JP6330556B2 - シート給送装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、シート給送装置及び画像形成装置に関し、詳しくは、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プロッタ、印刷機、インクジェット記録装置等の画像形成装置、又はそれら画像形成装置の2つ以上の機能を備えた複合機に用いられるシート給送装置に関する。
摩擦分離方式を用いたシート給送装置は、シートを積載し揺動可能なシート積載板と、シート積載板上のシートを給送する給送ローラと、給送ローラとの間でシートを1枚ずつ分離する摩擦部材を支持する保持部材とを備えているものがある。シート積載板の揺動端側は、ばね等の付勢手段により最上のシートが給送ローラと接するように付勢(勢いを増加することを意味する)されており、また保持部材は、ばね等の付勢手段により摩擦部材が給送ローラと接する向きに付勢されている。以下、シートとして「用紙」で代表して説明する。
このようなシート給送装置では、給送ローラは摩擦部材との協働作用によりシート積載板から供給される用紙を1枚ずつに分離して給送する。この際、シート積載板から摩擦部材へ用紙が突入する角度を大きくすると、重送に対しては効果があるが不給紙が発生する。この不具合を生じさせないようにするために、紙種に応じて適切な用紙突入角度に調整する手段を備えた給紙装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1を含め今までのシート給送装置では、摩擦部材への用紙突入角度の調整手段は、操作者やユーザが用紙突入角度を容易に調整することができず、操作性に問題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、摩擦部材への用紙突入角度を容易に調整することが可能なシート給送装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、装置本体に揺動可能に支持され、シートを積載するシート積載台と、前記シート積載台上のシートを給送する給送手段と、前記給送手段に対向し、該給送手段との協働によりシートを1枚ずつ分離する分離部材と、一端部が前記シート積載台に回転可能に支持されるとともに、他端部が前記装置本体に設けられ、自身の長さ方向の支持位置を変える支持位置変更部材に揺動可能に支持される連結部材と、を備えるシート給送装置であって、前記連結部材の前記他端部が前記支持位置変更部材に揺動可能に支持されることにより、前記連結部材の長さ方向の支持位置が変わり、前記分離部材に対する前記シート積載台の角度が調整可能となるシート給送装置である。
本発明によれば、上記構成により、連結部材の他端部が支持位置変更部材に揺動可能に支持されることにより、連結部材の長さ方向の支持位置が変わり、分離部材に対するシート積載台の角度が調整可能となる。これにより、摩擦部材へのシート突入角度を容易に調整することができるとともに、対応シート種類幅(例えば紙種幅)を拡大することができる。
本発明に係るシート給送装置を適用した画像形成装置の一例としてのプリンタの外観斜視図である。 図1のプリンタの全体構成を示す断面図である。 図1のプリンタの装置本体から手差し台を開放した状態を示す斜視図である。 手差し給紙装置の基本的な構成を示す側面図である。 図4の要部の拡大側面図である。 手差し台開放時の拡大斜視図である。 (a)は手差し台開放時の断面図であり、(b)は連結部材の拡大側面図である。 (a)は手差し台開放時の連結部材の支持部を拡大して角度変更手段を説明する斜視図、(b)、(c)は連結部材の支持部を装置正面から見たときの角度変更手段の動作を説明する正面図である。 (a)は手差し台を閉じる際の手差し台の支持部を示す断面図、(b)は(a)動作中の連結部材と支持部材との位置状態を示す拡大正面図である。 (a)は連結部材のシート幅方向外側への規制を行う規制部材の正面図、(b)は(a)を上方から見た平面図である。 図10とは別の規制部材周りの正面図である。 図10及び図11とは別の規制部材周りの正面図である。 支持部材及び支持軸の変形や破損を解消することができる一例を説明する支持部材周りの正面図である。 操作部の外観斜視図である。 図14とは別例の操作部の外観斜視図である。 (a)、(b)は支持軸の複数の位置に指標を設けた例を示す操作部周りの正面図である。 (a)は実施形態2の角度変更手段周りの斜視図、(b)は(a)の正面図である。 (a)は実施形態2の角度変更手段の動作を示す正面図、(b)は(a)より動作が進んだ状態を示す正面図である。 実施形態3の手差し台を示す斜視図である。 実施形態3における角度変更前の左右の角度変更手段の拡大正面図である。 実施形態3における角度変更後の左右の角度変更手段の拡大正面図を示す。 支持位置変更部材の変形例であって、(a)、(b)は連結部材の支持部を装置正面から見たときの支持位置変更部材の動作推移を説明する正面図である。
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という)を詳細に説明する。各実施形態等に亘り、同一の機能および形状等を有する構成要素(部材や構成部品)等については、混同の虞がない限り一度説明した後では同一符号を付すことによりその説明を省略する。
以下の説明で「画像形成装置」とは、紙、OHPシート、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の被記録媒体に現像剤やインクを付着させて画像形成を行う装置を意味する。また「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を被記録媒体に付与することをも意味する。また、「シート」とは、紙(用紙)に限らず、OHPシート、布帛なども含み、現像剤やインクを付着させることができるとともにシート給装装置で給送可能な被記録媒体の意味であり、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものも含む。以下の実施形態では、シートとして「用紙」を代表して説明する。
また、各構成部品の説明にある寸法、材質、形状、その相対配置などは例示であって、特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれらに限定する趣旨ではない。
図1及び図2を用いて、本発明に係るシート給送装置を適用した画像形成装置の一例としてのプリンタについて説明する。図1はプリンタの外観斜視図であり、図2はプリンタの全体構成を示す断面図である。
このプリンタは、後述するように複数の像担持体が並行に配置されたタンデム型のカラーレーザプリンタ(以下、単に「プリンタ」という)である。図1及び図2に示すように、プリンタの下部には、複数枚の用紙を積層状態で収納する給紙トレイ30が配置されている。給紙トレイ30の上部には、内部点検用の転写カバー8が配設(配置して設けること、又は位置を決めて設けることを意味する)され、またプリンタの上部には、排紙トレイ45が配設されている。転写カバー8は、図2に示すプリンタの下部に設けられた回転軸12を中心として、図2における右外側に開閉可能に設けられている。
給紙トレイ30の上部には、後で詳述する手差し給紙装置を構成する、揺動・開閉可能な手差し台48が設けられている。
プリンタの内部には、図2に示すように、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色の画像を形成するための画像形成部(作像装置)として、4つのプロセスユニット1C、1M、1Y、1Kが配設されている。4つのプロセスユニット1(C、M、Y、K)は、トナーの色が異なる点以外はいずれもほぼ同じ構成であり、画像形成手段として機能する。以下の説明では、便宜上、構成部材を示す番号の後ろに作像する画像のトナー色に対応させてC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)を添え字として付すことにする。特に一般的説明では、これらの添え字を適宜省略する。
各プロセスユニット1(C、M、Y、K)はそれぞれドラム状の像担持体2C、2M、2Y、2Kを備え、4個の像担持体2(C、M、Y、K)は、画像形成部内の図中左右方向に等間隔で離間させて並列に配設されている。各像担持体2(C、M、Y、K)はプリンタの動作時に、不図示の駆動源から駆動が伝達されることにより、時計回りに回転する。
各像担持体2(C、M、Y、K)の周囲には、現像ローラ5(C、M、Y、K)など、電子写真方式の作像に必要な部材、装置が配備されている。像担持体2(C、M、Y、K)の上方には、色毎の画像データ対応のレーザ光Lを、各帯電ローラ4(C、M、Y、K)で一様に帯電済みの各像担持体2(C、M、Y、K)の表面に走査し、静電潜像を形成する潜像形成手段としての露光器7が設けられている。各帯電ローラ4と各像担持体2との間には、この露光器7により照射するレーザ光Lが像担持体2に向けて入り込むように、細長いスペースが像担持体2の回転軸の方向に確保されている。
図1に示す露光器7は、レーザ光源、ポリゴンミラー等を用いたレーザスキャン方式の露光装置であり、不図示の4個の半導体レーザから、形成すべき画像データに応じて変調したレーザ光Lを発する。露光器7は金属あるいは樹脂製の筐体により、光学部品、制御用部品を収納し、筐体下面の出射口には、透光性の防塵部材を備えている。図2の露光器7は1個の筐体で構成されているが、複数の露光装置を各作像部に個別に設けることもできる。また、レーザ光を採用する露光装置のほかに、公知のLEDアレイと結像手段とを組合せた露光装置も採用できる。
シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色トナーは、各色を扱う現像装置で消費されると、不図示のトナー検知手段により検知される。そして、プリンタ内に備える各色のトナーを収納している4つのトナーボトル6(C、M、Y、K)から、不図示のトナー補給手段により、各現像装置に供給される。
現像ローラ5(C、M、Y、K)は、ステンレスやアルミニュウム製の円筒を有し、回転可能に、かつ、像担持体2(C、M、Y、K)との距離が正規に確保されるように、図示しないフレームに支持され、内部には所定の磁力線が構成されるようにマグネットが備えてある。レーザ光Lにより各像担持体2(C、M、Y、K)の表面に形成された色毎の静電潜像は、所定の色のトナーを扱う現像装置により現像され、顕像となる。
像担持体2(C、M、Y、K)の下部には、転写装置15が配設されている。転写装置15は無端状の中間転写ベルト16を有し、中間転写ベルト16は従動ローラ17と駆動ローラ18とに巻き掛けられている。不図示の駆動源によって駆動される駆動ローラ18が回転することによって、中間転写ベルト16が矢印方向に走行し、現像ローラ5との対向部を通過した後の各像担持体2の表面が、中間転写ベルト16の上面に接触するようになっている。中間転写ベルト16の内周部には、各像担持体2に対向させて4つの一次転写ローラ19(Y、C、M、K)が設けられている。
中間転写ベルト16の右端部付近の外周部には、ベルトクリーニング装置21が設けられている。このベルトクリーニング装置21は中間転写ベルト16の表面に残留する不要なトナーや、紙粉などの異物を拭い去るためのものである。
中間転写ベルト16としては、例えば、基体の厚さが50〜600[μm]の樹脂フィルム或いはゴムを基体とするベルトを使用することができる。当該ベルトは、各像担持体2が担持するトナー像を、各一次転写ローラ19にバイアスを印加することにより、ベルト表面に転写できるような抵抗値を有する。一次転写ローラ19は、例えば芯金たる金属ローラの表面に導電性ゴム材料を被覆したもので、芯金部に不図示の電源からバイアスが印加される。前記導電性ゴム材料は例えばウレタンゴムにカーボンが分散されたもので、体積抵抗10[Ωcm]程度に抵抗が調整されている。尚、一次転写ローラとしては、ゴム層を有さない金属ローラも採用可能である。
中間転写ベルト16の外周で、駆動ローラ18と中間転写ベルト16を挟んで対向する位置に、二次転写ローラ20が設けられている。二次転写ローラ20は、例えば芯金たる金属ローラの表面に導電性ゴムを被覆したもので、芯金部に不図示の電源からバイアスが印加される。前記導電性ゴムにはカーボンが分散されており、体積抵抗は10[Ωcm]程度に抵抗が調整されている。
二次転写ローラ20は駆動ローラ18と対向する位置で中間転写ベルト16に当接(突き当たる状態で接することを意味する)し、二次転写部としての二次転写ニップを形成している。二次転写ニップでは、中間転写ベルト16と二次転写ローラ20の間に記録媒体である用紙Pを通過させながらバイアスを印加することで、中間転写ベルト16が担持していたトナー画像が用紙Pに静電的に転写される。
中間転写ベルト16とその下方の給紙トレイ30との間には、廃トナーを収容する粉体収容器10が配設されている。この粉体収容器10に、中間転写ベルト16に残った余分なトナーをプレートで掻き取って収納するようにしている。
この実施形態のプリンタでは、給紙トレイ30と二次転写ローラ20の間の上下方向の間隔を、その間にガイド31A、31Bやレジストローラとも呼ばれるタイミングローラ対32を配設する関係で、ある程度大きく設定する必要がある。このため、中間転写ベルト16と給紙トレイ30との間にデッドスペースができるが、このデッドスペースに粉体収容器10を設置することで当該スペースを有効利用し、プリンタ全体の小型化を図っている。
給紙トレイ30の内部には、複数枚の用紙Pを積層状態で載せるための底板30dが配設されている。この底板30dは、図2の左端部が図示しない支軸によって揺動自在に支持され、右端が上下方向に揺動可能とされている。そして、底板30dの右端側は、図示しないばねの力で常時上方に付勢されている。給紙トレイ30の前側上部に、回転搬送部材としての給紙ローラ47が配設されている。この給紙ローラ47は底板46上に載置された用紙Pの束の最上部に当接し、この最上部の用紙Pを前側の搬送路31に向けて繰り出すことができるようになっている。給紙ローラ47は用紙Pを前側に搬送する機能があればよく、必ずしもローラの形態である必要はない。給紙ローラ47に代えて、例えば2つのローラ間に掛け渡した無端状の回転ベルトを使用してもよい。
搬送路31の末端付近には、用紙を一旦停止させるタイミングローラ対32が配設されている。このタイミングローラ対32は、中間転写ベルト16の直近上流側に位置し、中間転写ベルト16上のトナー像と、用紙先端位置とを精度良く合わせるために、用紙を一旦停止させて当該用紙Pを一時的に弛ませる。そして中間転写ベルト16上に形成されたトナー像が、二次転写ニップ部で用紙Pに転写される直前に、一旦停止させていた用紙Pを所定のタイミングで二次転写ニップ部に送り出す。
図1、図2のようにフルフロントオペレーションタイプのプリンタでは、中間転写ベルト16の手前側に両面ユニット9を配置する場合が多い。このため、二次転写ローラ20やタイミングローラ対32の手前側にはスペース的な余裕が少ない。そこで二次転写ローラ20やタイミングローラ対32のニップを斜め方向に配置して省スペース化を図っている。特に二次転写ローラ20の圧縮ばね25は大型であるため、斜め方向に配置することで両面ユニット9のデッドスペースを有効利用し、プリンタの前後方向の省スペース化を図ることができる。
図2のタイミングローラ対32は中間転写ベルト16の駆動ローラ18よりも装置奥側に配設されている。このためタイミングローラ対32のカバー側ローラは転写カバー8に対して図2の位置のままでは転写カバー8を開く際にその回転軌跡A2が駆動ローラ18と干渉する。即ち、転写カバー8の回転軸12を中心とする半径R2の回転軌跡A2が駆動ローラ18と干渉する。この干渉を回避するため、当該カバー側ローラは転写カバー8を開く途中で図示しない退避機構によって回転軌跡A2の半径方向内方に揺動するように構成されている。
二次転写ローラ20と駆動ローラ18のニップ部の上方には、転写後搬送路33が配設されている。その転写後搬送路33の末端付近に、定着装置34が設けてある。定着装置34は、図示しないハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ34aと、この定着ローラ34aに対して所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ34bを備えている。尚、定着装置としては無端状の回転ベルトを採用したものやIH加熱方式など他の構成も可能である。
定着装置34の上方に定着後搬送路35が配設されており、この定着後搬送路35の末端側で排紙路36と反転搬送路41に分岐している。定着後搬送路35の側方に、揺動軸42aを中心に揺動駆動する切替部材42が配設されている。排紙路36の末端には排出装置としての排紙ローラ対37が配設されている。
前記切替部材42を図2の実線の揺動位置とすることで、定着が終了した用紙Pが排紙路36に案内され、排紙ローラ対37の回転によって排紙トレイ45上に排紙・スタックさせる。また、片面への定着を終了した用紙Pの後端が切替部材42を通過した後、当該切替部材42を図示実線で示す位置から反時計方向に揺動して図示破線で示す位置にし、排紙ローラ対37を逆回転させると、用紙Pが切替部材42で反転搬送路41に案内される。そして当該用紙Pは反転搬送ローラ対43、44によってタイミングローラ対32に送られる。
次に、このプリンタの基本動作について説明する。図1において、図示しないプリンタの制御部からの搬送信号によって給紙トレイ30の給紙ローラ47が回転すると、給紙トレイ30の底板46上に積載された用紙Pの最上部の用紙Pのみがその下側の用紙Pから分離されて搬送路31へ送り出される。用紙Pの先端がタイミングローラ対32のニップ部に到達すると、中間転写ベルト16上に形成されるトナー画像とタイミング(同期)をとり、かつ、用紙Pの先端スキューを補正するため、用紙Pに弛みを形成した状態で待機する。
次にプリンタの作像動作を1つのプロセスユニット1Kを例に説明する。まず、像担持体2Kの表面が帯電ローラ4Kによって均一な高電位に帯電される(マイナス帯電)。この像担持体2Kの表面に対して、画像データに基づいて露光器7からレーザ光Lが照射され、当該照射された部分の電位が低下することで像担持体2Kの表面に静電潜像が形成される。一方、トナーボトル6Kから未使用のブラックトナーが現像ローラ5Kの外周面に供給される。現像ローラ5Kの外周面に保持されたブラックトナーは、像担持体2Kの表面の静電潜像に静電吸着され、当該静電潜像がトナーで現像されて可視像となる。この可視像が、像担持体2Kと同期して移動する中間転写ベルト16の表面に対し、プラスに帯電された一次転写ローラ19による転写作用を受けて一次転写される。このような潜像形成、現像、一次転写の各動作は、すべてのプロセスユニット1(C、M、Y、K)で画像データと対応してタイミングをとって順次行われる。
この結果、中間転写ベルト16の表面上に、シアンC、マゼンタM、イエローY、及びブラックKの各色トナー画像が順次重なり合った4色トナー画像が担持され、この4色トナー画像が矢印の方向に表面移動する中間転写ベルト16と共に搬送される。
ドラムクリーニング装置3Kは、中間転写工程を経た後の像担持体2K表面に付着している残留トナーを除去する。除去された残留トナーは、図示しない廃トナー搬送手段によって、プロセスユニット1K内にある廃トナー収容部へ送られ回収される。また、図示しない除電装置は、クリーニング後の像担持体2Kの残留電荷を除電する。
以上のように各色トナー画像が中間転写ベルト16に転写されると、タイミングローラ対32と給紙ローラ47が駆動を開始し、中間転写ベルト16に転写されたトナー画像とタイミング(同期)をとって用紙Pが二次転写ローラ20へ送られる。二次転写ローラ20はプラスに帯電されており、この二次転写ローラ20の二次転写ニップ部によって、送られてきた用紙Pに中間転写ベルト16上のトナー画像が転写される。中間転写ベルト16の表面の残留トナーや異物は次の作像・転写工程のためにベルトクリーニング装置21によって除去される。中間転写ベルト16から除去されたトナーや異物は、図示しない廃トナー搬送手段によって、粉体収容器10へと搬送され、粉体収容器10内に回収される。
トナー画像を転写された用紙Pは転写後搬送路33を通って定着装置34へと搬送される。定着装置34に送り込まれた用紙Pは、定着ローラ34aと加圧ローラ34b間に挟まれ、その未定着トナー画像が加熱・加圧されて用紙Pに定着される。トナー画像が定着された用紙Pは、定着装置34から定着後搬送路35へ送り出される。
定着装置34から用紙Pを送り出したタイミングでは、切替部材42は図1の実線で示す位置にあり、定着後搬送路35の末端付近を開放している。用紙Pは定着後搬送路35を通過した後、排紙ローラ対37に挟み込まれ、排紙トレイ45へ画像面が下向き(フェースダウン)で排出される。
次に、プリンタで、用紙Pの両面に画像を形成する両面印刷時の動作について説明する。両面印刷を行う場合は、排紙ローラ対37によって搬送される用紙Pの後端が、定着後搬送路35を通り抜けると、切替部材42が図2の破線で示す位置に揺動して定着後搬送路35の末端付近が閉鎖される。これとほぼ同時に、排紙ローラ対37が逆回転し、用紙Pが逆送されて反転搬送路41へ進入する。反転搬送路41内を搬送される用紙Pは、反転搬送ローラ対43、44を経てタイミングローラ対32に至り、中間転写ベルト16上に形成された裏面用のトナー画像とタイミングを合わせて送り出される。
用紙Pの裏面に形成すべき画像は、用紙Pが所定のところまで搬送された時に開始される作像工程により順次形成される。この場合の作像工程もまた前述の片面印刷時のフルカラートナー画像形成と同様であり、このフルカラートナー画像を中間転写ベルト16上に担持させる。ただし、用紙Pは搬送路で前後が反転されているため、最初に作像されたときに対し、用紙搬送方向で逆から作像されるよう、露光器7から出射される画像データの作成が制御、実行される。
タイミングローラ対32から送り出された用紙Pは、二次転写ローラ20を通過する際にその裏面に中間転写ベルト16上のトナー画像が転写される。用紙Pの裏面のトナー画像が定着装置34によって定着された後、定着後搬送路35、排紙路36、排紙ローラ対37を順次経由して排紙トレイ45へ排出される。尚、プリントは両面作像の効率を上げるために搬送路31内で数枚の用紙Pを同時に搬送することができる。
(実施形態1)
図3〜図5を用いて、シート給送装置の一例としての手差し給紙装置について説明する(請求項1、2、5〜10)。図3はプリンタの装置本体から手差し台を開放した状態を示す斜視図であり、図4は手差し給紙装置の基本的な構成(給紙ローラ、フリクションパッド、フリクションパッド受台、手差し台及び底板等)を示す側面図、図5は図4の要部の拡大側面図である。
図3〜図5において、給紙ローラ49及びフリクションパッド受台51は、それぞれ装置本体56側に、底板50は手差し台48側に配設されている。給紙ローラ49はシートを給送する給送手段として機能し、フリクションパッド受台51は摩擦部材としてのフリクションパッド52を支持する摩擦部材支持部材として機能する。底板50は、手差し台48に支持され、シートを積載するシート積載台として機能する。尚、底板50を備えておらず手差し台48自体がシートを積載するシート積載台を兼ねているものもあるが、以下の実施形態では手差し台48が底板50を備えている例で説明する(請求項1)。
給紙ローラ49は、図4及び図5に示すように、給紙ローラ軸53と、図に示されているDカット若しくはピンなどで回転止めされている。給紙ローラ49は、図4及び図5の紙面と直交する方向であるシート幅方向Yに延びて形成されている給紙ローラ軸53の一端部が図示しない軸受を介して装置本体56に回転可能に支持されていることにより、回転自在に構成されている。シート幅方向Yに延びる給紙ローラ軸53上には、図示しない駆動ギヤが取り付けられていて、この駆動ギヤと噛み合う複数のアイドルギヤ、クラッチやソレノイドなどの駆動連結部材(図示せず)を介して図示しない駆動源より駆動力が伝達される。
これにより、給紙ローラ49は、図4における時計回りに回転可能であり、前記図示しない駆動連結部材の連結時間及び停止時間が制御されることにより、所定のタイミングで間欠回転動作が可能となっている。給紙ローラ49は、シートに所定の搬送力を付与することができるように表層が高摩擦係数のゴムで構成されており、前記駆動連結部材の制御によって間欠回転してシートを給送する。本実施形態例では給紙ローラ49の寸法は、直径26mm、幅45mmで構成しているが、シート給送装置の対応すべきシートの種類や装置本体内のスペースに応じて適正な給紙ローラ寸法を選択することができる。
底板50は、手差し台48内に設けられた底板回動軸54にて所定の角度範囲内で回動(正逆方向に円運動することを意味する)可能に支持されており、図4において左側の先端部が図示しないばねによって常時上方に付勢されている。図4、図5に示すように、用紙Pは底板50上に載置され、最上の用紙Pは給紙ローラ49と当接しており、前記ばねの付勢力と給紙ローラ49の摩擦係数により搬送力を付与され、図の左方向へ用紙Pを搬送可能としている。前記ばねの付勢力が適正値より低いと、シートを搬送することができない不給紙が発生し、適正値より高いと多数枚のシートを搬送する重送が発生してしまう。また、底板50の先端部には、用紙Pに対して高摩擦係数のパッド材である底板パッド55が設置されており、最下のシートである用紙Pに一定の負荷を与えることにより、最下の用紙Pと最下から2枚目の用紙Pとが重送することを防止している。
図4に示すフリクションパッド52は、発泡ウレタンゴムやEPゴム、シリコンゴム、コルク若しくはこれらの配合材料など高摩擦係数の材質を使用している。これにより、フリクションパッド52の摩擦係数を用紙間摩擦係数よりも高く設定し、この摩擦係数の差により重送を防止するようにしている。また、フリクションパッド52は、量産性を考慮し、簡易な形状である長方形の板状で形成され、両面テープを用いてフリクションパッド受台51に貼り付けられている。フリクションパッド受台51は、図5に拡大して示すように、そのシート搬送方向下流側(図の左方)に設けられた受台回動軸51Aが装置本体側に所定角度の範囲で回動自在に支持されることにより、図の右端側が上下方向に揺動可能になっている。フリクションパッド受台51の下側には、図示しないばねが配設されている。このばねによって、フリクションパッド受台51を介してフリクションパッド52が上方、即ち給紙ローラ49の回転中心方向に向けて付勢されている。
ここで、底板50に載置された最上の用紙Pと給紙ローラ49の当接部を給紙ニップN1、フリクションパッド52と給紙ローラ49の当接部を分離ニップN2とする。このニップ構成により、給紙ニップN1から給送された用紙Pがたとえ2枚重なっていたとしても、分離ニップN2にて2枚のうち下位の用紙Pにフリクションパッド52による摩擦負荷をかけることにより、1枚に分離して搬送可能とする。尚、フリクションパッド受台51の支持構造は前記のように受台回動軸51Aを中心とした揺動自在な支持構造に限られない。即ち、フリクションパッド受台51の周囲の部品レイアウト等に応じて、フリクションパッド受台51を例えば給紙ローラ49の回転中心方向に直線的に平行移動可能に配設してもよい。
底板50とフリクションパッド52とがなす角、即ちフリクションパッド52への用紙突入角度γが大きいと、フリクションパッド52において、用紙の阻止力が大きくなり重送を防ぐことができる。一方で、用紙突入角度γを大きくするとフリクションパッド52での用紙の阻止力が大きいことで、厚紙の不給紙が発生する。厚紙に対してはフリクションパッド52への用紙突入角度γを小さくする必要がある。この問題を生じさせないために、重送と不給紙を考慮した用紙突入角度にしなければならない。
図4において、角度βは、図の位置で傾斜している底板50が水平面Hとのなす角度を表わしている。
次に、本発明の特徴的な構成である、装置本体56と手差し台48とを繋ぐ連結部の構成について説明する。図6は手差し台48開放時の拡大斜視図を、図7(a)は手差し台48開放時の断面図を、図7(b)は連結部材57の拡大側面図を、それぞれ示す。
図7(a)、図7(b)に示すように、手差し台48は、図における左下方の基端部が装置本体56の左右両側に設けられた手差し回動軸66(図7(a)の左のみ示す)に所定角度の範囲で回動可能に支持されていることにより、図における右上方の自由端部が揺動可能になっている。手差し台48の図における右上方の自由端部には、操作者が開閉操作するための直方体状に凹んだ取っ手が設けられている。
さらに、手差し台48は、装置本体56からの手差し台48の開放時、装置本体56の左右両側で一対の連結部材57を介して支持されていることによって、水平面Hに対して所定の角度αに保持されるように構成されている。また、図7(a)、図7(b)に示すように、各連結部材57の一端部(図の下端部)は、ピン57aを介して手差し台48に回転可能、且つ揺動可能に連結されている。連結部材57の他端部(図の上端部)には長穴75が設けられており、後述する支持部材58が長穴75を挿通して装置本体56側に取り付けられることにより、連結部材57の他端部は長穴75に沿って移動可能になっている。上記のとおり、手差し台48は、連結部材57と手差し回動軸66との連結構造によって、装置本体56内に収納される収納位置と、装置本体56から開放される開放位置との間で揺動可能、即ち、装置本体56に対して開閉自在に構成されている。
図4及び図5に示したように、手差し台48を揺動させて角度αを変更すると、底板50の角度βも同時に変化するため、用紙突入角度γを変更することができる。例えば、角度α、β、γをそれぞれ小さくすることで、用紙Pがフリクションパッド52へ突入する際の用紙阻止力が減るため、厚紙など搬送負荷の大きい用紙での不給紙が解消される。これとは反対に、用紙同士の密着力が大きく重送しやすい紙種を通紙する際には、角度α、β、γをそれぞれ大きくすることで、フリクションパッド52への用紙阻止力を上げて用紙同士を分離させて重送を防止することができる。このようにシート種類である紙種によって角度α、β、γを調整することで、手差し給紙装置の対応紙種を拡大することができる。
図8を用いて、手差し台48の角度調整手段としての角度変更手段について説明する。図8(a)は手差し台48開放時の連結部材57の支持部を拡大して角度変更手段を説明する斜視図であり、図8(b)、図8(c)は連結部材57の支持部を装置正面から見たときの角度変更手段の動作を説明する正面図である。
この角度変更手段は、連結部材57の他端部を揺動可能に支持する後述の支持位置変更部材を介して連結部材57の長さ方向の支持位置を、後述するマニュアル操作によって変えるものである。これにより、連結部材57の他端部の支持位置を変えて、角度α、β、γを容易に切り替えできるようにするものである。このように、連結部材57の他端部の装置本体56に対する支持位置を連結部材57の長さ方向で変えることができれば、手差し台48が開閉位置を占めたときの角度αを変更することができる。
連結部材57の他端部を揺動可能に支持するとともに、連結部材57の長さ方向の支持位置を変える支持位置変更部材は、装置本体56に設けられた軸部材としての支持軸59と、該支持軸59上の複数の位置に移動可能に設けられた支持部材58とからなる。
支持部材58は、支持軸59を覆う第1の位置(図8(b)の位置)と、支持軸59を露出する第2の位置(図8(c)の位置)との間で移動可能に構成されている。そして、支持部材58を第1の位置から第2の位置へ移動させたとき、連結部材57の他端部が支持軸59に揺動可能に支持されるようになっている。
連結部材57の他端部(図8の上端部)は、長穴75を介して支持部材58によって支持されている。支持部材58は、装置本体56に取り付け・固定されている支持軸59上において、その軸方向に移動可能に支持されている。支持部材58は、円柱状をなす支持軸59の外周面の外径よりも大きい部分円筒状をなし、支持軸59の一部外周部を露出させるように切欠かれた特有の形状に形成されている。支持部材58の上端部は、支持軸59の軸方向でもあるシート幅方向Yの長さよりも短く切欠かれた切欠き端面58aを形成している。支持軸59と支持部材58とは、連結部材57の長穴75に挿入可能な大きさで形成されている。
また、支持部材58の図において左先端部には、操作者が支持部材58の移動操作を行うための操作部60が一体的に設けられており、これにより操作者が支持部材58を移動させることができるようになっている。装置本体56の外壁面と支持部材58の図において右端面との間の支持軸59上には、支持部材58及び操作部60を図において左方へ常に移動させる向きに付勢する付勢手段としてのばね62が装着されている。このばね62により、支持部材58は支持部材58が初期位置を占める方向に付勢されている。
支持軸59には、連結部材57の他端部の一方向への移動を規制する第1の規制部材61が設けられている。詳しくは、支持軸59の図において左端部には、薄板状をなす規制部材61が取り付け・固定されており、連結部材57の軸方向であるシート幅方向Yの外側(一方向である図8(b)左側)への移動を規制することができる(請求項6)。
次に、手差し台48の角度変更手段の操作及び動作について説明する。手差し台48の角度変更(角度調整)操作は、図7(a)に示した手差し台48の開放状態で、装置本体56の左右両側でそれぞれ同様に行われる。手差し台48の開放状態では、連結部材57の支持部材58との支持部には手差し台48の自重が掛かっている。また、この状態では図8(a)及び図8(b)に示すように、支持部材58の切欠き端面58aが規制部材61に当接した状態にある。この際、支持部材58は第1の位置(図8(b)の位置)を占めている。
先ず、操作者が支持部材58の操作部60をばね62の付勢力に抗してシート幅方向Yの矢印方向(図8(b)の右側)に押すと、操作部60と一体化された支持部材58が支持軸59上を図8(b)の右側に移動する。この際、手差し台48の自重によって、連結部材57は支持部材58との支持状態から外れ、図8(c)の矢印で示すように、連結部材57は下方に移動して、連結部材57は長穴75の上端面が支持軸59の外周面に当接して支持される。この際、支持部材58は第2の位置(図8(c)の位置)を占めている。この支持状態では、ばね62の付勢力によって、連結部材57における長穴75開口部の上端面よりも上部部分が支持部材58の切欠き端面58aと規制部材61との間の支持軸59の外周面に挟まれた状態にある。このようにして、連結部材57の他端部(長穴75)と、支持部材58との、また支持軸59との各支持位置が、連結部材57の長さ方向でそれぞれ異なるように変化することとなる。ここでは、連結部材57が支持軸59によって支持される。連結部材57の支持位置が変化することによって、手差し台48の角度αを変更することができる。
上記のとおり、支持部材58を第1の位置から第2の位置へ移動させたとき、連結部材57の他端部が支持軸59に揺動可能に支持されることとなる。
さらに、底板50は手差し台48に揺動可能に支持されているので、手差し台48の角度αが変化すると、それに連動して底板50の角度βも変化する。連結部材57が図8(c)に示した位置で支持されることで、用紙突入角度γを小さくすることができ、フリクションパッド52での用紙阻止力を小さくできるので、厚紙の不給紙が解消され、対応紙種幅を拡大することができる。
上述したとおり、連結部材57の他端部が支持位置変更部材としての支持軸59及び支持部材58によって選択的に揺動可能に支持されることにより、連結部材57の長さ方向の支持位置が変わるので、手差し台48の角度αを変更することができる。つまり、手差し台48の角度を調整可能とする角度変更手段は、支持部材58を、第1の位置から第2の位置へ移動させたとき、連結部材57の他端部が支持軸59に揺動可能に支持されることで、連結部材57の長さ方向の支持位置が変わることで構成されている。
尚、支持部材58は、装置本体56に設けられた支持軸59に移動可能に支持されているので、支持部材58の移動が容易である。
手差し台48の角度を変更・調整前の元の位置である初期位置に戻す動作について説明する。図9(a)は手差し台48を閉じる際の手差し台48の支持部を示す断面図、図9(b)は図9(a)動作中の連結部材57と支持部材58との位置状態を示す拡大正面図である。
図8(c)に示した連結部材57、支持部材58及び支持軸59の位置状態から、図9(a)に示すように手差し台48を閉じる操作を行うと、連結部材57が長穴75に沿って上方に揺動変位する。この際、図9(b)に示すように、連結部材57は支持軸59との支持状態から外れると同時に、連結部材57を押し付けていた支持部材58がばね62の復元力によって、初期位置(支持部材58の切欠き端面58aが規制部材61に当接した状態)に戻る。これにより、変更した手差し台48の水平面からの角度αを初期の角度に戻し忘れることがなく、操作性が向上する(請求項9)。
また、図8(c)に示すように、ばね62の付勢力によって、連結部材57における長穴75上端面よりも上部部分が支持部材58の切欠き端面58aと規制部材61との間の支持軸59の外周面に挟まれた状態にある。換言すれば、支持部材58は、ばね62の付勢力によって、連結部材57の外側面に当接する。これにより、連結部材57のシート幅方向Yの移動が規制されるので、連結部材57のシート幅方向Yの位置を精度良く決めることができる。
ここで、図示を省略しているが、支持部材58が樹脂で構成されている場合、支持部材58の樹脂の弾性(撓みなど)を利用して、支持部材58が初期位置を占める方向に付勢されていてもよい。この例としては、支持部材58が樹脂で構成されている場合、図8(b)を借りて説明すると、支持部材58を付勢するばね62を除去し、これに代えて支持部材58の右端部側に樹脂の弾性を利用した弾性突起部を一体的に形成する構成が挙げられる。これによりばね等の付勢手段を使わずに支持部材58を付勢・加圧することができ、部品点数を削減することができる。これに関連する具体例は、後述の図17及び図18に示す実施形態2で説明する。
図10、図11、図12を用いて、連結部材57の軸方向位置を規制する規制部材について説明する。装置本体56の左右の連結部材57の位置が定まっていない場合、手差し台48の左右で傾きが生じる可能性がある。手差し台48の左右で傾きがあると、用紙給送時に用紙が斜行し、画像が用紙に対して斜めに転写されるといった問題が生じる。ここでは、連結部材57のシート幅方向Y(軸方向)への移動を規制し、手差し台48の角度を左右で等しく保つ手段について説明する。
図10(a)は連結部材57のシート幅方向Y外側(図10(a)の右側)への移動規制を行う規制部材の正面図を、図10(b)は図10(a)を上方から見た平面図を示す。図11は連結部材57のシート幅方向Y外側(図11の右側)への移動規制を行う規制部材の正面図を、図12は連結部材57のシート幅方向Y外側(図12の右側)への移動規制を行う規制部材の正面図を、それぞれ示す。
図10(a)に示すように、支持部材58を支持する支持軸59に規制部材63を設けることにより、連結部材57のシート幅方向Y外側(他方向である図10(a)の右側)の移動を規制することができる。規制部材63は、支持軸59の外周面から軸方向と直交する方向に突出して支持軸59と一体的に形成されている。これら左右2つの規制部材61、63によって、連結部材57の位置を精度良く決めることができ、手差し台48の角度を左右等しく保つことができる(請求項6)。
また、図10(a)、図10(b)に示した規制部材63に代えて、図11に示すように、連結部材57のシート幅方向Y外側(他方向である図11の右側)の移動を規制する第2の規制部材64を装置本体56に設けてもよい(請求項7)。また、図12に示すように、連結部材57のシート幅方向Y外側(他方向である図12の右側)の移動を規制する第3の規制部材65は、支持部材58と一体的に形成したものである(請求項8)。規制部材65は、支持部材58の外周面から軸方向と直交する方向に突出して形成されている。
支持部材58を構成する材料について説明する。仮に、図8等において、支持部材58と支持軸59との間の摩擦力が大きいと、支持部材58の操作に必要な力が大きくなり、支持部材58及び支持軸59の変形や破損といった問題が生じる。そこで、例えば鋼材等の金属製の支持軸59に対して低摩擦係数の材料である、例えばポリアセタール樹脂(POM)などを用いて支持部材58を形成する。これにより、操作者が支持軸59に対して支持部材58の移動を円滑に行うこと、即ち支持軸59に対する支持部材58の摺動性が向上して、支持部材58及び支持軸59の変形や破損といった問題を解消することができる。なお、「摺動」とは接触してすり動くことを意味する。
次に、図13を用いて、上記したとは別の手段により、支持部材58及び支持軸59の変形や破損といった問題を解消することができる一例を説明する。
図8に示したように、操作者が支持部材58の操作部60をばね62の付勢力に抗して図8(b)の右側に押すと、支持部材58が支持軸59上を図8(b)の右側に移動する。この際、手差し台48の自重によって、連結部材57は支持部材58との支持状態から外れ、図8(c)の矢印で示すように、連結部材57は下方に移動して支持軸59に支持される。このとき、ばね62の付勢力によって、連結部材57が支持軸59に瞬間的・弾溌的に衝突することになり、支持軸59が変形したり、破損したりする原因となる。
そこで、図13に示すように、支持部材58の図における左側への移動方向に対して傾斜した傾斜面74を設ける。これにより、支持部材58を傾斜面74に沿って移動させ、支持位置を変更する際(図における左側への移動)の衝撃を小さく緩和することができる。これにより、支持軸59の変形や破損という問題を解消することができる。
次に、図14〜図16を用いて支持部材58を軸方向に移動する操作部60について説明する。図14、図15は操作部60の外観斜視図である。図16(a)、図16(b)は支持軸59の複数の位置に第1の指標67、第2の指標68を設けた例を示す操作部60周りの正面図である。
図14に示すように、操作部60には、筋状をなす複数の凹凸形状76が設けられており、操作部60が手で持ちやすい形状になっている。また、操作部60を支持軸59の軸中心59a上に設けることによって、モーメントが発生せず支持部材58がよれたり、折れたりすることがなく、支持部材58の摺動性を向上するとともに、操作性を向上することができる。
操作部60を周囲と異なる色にしたり、図15に示すように、操作部60に作業指示を示す第1の指標67を設けることによって、操作部60が見やすくなる。
図16(a)に示すように、支持部材58を支持する支持軸59には、複数の位置にてそれぞれ対応する第2の指標68が設けられている。支持部材58を移動させる前では普通紙の給紙に適した角度であるので、普通紙モード(図中「plain」と図示)であることが分かる指標が見える。一方、支持部材58を移動させ、厚紙の給紙に適した角度にすると、厚紙モード(図中「thick」と図示)であることが分かる指標が見える。これらにより操作部60の視認性を向上するとともに誤操作の防止が可能となる。
また、操作部60は、支持部材58と一体で形成されているものに限らず、支持部材58と別体で形成されてもよい。操作部60を別体で構成することによって、操作部のみ色を変更することができる他、連結部材57の組み付けが容易になり、さらには操作部を大きくすることも可能となる。
ここで、背景技術で挙げた特許文献1について補説する。特許文献1には、用紙突入角度を給紙される用紙の種類及び量に適合した最適な角度となるようにする目的で、以下の技術が開示されている。即ち、特許文献1の給紙装置には、底板の回動軸を支持する支持ピンがあり、支持ピンが複数の位置で固定可能であり、作業者が固定箇所を変更することで、用紙の突入角度を調整する構成が開示されている。
しかしながら、特許文献1の給紙装置では、固定された支持ピンを持ち上げて、他の固定位置まで支持ピンを移動させて、固定し直す操作が必要で、給紙装置の左右で5アクションの操作となる。また、移動させる支持ピンは底板の回動支点であり、支持ピンを移動させるのに大きな力を要すると考えられ、操作者が用紙突入角度を容易に調整することができず、操作性に問題があった。
これに対し、本発明の実施形態1によれば、特許文献1を含む従来技術の問題を解消して、上述したとおりの種々の優れた効果を奏する。即ち、実施形態1によれば、支持部材を移動させることによって、連結部材と支持部材の当接位置が連結部材の長さ方向で移動することで、手差し台の角度が変わり、分離部材に対する手差し台の角度を容易に調整可能となる。これにより、摩擦部材へのシート突入角度を容易に調整することができるとともに、対応紙種幅(シート種類幅)を拡大することができる手差し給紙装置(シート給送装置)を提供することができる。
(実施形態2)
図17、図18を用いて、実施形態2を説明する。実施形態2では、実施形態1で用いたばね62を用いずに、手差し台48の収納操作に連動して支持部材58を角度変更前の初期位置に戻す手段について説明する。実施形態2では、ばねを用いないことで部品点数を削減することができる。図17(a)は実施形態2の角度変更手段周りの斜視図、図17(b)は図17(a)の正面図、図18(a)は実施形態2の角度変更手段の動作を示す正面図、図18(b)は図18(a)より動作が進んだ状態を示す正面図である。
図17(a)及び図17(b)に示すように、実施形態2は、実施形態1の図10に示した例と比較して、支持部材58に代えて、支持部材58Aを用いる点、支持軸59に代えて、支持軸59Aを用いる点、連結部材57に代えて、連結部材57Aを用いる点が主に相違する。この相違点以外の実施形態2の構成は実施形態1の図10に示した例と同様である。なお、「係合」とは、係わり合うことを意味する。
支持部材58Aは、図8に示した支持部材58と比較して、弾性材料で形成されている点、係合部69が切欠き端面58a寄りの内周側に一体的に形成されている点、被押し当て部72が連結部材57Aと操作部60との間に一体的に形成されている点が相違する。
支持部材58Aは、弾性及び必要な強度・剛性を備えるとともに、摺動性が良好である、例えばポリアセタール(POM)やポリアミド樹脂(PA)等で一体的に形成されている。
係合部69は、支持部材58Aが一部切り欠かれて形成された筒状内周面から、軸方向と直交する方向に突出した三角形凸状をなし、後述する支持軸59の被係合部70−A、70−Bと選択的に係合可能になっている。換言すれば、係合部69は、支持部材58Aの移動方向に対して傾斜した傾斜面を備えた三角形凸状をなす。
被押し当て部72は、直方体状をなして紙面の手前側に突出し、切欠き端面58aとの間で連結部材57Aを挟むように連結部材57Aの図において左側面近傍の支持部材58Aに一体的に形成されている。これにより、被押し当て部72は、後述するいわゆる立体カムとしての機能の他に、図10に示した規制部材61の機能も兼ね備えている。
支持軸59Aは、支持軸59と比較して、支持部材58Aの係合部69と選択的に係合可能な三角形凹状をなす2つの被係合部70−A、70−Bを支持軸59Aの軸方向外周部に備えている点のみ相違する。
連結部材57Aは、図10に示した連結部材57と比較して、支持部材58Aの被押し当て部72と選択的に係合可能な、傾斜面71aを有する押し当て部71を備えている点のみ相違する。
尚、係合部69と被係合部70−A、70−Bとの関係は、相対的なものであり、これらに限らず、係合部を支持軸側に、被係合部を支持部材側に形成したものであってもよい。
図17(a)及び図17(b)に示す状態は、連結部材57A及び支持部材58Aが初期位置(例えば普通紙モード)から移動して角度変更位置(例えば厚紙モード)を占めている状態を示している。支持部材58Aの上記所定の位置では、自身の弾性力によって付勢されることで、支持部材58Aの係合部69が支持軸59Aの被係合部70−Aに係合している。係合部69及び被係合部70−Aは、支持部材58Aの移動方向に対して傾斜するように構成されている。支持部材58Aと支持軸59Aとが係合することにより、支持部材58Aのシート幅方向Yの位置を精度良く決めることができる。
次に、図18(a)及び図18(b)を用いて、支持部材58Aを初期位置に戻す動作について説明する。手差し台48を収納する際に、図18(a)に示すように、連結部材57Aの押し当て部71の傾斜面71aが支持部材58Aの被押し当て部72Aに当たることで、支持部材58Aを軸方向に移動させる力が働く。この際の支持部材58Aを軸方向に移動させる力は、支持部材58Aを図18(a)中矢印で示すように左側に移動させるように働く。これにより、支持部材58Aの係合部69と支持軸59Aの被係合部70−Aとの係合が外れ、支持部材58Aが軸方向(図18(a)の左側)に移動する。そして、図18(b)に示すように、支持部材58Aの初期位置で支持部材58Aの係合部69が支持軸59Aの被係合部70−Bに付勢されることで、係合部69が被係合部70−Bに係合する。
また、係合部69は、これに限らず、支持部材と別体で構成されてもよい(図示せず)。
(実施形態3)
実施形態3では、1アクションの操作で左右両側の支持部材58を連動させて移動させる構成について説明する。
実施形態1の図8、図9に示した角度変更手段や、実施形態2の図17及び図18に示した角度変更手段の例では、支持部材58、58Aは、装置本体56の左右両側にそれぞれ取り付けられている。実施形態1及び2では、左右の支持部材58、58Aを移動させるため、支持部材58、58Aの移動に2アクションの操作が必要になる。また、左右それぞれの操作ではどちらか一方の支持部材58、58Aを移動し忘れる可能性があり、左右どちらか一方のみの操作では、手差し台48の左右で傾きが生じてしまう。これにより、搬送時に用紙が斜行し、画像が用紙に対して斜めに転写されるといった問題が生じる。
図19〜図21を用いて、本実施形態3では、上記問題を解消するための構成について説明する。図19に実施形態3に係る手差し台の斜視図を示し、図20は角度変更前の左右の角度変更手段の拡大正面図を、図21は角度変更後の左右の角度変更手段の拡大正面図を示す。
支持部材58及び連結部材57は左右に備えられており、図19に示すように、左右の支持部材58を連動可能とする連動部材73を備えることによって、一つの操作で手差し台48の角度を変更することが可能となる。左右どちらか一方の支持部材58(図において右側とする)は、実施形態1と同様の構成であり、操作部60をシート幅方向Y外側(図20の右側)に押すことで、手差し台48の角度を変更することができる。このとき、他方の支持部材58(図において左側)は連動部材73によってシート幅方向Y内側(図20の右側)に引かれることになる。したがって、支持部材58は左右で異なった形をとっている。図20の左側に示すように、支持部材58の操作部60がシート幅方向Y内側(図20の右側)に引かれることで、図20の左側の支持部材58が支持軸59上をシート幅方向Y内側に移動することで、連結部材57との支持状態から外れる。そして、手差し台48の自重によって、図20の左側及び右側に示すように、連結部材57が下に移動し、連結部材57が支持軸59によって支持される。この動作により、連結部材57が左右で同一高さに支持されるので、一つの操作で手差し台48の角度を左右等しく変更することが可能となる。
左右の支持部材58及び連動部材73は、一体で成型してもよい。これにより、部品点数を削減することができる。
図22を用いて、本発明の支持位置変更部材(支持位置変更手段)の変形例について説明する(請求項1、3)。図22(a)、図22(b)は連結部材57の支持部を装置正面から見たときの支持位置変更部材の動作推移を説明する正面図である。
図22に示す支持位置変更部材は、図8(a)〜図8(c)に示した例と比較して、支持部材58に代えて、支持部材58Bを用いる点、規制部材61に代えて、規制部材61Bを用いる点が主に相違する。この相違点以外の図22に示す支持位置変更部材の構成は、図8(a)〜図8(c)に示した例と同様である。即ち、図22に示す支持位置変更部材は、支持軸59上を移動可能に設けられた段付き形状をなす支持部材58Bで構成されている。
支持部材58Bは、外周面58Baと、外周面58Baよりも一段低く形成された段付低面58Bbとで一体的に形成された段付き円筒状をなす。外周面58Baは、連結部材57の他端部に支持される第1の支持部となる部位である。段付低面58Bbは、連結部材57の他端部に支持される第2の支持部となる部位であり、連結部材57の他端部に支持されるように所定の長さをもって支持軸59の左方向に突出して形成されている。
支持部材58Bの外周面58Baから段付低面58Bbへの段付き部には、段付き端面58Bcが形成されている。支持部材58Bは、連結部材57の長穴75に挿入可能な大きさで形成されている。
規制部材61Bは、規制部材61と比較して、支持部材58Bの段付低面58Bbを挿通する貫通穴61Baが形成されている点のみ相違する。
支持部材58Bは、外周面58Baが連結部材57の他端部を支持する第1の支持位置(図22(a)の位置)と、段付低面58Bbが連結部材57の他端部を支持する第2の支持位置(図22(b)の位置)との間で移動可能に構成されている。そして、操作部60により支持部材58Bを第1の支持位置から第2の支持位置へ移動させたとき、連結部材57の他端部が支持部材58Bの段付低面58Bbに揺動可能に支持されることとなる。
上述したとおり、支持位置変更部材としての支持部材58Bを、第1の支持位置から第2の支持位置へ移動させたとき、連結部材57の他端部が支持部材58Bの段付低面58Bbに揺動可能に支持されることで、連結部材57の長さ方向の支持位置が変わる。連結部材57の他端部が支持部材58Bの外周面58Ba又は段付低面58Bbによって選択的に揺動可能に支持されることにより、連結部材57の長さ方向の支持位置が変わるので、手差し台48の角度αを変更することができる。
尚、支持部材58Bは、装置本体56に設けられた支持軸59に移動可能に支持されているので、支持部材58Bの移動が容易である。
上記実施形態では、一端部がシート積載台に回転可能に支持されるとともに、他端部が装置本体に設けられ、自身の長さ方向の支持位置を変える支持位置変更部材に揺動可能に支持される連結部材(請求項1)について説明した。そして、支持位置変更部材は、装置本体に設けられた軸部材と、該軸部材上の複数の位置に移動可能に設けられた支持部材とからなる構成であった(請求項2)。
本発明の実施形態は、上記した連結部材及び支持位置変更部材の構成に限らず、連結部材の一端部及び他端部の相対性に鑑み以下のようであってもよい。即ち、一端部が装置本体に回転可能に支持されるとともに、他端部がシート積載台に設けられ、自身の長さ方向の支持位置を変える支持位置変更部材に揺動可能に支持される連結部材であってもよい(請求項3)。そして、支持位置変更部材は、シート積載台に設けられた軸部材と、該軸部材上の複数の位置に移動可能に設けられた支持部材とからなる構成であってもよい(請求項4)。
以上説明した実施形態および実施例は本発明の一例であり、本発明は次の態様ごとに特有の効果を奏する。
[態様1]
装置本体56などの装置本体に揺動可能に支持され、用紙Pなどのシートを積載する手差し台48などのシート積載台と、シート積載台上のシートを給送する給紙ローラ49などの給送手段と、給送手段に対向し、該給送手段との協働によりシートを1枚ずつ分離するフリクションパッド52などの分離部材と、一端部がシート積載台に回転可能に支持されるとともに、他端部が装置本体に設けられ、自身の長さ方向の支持位置を変える支持位置変更部材に揺動可能に支持される連結部材57などの連結部材と、を備えるシート給送装置であって、連結部材の他端部が支持位置変更部材に揺動可能に支持されることにより、連結部材の長さ方向の支持位置が変わり、分離部材に対するシート積載台の角度が調整可能となる。
この態様1によれば、上記実施形態等で説明したように、連結部材の他端部が支持位置変更部材に揺動可能に支持されることにより、連結部材の長さ方向の支持位置が変わり、分離部材に対するシート積載台の角度が調整可能となる。これにより、摩擦部材へのシート突入角度を容易に調整することができるとともに、対応シート種類幅(例えば紙種幅)を拡大することができる。
[態様2]
[態様1]のシート給送装置において、支持位置変更部材は、装置本体に設けられた支持軸59などの軸部材と、該軸部材上の複数の位置に移動可能に設けられた支持部材58などの支持部材とからなり、支持部材は、軸部材を覆う第1の位置と、軸部材を露出する第2の位置との間で移動可能であり、支持部材を第1の位置から第2の位置へ移動させたとき、連結部材の他端部が軸部材に揺動可能に支持される。
この態様2によれば、上記実施形態等で説明したように、支持部材を第1の位置から第2の位置へ移動させたとき、連結部材の他端部が軸部材に揺動可能に支持されるので、態様1の効果を確実に奏する。
[態様3]
装置本体56などの装置本体に揺動可能に支持され、用紙Pなどのシートを積載する手差し台48などのシート積載台と、シート積載台上のシートを給送する給紙ローラ49などの給送手段と、給送手段に対向し、該給送手段との協働によりシートを1枚ずつ分離するフリクションパッド52などの分離部材と、一端部が装置本体に回転可能に支持されるとともに、他端部がシート積載台に設けられ、自身の長さ方向の支持位置を変える支持位置変更部材に揺動可能に支持される連結部材57などの連結部材と、を備えるシート給送装置であって、連結部材の他端部が支持位置変更部材に揺動可能に支持されることにより、連結部材の長さ方向の支持位置が変わり、分離部材に対するシート積載台の角度が調整可能となるシート給送装置である。
この態様3によれば、上記実施形態等で説明したように、連結部材の他端部が支持位置変更部材に揺動可能に支持されることにより、連結部材の長さ方向の支持位置が変わり、分離部材に対するシート積載台の角度が調整可能となる。これにより、摩擦部材へのシート突入角度を容易に調整することができるとともに、対応シート種類幅(例えば紙種幅)を拡大することができる。
[態様4]
[態様3]のシート給送装置において、支持位置変更部材は、シート積載台に設けられた支持軸59などの軸部材と、該軸部材上の複数の位置に移動可能に設けられた支持部材58などの支持部材とからなり、支持部材は、軸部材を覆う第1の位置と、軸部材を露出する第2の位置との間で移動可能であり、支持部材を第1の位置から第2の位置へ移動させたとき、連結部材の他端部が軸部材に揺動可能に支持される。
この態様4によれば、上記実施形態等で説明したように、支持部材を第1の位置から第2の位置へ移動させたとき、連結部材の他端部が軸部材に揺動可能に支持されるので、態様3の効果を確実に奏する。
[態様5]
[態様2]又は[態様4]のシート給送装置において、支持部材は、連結部材が揺動する方向と直交する方向に移動可能である。
この態様5によれば、上記実施形態等で説明したように、支持部材の移動を行う操作時にシート積載台の重量がかからないので操作が容易である、という効果を奏する
[態様6]
[態様2]、[態様4]又は[態様5]のシート給送装置において、軸部材には、連結部材の他端部の少なくとも一方向への移動を規制する規制部材61や規制部材63などの第1の規制部材が設けられている。
この態様6によれば、上記実施形態等で説明したように、連結部材の位置精度が向上する、という効果を奏する。
[態様7]
[態様6]のシート給送装置において、装置本体には、連結部材の他端部の他方向への移動を規制する規制部材64などの第2の規制部材が設けられている。
この態様7によれば、上記実施形態等で説明したように、連結部材の位置精度が更に向上する、という効果を奏する。
[態様8]
[態様6]のシート給送装置において、支持部材には、連結部材の他端部の他方向への移動を規制する規制部材65などの第3の規制部材が設けられている。
この態様8によれば、上記実施形態等で説明したように、連結部材の位置精度が更に向上する、という効果を奏する。
[態様9]
[態様2]又は[態様4]ないし[態様8]の何れか1つののシート給送装置において、支持部材は、シート積載台を装置本体へ収納する操作により、角度調整前の初期位置に移動する。
この態様9によれば、上記実施形態等で説明したように、調整した角度の戻し忘れがない、という効果を奏する。
[態様10]
[態様2]又は[態様4]ないし[態様9]の何れか1つのシート給送装置において、支持部材は、ばね62などの付勢手段により、角度調整前の初期位置を占める方向に付勢される。
この態様10によれば、上記実施形態等で説明したように、支持部材の移動が容易となり、角度調整前の初期位置に自動的に戻る、という効果を奏する。
[態様11]
[態様10]のシート給送装置において、支持部材は、弾性を備えており、支持部材は、支持部材の弾性によって、角度調整前の初期位置を占める方向に付勢される。
この態様11によれば、上記実施形態等で説明したように、支持部材の弾性(例えば樹脂のたわみなど)を利用することで、部品点数を増やさずに付勢できる、という効果を奏する。
[態様12]
[態様10]又は[態様11]のシート給送装置において、支持部材は、前記付勢により、連結部材の外側面に当接する。
この態様12によれば、上記実施形態等で説明したように、連結部材の位置精度が向上する、という効果を奏する。
[態様13]
[態様2]又は[態様4]ないし[態様9]の何れか1つのシート給送装置において、支持部材は、複数の位置に固定可能である。
この態様13によれば、上記実施形態等で説明したように、支持部材の位置精度を高めることができる、という効果を奏する。
[態様14]
[態様13]のシート給送装置において、支持部材及び軸部材の何れか一方に形成された係合部69などの係合部と、支持部材及び軸部材の何れか他方に形成された複数の被係合部70−A、70−Bなどの被係合部とを備え、係合部は、被係合部に対して付勢されることで、係合される。
この態様14によれば、上記実施形態等で説明したように、付勢して係合させることで、支持部材を動かすなどの手段で容易に係合が解除されるので、操作性が向上する、という効果を奏する。
[態様15]
[態様14]のシート給送装置において、係合部は、弾性を備えており、係合部は、係合部の弾性によって付勢される。
この態様15によれば、上記実施形態等で説明したように、係合部の弾性(例えば樹脂のたわみなど)を使用することで、部品点数を増やさずに付勢できる、という効果を奏する。
[態様16]
[態様14]又は[態様15]のシート給送装置において、係合部及び被係合部は、支持部材の移動方向に対して傾斜した傾斜面で構成される。
この態様16によれば、上記実施形態等で説明したように、支持部材の位置精度が高まるとともに、ばね等の付勢手段なしで角度調整前の初期位置に戻すことができる、という効果を奏する。
[態様17]
[態様2]、[態様4]、[態様5]又は[態様8]ないし[態様16]の何れか1つのシート給送装置において、支持部材は、軸部材に対して低摩擦係数の材料で形成されている。
この態様17によれば、上記実施形態等で説明したように、支持部材の軸部材に対する摺動性が向上する、という効果を奏する。
[態様18]
[態様2]、[態様4]、[態様5]又は[態様8]ないし[態様17]の何れか1つのシート給送装置において、支持部材の端部には、傾斜面74などの傾斜面が設けられており、連結部材の他端部は、傾斜面を経由して移動する。
この態様18によれば、上記実施形態等で説明したように、支持部材が移動するときの衝撃を緩和することができるとともに、軸の変形や破損という問題を解消することができる、という効果を奏する。
[態様19]
[態様1]ないし[態様18]の何れか1つのシート給送装置において、支持部材及び連結部材は、シート積載台のシート搬送方向と直交するシート幅方向の両側端に対応した装置本体のシート幅方向の左右両側にそれぞれ設けられており、前記左右両側の支持部材を一操作で連動可能とする連動部材73などの連動部材を備える。
この態様19によれば、上記実施形態等で説明したように、1アクションで左右両側の支持部材の移動が可能となり、操作性が向上する、という効果を奏する。
[態様20]
[態様1]ないし[態様19]の何れか1つのシート給送装置において、支持部材は、シート積載台のシート搬送方向と直交するシート幅方向の両側端に対応した装置本体のシート幅方向の左右両側で一体で構成されている。
この態様20によれば、上記実施形態等で説明したように、部品点数を削減することができるとともに、1アクションで左右両側の支持部材の移動が可能となり、操作性が更に向上するという効果を奏する。
[態様21]
[態様1]ないし[態様20]の何れか1つのシート給送装置において、支持部材は、一端部に操作部60などの操作部を有している。
この態様21によれば、上記実施形態等で説明したように、部品点数を削減することができる、という効果を奏する。
[態様22]
[態様1]ないし[態様20]の何れか1つのシート給送装置において、支持部材と別体で構成された操作部を有する。
この態様22によれば、上記実施形態等で説明したように、操作部のみ部品の色を変更したり、操作部を大きくしたりすることができ、連結部材が組み付けやすくなる、という効果を奏する。
[態様23]
[態様21]又は[態様22]のシート給送装置において、操作部には、複数の凹凸形状が設けられている。
この態様23によれば、上記実施形態等で説明したように、操作部を持ちやすくなり、操作性が向上する、という効果を奏する。
[態様24]
[態様21]又は[態様22]のシート給送装置において、操作部は、支持部材を支持する支持軸59などの軸部材の軸中心上に設けられている。
この態様24によれば、上記実施形態等で説明したように、操作部を介して支持部材を軸部材上を移動する際の摺動性が向上する、という効果を奏する。
[態様25]
[態様21]ないし[態様24]の何れか1つのシート給送装置において、操作部は、周囲と異なる色である。
この態様25によれば、上記実施形態等で説明したように、操作部の視認性が向上する、という効果を奏する。
[態様26]
[態様21]ないし[態様25]の何れか1つのシート給送装置において、操作部には、操作指示を示す指標が設けられている。
この態様26によれば、上記実施形態等で説明したように、操作部の誤操作を防止することができる、という効果を奏する。
[態様27]
[態様21]ないし[態様26]の何れか1つのシート給送装置において、支持部材には、移動する複数の位置にてそれぞれ対応する指標が設けられている。
この態様27によれば、上記実施形態等で説明したように、操作部の誤操作を防止することができる、という効果を奏する。
[態様28]
給送されてくるシートに画像を形成するプロセスユニット画像形成手段を有する画像形成装置において、[態様1]ないし[態様27]の何れか1つに記載のシート給送装置を備える画像形成装置である。
この態様28によれば、上記実施形態等で説明したように、[態様1]ないし[態様27]の何れか1つの効果を画像形成装置で得られる。
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、上記実施形態や実施例等に記載した技術事項を適宜組み合わせたものであってもよい。
本発明に係るシート給送装置は、上記実施形態で例示したプリンタに限らず、複写機、ファクシミリ、プロッタ、印刷機、インクジェット記録装置等の画像形成装置、又はそれら画像形成装置の2つ以上の機能を備えた複合機に用いられるものであってもよい。
本発明の実施の形態に適宜記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
1、1K、1Y、1M、1C プロセスユニット
2、2K、2Y、2M、2C 像担持体
48 手差し台(シート積載台の一例)
49 給紙ローラ(給送手段の一例)
50 底板(シート積載台)
51 フリクションパッド受台
51A 受台回動軸
52 フリクションパッド(摩擦部材の一例)
53 給紙ローラ軸
54 底板回動軸
55 底板パッド
56 装置本体
57、57A 連結部材
58、58A、58B 支持部材(支持位置変更部材の一例)
58a 切欠き端面
59 支持軸(支持位置変更部材の一例、軸部材の一例)
60 操作部
61、61B 規制部材(第1の規制部材の一例)
62 ばね(付勢手段の一例)
63 規制部材(第1の規制部材の一例)
64 規制部材(第2の規制部材の一例)
65 規制部材(第3の規制部材の一例)
66 手差し回動軸
67 第1の指標
68 第2の指標
69 係合部
70−A、70−B 被係合部
71 被押し当て部
72 押し当て部
73 連動部材
74 傾斜面
75 長穴
76 凹凸形状
N1 給紙ニップ
N2 分離ニップ
α 手差し台の角度
β 底板の角度
γ 用紙突入角度
P 用紙(シートの一例)
X シート搬送方向
Y シート幅方向
特開平10−059554号公報

Claims (10)

  1. 装置本体に揺動可能に支持され、シートを積載するシート積載台と、
    前記シート積載台上のシートを給送する給送手段と、
    前記給送手段に対向し、該給送手段との協働によりシートを1枚ずつ分離する分離部材と、
    一端部が前記シート積載台に回転可能に支持されるとともに、他端部が前記装置本体に設けられ、自身の長さ方向の支持位置を変える支持位置変更部材に揺動可能に支持される連結部材と、
    を備えるシート給送装置であって、
    前記連結部材の前記他端部が前記支持位置変更部材に揺動可能に支持されることにより、前記連結部材の長さ方向の支持位置が変わり、前記分離部材に対する前記シート積載台の角度が調整可能となるシート給送装置。
  2. 前記支持位置変更部材は、前記装置本体に設けられた軸部材と、該軸部材上の複数の位置に移動可能に設けられた支持部材とからなり、
    前記支持部材は、前記軸部材を覆う第1の位置と、前記軸部材を露出する第2の位置との間で移動可能であり、
    前記支持部材を第1の位置から第2の位置へ移動させたとき、前記連結部材の前記他端部が前記軸部材に揺動可能に支持されることを特徴とする請求項1記載のシート給送装置。
  3. 装置本体に揺動可能に支持され、シートを積載するシート積載台と、
    前記シート積載台上のシートを給送する給送手段と、
    前記給送手段に対向し、該給送手段との協働によりシートを1枚ずつ分離する分離部材と、
    一端部が前記装置本体に回転可能に支持されるとともに、他端部が前記シート積載台に設けられ、自身の長さ方向の支持位置を変える支持位置変更部材に揺動可能に支持される連結部材と、
    を備えるシート給送装置であって、
    前記連結部材の前記他端部が前記支持位置変更部材に揺動可能に支持されることにより、前記連結部材の長さ方向の支持位置が変わり、前記分離部材に対する前記シート積載台の角度が調整可能となるシート給送装置。
  4. 前記支持位置変更部材は、前記シート積載台に設けられた軸部材と、該軸部材上の複数の位置に移動可能に設けられた支持部材とからなり、
    前記支持部材は、前記軸部材を覆う第1の位置と、前記軸部材を露出する第2の位置との間で移動可能であり、
    前記支持部材を第1の位置から第2の位置へ移動させたとき、前記連結部材の前記他端部が前記軸部材に揺動可能に支持されることを特徴とする請求項3記載のシート給送装置。
  5. 前記支持部材は、前記連結部材が揺動する方向と直交する方向に移動可能であることを特徴とする請求項2又は4記載のシート給送装置。
  6. 前記軸部材には、前記連結部材の前記他端部の少なくとも一方向への移動を規制する第1の規制部材が設けられていることを特徴とする請求項2、4又は5記載のシート給送装置。
  7. 前記装置本体には、前記連結部材の前記他端部の他方向への移動を規制する第2の規制部材が設けられていることを特徴とする請求項6記載のシート給送装置。
  8. 前記支持部材には、前記連結部材の前記他端部の他方向への移動を規制する第3の規制部材が設けられていることを特徴とする請求項6記載のシート給送装置。
  9. 前記支持部材は、前記シート積載台を前記装置本体へ収納する操作により、角度調整前の初期位置に移動することを特徴とする請求項2、4、5、6、7又は8記載のシート給送装置。
  10. 給送されてくるシートに画像を形成する画像形成手段を有する画像形成装置において、
    請求項1ないし9の何れか1つに記載のシート給送装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
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