(第1の実施形態)
以下に、第1の実施形態について、図1乃至図6を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明について、複数の表現が記載されることがある。複数の表現がされた構成要素及び説明は、記載されていない他の表現がされても良い。さらに、複数の表現がされない構成要素及び説明も、記載されていない他の表現がされても良い。
図1は、第1の実施形態に係る係合状態の動力伝達機構1の一例を示す断面図である。動力伝達機構1は、例えば、四輪自動車のような車両に設けられる。図1に示すように、動力伝達機構1は、クランクシャフト2と、インプットシャフト3と、フライホイール4と、ダンパ装置5とを有する。インプットシャフト3は、シャフトの一例である。
クランクシャフト2は、エンジンの出力軸である。なお、クランクシャフト2はこの例に限らず、例えば、間接的にエンジンに接続されても良いし、モータのような他の駆動源の出力軸であっても良い。
インプットシャフト3は、トランスミッションの入力軸である。なお、インプットシャフト3はこの例に限らず、例えば、間接的にトランスミッションに接続されても良いし、モータのような駆動源に接続されても良い。インプットシャフト3は、クランクシャフト2と同軸上に配置される。
クランクシャフト2とインプットシャフト3とはそれぞれ、図1に示す中心軸Axに沿って延び、中心軸Axまわりに回転可能である。中心軸Axは、回転中心の一例である。以下、中心軸Axに直交する方向を径方向、中心軸Axに沿う方向を軸方向、中心軸Axまわりに回転する方向を周方向又は回転方向とそれぞれ称する。クランクシャフト2とインプットシャフト3とは、互いに相対的に回転可能である。
フライホイール4は、クランクシャフト2に接続される。フライホイール4は、大よそ径方向に広がる略円盤状に形成され、中心軸Axまわりにクランクシャフト2と一体的に回転可能である。フライホイール4は、軸方向に向く第1の摩擦面4aを有する。
ダンパ装置5は、クラッチカバー11と、クラッチディスク12と、第1のクラッチハブ13と、第2のクラッチハブ14と、ダンパスプリング15と、プレッシャプレート16と、ダイヤフラムスプリング17と、二つのピボットリング18と、クラッチレリーズ装置19と、複数の摩擦部材20と、板バネ21と、質量体22と、中間部材23と、を有する。
クラッチディスク12は、例えば、ドライブプレートとも称され得る。第1のクラッチハブ13は、例えば、ドリブンプレートとも称され得る。ダンパスプリング15は、スプリングの一例である。摩擦部材20は、例えば、スラスト部材とも称され得る。
クラッチカバー11は、カバー部材31と、支持部材32と、第1の連結部材33とを有する。カバー部材31は、筒部31aと、壁部31bとを有する。筒部31aは、略円筒状に形成される。筒部31aは、例えば、ボルトにより、第1の摩擦面4aよりも径方向外側でフライホイール4に取り付けられる。これにより、クラッチカバー11は、中心軸Axまわりにフライホイール4と一体的に回転可能である。壁部31bは、筒部31aから径方向内側に突出し、径方向に広がる略円環状に形成される。フライホイール4の第1の摩擦面4aは、壁部31bに向く。
支持部材32は、壁部31bと第1の摩擦面4aとの間に位置し、径方向に広がる略円環状に形成される。第1の連結部材33は、例えばカシメにより、支持部材32とカバー部材31の壁部31bとに取り付けられる。第1の連結部材33は、支持部材32と、壁部31bとを、互いに軸方向に離間した位置に支持する。
クラッチディスク12は、大よそ径方向に広がる略円盤状に形成され、フライホイール4及びクラッチカバー11に対して中心軸Axまわりに回転可能である。クラッチディスク12は、軸方向において、フライホイール4と、カバー部材31の壁部31bとの間に位置する。
クラッチディスク12は、中心軸Axに近い方から順に、二つのブッシュ41と、二つのディスクプレート42と、第2の連結部材43と、支持プレート44と、二つのクラッチフェーシング45とを有する。支持プレート44は、例えば、クッションスプリングとも称され得る。クラッチフェーシング45は、例えば、摩擦材とも称され得る。
二つのブッシュ41は、中心軸Axに沿って延びる略円筒状に形成され、軸方向に間隔を介して並べられる。ブッシュ41は、径方向外側に突出するとともに周方向に間隔を介して並べられた複数の係止部41aを有する。
二つのディスクプレート42はそれぞれ、大よそ径方向に広がる略円環状に形成される。二つのディスクプレート42は、軸方向に間隔を介して配置される。それぞれのディスクプレート42に、スプライン部42aと、複数の開口42bとが設けられる。スプライン部42aは、ディスクプレート42の内周部から径方向に延びるとともに、周方向に間隔を介して並べられた複数の溝によって形成される。複数の開口42bは、周方向に略等間隔に設けられ、ディスクプレート42の内部を露出させる。
ディスクプレート42の径方向内側に、ブッシュ41が嵌まる。ブッシュ41の係止部41aが、ディスクプレート42のスプライン部42aに嵌められる。これにより、ディスクプレート42とブッシュ41とが中心軸Axまわりに一体的に回転可能となる。
第2の連結部材43は、例えばカシメにより二つのディスクプレート42に取り付けられ、二つのディスクプレート42を互いに軸方向に離間した位置に支持する。第2の連結部材43により、二つのディスクプレート42は、一体的に中心軸Axまわりに回転可能となる。
支持プレート44は、ディスクプレート42より大きい略円環状に形成される。支持プレート44の内周部分は、例えばネジや第2の連結部材43によって、一方のディスクプレート42に取り付けられる。支持プレート44は、ディスクプレート42から、径方向外側に張り出す。なお、支持プレート44は他の部分に取り付けられても良い。
クラッチフェーシング45は、例えば、間隔を介してディスクプレート42を囲む円環状に形成される。二つのクラッチフェーシング45は、支持プレート44の外周部分において、軸方向における支持プレート44の両側に取り付けられる。クラッチフェーシング45は、支持プレート44に設けられた板バネ状の部分により、軸方向に僅かに移動可能である。クラッチフェーシング45に、クラッチフェーシング45の内周部から外周部に亘って、略径方向に延びる複数の溝が設けられる。
第1のクラッチハブ13は、クラッチディスク12に対して中心軸Axまわりに回転可能である。第1のクラッチハブ13は、内側ハブ51と、外側ハブ52と、プリダンパスプリング53とを有する。
図2は、第1の実施形態の係合状態の動力伝達機構1の一例の一部を拡大して示す断面図である。図2に示すように、内側ハブ51は、中心軸Axに沿って延びる略円筒状に形成される。内側ハブ51は、スプライン部51aを有する。スプライン部51aは、内側ハブ51の内周部から径方向外側に凹むとともに、軸方向に延び、周方向に間隔を介して並べられた複数の溝によって形成される。
インプットシャフト3が、内側ハブ51の内側に設けられた第1の挿通孔54に挿入される。インプットシャフト3は、複数の係止部3aを有する。係止部3aは、インプットシャフト3の外周面3bから径方向外側に突出するとともに、軸方向に延び、周方向に間隔を介して並べられる。
内側ハブ51のスプライン部51aに係止部3aが嵌まることで、第1のクラッチハブ13とインプットシャフト3とは、互いに軸方向に移動可能且つ回転を伝達可能に嵌り合う。言い換えると、内側ハブ51は、インプットシャフト3と一体的に回転可能且つインプットシャフト3に対して軸方向に移動可能にインプットシャフト3に保持される。
図1に示すように、内側ハブ51は、ブッシュ41の径方向内側に嵌められる。内側ハブ51と、ブッシュ41とは、中心軸Axまわりに相対的に回転可能である。
内側ハブ51は、径方向外側に突出するとともに周方向に間隔を介して並べられた複数の係止部51bを有する。係止部51bは、軸方向において、クラッチディスク12の二つのブッシュ41の間に配置される。
外側ハブ52は、軸方向において、二つのディスクプレート42の間に配置される。外側ハブ52は、中間部52aと、複数のアーム52bとを有する。中間部52aは、径方向に広がる円環状に形成される。中間部52aに、スプライン部52cが設けられる。スプライン部52cは、中間部52aの内周部から径方向に延びるとともに、周方向に間隔を介して並べられた複数の溝によって形成される。
内側ハブ51は、外側ハブ52の径方向内側に嵌められる。外側ハブ52のスプライン部52cに、内側ハブ51の係止部51bが嵌められる。周方向において、外側ハブ52のスプライン部52cの端部と、内側ハブ51の係止部51bの端部との間に間隔が設けられる。これにより、内側ハブ51と外側ハブ52とは、所定の角度に亘って中心軸Axまわりに相対的に回転可能である。
プリダンパスプリング53が、周方向における、外側ハブ52のスプライン部52cの端部と、内側ハブ51の係止部51bの端部との間の隙間に配置される。プリダンパスプリング53は、コイル状の圧縮バネである。プリダンパスプリング53は、内側ハブ51と外側ハブ52とが中心軸Axまわりに相対的に回転することにより、外側ハブ52と内側ハブ51とによって弾性的に圧縮される。プリダンパスプリング53は、圧縮されることで、エンジンの回転変動を減衰させる。
外側ハブ52の複数のアーム52bは、中間部52aから径方向に延びる。複数のアーム52bは、周方向に一定間隔で配置される。例えば、クラッチディスク12及び第1のクラッチハブ13に外力が作用しない場合、周方向において、開口42bが隣り合うアーム52bの間に位置する。
ダンパスプリング15は、コイル状の圧縮バネ(コイルスプリング)である。ダンパスプリング15は、ディスクプレート42の開口42bの内部に位置するとともに、周方向において外側ハブ52の隣り合う二つのアーム52bの間に位置する。ダンパスプリング15は、周方向において、開口42bを規定するクラッチディスク12の縁と、第1のクラッチハブ13のアーム52bとの間に位置し、クラッチディスク12と第1のクラッチハブ13とに支持される。
ダンパ装置5にトルクが作用すると、クラッチディスク12と第1のクラッチハブ13とが中心軸Axまわりに相対的に回転する。これにより、クラッチディスク12と第1のクラッチハブ13との間の捩れ角が生じ、ダンパスプリング15がクラッチディスク12及び第1のクラッチハブ13によって弾性的に圧縮される。ダンパスプリング15は、圧縮されることで、エンジンの回転変動を減衰させる。
クラッチディスク12、第1のクラッチハブ13、及びダンパスプリング15は、上述のように組み立てられることで、インプットシャフト3、フライホイール4、及びクラッチカバー11に対し、軸方向に一体的に移動可能である。なお、インプットシャフト3と、フライホイール4及びクラッチカバー11とが、軸方向に相対的に移動可能であっても良い。
第2のクラッチハブ14は、第1のクラッチハブ13と軸方向に間隔を介して並べられる。言い換えると、第1のクラッチハブ13と第2のクラッチハブ14とは、軸方向に互いに離間する。第2のクラッチハブ14は、軸方向において、第1のクラッチハブ13とカバー部材31の壁部31bとの間に位置する。図2に示すように、第2のクラッチハブ14は、ハブ55と、フランジ部56と、摩擦部材57と、クッションスプリング58とを有する。
ハブ55は、中心軸Axに沿って延びる略円筒状に形成される。ハブ55は、スプライン部55aを有する。スプライン部55aは、ハブ55の内周部から径方向外側に凹むとともに、軸方向に延び、周方向に間隔を介して並べられた複数の溝によって形成される。
ハブ55に、溝55bが設けられる。溝55bは、径方向内側に開くとともに、スプライン部55aを軸方向に分割するように周方向に延びる。溝55bの底の直径は、例えば、スプライン部55aの底の直径と略同一である。なお、溝55bの深さはこの例に限られない。
インプットシャフト3が、ハブ55の内側に設けられた第2の挿通孔59に挿入される。ハブ55のスプライン部55aに係止部3aが嵌まることで、第2のクラッチハブ14とインプットシャフト3とは、互いに回転を伝達可能に嵌り合う。言い換えると、ハブ55は、インプットシャフト3と一体的に回転可能にインプットシャフト3に保持される。
インプットシャフト3は、スナップリング3cを有する。スナップリング3cは、凸部の一例であり、例えば止め輪とも称され得る。スナップリング3cは、例えば、周方向に延びるC字型の略環状に形成され、弾性的に径方向に拡大及び縮小可能である。なお、スナップリング3cはこの例に限らない。
スナップリング3cは、インプットシャフト3の係止部3a及び外周面3bに設けられた溝3dに嵌められる。溝3dは、径方向外側に開くとともに、周方向に延びる。溝3dの底の直径は、外周面3bの直径よりも小さい。このため、溝3dは、係止部3aを軸方向に分割するとともに、外周面3bに開く。
スナップリング3cは、外力(荷重)が作用しない自然状態(自由状態)において、溝3dの底から離間する。言い換えると、自然状態におけるスナップリング3cの内径は、溝3dの底の直径よりも大きい。
スナップリング3cは、自然状態において、インプットシャフト3の外周面3bから径方向外側に突出する。自然状態におけるスナップリング3cの外径は、係止部3aの外径と略同一である。なお、スナップリング3cの外径は、この例に限られない。
スナップリング3cは、ハブ55の溝55bに嵌められる。インプットシャフト3と第2のクラッチハブ14とが軸方向に相対的に移動しようとすると、スナップリング3cは、溝55bを形成するハブ55の縁と、溝3dを形成するインプットシャフト3の縁とに当接する。これにより、スナップリング3cは、インプットシャフト3に対して第2のクラッチハブ14が軸方向に移動することを制限する。
径方向におけるスナップリング3cの厚さは、径方向における溝3dの深さよりも小さい。このため、スナップリング3cが溝3dの底に接触するまで径方向に弾性的に縮小された場合、スナップリング3cの外径は、外周面3bの外径よりも小さくなる。このように、スナップリング3cは、径方向に縮小されることで、インプットシャフト3の外周面3bよりも径方向内側に弾性的に移動可能である。
フランジ部56は、ハブ55から径方向外側に突出し、径方向に広がる略円環状に形成される。摩擦部材57は、径方向に広がる略円環状に形成され、軸方向において、フランジ部56とカバー部材31の壁部31bとの間に位置する。図1に示すように、摩擦部材57は、フランジ部56の支持部56aに支持される。
支持部56aは、軸方向に延び、摩擦部材57を軸方向に移動可能に支持する。さらに、支持部56aは、摩擦部材57がフランジ部56から所定の距離よりも離間することを制限する。
図2に示すように、摩擦部材57は、軸方向において壁部31bに向く第2の摩擦面57aを有する。第2の摩擦面57aに、第2の摩擦面57aの内周部から外周部に亘って、略径方向に延びる複数の溝が設けられる。
クッションスプリング58は、例えば皿バネであり、フランジ部56と摩擦部材57との間に設けられる。クッションスプリング58は、摩擦部材57を、フランジ部56から軸方向に沿って離間する方向に付勢する。
図1に示すように、プレッシャプレート16は、軸方向において、フライホイール4の第1の摩擦面4aと、クラッチカバー11との間に位置する。プレッシャプレート16は、フライホイール4、クラッチカバー11、及びクラッチディスク12に対して、軸方向に移動可能である。プレッシャプレート16は、摩擦プレート61と、保持プレート62と、複数のボルト63と、フック64とを有する。
摩擦プレート61は、径方向に広がる略円環状に形成される。摩擦プレート61は、第3の摩擦面61aと、取付面61bと、突出部61cとを有する。第3の摩擦面61aは、フライホイール4の第1の摩擦面4aに向く。取付面61bは、第3の摩擦面61aの反対側に位置し、クラッチカバー11の壁部31bに向く。突出部61cは、取付面61bから、クラッチカバー11の壁部31bに向かって突出する略円筒状に形成される。
クラッチディスク12の支持プレート44及びクラッチフェーシング45は、フライホイール4とプレッシャプレート16との間に位置する。フライホイール4の第1の摩擦面4aと、クラッチディスク12の一方のクラッチフェーシング45とは向かい合う。プレッシャプレート16の第3の摩擦面61aと、他方のクラッチフェーシング45とは向かい合う。
保持プレート62は、軸方向において取付面61bとクラッチカバー11の壁部31bとの間に位置するとともに、突出部61cの径方向内側に位置する。図2に示すように、保持プレート62は、取付部62aと、複数の延部62bと、複数の掛部62cとを有する。
取付部62aは、径方向に広がる略円環状に形成される。複数の延部62bは、取付部62aの内周部から軸方向に沿ってクラッチカバー11の壁部31bに向かって延びる。複数の延部62bは、周方向に略等間隔に配置される。掛部62cは、延部62bの先端から径方向内側に突出する。
ボルト63は、保持プレート62の取付部62aを、摩擦プレート61の取付面61bに取り付ける。なお、プレッシャプレート16はこの例に限らず、例えば、摩擦プレート61と保持プレート62とが一体に形成されても良い。
図1に示すように、フック64は、弾性変形可能であり、例えば、突出部61cに取り付けられる。フック64は、この例に限られない。フック64の先端部は、突出部61cの先端部と、隙間を介して軸方向に向かい合う。
図3は、第1の実施形態の解除状態の動力伝達機構1の一例を示す断面図である。プレッシャプレート16は、図1及び図2に示す係合位置P1と、図3に示す解除位置P2とに、軸方向に沿って移動可能である。係合位置P1は、第1の位置の一例である。解除位置P2は、第2の位置の一例である。
図2に示すように、係合位置P1において、プレッシャプレート16は、クラッチディスク12をフライホイール4に回転を伝達可能に押し付ける。このとき、クラッチディスク12の一方のクラッチフェーシング45は、フライホイール4の第1の摩擦面4aに接触する。さらに、他方のクラッチフェーシング45は、プレッシャプレート16の第3の摩擦面61aに接触する。
エンジンがクランクシャフト2を介してフライホイール4を回転させると、クラッチフェーシング45と、第1の摩擦面4a及び第3の摩擦面61aとの間の摩擦力により、クラッチディスク12が回転させられる。すなわち、エンジンが生じさせる回転が、フライホイール4を介してクラッチディスク12に伝達される。このため、フライホイール4とクラッチディスク12とが一体的に回転する。クラッチディスク12の回転は、ダンパスプリング15及び第1のクラッチハブ13を介して、インプットシャフト3に伝達される。
図3に示すように、解除位置P2において、プレッシャプレート16は、クラッチディスク12から離間する。このとき、クラッチディスク12の一方のクラッチフェーシング45は、フライホイール4の第1の摩擦面4aから離間する。さらに、他方のクラッチフェーシング45は、プレッシャプレート16の第3の摩擦面61aから離間する。これにより、クラッチディスク12は、フライホイール4、クラッチカバー11、及びプレッシャプレート16に対して中心軸Axまわりに回転可能となる。なお、解除位置P2に位置するプレッシャプレート16が、一時的にクラッチディスク12に接触しても良い。
動力伝達機構1には、以上述べたクラッチディスク12及びプレッシャプレート16を有するクラッチC1が設けられる。クラッチC1は、プレッシャプレート16が係合位置P1に配置されることにより係合し、クラッチディスク12とフライホイール4とを互いに回転を伝達可能に接続する。クラッチC1は、プレッシャプレート16が解除位置P2に配置されることにより係合解除し、クラッチディスク12とフライホイール4とを切り離す。
ダイヤフラムスプリング17は、大よそ径方向に広がる略円環状に形成される。ダイヤフラムスプリング17は、ピボットリング18を介して、クラッチカバー11に揺動可能に支持される。
ダイヤフラムスプリング17は、クラッチカバー11のカバー部材31の壁部31bと、支持部材32との間に位置する。一方のピボットリング18は、ダイヤフラムスプリング17と壁部31bとの間に位置する。他方のピボットリング18は、ダイヤフラムスプリング17と支持部材32との間に位置する。すなわち、クラッチカバー11は、ピボットリング18を介して、ダイヤフラムスプリング17を挟持する。ダイヤフラムスプリング17は、弾性変形することで、ピボットリング18を支点として揺動可能である。
ダイヤフラムスプリング17は、内レバー部71と、外レバー部72とを有する。内レバー部71は、ピボットリング18よりも径方向内側に位置する。外レバー部72は、ピボットリング18よりも径方向外側に位置する。内レバー部71及び外レバー部72は、ピボットリング18を支点として一体的に揺動する。
外レバー部72は、プレッシャプレート16の突出部61cに接触する。さらに、プレッシャプレート16のフック64が、外レバー部72に引っかかる。外レバー部72は、突出部61cとフック64との間に位置する。フック64と突出部61cとは、外レバー部72を保持する。これにより、プレッシャプレート16は、ダイヤフラムスプリング17を介してクラッチカバー11に支持される。
ダイヤフラムスプリング17は、揺動することで、図1に示す加圧状態S1と、図3に示す解放状態S2とに変化可能である。図1に示すように、加圧状態S1において、外レバー部72は、プレッシャプレート16の突出部61cを、クラッチディスク12及びフライホイール4に向かって押す。押されたプレッシャプレート16は、クラッチディスク12をフライホイール4に押し付ける。すなわち、加圧状態S1のダイヤフラムスプリング17は、プレッシャプレート16を係合位置P1へ付勢する。ダイヤフラムスプリング17は、外力が作用しない自然状態において、加圧状態S1にある。
図3に示すように、解放状態S2において、外レバー部72は、フック64を引っ張ることで、プレッシャプレート16をクラッチディスク12から離間させる。すなわち、解放状態S2のダイヤフラムスプリング17は、プレッシャプレート16を解除位置P2へ付勢する。
クラッチレリーズ装置19は、例えば、ドライバーの操作に応じて、油圧又は電磁力によりダイヤフラムスプリング17の内レバー部71を押すことで、加圧状態S1にあるダイヤフラムスプリング17を解放状態S2に変化させる。すなわち、クラッチレリーズ装置19は、ダイヤフラムスプリング17を押すことで、プレッシャプレート16を係合位置P1から解除位置P2に移動させる。
摩擦部材20及び板バネ21は、ダンパ装置5にヒステリシスを生じさせる。摩擦部材20は、軸方向において、クラッチディスク12と第1のクラッチハブ13との間に介在する。複数の摩擦部材20は、二つのディスクプレート42にそれぞれ取り付けられ、第1のクラッチハブ13に接触して摩擦力を生じさせる。
板バネ21は、一方の摩擦部材20と一方のディスクプレート42との間に介在する。板バネ21は、摩擦部材20を第1のクラッチハブ13に向かって押す。板バネ21は、摩擦部材20と第1のクラッチハブ13との間に生じる摩擦力を大きくする。
質量体22は、軸方向において、第2のクラッチハブ14の摩擦部材57と、ダイヤフラムスプリング17との間に位置する。さらに、図2に示すように、質量体22は、保持プレート62の延部62bよりも径方向内側に位置する。質量体22は、ディスク75と、軸受77とを有する。
ディスク75は、径方向に広がる略円環状に形成される。ディスク75は、第4の摩擦面75aを有する。第4の摩擦面75aと、摩擦部材57の第2の摩擦面57aとは、互いに向かい合う。
軸受77は、例えば、玉軸受である。なお、軸受77は、ころ軸受のような他の軸受であっても良い。軸受77は、ディスク75の外周部に取り付けられる。軸受77は、ディスク75と保持プレート62の延部62bとの間に介在する。
ディスク75の径方向内側に、第2のクラッチハブ14のハブ55が配置される。ディスク75の内周部は、ハブ55から離間する。このため、質量体22は、第2のクラッチハブ14に対して移動可能である。
保持プレート62の複数の延部62bは、質量体22の外周部を形成する軸受77に接触し、質量体22を、第2のクラッチハブ14に対して中心軸Axまわりに回転可能且つ軸方向に移動可能に支持する。複数の延部62bは、質量体22が第2のクラッチハブ14に対して径方向に移動することを制限する。複数の延部62bは、質量体22の中心を中心軸Axに一致させるよう、質量体22を位置決めする。
質量体22は、軸方向において、摩擦部材57の第2の摩擦面57aと、保持プレート62の掛部62cとの間に位置する。このため、質量体22は、第2の摩擦面57aと掛部62cとの間において、第2のクラッチハブ14に対して軸方向に移動可能である。なお、軸方向において、第2の摩擦面57aと掛部62cとの間の距離が質量体22の厚さ以下である場合、質量体22の軸方向における移動は制限される。
質量体22は、図1及び図2に示す係合位置P3と、図3に示す解除位置P4とに、軸方向に沿って移動可能である。図2に示すように、係合位置P3において、質量体22の第4の摩擦面75aが、第2のクラッチハブ14の第2の摩擦面57aに回転を伝達可能に押し付けられる。
例えばプレッシャプレート16が係合位置P1にある場合、第2の摩擦面57aと掛部62cとの間の距離が、質量体22の厚さ以下となる。このため、ダイヤフラムスプリング17に押されるプレッシャプレート16の掛部62cは、軸受77に接触し、質量体22を第2の摩擦面57aに向かって押し付ける。すなわち、ダイヤフラムスプリング17は、プレッシャプレート16を介して、質量体22を係合位置P3へ付勢する。
係合位置P3における質量体22の第4の摩擦面75aは、第2のクラッチハブ14の第2の摩擦面57aに接触する。さらに、係合位置P3における質量体22の軸受77は、係合位置P1に位置するプレッシャプレート16の掛部62cに接触する。このため、質量体22は、第2のクラッチハブ14とプレッシャプレート16とによって挟持される。
エンジンの回転がフライホイール4、クラッチディスク12、ダンパスプリング15、及び第1のクラッチハブ13を介してインプットシャフト3に伝達されると、第4の摩擦面75aと第2の摩擦面57aとの間の摩擦力により、質量体22が回転させられる。このため、インプットシャフト3、第1のクラッチハブ13、第2のクラッチハブ14、及び質量体22が一体的に回転する。質量体22は、インプットシャフト3に慣性モーメントを付与する。
図3に示すように、解除位置P4において、質量体22は、第2のクラッチハブ14の第2の摩擦面57aから離間する。これにより、質量体22は、第1のクラッチハブ13、第2のクラッチハブ14、及びインプットシャフト3に対して中心軸Axまわりに回転可能となる。すなわち、インプットシャフト3から質量体22の慣性モーメントが除去される。
例えばプレッシャプレート16が解除位置P2にある場合、第2の摩擦面57aと掛部62cとの間の距離が、質量体22の厚さよりも長くなる。このため、質量体22は、第2のクラッチハブ14に対して軸方向に移動可能となり、第2の摩擦面57aから離間できる。
動力伝達機構1には、以上述べたフランジ部56、摩擦部材57、クッションスプリング58、及びディスク75を有する補助クラッチC2が設けられる。補助クラッチC2は、質量体22が係合位置P3に配置されることにより係合し、質量体22と第2のクラッチハブ14とを互いに回転を伝達可能に接続する。補助クラッチC2は、質量体22が解除位置P4に配置されることにより係合解除し、質量体22と第2のクラッチハブ14とを切り離す。
図4は、第1の実施形態の非挿入状態における中間部材23の一例を示す斜視図である。図5は、第1の実施形態の第2のクラッチハブ14と中間部材23との一例を示す正面図である。
中間部材23は、例えば、バネ鋼又は合成ゴムのような弾性を有する材料によって作られる。図4に示すように、中間部材23は、環状部81と、複数の爪82とを有する。爪82は、係合部の一例である。
環状部81は、自然状態において、周方向に進むに従って中心軸Axに近付き又は中心軸Axから遠ざかる波形の略円環状に形成される。環状部81は、例えばインプットシャフト3が第1のクラッチハブ13の第1の挿通孔54と第2のクラッチハブ14の第2の挿通孔59とから外れた状態(非挿入状態)においても、波形の略円環状を呈する。なお、環状部81は、この例に限られない。環状部81は、複数の被保持部81aと、複数の可動部81bとを有する。
被保持部81aは、自然状態及び非挿入状態において径方向外側に凸な略円弧状に曲げられた環状部81の一部である。可動部81bは、自然状態及び非挿入状態において径方向内側に凸な略円弧状に曲げられた環状部81の一部である。複数の被保持部81aと複数の可動部81bとは、周方向に交互に設けられる。
図5に示すように、被保持部81aは、第2のクラッチハブ14のハブ55に保持される。すなわち、第1の実施形態において、第2のクラッチハブ14が一方のクラッチハブの一例である。
例えば、ハブ55は、軸方向に突出するとともに周方向に配置された複数の突起55cを有する。複数の突起55cが、複数の被保持部81aに径方向内側から接触する。これにより、被保持部81aが第2のクラッチハブ14に保持される。なお、被保持部81aはこの例に限らず、例えば、接着により第2のクラッチハブ14に保持されても良い。
被保持部81aの少なくとも一部は、内側ハブ51のスプライン部51aの底よりも径方向外側に位置する。また、被保持部81aの少なくとも一部は、ハブ55のスプライン部55aの底よりも径方向外側に位置する。
非挿入状態における可動部81bの少なくとも一部は、内側ハブ51のスプライン部51aの底よりも径方向内側に位置する。また、非挿入状態における可動部81bの少なくとも一部は、ハブ55のスプライン部55aの底よりも径方向内側に位置する。図5において、非挿入状態における可動部81bが実線で示される。
さらに、非挿入状態における可動部81bの少なくとも一部は、中心軸Axとの間の距離が、中心軸Axとインプットシャフト3の係止部3aの外周部との間の距離よりも小さい位置にある。中心軸Axとインプットシャフト3の係止部3aの外周部との間の距離は、シャフトの半径の一例である。
被保持部81aは、当該被保持部81aの径方向内側にスプライン部51a,55aを形成する溝が位置するように、ハブ55に保持される。非挿入状態における可動部81bは、スプライン部51a,55aを形成する溝と軸方向に並ぶ。
上述のように、インプットシャフト3は、第1のクラッチハブ13の第1の挿通孔54と、第2のクラッチハブ14の第2の挿通孔59とに挿入される。中心軸Axとインプットシャフト3の係止部3aの外周部との間の距離は、非挿入状態における可動部81bと中心軸Axとの間の距離よりも大きい。このため、インプットシャフト3が第1の挿通孔54及び第2の挿通孔59に挿通され、インプットシャフト3が第1のクラッチハブ13と第2のクラッチハブ14とを保持した状態(挿入状態)において、インプットシャフト3の係止部3aが可動部81bを径方向に弾性的に拡大させる。
弾性的に拡大された可動部81bは、スプライン部51a,55aの底よりも径方向外側に位置する。別の表現によれば、挿入状態において、可動部81bは、中心軸Axとの間の距離が、中心軸Axとインプットシャフト3の係止部3aの外周部との間の距離以上の位置にある。図5において、挿入状態における可動部81bが二点鎖線で示される。挿入状態における可動部81bは、例えば、係止部3aの外周部に接触し、係止部3aの外周部に沿った位置にある。
インプットシャフト3が第1の挿通孔54及び第2の挿通孔59に挿通されることで、環状部81は、インプットシャフト3を径方向に囲む。言い換えると、インプットシャフト3は、環状部81の径方向内側に位置する。
図4に示すように、爪82は、可動部81bに接続される。複数の爪82は、周方向に略等間隔に配置される。複数の爪82の数は、複数の可動部81bの数よりも少なくても良い。爪82は、起立部82aと、先端部82bとを有する。起立部82aは、可動部81bから、略径方向外側に延びる。先端部82bは、起立部82aの端部から、径方向内側に突出する。
図2に示すように、可動部81bが径方向に弾性的に拡大される挿入状態において、中間部材23は、第1のクラッチハブ13から離間している。例えば、挿入状態において、爪82は、第1のクラッチハブ13から離間する。すなわち、第1の実施形態において、第1のクラッチハブ13が他方のクラッチハブの一例である。これにより、第1のクラッチハブ13がインプットシャフト3に対して軸方向に移動したとき、第1のクラッチハブ13が爪82に接触することが抑制される。挿入状態において、環状部81も第1のクラッチハブ13から離間する。
爪82の先端部82bは、第1のクラッチハブ13の内側ハブ51から離間した位置で、内側ハブ51の外周面に向く。すなわち、複数の爪82の先端部82bの内径は、内側ハブ51の外径よりも大きい。
先端部82bは、第1のクラッチハブ13の内側ハブ51に設けられた凹部51cに面する。凹部51cは、内側ハブ51の外周面に設けられ、径方向外側に開く。凹部51cは、例えば、周方向に延びる溝である。
以上説明された動力伝達機構1の製造過程において、例えば、フライホイール4とダンパ装置5とが組み合わされた状態で、第1の挿通孔54及び第2の挿通孔59にインプットシャフト3が挿入される。以下、インプットシャフト3の挿入について詳しく例示する。
図6は、第1の実施形態のインプットシャフト3の挿入前の動力伝達機構1の一例を示す断面図である。図6に示すように、インプットシャフト3が第1の挿通孔54及び第2の挿通孔59に挿入される前の非挿入状態において、中間部材23は、第1のクラッチハブ13に第2のクラッチハブ14を保持する。言い換えると、中間部材23は、非挿入状態において、第1のクラッチハブ13及び第2のクラッチハブ14が径方向、軸方向、及び周方向に相対的に移動することを制限する。なお、第1のクラッチハブ13及び第2のクラッチハブ14は、周方向に相対的に移動可能であっても良い。
非挿入状態における可動部81b及び爪82の位置は、挿入状態における可動部81b及び爪82の位置よりも、径方向内側にある。非挿入状態において、複数の爪82の先端部82bは、内側ハブ51の凹部51cに嵌められる。これにより、複数の爪82は、第1のクラッチハブ13が第2のクラッチハブ14に対して径方向、軸方向、及び周方向に移動することを制限する。
中間部材23は、第1のクラッチハブ13の第1の挿通孔54の中心と、第2のクラッチハブ14の第2の挿通孔59の中心とを、中心軸Axに一致させるよう、第1のクラッチハブ13及び第2のクラッチハブ14を位置決めする。さらに、中間部材23は、内側ハブ51のスプライン部52cの溝と、ハブ55のスプライン部55aの溝と、が軸方向に並ぶように、第1のクラッチハブ13及び第2のクラッチハブ14を位置決めする。
インプットシャフト3は、位置決めされた第1のクラッチハブ13及び第2のクラッチハブ14の、第1の挿通孔54及び第2の挿通孔59に挿入される。例えば、インプットシャフト3は、スナップリング3cが径方向に縮小された状態で、第2のクラッチハブ14の第2の挿通孔59に挿入される。このとき、インプットシャフト3の係止部3aがハブ55のスプライン部55aに嵌められる。これにより、ハブ55とインプットシャフト3とが互いに回転を伝達可能となる。
図2に示すように、第2の挿通孔59に挿入されるインプットシャフト3は、第2のクラッチハブ14に対して、インプットシャフト3の溝3dとハブ55の溝55bとが向かい合う位置に到達する。これにより、スナップリング3cは、弾性的に復元してハブ55の溝55bに嵌り、インプットシャフト3と第2のクラッチハブ14との軸方向における相対的な移動を制限する。
一方、インプットシャフト3の先端が第2の挿通孔59を通過すると、当該インプットシャフト3は、中間部材23の可動部81bに接触する。インプットシャフト3は、当該インプットシャフト3の先端部に向かって径が縮小するテーパ部3eを有する。係止部3aにもテーパ部3eが設けられる。テーパ部3eが可動部81bを径方向外側に押すことで、可動部81bが径方向に弾性的に拡大される。
可動部81bが径方向に弾性的に拡大されると、可動部81bに接続される爪82が、径方向外側に移動させられる。これにより、爪82の先端部82bが内側ハブ51の凹部51cから外れ、爪82が第1のクラッチハブ13から離間する。これにより、第1のクラッチハブ13は、第2のクラッチハブ14に対して軸方向に移動可能となる。第1のクラッチハブ13から離間した爪82の先端部82bは、第1のクラッチハブ13から径方向外側に離間した位置で、凹部51cに面する。
インプットシャフト3は、可動部81bを径方向に拡大させながら環状部81を通過し、第1のクラッチハブ13の第1の挿通孔54に挿入される。このとき、インプットシャフト3の係止部3aが内側ハブ51のスプライン部51aに嵌められる。これにより、内側ハブ51とインプットシャフト3とが互いに回転を伝達可能となる。
以上説明された動力伝達機構1では、クラッチC1と補助クラッチC2とが連動して係合及び解除される。以下、クラッチC1及び補助クラッチC2の係合及び解除について、具体的に例示する。
ドライバーがクラッチレリーズ装置19を操作していない場合、クラッチレリーズ装置19が内レバー部71を押さず、ダイヤフラムスプリング17が加圧状態S1となる。加圧状態S1のダイヤフラムスプリング17に押されたプレッシャプレート16は、係合位置P1に配置され、クラッチディスク12をフライホイール4に回転を伝達可能に押し付ける。これにより、クラッチC1が係合し、クラッチディスク12とフライホイール4とが一体的に回転可能となる。
プレッシャプレート16が係合位置P1に位置するとき、保持プレート62の掛部62cは、質量体22の軸受77に接触し、質量体22を押す。ダイヤフラムスプリング17は、プレッシャプレート16の掛部62cを介して質量体22を係合位置P3に付勢し、質量体22のディスク75を第1のクラッチハブ13の第2の摩擦面57aに回転を伝達可能に押し付ける。これにより、補助クラッチC2が係合し、質量体22のディスク75と第2のクラッチハブ14とが一体的に回転可能となる。
プレッシャプレート16は、フライホイール4、クラッチカバー11、及びクラッチディスク12と一体的に回転可能である。一方、クラッチディスク12と第1のクラッチハブ13とは、中心軸Axまわりに相対的に回転可能である。このため、第1のクラッチハブ13と一体回転するインプットシャフト3、第2のクラッチハブ14、及びディスク75と、プレッシャプレート16の保持プレート62との間にトルクが発生することがある。しかし、ディスク75と保持プレート62との間に軸受77が介在するため、ディスク75と保持プレート62とは、中心軸Axまわりに相対的に回転する。
図3に示すように、ドライバーがクラッチレリーズ装置19を操作すると、クラッチレリーズ装置19が内レバー部71を押す。内レバー部71が押されることで、ダイヤフラムスプリング17は弾性変形し、加圧状態S1から解放状態S2に変化する。解放状態S2のダイヤフラムスプリング17に引っ張られたプレッシャプレート16は、係合位置P1から解除位置P2に移動する。
プレッシャプレート16が解除位置P2に移動すると、プレッシャプレート16がクラッチディスク12のクラッチフェーシング45から離間する。これにより、プレッシャプレート16がフライホイール4から離間可能となる。例えば、クラッチフェーシング45の溝を流れる空気がプレッシャプレート16を軸方向に押し、プレッシャプレート16がフライホイール4から離間する。これにより、クラッチC1が係合解除し、クラッチディスク12とフライホイール4とを切り離す。
プレッシャプレート16が係合位置P1から解除位置P2に移動すると、プレッシャプレート16の掛部62cが質量体22から離間する。これにより、質量体22が第2のクラッチハブ14から離間可能となる。例えば、第2の摩擦面57aの溝を流れる空気が質量体22を軸方向に押し、質量体22が係合位置P3から解除位置P4に移動して第1のクラッチハブ13から離間する。なお、保持プレート62の延部62bが質量体22を保持し、係合位置P3から解除位置P4へ移動させても良い。これにより、補助クラッチC2が係合解除し、質量体22と第2のクラッチハブ14とを切り離す。
図1に示すように、ドライバーがクラッチレリーズ装置19の操作を解除すると、ダイヤフラムスプリング17が加圧状態S1に戻り、プレッシャプレート16を係合位置P1に移動させる。これに伴い、保持プレート62の掛部62cが質量体22を係合位置P3に移動させる。これにより、クラッチC1及び補助クラッチC2が再度係合する。
以上説明された第1の実施形態に係る動力伝達機構1において、第2のクラッチハブ14は、第1のクラッチハブ13とともにインプットシャフト3と一体的に回転可能に当該インプットシャフト3に保持され、インプットシャフト3に対して軸方向に移動することを制限される。質量体22は、プレッシャプレート16が係合位置P1にある場合に、第2のクラッチハブ14に回転を伝達可能に押し付けられる。すなわち、質量体22が軸方向に作用させる荷重は、インプットシャフト3に対して軸方向に略固定された第2のクラッチハブ14によって受け止められる。これにより、第1のクラッチハブ13に軸方向の荷重が作用することが抑制される。従って、例えば、第1のクラッチハブ13とクラッチディスクとの間に摩擦が発生して動力伝達機構1におけるエンジンの回転変動に対する減衰性能が低下することが抑制される。
中間部材23は、インプットシャフト3が第1のクラッチハブ13及び第2のクラッチハブ14から外れた非挿入状態で、第1のクラッチハブ13及び第2のクラッチハブ14が径方向及び軸方向に相対的に移動することを制限する。これにより、インプットシャフト3が第1のクラッチハブ13及び第2のクラッチハブ14に挿入される前、第1のクラッチハブ13及び第2のクラッチハブ14が相対的に移動して第1のクラッチハブ13及び第2のクラッチハブ14の第1の挿通孔54及び第2の挿通孔59がずれることが抑制される。従って、インプットシャフト3を第1のクラッチハブ13及び第2のクラッチハブ14に容易に挿入することができる。
被保持部81aが第1のクラッチハブ13及び第2のクラッチハブ14のうち一方のクラッチハブに保持される。可動部81bは、非挿入状態において中心軸Axのとの間の距離が、中心軸Axとインプットシャフト3の係止部3aの外周部との間の距離よりも小さい位置にある。可動部81bは、挿入状態において中心軸Axとの間の距離が中心軸Axとインプットシャフト3の係止部3aの外周部との間の距離以上の位置にある。可動部81bに接続された爪82は、非挿入状態において一方のクラッチハブと他方のクラッチハブとが径方向及び軸方向に相対的に移動することを制限可能な位置にあり、挿入状態において他方のクラッチハブから離間した位置にある。すなわち、インプットシャフト3が第1のクラッチハブ13及び第2のクラッチハブ14に挿入される前、爪82は、第1のクラッチハブ13及び第2のクラッチハブ14が相対的に移動し、第1のクラッチハブ13及び第2のクラッチハブ14の第1の挿通孔54及び第2の挿通孔59がずれることを抑制する。従って、インプットシャフト3を第1のクラッチハブ13及び第2のクラッチハブ14に容易に挿入することができる。
スナップリング3cは、インプットシャフト3の外周面3bよりも径方向内側に弾性的に移動可能に当該外周面3bから突出し、第2のクラッチハブ14の径方向内側に開く溝55bに嵌められ、インプットシャフト3に対して第2のクラッチハブ14が軸方向に移動することを制限する。これにより、インプットシャフト3と第2のクラッチハブ14との軸方向における相対的な移動を容易に制限できる。さらに、インプットシャフト3が回転するとき、遠心力が溝55bに入る方向にスナップリング3cに作用する。このため、スナップリング3cが遠心力により溝55bから外れることが抑制される。
例えば、第1のクラッチハブ13には、プレッシャプレート16、クラッチディスク12、及びダンパスプリング15を通して荷重が入力される。一方、第2のクラッチハブ14には、質量体22を通して荷重が入力される。このように、荷重の入力経路の違いにより、第1のクラッチハブ13と第2のクラッチハブ14とが僅かに周方向に相対的に移動する(捩れる)ことがある。この場合、第1のクラッチハブ13と第2のクラッチハブ14とが軸方向に互いに離間するため、第1のクラッチハブ13と第2のクラッチハブ14との間で摩擦が生じることが抑制される。
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態について、図7及び図8を参照して説明する。なお、以下の複数の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
図7は、第2の実施形態に係る係合状態の動力伝達機構1の一例を示す断面図である。図7に示すように、第2の実施形態において、中間部材23の環状部81の被保持部81aは、第1のクラッチハブ13の内側ハブ51に保持される。すなわち、第2の実施形態において、第1のクラッチハブ13が一方のクラッチハブの一例である。
例えば、内側ハブ51は、軸方向に突出するとともに周方向に等間隔に配置された複数の突起51dを有する。複数の突起51dが、複数の被保持部81aに径方向内側から接触する。これにより、被保持部81aが第1のクラッチハブ13に保持される。なお、被保持部81aはこの例に限らず、例えば、接着により第1のクラッチハブ13に保持されても良い。
第2の実施形態において、爪82は、第2のクラッチハブ14から離間する。すなわち、第2の実施形態において、第2のクラッチハブ14が他方のクラッチハブの一例である。
爪82の先端部82bは、第2のクラッチハブ14のハブ55から離間した位置で、ハブ55の外周面に向く。先端部82bは、ハブ55に設けられた凹部55dに面する。凹部55dは、ハブ55の外周面に設けられ、径方向外側に開く。凹部55dは、例えば、周方向に延びる溝である。
図8は、第2の実施形態のインプットシャフト3の挿入前の動力伝達機構1の一例を示す断面図である。図8に示すように、複数の爪82の先端部82bは、インプットシャフト3が第1のクラッチハブ13及び第2のクラッチハブ14から外れた非挿入状態で、ハブ55の凹部55dに嵌められる。これにより、複数の爪82は、第2のクラッチハブ14が第1のクラッチハブ13に対して径方向、軸方向、及び周方向に移動することを制限する。
以上説明された第2の実施形態の動力伝達機構1において、環状部81の被保持部81aは、第1のクラッチハブ13に保持される。爪82は、第2のクラッチハブ14から離間し、インプットシャフト3が第1のクラッチハブ13及び第2のクラッチハブ14から外れた非挿入状態で、第1のクラッチハブ13と第2のクラッチハブ14とが径方向及び軸方向に相対的に移動することを制限可能な位置にある。第1の実施形態及び第2の実施形態のように、被保持部81aは、第1のクラッチハブ13と第2のクラッチハブ14のうち一方のクラッチハブに保持される。また、爪82は、非挿入状態で、第1のクラッチハブ13及び第2のクラッチハブ14のうち他方のクラッチハブが一方のクラッチハブに対して径方向及び軸方向に移動することを制限可能な位置にある。
(第3の実施形態)
以下に、第3の実施形態について、図9を参照して説明する。図9は、第3の実施形態に係る第2のクラッチハブ14と中間部材23との一例を示す正面図である。図9に示すように、第3の実施形態の中間部材23の環状部81は皿バネである。環状部81は、被保持部81aと、可動部81bとを有する。
第3の実施形態において、被保持部81aは、略円環状に形成される。被保持部81aは、内側ハブ51のスプライン部51aの底よりも径方向外側に位置する。また、被保持部81aは、ハブ55のスプライン部55aの底よりも径方向外側に位置する。
可動部81bは、略軸方向に延びる複数のスリット81cにより周方向に分割され、被保持部81aから遠ざかるに従って縮小する略円筒(円錐台)状に形成される。自然状態及び非挿入状態における可動部81bの少なくとも一部は、内側ハブ51のスプライン部51aの底よりも径方向内側に位置する。また、自然状態及び非挿入状態における可動部81bの少なくとも一部は、ハブ55のスプライン部55aの底よりも径方向内側に位置する。さらに、非挿入状態における可動部81bの少なくとも一部は、中心軸Axとの間の距離が、中心軸Axとインプットシャフト3の係止部3aの外周部との間の距離よりも小さい位置にある。
図10は、第3の実施形態の動力伝達機構1の一例の一部を拡大して示す断面図である。図10に示すように、インプットシャフト3が第1の挿通孔54及び第2の挿通孔59に挿通された挿入状態において、インプットシャフト3の係止部3aが可動部81bを径方向に弾性的に拡大させる。スリット81cが設けられることで、可動部81bは、径方向に容易に拡大できる。
爪82は、被保持部81aから軸方向に離間した位置で、可動部81bに接続される。挿入状態において、爪82は、第1のクラッチハブ13から離間する。挿入状態における爪82の位置は、非挿入状態における爪82の位置よりも、径方向外側にある。
以上説明された第3の実施形態に示すように、環状部81の形状は、第1の実施形態のような波形の略円環状に限られない。環状部81は、第3の実施形態のような皿バネ状であっても良いし、例えば、周方向に延びる略C字状であっても良い。
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態及び変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態や変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各実施形態や各変形例の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。