JP2002340018A - 多板式クラッチ - Google Patents

多板式クラッチ

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JP2002340018A
JP2002340018A JP2001142358A JP2001142358A JP2002340018A JP 2002340018 A JP2002340018 A JP 2002340018A JP 2001142358 A JP2001142358 A JP 2001142358A JP 2001142358 A JP2001142358 A JP 2001142358A JP 2002340018 A JP2002340018 A JP 2002340018A
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outer peripheral
plate
gear
clutch
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JP2001142358A
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Masato Tateuchi
真人 建内
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HKS Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多板式クラッチのクラッチハブダンパにおい
て、外周ギアから内周ギアに作用する過大トルクによっ
てそれらの間のトルク伝達部材(固定部材)が破損して
も、該ダンパの形状を保持すること。 【解決手段】 多板式クラッチ10のクラッチハブダン
パ50であって、外周ギア51に外側固定部材55を介
してプレート53、54を軸方向で固定し、該プレート
53、54に内側固定部材56を介して内周ギア52を
軸方向で固定し、外周ギア51に設けた長孔51Aの範
囲内で外側固定部材55をそれらギア51、52の周方
向で移動可能とし、外周ギア51に設けたスプリング収
容部51Bと、プレート53、54の該スプリング収容
部51Bに対応する位置に設けたスプリング収容窓53
E、54Eに、コイルスプリング57をそれらギア5
1、52の周方向で弾発可能に収容したもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動車に用いられて
好適な多板式クラッチに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、多板式クラッチにおいて、トラン
スミッションのギア破損等を防止するため、衝撃的トル
クを吸収するクラッチハブダンパを有してなるものがあ
る。クラッチハブダンパ100は、図7に示す如く、エ
ンジンの側にクラッチディスクを介して結合された外周
ギア101と、トランスミッションの入力軸に結合され
た内周ギア102との間でトルクを伝達可能とする。
【0003】クラッチハブダンパ100は、より詳しく
は、外周ギア101の両側に固定部材103を介してプ
レート104を軸方向で固定し、かつ外周ギア101に
設けた長孔105の範囲内で固定部材103を周方向で
移動可能とし、両側のプレート104により外周101
と内周ギア102を挟み込む。そして、外周ギア101
に設けた四角孔状のスプリング収容部106と、プレー
ト104のスプリング収容部106に対応する位置に設
けたスプリング収容窓107に、コイルスプリング10
8を周方向で弾発可能に収容している。これにより、ク
ラッチハブダンパ100では、一定値以下のトルクはコ
イルスプリング108のたわみ変形を介して伝達し、一
定値を越えるトルクは固定部材103と長孔105との
衝合を介して伝達し、結果としてトルク変動を吸収可能
とする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来技術には以下の問
題点がある。 外周ギア101から内周ギア102に急激に過剰なト
ルクが作用すると、固定部材103が破損することがあ
る。この場合には、外周ギア101とプレート104が
軸方向で分離し、外周ギア101と内周ギア102が両
側のプレート104で挟み込まれなくなって分解してし
まい、コイルスプリング108がスプリング収容部10
6、スプリング収容窓107から脱落してしまうし、固
定部材103によるトルクの伝達も不能になる。この結
果、エンジンの出力が伝達されなくなり、車両の走行が
不能になる。
【0005】クラッチハブダンパ100のトルク伝達
時には、コイルスプリング108がたわんで該クラッチ
ハブダンパ100の内方側に胴曲がりし、このコイルス
プリング108の胴曲がり部分がスプリング収容部10
6やスプリング収容窓107の縁に当たってコイルスプ
リング108の寿命を損なう。
【0006】車種によってトランスミッションの入力
軸の長さが異なり、入力軸への内周ギア102の結合部
が軸方向に移動(オフセット)したとき、内周ギア10
2がフライホイール等に干渉することを防ぐため、オフ
セット量に応じてクラッチハブ(内周ギア102)を用
意する必要がある。従って、内周ギア102(クラッチ
ハブ)を車種毎の専用部品として用意する必要がある。
【0007】本発明の課題は、多板式クラッチのクラッ
チハブダンパにおいて、外周ギアから内周ギアに作用す
る過大トルクによってそれらの間のトルク伝達部材(固
定部材)が破損しても、該ダンパの形状を保持すること
にある。
【0008】本発明の他の課題は、クラッチダンパを構
成するコイルスプリングの寿命を向上することにある。
【0009】本発明の他の課題は、車種によりトランス
ミッションの入力軸の長さが異なり、入力軸への内周ギ
アの結合部が軸方向に移動しても、内周ギアの共用化を
図ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、エン
ジンの側にクラッチディスクを介して結合された外周ギ
アと、トランスミッションの側に結合された内周ギアと
の間でトルクを伝達可能とするクラッチハブダンパを有
してなる多板式クラッチにおいて、クラッチハブダンパ
が、外周ギアに外側固定部材を介してプレートを軸方向
で固定し、該プレートに内側固定部材を介して内周ギア
を軸方向で固定し、外周ギアと内周ギアの一方に設けた
長孔の範囲内で外側固定部材と内側固定部材の一方をそ
れらギアの周方向で移動可能とし、外周ギアと内周ギア
の一方に設けたスプリング収容部と、プレートの該スプ
リング収容部に対応する位置に設けたスプリング収容窓
に、コイルスプリングをそれらギアの周方向で弾発可能
に収容し、一定値以下のトルクはコイルスプリングのた
わみ変形を介して伝達し、一定値を越えるトルクは外側
固定部材と内側固定部材の一方と長孔との衝合を介して
伝達するようにしたものである。
【0011】請求項2の発明は、請求項1の発明におい
て更に、前記長孔を外周ギアに設け、該長孔の範囲内で
外側固定部材を移動可能とし、内周ギアに対する内側固
定部材の結合強度を、外周ギアに対する外側固定部材の
結合強度より大きくしたものである。
【0012】請求項3の発明は、請求項1又は2の発明
において更に、前記外周ギアに設けたスプリング収容部
を該ギアの内周側で開口し、該開口部を内周ギアの外周
面で閉塞してなるようにしたものである。
【0013】請求項4の発明は、請求項3の発明におい
て更に、前記外周ギアに設けたスプリング収容部の開口
部の両側部に、コイルスプリングの両端部を保持可能と
する折り返し部を設けたものである。
【0014】請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれ
かの発明において更に、前記プレートに設けたスプリン
グ収容窓の外縁部に張り出し部を設けたものである。
【0015】請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれ
かの発明において更に、前記プレートの外周ギアの側面
と接する側面に突部を設けたものである。
【0016】請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれ
かの発明において更に、前記プレートの側面と内周ギア
の側面との間にスペーサを介装したものである。
【0017】
【作用】請求項1の発明によれば下記の作用がある。 外周ギアと内周ギアのそれぞれを、外側固定部材と内
側固定部材のそれぞれによりプレートに結合した。従っ
て、万一の急激な過大トルクより一方の固定部材が破断
しても、他方の固定部材の存在によりクラッチハブダン
パ(外周ギア、内周ギア、プレート、コイルスプリン
グ)の形状は保持され、コイルスプリングがスプリング
収容部やスプリング収容窓から脱落することがなく、コ
イルスプリングを介してトルクの伝達を継続できる。こ
れにより、クラッチハブダンパの構成部品が飛散してエ
ンジンの出力が伝達されなくなることを回避し、車両の
走行が不能になることを回避できる。
【0018】請求項2の発明によれば下記の作用があ
る。 外周ギアに設けた長孔の範囲内で移動できる外側固定
部材の外周ギアとの結合強度より、内側固定部材の内周
ギアとの結合強度を大きくした。従って、万一の急激な
過大トルクにより外側固定部材が破損しても、内側固定
部材の存在によりクラッチダンパの形状を安定的に保持
できる。
【0019】請求項3の発明によれば下記の作用があ
る。 外周ギアに設けたスプリング収容部を該ギアの内周側
で開口し、該開口部を内周ギアの外周面で閉塞した。従
って、外周ギアのスプリング収容部を四角孔状にするも
のに比して、外周ギアの直径を小さくでき、小型化でき
る。
【0020】請求項4の発明によれば下記、の作用
がある。 外周ギアに設けたスプリング収容部の開口部の両側部
に、コイルスプリングの両端部を保持可能とする折り返
し部を設けた。従って、折り返し部がコイルスプリング
の内方側への位置ずれを防止して該コイルスプリングを
所定の位置に保持できるから、コイルスプリングがトル
クの伝達によってたわみ、内方側に胴曲がりしても、コ
イルスプリングの胴曲がり部分が内周ギアの外周面に接
触することを回避し、コイルスプリングの耐久性を向上
できる。
【0021】折り返し部がコイルスプリングをスプリ
ング収容部の内部の適正位置に保持するから、コイルス
プリングが常に安定したばね力を発揮できる。
【0022】請求項5の発明によれば下記、の作用
がある。 プレートに設けたスプリング収容窓の外縁部に張り出
し部を設けた。従って、張り出し部がプレートの補強リ
ブとなり、プレートの強度を向上できる。
【0023】張り出し部がスプリング収容窓の範囲を
その張り出し方向に拡張する。従って、スプリング収容
窓により大径のコイルスプリングを収容でき、ばね力を
上げ、ダンパトルクを拡大できる。
【0024】請求項6の発明によれば下記の作用があ
る。 外周ギアと内周ギアに固定されるプレートの外周ギア
の側面と接する側面に突部を設けた。従って、車種によ
るトランスミッションの入力軸の長さ変化によって入力
軸への内周ギアの結合部の位置が変化しても、その変化
をプレートに設けた上記突部の寸法によって吸収し、外
周ギアを適正位置に設定できる。このとき、内周ギアは
車種毎に変更することなく、共用化できるものとなる。
【0025】請求項7の発明によれば下記の作用があ
る。 プレートの側面と内周ギアとの側面との間にスペーサ
を介装した。従って、車種によるトランスミッションの
入力軸の長さ変化によって入力軸への内周ギアの結合部
の位置が変化しても、その変化をスペーサの寸法によっ
て吸収し、外周ギアを適正位置に設定できる。このと
き、内周ギアは車種毎に変更することなく、共用化でき
るものとなる。
【0026】
【発明の実施の形態】図1は多板式クラッチを示す断面
図、図2は多板式クラッチを一部破断して示す正面図、
図3はクラッチハブダンパを示す斜視図、図4はクラッ
チハブダンパを示す分解図、図5は図1の要部拡大図、
図6は図2の要部拡大図、図7は従来の多板式クラッチ
を一部破断して示す正面図である。
【0027】自動車用多板式クラッチ10は、図1、図
2に示す如く、エンジンの回転力をトランスミッション
の入力軸12に伝達するものであり、エンジンに接続さ
れたフライホイール11と入力軸12との間に介装され
る。
【0028】フライホイール11の外周部の周方向等間
隔をなす複数位置に立てた支柱13にはクラッチカバー
14が固定される。即ち、フライホイール11と支柱1
3とクラッチカバー14は、ボルト15により一体回転
可能に固定される。クラッチカバー14には、取付部材
16により、フライホイール11の側への加圧力を発生
させる操作部材(ダイヤフラムスプリング)17が取付
けられ、操作部材17の内周端面17Aにはレリーズベ
アリング18が接し、外周端面17Bには後述するプレ
ッシャプレート21が接する。これにより、操作部材1
7は、プレッシャプレート21をフライホイール11の
側に加圧可能とする。尚、取付部材16は、第1ピボッ
トリング16A、第2ピボットリング16B、取付具1
6C、ナット16Dにより構成される。
【0029】クラッチカバー14の内部には、操作部材
17の外周端面17Bと接する突起部21Bを備えたプ
レッシャプレート21が配設される。プレッシャプレー
ト21は外周の周方向複数位置に凹部21Aを備え、こ
の凹部21Aを、前記支柱13の軸方向に移動自在に該
支柱13に係合可能としている。
【0030】クラッチカバー14の内部で、プレッシャ
プレート21よりフライホイール11の側には中間プレ
ート22が配設されている。中間プレート22は、プレ
ッシャプレート21と同様に、外周の周方向複数位置に
凹部22A(不図示)を備え、この凹部22Aを、前記
支軸13の軸方向に移動自在に該支柱13に係合可能と
している。
【0031】トランスミッションの入力軸12はクラッ
チカバー14の内部にまで延在し、フライホイール11
と操作部材17の間の入力軸12にはクラッチハブダン
パ50の内周ギア52の内周ボス部がスプライン結合さ
れている。クラッチハブダンパ50の外周ギア51の外
周ボス部には後述する複数枚のクラッチディスク31、
32が軸方向に移動自在に係合する外歯が設けられてい
る。
【0032】クラッチカバー14の内部で、プレッシャ
プレート21と中間プレート22の間、中間プレート2
2とフライホイール11の間のそれぞれには、クラッチ
ディスク31、32が配設されている。クラッチディス
ク31、32はクラッチハブダンパ50の外周ギア51
の外歯にスプライン結合し、結果として、入力軸12の
軸方向に移動自在に、かつ入力軸12と一体回転可能に
係合する。クラッチディスク31(32も同じ)の両側
面には、摩擦材31A(32A)が接着されている。
【0033】クラッチハブダンパ50の外周ギア51の
外周部に設けたリング溝にはCリング、サークリップ等
の抜け止め部材34が装着され、この抜け止め部材34
には環状位置決め部材35のリング溝が係着している。
位置決め部材35は、クラッチハブダンパ50の外周ギ
ア51に対するクラッチディスク31、32の軸方向へ
の移動範囲を規制する。
【0034】プレッシャプレート21の外周部の周方向
複数位置で中間プレート22と相対する側面には、波形
状板ばね41がリベット41Aにより取着されている。
また、中間プレート22の外周部の周方向複数位置に
は、プレッシャプレート21の板ばね41に相対する側
面に設けられるばね受け板42と、フライホイール11
に相対する側面に設けられる波形状板ばね43とが、リ
ベット43Aにより取着されている。板ばね41は、ば
ね受け板42に衝合し、プレッシャプレート21と中間
プレート22に弾発的離隔力Faを付与する。板ばね4
3は、フライホイール11の側面に衝合し、フライホイ
ール11と中間プレート22に弾発的離隔力Fbを付与
する。このとき、本実施形態ではFa>Fbに設定して
ある。但し、Fa<Fbに設定することもできる。
【0035】クラッチハブダンパ50は、図3〜図6に
示す如く、クラッチディスク31、32と、外歯51D
を介してスプライン結合された外周ギア51と、トラン
スミッションの入力軸12にスプライン結合された内周
ギア52との間でトルクを伝達可能とする。
【0036】クラッチハブダンパ50は、外周ギア51
の両側に外側固定部材55を介してプレート53、54
を軸方向で固定し、プレート53、54の間に内側固定
部材56を介して内周ギア52を軸方向で固定する。プ
レート53、54は、外周ギア51と内周ギア52のそ
れぞれを両側から狭持する。
【0037】外側固定部材55は、外周ギア51に設け
られた長孔51Aと、プレート53、54に設けられた
孔53A、54Aに挿通されて加締め固定され、長孔5
1Aの範囲内で外周ギア51、内周ギア52の周方向に
移動する。
【0038】内側固定部材56は、内周ギア52に設け
られた孔52Aと、プレート53、54に設けられた孔
53B、54Bと、スペーサ58の孔58Aに挿通され
て加締め固定され、プレート53、54と内周ギア52
との間でトルクを伝達する。
【0039】外周ギア51はスプリング収容部51Bを
備え、プレート53、54は外周ギア51のスプリング
収容部51Bに対応する位置にスプリング収容窓53
E、54Eを備え、スプリング収容部51Bとスプリン
グ収容窓53E、54Eにコイルスプリング57を収容
し、コイルスプリング57を外周ギア51、内周ギア5
2の周方向で弾発可能とする。即ち、外周ギア51から
内周ギア52への一定値以下のトルクの伝達時にコイル
スプリング57がたわみ変形し、外周ギア51が内周ギ
ア52に対して周方向にスライドする。プレート53、
54の孔53A、54Aに挿通された外側固定部材55
は、外周ギア51の上述のスライド時に、外周ギア51
に長孔51Aの範囲内で移動し、外周ギア51から内周
ギア52への一定値を越えるトルクは外側固定部材55
と長孔51Aの衝合を介して伝達される。尚、コイルス
プリング57は、トルク伝達力を上げるためにばね力を
増強する必要から、小径のコイルスプリング57Aと大
径のコイルスプリング57Bを同軸配置した二重ばねと
している。
【0040】このとき、内周ギア52とプレート53、
54に対する内側固定部材56の結合強度を、外周ギア
51とプレート53、54に対する外側固定部材55の
結合強度より大きくしている。
【0041】外周ギア51に設けたスプリング収容部5
1Bは該ギア51の内周側で開口し、該開口部を内周ギ
ア52の外周面で閉塞可能としている。また、外周ギア
51に設けたスプリング収容部51Bの開口部の両側部
には、コイルスプリング57の両端部を保持可能とする
折り返し部51Cを設けている。
【0042】プレート53、54に設けたスプリング収
容窓53E、54Eの外縁部には、張り出し部53C、
54Cを設けている。張り出し部53C、54Cは、プ
レート53、54の断面強度を向上し、かつスプリング
収容窓53E、54Eにより大径のコイルスプリング5
7を収容可能とする。
【0043】プレート53、54の外周ギア51の側面
と接する側面には突部53D、54Dを設けている。突
部53D、54Dは、入力軸12の軸方向に対する外周
ギア51の取付位置を調整可能とする。
【0044】プレート53、54の側面と内周ギア52
の側面との間には前述したスペーサ58を介装してあ
る。スペーサ58は、入力軸12の軸方向に対する内周
ギア52の取付位置を調整可能とする。
【0045】以下、多板式クラッチ10の動作について
説明する。 (1)クラッチ接続動作 レリーズレバーの操作によりレリーズベアリング18を
フライホイール11側から離れる方向へ移動することに
より、ダイヤフラムスプリング17の加圧力がプレッシ
ャプレート21をフライホイール11側に加圧するクラ
ッチ接続動作を行なう。
【0046】クラッチの繋がる順序は以下の通りとな
る。ダイヤフラムスプリング17がプレッシャプレート
21と中間プレート22を押し、中間プレート22が1
枚目のクラッチディスク31を押す。板ばね43の弾発
的離隔力Fbの方が板ばね41の弾発的離隔力Faより
大きく設定されているから、プレッシャプレート21と
中間プレート22の間の板ばね41のたわみ変形により
クラッチディスク31がそれらプレッシャプレート2
1、中間プレート22と先に圧接開始される。
【0047】その後、フライホイール11と中間プレー
ト22の間の板ばね43のたわみ変形によりクラッチデ
ィスク32がそれらフライホイール11、中間プレート
22と圧接開始する。これにより、フライホイール11
の回転力が、それらの圧接状態とされたクラッチディス
ク31、32を介して外周ギア51及び内周ギア52を
経てトランスミッションの入力軸12へと伝達される。
【0048】上記のクラッチ接続状態において、クラッ
チハブダンパ50よりトランスミッションの入力軸12
へのトルク伝達は以下の通り行なわれる。
【0049】(トルクが小さい場合)伝達トルクが小さ
い場合には、コイルスプリング57のたわみ変形を通じ
てクラッチディスク31、32、外周ギア51、コイル
スプリング57、プレート53及び54、内周ギア5
2、入力軸12の順にてトルク伝達される。
【0050】(トルクが大きい場合)クラッチが接続さ
れるに従い伝達トルクが大きくなり、コイルスプリング
57がたわみきると、クラッチディスク31及び32よ
り外周ギア、固定部材56、プレート53及び54、内
周ギア52、入力軸12の順にて伝達される。
【0051】(2)クラッチの切断動作 レリーズレバーの操作によりレリーズベアリング18が
フライホイール11側に近づく方向へ移動し、ダイヤフ
ラムスプリング17をトランスミッションの側へ引くこ
とにより、ダイヤフラムスプリング17がプレッシャプ
レート21に加える加圧力を解除し、クラッチ切断動作
を行なう。これにより、フライホイール11の回転力の
入力軸12への伝達は切断される。
【0052】本実施形態によれば、以下の作用がある。 外周ギア51と内周ギア52のそれぞれを、外側固定
部材55と内側固定部材56のそれぞれによりプレート
53、54に結合した。従って、万一の急激な過大トル
クより一方の固定部材(外側固定部材55)が破断して
も、他方の固定部材(内側固定部材56)の存在により
クラッチハブダンパ50(外周ギア51、内周ギア5
2、プレート53、54、コイルスプリング57)の形
状は保持され、コイルスプリング57がスプリング収容
部51Bやスプリング収容窓53E、54Eから脱落す
ることがなく、コイルスプリング57を介してトルクの
伝達を継続できる。これにより、クラッチハブダンパ5
0の構成部品が飛散してエンジンの出力が伝達されなく
なることを回避し、車両の走行が不能になることを回避
できる。
【0053】外周ギア51に設けた長孔51Aの範囲
内で移動できる外側固定部材55の外周ギア51との結
合強度より、内側固定部材56の内周ギア52との結合
強度を大きくした。従って、万一の急激な過大トルクに
より外側固定部材55が破損しても、内側固定部材56
の存在によりクラッチダンパの形状を安定的に保持でき
る。
【0054】外周ギア51に設けたスプリング収容部
51Bを該ギアの内周側で開口し、該開口部を内周ギア
52の外周面で閉塞した。従って、外周ギア51のスプ
リング収容部51Bを四角孔状にするものに比して、外
周ギア51の直径を小さくでき、小型化できる。
【0055】外周ギア51に設けたスプリング収容部
51Bの開口部の両側部に、コイルスプリング57の両
端部を保持可能とする折り返し部51Cを設けた。従っ
て、折り返し部51Cがコイルスプリング57の内方側
への位置ずれを防止して該コイルスプリング57を所定
の位置に保持できるから、コイルスプリング57がトル
クの伝達によってたわみ、内方側に胴曲がりしても、コ
イルスプリング57の胴曲がり部分が内周ギア52の外
周面に接触することを回避し、コイルスプリング57の
耐久性を向上できる。
【0056】折り返し部51Cがコイルスプリング5
7をスプリング収容部51Bの内部の適正位置に保持す
るから、コイルスプリング57が常に安定したばね力を
発揮できる。
【0057】プレート53、54に設けたスプリング
収容窓53E、54Eの外縁部に張り出し部53C、5
4Cを設けた。従って、張り出し部53C、54Cがプ
レート53、54の補強リブとなり、プレート53、5
4の強度を向上できる。
【0058】張り出し部53C、54Cがスプリング
収容窓53E、54Eの範囲をその張り出し方向に拡張
する。従って、スプリング収容窓53E、54Eにより
大径のコイルスプリング57を収容でき、ばね力を上
げ、ダンパトルクを拡大できる。
【0059】外周ギア51と内周ギア52に固定され
るプレート53、54の外周ギア51の側面と接する側
面に突部53D、54Dを設けた。従って、車種による
トランスミッションの入力軸12の長さ変化によって入
力軸12への内周ギア52の結合部の位置が変化して
も、その変化をプレート53、54に設けた上記突部5
3D、54Dの寸法によって吸収し、外周ギア51を適
正位置に設定できる。このとき、内周ギア52は車種毎
に変更することなく、共用化できるものとなる。
【0060】プレート53、54の側面と内周ギア5
2との側面との間にスペーサ58を介装した。従って、
車種によるトランスミッションの入力軸12の長さ変化
によって入力軸12への内周ギア52の結合部の位置が
変化しても、その変化をスペーサ58の寸法によって吸
収し、外周ギア51を適正位置に設定できる。このと
き、内周ギア52は車種毎に変更することなく、共用化
できるものとなる。
【0061】以上、本発明の実施の形態を図面により詳
述したが、本発明の具体的な構成はこの実施の形態に限
られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の
設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0062】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、多板式ク
ラッチのクラッチハブダンパにおいて、外周ギアから内
周ギアに作用する過大トルクによってそれらの間のトル
ク伝達部材(固定部材)が破損しても、該ダンパの形状
を保持することができる。
【0063】また、本発明によれば、クラッチダンパを
構成するコイルスプリングの寿命を向上することができ
る。
【0064】また、本発明によれば、車種によりトラン
スミッションの入力軸の長さが異なり、入力軸への内周
ギアの結合部が軸方向に移動しても、内周ギアの共用化
を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は多板式クラッチを示す断面図である。
【図2】図2は多板式クラッチを一部破断して示す正面
図である。
【図3】図3はクラッチハブダンパを示す斜視図であ
る。
【図4】図4はクラッチハブダンパを示す分解図であ
る。
【図5】図5は図1の要部拡大図である。
【図6】図6は図2の要部拡大図である。
【図7】図7は従来の多板式クラッチを一部破断して示
す正面図である。
【符号の説明】
10 多板式クラッチ 31、32 クラッチディスク 50 クラッチハブダンパ 51 外周ギア 51A 長孔 51B スプリング収容部 51C 折り返し部 52 内周ギア 53、54 プレート 53C、54C 張り出し部 53D、54D 突部 53E、54E スプリング収容窓 55 外側固定部材 56 内側固定部材 57 コイルスプリング 58 スペーサ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの側にクラッチディスクを介し
    て結合された外周ギアと、トランスミッションの側に結
    合された内周ギアとの間でトルクを伝達可能とするクラ
    ッチハブダンパを有してなる多板式クラッチにおいて、 クラッチハブダンパが、外周ギアに外側固定部材を介し
    てプレートを軸方向で固定し、該プレートに内側固定部
    材を介して内周ギアを軸方向で固定し、外周ギアと内周
    ギアの一方に設けた長孔の範囲内で外側固定部材と内側
    固定部材の一方をそれらギアの周方向で移動可能とし、
    外周ギアと内周ギアの一方に設けたスプリング収容部
    と、プレートの該スプリング収容部に対応する位置に設
    けたスプリング収容窓に、コイルスプリングをそれらギ
    アの周方向で弾発可能に収容し、 一定値以下のトルクはコイルスプリングのたわみ変形を
    介して伝達し、一定値を越えるトルクは外側固定部材と
    内側固定部材の一方と長孔との衝合を介して伝達するこ
    とを特徴とする多板式クラッチ。
  2. 【請求項2】 前記長孔を外周ギアに設け、該長孔の範
    囲内で外側固定部材を移動可能とし、内周ギアに対する
    内側固定部材の結合強度を、外周ギアに対する外側固定
    部材の結合強度より大きくした請求項1に記載の多板式
    クラッチ。
  3. 【請求項3】 前記外周ギアに設けたスプリング収容部
    を該ギアの内周側で開口し、該開口部を内周ギアの外周
    面で閉塞してなる請求項1又は2に記載の多板式クラッ
    チ。
  4. 【請求項4】 前記外周ギアに設けたスプリング収容部
    の開口部の両側部に、コイルスプリングの両端部を保持
    可能とする折り返し部を設けた請求項3に記載の多板式
    クラッチ。
  5. 【請求項5】 前記プレートに設けたスプリング収容窓
    の外縁部に張り出し部を設けた請求項1〜4のいずれか
    に記載の多板式クラッチ。
  6. 【請求項6】 前記プレートの外周ギアの側面と接する
    側面に突部を設けた請求項1〜5のいずれかに記載の多
    板式クラッチ。
  7. 【請求項7】 前記プレートの側面と内周ギアの側面と
    の間にスペーサを介装した請求項1〜6のいずれかに記
    載の多板式クラッチ。
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