JP6325767B2 - プラスチック光ファイバセンサの製造方法 - Google Patents

プラスチック光ファイバセンサの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6325767B2
JP6325767B2 JP2012278638A JP2012278638A JP6325767B2 JP 6325767 B2 JP6325767 B2 JP 6325767B2 JP 2012278638 A JP2012278638 A JP 2012278638A JP 2012278638 A JP2012278638 A JP 2012278638A JP 6325767 B2 JP6325767 B2 JP 6325767B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optical fiber
plastic optical
core
resin
core plastic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012278638A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014122991A (ja
Inventor
誠司 佐生
誠司 佐生
光史 沖田
光史 沖田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP2012278638A priority Critical patent/JP6325767B2/ja
Publication of JP2014122991A publication Critical patent/JP2014122991A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6325767B2 publication Critical patent/JP6325767B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)

Description

本発明は、プラスチック光ファイバセンサ及びその製造方法に関する。
プラスチック光ファイバは、透明樹脂からなる芯繊維の周囲を、該透明樹脂より低屈折率の樹脂からなる鞘層で囲んだ構造を有し、芯と鞘層の境界で光を反射させることにより芯内で光信号を伝送する媒体である。プラスチック光ファイバは石英ガラス光ファイバに比較して柔軟性に優れており、接続時の芯あわせが容易な直径の大きいものを利用できる。
単芯プラスチック光ファイバは、伝送する光量を大きくするために芯繊維の直径を大きくすると、曲げによる光損失の発生が大きくなる。これに対して、多芯プラスチック光ファイバは、個々の芯繊維の直径を小さくして上記光損失の発生を抑制した上で、個々の芯繊維にて伝送された光をあわせることで合計光量を大きくできるという利点を有する。このため、近年、多芯プラスチック光ファイバは種々の用途で採用されるようになってきた。
しかし、芯繊維を鞘層で囲んでなる多芯プラスチック光ファイバ裸線をそのままで使用することは少ない。物理的又は化学的な損傷を防止する観点から、鞘層の外側に保護層又は海部を有する多芯プラスチック光ファイバ素線として使用されることが多い。この光ファイバ裸線及び光ファイバ素線は、通常、複合紡糸法によって一体成形できる。
また、物理的又は化学的な損傷からより確実に保護するために、多芯プラスチック光ファイバ裸線又は多芯プラスチック光ファイバ素線の外側に熱可塑性樹脂からなる被覆層を被覆形成することにより、プラスチック光ファイバケーブルとして使用されることも多い。
例えば、多芯プラスチック光ファイバとしては、芯繊維がポリメチルメタクリレート系樹脂からなり、鞘層がエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体からなるプラスチック光ファイバ素線が提案されている(特許文献1参照)。また、このようなプラスチック光ファイバ素線は、プラスチック光ファイバセンサとして用いられることもある。
特開2011−022504号公報
しかしながら、上述したようなプラスチック光ファイバ素線を用いたプラスチック光ファイバセンサでは、その測定検出の精度に関して未だ改善の余地がある。単芯光ファイバ素線の束は一方の束端と他方の束端で単芯光ファイバ素線の相対位置を一致させるのは煩雑であるため、光の入射強度分布を測定するプラスチック光ファイバセンサには適さない。そして、種々の分野において、測定する光(測定光)の入射強度分布を正確に維持したまま、検出部等まで導光できるプラスチック光ファイバセンサの実現が求められているが、その点についても未だ改善の余地がある。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、光の入射強度分布を高い精度で測定できるプラスチック光ファイバセンサを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の構造を有するプラスチック光ファイバセンサとすることで、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕
透明樹脂を含む芯繊維と、
前記透明樹脂よりも屈折率が低い鞘樹脂を含み、前記芯繊維を被覆する鞘層と、
を含む単芯プラスチック光ファイバ素線6本以上を有する、単芯プラスチック光ファイバ素線束と;
前記単芯プラスチック光ファイバ素線束の一方の端部が海樹脂により束ねられた、第1の端部と;
前記単芯プラスチック光ファイバ素線束のもう一方の端部が海樹脂により束ねられた、第2の端部と;
前記第1の端部と前記第2の端部の間において前記単芯プラスチック光ファイバ素線束から分岐した、少なくとも1本の分岐単芯プラスチック光ファイバ素線と;
を備える、プラスチック光ファイバセンサ。
〔2〕
前記分岐単芯プラスチック光ファイバ素線の少なくとも1本は、その端部から照射光が入射する光入射部であり、
前記第1の端部は、測定対象に向けて前記照射光を出射し、かつ、前記測定対象から放射される測定光を受光する受光部であり、
前記第1の端部と前記第2の端部の間の前記単芯プラスチック光ファイバ素線束は、前記測定光を前記第2の端部に導光する導光部であり、
前記第2の端部は、前記導光部から導光された前記測定光を検出する検出部である、〔1〕に記載のプラスチック光ファイバセンサ。
〔3〕
前記分岐単芯プラスチック光ファイバ素線は、1本であり、かつ、断面視した状態において、前記単芯プラスチック光ファイバ素線束の略中心に配置された単芯プラスチック光ファイバ素線から分岐されたものである、〔1〕又は〔2〕に記載のプラスチック光ファイバセンサ。
〔4〕
前記鞘樹脂として、反応性官能基末端を有するエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体を含む、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載のプラスチック光ファイバセンサ。
〔5〕
前記反応性官能基末端を有するエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体が、カーボネート変性エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体である、〔4〕に記載のプラスチック光ファイバセンサ。
〔6〕
透明樹脂を含む芯繊維と、
前記透明樹脂よりも屈折率が低い鞘樹脂を含み、前記芯繊維を被覆する鞘層と、
を含む単芯プラスチック光ファイバ素線6本以上と、
前記鞘樹脂を溶解しない特定溶媒に対して溶解する海樹脂を含み、前記単芯プラスチック光ファイバ素線の束を束ねる海部と、
を含む多芯プラスチック光ファイバ素線の両端部以外の前記海部の少なくとも一部を、前記特定溶媒に溶解させて除去することにより、前記単芯プラスチック光ファイバ素線の束を露出させる工程と、
前記露出した前記単芯プラスチック光ファイバ素線の束の少なくとも1本の単芯プラスチック光ファイバ素線を切断して、前記単芯プラスチック光ファイバ素線の束から分岐した単芯プラスチック光ファイバ素線を少なくとも1本形成する工程と、
を含む、プラスチック光ファイバセンサの製造方法。
〔7〕
前記鞘樹脂として、反応性官能基末端を有するエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体を含む、〔6〕に記載のプラスチック光ファイバセンサの製造方法。
〔8〕
前記反応性官能基末端を有するエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体が、カーボネート変性エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体である、〔7〕に記載のプラスチック光ファイバセンサの製造方法。
本実施形態のプラスチック光ファイバセンサの一例を説明するための概念図である。 本実施形態のプラスチック光ファイバセンサの製造方法の一例を説明するための概念図である。 本実施形態のプラスチック光ファイバセンサの製造に使用できる多芯プラスチック光ファイバ素線の一態様の断面図である。 本実施形態のプラスチック光ファイバセンサの製造に使用できる多芯プラスチック光ファイバ素線の別の態様の断面図である。 本実施形態のプラスチック光ファイバセンサの製造に使用できる多芯プラスチック光ファイバ素線の更に別の態様の断面図である。 比較例1のプラスチック光ファイバセンサを説明するための概念図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。さらに、本明細書において、「略」を付した用語は、当業者の技術常識の範囲内でその「略」を除いた用語の意味を示すものであり、「略」を除いた意味自体をも含むものとする。
<プラスチック光ファイバセンサ>
図1は、本実施形態のプラスチック光ファイバセンサの一例を説明するための概念図である。
本実施形態のプラスチック光ファイバセンサ10は、
透明樹脂を含む芯繊維と、
前記透明樹脂よりも屈折率が低い鞘樹脂を含み、前記芯繊維を被覆する鞘層と、
を含む単芯プラスチック光ファイバ素線6本以上を有する、単芯プラスチック光ファイバ素線束12と;
前記単芯プラスチック光ファイバ素線束12の一方の端部が海樹脂により束ねられた、第1の端部14と;
前記単芯プラスチック光ファイバ素線束のもう一方の端部が海樹脂により束ねられた、第2の端部16と;
前記第1の端部14と前記第2の端部16の間において前記単芯プラスチック光ファイバ素線束12から分岐した、少なくとも1本の分岐単芯プラスチック光ファイバ素線18と;
を備える、プラスチック光ファイバセンサ10である。
プラスチック光ファイバセンサ10は、例えば、測定対象に光を照射し、測定対象から放射される光を受光し、それを検出するセンサ等として好適に使用できる。例えば、以下の(1)〜(4)の手順で測定対象を光学的に測定することができる。
(1)分岐単芯プラスチック光ファイバ素線18の端部に照射光を入射させる。
(2)入射した照射光を第1の端部14から測定対象に出射させ、測定対象から放射(例えば、反射等)される光(測定光)を第1の端部14にて受光する。
(3)受光した測定光を、第1の端部14から単芯プラスチック光ファイバ素線束12を経由して、第2の端部16に導光する。
(4)第2の端部16において、導光された測定光を検出する。
なお、測定対象は特に限定されず、種々のものを測定できる。例えば、本実施形態のプラスチック光ファイバセンサ10は、あらゆるゆらぎ測定に使用することができる。
この場合、本実施形態のプラスチック光ファイバセンサ10は、
分岐単芯プラスチック光ファイバ素線18の少なくとも1本は、その端部から照射光が入射する光入射部であり、
第1の端部14は、測定対象に向けて照射光を出射し、かつ、測定対象から放射される測定光を受光する受光部であり、
第1の端部14と第2の端部16の間の単芯プラスチック光ファイバ素線束12は、測定光を第2の端部16に導光する導光部であり、
第2の端部16は、導光部から導光された測定光を検出する検出部である、
といった構成にすることが好ましい。
上記の場合、第1の端部14と第2の端部16との間に位置する単芯プラスチック光ファイバ素線束12の一部である、少なくとも1本の単芯プラスチック光ファイバ素線を分岐させ、そこから測定対象に照射する光(照射光)を入射する構成とすることで、測定対象に照射する照射光の光路と測定対象から放射される測定光の光路とが極力同軸上に配置されないようにできる。これにより、照射光の影響を極力受けることなく、測定光を導光することができる。
(1)分岐単芯プラスチック光ファイバ素線18の端部から照射光を入射させることについて説明する。照射光の光源は、特に限定されず、例えば、LED(発光ダイオード)、半導体レーザダイオード、ハロゲン等が挙げられる。分岐単芯プラスチック光ファイバ素線18の端面に光源から直接光を入射させてもよいし、この端面に他のプラスチック光ファイバを接続し、この他の光ファイバの端面から照射光を単芯プラスチック光ファイバ素線18に入射させてもよい。さらに、分岐単芯プラスチック光ファイバ素線18と光源との間には、必要に応じて、反射鏡、集光レンズ、プリズム、光学フィルター等の光学素子を配置することができる。これらの光学素子の種類や形状等は、特に限定されず、公知のものを採用することもできる。
本実施形態のプラスチック光ファイバセンサ10の構造は、特に限定されず、その形状や目的等を考慮して適宜に選択できる。例えば、分岐単芯プラスチック光ファイバ素線18の分岐数や大きさ等は特に限定されず、センサの使用目的等を考慮して適宜に選択できる。その中でも、分岐単芯プラスチック光ファイバ素線18は、1本であり、かつ、断面視した状態において、単芯プラスチック光ファイバ素線束12の略中心に配置された単芯プラスチック光ファイバ素線から分岐されたものであることが好ましい。略中心に配置された単芯プラスチック光ファイバ素線を分岐させ、そこから照射光を導光することで、単芯プラスチック光ファイバ素線束の略中心に照射光を導光できる。そして、簡素な構成で光源の相互作用を考慮する必要がないため、第2の端部16において、測定光の光強度分布を高い精度で検出することができる。このように、分岐単芯プラスチック光ファイバ素線18は、その端部から照射光が入射する光入射部とすることができる。
(2)入射した照射光を第1の端部14から測定対象に出射させ、測定対象から放射(例えば、反射等)される光(測定光)を第1の端部14にて受光することについて説明する。分岐単芯プラスチック光ファイバ素線18の端部から入射された照射光は、第1の端部14まで導光され、第1の端部14の端部から測定対象に出射される。例えば、図1では、第1の端部14から左側に向けて出射させることができる。なお、本実施形態では、測定試料に対して照射光を直接照射してもよいし、必要に応じて、反射鏡、集光レンズ、プリズム、光学フィルター等の光学素子を光路上に配置し、これらを経由させてもよい。
照射光が照射された測定対象からは、測定光が放射される。なお、図示はしないが、本実施形態では、反射鏡、集光レンズ、プリズム、光学フィルター等の光学素子を用いて、測定光を集光及び/又は導光することにより、第1の端部14に測定光を受光させることができる。本実施形態では、光学系を適宜制御することで、第1の端部14の端部から照射光を照射し、再び測定光を受光することができる。このように、第1の端部14は、測定対象から放射された測定光を受光する受光部とすることができる。
(3)受光した測定光を、第1の端部14から単芯プラスチック光ファイバ素線束12を経由して、第2の端部16に導光することについて説明する。この単芯プラスチック光ファイバ素線束12は、照射光は導光せず、測定光のみを導光するように設計できるので、光分布強度等といった測定光の光学特性を損なうことなく、正確に、第2の端部16に導光することができる。図1では、測定光は、紙面の右方向に位置する第2の端部16に向けて導光される。単芯プラスチック光ファイバ素線束12の具体的な構成等については、後述する。このように、単芯プラスチック光ファイバ素線束12は、測定光を第2の端部16に導光する導光部とすることができる。
(4)第2の端部16において、導光された測定光を検出することについて説明する。単芯プラスチック光ファイバ素線束12により導光された測定光は、第2の端部16において検出される。検出方法は、特に限定されず、例えば、第2の端部16の端面にて測定光を目視等で直接検出してもよいし、第2の端部16に別途測定・検出機器を接続し、それらによって検出してもよい。例えば、第2の端部16の端面にて測定光を目視等で直接検出する場合、図1では、第2の端部16の右側から視認し、確認することできる。例えば、第2の端部16に別途測定・検出機器を接続し、それらによって検出する場合、第2の端部16と測定・検出機器の間に、必要に応じて、反射鏡、集光レンズ、プリズム、光学フィルター等の光学素子を配置することができる。さらに、増幅器等を用いて、検出精度を高めることもできる。このように、第2の端部16は、導光された測定光を検出する検出部とすることができる。
本実施形態のプラスチック光ファイバセンサ10の直径は、特に限定されず、250〜3000μmであることが好ましく、500〜1500μmであることがより好ましい。上記直径とすることで、検出精度に優れるだけでなく、製造容易であり汎用性にも優れる小径のプラスチック光ファイバセンサとすることができる。
<プラスチック光ファイバセンサの製造方法>
図2は、本実施形態のプラスチック光ファイバセンサの製造方法の一例を説明するための概念図である。本実施形態におけるプラスチック光ファイバセンサの好適な製造方法としては、
(i)透明樹脂を含む芯繊維と、前記透明樹脂よりも屈折率が低い鞘樹脂を含み、前記芯繊維を被覆する鞘層と、を含む単芯プラスチック光ファイバ素線6本以上と、前記鞘樹脂を溶解しない特定溶媒に対して溶解する海樹脂を含み、前記単芯プラスチック光ファイバ素線の束を束ねる海部と、を含む多芯プラスチック光ファイバ素線20の両端部以外の前記海部の少なくとも一部202を、前記特定溶媒に溶解させて除去することにより、前記単芯プラスチック光ファイバ素線の束12を露出させる工程と、
(ii)前記露出した前記単芯プラスチック光ファイバ素線の束12の少なくとも1本の単芯プラスチック光ファイバ素線を切断して、前記単芯プラスチック光ファイバ素線の束12から分岐した単芯プラスチック光ファイバ素線18を少なくとも1本形成する工程と、
を含む、プラスチック光ファイバセンサ10の製造方法が挙げられる。
(i)工程では、多芯プラスチック光ファイバ素線20の両端部以外の海部の少なくとも一部202を、特定溶媒に溶解させて除去する。使用する多芯プラスチック光ファイバ素線20において、鞘層を構成する樹脂(以下、「鞘樹脂」ともいう。)はこの特定溶媒には溶解せず、海部を構成する樹脂(以下、「海樹脂」ともいう。)はこの特定溶媒に溶解する。よって、両端部以外の海部の少なくとも一部202に対して、特定溶媒を用いることで海部を除去し、単芯プラスチック光ファイバ素線の束12を露出させることができる。
使用する多芯プラスチック光ファイバ素線20の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を採用することもできる。例えば、複合紡糸法等による紡糸が挙げられる。多芯プラスチック光ファイバ素線20の構成等については、後述する。
特定溶媒にて除去する海部は、両端部以外の海部の少なくとも一部202であればよく、所望の箇所を選択することができる。例えば、多芯プラスチック光ファイバ素線20の一部を特定溶媒に浸漬することにより該当箇所の海部を溶解除去することができる。このとき、単芯プラスチック光ファイバ素線の束12から、分岐させる単芯プラスチック光ファイバ素線がある程度互いに離れ離れになればよいので、本実施形態では、必ずしも海部を完全に溶解除去しなくてもよい。
このような特定溶媒を用いて海部を除去することで、より細径の単芯プラスチック光ファイバ素線であっても傷つけることなく容易に露出させることができる。例えば、引っ張ると切れてしまう程度の細径の単芯プラスチック光ファイバ素線であっても、傷つけることなく容易に露出させることができる。
ここで、特定溶媒に対し溶解する性質とは、少なくとも当該溶媒を用いることで当該樹脂を溶媒中に溶解できればよい。具体的には、該当する箇所の海部を多芯プラスチック光ファイバ素線20から取り除くことができればよく、その溶媒の使用量は限定されない。
後述のように、海樹脂を溶解除去してプラスチック光ファイバセンサを製造するために、本実施形態の多芯プラスチック光ファイバ素線を使用する場合、特定溶媒として、フッ化水素、塩酸、硫酸、硝酸、過酸化水素、水酸化アンモニウム等の無機系薬品、ジメチルホルムアミド(DMF)、トリエチルアミン、N−メチルピロリドン(NMP)、トルエン、イソオクタン等の有機系薬品を用い、海樹脂としてビニリデンフロライド系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等を用いることができる。
多芯プラスチック光ファイバ素線20は、特定溶媒に対する鞘樹脂と海樹脂の溶解度の差を利用して、海樹脂を除去できる。特に、反応性官能基末端を有するエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体を含む鞘層は、種々の溶媒に対する耐性が高いので、幅広い種類の海樹脂と組み合わせて使用できるため好ましい。反応性官能基末端を有するエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体の好適な具体例としては、カーボネート変性エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体等が挙げられる。
さらに、例えば、複数層の鞘層を有する多芯プラスチック光ファイバ素線を用いる場合、全ての鞘層が反応性官能基末端を有するエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体を含むことが好ましいが、少なくとも1つの鞘層が反応性官能基末端を有するエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体を含むものであってもよい。この場合、海樹脂と鞘樹脂と(特に最外層の鞘樹脂)の組みあわせを適宜に選択することで、所望の効果を得ることも可能である。
(ii)工程では、露出した単芯プラスチック光ファイバ素線の束12の少なくとも1本を切断する(図2の符号Y参照)。これにより、分岐した単芯プラスチック光ファイバ素線(分岐単芯プラスチック光ファイバ素線)18を形成することができる。なお、図2では、切断箇所Yとして、単芯プラスチック光ファイバ素線の露出した端部を選択しているが、必ずしもこれに限定するものではない。
<多芯プラスチック光ファイバ素線>
多芯プラスチック光ファイバ素線20の構成等について説明する。図3は、本実施形態のプラスチック光ファイバセンサの製造に使用できる多芯プラスチック光ファイバ素線の一態様の断面図である。なお、以下で説明する多芯プラスチック光ファイバ素線20の構成は、図1や図2のプラスチック光ファイバセンサ10を断面視した状態における、第1の端部14及び第2の端部16の各構成と対応する(図2の矢印参照)。多芯プラスチック光ファイバ素線20は、透明樹脂を含む芯繊維222と、透明樹脂よりも屈折率が低い鞘樹脂を含み、芯繊維222を被覆する鞘層224と、を含む単芯プラスチック光ファイバ素線22を7本と、鞘樹脂を溶解しない特定溶媒に対して溶解する海樹脂を含み、単芯プラスチック光ファイバ素線22の束を束ねる海部24と、を含む。
多芯プラスチック光ファイバ素線20の直径は、特に限定されないが、250〜3000μmが好ましく、500〜1500μmがより好ましい。多芯プラスチック光ファイバ素線20の直径が250μm以上であれば、それから得られるプラスチック光ファイバセンサは十分な光量を確保できる。また、多芯プラスチック光ファイバ素線20の直径が3000μm以下であれば、それから得られるプラスチック光ファイバセンサの曲げに対する柔軟性を優れたものにできる。
多芯プラスチック光ファイバ素線20に束ねられる単芯プラスチック光ファイバ素線22の数は、6本以上であればよく、6〜10000本であることが好ましく、18〜1000本であることがより好ましい。単芯プラスチック光ファイバ素線の本数の下限値を上記範囲とすることで、曲げた時の光量損失を抑制できる。また、単芯プラスチック光ファイバ素線22の本数の上限値を上記範囲とすることで、鞘層の断面積に対する芯繊維の断面積の割合を高く保つことができ、通過する光量を大きくすることができる。
図4は、本実施形態のプラスチック光ファイバセンサの製造に使用できる多芯プラスチック光ファイバ素線30の別の一態様の断面図である。図4に示すように、多芯プラスチック光ファイバ素線30の略中心に中空部36を設けてもよい。多芯プラスチック光ファイバ素線30は、透明樹脂を含む芯繊維322と、透明樹脂よりも屈折率が低い鞘樹脂を含み、芯繊維322を被覆する鞘層324と、を含む単芯プラスチック光ファイバ素線32を6本と、海部34と、を含み、断面視した略中心に中空部36が形成された構造である。かかる構造とすることで、光ファイバ等の線状物を中空部36から挿入することができる。多芯プラスチック光ファイバ素線30やそれから得られるプラスチック光ファイバセンサの長手方向に、線状物を通すことができる。
図5は、本実施形態のプラスチック光ファイバセンサの製造に使用できる多芯プラスチック光ファイバ素線40の一態様の断面図である。図5に示すように、鞘層が複数層の鞘層424、426から構成されるものとすることもできる。多芯プラスチック光ファイバ素線40は、透明樹脂を含む芯繊維422と、芯繊維422を被覆する、透明樹脂よりも屈折率が低い第1の鞘層424と、第1の鞘層424を被覆する、透明樹脂よりも屈折率が低い第2の鞘層426と、を含む単芯プラスチック光ファイバ素線42を7本と、海部44と、を含む。鞘層が複数層である場合、2層に限定されず、3層以上であってもよい。
外側の鞘層である第2の鞘層426の屈折率は、内側の鞘層である第1の鞘層424の屈折率よりも低いことが好ましい。かかる屈折率とすることで、多芯プラスチック光ファイバ素線40やそれから得られるプラスチック光ファイバセンサの曲げによる光損失を低減できる。同様に、鞘層が3層以上である場合、外側の鞘層の屈折率が、内側の鞘層の屈折率よりも低いことが好ましい。
図5のように複数層の鞘層により芯繊維422を被覆する場合、少なくともいずれかの鞘層が上記の反応性官能基末端を有するエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体を含むものであることが好ましい。多芯プラスチック光ファイバ素線40を用いてプラスチック光ファイバセンサを製造する際、上記した特定溶媒に対して優れた耐性を有するという観点から、少なくとも最外層の鞘層(即ち、海部と接する鞘層)が上記の反応性官能基末端を有するエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体を含むことが好ましい。
以下、各部材について更に説明する。
<芯繊維>
芯繊維を構成する透明樹脂(以下、「芯樹脂」ともいう。)としては、プラスチック光ファイバ素線の芯樹脂として公知のものを使用でき、例えば、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、透明性の観点から、ポリメチルメタクリレート系樹脂が好ましい。
ポリメチルメタクリレート系樹脂としては、特に限定されないが、メチルメタクリレートの単独重合体;メチルメタクリレートを50質量%以上と、メチルメタクリレートと共重合可能な成分との含む共重合体が好ましい。メチルメタクリレートと共重合可能な成分としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸シクロヘキシル等のメタクリル酸エステル類;イソプロピルマレイミド等のマレイミド類;アクリル酸、メタクリル酸、スチレン等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリメチルメタクリレート系樹脂の分子量は、特に限定されないが、メルトフロー(成形しやすさ)の観点から、重量平均分子量として8万〜20万であることが好ましく、10万〜12万であることがより好ましい。
芯繊維の直径は、特に限定されないが、5〜500μmであることが好ましく、10〜250μmであることがより好ましい。芯繊維の直径が5μm以上であれば、通過する光量を大きくすることができる。また、芯の直径が500μm以下であれば、曲げによる透過光量の低下を少なくできる。
<鞘層>
鞘層を構成する樹脂(鞘樹脂)としては、反応性官能基末端を有するエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体を含むことが好ましい。ここで、「反応性官能基末端を有するエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体」とは、エチレンとテトラフルオロエチレンと共重合可能な単量体との共重合体であって、主鎖あるいは側鎖に反応性官能基を導入して変性させたものをいう。反応性官能基を導入することで、芯繊維及び海部との接着性を向上させることができ、かつ上記した特定溶媒に対する耐性を高いレベルで維持できる。
反応性官能基としては、特に限定されないが、例えば、カーボネート基(カルボニルジオキシ基)、エステル基、ハロホルミル基、カルボキシル基等が挙げられる。これらの中でも、カーボネート基(カルボニルジオキシ基)が好ましい。カーボネート基を有するエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体(カーボネート変性エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体)は、その重合時に重合開始剤としてパーオキシカーボネートを用いることで、カーボネート基を容易に導入できることや、幅広い樹脂と優れた接着性を有し、かつ上記した特定溶媒に対する耐性を高いレベルで維持できるといった利点を有する。
カーボネート変性エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体としては、市販品を用いることもできる。例えば、ダイキン工業社製の「ネオフロンEFEP RP5000」及び「ネオフロンEFEP RP4020」等が挙げられる。
反応性官能基の導入は、公知の方法によって行うことができるが、重合開始剤として共重合体に導入することが好ましい。得られる共重合体100質量部に対して、重合開始剤0.05〜20質量部であることが好ましい。
エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体における、エチレン/テトラフルオロエチレンのモル比は、特に限定されないが、成形性と耐薬品性のバランスの観点から、70/30〜30/70であることが好ましい。
さらに、テトラフルオロエチレン及びエチレン以外に、これらと共重合可能な他の単量体を共重合させた多元共重合体であってもよい。共重合可能な他の単量体としては、特に限定されず、例えば、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロイソブテン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニル、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)等のオレフィン等が挙げられる。エチレン/テトラフルオロエチレン/共重合可能な他の単量体のモル比は、特に限定されないが、成形性と耐薬品性のバランスの観点から、(10〜80)/(20〜80)/(0〜40)であることが好ましい。
より好ましい反応性官能基末端を有するエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体としては、テトラフルオロエチレン62〜80モル%、エチレン20〜38モル%、及びこれらと共重合可能な単量体0〜10モル%からなる単量体成分から得られるポリマー鎖を有するカルボニルジオキシ基含有共重合体;テトラフルオロエチレン20〜80モル%、エチレン10〜80モル%、ヘキサフルオロプロピレン0〜30モル%、及びこれらと共重合可能な単量体0〜10モル%からなる単量体成分から得られるポリマー鎖を有するカルボニルジオキシ基含有共重合体が挙げられる。これらの反応性官能基末端を有するエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体は、耐熱性、耐薬品性に優れるために好ましい。
反応性官能基末端を有するエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体の融点は、特に限定されないが、150〜200℃の範囲にあることが好ましい。融点がかかる温度範囲であることにより、芯樹脂として好ましく用いられるポリメチルメタクリレート系樹脂の熱分解が許容できる300℃以下の温度で紡糸できるため好ましい。融点の測定は、示差走査熱量測定によって行うことができる。例えば、セイコーインスツルメンツ社製の示差走査熱量計「EXSTAR DSC6200」を用いて、サンプルを昇温速度20℃/分で昇温させることで、測定できる。
反応性官能基末端を有するエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体のメルトフローインデックス(230℃、荷重3.8kg、オリフィスの直径2mm、長さ8mmの条件)は、5g/10分〜100g/10分の範囲にあることが好ましく、5g/10分〜40g/10分の範囲にあることがより好ましい。メルトフローインデックスを5g/10分以上とすることで、多芯プラスチック光ファイバ素線の各芯繊維を万遍なく被覆できる。また、メルトフローインデックスを100g/10分以下とすることで鞘層に高い強度を付与できるため、芯繊維を強固に支持できる。
反応性官能基末端を有するエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体の屈折率は、特に限定されないが、ナトリウムD線により20℃で測定した屈折率1.37〜1.41の範囲であることが好ましい。通常、芯樹脂と鞘樹脂の屈折率の差が小さい程、より高周波数の信号を伝搬させることができるが、光ファイバ素線の曲げに対して脆弱となる傾向がある。一方、屈折率の差が大きい程、光ファイバ素線の曲げに対して強くすることができるが、高周波数の信号を伝搬させ難くなる傾向がある。かかる観点から、鞘樹脂の屈折率を上記範囲とすることが好ましい。
上記反応性官能基末端を有するエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体の23℃におけるショアD硬度(ASTM D2240)は、60〜80の範囲にあることが好ましい。ショアD硬度を上記範囲とすることで、裸線の表面がべとつかないため取り扱い易い。ショアD硬度60〜80の硬さでも、鞘樹脂である反応性官能基を有するエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体に反応性官能基を導入することで芯繊維との接着性が生じているため、その結果、上記ショア硬度である硬い鞘層であっても、芯繊維から容易に剥離し難く、かつ芯繊維が鞘層から飛び出したりすることを防止できる。
本実施形態の効果の範囲内であれば、鞘樹脂は、上記反応性官能基末端を有するエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体以外に、他の樹脂や通常用いられる添加剤等を含んでいてもよい。鞘樹脂における上記反応性官能基末端を有するエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることがさらに好ましい。かかる含有量とすることにより、本実施形態の効果をより優れたものにできる。
鞘層の厚さは、特に限定されないが、1〜15μmが好ましい。厚さが1μm以上であれば、機械強度や耐薬品性に優れる。また、厚さが15μm以下であれば、芯繊維の断面積を広く確保できる。
<海部>
海部を構成する樹脂(海樹脂)としては、鞘樹脂を溶解しない特定溶媒に対して溶解する樹脂であればよく、その種類は特に限定されない。また、海樹脂としては、例えば、芯樹脂と鞘樹脂とともに溶融させて複合紡糸することが可能な熱可塑性樹脂等が挙げられる。この観点から、例えば、芯樹脂がポリメチルメタクリレート系樹脂である場合、複合紡糸温度の上限である250℃以下で複合紡糸できればよいので、多芯プラスチック光ファイバ素線や得られるプラスチック光ファイバセンサの機械強度等を考慮して、種々の材料から選択できる。
多芯プラスチック光ファイバ素線の製造は、特に限定されず、公知の方法によって行うことができる。例えば、公知の複合紡糸ダイにより紡糸する方法が挙げられる。複合紡糸ダイ出口のストランドを、機械強度を付与するため、通常、110〜150℃程度の温度で1.3〜5倍に延伸させる。その後、歪みをとるため同様の温度で熱処理して、多芯プラスチック光ファイバ素線とする。
この多芯プラスチック光ファイバ素線を、クロスヘッドダイにより熱溶融させた熱可塑性樹脂で被覆することによって被覆層を形成してプラスチック光ファイバケーブルとしてもよい。被覆層を形成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ナイロン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリプロペン等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性の観点から、ナイロン系樹脂が好ましく、ナイロン12及びナイロン11がより好ましい。
上述した鞘樹脂として、反応性官能基末端を有するエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体以外の樹脂、例えば、エチレン性フッ素樹脂を使用することも可能である。ここでエチレン性フッ素樹脂とは、全部または一部の水素原子がフッ素原子で置換されたエチレン性モノマー(塩素等のフッ素以外のハロゲン原子を含んでいてもよい。以下、「含フッ素モノマー」ともいう。)の重合体、または該含フッ素モノマーと共重合可能な単量体との共重合体をいい、主鎖あるいは側鎖に反応性官能基、例えばカーボネート基(カルボニルジオキシ基)、エステル基、ハロホルミル基、カルボキシル基などを導入して、変性したものであってもよい。鞘樹脂として該エチレン性フッ素樹脂を使用する場合は、使用可能な海樹脂の種類はより限定されるが、海樹脂としてより耐溶剤性の低いポリメチルメタクリレート系樹脂やポリカーボネート系樹脂等を用いることで、同様の効果を得ることができる。
本実施形態のプラスチック光ファイバセンサは、各種測定用、各種撮像用、医療用等を始めとする、あらゆる分野の用途に使用することが期待される。
以下、本発明を実施例及び比較例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
図2に示した方法に準拠して、図1に示した構造を有するプラスチック光ファイバセンサを作製し、その特性を評価した。
芯樹脂として、ナトリウムD線により20℃で測定した屈折率が1.492のポリメチルメタクリレート樹脂であって、メルトフローインデックスが230℃、荷重3.8kg、オリフィスの直径2mm、長さ8mmの条件で、1.5g/10分であるものを用いた。
鞘樹脂として、屈折率が1.385、メルトフローインデックスが7.5g/10分、融点が195℃のカーボネート変性エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体樹脂(ダイキン工業社製、商品名「ネオフロンEFEP RP5000」)を用いた。
海樹脂として、ビニリデンフロライド80モル%とテトラフロロエチレン20モル%からなる共重合体であって、230℃、荷重3.8kg、オリフィスの直径2mm、長さ8mmの条件で、メルトフローインデックスが40g/10分、屈折率が1.40の樹脂を用いた。
これらの芯樹脂、鞘樹脂及び海樹脂を用いて、複合紡糸により、1本のファイバ中の芯数が37である多芯プラスチック光ファイバ素線20(芯繊維の直径136μm、鞘層の厚さ3μm、素線の直径1000μm)を得た。
得られた多芯プラスチック光ファイバ素線20を剃刀でカットして2mの長さとした。そして、650nmのLED光付の光パワーメータ(ハクトロニクス社製、オプティカルパワーメーター「PHOTOM205」)で、光パワーをモニタしながら、両端部を含まない中間部(図2の符号202参照)50cmを、ジメチルホルムアミド(DMF)に1時間浸漬した。浸漬中も、光パワーは変化せずに、浸漬された海樹脂は溶解した。そして、第1の端部14と第2の端部16の間に位置する、37本の単芯プラスチック光ファイバ素線束12の素線は離れ離れの状態となった。さらに、DMFを除去して浸漬箇所を乾燥させた後、露出した37本の単芯プラスチック光ファイバ素線束12の中から、束の略中心に配置されていた1本を選び、その露出端部(長さ50cm;図2の符号Y参照)を切断して分岐させることで、分岐単芯プラスチック光ファイバ素線18とした(図2参照)。このようにして得られたプラスチック光ファイバセンサ10は、37芯の素線の略中心に配置された1芯が分岐した分岐単芯プラスチック光ファイバ素線18を有するプラスチック光ファイバセンサ10である。
プラスチック光ファイバセンサ10の第1の端部14の出射口に反射鏡を配置して、導光及び検出試験を行った。まず、照射光としての緑色のLED光を分岐単芯プラスチック光ファイバ素線18に入射させた。そして、第1の端部14から反射鏡に向けて照射光を出射させ、反射鏡で反射した測定光を第1の端部14で受光した。第1の端部14で受光した測定光は、36本の単芯プラスチック光ファイバ素線束12を経て第2の端部16に導光され、第2の端部16の端面を写真に撮像するとともに目視でも確認し、その導光状態を検査した。その結果、36芯の内、断面視した略中心に位置する素線程、光強度が強くなっていたことが確認されるとともに、周辺に位置する素線程、光強度が弱くなっていたことが確認された。
<比較例1>
図6に示した構造を有するプラスチック光ファイバセンサを作製し、その特性を評価した。このプラスチック光ファイバセンサ100は、37本の単芯プラスチック光ファイバ素線束120の中から、1本の単芯プラスチック光ファイバ素線180を分岐させたものであり、この分岐単芯プラスチック光ファイバ素線180から照射光を入射させた。まず、旭化成イーマテリアルズ社製の単芯プラスチック光ファイバ素線「DB−175」を37本用意して一束にし、長さ2mに切断して単芯プラスチック光ファイバ素線束120としを得た。単芯プラスチック光ファイバ素線束120の一端は37本の束にして端面を揃え、略中央部にある単芯プラスチック光ファイバ素線180を分岐させて分岐単芯プラスチック光ファイバ素線180として用いた。他端は36本の束にして端面を揃えた。
実施例1と同様に、プラスチック光ファイバセンサ100の出射側の端部140の出射口に反射鏡を配置して、導光及び検出試験を行った。まず分岐単芯プラスチック光ファイバ素線180から緑色のLED光を入射させ、端部140から反射鏡に向けて照射光を出射させ、反射鏡で反射した測定光を端部140で受光した。端部140で受光した測定光は、36本の単芯プラスチック光ファイバ素線束120の束を経てその端面まで導光され、この端面を写真に撮像するとともに目視でも確認し、その導光状態を検査した。その結果、36芯の単芯プラスチック光ファイバ素線束120の光強度はランダムであった。
以上より、本実施例のプラスチック光ファイバセンサは、良好な導光状態を維持できるものであり、光の入射強度分布を高い精度で測定できることが確認された。
本発明のプラスチック光ファイバセンサは、光の入射強度分布のセンシング等に好適に使用でき、幅広い分野でセンサとして利用することができる。
10…プラスチック光ファイバセンサ、12…単芯プラスチック光ファイバ素線束、14…第1の端部、16…第2の端部、18…分岐単芯プラスチック光ファイバ素線、20、30、40…多芯プラスチック光ファイバ素線、22、32、42…単芯プラスチック光ファイバ素線、24、34、44…海部、36…中空部、100…プラスチック光ファイバセンサ、120…単芯プラスチック光ファイバ素線束、140…(出射側の)端部、180…分岐単芯プラスチック光ファイバ素線、202…両端部以外の海部の少なくとも一部、222、322、422…芯繊維、224、324…鞘層、424…第1の鞘層、426…第2の鞘層、Y…切断箇所

Claims (3)

  1. 透明樹脂を含む芯繊維と、
    前記透明樹脂よりも屈折率が低い鞘樹脂を含み、前記芯繊維を被覆する鞘層と、
    を含む単芯プラスチック光ファイバ素線18本以上と、
    前記鞘樹脂を溶解しない特定溶媒に対して溶解する海樹脂を含み、前記単芯プラスチック光ファイバ素線の束を束ねる海部と、を含む多芯プラスチック光ファイバ素線を複合紡糸法で一体成形することにより得る工程と、
    前記得られた多芯プラスチック光ファイバ素線の両端部以外の前記海部の少なくとも一部を、前記特定溶媒に溶解させて除去することにより、前記単芯プラスチック光ファイバ素線の束を露出させる工程と、
    前記露出した前記単芯プラスチック光ファイバ素線の束の少なくとも1本の単芯プラスチック光ファイバ素線を切断して、前記単芯プラスチック光ファイバ素線の束から分岐した単芯プラスチック光ファイバ素線を少なくとも1本形成する工程と、
    を含む、プラスチック光ファイバセンサの製造方法。
  2. 前記鞘樹脂として、反応性官能基末端を有するエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体を含む、請求項に記載のプラスチック光ファイバセンサの製造方法。
  3. 前記反応性官能基末端を有するエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体が、カーボネート変性エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体である、請求項に記載のプラスチック光ファイバセンサの製造方法。
JP2012278638A 2012-12-20 2012-12-20 プラスチック光ファイバセンサの製造方法 Active JP6325767B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012278638A JP6325767B2 (ja) 2012-12-20 2012-12-20 プラスチック光ファイバセンサの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012278638A JP6325767B2 (ja) 2012-12-20 2012-12-20 プラスチック光ファイバセンサの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014122991A JP2014122991A (ja) 2014-07-03
JP6325767B2 true JP6325767B2 (ja) 2018-05-16

Family

ID=51403526

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012278638A Active JP6325767B2 (ja) 2012-12-20 2012-12-20 プラスチック光ファイバセンサの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6325767B2 (ja)

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0812300B2 (ja) * 1987-03-11 1996-02-07 住友電気工業株式会社 光照射装置
JPH02211412A (ja) * 1989-02-13 1990-08-22 Fujikura Ltd 光ファイバ心線並びにケーブル及び当該ケーブルの後分岐方法
JP3229044B2 (ja) * 1992-12-21 2001-11-12 旭化成株式会社 中空多芯光ファイバ及びその先端異形体
JPH1152202A (ja) * 1997-08-01 1999-02-26 Hitachi Cable Ltd テープ状光ファイバ
JP2002236223A (ja) * 2001-02-09 2002-08-23 Olympus Optical Co Ltd ファイバープローブ光検出器
JP2002333558A (ja) * 2001-05-09 2002-11-22 Fujikura Ltd 光ファイバコードケーブル
JP5214286B2 (ja) * 2008-03-12 2013-06-19 旭化成イーマテリアルズ株式会社 光分岐結合器、光分岐結合器の製造方法及び単芯双方向通信装置
JP5185893B2 (ja) * 2009-07-17 2013-04-17 旭化成イーマテリアルズ株式会社 多芯プラスチック光ファイバ素線、ライトガイド、それを用いた光源装置、及びライトガイドの製造方法
JP5503492B2 (ja) * 2010-10-21 2014-05-28 古河電気工業株式会社 光ファイバユニット、光ファイバユニットの分岐方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014122991A (ja) 2014-07-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101675413B1 (ko) 플라스틱 광파이버 및 플라스틱 광파이버 코드
JP5495932B2 (ja) プラスチック光ファイバ素線及びケーブル
JP5185893B2 (ja) 多芯プラスチック光ファイバ素線、ライトガイド、それを用いた光源装置、及びライトガイドの製造方法
JP6881510B2 (ja) 光ファイバ、光ファイバケーブル及び通信機器
JP5583456B2 (ja) プラスチック光ファイバ素線及びケーブル
JP6147477B2 (ja) プラスチック光ファイバケーブル
JP6325767B2 (ja) プラスチック光ファイバセンサの製造方法
JP5184437B2 (ja) 多芯プラスチック光ファイバ裸線及びケーブル
JP2021119413A (ja) プラスチック光ファイバ、プラスチック光ファイバケーブル、コネクタ付プラスチック光ファイバケーブル、光通信システム、及びプラスチック光ファイバセンサ
CN105676344A (zh) 光纤、光缆、通信设备及照明器具
JP5537241B2 (ja) プラスチック光ファイバケーブル
JP5915709B2 (ja) プラスチック光ファイバ及びその製造方法、並びにプラスチック光ファイバケーブル
JP7424907B2 (ja) 多芯プラスチック光ファイバケーブル
CN110431459B (zh) 塑料光纤、塑料光缆、线束以及车辆
JP2011253108A (ja) プラスチック光ファイバ及びその製造方法、並びにプラスチック光ファイバケーブル
JP6835469B2 (ja) 多芯プラスチック光ファイバケーブル
JP2009175683A (ja) プラスチック光ファイバ、およびプラスチック光ファイバコード
JP5047816B2 (ja) プラスチック光ファイバテープ
JP2010101932A (ja) プラスチック光ファイバ、および、プラスチック光ファイバコード
JP2009115976A (ja) 光ファイバセンサー
JP6210716B2 (ja) プラスチック光ファイバケーブル
JP2023085865A (ja) プラスチック光ファイバケーブル
JP2003098408A (ja) 光ファイバケーブル及びプラグ付き光ファイバケーブル
JP2010107961A (ja) プラスチック光ファイバコード

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151214

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20160401

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160523

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160728

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160729

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170220

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170418

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170928

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171122

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180404

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180413

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6325767

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350