JP5879298B2 - インクジェット記録装置用インク及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明の一局面に係るインクジェット記録装置用インクは、少なくとも、水と、顔料分散体と、浸透剤と、非イオン系水溶性アクリル樹脂と、下記一般式(I)、(II)又は(III)で表される化合物からなる界面活性剤とを含有し、
前記浸透剤が、炭素原子数8、又は9のアルカンジオールを含み、
前記アルカンジオールの含有量が、インクの全質量に対して0.3〜1.0質量%であり、
前記界面活性剤の含有量が、インクの全質量に対して0.05〜0.5質量%であり、
前記非イオン系水溶性アクリル樹脂の含有量が、インクの全質量に対して0.05〜0.5質量%であり、
前記非イオン系水溶性アクリル樹脂が、3000〜8000の平均分子量及び疎水性セグメントを有し、かつ、水100質量%に対して0.1質量%添加した場合に水の表面張力が29〜33mN/mとなる非イオン系水溶性アクリル樹脂であることを特徴とする。
R1は、CNH2N+1であり、直鎖であっても分岐していてもよく、
Nは整数で、7≦N≦13であり、
−E−O−は、−CH2CH2−O−であり、
−P−O−は、−CH2CH(CH3)−O−であり、
n及びmは、正の数で、5≦n+m≦12であり、
n>mであり、
(−E−O−)、及び(−P−O−)からなる繰返し配列は、ランダムであってもブロックであってもよい。)
R1は、CNH2N+1であり、直鎖であっても分岐していてもよく、
Nは整数で、7≦N≦13であり、
−E−O−は、−CH2CH2−O−であり、
−P−O−は、−CH2CH(CH3)−O−であり、
X及びYは、正の数で、5≦X+Y≦12であり、
X>Yであり、
(ただし、X=X1+X2+…Xnとし、Y=Y1+Y2+…Ymとする)
(−E−O−)、及び(−P−O−)からなる繰返し配列は、ランダムであってもブロックであってもよく、
nおよびmは、(−E−O−):(−P−O−)が10:3〜5:1となるような正の数で、11>n>2、6>m>1である。)
R1は、CN1H2N1+1であり、直鎖であっても分岐していてもよく、
R2は、CN2H2N2+1であり、直鎖であっても分岐していてもよく、
N1およびN2は整数で、7≦N1+N2≦10であり、
−E−O−は、−CH2CH2−O−であり、
nは、正の数で、4≦n≦12である。)
第一実施形態に係るインクジェット記録装置用インク(以下、単にインクともいう)は、少なくとも、水と、顔料分散体と、特定の浸透剤と、特定の非イオン系水溶性アクリル樹脂と、式(I)、(II)又は(III)で表される化合物からなる界面活性剤とを含有し、インクの全質量に対して、浸透剤、及び界面活性剤を所定量含む。第一実施形態のインクは、連続印字性および印字画質に非常に優れ、かつサテライトなどの不具合の発生も抑制することができるインクジェット記録装置用インクである。これは、オリゴマーレベルの非イオン系水溶性アクリル樹脂が式(I)、(II)又は(III)で表される非イオン系界面活性剤によって、気液界面で固定化することによって、抑泡性とサテライト発生の抑制の両立を図ることができるためであると考えられる。第一実施形態のインクによれば、特に、高温時における連続吐出性を確保することができるため、非常に有利である。
第一実施形態のインクジェット記録装置用インクは、水性インクであり、水を必須に含む。インクに含まれる水は、従来から、水性インクの製造に使用されている水から、所望の純度の水を適宜選択して使用できる。第一実施形態のインクジェット記録装置用インクにおける水の含有量は、特に限定されない。水の含有量は、後述する、他の成分の使用量に応じて適宜変更される。インクにおける典型的な水の含有量としては、インクの全質量に対して20〜70質量%が好ましく、25〜60質量%がより好ましい。
第一実施形態のインクジェット記録装置用インクは、着色剤である顔料と樹脂とを含む顔料分散体を含む。
顔料分散体中に含有させることができる顔料は、従来からインクジェット記録装置用インクにおいて着色剤として使用されている顔料から適宜選択して使用できる。好適な顔料の具体例は、C.I.ピグメントイエロー74、93、95、109、110、120、128、138、139、151、154、155、173、180、185、193のような黄色顔料、C.I.ピグメントオレンジ34、36、43、61、63、71のような橙色顔料、C.I.ピグメントレッド122、202のような赤色顔料、C.I.ピグメントブルー15のような青色顔料、C.I.ピグメントバイオレット19、23、33のような紫色顔料、C.I.ピグメントブラック7のような黒色顔料を挙げることができる。
顔料分散体に含まれる樹脂は、従来から顔料分散体の製造に用いられている種々の樹脂から適宜選択して使用できる。好適な樹脂の具体例としては、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸アルキルエステル−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体が挙げられる。これらの樹脂の中では、調製が容易で、顔料の分散効果に優れることから、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸アルキルエステル−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル共重合体のようなスチレンに由来する単位と、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、又はメタクリル酸エステルに由来する単位とを含むスチレン−アクリル系樹脂が好ましい。
顔料と樹脂とを含む顔料分散体を製造する方法は、従来から知られる方法から適宜選択できる。好適な方法としては、ナノグレンミル(浅田鉄工株式会社製)、MSCミル(三井鉱山株式会社製)、ダイノミル(株式会社シンマルエンタープライゼス製)のようなメディア型湿式分散機を用いて、水等の適切な液体の媒体中で、顔料と樹脂とを混練して顔料分散体を得る方法が挙げられる。メディア型湿式分散機による処理では、小粒径のビーズを用いる。ビーズの粒径は特に限定されず、典型的には粒径0.5〜1.0mmである。また、ビーズの材質は特に限定されず、ジルコニアのような硬質の材料が使用される。
第一実施形態のインクジェット記録装置用インクは、インクの被記録媒体への浸透性を高める目的で、浸透剤を含む。浸透剤は、炭素原子数8、又は9のアルカンジオールである。インクが浸透剤として、炭素原子数8、又は9のアルカンジオールを含有することにより、所望する径及び形状のドットを形成でき、且つ、所望する画像濃度の画像を形成できる。
第一実施形態において用いられる非イオン系水溶性アクリル樹脂は、3000〜8000の平均分子量及び疎水性セグメントを有し、かつ、水100質量%に対して0.1質量%添加した場合に水の表面張力が29〜33mN/mとなることを特徴とする。
このような非イオン系水溶性アクリル樹脂と、後述の界面活性剤を併用することによって、優れた連続印字性および印字画質(印字濃度)を達成し、かつサテライトなどの不具合の発生を抑制することができる。
前記樹脂の平均分子量が3000未満となると、印字濃度が所望する値を下回るおそれがあり、8000を超えるとサテライトが発生するおそれがある。
また、前記表面張力が29mN/m未満となると、印字濃度の低下を招きであり、33mN/mを超えると、連続印字性を付与することができなくなるおそれがある。
非イオン系水溶性アクリル樹脂としては、上記特性を有する非イオン系の水溶性アクリル樹脂であれば、特に限定なく用いることができる。具体的には、例えば、親水性セグメントである、ポリエチレングリコール・アクリレート(PEGA)、メタクリル酸メチル(MMA)、アクリル酸メチル(MA)、アクリル酸エチル(EA)、メタクリル酸エチル(EMA)等と、疎水性セグメントである、ステアリルアクリレート(SA)、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレートを、適宜重合させて得られたアクリル系樹脂が挙げられる。使用する親水性セグメントおよび/または疎水性セグメントの配合比や種類の選択、並びに平均分子量の調整によって、上記表面張力を調整することができる。
第一実施形態に係るインクジェット記録装置用インクは、下記一般式(I)、(II)又は(III)で表される化合物からなる界面活性剤を含む。界面活性剤として、下記一般式(I)〜(III)で表される化合物を、複数組み合わせて用いることもできる。
R1は、CNH2N+1であり、直鎖であっても分岐していてもよく、
Nは整数で、7≦N≦13であり、
−E−O−は、−CH2CH2−O−であり、
−P−O−は、−CH2CH(CH3)−O−であり、
n及びmは、正の数で、5≦n+m≦12であり、
n>mであり、
(−E−O−)、及び(−P−O−)からなる繰返し配列は、ランダムであってもブロックであってもよい。)
R1は、CNH2N+1であり、直鎖であっても分岐していてもよく、
Nは整数で、7≦N≦13であり、
−E−O−は、−CH2CH2−O−であり、
−P−O−は、−CH2CH(CH3)−O−であり、
X及びYは、正の数で、5≦X+Y≦12であり、
X>Yであり、
(ただし、X=X1+X2+…Xnとし、Y=Y1+Y2+…Ymとする)
(−E−O−)、及び(−P−O−)からなる繰返し配列は、ランダムであってもブロックであってもよく、
nおよびmは、(−E−O−):(−P−O−)が10:3〜5:1となるような正の数で、11>n>2、6>m>1である。)
R1は、CN1H2N1+1であり、直鎖であっても分岐していてもよく、
R2は、CN2H2N2+1であり、直鎖であっても分岐していてもよく、
N1およびN2は整数で、7≦N1+N2≦10であり、
−E−O−は、−CH2CH2−O−であり、
nは、正の数で、4≦n≦12である。)
溶解安定剤は、インクに含まれる成分を相溶化してインクの溶解状態を安定化させる成分である。溶解安定剤の具体例としては、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、及びγ−ブチロラクトン等が挙げられる。これらの溶解安定剤は2種以上を組み合わせて用いることができる。インクが溶解安定剤を含有する場合、溶解安定剤の含有量は、インクの全質量に対して1〜20質量%が好ましく、3〜15質量%がより好ましい。
保湿剤は、インクからの液体成分の揮発を抑制してインクの粘性を安定化させる成分である。保湿剤の具体例は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールのようなポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオールのようなアルキレングリコール類;グリセリンである。これらの、保湿剤の中では、水等の液体成分の揮発の抑制効果に優れることからグリセリンがより好ましい。保湿剤は2種以上を組み合わせて用いることができる。インクが保湿剤を含有する場合、保湿剤の含有量は、インクの全質量に対して2〜30質量%が好ましく、10〜25質量%がより好ましい。
インクの製造方法は、水、顔料分散体、浸透剤、非イオン系水溶性アクリル樹脂、及び式(I)、(II)または(III)で表される化合物からなる界面活性剤に対して、必要に応じて溶解安定剤、及び保湿剤を加えた後に、これらのインク成分を均一に混合することができれば特に限定されない。インクジェット記録装置用インクの製造方法の具体例としては、インクの各成分を混合機により均一に混合した後、孔径10μm以下のフィルターにより異物や粗大粒子を除去する方法が挙げられる。なお、インクジェット記録装置用インクを製造する際には、水、顔料分散体、保湿剤、浸透剤、非イオン系水溶性アクリル樹脂、及び式(I)、(II)または(III)で表される化合物からなる界面活性剤に対して、必要に応じて溶解安定剤等の有機溶媒の他の液体成分や、酸化防止剤、粘度調整剤、pH調整剤、防腐防カビ剤等の、従来、インクジェット記録装置用インクに加えられている種々の添加剤を加えることができる。また、第一実施形態のインクには、式(I)〜(III)以外で表される化合物の他の界面活性を加えてもよい。
次に、第一実施形態に係るインクジェット記録装置用インクを用いて、インクジェット記録装置により画像を形成する、画像形成方法について説明する。第二実施形態に係る画像形成方法で用いるインクジェット記録装置の記録方式は、特に限定されず、記録ヘッドが被記録媒体上を走査しながら記録を行うシリアル型であっても、装置本体に固定された記録ヘッドにより記録を行うラインヘッド型であってもよい。第二実施形態に係る画像形成方法で用いるインクジェット記録装置としては、画像形成の高速性の点からラインヘッド型の記録ヘッドを備える記録装置が好ましく、被記録媒体を搬送する方向に対して垂直方向に設置された長尺のラインヘッドを備える記録装置がより好ましい。
(スチレン−アクリル樹脂の製造)
顔料分散体の調製に用いるスチレン−アクリル樹脂を以下の手順により製造した。
1000ml四つ口フラスコに、スターラー、窒素導入管、コンデンサー、滴下ロートをセットし、イソプロピルアルコール100g、メチルエチルケトン300gをフラスコに加え、窒素ガスをバブリングしながら加熱還流した。滴下ロートに、メタクリル酸メチル40g、スチレン40g、アクリル酸ブチル10g、メタクリル酸10g及び開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.4gを混合溶解したものを入れ、約2時間かけ70℃加熱還流させた状態で、滴下した。滴下後、さらに6時間加熱還流し、更に、AIBNを0.2g含むメチルエチルケトン溶液を、15分かけ滴下した。この後さらに5時間加熱還流し、分子量20000のスチレン−アクリル樹脂を得た。得られたスチレン−アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)を、ゲルろ過クロマトグラフィー(HLC−8020GPC(東ソー株式会社製))を用いて下記条件により確認した。また、得られた樹脂の酸価を滴定により確認したところ、100mgKOH/gであった。
カラム:TSKgel、Super Multipore HZ−H(東ソー株式会社製、4.6mmID×15cm)
カラム本数:3本
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.35ml/分
サンプル注入量:10μl
測定温度:40℃
検出器:IR検出器
検量線は、標準試料(TSK standard,polystyrene、東ソー株式会社製)から、F−40、F−20、F−4、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、及びn−プロピルベンゼンの8種を選択して作成した。
(顔料分散体の製造)
シアン色顔料としてフタロシアニンブルー15:3(FG−7330、東洋インキ(株)製)を用いた。顔料分散体の調製に用いる材料の質量の合計に対して、顔料15質量%、製造例1で得たスチレン−アクリル樹脂6.0質量%、及び1,2−オクタンジオール0.2質量%と、残余の水(イオン交換水)とを、ダイノミル(マルチラボ,ベッセル容量0.6L(株式会社シンマルエンタープライゼス製))に仕込んだ。次いで、スチレン−アクリル樹脂の中和に必要な量の水酸化カリウムをダイノミルに加えた。その後、ベッセル容量に対して70%となるように、ビーズ径0.5mmのジルコニアビーズをメディアとしてダイノミルに充填して、水冷しながら、10℃、周速8m/sの条件で顔料とスチレン−アクリル樹脂とを混練した。なお、樹脂Aは中和等量の105%のNaOH水溶液で中和した。また、Naの質量は樹脂の質量として計算し、NaOH水溶液に含まれる水や中和反応で生じた水の質量はイオン交換水の質量として計算した。得られた顔料分散体を、イオン交換水を用いて300倍に希釈して、動的光散乱式粒径分布測定装置(ゼータサイザー ナノ(シスメックス株式会社製))により顔料の体積平均粒径D50を測定し、顔料の体積平均粒径が70〜130nmの範囲となっていることを確認した。
(非イオン系水溶性アクリル樹脂C)
ポリエチレングリコール・アクリレート(PEGA)60質量部、ブチルアクリレート(BA)15質量部、ラウリルアクリレート(LA)15質量部、メタクリル酸メチル(MMA)10質量部を、1000ml四つ口フラスコに、スターラー、窒素導入管、コンデンサー、滴下ロートをセットし、イソプロピルアルコール100質量部、メチルエチルケトン300質量部をフラスコに加え、窒素ガスをバブリングしながら加熱還流した。滴下ロートに、 ポリエチレングリコール・アクリレート(PEGA)60質量部、ブチルアクリレート(BA)15質量部、ラウリルアクリレート(LA)15質量部、メタクリル酸メチル(MMA)10質量部及び開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.4gを混合溶解したものを入れ、約2時間かけ70℃加熱還流させた状態で、滴下した。滴下後、さらに6時間加熱還流し、更に、AIBNを0.2g含むメチルエチルケトン溶液を、15分かけ滴下した。この後さらに5時間加熱還流して、非イオン系水溶性アクリル樹脂Cを得た。
水100質量%に、得られた樹脂が0.1質量%となるように添加し、表面張力を測定したところ、30.6mN/mであった。また、得られた樹脂の分子量は4000であった。
実施例1〜4及び比較例1〜2では、下記組成1における界面活性剤の種類(表1参照)のみ変更してインクを調製した。具体的には、下記組成1の材料を撹拌機(スリーワンモーター BL−600(アズワン株式会社製))により回転数400rpmで撹拌して均一に混合した後、孔径5μmのフィルターによりろ過して、実施例1〜4及び比較例1〜2のインクを得た。
製造例2で得た顔料分散体:40質量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル:4.5質量%
2−ピロリドン(溶解安定剤):5.0質量%
界面活性剤1〜6:0.4質量%
製造例3で得た非イオン系水溶性アクリル樹脂C:0.4質量%
1,2−オクタンジオール:0.6質量%
グリセリン:15質量%
1,3−プロパンジオール:15質量%
イオン交換水:残余の量
印字濃度の評価は、評価機として画像形成装置(京セラドキュメントソリューションズ製試験機)を用いて、従来の室温の実験に加えて、ヘッド温度を40℃に加温した後、その温度下でインクを吐出させた。印字率5%となるような用紙搬送方向に垂直方向の用紙幅のベタ画像(全ノズルを使用した帯画像)を用紙に印刷し、1時間後にノズルチェックパターン(1ノズル:8pl、印字速度、駆動周波数 20kHz)にて全ノズルが吐出できたのかを確認した。評価としては、不吐出やよれ(着弾位置づれ)がない場合○、
1ノズルでも不吐出やよれが認められた場合は×とした。
印字濃度の評価は、評価機として画像形成装置(京セラドキュメントソリューションズ製試験機)を用いて、25℃、60%RH環境下で形成されたベタ画像の濃度について行った。被記録媒体として普通紙(A4、PPC用紙、C2(富士ゼロックス株式会社製))を用い、記録ヘッドから、被記録媒体へ吐出するインクの量が11pL(1画素当たり)となるように10cm×10cmのベタ画像を形成した。形成画像の画像濃度をポータブル反射濃度計RD−19(グレタグマクベス社製)を用いて測定し、ベタ画像内の10箇所の画像濃度の平均値を画像濃度とした。画像濃度を、以下の基準により判定した。
○(合格):画像濃度1.10以上
×(不合格):画像濃度1.10未満
1ノズル8plになるように吐出量を設定し、横1ドットラインを光沢紙に印字させ、1ドットが分滴していなければ○、分滴している場合は×とした。
・界面活性剤1:ソフタノールEP 7025(日本触媒(株)製)
(式(I)で示される化合物で、分岐アルキルタイプのC12H25、n=7、m=2)
・界面活性剤2:式(I)で示される化合物(N=7(直鎖)、n=5、m=1)
・界面活性剤3:式(II)で示される化合物(N=7(直鎖)、X=5(X1=1、X2=3)、Y=2(Y1=Y2=1))
・界面活性剤4:式(III)で示される化合物(N1=5、n=8、N2=3)
・界面活性剤5:アセチレングリコール サーフィノール440(日信化学製)
・界面活性剤6:ソフタノール90 (日本触媒製)
一方、本発明には属さない界面活性剤を用いた比較例1および2では、非イオン系水溶性アクリル樹脂を含んでいるため、印字濃度については所望する値を上回ったものの、連続吐出性(特に、40℃におけるもの)に劣り、サテライトの発生も見られた。
実施例5〜6及び比較例3〜6では、界面活性剤をそれぞれ界面活性剤7〜12に変更し、それ以外は実施例1と同様にして、実施例5〜6及び比較例3〜6のインクを得た。
他方、(EO)リッチになりすぎると、浸透性が低下するために印字濃度が所望する値を下回った(比較例3)。また、R1が短すぎる場合には、連続吐出性が低下し(比較例4)、逆に長すぎるとサテライトが発生することがわかった(比較例5)。そして、EOがPOより短いと、顕著に表面張力が下がるため、連続吐出性やサテライトにおいて劣ることもわかった(比較例6)。
実施例7〜8及び比較例7〜11では、界面活性剤をそれぞれ界面活性剤13〜19に変更し、それ以外は実施例1と同様にして、実施例7〜8及び比較例7〜11のインクを得た。
それに対し、R1が短すぎる場合には、連続吐出性が低下し(比較例7)、逆に長すぎるとサテライトが発生することがわかった(比較例8)。また、(EO)(PO)のユニットが短すぎても連続吐出性に劣ることもわかった(比較例9)。そして、EOがPOより短いと、顕著に表面張力が下がるため、連続吐出性やサテライトにおいて劣ることもわかった(比較例10)。また、(EO)リッチになりすぎると、浸透性が低下するために印字濃度が所望する値を下回った(比較例11)。
実施例9及び比較例12〜15では、界面活性剤をそれぞれ界面活性剤20〜24に変更し、それ以外は実施例1と同様にして、実施例9及び比較例12〜15のインクを得た。
それに対し、R1が短すぎる場合には、連続吐出性が低下し(比較例12)、逆に長すぎるとサテライトが発生することがわかった(比較例13)。また、(EO)鎖が短いと表面張力が下がるため、印字濃度に劣り、サテライトが発生することがわかった(比較例14)。一方(EO)が長過ぎても連続吐出性が低下することもわかった(比較例15)。
実施例10〜12及び比較例16〜17では、インク全質量に対する界面活性剤13(式(II)で示される化合物)の添加量(含有量)を下記表8にように変更し、それ以外は実施例7と同様にして、実施例10〜12及び比較例16〜17のインクを得た。
それに対し、0.05質量%未満となる場合は連続吐出性に劣り(比較例16)、0.5質量%を超える場合はサテライトが発生することがわかった(比較例17)。
実施例13〜16及び比較例18〜19では、インク全質量に対する界面活性剤20(式(III)で示される化合物)の添加量(含有量)を下記表9にように変更し、それ以外は実施例9と同様にして、実施例13〜16及び比較例18〜19のインクを得た。
それに対し、0.05質量%未満となる場合は連続吐出性に劣り(比較例18)、0.5質量%を超える場合はサテライトが発生することがわかった(比較例19)。
(非イオン系水溶性アクリル樹脂A、B、DおよびE)
各成分の配合を下記表10に示すように変更した以外は、製造例3と同様にして非イオン系水溶性アクリル樹脂を製造した。
それぞれの表面張力およびそれぞれが有する疎水性セグメントの分子量も合わせて表10に示す。なお、表中のジョンクリル680は市販(BASF社製)の樹脂である。
実施例17〜18及び比較例20〜24では、下記組成2におけるアクリル樹脂の種類(表10参照)のみ変更して、実施例1と同様の方法でインクを調製した。
製造例2で得た顔料分散体:40質量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル:4.5質量%
2−ピロリドン(溶解安定剤):5.0質量%
界面活性剤1:0.4質量%
表10記載の非イオン系水溶性アクリル樹脂:0.4質量%
1,2−オクタンジオール:0.6質量%
グリセリン:15質量%
1,3−プロパンジオール:15質量%
イオン交換水:残余の量
それに対し、非イオン系水溶性アクリル樹脂を含まない場合、連続吐出性に劣り、印字濃度も所望する値を下回った(比較例20)。また、表面張力が33mN/mを超える樹脂を用いた場合は、連続印字性に劣っていた(比較例21、22、24)。また水に不溶の樹脂を用いると、印字濃度が所望する値を下回り、サテライトの発生が見られた(比較例23)。
実施例19〜21及び比較例25〜26では、非イオン系水溶性アクリル樹脂をそれぞれ非イオン系水溶性アクリル樹脂D−1〜D−5に変更し、それ以外は実施例17と同様にして、実施例19〜21及び比較例25〜26のインクを得た。なお、非イオン系水溶性アクリル樹脂D−1〜D−5は組成は非イオン系水溶性アクリル樹脂Dと同じで、表面張力および平均分子量を下記表12に示すように変更した樹脂である。
実施例22〜24及び比較例27〜28では、非イオン系水溶性アクリル樹脂Cの添加量(含有量)を下記表13にように変更し、それ以外は実施例9と同様にして、実施例22〜24及び比較例27〜28のインクを得た。
それに対し、0.05質量%未満となる場合は連続吐出性に劣りさらに印字濃度が所望する値を下回った(比較例27)、0.5質量%を超える場合は印字濃度が所望する値を下回り、サテライトが発生することがわかった(比較例28)。
参考例1〜6では、非イオン系水溶性アクリル樹脂を含有させず、界面活性剤1〜6を用いた以外は実施例1と同様にして参考例1〜6のインクを得た。また、参考例7では、非イオン系水溶性アクリル樹脂も界面活性剤も含まないこと以外は実施例1と同様にして参考例7のインクを得た。
3 給紙ローラー
4 従動ローラー
5 搬送ベルト
6 ベルト駆動ローラー
7 ベルトローラー
8 排出部
8a 排出ローラー
8b 従動ローラー
10 排紙トレイ
11C、11M、11Y、11K ラインヘッド
12a〜12p、12a’〜12p’ ノズル
20 制御部
30 検出手段
100 インクジェット記録装置
D1〜D4 ドット列(行方向)
L1〜L16 ドット列(搬送方向)
N1、N2 ノズル列
P 記録用紙
Claims (5)
- 少なくとも、水と、顔料分散体と、浸透剤と、非イオン系水溶性アクリル樹脂と、下記一般式(I)、(II)又は(III)で表される化合物からなる界面活性剤とを含有し、
前記浸透剤が、炭素原子数8、又は9のアルカンジオールを含み、
前記アルカンジオールの含有量が、インクの全質量に対して0.3〜1.0質量%であり、
前記界面活性剤の含有量が、インクの全質量に対して0.05〜0.5質量%であり、
前記非イオン系水溶性アクリル樹脂の含有量が、インクの全質量に対して0.05〜0.5質量%であり、
前記非イオン系水溶性アクリル樹脂が、3000〜8000の平均分子量及び疎水性セグメントを有し、かつ、水100質量%に対して0.1質量%添加した場合に水の表面張力が29〜33mN/mとなる非イオン系水溶性アクリル樹脂である、インクジェット記録装置用インク。
R1は、CNH2N+1であり、直鎖であっても分岐していてもよく、
Nは整数で、7≦N≦13であり、
−E−O−は、−CH2CH2−O−であり、
−P−O−は、−CH2CH(CH3)−O−であり、
n及びmは、正の数で、5≦n+m≦12であり、
n>mであり、
(−E−O−)、及び(−P−O−)からなる繰返し配列は、ランダムであってもブロックであってもよい。)
R1は、CNH2N+1であり、直鎖であっても分岐していてもよく、
Nは整数で、7≦N≦13であり、
−E−O−は、−CH2CH2−O−であり、
−P−O−は、−CH2CH(CH3)−O−であり、
X及びYは、正の数で、5≦X+Y≦12であり、
X>Yであり、
(ただし、X=X1+X2+…Xnとし、Y=Y1+Y2+…Ymとする)
(−E−O−)、及び(−P−O−)からなる繰返し配列は、ランダムであってもブロックであってもよく、
nおよびmは、(−E−O−):(−P−O−)が10:3〜5:1となるような正の数で、11>n>2、6>m≧1である。)
R1は、CN1H2N1+1であり、直鎖であっても分岐していてもよく、
R2は、CN2H2N2+1であり、直鎖であっても分岐していてもよく、
N1およびN2は整数で、7≦N1+N2≦10であり、
−E−O−は、−CH2CH2−O−であり、
nは、正の数で、4≦n≦12である。) - 前記アルカンジオールが、1,2−オクタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,1、3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、及び2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールからなる群より選択される1以上の化合物である、請求項1に記載のインクジェット記録装置用インク。
- 請求項1または2に記載のインクジェット記録装置用インクを用いて、インクジェット記録装置により画像を形成する、画像形成方法。
- 画像を形成する際に、被記録媒体を加熱しない、請求項3に記載の画像形成方法。
- 前記インクジェット記録装置の記録方式がラインヘッド型の記録方式である、請求項3又は4に記載の画像形成方法。
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