JP6323666B2 - インクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
本発明に係るインクジェット記録方法の一態様は、
1パス印字記録を2種以上のインクを用いて行うインクジェット記録方法であって、
前記2種以上のインクの静的表面張力差がすべて2mN/m以下であり、
最初にL*値の最も低いインクを印字し、最後にL*値の最も高いインクを印字することを特徴とする。
適用例1のインクジェット記録方法において、
前記2種以上のインクの各々は、表面寿命が10msのときの動的表面張力が37〜48mN/mであることができる。
適用例1または適用例2のインクジェット記録方法において、
前記2種以上のインクの各々が、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物および2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールを含有することができる。
適用例1ないし適用例3のいずれか一例のインクジェット記録方法において、
前記2種以上のインクの各々がジオール系溶剤を含有し、
前記ジオール系溶剤の含有量は、L*値の最も高いインクの方がL*値の最も低いインクよりも多くすることができる。
適用例1ないし適用例4のいずれか一例のインクジェット記録方法において、
前記2種以上のインクの各々がエーテル系溶剤を含有し、
前記エーテル系溶剤の含有量は、L*値の最も高いインクの方がL*値の最も低いインクよりも少なくすることができる。
本発明に係るインクセットの一態様は、
適用例1ないし適用例5のいずれか一例のインクジェット記録方法に用いられるインクセットであって、
ブラックインク、シアンインク、マゼンタインクおよびイエローインクを備え、
前記各インクの表面寿命が10msのときの動的表面張力が37〜48mN/mであり、かつ、前記各インク間の静的表面張力差がすべて2mN/m以下であることを特徴とする。
適用例6のインクセットにおいて、
前記各インクが、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物および2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールを含有することができる。
適用例6または適用例7のインクセットにおいて、
前記各インクがジオール系溶剤を含有し、
前記ジオール系溶剤の含有量は、前記イエローインクの方が前記ブラックインクよりも多くすることができる。
きる。インク滴が記録媒体上に着弾した直後は、まだ静的表面張力よりも動的表面張力の方が支配的である。動的表面張力が高い順に印字すると、カラー間でのブリードや凝集の発生を効果的に抑制できる。そのため、ジオール系溶剤を添加することにより、最初に印字されるL*値の最も低いブラックインクの動的表面張力をL*値の最も高いイエローインクよりも高くすることで、ブラックとカラー間及びカラー間でのブリードや凝集の発生を効果的に抑制できる。
適用例6ないし適用例8のいずれか一例のインクセットにおいて、
前記各インクがエーテル系溶剤を含有し、
前記エーテル系溶剤の含有量は、前記イエローインクの方が前記ブラックインクよりも少なくすることができる。
本実施の形態に係るインクジェット記録方法は、同一のインクによって、とりわけ二回以上の重ね印字を行わずに、1パス印字記録を2種以上のインクを用いて行うインクジェット記録方法であって、前記2種以上のインクの静的表面張力差がすべて2mN/m以下であり、最初にL*値の最も低いインクを印字し、最後にL*値の最も高いインクを印字することを特徴とする。以下、本実施の形態に係るインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置、インクセット、及びインクジェット記録方法の特徴の順に説明する。
本実施の形態に係るインクジェット記録方法において用いられるインクジェット記録装置は、同一のインクによって、とりわけ二回以上の重ね印字を行わずに、1パス印字記録を行うことができるものであればよく、例えばラインヘッド方式のインクジェット記録装置を挙げることができる。
、ガイドレール15により記録用紙11の紙搬送方向(図1の矢印方向)に対して直角方向に移動可能に取り付けられ搬送された記録用紙11にインク滴を吐出するラインヘッド20と、記録用紙11の搬送方向に対して直角方向にラインヘッド20を振動させる振動素子(図示せず)と、インクカートリッジ35と、装置全体をコントロールするコントローラー40とを備える。
より好ましい。このような構成とすることで、カラー間でのブリードや凝集の発生を効果的に抑制し、カラーの高画質化を実現することができる。
本実施の形態に係るインクジェット記録方法では、2種以上のインクが使用される。本明細書では、2種以上のインクを組み合わせたものをインクセットという。インクの数は、2種以上であれば特に限定されないが、表現できる色域(ガマット体積)を拡張できる点で、少なくともブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクの4種のインクを含むインクセットを用いることが好ましい。
本実施の形態に係るインクセットを構成する各インクは、顔料を含有する。顔料種としては、特に限定されるものではなく、以下に例示するような各種顔料を使用することができる。
本実施の形態に係るインクセットを構成する各インクは、自己分散顔料を使用しない場合には、顔料を分散させるための分散樹脂を含有することが好ましい。分散樹脂としては、特に限定されないが、重量平均分子量70,000以上100,000以下かつ樹脂酸価80mgKOH/g以上120mgKOH/g以下の分散樹脂を含有することが好ましい。このような分散樹脂を含有することで、インク中の顔料の分散安定性が良好となり、顔料が凝集することを抑制することができる。
テル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体等およびこれらの塩が挙げられる。なお、本明細書中において、(メタ)アクリル酸という記載は、アクリル酸またはメタクリル酸を示すものである。共重合体の形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。
本実施の形態に係るインクセットを構成する各インクは、主溶媒としての水を含有する。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水または超純水を用いることが好ましい。特に、紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌処理した水を用いることにより、カビやバクテリアの発生を防止してインクの長期保存が可能となる。各インク中の水の含有量は、インク全質量に対して、20質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
本実施の形態に係るインクセットを構成する各インクは、水溶性有機溶剤を含有する。水溶性有機溶剤としては、インクの動的表面張力を容易に調整できる点で、ジオール系溶剤やエーテル系溶剤が好適である。
きる。インク滴が記録媒体上に着弾した直後は、まだ静的表面張力よりも動的表面張力の方が支配的である。動的表面張力が高い順に印字すると、ブラックとカラー間及びカラー間でのブリードや凝集の発生を効果的に抑制できる。そのため、ジオール系溶剤を添加することにより、最初に印字されるL*値の最も低いインクの動的表面張力をL*値の最も高いインクよりも高くすることで、カラー間でのブリードや凝集の発生を効果的に抑制できる。
本実施の形態に係るインクセットを構成する各インクには、界面活性剤を添加することが好ましい。界面活性剤を添加することにより、インクの静的表面張力を調整することができる。すなわち、静的表面張力とは、液表面が平衡状態となったときの表面張力のことをいうが、界面活性剤を添加したインクでは、平衡状態に達するとインク滴の気液界面に界面活性剤が規則的に配向する。したがって、静的表面張力では、界面活性剤による効果が支配的となるため、各インクの静的表面張力を2mN/m以下に揃えるためには、界面活性剤を添加してインクの静的表面張力を揃えることが望ましい。
本実施の形態に係るインクセットを構成する各インクには、樹脂エマルジョンを添加してもよい。樹脂エマルジョンは、インクの乾燥に伴い、樹脂粒子同士及び樹脂粒子と着色成分とが互いに融着して着色剤を記録媒体に固着させるため、記録物の画像部分の定着性を向上させる作用を持つ。
テル、ビニルケトン、ビニルピロリドン等のビニル単量体;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸;アクリルアミドおよびN,N’−ジメチルアクリルアミド等のアクリルアミド;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等の水酸基含有単量体が挙げられる。
しい。上記中和剤の添加量は、ポリマーエマルジョンのpHが7.5〜9.5の範囲、好ましくは7.5〜8.5の範囲となるように適宜決定される。
本実施の形態に係るインクセットを構成する各インクには、pH調整剤を添加することが好ましい。pH調整剤としては、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機化合物;アンモニア、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等のアルカノールアミン等を用いることができる。特に、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミンから選択される少なくとも1種類のpH調整剤を含み、pH6〜10に調整されることが好ましい。pHがこの範囲を外れると、インクジェットプリンターを構成する材料等に悪影響を与え、目詰まり回復性が劣化する場合がある。
さらに、本実施の形態に係るインクセットを構成する各インクには、必要に応じて、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐・防黴剤等を添加することができる。
本実施の形態に係るインクジェット記録方法は、同一のインクによって、とりわけ二回以上の重ね印字を行わずに、1パス印字記録を2種以上のインクを用いて行うインクジェット記録方法であって、前記2種以上のインクの静的表面張力差がすべて2mN/m以下であり、最初にL*値の最も低いインクを印字し、最後にL*値の最も高いインクを印字することを特徴とする。
b*表色系におけるL*値(明度)を算出して得られる値のことを意味する。
以下、本発明の実施形態を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
2.1.1.自己分散顔料の製造
プロセスオール4HV混合機(4リットル)に、顔料を500g、イオン交換水を1L、及び4−アミノフェニル−2−スルファトエチルスルホン(APSES)を投入した。次いで、300rpmにて10分間強力に混合しながら、生じた混合物を60℃に加熱した。これに、20%亜硝酸ナトリウム水溶液(APSESの量を基準として1当量)を15分かけて添加した。加熱及び混合を合計3時間続行した。
<使用した顔料種>
・ブラック顔料分散液:C.I.ピグメントブラック4
・シアン顔料分散液:C.I.ピグメントブルー15:3
・マゼンタ顔料分散液:C.I.ピグメントレッド122
・イエロー顔料分散液:C.I.ピグメントイエロー74
有機溶媒(メチルエチルケトン)20質量部、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03質量部、重合開始剤、表1に示す各モノマーを用い、窒素ガス置換を十分に行った反応容器内に入れて75℃攪拌下で重合し、モノマー成分100質量部に対してメチルエチルケトン40質量部に溶解した2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル0.9質量部を加え、80℃で1時間熟成させ、ポリマー溶液を得た。
攪拌機、還流コンデンサー、滴下装置、及び温度計を備えた反応容器に、イオン交換水900g及びラウリル硫酸ナトリウム1gを仕込み、攪拌下に窒素置換しながら70℃まで昇温した。内温を70℃に保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム4gを添加し、溶解後、予めイオン交換水450g、ラウリル硫酸ナトリウム3gにアクリルアミド20g、スチレン365g、ブチルアクリレート545g、及びメタクリル酸30gを攪拌下に加えて作製した乳化物を、反応溶液内に連続的に4時間かけて滴下した。滴下終了後3時間の熟成を行った。得られた樹脂エマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水と水酸
化ナトリウム水溶液とを添加して固形分25質量%、pH8に調整した。得られた樹脂エマルジョンにおける樹脂粒子のガラス転移温度は−6℃であった。
ブラック、マゼンタ、シアン、及びイエロー各色について、表2に記載の各成分を常温で1時間混合攪拌し、さらに孔径5μmのメンブランフィルターでろ過することにより、各インクを調製した。このようにして、動的表面張力及び静的表面張力の異なるインクを各色8種類ずつ、合計32種類のブラックインク(K)A1〜A8、マゼンタインク(M)A1〜A8、シアンインク(C)A1〜A8、イエローインク(Y)A1〜A8を得た。これらのインクを表3のように組み合わせてインクセット1〜8とした。なお、表2中の数値は、インク中の含有量(質量基準%)を表す。
・アセチレン系界面活性剤(エアプロダクツ社製、商品名「サーフィノール104PG50」、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール)
・シリコン系界面活性剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名「BYK−348」)
(1)ブリードの評価
記録紙として、普通紙(ゼロックス4200紙)、チラシ用紙(エプソンビジネスイン
クジェットプリンター用コート紙)の2種類を用意した。表4に記載のインクセット及び記録条件で、インクジェットプリンターPX−A650(セイコーエプソン株式会社製)のヘッド並べてラインヘッドとし、ラインヘッドプリンターに改造し、400パッチからなる専用の出力パターンを印刷した。この場合における背景への滲み込みを目視により下記基準に基づき判定した。その結果を表4に併せて示した。
A:非常に良好(30倍の顕微鏡で観察しても滲みがない。)
B:良好(4ポイントの文字が読める。)
C:可(10ポイントの文字が読める。)
D:不可(10ポイントの文字が読めない。)
上記ブリードの評価と同様の方法で、記録紙としてゼロックス4200紙を使用し、その記録紙上に濃度85%のKCMYコンポジットブラックで10ポイントの文字を印刷した。得られた印刷物の裏面をコピー機でコピーした紙面について目視により下記基準に基づき判定した。その結果を表4に併せて示した。
A:非常に良好(裏面コピーで10ポイントの文字がコピーされない。)
B:良好(裏面コピーで10ポイントの文字がコピーされるが読めない。)
C:可(裏面コピーで10ポイントの文字がコピーされ、文字が読める。)
D:不可(裏面までインクが滲み出ている。)
実施例及び比較例で使用したインクセット、記録条件、並びに評価試験の結果を、表4に示す。また、表4に記載の記録条件の詳細を表5に示す。本実施例及び比較例では、L*値が最も低いインクがブラックインクとなり、L*値が最も高いインクがイエローインクとなる。
Claims (2)
- 1パス印字記録を2種以上のインクを用いて行うインクジェット記録方法であって、
前記2種以上のインクの静的表面張力差がすべて2mN/m以下であり、
前記2種以上のインクの各々は、表面寿命が10msのときの動的表面張力が37〜48mN/mであり、
前記2種以上のインクの各々がジオール系溶剤を含有し、
前記ジオール系溶剤の含有量は、L*値の最も高いインクの方がL*値の最も低いインクよりも多く、
前記2種以上のインクの各々がエーテル系溶剤を含有し、
前記エーテル系溶剤の含有量は、L*値の最も高いインクの方がL*値の最も低いインクよりも少なく、
最初にL*値の最も低いインクを印字し、最後にL*値の最も高いインクを印字することを特徴とする、インクジェット記録方法。 - 前記2種以上のインクの各々が、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物および2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールを含有することを特徴とする、請求項1に記載のインクジェット記録方法。
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