JP4425578B2 - 液体噴出器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、容器内に垂下されるディップチューブ付きの液体噴出器に関するものであり、該噴出器を容器の口部に装着する際に懸念されるディップチューブの損傷等を確実に防止しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
黴取り剤や洗剤等を充填した容器に使用されるトリガー式の液体噴出器やシャンプー、リンスあるいは整髪剤等を充填した容器に使用されるポンピングタイプの噴出器等は何れのものも液体の排出経路の入側を起点にして容器の底壁に向かって伸延するディップチューブが配置されており、このディップチューブを通して液体を吸い上げることで容器内に充填されている液体を最後まで残らず排出することができるようになっている。
【0003】
とくに、黴取り剤を充填した容器に多用されるトリガー式の噴出器では、液体の充填容量を確保しつつ容器そのものを把持しやすくするために容器の上部域については小径化する一方、その下部域を容器の前方に向けて膨出させた外観形状を有しており、これに伴ってディップチューブも膨出した領域に向けて伸延するように屈曲部を設けた「く」の字状を呈するものとなっている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
実用新案登録第2539182号公報
【0005】
ところで、この種の噴出器は、噴出器本体に付随して設けられたベースキャップを容器の口部でねじ止め固定するのが普通であるところ、近年、パウチ等の詰め替え用製品の普及により内容物を詰め替えて容器の再利用が煩雑に行われるようになってきており、詰め替え時の噴出器の再装着の際に、需要者によってはベースキャップをディップチューブとともに回転させてしまうことが想定された。
【0006】
このような誤った取り付け方をすると、ディップチューブは「く」の字状を呈しており、しかも該チューブは固定若しくは比較的頑強な状態で嵌合されているための容器の側壁に当接してその付け根部分に大きな力が加わるため変形したり、取り付け部から破損して容器内に脱落してしまい内容物の排出が不可能になるおそれがあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、誤った取り付け方をされた場合に懸念されたディップチューブの変形や破損を防止できる新規な液体噴出器を提案するところにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、吸引通路を形成する筒体を有し液体を吸引、加圧、圧送するポンプ機構を備えた本体部分と、この本体部分に対して回転可能に保持され、該本体部分を容器の口部にねじ止めするベースキャップと、前記吸引経路につながり液体を外界へ噴出させる噴射ノズルと、前記ポンプ機構を駆動させる操作レバーとを備え、
容器内に充填された液体をディップチューブにて吸引しこれにつながる吸引通路及び噴射ノズルを経て外界へ噴出させる噴出器であって、
前記吸引通路の内壁面に、その周りに沿って張り出した少なくとも一本の環状リブを設け、
前記環状リブの内側に、ディップチューブの後端部位を嵌合状態で差し込んで該ディップチューブのみを単独で回転可能に垂下してなり、
前記ディップチューブは、「く」の字状に屈曲され容器の膨出部に向けて伸延し、前記環状リブにおいて15N・cm以下の力で回転するものである、ことを特徴とする液体噴出器である。
【0009】
上記の吸引通路の内壁面に、その周りに沿って張り出した少なくとも一本の環状リブを有し、この環状リブの内側にディップチューブを差し込むようにするのが望ましく、また、上記のディップチューブは、表面硬度がロックウエル硬さにしてR80以上(Rはスケール)の合成樹脂からなり、その引抜きに際しては9.8N以上の力を必要するものが望ましい。
【0010】
噴出器は、スプレータイプの噴出器、ポンプタイプの噴出器若しくはトリガータイプの噴出器を適用することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明をより具体的に説明する。
【0012】
図1は本発明に従う液体噴出器の実施の形態をトリガータイプのものに適用して容器の口部に装着した例を示した外観図であり、また、図2はその要部の断面を示したものである。
【0013】
図1、2において1は噴出器、2は内容物を充填する容器である。噴出器1はその断面を図2に示した如く、吸引通路tを形成するとともに液体を吸引、加圧、圧送するためのポンプ機構pを備える本体部分1aと、この本体部分1aを容器2の口部2aにねじ止めするベースキャップ1bと、吸引通路tにつながり液体を外界へ噴出させる噴射ノズル1cと、ポンプ機構pを駆動させる操作レバー1dからなっている。また、容器2についてはその胴部を把持しやすくしかつ所定の充填容量が確保できる外観形状にすべくその上部域が小径部2aからなり下部域が前方に向けて張り出した膨出部2bからなっている(図1参照)。
【0014】
また、3は吸引経路tの内壁面に設けられた1本の例で示した環状リブ、4は曲点Kにおいて「く」の字状に屈曲され膨出部2bに向けて伸延するディップチューブである。このディップチューブ4はその後端部位が吸引通路tに設けられた環状リブ3の内側に嵌合状態で差し込まれ該ディップチューブ4のみが単独で回転可能に垂下されている。
【0015】
噴出器1を構成する部材のうちベースキャップ1bは本体部分1aに対して回転可能に保持されており、噴射ノズル1c及びディップチューブ4を所定の向きに指向(膨出部2bが形成されている方向に向ける。図1参照)させ、該ベースキャップ1bを容器2の口部2aにて回転させることでねじ止めすることができるが、需要者によっては、噴出器1を装着するに当たりベースキャップ1bのみならず該キャップ1bを噴出器1とともに回転させてしまうこともあり、この場合、ディップチューブ4は噴出器1の回転に追随して容器内で回りその側壁に当接することになる。
【0016】
本発明に従う噴出器は、ディップチューブ4が環状リブ3において回転可能に垂下されていることから、たとえ上記のような誤った取り付け方をされディップチューブ4が容器の側壁に当接した場合でもディップチューブ4には大きな負荷がかかることがなく、変形や破損を起こすことはない。
【0017】
ディップチューブ4は表面硬度がロックウエル硬さにしてR80以上の合成樹脂を用いて成形するが、これによりディップチューブ4自体に多少の負荷が加わっても簡単に変形を起こすことがない。
【0018】
また、ディップチューブ4は取り付け部において15N・cm以下の力で回転するようにし、その引抜きに際して9.8N以上の力を要するものとしたが、ディップチューブ4を上記の条件を満たすように構成することで噴出器1を装着する際の変形や損傷を確実に防止できる。
【0019】
本発明の実施の形態では、トリガータイプの噴出器を例として示したが、スプレータイプの噴出器やポンプタイプの噴出器にも適用できるものであり、この点については限定されない。
【0020】
噴出器1の本体部分1aは図2に具体的に示した如く、ボディ1a、噴射ノズル1cを嵌合保持するスピンエレメント1a、ボディ1a内に組み込まれる板ばね1a、バルブ1a、インテイク1a、インテイクアダプター1a、パイプホルダー1aにて構成することができるもので、この実施の形態ではパイプホルダー1aに下向きに開口する筒体5を一体的に設け、この筒体5にディップチューブ4の後端部位を嵌合させて回転可能に垂下させる環状リブ3を形成した場合について示したが、噴出器は同じトリガータイプの噴出器であっても用途の違いに応じてその構造は種々に変更されるものであり(インテイク1aに直接筒体5を設ける場合もあり得る。)、また、ポンプタイプの噴出器やスプレータイプの噴出器によっても構造上多少の違いがあり、パイプホルダー1aに設けた筒体5に取り付ける場合にのみ限定はされない。
【0021】
環状リブ3はディップチューブ4を確実に回転可能に保持することができ、かつ該ディップチューブ4の回転に支障がない範囲であればその本数を増やすこともできる。
【0022】
直径が5.25mmになるポリプロピレン樹脂(ロックウエル硬さ:R80〜110)を使用してディップチューブ4を作製して突出代が0.1mmになる環状リブ3を有する筒体5に差し込みチューブ4の回転に必要な力及び引抜きに必要な力を調査した。その結果を表1、2にそれぞれ示す。
【0023】
なお、表1、2は本発明に従う噴出器のデータを示すもので表中セット直後とはチューブ4を筒体に差し込んだ直後のことを、40°C3日保存とは40°Cで3日経過したのちのことを意味するものであり、1本は環状リブを1本設けた場合を、2本は環状リブを2本設けた場合を意味し、さらに、シリコン付きとはチューブを筒体にスムーズに差し込むべくシリコンを付着させた場合を、シリコン無はチューブを筒体に差し込むに際してシリコンを付着させなかった場合を意味する。
【0024】
【表1】
Figure 0004425578
【0025】
【表2】
Figure 0004425578
【0026】
本発明に従う噴出器を作製するに当たっては、上記のようなデータを予め用意しておき、該データに基づいて噴出器を設計することにより変形や損傷を起こすことのない噴出器を効率的に製造することが可能になる。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、ディップチューブを吸引通路に回転可能に垂下させるようにしたので、誤った取り付け方、すなわちディップチューブをベースキャップとともに回転させるような取り付け方をされた場合であっても該チューブが変形したり損傷するようなことはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に従う液体噴出器を容器の口部に取り付けた状態を示した図である。
【図2】 図1に示した噴出器の断面を示した図である。
【符号の説明】
1 噴出器
1a 本体部分
1a ボディ
1a スピンエレメント
1a 板ばね
1a バルブ
1a インテイク
1a インテイクアダプター
1a パイプホルダー
1b ベースキャップ
1c 噴射ノズル
1d 操作レバー
2 容器
2a 小径部
2b 膨出部
3 環状リブ
4 ディップチューブ
t 吸引通路
K 曲点

Claims (4)

  1. 吸引通路を形成する筒体を有し液体を吸引、加圧、圧送するポンプ機構を備えた本体部分と、この本体部分に対して回転可能に保持され、該本体部分を容器の口部にねじ止めするベースキャップと、前記吸引経路につながり液体を外界へ噴出させる噴射ノズルと、前記ポンプ機構を駆動させる操作レバーとを備え、
    容器内に充填された液体をディップチューブにて吸引しこれにつながる吸引通路及び噴射ノズルを経て外界へ噴出させる噴出器であって、
    前記吸引通路の内壁面に、その周りに沿って張り出した少なくとも一本の環状リブを設け、
    前記環状リブの内側に、ディップチューブの後端部位を嵌合状態で差し込んで該ディップチューブのみを単独で回転可能に垂下してなり、
    前記ディップチューブは、「く」の字状に屈曲され容器の膨出部に向けて伸延し、前記環状リブにおいて15N・cm以下の力で回転するものである、ことを特徴とする液体噴出器。
  2. 前記ディップチューブは、表面硬度がロックウエル硬さにしてR80以上の合成樹脂からなる請求項1記載の液体噴出器。
  3. 前記ディップチューブは、その引抜きに際して9.8N以上の力を有するものである請求項1又は2記載の液体噴出器。
  4. 前記噴出器はがスプレータイプの噴出器、ポンプタイプの噴出器若しくはトリガータイプの噴出器である請求項1〜3の何れかに記載の液体噴出器。
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