以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施の形態は、本発明をハイブリッド車両用の駆動装置に適用したものである。
まず、構成について説明する。
図1〜図3に示すように、駆動装置1は、エンジン10と、駆動ユニット20と、自動変速機30と、制御ユニット40とを備えている。本実施の形態では、駆動装置1のエンジン10の方向をエンジン側E、駆動装置1の自動変速機30の方向を自動変速機側Tとしている。
エンジン10は、ガソリンあるいは軽油などの炭化水素系の燃料と空気との混合気を、図示しない燃焼室内で燃焼させることによって動力を出力する公知の動力装置により構成されている。エンジン10は、本発明の内燃機関を構成している。エンジン10は、燃焼室内で混合気の吸気と燃焼と排気とを繰り返すことにより図示しないシリンダブロック内の図示しないピストンを往復動させ、ピストンと動力伝達可能に連結されたクランクシャフト11を回転させるようになっている。エンジン10は、クランクシャフト11から駆動ユニット20にトルクを伝達するようになっている。
クランクシャフト11には、エンジン回転数センサ19が設けられている。エンジン回転数センサ19は、クランクシャフト11の回転数を検出して制御ユニット40に入力するようになっている。
駆動ユニット20は、入力部21と、クラッチ22と、ワンウェイクラッチ23と、モータジェネレータ24と、出力部27と、ケース部28とを備えている。モータジェネレータ24は、本発明における電動機を構成している。駆動ユニット20は、エンジン10と自動変速機30との間に介在されるとともに、エンジン10のクランクシャフト11からの動力を自動変速機30の後述する変速機入力軸31に伝達するようになっている。
入力部21は、クラッチ入力軸212を備えている。クラッチ入力軸212は、クランクシャフト11と同軸に設けられている。クラッチ入力軸212は、クラッチ22およびワンウェイクラッチ23に一体回転可能に連結されるとともに、クラッチ22およびワンウェイクラッチ23に動力を伝達するようになっている。
出力部27は、クラッチ出力軸270を備えている。クラッチ出力軸270は、クラッチ入力軸212と同軸に設けられている。クラッチ出力軸270は、クラッチ22およびワンウェイクラッチ23に一体回転可能に連結されるとともに、クラッチ22およびワンウェイクラッチ23の動力を外部に伝達するようになっている。クラッチ出力軸270は、自動変速機30の変速機入力軸31に一体回転可能に連結されるとともに、駆動ユニット20の出力を自動変速機30に伝達するようになっている。
モータジェネレータ24は、ステータ240と、ロータ241とを備えている。モータジェネレータ24は、クランクシャフト11と変速機入力軸31との動力伝達経路に介在されている。
ステータ240は、図示しないステータコアと、ステータコアに巻回される図示しない三相コイルとを備えている。ステータコアは、例えば、電磁鋼板の薄板を積層して形成されるとともに、ケース部28に固定されている。ステータ240は、三相コイルへの通電により回転磁界を形成するようになっている。
ロータ241は、ステータ240の内部に配置されるとともに、複数個の永久磁石が埋め込まれて形成されている。
ロータ241には、モータ回転数センサ243が設けられている。モータ回転数センサ243は、ロータ241の回転数を検出することにより、モータジェネレータ24の回転数を検出して制御ユニット40に入力するようになっている。
モータジェネレータ24は、ロータ241に埋め込まれた永久磁石による磁界と三相コイルによって形成される磁界との相互作用により、ロータ241を回転駆動する電動機として動作するようになっている。また、モータジェネレータ24は、ロータ241に埋め込まれた永久磁石による磁界とロータ241の回転との相互作用により、三相コイルの両端に起電力を生じさせる発電機としても動作するようになっている。
モータジェネレータ24は、インバータ46に接続されている。インバータ46はバッテリ47に接続されている。このため、モータジェネレータ24は、インバータ46を介してバッテリ47との間で電力のやり取りを行うようになっている。バッテリ47は、ハイブリッド車両の運転状況に応じて、モータジェネレータ24から生じた電力を充電したり、あるいは放電したりするようになっている。
インバータ46からモータジェネレータ24への電力ラインには、MG電流センサ461が取り付けられている。MG電流センサ461は、相電流を検出して制御ユニット40に入力するようになっている。バッテリ47の出力端子間にはバッテリ電圧センサ471が取り付けられている。バッテリ電圧センサ471は、バッテリ47の出力電圧を検出して制御ユニット40に入力するようになっている。バッテリ47の出力端子には、バッテリ電流センサ472が取り付けられている。バッテリ電流センサ472は、バッテリ47の充放電電流を検出して制御ユニット40に入力するようになっている。バッテリ47には、バッテリ温度センサ473が取り付けられている。バッテリ温度センサ473は、バッテリ温度を検出して制御ユニット40に入力するようになっている。
クラッチ22は、図示しない多板部と、図示しないピストン部とを備えている。クラッチ22は、入力部21と出力部27との間に設けられている。クラッチ22は、クランクシャフト11と変速機入力軸31との間に設けられるとともに、クランクシャフト11と変速機入力軸31との間を接続したり切断したりするようになっている。すなわち、クラッチ22は、エンジン10とモータジェネレータ24とを切り離す解放状態と、エンジン10とモータジェネレータ24とを接続する係合状態との間で伝達状態が切り替わるようになっている。
クラッチ22は、ノーマリーオープン型となっている。クラッチ22は、通常は解放されていてエンジン10とモータジェネレータ24との接続を切断している。また、クラッチ22は、自動変速機30の後述するオイルポンプ34から高圧の作動油が供給されることにより作動して、エンジン10とモータジェネレータ24とを接続するようになっている。クラッチ22は、モータジェネレータ24の内周部に設けられている。
ワンウェイクラッチ23は、クランクシャフト11と変速機入力軸31との間に設けられるとともに、クランクシャフト11から変速機入力軸31を介してモータジェネレータ24に正転方向の動力のみを伝達可能に接続されている。ここで、正転方向とは、クランクシャフト11の回転方向を意味する。また、ワンウェイクラッチ23は、モータジェネレータ24の内周部に設けられている。ワンウェイクラッチ23は、モータジェネレータ24の内周部でクラッチ22に対して軸方向に隣接して配置されている。
クラッチ入力軸212には、入力軸回転数センサ29が取り付けられている。入力軸回転数センサ29は、クラッチ入力軸212の回転速度を検出して制御ユニット40に入力するようになっている。入力軸回転数センサ29は、例えばレゾルバである。
自動変速機30は、変速機入力軸31と、トルクコンバータ32と、変速機構入力軸33と、オイルポンプ34と、変速機構35と、油圧制御装置36と、出力軸37と、ケース38と、シフトレバー51と、マニュアルバルブ350とを備えている。自動変速機30は、車輪とモータジェネレータ24とに連結されている。自動変速機30は、本発明の自動変速装置を構成している。
トルクコンバータ32は、循環する作動油の作用を利用する流体式で、駆動ユニット20のクラッチ出力軸270から伝達される駆動力を、変速機構入力軸33を介して変速機構35に伝達するようになっている。トルクコンバータ32は、タービンランナ90と、ポンプインペラ91と、フロントカバー92と、ステータ93と、ワンウェイクラッチ94と、中空軸95と、ロックアップクラッチ96とを備えている。すなわち、トルクコンバータ32は、モータジェネレータ24および車輪の間に連結されるとともにロックアップクラッチ96を備えたものになっている。
タービンランナ90およびポンプインペラ91は、タービンランナ90がエンジン側Eに位置するように互いに対向して配置されている。タービンランナ90は、変速機構入力軸33に一体回転するように連結されている。ポンプインペラ91は、フロントカバー92を介して変速機入力軸31に一体回転するように連結されている。ケース38の内部には、作動油が供給されている。
タービンランナ90およびポンプインペラ91の間の内周側には、ステータ93が設けられている。ステータ93には、ワンウェイクラッチ94を介して中空軸95が接続されている。中空軸95は、ケース38に固定されるとともに、内部に変速機構入力軸33を回転可能に収容している。
ロックアップクラッチ96は、ロックアップピストン96aと、ロックアップピストン96aに接合された摩擦材96bとを備えている。ロックアップクラッチ96は、油圧制御装置36により調整されたオイルポンプ34からの高圧の作動油により、図2中に点線矢印で示すようにエンジン側Eに押圧されるようになっている。作動油は、ロックアップピストン96aをエンジン側Eに移動させ、摩擦材96bをフロントカバー92に押し当てるようになっている。
ロックアップクラッチ96は、ロックアップピストン96aのエンジン側Eへの摺動により、係合状態に切り替わるようになっている。係合状態では、摩擦材96bがフロントカバー92に押し当てられて、摩擦材96bとフロントカバー92とが摩擦により結合するようになる。また、ロックアップクラッチ96は、ロックアップピストン96aの自動変速機側Tへの摺動により、解放状態に切り替わるようになっている。解放状態では、摩擦材96bがフロントカバー92から離隔して、摩擦材96bとフロントカバー92とが別個に回転可能になる。
オイルポンプ34は、ロータ340と、ハブ341と、ボデー342とを備えている。ハブ341は、円筒形状で、ロータ340とポンプインペラ91とを一体回転するように連結している。ボデー342は、ケース38に固定されている。このため、駆動ユニット20からの動力が、フロントカバー92からポンプインペラ91を介してロータ340に伝達され、オイルポンプ34が駆動されるようになっている。
オイルポンプ34から吐出される作動油は、変速機構35に供給されるとともに、駆動ユニット20のクラッチ22にも供給されるようになっている(図2中、一点鎖線で示す)。オイルポンプ34は、油圧の供給により、変速機構35のシフトレンジおよび変速段の切り替えや、クラッチ22の締結を行うようになっている。
オイルポンプ34とクラッチ22との間には、油圧調整バルブ39が設けられている。油圧調整バルブ39は、制御ユニット40からの信号に従い、オイルポンプ34からクラッチ22への作動油の供給量を調整するようになっている。
オイルポンプ34と油圧調整バルブ39とは、クラッチ切替手段を構成している。オイルポンプ34と、油圧調整バルブ39とは、クラッチ22を解放状態から係合状態に切り替えるようになっている。
変速機構35は、ハイブリッド車両の走行状況に応じて複数のクラッチやブレーキの係合および解放が油圧制御装置36から供給される油圧によって切り替えられることで、所望のシフトレンジおよび変速段を形成するようになっている。本実施の形態では、変速機構35は、切替可能な走行レンジと停止レンジとの少なくとも2つのシフトレンジを有している。
走行レンジとしては、前進走行レンジと、後進走行レンジの2つがある。前進走行レンジとしては、例えば、D(ドライブ)レンジ、2(セカンド)レンジ、L(ロー)レンジ、M(マニュアル)レンジ(シーケンシャルレンジ)、B(ブレーキ)レンジ、S(スポーツ)レンジ、Ds(スポーツドライブ)レンジなどがある。後進走行レンジとしては、例えば、R(後進)レンジがある。停止レンジとしては、例えば、N(ニュートラル)レンジおよびP(パーキング)レンジがある。
シフトレバー51は、走行ポジションと停止ポジションとの少なくとも2つのシフトポジションを有するとともに、走行ポジションと停止ポジションとをドライバにより切替可能にしている。走行ポジションは、変速機構35のシフトレンジを走行レンジに設定するものとしている。停止ポジションは、変速機構35のシフトレンジを停止レンジに設定するものとしている。
本実施の形態走行ポジションは、前進走行ポジションと、後進走行ポジションとを含む。前進走行ポジションは、変速機構35のシフトレンジを前進走行レンジに設定するものとしている。後進走行ポジションは、変速機構35のシフトレンジを後進走行レンジに設定するものとしている。
前進走行ポジションとしては、例えば、D(ドライブ)ポジション、2(セカンド)ポジション、L(ロー)ポジション、M(マニュアル)ポジション(シーケンシャルポジション)、B(ブレーキ)ポジション、S(スポーツ)ポジション、Ds(スポーツドライブ)ポジションなどがある。後進走行ポジションとしては、例えば、R(後進)ポジションがある。停止ポジションとしては、例えば、N(ニュートラル)ポジションおよびP(パーキング)ポジションがある。
シフトレバー51には、シフトポジションセンサ52が設けられている。シフトポジションセンサ52は、シフトレバー51の操作位置をシフトポジション信号として検出して制御ユニット40に入力するようになっている。
変速機構35の変速機構入力軸33は、トルクコンバータ32のタービンランナ90に接続されている。したがって、変速機構35の変速機構入力軸33は、トルクコンバータ32の出力軸としても機能する。
変速機構入力軸33から伝達された駆動力は、変速機構35を経て出力軸37に伝達され、出力軸37から図示しないディファレンシャルを経て車輪に伝達されるようになっている。すなわち、モータジェネレータ24および自動変速機30は、車輪に連結されている。なお、本実施の形態の変速機構35は、有段式の変速機構で構成されているが、有段式に限られず、例えば無段式でかつ変速機クラッチを備えた変速機構で構成されるようにしてもよい。
図4に示すように、変速機構35は、遊星歯車機構の第1セット60と、遊星歯車機構の第2セット61と、出力ギヤ62と、ギヤケース63に固定されたB1ブレーキ64、B2ブレーキ65およびB3ブレーキ66と、C1クラッチ67と、C2クラッチ68と、ワンウェイクラッチF69とを備えている。C1クラッチ67およびC2クラッチ68は、本発明の車輪接断クラッチおよび変速機クラッチを構成する。遊星歯車機構の第1セット60と、遊星歯車機構の第2セット61と、出力ギヤ62とは、本発明の歯車列を構成する。すなわち、変速機構35は、歯車列60〜62と、歯車列60〜62を接続および切断可能な変速機クラッチ67,68とを備えている。
第1セット60は、シングルピニオン型の遊星歯車機構により構成されている。第1セット60は、サンギヤ600と、ピニオンギヤ601と、リングギヤ602と、キャリア603とを有している。
サンギヤ600は、変速機構入力軸33を介してトルクコンバータ32のタービンランナ90に連結されている。ピニオンギヤ601は、キャリア603に回転自在に支持されている。ピニオンギヤ601は、サンギヤ600およびリングギヤ602と係合している。
リングギヤ602は、B3ブレーキ66によりギヤケース63に選択的に固定可能となっている。キャリア603は、B1ブレーキ64によりギヤケース63に選択的に固定可能となっている。
第2セット61は、ラビニヨ型の遊星歯車機構により構成されている。第2セット61は、サンギヤ610と、ショートピニオンギヤ611と、キャリア612、614と、ロングピニオンギヤ613と、サンギヤ615と、リングギヤ616とを有している。
サンギヤ610は、キャリア603に連結されている。ショートピニオンギヤ611は、キャリア612に回転自在に支持されている。ショートピニオンギヤ611は、サンギヤ610およびロングピニオンギヤ613と係合している。キャリア612は、出力ギヤ62に連結されている。
ロングピニオンギヤ613は、キャリア614に回転自在に支持されている。ロングピニオンギヤ613は、ショートピニオンギヤ611、サンギヤ615およびリングギヤ616と係合している。キャリア614は、出力ギヤ62に連結されている。
サンギヤ615は、C1クラッチ67を介して変速機構入力軸33に選択的に連結可能となっている。リングギヤ616は、B2ブレーキ65により、ギヤケース63に選択的に固定可能になるとともに、C2クラッチ68により変速機構入力軸33に選択的に連結可能となっている。また、リングギヤ616は、ワンウェイクラッチF69に連結されるとともに、変速段が1速で、かつ駆動時において回転不能となる。
図5に示すように、油圧制御装置36は、リニアソレノイドバルブSL1〜SL5を有している。オイルポンプ34から圧送された作動油は、リリーフ型の調圧バルブ343により調圧され、第1ライン圧PL1を有するようになる。マニュアルバルブ350は、シフトレバー51に連動されるとともに、変速機構35をシフトレバー51により設定されたシフトレンジに切り替える作動油を制御するようになっている。第1ライン圧PL1を有する作動油は、リニアソレノイドバルブSL4へ供給されるようになっている。
シフトレバー51が前進走行ポジションに位置する場合には、第1ライン圧PL1と等しい前進走行ポジション圧PDを有する作動油が、マニュアルバルブ350を介してリニアソレノイドバルブSL1〜SL3、SL5へ供給されるようになっている。シフトレバー51が後進走行ポジションに位置する場合には、第1ライン圧PL1と等しい後進走行ポジション圧PRを有する作動油が、マニュアルバルブ350を介してリニアソレノイドバルブSL5へ供給されるようになっている。
リニアソレノイドバルブSL1〜SL5は、C1クラッチ67、C2クラッチ68、B1ブレーキ64、B2ブレーキ65、B3ブレーキ66にそれぞれ対応するよう接続されている。
後述するトランスミッション用電子制御ユニット(以下、トランスミッションECUという)45は、ソレノイド電流によってこれらのリニアソレノイドバルブSL1〜SL5を制御することにより、油圧PC1、PC2、PB1〜PB3を調節するようになっている。これにより、トランスミッションECU45は、C1クラッチ67、C2クラッチ68、B1ブレーキ64、B2ブレーキ65、B3ブレーキ66の係合および解放を切り替えたり、係合圧を調節したりするようになっている。
図6に示すように、変速機構35は、C1クラッチ67と、C2クラッチ68と、B1ブレーキ64と、B2ブレーキ65と、B3ブレーキ66と、ワンウェイクラッチF69との係合または解放の組み合わせにより、所望のシフトレンジおよび変速段を形成するようになっている。図6に示す作動表中、「○」は係合を表し、「×」は解放を表し、「◎」はエンジンブレーキ時のみの係合を表し、「△」は駆動時のみの係合を表している。
トランスミッションECU45は、図6に示す作動表に示された組み合わせで、油圧制御装置36に設けられたリニアソレノイドバルブSL1〜SL5と、図示しないトランスミッションソレノイドの励磁および非励磁とによって各ブレーキおよび各クラッチを作動させるようになっている。これにより、制御ユニット40は、1速〜6速の前進走行レンジおよび後進走行レンジを形成するようになっている。
図3に示すように、制御ユニット40は、ハイブリッド用電子制御ユニット(Electronic Control Unit;以下、ECUという)41と、エンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)42と、モータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)43と、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)44と、トランスミッションECU45とを備えている。制御ユニット40は、制御手段を構成している。
ECU41は、CPU(Central processing unit)410と、処理プログラムなどを記憶するROM(Read only memory)411と、一時的にデータを記憶するRAM(Random access memory)412と、バックアップメモリ413と、入力ポート414と、出力ポート415と、通信ポート416とを備えている。ECU41は、ハイブリッド車両の制御を統括するようになっている。
ECU41の入力ポート414には、エンジン回転数センサ19と、入力軸回転数センサ29と、モータ回転数センサ243と、車速センサ50と、シフトポジションセンサ52と、アクセルセンサ54と、MG電流センサ461と、バッテリ電圧センサ471と、バッテリ電流センサ472と、バッテリ温度センサ473とが接続されている。
車速センサ50は、車速信号を検出して制御ユニット40に入力するようになっている。アクセルセンサ54には、アクセルペダル53が接続されている。アクセルセンサ54は、アクセルペダル53が踏み込まれた踏み込み量を検出して、検出した踏み込み量に応じた検出信号をECU41に入力するようになっている。また、ECU41は、アクセルセンサ54から出力された検出信号が表すアクセルペダル53の踏み込み量から、アクセル開度Accを算出するようになっている。
アクセルペダル53は、エンジン10およびモータジェネレータ24の少なくとも一方のドライバの加速要求を設定するようになっている。アクセルペダル53は、ドライバによって踏み込まれることにより、ドライバの加速要求を設定するとともに、エンジン10およびモータジェネレータ24の少なくとも一方の回転数を操作するようになっている。
ECU41は、エンジンECU42と、モータECU43と、バッテリECU44と、トランスミッションECU45とに通信ポート416を介して接続されている。ECU41は、エンジンECU42と、モータECU43と、バッテリECU44と、トランスミッションECU45と各種制御信号やデータのやり取りを行うようになっている。
エンジンECU42は、エンジン10およびECU41に接続されている。エンジンECU42は、エンジン10の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するとともに、入力した信号に応じて燃料噴射制御や点火制御、吸入空気量調節制御などの運転制御を行うようになっている。
エンジンECU42は、ECU41と通信するようになっている。エンジンECU42は、ECU41から入力される制御信号によりエンジン10を運転制御するとともに、必要に応じてエンジン10の運転状態に関するデータをECU41に出力するようになっている。
モータECU43は、インバータ46およびECU41に接続されている。モータECU43は、モータジェネレータ24を駆動制御するようになっている。モータECU43は、モータジェネレータ24を駆動制御するために必要な信号を入力するようになっている。モータジェネレータ24を駆動制御するために必要な信号としては、例えば、モータジェネレータ24のモータ回転数センサ243から入力される信号や、MG電流センサ461により検出されるモータジェネレータ24に印加される相電流の信号などがある。モータECU43は、インバータ46へのスイッチング制御信号を出力するようになっている。
モータECU43は、ECU41と通信するようになっている。モータECU43は、ECU41から入力される制御信号に応じてインバータ46を駆動制御することにより、モータジェネレータ24の回転数および出力トルクを制御するようになっている。モータECU43は、必要に応じてモータジェネレータ24の運転状態に関するデータをECU41に出力するようになっている。
バッテリECU44は、バッテリ47およびECU41に接続されている。バッテリECU44は、バッテリ47を管理している。バッテリECU44は、バッテリ47を管理するのに必要な信号を入力するようになっている。バッテリ47を管理するのに必要な信号としては、例えば、バッテリ電圧センサ471からの端子間電圧の信号や、バッテリ電流センサ472からの充放電電流の信号や、バッテリ温度センサ473からの電池温度の信号などがある。
バッテリECU44は、ECU41と通信するようになっている。バッテリECU44は、必要に応じてバッテリ47の状態に関するデータをECU41に出力するようになっている。バッテリECU44は、バッテリ47を管理するために、バッテリ電流センサ472により検出された充放電電流の積算値に基づいて、バッテリ47の残容量(以下、SOC(State of charge)という)を演算するようになっている。
トランスミッションECU45は、自動変速機30およびECU41に接続されている。トランスミッションECU45は、トルクコンバータ32のロックアップクラッチ96を駆動制御したり、変速機構35のシフトレンジや変速段を変更したりするようになっている。
トランスミッションECU45は、ECU41と通信するようになっている。トランスミッションECU45は、ECU41からの信号に基づいて変速機構35のシフトレンジや変速段を変更する変速制御を実行するようになっている。トランスミッションECU45は、必要に応じて変速機構35やトルクコンバータ32の運転状態に関するデータをECU41に出力するようになっている。
上述したエンジン10と、モータジェネレータ24と、C1クラッチ67とは、本実施の形態における車両の制御装置を構成している。ECU41は、車両要求によるエンジン10の始動時には、C1クラッチ67を滑らせてモータジェネレータ24によりエンジン10を始動するようになっている。すなわち、ECU41は、車両要求によるエンジン10の始動時には、C1クラッチ67の係合圧を低減してモータジェネレータ24によりエンジン10を始動する。
また、ECU41は、ドライバ要求によるエンジン10の始動時には、C1クラッチ67の滑り量を車両要求によるC1クラッチ67の滑り量よりも少ない滑り量にして、モータジェネレータ24によりエンジン10を始動するようになっている。すなわち、ECU41は、ドライバ要求によるエンジン10の始動時には、C1クラッチ67の係合圧を低減せずにモータジェネレータ24によりエンジン10を始動するようになっている。例えば、ECU41は、ドライバ要求によるエンジン10の始動時には、C1クラッチ67を滑らせずに係合状態にして、モータジェネレータ24によりエンジン10を始動するようになっている。
本実施の形態における車両の制御装置は、自動変速機30を備え、車輪接断クラッチは、変速機クラッチであるようにしている。本実施の形態における車両の制御装置は、シフトレバー51およびアクセルペダル53を備えている。ECU41は、シフトレバー51のシフトポジションが停止ポジションから走行ポジションに切り替えられるとともに、アクセルペダル53がオンされることにより、ドライバ要求を発生するようにしている。すなわち、ECU41は、シフトポジションがNポジションからDポジションあるいはRポジションなどに切り替えられるとともに、アクセルペダル53が踏み込まれることにより、ドライバ要求を発生するようにしている。
本実施の形態における車両の制御装置は、モータジェネレータ24との間で充放電を行うバッテリ47を備えている。ECU41は、バッテリ47のSOCが低減した場合にエンジン10を始動してモータジェネレータ24によりバッテリ47の充電を行うようにするためのSOCの制限値を予め設定して、ROM411に記憶している。そして、ECU41は、バッテリ47のSOCが所定の制限値より小さい場合に、エンジン始動の車両要求を発生するようにしている。
また、本実施の形態の車両の制御装置は、クラッチ22と、クラッチ切替手段とを備えている。ECU41は、クラッチフラグを有するとともに、クラッチフラグをオンオフすることにより、クラッチ切替手段を制御して、クラッチ22を切り替えるようになっている。ECU41は、モータジェネレータ24によりエンジン10を始動するときに、クラッチ22を係合状態にするようになっている。
ECU41は、エンジン始動要求フラグを有するとともに、エンジン始動要求フラグをオンすることにより、エンジンECU42を作動させ、エンジン10を始動するようになっている。ECU41は、エンジン始動のドライバ要求があったとき、あるいはエンジン始動の車両要求があったときにエンジン始動要求フラグをオンするようになっている。
次に、動作について説明する。
ここでは、シフトレバー51のシフトポジションはNポジションであるとともに、車両は停止している。
図7に示すように、ECU41は、エンジン10が停止中か否かを判断する(ステップS1)。エンジン10が停止中か否かは、エンジン回転数センサ19により検出されたエンジン回転数NEが0であるか否かに基づいて、ECU41により判断される。ECU41が、エンジン10が停止中でないと判断した場合は(ステップS1;NO)、ECU41はメインルーチンに処理を戻す。
ECU41が、エンジン10が停止中であると判断した場合は(ステップS1;YES)、ECU41は、エンジン始動のドライバ要求があるか否かを判断する(ステップS2)。エンジン始動のドライバ要求がある場合とは、例えば、シフトレバー51のシフトポジションがNポジションからDポジションまたはRポジションに切り替えられるとともに、アクセルペダル53が踏み込まれる場合としている。よって、エンジン始動のドライバ要求があるか否かは、シフトポジションセンサ52およびアクセルセンサ54により検出された信号に基づき、ECU41により判断される。
ECU41が、エンジン始動のドライバ要求があると判断した場合は(ステップS2;YES)、トランスミッションECU45は、C1クラッチ67を係合状態にする(ステップS6)。これにより、トランスミッションECU45は、C1クラッチ67の滑り量を車両要求によるC1クラッチ67の滑り量よりも少ない滑り量にして、モータジェネレータ24から車輪までの動力伝達系を接続する。このため、トランスミッションECU45は、モータジェネレータ24およびエンジン10の回転を直接車輪に伝達することができるようになる。よって、トランスミッションECU45は、エンジン10から車輪までを連結してアクセルペダル53を踏み込んだ際の加速の応答性を高めているので、ドライバビリティを向上することができる。エンジンECU42は、トランスミッションECU45によりC1クラッチ67が係合状態にされた後、エンジン10を始動する(ステップS5)。
ステップS2において、ECU41が、エンジン始動のドライバ要求がないと判断した場合は(ステップS2;NO)、ECU41は、エンジン始動の車両要求があるか否かを判断する(ステップS3)。エンジン始動の車両要求がある場合とは、例えば、SOCが所定の制限値より低い場合である。エンジン始動の車両要求があるか否かは、バッテリECU44により算出されたSOCがROM411に記録された所定の制限値と比較した結果に基づき、ECU41により判断される。ECU41が、エンジン始動の車両要求がないと判断した場合は(ステップS3;NO)、ECU41はメインルーチンに処理を戻す。
ECU41が、エンジン始動の車両要求があると判断した場合は(ステップS3;YES)、トランスミッションECU45は、C1クラッチ67を解放状態にする(ステップS4)。これにより、C1クラッチ67は滑るようになり、トランスミッションECU45は、エンジン始動の際にC1クラッチ67より車輪側の負荷をモータジェネレータ24から切り離すので、モータジェネレータ24を回転させるための電力量を低減することができる。よって、トランスミッションECU45は、エンジン10を始動するための電力量を低減するので、燃費を向上することができる。エンジンECU42は、トランスミッションECU45によりC1クラッチ67が係合状態にされた後、エンジン10を始動する(ステップS5)。
次に、作用について説明する。
停車中で、モータジェネレータ24は回転中かつエンジン10は停止中の車両において、車両要求によりエンジン10を始動する際の作用を、図8に示すタイムチャートに沿って説明する。
モータジェネレータ24は回転しているので、バッテリ47のSOCは徐々に低減する。モータジェネレータ24は回転するとともにエンジン10は停止しているので、クラッチフラグはオフであり、クラッチ22は解放状態となっている。また、ここでは、C1クラッチ67に供給される作動油圧は100%になっており、C1クラッチ67は係合状態になっている。
SOCが、T0において所定の制限値より小さくなる。ECU41は、SOCが所定の制限値より小さくなったことを検出すると、エンジン始動の車両要求が発生したと判断して、エンジン始動要求フラグをオンにする。
トランスミッションECU45は、エンジン始動要求フラグがオンされると、C1クラッチ67の作動油圧を0%近くまで低減させ、C1クラッチ67を解放状態にする。ここでのC1クラッチ67の解放状態は、C1クラッチ67を構成する摩擦板同士が軽く触れ合う程度にしている。すなわち、C1クラッチ67の作動油圧は、例えば、100%で1MPとすると、T0においては100kP程度にまで低減するようにしている。
これにより、ECU41は、シフトレバー51が走行ポジションにあり、フットブレーキにより停車している場合に、C1クラッチ67の作動油圧を0%にまで低減する場合に比べて、エンジン始動後にフットブレーキを解除することでエンジン10の駆動力を利用して迅速に発進できる。よって、ECU41は、ドライバビリティを向上することができる。また、ここでは、C1クラッチ67の作動油圧は100%であるときに1MPであり、かつ100kPまで低減するようにしているが、これらの数値に限られないのは勿論である。また、また、ECU41は、C1クラッチ67の作動油圧を0%近くまで低減させているが、0%にまで低減させるようにしても良い。
ECU41は、エンジン始動要求フラグがオンされると、クラッチフラグをオンにする。これにより、ECU41は、クラッチ22を解放状態から係合状態に切り替える。クラッチ22が係合状態に切り替わるに伴って、モータジェネレータ24がエンジン回転数NEを徐々に増加させる。さらに、モータECU43は、クラッチ22が係合状態に切り替わるに伴って、モータ回転数NMを徐々に低減させ、エンジン始動のための同期回転数になるよう調整する。
モータECU43は、T1においてエンジン回転数NEとモータ回転数NMとが同期すると、モータ回転数NMを更に増大させてエンジン10を押し掛け始動する。また、ECU41は、C1クラッチ67の作動油圧を0%近くから徐々に増大させ、必要に応じてC1クラッチ67を係合状態にする。
よって、トランスミッションECU45は、エンジン始動の際にC1クラッチ67より車輪側の負荷をモータジェネレータ24から切り離すので、モータジェネレータ24を回転させための電力量を低減することができる。これにより、トランスミッションECU45は、エンジン10を始動するための電力量を低減するので、燃費を向上することができる。
次に、停車中で、モータジェネレータ24は回転中かつエンジン10は停止中の車両において、ドライバ要求によりエンジン10を始動する際の作用を、図9に示すタイムチャートに沿って説明する。
モータジェネレータ24は回転するとともにエンジン10は停止しているので、クラッチフラグはオフであり、クラッチ22は解放状態となっている。また、ここでは、C1クラッチ67に供給される作動油圧は0%になっており、C1クラッチ67は解放状態になっている。
ドライバは、T0においてシフトレバー51を操作してNポジションからDポジションに切り替えるとともに、アクセルペダル53を踏み込んでオンにする。シフトレバー51の操作はシフトポジションセンサ52により検出され、その信号がECU41に入力される。アクセルペダル53の踏み込み量はアクセルセンサ54により検出され、その信号がECU41に入力される。ECU41は、シフトレバー51がDポジションに切り替えられるとともに、アクセルペダル53が踏み込まれたことを検出すると、エンジン始動のドライバ要求が発生したと判断して、エンジン始動要求フラグをオンにする。
トランスミッションECU45は、エンジン始動要求フラグがオンされると、C1クラッチ67の作動油圧を、例えば緩い段階と急激な段階の2段階で増加させ、C1クラッチ67を完全係合させる。
ECU41は、エンジン始動要求フラグがオンされると、クラッチフラグをオンにする。これにより、ECU41は、クラッチ22を解放状態から係合状態に切り替える。クラッチ22が係合状態に切り替わるに伴って、モータジェネレータ24がエンジン回転数NEを徐々に増加させる。さらに、モータECU43は、クラッチ22が係合状態に切り替わるに伴って、モータ回転数NMを徐々に低減させ、エンジン始動のための同期回転数になるよう調整する。
モータECU43は、T1においてエンジン回転数NEとモータ回転数NMとが同期すると、モータ回転数NMを更に増大させてエンジン10を押し掛け始動する。これにより、トランスミッションECU45は、モータジェネレータ24から車輪までの動力伝達系を接続するので、モータジェネレータ24およびエンジン10の回転を直接車輪に伝達することができるようになる。よって、トランスミッションECU45は、エンジン10から車輪までを連結してアクセルペダル53を踏み込んだ際の加速の応答性を高めているので、ドライバビリティを向上することができる。
ハイブリッド車両が駐車などで停止するとともにエンジン10が停止している場合にエンジン10を始動するには、モータジェネレータ24に電力を供給する。モータジェネレータ24への電力の供給により、モータジェネレータ24のロータ241が回転する。ロータ241の駆動力は、クラッチ出力軸270からトルクコンバータ32という経路を経て、オイルポンプ34に伝達される。
ここで、ロータ241が回転しても、クラッチ22およびワンウェイクラッチ23は、解放されているので、モータジェネレータ24の動力はエンジン10に伝わることはない。また、トルクコンバータ32の回転により変速機構35の変速機構入力軸33が回転するが、変速機構35のシフトレンジがNレンジであるので、変速機構35の出力軸37は回転しない。
オイルポンプ34から吐出された作動油がクラッチ22に供給されると、クラッチ22が締結される。よって、ロータ241の駆動力が、入力部21を経て、クランクシャフト11に伝達される。これにより、エンジン10が始動される。
エンジン10の始動後の車両発進時には、エンジン10の駆動力は、クランクシャフト11→入力部21→クラッチ22→ロータ241→クラッチ出力軸270という経路を経て、自動変速機30に伝達される。動力が自動変速機30に伝達されることにより、オイルポンプ34が駆動されるので、作動油がクラッチ22に供給され続けて、クラッチ22の締結が維持される。そして、変速機構35のシフトレンジを前進走行レンジまたは後進走行レンジとする。よって、クランクシャフト11の動力が自動変速機30から車輪に伝達されて、ハイブリッド車両が発進する。
また、ハイブリッド車両が駐車などで停止するとともにエンジン10が停止している場合には、クラッチ22は解放されている。ここで、モータジェネレータ24の駆動力のみで発進する場合には、モータジェネレータ24に電力を供給する。モータジェネレータ24への電力の供給により、モータジェネレータ24のロータ241が回転する。ロータ241の駆動力は、クラッチ出力軸270からトルクコンバータ32という経路を経て、オイルポンプ34に伝達される。
ロータ241が回転しても、クラッチ22およびワンウェイクラッチ23は、解放されているので、モータジェネレータ24の動力はエンジン10に伝わることはない。また、油圧調整バルブ39は閉塞しておく。これにより、オイルポンプ34からの作動油はクラッチ22に供給されることはない。
トルクコンバータ32の回転に伴い変速機構35の変速機構入力軸33が回転する。そして、変速機構35のシフトレンジを前進走行レンジまたは後進走行レンジとする。よって、クランクシャフト11の動力が自動変速機30から車輪に伝達されて、ハイブリッド車両が発進する。
以上のように、本実施の形態に係る車両の制御装置によれば、ECU41は、車両要求によりエンジンを始動する場合は、C1クラッチ67を解放状態にして、モータジェネレータ24によりエンジン10を始動する。このため、ECU41は、エンジン始動の際にC1クラッチ67より車輪側の負荷をモータジェネレータ24から切り離すので、モータジェネレータ24を回転させための電力量を低減することができ、燃費を向上することができる。
また、車両の制御装置は、ECU41は、ドライバ要求によりエンジンを始動する場合は、C1クラッチ67を係合状態にして、モータジェネレータ24によりエンジン10を始動する。このため、ECU41は、エンジン始動の際にモータジェネレータ24から車輪までの動力伝達系を接続するので、エンジン10から車輪までを連結してアクセルペダル53を踏み込んだ際の加速の応答性を高め、ドライバビリティを向上することができる。
このように、本実施の形態に係る車両の制御装置によれば、車両要求によりエンジン10を始動する場合は燃費を向上できるとともに、ドライバ要求によりエンジン10を始動する場合はドライバビリティを向上することができる。よって、車両の制御装置は、燃費とドライバビリティとを両立することができる。
また、本実施の形態に係る車両の制御装置によれば、車輪接断クラッチとC1クラッチ67とが兼用されるので、部品点数の増加を抑制して車両のコスト増を抑えることができる。
また、本実施の形態に係る車両の制御装置によれば、シフトレバー51のシフトポジションがDポジションに切り替えられるとともにアクセルペダル53が踏み込まれてオンされる場合に、エンジン始動のドライバ要求が発生する。シフトレバー51がDポジションに切り替えられるとともにアクセルペダル53が踏み込まれるときは、ドライバは加速を要求している。よって、ECU41は、ドライバにより加速が望まれる場合に、エンジン10から車輪までを連結してアクセルペダル53を踏み込んだ際の加速の応答性を高めているので、ドライバビリティを更に向上することができる。
また、本実施の形態に係る車両の制御装置によれば、バッテリ47のSOCが所定の制限値より小さい場合に、エンジン始動の車両要求が発生する。よって、ECU41は、バッテリ47のSOCが不足する場合にエンジン10を始動するための電力量を低減するので、効果的に燃費を向上することができる。
また、本実施の形態に係る車両の制御装置によれば、ECU41は、エンジン10を始動する際に、クラッチ22を係合状態にして、モータジェネレータ24の駆動力または回生中のモータジェネレータ24の慣性力を利用して押し掛けする。このため、ECU41は、エンジン始動用の専用装置を用いることなくエンジン10を始動することができるので、部品コストの増大を抑制することができる。
上述した本実施の形態の車両の制御装置においては、図9に示すようにシフトレバー51のシフトポジションをNポジションからDポジションに切り替えた場合について説明した。しかしながら、本発明に係る車両の制御装置においては、これに限られず、停止ポジションから走行ポジションに切り替えられるものであればよい。このため、例えば、Pポジションから2ポジションに切り替えた場合でも、本発明に係る車両の制御装置を適用することができる。
また、本実施の形態の車両の制御装置においては、ECU41は、エンジン始動のドライバ要求をシフトレバー51のシフトポジションおよびアクセルペダル53の操作に基づいて判断している。しかしながら、本発明に係る車両の制御装置においては、これに限られず、例えば、フットブレーキを解除した場合や、走行モードがエコモードからスポーツモードなどに切り替えられた場合に、ECU41がエンジン始動のドライバ要求を発生するようにしてもよい。あるいは、ECU41は、エコラン禁止ボタンが操作された場合や、エアコンのスイッチがオンされた場合に、エンジン始動のドライバ要求を発生するようにしてもよい。
また、本実施の形態の車両の制御装置においては、図8に示すように車両要求によってエンジン始動要求フラグがオンされることにより、C1クラッチ67の作動油圧を100kP程度に維持する場合について説明した。しかしながら、本発明に係る車両の制御装置においては、これに限られず、例えば、エンジン始動要求フラグがオンされることにより、C1クラッチ67の作動油圧を0%に維持するようにしてもよい。これにより、ECU41は、シフトレバー51が停止ポジションにある場合に、C1クラッチ67に供給する作動油圧を更に少なくできるので、より燃費を向上することができる。
また、本実施の形態の車両の制御装置においては、ECU41は、エンジン始動の車両要求をSOCに基づいて判断している。しかしながら、本発明に係る車両の制御装置においては、これに限られず、ECU41は、例えば、バッテリ温度や、SOCおよびバッテリ温度により決定される制限値Woutに基づいて判断するようにしてもよい。
また、本実施の形態の車両の制御装置においては、車両の停車中にエンジン始動要求があった場合について説明している。しかしながら、本発明に係る車両の制御装置においては、これに限られず、車両の走行中にエンジン始動要求があった場合でも適用することができる。
また、本実施の形態の車両の制御装置においては、モータジェネレータ24と自動変速機30とがトルクコンバータ32により連結される場合について説明している。しかしながら、本発明に係る車両の制御装置においては、これに限られず、モータジェネレータ24と自動変速機30とがトルクコンバータ32を用いずに直接連結されるようにしてもよい。この場合、構成を簡素化することができる。
また、本実施の形態の車両の制御装置においては、エンジン10とモータジェネレータ24との間にクラッチ22を有している。しかしながら、本発明に係る車両の制御装置においては、これに限られず、エンジン10とモータジェネレータ24との間にクラッチ22を有していなくてもよい。この場合、構成を簡素化することができる。
また、本実施の形態に係る車両の制御装置において、車輪接断クラッチと変速機クラッチとを同一クラッチにして兼用するようにしている。しかしながら、本発明に係る車両の制御装置においては、これに限られず、車輪接断クラッチと変速機クラッチとを別個のクラッチにしてもよい。
また、本実施の形態の車両の制御装置においては、車輪接断クラッチを、変速機構35の変速機構入力軸33に直結して一体回転するC1クラッチ67としている。しかしながら、本発明に係る車両の制御装置においては、これに限られず、車輪接断クラッチを、変速機構35のC1クラッチ67よりも車輪側、すなわち出力軸37側の他のクラッチとしてもよい。あるいは、変速機クラッチを、自動変速機30に搭載される他のクラッチとしてもよい。
また、本実施の形態の車両の制御装置においては、ECU41は、ドライバ要求によりエンジン10を始動する場合は、C1クラッチ67を係合状態にして、モータジェネレータ24によりエンジン10を始動している。しかしながら、本発明に係る車両の制御装置においては、これに限られず、ドライバ要求によりエンジン10を始動する場合に、C1クラッチ67の滑り量を車両要求によるC1クラッチ67の滑り量よりも少ない滑り量にしてもよい。この場合、車両の制御装置は、ドライバ要求によりエンジン10を始動する場合に、C1クラッチ67を僅かに滑らせながら、モータジェネレータ24によりエンジン10を始動するようにできる。
あるいは、本発明に係る車両の制御装置においては、C1クラッチ67の状態をドライバ要求の前と変えることなく、モータジェネレータ24によりエンジン10を始動するようにしてもよい。この場合、ECU41での制御をより簡易化することができる。
また、本実施の形態の車両の制御装置においては、クラッチ22とワンウェイクラッチ23とはロータ241の内周部で並設した構成としている。しかしながら、本発明に係る車両の制御装置においては、これに限られず、クラッチ22とワンウェイクラッチ23とはロータ241の内周部で軸方向にオーバーラップした構成であってもよい。
また、本実施の形態の車両の制御装置においては、適用する車両は1モータ型のハイブリッド車両とした。しかしながら、本発明に係る車両の制御装置においては、これに限られず、例えば、各種の2モータ型のハイブリッド車両に適用してもよい。
以上のように、本発明に係る駆動装置は、自動変速装置を備えたハイブリッド車両において、エンジン始動時の制御により燃費とドライバビリティとを両立することができるという効果を奏するものであり、ハイブリッド車両の制御装置に有用である。