JP6338031B1 - 耐硫酸露点腐食鋼 - Google Patents

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Abstract

本発明は、優れた耐硫酸露点腐食性と製造性とを同時に実現するとともに、曲げ性や耐疲労性にも優れる耐硫酸露点腐食鋼を提供することを目的とする。
本発明は、所定の成分組成を有し、該成分組成におけるS、CuおよびSbの含有量が以下の(1)式、Cu、NiおよびSbの含有量が以下の(2)式の関係をそれぞれ満足する耐硫酸露点腐食鋼に関する。
0.50≦[%Cu]/(10×[%S]+[%Sb])≦5.00 ・・・(1)
0.50≦[%Ni]/([%Cu]+[%Sb])≦2.50 ・・・(2)
ここで、[%S]、[%Cu]、[%Ni]および[%Sb]はそれぞれ、成分組成におけるS、Cu、NiおよびSbの含有量(質量%)である。

Description

本発明は、硫酸に接する環境下または硫酸露点が生じる環境下の熱交換器やタンク、プラント等の構成材料として用いられる耐硫酸露点腐食鋼に関し、特に、優れた耐硫酸露点腐食性および製造性を有するとともに、曲げ性や耐疲労性にも優れた耐硫酸露点腐食鋼に関するものである。
硫黄を含む重油や石炭等の燃料を燃焼させるボイラーや火力発電所の熱交換器や煙道では、排気ガス中に含まれる硫黄酸化物が、温度の低下とともに結露して硫酸となり、激しい腐食を生じる、いわゆる「硫酸露点腐食」が問題となる。
この硫酸露点腐食の問題を解決するものとして、耐硫酸露点腐食鋼が開発され、既に実用化されている。
このような耐硫酸露点腐食鋼として、耐硫酸腐食性を向上させるSb、さらには耐酸性を向上させる元素であるCuを活用することにより、耐硫酸腐食性とともに、耐酸性も向上させる技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、
「質量%で、C:0.001〜0.2%、Si:0.01〜2.5%、Mn:0.1〜2%、Cu:0.1〜1%、Mo:0.001〜1%、Sb:0.01〜0.2%、P:0.05%以下、S:0.05%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ、耐酸腐食性指数AI(AI/10000=0.0005+0.045×Sb%−C%×Mo%)が0以上であることを特徴とする耐塩酸腐食性および耐硫酸腐食性に優れた低合金鋼。」
が開示されている。
一方、Feよりも融点の低いCuや、偏析しやすいSbを添加すると、鋳造や圧延といった熱間加工時にスラブ割れやスラブ表面傷が発生し、製品品質の劣化を避けるための手入れが必要になるため、生産性の低下やコストアップが問題となる。
このような問題を解決するものとして、特許文献2には、S量を低減するとともに、MoおよびBを添加することで、熱間加工性の改善を図った、
「重量%で、C:0.01〜0.15%、Si:0.1〜0.5%、Mn:0.1〜0.5%、P:0.03%以下、S:0.005%以下、Cu:0.2〜1.0%、Ni:0.5%以下、Cr:2.0%以下、Al:0.1%以下、V:0.2%以下、Nb:0.2%以下、Ti:0.2%以下、Sn及びSbの1種又は2種の合計が0.01〜1.0%、並びにB:0.001〜0.01%及びMo:0.01〜0.5%の1種以上を含有し、残部はFe及び不可避不純物からなることを特徴とする熱間加工性に優れた耐酸露点腐食鋼。」
が開示されている。
特開2003−213367号公報 特開平10−110237号公報
ところで、硫酸露点環境において生成する硫酸は、その温度によって濃度も変化し、例えば、低温:40℃では硫酸濃度:20質量%程度、中温:70℃では硫酸濃度:50質量%程度、高温:100℃〜140℃では硫酸濃度:70〜80質量%となる。
このため、耐硫酸露点腐食鋼を実際の設備に適用するにあたっては、種々の硫酸露点腐食環境で高い耐食性を示す材料が求められる。
しかしながら、特許文献1の低合金鋼を実際の設備に適用した場合、耐酸性、特に耐塩酸性に関しては、従来の耐硫酸露点腐食鋼よりも優れた耐食性を示すものの、耐硫酸露点腐食性については必ずしも満足いくほどの特性を得ることができず、特に高温における高濃度の硫酸に対する耐食性(耐硫酸露点腐食性)が低いという問題があった。
また、特許文献2の耐硫酸露点腐食鋼でも、Sの低減やMoの添加によっても、やはり所望とする耐硫酸露点腐食性が得られない場合があった。
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたものであって、優れた耐硫酸露点腐食性と製造性とを同時に実現するとともに、曲げ性や耐疲労性にも優れる耐硫酸露点腐食鋼を提供することを目的とする。
さて、発明者らは、上記の目的を達成すべく、まず硫酸露点腐食環境における各添加元素の影響を調査し、その効果を詳細に検討した。
具体的には、耐硫酸露点腐食性を向上させる各添加元素が、製造性、さらには曲げ性や耐疲労性におよぼす影響と、製造性や曲げ性、耐疲労性を向上させる各添加元素が、耐硫酸露点腐食性におよぼす影響とを調査すべく、種々の成分組成の鋼を製造し、耐硫酸露点腐食性と製造性とを両立するとともに、優れた曲げ性や耐疲労性を得るうえで、有効となる添加元素の組み合わせを検討した。
その結果、以下のような知見を得た。
1)Cu、SbおよびSを複合添加した成分組成において、これらの各元素の含有量には最適な範囲が存在しており、これらをその範囲内に制御することで、製造性、さらには曲げ性や耐疲労性を確保しつつ、優れた耐硫酸露点腐食性を得ることができる。
2)耐硫酸露点腐食性を向上させるCuおよびSbに対し、適量のNiを含有させることで、耐硫酸露点腐食性を維持しつつ、製造性、特に熱間加工性を大幅に改善することができる。また、同時に優れた曲げ性や耐疲労性を得ることもできる。
本発明は、上記の知見に基づき、さらに検討を重ねて完成させたものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.質量%で、
C:0.050〜0.150%、
Si:0.10〜0.80%、
Mn:0.50〜1.00%、
P:0.050%以下、
S:0.0020〜0.0200%、
Cu:0.20〜0.50%、
Ni:0.10〜0.80%、
Cr:0.20〜1.50%、
Sb:0.050〜0.300%、
Ti:0.005〜0.050%、
Al:0.001〜0.050%および
N:0.0005〜0.0050%
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、
上記成分組成におけるS、CuおよびSbの含有量が下記(1)式、Cu、NiおよびSbの含有量が下記(2)式の関係をそれぞれ満足する、耐硫酸露点腐食鋼。

0.50≦[%Cu]/(10×[%S]+[%Sb])≦5.00 ・・・(1)
0.50≦[%Ni]/([%Cu]+[%Sb])≦2.50 ・・・(2)
ここで、[%S]、[%Cu]、[%Ni]および[%Sb]はそれぞれ、成分組成におけるS、Cu、NiおよびSbの含有量(質量%)である。
2.前記成分組成におけるC、TiおよびNの含有量が下記(3)式の関係を満足する、前記1に記載の耐硫酸露点腐食鋼。

0.30≦[%Ti]/(0.2×[%C]+[%N])≦2.50 ・・・(3)
ここで、[%C]、[%Ti]および[%N]はそれぞれ、成分組成におけるC、TiおよびNの含有量(質量%)である。
3.鋼組織全体に占めるフェライト相の面積率が75%以上、パーライト相の面積率が25%未満、上記フェライト相とパーライト相以外の組織の合計の面積率が5%未満である鋼組織を有するとともに、
最大ビッカース硬さが200以下でかつ、平均ビッカース硬さが80以上である、前記1または2に記載の耐硫酸露点腐食鋼。
4.前記1〜3のいずれかに記載の耐硫酸露点腐食鋼であって、
該耐硫酸露点腐食鋼の温度:70℃、濃度:50質量%の硫酸水溶液中での電流密度と電位との関係を示すカソード分極曲線において、電流密度:0.1A/cm2のときの電位をVa(V)としたとき、
上記Vaが、上記耐硫酸露点腐食鋼の基準鋼の上記硫酸水溶液中でのカソード分極曲線における電流密度:0.1A/cm2のときの電位Vg(V)との関係で、下記(4)式を満足する、耐硫酸露点腐食鋼。

Vg−Va>0.03 ・・・(4)
本発明によれば、優れた耐硫酸露点腐食性および製造性を有するとともに、曲げ性や耐疲労性にも優れた耐硫酸露点腐食鋼が得られる。
そして、本発明の耐硫酸露点腐食鋼は、種々の硫酸露点腐食環境下のタンク、プラント等の構成材料として好適に用いることができるので、高品質かつ高生産性の下、低コストに、かようなタンク、プラント等を製造することが可能となる。
[%Cu]/(10×[%S]+[%Sb])の値と、鋼の硫酸浸漬試験における腐食速度との関係を示すものである。 [%Ni]/([%Cu]+[%Sb])の値と、製造性の評価との関係を示すものである。 [%Cu]/(10×[%S]+[%Sb])および[%Ni]/([%Cu]+[%Sb])の値に対し、耐硫酸露点腐食性と製造性の評価結果をプロットしたものである。 温度:70℃、濃度:50質量%の硫酸水溶液中におけるカソード分極曲線の一例を示すものである。
以下、本発明を具体的に説明する。まず、鋼の成分組成を前記の範囲に限定した理由について説明する。なお、鋼の成分組成における元素の含有量の単位はいずれも「質量%」であるが、以下、特に断らない限り単に「%」で示す。
C:0.050〜0.150%
Cは、鋼の強度を高める元素である。所望の強度を得るために、C量は0.050%以上とする。一方、C量が0.150%を超えると、耐硫酸露点腐食性を劣化させるとともに、溶接性および溶接熱影響部の靱性を劣化させる。よって、C量は0.050〜0.150%の範囲とする。好ましくは、0.060〜0.100%の範囲である。
Si:0.10〜0.80%
Siは、脱酸剤として添加される成分であり、また、鋼の強度を高める効果がある。このため、Si量は0.10%以上とする。しかし、Si量が0.80%を超えると、鋼の靱性が劣化する。よって、Si量は0.10〜0.80%の範囲とする。なお、Siは、硫酸水溶液環境下では、防食被膜を形成して耐硫酸露点腐食性の向上に寄与する。このような耐硫酸露点腐食性の向上効果を得るためには、Si量を0.25%以上とすることが好ましい。
Mn:0.50〜1.00%
Mnは、鋼の強度を高める元素である。所望の強度を得るために、Mn量を0.50%以上とする。一方、Mn量が1.00%を超えると、鋼の靱性および溶接性を低下させる。よって、Mn量は0.50〜1.00%の範囲とする。なお、強度の維持および耐硫酸露点腐食性を劣化させる介在物の形成を抑制する観点からは、Mn量を0.50〜0.70%の範囲とすることが好ましい。
P:0.050%以下
Pは、粒界に偏析して、鋼の靱性を低下させる有害な元素である。特に、P量が0.050%を超えると、靱性が顕著に低下する。よって、P量は0.050%以下とする。
なお、Pはできるだけ低減することが望ましいが、0.005%未満への低減は、製造コストの上昇を招く。よって、P量の下限は0.005%とすることが好ましい。
S:0.0020〜0.0200%
Sは、Cuの存在下においてCu2S被膜の形成に寄与し、鋼表面における腐食反応を抑制して、耐硫酸露点腐食性を向上させる元素である。一方、Sは、非金属介在物であるMnSを形成し、このMnSが局部腐食の起点となって、耐局部腐食性を低下させる有害な元素でもある。そこで、耐硫酸露点腐食性を確保する観点から、S量は0.0020%以上とする。一方、耐局部腐食性の低下を回避する観点から、S量は0.0200%以下とする。なお、耐硫酸露点腐食性を一層高める観点からは、S量は0.0050%以上とすることが好ましい。
Cu:0.20〜0.50%
Cuは、酸による腐食環境において耐酸性を向上させる必須の元素である。ここで、Cu量が0.20%未満では、その効果が小さい。一方、Cu量が0.50%を超えると、耐酸性向上効果が飽和するとともに製造性、特には熱間加工性の劣化を招く。よって、Cu量は0.20〜0.50%の範囲とする。
Ni:0.10〜0.80%
Niは、CuやSbの添加による熱間加工性の劣化を抑制する元素である。しかし、Ni量が0.10%未満では、その効果が小さい。一方、Ni量が0.80%を超えると、熱間加工性の劣化を抑制する効果が飽和するとともに、コストの上昇を招く。よって、Ni量は0.10〜0.80%の範囲とする。
Cr:0.20〜1.50%
Crは、常温環境における耐硫酸露点腐食性の向上効果には大きくは寄与しないものの、使用環境が120℃以上の高温となる場合の耐硫酸露点腐食性を向上させる元素である。Cr量が0.20%未満では、これらの効果が小さい。一方、Cr量が1.50%を超えると、これらの効果が飽和するとともに、コストの上昇を招く。よって、Cr量は0.20〜1.50%の範囲とする。好ましくは、0.40〜1.50%の範囲である。
Sb:0.050〜0.300%
Sbは、Cuとの複合添加によりCu化合物として鋼表面に濃化し、耐酸性を向上させる元素である。しかし、Sb量が0.050%未満では、その効果は小さい。一方、Sb量が0.300%を超えると、その効果が飽和するとともに、製造性、特に熱間加工性を劣化させる。よって、Sb量は0.050〜0.300%の範囲とする。また、耐硫酸露点腐食性と製造性とを両立する観点からは、Sb量は0.100〜0.200%の範囲とすることが好ましい。
Ti:0.005〜0.050%
Tiは、鋼の強度および靱性向上を目的に添加する元素である。しかし、Ti量が0.005%未満では、所望の効果が得られない。一方、Ti量が0.050%を超えると、鋼の強度および靱性向上の効果が飽和する。そのため、Ti量は0.005〜0.050%の範囲とする。
Al:0.001〜0.050%
Alは、脱酸剤として添加される元素である。このような効果を得る観点から、Al量は0.001%以上とする必要がある。一方、Al量が0.050%を超えると、鋼の靱性が低下する。よって、Al量は0.001〜0.050%の範囲とする。好ましくは、0.010〜0.050%の範囲である。
N:0.0005〜0.0050%
Nは、固溶状態で、鋼の靱性を劣化させる元素であり、極力低減することが好ましいが、N量が0.0050%以下であれば許容できる。一方、Nを完全に除去することは技術的に難しく、また、必要以上の低減は、製造コストの上昇を招く。そのため、N量の下限は0.0005%とする。
また、各成分が上記の範囲を満足するだけでは不十分で、S、CuおよびSbの含有量が下記(1)式、Cu、NiおよびSbの含有量が下記(2)式の関係をそれぞれ満足することが重要である。

0.50≦[%Cu]/(10×[%S]+[%Sb])≦5.00 ・・・(1)
0.50≦[%Ni]/([%Cu]+[%Sb])≦2.50 ・・・(2)
ここで、[%S]、[%Cu]、[%Ni]および[%Sb]はそれぞれ、成分組成におけるS、Cu、NiおよびSbの含有量(質量%)である。
以下、この知見を導き出すに至った実験について、説明する。
[実験]
C:0.050〜0.150%、Si:0.10〜0.80%、Mn:0.50〜1.00%、P:0.050%以下、Cr:0.20〜1.50%、Ti:0.005〜0.050%、Al:0.001〜0.050%およびN:0.0005〜0.0050%を含有し、S、Cu、NiおよびSbの含有量を種々に変化させた鋼(残部はFeおよび不可避的不純物)を転炉で溶製し、連続鋳造法により厚さ:200mmの鋼スラブとした。この鋼スラブを冷却後、1200℃に再加熱して熱間圧延を施し、板厚:4.5mmの熱延鋼板とした。
なお、熱間圧延では、圧下率:97.75%、仕上終了温度:850℃、巻き取り温度:560℃、800℃から650℃までの平均冷却速度は3.0〜8.0℃/sの範囲内となるようにした。
かくして得られた熱延鋼板から、硫酸露点腐食環境における各添加元素の影響を調査すべく、幅20mm×長さ30mm×厚さ3mmの腐食試験片を切り出し、切り出した腐食試験片を硫酸水溶液(温度:70℃、濃度:50質量%)中に6時間浸漬する硫酸浸漬腐食試験に供して、腐食減量を測定し、腐食減量から各試験片の腐食速度を算出した。
そして、以下の基準により、耐硫酸露点腐食性を評価した。
合格(○):280g/(m2・hr)以下
不合格(×):腐食速度が280g/(m2・hr)超
また、鋼スラブ鋳造時の表面キズ深さを、表面に着色する事により傷を確認し、目視観察および断面を切り出して観察することで以下の基準で製造性(熱間加工性)を評価した。
合格(○):表面キズ深さが0.2mm未満
不合格(×):表面キズ深さが0.2mm以上
これらの耐硫酸露点腐食性および製造性の評価結果を、[%Cu]/(10×[%S]+[%Sb])および/または[%Ni]/([%Cu]+[%Sb])との関係で図1〜3に示す。
図1に示したように、[%Cu]/(10×[%S]+[%Sb])を0.50〜5.00の範囲に制御することにより、優れた耐硫酸露点腐食性の向上効果が得られることがわかる。また、図2に示したように、[%Ni]/([%Cu]+[%Sb])を0.50〜2.50の範囲に制御することにより、優れた製造性が得られることがわかる。
そして、図3に示したように、[%Cu]/(10×[%S]+[%Sb])を0.50〜5.00の範囲とし、かつ[%Ni]/([%Cu]+[%Sb])を0.50〜2.50の範囲に制御することにより、優れた耐硫酸露点腐食性と製造性とを両立できることがわかる。
発明者らは、上記の実験結果から、上掲(1)式と(2)式とを同時に満足させることにより優れた耐硫酸露点腐食性と製造性とを両立でき、さらには曲げ性および耐疲労性についても十分なものが得られることを知見し、本発明を開発するに至ったのである。
0.50≦[%Cu]/(10×[%S]+[%Sb])≦5.00
上述したように、Cu量に応じてSおよびSbを適正量添加する、具体的には、[%Cu]/(10×[%S]+[%Sb])を0.50〜5.00の範囲に調整することにより、製造性、さらには曲げ性や耐疲労性を確保しつつ、耐硫酸露点腐食性の大幅な向上効果が得られる。
このため、S、CuおよびSbの含有量については、0.50≦[%Cu]/(10×[%S]+[%Sb])≦5.00の関係を満足させる必要がある。
また、[%Cu]/(10×[%S]+[%Sb])の値は、好ましくは3.50以下、より好ましくは3.00以下、さらに好ましくは2.50以下である。
0.50≦[%Ni]/([%Cu]+[%Sb])≦2.50
また、上述したように、Cu量およびSb量に応じてNiを適正量添加する、具体的には、[%Ni]/([%Cu]+[%Sb])を0.50〜2.50の範囲に調整することにより、耐硫酸露点腐食性を維持しつつ、製造性、特には熱間加工性の大幅な改善効果が得られる。
このため、Cu、NiおよびSbの含有量については、0.50≦[%Ni]/([%Cu]+[%Sb])≦2.50の関係を満足させる必要がある。
また、[%Ni]/([%Cu]+[%Sb])の値は、好ましくは0.55以上、より好ましくは0.60以上である。
なお、製造性の向上の観点だけであれば、[%Ni]/([%Cu]+[%Sb])の下限のみを規定すればよいが、Ni量が多くなると耐硫酸露点腐食性に悪影響を及ぼすおそれがあるため、[%Ni]/([%Cu]+[%Sb])の上限についてもここでは規定している。
さらに、C、TiおよびNの含有量が下記(3)式の関係を満足することが好適である。

0.30≦[%Ti]/(0.2×[%C]+[%N])≦2.50 ・・・(3)
ここで、[%C]、[%Ti]および[%N]はそれぞれ、成分組成におけるC、TiおよびNの含有量(質量%)である。
0.30≦[%Ti]/(0.2×[%C]+[%N])≦2.50
発明者らは、上記の成分組成において、Ti、CおよびN量の関係を適正に制御する、具体的には、[%Ti]/(0.2×[%C]+[%N])を0.30〜2.50の範囲に制御することで、耐疲労性を大幅に改善できることを見出した。
このため、上記の成分組成においては、Ti、CおよびNの含有量について上掲式(3)式の関係をさらに満足させることが好適である。
また、[%Ti]/(0.2×[%C]+[%N])の値は、より好ましくは0.40以上、2.00以下、より好ましくは0.50以上、1.50以下、さらに好ましくは0.50以上、1.10以下である。
上記以外の成分は、Feおよび不可避的不純物である。
なお、ここでいう不可避的不純物は、鉄鋼原料鉱石およびスクラップ等より不可避的に混入する元素のことであり、意識的に添加せず、また本発明の効果に影響をおよぼさない範囲内の不純物成分を指すものである。このような不可避的不純物としては、例えば、O(酸素)が挙げられ、その上限は0.0050%程度である。
次に、本発明の耐硫酸露点腐食鋼の好適な鋼組織について、説明する。
本発明の耐硫酸露点腐食鋼の好適な鋼組織としては、鋼組織全体に占めるフェライト相の面積率が75%以上、パーライト相の面積率が25%未満、上記フェライト相とパーライト相以外の残部組織の合計の面積率が5%未満である鋼組織が挙げられる。
なお、このような組織を得るためには、後述する熱間圧延条件を適正に制御する、特に、800℃〜650℃の温度域における平均冷却速度を1.0℃/s以上20.0℃/s以下とすることが重要である。
フェライト相の面積率:75%以上
耐硫酸露点腐食鋼は、最終製品の形状等によっては曲げ加工を施して使用される場合がある。ここで、フェライト相の面積率が75%未満になると、曲げ加工時に割れが発生するおそれがある。よって、鋼組織全体に占めるフェライト相の面積率は75%以上とすることが好ましい。より好ましくは80%以上である。なお、フェライト相の面積率は100%であってもよい。
パーライト相の面積率:25%未満
耐硫酸露点腐食鋼は、最終製品の形状等によっては曲げ加工を施して使用される場合がある。ここで、パーライト相の面積率が25%以上になると、曲げ加工時に割れが発生するおそれがある。よって、鋼組織全体に占めるパーライト相の面積率は25%未満とすることが好ましい。より好ましくは20%以下である。なお、パーライト相の面積率は0%であってもよい。
上記したフェライト相とパーライト相以外の残部組織としては、ベイナイト相等が挙げられ、ベイナイト相やマルテンサイト相等が混入した場合には曲げ加工時の割れが懸念される。このため、フェライト相とパーライト相以外の残部組織の合計の面積率は5%未満とすることが好ましい。
また、最大ビッカース硬さが200を超えると、曲げ加工時に割れが発生し易くなるとともに、耐疲労性も劣化し易くなる。ただし、平均ビッカース硬さが80未満になると、所定の強度を確保することが困難となる。
このため、最大ビッカース硬さが200以下でかつ、平均ビッカース硬さが80以上とすることが好適である。
さらに、本発明の耐硫酸露点腐食鋼では、温度:70℃、濃度:50質量%の硫酸水溶液中での電流密度と電位との関係を示すカソード分極曲線において、電流密度:0.1A/cm2のときの電位をVa(V)としたとき、該Vaが、該耐硫酸露点腐食鋼の基準鋼の上記硫酸水溶液中でのカソード分極曲線における電流密度:0.1A/cm2のときの電位Vg(V)との関係で、下記(4)式を満足することが好適である。

Vg−Va>0.03 ・・・(4)
すなわち、硫酸水溶液中の鋼の腐食は、硫酸水溶液中の水素イオンの還元反応と鉄の溶解反応で進行する。図4に、温度:70℃、濃度:50質量%の硫酸水溶液中における水素イオンの還元反応の電流密度と電位の関係を表すカソード分極曲線と、鉄の溶解反応の電流密度と電位の関係を表すアノード分極曲線の一例を示す。図4中、カソード分極曲線とアノード分極曲線とが交わる点が、実際に腐食が進行する点となる。
ここで、発明者らは、種々の鋼のカソード分極曲線を種々の条件で求め、カソード分極曲線と耐硫酸露点腐食性との関係について、さらに検討を重ねた。
その結果、耐硫酸露点腐食性の向上には、カソード反応を抑制することが有効であり、また耐硫酸露点腐食性は、温度:70℃、濃度:50質量%の硫酸水溶液中でのカソード分極曲線における電流密度:0.1A/cm2のときの電位と密接に関連していることを見出した。
そして、さらに検討を進めたところ、対象とする鋼のカソード分極曲線において、電流密度:0.1A/cm2のときの電位をVa(V)としたとき、Vaが、いわゆる一般鋼である基準鋼の温度:70℃、濃度:50質量%の硫酸水溶液中でのカソード分極曲線の電流密度:0.1A/cm2のときの電位であるVg(V)との関係で、上掲(4)式を満足することが好適であり、このような関係を満足させることで、耐硫酸露点腐食性が一層高まることを知見した。
このため、Vg−Va>0.03の関係を満足させることが好ましい。より好ましくは、Vg−Va>0.05である。また、Vg−Vaの上限については特に限定されるものではないが、通常0.15程度である。
なお、Hg/Hg(SO4)参照電極を使用して電位計測を行うと、VaおよびVgはともに負の値を示すことになるが、この場合でも、VaをVgよりも相対的に小さくすることが重要である。
また、カソード分極曲線における電流密度:0.1A/cm2の電位を選択したのは、これより電流密度が小さくなると測定条件によってはノイズなどが生じる場合がある一方、これより電流密度が大きくなると、カソード反応自体が律速になって電位を正確に測定するのが難しくなる場合があるからである。
また、ここでいう基準鋼とは、質量%で、C:0.050〜0.150%、Si:0.10〜0.80%、Mn:0.50〜1.00%、P:0.050%以下、S:0.0020〜0.0200%、Al:0.001〜0.050%およびN:0.0005〜0.0050%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼(特には、Cu:0.02%未満、Ni:0.02%未満、Cr:0.02%未満、Sb:0.010%未満およびTi:0.005%未満に抑制した成分組成を有する鋼)である。なお、このような成分組成の鋼であれば、温度:70℃、濃度:50質量%の硫酸水溶液中でのカソード分極曲線はほぼ同様のものとなる。
次に、本発明の耐硫酸露点腐食鋼の好適製造方法について説明する。
本発明の耐硫酸露点腐食鋼は、上記の成分組成に調整した鋼素材を、薄鋼板、厚鋼板および形鋼などの種々の形状に仕上げたものであり、その製造方法としては、例えば、転炉や電気炉、真空脱ガス装置等の通常公知の方法で溶製した後、連続鋳造法等で鋼スラブとし、この鋼スラブを、その後直ちに、または冷却後、再加熱して熱間圧延する方法が挙げられる。また、冷延鋼板とする場合には、さらに酸洗と冷間圧延および焼鈍を行い、製品とする。
なお、熱間圧延条件としては、要求される機械的特性、すなわち強度(硬度)や曲げ性、耐疲労性を確保する観点から、圧下率を50〜99%、仕上終了温度を650〜950℃、巻き取り温度を400〜650℃、800℃から650℃までの平均冷却速度を1.0〜20.0℃/sとすることが好適である。
また、上掲(4)式を満足させる観点からは、800℃から650℃までの平均冷却速度を1.0〜10.0℃/sとすることが好適である。
表1に示す成分組成になる鋼(残部はFeおよび不可避的不純物である)を転炉で溶製し、連続鋳造法により厚さ:200mmの鋼スラブとした。この鋼スラブを冷却後、1200℃に再加熱して熱間圧延を施し、板厚:4.5mmの熱延鋼板とした。
なお、熱間圧延では、圧下率:97.75%、仕上終了温度:850℃、巻き取り温度:560℃、800℃から650℃までの平均冷却速度を表2のとおりとした。
かくして得られた熱延鋼板について、以下に示す方法で、鋼組織における各相の面積率およびビッカース硬度の測定、ならびに耐硫酸露点腐食性、製造性、曲げ性および耐疲労性の評価を行った。これらの結果を表2に示す。
・鋼組織における各相の面積率の測定
3%ナイタール試薬(3%硝酸+エタノール)を用いて、熱延鋼板の圧延方向に平行な垂直断面(板厚1/4の深さ位置)を腐食し、当該部を倍率:100倍の光学顕微鏡により観察・撮影し、撮影した組織写真を用いて、フェライトおよびパーライトの面積率を求めた。ここで、フェライトおよびパーライトの面積率は、それぞれ5視野の観察を行い、ポイントカウント法(ASTM E562−83(1988)に準拠)を用いて測定した。また、上記したフェライトおよびパーライト以外の残部組織の面積率は、100%からフェライトおよびパーライトの合計の面積率を減ずることで求めることができる。
・ビッカース硬度の測定
ビッカース硬度は、JIS Z 2244に準拠して、荷重:9.8Nの条件で、上記のようにして得られた熱延鋼板の表層(表面から0.5mmの位置)における任意の20点について測定を行い、これらの平均値および最大値を求めた。
・耐硫酸露点腐食性
上記のようにして得た熱延鋼板から、幅20mm×長さ30mm×厚さ3mmの腐食試験片を切り出し、切り出した腐食試験片を硫酸水溶液(温度:70℃、濃度:50質量%)中に6時間浸漬する硫酸浸漬腐食試験に供して、腐食減量を測定し、腐食減量から各試験片の腐食速度を算出した。
そして、以下の基準により、中温での耐硫酸露点腐食性を評価した。
合格、特に優れる(◎):腐食速度が250g/(m2・hr)未満
合格(○):腐食速度が250g/(m2・hr)以上280g/(m2・hr)以下
不合格(×):腐食速度が280g/(m2・hr)超
また、別途、上記のようにして得た熱延鋼板から、幅20mm×長さ30mm×厚さ3mmの腐食試験片を切り出し、切り出した腐食試験片を硫酸水溶液(温度:140℃、濃度:80質量%)中に3時間浸漬する硫酸浸漬腐食試験に供して、腐食減量を測定し、腐食減量から各試験片の腐食速度を算出した。
そして、以下の基準により、高温での耐硫酸露点腐食性を評価した。
合格、特に優れる(◎):腐食速度が92g/(m2・hr)未満
合格(○):腐食速度が92g/(m2・hr)以上97g/(m2・hr)以下
不合格(×):腐食速度が97g/(m2・hr)超
・製造性
製造性は、鋼スラブ鋳造時の表面キズ深さを、表面に着色する事により傷を確認し、目視観察および断面を切り出して観察することで以下の基準で評価した。
合格、特に優れる(◎):表面キズの観察なし
合格(○):表面キズ深さが0.2mm未満
不合格(×):表面キズ深さが0.2mm以上
・曲げ性
上記のようにして得た熱延鋼板から、幅50mm×長さ100mm×厚さ3.2mmの試験片を切り出し、切り出した試験片に、同じ板厚の板を内側に3枚挟んで180°曲げの加工(3T曲げ)を施し、曲げ部の状況を目視により観察し、以下の基準で曲げ性を評価した。
合格(○):割れなし
不合格(×):割れあり
・耐疲労性
耐疲労性は、長手方向が鋼板の圧延方向と垂直になるようにサンプルを採取し、JIS
Z 2275(1978年)に準拠し、平面曲げ疲労試験を両振り(応力比:−1)、周波数:10Hzの条件で行った。
両振り平面曲げ疲労試験において、100万サイクルまで破断が認められなかった応力を測定し、この応力を疲労強度として、以下の基準で耐疲労性を評価した。
合格、特に優れる(◎):疲労強度が200MPa以上
合格(○):疲労強度が150MPa以上200MPa未満
不合格(×):疲労強度が150MPa未満
また、上記のようにして得た熱延鋼板から10mm×10mmのサイズの試験材を切り出して、切り出した試験片の端面および裏面を保護被覆で覆い、保護した。この試験材を硫酸水溶液(温度:70℃、濃度:50質量%)中に10分間浸漬し、その後、1mV/secの速度で0.4V程度までカソード側に電位を掃引し、カソード分極曲線を採取した。得られたカソード分極曲線を用いて、電流密度:0.1A/cm2のときの電位Va(V)を作図により求め、基準鋼であるNo.18のカソード分極曲線における電流密度:0.1A/cm2のときの電位Vg(V)との電位差を求めた。なお、電位計測にあたっては、Hg/Hg(SO4)参照電極を使用した。結果を表2に併記する。
Figure 0006338031
Figure 0006338031
表2より、発明例ではいずれも、耐硫酸露点腐食性、製造性、曲げ性および耐疲労性に優れていることがわかる。
一方、比較例ではいずれも、耐硫酸露点腐食性、製造性、曲げ性および耐疲労性のうちの少なくとも1つが、所望の特性を満足することができなかった。

Claims (3)

  1. 質量%で、
    C:0.050〜0.150%、
    Si:0.10〜0.80%、
    Mn:0.50〜1.00%、
    P:0.050%以下、
    S:0.0020〜0.0200%、
    Cu:0.20〜0.50%、
    Ni:0.10〜0.80%、
    Cr:0.20〜1.50%、
    Sb:0.050〜0.300%、
    Ti:0.005〜0.050%、
    Al:0.001〜0.050%および
    N:0.0005〜0.0050%
    を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、
    上記成分組成におけるS、CuおよびSbの含有量が下記(1)式、Cu、NiおよびSbの含有量が下記(2)式の関係をそれぞれ満足し、
    鋼組織全体に占めるフェライト相の面積率が75%以上、パーライト相の面積率が25%未満、上記フェライト相とパーライト相以外の組織の合計の面積率が5%未満である鋼組織を有するとともに、
    最大ビッカース硬さが200以下でかつ、平均ビッカース硬さが80以上である、耐硫酸露点腐食鋼。

    0.50≦[%Cu]/(10×[%S]+[%Sb])≦5.00 ・・・(1)
    0.50≦[%Ni]/([%Cu]+[%Sb])≦2.50 ・・・(2)
    ここで、[%S]、[%Cu]、[%Ni]および[%Sb]はそれぞれ、成分組成におけるS、Cu、NiおよびSbの含有量(質量%)である。
  2. 前記成分組成におけるC、TiおよびNの含有量が下記(3)式の関係を満足する、請求項1に記載の耐硫酸露点腐食鋼。

    0.30≦[%Ti]/(0.2×[%C]+[%N])≦2.50 ・・・(3)
    ここで、[%C]、[%Ti]および[%N]はそれぞれ、成分組成におけるC、TiおよびNの含有量(質量%)である。
  3. 請求項1または2に記載の耐硫酸露点腐食鋼であって、
    該耐硫酸露点腐食鋼の温度:70℃、濃度:50質量%の硫酸水溶液中での電流密度と電位との関係を示すカソード分極曲線において、電流密度:0.1A/cm2のときの電位をVa(V)としたとき、
    上記Vaが、上記耐硫酸露点腐食鋼の基準鋼の上記硫酸水溶液中でのカソード分極曲線における電流密度:0.1A/cm2のときの電位Vg(V)との関係で、下記(4)式を満足する、耐硫酸露点腐食鋼。

    Vg−Va>0.03 ・・・(4)

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