JP6331991B2 - クラッチ装置 - Google Patents

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    • F16D13/583Diaphragm-springs, e.g. Belleville
    • F16D13/585Arrangements or details relating to the mounting or support of the diaphragm on the clutch on the clutch cover or the pressure plate

Description

本発明の実施形態は、クラッチ装置に関する。
従来、クラッチを切る操作力を補助するために弾性部材を備えたクラッチ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1のクラッチ装置では、複数の弾性部材によって、操作部のストローク(位置)に応じた補助力の特性が得られている。
特開2013−190036号公報
この種のクラッチ装置では、例えばより簡素に構成できるなど、より不都合の少ない新規な構成のクラッチ装置が得られれば、有意義である。
実施形態のクラッチ装置は、回転中心回りに回転可能に設けられた第一の部材と、前記回転中心回りに回転可能に設けられ、少なくとも、前記回転中心の軸方向に前記第一の部材に向けて押し付けられて当該第一の部材との間で摩擦によりトルクが伝達される伝達状態と、前記第一の部材との間でトルクが伝達されない遮断状態と、を切り替え可能に設けられた第二の部材と、前記第二の部材に前記軸方向に力を伝達可能に設けられ、前記第一の部材と前記第二の部材とが前記伝達状態となる第一の位置と、前記第一の部材と前記第二の部材とが前記遮断状態となる第二の位置と、の間で前記軸方向に沿って移動可能に設けられた第三の部材と、前記第一の部材を覆い、前記第一の部材と一体に回転するカバーと、前記第三の部材の前記軸方向の位置の変化に応じて前記軸方向に弾性的に変形し、前記第一の部材と前記第二の部材とを互いに押し付ける方向の弾性力を生じる第一の弾性部材と、前記第一の部材と前記カバーとの間に設けられ、前記第三の部材の前記軸方向の位置の変化に応じて前記軸方向に弾性的に変形し、前記第三の部材が前記第一の位置から前記第二の位置へ向けて移動する場合に、前記第一の弾性部材によって前記第三の部材に与えられる力に抗する弾性力を生じる一つの第二の弾性部材と、前記軸方向の他方側に突出し前記第一の弾性部材と接触する第一の突出部と、前記軸方向の一方側に突出し前記第二の弾性部材と接触する第二の突出部と、を有し、前記第一の弾性部材と前記第二の弾性部材との間に介在し、前記第三の部材の前記軸方向に沿った移動に伴って前記軸方向に沿って移動する第五の部材と、を備え、前記第二の弾性部材は、前記第五の部材と前記第二の部材との間に介在する。よって、例えば、特許文献1のクラッチ装置のような複数の第二の弾性部材が設けられている構成に比べて、クラッチ装置をより簡素に構成できる。また、第五の部材を、第三の部材から第二の部材への力の伝達経路、第一の弾性部材による弾性力の伝達経路、および第二の弾性部材による弾性力の伝達経路として用いることができる。よって、第三の部材、第一の弾性部材、および第二の弾性部材を有する構成が、比較的簡素な構成によって実現されうる。
前記クラッチ装置は、例えば、前記第二の弾性部材が弾性的に変形した第一の姿勢になっている状態では当該第二の弾性部材を前記軸方向に支持し且つ前記第二の弾性部材が弾性的に変形した第二の姿勢になっている状態では当該第二の弾性部材を支持しない第一の支持部と、少なくとも前記第二の弾性部材が前記第二の姿勢になっている状態で当該第二の弾性部材を軸方向に支持する第二の支持部と、を有した第四の部材、を備える。本実施形態のクラッチ装置では、第三の部材の移動に伴う第二の弾性部材の姿勢の変化に応じて、第四の部材が第二の弾性部材を支持する支持部(支持状態、支持位置)が変化する。この支持部の変化により、第三の部材の位置の変化量に対する第二の弾性部材が生じる弾性力の変化量が、変化する。すなわち、本実施形態のクラッチ装置によれば、例えば、第三の部材の位置の変化量に対する第二の弾性部材の弾性力の変化量が第三の部材の位置に応じて変化する特性が、比較的簡素な構成によって得られる。
前記クラッチ装置では、例えば、前記第二の弾性部材は、前記第三の部材の第一の移動区間では第一の姿勢になっており、前記第一の移動区間よりも前記第二の位置に近い第二の移動区間では第二の姿勢になっており、前記第一の移動区間における前記第三の部材の位置の前記軸方向の変化量に対する前記第二の弾性部材の弾性力の変化量が、前記第二の移動区間における前記第三の部材の位置の前記軸方向の変化量に対する前記第二の弾性部材の弾性力の変化量よりも大きい。すなわち、第一の部材と第二の部材とが遮断状態に近い滑り状態(半クラッチ状態)となる第二の移動区間で、第一の部材と第二の部材とが伝達状態となる第一の移動区間よりも第三の部材の位置の軸方向の変化量に対する第二の弾性部材の弾性力の変化量が小さくなる。よって、滑り状態で第三の部材を軸方向に移動させる場合の操作力の変化がより小さくなる。
前記クラッチ装置では、例えば、前記第四の部材は、前記第三の部材と前記第二の部材との間に介在し、前記回転中心回りに回転可能に設けられるとともに前記軸方向に沿って移動可能に設けられ、前記第二の弾性部材は、前記軸方向において前記第四の部材に対して前記第二の部材とは反対側に位置される。よって、第三の部材の移動に伴う第二の弾性部材の姿勢の変化に応じて第四の部材が第二の弾性部材を支持する支持部が変化する構成が、比較的簡素な構成によって実現されうる。
前記クラッチ装置では、例えば、前記第四の部材は、前記第三の部材と前記第二の部材との外側に位置され、前記回転中心回りに回転可能に設けられるとともに前記軸方向に沿って移動可能に設けられ、前記第二の弾性部材は、前記第四の部材の前記第二の部材と同一側に位置される。よって、クラッチ装置として比較的簡素な構成のツインクラッチを実現することができる。
前記クラッチ装置では、例えば、前記第二の弾性部材は、前記回転中心回りの環状に構成された皿ばねである。よって、第二の弾性部材が比較的簡素な構成によって実現されうる。
前記クラッチ装置では、例えば、前記第二の弾性部材は、前記回転中心回りの環状に構成された皿ばね部と、前記皿ばね部から前記回転中心の径方向に沿って延びた板ばね部と、を有する。よって、第二の弾性部材が皿ばね部のみで構成されている場合に比べて、第二の弾性部材の弾性力の設定の自由度が高い。
前記クラッチ装置では、例えば、前記板ばね部は、前記皿ばね部から前記回転中心の径方向に沿って延びた第一の板部と、前記第一の板部から前記回転中心の周方向に沿って延びた第二の板部と、を有する。よって、板ばね部全体が回転中心の径方向に沿って延びた構成に比べて、回転中心の板ばね部の径方向の長さが長くなるのが抑制されうる。
前記クラッチ装置では、例えば、前記第一の支持部は、前記回転中心回りの環状に構成された。よって、例えば、第二の弾性部材がより安定的に支持されうる。
前記クラッチ装置は、例えば、前記遮断状態で、前記第一の弾性部材によって前記第三の部材に与えられる力に抗する弾性力を生じる、前記第二の弾性部材とは異なる第三の弾性部材を備える。よって、例えば、遮断状態で、第三の部材に、第一の弾性部材によって与えられる力に抗する弾性力を与えることができる。このような第三の弾性部材は、特許文献1の先行技術文献2に記載されているストラップ24aとして広く知られているが、その弾性力は、第一および第二の弾性部材の弾性力に比べて小さい。
前記クラッチ装置は、例えば、前記第一の弾性部材と前記第二の弾性部材との間に介在し、前記第三の部材と一体に前記軸方向に移動する第六の部材と、前記第六の部材と前記第二の部材との間に介在し、前記第三の部材が前記第一の位置に位置した状態では、前記第六の部材と前記軸方向に当接し、前記第三の部材が前記第一の位置の前記第二の位置側に位置した状態では、前記第六の部材と前記軸方向に離間する、第七の部材と、を備える。よって、例えば、第一の弾性部材の弾性力を小さくしやすい。
図1は、第1の実施形態のクラッチ装置の断面図である。 図2は、第1の実施形態のクラッチ装置の一部の断面図であって、クラッチ装置が伝達状態の場合での図である。 図3は、第1の実施形態のクラッチ装置の一部の断面図であって、クラッチ装置が滑り状態の場合での図である。 図4は、第1の実施形態のクラッチ装置の一部の断面図であって、クラッチ装置が遮断し始める状態の場合での図である。 図5は、第1の実施形態のクラッチ装置の一部の断面図であって、クラッチ装置が遮断状態の場合での図である。 図6は、第1の実施形態のクラッチ装置の第三の部材の位置と各弾性部材が生じる力との関係が示されたグラフである。 図7は、第2の実施形態のクラッチ装置の断面図である。 図8は、第2の実施形態のクラッチ装置における第二の弾性部材の一部の断面図であって、軸方向からの視線での図である。 図9は、第2の実施形態のクラッチ装置の一部の断面図であって、図8のIX−IX断面に対応した図である。 図10は、図8の矢印Eの視線での第二の弾性部材の板ばね部を示す図である。 図11は、第3の実施形態のクラッチ装置の断面図である。 図12は、第3の実施形態のクラッチ装置の一部の断面図である。 図13は、第4の実施形態のクラッチ装置における第二の弾性部材の一部を軸方向からの視線で示す図である。 図14は、第4の実施形態のクラッチ装置の一部の断面図であって、図13のXIV−XIV断面に対応した図である。 図15は、第5の実施形態のクラッチ装置における第二の弾性部材の一部を軸方向からの視線で示す図である。 図16は、第5の実施形態のクラッチ装置の一部の断面図であって、図15のXVI−XVI断面に対応した図である。 図17は、第6の実施形態のクラッチ装置の断面図である。 図18は、第7の実施形態のクラッチ装置の断面図である。 図19は、第7の実施形態のクラッチ装置の一部の断面図であって、クラッチ装置が伝達状態の場合での図である。 図20は、第7の実施形態のクラッチ装置の一部の断面図であって、クラッチ装置が滑り状態の場合での図である。 図21は、第7の実施形態のクラッチ装置の一部の断面図であって、クラッチ装置が遮断状態の場合での図である。 図22は、第7の実施形態のクラッチ装置の第三の部材の位置と各弾性部材が生じる力との関係が示されたグラフである。 図23は、第8の実施形態のクラッチ装置の断面図である。 図24は、第9の実施形態のクラッチ装置の断面図である。 図25は、第9の実施形態のクラッチ装置の一部の断面図であって、クラッチ装置が伝達状態の場合での図である。 図26は、第9の実施形態のクラッチ装置の一部の断面図であって、クラッチ装置が滑り状態の場合での図である。 図27は、第9の実施形態のクラッチ装置の一部の断面図であって、クラッチ装置が遮断状態の場合での図である。 図28は、第9の実施形態の各弾性部材の弾性力のばらつきについての説明図である。 図29は、第10の実施形態のクラッチ装置の断面図である。
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、あくまで一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
また、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。それら同様の構成要素には共通の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される。また、以下の説明では、特に言及されない限り、軸方向は回転中心Ax(回転軸)の軸方向、径方向は回転中心Axの径方向、周方向は回転中心Axの周方向である。また、各図中、軸方向の他方側は矢印Xで示され、径方向の外側(回転中心Axから遠ざかる側、放射方向)は矢印Rで示される。
[第1の実施形態]
本実施形態のクラッチ装置1は、エンジン(動力装置、不図示)とトランスミッション(変速装置、不図示)との間に位置される。なお、クラッチ装置1は、エンジンとトランスミッションとの間には限られず、他の位置にも設けられうるし、種々の車両(例えば、ハイブリッド自動車)や、回転要素を有した機械等にも設けられうる。
本実施形態では、クラッチ装置1は、一つの回転伝達部2を備えた所謂シングルクラッチである。クラッチ装置1は、ECU(不図示)に制御されたアクチュエータ(不図示)によって、可動部(部材14,23、ベアリング22等)が軸方向に沿って動かされることにより、回転伝達部2で回転(トルク)が伝達される伝達状態と、回転伝達部2での回転の伝達が遮断された遮断状態と、を切り替えることができる。回転伝達部2は、部材10(例えば、フライホイール)と部材12(シャフト100)との間で伝達されるトルクを変化させることができる。部材10は、トルクの入力部材および出力部材のうち一方であり、シャフト100(部材12)は他方である。部材10は、エンジンのクランクシャフト(不図示)に接続(結合、固定)され、シャフト100は、トランスミッションの回転部分に接続(結合、固定)されている。なお、回転伝達部2は、入力トルクに対して出力トルクが減る所謂半クラッチ状態での回転の伝達も可能である。
部材10は、クラッチ装置1の中で、軸方向の一方側(図1では左側)に位置されている。部材10は、回転中心Ax回りに回転可能に設けられている。部材10は、慣性体(はずみ車)として機能する。部材10は、エンジンのクランクシャフト(不図示)に、例えばボルト(不図示)により結合されて支持されている。部材10は、壁部10aを有している。壁部10aは、回転中心Ax回りの円環状に構成されている。壁部10aは、円板状に構成されている。壁部10aは、回転中心Axと交差(略直交)する方向に広がっている。壁部10aは、面10bを有している。面10bは、壁部10aの軸方向の他方側に設けられている。面10bは、部材11と対向する。部材10は、第一の部材の一例である。
部材11(例えば、クラッチカバー)は、クラッチ装置1の中で、軸方向の他方側(図1では右側)に位置されている。部材11は、回転中心Ax回りに回転可能に設けられている。部材11は、回転中心Axを中心として軸方向の他方側に膨らんだドーム状に構成されている。部材11は、部材12〜14および弾性部材15,16を覆っている。部材11は、突出部101に、ベアリング17を介して回転可能に支持されている。突出部101は、トランスミッションのケース(不図示)と接続(結合、固定)されている。突出部101は、回転中心Axを中心とする円筒状に構成されている。また、部材11は、部材10と、結合具18,19(例えばボルト、ナット)によって接続(結合、固定)されている。本実施形態では、部材11の軸方向の一方側の端部が部材10と結合され、部材11の軸方向の他方側の端部がベアリング17を介して突出部101に回転可能に支持されている。ベアリング17は、例えばボールベアリングである。よって、部材11は、部材10と一体に、突出部101に対して回転する。部材11は、カバーの一例である。
部材11は、壁部11a,11bおよび突出部11cを有している。壁部11aは、部材11の径方向の内側(回転中心Ax側、回転中心Axに近づく側)に位置され、円筒状に構成されている。壁部11bは、壁部11aの軸方向の一方側の端部から径方向の外側に向けて伸びている。壁部11bの径方向の外側の端部は、壁部11bの径方向の内側の端部よりも、軸方向の一方側に位置されている。突出部11cは、壁部11bの径方向の外側の端部と径方向の内側の端部との間の位置から、軸方向の一方側に向けて突出している。突出部11cは、例えば、壁部11bが部分的に屈曲された部分として構成されうる。突出部11cは、回転中心Ax回りの環状に構成されている。なお、突出部11cは、周方向に沿って全周に亘って延びている必要は無く、複数の突出部11cが、周方向に間隔をあけて設けられてもよい。
部材12〜14および弾性部材15,16は、クラッチ装置1の中で、部材10と部材11との間に位置されている。部材12(例えば、クラッチディスク、ダンパ装置)は、部材10と部材11との間では、最も軸方向の一方側(部材10に近い側)に位置されている。部材12は、回転中心Ax回りに回転可能に設けられている。部材12は、全体として軸方向に薄い扁平な円盤状に構成されている。部材12(壁部12a)は、部材10,13とともに回転伝達部2を構成している。部材12が部材10と部材13との間に軸方向に挟まれてそれらの間の摩擦力によって部材10,13と一体に回転する状態が、回転伝達部2の伝達状態である。部材12は、第二の部材の一例である。
壁部12aは、部材12の一部を構成する。壁部12aは、部材12のうち径方向の外側に位置されている。壁部12aは、回転中心Ax回りの円環状に構成されている。壁部12aは、円板状に構成されている。壁部12aは、回転中心Axと交差(略直交)する方向に広がっている。
壁部12aの軸方向の一方側の面には、摩擦材12eが結合(固定)されている。壁部12aの軸方向の他方側の面には、摩擦材12fが結合(固定)されている。摩擦材12e,12fは壁部12aに接着や結合具等によって結合されている。摩擦材12e,12fは、回転中心Ax回りの円環状かつ板状に構成されている。なお、摩擦材12e,12fは、環状でなくてもよい。例えば、矩形状の複数の摩擦材12e,12fが、回転中心Ax回りに並べられていてもよい。摩擦材12eと摩擦材12fとは、軸方向に互いに重なっている。摩擦材12eは、壁部12aと部材10(面10b)との間に位置し、摩擦材12fは、壁部12aと部材13(面13b)との間に位置されている。部材12は、部材10と部材13との間に、摩擦材12e,12fを介して挟まれうる。
壁部12b,12cは、部材12の一部を構成する。壁部12b,12cは、壁部12aよりも径方向の内側に位置されている。壁部12b,12cは、少なくとも部分的に互いに軸方向に間隔を空けて位置されている。壁部12bは、壁部12cの軸方向の一方側に位置されている。壁部12b,12cは、回転中心Ax回りの円環状かつ板状に構成されている。壁部12b,12cは、回転中心Axと交差(略直交)する方向に広がっている。壁部12b,12cは、互いに略平行である。壁部12bの径方向の外側の端部は、壁部12aの径方向の内側の端部に接続(結合、固定)されている。壁部12b,12cには、それぞれ、開口部12i,12jが設けられている。開口部12i,12jは、壁部12b,12cを軸方向に貫通した貫通孔である。開口部12i,12jは、軸方向に互いに重なっている。壁部12a〜12cは、回転中心Ax回りに、一体に回転する。
壁部12dは、部材12の一部を構成する。壁部12dは、壁部12bと壁部12cとの間に位置されている。壁部12dは、回転中心Ax回りの円環状かつ板状に構成されている。壁部12dは、回転中心Axと交差(略直交)する方向に広がっている。壁部12dは、壁部12b,12cと回転中心Ax回りに相対的に回転可能に設けられている。ただし、壁部12dと壁部12b,12cとの相対的な回転は、例えば、不図示のストッパ同士が当接するなどにより、所定の角度範囲内に限定されている。壁部12dには、開口部12kが設けられている。開口部12kは、壁部12dの径方向の外側の端部で径方向の外側に向けて開放された切欠部である。また、開口部12kは、壁部12dを軸方向に貫通している。開口部12i,12j,12kは、軸方向に互いに重なっている。
筒部12g(例えば、スリーブ)は、部材12の一部を構成する。筒部12gは、壁部12b〜12dよりも径方向の内側に位置されている。筒部12gは、回転中心Ax回りに回転可能に設けられている。筒部12gは、回転中心Ax回りの円筒状(円管状)に構成されている。筒部12gの筒内部には、シャフト100が挿入されている。筒部12gは、壁部12dおよびシャフト100と、周方向に引っ掛かっている。よって、筒部12gは、壁部12dおよびシャフト100と一体に回転する。また、筒部12gは、壁部12b,12cを、回転中心Ax回りに回転可能に支持している。すなわち、筒部12gは、壁部12b,12cの軸受部としても機能している。
弾性部材12hは、部材12の一部を構成する。弾性部材12hは、壁部12b,12cと壁部12dとの間に介在している。弾性部材12hは、壁部12b,12cと壁部12dとの間でトルクを伝達する。弾性部材12hは、周方向に沿って縮む(弾性的に変形する、伸縮する)圧縮ばねとして機能する。弾性部材12hは、コイルスプリングである。弾性部材12hは、開口部12i,12jおよび開口部12kに収容されている。弾性部材12hを収容した開口部12i,12jおよび開口部12kは、軸方向で互いに重なっている。弾性部材12hは、壁部12b,12cと壁部12dとの相対回転に応じて、部材12の周方向に伸縮する。弾性部材12hは、弾性的に縮むことによりトルクを圧縮力として蓄え、弾性的に伸びることにより圧縮力をトルクとして放出する。すなわち、弾性部材12hは、壁部12b,12cと壁部12dとの間のトルク変動を緩和することができる。また、本実施形態では、開口部12i,12jおよび開口部12kには、シート部材24(リテーナ、保護部材)も収容されている。シート部材24は、開口部12i,12j,12kの縁部と、弾性部材12hと、の間に介在する。シート部材24は、弾性部材12hをより所期の姿勢に保持することができる。また、シート部材24は、壁部12b,12c,12dとの摩擦で弾性部材12hが摩耗するのを抑制することができる。
部材13(例えば、プレッシャプレート)は、部材12(の壁部12a)の部材10とは反対側に位置されている。部材13は、回転中心Ax回りに回転可能に設けられている。部材13は、壁部13aを有している。壁部13aは、回転中心Ax回りの円環状かつ板状に構成されている。壁部13aは、回転中心Axと交差(略直交)する方向に広がっている。壁部13aは、面13b,13cを有している。面13bは、壁部13aの軸方向の一方側に位置され、面13cは、壁部13aの軸方向の他方側に位置されている。部材13は、第四の部材の一例である。
面13cは、突出部13e,13fを有する。突出部13e,13fは、それぞれ、回転中心Ax回りの環状に構成されている。突出部13fは、突出部13eよりも径方向の内側に位置されている。突出部13e,13fは、面13cにおいて径方向の外側の端部(縁部)と径方向の内側の端部(縁部)との間に位置されている。突出部13e,13fは、弾性部材16(軸方向の他方側)に向けて突出している。突出部13fが第一の支持部の一例であり、突出部13eが第二の支持部の一例である。
部材13と部材11とは、弾性部材20(ストラップ、弾性部)を介して接続(結合)されている。弾性部材20は、弾性部材16とは異なるものである。本実施形態では、例えば、部材13の径方向の外側の端部に、周方向に間隔をあけて、複数(例えば三つ)の弾性部材20が設けられている。弾性部材20は、例えば、部材13の径方向の外側の端部よりも径方向の外側で周方向に延びるとともに、部材13から軸方向の他方側に向けて延びている。弾性部材20と部材13とは、結合具(例えばリベット等、不図示)や溶接等によって接続(結合)されている。また、弾性部材20と部材11の壁部11bとは、結合具21(例えばリベット等)を介して接続(結合、固定)されている。なお、図1には、複数の弾性部材20のうちの一つが示されている。弾性部材20は、部材13(壁部13a)の軸方向の移動に伴って弾性的に変形する。すなわち、弾性部材20は、部材13の軸方向の位置に応じた弾性力を、部材13に与える。なお、弾性部材20は、部材13の一部として(部材13と一体に)構成されてもよい。弾性部材20は、第三の弾性部材の一例である。
部材14(レリーズプレート)は、弾性部材16の部材13とは反対側に位置されている。部材14は、弾性部材16と弾性部材15との間に介在している。部材14は、回転中心Ax回りに回転可能に設けられている。部材14は、回転中心Ax回りの円状かつ板状に構成されている。部材14は、筒部14aと壁部14bとを有している。筒部14aは、部材14のうち径方向の内側に位置されている。筒部14aは、回転中心Ax回りの円筒状に構成されている。筒部14aは、シャフト100を径方向の外側から覆っている。壁部14bは、筒部14aから径方向の外側へ延びている。壁部14bは、比較的扁平な円錐状に構成されている。壁部14bは、面14c,14dを有している。面14cは、壁部14bの軸方向の一方側の面である。面14dは、壁部14bの軸方向の他方側の面である。部材14は、第五の部材の一例である。
壁部14bのうち径方向の外側には、突出部14e,14fが設けられている。突出部14fは突出部14eよりも径方向の外側に位置されている。突出部14eは、突出部13fよりも径方向の内側に位置されている。突出部14eは、面14cに設けられ、軸方向の一方側に突出している。突出部14eは、弾性部材16と接触する。突出部14fは、面14dに設けられ、軸方向の他方側に向けて突出している。突出部14fは、弾性部材15と接触する。突出部14eが第二の接触部の一例であり、突出部14fが第一の接触部の一例である。また、壁部14bには、ガイド部14g(支持部)が設けられている。ガイド部14gは、壁部14bから軸方向の一方側に延びている。ガイド部14gは、環状の弾性部材16の径方向の内側に位置されている。ガイド部14gは、回転中心Ax回りの所定の範囲(一部)に設けられている。ガイド部14gは、径方向に移動して当該ガイド部14gに当接した弾性部材16を、径方向に支持する。なお、ガイド部14gは、回転中心Ax回りの環状に設けられていてもよい。
また、部材14は、ベアリング22を介して部材23に回転可能に支持されている。ベアリング22は、ボールベアリングである。部材23は、突出部101に軸方向に移動可能に支持されている。部材23の凹部とフォークの爪部とが嵌り、回り止めされている。すなわち、部材23は、突出部101と同様、回転中心Ax回りに回転することはできない。部材23が突出部101に対して軸方向に移動するのに伴って、ベアリング22および部材14が軸方向に移動する。すなわち、部材14は、軸方向に沿って移動可能である。
クラッチ装置1では、部材10,11,13,14および弾性部材15,16は、回転中心Ax回りに一体に回転する。また、部材12およびシャフト100は、回転中心Ax回りに一体に回転する。回転伝達部2が伝達状態になっている場合、部材12およびシャフト100は、部材10,11,13,14および弾性部材15,16と一体に回転する。回転伝達部2が遮断状態になっている場合、部材12およびシャフト100は、部材10,11,13,14および弾性部材15,16とは独立して回転することができる。摩擦材12e,12fや摺動部材(不図示)を除き、部材10〜14および弾性部材15,16は、いずれも金属材料(例えば、鉄系材料)によって構成されうる。摩擦材12e,12fは、例えば、ガラス繊維材料や合成ゴム等を含有した合成樹脂材料等で構成されうる。
部材23が軸方向の一方側に移動するのに伴って、ベアリング22および部材14は軸方向の一方側に移動する。部材14の軸方向の一方側への移動に伴って、部材13は、弾性部材16を介して軸方向の一方側に押される。部材14,23およびベアリング22がそれらの軸方向の可動範囲のうち最も軸方向の一方側に位置された状態では、部材12の壁部12aが、摩擦材12e,12fを介して部材10と部材13との間に挟まれ、部材10,13と部材12との間で摩擦によりトルク(回転)が伝達される。この状態が、回転伝達部2の伝達状態である。一方、部材23が軸方向の他方側に移動するのに伴って、ベアリング22および部材14は軸方向の他方側に移動する。部材14の軸方向の他方側への移動に伴って、部材13から部材12に作用する軸方向の一方側への力は小さくなる。部材14,23およびベアリング22がそれらの軸方向の可動範囲のうち最も軸方向の他方側に位置された状態では、部材10,13と部材12との間では摩擦によりトルク(回転)は伝達されない。この状態が、回転伝達部2の遮断状態である。また、部材14,23およびベアリング22がそれらの軸方向の可動範囲の中間位置に位置された場合に、部材10,13と部材12との間で摩擦により伝達されるトルク(回転)が減少する状態が得られる。この状態が、回転伝達部2の滑り状態(半クラッチ状態)である。すなわち、部材23は、部材10と部材12との間で摩擦によりトルクが伝達される位置B1(第一の位置、図2)と、部材10と部材12との間でトルクが伝達されない位置B2(第二の位置、図5)と、の間で、軸方向に沿って移動可能に設けられている。部材23が位置B1に位置されたとき、回転伝達部2は伝達状態となり、部材23が位置B2に位置されたとき、回転伝達部2は遮断状態となる。部材23は、操作部材(不図示)を介してアクチュエータに連結されている。部材23は、アクチュエータの操作力(駆動力)を受けて、軸方向に沿って移動する。部材23ひいては操作部材には、部材14とベアリング22とを介して、弾性部材15,16,20の力が伝達される。なお、部材23は、アクチュエータによらず、操作者(運転者)によるクラッチペダルの操作によって移動してもよい。部材23およびベアリング22は、第三の部材の一例である。
弾性部材15は、部材11と、部材14との間に介在している。弾性部材15は、回転中心Ax回りに回転可能に設けられている。弾性部材15は、部材11,14と一体に回転する。弾性部材15は、回転中心Ax回りの円環状かつ板状に構成される。弾性部材15は、例えば皿ばね(コーンスプリング)である。弾性部材15は、部材11の突出部11cおよび部材14の突出部14fに支持されている。突出部11cは、突出部14fより径方向の外側に位置されている。よって、弾性部材15が突出部11cに支持される部分は、弾性部材15が突出部14fに支持される部分よりも、径方向の外側に位置されている。弾性部材15は、部材11(の突出部11c)と部材14(の突出部14f)との軸方向の距離に応じて弾性的に変形する。具体的に、弾性部材15は、図2,3,4,5に示されるように、部材14が軸方向の他方側に向かうにつれて、突出部11cを支点として、弾性部材15の径方向の内側に向かうほど軸方向の他方側へ向かうよう曲げられた姿勢(形状)に変形する。本実施形態では、部材14が軸方向の他方側に位置するほど、弾性部材15が軸方向に弾性的により大きく変形し、弾性部材15が部材11,14へ与える力(弾性力、反力)がより小さくなる。弾性部材15は、第一の弾性部材の一例である。
弾性部材16は、部材13(部材12)と部材14との間に介在している。弾性部材16は、一つだけ設けられている。弾性部材16は、回転中心Ax回りに回転可能に設けられている。弾性部材16は、部材13,14と一体に回転する。弾性部材16は、回転中心Ax回りの円環状かつ板状に構成される。弾性部材16は、例えば皿ばね(コーンスプリング)である。弾性部材16は、面16a,16bを有している。面16aは、弾性部材16の軸方向の一方側の面である。面16aは、部材13の面13cと対向する。面16bは、弾性部材16の軸方向の他方側の面である。面16bは、面14cと対向する。面16bの径方向の内側の部分である作用点16cは、突出部14eと接触している。弾性部材16は、部材13と部材14(の突出部14e)との軸方向の距離に応じて弾性的に変形する。具体的には、弾性部材16は、図5,4,3,2に示されるように、部材14が軸方向の一方側へ向かうにつれて、弾性部材16の径方向の内側に向かうほど軸方向の一方側へ向かう姿勢(形状)に変形する。本実施形態では、部材14が軸方向の一方側に位置するほど、弾性部材16が軸方向に弾性的により大きく変形し、弾性部材16が部材13,14へ与える力(弾性力、反力)がより大きくなる。弾性部材16は、第二の弾性部材の一例である。
ただし、図2〜5を参照すれば明らかとなるように、本実施形態では、弾性部材16の変形状態(変形量、姿勢C1〜C4)に応じて、部材13が弾性部材16を支持する位置、すなわち、部材13による弾性部材16の支持状態が変化する。
図2に示される回転伝達部2の伝達状態では、部材10,13と部材12との間でトルク(回転)が伝達される。図2では、弾性部材16は姿勢C1の状態になっている。姿勢C1は、第一の姿勢の一例である。
図3に示される回転伝達部2の滑り状態では、部材10,13および部材12のうち一方から他方へ伝達されるトルクが減る。すなわち、部材10,13と部材12とは互いに滑りながら回転する。図3では、弾性部材16は姿勢C2の状態になっている。
図4に示される回転伝達部2の遮断状態では、部材10,13と部材12との間でトルク(回転)が伝達されない。図4の状態では、部材10,12と摩擦材12e,12fとが接触し、部材14と弾性部材16とが接触している。図4に示される状態は、遮断状態と滑り状態との境界の状態であり、部材23のストロークにおいて所謂クラッチが切れ始める位置に相当するため、切れ点状態とも称されうる。図4では、弾性部材16は姿勢C3の状態になっている。姿勢C3は、第二の姿勢の一例である。
図5に示される回転伝達部2の遮断状態でも、部材10,13と部材12との間でトルク(回転)が伝達されない。図5の状態では、部材13と摩擦材12fとが互いに離間している。図5に示される状態は、部材23のストロークにおいて所謂クラッチが完全に切れた状態に相当するため、切り上げ状態とも称されうる。図5では、弾性部材16は姿勢C4の状態になっている。
図5,4に示されるように、部材14が軸方向の他方側に位置された状態では、突出部13eが弾性部材16を軸方向に支持するとともに突出部13fは弾性部材16を支持せず、図3に示される状態では、突出部13e,13fが弾性部材16を軸方向に支持し、図2に示される状態では、突出部13fが弾性部材16を軸方向に支持する。すなわち、突出部13eは、姿勢C2〜C4の状態になっている弾性部材16を軸方向に支持し、姿勢C1の状態になっている弾性部材16を支持しない。一方、突出部13fは、姿勢C1,C2の状態の弾性部材16を軸方向に支持し、姿勢C3,C4の状態になっている弾性部材16を支持しない。ここで、図3に示される状態の部材23の位置B4は、部材13による弾性部材16の支持状態が変化する位置(境界)である。すなわち、部材23が位置B4よりも位置B1側に位置された場合、部材13は、突出部13fによって弾性部材16を支持し、部材23が位置B4よりも位置B2側に位置された場合、部材13は、突出部13eによって弾性部材16を支持する。図5,4の状態での弾性部材16に接触する突出部13eと突出部14eとの距離は、図2の状態での弾性部材16に接触する突出部13fと突出部14eとの距離よりも長い。よって、図5,4の状態では、図2の状態に比べて、部材14から受ける軸方向の力に対して弾性部材16がより曲がり易い(変形しやすい、撓みやすい、剛性が低い)。すなわち、図5,4の状態では、図2の状態に比べて、部材14の軸方向の位置の変化量(移動量)に対する弾性部材16の弾性力の変化量が小さい。換言すれば、図2の状態では、図5,4の状態に比べて、部材14の軸方向の位置の変化量(移動量)に対する弾性部材16の弾性力の変化量が大きい。
図6には、部材23の位置に対応した、各弾性部材15,16,20から部材14に作用する力(弾性力、軸方向成分)の大きさが示されている。図6には、部材14に対する弾性部材15による力は線L1で示され、部材14に対する弾性部材16による力は線L2で示され、部材14に対する弾性部材20による力は線L3で示されている。図6の縦軸は、部材14に作用する力(弾性力)を示し、図6の横軸は、軸方向においての部材23の位置を示している。図6の横軸の原点は、回転伝達部2が伝達状態になっている場合の部材23の位置B1(図1,2)であって、部材23に対する操作がなされていない状態での位置である。図6の縦軸では、部材14を部材10に近づける方向(軸方向の一方側)が正(上側)、部材14を部材10から遠ざける方向(軸方向の他方側)が負(下側)である。
図6の線L1に対応する弾性部材15は、部材23の軸方向の位置の変化に応じて軸方向に弾性的に変形し、部材13,14,23に、部材12に近づく方向の力(部材13,14が部材10,12に向けて押される力)を与える。弾性部材15による力の大きさ(絶対値)は、部材23が位置B1(原点)に位置している状態で最大であり、部材23が位置B1から位置B2へ向けて軸方向に移動するにつれて徐々に小さくなる。
図6の線L2に対応する弾性部材16は、部材14,23に、部材12から遠ざかる方向の力(部材13が部材10,12に向けて押される力とは反対側の力)を与える。弾性部材16は、部材23の軸方向の位置の変化に応じて軸方向に弾性的に変形し、部材23が位置B1から位置B2へ向けて移動する場合に、弾性部材15によって部材23に与えられる弾性力に抗する方向の弾性力を生じる。弾性部材16による力の大きさ(絶対値)は、部材23が位置B1(原点)に位置している状態で最大であり、部材23が位置B1から位置B2へ向けて軸方向に移動するにつれて徐々に小さくなる。ただし、弾性部材16が部材13,14,23に与える力の大きさは、弾性部材15が部材13,14,23に与える力の大きさよりも小さい。また、弾性部材16は、部材23が位置B1と切れ点状態の位置B3との間に位置している場合に、部材13,14,23に力を与える。また、弾性部材16は、部材23が位置B2と位置B3との間に位置している場合には、弾性部材20の荷重分が作動し荷重が発生するため、部材13,14,23に力を与える。
弾性部材20は、部材13,14,23に、部材12から遠ざかる方向の力(部材13,14が部材10,12に向けて押される力とは反対側の力)を与える。弾性部材20による力の大きさ(絶対値)は、部材23が位置B1と位置B3との間に位置している場合は一定であり、部材23が位置B3から軸方向の他方側へ移動するにつれて徐々に小さくなる。弾性部材20は、部材10と部材23との間でトルクが伝達されない遮断状態で、弾性部材15によって部材23に与えられる力に抗する弾性力を生じる。この弾性部材20の弾性力は、例えば、図5に示される遮断状態(切り上げ状態)では、部材13と摩擦材12fとを互いに離間させるのに、用いられる。
クラッチ装置1の回転伝達部2は、部材23が操作されない状態では、伝達状態になっており、弾性部材16の生じた力によって、部材12が部材10と部材13との間に挟まれている。そして、クラッチ装置1では、部材23にアクチュエータ等から与えられた力(操作力)により、弾性部材15が生じる力に対抗して部材23が軸方向の他方側(図1の右側)に動かされることで、回転伝達部2は、滑り状態、切れ点状態、および切り上げ状態になる。弾性部材16および弾性部材20は、弾性部材15の生じた力を減殺する力を生じる。すなわち、弾性部材16および弾性部材20は、回転伝達部2を、伝達状態から、滑り状態、切れ点状態、または切り上げ状態に遷移させるために部材23を操作する操作力を小さくするのに資する。クラッチ装置1では、各弾性部材15,16,20は、部材23が位置B1に位置された状態で、部材10と部材12との間で滑りが生じることなくトルクが伝達されるよう、設定される。さらに、弾性部材15,16,20は、弾性部材15が生じた力が弾性部材16,20が生じた力によって減殺され、部材23を操作する力が比較的小さくなるよう、設定される。図6から、弾性部材16,20が、弾性部材15が生じる力と逆方向の力を生じていることが、理解できよう。弾性部材16は、アシストスプリングの一例である。
また、本実施形態では、部材23の位置の軸方向の変化量(単位長さの変位)に対する、弾性部材16の弾性力の変化量(弾性力変化率、図6の線L2の傾き)は、部材13による弾性部材16の支持状態(支持位置)に応じて変化する。例えば、図6に示されるように、部材23の軸方向の変化量に対する弾性部材16の弾性力の変化量は、部材23の移動区間D1と移動区間D2とで異なる。移動区間D1は、位置B1と位置B4との間の部材23の位置B5と、位置B4との間の区間である。位置B4と位置B5との間の長さ(距離)は、位置B3と位置B4との間の長さ(距離)と同じである。移動区間D1では、弾性部材16は、姿勢C1になっている。移動区間D2は、移動区間D1よりも位置B2に近い区間である。具体的に、移動区間D2は、位置B3と位置B4との間の区間である。移動区間D2では、弾性部材16は、姿勢C3になっている。移動区間D1における、部材23の位置の軸方向の変化量に対する弾性部材16の弾性力の変化量が、移動区間D2における、部材23の位置の軸方向の変化量に対する弾性部材16の弾性力の変化量よりも大きい。移動区間D1が第一の移動区間の一例であり、移動区間D2が第二の移動区間の一例である。
以上、説明したとおり、本実施形態では、クラッチ装置1は、第二の弾性部材としての一つの弾性部材16を備える。よって、例えば、複数の第二の弾性部材が設けられている構成に比べて、クラッチ装置1をより簡素に構成できる。また、部材11内の空間を小さくしやすい。また、複数の第二の弾性部材が設けられている構成では、複数の第二の弾性部材における弾性力のばらつきや摺動による損失、へたり等が積み上がることにより、クラッチの操作荷重のばらつきが大きくなり、クラッチの操作荷重が増大するおそれがある。これに対して、本実施形態では、弾性部材16が一つであるので、クラッチの操作荷重のばらつきが抑制されるので、クラッチの操作荷重の増大を抑制することができる。
また、本実施形態では、部材13が、突出部13eと突出部13fとを有する。突出部13fは、弾性部材16が弾性的に変形した姿勢C1になっている状態で当該弾性部材16を軸方向に支持し、且つ弾性部材16が弾性的に変形した姿勢C3になっている状態で当該弾性部材16を支持しない。突出部13eは、姿勢C3になっている弾性部材16を軸方向に支持する。クラッチ装置1では、部材23の移動に伴う弾性部材16の姿勢の変化に応じて、部材13が弾性部材16を支持する支持部(支持状態、支持位置)が変化する。この支持部の変化により、部材23の位置の変化量に対する弾性部材16が生じる弾性力の変化量が、変化する。すなわち、本実施形態によれば、例えば、部材23の位置の変化量に対する弾性部材16の弾性力の変化量が部材23の位置に応じて変化する特性が、比較的簡素な構成によって得られる。なお、本実施形態では突出部13eおよび突出部13fを部材13に配置しているが部材14に配置してもよい。
また、本実施形態では、弾性部材16は、部材23の移動区間D1では姿勢C1になっており、部材23の移動区間D2では姿勢C3になっている。また、部材23の移動区間D1における部材23の位置の軸方向の変化量に対する弾性部材16の弾性力の変化量が、部材23の移動区間D2における部材23の位置の軸方向の変化量に対する弾性部材16の弾性力の変化量よりも大きい。すなわち、部材10と部材12とが遮断状態に近い滑り状態(半クラッチ状態)となる移動区間D2で、部材10と部材12とが伝達状態となる移動区間D1よりも部材23の位置の軸方向の変化量に対する弾性部材16の弾性力の変化量が小さくなる。よって、滑り状態で部材23を軸方向に移動させる場合の操作力の変化がより小さくなり、半クラッチ(中間トルク)の制御がしやすくなる。
また、本実施形態では、部材13は、部材23と部材12との間に介在し、回転中心Ax回りに回転可能に設けられるとともに軸方向に沿って移動可能に設けられている。また、弾性部材16は、軸方向において部材13に対して部材12とは反対側に位置される。よって、部材23の移動に伴う弾性部材16の姿勢の変化に応じて部材13が弾性部材16を支持する支持部が変化する構成が、比較的簡素な構成によって実現されうる。
また、本実施形態では、部材14は、弾性部材15と接触する突出部14fと、弾性部材16と接触する突出部14eと、を有し、弾性部材15と弾性部材16との間に介在している。また、部材14は、部材23の軸方向に沿った移動に伴って軸方向に沿って移動する。また、弾性部材16は、部材14と部材12との間に介在している。よって、部材14を、部材23から部材12への力の伝達経路、弾性部材15による弾性力の伝達経路、および弾性部材16による弾性力の伝達経路として用いることができる。よって、部材23、弾性部材15、および弾性部材16を有する構成が、比較的簡素な構成によって実現されうる。
また、本実施形態では、弾性部材16は、回転中心Ax回りの環状に構成された皿ばねである。よって、弾性部材16が比較的簡素に構成されうる。
また、本実施形態では、突出部13fは、回転中心Ax回りの環状に構成されている。よって、弾性部材16がより安定的に支持されうる。
また、本実施形態では、クラッチ装置1は、例えば、弾性部材16とは異なる弾性部材20を備える。弾性部材20は、部材10と部材23との間でトルクが伝達されない遮断状態で、弾性部材15によって部材23に与えられる力に抗する弾性力を生じる。よって、遮断状態で、部材23に、弾性部材15によって与えられる力に抗する弾性力を与えることができる。
[第2の実施形態]
図7〜10に示される本実施形態のクラッチ装置1Aでは、部材13や弾性部材16等が、第1の実施形態とは異なる。
部材13の面13cには、第1の実施形態と同様に突出部13fが設けられているが、突出部13e(図1参照)は設けられていない。また、面13cには、突出部13dが設けられている。突出部13dは、弾性部材16(軸方向の他方側)に向けて突出している。突出部13fは、突出部13dよりも径方向の内側に設けられている。
弾性部材16は、図8〜図10に示されるように、皿ばね部16gと、板ばね部16hと、を有する。皿ばね部16gは、回転中心Ax回りの円環状に構成されている。板ばね部16hは、皿ばね部16gよりも径方向の外側に設けられている。板ばね部16hは、板部16i,16jおよび接触部16kを有している。板部16iは、皿ばね部16gの径方向の外側の端部から径方向の外側に向けて延びている。板部16jは、板部16iの径方向の外側の端部から皿ばね部16gと離間した状態で周方向に延びている。板部16jの板部16iとは反対側に、接触部16kが設けられている。接触部16kは、部材13の突出部13dと接触する。また、本実施形態では、作用点16cは、皿ばね部16gの径方向の内側の部分である。なお、板部16iが皿ばね部16gの径方向の内側の端部から径方向の内側に向けて延びるとともに、板部16jが板部16iの径方向の内側の端部から皿ばね部16gと離間した状態で周方向に延びていてもよい。板部16iが第一の板部の一例であり、板部16jが第二の板部の一例である。
部材14の突出部14eは、皿ばね部16gの作用点16cと接触している。突出部13fは、皿ばね部16gの軸方向の一方側に位置されている。皿ばね部16gが軸方向の他方側に位置された状態(第二の姿勢、不図示)では、突出部13fは弾性部材16から離間している。部材14から軸方向の一方側に力を受けることにより、弾性部材16が弾性変形し、皿ばね部16gが軸方向の他方側から一方側に移動した場合、図9に示されるように、突出部13fは、皿ばね部16gの径方向の外側の端部と接触する(第一の姿勢)。皿ばね部16gが軸方向の他方側に位置された状態から突出部13fに接触するまでの間、すなわち、皿ばね部16gが突出部13fから離間した状態(第二の姿勢)では、弾性部材16では、主として板ばね部16hが変形する。また、皿ばね部16gが突出部13fに接触した状態(第一の姿勢)では、弾性部材16では、主として皿ばね部16hが変形する。突出部13fが第一の支持部の一例であり、突出部13dが第二の支持部の一例である。
このように、本実施形態では、部材13が、突出部13dと突出部13fとを有する。突出部13fは、弾性部材16が弾性的に変形した第一の姿勢になっている状態で弾性部材16を軸方向に支持し、且つ弾性部材16が弾性的に変形した第二の姿勢になっている状態では、弾性部材16を支持しない。突出部13dは、第一の姿勢および第二の姿勢になっている弾性部材16を軸方向に支持する。よって、本実施形態では、第1の実施形態と同様に、部材23の移動に伴う弾性部材16の姿勢の変化に応じて、部材13が弾性部材16を支持する支持部(支持状態、支持位置)が変化する。この支持部の変化により、部材23の位置の変化量に対する弾性部材16が生じる弾性力の変化量が、変化する。すなわち、本実施形態によれば、例えば、部材23の位置の変化量に対する弾性部材16の弾性力の変化量が部材23の位置に応じて変化する特性が、比較的簡素な構成によって得られる。
また、本実施形態では、弾性部材16は、皿ばね部16gと、板ばね部16hと、を有している。よって、板ばね部16hのスペック(例えば、長さ、厚さ、幅、形状等)の調整により、弾性部材16の曲げ剛性(弾性力)を調整することができる。すなわち、弾性部材16が皿ばね部16gだけによって構成されている場合に比べて、弾性部材16の曲げ剛性(弾性力)の設定の自由度が高い。
また、本実施形態では、板ばね部16hは、皿ばね部16gから径方向(外側または内側)に沿って延びた板部16iと、板部16iから周方向に沿って延びた板部16jと、を有している。よって、板ばね部16hが径方向に沿って延びた構成に比べて、板ばね部16hの径方向の長さが長くなるのが抑制されやすい。
[第3の実施形態]
図11,12に示される本実施形態のクラッチ装置1Bでは、部材30や弾性部材31等を備える点が、第1の実施形態とは異なる。またクラッチ装置1Bは、弾性部材15を備えていない。また、部材11は、壁部11bを有しているが、壁部11a(図1参照)は有していない。
部材30は、弾性部材16の軸方向の他方側に位置されている。弾性部材31は、部材30の軸方向の他方側に位置されている。部材30は、弾性部材16と弾性部材31との間に介在している。
部材30は、壁部30aを有している。壁部30aは、回転中心Ax回りの円環状かつ板状に構成されている。壁部30aは、回転中心Axと交差(略直交)する方向に広がっている。壁部30aには、突出部30b,30cが設けられている。突出部30bは、壁部30aの軸方向の他方側の面に設けられている。突出部30bは、壁部30aの径方向の外側の端部と内側の端部との間に設けられている。突出部30bは、弾性部材31と対向する。突出部30bは、弾性部材31(の皿ばね部31a)と接触する。突出部30cは、壁部30aの軸方向の一方側の面に設けられている。突出部30cは、突出部30bよりも径方向の内側に設けられている。突出部30cは、弾性部材16と対向する。突出部30cは、弾性部材16(の作用点16c)と接触する。また、壁部30aには、ガイド部30d(支持部)が設けられている。ガイド部30dは、壁部30aの径方向の内側の端部から軸方向の一方側に延びている。ガイド部30dは、環状の弾性部材16の径方向の内側に位置されている。ガイド部30dは、回転中心Ax回りの所定の範囲(一部)に設けられている。ガイド部30dは、径方向に移動して当該ガイド部30dに当接した弾性部材16を、径方向に支持する。なお、ガイド部30dは、回転中心Ax回りの環状に設けられていてもよい。
壁部30aの径方向の外側の端部は、支持部13gに結合されている。支持部13gは、部材13の径方向の外側の端部に設けられている。支持部13gは、回転中心Ax回りの円筒状に構成されている。支持部13gは、軸方向の他方側に突出している。壁部30aと支持部13gとは、スプライン構造を介して結合されていてもよい。すなわち、部材30は、部材13と一体に回転するとともに、部材13に軸方向に移動可能に支持されている。
弾性部材31は、ベアリング22と部材30との間に介在している。弾性部材31は、ダイヤフラムスプリングである。弾性部材31は、皿ばね部31aと、複数のレバー部31bと、を有している。皿ばね部31aは、弾性部材31のうち径方向の外側に設けられている。皿ばね部31aは、回転中心Ax回りの円環状かつ板状に構成されている。皿ばね部31aは、回転中心Axと交差する方向に広がっている。レバー部31bは、皿ばね部31aの径方向の内側の端部から径方向の内側へ向けて延びている。複数のレバー部31bは、皿ばね部31aの周方向に沿って並べられている。レバー部31bは、径方向の内側に向かうほど細い三角形状の板状に構成されている。レバー部31bは、回転中心Axと交差する方向に広がっている。また、レバー部31bの径方向の外側の端部と径方向の内側の端部との間の部分が、壁部11bに揺動可能に支持されている。弾性部材31と壁部11bとは、支持部材32(例えば線材)を介して結合されている。
弾性部材31は、部材23の軸方向の移動に応じて軸方向に弾性的に変形する。弾性部材31は、弾性変形に伴う力(弾性力)を、部材30およびベアリング22に与える。弾性部材31は、部材30が壁部13aに近づく方向の力を、部材30に与えるとともに、ベアリング22が部材30から離れる方向の力を、ベアリング22に与える。また、部材30に与えられる弾性部材31の力は、弾性部材16および部材13を介して部材12に伝達される。また、ベアリング22に与えられる弾性部材31の力は、ベアリング22を介して部材23に伝達される。弾性部材31は、第一の弾性部材の一例である。
また、本実施形態では、ベアリング22が、弾性部材31の軸方向の他方側に位置されている。ベアリング22の径方向の外側の端部は、レバー部31bの径方向の内側の端部と接している。ベアリング22の径方向の外側の端部は、レバー部31bの径方向の内側の端部を、軸方向の一方側に押す。ベアリング22の径方向の内側の端部は、部材23に支持されている。部材23は、突出部101を、径方向の外周側から覆っている。部材23は、突出部101に軸方向に移動可能に支持されている。部材23は、アクチュエータ(不図示)の操作力(駆動力)を受けて、軸方向に移動する。ベアリング22および部材23は、軸方向に一体に移動する。よって、アクチュエータが、部材23およびベアリング22を介してレバー部31bおよび皿ばね部31aを動かし、ひいては、部材30を軸方向に動かす。
本実施形態では、部材23がその軸方向の可動範囲において軸方向の他方側の端部(第一の位置)に位置された状態で、部材30を軸方向の一方側に押す弾性部材31の弾性力が最大となり、回転伝達部2が伝達状態となる。一方、部材23がその軸方向の可動範囲において軸方向の一方側の端部(第二の位置)に位置された状態で、弾性部材20により部材12と部材13とが離れて、回転伝達部2が切り上げ状態(遮断状態)となる。すなわち、本実施形態では、回転伝達部2が伝達状態の場合の部材23の位置と、回転伝達部2が切り上げ状態(遮断状態)の場合の部材23の位置とが、第1の実施形態とは逆になっている。弾性部材31は、部材23の軸方向の位置に応じて、弾性変形する。弾性部材31の弾性力の特性は、第1の実施形態の弾性部材15と同様である。また、本実施形態では、部材23の軸方向の移動に伴って弾性部材16の姿勢が変化する。第1の実施形態では、部材23が軸方向の一方側から他方側に移動する過程で、弾性部材16の姿勢が、姿勢C1、姿勢C2、姿勢C3、姿勢C4の順に変化したが、本実施形態では、部材23が軸方向の他方側から一方側に移動する過程で、弾性部材16の姿勢が、姿勢C1、姿勢C2、姿勢C3、姿勢C4の順に変化する。
以上、説明したとおり、本実施形態では、第1の実施形態と同様に、部材13が、突出部13eと突出部13fとを有する。よって、本実施形態では、第1の実施形態と同様に、部材23の移動に伴う弾性部材16の姿勢の変化に応じて、部材13が弾性部材16を支持する支持部(支持状態、支持位置)が変化する。この支持部の変化により、部材23の位置の変化量に対する弾性部材16が生じる弾性力の変化量が、変化する。すなわち、本実施形態によれば、例えば、部材23の位置の変化量に対する弾性部材16の弾性力の変化量が部材23の位置に応じて変化する特性が、比較的簡素な構成によって得られる。
[第4の実施形態]
図13,14に示される本実施形態のクラッチ装置1Cでは、部材13の突出部13dおよび突出部13fと、弾性部材16の板ばね部16hとが、第2の実施形態とは異なる。
部材13の面13cには、図14に示されるように、第2の実施形態と同様に突出部13dと突出部13fとが設けられているが、本実施形態では、突出部13fが、突出部13dよりも径方向の外側に設けられている。
弾性部材16は、図13,14に示されるように、第2の実施形態と同様に、皿ばね部16gと、板ばね部16hと、を有するが、本実施形態では、板ばね部16hが、皿ばね部16gよりも径方向の内側に設けられている。また、板ばね部16hは、板部16iおよび接触部16kを有しているが、本実施形態では、板ばね部16hに板部16j(図8)は設けられていない。また、本実施形態では、板部16iは、皿ばね部16gの径方向の内側の端部から径方向の内側に向けて延びている。板部16iの皿ばね部16gとは反対側に、接触部16kが設けられている。接触部16kは、部材13の突出部13dと接触する。また、本実施形態では、作用点16cは、皿ばね部16gの径方向の外側の部分である。
部材14の突出部14eは、皿ばね部16gの作用点16cと接触している。突出部13fは、皿ばね部16gの軸方向の一方側に位置されている。皿ばね部16gが軸方向の他方側に位置された状態(第二の姿勢、不図示)では、突出部13fは弾性部材16から離間している。部材14から軸方向の一方側に力を受けることにより、弾性部材16が弾性変形し、皿ばね部16gが軸方向の他方側から一方側に移動した場合、図14に示されるように、突出部13fは、皿ばね部16gの径方向の内側の端部と接触する(第一の姿勢)。皿ばね部16gが軸方向の他方側に位置された状態から突出部13fに接触するまでの間、すなわち、皿ばね部16gが突出部13fから離間した状態(第二の姿勢)では、弾性部材16では、主として板ばね部16hが変形する。また、皿ばね部16gが突出部13fに接触した状態(第一の姿勢)では、弾性部材16では、主として皿ばね部16gが変形する。
また、壁部13aには、ガイド部13h(支持部)が設けられている。ガイド部13hは、面13cから軸方向の他方側に延びている。ガイド部13hは、弾性部材16の環状の皿ばね部16gの径方向の内側に位置されている。ガイド部13hは、回転中心Ax回りの所定の範囲(一部)に設けられている。ガイド部13hは、径方向に移動して当該ガイド部13hに当接した弾性部材16を、径方向に支持する。
このように、本実施形態では、部材13が、突出部13dと突出部13fとを有する。突出部13fは、弾性部材16が弾性的に変形した第一の姿勢になっている状態で弾性部材16を軸方向に支持し、且つ弾性部材16が弾性的に変形した第二の姿勢になっている状態では、弾性部材16を支持しない。突出部13dは、第一の姿勢および第二の姿勢になっている弾性部材16を軸方向に支持する。よって、本実施形態では、第2の実施形態と同様に、部材23の移動に伴う弾性部材16の姿勢の変化に応じて、部材13が弾性部材16を支持する支持部(支持状態、支持位置)が変化する。この支持部の変化により、部材23の位置の変化量に対する弾性部材16が生じる弾性力の変化量が、変化する。すなわち、本実施形態によれば、例えば、部材23の位置の変化量に対する弾性部材16の弾性力の変化量が部材23の位置に応じて変化する特性が、比較的簡素な構成によって得られる。
また、本実施形態では、弾性部材16は、皿ばね部16gと、板ばね部16hと、を有している。よって、板ばね部16hのスペック(例えば、長さ、厚さ、幅、形状等)の調整により、弾性部材16の曲げ剛性(弾性力)を調整することができる。すなわち、弾性部材16が皿ばね部16gだけによって構成されている場合に比べて、弾性部材16の曲げ剛性(弾性力)の設定の自由度が高い。
[第5の実施形態]
図15,16に示される本実施形態のクラッチ装置1Dは、部材13の突出部13dおよび突出部13fと、弾性部材16の板ばね部16hとが、第4の実施形態とは異なる。
部材13の面13cには、図16に示されるように、第4の実施形態と同様に突出部13dと突出部13fとが設けられているが、本実施形態では、突出部13fが、突出部13dよりも径方向の内側に設けられている。
弾性部材16は、図15,16に示されるように、第4の実施形態と同様に、皿ばね部16gと、板ばね部16hと、を有するが、本実施形態では、板ばね部16hが、皿ばね部16gよりも径方向の外側に設けられている。また、本実施形態では、板ばね部16hの板部16iは、皿ばね部16gの径方向の外側の端部から径方向の外側に向けて延びている。板部16iの皿ばね部16gとは反対側に、接触部16kが設けられている。接触部16kは、部材13の突出部13dと接触する。また、本実施形態では、作用点16cは、皿ばね部16gの径方向の内側の部分である。
部材14の突出部14eは、皿ばね部16gの作用点16cと接触している。突出部13fは、皿ばね部16gの軸方向の一方側に位置されている。皿ばね部16gが軸方向の他方側に位置された状態(第二の姿勢、図16)では、突出部13fは弾性部材16から離間している。部材14から軸方向の一方側に力を受けることにより、弾性部材16が弾性変形し、皿ばね部16gが軸方向の他方側から一方側に移動した場合、突出部13fは、皿ばね部16gの径方向の外側の端部と接触する(第一の姿勢、不図示)。皿ばね部16gが軸方向の他方側に位置された状態から突出部13fに接触するまでの間、すなわち、皿ばね部16gが突出部13fから離間した状態(第二の姿勢、図16)では、弾性部材16では、主として板ばね部16hが変形する。また、皿ばね部16gが突出部13fに接触した状態(第一の姿勢)では、弾性部材16では、主として皿ばね部16gが変形する。
以上の構成によっても、第4の実施形態と同様の効果が得られる。
[第6の実施形態]
図17に示される本実施形態のクラッチ装置1Eは、二つの回転伝達部210,220を備えた所謂ツインクラッチである。
クラッチ装置1Eでは、図示されないアクチュエータによって、可動部(部材214,224,215,225,216,226や、ベアリング231,232等)が軸方向に沿って動かされることにより、回転伝達部210および回転伝達部220のうち一方で選択的に回転(トルク)が伝達される状態と、回転伝達部210および回転伝達部220の双方での回転の伝達が遮断された状態と、を切り替えることができる。回転伝達部210は、部材201,202とシャフト203との間の回転の伝達状態を変化させることができる。回転伝達部220は、部材201,202とシャフト204との間の回転の伝達状態を変化させることができる。なお、回転伝達部210,220は、それぞれ、入力トルクに対して出力トルクが減る所謂半クラッチ状態での回転の伝達も可能である。
クラッチ装置1Eは、回転伝達部210による回転の伝達および遮断に関わる部品としては、部材201,202,213〜216、シャフト203、およびベアリング231を備える。部材201,202,213〜216およびシャフト203は、いずれも金属材料等で構成されうる。
シャフト203,204は、ケース205(例えばトランスミッションケース)に、軸受部(図示されず)を介して回転可能に支持されている。シャフト203,204は、回転中心Ax回りに回転する。すなわち、シャフト203,204は同心の多重の(本実施形態では、例えば二重の)回転体である。シャフト203,204のうち一方は少なくとも部分的に筒状に構成される。他方は一方の筒状部内に位置される。
ケース205には、突出部251が設けられている(固定されている、結合されている)。突出部251は、シャフト203,204を径方向の外側(外周側)から覆う。突出部251は、壁部252から軸方向の他方側(図17では右側)に向けて筒状(円筒状)に突出している。突出部251は、ケース205の他の部分(例えば、壁部252)と一体成形されうるし、あるいは、他の部分とは別部材として構成され当該他の部分に結合具(ねじ、リベット等、図示されず)等を用いて一体化されうる。ケース205は、筐体の一例である。
部材201(例えば、ドライブプレート、フライホイール)は、回転中心Ax回りに回転可能に設けられる。部材201は、壁部201a,201bを有する。壁部201aは、円板状に構成され、回転中心Axと交差して(略直交して)広がっている。壁部201bは、壁部201aの径方向の外側の端部から軸方向の一方側(図17では左側)に向けて突出し、円筒状に構成されている。部材201は、駆動源(図示されず、例えばエンジン)に支持されている。
部材202(例えば、クラッチカバー)は、回転中心Ax回りに回転可能に設けられる。部材202は、壁部202a,202b,202cを有する。壁部202aは、部材201の壁部201bに接続(結合、固定)されている。壁部202aは、円環状かつ板状に構成され、回転中心Axと交差して(略直交して)広がっている。壁部202bは、壁部202aの壁部201bよりも回転中心Axに近い位置から軸方向の一方側(図17の左側)に向けて突出し、円筒状に構成されている。壁部202cは、壁部202bに接続(結合、固定)されている。壁部202cは、円板状に構成され、回転中心Axと交差して広がっている。また、ベアリング233の一方の回転部分(例えば、径方向の内側の回転部分)は、突出部251と接続(結合、固定)され、他方の回転部分(例えば、径方向の外側の回転部分)は、壁部202c(部材202)の径方向の内側の端部と接続(結合、固定)されている。壁部202c(部材202)は、ベアリング233によって、回転中心Ax回りに回転可能に支持されている。部材202は、第一の部材の一例である。
部材213(例えば、第一のクラッチディスク)は、壁部202aの軸方向の一方側(図17では左側)に設けられている。部材213は、壁部213a,213b、弾性部材213c、摩擦材213d、およびスプライン結合部213eを有する。壁部213aは、円板状に構成され、回転中心Axと交差して(略直交して)広がっている。壁部213bは、円板状に構成され、回転中心Axと交差して(略直交して)広がっている。具体的には、壁部213aおよび壁部213bのうち一方(本実施形態では、例えば壁部213b)が、二個(二枚)の他方(本実施形態では、例えば壁部213a)の間に軸方向に挟まれた状態で設けられる。また、壁部213a,213bは、少なくとも一部の回転範囲では、角度差を有した状態(互いに捩れた状態)で回転することができる。弾性部材213c(例えば、コイルスプリング)は、壁部213aと壁部213bとの間に挟まれ、周方向に略沿って弾性的に伸縮可能に設けられている。弾性部材213cは、壁部213aと壁部213bとの相対的な回転角度に応じて周方向に沿って伸縮する。弾性部材213cは、弾性的に縮むことによりトルクを圧縮力として蓄え、弾性的に伸びることにより圧縮力をトルクとして放出する。すなわち、部材213は、弾性部材213cによって、トルク変動を緩和することができる。部材213は、シャフト203と一体に回転する。また、部材213は、軸方向に移動可能に設けられている。具体的には、壁部213aおよび壁部213bのうち一方(図17の例では壁部213b)が、シャフト203に、円筒状のスプライン結合部213eを介して支持されている。そして、壁部213aおよび壁部213bのうち他方(図17の例では壁部213a)が、壁部202a,214aの間に位置されて壁部202a,214aによって挟まれる領域を有している。当該他方(壁部213a)の挟まれる領域の軸方向の両側には、摩擦材213dが設けられている。部材213は、少なくとも、回転中心Axの軸方向に部材202の壁部202aに向けて押し付けられて当該部材202との間で摩擦によりトルクが伝達される伝達状態と、部材202との間でトルクが伝達されない遮断状態と、を切り替え可能に設けられている。
部材214(例えば、第一のプレッシャプレート)は、壁部214aを有する。壁部214aは、円環状かつ板状に構成され、回転中心Axと交差して(略直交して)広がっている。部材214は、軸方向に移動可能に部材202に支持される。また、部材214は、部材202と一体に回転するよう構成されている。
部材214は、伝達位置(不図示)と遮断位置(図17)との間で軸方向に移動することができる。壁部213aは、伝達位置では、壁部202aと壁部214aとの間に摩擦材213dを介して挟まれる。この状態では、壁部202aと壁部213aとの間で回転が伝達される(伝達状態)。壁部213aは、遮断位置では、伝達位置よりも壁部202aおよび壁部214aの双方から離間する。この状態では、壁部202aと壁部214aとの間の回転の伝達が遮断される(遮断状態)。摩擦材213dは、壁部202aと壁部213aとの間、および壁部213aと壁部214aとの間のそれぞれに、介在する。壁部214aの位置によっては、摩擦材213dと壁部202a,214aとの間ですべりが生じる状態(所謂半クラッチ状態)にもなる。なお、摩擦材は、壁部202a,214aにも設けられうる。
部材215は(例えば、第一のレリーズプレート)は、壁部215a、貫通部215b、接続部215cを有する。壁部215aは、円板状に構成され、回転中心Axと交差して(略直交して)広がっている。複数の貫通部215bは、壁部215aと接続(結合、固定)され、部材202の壁部202cに設けられた複数の開口部202dを軸方向に貫通している。接続部215cは、円環状に構成され貫通部215bに接続(結合、固定)されている。
部材215は、ベアリング231を介して、回転中心Ax回りに回転可能に、突出部251に支持されている。ベアリング231の一方の回転部分(例えば、径方向の内側の回転部分)は、突出部251に対して相対的に回転しないよう構成されるとともに、軸方向に移動可能に突出部251に支持されている。一方、ベアリング231の他方の回転部分(例えば、径方向の外側の回転部分)は、接続部215cと接続(結合、固定)されている。すなわち、部材215は、ベアリング231を介して、突出部251に、軸方向に移動可能に支持されるとともに、回転中心Ax回りに回転可能に支持されている。また、部材215は、部材202,215間の周方向の引っ掛かりや、摩擦等によって、部材202と一体に回転する。
部材202(の壁部202c)と部材215(の壁部215a)との間には弾性部材217(例えば、皿ばね、ダイヤフラムスプリング)が介在している。弾性部材217は、部材202および部材215に軸方向の力(荷重)を与えることができる。弾性部材217によって、部材214や部材216を直接的あるいは間接的に押す力を得ることができる。
部材216は、ケース205に対して軸方向に移動可能に設けられている。部材216は、延部216a(アーム部、レバー部、壁部)を有する。延部216aは、径方向に沿って延びており、板状かつ帯状あるいは棒状に構成されている。延部216aは、ベアリング231の突出部251に支持される側の回転部分(例えば、径方向の内側の回転部分)と接続(結合、固定)されている。よって、アクチュエータ(図示されず)が部材216を軸方向に動かし、これにより、部材215ひいては部材214が軸方向に動いて、回転伝達部210の伝達状態、半クラッチ状態、遮断状態が切り替わる。
一方、クラッチ装置1Eは、回転伝達部220による回転の伝達および遮断に関わる部品としては、部材201,202,223〜226、シャフト204、およびベアリング232を備える。部材223〜226およびシャフト204は、いずれも金属材料等で構成されうる。
部材223(例えば、第二のクラッチディスク)は、壁部202aの部材213とは反対側(軸方向の他方側、図17では右側)に位置している。部材223は、壁部223a,223b、弾性部材223c、摩擦材223d、およびスプライン結合部223eを有する。壁部223aは、円板状に構成され、回転中心Axと交差して(略直交して)広がっている。壁部223bは、円板状に構成され、回転中心Axと交差して(略直交して)広がっている。具体的には、壁部223aおよび壁部223bのうち一方が、二個(二枚)の他方の間に軸方向に挟まれた状態で設けられうる。また、壁部223a,223bは、少なくとも一部の回転範囲では、角度差を有した状態(互いに捩れた状態)で回転することができる。弾性部材223c(例えば、コイルスプリング)は、壁部223aと壁部223bとの間に挟まれ、周方向に沿って弾性的に伸縮可能に設けられている。弾性部材223cは、壁部223aと壁部223bとの相対的な回転角度に応じて周方向に沿って伸縮する。弾性部材223cは、弾性的に縮むことによりトルクを圧縮力として蓄え、弾性的に伸びることにより圧縮力をトルクとして放出する。すなわち、部材223は、弾性部材223cによって、トルク変動を緩和することができる。部材223は、回転中心Ax回りに回転可能に設けられている。部材223は、シャフト204と一体に回転する。また、部材223は、軸方向に移動可能に設けられている。具体的には、壁部223aおよび壁部223bのうち一方(図17の例では壁部223b)が、シャフト204に、スプライン結合部223eを介して支持されている。そして、壁部223aおよび壁部223bのうち他方(図17の例では壁部223a)が、壁部202a,224aの間に位置されて壁部202a,224aによって挟まれる領域を有している。当該他方(壁部223a)の挟まれる領域の軸方向の両側には、摩擦材223dが設けられている。部材223は、少なくとも、回転中心Axの軸方向に部材202の壁部202aに向けて押し付けられて当該部材202との間で摩擦によりトルクが伝達される伝達状態と、部材202との間でトルクが伝達されない遮断状態と、を切り替え可能に設けられている。
部材224(例えば、第一のプレッシャプレート)は、ベアリング232と部材223との間に介在する。部材224は、ベアリング232と部材223との外側に位置されている。部材224は、回転中心Ax回りに回転可能に設けられるとともに軸方向に沿って移動可能に設けられている。
部材224は、壁部224a、貫通部224b、壁部224cを有する。壁部224aは、円環状かつ板状に構成され、回転中心Axと交差して(略直交して)広がっている。複数の貫通部224bは、壁部224aと接続(結合、固定)され、部材202の壁部202aに設けられた複数の開口部202eを軸方向に貫通している。壁部224cは、円環状に構成され、貫通部224bに接続(結合、固定)されている。部材224は、軸方向に移動可能に部材202に支持される。また、部材224は、部材202と一体に回転するよう構成されている。部材224は、第四の部材の一例である。
壁部224cは、突出部224e,224fを有する。突出部224e,224fは、壁部224cの軸方向の他方側の面に設けられている。突出部224e,224fは、それぞれ、回転中心Ax回りの環状に構成されている。突出部224fは、突出部224eよりも径方向の内側に位置されている。突出部224e,224fは、壁部224cにおいて径方向の外側の端部(縁部)と径方向の内側の端部(縁部)との間に位置されている。突出部224e,224fは、弾性部材235(軸方向の他方側)に向けて突出している。突出部224fが第一の支持部の一例であり、突出部224eが第二の支持部の一例である。
部材224は、伝達位置(不図示)と遮断位置(図17)との間で軸方向に移動することができる。壁部223aは、伝達位置では、壁部202aと壁部224aとの間に摩擦材223dを介して挟まれる。この状態では、壁部202aと壁部223aとの間で回転が伝達される(伝達状態)。壁部223aは、遮断位置では、伝達位置よりも壁部202aおよび壁部224aの双方から離間する。この状態では、壁部202aと壁部224aとの間の回転の伝達が遮断される(遮断状態)。摩擦材223dは、壁部202aと壁部223aとの間、および壁部223aと壁部224aとの間のそれぞれに、介在する。壁部224aの位置によっては、摩擦材223dと壁部202a,224aとの間ですべりが生じる状態(所謂半クラッチ状態)にもなる。なお、摩擦材は、壁部202a,224aにも設けられうる。
部材225(例えば、第二のレリーズプレート)は、弾性部材227と弾性部材235との間に介在している。部材225は、ベアリング232の軸方向に沿った移動に伴って軸方向に沿って移動する。部材225は、第五の部材の一例である。
部材225は、壁部225aを有する。壁部225aは、部材202の壁部202cの壁部215aとは反対側に位置している。壁部225aは、円板状に構成され、回転中心Axと交差して(略直交して)広がっている。ベアリング232は、壁部225aの径方向の内側の端部と接続(結合、固定)されている。
部材225は、ベアリング232を介して、回転中心Ax回りに回転可能に、部材215の接続部215cに支持されている。ベアリング232の一方の回転部分(例えば、径方向の内側の回転部分)は、部材215に対して相対的に回転しないよう構成されるとともに、軸方向に移動可能に部材215に支持されている。一方、ベアリング232の他方の回転部分(例えば、径方向の外側の回転部分)は、壁部225aと接続(結合)されている。部材225は、部材202,225間の周方向の引っ掛かりや、摩擦等によって、部材202と一体に回転する。すなわち、部材225は、ベアリング232を介して、部材215に、軸方向に移動可能に支持されるとともに、回転可能に支持されている。
壁部225aのうち径方向の外側には、突出部225e,225fが設けられている。突出部225fは突出部225eよりも径方向の外側に位置されている。突出部225eは、突出部224fよりも径方向の内側に位置されている。突出部225eは、壁部225aの軸方向の一方側の面に設けられ、軸方向の一方側に突出している。突出部225eは、弾性部材235と接触する。突出部225fは、壁部225aの軸方向の他方側の面に設けられ、軸方向の他方側に向けて突出している。突出部225fは、弾性部材227と接触する。突出部225eが第二の接触部の一例であり、突出部225fが第一の接触部の一例である。また、壁部225aには、ガイド部225g(支持部)が設けられている。ガイド部225gは、壁部225aから軸方向の一方側に延びている。ガイド部225gは、環状の弾性部材235の径方向の内側に位置されている。ガイド部225gは、回転中心Ax回りの所定の範囲(一部)に設けられている。ガイド部225gは、径方向に移動して当該ガイド部225gに当接した弾性部材235を、径方向に支持する。なお、ガイド部225gは、回転中心Ax回りの環状に設けられていてもよい。
部材202(の壁部202c)と部材225(の壁部225a)との間には弾性部材227(例えば、皿ばね、ダイヤフラムスプリング)が介在している。弾性部材227は、部材202および部材225に軸方向の力(荷重)を与えることができる。弾性部材227によって、部材224や部材226を直接的あるいは間接的に押す力を得ることができる。弾性部材227は、ベアリング232の軸方向の位置の変化に応じて軸方向に弾性的に変形し、部材202と部材223とを互いに押し付ける方向の弾性力を生じる。弾性部材227は、第一の弾性部材の一例である。
また、部材225(の壁部225a)と部材224(の壁部224c)との間には弾性部材235(例えば、皿ばね)が介在している。弾性部材235は、部材224の部材223と同一側に位置されている。また、弾性部材235は、部材225と部材223との外側に位置している。弾性部材235は、部材225および部材224に軸方向の力(荷重)を与えることができる。弾性部材235によって、部材224や部材226を直接的あるいは間接的に押す力を得ることができる。弾性部材235は、ベアリング232(第三の部材)の軸方向の位置の変化に応じて軸方向に弾性的に変形し、ベアリング232が第一の位置から第二の位置へ向けて移動する場合に、弾性部材227によってベアリング232に与えられる力に抗する弾性力を生じる。弾性部材235は、第二の弾性部材の一例である。
部材226は、ケース205に対して軸方向に移動可能に設けられている。部材226は、延部226a(アーム部、レバー部、壁部)を有する。延部226aは、径方向に沿って延びており、板状かつ帯状あるいは棒状に構成されている。延部226aは、ベアリング232の部材215に支持される側の回転部分(例えば、径方向の内側の回転部分)と接続(結合、固定)されている。よって、アクチュエータ(図示されず)が部材226を軸方向に動かし、これにより、部材225ひいては部材224が軸方向に動いて、回転伝達部220の伝達状態、半クラッチ状態、遮断状態が切り替わる。なお、部材226は、部材215に替えて突出部251に、ベアリング(図示されず)を介して支持されうる。
ベアリング232は、部材223に軸方向に力を伝達可能に設けられている。具体的には、ベアリング232は、部材225、弾性部材235、部材224を介して、部材223に軸方向の力を伝達可能である。ベアリング232は、部材202と部材223とが伝達状態となる第一の位置(不図示)と、部材202と部材223とが遮断状態となる第二の位置(図17)と、の間で軸方向に沿って移動可能に設けられている。
本実施形態では、ベアリング232の軸方向の移動に伴い、弾性部材235の姿勢が変化するとともに、部材224の突出部224e,224fによる弾性部材235の支持状態が変化する。突出部224fは、弾性部材235が弾性的に変形した第一の姿勢(図17)になっている状態では当該弾性部材235を軸方向に支持し且つ弾性部材235が弾性的に変形した第二の姿勢(不図示)になっている状態では当該弾性部材235を支持しない。一方、突出部224eは、少なくとも弾性部材235が第二の姿勢になっている状態で当該弾性部材235を軸方向に支持し、弾性部材235が第一の姿勢になっている状態では当該弾性部材235を軸方向に支持しない。
また、本実施形態では、弾性部材235は、ベアリング232の第一の移動区間(軸方向の移動区間)では第一の姿勢になっており、第一の移動区間よりもベアリング232の第二の位置に近い第二の移動区間では第二の姿勢になっている。そして、第一の移動区間におけるベアリング232の位置の軸方向の変化量に対する弾性部材235の弾性力の変化量が、第二の移動区間におけるベアリング232の位置の軸方向の変化量に対する弾性部材235の弾性力の変化量よりも大きい。
以上の構成によっても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
また、本実施形態では、部材224(第四の部材)は、ベアリング232(第三の部材)と部材223(第二の部材)との外側に位置し、回転中心Ax回りに回転可能に設けられるとともに軸方向に沿って移動可能に設けられている。また、弾性部材235(第二の弾性部材)は、部材224の部材223と同一側に位置されている。よって、クラッチ装置1Eとして比較的簡素な構成のツインクラッチを実現することができる。
また、本実施形態では、部材225(第五の部材)は、弾性部材227(第一の弾性部材)と接触する突出部225f(第一の接触部)と、弾性部材235(第二の弾性部材)と接触する突出部225e(第二の接触部)と、を有している。部材225は、弾性部材227と弾性部材235との間に介在し、ベアリング232(第三の部材)の軸方向に沿った移動に伴って軸方向に沿って移動する。そして、弾性部材235は、部材225と部材223との外側に位置されている。よって、クラッチ装置1Eとして比較的簡素な構成のツインクラッチを実現することができる。
[第7の実施形態]
図18に示される本実施形態のクラッチ装置1Fでは、部材13と部材14とが、第1の実施形態とは異なる。
部材14は、筒部14aと壁部14bとの他に、壁部14kを有している。壁部14kは、壁部14bの軸方向の一方側、すなわち弾性部材16側に位置されて、壁部14bと弾性部材16との間に介在している。壁部14kは、回転中心Ax回りの環状に構成されている。本実施形態では、壁部14kに、突出部14eが設けられている。また、壁部14bと壁部14kとの間には、壁部14bと壁部14kとの軸方向の距離を可変設定する可変設定部が設けられている。例えば、摩擦材12e,12fの摩耗等により、部材13の位置が軸方向の一方側にずれた場合には、可変設定部によって壁部14kを軸方向の一方側に移動させることにより、部材13と壁部14kとの間の距離を一定にすることができる。壁部14kは、ウェッジリングとも称され、可変設定部は、摩耗追従機構とも称される。また、本実施形態では、ベアリング22は、取付部材14jによって筒部14aに取り付けられている。取付部材14jは、結合具51によって壁部14bに結合されている。
また、本実施形態では、部材13の壁部13cには、突出部13eが設けられているが、突出部13fは設けられていない。本実施形態では、図19に示される回転伝達部2の伝達状態、図20に示される回転伝達部2の滑り状態、および図21に示される回転伝達部2の遮断状態のいずれにおいても、突出部13eが弾性部材16を支持する。なお、図19〜21では、各部が概略的に示されている。図19〜21では、壁部14kの図示が省略されている。
また、弾性部材16は、第一の実施形態と同様に一つだけ設けられている。
図19〜21には、弾性部材15の弾性力Faと弾性部材16の弾性力Fbとが示されている。なお、以下の力の説明では、弾性部材20の弾性力は、弾性部材15および弾性部材16の弾性力に比べて比較的小さいため無視される。部材23(図1参照)及びベアリング22の位置を保持するために必要なアクチュエータの駆動力をFcとすると、Fc=Fa−Fbとなる。また、各弾性力Fa,Fbおよび駆動力Fcを表す図中の矢印は、力の向きを示すものであって、力の大きさは示していない。
また、図19に示されるように、部材23及びベアリング22が位置B1に位置された場合、すなわち、回転伝達部2の伝達状態では、部材13には、弾性部材16の弾性力Fbが、軸方向の一方側に作用する。したがって、回転伝達部2の伝達状態では、部材13から部材12に作用する押圧力Feは、弾性部材16の弾性力Fbとなる。
図20に示される回転伝達部2の滑り状態でも、部材13には、弾性部材の弾性力Fbが、軸方向の一方側に作用する。したがって、回転伝達部2の滑り状態でも、部材13から部材12に作用する押圧力Feは、弾性部材16の弾性力Fbとなる。
図21に示される回転伝達部2の遮断状態では、部材13と部材12とが軸方向に離間している。したがって、回転伝達部2の遮断状態では、部材13から部材12には力が作用しない。
図22には、部材23およびベアリング22の位置に対応した、各弾性部材15,16から部材14に作用する力(弾性力、軸方向成分)の大きさが示されている。図22の横軸および縦軸は、図6と同様である。図22には、図6と同様に、部材14に対する弾性部材15による力は線L1で示され、部材14に対する弾性部材16による力は線L2で示されている。また、線L4は、図22の横軸に関して線L2の対称な線である。図22のハッチングが施された領域は、弾性部材15,16の差分荷重を示し、アクチュエータの駆動力Fcと対応する。
以上、説明したように、本実施形態では、クラッチ装置1F、第二の弾性部材としての一つの弾性部材16を備える。よって、第1の実施形態と同様に、例えば、複数の第二の弾性部材が設けられている構成に比べて、クラッチ装置1Fをより簡素に構成できる。
[第8の実施形態]
図23に示される本実施形態のクラッチ装置1Gでは、部材14が、第7の実施形態とは異なる。
部材14は、筒部14aと壁部14bを有するが、壁部14kは有していない。壁部14bには、爪部14mが設けられている。爪部14mは、壁部14bの径方向の外側の端部に設けられている。本実施形態では、爪部14mに、突出部14eが設けられている。
また、弾性部材16は、第一の実施形態と同様に一つだけ設けられている。
以上、説明したように、本実施形態では、クラッチ装置1G、第二の弾性部材としての一つの弾性部材16を備える。よって、第1の実施形態と同様に、例えば、複数の第二の弾性部材が設けられている構成に比べて、クラッチ装置1Gをより簡素に構成できる。
[第9の実施形態]
図24に示される本実施形態のクラッチ装置1Hでは、部材13に当接部13mが設けられている点が、第7の実施形態とは異なる。なお、本実施形態では当接部13mを部材13に配置しているが部材14に配置してもよい。
当接部13mは、部材13の壁部13aの面13cから軸方向の他方側、すなわち部材14側、に突出している。当接部13mは、回転中心Ax回りの環状に構成されている。当接部13mは、突出部13eの径方向の内側に位置されている。当接部13mは、部材14と接離可能である。具体的には、本実施形態では、当接部13mは、壁部14kと接離可能である。当接部13mは、図25に示されるように、ベアリング22および部材23(図25では図示されず)が位置B1(第一の位置)に位置した状態では、部材14と軸方向に当接する。また、当接部13mは、図26,27に示されるように、ベアリング22および部材23(図26,27では図示されず)が位置B1(第一の位置)の位置B2(第二の位置)側に位置した状態では、部材14と軸方向に離間する。当接部13mは、当該当接部13mと部材14とが軸方向に接触した状態で、部材14を軸方向に支持する。当接部13mは、ストッパとも称される。本実施形態では、部材13は、第七の部材の一例であり、部材14は、第六の部材の一例である。なお、図25〜27では、各部が概略的に示されている。図25〜図27では、壁部14kの図示が省略されている。
図25に示されるように、ベアリング22および部材23が位置B1に位置された場合、すなわち、回転伝達部2の伝達状態では、当接部13mと部材14とが軸方向に当接しているので、部材13には、弾性部材16の弾性力Fbと、部材14からの押圧力Fdとが、軸方向の一方側に作用する。図25から分かるように、押圧力Fd=Fa−Fbである。したがって、部材13から部材12に作用する押圧力をFeとすると、Fe=Fb+Fdであるから、Fe=Fb+(Fa−Fb)=Faとなる。すなわち、回転伝達部2の伝達状態では、部材13から部材12に作用する押圧力Feは、弾性部材15の弾性力Faとなる。
図26に示される回転伝達部2の滑り状態では、当接部13mと部材14とが軸方向に離間しているので、部材13には、弾性部材の弾性力Fbが、軸方向の一方側に作用する。すなわち、回転伝達部2の滑り状態では、部材13から部材12に作用する押圧力Feは、弾性部材16の弾性力Fbとなる。
図27に示される回転伝達部2の遮断状態では、部材13と部材12とが軸方向に離間している。したがって、回転伝達部2の遮断状態では、部材13から部材12には力が作用しない。
図28には、部材23の位置に対応した、弾性部材15,16の弾性力の大きさが概略的に示されている。詳細には、図28(a)には、当接部13mが設けられていない場合(例えば、第7の実施形態)のグラフが示され、図28(b)には、当接部13mが設けられている場合、すなわち本実施形態、のグラフが示されている。各グラフの縦軸は、弾性力の大きさ(絶対値)を示し、各グラフの横軸は、軸方向においてのベアリング22および部材23の位置を示している。各グラフの横軸の原点は、回転伝達部2が伝達状態になっている場合のベアリング22および部材23の位置B1であって、ベアリング22および部材23に対する操作がなされていない状態での位置である。弾性部材15,16の弾性力は、例えば、製造ばらつき等により、所定の弾性力に対するばらつきが発生している場合がある。図28には、弾性部材15の弾性力に所定のばらつき量M1が生じる場合について、弾性部材15の弾性力のばらつきのうち最大値が、線L11で示され、弾性部材15の弾性力のばらつきのうち最小値が線L12で示されている。また、図28には、弾性部材16の弾性力に所定のばらつき量M2が生じる場合について、弾性部材16の弾性力のばらつきのうち最大値が線L21で示され、弾性部材16の弾性力のばらつきのうち最小値が線L22で示されている。
ここで、第7の実施形態の図19に示されたように、弾性部材16が部材13と部材14との間に介在する構成では、例えば、回転伝達部2が伝達状態であって、ベアリング22および部材23が位置B1に位置された場合、部材13を介して部材12を部材10に押し付ける力は、弾性部材16の弾性力Fbとなる。このため、例えば、第7の実施形態の構成では、アクチュエータの駆動力が作用していない場合に、部材12と部材10とを伝達状態とするときには、弾性部材15,16の弾性力の関係を、図28(a)に示されるようにする必要がある。すなわち、位置B1において、弾性部材16の弾性力のばらつきのうち最小値(線L22)を、部材12を部材10に押し付ける力である押付必要荷重F1に設定するとともに、弾性部材15の弾性力を弾性部材16の弾性力よりも大きく設定する必要がある。この結果、弾性部材15の弾性力のばらつきのうち最大値(線L11)と、弾性部材16の弾性力のばらつきのうち最小値(線L22)との間の差分の弾性力である差分弾性力Nが、比較的大きくなる。
これに対して、当接部13mが設けられた本実施形態の構成では、例えば、回転伝達部2の伝達状態では、上述したとおり、部材13から部材12に作用する押圧力Feは、弾性部材15の弾性力Faとなる。よって、図28(b)に示されるように、位置B1において、弾性部材15の弾性力のばらつきのうち最小値(線L12)を、押付必要荷重F1に設定すればよいことになる。これにより、図28(a)に対して、弾性部材15の弾性力のばらつきのうち最小値(線L12)を小さくできる。これにより、ばらつきの基準となる弾性部材15の所定の弾性力の値を小さくすることができる。これに伴い、ばらつきの基準となる弾性部材16の所定の弾性力の値も小さくすることができる。
また、ばらつきは、例えば、基準の値に対する増減の割合であるので、基準の値が小さくなれば、ばらつき量M1,M2は小さくなる。つまり、弾性力のばらつき量M1,M2は、基準となる所定の弾性力の値が小さくなるほど小さくなる。したがって、上述のようにばらつきの基準となる弾性部材15,16の所定の弾性力の値が小さい本実施形態の構成では、弾性部材15,16のばらつき量M1,M2が小さくなる。これにより、弾性部材15の弾性力のばらつきのうち最大値(線L11)と、弾性部材16の弾性力のばらつきのうち最小値(線L22)との間の差分弾性力Nが、比較的小さくなる。
以上、説明したように、本実施形態では、クラッチ装置1Hは、部材14と部材13とを備える。部材14は、弾性部材15と弾性部材16との間に介在し、ベアリング22おおよび部材23と一体に軸方向に移動する。また、部材13は、部材14と部材12との間に介在している。部材13は、ベアリング22および部材23が位置B1に位置した状態では、部材14と軸方向に当接し、部材23およびベアリング22が位置B1の位置B2側に位置した状態では、部材14と軸方向に離間する。よって、例えば、弾性部材15の弾性力を小さくしやすい。これにより、アクチュエータの駆動力を小さくしやすい。
[第10の実施形態]
図29に示される本実施形態のクラッチ装置1Iでは、部材14が、第9の実施形態とは異なる。部材14は、第8の実施形態と同様に、筒部14aと壁部14bを有するが、壁部14kは有していない。そして、本実施形態では、部材13の当接部13mは、部材14の壁部14bと爪部14mとに接離可能である。なお、本実施形態では当接部13mを部材13に配置しているが部材14に配置してもよい。
以上、説明した本実施形態でも、第9の実施形態と同様の効果を奏することができる。
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、表示要素等のスペック(構造、種類、方向、形状、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1I…クラッチ装置、10…部材(第一の部材)、11…部材(カバー)、12…部材(第二の部材)、13…部材(第四の部材、第七の部材)、13d…突出部(第二の支持部)、13e…突出部(第二の支持部)、13f…突出部(第一の支持部)、14…部材(第五の部材、第六の部材)、14e…突出部(第二の接触部)、14f…突出部(第一の接触部)、15,31…弾性部材(第一の弾性部材)、16…弾性部材(第二の弾性部材)、16g…皿ばね部、16h…板ばね部、16i…板部(第一の板部)、16j…板部(第二の板部)、20…弾性部材(第三の弾性部材)、22…ベアリング(第三の部材)、23…部材(第三の部材)、202…部材(第一の部材)、224…部材(第四の部材)、224e…突出部(第二の支持部)、224f…突出部(第一の支持部)、225…部材(第五の部材)、225e…突出部(第二の接触部)、225f…突出部(第一の接触部)、227…弾性部材(第一の弾性部材)、235…弾性部材(第二の弾性部材)、B1…位置(第一の位置)、B2…位置(第二の位置)、C1…姿勢(第一の姿勢)、C3…姿勢(第二の姿勢)、D1…移動区間(第一の移動区間)、D2…移動区間(第二の移動区間)。

Claims (11)

  1. 回転中心回りに回転可能に設けられた第一の部材と、
    前記回転中心回りに回転可能に設けられ、少なくとも、前記回転中心の軸方向に前記第一の部材に向けて押し付けられて当該第一の部材との間で摩擦によりトルクが伝達される伝達状態と、前記第一の部材との間でトルクが伝達されない遮断状態と、を切り替え可能に設けられた第二の部材と、
    前記第二の部材に前記軸方向に力を伝達可能に設けられ、前記第一の部材と前記第二の部材とが前記伝達状態となる第一の位置と、前記第一の部材と前記第二の部材とが前記遮断状態となる第二の位置と、の間で前記軸方向に沿って移動可能に設けられた第三の部材と、
    前記第一の部材を覆い、前記第一の部材と一体に回転するカバーと、
    前記第三の部材の前記軸方向の位置の変化に応じて前記軸方向に弾性的に変形し、前記第一の部材と前記第二の部材とを互いに押し付ける方向の弾性力を生じる第一の弾性部材と、
    前記第一の部材と前記カバーとの間に設けられ、前記第三の部材の前記軸方向の位置の変化に応じて前記軸方向に弾性的に変形し、前記第三の部材が前記第一の位置から前記第二の位置へ向けて移動する場合に、前記第一の弾性部材によって前記第三の部材に与えられる力に抗する弾性力を生じる一つの第二の弾性部材と、
    前記軸方向の他方側に突出し前記第一の弾性部材と接触する第一の突出部と、前記軸方向の一方側に突出し前記第二の弾性部材と接触する第二の突出部と、を有し、前記第一の弾性部材と前記第二の弾性部材との間に介在し、前記第三の部材の前記軸方向に沿った移動に伴って前記軸方向に沿って移動する第五の部材と、
    を備え、
    前記第二の弾性部材は、前記第五の部材と前記第二の部材との間に介在する、クラッチ装置。
  2. 前記第二の弾性部材が弾性的に変形した第一の姿勢になっている状態では当該第二の弾性部材を前記軸方向に支持し且つ前記第二の弾性部材が弾性的に変形した第二の姿勢になっている状態では当該第二の弾性部材を支持しない第一の支持部と、少なくとも前記第二の弾性部材が前記第二の姿勢になっている状態で当該第二の弾性部材を軸方向に支持する第二の支持部と、を有した第四の部材、を備えた、請求項1に記載のクラッチ装置。
  3. 前記第二の弾性部材は、前記第三の部材の第一の移動区間では第一の姿勢になっており、前記第一の移動区間よりも前記第二の位置に近い第二の移動区間では第二の姿勢になっており、
    前記第一の移動区間における前記第三の部材の位置の前記軸方向の変化量に対する前記第二の弾性部材の弾性力の変化量が、前記第二の移動区間における前記第三の部材の位置の前記軸方向の変化量に対する前記第二の弾性部材の弾性力の変化量よりも大きい、請求項2に記載のクラッチ装置。
  4. 前記第四の部材は、前記第三の部材と前記第二の部材との間に介在し、前記回転中心回りに回転可能に設けられるとともに前記軸方向に沿って移動可能に設けられ、
    前記第二の弾性部材は、前記軸方向において前記第四の部材に対して前記第二の部材とは反対側に位置された、請求項2または3に記載のクラッチ装置。
  5. 前記第四の部材は、前記第三の部材と前記第二の部材との外側に位置され、前記回転中心回りに回転可能に設けられるとともに前記軸方向に沿って移動可能に設けられ、
    前記第二の弾性部材は、前記第四の部材の前記第二の部材と同一側に位置された、請求項2または3に記載のクラッチ装置。
  6. 前記第二の弾性部材は、前記回転中心回りの環状に構成された皿ばねである請求項1ないし5のいずれか一項に記載のクラッチ装置。
  7. 前記第二の弾性部材は、前記回転中心回りの環状に構成された皿ばね部と、前記皿ばね部から前記回転中心の径方向に沿って延びた板ばね部と、を有した、請求項1ないし5のいずれか一項に記載のクラッチ装置。
  8. 前記板ばね部は、前記皿ばね部から前記回転中心の径方向に沿って延びた第一の板部と、前記第一の板部から前記回転中心の周方向に沿って延びた第二の板部と、を有した請求項7に記載のクラッチ装置。
  9. 前記第一の支持部は、前記回転中心回りの環状に構成された、請求項2ないし5のいずれか一項に記載のクラッチ装置。
  10. 前記遮断状態で、前記第一の弾性部材によって前記第三の部材に与えられる力に抗する弾性力を生じる、前記第二の弾性部材とは異なる第三の弾性部材を備えた、請求項1ないし9のいずれか一項に記載のクラッチ装置。
  11. 前記第一の弾性部材と前記第二の弾性部材との間に介在し、前記第三の部材と一体に前記軸方向に移動する第六の部材と、
    前記第六の部材と前記第二の部材との間に介在し、前記第三の部材が前記第一の位置に位置した状態では、前記第六の部材と前記軸方向に当接し、前記第三の部材が前記第一の位置の前記第二の位置側に位置した状態では、前記第六の部材と前記軸方向に離間する、第七の部材と、
    を備えた請求項1ないし10のいずれか一項に記載のクラッチ装置。
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