JP6328914B2 - 注出容器 - Google Patents

Description

本発明は、液状内容物を収容する容器本体と、内容物を外界に噴出させる注出器とを備える注出容器に関するものであり、特に、残量が少なくなった状態で容器を傾けて使用する場合にも、内容物を良好に噴出させることができる注出容器に関するものである。

従来、シャンプーやリンスあるいは液体石鹸等の液状となる内容物を充填空間に収容する容器本体と、操作レバーの牽曳や押圧ヘッドの押し下げにて、充填空間内に設けられるパイプを介して内容物を吸い上げ、その内側に形成した通路を通して内容物を外界に向けて噴出させる注出器とを有する注出容器が既知である。

また、このような注出容器を内容物の残量が少なくなった状態で傾けて使用すると、内容物の溜まっている場所までパイプの下端が届かなくなって内容物の噴出に支障をきたすことから、パイプを比較的軟質な素材で形成するとともにパイプの下端に重りを設け、重りに作用する重力によって内容物が溜まっている場所までパイプを移動させるようにした、重り付き注出器の発明も知られている（例えば特許文献１）。

実開昭５９−１３５１５８号公報

ところで、このような重り付き注出器は、最後まで内容物を使い切るようにするべく、パイプの長さをその下端が容器本体の底部に接触するまで長くすると、容器を傾けてもパイプが容器本体の底部に引っ掛かって所期した通りに移動しないことがある。一方、パイプの長さをその下端が底部に接触しない程度に設定すると、パイプは底部に引っ掛かることなく振り子の如く運動することが可能であるが、容器の傾きを増やしていくに従ってパイプの下端と底部との隙間が大きくなるので、容器を傾けた状態では、内容物の溜まっている場所までパイプが届かなくなって内容物を噴出させることができなくなる。このため、内容物の残量が少なくなっても容器の傾きにかかわらずに内容物を噴出させることができる、使い勝手の良い注出容器が強く求められていた。

本発明は、このような問題を解決することを課題とするものであり、その目的は、残量が少なくなった状態で使用する場合にも、容器の傾きにかかわらず内容物を良好に噴出させることができる、使い勝手の良い注出容器を提案するところにある。

本発明は、上部を開口させた口部を有し、該口部に胴部、底部を一体的に連結させてその内側に液状となる内容物の充填空間を形成する容器本体と、該口部に装着され、該充填空間内に設けられるパイプを介してその内側に形成した通路内に内容物を吸い上げて外界に噴出させるトリガー式注出器とを備える注出容器であって、
前記容器本体の口部に、前記充填空間に通じる貫通孔を残して前記開口を覆う天壁と、該貫通孔を取り囲んで垂下され前記パイプを嵌合保持する下部筒体と、該貫通孔を取り囲んで起立し前記注出器の通路に接続される上部筒体と、該天壁の外縁部から上方に向けて立ち上がるとともに該口部の内周面に接する内側環状壁と、該内側環状壁の上端から径方向外側に向けて延在するとともに該口部の上端に接する外向きフランジと、該外向きフランジの外縁から垂下されるとともに該口部の外周面と係合する外側環状壁とを備える中栓を設け、
該パイプは、該パイプの下端部に重りを保持する保持部材を備えるとともに、該下部筒体を支点として該重りを振り子運動可能とする軟素材にて形成され、
前記底部を、該重りとの間に隙間をあけて該重りの軌道に沿って延在する球面状の前後方向に細長い底壁にて形成し、
前記胴部の下部は、背面視にて下方に向けて幅狭となるテーパー部を備える注出容器である。

この注出容器は、前記胴部に形成した環状或いは間欠状となる凸部又は凹部に係合する凹部又は凸部を有するとともに、前記底壁に当接する支持部を設けて前記容器本体を自立させる脚部材を備えるものとすることが好ましい。

パイプの下端部に重りを保持する保持部材を設けるとともに、このパイプを、中栓の下部筒体を支点として重りを振り子運動可能とする軟素材にて形成し、また容器本体の底部を、重りとの間に隙間をあけて重りの軌道に沿って延在する球面状の底壁にて形成したので、容器を傾ける角度に関わらず、容器本体の底部と重りとの距離が一定となる。このため、残量が少なくなった状態で使用する場合にも、容器の傾きにかかわらず内容物を良好に噴出させることができる

胴部に形成した環状或いは間欠状となる凸部又は凹部に係合する凹部又は凸部を有するとともに、底壁に当接する支持部を設けて容器本体を自立させる脚部材を設ける場合には、従来の容器と同様に水平面上に載置して使用することができる。

本発明に従う注出容器の一つの実施形態につき、（ａ）は、その上部を一部断面で示す側面図であり、（ｂ）は、その下部の断面図である。なお、（ｂ）の二点鎖線は振り子運動するパイプ及び重りを示す。 図１（ａ）の要部を拡大して示す図である。 図１（ｂ）の要部を拡大して示す図である。 図１に示す注出容器につき、容器本体の下部の側面図である。 図１（ｂ）のＡ−Ａに沿う部分拡大断面図である（脚部材は図示を省略）。

以下、図面を参照して、本発明をより具体的に説明する。
図１は、本発明に従う注出容器の一つの実施形態につき、（ａ）は、その上部を一部断面で示す側面図であり、（ｂ）は、その下部の断面図であって、図２は、図１（ａ）の要部を拡大して示す図であって、図３は、図１（ｂ）の要部を拡大して示す図であって、図４は、図１に示す注出容器につき、容器本体の下部の側面図であって、図５は、図１（ｂ）のＡ−Ａに沿う部分拡大断面図である。

図１（ａ）、（ｂ）において、符号１０は、液状となる内容物をその内側に収容する容器本体であり、符号２０は、容器本体１０内の内容物を外界に噴出させる注出器２０であり、符号３０は、容器本体１０内の内容物を注出器２０に向けて送給するためのパイプであり、符号４０は、パイプ３０を嵌合保持する中栓であり、符号５０は、容器本体１０の下部に取り付けられる脚部材である。

容器本体１０は、上部を開口させた口部１１を有し、この口部１１に胴部１２及び底部１３を一体的に連結させて充填空間Ｍを区画形成するものである。本実施形態において口部１１は、図２に示すように、ねじ部を有する大径筒部１１ａと、大径筒部１１ａから径方向内側に向かって延在する内向きフランジ部１１ｂと、内向きフランジ部１１ｂから起立する小径筒部１１ｃとを備えていて、小径筒部１１ｃの外周面には径方向外側に向けて突出する爪部１１ｄを備えている。また図１（ｂ）に示すように底部１３は、球面状となる底壁１３ａにて形成されている。なお、底壁１３ａの詳細な形状については後述する。さらに、本実施形態において胴部１２の下部には、内側に向けてその全周を凹ませた段部１２ａを設けていて、段部１２ａには、図４に示すように環状となる凸部１２ｂを設けている。また、図５に示すように胴部１２の下部は、背面視にて下方に向けて幅狭となるテーパー部１２ｃを備えている。

本実施形態における注出器２０は、トリガー式注出器の形態を呈している。図１（ａ）に示すように注出器２０は、容器本体１０内の内容物を流入させる通路２１と、通路２１につながり内容物を吸引するポンプ（図示せず）を内側に備えるボディ２２と、ボディ２２に揺動可能に保持されその牽曳および解除によってポンプを作動させる操作レバー２３と、ポンプからの内容物を所要の状態（泡状や霧状）に噴射するための噴射ノズル２４とを備えていて、内周面にねじ部を有するベースキャップ２５にて大径筒部１１ａに着脱自在に保持される。なお、ねじによる保持に代えて、アンダーカットにて保持するようにしてもよい。

パイプ３０は、柔軟性を有し容易に屈曲する軟素材にて形成されている。また、パイプ３０の下端部には、球状となる重り３１を保持する保持部材３２を備えている。図３に示すように保持部材３２は、外周面に凹凸状の抜け止めが施されるとともにパイプ３０内に挿入される筒状の接続部３２ａと、重り３１を隙間をあけて取り囲むとともに接続部３２ａに連結する球面部３２ｂと、球面部３２ｂの内面において周方向に隙間をあけて間欠状に設けられ、重り３１を抜け止め保持する突起３２ｃとを備えている。これにより内容物は、隣り合う突起３２ｃの隙間から重り３１と球面部３２ｂとの間を通り抜け、接続部３２を介してパイプ３０内に導入される。なお、接続部３２ａの内周面に凹凸状の抜け止めを設け、パイプ３０を接続部３２ａの内側に挿入することで保持部材３２を抜け止めするようにしてもよい。

図２に示すように中栓４０は、口部１１の開口を覆う天壁４１を備えている。天壁４１は、その縁部から上方に向けて立ち上がる内側環状壁４１ａと、内側環状壁４１ａの上端から径方向外側に向けて延在する外向きフランジ４１ｂと、外向きフランジ４１ｂの外縁から垂下される外側環状壁４１ｃとを備えている。外側環状壁４１ｃの内周面には径方向内側に突出して爪部１１ｄに係合する突出部４１ｄを設けていて、中栓４０を口部１１に抜け止め保持している。また、天壁４１の中央部には貫通孔４２を設けている。さらに、天壁４１の下面には貫通孔４２を取り囲んで垂下される下部筒体４３を設け、天壁４１の上面には貫通孔４２を取り囲んで起立する上部筒体４４を設けている。下部筒体４３は、パイプ３０の上端部に挿入されてパイプ３０を嵌合保持するものであり、その外周面には凹凸状の抜け止めが施されている。また、上部筒体４４は、通路２１の内側に嵌まり込んでパイプ３０と注出器２０とを接続している。なお、下部筒体４３の内側にパイプ３０を挿入することで、これを嵌合保持するようにしてもよい。

図１（ｂ）に示すように脚部材５０は、平板状の底部５１の縁部に、容器本体１０の段部１２ａに適合する外壁５２を一体連結させている。また脚部材５０は、球面状となる底壁１３ａに当接する板状の支持部５３を備えている。さらに、外壁５２の内周面には、段部１２ａに設けた凸部１２ｂに係合する凹部５４を設けている。これにより容器本体１０は、脚部材５０を抜け止め保持するとともに脚部材５０によって自立可能に支持される。

上記のように構成される注出容器において、パイプ３０の下端部に設けた重り３１には重力によって鉛直方向下向きに力が作用していることから、容器本体１０を傾けると、パイプ３０及び重り３１は下部筒体４３を支点として容器本体１０に対して相対的に振り子の如く運動し、パイプ３０が鉛直方向を向く位置まで移動する。ここで、上述した底壁１３ａは、図１（ｂ）に示すように、パイプ３０に保持された重り３１に対して隙間ｓをあけるとともに、振り子運動する重り３１の軌道ｔに沿って延在するものであり、底壁１３ａは、下部筒体４３を中心とする球面状となっている。よって底壁１３ａと重り３１との隙間ｓは、容器本体１０を傾ける角度に関わらず一定となる。従来のように底部が平坦な容器本体では、パイプの支点部から容器本体の底部までの長さが底部の外縁に向かうほど長くなるので、内容物の残量が少なくなった状態で容器を傾けると、パイプの下端が容器本体の底部の隅に溜まって内容物まで届かずに内容物を噴出させることができなくなる。一方、本発明に従う注出容器では、容器本体１０の傾きにかかわらず重り３１と底壁１３ａとの隙間ｓは常時一定であることから、容器本体１０の姿勢にかかわらずパイプ３０の下端から内容物までの距離も一定となるため、内容物を安定して噴出させることができる。

なお、本実施形態においては、容器本体１０に凸部１２ｂを設け、脚部材５０に凹部５４を設けたが、凸部と凹部を相互に入れ換えて設けてもよい。また、本実施形態では凸部１２ｂ及び凹部５４は環状であるが、これらを周方向に部分的に設けた間欠状として形成することも可能である。

また、参考例として、注出器の形態は、本実施形態で説明したトリガー式注出器に限られず、他にも押圧ヘッドの押し下げにてポンプを駆動させて内容物を噴出させるようにした注出器等、各種の注出器が適用可能である。

本発明によれば、残量が少なくなった状態で使用する場合にも、容器の傾きにかかわらず内容物を良好に噴出させることができる、使い勝手に優れた注出容器を提供することが可能となる。

１０ 容器本体
１１ 口部
１２ 胴部
１２ｂ 凸部
１３ 底部
１３ａ 底壁
２０ 注出器
２１ 通路
３０ パイプ
３１ 重り
３２ 保持部材
４０ 中栓
４１ 天壁
４２ 貫通孔
４３ 下部筒体
４４ 上部筒体
５０ 脚部材
５３ 支持部
５４ 凹部
Ｍ 充填空間
ｓ 隙間
ｔ 軌道

Claims (2)

1. 上部を開口させた口部を有し、該口部に胴部、底部を一体的に連結させてその内側に液状となる内容物の充填空間を形成する容器本体と、該口部に装着され、該充填空間内に設けられるパイプを介してその内側に形成した通路内に内容物を吸い上げて外界に噴出させるトリガー式注出器とを備える注出容器であって、
   前記容器本体の口部に、前記充填空間に通じる貫通孔を残して前記開口を覆う天壁と、該貫通孔を取り囲んで垂下され前記パイプを嵌合保持する下部筒体と、該貫通孔を取り囲んで起立し前記注出器の通路に接続される上部筒体と、該天壁の外縁部から上方に向けて立ち上がるとともに該口部の内周面に接する内側環状壁と、該内側環状壁の上端から径方向外側に向けて延在するとともに該口部の上端に接する外向きフランジと、該外向きフランジの外縁から垂下されるとともに該口部の外周面と係合する外側環状壁とを備える中栓を設け、
   該パイプは、該パイプの下端部に重りを保持する保持部材を備えるとともに、該下部筒体を支点として該重りを振り子運動可能とする軟素材にて形成され、
   前記底部を、該重りとの間に隙間をあけて該重りの軌道に沿って延在する球面状の前後方向に細長い底壁にて形成し、
   前記胴部の下部は、背面視にて下方に向けて幅狭となるテーパー部を備える注出容器。
2. 前記胴部に形成した環状或いは間欠状となる凸部又は凹部に係合する凹部又は凸部を有するとともに、前記底壁に当接する支持部を設けて前記容器本体を自立させる脚部材を備える請求項１に記載の注出容器。

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