JP2018031022A - インクジェット用インク、インク収容容器、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及び記録物 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、前記インクジェット記録方式に用いられ、耐擦過性を有する画像を得ることができるインクジェット用インクには、記録ヘッド部においてインクの固着が発生しやすく、耐擦過性と吐出安定性との両立が困難であるという問題がある。
また、水不溶性の着色剤、樹脂粒子、シリコーン系界面活性剤、水等を含有し、前記樹脂粒子が、樹脂定着粒子と、ワックス粒子とを含有する水性インク組成物を用いたインクジェット記録方式の印刷方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、顔料と、第1ワックス粒子と、第2ワックス粒子と、樹脂エマルジョンとを含み、前記第1ワックス粒子がポリエチレンワックス粒子又はポリプロピレンワックス粒子からなる群より選ばれる1種以上のワックス粒子を含み、前記第2ワックス粒子がポリエチレンワックス粒子を含むインク組成物が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
またさらに、ポリウレタン樹脂とポリオレフィンワックスとを含有するインクのインクジェット記録用インクセットが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
本発明のインクジェット用インク(以下、「インク」とも称することがある)は、有機溶剤、水、色材、及びポリエチレンワックスを含むインクジェット用インクであって、JIS K2235に準拠して測定した前記ポリエチレンワックスの針入度が、1.2以下であり、更に必要に応じて、樹脂粒子、その他の成分を含む。
インクジェット用インク中にポリエチレンワックスを含有し、耐擦過性を向上させることは公知であるが、ポリエチレンワックスの含有量を一定量以上にしないと、耐擦過性の効果が得られず、また、効果が得られる含有量では、得られる画像の濃度や光沢が下がることによる画質の低下、さらに、吐出安定性の低下、及びインクの保存安定性の低下などの問題があった。しかし、前記ポリエチレンワックスにおいて、高硬度のポリエチレンワックスを用いることにより、少ない含有量でも耐擦過性の効果が十分に得られ、また、前記問題がほとんどなく、吐出安定性、良好なインク品質、及び画像品質が得られることを知見した。
前記ポリエチレンワックスは、一般的に密度や結晶化度が高いほど硬いことが知られており、構造を変えることによって密度や結晶化度を変えることができる。前記ポリエチレンワックスは、分子鎖が直鎖であるほど高密度、かつ高結晶化度となって高硬度となり、分子鎖に分岐鎖が多くなると、密度や結晶化度が下がり、低硬度となる。
従来のインクに用いられているポリエチレンワックスでは、本発明に用いるポリエチレンワックスの硬度より低く、本発明で得られるような効果が得られていなかったが、ポリエチレンワックスの硬度を本発明における針入度の範囲とすることにより、上記のようなこれまでにない効果を得ることができることを知見した。
前記ポリエチレンワックスは、本発明のインクジェット用インクにより形成された画像(インク膜)表面の動摩擦係数を低減することができ、画像の耐擦過性を向上することができる。
JIS K2235に準拠して測定した前記ポリエチレンワックスの針入度としては、1.2以下であり、0.30以上1.2以下が好ましく、0.30以上1.0以下がより好ましく、0.50以上1.0以下がさらに好ましく、0.50以上0.95以下が特に好ましい。前記針入度が、1.2以下であると、前記ポリエチレンワックスの少ない添加量で飛躍的に耐擦過性を向上でき、また、吐出安定性、インクの保存安定性、画像濃度、及び光沢性への副作用を少なくすることができる。前記針入度は、一定の力を加えたときに針を押し込める長さを表しており、低い値であるほど硬いことを表す。
前記針入度の測定方法に用いられる針入度計としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、自動針入度試験機(装置名:RPM−201、株式会社離合社製)などを用いて、以下のようにして測定することができる。
測定試料としてポリエチレンワックスエマルジョンを70℃にて乾燥させた乾燥物100gをパンに入れ、融点より20℃高い温度で溶融した後、自然冷却により固化して固化物を得る。このとき、測定試料の表面が平滑であることを確認する。固化した後、パンから取り出し、パンに接していた面を針で刺せるようにサンプル(固化物)を試験機にセットする。前記サンプル(固化物)に対して、25℃環境下にて、50gのおもりを付けた針を用いて5秒間押し込み、針入度を測定することができる。前記測定に用いる針としては、円錐型のステンレスであり、針の表面粗さは0.2μm以下である。また、投影図において、円錐の先端部は9°の角度であり、針の重さは2.5gである。
前記ポリエチレンワックスのマルテンス硬度としては、50N/mm2以上が好ましく、50N/mm2以上100N/mm2以下がより好ましい。前記マルテンス硬度が、50N/mm2以上であると、前記ワックスの少ない添加量で飛躍的に耐擦過性を向上でき、また、吐出安定性、インクの保存安定性、画像濃度、及び光沢性への副作用を少なくすることができる。前記マルテンス硬度は、負荷した試験力F(N)とくぼみの表面積A(mm2)との商と定義され、大きい値であるほど硬いことを表す。
前記ポリエチレンワックスの発熱ピークとしては、示差走査熱量測定(DSC)において、100℃以上130℃以下の範囲に有することが好ましい。
前記ポリエチレンワックスの発熱ピークのピーク面積としては、示差走査熱量測定(DSC)において、200J/g以上300J/g以下が好ましい。
本発明のインクジェット用インクに用いるポリエチレンワックスは、密度及び結晶化度が高いため、吸熱ピーク、発熱ピーク、及び発熱ピークのピーク面積は、上記範囲となる。
これらの中でも、119℃以上129℃以下の範囲に吸熱ピーク及び107℃以上117℃以下の範囲に発熱ピークを有し、発熱ピークのピーク面積が、230J/g以上270J/g以下;107℃以上117℃以下の範囲に吸熱ピーク及び100℃以上110℃以下の範囲に発熱ピークを有し、発熱ピークのピーク面積が、205J/g以上245J/g以下が好ましく、119℃以上129℃以下の範囲に吸熱ピーク及び107℃以上117℃以下の範囲に発熱ピークを有し、発熱ピークのピーク面積が、230J/g以上270J/g以下がより好ましい。
前記ポリエチレンワックスを測定する場合は、前記ポリエチレンワックスのエマルジョンを直径3cmのシャーレに3mL滴下し、70℃の恒温槽を用いて5時間乾燥させ、乾燥したポリエチレンワックス(サンプル)を10mg取り、試料パンに入れる。またAl2O3の粉末を10mg試料パンに入れたものをリファレンスとする。サンプル及びリファレンスを測定セルの中にセットし、25℃〜100℃まで10℃/min、100℃〜170℃まで5℃/minにて昇温し、170℃〜100℃まで5℃/min、100℃〜25℃まで10℃/minにて降温することで測定することができる。
また、インクジェット用インクの固形物を測定する場合も同様に、直径3cmのシャーレにインクジェット用インクを3mL滴下し、70℃の恒温槽を用いて5時間乾燥させ、乾燥したインクジェット用インクを作製し、ポリエチレンワックスを測定するときと同様に測定することができる。
また、高速連帳機のようなシステムでは一般的に画像を乾燥させる工程が含まれるが、その際の乾燥温度よりポリエチレンワックスの融点が10℃以上高いことが好ましい。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(マイクロトラック MODEL UPA9340、日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
本発明に使用する有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N-ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N-ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましく、1.2−プロパンジオールを含むことがより好ましい。
前記ポリエチレンワックスは、保湿条件化において、より耐擦過性を向上でき、乾燥した条件化では低下する性質があるが、1,2−プロパンジオールと共存することによって保湿性を確保できることから、乾燥した条件下においても耐擦過性の低下を防ぐことが可能となる。
前記1,2−プロパンジオールとの共存による耐擦過性効果が得られる条件としては、湿度40%以下が好ましく、湿度10%以上20%以下がより好ましい。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
前記totHSP値は、商品名:HSPiP等のソフトウエアにより算出することができる。
前記HSP値の極性項(δP)としては、6MPa1/2以上14MPa1/2以下が好ましく、6MPa1/2以上11MPa1/2以下がより好ましい。
前記HSP値の水素結合項(δH)としては、6MPa1/2以上25MPa1/2以下が好ましく、6MPa1/2以上13MPa1/2以下がより好ましい。
インク中に含有する樹脂粒子の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、酢酸ビニル系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、ブタジエン系樹脂粒子、スチレン−ブタジエン系樹脂粒子、塩化ビニル系樹脂粒子、アクリルスチレン系樹脂粒子、アクリルシリコーン樹脂粒子などが挙げられる。
前記樹脂粒子としては、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態にて、色材や有機溶剤等の材料と混合してインクを得ることが可能である。
前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ウレタン樹脂粒子としては、例えば、ポリカーボネートウレタン樹脂粒子、ポリエステルウレタン樹脂粒子、ポリエーテルウレタン樹脂粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐擦過性及び保存安定性の点から、ポリカーボネートウレタン樹脂粒子が好ましい。なお、前記ポリカーボネートウレタン樹脂粒子とは、その構造中にポリカーボネート構造を有していればよく、ポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子も含む意味である。
前記マルテンス硬度としては、樹脂粒子液をスライドガラス(商品名:白板ガラスS111、松浪硝子工業株式会社製)等の支持体の上に10μm以上の平均厚みとなるように塗膜し、60℃で、3時間予備乾燥した後に、100℃で、6時間乾燥させて樹脂膜を得る。得られた樹脂膜を、微小硬度計(装置名:HM−2000、株式会社フィシャー・インストルメンツ製)を用いて、ビッカース圧子が1.0mNの力により10秒間にて押し込み、5秒間保持した後、1.0mNの力により10秒間にて抜くことで計測することができる。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記ウレタン樹脂粒子の含有量としては、インクジェット用インク全量に対して、1質量%以上16質量%以下が好ましく、1質量%以上10質量%以下がより好ましく、1質量%以上4質量%以下が特に好ましい。
色材としては特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。また、混晶を使用しても良い。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性の良いものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料があげられる。
さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等がある。
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加し水中に分散可能とした自己分散顔料等が使用できる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能なものを用いることができる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。
竹本油脂社製RT−100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
顔料に、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを得ることが可能である。また、顔料と、その他水や分散剤などを混合して顔料分散体としたものに、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを製造することも可能である。
前記顔料分散体は、水、顔料、顔料分散剤、必要に応じてその他の成分を分散し、粒径を調整して得られる。分散は分散機を用いると良い。
顔料分散体における顔料の粒径については特に制限はないが、顔料の分散安定性が良好となり、吐出安定性、画像濃度などの画像品質も高くなる点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上500nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。顔料の粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記顔料分散体における顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な吐出安定性が得られ、また、画像濃度を高める点から、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
前記顔料分散体は、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
前記樹脂粒子の含有量(質量%)と、前記色材の含有量(質量%)との質量比(樹脂粒子/色材)としては、耐擦過性及び吐出安定性の点から、0.5以上3.0以下が好ましく、0.6以上3.0以下がより好ましい。
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%〜60質量%がより好ましい。
前記インクの固形物の前記発熱ピークのピーク面積としては、0J/g超40J/g以下であり、5J/g以上30J/g以下が好ましい。
前記水は、上記において説明した水と同様のものを用いることができる。
前記色材は、上記において説明した色材と同様のものを用いることができる。
前記インクジェット用インクの付着量が1.12mg/cm2(700mg/A4)であるインク膜の動摩擦係数としては、0.35以下であり、0.20以上0.35以下が好ましい。前記動摩擦係数が、0.35以下であると、すべり性が向上し、画像が破壊しにくくなる。また、この効果は本発明に用いるポリエチレンワックスであれば少ない添加量で前述の動摩擦係数を達成することができるため、吐出安定性やインクの保存安定性、画像品質などの副作用がなく、画像の定着性を飛躍的に向上させることができる。
前記動摩擦係数は、装置としてはHEIDON TYPE14DR(新東科学株式会社製)を用いて測定することができる。また、前記記録媒体としては、商品名:Lumi Art Gloss 130gsm(Stora Enso社製)を用いることができる。
前記インクジェット用インクを乾燥させて固化した固形物、又は記録後に得られるインク膜(画像)としては、示差走査熱量測定(DSC)において、100℃以上130℃以下の範囲に吸熱ピーク及び発熱ピークを有し、前記発熱ピークのピーク面積が、0J/g超40J/g以下である。
これらの中でも、示差走査熱量測定(DSC)において、119℃以上129℃以下の範囲に吸熱ピーク及び107℃以上117℃以下の範囲に発熱ピークを有すること;107℃以上117℃以下の範囲に吸熱ピーク及び100℃以上110℃以下の範囲に発熱ピークを有することが好ましい。
前記インクジェット用インクを乾燥させて固化した固形物は、例えば、直径3cmのシャーレにインク3mL滴下し、70℃の恒温槽で5時間乾燥させて作製することができる。また、前記インク膜は、記録後に得られるインク膜(画像)を剃刀でそぎ落とすことにより記録媒体から剥離させて採取できる。
前記吸熱ピーク、前記発熱ピーク、及び発熱ピークのピーク面積の測定方法は、ポリエチレンワックスの測定方法と同様にして測定することができる。
前記インクジェット用インクを乾燥させて固化した固形物、又は記録後に得られるインク膜(画像)におけるDSCの発熱ピークのピーク面積としては、ポリエチレンワックス単独での発熱ピークのピーク面積に、インク固形分に対するポリエチレンワックス含有量を掛けた値とほぼ同じである。
前記針入度が1.2より大きいポリエチレンワックス単独の発熱ピークのピーク面積は、本発明のインクジェット用インクにおけるポリエチレンワックスの発熱ピークのピーク面積よりも小さいが、インク固形分濃度に対するポリエチレンワックスの含有量を多くしなければ動摩擦係数が0.35以下にならず、前記動摩擦係数が0.35以下となる場合の発熱ピークのピーク面積は、40J/gより大きくなる。
本発明のインクジェット用インクに用いられるポリエチレンワックスであれば、含有量が非常に少なくしても動摩擦係数を0.35以下とすることができ、耐擦過性を大きく向上することができるとともに、ポリエチレンワックスを含有することによる保存安定性や吐出安定性等が悪化するなどの副作用を回避することができる。
インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S−1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
(但し、一般式(S−1)式中、m、n、a、及びbは整数を表わす。R及びR’はアルキル基、アルキレン基を表わす。)
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(信越化学工業株式会社)、EMALEX−SS−5602、SS−1906EX(日本エマルジョン株式会社)、FZ−2105、FZ−2118、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK−33、BYK−387(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社)などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。 これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、特に一般式(F−1)及び一般式(F−2)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。
上記一般式(F−1)で表される化合物において、水溶性を付与するためにmは0〜10の整数が好ましく、nは0〜40の整数が好ましい。
一般式(F−2)
CnF2n+1−CH2CH(OH)CH2−O−(CH2CH2O)a−Y
上記一般式(F−2)で表される化合物において、YはH、又はCnF2n+1でnは1〜6の整数、又はCH2CH(OH)CH2−CnF2n+1でnは4〜6の整数、又はCpH2p+1でpは1〜19の整数である。aは4〜14の整数である。
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。この市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR(いずれも、DuPont社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF−136A,PF−156A、PF−151N、PF−154、PF−159(オムノバ社製)、ユニダインDSN−403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Du Pont社製のFS−300、株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF−151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN−403Nが特に好ましい。
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE−80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。
前記インクジェット用インクの製造方法としては、例えば、前記水、前記有機溶剤、前記色材、前記ポリエチレンワックス、及び必要に応じて、前記樹脂粒子、前記添加物を、撹拌混合することにより製造することができる。前記撹拌混合としては、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシェイカー、超音波分散機、通常の撹拌羽を用いた撹拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機などを用いることができる。
記録に用いる記録媒体としては、特に限定されないが、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷紙等が挙げられる。
本発明のインク記録物は、記録媒体上に、本発明のインクを用いて形成された画像を有してなる。
インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により記録して記録物とすることができる。
本発明の記録物は、本発明のインクジェット用インクを用いて画像(インク膜)を記録することにより好適に得ることができる。
前記吸熱ピーク、前記発熱ピーク、及び発熱ピークのピーク面積の測定方法は、ポリエチレンワックスの測定方法と同様にして測定することができる。
前記動摩擦係数は、装置としてはHEIDON TYPE14DR(新東科学株式会社製)を用いて測定することができる。
前記インク膜の前記発熱ピークのピーク面積としては、0J/g超40J/g以下であり、5J/g以上30J/g以下が好ましい。
本発明のインク収容容器は、本発明のインクジェット用インクを容器中に収容してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材を有してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク袋などを少なくとも有するものなどが好適に挙げられる。
本発明のインクは、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
本発明において、記録装置、記録方法とは、記録媒体に対してインクや各種処理液等を吐出することが可能な装置、当該装置を用いて記録を行う方法である。記録媒体とは、インクや各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。
この記録装置には、インクを吐出するヘッド部分だけでなく、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
記録装置、記録方法は、加熱工程に用いる加熱手段、乾燥工程に用いる乾燥手段を有しても良い。加熱手段、乾燥手段には、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれる。加熱手段、乾燥手段としては、特に限定されないが、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターを用いることができる。加熱、乾燥は、印字前、印字中、印字後などに行うことができる。
また、記録装置、記録方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。
また、記録装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
更に、この記録装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の記録装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
記録装置の一例について図1乃至図2を参照して説明する。図1は同装置の斜視説明図である。図2はメインタンクの斜視説明図である。記録装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y)の各インク収容部411は、例えばアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。インク収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側にはカートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へインクを吐出可能となる。
前処理装置、後処理装置の一態様として、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)などのインクの場合と同様に、前処理液や、後処理液を有する液体収容部と液体吐出ヘッドを追加し、前処理液や、後処理液をインクジェット記録方式で吐出する態様がある。
前処理装置、後処理装置の他の態様として、インクジェット記録方式以外の、例えば、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法による前処理装置、後処理装置を設ける態様がある。
立体造形物を造形するための立体造形装置は、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、インクの収容手段、供給手段、吐出手段や乾燥手段等を備えるものを使用することができる。立体造形物には、インクを重ね塗りするなどして得られる立体造形物が含まれる。また、記録媒体等の基材上にインクを付与した構造体を加工してなる成形加工品も含まれる。前記成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された記録物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形する用途に好適に使用される。
前記ワックスの針入度は、JIS K2235に準拠して測定した。針入度計は、自動針入度試験機(装置名:RPM−201、株式会社離合社製)を用いた。
測定試料としてワックスエマルジョンを70℃にて乾燥させた乾燥物100gをパンに入れ、融点より20℃高い温度で溶融した後、自然冷却により固化して固化物を得た。このとき、測定試料の表面が平滑であることを確認した。固化した後、パンから取り出し、パンに接していた面を針で刺せるようにサンプル(固化物)を試験機にセットした。前記サンプル(固化物)に対して、25℃環境下にて、50gのおもりを付けた針を用いて5秒間押し込み、針入度を測定した。前記測定に用いる針としては、円錐型のステンレスであり、針の表面粗さは0.2μm以下である。また、投影図において、円錐の先端部は9°の角度であり、針の重さは2.5gである。
前記ポリエチレンワックスのマルテンス硬度は、ポリエチレンワックスをスライドガラス(商品名:白板ガラスS1111、松浪硝子工業株式会社製)の上に10μm以上の平均厚みとなるように塗布し、60℃にて、3時間予備乾燥した後に、100℃にて、6時間乾燥させ樹脂膜を得た。得られた樹脂膜を、微小硬度計(装置名:HM−2000、株式会社フィシャー・インストルメンツ製)を用いて、ビッカース圧子が1.0mNの力により10秒間にて押し込み、5秒間保持した後、1.0mNの力により10秒間にて抜くことにより計測した。測定は、温度23℃、湿度55%RHにて行った。
前記ワックス及び前記インクジェット用インクの固形物の示差走査熱量測定(DSC)は、高感度示差走査熱量計(装置名:Thermo plus EV02、株式会社リガク製)を用いて以下のようにして行った。
ワックスを測定する場合は、ポリエチレンワックスのエマルジョンを直径3cmのシャーレにインクを3mL滴下し、70℃の恒温槽を用いて5時間乾燥させ、乾燥したポリエチレンワックス(サンプル)を10mg取り、試料パンに入れた。また、Al2O3の粉末を10mg試料パンに入れたものをリファレンスとした。サンプル及びリファレンスを測定セルの中にセットし、25℃〜100℃まで10℃/min、100℃〜170℃まで5℃/minで昇温し、170℃〜100℃まで5℃/min、100℃〜25℃まで10℃/minで降温することで測定した。
前記発熱ピークのピーク面積としては、高感度示差走査熱量計(装置名:Thermo plus EV02、株式会社リガク製)の解析ソフトを用いて、発熱のピーク位置とベースとなる2点を選択し、ソフトにより面積を算出した。前記発熱ピークとしては、100℃以上130℃以下の範囲における極大値とし、ベースとなる2点としては、前記極大値のピーク温度の、+20℃の間での最小値の温度と、−20℃の間での最小値の温度と、を取った。
また、インクジェット用インクの固形物を測定する場合も同様に、直径3cmのシャーレにインクを3mL滴下し、70℃の恒温槽を用いて5時間乾燥させ、乾燥したインクを作製し、ポリエチレンワックスを測定するときと同様に測定した。
なお、ワックスの示差走査熱量測定における吸熱ピーク及び発熱ピークの位置と、インクジェット用インクの固形物の示差走査熱量測定における吸熱ピーク及び発熱ピークの位置とは、同一であった。
記録後に得られるインク膜(画像)を剃刀でそぎ落とすことにより記録媒体から剥離させて採取したインクジェット用インクの固形物の熱分解ガスクロマトグラフィー(Py−GC−MS)は、熱分析装置(装置名:Py−3030D、フロンティア・ラボ株式会社製)、GC分析装置(装置名:7890B、アジレント・テクノロジー株式会社製)、MS分析装置(装置名:Q1500、日本電子株式会社製)を直結した一連の装置を用いて以下のようにして行った。
熱分解は、熱分析装置(装置名:Py−3030D、フロンティア・ラボ株式会社製)を用いて、加熱温度180℃、熱分解温度600℃にて行った。ガスクロマトグラフィーで使用するカラムは、UltraALLOY+5(長さ:30.0m、内計:0.25mm、膜厚:0.25μm、フロンティア・ラボ株式会社製)を用いて、温度条件は、50℃で2分間保持し、50℃から280℃へ昇温(昇温速度20℃/分間)し、280℃で、11.5分間保持した。質量分析は、装置名:Q1500(日本電子株式会社製)を用いた。質量分析測定条件は、70eVの電子衝撃型イオン化法(EI法)にて、質量測定範囲:m/z=20〜800(m:質量、z:電荷)にて行った。データ解析は、前記Py−GC−MSで得られたスペクトルをデータ解析ソフト(米国国立標準技術研究所(NIST)社製)と照合することによって定性分析した。
<シアン顔料分散体の作製>
特開2012−207202号公報の〔顔料表面改質処理〕の−方法A−に記載の方法と同様にして、シアン顔料分散体を得た。
具体的には、C.I.ピグメントブルー15:3(商品名:クロモファインブルー、大日精化工業株式会社製)20g、下記構造式(5)の化合物20mmol、及びイオン交換水200mLを、室温環境下、Silversonミキサー(6,000rpm(0.6質量%))で混合してスラリーを得る。得られたスラリーのpHが4より高い場合は、硝酸20mmolを添加する。30分間後に、少量のイオン交換水に溶解された亜硝酸ナトリウム(20mmol)を上記スラリーにゆっくりと添加した。更に、撹拌しながら60℃に加温し、1時間反応させて、前記C.I.ピグメントブルー15:3表面に下記構造式(5)の化合物を付加した改質顔料を得た。次いで、NaOH水溶液によりpH10に調整することにより、30分間後に改質顔料分散体を得た。前記改質顔料分散体とイオン交換水とを用いて透析膜を用いた限外濾過を行い、更に超音波分散を行って顔料濃度が15質量%となる親水性官能基としてビスホスホン酸基を有するシアン顔料分散体(自己分散型)を得た。
−構造式(5)−
シアン顔料分散体15.0質量%、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(宇部興産株式会社製、totHSP値:22.6MPa1/2)15.0質量%、1,2−プロパンジオール(商品名:工業用プロピレングリコール、株式会社ADEKA製、totHSP値:29.1MPa1/2)15.0質量%、ポリカーボネートウレタン樹脂粒子1(商品名:タケラックW6110、三井化学株式会社製、マルテンス硬度:10N/mm2)を含有するポリカーボネートウレタン樹脂粒子1液(固形分濃度:30質量%)5.0質量%、ポリエチレンワックス1(商品名:アクアペトロDP2502−C、東洋アドレ株式会社製、融点:126℃)を含有するポリエチレンワックス1エマルジョン(固形分濃度:30質量%)2.0質量%、ポリエーテル変性シロキサンコポリマー(商品名:TEGO Wet270、巴工業株式会社製)2.0質量%、及び合計が100質量%となるようにイオン交換水残量を混合撹拌した後、平均孔径が0.8μmメンブレンフィルター(商品名:DISMIC−25cs、アドバンテック社製)で濾過して、インクジェット用インク1を得た。インクジェット用インク1の物性を下記表5に示す。また、前記ポリエチレンワックス1(商品名:アクアペトロDP2502−C、東洋アドレ株式会社製)の示差走査熱量測定(DSC)の測定の結果を図3に示す。
実施例1において、組成及び含有量を表1〜4の組成及び含有量に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜22及び比較例1〜6のインクジェット用インク2〜28を得た。また、インクジェット用インク2〜28の物性を下記表5に示す。また、ポリエチレンワックス2(商品名:アクアペトロDP2401、東洋アドレ株式会社製)のDSCの測定の結果を図4に示す。
なお、比較例2〜6において、ワックスの針入度が1.3以上10以下であり、インク膜の動摩擦係数が0.36以上0.42以下であることから、本発明におけるワックスの針入度が1.2以下、インク膜の動摩擦係数が0.35以下である範囲を満たしていないため、示差走査熱量測定による吸熱ピーク、発熱ピーク、及び発熱ピークのピーク面積の測定は行わなかった。
<有機溶剤>
・3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(商品名:EHO、宇部興産株式会社製、totHSP値:22.6MPa1/2)
・プロピレングリコールモノメチルエーテル(商品名:1−メトキシ−2−プロパノール、東京化成工業株式会社製、totHSP値:20.4MPa1/2)
・プロピレングリコールモノプロピルエーテル(商品名:1−プロポキシ−2−プロパノール、東京化成工業株式会社製、totHSP値:20.1MPa1/2)
・3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド(商品名:エクアミドB100、出光興産株式会社製、totHSP値:20.2MPa1/2)
・3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド(商品名:エクアミドM100、出光興産株式会社製、totHSP値:22.5MPa1/2)
・1,2−プロパンジオール(商品名:工業用プロピレングリコール、株式会社ADEKA製、totHSP値:29.1MPa1/2)
・1,3−プロパンジオール(商品名:Sustenaプロパンジオール、DuPont社製、totHSP値:31.7MPa1/2)
<<アクリル樹脂粒子>>
・アクリルシリコーン樹脂粒子:東亜合成株式会社製、商品名:サイマックUS480、マルテンス硬度:10N/mm2
<<ウレタン樹脂粒子>>
・ポリカーボネートウレタン樹脂粒子1:三井化学株式会社製、商品名:タケラックW6110、マルテンス硬度:10N/mm2
・ポリカーボネートウレタン樹脂粒子2:三井化学株式会社製、商品名:タケラックWS4000、マルテンス硬度:20N/mm2
・ポリカーボネートウレタン樹脂粒子3:三井化学株式会社製、商品名:タケラックW6061、マルテンス硬度:15N/mm2
・ポリエステルウレタン樹脂粒子:三井化学株式会社製、商品名:タケラックWS5984、マルテンス硬度:1N/mm2
・ポリエーテルウレタン樹脂粒子:三井化学株式会社製、商品名:タケラックW5661マルテンス硬度:5N/mm2
なお、前記樹脂粒子は、固形分濃度が30質量%になるようにイオン交換水で希釈して添加した。
・ポリエチレンワックス1エマルジョン:東洋アドレ株式会社製、商品名:アクアペトロDP2502−C、針入度:0.5、マルテンス硬度:73N/mm2、融点126℃
・ポリエチレンワックス2エマルジョン:東洋アドレ株式会社製、商品名:アクアペトロDP2401、針入度:1.0、マルテンス硬度:51N/mm2、融点110℃
・ポリエチレンワックス3エマルジョン:ビックケミー社製、商品名:AQUACER531、針入度:2.0、マルテンス硬度:36N/mm2、融点130℃
・ポリエチレンワックス4エマルジョン:ビックケミー社製、商品名:AQUACER515、針入度:1.7、マルテンス硬度:40N/mm2、融点135℃
・ポリエチレンワックス5エマルジョン:三井化学株式会社製、商品名ケミパール4005、針入度:3、マルテンス硬度:25N/mm2、融点110℃
・パラフィンワックスエマルジョン:ビックケミー社製、商品名:AQUACER537、針入度:10、マルテンス硬度:1N/mm2、融点110℃
・ポリプロピレンワックスエマルジョン:ビックケミー社製、商品名:AQUACER593、針入度:1.3、マルテンス硬度:10N/mm2、融点160℃
なお、前記ワックスは、固形分濃度が30質量%になるようにイオン交換水で希釈して添加した。
装置:HEIDON TYPE14DR(新東科学株式会社製)を用い、温度23℃、湿度50%RH環境下で、紙(商品名:Lumi Art Gloss 130gsm、Stora Enso社製)上にインク付着量が1.12mg/cm2(700mg/A4)のインク膜を形成し、前記紙の白紙を画像と合わせて、垂直荷重:20g/cm2を加え、1,200mm/minの速さにて60mm摩擦させ、スタート位置から30mm以上50mm以下での平均動摩擦係数を測定した。
室温25℃、湿度50%RHの環境(常温常湿度環境)において、各インクをインクジェットプリンタ(装置名:IPSIO GX5500、株式会社リコー製)に充填した。次に、前記インクジェットプリンタに、紙(商品名:Lumi Art Gloss 130gsm、Stora Enso社製)をセットし、インク付着量が1.12mg/cm2(700mg/A4)で、1,200dpi×1,200dpiの解像度でベタ画像(インク膜)を記録した。100℃にて、1分間乾燥後、1.2cm四方に切った前記紙(商品名:Lumi Art Gloss 130gsm、Stora Enso社製)を用いて、室温25℃、湿度50%RHの環境(常温常湿度環境)において、ベタ部を400gの荷重をかけて20回擦った。その後、前記紙へのインク付着汚れを、反射型カラー分光測色濃度計(装置名:X−Rite eXact、X−Rite社製)を用いて測定し、擦った紙の地肌色を差し引いた濃度を算出し、下記評価基準に基づいて、「耐擦過性」を評価した。なお、A以上が許容範囲である。
−評価基準−
AA :濃度が、0.05未満
A :濃度が、0.05以上0.10未満
B :濃度が、0.10以上0.15未満
C :濃度が、0.15以上0.20未満
D :濃度が、0.20以上
室温25℃、湿度50%RHの環境(常温常湿度環境)において、各インクをインクジェットプリンタ(装置名:IPSIO GX5500、株式会社リコー製)に充填した。次に、前記インクジェットプリンタに、紙(商品名:Lumi Art Gloss 130gsm、Stora Enso社製)をセットし、インク付着量が1.12mg/cm2(700mg/A4)で、1,200dpi×1,200dpiの解像度でベタ画像(インク膜)を記録した。100℃にて、1分間乾燥後、1.2cm四方に切った前記紙(商品名:Lumi Art Gloss 130gsm、Stora Enso社製)を用いて、室温40℃、湿度10%RHの環境(高温低湿度環境)において、ベタ部を400gの荷重をかけて20回擦った。その後、前記紙へのインク付着汚れを、反射型カラー分光測色濃度計(装置名:X−Rite eXact、X−Rite社製)を用いて測定し、擦った紙の地肌色を差し引いた濃度を算出し、下記評価基準に基づいて、「耐擦過性」を評価した。なお、A以上が許容範囲である。
−評価基準−
AA :濃度が、0.05未満
A :濃度が、0.05以上0.10未満
B :濃度が、0.10以上0.15未満
C :濃度が、0.15以上0.20未満
D :濃度が、0.20以上
各インクを前記インクジェットプリンタに充填し、前記インクジェットプリンタを40℃の恒温槽を用いてデキャップ状態にて24時間静置した。その後、取り出して、プリンタドライバからヘッドリフレッシングを実施して下記評価基準に基づいて、「吐出安定性」を評価した。なお、B以上が許容範囲である。
−評価基準−
AA:ヘッドリフレッシング4回未満で全ノズルからインクが吐出する
A:ヘッドリフレッシング4回以上7回未満で全ノズルからインクが吐出する
B:ヘッドリフレッシング7回以上10回未満で全ノズルからインクが吐出する
C:ヘッドリフレッシング10回以上で全ノズルからインクが吐出する
インクジェット用インクの作製の翌日に、インクジェット用インクを1.1mL採取し、回転粘度計のサンプルカップに入れ、回転粘度計本体に取り付けて1分間静置した後、回転粘度計のローターを回転し、1分間後の数値を読み取った(初期粘度)。粘度測定時の回転数については、トルクが40%以上80%以下の範囲で一定になるように調整した。次に、インクジェット用インクを50mLポリプロピレン容器(商品名:アイボーイ広口瓶、アズワン社製)に充填し、23℃にて2週間保管後、初期粘度と同様にして粘度を測定した(保管後粘度)。これらの粘度値を、下記式に当てはめて粘度変化率を計算し、下記評価基準に基づいて、「保存安定性」を評価した。なお、B以上が許容範囲である。また、粘度測定は、回転粘度計(装置名:RE80L・コーンプレートタイプ、東機産業株式会社製)を用いて25℃で行った。
粘度変化率(%)=|〔(保管後粘度−初期粘度)/初期粘度〕|×100
−評価基準−
AA:粘度変化率が、1%未満
A:粘度変化率が、1%以上3%未満
B:粘度変化率が、3%以上5%未満
C:粘度変化率が、5%以上
23℃、50%RH環境下で、インクジェットプリンタ(株式会社リコー製、IPSiO GX5000)に作製したインクジェット用インクを充填し、Microsoft Word2000(Microsoft社製)にて作製した64point文字JIS X 0208(1997),2223の一般記号の記載のあるチャートを、普通紙(XEROX4200、XEROX社製)に打ち出し、記録面のJIS X 0208(1997),2223の一般記号部を反射型カラー分光測色濃度計(装置名:X−Rite eXact、X−Rite社製)にて測色した。
なお、記録モードはプリンタ添付のドライバで普通紙のユーザー設定より「普通紙−標準はやい」モードを「色補正なし」に改変したモードを使用した。
作製したインクジェット用インクをインクジェットプリンタ(株式会社リコー製、IPSiO GXe5500)に充填し、PETフィルム(商品名:E5100、東洋紡株式会社製)に対してベタ画像を25℃にて印刷した後、80℃にて1時間乾燥させた。次いで、光沢度計(BYK Gardener社製、4501)を用いて、画像のベタ部の入射角度が60°の光沢度を測定した。光沢度の数値が大きいほど画像の光沢性が良好である。なお、60°の光沢度は、30以上が許容範囲である。
<1> 有機溶剤、水、色材、及びポリエチレンワックスを含むインクジェット用インクであって、
JIS K2235に準拠して測定した前記ポリエチレンワックスの針入度が、1.2以下であることを特徴とするインクジェット用インクである。
<2> 前記ポリエチレンワックスのマルテンス硬度が、50N/mm2以上である前記<1>に記載のインクジェット用インクである。
<3> 前記ポリエチレンワックスが、示差走査熱量測定において、100℃以上130℃以下の範囲に吸熱ピーク及び発熱ピークを有し、
前記発熱ピークのピーク面積が、200J/g以上300J/g以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載のインクジェット用インクである。
<4> 前記ポリエチレンワックスが、示差走査熱量測定において、119℃以上129℃以下の範囲に吸熱ピーク及び107℃以上117℃以下の範囲に発熱ピークを有し、
前記発熱ピークのピーク面積が、230J/g以上270J/g以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載のインクジェット用インクである。
<5> 前記ポリエチレンワックスが、示差走査熱量測定において、107℃以上117℃以下の範囲に吸熱ピーク及び100℃以上110℃以下の範囲に発熱ピークを有し、
前記発熱ピークのピーク面積が、205J/g以上245J/g以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載のインクジェット用インクである。
<6> 前記ポリエチレンワックスの含有量が、0.05質量%以上0.45質量%以下である前記<1>から<5>のいずれかに記載のインクジェット用インクである。
<7> 樹脂粒子をさらに含む前記<1>から<6>のいずれかに記載のインクジェット用インクである。
<8> 前記樹脂粒子が、ウレタン樹脂粒子である前記<7>に記載のインクジェット用インクである。
<9> 前記樹脂粒子のマルテンス硬度が、10N/mm2以下である前記<7>から<8>のいずれかに記載のインクジェット用インクである。
<10> 前記樹脂粒子の含有量(質量%)と、前記色材の含有量(質量%)との質量比(樹脂粒子/色材)が、0.5以上3.0以下である前記<7>から<9>のいずれかに記載のインクジェット用インクである。
<11> 前記有機溶剤の総ハンセン溶解パラメータが、20MPa1/2以上23MPa1/2以下である前記<1>から<10>のいずれかに記載のインクジェット用インクである。
<12> 前記有機溶剤が、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルから選択される少なくとも1種である前記<1>から<11>のいずれかに記載のインクジェット用インクである。
<13> 有機溶剤、水、及び色材を含むインクジェット用インクであって、
前記インクジェット用インクの付着量が1.12mg/cm2であるインク膜の動摩擦係数が、0.35以下であり、
前記インクジェット用インクの固形物が、示差走査熱量測定において、100℃以上130℃以下の範囲に吸熱ピーク及び発熱ピークを有し、
前記発熱ピークのピーク面積が、0J/g超40J/g以下であることを特徴とするインクジェット用インクである。
<14> 前記インクジェット用インクの固形物が、示差走査熱量測定において、119℃以上129℃以下の範囲に吸熱ピーク及び107℃以上117℃以下の範囲に発熱ピークを有する前記<13>に記載のインクジェット用インクである。
<15> 前記インクジェット用インクの固形物が、示差走査熱量測定において、107℃以上117℃以下の範囲に吸熱ピーク及び100℃以上110℃以下の範囲に発熱ピークを有する前記<13>に記載のインクジェット用インクである。
<16> 前記<1>から<15>のいずれかに記載のインクジェット用インクを容器中に収容してなることを特徴とするインク収容容器である。
<17> 前記<1>から<15>のいずれかに記載のインクジェット用インクに、刺激を印加し、前記インクジェット用インクを飛翔させて記録媒体に画像を記録するインク飛翔工程を含むことを特徴とするインクジェット記録方法である。
<18> 前記<1>から<15>のいずれかに記載のインクジェット用インクに、刺激を印加し、前記インクジェット用インクを飛翔させて記録媒体に画像を記録するインク飛翔手段を有することを特徴とするインクジェット記録装置である。
<19> 記録媒体と、前記記録媒体上に、色材を含むインクにより形成したインク膜と、を有する記録物であって、
前記インク膜の動摩擦係数が、0.35以下であり、
前記インク膜が、示差走査熱量測定において、100℃以上130℃以下の範囲に吸熱ピーク及び発熱ピークを有し、
前記発熱ピークのピーク面積が、0J/g超40J/g以下であることを特徴とする記録物である。
<20> 前記インク膜が、示差走査熱量測定において、119℃以上129℃以下の範囲に吸熱ピーク及び107℃以上117℃以下の範囲に発熱ピークを有する前記<19>に記載の記録物である。
<21> 前記インク膜が、示差走査熱量測定において、107℃以上117℃以下の範囲に吸熱ピーク及び100℃以上110℃以下の範囲に発熱ピークを有する前記<19>に記載の記録物である。
<22> 前記インク膜が、熱分解GC−MS測定で検出されたマススペクトルが1.2−プロパンジオールのマススペクトルと一致するスペクトルを含む前記<19>から<21>のいずれかに記載の記録物である。
Claims (22)
- 有機溶剤、水、色材、及びポリエチレンワックスを含むインクジェット用インクであって、
JIS K2235に準拠して測定した前記ポリエチレンワックスの針入度が、1.2以下であることを特徴とするインクジェット用インク。 - 前記ポリエチレンワックスのマルテンス硬度が、50N/mm2以上である請求項1に記載のインクジェット用インク。
- 前記ポリエチレンワックスが、示差走査熱量測定において、100℃以上130℃以下の範囲に吸熱ピーク及び発熱ピークを有し、
前記発熱ピークのピーク面積が、200J/g以上300J/g以下である請求項1から2のいずれかに記載のインクジェット用インク。 - 前記ポリエチレンワックスが、示差走査熱量測定において、119℃以上129℃以下の範囲に吸熱ピーク及び107℃以上117℃以下の範囲に発熱ピークを有し、
前記発熱ピークのピーク面積が、230J/g以上270J/g以下である請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット用インク。 - 前記ポリエチレンワックスが、示差走査熱量測定において、107℃以上117℃以下の範囲に吸熱ピーク及び100℃以上110℃以下の範囲に発熱ピークを有し、
前記発熱ピークのピーク面積が、205J/g以上245J/g以下である請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット用インク。 - 前記ポリエチレンワックスの含有量が、0.05質量%以上0.45質量%以下である請求項1から5のいずれかに記載のインクジェット用インク。
- 樹脂粒子をさらに含む請求項1から6のいずれかに記載のインクジェット用インク。
- 前記樹脂粒子が、ウレタン樹脂粒子である請求項7に記載のインクジェット用インク。
- 前記樹脂粒子のマルテンス硬度が、10N/mm2以下である請求項7から8のいずれかに記載のインクジェット用インク。
- 前記樹脂粒子の含有量(質量%)と、前記色材の含有量(質量%)との質量比(樹脂粒子/色材)が、0.5以上3.0以下である請求項7から9のいずれかに記載のインクジェット用インク。
- 前記有機溶剤の総ハンセン溶解パラメータが、20MPa1/2以上23MPa1/2以下である請求項1から10のいずれかに記載のインクジェット用インク。
- 前記有機溶剤が、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルから選択される少なくとも1種である請求項1から11のいずれかに記載のインクジェット用インク。
- 有機溶剤、水、及び色材を含むインクジェット用インクであって、
前記インクジェット用インクの付着量が1.12mg/cm2であるインク膜の動摩擦係数が、0.35以下であり、
前記インクジェット用インクの固形物が、示差走査熱量測定において、100℃以上130℃以下の範囲に吸熱ピーク及び発熱ピークを有し、
前記発熱ピークのピーク面積が、0J/g超40J/g以下であることを特徴とするインクジェット用インク。 - 前記インクジェット用インクの固形物が、示差走査熱量測定において、119℃以上129℃以下の範囲に吸熱ピーク及び107℃以上117℃以下の範囲に発熱ピークを有する請求項13に記載のインクジェット用インク。
- 前記インクジェット用インクの固形物が、示差走査熱量測定において、107℃以上117℃以下の範囲に吸熱ピーク及び100℃以上110℃以下の範囲に発熱ピークを有する請求項13に記載のインクジェット用インク。
- 請求項1から15のいずれかに記載のインクジェット用インクを容器中に収容してなることを特徴とするインク収容容器。
- 請求項1から15のいずれかに記載のインクジェット用インクに、刺激を印加し、前記インクジェット用インクを飛翔させて記録媒体に画像を記録するインク飛翔工程を含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
- 請求項1から15のいずれかに記載のインクジェット用インクに、刺激を印加し、前記インクジェット用インクを飛翔させて記録媒体に画像を記録するインク飛翔手段を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
- 記録媒体と、前記記録媒体上に、色材を含むインクにより形成したインク膜と、を有する記録物であって、
前記インク膜の動摩擦係数が、0.35以下であり、
前記インク膜が、示差走査熱量測定において、100℃以上130℃以下の範囲に吸熱ピーク及び発熱ピークを有し、
前記発熱ピークのピーク面積が、0J/g超40J/g以下であることを特徴とする記録物。 - 前記インク膜が、示差走査熱量測定において、119℃以上129℃以下の範囲に吸熱ピーク及び107℃以上117℃以下の範囲に発熱ピークを有する請求項19に記載の記録物。
- 前記インク膜が、示差走査熱量測定において、107℃以上117℃以下の範囲に吸熱ピーク及び100℃以上110℃以下の範囲に発熱ピークを有する請求項19に記載の記録物。
- 前記インク膜が、熱分解GC−MS測定で検出されたマススペクトルが1.2−プロパンジオールのマススペクトルと一致するスペクトルを含む請求項19から21のいずれかに記載の記録物。
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