JP2001263371A - クラッチ装置 - Google Patents

クラッチ装置

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JP2001263371A
JP2001263371A JP2000080386A JP2000080386A JP2001263371A JP 2001263371 A JP2001263371 A JP 2001263371A JP 2000080386 A JP2000080386 A JP 2000080386A JP 2000080386 A JP2000080386 A JP 2000080386A JP 2001263371 A JP2001263371 A JP 2001263371A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クラッチ装置において、エンジンからの曲げ
振動による悪影響を減らす。 【解決手段】 摩擦連結部材6は、第1摩擦面6aと第
2摩擦面6bとを有し、クランクシャフトからトルクが
入力される。第1クラッチディスク組立体7は、第1摩
擦面6aに近接して配置された第1摩擦連結部21を有
し、第1入力シャフト3にトルクを伝達可能である。第
2クラッチディスク組立体8は、第2摩擦面6bに近接
して配置された第2摩擦連結部22を有し、第2入力シ
ャフト4にトルクを伝達可能である。クラッチ操作機構
10は、摩擦連結部材6に装着され内周端がトランスミ
ッション側の部材に支持された第2クラッチカバー71
と、第2クラッチカバー71に支持され第1摩擦連結部
21を摩擦連結部材6に連結及び連結解除させるための
レバー部材53とを有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クラッチ装置、特
に、エンジンのクランクシャフトからトランスミッショ
ンの第1及び第2入力シャフトに対して別々にトルク伝
達・遮断の操作をすることが可能なクラッチ装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】クラッチ装置は、エンジンのクランクシ
ャフトからトランスミッションにトルクを伝達するとと
もに必要に応じてトルク伝達を遮断するための装置であ
り、クランクシャフトに固定されたフライホイールと、
フライホイールの摩擦面に近接した摩擦連結部を有する
クラッチディスク組立体と、フライホイールに固定され
摩擦連結部をフライホイールの摩擦面に付勢するととも
に必要に応じて付勢を解除するクラッチ操作機構とから
構成されている。
【0003】クラッチ装置には、トランスミッションか
ら延びる2本の入力シャフトに対してそれぞれ別々にト
ルクを伝達又はトルク伝達を遮断することが可能なダブ
ルクラッチがある。このようなダブルクラッチは、エン
ジンのクランクシャフトからトルクが入力される摩擦連
結部材を有している。摩擦連結部材の軸方向エンジン側
には第1摩擦面が形成され、軸方向トランスミッション
側には第2摩擦面が形成されている。さらに、第1摩擦
面の近傍には第1クラッチディスク組立体の第1摩擦連
結部が配置されている。第1クラッチディスク組立体は
第1入力シャフトに連結されている。第2摩擦面の近傍
には第2クラッチディスク組立体の第2摩擦連結部が配
置されている。第2クラッチディスク組立体は第2入力
シャフトに連結されている。
【0004】さらに、両クラッチディスク組立体の連結
・連結解除を操作するためのクラッチ操作機構が設けら
れている。クラッチ操作機構は、クラッチカバー、プレ
ッシャープレート、クラッチカバーに支持されプレッシ
ャープレートを摩擦連結部材に付勢する弾性部材等から
なり、摩擦連結部材の軸方向両側に配置されている。を
有している。
【0005】エンジンからのトルク変動を吸収・減衰す
るためのダンパー機構は、例えば摩擦連結部材とエンジ
ン側のクラッチ走査機構との間に配置されている。ダン
パー機構は、一般に、エンジン側の部材に固定された入
力側部材と、クラッチ操作機構側に固定された出力側部
材と、両部材を回転方向に弾性的に連結するための弾性
部材とを有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記従来のクラッチ装
置では、エンジン側のクラッチ操作機構は例えば内周部
がクランクシャフトや他の部材に支持されている。この
ため、エンジンからの曲げ振動がクラッチ装置に入力さ
れると、クラッチ装置全体が曲げ振動の影響を受け、共
振現象を生じさせ易い。
【0007】本発明の目的は、クラッチ操作機構がクラ
ッチディスクの軸方向エンジン側に配置されたクラッチ
装置において、エンジンからの曲げ振動による悪影響を
減らすことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載のクラッ
チ装置は、エンジンのクランクシャフトからトランスミ
ッションの第1及び第2入力シャフトに対して別々にト
ルク伝達・遮断の操作をすることが可能な装置であり、
摩擦連結部材と第1及び第2クラッチディスク組立体と
クラッチ操作機構とを備えている。摩擦連結部材は、軸
方向エンジン側の第1摩擦面と軸方向トランスミッショ
ン側の第2摩擦面とを有し、クランクシャフトからトル
クが入力される。第1クラッチディスク組立体は、第1
摩擦面に近接して配置された第1摩擦連結部を有し、第
1入力シャフトにトルクを伝達可能である。第2クラッ
チディスク組立体は、第2摩擦面に近接して配置された
第2摩擦連結部を有し、第2入力シャフトにトルクを伝
達可能である。クラッチ操作機構は、摩擦連結部材に装
着され内周端がトランスミッション側の部材に支持され
たクラッチカバーと、クラッチカバーに支持され第1摩
擦連結部及び第2摩擦連結部を摩擦連結部材に連結及び
連結解除させるための駆動部材とを有している。
【0009】このクラッチ装置では、クラッチカバーは
内周端がトランスミッション側の部材に支持されてい
る。このように、クラッチ装置において軸方向トランス
ミッション側に配置された部材であるクラッチカバーが
支持されることによって、エンジンからの曲げ振動が入
力された場合であっても装置全体が傾きにくくなってお
り、曲げ振動による共振現象が生じにくくなっている。
【0010】請求項2に記載のクラッチ装置は、請求項
1において、クラッチ操作機構は軸方向に移動可能な軸
受をさらに有している。クラッチカバーの内周面は軸受
の外周面によって支持されている。このクラッチ装置で
は、レリーズベアリングを用いてクラッチカバーを支持
しているため、特別な部材を設ける必要がない。
【0011】請求項3に記載のクラッチ装置では、請求
項2において、軸受は、インナーレースと、アウターレ
ースと、両レース間に配置された複数の転動体とを有し
ている。クラッチカバーの内周面はアウターレースによ
って支持されている。請求項4に記載のクラッチ装置で
は、請求項2又は3において、軸受の外周面に固定さ
れ、クラッチカバーの内周面を軸方向に摺動可能に支持
する外周面を有する筒状部材をさらに備えている。
【0012】このクラッチ装置では、クラッチカバーの
内周面はレリーズベアリングに取り付けられた筒状部材
によって支持されている。請求項5に記載のクラッチ装
置は、請求項1〜4のいずれかにおいて、クラッチ操作
機構は、エンジンからの曲げ振動を吸収するための部材
であり、摩擦連結部材をクランクシャフトに対して連結
するフレキシブルプレートをさらに有している。
【0013】請求項6に記載のクラッチ装置では、請求
項5において、フレキシブルプレートは外周端が摩擦連
結部材に固定され内周端がクランクシャフトに連結され
ている。
【0014】
【発明の実施の形態】第1実施形態 図1に本発明の一実施形態としてのクラッチ装置1の縦
断面概略図を示す。クラッチ装置1は、エンジンのクラ
ンクシャフト2からトランスミッションの第1及び第2
入力シャフト3,4にトルクを伝達及び遮断するための
装置である。図1の左側にエンジン(図示せず)が配置
され、図1の右側にトランスミッション(図示せず)が
配置されている。第1入力シャフト3はトランスミッシ
ョン側から延びる円柱状のシャフトである。第1入力シ
ャフト3の先端はクランクシャフト2の先端近傍まで延
びている。第2入力シャフト4はトランスミッション側
から第1入力シャフト3の回りを延びる概ね筒状のシャ
フトである。第2入力シャフト4の先端は第1入力シャ
フト3より軸方向トランスミッション側に位置してい
る。両入力シャフト3,4の外周面には軸方向に延びる
複数のスプライン歯が形成されている。
【0015】クラッチ装置1は、主に、質量体5と、摩
擦連結部材6と、第1クラッチディスク組立体7と、第
2クラッチディスク組立体8と、第1クラッチ操作機構
9と、第2クラッチ操作機構10とを備えている。質量
体5はクランクシャフト2の先端に固定されている。質
量体5はクランクシャフト2側に大きな慣性モーメント
を確保するための部材である。質量体5は円板状部材1
2と環状部材13とから構成されている。円板状部材1
2は内周端が複数のボルト15によってクランクシャフ
ト2の先端に固定されている。ボルト15は軸方向トラ
ンスミッション側から取り付けられている。円板状部材
12の内周縁は、クランクシャフト2の先端面に形成さ
れた環状突出部2aの外周面に当接している。環状部材
13は円板状部材12の外周端軸方向トランスミッショ
ン側に固定されている。環状部材13は軸方向厚みの大
きいイナーシャ部材である。環状部材13は円周方向に
並んだ複数のボルト16によって円板状部材12に固定
されている。ボルト16は軸方向エンジン側から取り付
けられている。さらに、円板状部材12の外周縁にはエ
ンジン始動用リングギア17が固定されている。なお、
質量体は一体の部材から構成されていてもよい。
【0016】摩擦連結部材6は質量体5の軸方向トラン
スミッション側に間隔をあけて配置された円板状かつ環
状の部材である。摩擦連結部材6の外径は質量体5の外
径とほぼ等しい。但し、摩擦連結部材6の内径は質量体
5の内径より大きい。摩擦連結部材6は、軸方向エンジ
ン側に第1摩擦面6aを有しており、軸方向トランスミ
ッション側に第2摩擦面6bを有している。
【0017】摩擦連結部材6の摩擦面6a,6bより外
周側の部分には、円周方向に並んで複数の軸方向貫通孔
19が形成されている。第2クラッチカバー71は板金
からなる概ね環状の部材である。第2クラッチカバー7
1は図示しないボルトにより摩擦連結部材6及び後述の
第1クラッチカバー28に一体回転するように固定され
ている。第2クラッチカバー71は、第1部材72と第
2部材73とから構成されている。第1部材72は、環
状部74と、環状部74から軸方向トランスミッション
側に延びる第1延長部75及び第2延長部76とから構
成されている。環状部74は摩擦連結部材6の外周部軸
方向トランスミッション側に当接している。また、環状
部74には前述のボルトが貫通する孔が形成されてい
る。図2及び図4に示すように、第1延長部75と第2
延長部76とは回転方向に交互に形成されている。第1
延長部75は概ね軸方向にストレートに延びている。ま
た、第1延長部75の先端には第2部材73が固定され
ている。第2部材73は、板金部材からなる概ね環状の
部材であり、第1延長部75から軸方向トランスミッシ
ョン側に延びる概ね筒状部分77と、その先端から内周
側に延びる円板状部分78とを有している。円板状部分
78には、軸方向エンジン側に突出する環状の支持部7
9が形成されている。第2延長部76は第1延長部75
に比べて内周側に延びている。これにより、第2延長部
76は第2部材73より軸方向エンジン側に位置してい
る。また、第2延長部76には、軸方向エンジン側に突
出する支持部80が形成されている。
【0018】第1クラッチディスク組立体7は、第1入
力シャフト3に対してトルクを出力するための機構であ
る。第1クラッチディスク組立体7は第1摩擦連結部2
1を外周側に有している。第1摩擦連結部21は摩擦連
結部材6の第1摩擦面6aに近接して、すなわち摩擦連
結部材6の軸方向エンジン側に配置されている。さら
に、第1クラッチディスク組立体7のハブ23は第1入
力シャフト3に対してスプライン係合している。
【0019】次に、第1クラッチ操作機構9について説
明する。第1クラッチ操作機構9は前述の第1摩擦連結
部21を摩擦連結部材6に対して付勢するとともに必要
に応じてその付勢力を解除するための機構である。第1
クラッチ操作機構9はクラッチカバー組立体27とレリ
ーズ機構51とから構成されている。クラッチカバー組
立体27は、摩擦連結部材6に対して軸方向エンジン側
に取り付けられ、主に、第1クラッチカバー28の外周
側部分29と、第1プレッシャープレート31と、コー
ンスプリング32とから構成されている。
【0020】第1クラッチカバー28は、質量体5の軸
方向トランスミッション側に近接して配置された円板状
かつ環状のプレート部材である。第1クラッチカバー2
8の外径は環状部材13の外径とほぼ等しいが、内径は
円板状部材12の内径よりさらに小さい。第1クラッチ
カバー28はその半径方向中間で外周側部分29と内周
側部分30とに分かれている。外周側部分29は、軸方
向エンジン側に突出するように曲げられており、摩擦連
結部材6との軸方向間に空間を確保している。また、内
周側部分30は、軸方向トランスミッション側に突出す
るように曲げられており、円板状部材12との軸方向間
に空間を確保している。外周側部分29の最外周縁部分
34は図示しないボルト等により摩擦連結部材6の外周
部に固定されている。また、内周側部分30の内周端は
筒状部35とその先端から内周側に延びるフランジ36
とから構成されている。筒状部35の外周面はクランク
シャフト2の環状突出部2aの内周面に当接し、フラン
ジ36はクランクシャフト2において環状突出部2aよ
り内周側の軸方向端面2bに軸方向トランスミッション
側から当接している。このように、第1クラッチカバー
28の内周端はクランクシャフト2に対して半径方向及
び軸方向の位置決めがされている。さらに、筒状部35
と入力シャフト3と間に軸受38が配置されている。軸
受38はインナーレースとアウターレースと複数の転動
体とからなるラジアル軸受であり、クランクシャフト2
及び第1クラッチカバー28に対して入力シャフト3を
回転自在に支持している。
【0021】第1プレッシャープレート31は第1摩擦
連結部21の軸方向エンジン側に配置された環状の部材
である。第1プレッシャープレート31は第1摩擦連結
部21に対向する環状かつ平坦な押圧面31aを有して
いる。第1プレッシャープレート31は図示しないプレ
ート等によって第1クラッチカバー28又は摩擦連結部
材6に一体回転するようにかつ軸方向に移動可能に固定
されている。
【0022】コーンスプリング32は外周側部分29と
第1プレッシャープレート31との軸方向間に配置され
ている。コーンスプリング32の外周端は第1プレッシ
ャープレート31の環状支持部31cに支持され、その
内周端は第1クラッチカバー28に形成された環状支持
部40に支持されている。この状態でコーンスプリング
32は軸方向に弾性変形させられており、それにより第
1プレッシャープレート31に対して軸方向トランスミ
ッション側に付勢する力を与えている。また、コーンス
プリング32の内周面は第1クラッチカバー28に形成
された筒状部分の外周面に支持され、半径方向の位置決
めがされている。付勢部材の種類はコーンスプリングに
限定されない。
【0023】ダンパー機構41は第1クラッチ操作機構
9をクランクシャフト2に対して回転方向に弾性的に連
結するための機構である。ダンパー機構41は、ドライ
ブ部材43と、第1クラッチカバー28の内周側部分3
0と、複数の弾性部材44とから構成されている。ドラ
イブ部材43は、環状のプレート部材であり、前述の複
数のボルト15によってクランクシャフト2の先端に固
定されている。ドライブ部材43は、円板状部材12の
内周端の軸方向トランスミッション側に当接する環状部
分43aと、その外周縁から軸方向トランスミッション
側に延びる複数の当接部43bとを有している。
【0024】第1クラッチカバー28の内周側部分30
には、円周方向に延びる複数のばね保持部45が形成さ
れている。ばね保持部45は他の部分に比べて軸方向ト
ランスミッション側に突出するように絞り加工で形成さ
れた突出部分であり、軸方向エンジン側に凹んでいる。
各ばね保持部45の円周方向間にはばね保持部45に比
べて半径方向が短い凹部46が形成されている。
【0025】各弾性部材44は、円周方向に長く延びる
コイルスプリングであり、ばね保持部45内に収容され
ている。弾性部材44の円周方向両端にはスプリングシ
ート47が配置されており、スプリングシート47は各
弾性部材44の円周方向両端を支持すると共に凹部46
の半径方向両側に形成された支持面45aに当接してい
る。スプリングシート47は、弾性部材44を支持する
支持部と、その支持部から弾性部材44のコイル内に延
びる突出部とを有している。ここで、前述のドライブ部
材43の当接部43bは凹部46内に延びてその円周方
向両端がスプリングシート47の支持部背面に当接又は
近接している。このようにして、ドライブ部材43のト
ルクは弾性部材44を介して第1クラッチカバー28に
伝達されるようになっている。さらに、ばね保持部45
の外周側部分には、弧状又は環状の保持プレート48が
複数のリベット49によって固定されている。保持プレ
ート48は弾性部材44の半径方向外側においてその軸
方向エンジン側を支持するようになっている。これによ
り、弾性部材44は第1クラッチカバー28に保持さ
れ、軸方向に脱落しないようになっている。また、ドラ
イブ部材43の当接部43bはこの保持された弾性部材
44に対して軸方向からの移動のみによって係合又は係
合解除することができる。なお、弾性部材の種類はコイ
ルスプリングに限定されず、弾性部材は板状部材を折り
曲げて複数のばね要素を形成した曲がり板ばねその他の
ばねや弾性体であってもよい。
【0026】以上に述べたように、第1クラッチカバー
28は、内周側部分30によってダンパー機構41の出
力側部材を構成し、外周側部分29によって第1クラッ
チ操作機構9のばね支持部を構成している。このように
1つの部材に複数の機能を持たせることで全体の部品点
数が少なくなっている。さらに、外周側部分29に形成
された軸方向トランスミッション側を向く凹部内に第1
プレッシャープレート31及びコーンスプリング32を
収容し、さらに内周側部分30に形成された軸方向エン
ジン側を向く凹部内に弾性部材44、ドライブ部材43
さらにはボルト15の頭部を収容しているため、半径方
向及び軸方向にコンパクトな構造になっている。特に弾
性部材44が第1プレッシャープレート31の内周側に
配置されている構造が効果的である。ここで、例えばダ
ンパー機構41の弾性部材44を第1プレッシャープレ
ート31の軸方向エンジン側に配置すれば装置全体の軸
方向寸法が大きくなってしまい、又は弾性部材44を第
1プレッシャープレート31の半径方向外側に配置すれ
ば装置全体の半径方向寸法が大きくなってしまう。
【0027】また、第1クラッチカバー28は、軸方向
に薄い板金製であり、軸方向に弾性変形可能である。第
1クラッチカバー28は内周部がクランクシャフト2に
支持され、外周部に摩擦連結部材6、第1クラッチ操作
機構9及び第2クラッチ操作機構10が装着されている
ため、エンジンからの曲げ振動が入力されると全体が曲
げ方向にたわむことで曲げ振動を吸収するフレキシブル
プレートとして機能する。
【0028】レリーズ機構51は、主に、レリーズ部材
52と、レバー部材53とから構成されている。レリー
ズ部材52は駆動部材54と支持部形成部材55とから
構成されている。駆動部材54は、図3に示すように、
軸方向に延びる概ね筒状の部材であり、環状の着座部5
8と、着座部58から軸方向トランスミッション側に延
びる複数の軸方向延長部59とから構成されている。着
座部58の軸方向エンジン側端は、第1プレッシャープ
レート31の軸方向トランスミッション側の外周縁に形
成された溝31bに当接している。また、着座部58の
先端側内周面は溝31bの外周面に当接して半径方向の
位置決めがされている。このように環状の着座部58を
設けることによってレリーズ部材52の第1プレッシャ
ープレート31に対する姿勢が安定している。軸方向延
長部59は、図1及び図2に示すように、摩擦連結部材
6の軸方向貫通孔19内を軸方向に貫通し、先端は摩擦
連結部材6の軸方向トランスミッション側の端部よりさ
らに突出している。軸方向延長部59の先端は、半径方
向内側に折り曲げられさらに軸方向に延びる折り曲げ部
60となっている。支持部形成部材55は、レリーズ部
材52に環状の支持部を形成するための部材であり、駆
動部材54に対して軸方向トランスミッションから容易
に着脱可能である。支持部形成部材55は、概ね環状の
板金部材であり、円板状部61と、その外周端から軸方
向トランスミッション側に延びる筒状部62とから構成
されている。円板状部61には軸方向トランスミッショ
ン側に突出する環状の支持部64が形成されている。筒
状部62の先端は折り曲げ部60の外周側に突出してい
る。また、筒状部62には、切り曲げられて折り曲げ部
60の内周側に当接する屈曲部63が形成されている。
屈曲部63は折り曲げ部60の回転方向中間に位置して
いる。このようにして、筒状部62と屈曲部63との半
径方向間に折り曲げ部60が挟まれており、これにより
支持部形成部材55は各軸方向延長部59の先端に対し
て軸方向トランスミッション側には取り外し可能である
が、半径方向その他の方向には移動不能に係合してい
る。
【0029】レバー部材53は環状かつ円板状のプレー
ト部材である。レバー部材53は例えば円板状プレート
に内周縁及び外周縁から交互に形成されたスリットによ
って弾性機能をほとんど有さず単にレバーとして機能す
るようになっていることが好ましい。レバー部材53の
外周部は支持部形成部材55の支持部64に軸方向トラ
ンスミッション側から当接してさらにその内周側の部分
が第2クラッチカバー71の支持部79に軸方向エンジ
ン側から当接している。以上に述べた構造において、レ
バー部材53の内周端が軸方向トランスミッション側に
移動させられると、第2クラッチカバー71の支持部7
9を支点としてレバー部材53の外周端が軸方向エンジ
ン側に回動し、レリーズ部材52を軸方向エンジン側に
移動させる。この結果、第1プレッシャープレート31
はコーンスプリング32からの付勢力に打ち勝って第1
摩擦連結部21から離れていく。
【0030】第1駆動機構84は、第1クラッチ操作機
構9のレバー部材53を駆動することで第1クラッチデ
ィスク組立体7に関してクラッチレリーズ動作を行うた
めの機構である。第1駆動機構84は主にレリーズベア
リング85と油圧シリンダ86と第1油圧回路87とか
ら構成されている。レリーズベアリング85は、主にイ
ンナーレースとアウターレースとその間に配置された複
数の転動体とからなり、ラジアル荷重及びスラスト荷重
を受けることが可能となっている。レリーズベアリング
85のアウターレースには、筒状のリティーナ88が装
着されている。リティーナ88は、アウターレースの外
周面に当接する筒状部と、筒状部の軸方向エンジン側端
から半径方向内側に延びアウターレースの軸方向トラン
スミッション側面に当接する第1フランジと、筒状部の
軸方向エンジン側端から半径方向外側に延びる第2フラ
ンジとを有している。第2フランジにはレバー部材53
の半径方向内側端に軸方向エンジン側から当接する環状
の支持部が形成されている。リティーナ88の筒状部に
は、軸方向トランスミッション側に延びる延長部88a
がさらに形成されている。これにより、リティーナ88
には軸方向に長い外周面88bが形成されている。
【0031】油圧シリンダ86は油圧室構成部材89と
ピストン90とから主に構成されている。油圧室構成部
材89はその内周側に配置された筒状のピストン90と
の間に油圧室を構成している。油圧室内には第1油圧回
路87から油圧が供給可能となっている。ピストン90
は概ね筒状の部材であり、その内周面は後述する油圧シ
リンダ99によって支持されている。さらに、ピストン
90はレリーズベアリング85のインナーレースに対し
て軸方向トランスミッション側から当接するフランジを
有している。この状態で、第1油圧回路87から油圧室
の作動油がドレンされると、ピストン90はレリーズベ
アリング85を軸方向トランスミッション側に移動させ
る。
【0032】第2クラッチカバー71の円板状部分78
は内周側部81を形成している。内周側部81の内径
は、レバー部材53の内径とほぼ等しくなっており、レ
リーズベアリング85の近傍に位置している。内周側部
81には複数の孔81aが形成されている。さらに、内
周側部81の内周縁には軸方向エンジン側に延びる筒状
部82が形成されている。この筒状部82の内周側には
筒状部材83が固定されている。筒状部材83の内周面
はリティーナ88の外周面88bに支持されている。こ
こで、第2クラッチカバー71は、第1クラッチカバー
28、摩擦連結部材6及び第2クラッチカバー71から
なる一体の構成において最もトランスミッション側に配
置された部材であり、その部材がトランスミッション側
の他の部材によって支持されていることになる。この結
果、エンジンンからの曲げ振動によってクラッチ装置1
全体が傾きにくくなっており、エンジンの曲げ振動によ
って発生する共振現象を抑えることができる。これによ
り、これにより、第1クラッチカバー28に作用する曲
げ荷重が少なくなり、第1クラッチカバー28の板厚を
小さくできる。
【0033】また、第2クラッチカバー71の内周端を
支持するための部材としてレリーズベアリング85を用
いているため、特別な部品やそのためのスペースが不要
である。さらに、内周側部81に軸方向に長い筒状部材
83を取り付けることで、第2クラッチカバー71の内
周面と他の部材との軸方向接触長さを長くすることがで
き、第2クラッチカバー71がより傾きにくくなってい
る。さらに、筒状部材83に低摩擦係数の材料を用いる
などして、レリーズベアリング85が軸方向に移動する
際に当接部分間での摺動抵抗を小さくできる。
【0034】第2クラッチディスク組立体8はトランス
ミッションの第2入力シャフト4にトルクを出力するた
めの機構である。第2クラッチディスク組立体8はその
外周部に第2摩擦連結部22を有している。第2摩擦連
結部22は摩擦連結部材6の第2摩擦面6bに近接し
て、すなわち摩擦連結部材6の軸方向トランスミッショ
ン側に配置されている。第2クラッチディスク組立体8
のハブ24は第2入力シャフト4にスプライン係合して
いる。
【0035】次に、第2クラッチ操作機構10について
説明する。第2クラッチ操作機構10は第2クラッチデ
ィスク組立体8の第2摩擦連結部22を摩擦連結部材6
に対して付勢するとともにその付勢を解除するための機
構である。第2クラッチ操作機構10は、主に、第2プ
レッシャープレート92と、ダイヤフラムスプリング9
3とから構成されている。第2プレッシャープレート9
2は第2クラッチディスク組立体8の第2摩擦連結部2
2の軸方向トランスミッション側に近接して配置された
環状の部材である。第2プレッシャープレート92は図
示しないプレート等によって第2クラッチカバー71又
は摩擦連結部材6に一体回転するようにかつ軸方向に移
動可能に固定されている。第2プレッシャープレート9
2は第2摩擦連結部22側に環状かつ平坦な摩擦面92
aを有している。ダイヤフラムスプリング93は、概ね
円板状かつ環状のプレート部材であり、外周側の弾性部
93aとその内周端から内周側に延びる複数のレバー部
93bとを有している。弾性部93aは外周端が第2ク
ラッチカバー71の支持部80に支持され、内周端が第
2プレッシャープレート92の支持部92bに支持され
ている。弾性部93aは軸方向に圧縮されており、それ
により第2プレッシャープレート92に対して軸方向エ
ンジン側への付勢力を与えている。また、第2プレッシ
ャープレート92の軸方向トランスミッション側にはボ
ルト96aによって付勢プレート96が固定されてい
る。付勢プレート96は、複数のレバー部93b間から
延び、弾性部93aの内周端に軸方向トランスミッショ
ン側から当接して第2プレッシャープレート92に付勢
している。これにより、レバー部93bの内周端が軸方
向トランスミッション側に移動させられると、それに伴
い弾性部93aの内周端が軸方向トランスミッション側
に移動し、第2プレッシャープレート92への付勢力を
解除するとともに第2プレッシャープレート92を軸方
向トランスミッション側につれて移動させる。
【0036】第2駆動機構97は第2クラッチ操作機構
10のダイヤフラムスプリング93を駆動することで第
2クラッチディスク組立体8に関してクラッチレリーズ
動作を行うための機構である。第2駆動機構97は、主
に、レリーズベアリング98と、油圧シリンダ99と、
第2油圧回路100とから構成されている。レリーズベ
アリング98は、主にインナーレースとアウターレース
とその間に配置された複数の転動体からなり、ラジアル
荷重及びスラスト荷重を受けることが可能となってい
る。レリーズベアリング98のアウターレースには筒状
のリティーナ101が装着されている。リティーナ10
1は、アウターレースの外周部に当接する筒状部と、筒
状部の軸方向エンジン側端から半径方向外側に延びる第
1フランジと、筒状部の軸方向トランスミッション側端
から半径方向内側に延びアウターレースの軸方向トラン
スミッション側の面に当接する第2フランジとを有して
いる。第1フランジには、レバー部93bの半径方向内
側端に軸方向エンジン側から当接する環状の支持部が形
成されている。油圧シリンダ99はピストン102と油
圧室構成部材103とから構成されている。油圧室構成
部材103はその内周側に配置されたピストン102と
の間に油圧室を構成している。油圧室内には第2油圧回
路100から油圧が供給可能となっている。ピストン1
02は筒状の部材であり、その内周面はトランスミッシ
ョン側から延びる図示しない部材の外周面に支持されて
いる。さらに、ピストン102はレリーズベアリング9
8のインナーレースに対して軸方向トランスミッション
側から当接するフランジを有している。この状態で第2
油圧回路100から油圧室の作動油がドレンされると、
ピストン102は軸方向トランスミッション側に移動し
てレリーズベアリング98を移動させる。
【0037】以上に述べたように第1クラッチ操作機構
9と第2クラッチ操作機構10は、それぞれ独立した第
1及び第2駆動機構84、97によって駆動される。ま
た、第1クラッチ操作機構9のクラッチカバー組立体2
7において第1プレッシャープレート31への付勢力は
ばね部材であるコーンスプリング32によって与えられ
ているため、摩擦連結部材6や第1クラッチカバー28
に相当する構造に油路や作動油室などを形成する必要が
ない。そのため、クラッチ装置1全体の構造が簡単にな
り、部品点数が少なくなるとともに全体のサイズを小型
化できている。
【0038】特に、第2クラッチカバー71は全体とし
て一体の部材であるにもかかわらず、第1クラッチ操作
機構9のための支持部79と、第2クラッチ操作機構1
0のための支持部80とを有しているため、構造が簡単
であり、さらに部品点数の増加を押さえることができ、
省スペース化に貢献している。さらに、前述の環状部材
13は第1クラッチカバー28の外周側部分29のさら
に外周側に配置されており、クラッチ装置1の軸方向及
び半径方向寸法を大きくすることなく十分な慣性モーメ
ントを確保している。
【0039】以上に述べたように、クラッチ装置1の大
半の部分はダンパー機構41を介して直接クランクシャ
フト2に連結されている。このため、ダンパー機構41
の構造が簡単かつコンパクトになり、組み付け作業性が
向上している。ここでの「直接連結」とは、フライホイ
ール等の他の部材を介せずに連結されていることを意味
する。
【0040】次に、クラッチ装置1の組み付け動作につ
いて説明する。図6に示すように、エンジン側の構成と
しては、ボルト15によってクランクシャフト2の先端
に質量体5とドライブ部材43とが予め固定されてい
る。また、第1クラッチカバー28には、弾性部材44
が予め取り付けられている。これは組み付け動作前にダ
ンパー機構41を主に構成する弾性部材44があらかじ
めクラッチ装置1の一部すなわち第1クラッチカバー2
8に装着されていることを意味する。このため、組付け
前のクラッチ装置1の運搬や保管が便利になっている。
【0041】この状態から例えばエンジン及びクランク
シャフト2を軸方向トランスミッション側に移動させて
いく。すると、ドライブ部材43の当接部43bは軸方
向トランスミッション側から各弾性部材44の円周方向
間に、より具体的にはスプリングシート47の間に挿入
される。クランクシャフト2の軸方向端面2bが第1ク
ラッチカバー28のフランジ36に当接すると、両者の
軸方向相対移動が停止する。以上に述べたように、クラ
ッチ装置1をクランクシャフト2へ組み付ける動作は、
両側の部材を軸方向に移動させるだけで完了し、ボルト
やリベット等の締結部材等を必要としない。このように
クラッチ装置1の組み付け時の作業が簡単になり、組み
付け作業が短時間で行える。一言で言うと、クラッチ装
置1の組み付け性が向上している。第2実施形態 図7に本発明の第2実施形態としてのクラッチ装置1の
縦断面概略図を示す。本実施形態のクラッチ装置1は基
本構造が第1実施形態のものと同様であるので、ここで
は異なる点についてのみ説明する。
【0042】前記両実施形態では第1及び第2クラッチ
操作機構は駆動機構がレバー部材等を軸方向トランスミ
ッション側に引き出すことでクラッチレリーズ動作を行
う構造であるが、本実施形態では、第1及び第2クラッ
チ操作機構は駆動機構がレバー部材等を軸方向エンジン
側に押すことでクラッチレリーズ動作が行う構造であ
る。
【0043】第2クラッチカバー71’の第2延長部7
6’は前記実施形態よりさらに内周側に延び、その先端
は軸方向エンジン側に巻き込むように折り曲げられてい
る。ダイヤフラムスプリング93’の弾性部93a’は
内周部がワイヤリングを介して第2延長部76’の先端
に揺動自在に支持されている。弾性部93a’の外周部
は第2プレッシャープレート92の支持部92bに当接
している。
【0044】レリーズベアリング98’のアウターレー
スに設けられたリティーナ101’は、アウターレース
外周面に当接する筒状部と、筒状部の軸方向エンジン側
端から内周側に突出しアウターレースの軸方向エンジン
側面に当接する第1フランジと、筒状部から外周側に延
びる第2フランジとを有している。第2フランジはダイ
ヤフラムスプリング93’の内周端に軸方向トランスミ
ッション側から当接している。
【0045】第2クラッチカバー71’における環状支
持部79’は、第1実施形態の環状支持部79に比べて
外周側に位置している。また、支持部形成部材55’の
環状支持部64’は第1実施形態の環状支持部64に比
べて内周側に位置している。これにより、レバー部材5
3’の外周端は環状支持部79’に対して軸方向エンジ
ン側から当接し、さらにその内周側部分は環状支持部6
4’に対して軸方向トランスミッション側から当接して
いる。
【0046】レリーズベアリング85’のアウターレー
スに設けられたリティーナ88’は、アウターレース外
周面に当接する筒状部と、筒状部の軸方向エンジン側端
から内周側に突出しアウターレースの軸方向エンジン側
面に当接する第1フランジと、筒状部から外周側に延び
る第2フランジとを有している。第2フランジはレバー
部材53’の内周端に軸方向トランスミッション側から
当接している。
【0047】さらに、第1クラッチカバー28の外周側
部分29において平坦な環状部分の軸方向エンジン側に
は摩擦フェーシング94が接着されている。摩擦フェー
シング94は円板状部材12の平坦な面に対して軸方向
に対向している。図8に示すクラッチ連結状態では、摩
擦フェーシング94と円板状部材12との軸方向間には
隙間が確保されている。以上に述べた摩擦フェーシング
94と円板状部材12とによって、必要に応じてダンパ
ー機構41との動作を停止又は抑制するための相対回転
抑制機構95が形成されている。
【0048】図8に示す状態から、第1油圧回路87に
よって油圧シリンダ86の油圧室内の作動油が供給され
ると、ピストン90は軸方向エンジン側に移動する。こ
れにより、レリーズベアリング85’はレバー部材5
3’の内周端を軸方向エンジン側に移動させる。レバー
部材53’は第2クラッチカバー71’の環状支持部7
9’を支点として回動し、レリーズ部材52を軸方向エ
ンジン側に移動させる。これにより第1プレッシャープ
レート31はコーンスプリング32の付勢力に打ち勝っ
て第1摩擦連結部21から離れる。また、第2油圧回路
100によって油圧シリンダ99の油圧室内に作動油が
供給されると、ピストン102は軸方向エンジン側に移
動する。これにより、レリーズベアリング98’はダイ
ヤフラムスプリング93’の内周端を軸方向エンジン側
に移動させる。ダイヤフラムスプリング93’は第2ク
ラッチカバー71’の第2延長部76’を支点として回
動し、弾性部93a’は第2プレッシャープレート92
から軸方向トランスミッション側に離れる。これにより
第2プレッシャープレート92はストラッププレートの
付勢力によって第2摩擦連結部22から離れる。
【0049】以上いずれか一方又は両方のクラッチレリ
ーズ動作において、レリーズベアリングから各クラッチ
操作機構9,10に対して軸方向エンジン側に作用する
荷重によって、第1クラッチカバー28の特に外周側部
分29が軸方向エンジン側に弾性変形する。これによ
り、相対回転抑制機構95において摩擦フェーシング9
4が円板状部材12に当接して摩擦係合する。すなわ
ち、第1クラッチカバー28が円板状部材12と摩擦係
合して一体回転するようになる。さらに言い換えると、
第1クラッチカバー28や摩擦連結部材6がクランクシ
ャフト2に対してロックされた状態となり、ダンパー機
構41が作動しない。したがって、エンジン始動時の低
回転数領域(例えば回転数0〜500rpm)での共振
点通過時には、クラッチをレリーズすることで、共振に
よるダンパー機構41の破損や音/振動を生じにくくし
ている。
【0050】ここでは、ダンパー機構41のロックがク
ラッチレリーズ時における駆動機構84’,97’から
の荷重を利用しているため、構造が簡単になる。特に、
相対回転抑制機構95が円板状部材12や第1クラッチ
カバー28といった部材からなるため、特別な構造を設
ける必要がない。ここで本実施形態と第1実施形態とを
比べてみると、本実施形態のクラッチ装置はレバー部材
53’の内周端を軸方向エンジン側に押すことでクラッ
チをレリーズするプッシュタイプであり、第1実施形態
のクラッチ装置はレバー部材53の内周端を軸方向トラ
ンスミッション側に引くことでクラッチをレリーズする
プルタイプである。ここで両者の違いは第2クラッチカ
バー71,71’、レリーズ機構51,51'、駆動機
構84,84’,97,97’のみに存在し、第1クラ
ッチ操作機構9の第1プレッシャープレート31やコー
ンスプリング32は共通していることが分かる。言い換
えると、共通部分に対してクラッチカバー、支持部形成
部材等を変えるだけでプルタイプのクラッチ装置とプッ
シュタイプのクラッチ装置とを製造できる。第3実施形態 図8に本発明の第3実施形態としてのクラッチ装置1の
縦断面概略図を示す。本実施形態のクラッチ装置1は基
本構造が第1実施形態のものと同様であるので、ここで
は異なる点についてのみ説明する。
【0051】第1実施形態では、クラッチ操作機構や摩
擦連結部材がダンパー機構を介してクランクシャフトに
連結されているが、本実施形態では、ダンパー機構は各
クラッチディスク組立体に設けられており、クラッチ操
作機構9,10や摩擦連結部材6はフレキシブルプレー
ト組立体104を介してクランクシャフト2に連結され
ている。フレキシブルプレート組立体104はイナーシ
ャ部材105とフレキシブルプレート106とから構成
されている。イナーシャ部材105は環状の部材であり
軸方向肉厚が大きい。イナーシャ部材105は摩擦連結
部材6の外周部の軸方向エンジン側面に当接しており、
図示しないボルトによって固定されている。
【0052】フレキシブルプレート106は第1プレー
ト107と第2プレート108とから構成されている。
第1プレート107は概ね円板状かつ環状のプレートで
ある。第2プレート108は、円板状かつ環状のプレー
トであり、第1プレート107の外周側部分の軸方向ト
ランスミッション側に互いに当接するように配置されて
いる。すなわち、第2プレート108の外径は第1プレ
ート107の外径とほぼ等しいが、第2プレート108
の内径は第1プレート107の内径より大きい。さらに
言い換えると、第1プレート107の内周部分には第2
プレート108は当接していないが、第1プレート10
7の外周部分には第2プレート108が当接している。
第1プレート107と第2プレート108はそれらの外
周部付近において複数の図示しないリベットによって互
いに固定されている。すなわち、第1プレート107と
第2プレート108はその最外周部分のみが相対移動不
能に固定されてje、その部分よりさらに内周側の部分
は摺動可能である。
【0053】第2プレート108の内周端には、軸方向
トランスミッション側に突出する環状の支持部109が
形成されている。支持部109は第1プレート107か
ら軸方向トランスミッション側に離れている。さらに、
支持部109の半径方向内側には軸方向トランスミッシ
ョン側に延び外周面を形成する筒状の半径方向支持部1
10が形成されている。コーンスプリング32は第2プ
レート108と第1プレッシャープレート31との軸方
向間に配置されている。コーンスプリング32の外周端
は第1プレッシャープレート31の環状支持部31cに
支持され、その内周端は第2プレート108に形成され
た環状支持部109に支持されている。この状態でコー
ンスプリング32は軸方向に弾性変形させられており、
それにより第1プレッシャープレート31を軸方向トラ
ンスミッション側に付勢している。また、コーンスプリ
ング32の内周面は第2プレート108に形成された筒
状の半径方向支持部110の外周面に支持され、半径方
向の位置決めがされている。付勢部材の種類はコーンス
プリングに限定されない。
【0054】第1プレート107の内周部は複数のボル
ト15によってクランクシャフト2の先端に固定されて
いる。より具体的には、ボルト15は第1プレート10
7に形成された孔を通ってクランクシャフト2のボルト
孔に螺合している。また、第1プレート107の内周面
はクランクシャフト2の環状突出部2a外周面に支持さ
れることで半径方向位置決めされている。
【0055】また、第1プレート107の外周端には、
エンジン始動用リングギア17が固定されている。さら
に、フレキシブルプレート106の外周部は、複数のボ
ルト16によってイナーシャ部材105に固定されてい
る。より具体的には、ボルト16は、第1及び第2プレ
ート107,108に形成された孔を通ってイナーシャ
部材105に形成されたボルト孔に螺合している。
【0056】また、このクラッチ装置1にエンジンのク
ランクシャフト2から曲げ振動が入力されると、第1プ
レート107及び第2プレート108が曲げ方向に撓
み、両部材の間で摺動が生じる。これにより、曲げ振動
が速やかに減衰される。なお、第1プレート107と第
2プレート108との接触部分間の摩擦係数を高めるた
めの手段を用いてもよい。例えば、両部材間に摩擦フェ
ーシングを配置したり、両部材に摩擦係数を高めるため
のコーティングや特別な処理を施してもよい。
【0057】フレキシブルプレート106の外周部分の
剛性を高める構造としては、第2プレートを廃止して第
1プレート107の外周部の肉厚を増加させる等して剛
性を高めてもよい。その場合は、部品点数が少なくな
る。第1クラッチディスク組立体113は、第1入力シ
ャフト3に対してトルクを出力するための機構である。
第1クラッチディスク組立体113は第1摩擦連結部1
14をその外周側に有している。第1摩擦連結部114
は摩擦連結部材6の第1摩擦面6aに近接して、すなわ
ち摩擦連結部材6の軸方向エンジン側に配置されてい
る。さらに、第1クラッチディスク組立体113は複数
のばねや摩擦発生機構等からなる捩じり振動を吸収・減
衰するためのダンパー機構を有している。さらに、第1
クラッチディスク組立体113のハブは第1入力シャフ
ト3に対してスプライン係合している。
【0058】第2クラッチディスク組立体115はトラ
ンスミッションの第2入力シャフト4にトルクを出力す
るための機構である。第2クラッチディスク組立体11
5はその外周部に第2摩擦連結部116を有している。
第2摩擦連結部116は摩擦連結部材6の第2摩擦面6
bに近接して、すなわち摩擦連結部材6の軸方向エンジ
ン側に配置されている。第2クラッチディスク組立体1
15は、複数のばねや摩擦発生機構からなるダンパーを
有している。さらに、第2クラッチディスク組立体11
5の内周部は第2入力シャフト4にスプライン係合して
いる。
【0059】この実施形態でも、第2クラッチカバー7
1がトランスミッション側の他の部材によって支持され
ている。したがって、エンジンンからの曲げ振動によっ
てクラッチ装置1全体が傾きにくくなっており、エンジ
ンの曲げ振動によって発生する共振現象を抑えることが
できる。これにより、例えばフレキシブルプレート10
6の第1プレート107に作用する曲げ荷重が少なくな
り、第1プレート107の板厚を小さくできる。
【0060】
【発明の効果】本発明に係るクラッチ装置では、クラッ
チカバーは内周端がトランスミッション側の部材に支持
されている。このように、クラッチ装置において軸方向
トランスミッション側に配置された部材であるクラッチ
カバーが支持されることによって、エンジンからの曲げ
振動が入力された場合であっても装置全体が傾きにくく
なっており、曲げ振動による共振現象が生じにくくなっ
ている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態としてのクラッチ装置の
縦断面概略図。
【図2】第2クラッチカバーとレリーズ機構との関係を
説明するための平面図。
【図3】第2クラッチカバーとレリーズ機構との関係を
説明するための側面図。
【図4】第2クラッチカバーの部分斜視図。
【図5】ダンパー機構の部分背面図。
【図6】クラッチ装置の組み付け動作を説明するための
縦断面概略図。
【図7】本発明の第2実施形態としてのクラッチ装置の
縦断面概略図。
【図8】本発明の第3実施形態としてのクラッチ装置の
縦断面概略図。
【符号の説明】
1 クラッチ装置 2 クランクシャフト 3 第1入力シャフト 4 第2入力シャフト 6 摩擦連結部材 9 第1クラッチ操作機構 10 第2クラッチ操作機構 28 第1クラッチカバー 41 ダンパー機構 53 レバー部材(駆動部材) 71 第2クラッチカバー

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンのクランクシャフトからトランス
    ミッションの第1及び第2入力シャフトに対して別々に
    トルク伝達・遮断の操作をすることが可能なクラッチ装
    置であって、 軸方向エンジン側の第1摩擦面と軸方向トランスミッシ
    ョン側の第2摩擦面とを有し、前記クランクシャフトか
    らトルクが入力される摩擦連結部材と、 前記第1摩擦面に近接して配置された第1摩擦連結部を
    有し、前記第1入力シャフトにトルクを伝達可能な第1
    クラッチディスク組立体と、 前記第2摩擦面に近接して配置された第2摩擦連結部を
    有し、前記第2入力シャフトにトルクを伝達可能な第2
    クラッチディスク組立体と、 前記摩擦連結部材に装着され内周端が前記トランスミッ
    ション側の部材に支持されたクラッチカバーと、前記ク
    ラッチカバーに支持され前記第1摩擦連結部及び前記第
    2摩擦連結部を前記摩擦連結部材に連結及び連結解除さ
    せるための駆動部材とを有するクラッチ操作機構と、を
    備えたクラッチ装置。
  2. 【請求項2】前記クラッチ操作機構は軸方向に移動可能
    な軸受をさらに有し、 前記クラッチカバーの内周面は前記軸受の外周面によっ
    て支持されている、請求項1に記載のクラッチ装置。
  3. 【請求項3】前記軸受は、インナーレースと、アウター
    レースと、前記両レース間に配置された複数の転動体と
    を有し、 前記クラッチカバーの内周面は前記アウターレースによ
    って支持されている、請求項2に記載のクラッチ装置。
  4. 【請求項4】前記軸受の外周面に固定され、前記クラッ
    チカバーの内周面を軸方向に摺動可能に支持する外周面
    を有する筒状部材をさらに備えている、請求項2又は3
    に記載のクラッチ装置。
  5. 【請求項5】前記クラッチ操作機構は、前記エンジンか
    らの曲げ振動を吸収するための部材であり、前記摩擦連
    結部材を前記クランクシャフトに対して連結するフレキ
    シブルプレートをさらに備えている、請求項1〜4のい
    ずれかに記載のクラッチ装置。
  6. 【請求項6】前記フレキシブルプレートは外周端が前記
    摩擦連結部材に固定され内周端が前記クランクシャフト
    に連結されている、請求項5に記載のクラッチ装置。
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JP2013083327A (ja) * 2011-10-12 2013-05-09 Nissan Motor Co Ltd 動力伝達装置

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