JP2013234226A - インクジェット用インクおよび記録物 - Google Patents

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宏明 粂田
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Abstract

【課題】吐出安定性に優れるとともに、発色性および耐擦過性に優れた画像を記録することが可能なインクジェット用インク、および、発色性・耐擦過性に優れた画像を記録した記録物を提供すること。
【解決手段】本発明のインクジェット用インクは、顔料と、炭素数が7以上10以下のアルカンジオールと、結晶性ポリオレフィン樹脂と、水と、を含み、前記顔料の含有量が、6質量%以上であり、20℃におけるCasson降伏値が1.0mPa以下、かつ、20℃における剪断粘度が9.0mPa・s以下であり、乾燥により25%質量が減じた時の20℃におけるCasson降伏値が10mPa以下であることを特徴とする。また、顔料の含有量をA[質量%]、アルカンジオールの含有量をB[質量%]としたとき、0.02≦B/A≦0.2の関係を満足することが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット用インクおよび記録物に関する。
従来から、インクジェット記録装置からインクジェット用インクを紙等の記録媒体に対して吐出することにより、画像を記録することが知られている。
インクジェット用インクとしては、一般に、顔料と樹脂とが水等の溶媒に溶解または分散したものが知られている。
インクジェット用インクには、インクジェット装置からの吐出安定性に優れるという性能が求められており、そのような性能を考慮したインクジェット用インクの開発がなされている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、従来のインクジェット用インクでは、吐出は安定するものの、記録した画像の発色性が十分に得られないといった問題があった。発色性を向上させるために、顔料濃度を高くすると、吐出安定性が低下してしまい、吐出安定性と発色性とを両立することが困難であった。
特開2008−222982号公報
本発明の目的は、吐出安定性に優れるとともに、発色性および耐擦過性に優れた画像を記録することが可能なインクジェット用インク、および、発色性・耐擦過性に優れた画像を記録した記録物を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のインクジェット用インクは、顔料と、炭素数が7以上10以下のアルカンジオールと、結晶性ポリオレフィン樹脂と、水と、を含み、
前記顔料の含有量が、6質量%以上であり、
20℃におけるCasson降伏値が1.0mPa以下、かつ、20℃における剪断粘度が9.0mPa・s以下であり、
乾燥により25%質量が減じた時の20℃におけるCasson降伏値が10mPa以下であることを特徴とする。
これにより、吐出安定性に優れるとともに、発色性および耐擦過性に優れた画像を記録することが可能なインクジェット用インクを提供することができる。
本発明のインクジェット用インクでは、前記顔料の含有量をA[質量%]、前記アルカンジオールの含有量をB[質量%]としたとき、0.02≦B/A≦0.2の関係を満足することが好ましい。
これにより、インクジェット用インクの吐出安定性を優れたものとしつつ、記録した画像の発色性をより良好なものとすることができる。
本発明のインクジェット用インクでは、前記顔料の含有量をA[質量%]、前記結晶性ポリオレフィン樹脂の含有量をC[質量%]としたとき、0.02≦C/A≦0.2の関係を満足することが好ましい。
これにより、インクジェット用インクの吐出安定性を優れたものとしつつ、記録した画像の発色性および耐擦過性をさらに向上させることができる。
本発明のインクジェット用インクでは、前記水の含有量は、10質量%以上65質量%以下であることが好ましい。
これにより、吐出安定性および記録される画像の発色性を特に優れたものとすることができる。
本発明のインクジェット用インクでは、両性イオン化合物をさらに含むことが好ましい。
これにより、画像濃度むらをより効果的に抑制するとともに、記録した画像の発色性をより優れたものとすることができる。また、顔料の凝集をより効果的に抑制することができ、吐出安定性をさらに向上させることができる。
本発明のインクジェット用インクでは、前記両性イオン化合物は、分子量100以上250以下のベタイン系化合物であることが好ましい。
これにより、画像濃度むらをさらに効果的に抑制するとともに、記録した画像の発色性をより優れたものとすることができる。また、インクジェット用インクの吐出安定性をより優れたものとすることができる。
本発明のインクジェット用インクでは、前記両性イオン化合物の含有量は、5質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
これにより、画像濃度むらをより効率よく抑制するとともに、記録した画像の発色性をより優れたものとすることができる。また、画像記録後の記録媒体の膨張速度を効果的に抑制することができる。また、インクジェットにおけるインク吐出ノズルの目詰まりをより効果的に防止することができる。
本発明の記録物は、記録媒体上に、本発明のインクジェット用インクをインクジェット法により付与することにより得られたことを特徴とする。
これにより、発色性および耐擦過性に優れた画像を記録した記録物を提供することができる。
インクジェット記録装置の一例を示す模式図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
《インクジェット用インク》
まず、本発明のインクジェット用インクについて説明する。
本発明のインクジェット用インクは、インクジェット法により記録媒体上に付与することにより画像を記録するインクである。
ところで、インクジェット用インクには、インクジェット装置からの吐出安定性に優れるという性能が求められており、そのような性能を考慮したインクジェット用インクの開発がなされている。
しかしながら、従来のインクジェット用インクでは、吐出は安定するものの、記録した画像の発色性が十分に得られないといった問題があった。発色性を向上させるために、顔料濃度を高くすると、吐出安定性が低下してしまい、吐出安定性と発色性とを両立することが困難であった。
これに対して、本発明のインクジェット用インクは、顔料と、炭素数が7以上10以下のアルカンジオールと、結晶性ポリオレフィン樹脂と、水と、を含み、顔料の含有量が、6質量%以上であり、20℃におけるCasson降伏値が1.0mPa以下、かつ、20℃における剪断粘度が9.0mPa・s以下であり、乾燥により25%質量が減じた時の20℃におけるCasson降伏値が10mPa以下である点に特徴を有している。このような特徴を有することにより、記録した画像表面の平滑性を向上させることができ、光沢性に優れた画像を得ることができる。特に、光沢専用紙上に記録した場合に優れた画像を効果的に記録することができる。また、発色性および擦過性に優れた画像を記録することができる。
上述したように、本発明のインクジェット用インクは、20℃におけるCasson降伏値が1.0mPa以下である。降伏値がこのような範囲であると、製造直後において、顔料の凝集体が小さいため、安定してインクジェット用インクを吐出することができる。なお、インクジェット用インクの20℃におけるCasson降伏値は、0.6mPa以下であるのがより好ましい。これにより、本発明の効果をより顕著なものとすることができる。
また、上述したように、本発明のインクジェット用インクは、20℃における剪断粘度が9.0mPa・s以下である。剪断粘度がこのような範囲であると、製造直後において、比較的低いエネルギーでインクジェット用インクを吐出することができ、安定してインクジェット用インクを吐出することができる。なお、インクジェット用インクの20℃における剪断粘度は、8.0mPa・s以下であるのがより好ましい。これにより、本発明の効果をより顕著なものとすることができる。
また、上述したように、本発明のインクジェット用インクは、乾燥により25%質量が減じた時の20℃におけるCasson降伏値が10mPaである。これにより、インクジェット記録装置の吐出ヘッドにおいて、インクジェット用インク中の溶媒がある程度蒸発した場合であっても、インクジェット用インクを安定して吐出することができる。なお、乾燥により25%質量が減じた時の20℃におけるCasson降伏値は、7.0mPa以下であるのがより好ましい。これにより、本発明の効果をより顕著なものとすることができる。
以下、各成分について詳細に説明する。
[顔料]
本発明のインクジェット用インクに含まれる顔料としては、公知の無機顔料および有機顔料のいずれをも用いることができる。そのような顔料としては、例えば、カラーインデックスに記載されているピグメントイエロー、ピグメントレッド、ピグメントバイオレット、ピグメントブルー、ピグメントブラック等の顔料の他、フタロシアニン系、アゾ系、アントラキノン系、アゾメチン系、縮合環系等の顔料が例示できる。また、黄色4号、5号、205号、401号;橙色228号、405号;青色1号、404号等の有機顔料や、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化鉄、群青、紺青、酸化クローム等の無機顔料が挙げられる。
顔料のカラーインデックスとしては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、167、172、180等、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、またはC.I.ピグメントバイオレット19、23、32、33、36、38、43、50等、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、15:34、16、18、22、25、60、65、66、C.I.バットブルー4、60等、C.I.ピグメントグリーン7、10、C.I.ピグメントブラウン3、5、25、26、C.I.ピグメントオレンジ2、5、7、13、14、15、16、24、34、36、38、40、43、63等、C.I.ピグメントブラック1,7等が挙げられ、1種または2種以上の顔料をインクジェット用インクに添加してもよい。
本発明のインクジェット用インクに用いられる顔料は、樹脂分散型の態様であってもよい。そのような態様の顔料は、高分子分散剤や界面活性剤などの分散剤と共に、ボールミル、ロールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、高速獲拝型分散機などを用いて水性媒体中に分散させた顔料分散液として、あるいは、顔料表面に分散性付与基(親水性官能基および/またはその塩)を直接またはアルキル基、アルキルエーテル基、アリール基等を介して間接的に結合させ、分散剤なしで水性媒体中に分散および/または溶解する自己分散型顔料として加工され、水性媒体中に分散させた顔料分散液として、インクジェット用インク中に配合されることが好ましい。
分散剤の例としては、高分子分散剤として、にかわ、ゼラチン、サポニンなどの天然高分子化合物やポリビニルアルコール類、ポリピロリドン類、アクリル系樹脂類(ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体など)、スチレン−アクリル酸系樹脂類(スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−酢酸ビニル−アクリル酸共重合体など)、スチレン−マレイン酸系樹脂類、酢酸ビニル−脂肪酸ビニル−エチレン共重合体の樹脂類などおよびこれらの塩などの合成高分子化合物が挙げられ、共重合体の構成はランダムタイプ、ブロックタイプ、グラフトタイプのいずれでもよい。
また、分散剤として用いられる界面活性剤としては、脂肪酸塩類、高級アルキルジカルボン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩類、高級アルキルスルホン酸塩などのアニオン性界面活性剤、脂肪酸アミン塩、脂肪酸アンモニウム塩などのカチオン性界面活性剤、ポリオオキシアルキルエーテル類、ポリオキシアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類などのノニオン性界面活性剤が挙げられる。
これらの分散剤の中で、特に水不溶性樹脂が好ましい。水不溶性樹脂として、具体的には、疎水性基を有するモノマーと親水性基を有するモノマーとのブロック共重合体樹脂からなり、少なくとも塩生成基を有するモノマーを含有しているもので、中和後に25℃の水100gに対する溶解度が1g未満である樹脂が好ましい。疎水性基を有するモノマーとしては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類や酢酸ビニル等のビニルエステル類やアクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物類、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、4−t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル単量体類が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。親水性基を有するモノマーとしては、例えば、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタアクリレート、エチレングリコール・プロピレングリコールモノメタアクリレートが挙げられ、これらは1種を単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。塩生成基を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンカルボン酸、マレイン酸が挙げられ、これらは1種を単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。さらに、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロモノマー、シリコーン系マクロモノマーなどのマクロモノマーやその他のモノマーを併用することもできる。
この水不溶性樹脂は、エチルアミン、トリメチルアミン等の3級アミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等のアルカリ中和剤で中和した塩として用いることが好ましく、重量平均分子量が10000以上150000以下程度のものが、顔料を安定的に分散させる点でより好ましい。
分散剤なしに水に分散および/または溶解が可能な自己分散型顔料は、例えば、顔料に物理的処理または化学的処理を施すことで、分散性付与基または分散性付与基を有する活性種を顔料の表面に結合(グラフト)させることによって製造される。物理的処理としては、例えば真空プラズマ処理が例示できる。また、化学的処理としては、例えば水中で酸化剤により顔料表面を酸化する湿式酸化法や、p−アミノ安息香酸を顔料表面に結合させることによりフェニル基を介してカルボキシル基を結合させる方法が例示できる。自己分散型顔料を含有するインクジェット用インクは、通常の顔料を分散させるために含有させる前述のような分散剤を含む必要がないため、分散剤に起因する消泡性の低下による発泡がほとんどなく、吐出安定性に優れるインクを調製しやすい。また、分散剤に起因する大幅な粘度上昇が抑えられるので、顔料をより多く含有することが可能となり、印字濃度を十分に高めることが可能になる、あるいは、取り扱いが容易となる。このような利点があることから、自己分散型顔料は、特に高濃度を必要とするブラックインクジェット用インクに有効であり、本実施形態のインクジェット用インクとして用いるブラックインクジェット用インクには、分散剤なしに水に分散および/または溶解が可能な自己分散型顔料が少なくとも含まれることが好ましい。
本実施形態においては、次亜ハロゲン酸および/または次亜ハロゲン酸塩による酸化処理、またはオゾンによる酸化処理により表面処理される自己分散型顔料が、高発色という点で好ましい。また、自己分散型顔料として市販品を利用することも可能であり、そのような市販品として、マイクロジェットCW−1(商品名;オリヱント化学工業(株)製)、CAB−O−JET200、CAB−〇−JET300(以上商品名;キヤポット社製)が例示できる。
また、これらの顔料は、インクの保存安定性やノズルの目詰まり防止等の観点から、インク中での体積平均粒子径が50nm〜200nmの範囲であることが好ましい。これらの体積平均粒子径は、Microtrac UPA 150 (マイクロトラック社製)や粒度分布測定機LPA3100(大塚電子(秩)製)等の粒径測定によって得ることができる。
本発明において、これらの顔料は、インクジェット用インク中に6質量%以上含まれている。このような比較的高濃度に顔料が含まれている場合であっても、安定して吐出することができる。
このように本発明では、顔料の含有量は、6質量%以上であるが、6質量%以上25質量%以下であることが好ましい。これにより、インクジェット用インクの吐出安定性をより優れたものするとともに、形成する画像の発色性をより効率よく向上させることができる。
[アルカンジオール]
本発明のインクジェット用インクは、炭素数が7以上10以下のアルカンジオールを含んでいる。
炭素数が7以上10以下のアルカンジオールは、親油性(難水溶性)の化合物である。このような成分を含むことにより、例えば、表面が親水性の記録媒体に適用した場合、当該記録媒体に着弾したインクジェット用インクの当該記録媒体への浸透を比較的緩やかなものとすることができる。その結果、比較的多くのインクジェット用インクが記録媒体内部ではなく表面で乾燥するため、発色性が優れたものとなる。一方、例えば、表面が疎水性の記録媒体に適用した場合、当該記録媒体に着弾したインクジェット用インクは適度に濡れ広がり、隣り合う着弾したインクジェット用インクの間を好適に埋めることができる。その結果、記録される画像の発色性が良好なものとなる。
また、炭素数が7以上10以下のアルカンジオールを含むことにより、アルカンジオールが顔料の周りに吸着し、これが立体傷害となり、顔料の凝集を効果的に防止することができる。その結果、インクジェット用インクのCasson降伏値を低いものとすることができ、インクジェット用インクの吐出安定性を優れたものとすることができる。
炭素数が7以上10以下のアルカンジオールとしては、例えば、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、5−メチル−1,2−ヘキサンジオール、4−メチル−1,2−ヘキサンジオール、4,4−ジメチル−1,2−ペンタンジオール等が挙げられる。これらの中でも、特に、1,2−オクタンジオールを用いるのが好ましい。これにより、乾燥性と浸透性とのバランスを特に良好なものとすることができ、記録した画像の発色性を特に優れたものとすることができる。
炭素数が7以上10以下のアルカンジオールの含有量は、0.1質量%以上2.0質量%以下であるのが好ましく、0.2質量%以上1.0質量%以下であるのがより好ましい。これにより、記録した画像の発色性をより効率よく向上させることができる。
また、顔料の含有量をA[質量%]、アルカンジオールの含有量をB[質量%]としたとき、0.02≦B/A≦0.2の関係を満足するのが好ましく、0.05≦B/A≦0.15の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、インクジェット用インクの吐出安定性を優れたものとしつつ、記録した画像の発色性をより良好なものとすることができる。
[結晶性ポリオレフィン樹脂]
本発明のインクジェット用インクは、結晶性ポリオレフィン樹脂が含まれている。このような成分を含むことにより、吐出安定性を向上させることができるとともに、記録される画像の発色性を向上させることができる。また、この成分は、記録媒体表面に顔料とともに残存するため、記録される画像の耐擦過性(定着性)を向上させることができる。
結晶性ポリオレフィン樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等のα−オレフィン;ブタジエン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,5−ヘキサジエン等の共役ジエン、非共役ジエンの単独重合体又はこれらの共重合体のオリゴマーであり、さらに、スチレン、酢酸ビニル、ビニルアルコールなどの単独重合体又前記のオレフィン系単量体とこれらの単量体との共重合体などである。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・スチレン共重合体などのオリゴマー等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
結晶性ポリオレフィン樹脂の含有量は、0.1質量%以上3.0質量%以下であるのが好ましく、0.2質量%以上2.5質量%以下であるのがより好ましい。これにより、耐擦過性(定着性)、光沢性をより優れたものとすることができる。
顔料の含有量をA[質量%]、結晶性ポリオレフィン樹脂の含有量をC[質量%]としたとき、0.02≦C/A≦0.2の関係を満足するのが好ましく、0.05≦C/A≦0.15の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、インクジェット用インクの吐出安定性を優れたものとしつつ、記録した画像の発色性および耐擦過性をさらに向上させることができる。
[水]
インクジェット用インクは、安全性、取扱性および性能面(発色性、裏抜け適性、インク信頼性)の観点から水を含有している。
また、本発明のインクジェット用インクは、安全性、取り扱い上の観点から、インクの主溶媒が水である水性インクジェット用インクであることが好ましく、水はイオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水または超純水を用いることがより好ましい。特に、紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌処理した水を用いることが、カビやバクテリアの発生を防止してインクの長期保存を可能にする点で好ましい。
水の含有量は、10質量%以上65質量%以下であるのが好ましい。これにより、吐出安定性および記録される画像の発色性を特に優れたものとすることができる。
[両性イオン化合物]
本発明のインクジェット用インクは、上記成分の他、両性イオン化合物を含んでいてもよい。両性イオン化合物を含むことにより、画像濃度むらをより効果的に抑制するとともに、記録した画像の発色性をより優れたものとすることができる。また、両イオン化合物を含むことにより、顔料の凝集をより効果的に抑制することができ、吐出安定性をさらに向上させることができる。
両性イオン化合物としては、特に限定されず、例えば、ベタイン系化合物、アミノ酸及びその誘導体が挙げられる。より具体的にはベタイン系化合物として、グリシンベタイン(分子量117、「トリメチルグリシン」ともいう。)、γ−プチロベタイン(同145)、ホマリン(同137)、トリゴネリン(同137)、カルニチン(同161)、ホモセリンベタイン(同161)、バリンベタイン(同159)、リジンベタイン(同188)、オルニチンベタイン(同176)、アラニンベタイン(同117)、スタキドリン(同185)及びグルタミン酸ベタイン(同189)等のアミノ酸のN−トリアルキル置換体が挙げられる。また、アミノ酸として、グリシン(分子量75)、アラニン(同89)、セリン(同105)、トレオニン(同119)、バリン(同117)、メチオニン(同149)、システイン(同121)、プロリン(同115)、リシン(同146)、ヒスチジン(同155)、アルギニン(同174)やそれらの誘導体が挙げられる。これらの中では、印刷後の被記録媒体の膨張速度をより確実に遅くする観点、およびインク吐出ノズルの目詰まりを防止する観点から、ベタイン系化合物が好ましく、トリメチルグリシンがより好ましい。両性イオン化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられ、常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、例えば、トリメチルグリシンとして、アミノコート(旭化成ケミカルズ社製)を使用することもできる。
また、両性イオン化合物の分子量は100以上250以下であると好ましい。これにより、画像濃度むらをさらに効果的に抑制するとともに、記録した画像の発色性をより優れたものとすることができる。また、インクジェット用インクの吐出安定性をより優れたものとすることができる。その分子量が前記下限値未満であると、10℃以上40℃以下での粘度差が大きくなる傾向が強くなり、また、画像記録後の記録媒体が乾燥するのに伴い変形しカールが生じやすくなる傾向にある。一方で、その分子量が前記上限値を超えると、インクジェット用インク中のその化合物の添加量に対して、インクジェット用インクの粘度が増加しやすく、また、画像記録後の記録媒体にカール等の変形が生じた場合に、その記録媒体が完全に乾燥してもその変形が解消し難くなる傾向にある。
両性イオン化合物の含有量は、5質量%以上20質量%以下であるのが好ましく、7質量%以上15質量%以下であるのがより好ましい。これにより、画像濃度むらをより効率よく抑制するとともに、記録した画像の発色性をより優れたものとすることができる。また、画像記録後の記録媒体の膨張速度を効果的に抑制することができる。また、インクジェットにおけるインク吐出ノズルの目詰まりをより効果的に防止することができる。
[その他の成分]
本発明のインクジェット用インクは、上記成分の他、目詰まり適性、カール、コックリング適性、裏抜け適性、インクの温度による粘度特性のバランスを適正に保つという観点から、下記(X)および(Y)の保湿剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の保湿剤を含むことが好ましい。ここで(X)の保湿剤は、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であり、(Y)の保湿剤は、トリメチロールプロパンおよびトリメチロールエタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である。
なお、インクジェット用インクの10℃以上40℃以下の温度範囲における粘度は、インクに含まれる着色剤、保湿剤、溶剤等の持つ温度特性に影響を受ける。これらの中では特に保湿剤の影響が大きく、保湿剤の種類や添加量、含有比によっては、10℃での粘度がより上がりやすく、40℃での粘度がより下がりやすい。なお、本明細書中では、10℃以上40℃以下での粘度差がより少ないことを、インクジェット用インクの温度による粘度特性に優れると表記する。
(X)の保湿剤は、特に目詰まりの抑制に対して効果があり、また、カール、コックリングの抑制に対しても効果を合わせ持つ物質である。しかしながら、その優れた被記録媒体への浸透性から裏抜け適性には劣る物質である。上述の効果をより有効かつ確実に奏する観点から、(X)の保湿剤として、グリセリンおよびトリエチレングリコ−ルが好ましい。
(Y)の保湿剤は、特に目詰まりの抑制に対して効果があり、また、浸透抑制効果を持つため裏抜け適性に優れる物質である。それらの効果をより有効かつ確実に奏する観点から、(Y)の保湿剤として、トリメチロールプロパンが好ましい。
(X)および(Y)の保湿剤は、その物質のもつ10℃以上40℃以下での粘度差が大きいという特性のため、インクジェット用インク中の含有量が増えるに従って、温度による粘度特性に大きく影響し、インクジェット用インクも10℃以上40℃以下での粘度差が大きくなる。
本実施形態に係るインクジェット用インクが、両性イオン化合物に加えて、上記(X)および/または(Y)の保湿剤を含有する場合、カール適性、コックリング適性、裏抜け適性、目詰まり適性の観点から、上記両性イオン化合物、(X)および(Y)の合計の含有量は、インクジェット用インクの全体量に対して、10質量%以上40質量%以下であることが好ましい。
また、(X)および(Y)の保湿剤並びに両性イオン化合物について、含有量の質量比は、それらによる上記効果をバランス良く発揮させる観点から、(X)(Y)(両性イオン化合物)=(1.0):(0.1〜1.0):(1.0〜3.5)であるのが好ましい。
(X)の群から選ばれる保湿剤(「(X)の保湿剤」という。以下同様。)に対して、(Y)の保湿剤の質量比を上記よりも多くすると、カール適性およびコックリング適性が低下し、少なくすると、裏抜け適性が低下する。(X)の保湿剤に対して、両性イオン化合物の質量比を上記よりも多くすると、目詰まり適性が低下し、少なくすると、カール適性およびコックリング適性が低下する。
また、インクジェット用インクは、インクジェットヘッドのノズル近傍での目詰まり防止やインクの被記録媒体の浸透性や滲みを適度に制御したり、インクの乾燥性を付与する目的で、水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。水溶性有機溶剤は、上記観点から、1,2−アルカンジオール(炭素数が6以下)および/またはグリコールエーテルを含有することが好ましい。炭素数が6以下の1,2−アルカンジオールの具体的な例としては、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオールが挙げられる。また、グリコールエーテルの具体的な例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコ−ルモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテルが挙げられる。また、上記以外に、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなども水溶性有機溶剤として用いることができる。これらの水溶性有機溶剤は1種または2種以上を用いることができ、インクの適正な物性値(粘度等)の確保、印刷品質、信頼性の確保という観点で、インクジェット用インク中に1質量%以上50質量%以下含まれることが好ましい。
さらに、インクの被記録媒体の濡れ性を制御し、被記録媒体の浸透性やインクジェット記録方法における印字安定性を得るために、インクジェット用インクは表面張力調整剤を含有することが好ましい。表面張力調整剤としては、アセチレングリコール系界面活性剤やポリエーテル変性シロキサン類が好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤の例としては、サーフィノール420、440、465、485、104、STG(以上、エアープロダクツ社製、製品名)、オルフィンPD−001、SPC、E1004、E1010(以上、日信化学工業(秩)製、製品名)、アセチレノールE00、E40、E100、LH(以上、川研ファインケミカル(秩)製、製品名)が挙げられる。またポリエーテル変性シロキサン類としては、BYK−346、347、348、UV3530(ビックケミー社製品)などが挙げられる。これらは、インクジェット用インク中に1種または2種以上用いることができ、インクジェット用インクの表面張力を好ましくは20mN/m〜40mN/mに調整するよう含まれ、好ましくはインクジェット用インク中に0.1質量%以上3.0質量%以下含まれる。
また、本発明のインクジェット用インクは、必要に応じて、pH調整剤、錯化剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐・防カビ剤等を含んでいてもよい。pH調整剤としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水酸化アルカリおよび/またはアンモニア、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等のアルカノールアミンを用いることができる。特に、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミンから選択される少なくとも1種類のpH調整剤を含み、pH6から10に調整されることが好ましい。pHがこの範囲を外れると、インクジェット記録装置を構成する材料等の悪影響を与え、目詰まり回復性が劣化する傾向にある。また、錯化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸およびその塩(例えばナトリウム塩、アンモニウム塩)などのアミノポリカルボン酸が挙げられる。
上述したような本発明のインクジェット用インクを記録媒体上にインクジェット法により付与することにより得られた記録物は、発色性・耐擦過性に優れた画像を有するものとなる。
《インクジェット記録装置》
次に、上記インクジェット用インクに適用されるインクジェット記録装置(液滴吐出装置)の好適な実施形態について説明する。
図1は、インクジェット記録装置の一例を示す模式図である。
図1に示すように、記録装置としてのインクジェット記録装置100は、記録媒体101に、インクジェット用インクの液滴を吐出し画像を記録するためのインクジェットヘッドユニット190と、インクジェットヘッドユニット190に対向するように設けられたプラテン部120と、印刷前の記録媒体101を収納した収納カセット104と、収納カセット104から記録媒体101を給紙する給紙ローラ105と、記録媒体101を搬送するための一対の搬送ローラ(ゲートローラ)140と、記録媒体101を搬送して排出するための一対の第1排出ローラ150および一対の第2排出ローラ160と、印刷された記録媒体101を収納する排紙カセット106と、制御部111と、給紙される記録媒体101の位置検出を行う位置検出センサ109とを有している。
インクジェットヘッドユニット190は、印刷手段であり、インクの種類に対応した複数のインクジェットヘッドおよびそれらを搭載するキャリッジ(図示せず)を備えている。各インクジェットヘッドは、記録媒体101の幅方向にわたって全幅に対応する多数のインク吐出ノズルを各々配列している、いわゆるラインヘッドで構成されている。
プラテン部120は、記録媒体101を、その搬送面120Aに沿って搬送させるものである。プラテン部120の搬送面120Aは、インクジェットヘッドユニット190のインク吐出方向に垂直な平坦面である。搬送面120Aは、記録媒体101にインクジェット用インクが着弾する際に、その着弾方向に垂直な平面状態を維持できるような広さを有していれば、良好な画像形成を行うのに十分である。
また、給紙ローラ105は、収納カセット104内部の記録媒体101を搬送ローラ140へ送り出すためのローラであり、制御部111により駆動制御されるモータ118により駆動する。
搬送ローラ140は、搬送手段の一部であり、制御部111により駆動制御されるモータ116により駆動するローラユニットとしての駆動ローラ140Aと、駆動ローラ140Aに接触して従動する従動ローラ140Bとで構成されている。
第1排出ローラ150は、搬送手段の一部であり、制御部111により駆動制御されるモータ117により駆動するローラユニットとしての駆動ローラ150Aと、駆動ローラ150Aに接触して従動する従動ローラ150Bとで構成されている。
また、第2排出ローラ160は、搬送手段の一部であり、制御部111により駆動制御されるモータ119により駆動するローラユニットとしての駆動ローラ160Aと、駆動ローラ160Aに接触して従動する従動ローラ160Bとで構成されている。
制御部111は、印刷処理(記録処理)や各種処理を実行するCPU(Central、Processing Unit)、ホストコンピュータなどからインタフェイスを介して入力される印刷データ(記録データ)をデータ格納領域に格納するあるいは各種データを一時的に格納するRAM(Random Access Memory)、各部を制御する制御プログラム等を収納するPROM,EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)などを備えている。
位置検出センサ109は、例えば、発光素子の赤外発光ダイオードと受光素子のフォトトランジスタを組み合わせた反射型フォトセンサを用いる。位置検出センサ109は、給紙ローラ105と搬送ローラ140の間の用紙搬送部に配置され、搬送される記録媒体101の先端位置(記録媒体101の有無)を検出して、その検出信号は、制御部111に入力される。制御部111では、記録媒体101の先端位置の検出信号に基づいて搬送ローラ140の駆動制御処理が行われる。
記録媒体101は、制御部111からの駆動信号によりモータ116が駆動することにより回転する搬送ローラ140に到達し、記録媒体101先端が搬送ローラ140に接触することにより、記録媒体101の先端面および方向が整えられ、駆動ローラ140Aと従動ローラ140Bとの間に挟まれて紙送りされ、プラテン部120上に送り出される。そして、搬送ローラ140によってインクジェットヘッドユニット190下方の印刷領域に搬送された記録媒体101は、搬送ローラ140に挟持された状態で第1排出ローラ150まで到達する。このとき、制御部111からの駆動信号によりモータ117が駆動され駆動ローラ150Aが回転し、駆動ローラ150Aに接触して従動する従動ローラ150Bとの間に記録媒体101が挟まれて紙送りされる。このようにして、記録媒体101は、搬送ローラ140および第1排出ローラ150の両方に挟まれた状態で搬送移動されるとともに、記録媒体101の搬送方向と幅方向にそれぞれ張力が付与されながら、インクジェットヘッドユニット190のノズルからインク滴が吐出されて印刷データに基づく印刷が施される。
記録媒体101への印刷は、制御部111において、インタフェイスを介してホストコンピュータから入手し、RAMに格納された印刷データを、CPUにおいて所定の処理を実行して、この処理データに基づいてヘッドドライバに駆動信号が出力され、ヘッドドライバを介して駆動信号がインクジェットヘッドユニット190に入力され、駆動信号が入力された静電アクチュエータの駆動により、これに対応するノズルから、記録媒体101にインクが吐出されて印刷データに基づく画像の印刷(記録)が行われる。
なお、記録媒体101への印刷は、上記静電アクチュエータを用いた静電吸引方式に限定されない。すなわち、本実施形態におけるインクジェット記録方式は、インクジェット用インクを微細なノズルより液滴として吐出して、その液滴を記録媒体に着弾、付着させる方式であればよい。具体的には以下に説明する。
第一の方法としては、静電吸引方式があり、この方式はノズルとノズルの前方に置いた加速電極の間に強電界を印加し、ノズルからインクを液滴状で連続的に噴射させ、その液滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記録する方法、あるいは、インクの液滴を偏向することなく印刷情報に対応して噴出させる方式である。
第二の方法としては、小型ポンプで液状のインクジェット用インクに圧力を加え、ノズルを水晶振動子等で機械的に振動させることにより、強制的にインクの液滴を噴射させる方式である。噴射された液滴は、噴射と同時に帯電させ、その液滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記録する。
第三の方法としては、圧電素子を用いる方式であり、液状のインクジェット用インクに圧電素子で圧力と印刷情報とを同時に加え、インクの液滴を噴射・記録させる方式である。
第四の方法としては、熱エネルギーの作用により液状のインクジェット用インクを急激に体積膨張させる方式であり、インクジェット用インクを印刷情報信号にしたがって微小電極で加熱発泡させ、その液滴を噴射・記録させる方式である。
以上いずれの方式も本実施形態のインクジェット記録装置に採用することができる。
印刷が行われた記録媒体101は、搬送ローラ140および第1排出ロ一ラ150により紙送りされる。
その後、第1排出ローラ150を通過し終えた後は、第2排出ローラ160のみによって紙送りされ、排紙カセット106に収納される。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
[1]顔料分散液及び結晶性ポリオレフィン樹脂エマルジョン
ブラック顔料分散液1の調製
市販のカーボンブラックであるMA600(三菱化学社製)500gをイオン交換水3750gに加え、ディゾルバーで攪拌しながら、50℃まで昇温した。その後、直径0.8mmのジルコニアビーズを用いたサンドミルにより、粉砕しながらこれに、次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素濃度=12%)の水溶液5300gを50〜60℃で3.5時間かけて滴下した。引き続きサンドミルにより30分間粉砕し続け、改質カーボンブラックが含まれている反応液を得た。この反応液を400メッシュの金網で濾過し、ジルコニアビーズ及び未反応カーボンブラックと、反応液とを分別した。分別して得た反応液に、水酸化カリウム5%水溶液を加えて、pH=7.5に調整した。液の電導度が1.5mS/cmになるまで限外濾過膜により、脱塩及び精製を行なった。電気透析装置を用いて液の電導度が1.0mS/cmになるまでさらに脱塩及び精製を行った。その液を、カーボンブラック濃度が22質量%になるまで濃縮した。この濃縮液を、連続遠心分離機により遠心力15000G、流量200ml/minの条件で処理し、さらに1μm、0.6μm、0.3μmのフィルターで3段階の濾過処理を行った。得られた濾液にイオン交換水を加え、カーボンブラック固形分濃度が20質量%になるまで希釈し、分散させて、ブラック顔料分散液1を得た。
ブラック顔料分散液2の調製
顔料としてMA600に代えて市販のカーボンブラックであるColor Black S170(デグサヒュルス社製)を用いた点以外は、前記ブラック顔料分散液1と同様に調製し、カーボンブラック固形分濃度が20質量%のブラック顔料分散液2を得た。
ブラック顔料分散液3の調製
顔料としてMA600に代えて市販のカーボンブラックである#44(三菱化学社製)を用いた点以外は、前記ブラック顔料分散液1と同様に調製し、カーボンブラック固形分濃度が20質量%のブラック顔料分散液3を得た。
イエロー顔料分散液の調製
有機溶媒(メチルエチルケトン)20重量部、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03重量部、重合開始剤、表1に示す各モノマーを用い、窒素ガス置換を十分に行った反応容器内に入れて75℃攪拌下で重合し、モノマー成分100重量部に対してメチルエチルケトン40重量部に溶解した2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル0.9重量部を加え、80℃で1時間熟成させ、ポリマー溶液を得た。
Figure 2013234226
得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られた5部をメチルエチルケトン15部に溶かし、水酸化ナトリウム水溶液を用いてポリマーを中和した。さらに、C.I.ピグメントイエロー74を15部加え、水を加えながら分散機で混練した。
得られた混練物にイオン交換水100部を加え攪拌した後、減圧下、60℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、固形分濃度が20質量%のイエロー顔料分散液を得た。
イエロー顔料分散液の顔料の平均粒径をMicrotrac UPA150(Microtrac社製)の粒度分布測定により測定したところ、100nmであった。
マゼンタ顔料分散液
イエロー顔料分散液において、C.I.ピグメントイエロー74の代わりにC.I.ピグメントレッド122を用いた以外はイエロー顔料分散液と同様にして、固形分濃度が20質量%のマゼンタ顔料分散液を得た。
マゼンタ分散液の顔料の平均粒径をMicrotrac UPA150(Microtrac社製)の粒度分布測定により測定したところ、140nmであった。
シアン顔料分散液
イエロー顔料分散液において、C.I.ピグメントイエロー74の代わりにC.I.ピグメントブルー15:4を用いた以外はイエロー顔料分散液と同様にして、固形分濃度が20質量%のシアン顔料分散液を得た。
シアン分散液の顔料の平均粒径をMicrotrac UPA150(Microtrac社製)の粒度分布測定により測定したところ、80nmであった。
結晶性ポリオレフィン樹脂エマルジョンの調製
ポリエチレンワックス(三井ハイワックス210P、三井化学社製)40g、マレイン酸変性ポリエチレンワックス(三井ハイワックス1105A、三井化学社製)60g、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(エマルゲン1108、花王社製、HLB値13.5)10gを混合し、160℃で加熱しながら2時間の加熱攪拌を溶融ドラムで行い、前駆体液を得た。その後、ギアポンプを用いて、水酸化カリウム1質量%水溶液を1800g/時間、140℃に保持し溶融状態とした前駆体液を1200g/時間の速度にて耐圧ホモミキサー(ホモミクサーMARKII:特殊機化社製)に供給し、8000rpmで撹拌しながら、固形分濃度が36質量%の結晶性ポリオレフィン樹脂エマルジョンを得た。
結晶性ポリオレフィン樹脂エマルジョンの平均粒径をMicrotrac UPA150(Microtrac社製)の粒度分布測定により測定したところ、160nmであった。
[2]インクジェット用インク
(実施例1〜11、比較例1〜7)
表2に示すような組成のインクジェット用インクを常法により製造し用意した。
なお、表1中、ブラック顔料分散液1をB1、ブラック顔料分散液2をB2、ブラック顔料分散液3をB3、イエロー顔料分散液をY、マゼンタ顔料分散液をM、シアン顔料分散液をCと示した。
また、各インクジェット用インクを、Anton Paar社製の粘弾性測定装置(商品名「Physica MCR301」)に装着されたコーンプレート(直径75mm、角度1°)に充填して、20℃における剪断速度(10〜1000s−1)に対する剪断粘度を測定した。剪断速度200[s−1]における剪断粘度を、本実施例における剪断粘度として表1に示した。また、乾燥によって25%質量が減少した各インクジェット用インクの剪断粘度も上記と同様にして測定した。
さらに、剪断速度に対する剪断粘度の変化率からTIを導出し、上記のようにして測定した値をCasson式に当てはめて、降伏値(製造直後および25%乾燥時)を求め、表2に示した。
Figure 2013234226
[3]評価
[3.1]記録面のOD値(発色性1)の評価
図1に示すようなインクジェット記録装置に、各実施例および各比較例をセットした。
その後、記録媒体としての普通紙(Xerox−P紙)にベタ印刷を行った。
印刷したベタ画像のOD値をグレタグ濃度計(グレタグマクベス社製)を用いて5回(5箇所で)測定した。そして、各実施例および各比較例のインクジェット用インクごとの相加平均値を求め、算出した平均OD値につき、以下の判断基準で光学濃度値(OD値)を評価した。
A :OD値が1.35以上である。
B :OD値が1.3以上1.35未満である。
C :OD値が1.25以上1.3未満である(許容できる)。
D :OD値が1.25未満である(許容できない)。
[3.2]裏面のOD値(発色性2)の評価
上記[3.2]でベタ画像を印刷した面の反対面(裏面)のOD値をグレタグ濃度計(グレタグマクベス社製)を用いて5回(5箇所で)測定した。そして、各実施例および各比較例のインクジェット用インクごとの相加平均値を求め、算出した平均OD値につき、以下の判断基準で光学濃度値(OD値)を評価した。
A :OD値が0.2未満である。
B :OD値が0.2以上0.23未満である。
C :OD値が0.23以上0.26未満である(許容できる)。
D :OD値が0.26以上である(許容できない)。
[3.3]吐出安定性1の評価
図1に示すようなインクジェット記録装置に、各実施例および各比較例をセットした。
その後、10分連続して印字を行い、その後のノズル抜け数を確認し、以下の基準に従い評価した。
A :抜けノズルの数 50本以下
B :抜けノズルの数 51本以上100本以下
C :抜けノズルの数 101本以上150本以下
D :抜けノズルの数 151本以上
[3.4]吐出安定性2の評価
図1に示すようなインクジェット記録装置に、各実施例および各比較例をセットし、印字を行った。
その後、40℃の環境に1週間放置し、印字を再開した際に、ノズルが完全に回復するクリーニング回数を確認し、以下の基準に従い評価した。
A :クリーニング3回以内で回復。
B :クリーニング4回以上5回以下で回復。
C :クリーニング6回以上7回以下で回復。
D :8回以上クリーニングを行っても回復しない。
[3.5]布擦り試験(定着性評価)
調製した各インク組成物を、インクジェットプリンタPX−A550(セイコーエプソン社製)に充填し、ビジネスインクジェットプリンタ用コート紙(セイコーエプソン社性)にベタ印刷を行い、5分間放置した。得られたサンプルの印刷部を布で擦り、印刷面の状態と布に付着したインクを目視で観察した。その結果を以下の基準に基づいて評価した。
A :布擦りによる摺擦痕が全く認められない。
B :摺擦痕が認められるが、布表面に汚れが認められない。
C :摺擦痕が認められ、布表面に汚れが僅かに認められる(許容できる)。
D :摺擦痕が認められ、布表面に汚れが多量に認められる(許容できない)。
これらの結果を表3に示した。
Figure 2013234226
表3から明らかなように、本発明のインクジェット用インクでは、発色性に優れた画像を記録することが可能であった。また、本発明のインクジェット用インクは、吐出安定性に優れていた。また、本発明のインクジェット用インクで記録した画像は、定着性にも優れていた。これに対して、各比較例では、満足の行く結果が得られなかった。
100…インクジェット記録装置 101…記録媒体 104…収納カセット 105…給紙ローラ 106…排紙カセット 109…位置検出センサ 110…インクジェットヘッド 111…制御部 116、117、118、119…モータ 120…プラテン部 120A…搬送面 140…搬送ローラ 140A…駆動ローラ 140B…従動ローラ 150…第1排出ローラ 150A…駆動ローラ 150B…従動ローラ 160…第2排出ローラ 160A…駆動ローラ 160B…従動ローラ 190…インクジェットヘッドユニット

Claims (8)

  1. 顔料と、炭素数が7以上10以下のアルカンジオールと、結晶性ポリオレフィン樹脂と、水と、を含み、
    前記顔料の含有量が、6質量%以上であり、
    20℃におけるCasson降伏値が1.0mPa以下、かつ、20℃における剪断粘度が9.0mPa・s以下であり、
    乾燥により25%質量が減じた時の20℃におけるCasson降伏値が10mPa以下であることを特徴とするインクジェット用インク。
  2. 前記顔料の含有量をA[質量%]、前記アルカンジオールの含有量をB[質量%]としたとき、0.02≦B/A≦0.2の関係を満足する請求項1に記載のインクジェット用インク。
  3. 前記顔料の含有量をA[質量%]、前記結晶性ポリオレフィン樹脂の含有量をC[質量%]としたとき、0.02≦C/A≦0.2の関係を満足する請求項1または2に記載のインクジェット用インク。
  4. 前記水の含有量は、10質量%以上65質量%以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインクジェット用インク。
  5. 両性イオン化合物をさらに含む請求項1ないし4のいずれか1項に記載のインクジェット用インク。
  6. 前記両性イオン化合物は、分子量100以上250以下のベタイン系化合物である請求項5に記載のインクジェット用インク。
  7. 前記両性イオン化合物の含有量は、5質量%以上20質量%以下である請求項5または6に記載のインクジェット用インク。
  8. 記録媒体上に、請求項1ないし7のいずれかに記載のインクジェット用インクをインクジェット法により付与することにより得られたことを特徴とする記録物。
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