<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態における印刷装置1000について、図1〜15に基づいて説明する。印刷装置1000は、マスク300とスキージ400と駆動部500と制御部600と保持部700と回転部800とを有している。なお、図1〜14の図中X、Y方向は、後述するスキージ400が摺動する方向に対応する。
説明の便宜上、印刷装置1000の構成を説明する前に、まず、図1を用いて、電子基板100の構成を説明する。図1は、電子基板100の構成の一例を示す図である。図1(a)は、電子基板100の俯瞰図である。図1(b)は、図1(a)のA−A´切断線における断面図である。
図1(a)、(b)に示されるように、電子基板100は、基板側基材110とパッド120、130とを有する。なお、電子基板100は、本発明の被印刷媒体に相当する。基板側基材110は、板材である。基板側基材110には、ガラスエポキシ、ポリイミド、BTレジン、セラミックス等の一般的に用いられている材料を用いることができる。なお、基板側基材110の表面上には、ソルダーレジストが塗布されていてもよい。
図1(a)、(b)に示されるように、パッド120、130は、基板側基材110上に形成されている。パッド120、130上には、後述する印刷材料である半田ペースト900がマスク300を介して印刷され、電子部品200a、200bが実装される。なお、図1(a)では、電子部品200a、200bの外周を二点鎖線で示している。パッド120上には、パッド130上に実装される電子部品200bよりも小さい電子部品200aが実装される。そのため、パッド120の面積は、パッド130の面積よりも小さく、パッド120上に印刷される半田ペースト900の量は、パッド130上に印刷される半田ペースト900の量よりも少ない。
なお、電子部品200a、200bには、例えば、CSP(Chip Size Package)やQFP(Quad Flat Package)等を用いることができる。
次に、図2を用いて、印刷装置1000を構成するマスク300の構成を説明する。図2は、本発明の第1の実施の形態における印刷装置1000のマスク300の構成を示す図である。図2(a)は、マスク300の俯瞰図である。図2(b)は、図2(a)のB−B´切断線における断面図である。
図2(a)、(b)に示されるように、マスク300は、マスク側基材310と凹部320と凹部側開口部321と主面側開口部330とを有する。なお、ここでは、マスク300は、メタルマスクである例を示している。
図2(a)、(b)に示されるように、マスク側基材310は、一対の主面310A、310Bが互いに略平行になるように向かい合っている。マスク側基材310には、ニッケルやステンレス等の一般的に用いられている材料を用いることができる。なお、マスク側基材310は、本発明の板状の基材に相当する。
図2(a)、(b)に示されるように、凹部320は、マスク側基材310の主面310A側に凹状に形成されている。凹部320は、エッチング法により形成される。具体的には、マスク300において、凹部320となる場所以外の場所をアディティブ工法によって形成し、凹部320となる部分をエッチングすることで、マスク300の凹部320は形成される。なお、ここでは、図2(a)に示されるように、凹部320と主面310Aが交差する交差線α、βが形成する領域は、矩形状である正方形である例を示している。図2(a)では、X方向に平行な交差線をαで示し、Y方向に平行な交差線をβで示している。
図2(a)、(b)に示されるように、凹部側開口部321は、凹部320の内側にマスク側基材310の厚み方向に貫通するように形成されている。マスク側基材310の厚み方向とは、一対の主面310A、310Bに対して、略垂直方向をいう。凹部側開口部321は、前述したパッド120に対応する位置と大きさに形成される。また、凹部側開口部321内の体積は、後述する主面側開口部330内の体積よりも小さい。なお、凹部側開口部321は、本発明の開口部に対応している。
図2(a)、(b)に示されるように、主面側開口部330は、主面310Aのうち、凹部320の外側にマスク側基材310の厚み方向に形成されている。主面側開口部330は、前述したパッド130に対応する位置と大きさに形成される。なお、主面側開口部330は、本発明の開口部に対応している。
次に、図3を用いて、印刷装置1000を構成するスキージ400、駆動部500、制御部600、保持部700、回転部800の構成について説明する。図3は、本発明の第1の実施の形態における印刷装置1000の構成を示す図である。図3(a)は、印刷装置1000の構成を示す俯瞰図である。図3(b)は、図3(a)のC−C´切断線における断面図である。図3(c)は、印刷装置1000の構成を説明するための図である。なお、図3(a)では、制御部600を省略して示している。
図3(a)〜(c)に示されるように、スキージ400は、マスク側基材310の主面310A上に配置される。また、スキージ400は、保持部700に保持される。スキージ400は、主面310A上を摺動することにより、主面310A上の半田ペースト900を、主面側開口部330及び凹部側開口部321内に充填する。
なお、スキージ400の詳細な動作については、後述する。なお、スキージ400は、メタルスキージやウレタンスキージやプラスチックスキージ等の一般的なスキージを用いることができる。
図3(a)〜(c)に示されるように、駆動部500は、制御部600と回転部800に接続されている。駆動部500は、スキージ400を所定の方向に主面310A上で摺動させる。また、駆動部500は、制御部600により制御される。
図3(c)に示されるように、制御部600は、駆動部500と回転部800に接続されている。また、制御部600は、スキージ400の摺動方向を、凹部320と主面310Aが交差する交差線のうち、少なくとも異なる2つの交差線に沿う方向に制御する。なお、ここでは、制御部600は、スキージ400の摺動方向を、前述した交差線α、βに沿う方向であるX、Y方向に制御する。言い換えれば、制御部600は、凹部320と主面310Aが交差する複数の交差線のうち、互いに略平行に配置されない少なくとも2つの交差線(ここでは、α及びβ)に沿う方向に制御する。なお、制御部600のより詳細な動作については、後述する。
また、制御部600は、駆動部500を制御することにより、スキージ400の摺動速度とスキージ400の主面310A上の位置を制御する。また、制御部600は、保持部700の昇降部(不図示)を制御することにより、スキージ400の主面310Aに対して略垂直な方向における位置を制御する。
図3(b)、(c)に示されるように、保持部700は、回転部800の回転軸810とスキージ400を保持することにより、スキージ400と回転部800とを連結する。なお、保持部700は、スキージ400を主面310Aに対して略垂直な方向に移動可能にする昇降部を有する。
図3(a)〜(c)に示されるように、回転部800は、駆動部500と保持部700に接続されている。また、回転部800は、回転軸810を有する。回転部800は、回転軸810を回転させることにより、スキージ400を、マスク300の主面310Aに対して略垂直な軸である(図中CL)を中心軸にして回転させる。なお、回転軸810は、マスク300の主面310Aに対して略垂直な軸CLに対応している。なお、回転部800のより詳細な動作については、後述する。
また、図3(a)、(b)に示されるように、半田ペースト900は、マスク300上に配置される。なお、半田ペースト900は、本発明の印刷材料に相当する。
次に、図4〜13を用いて、本発明の第1の実施の形態における印刷装置1000が、電子基板100に半田ペースト900を印刷する方法について詳細に説明する。図4〜13は、本発明の第1の実施の形態における印刷装置1000が、電子基板100に半田ペースト900を印刷する方法を説明するための図である。図4〜7は、スキージ400が、図3に示すX方向に摺動する動作を説明するための図である。図8、9は、制御部600がスキージ400の摺動方向を制御する動作を説明するための図である。図10〜13は、スキージ400が、図3に示すY方向に摺動する動作を説明するための図である。なお、以下の説明では、スキージ400、駆動部500、制御部600、保持部700、回転部800を総称してスキージユニットとよぶ。
まず、図4(a)に示されるように、電子基板100を、ステージ(不図示)上に配置する。
次に、図4(b)に示されるように、マスク300を、電子基板100上に配置する。この際、電子基板100のパッド120及び130上に、マスク300の凹部側開口部321及び主面側開口部330がくるように、マスク300を電子基板100上に配置する。
そして、図4(c)に示されるように、スキージユニット、半田ペースト900を、主面310A上に配置する。このとき、制御部600は、スキージ400の摺動方向を、図3(a)に示した凹部320と主面310Aが交差する交差線αに沿う方向であるX方向に制御する。また、制御部600は、印刷作業を行う作業者が入力する入力値に基づいて、スキージ400の摺動方向をX方向に設定する制御をする。なお、制御部600は、制御部600に搭載されたカメラ(不図示)等で凹部320を撮影し、その撮影画像に基づいて、スキージ400の摺動方向を制御してもよい。
次に、駆動部500が、スキージ400をX方向に主面310A上で摺動させる。
図5は、駆動部500が、スキージ400をX方向に主面310A上で摺動させる動作を説明するための図である。図5(a)は、駆動部500が、スキージ400をX方向に主面310A上で摺動させる動作を説明するための断面図であり、図3(b)に対応している。また、図5(a)は、図5(b)のC−C´切断線における断面図でもある。図5(b)は、図5(a)の俯瞰図である。図5(c)は、図5(b)のD−D´切断線における断面図である。
図5(a)に示されるように、駆動部500は、スキージ400をX方向に主面310A上で摺動させる。スキージ400が、主面310A上を摺動することにより、凹部320内に半田ペースト900を流し込む。このとき、図5(a)〜(c)に示されるように、スキージ400は、凹部320内で撓み、凹部320の底面上を摺動するので、凹部320内に流し込まれた半田ペースト900が掻き取られる。一方、スキージ400が凹部320内で撓むため、図5(b)、(c)に示すように、主面310Aと凹部320との段差近傍に半田ペースト900が残留する。
次に、スキージ400が、凹部側開口部321内に半田ペースト900を充填する。
図6は、スキージ400が、凹部側開口部321内に半田ペースト900を充填する動作を説明するための図である。図6(a)は、スキージ400が、凹部側開口部321内に半田ペースト900を充填する動作を説明するための断面図であり、図3(b)に対応している。図6(b)は、図6(a)の俯瞰図である。図6(c)は、図6(b)のD−D´切断線における断面図である。
図6(a)〜(c)に示されるように、スキージ400が、主面310A上を摺動することにより、凹部側開口部321内に半田ペースト900を流し込むとともに充填する。このときも、図5(a)を用いて説明した内容と同様に、スキージ400は、図6(a)、(c)に示されるように、凹部320の底面上を摺動するので、凹部320内に流し込まれた半田ペースト900が掻き取られる。一方、図6(b)、(c)に示されるように、スキージ400の撓みにより、主面310Aと凹部320との段差近傍の凹部側開口部321上には、半田ペースト900が残留する。
次に、図7に示されるように、スキージ400が、主面310A上を摺動し、半田ペースト900を主面側開口部330内に流し込むとともに、充填する。このとき、スキージ400は、主面310A上を摺動するので、主面310A上の半田ペースト900が掻き取られる。
次に、制御部600が、スキージ400の摺動方向を制御する。
図8、9は、制御部600がスキージ400の摺動方向を制御する動作を説明するための図である。図8(a)は、スキージ400が、X方向の摺動を終え、制御部600がスキージ400の摺動方向をY方向に設定する制御をする前の状態を示す断面図であり、図3(b)に対応している。図8(b)は、図8(a)の俯瞰図である。図8(c)は、図8(b)の斜視図である。図9(a)は、制御部600がスキージ400の摺動方向をY方向に設定する制御をした後の状態を示す俯瞰図である。図9(b)は、図9(a)の斜視図である。
なお、図8(b)、(c)及び図9では、説明の便宜上、駆動部500及び制御部600を省略して示している。また、図8(c)、図9(b)では、説明の便宜上、凹部側開口部321を省略して示している。
図8(a)に示されるように、保持部700が、スキージ400を主面310Aに対して垂直方向に上昇させる。
図8、9に示されるように、制御部600が、回転部800の回転を制御する。これにより、回転部800は、制御部600の制御を受け、保持部700を回転させることにより、スキージ400を、マスク300の主面310Aに対して略垂直な軸(図中CL)を中心軸にして回転させる。なお、ここでは、制御部600は、回転部800の回転軸810を、主面310A上で時計回りに90度回転させる。このようにして、制御部600は、図8(b)に示す交差線αに沿うX方向と異なる交差線βに沿うY方向にスキージ400が摺動するように、スキージ400の摺動方向を制御する。
なお、ここでは、前述したように、交差線α、βが形成する領域は矩形状である正方形であるから、Y方向は、X方向に対して、略垂直な方向となる。なお、ここでは、回転部800の回転方向を主面310A上で時計回りとした。しかしながら、回転部800の回転方向は、印刷装置1000の配線(不図示)の絡まりや配管(不図示)等のねじれを考慮し、適宜変更可能である。
次に、スキージ400を、マスク300の端面側に交差線αと平行に配置する。
図10は、スキージ400を、交差線αと平行に配置した状態を示す図である。図10(a)は、スキージ400を、交差線αと平行に配置した状態を示す俯瞰図である。図10(b)は、図10(a)の斜視図である。図10(c)は、図10(b)のD−D´切断線における断面図である。なお、図10(a)、(b)では、駆動部500及び制御部600を省略して示している。また、図10(b)では、凹部側開口部321を省略して示している。
図10(a)〜(c)に示されるように、スキージユニットを、図9に示した位置から図10(a)〜(c)に示す位置に移動させる。すなわち、スキージユニットを、交差線αと平行に配置する。その後、保持部700が、スキージ400を主面310Aに対して垂直下方に下降させる。
次に、図11(a)、(b)に示されるように、駆動部500は、スキージ400をY方向に主面310A上で摺動させる。このとき、同時に、スキージ400は、凹部320の底面上を摺動するので、前述した段差近傍の凹部側開口部321上に交差線αに沿って残留していた半田ペースト900が掻き取られる。
図11の動作の後、図12に示されるように、図5、6で説明した主面310Aと凹部320との段差近傍に残留した半田ペースト900が除去された。
最後に、マスク300を、電子基板100上から離す。
図13は、半田ペースト900が印刷された電子基板100を示す図である。図13(a)は、半田ペースト900が印刷された電子基板100を示す俯瞰図である。図13(b)は、図13(a)のA−A´切断線における断面図である。
図13(a)、(b)に示されるように、マスク300を、電子基板100上から離す。これにより、電子基板100上のパッド120、130上に半田ペースト900が印刷される。なお、この後、パッド120、130上の半田ペースト900上に、電子部品200a、200bを実装する。そして、電子基板100をリフロー炉(不図示)で加熱した後、冷却する。これにより、電子基板100のパッド120、130と電子部品200a、200bの電極(不図示)を半田付けすることができる。
なお、この後、図14に示されるように、2枚目の電子基板100aをステージ上に配置し、電子基板100aに半田ペースト900を印刷する動作を行ってもよい。図14を用いて、2枚目の電子基板100aに半田ペースト900を印刷する方法を説明する。
図14は、印刷装置1000が、電子基板100aに半田ペースト900を印刷する方法を説明するための図である。図14(a)は、スキージ400が、−X方向に摺動する動作を説明するための図である。なお、−X方向とは、図14(a)、(b)に示すように、X方向の逆方向である。図14(b)は、スキージ400が、Y方向に摺動する動作を説明するための図である。なお、図14では、駆動部500及び制御部600を省略して示している。
まず、図13の動作の後、2枚目の電子基板100aをステージ上に配置する。その後、図14(a)に示されるように、制御部600が回転部800の回転を制御することにより、スキージ400の摺動方向を−X方向に設定する制御をする。そして、スキージユニットを主面310A上の端部(図中右側)に移動させる。そして、図14(a)に示されるように、駆動部500が、スキージ400を−X方向に主面310A上で摺動させる。
次に、図14(b)に示されるように、図14(a)の動作の後、前述したように、制御部600が回転部800の回転を制御することにより、スキージ400の摺動方向を、−X方向に平行でないY方向に設定する制御をする。そして、スキージユニットを主面310A上の端部(図中下側)に移動させる。そして、図14(b)に示されるように、駆動部500が、スキージ400をY方向に主面310A上で摺動させる。これにより、2枚目の電子基板100aに半田ペースト900を印刷することができる。
次に、図15を用いて、印刷装置1000を構成するマスク300の変形例であるマスク300Xについて説明する。図15は、マスク300Xの俯瞰図である。
前述したように、マスク300の主面310Aのうち、交差線が形成する領域は、矩形状であった。これに対して、図15に示されるように、マスク300Xにおいて、主面310Aのうち、交差線P、Q、Rが形成する領域は、六角形状である。これは、凹部側開口部321が、六角形状に形成されているためである。なお、図15では、説明の便宜上、凹部側開口部321を省略して示している。なお、凹部側開口部321は、電子基板上のパッド(不図示)の形状に対応している。
このようなマスク300Xを使用して電子基板100に半田ペースト900を印刷する場合、制御部600は、スキージ400の摺動方向を、凹部320と主面310Aが交差する交差線P、Q、Rのうち、少なくとも異なる2つの交差線(例えば、PとQ)に沿う方向(ここでは、S、T方向)に制御する。また、制御部600は、スキージ400の摺動方向を、凹部320と主面310Aが交差する交差線P、Q、Rにそれぞれ沿う方向であるS、T、U方向に制御してもよい。なお、ここでは、マスク300Xにおいて、主面310Aのうち、交差線が形成する領域は、六角形状である例を示したが、例えば、平行四辺形状や五角形状や円状であってもよい。
次に、図16及び図17を用いて、印刷装置1000の変形例である印刷装置1000Aについて説明する。
まず、図16を用いて、印刷装置1000Aの構成について説明する。図16は、本発明の第1の実施の形態における印刷装置1000の変形例を示す図である。図16(a)は、印刷装置1000Aの構成を示す俯瞰図である。図16(b)は、印刷装置1000Aの構成を説明するためのブロック図である。なお、図16(a)では、昇降部710は、省略して示している。
図16(a)、(b)に示されるように、印刷装置1000Aは、マスク300とスキージ400A、400Bと駆動部500Aと制御部600Aと回転部800Aとを有している。なお、スキージ400Aは、本発明の第1のスキージに相当し、スキージ400Bは、本発明の第2のスキージに相当する。
ここで、図3と図16とを対比する。図3では、印刷装置1000は、スキージ400を有していたが、図16では、印刷装置1000Aは、スキージ400A、400Bを有する点で、図3に示される印刷装置1000と互いに相違する。以下の説明では、図1〜15で示した構成と同等の構成については、説明を省略する。
図16(a)、(b)に示されるように、印刷装置1000Aは、スキージ400A、400Bを有する。スキージ400A、400Bは、互いに異なる方向に摺動できるように構成される。
また、駆動部500Aは、スキージ400A及び400Bを、所定の方向に主面310A上で摺動させる。なお、ここでは、駆動部500Aは、スキージ400A及びスキージ400Bを共に所定の方向に移動させる例を示している。しかしながら、駆動部500Aは、スキージ400A、400Bをそれぞれ個別に、所定の方向に主面310A上で摺動させてもよい。
また、制御部600Aは、スキージ400A及び400Bの各々の摺動方向を、凹部320と主面310Aが交差する交差線のうち、少なくとも異なる2つの交差線に沿う方向に制御する。なお、ここでは、制御部600Aは、スキージ400A、400Bの摺動方向を共に制御する例を示している。しかしながら、制御部600Aは、スキージ400A及び400Bの摺動方向をそれぞれ個別に制御してもよい。また、鵜制御部600Aは、後述する昇降部710を制御する。
図16(a)、(b)に示されるように、保持部700Aは、昇降部710とスキージ用支持部材720A、720Bを有する。昇降部710は、制御部600Aにより制御される。昇降部710は、スキージ用支持部材720A、720Bを、主面310Aに対して略垂直方向にそれぞれ昇降させることにより、スキージ400A、400Bをそれぞれ昇降させる。
図16(a)、(b)に示されるように、スキージ用支持部材720A、720Bは、保持部本体700Aとスキージ400A、400Bに接続されている。スキージ用支持部材720A、720Bは、保持部700Aとスキージ400A及び400Bとを連結する。
次に、図17を用いて、印刷装置1000Aが、電子基板100に半田ペースト900を印刷する方法について説明する。図17は、本発明の第1の実施の形態における印刷装置1000の変形例である印刷装置1000Aが、電子基板100に半田ペースト900を印刷する方法を説明するための図である。図17(a)は、駆動部500Aが、スキージ400AをX方向に主面310A上で摺動させる動作を説明するための図である。図17(b)は、駆動部500Aが、スキージ400BをY方向に主面310A上で摺動させる動作を説明するための図である。なお、図17(a)、(b)では、昇降部710は省略して示している。
図4〜13に示したように、印刷装置1000では、スキージ400が、主面310A上をX方向に摺動した後に、Y方向に摺動する。
一方、印刷装置1000Aでは、スキージ400Aが、主面310A上をX方向に摺動し、スキージ400Bが、主面310A上をY方向に摺動する。
まず、図17(a)に示されるように、スキージ400Aを、主面310A上に配置する。このとき、制御部600Aは、スキージ400Aの摺動方向をX方向に設定する制御をする。また、このとき、昇降部710は、スキージ400Bを主面310Aに対して略垂直上方に上昇させる。これにより、図17(a)に示されるように、スキージ400Bは、主面310Aに接触しないように配置される。なお、図17(a)は、図4(c)に対応する。
次に、駆動部500Aが、スキージ400Aを、主面310A上でX方向に摺動させる。このとき、スキージ400Aは、凹部側開口部321及び主面側開口部330に半田ペースト900を充填する。また、このとき、図5、6で説明した場合と同様に、主面310Aと凹部320との段差近傍の凹部側開口部321上には、半田ペースト900が残留する。なお、この動作は、前述した図5〜8の動作に対応する。
次に、制御部600Aが、回転部800の回転を制御する。制御部600Aは、交差線αに沿うX方向と異なる交差線βに沿うY方向にスキージ400Bが摺動するように、スキージ400Bの摺動方向を制御する。なお、この動作は、前述した図8〜9の動作に対応する。
次に、図17(b)に示されるように、スキージ400Bを、マスク300の端面側に交差線αと平行に配置する。このとき、図17(b)に示されるように、昇降部710は、スキージ400Aを主面310Aに対して略垂直上方に上昇させる。これにより、図17(b)に示されるように、スキージ400Aは、主面310Aに接触しないように配置される。一方、図17(b)に示されるように、昇降部710は、スキージ400Bを主面310Aに対して略垂直下方に下降させる。これにより、図17(b)に示されるように、スキージ400Bは、主面310Aに接触するように配置される。なお、図17(b)は、図10(c)に対応する。
次に、駆動部500Aが、スキージ400Bを、主面310A上でY方向に摺動させる。このとき、スキージ400Bは、主面310A上及び凹部320内を摺動することにより、凹部320内に残留する半田ペースト900を掻き取る。なお、この動作は、前述した図11の動作に対応する。
以降、前述した印刷装置1000と同様の動作を行う。
以上の通り、本発明の第1の実施の形態における印刷装置1000は、開口部(凹部側開口部321、主面側開口部330)を有するマスク300上でスキージ400を摺動させることにより、半田ペースト900を凹部側開口部321、主面側開口部330に充填する。マスク300は、マスク側基材310と、凹部320と、凹部側開口部321と、主面側開口部330とを備えている。マスク側基材310は、一対の主面310A、310Bが互いに向かい合っている。凹部320は、マスク側基材310の主面310A側に凹状に形成されている。凹部側開口部321は、凹部320の内側にマスク側基材310の厚み方向に貫通するように形成されている。主面側開口部330は、主面310Aのうち、凹部320の外側にマスク側基材310の厚み方向に貫通するように形成されている。駆動部500は、スキージ400を所定の方向に主面310A上で摺動させる。制御部600は、スキージ400の摺動方向を、凹部320と主面310Aが交差する交差線のうち、少なくとも異なる2つの交差線に沿う方向に制御する。
このように、本発明の第1の実施の形態における印刷装置1000では、スキージ400が、主面310A上を摺動することにより、半田ペースト900を凹部側開口部321に充填する。このとき、同時に、スキージ400は、凹部320内で撓み、凹部320の底面上を摺動するので、凹部320内に流し込まれた半田ペースト900が掻き取られるが、スキージ400が凹部320内で撓むため、主面310Aと凹部320との段差近傍に半田ペースト900が残留する。しかしながら、制御部600が、スキージの摺動方向を、凹部320と主面310Aが交差する交差線のうち、少なくとも異なる2つの交差線に沿う方向に制御する。このとき、スキージ400は、前述したように、凹部320の底面上を摺動するので、主面310Aと凹部320との段差近傍に残留する半田ペースト900は、スキージ400により掻き取られる。
ここで、図25、26を用いて、関連技術の第1及び第2の印刷方法について説明する。
まず、図25を用いて、関連技術の第1の印刷方法について説明する。図25は、関連技術の第1の印刷方法について説明するための図である。図25(a)は、関連技術の電子基板100上に配置されたマスク300の凹部側開口部321内に半田ペースト900が流し込まれている状態を示す断面図である。図25(b)は、マスク300を電子基板100から離した状態を示す断面図である。
図25(a)に示されるように、関連技術の第1の印刷方法では、主面310Aと凹部320との段差近傍に半田ペースト900が残留している。図25(a)に示されるように、マスク300の凹部320の底面から主面310Bまでの厚みに対して、凹部側開口部321の開口の幅が小さい。
このとき、主面310Aと凹部320との段差近傍に半田ペースト900が残留していると、図25(b)に示されるように、マスク300を電子基板100から離した際、凹部側開口部321に半田ペースト900が残り、パッド120への半田ペースト900の印刷量が不足する。なぜなら、半田ペースト900が電子基板100のパッド120に接着している力より、マスク300の壁面のせん断応力(ずり応力)が大きくなるからである。
次に、図26を用いて、関連技術の第2の印刷方法について説明する。図26は、関連技術の第2の印刷方法について説明するための図である。図26(a)は、関連技術の電子基板100上に配置されたマスク300の凹部側開口部321内に半田ペースト900が流し込まれている状態を示す断面図である。図26(b)は、マスク300を電子基板100から離した状態を示す断面図である。
図26(a)では、マスク300の凹部320の底面から主面310Bまでの厚みに対して、凹部側開口部321の開口の幅が十分に大きい。このとき、主面310Aと凹部320との段差近傍に半田ペースト900が残留していると、図26(b)に示されるように、マスク300を電子基板100から離した際、凹部側開口部321上に残留していた半田ペースト900も、パッド120上に印刷される。従って、パッド120への半田ペースト900の印刷量が過多となる。
これに対して、本発明の第1の実施の形態における印刷装置1000は、制御部600が、スキージ400の摺動方向を、凹部320と主面310Aが交差する交差線のうち、少なくとも異なる2つの交差線に沿う方向に制御する。これにより、スキージ400は、交差線に沿う方向に主面310A上を摺動するので、交差線に沿う方向に沿って、マスク300と凹部320の段差近傍に残る半田ペースト900を除去することができる。従って、マスク300と凹部320の段差近傍に残る半田ペースト900を効果的に除去することができる。この結果、電子基板100のパッド120、130上に適切な量の半田ペースト900を印刷することができる。
また、本発明の第1の実施の形態における印刷装置1000において、主面310Aのうち、交差線が形成する領域は矩形状であり、制御部600は、第1の方向に対して、略垂直な方向である第2の方向にスキージ400が摺動するように、スキージ400の摺動方向を制御する。これにより、少ない摺動回数で、マスク300と凹部320の段差近傍に残る半田ペースト900をより効果的に除去することができる。その結果、電子基板100のパッド120、130上に適切な量の半田ペースト900を印刷することができる。
また、本発明の第1の実施の形態における印刷装置1000は、スキージ400を、マスク300の主面310Aに対して略垂直な軸を中心軸にして回転させる回転部800を有し、制御部600は、回転部800の回転を制御することにより、スキージ400の摺動方向を制御する。これにより、スキージ400の摺動方向を自在に変更することができる。従って、スキージ400は、主面310A上を様々な方向で自在に摺動することができる。このとき、スキージ400は、凹部320の底面上を摺動するので、主面310Aと凹部320との段差近傍に残留する半田ペースト900は、スキージ400により掻き取られる。この結果、マスク300と凹部320の段差近傍に残る半田ペースト900をより効果的に除去することができるので、電子基板100のパッド120、130上に適切な量の半田ペースト900を印刷することができる。
また、本発明の第1の実施の形態における印刷方法は、開口部(凹部側開口部321、主面側開口部330)を有するマスク300上でスキージ400を摺動させ、半田ペースト900を凹部側開口部321及び主面側開口部330に充填することにより、半田ペースト900を電子基板100に印刷する印刷方法であって、マスク配置ステップと、摺動ステップと、制御ステップと、を含む。マスク300は、マスク側基材310と、マスク側基材310の主面310A側に凹状に形成された凹部320と、凹部320の内側にマスク側基材310の厚み方向に貫通するように形成された凹部側開口部321と、主面310Aのうち、凹部320の外側にマスク側基材310の厚み方向に貫通するように形成された主面側開口部330と、を備える。マスク配置ステップは、電子基板100上にマスク300を配置する。摺動ステップは、スキージ400を、所定の方向に主面310A上で摺動させる。制御ステップは、スキージ400の摺動方向を、凹部320と主面310Aが交差する交差線のうち、少なくとも異なる2つの交差線に沿う方向に制御する。
この印刷方法は、上述した印刷装置1000の装置の発明を方法の発明としたものであるから、上述した印刷装置1000と同様の作用効果を奏する。
また、本発明の第1の実施の形態における印刷方法において、主面310Aのうち、交差線が形成する領域は矩形状であり、制御ステップでは、第1の方向に対して、略垂直な方向である第2の方向にスキージ400が摺動するように、スキージ400の摺動方向を制御する。この印刷方法は、上述した印刷装置1000の装置の発明に対応する方法の発明であるから、上述した印刷装置1000と同様の作用効果を奏する。
また、本発明の第1の実施の形態における印刷装置1000の変形例である印刷装置1000Aにおいて、スキージは、スキージ400Aと400Bとであって、互いに異なる方向に摺動できるように構成される。従って、凹部側開口部321及び主面側開口部330に半田ペースト900を充填するスキージ400Aと、凹部320の底面上に残留する半田ペースト900を掻き取るスキージ400Bとが独立している。これにより、スキージ400Bは、スキージ400Aよりも半田ペースト900が付着する量が少なくなる。その結果、スキージ400BがY方向に摺動する際、余分な半田ペースト900が凹部側開口部321上に落下することを防止できる。そのため、電子基板100上のパッド120に、適切な量の半田ペースト900を印刷することができる。
また、印刷装置1000Aにおける印刷方法は、開口部(凹部側開口部321、主面側開口部330)を有するマスク300上でスキージ400A及び400Bを摺動させ、半田ペースト900を凹部側開口部321及び主面側開口部330に充填することにより、半田ペースト900を電子基板100に印刷する印刷方法であって、マスク配置ステップと、摺動ステップと、制御ステップと、を含む。マスク300は、マスク側基材310と、マスク側基材310の主面310A側に凹状に形成された凹部320と、凹部320の内側にマスク側基材310の厚み方向に貫通するように形成された凹部側開口部321と、主面310Aのうち、凹部320の外側にマスク側基材310の厚み方向に貫通するように形成された主面側開口部330と、を備える。マスク配置ステップは、電子基板100上にマスク300を配置する。摺動ステップは、スキージ400A及び400Bを、所定の方向に主面310A上で摺動させる。制御ステップは、スキージ400A及び400Bの各々の摺動方向を、凹部320と主面310Aが交差する交差線のうち、少なくとも異なる2つの交差線に沿う方向に制御する。
この印刷方法は、上述した印刷装置1000Aの装置の発明を方法の発明としたものであるから、上述した印刷装置1000Aと同様の作用効果を奏する。
また、印刷装置1000Aにおける印刷方法において、主面310Aのうち、交差線が形成する領域は矩形状であり、制御ステップでは、第1の方向に対して、略垂直な方向である第2の方向にスキージ400Bが摺動するように、スキージ400Bの摺動方向を制御する。この印刷方法は、上述した印刷装置1000Aの装置の発明に対応する方法の発明であるから、上述した印刷装置1000Aと同様の作用効果を奏する。
<第2の実施の形態>
図18を用いて、本発明の第2の実施の形態における印刷装置1000aの詳細な構成を説明する。図18は、本発明の第2の実施の形態における印刷装置1000aの構成を示す図である。図18(a)は、印刷装置1000aの俯瞰図である。図18(b)は、図18(a)のC−C´切断線における断面図である。なお、図18(a)では、制御部600を省略して示している。
なお、図18では、図1〜17で示した各構成要素と同等の構成要素には、図1〜17に示した符号と同等の符号を付している。なお、図18の図中X、Y方向は、スキージ400が摺動する方向に対応する。
図18(a)、(b)に示されるように、印刷装置1000aは、マスク300と、スキージ400と、駆動部500と、制御部600と、保持部700と、回転部800aと、ガイドレール1100とを有する。
ここで、図3と図18とを対比する。図18では、スキージ400が摺動する方向に沿って延在し、スキージ400を所定の方向に摺動できるように案内するガイドレール1100を更に有し、回転部800aは、ガイドレール1100を回転させることにより、スキージ400を、マスク300の主面310Aに対して略垂直な軸を中心軸にして回転させる点で、図3に示される印刷装置1000と互いに相違する。以下の説明では、図1〜17で示した構成と同等の構成については、説明を省略する。
図18(a)、(b)に示されるように、印刷装置1000aは、ガイドレール1100を更に有する。ガイドレール1100は、駆動部500と回転部800aに接続されている。ガイドレール1100は、スキージ400が摺動する方向(図中X方向)に沿って延在し、スキージ400を所定の方向に摺動できるように案内する。ガイドレール1100は、ガイドレール側保持部1110を有している。ガイドレール側保持部1110は、回転部800aの回転軸810を保持し、ガイドレール1100と回転部800aを連結する。
なお、図18(b)に示されるように、駆動部500は、ガイドレール1100に接続されている。また、駆動部500は、ガイドレール1100によって案内され、スキージ400を所定の方向に摺動させる。
なお、図18(b)に示されるように、保持部700は、駆動部500とスキージ400とを連結する。
図18(a)、(b)に示されるように、回転部800aは、回転軸810を回転させることにより、ガイドレール1100を、マスク300の主面310Aに対して略垂直な軸である(図中CL1)を中心軸にして回転させる。この結果、スキージ400は、マスク300の主面310Aに対して略垂直な軸である(図中CL1)を中心軸にして回転する。なお、回転軸810は、マスク300の主面310Aに対して略垂直な軸CL1に対応している。なお、回転部800aのより詳細な動作については、後述する。
次に、図18〜20を用いて、印刷装置1000aが、電子基板100に半田ペースト900を印刷する方法を説明する。なお、前述した印刷装置1000と同様の動作については説明を省略する。
まず、図18(a)、(b)に示されるように、スキージ400をマスク310A上に配置する。なお、この動作は、前述した印刷装置1000の図4(c)の動作に対応する。
次に、駆動部500が、ガイドレール1100に沿って、スキージ400をX方向に主面310A上で摺動させる。
この動作の後、図19に示されるように、スキージ400は、主面310A上の端部(図中右側)に移動された。
次に、制御部600が、スキージ400の摺動方向をY方向に設定する制御をする。
図19、20は、制御部600がスキージ400の摺動方向を制御する動作を説明するための図である。図19(a)は、制御部600がスキージ400の摺動方向をY方向に設定する制御をする前の状態を示す俯瞰図である。図19(b)は、図19(a)の斜視図である。図20(a)は、制御部600がスキージ400の摺動方向をY方向に設定する制御をした後の状態を示す俯瞰図である。図20(b)は、図20(a)の斜視図である。なお、図19、20では、制御部600を省略して示している。
図19、20に示されるように、回転部800aは、制御部600の制御を受け、ガイドレール1100を、マスク300の主面310Aに対して略垂直な軸(図中CL1)を中心軸にして回転させる。この結果、スキージ400は、マスク300の主面310Aに対して略垂直な軸(図中CL1)を中心軸にして回転する。なお、ここでは、回転部800aは、ガイドレール1100を、主面310A上で時計回りに90度回転させる。これにより、制御部600は、スキージ400の摺動方向をY方向に設定する制御をする。なお、この動作は、前述した印刷装置1000の図8〜10の動作に対応する。
以降、前述した印刷装置1000と同様の動作を行う。なお、前述した印刷装置1000と同様、印刷装置1000aは、2枚目の電子基板100aに半田ペースト900を印刷することができる。このときの動作については、説明を省略する。
このように、本発明の第2の実施の形態における印刷装置1000aは、スキージ400が摺動する方向に沿って延在し、スキージ400を所定の方向に摺動できるように案内するガイドレール1100を有する。また、回転部800aは、ガイドレール1100を回転させることにより、スキージ400を、マスク300の主面310Aに対して略垂直な軸を中心軸にして回転させる。これにより、ガイドレール1100を回転させるだけで、スキージ400の摺動方向及び主面310上において摺動を開始する位置を制御することができる。この結果、スキージ400の摺動方向をより簡単に制御することができる。
<第3の実施の形態>
図21を用いて、本発明の第3の実施の形態における印刷装置1000bの詳細な構成を説明する。図21は、本発明の第3の実施の形態における印刷装置1000bの構成を示す図である。図21(a)は、印刷装置1000bを示す俯瞰図である。図21(b)は、図21(a)のD−D´切断線における断面図である。なお、図21では、図1〜20で示した各構成要素と同等の構成要素には、図1〜20に示した符号と同等の符号を付している。なお、図21の図中X、Y方向は、スキージ400が摺動する方向に対応する。なお、図21では、説明の便宜上、制御部600は省略して示している。
図21に示されるように、印刷装置1000bは、マスク300と、スキージ400と駆動部500と、制御部600と、保持部700と、回転部800と、印刷材料除去部1200とを有する。
ここで、図3と図21とを対比する。図21では、印刷装置1000bは、印刷材料除去部1200を更に有する点で、図3に示される印刷装置1000と互いに相違する。以下の説明では、図1〜20で示した構成と同等の構成については、説明を省略する。
図21(a)、(b)に示されるように、印刷装置1000bは、印刷材料除去部1200を有する。印刷材料除去部1200は、マスク300の主面310A上であって、スキージ400の摺動方向における両端部のうち、少なくとも一方の端部に設けられ、スキージ400に付着する半田ペースト900を除去する。なお、図21(a)、(b)では、印刷材料除去部1200は、マスク300の主面310A上の両端部に設ける例を示している。しかしながら、印刷材料除去部1200は、マスク300の主面310A上の一端部に設けてもよい。
なお、前述したように、スキージ400は、主面310A上をX方向に摺動した後、Y方向に摺動する。このとき、印刷材料除去部1200は、主面310A上で、Y方向に略垂直な方向における端部に、Y方向に略垂直な方向に延在して形成される。また、ここでは、印刷材料除去部1200は、主面310Aに対して垂直な方向に90度の角度Aで形成されている例を示している。しかしながら、印刷材料除去部1200は、上述した角度で形成されている必要はなく、例えば、A=30〜120度の範囲で調整をするなど、適宜変更可能である。
次に、図22を用いて、印刷材料除去部1200が、スキージ400に付着した半田ペースト900を除去する動作について説明する。図22は、本発明の第3の実施の形態における印刷装置1000bを構成する印刷材料除去部1200が、スキージ400に付着した半田ペースト900を除去する動作について説明するための図である。なお、図22(a)は、図10(c)に対応する図である。
図22(a)〜(c)に示されるように、印刷材料除去部1200は、スキージ400に付着した半田ペースト900を除去する。これにより、スキージ400に付着した半田ペースト900が、凹部320内の凹部側開口部321上に落下することを防止できる。また、スキージ400の摺動時の半田ペースト900の量を適量に調節できる。
以上の通り、本発明の第3の実施の形態における印刷装置1000bは、印刷材料除去部1200を有する。印刷材料除去部1200は、マスク300の主面310A上であって、スキージ400の摺動方向における両端部のうち、少なくとも一方の端部に設けられ、スキージ400に付着する半田ペースト900を除去する。これにより、スキージ400に付着した半田ペースト900が、凹部320内の凹部側開口部321上に落下することを防止できるので、余分な半田ペースト900が凹部側開口部321上に残留することを防止できる。その結果、前述した印刷装置1000と同様に、電子基板100上のパッド120に、適切な量の半田ペースト900を印刷することができる。
<第4の実施の形態>
図23を用いて、本発明の第4の実施の形態における印刷装置1000cを構成する抑止部1300の詳細な構成を説明する。図23(a)は、抑止部1300が取り付けられたスキージ400の側面図である。また、図23(a)は、スキージ400を摺動していない際の状態を示している。図23(b)は、図23(a)の正面図である。図23(c)は、スキージ400を摺動する際の状態を示している。なお、図23では、図1〜22で示した各構成要素と同等の構成要素には、図1〜20に示した符号と同等の符号を付している。
図3と図23とを対比する。図23では、スキージ400がマスク300の主面310A上から離れたとき、スキージ400に付着している半田ペースト900が、主面310A上に落下することを抑止する抑止部1300を更に有する点で、図3に示される印刷装置1000と互いに相違する。以下の説明では、図1〜22で示した構成と同等の構成については、説明を省略する。
図23(a)、(b)に示されるように、抑止部1300は、保持部700と接続されている。抑止部1300は、スキージ400がマスク300の主面310A上から離れたとき、スキージ400に付着している半田ペースト900が、主面310A上に落下することを抑止する。また、抑止部1300は、回転軸1310を有している。回転軸1310は、抑止部1300本体と保持部700を連結する。また、図23(c)に示されるように、抑止部1300は、回転軸1310を中心軸にして回転可能である。抑止部1300は、通常、図23(c)に示される状態に維持される。なお、抑止部1300の回転の制御は、制御部600が行う。
次に、図24を用いて、抑止部1300の動作について説明する。図24は、印刷装置1000cを構成する抑止部1300の動作を説明するための図である。なお、図24(a)は、図4(c)に対応し、図24(b)は、図8(a)に対応する。なお、図24の図中X方向は、スキージ400の摺動方向に対応する。
前述した印刷装置1000と同様に、図24に示されるように、スキージ400は、主面310A上をX方向に摺動する。
次に、図24(b)に示されるように、スキージ400のX方向の摺動が終わったとき、保持部700がスキージ400を主面310Aに対して垂直上方に上昇させる。このとき、すなわち、スキージ400がマスク300の主面310A上から離れたとき、抑止部1300は、回転軸1310を回転させ、スキージ400と主面310Aとの間を間仕切る。これにより、スキージ400に付着している半田ペースト900が、主面310A上に落下することを抑止する。なお、抑止部1300は、スキージ400のY方向の摺動のときも同様の動作を行う。
なお、ここでは、前述したスキージが1つである印刷装置1000に、抑止部を更に設けた印刷装置1000cの場合について説明した。しかしながら、抑止部1300は、前述したスキージが2つある印刷装置1000Aに設けられてもよい。この場合、抑止部1300は、スキージ400Aに設けられることが望ましい。なぜなら、スキージ400Aは、凹部側開口部321及び主面側開口部330内に半田ペースト900を充填するため、スキージ400Bよりも多くの半田ペースト900が付着するからである。しかしながら、抑止部1300は、スキージ400Bに設けられてもよく、また、スキージ400A及び400Bの両方に設けられてもよい。
以上の通り、本発明の第4の実施の形態における印刷装置1000cは、抑止部1300を更に有する。抑止部1300は、スキージ400がマスク300の主面310A上から離れたとき、スキージ400に付着している半田ペースト900が、主面310A上に落下することを抑止する。また、スキージ400が主面310A上から離れたとき、半田ペースト900が糸を引き、次のスキージングに影響を及ぼすことを防止することができる。この結果、主面310A上や凹部側開口部321上に余分な半田ペースト900を残留させることがないので、前述した印刷装置1000と同様に、電子基板100上のパッド120に、適切な量の半田ペースト900を印刷することができる。
前記実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のように記載され得るが、以下に限られない。
(付記1)
開口部を有するマスク上でスキージを摺動させることにより、印刷材料を前記開口部に充填する印刷装置において、
前記マスクは、板状の基材と、前記基材の主面側に凹状に形成された凹部と、前記凹部の内側に前記基材の厚み方向に貫通するように形成された凹部側開口部と、前記主面のうち、前記凹部の外側に前記基材の厚み方向に貫通するように形成された主面側開口部とを備え、
前記スキージを所定の方向に前記主面上で摺動させる駆動部と、
前記スキージの摺動方向を、前記凹部と前記主面が交差する交差線のうち、少なくとも異なる2つの交差線に沿う方向に制御する制御部と、を有する印刷装置。
(付記2)
前記主面のうち、前記交差線が形成する領域は、矩形状であり、
前記制御部は、前記第1の方向に対して、略垂直な方向である第2の方向に前記スキージが摺動するように、前記スキージの摺動方向を制御する付記1に記載の印刷装置。
(付記3)
前記スキージを、前記マスクの前記主面に対して略垂直な軸を中心軸にして回転させる回転部を有し、
前記制御部は、前記回転部の回転を制御することにより、前記スキージの摺動方向を制御する付記1又は2に記載の印刷装置。
(付記4)
前記スキージが摺動する方向に沿って延在し、前記スキージを所定の方向に摺動できるように案内するガイドレールを有し、
前記回転部は、前記ガイドレールを回転させることにより、前記スキージを、前記マスクの前記主面に対して略垂直な軸を中心軸にして回転させる付記3に記載の印刷装置。
(付記5)
前記マスクの前記主面上であって、前記スキージの摺動方向における両端部のうち、少なくとも一方の端部に設けられ、前記スキージに付着する前記印刷材料を除去する印刷材料除去部を有する付記1から4のいずれか1項に記載の印刷装置。
(付記6)
前記スキージが前記マスクの前記主面上から離れたとき、前記スキージに付着している前記印刷材料が、前記主面上に落下することを抑止する抑止部を有する付記1から5のいずれか1項に記載の印刷装置。
(付記7)
前記スキージは、第1のスキージと第2のスキージとであって、互いに異なる方向に摺動できるように構成される付記1から6のいずれか1項に記載の印刷装置。
(付記8)
開口部を有するマスク上でスキージを摺動させ、印刷材料を前記開口部に充填することにより、印刷材料を被印刷媒体に印刷する印刷方法において、
前記マスクは、板状の基材と、前記基材の主面側に凹状に形成された凹部と、前記凹部の内側に前記基材の厚み方向に貫通するように形成された凹部側開口部と、前記主面のうち、前記凹部の外側に前記基材の厚み方向に貫通するように形成された主面側開口部と、を備え、
前記被印刷媒体上に前記マスクを配置するマスク配置ステップと、
前記スキージを、所定の方向に前記主面上で摺動させる摺動ステップと、
前記スキージの摺動方向を、前記凹部と前記主面が交差する交差線のうち、少なくとも異なる2つの交差線に沿う方向に制御する制御ステップと、を含む印刷方法。
(付記9)
前記主面のうち、前記交差線が形成する領域は、矩形状であり、
前記制御ステップでは、前記第1の方向に対して、略垂直な方向である第2の方向に前記スキージが摺動するように、前記スキージの摺動方向を制御する付記8に記載の印刷方法。
(付記10)
開口部を有するマスク上で第1及び第2のスキージを摺動させ、印刷材料を前記開口部に充填することにより、印刷材料を被印刷媒体に印刷する印刷方法において、
前記マスクは、板状の基材と、前記基材の主面側に凹状に形成された凹部と、前記凹部の内側に前記基材の厚み方向に貫通するように形成された凹部側開口部と、前記主面のうち、前記凹部の外側に前記基材の厚み方向に貫通するように形成された主面側開口部と、を備え、
前記被印刷媒体上に前記マスクを配置するマスク配置ステップと、
前記第1及び第2のスキージを、所定の方向に前記主面上で摺動させる摺動ステップと、
前記第1及び第2のスキージの各々の摺動方向を、前記凹部と前記主面が交差する交差線のうち、少なくとも異なる2つの交差線に沿う方向に制御する制御ステップと、を含む印刷方法。
(付記11)
前記主面のうち、前記交差線が形成する領域は、矩形状であり、
前記制御ステップでは、前記第1の方向に対して、略垂直な方向である第2の方向に前記第2のスキージが摺動するように、前記第2のスキージの摺動方向を制御する付記10に記載の印刷方法。