JP5804724B2 - インクジェット記録装置用インク - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録装置用インクに関する。
近年、記録技術の急速な進歩により銀塩写真に匹敵する高精細な画質を得ることが可能となっていることから、インクジェット記録方式により画像を形成するインクジェット記録装置が画像形成装置として広く使用されている。
かかるインクジェット記録装置について、画像形成速度の向上が強く望まれている。しかし、インクジェット記録装置において高速で画像形成を行った場合、インクが紙等の被記録媒体に浸透する前に被記録媒体が排出ローラーを通り排出されてしまい、インクが排出ローラーに付着(オフセット)することにより画像不良が発生しやすくなる。オフセットの発生を抑制するためには、インクの吐出量を低減することが考えられるが、かかる場合、十分な濃度の画像を形成しにくい。
かかる事情から、定着性を改善(オフセットの発生を抑制)しつつ、良好な画像を形成可能なインクとして、顔料がスチレン−(メタ)アクリル酸系水溶性樹脂により分散されており、顔料1部に対して0.3部以上の水溶性樹脂を含み、水溶性顔料に吸着されていない遊離した水溶性樹脂の量が分散液中4%以下である、顔料分散液を含むインクジェット記録装置用インクが提案されている(特許文献1)。
特開平11−302586号公報
しかし、インクジェット記録装置では、さらなる画像形成の高速化が求められており、かかる場合、特許文献1に記載のインクジェット記録装置用インクでは、オフセットの抑制と良好な画像の形成とに関する課題を必ずしも解決できない。
また、高速で画像形成可能であるラインヘッド型の記録方式のインクジェット記録装置を用いる場合、画像の重ね描きを行うことができないため、良好な記録濃度で画像を形成するためにインクの吐出量を増やす必要がある。さらに、多色のインクを用いるラインヘッド型の記録方式のインクジェット記録装置では、記録装置内を移動する被記録媒体に、複数のヘッドから断続的にインク液滴が打ち込まれる。かかる場合、ヘッドから被記録媒体に打ち込まれたインク液滴の乾燥が、次のヘッドからインク液滴を打ち込まれるまでの間に進行するため、次のヘッドから被記録媒体に打ち込まれたインク液滴の被記録媒体への浸透が妨げられやすい。
このため、ラインヘッド型の記録方式のインクジェット記録装置を用いる場合、オフセットの発生の問題が特に生じやすい。それゆえ、特許文献1に記載のインクジェット記録装置用インクでは、ラインヘッド型の記録方式のインクジェット記録装置において、オフセットの発生の抑制と、良好な画像とを両立させることが極めて難しい。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、オフセットの発生を抑制しつつ、良好な画像を形成できる、インクジェット記録装置用インクを提供することを目的とする。
本発明者らは、水と、顔料及び樹脂を含む顔料分散体と、20℃での水への溶解度が5g/100g水以下である有機溶媒とを含み、インク中の遊離樹脂量がインクの質量に対して0.5質量%以下である、インクジェット記録装置用インクにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には本発明は、以下のものを提供する。
(1) 少なくとも、水と、顔料及び樹脂を含む顔料分散体と、20℃での水への溶解度が5g/100g水以下である有機溶媒とを含み、インク中の遊離樹脂量がインクの質量に対して0.5質量%以下である、インクジェット記録装置用インク。
(2) 前記20℃での水への溶解度が5g/100g水以下である有機溶媒が、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールからなる群より選択される1種以上である、請求項1記載のインクジェット記録装置用インク。
(3) 前記20℃での水への溶解度が5g/100g水以下である有機溶媒が、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールである、(1)又は(2)記載のインクジェット記録装置用インク。
(4) 前記インク中の遊離樹脂量が0.15質量%以下である、(1)〜(3)何れか記載のインクジェット記録装置用インク。
(5) 前記20℃での水への溶解度が5g/100g水以下である有機溶媒の含有量が、インクの質量に対して、0.01〜5.0質量%である、(1)〜(4)何れか記載のインクジェット記録装置用インク。
本発明によれば、オフセットの発生を抑制しつつ、良好な画像を形成できる、インクジェット記録装置用インクを提供できる。
図1は、ラインヘッド型の記録方式のインクジェット記録装置の概略構成を示す側面断面図である。 図2は、図1に示されるインクジェット記録装置の搬送ベルトを上方から見た平面図である。 図3は、ラインヘッド型の記録方式のインクジェット記録装置の構成を示すブロック図である。 図4は、ラインヘッド型の記録方式のインクジェット記録装置に用いられるラインヘッドと記録用紙上に形成されたドット列の一部を示す拡大平面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
本発明のインクジェット記録装置用インク(以下、単にインクとも記す)は、水と、顔料及び樹脂を含む顔料分散体と、20℃での水への溶解度が5g/100g水以下である有機溶媒とを必須に含み、インク中の遊離樹脂量がインクの質量に対して0.5質量%以下である。また、本発明のインクジェット記録装置用インクは、必要に応じ、水、及び20℃での水への溶解度が5g/100g水以下である有機溶媒の他に、インクに含まれる成分の溶解状態を安定化させる溶解安定剤、及びインクから液体成分の揮発を抑制してインクの粘性を安定化させる保湿剤を含んでいてもよい。以下、インクジェット記録装置用インクが含む、必須、又は任意の成分である、水、顔料分散体、20℃での水への溶解度が5g/100g水以下である有機溶媒、溶解安定剤、及び保湿剤と、インクジェット記録装置用インクの製造方法と、画像形成方法について順に説明する。
〔水〕
本発明のインクジェット記録装置用インクは、水性インクであり、水を必須に含む。インクに含まれる水は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、従来から、水性インクの製造に使用されている水から、所望の純度の水を適宜選択して使用できる。本発明のインクジェット記録装置用インクにおける水の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。水の含有量は、後述する、他の成分の使用量に応じて適宜変更される。インクにおける典型的な水の含有量としては、インクの全質量に対して20〜70質量%が好ましく、25〜60質量%がより好ましい。
〔顔料分散体〕
本発明のインクジェット記録装置用インクは、着色剤である顔料と樹脂とを含む顔料分散体を含む。顔料分散体中に含有させることができる顔料は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、従来からインクジェット記録装置用インクにおいて着色剤として使用されている顔料から適宜選択して使用できる。好適な顔料の具体例は、C.I.ピグメントイエロー74、93、95、109、110、120、128、138、139、151、154、155、173、180、185、193等の黄色顔料、C.I.ピグメントオレンジ34、36、43、61、63、71等の橙色顔料、C.I.ピグメントレッド122、202等の赤色顔料、C.I.ピグメントブルー15等の青色顔料、C.I.ピグメントバイオレット19、23、33等の紫色顔料、C.I.ピグメントブラック7等の黒色顔料等を挙げることができる。
顔料と樹脂とを含む顔料分散体を製造する方法は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、従来知られる方法から適宜選択できる。好適な方法としては、例えば、ナノグレンミル(浅田鉄工株式会社製)、MSCミル(三井鉱山株式会社製)、ダイノーミル(株式会社シンマルエンタープライゼス製)等のメディア型湿式分散機を用いて、水等の適切な液体の媒体中において、顔料と樹脂とを混練して顔料分散体とする方法が挙げられる。メディア型湿式分散機による処理では、小粒径のビーズを用いる。ビーズの粒子径は特に限定されず、典型的には粒径0.5〜1.0mmである。また、ビーズの材質は特に限定されず、ジルコニアビーズ等の硬質の材料からなるビーズが使用される。
顔料分散体を製造する際の、液体の媒体の使用量は、顔料と樹脂とを良好に混練できる限り特に限定されない。典型的には、液体の媒体の使用量は、顔料と樹脂との質量の合計に対して、1〜10倍の質量を用いるのが好ましく、2〜8倍の質量を用いるのがより好ましい。
顔料分散体に含まれる顔料の体積平均粒径は、インクの色濃度、色相、インクの安定性等の観点から、30〜200nmが好ましく、50〜130nmがより好ましい。顔料の体積平均粒径は、顔料と樹脂とを混練する際のビーズの粒子径や処理時間を調整することにより調整できる。体積平均粒径が過小である場合、画像濃度が低下する場合があり、体積平均粒径が過大である場合、インクを吐出するノズルの目詰まりが発生したり、インクの吐出性が悪化したりする場合がある。顔料の体積平均粒径は、例えば、顔料分散体をイオン交換水により300倍に希釈した試料を用い、動的光散乱粒度分布測定装置(シスメックス株式会社製)等により測定できる。
顔料分散体に含まれる樹脂は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、従来から顔料分散体の製造に用いられている種々の樹脂から適宜選択して使用できる。好適な樹脂の具体例としては、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸アルキルエステル−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等が挙げられる。これらの樹脂の中では、調製が容易で、顔料の分散効果に優れることから、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸アルキルエステル−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル共重合体等の、スチレンに由来する単位と、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、又はメタクリル酸エステルに由来する単位とを含むスチレン−アクリル系樹脂が好ましい。
顔料分散体に含まれる樹脂の分子量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。顔料分散体に含まれる樹脂の分子量は、ゲルろ過クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量(Mn)として、10,000〜300,000が好ましく、30,000〜150,000がより好ましい。樹脂の分子量が過小である場合、被記録媒体に画像を形成する際に、良好な画像濃度を得にくい。また、分子量が過大である場合、インクの粘度が高いため、溶媒が揮発した際の更なる粘度上昇によりノズルからのインクの吐出不良が起こりやすい。このため、樹脂の分子量が過大である場合、良好な画像を形成しにくい。例えば、上記の好適な樹脂の分子量は、重合開始剤の使用量、重合温度、又は重合時間等を調整する公知の方法に従って調整できる。
顔料分散体を調製する際の樹脂の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。典型的には、顔料の100質量部に対して、30〜70質量部の範囲の量で使用される。
顔料分散体に含まれる顔料の量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。典型的には、インクの全質量に対して2.0〜15.0質量%が好ましく、4.0〜12.0質量%がより好ましい。顔料の使用量が過少であると良好な画像濃度を得にくく、顔料の使用量が過多であると、インクの流動性が損なわれ良好な画像を形成しにくくなったり、インクの被記録媒体に対する浸透性が損なわれ、オフセットが発生しやすくなったりする場合がある。
〔20℃での水への溶解度が5g/100g水以下である有機溶媒〕
本発明のインクジェット記録装置用インクは、20℃での水への溶解度が5g/100g水以下である有機溶媒を必須に含む。インクが、20℃での水への溶解度が5g/100g水以下である有機溶媒を含む場合、インクの紙等の被記録媒体への浸透性が著しく改善され、オフセットの発生を抑制できる。有機溶媒の溶解度は、20℃において、水層と有機溶媒層とを形成可能な量の水と有機溶媒とを混合し、十分に撹拌した後、撹拌を停止して水層と有機溶媒層とを形成させ、水層の試料を採取し、屈折率測定等の公知の手法によって水層に含まれる有機溶媒の量を測定することにより求められる。
20℃での水への溶解度が5g/100g水以下である有機溶媒の沸点は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、180℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましい。有機溶媒がかかる沸点を有する場合、有機溶媒の揮発による組成変化の影響を受けにくく、長時間印刷を行わなかった場合においても、オフセットの発生を抑制しつつ良好な画像を形成できる。
20℃での水への溶解度が5g/100g水以下である有機溶媒の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。20℃での水への溶解度が5g/100g水以下である有機溶媒は、被記録媒体として一般に使用される紙の主成分であるセルロースとの親和性の観点から、水酸基、カルボキシ基、カルボニル基、アミノ基等の極性基を有する有機溶媒が好ましい。また、得られるインクから分離しにくく、インクのpHを変化させにくいことから、水酸基を有する有機溶媒、即ちアルコール類がより好ましい。かかる溶解度の有機溶媒の具体例としては、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール等が挙げられる。これらの有機溶媒は、2種以上を組み合わせて使用できる。これらの有機溶媒の中では、オフセットの発生の抑制効果、インクの安定性等の点で、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールがより好ましい。
インクにおける20℃での水への溶解度が5g/100g水以下である有機溶媒の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。典型的には、インクの全質量に対して、0.01〜5.0質量%が好ましく、0.1〜2.0質量%であるのがより好ましい。20℃での水への溶解度が5g/100g水以下である有機溶媒の含有量が過少である場合、所望のオフセットの発生の抑制効果を得にくい場合があり、過多である場合、長期間インクを保存する場合に、20℃での水への溶解度が5g/100g水以下である有機溶媒がインクから分離するおそれがある。
本発明において用いる、20℃での水への溶解度が5g/100g水以下である有機溶媒は、インクの被記録媒体への浸透性を改良する成分であるが、本発明の目的を阻害しない範囲で、20℃での水への溶解度が5g/100g水を超える他の浸透剤と組み合わせて使用できる。20℃での水への溶解度が5g/100g水を超える他の浸透剤の具体例としては、アルカンジオール、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル、トリアルキレングリコールモノアルキレンエーテル、環状ケトン化合物等が挙げられる。20℃での水への溶解度が5g/100g水以下である有機溶媒とともに使用する他の浸透剤の含有量は、インクの全質量に対して、0.5〜15質量%が好ましく、1.0〜10質量%がより好ましい。
〔溶解安定剤〕
本発明のインクジェット記録装置用インクは、20℃での水への溶解度が5g/100g水以下である有機溶媒の他の液体成分として、インクに含まれる成分の溶解状態を安定化させる溶解安定剤を含んでいてもよい。
溶解安定剤は、インクに含まれる成分を相溶化してインクの溶解状態を安定化させる成分である。溶解安定剤の具体例としては、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、及びγ−ブチロラクトン等が挙げられる。これらの溶解安定剤は2種以上を組合せて用いることができる。インクが溶解安定剤を含有する場合、溶解安定剤の含有量は、インクの全質量に対して1〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。
〔保湿剤〕
保湿剤は、インクから液体成分の揮発を抑制してインクの粘性を安定化させる成分である。保湿剤の具体例は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール等のアルキレングリコール類;グリセリンである。これらの、保湿剤の中では、水等の液体成分の揮発の抑制効果に優れることからグリセリンがより好ましい。保湿剤は2種以上を組合せて用いることができる。インクが保湿剤を含有する場合、保湿剤の含有量は、インクの全質量に対して2〜30質量%が好ましく、10〜25質量%がより好ましい。
〔インクジェット記録装置用インクの製造方法〕
本発明のインクジェット記録装置用インクの製造方法は、水、顔料分散体、及び20℃での水への溶解度が5g/100g水以下である有機溶媒に対して、必要に応じて、溶解安定剤、及び/又は保湿剤を加えた後に、これらのインク成分を均一に混合することができれば特に限定されない。インクジェット記録装置用インクの製造方法の具体例としては、インクの各成分を混合機により均一に混合した後、孔径10μm以下のフィルターにより異物や粗大粒子を除去する方法が挙げられる。なお、インクジェット記録装置用インクを製造する際には、水、顔料分散体、及び20℃での水への溶解度が5g/100g水以下である有機溶媒に対して、必要に応じて溶解安定剤、保湿剤等の有機溶媒の他の液体成分や、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、pH調整剤、防腐防カビ剤等の、従来、インクジェット記録装置用インクに加えられている種々の添加剤を加えることができる。
また、本発明のインクジェット記録装置用インクは、顔料分散体に由来する、遊離樹脂の含有量が0.5質量%以下、好ましくは0.15質量%以下である。遊離樹脂の含有量をかかる量とすることにより、インク液滴が被記録媒体上で乾燥した場合でも、インク液滴が乾燥した箇所に新たに打ち込まれるインク液滴の被記録媒体への浸透を妨げにくくなり、その結果、オフセットの発生が抑制される。
インク中の遊離樹脂の含有量は、以下の方法により測定できる。
<遊離樹脂量測定方法>
インクを遠心分離機の所定の容器に入れ、遠心効果800,000Gの条件で、24時間遠心分離する。容器中のインクの透明な上澄み液全量を採取し、上澄み液を0.67Paの減圧条件において150℃で乾燥して、遊離樹脂を主成分とする固形分を得る。遠心分離機に入れたインクの質量をWi(g)とし、上澄み液を乾固して得られる固形分の質量から、遠心分離機に入れたインクに含まれる、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、pH調整剤、防腐防カビ剤等の成分の内、乾燥条件において揮発しない成分の質量を差し引いた質量をWr(g)として、下式によりインク中の遊離樹脂量を算出する。
遊離樹脂量(質量%)=Wr/Wi×100
インクにおける遊離樹脂の含有量を調整する方法としては、
・顔料分散体を調製する際の樹脂量を調整する方法、
・顔料分散体を調製する際の分散条件を変えて、顔料分散体に含まれる顔料の比表面積を調整し、顔料に吸着される樹脂量を調整する方法、及び、
・インクを遠心分離して顔料を沈降させ、上澄み液の少なくとも一部を、樹脂を含まないインクに含まれる液体成分と置換した後、沈降した顔料を再分散させてインクを調製する方法等が挙げられる。
〔画像形成方法〕
本発明のインクジェット記録装置用インクにより画像を形成する際に用いる画像形成装置は、インクジェット記録装置である限り特に限定されず、その記録方式は、記録ヘッドが記録媒体上を走査しながら記録を行うシリアル型であっても、装置本体に固定された記録ヘッドにより記録を行うラインヘッド型であってもよい。
これらの記録方式の中では、画像形成の高速性の点から、ラインヘッド型が好ましい。ラインヘッド型の記録方式のインクジェット記録装置を用いる場合、画像の重ね描きが行われないため、良好な記録濃度で画像を形成するためにはインクの吐出量を増やす必要がある。この場合、オフセットの発生や、画像の裏抜けや滲み等の問題が、特に生じやすい。しかし、本発明のインクによれば、オフセットの発生の抑制と、良好な画像濃度とを両立できる。また、本発明のインクによれば、インク中の顔料の濃度を増加させることにより、インクの吐出量を低減させつつ良好な濃度で画像を形成できるため、ラインヘッド型の記録方式のインクジェット記録装置を用いても、画像の裏抜けや滲みの発生を抑制しやすい。
以下、図面を参照して、本発明のインクを用いる画像形成方法について、ラインヘッド型の記録方式のインクジェット記録装置を用い、被記録媒体として記録用紙を用いる場合に関して説明する。図1は、ラインヘッド型の記録方式のインクジェット記録装置の概略構成を示す側面断面図であり、図2は、図1に示すインクジェット記録装置の搬送ベルトを上方からみた平面図である。
図1に示すように、インクジェット記録装置100の左側部には記録用紙Pを収容する給紙トレイ2が設けられており、この給紙トレイ2の一端部には収容された記録用紙Pを、最上位の記録用紙Pから順に一枚ずつ後述する搬送ベルト5へと給紙搬送するための給紙ローラー3及び給紙ローラー3に圧接され従動回転する従動ローラー4が設けられている。
給紙ローラー3及び従動ローラー4の用紙搬送方向下流側(図1において右側)には、搬送ベルト5が回転自在に配設されている。搬送ベルト5は、用紙搬送方向下流側に配置されたベルト駆動ローラー6と、上流側に配置され搬送ベルト5を介してベルト駆動ローラー6に従動回転するベルトローラー7とに掛け渡されており、ベルト駆動ローラー6が時計方向に回転駆動されることにより、記録用紙Pが矢印X方向に搬送される。
ここで、用紙搬送方向Xの下流側にベルト駆動ローラー6を配置したことにより、搬送ベルト5の用紙送り側(図1において上側)はベルト駆動ローラー6に引っ張られるようになるため、ベルトテンションを張ることができ、安定した記録用紙Pの搬送が可能となる。なお、搬送ベルト5には誘電体樹脂製のシートが用いられ、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルト等が好適に用いられる。
また、搬送ベルト5の用紙搬送方向下流側には、図中時計回りに駆動され画像が記録された記録用紙Pを装置本体外へと排出する排出ローラー8a、及び排出ローラー8aの上部に圧接され従動回転する従動ローラー8bが設けられており、排出ローラー8a及び従動ローラー8bの下流側には、装置本体外へと排出された記録用紙Pが積載される排紙トレイ10が設けられている。
従動ローラー8bは印字面に直接触れるため、従動ローラー8bの表面を形成する素材は撥水性材料であるのが好ましい。従動ローラー8bの表面を撥水性材料により形成することにより、記録用紙Pに浸透していないインクのローラーへの付着を抑制でき、オフセットの発生を抑制しやすい。好適な撥水材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル等のフッ素樹脂が挙げられる。従動ローラー8bと同様に、印字面に接触する部材の表面は撥水性材料により形成するのが好ましい。
そして、搬送ベルト5の上方には、搬送ベルト5の上面に対して所定の間隔が形成されるような高さに支持され、搬送ベルト5上を搬送される記録用紙Pへと画像の記録を行うラインヘッド11C、11M、11Y及び11Kが配設されている。これらのラインヘッド11C〜11Kには、それぞれ異なる4色(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)の着色インクが充填されており、各ラインヘッド11C〜11Kからそれぞれの着色インクを吐出することにより、記録用紙P上にカラー画像が形成される。
記録用紙Pに各ラインヘッド11C〜11Kから吐出されたインクの液滴が着弾してから、記録用紙Pにおけるインクの着弾箇所が、排出ローラー8a、及び従動ローラー8bからなる記録用紙Pを排出する排出部8に到達するまでの時間は装置を小型化するためには1秒以内であるのが好ましい。かかる時間を1秒以内とした場合であっても、本発明のインクを用いることによって、高速での画像形成時のオフセットの発生の抑制の効果が充分に得られる。
また、記録用紙Pに各ラインヘッド11C〜11Kから吐出され、記録用紙Pに打ち込まれる一色又は複数の色のインクの量は、特に限定されず、良好な濃度で画像を形成でき、オフセットが発生しにくい量に調整して画像が形成される。
これらのラインヘッド11C〜11Kは、図2に示すように、搬送方向と直交する方向(図2の上下方向)に複数のノズルが配列されたノズル列を備え、搬送される記録用紙Pの幅以上の記録領域を有しており、搬送ベルト5上を搬送される記録用紙Pに対して、一括して1行分の画像を記録することができるようになっている。
なお、ラインヘッド型の記録方式のインクジェット記録装置においては、搬送ベルト5の幅寸法以上に形成された長尺のヘッド本体の長手方向に複数のノズルを配列させることで、記録用紙Pの幅以上の記録領域を有するように構成されたラインヘッドを用いているが、例えば各々複数個のノズルを備えた短尺のヘッドユニットを搬送ベルト5の幅方向に複数配列することにより、搬送される記録用紙Pの幅方向全幅にわたって画像を記録できるようにしたラインヘッドを用いても構わない。
また、ラインヘッド11C〜11Kのインクの吐出方式としては、例えば、図示しない圧電素子(ピエゾ素子)を用いてラインヘッド11C〜11Kの液室内に生じる圧力を利用してインクの液滴を吐出する圧電素子方式や、発熱体によって気泡を発生させ、圧力をかけてインクを吐出するサーマルインクジェット方式等、各種方式を適用することができる。インクの吐出方式は、吐出量の制御が容易であることから圧電素子方式が好ましい。
図3は、ラインヘッド型の記録方式のインクジェット記録装置の構成を示すブロック図である。図1及び図2と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。インクジェット記録装置100には制御部20が備えられており、制御部20には、インターフェイス21、ROM22、RAM23、エンコーダー24、モーター制御回路25、ラインヘッド制御回路26、及び電圧制御回路27等が接続されている。
インターフェイス21は、例えば、図示しないパソコン等のホスト装置とデータの送受信を行う。制御部20は、インターフェイス21を介して受信された画像信号を、必要に応じて変倍処理或いは階調処理して画像データに変換する。そして、後述する各種制御回路に制御信号を出力する。
ROM22は、ラインヘッド11C〜11Kを駆動させて画像記録を行う際の制御プログラム等を記憶している。RAM23は、制御部20により変倍処理或いは階調処理された画像データを所定の領域に格納する。
エンコーダー24は、搬送ベルト5を駆動する排紙側のベルト駆動ローラー6に接続されており、ベルト駆動ローラー6の回転軸の回転変位量に応じてパルス列を出力する。制御部20は、エンコーダー24から送信されるパルス数をカウントすることで回転量を算出し、用紙の送り量(用紙位置)を把握する。そして制御部20は、エンコーダー24からの信号に基づいて、モーター制御回路25及びラインヘッド制御回路26に制御信号を出力する。
モーター制御回路25は、制御部20からの出力信号により記録媒体搬送用モーター28を駆動する。記録媒体搬送用モーター28は駆動してベルト駆動ローラー6を回転させ、搬送ベルト5を図1の時計回りに回動させて用紙を矢印X方向へと搬送する。
ラインヘッド制御回路26は、制御部20からの出力信号に基づいて、RAM23に格納された画像データをラインヘッド11C〜11Kへ転送し、転送された画像データに基づいてラインヘッド11C〜11Kからのインクの吐出を制御する。かかる制御と、記録媒体搬送用モーター28によって駆動する搬送ベルト5による用紙の搬送の制御とにより、用紙への記録処理が行われる。
電圧制御回路27は、制御部20からの出力信号に基づいて給紙側のベルトローラー7に電圧を印加することにより交番電界を発生させ、搬送ベルト5に用紙を静電吸着させる。静電吸着の解除は、制御部20からの出力信号に基づいてベルトローラー7又はベルト駆動ローラー6を接地させることにより行われる。なお、ここでは給紙側のベルトローラー7に電圧を印加する構成としたが、排紙側のベルト駆動ローラー6に電圧を印加する構成としてもよい。
ラインヘッド型の記録方式のインクジェット記録装置を用いてドットを形成する方法を、図4を用いて具体的に説明する。なお、図4では図1及び図2に示したラインヘッド11C〜11Kのうち、ラインヘッド11Cを例に挙げて説明するが、他のラインヘッド11M〜11Kについても全く同様に説明される。
図4に示すように、ラインヘッド11Cには複数個のノズルからなるノズル列N1、N2が搬送方向(矢印X方向)に並設されている。つまり、搬送方向の各ドット列を形成するノズルとして、ノズル列N1、N2に各1個ずつ(例えばドット列L1ではノズル12a及び12a’)、合計2個のノズルを備えている。なお、ここでは説明の便宜のため、ノズル列N1、N2を構成するノズルのうち、ドット列L1〜L16に対応する12a〜12p及び12a’〜12p’までの各16個のノズルのみを記載しているが、実際にはさらに多数のノズルが搬送方向と直交する方向に配列されているものとする。
そして、このノズル列N1、N2を順次用いて被記録媒体上に画像を形成する。例えば、被記録媒体を搬送方向に移動させながら、被記録媒体の幅方向(図の左右方向)1行分のドット列D1をノズル列N1からのインク吐出(図の実線矢印)により形成した後、次の1行分のドット列D2をノズル列N2からのインク吐出(図の破線矢印)により形成し、さらに次の1行分のドット列D3を再びノズル列N1からのインク吐出により形成する。以下、ドット列D4以降もノズル列N1、N2を交互に用いて同様に形成する。
以上説明した、本発明のインクジェット記録装置用インクによれば、オフセットの発生を抑制しつつ、良好な画像を形成できるため、種々の記録方式のインクジェット記録装置において好適に使用される。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は実施例によりなんら限定されるものではない。
〔実施例1〕
(顔料分散体セットAの調製)
シアン色顔料としてP.B−15:3を用いた。顔料分散体の調製に用いる材料の質量の合計に対して、20質量%の顔料、8質量%のスチレン−アクリル酸共重合体樹脂(分子量:20,000、酸価120)、10質量%のグリセリン、及び残余の量の水を、ダイノーミル(株式会社シンマルエンタープライゼス製)に仕込んだ。顔料分散体の調製に用いる材料の質量の合計に対して1.5倍の質量の、ビーズ径0.5mmのガラスビーズをメディアとしてダイノーミルに充填して、顔料とスチレン−アクリル酸共重合体樹脂とを混練してシアン色顔料分散体を得た。得られた顔料分散体をイオン交換水にて300倍に希釈して、動的光散乱式粒径分布装置(ゼータサイザー ナノ、シスメックス株式会社製)により顔料の体積平均粒径D50を測定し、顔料の体積平均粒径が70〜130nmの範囲となっていることを確認した。
また、P.B:15:3をP.R−122に変えることの他は、シアン色顔料分散体と同様にして、マゼンタ色顔料分散体を得た。マゼンタ色顔料分散体の顔料の体積平均粒径が70〜130nmの範囲内であった。
シアン色顔料分散体とマゼンタ色顔料分散体とのセットを、顔料分散体セットAとした。
(インクセットAの調製)
顔料分散体セットAを用いて、インクセットAを調製した。具体的には、表1に記載の比率で各成分を撹拌機により均一に混合した後、孔径5μmのフィルターによりろ過して、シアン色インクとマゼンタ色インクとを調製し、シアン色インクとマゼンタ色インクとをインクセットAとした。20℃での水への溶解度が5g/100g水以下の有機溶媒として、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールを用いた。
Figure 0005804724
*1:オルフィンE1010(アセチレンジオールのエチレンオキシド付加物、日信化学工業株式会社製)
インクセットAのシアン色インクとマゼンタ色インクとの、遊離樹脂の含有量を以下の方法に従って測定したところ、ともにインクに含まれる遊離樹脂量は、0.4質量%であった。
<遊離樹脂量測定方法>
インク10gを所定の容器に入れ、遠心分離機(himac−CS150GXII(日立工機株式会社製))にて回転数122200rpm(遠心効果800,000G)の条件で、24時間遠心分離した。遠心分離後、容器中のインクの透明な上澄み液全量を採取し、上澄み液を0.67Paの減圧条件において150℃で乾燥して、遊離樹脂を主成分とする固形分を得た。なお、インクに含まれる界面活性剤は、乾燥条件において揮発する。得られた固形分の質量を遊離樹脂の質量として、インク中の遊離樹脂の含有量を算出した。
インクセットAを用いて、以下の方法に従ってオフセット試験を行った。
<オフセット試験方法>
ラインヘッド型の記録方式のインクジェット記録装置を用いて、25℃50%の環境下にてオフセット性の評価を行った。記録ヘッドにインクを充填した後、記録ヘッドのノズル形成面から出ている余剰液をワイプブレードにより掻き取った。記録ヘッドのノズル面と記録紙との距離を1mmに設定した。シアン色インク、マゼンタ色インクの順にインク液滴を記録ヘッドのノズルから被記録媒体に打ち込み、30mm×30mmのサイズ内に最大濃度のベタ画像を連続して被記録媒体10枚に印字した。被記録媒体として、OKHJ−オフ用紙(王子製紙株式会社製)を用いた。オフセット試験は、記録ヘッドの圧電素子に印加する駆動信号の周波数を変更して、ヘッド間の時間間隔0.0950(秒)、0.0286(秒)、0.0229(秒)、及び0.0190(秒)において行った。最終印字位置から、0.5秒の位置にある排出ローラーへのインクの付着と、10枚目に印字された被記録媒体の被印字部への版画の有無によりオフセット性を評価した。なお、排出ローラーの位置は、ヘッド間の時間間隔を変更した場合も、ヘッド間の時間間隔0.0286(秒)の条件における最終印字位置から0.5秒の位置で固定されている。オフセット性の評価基準は以下の通りである。
○:排出ローラーにインクが付着しておらず、非印字部に画像が版画されていない。
△:排出ローラーにインクが付着していないが、非印字部に画像が版画されている。
×:排出ローラーにインクが付着しており、非印字部に画像が版画されている。
また、オフセット試験の評価結果か○であったインクについては、さらに、排出ローラーの位置を最終印字位置から0.3秒の位置に変えて試験を行った。排出ローラーの位置を変更した試験において、インクが排出ローラーに付着せず、非印字部に画像が版画されなかった場合、評価を◎とした。実施例1で得た、インクセットAのオフセット性の評価を表2に記す。
〔実施例2〕
(顔料分散体セットBの調製)
顔料分散体の調製に用いる材料の質量の合計に対する、スチレン−アクリル酸共重合体樹脂の量を8質量%から5質量%に変えることの他は、顔料分散体セットAと同様にして、シアン色顔料分散体とマゼンタ色顔料分散体とを調製し、顔料分散体セットBを得た。
(インクセットBの調製)
顔料分散体セットAを顔料分散体セットBに変えることの他は、実施例1と同様にしてシアン色インクとマゼンタ色インクとからなるインクセットBを調製した。シアン色インクとマゼンタ色インクとについて、遊離樹脂の含有量を測定したところ、0.1質量%であった。実施例2で得た、インクセットBのオフセット性の評価を表2に記す。
〔実施例3〕
(インクセットCの調製)
インクセットAのシアン色インクとマゼンタ色インクとを、それぞれ、遊離樹脂量の測定と同条件にて遠心分離し、上澄み液の一部を、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,2−へキシレングリコール、2−ピロリドン、グリセリン、界面活性剤、及び水を表1に記載の割合で含む溶液と置換して、遊離樹脂の含有量が0.2質量%であるシアン色インクとマゼンタ色インクとを得た。得られたシアン色インクとマゼンタ色インクとからなるインクセットをインクセットCとした。実施例3で得た、インクセットCのオフセット性の評価結果を表2に記す。
〔比較例1〕
(インクセットDの調製)
2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールを、20℃での水への溶解度が5g/100g水を超える有機溶媒であるトリエチレングリコールモノブチルエーテルに変えることの他は、実施例1と同様にしてシアン色インクとマゼンタ色インクとからなるインクセットDを調製した。シアン色インクとマゼンタ色インクとについて、遊離樹脂の含有量を測定したところ、0.4質量%であった。比較例1で得た、インクセットDのオフセット性の評価結果を表2に記す。
〔比較例2〕
(顔料分散体セットCの調製)
顔料分散体の調製に用いる材料の質量の合計に対する、スチレン−アクリル酸共重合体樹脂の量を8質量%から9.0質量%に変えることの他は、顔料分散体セットAと同様にして、シアン色顔料分散体とマゼンタ色顔料分散体とを調製し、顔料分散体セットBを得た。
(インクセットEの調製)
顔料分散体セットAを顔料分散体セットCに変えることの他は、実施例1と同様にしてシアン色インクとマゼンタ色インクとからなるインクセットEを調製した。シアン色インクとマゼンタ色インクとについて、遊離樹脂の含有量を測定したところ、0.6質量%であった。比較例2で得たインクセットEのオフセット性の評価結果を表2に記す。
Figure 0005804724
*2:20℃での水への溶解度が5g/100g水以下である有機溶媒の含有の有無
実施例1〜3より、インクに20℃での水への溶解度が5g/100g水以下である有機溶媒を含有させ、インク中の遊離樹脂量を0.5質量%以下とすることにより、オフセットが発生しやすいラインヘッド型の記録方式のインクジェット記録装置により印字しても、オフセットの発生が良好に抑制されることが分かる。また、実施例1、及び3と実施例2との比較により、インク中の遊離樹脂量を0.1質量%程度とする場合、極めてオフセットが発生しにくくなることが分かる。
他方、比較例1によれば、インク中の遊離樹脂量を0.5質量%以下としても、インクに20℃での水への溶解度が5g/100g水以下である有機溶媒を含有させない場合、オフセットの発生を抑制できないことが分かる。また、比較例2によれば、インクに20℃での水への溶解度が5g/100g水以下である有機溶媒を含有させても、インク中の遊離樹脂量が0.5質量%を超える場合、オフセットの発生を抑制できないことが分かる。
〔実施例4〕
2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールを、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールに変えることの他は、実施例1と同様にしてシアン色インクとマゼンタ色インクとからなるインクセットFを調製した。シアン色インクとマゼンタ色インクとについて、遊離樹脂の含有量を測定したところ、0.4質量%であった。実施例4で得たインクセットFのオフセット性の評価結果を表3に記す。
〔実施例5〕
2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールを、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールに変えることの他は、実施例1と同様にしてシアン色インクとマゼンタ色インクとからなるインクセットFを調製した。シアン色インクとマゼンタ色インクとについて、遊離樹脂の含有量を測定したところ、0.4質量%であった。実施例5で得たインクセットGのオフセット性の評価結果を表3に記す。
〔比較例4〕
2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールを、ジエチレングリコールモノブチルエーテルに変えることの他は、実施例1と同様にしてシアン色インクとマゼンタ色インクとからなるインクセットHを調製した。シアン色インクとマゼンタ色インクとについて、遊離樹脂の含有量を測定したところ、0.4質量%であった。比較例4で得たインクセットHのオフセット性の評価結果を表3に記す。
〔比較例5〕
2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールを、2−メチル−2,4−ペンタンジオールに変えることの他は、実施例1と同様にしてシアン色インクとマゼンタ色インクとからなるインクセットIを調製した。シアン色インクとマゼンタ色インクとについて、遊離樹脂の含有量を測定したところ、0.4質量%であった。比較例5で得たインクセットIのオフセット性の評価結果を表3に記す。
表3に示す有機溶媒は以下の通りである。
I:2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール
II:2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール
III:2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール
VI:トリエチレングリコールモノブチルエーテル
V:ジエチレングリコールモノブチルエーテ
VI:2−メチル−2,4−ペンタンジオール
Figure 0005804724
表3によれば、実施例1、4、及び5から、インクに20℃での水への溶解度が5g/100g水以下である有機溶媒を含有させ、インク中の遊離樹脂量を0.5質量%以下とする場合、20℃での水への溶解度が5g/100g水以下である有機溶媒の種類によらず、オフセットの発生が良好に抑制されることが分かる。また、比較例1、4、及び5によれば、インク中の遊離樹脂量を0.5質量%以下とし、20℃での水への溶解度が5g/100g水より大きい有機溶媒をインクに含有させる場合、有機溶媒の分子量や構造を変化させても、オフセットの発生が抑制されないことが分かる。
2 給紙トレイ
3 給紙ローラー
4 従動ローラー
5 搬送ベルト
6 ベルト駆動ローラー
7 ベルトローラー
8 排出部
8a 排出ローラー
8b 従動ローラー
10 排紙トレイ
11C、11M、11Y、11K ラインヘッド
12a〜12p、12a’〜12p’ ノズル
20 制御部
30 検出手段
100 インクジェット記録装置
D1〜D4 ドット列(行方向)
L1〜L16 ドット列(搬送方向)
N1、N2 ノズル列
P 記録用紙

Claims (3)

  1. 少なくとも、水と、顔料及び樹脂を含む顔料分散体と、20℃での水への溶解度が5g/100g水以下である有機溶媒と、1,2−ヘキシレングリコールと、2−ピロリドンと、グリセリンとを含み、
    前記1,2−ヘキシレングリコールのインク中の含有量が、インクの質量に対して1.0〜10質量%であり、
    前記2−ピロリドンのインク中の含有量が、インクの質量に対して5〜15質量%であり、
    前記グリセリンのインク中の含有量が、インクの質量に対して10〜25質量%であり、
    インク中の遊離樹脂量がインクの質量に対して0.4質量%以下であり、
    前記20℃での水への溶解度が5g/100g水以下である有機溶媒が、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールからなる群より選択される1種以上であり、
    前記20℃での水への溶解度が5g/100g水以下である有機溶媒のインク中の含有量が、インクの質量に対して、0.01〜5.0質量%である、インクジェット記録装置用インク。
  2. 前記20℃での水への溶解度が5g/100g水以下である有機溶媒が、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールである、請求項1記載のインクジェット記録装置用インク。
  3. 前記インク中の遊離樹脂量が0.15質量%以下である、請求項1又は2記載のインクジェット記録装置用インク。
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