JP6018364B2 - 線状加熱性に優れたケミカルタンカー用二相ステンレス鋼 - Google Patents

線状加熱性に優れたケミカルタンカー用二相ステンレス鋼 Download PDF

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本発明は、オーステナイト相とフェライト相の二相を持つ二相ステンレス鋼のうち、Ni,Mo等の高価な合金の含有量を抑えた省合金二相ステンレス鋼をケミカルタンカーへ適用する場合において、大きな課題の一つである線状加熱部の割れを抑制し、それにより当該用途への適用を可能にする省合金二相ステンレス鋼に関するものである。
二相ステンレス鋼は、鋼の組織にオーステナイト相とフェライト相の両相を持ち、高強度高耐食性の材料として以前から石油化学装置材料、ポンプ材料、ケミカルタンク用材料等に使用されている。更に、二相ステンレス鋼は、一般に低Niの成分系であることから、直近の金属原料高騰状況に伴い、ステンレス鋼の主流であるオーステナイト系ステンレス鋼よりも合金コストが低くかつその変動が少ない材料として注目を浴びている。
ところで、二相ステンレス鋼の直近のトピックとして、省合金タイプの開発とその使用量増加がある。
省合金タイプとは、従来の二相ステンレス鋼より高価な合金の含有量を抑え、オーステナイト系より合金コストが低いメリットを更に増大させた鋼種で、特許文献1〜3等に開示されている鋼種が該当する。うち特許文献1と2はASTM−A240で規格化されており、前者はS32304(代表成分23Cr−4Ni−0.17N)、後者はS32101(代表成分22Cr−1.5Ni−5Mn−0.22N)に対応する。
従来鋼のメイン鋼種であるJIS SUS329J3LやSUS329J4Lは、オーステナイト系の高耐食鋼SUS316Lよりも更に高耐食であり、高価なNiやMoをそれぞれ約6〜7%(以下、成分についての%は質量%を意味する)、約3〜4%添加している。
これに対し省合金二相ステンレス鋼は、耐食性をSUS316Lもしくは汎用鋼のSUS304に近いレベルとした代わりに、Moをほぼ0とし、NiをS32304では約4%、S32101では約1%と大幅に低減している。
特許文献3は、S32304の改良型として、酸性環境における耐食性を高めるためにCuを、強度を高めるためにNb,V,Tiの何れかを添加したものである。
また、特許文献4は、延性および深絞り性に優れたオーステナイト・フェライト系ステンレス鋼として、省合金二相鋼の成分系を規定しているが、その中で、選択元素として0.5%以下のV添加をしており、その効果として鋼の組織を微細化し強度を高める元素とある。
これらの中で特に、Ni,Moを極力低減したS32101レベル(Ni:2%以下)の鋼において課題となるのが、溶接熱影響部の耐食性低下である。この現象は、溶接熱影響部にクロム窒化物が析出することにより生じるものである。
この課題を克服するために、発明者らは特許文献5において、C:0.06%以下、Si:0.1〜1.5%、Mn:2.0〜4.0%、P:0.05%以下、S:0.005%以下、Cr:19.0〜23.0%、Ni:1.00〜4.0%、Mo:1.0%以下、Cu:0.1〜3.0%、V:0.05〜0.5%、Al:0.003〜0.050%、O:0.007%以下、N:0.10〜0.25%、Ti:0.05%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、Md30値が80以下、Ni−bal.が−8以上−4以下であり、かつN含有量の上限がNi−bal.との関係式で表され、オーステナイト相面積率が40〜70%であり、2×Ni+Cuが3.5以上であることを特徴とする溶接熱影響部の耐食性と靭性が良好な省合金二相ステンレス鋼を開示した。この発明のポイントは、固溶レベルの微量のV添加に加え、オーステナイト量推定式であるNi−bal.に応じたNの上限を規定することにより、HAZ部の窒化物析出を抑制することである。
特開昭61−56267号公報 WO2002/27056号公報 WO96/18751号公報 特開2006−183129号公報 WO2009/119895号公報
ところで、ケミカルタンカーは、種々の化学製品を積載して運搬するために、タンクをステンレス製としているものが多くある。その中で、比較的マイルドな腐食環境の製品向けに使用されているSUS304製タンクの代替として省合金二相ステンレス鋼を適用する場合に問題となるのが、線状加熱部の脆性割れである。
線状加熱は、タンク用鋼材を加工する際、バーナーを掃引し線状に加熱する事によって曲げ加工を行う手法であり、場所によっては最大で1000℃程度まで加熱される。S32101等にこの線状加熱を適用すると、加熱部が低靭性となり、その結果、船に何らかの衝撃が付加された際に脆性割れを生じ得る。特許文献1の鋼が規格化されたS32304ではこのような課題はほとんどみられないが、Niを約4%含有し、比較的高価である。なお、特許文献1では「Ni、2から5.5%」との記載があるので、Niを2%まで低減することが許容されるが、実際に2%まで低下させたものは同様の現象が発現する。特許文献3記載の鋼でも同様である。
本発明は、省合金タイプの二相ステンレス鋼について、合金コストを極力抑えた上で、線状加熱部の靭性低下による脆性割れを抑制し、ケミカルタンカーへの適用を実現しうる省合金二相ステンレス鋼を提供することを目的とする。
本発明者らは、線状加熱における靭性低下を抑制しうる鋼材について調査したところ、特許文献5にて示した鋼材は線状加熱を行っても良好な靱性を維持することを見出した。その原因は、線状加熱後にクロム窒化物の析出が少ないためであった。
更に、割れを抑制しうる鋼材の条件について下記の知見を得、本発明に到った。線状加熱を行うと、鋼材の温度は場所によっては1000℃程度まで上昇する。このような加熱の場合、Moを多く含有する汎用二相ステンレス鋼の場合は、シグマ相のような金属間化合物の生成による靭性低下が問題となる。これに対して、本発明のような省合金二相ステンレス鋼の場合は、金属間化合物の生成はほぼ無く、クロム窒化物析出による靭性低下が生じる。さらに、このクロム窒化物は700℃付近で最も析出速度が速いため、この温度に保持した後の靭性を測定することによって、当該材が脆性割れを生じ難いか否かを確認し得る。
次に、靭性低下の原因となるクロム窒化物析出の抑制策であるが、二相ステンレス鋼においてクロム窒化物析出を抑制するためには、N固溶限の小さいフェライト相中の固溶N量を低減することが必要である。
通常、フェライト中の固溶C,N量を低減する手法としては、Ti,Nbのような炭窒化物安定化元素を合金化する事が広く知られており、フェライトステンレス鋼では、C,N含有量を極低レベルに低減し、0.1〜0.6%程度のTi,Nbを添加した高純度フェライトステンレス鋼が実用化されている。
ところが、Nを多量に含有する省合金二相ステンレス鋼にこのような量のTi,Nbを合金化すると、当該Nが窒化物として多量に析出し、靭性を阻害することになる。
そこで、本発明者らはNとの親和力のあるV,Nb,B等の元素についての作用を考慮し、その含有量と省合金二相ステンレス鋼溶接HAZ部の耐食性と靭性との関連性を調査・研究することにより以下の知見を得た。
省合金二相ステンレス鋼において、V,Nb,B等の元素はそれぞれNとの親和力の大きさが異なり、元素の種類と量に応じてそれぞれの窒化物が生成する温度域が異なる。Ti,Zrのように親和力の非常に強い元素は凝固点前後のかなり高温で、また、親和力の比較的強いBは、熱間圧延や溶体化熱処理の温度付近で窒化物析出を生じてしまい、靭性低下をもたらす。ところが、VやNbについては、その含有量を調整することにより、Crの窒化物が生成する900〜600℃の温度域で固溶/析出を調整することができる。
そこで、本発明者らは、V添加による改善策についてさらに検討を進めた。従来文献にて記載の通り、二相ステンレス鋼へのV添加の先例はあるが、通常行われるV添加は、強度を向上させるか、もしくは前述のTi,Nbと同様、固溶Nを出来る限りV窒化物として析出させCrの窒化物としての析出を抑え、Cr欠乏層を抑止するいわゆる安定化のために行うものであり、VはV窒化物を析出させるレベルの添加を行うのが通例である。
それに対し本願発明では、以下の考えに基づき固溶レベルのV添加に留めることにより、HAZ部の窒化物析出を抑制できるという知見を得た。その機構は次のとおりである。
Cr窒化物は、バーナー掃引による線状加熱時に、500〜900℃程度の窒化物析出温度域にせいぜい数分の短時間晒されることにより析出する。また、VのNとの親和性はTi,Nb等よりは低いもののCrよりは高く、Nの活量を下げる。このため、Vの微量添加は、Cr窒化物の析出を遅延させ、短時間ではCr窒化物の析出量を抑制できる。
ただし、従来法のようなVの多量添加を行うと、耐食性は向上するが靭性については多量のV窒化物が析出することとなり、従来鋼と同様に低下してしまう。
以上の知見より、本発明の要旨とするところは以下の通りである。
(1)質量%にて、
C :0.06%以下、 Si:0.1〜1.5%、
Mn:2.0〜4.0%、 P :0.05%以下、
S :0.005%以下、 Cr:19.0〜23.0%、
Ni:1.0〜4.0%、 Mo:1.0%以下、
Cu:0.1〜3.0%、 V :0.05〜0.5%、
Al:0.003〜0.050%、 O :0.007%以下、
N :0.10〜0.25%
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
オーステナイト相面積率が40〜70%で、
下記(1)式によるMd30値が80以下で、
下記(2)式によるNi−bal.が−8以上−4以下で
00℃で3分間等温熱処理した後の−20℃におけるVノッチ試験片によるシャルピー衝撃値が146J/cm以上であり、
溶体化熱処理された鋼材について、800〜1000℃で20分間の均熱処理後に、5秒以内水冷に供した、平衡的に窒化物が析出を開始する上限温度であるクロム窒化物析出温度TNが940℃以下となることを特徴とする線状加熱性に優れたケミカルタンカー用二相ステンレス鋼。
Md30=551−462(C+N)−9.2Si−8.1Mn−29(Ni+Cu)−13.7Cr−18.5Mo ・・・ (1)
Ni−bal.=Ni+0.5Mn+0.5Cu+30C+30N
−1.1(Cr+1.5Si+Mo)+8.2 ・・・ (2
記式において各元素名はその含有量の質量%を表す。
(2)平衡的に窒化物が析出を開始する上限温度であるクロム窒化物析出温度TNが940℃以下であることを特徴とする前記(1)に記載の線状加熱性に優れたケミカルタンカー用二相ステンレス鋼。
(3)更に、質量%にて、Nb:0.02〜0.15%を含有し、
前記(1)に記載の(1)式に代えて、下記(1´)式によるMd30値が80以下で、
下記(3)式による値が0.003〜0.015であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の線状加熱性に優れたケミカルタンカー用二相ステンレス鋼。
Md30=551−462(C+N)−9.2Si−8.1Mn−29(Ni+Cu)−13.7Cr−18.5Mo−68Nb ・・・ (1´)
Nb×N ・・・ (3)
上記式において各元素名はその含有量の質量%を表す。
(4)更に、質量%にて、
Ca:0.0050%以下、 Mg:0.0050%以下、
REM:0.050%以下、 B :0.0040%以下
から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の線状加熱性に優れたケミカルタンカー用二相ステンレス鋼。
(5)更に、質量%にて、Co:0.02〜1.00%を含有することを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の線状加熱性に優れたケミカルタンカー用二相ステンレス鋼。
(6)更に、質量%にて、
Ti:0.05%以下、 Zr:0.03%以下、
Ta:0.1%以下、 W :1.0%以下、
Sn:0.1%以下
から選ばれる1種または2種以上を含有し、
Wを含有する場合については、前記(1)に記載の(2)式に代えて、下記(2´)式によるNi−bal.が−8以上−4以下であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の線状加熱性に優れたケミカルタンカー用二相ステンレス鋼。
Ni−bal.=Ni+0.5Mn+0.5Cu+30C+30N
−1.1(Cr+1.5Si+Mo+W)+8.2 ・・・ (2´)
上記式において各元素名はその含有量の質量%を表す。
本発明の請求項1の規定により、オーステナイト系ステンレス鋼と比べ合金コストが低くかつコストの変動が少ない省合金タイプ二相ステンレス鋼をケミカルタンカー用に適用する際において大きな課題の一つである線状加熱部の靭性低下による脆性割れを抑制し、その結果ケミカルタンカーへの適用が実現し、産業上寄与するところは極めて大である。
請求項においては、Nbの微量添加により靭性低下を更に抑制することが可能である。
請求項においては、当該鋼の靭性低下を抑制しつつ、熱間加工性を更に向上させることが可能であり、また請求項では、靭性と耐食性を更に向上させることが可能である。
請求項においては、当該鋼の靭性低下を抑制しつつ更に耐食性を向上させることが出来る。
以下に本発明を詳細に説明する。
先ず、本発明の請求項1記載の限定理由について説明する。なお、成分についての%は、質量%を意味する。
Cは、ステンレス鋼の耐食性を確保するために0.06%以下の含有量に制限する。0.06%を越えて含有させるとCr炭化物が生成して、耐食性が劣化する。好ましくは、0.04%以下である。一方、含有量を極端に減することは大幅なコストアップになるため、好ましくは下限を0.001%とする。
Siは、脱酸のため0.1%以上添加する。しかしながら、1.5%を超えて添加すると靱性が劣化する。そのため、上限を1.5%に限定する。好ましい範囲は0.2〜1.0%未満である。
Mnは、二相ステンレス鋼中のオーステナイト相を増加させ、かつ加工誘起マルテンサイトの生成を抑制し靱性を向上させ、また窒素の固溶度を上げ溶接部における窒化物の析出を抑制することから2.0%以上添加する。しかしながら、4.0%を超えて添加すると耐食性が劣化する。そのため、上限を4.0%に限定する。好ましい範囲は2.0超〜3.0%未満である。
Pは、鋼中に不可避的に含有される元素であって、熱間加工性を劣化させるため0.05%以下に限定する。好ましくは0.03%以下である。一方、含有量を極端に減することは大幅なコストアップになるため、好ましくは下限を0.005%とする。
Sは、Pと同様に鋼中に不可避的に含有される元素であって、熱間加工性、靱性および耐食性をも劣化させるため0.005%以下に限定する。好ましくは0.002%以下である。一方、含有量を極端に減することは大幅なコストアップになるため、好ましくは下限を0.0001%とする。
Crは、耐食性を確保するために基本的に必要な元素である上、加工誘起マルテンサイトの生成を抑制することにも効果があり、比較的安価な合金であるため、本発明では19.0%以上含有させる。一方、フェライト生成元素でありまた窒化物の生成を促すため、23.0%を超えて含有させるとオーステナイト確保、TN確保にNi,Cuを多く投入する必要が出てくる。このためCrの含有量を19.0%以上23.0%以下とした。
Niは、二相ステンレス鋼中のオーステナイト相を増加させること、加工誘起マルテンサイトの生成を抑制するおよびフェライト相の靱性を向上させること、更に各種酸に対する耐食性を改善するのに有効な元素であり、1.0%以上添加させるが、高価な合金であるため本発明では可能な限り抑制し4.0%以下とする。好ましい範囲は1.5〜3%未満である。
Moは、ステンレス鋼の耐食性を付加的に高める非常に有効な元素である。非常に高価な元素であるため本発明では可能な限り抑制し、その上限を1.0%以下と規定した。好ましい範囲は0.1〜0.5%未満である。
Cuは、Niと同様二相ステンレス鋼中のオーステナイト相を増加させること、加工誘起マルテンサイトの生成を抑制するおよびフェライト相の靱性を向上させること、更に各種酸に対する耐食性を改善するのに有効な元素であり、かつNiと比べて安価な合金であるため本発明では0.1%以上添加するが、3.0%を越えて含有させると熱間加工性を阻害するので上限を3.0%とした。好ましい範囲は1.0%超〜2.0%である。
Vは、本発明において重要な添加元素である。前述のようにNの活量を下げ、窒化物の析出を遅延させるためには0.05%以上の添加が必要である。一方、0.5%を越えて添加させるとV窒化物の析出によりHAZ部靭性を低下させるため、上限は0.5%とした。好ましい範囲は0.06%〜0.30%である。
Alは、鋼の脱酸のための重要な元素であり、鋼中の酸素を低減するために0.003%以上の含有が必要である。一方でAlはNとの親和力が比較的大きな元素であり、過剰に添加するとAlNを生じて母材の靭性を阻害する。その程度はN含有量にも依存するが、Alが0.050%を越えると靭性低下が著しくなるため、その含有量の上限を0.050%と定めた。好ましくは0.030%以下である。
Oは、非金属介在物の代表である酸化物を構成する有害な元素であり、過剰な含有は靭性を阻害する。また粗大なクラスター状酸化物が生成すると表面疵の原因となる。このためその含有量の上限を0.007%と定めた。好ましくは0.005%以下である。一方、含有量を極端に減することは大幅なコストアップになるため、下限を0.0005%とするのが好ましい。
Nは、オーステナイト相に固溶して強度、耐食性を高めると共に二相ステンレス鋼中のオーステナイト相を増加させる有効な元素である。このために0.10%以上含有させる。一方、0.25%を越えて含有させると溶接熱影響部にCr窒化物を析出して靭性を阻害するようになるため含有量の上限を0.25%とした。好ましい含有量は0.10〜0.20%である。Nの上限は更に後述の通りNi−bal.との関係において規定される。
次に、下記(1)式のMd30は、一般にオーステナイト系ステンレス鋼において、加工誘起マルテンサイトによる加工硬化度合いを示す成分式として知られている式であり、「鉄と鋼」Vol.63 No.5 p.772等に記載されている。一般に合金添加量が少ないほどMd30が高くなり、加工硬化しやすくなる傾向にある。
本発明鋼は、二相ステンレス鋼であるが省合金タイプのため、そのオーステナイト相は従来鋼より加工硬化しやすいと考えられる。本発明者らは、加工硬化度の大きい成分の材料は母材の靱性が低下することを見出し、Md30にて加工硬化度の上限を規定することとした。具体的には、Md30≦80で良好な靱性を得ることが出来る。
なお、後述する選択的成分であるNbを含有する場合は、下記(1´)式によるMd30にて加工硬化度の上限を規定する。(1)式と(1´)式において各元素名はその含有量の質量%を表す。
Md30=551−462(C+N)−9.2Si−8.1Mn−29(Ni+Cu)−13.7Cr−18.5Mo ・・・ (1)
Md30=551−462(C+N)−9.2Si−8.1Mn−29(Ni+Cu)−13.7Cr−18.5Mo−68Nb ・・・ (1´)
本発明の二相鋼において良好な特性を得るためには、オーステナイト相面積率を40〜70%の範囲にすることが必要である。40%未満では靱性不良が、70%超では熱間加工性、応力腐食割れの問題が出てくる。また、何れの場合も耐食性が不良となる。
本発明鋼では、窒化物析出による耐食性と靭性の低下を極力抑制すべく、窒素の固溶限の大きいオーステナイト相を可能な限り多めにした方がよい。溶体化熱処理温度条件を二相鋼における通常の条件である1050℃付近で行う場合、当該オーステナイト量を確保するためには、本発明の規定範囲内でオーステナイト相増加元素とフェライト相増加元素の含有割合を調整することによって行う事が出来る。具体的には、下記(2)式で示すNi―bal.式を−8〜−4の範囲とする。好ましくは−7.1〜−4である。
なお、後述する選択的成分であるWを含有する場合は、下記(2´)式によるNi―bal.にて規定する。(2)式と(2´)式において各元素名はその含有量の質量%を表す。
Ni−bal.=Ni+0.5Mn+0.5Cu+30C+30N
−1.1(Cr+1.5Si+Mo)+8.2 ・・・ (2)
Ni−bal.=Ni+0.5Mn+0.5Cu+30C+30N
−1.1(Cr+1.5Si+Mo+W)+8.2 ・・・ (2´)
次に、線状加熱部の靭性低下により衝撃が加わった際に生じる割れを防止しうる特性指標として、700℃で3分間等温熱処理した後の−20℃におけるVノッチ試験片によるシャルピー衝撃値が100J/cm以上であることを規定する。700℃はクロム窒化物が最も大量に析出する温度域であり、線状加熱によって当該温度域に晒される最大レベルの時間として3分を規定した。この熱処理を行った後でも脆性割れを生じないレベルの衝撃値100J/cm以上を確保しうることを評価することによって、割れの問題を回避しうることを確認できる。
次に本発明の請求項記載の限定理由について説明する。
クロム窒化物析出温度TNは、平衡的に窒化物が析出を開始する上限温度であり、実験的に求められる特性値である。溶体化熱処理された鋼材を800〜1000℃で20分間の均熱処理後、5秒以内に水冷に供し、冷却後の鋼材についてクロム窒化物の析出量を実施例で詳述する非金属介在物の電解抽出残渣分析法によって求め、Cr残渣量が0.03%以下となる均熱処理温度のうちの最低温度と規定する。
TNが低いほどクロム窒化物の析出する温度域が低温側に限定されるため、クロム窒化物の析出速度や析出量が抑制される。実験の結果、TNを940℃以下に設計すると本発明の目的である700℃におけるクロム窒化物析出を遅延させうることを見出した。
ここで、均熱処理温度を800〜1000℃に規定するのは、線状加熱時におけるHAZ部の一般的な温度域だからである。本発明では、一般的に行われる線状加熱時にクロム窒化物の析出を遅延させるため、当該温度域でもって規定する。
また、クロム窒化物が十分に平衡する時間として均熱処理温度を20分間に規定する。20分未満では析出量の変化が激しい区域に該当して測定の再現性が得られにくくなり、20分超で規定すると測定に長時間を要する。したがって、クロム窒化物を十分に平衡させて再現性を確保する観点からいえば、均熱処理温度を20分超としても構わない。
均熱処理後においては、水冷に供するまでに長時間を要すると徐々に鋼材温度が低下してクロム窒化物が析出してしまい、そうすると測定したかった温度でのクロム窒化物量とは異なる値が得られてしまう。したがって、均熱処理後5秒以内に水冷に供することとする。
また、Cr残渣量が0.03%以下となる温度のうちの最低温度と規定したのは、実験によって残渣量0.03%以下が耐食性や靭性に悪影響を及ぼさない析出量であることを確認したことによる。
TNを低下させるにはN量の低減が有効であるが、N量の極端な低下はオーステナイト相比率の低下と溶接部耐食性の低下とをもたらす。このため、オーステナイト相の生成元素であるNi,Mn,Cuの含有量とN含有量を適切に設計することが必要である。例えば、CrNの平衡析出温度を予測する式として、サーモカルク社の熱力学計算ソフト「Thermo−Calc」(登録商標)を用いた平衡計算と実験により求めたNpreを940以下にすることが目安になる。
Npre=12Cr+50Si+36Mo−20Ni−15Mn−19Cu+470N−290C+620
また、TNはN含有量を低下させることにより低下するが、本発明鋼では耐食性を高めるためにNを0.10%以上含有させており、この場合にTNを800℃未満にすることは困難である。そのため、TNの下限を800℃とした。
次に本発明の請求項記載の限定理由について説明する。
Nbは前述の通り、Nの活量を下げ窒化物析出を抑制するのに有効な元素であり、選択的に添加される。但し、Nとの親和力が比較的高く、少量の添加でNb窒化物を析出してしまうので取り扱いには注意する必要がある。そこで、固溶限以下の添加となるようNとの関係式によって求められる上限までの添加をすることで、Vの効果を更に補填することが出来る。この効果を得るためにはNbは0.02%以上添加させる必要がある。しかしながら過剰添加するとNb窒化物が析出し、母材を含めた靱性を損ねるので0.15%以下である必要がある。
更に、いわゆる固溶度積を求める下記(3)式による値が0.003〜0.015となるNb添加とすることで、上記に示す効果を得、かつ靱性へ悪影響を及ぼさないことはない。なお、(3)式において各元素名はその含有量の質量%を表す。
Nb×N ・・・ (3)
次に、本発明の請求項記載の限定理由について説明する。
Ca,Mg,REM,Bは、いずれも鋼の熱間加工性を改善する元素であり、その目的で選択的に1種または2種以上添加される。一方、いずれも過剰な添加は逆に熱間加工性や耐食性を低下するため、その含有量の上限を次のように定めた。
CaとMgについては夫々0.0050%、REMについては0.050%である。ここでREMは、LaやCe等のランタノイド系希土類元素の含有量の総和とする。なお、CaとMgについては0.0005%から安定した効果が得られるので好ましい範囲は0.0005〜0.0050%であり、REMについては0.005%から安定した効果が得られるので好ましい範囲は0.005〜0.050%である。
Bは、好ましくは0.0003%以上添加することにより安定して粒界強度を上げ熱間加工性を向上できる。但し、過剰の添加は、過剰析出ホウ化物により却って熱間加工性を損ねるので上限を0.0040%とする。
次に、本発明の請求項記載の限定理由について説明する。
Coは、鋼の靭性と耐食性を高めるために有効な元素であり、選択的に添加される。その含有量が0.02%未満であると効果が少なく、1.00%を越えて含有させると高価な元素であるためにコストに見合った効果が発揮されないようになる。そのため添加する場合の含有量を0.02〜1.00%と定めた。
次に、本発明の請求項記載の限定理由について説明する。
Ti,Zr,Taは、添加によりCやSの耐食性への悪影響を抑制することができるが、過剰に添加すると靱性低下を生じる等の悪影響が発生するため、選択的に添加する場合の含有量は、Ti≦0.05%、Zr≦0.03%、Ta≦0.1%に限定した。
Wは、二相ステンレス鋼の耐食性を付加的に高めるために選択的に添加される元素であり、過剰添加はフェライト量の増加を招くため1.0%以下を含有させる。
Snは、耐酸性を付加的に向上させる選択的元素であり、熱間加工性の観点から0.1%を上限として添加することが出来る。
なお、Ti、Zr、Ta、W、Snの効果を安定して発揮する含有量は、それぞれ0.001%以上、0.003%以上、0.01%以上、0.05%以上、0.05%以上である。
本発明の省合金二相ステンレス鋼材は、上記の何れかに記載の組成を有する二相ステンレス鋼の鋳片又は鋼片を、1100〜1250℃で再加熱し、仕上げ温度700〜1000℃で熱間圧延し、熱間圧延した鋼を熱処理温度900〜1100℃で板厚に応じた母材特性を確保しうる均熱時間(例えば10mm材では2〜40分)で熱処理し、その後冷却することによって製造することが出来る。
以下に実施例について記載する。表1に供試鋼の化学組成を示す。なお、表1に記載されている成分以外は、Feおよび不可避的不純物元素である。なお、空欄は添加していないか不純物レベルであることを示す。また、表中のREMは、ランタノイド系希土類元素を意味し、含有量はそれら元素の合計を示している。
これらの成分鋼を実験室の50kg真空誘導炉によりMgOるつぼ中で溶製し、厚さが約100mmの扁平鋼塊に鋳造した。鋼塊の本体部分より熱間圧延用素材を加工し、1180℃の温度に1〜2h加熱後、仕上温度950〜850℃の条件にて圧延し、12mm厚×約700mm長の熱間圧延鋼板を得た。なお、圧延直後の鋼材温度が800℃以上の状態より200℃以下までスプレー冷却を実施した。最終の溶体化熱処理は1050℃×20分均熱後水冷の条件で実施した。
表中のクロム窒化物析出温度TNは、以下の手順で求めた。
(1) 12mm厚の供試鋼を後述する条件で溶体化熱処理する。
(2) 800〜1000℃の任意の温度で20分間均熱処理を行い、その後5秒以内に水冷を行う。
(3) 冷却後の供試鋼表層を#500研磨する。
(4) 3g試料を分取し、非水溶液中(3%マレイン酸+1%テトラメチルアンモニウムクロライド+残部メタノール)で電解(100mV定電圧)してマトリックスを溶解する。
(5) 0.2μm穴径のフィルターで残渣(=析出物)を濾過し、析出物を抽出する。
(6) 残渣の化学組成を分析し、そのクロム含有量を求める。この残渣中のクロム含有量をクロム窒化物の析出量の指標とする。
(7) (2)の均熱処理温度を種々変化させ、残渣中のクロム含有量が0.03%以下となる均熱処理温度のうちの最低温度をTNとする。
上記により得られた厚鋼板について、以下の通り特性評価を行った。
熱間加工性の評価は、圧延材約700mmのうち最も長い耳割れの長さを耳割れ長さとし、10mm以下のものを良好と判断した。
母材の衝撃特性については、JIS4号Vノッチシャルピー試験片を圧延直角方向より各3本切り出し、破壊が圧延方向に伝播するようにVノッチを加工して、最大エネルギー500J仕様の試験機にて−20℃での衝撃値を測定し、150J/cm以上を良好と判断した。
オーステナイト相面積率については、圧延方向と平行な断面を埋込み鏡面研磨し、KOH水溶液中で電解エッチングを行った後、光学顕微鏡観察により画像解析を行うことによってフェライト相面積率を測定し、残りの部分をオーステナイト相面積率とした。
更に耐食性を評価すべく、表層から採取した試験片の表面を#600研磨し、ASTM G48 Method E規定に準拠し、塩化第二鉄浸漬試験により孔食発生温度を測定した。そして、SUSより良好な10℃以上を良好と判断した。
更に、上記にて製造した厚鋼板を素材として線状加熱実験を行った。12mm厚×500mm×500mmサンプルを用い、板幅中央を長さ方向にガスバーナーにて線状加熱し、すぐに水冷トーチを用いて水冷した。また、ダミー材で鋼板表面の温度が最大で1000℃となるように掃引速度を調整した。そして、実験が終わったサンプルをカラーチェックによる探傷調査にて割れ評価を行った。
評価結果を表2に示す。
本発明鋼では、圧延材の耳割れ、オーステナイト相面積率、母材の衝撃特性、CPT、700℃3分保定後の衝撃特性のいずれも良好な値を示した。No.11はTNが940℃を超えているが、高Ni,Cuのため母材の衝撃値が高いことから、700℃3分保定後の衝撃値をクリアしうる。
母材の耐食性については、C、Mn、S、Ca、Mg、REMが過剰の鋼No.E、I、K、V,W,XおよびCr、Nの少なすぎる鋼No.M、RはCPTが5℃となり不良であった。
母材の靱性については、Si、S、Al、V、Ti、Zr、Taを過剰添加した鋼No.G、K、Q、U、AB、AC、ADは、150J/cmを切り不良であった。
Nbについては、過剰添加のNo.Y、および、Nb×Nが0.021で本発明範囲(Nb×N:0.003〜0.015)を超えるNo.Zで靭性が低下した。なお、本発明鋼No.4のNb×Nは0.007、本発明鋼No.13のNb×Nは0.012である。
逆に、Niが少なすぎるNo.Lも靭性不良だった。
また、Md30が大きすぎる鋼No.Aも靭性が不良であった。
更に、Si、Alが少なすぎる鋼No.F、Pは脱酸不良となったため高Oとなり、多量の介在物起因の靱性不良となった。
熱間加工性については、P、S、Cu、Snが過剰な場合に熱延板の耳割れが15mm以上となった(鋼No.J、K、O、AE)。
また、Ca、Mg、REM、Bを過剰添加すると熱間加工性が低下した(鋼No.V、W、X、AA)。
更に、Si、Alが少なすぎる鋼No.F、Pは脱硫不良となったため高Sとなり、更に脱酸不良のためCa,REMが酸化物となりSを無害化できず熱間加工性不良となった。
オーステナイト相面積率については、Ni−bal.が本発明範囲(−8〜−4)を下回るNo.Cで40%未満となり、その結果靱性、耐食性が低下した。
一方、Ni−bal.が本発明範囲を上回るNo.Bで80%以上となり、その結果熱間加工性が低下した。
700℃3分保定後の靭性については、母材靭性が不良の鋼に加え、CrまたはNの高すぎるNo.N、Sが衝撃値100J/cmを割り込んだ。また、Mnが2.0未満のNo.H、Vが0.05%未満のNo.T、および、TNが940℃を超えるNo.D、H、AF(S32101)で、衝撃値が100J/cmを割り込んだ。これらの材料は線状加熱部に割れを発生した。
以上の実施例からわかるように本発明により線状加熱性が良好な省合金型二相ステンレス鋼が得られることが明確となった。
Figure 0006018364
Figure 0006018364
本発明によれば、オーステナイト系ステンレス鋼と比べ合金コストが低くかつコストの変動が少ない省合金タイプ二相ステンレス鋼をケミカルタンカー用に適用する際において大きな課題の一つである線状加熱部の靭性低下による脆性割れを抑制し、その結果ケミカルタンカーへの適用が実現し、産業上寄与するところは極めて大である。

Claims (5)

  1. 質量%にて、
    C :0.06%以下、
    Si:0.1〜1.5%、
    Mn:2.0〜4.0%、
    P :0.05%以下、
    S :0.005%以下、
    Cr:19.0〜23.0%、
    Ni:1.0〜4.0%、
    Mo:1.0%以下、
    Cu:0.1〜3.0%、
    V :0.05〜0.5%、
    Al:0.003〜0.050%、
    O :0.007%以下、
    N :0.10〜0.25%
    を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
    オーステナイト相面積率が40〜70%で、
    下記(1)式によるMd30値が80以下で、
    下記(2)式によるNi−bal.が−8以上−4以下で
    00℃で3分間等温熱処理した後の−20℃におけるVノッチ試験片によるシャルピー衝撃値が146J/cm以上であり、
    溶体化熱処理された鋼材について、800〜1000℃で20分間の均熱処理後に、5秒以内水冷に供した、平衡的に窒化物が析出を開始する上限温度であるクロム窒化物析出温度TNが940℃以下となることを特徴とする線状加熱性に優れたケミカルタンカー用二相ステンレス鋼。
    Md30=551−462(C+N)−9.2Si−8.1Mn−29(Ni+Cu)−13.7Cr−18.5Mo ・・・ (1)
    Ni−bal.=Ni+0.5Mn+0.5Cu+30C+30N
    −1.1(Cr+1.5Si+Mo)+8.2 ・・・ (2
    記式において各元素名はその含有量の質量%を表す。
  2. 更に、質量%にて、
    Nb:0.02〜0.15%
    を含有し、
    請求項1に記載の(1)式に代えて、下記(1´)式によるMd30値が80以下で、
    下記(3)式による値が0.003〜0.015であることを特徴とする請求項1に記載の線状加熱性に優れたケミカルタンカー用二相ステンレス鋼。
    Md30=551−462(C+N)−9.2Si−8.1Mn−29(Ni+Cu)−13.7Cr−18.5Mo−68Nb ・・・ (1´)
    Nb×N ・・・ (3)
    上記式において各元素名はその含有量の質量%を表す。
  3. 更に、質量%にて、
    Ca:0.0050%以下、
    Mg:0.0050%以下、
    REM:0.050%以下、
    B :0.0040%以下
    から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の線状加熱性に優れたケミカルタンカー用二相ステンレス鋼。
  4. 更に、質量%にて、
    Co:0.02〜1.00%
    を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の線状加熱性に優れたケミカルタンカー用二相ステンレス鋼。
  5. 更に、質量%にて、
    Ti:0.05%以下、
    Zr:0.03%以下、
    Ta:0.1%以下、
    W :1.0%以下、
    Sn:0.1%以下
    から選ばれる1種または2種以上を含有し、
    Wを含有する場合については、請求項1に記載の(2)式に代えて、下記(2´)式によるNi−bal.が−8以上−4以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の線状加熱性に優れたケミカルタンカー用二相ステンレス鋼。
    Ni−bal.=Ni+0.5Mn+0.5Cu+30C+30N
    −1.1(Cr+1.5Si+Mo+W)+8.2 ・・・ (2´)
    上記式において各元素名はその含有量の質量%を表す。
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