転軸71とを別体に設けて動力伝達機構により相互に接続する構成としたが、モータ回転軸61とオイルポンプ回転軸71とを一体化しても良い(以下、モータ回転軸61とオイルポンプ回転軸71とを一体化した軸を「一体化軸」と呼ぶ)。
このような一体化軸を採用した場合、入力軸10の動力を一つの動力伝達機構を介して一体化軸へ伝達することができ、且つ、出力軸4の動力を一つの動力伝達機構を介して一体化軸へ伝達することができる。
図1〜図8に示す各実施形態では、入力軸10、モータ回転軸61、オイルポンプ回転軸71及び出力軸4の間に3つの動力伝達機構を使用しているが、一体化軸を採用すれば動力伝達機構を1つ減らして2つとすることができる。
例えば、図1(b)に示す第1実施形態に係る構成では、入力軸10の動力は、チェーン92を含む動力伝達機構によってモータ回転軸61へ伝達されるとともにチェーン93を含む動力伝達機構によってオイルポンプ回転軸71へ伝達され、出力軸4の動力は、チェーン98を含む動力伝達機構と前記のチェーン92を含む動力伝達機構と前記のチェーン93を含む動力伝達機構とによってモータ回転軸61及びオイルポンプ回転軸71へと伝達される。
すなわち、チェーン92を含む動力伝達機構と、チェーン93を含む動力伝達機構と、チェーン98を含む動力伝達機構との3つの動力伝達機構が必要となる。
これに対し、モータ回転軸61及びオイルポンプ回転軸71を一体化した一体化軸を使用することで、入力軸10とモータ回転軸61との間、及び、入力軸10とオイルポンプ回転軸71との間にそれぞれ必要であった動力伝達機構を一つとすることができるので、上記3つの動力伝達機構から2つの動力伝達機構へと減らすことができる。
また、例えば、図5に示す第2実施形態の変形例に係る構成では、出力軸4の動力は、チェーン95Cを含む動力伝達機構によってモータ回転軸61へ伝達されるとともにチェーン98Cを含む動力伝達機構によってオイルポンプ回転軸71へ伝達され、入力軸10の動力は、チェーン92Bを含む動力伝達機構と前記のチェーン95Cを含む動力伝達機構と前記のチェーン98Cを含む動力伝達機構とによってモータ回転軸61及びオイルポンプ回転軸71へと伝達される。
すなわち、チェーン95Cを含む動力伝達機構と、チェーン98Cを含む動力伝達機構と、チェーン92Bを含む動力伝達機構との3つの動力伝達機構が必要となる。
これに対し、モータ回転軸61及びオイルポンプ回転軸71を一体化した一体化軸を使用することで、出力軸4とモータ回転軸61との間、及び、出力軸4とオイルポンプ回転軸71との間にそれぞれ必要であった動力伝達機構を一つとすることができるので、上記3つの動力伝達機構から2つの動力伝達機構へと減らすことができる。
或いは、図1〜図8に示す各実施形態の構成においてモータ回転軸61及びオイルポンプ回転軸71の各々に取り付けられた動力伝達機構を一体化して動力伝達機構を減らすことも可能である。
例えば、図1(b)に示す第1実施形態に係る構成において、入力軸10に装着されたスプロケット91、モータ回転軸61に装着されたスプロケット94及びオイルポンプ回転軸71に装着されたスプロケット95の3つのスプロケットに一つのチェーンを掛け回すことによりモータ回転軸61及びオイルポンプ回転軸71の各々に取り付けられた動力伝達機構を一体化することができる。
また、例えば、図5に示す第2実施形態の変形例に係る構成では、プライマリプーリ32bの入力軸32aに装着されたスプロケット96C、モータ回転軸61に装着されたスプロケット61C及びオイルポンプ回転軸71に装着されたスプロケット97Cの3つのスプロケットに一つのチェーンを掛け回すことによりモータ回転軸61及びオイルポンプ回転軸71の各々に取り付けられた動力伝達機構を一体化することができる。
このように動力伝達機構を一体化することにより動力伝達機構の数を削減することができる。