JP6319159B2 - インクジェット記録液 - Google Patents
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Description
(インクの基本構成)
インクは、0.4質量%以上2.0質量%以下の割合でソルビトールを含有する。また、インクは、0.2質量%以上0.5質量%以下の割合でN−メチルジエタノールアミンをさらに含有する。
インクに含有される溶剤としては、水を含む液を使用することが好ましく、水と、グリセリン及び/又はグリコールと、アルコール及び/又はグリコールエーテルとを含む混合液を使用することがより好ましい。グリセリン及び/又はグリコールをインクに含有させることで、インクの乾燥を抑制することが可能になる。また、アルコール及び/又はグリコールエーテルをインクに含有させることで、記録シートに対するインクの浸透性を向上させることが可能になる。グリコールエーテルの好適な例としては、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、又はジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルが挙げられる。適切な粘度を有するインクを調製するためには、インクにおける水の量が、インク全質量に対して20質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
本実施形態に係るインクでは、着色剤として顔料分散体を使用する。顔料分散体は、複数の顔料粒子を含む。複数の顔料粒子はそれぞれ、樹脂に覆われている。顔料粒子が樹脂に覆われていることで、顔料粒子同士の凝集が抑制される。なお、インク中には、顔料粒子に付着している樹脂(以下、被覆樹脂と記載する)に加えて、顔料粒子に付着していない樹脂(以下、分散樹脂と記載する)が存在していてもよい。インク中には、樹脂で覆われる顔料粒子に加えて、樹脂で覆われない顔料粒子が存在していてもよい。顔料粒子同士の凝集を好適に抑制するためには、顔料分散体における樹脂の使用量(被覆樹脂及び分散樹脂の合計量)が、顔料100質量部に対して15質量部以上100質量部以下であることが好ましい。また、記録ヘッドのミスト汚染を抑制するためには、インク中の樹脂における被覆樹脂の割合が95質量%以上100質量%未満であることが好ましい。
顔料粒子は、実質的に顔料から構成される。インクの色濃度、色相、又は安定性を向上させるためには、顔料粒子の体積中位径(D50)が30nm以上200nm以下であることが好ましい。インクにより形成される画像のオフセットを抑制しつつ画像濃度を向上させるためには、インクにおける着色剤の量が、インク全質量に対して4質量%以上8質量%以下であることが好ましい。
本実施形態に係るインクでは、顔料粒子を覆う樹脂の酸価が100mgKOH/g以上180mgKOH/g以下である。こうした酸価を有する樹脂を調製するためには、顔料粒子を覆う樹脂の少なくとも1種が、スチレン系モノマーに由来する1種以上の繰返し単位と、アクリル酸系モノマーに由来する1種以上の繰返し単位とを含む共重合体(スチレン−アクリル酸系共重合体)であることが好ましい。スチレン−アクリル酸系共重合体の好適な例としては、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸アルキルエステル−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、又はビニルナフタレン−マレイン酸共重合体が挙げられる。
本実施形態に係るインクは、界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤は、分子内に親水性基及び疎水性基を有する化合物である。記録ヘッドのミスト汚染を抑制するためには、ノニオン界面活性剤をインクに含有させることが好ましい。
以下、上記構成を有する本実施形態に係るインクを製造する方法の一例について説明する。
(画像濃度)
評価機として、記録ヘッド(ラインヘッド)を備えるインクジェット記録装置(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製の試作実験機)を用いた。評価機の記録ヘッドに試料(インク)を充填し、記録ヘッドから吐出されるインクの量がインク一滴あたり11pLになるように、評価機を調整した。
評価機として、クリーニングされた状態の記録ヘッド(ラインヘッド)を備えるインクジェット記録装置(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製の試作実験機)を用いた。評価機のワイピングブレードの先端に試料(インク)0.1gを乗せて、常温(約25℃)で10分間静置した。続けて、洗浄液0.3mLの条件でワイピング(往路ワイピング)を実行した。これにより、ワイピングブレード上の試料が記録ヘッドのノズル面に付着して、記録ヘッドのノズル面上に薄いインク塗布膜が形成された。続けて、インク塗布膜が形成された記録ヘッドを、温度45℃で4日間静置した。続けて、洗浄液0.3mLの条件でワイピング(復路ワイピング)を実行した。その後、記録ヘッドのノズル面の汚れを目視し、記録ヘッドのノズル面に付着したインクが拭き取られていれば試料(インク)の拭き取り性は「○(良い)」と評価し、記録ヘッドのノズル面に付着したインクが拭き取られていなければ試料(インク)の拭き取り性は「×(良くない)」と評価した。
シャーレに試料(インク)2gを入れて、シャーレごと試料を恒温器に入れた。続けて、試料に含まれる水分の量が84質量%になるまで恒温器内で試料を乾燥した。そして、レオメーター(Anton Paar社製「MCR−301」)を用いて、回転周波数10kHzの条件で、乾燥後の試料の粘度(含水率84質量%のインクの粘度)を測定した。
測定装置として、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)装置(東ソー株式会社製「HLC−8020GPC」)を用いた。試料(例えば、樹脂)を測定装置に注入し、下記測定条件でゲルろ過クロマトグラフィーを行って、クロマトグラムを得た。得られたクロマトグラムと、予め作成した検量線とに基づいて、試料のMw(質量平均分子量)を求めた。なお、検量線は、東ソー株式会社製のTSKgel標準ポリスチレンから、F−40、F−20、F−4、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、及びn−プロピルベンゼンの8種を選択して作成した。
(測定条件)
・カラム:東ソー株式会社製「TSKgel SuperMultiporeHZ−H」(4.6mmI.D.×15cmのセミミクロカラム)
・カラム本数:3本
・溶離液:テトラヒドロフラン
・流速:0.35mL/分
・サンプル注入量:10μL
・測定温度:40℃
・検出器:IR(赤外吸収分析)検出器
評価1に係るインクA−1〜A−4ではそれぞれ、表1中の「グリコールエーテル」として、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(3質量%)と、トリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル(3質量%)とを使用した。また、表1中の「アミン化合物」として、N−メチルジエタノールアミン(表4に示されるアミン化合物A)を使用した。また、表1中、「X」(アミン化合物の量)を0.3質量%、「Y」(1,2−オクタンジオールの量)を0.7質量%、「Z」(潮解剤の量)を1質量%とした。また、表2中の「樹脂」として、以下に示される方法で合成されたスチレン−アクリル酸系樹脂(表3に示される樹脂A)を使用した。
(顔料分散液の調製)
容量1000mLの四つ口フラスコに、スターラー、窒素導入管、コンデンサー(攪拌機)、及び滴下ロートをセットした。続けて、フラスコ内に、イソプロピルアルコール100g及びメチルエチルケトン300gを入れた。そして、フラスコ内容物について、窒素ガスでバブリングしながら温度70℃で加熱還流を行った。
顔料分散液(前述の手順で調製した顔料分散液A)40質量部と、ジエチレングリコールモノエチルエーテル3質量部と、トリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル3質量部と、2−ピロリドン5質量部と、ノニオン界面活性剤(表1に示されるアクリル酸系オリゴマー)0.5質量部と、N−メチルジエタノールアミン(表4に示されるアミン化合物A)0.3質量部と、1,2−オクタンジオール0.7質量部と、グリセリン10質量部と、1,3−プロパンジオール10質量部と、ソルビトール(表5に示される潮解剤A)1質量部と、イオン交換水26.5質量部とを、攪拌機(新東科学株式会社製「スリーワンモーター BL−600」)を用いて回転速度400rpmで攪拌して均一に混合した。続けて、得られた混合液を、孔径5μmのフィルターを用いてろ過して、混合液中の異物及び粗大粒子を除去した。その結果、インクA−1が得られた。
インクA−2及びA−3の製造方法はそれぞれ、潮解剤としてソルビトールの代わりに次に示す化合物を使用した以外は、インクA−1の製造方法と同じであった。インクA−2の製造では、トリメチロールプロパン(表5に示される潮解剤B)を使用した。インクA−3の製造では、マルトテトラオース(表5に示される潮解剤C)を使用した。また、インクA−4の製造方法は、潮解剤を使用しなかった以外は、インクA−1の製造方法と同じであった。
インクA−1〜A−4の各々についての評価結果を、表6に示す。
評価2に係るインクB−1〜B−4ではそれぞれ、表1中の「グリコールエーテル」として、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(3質量%)と、トリエチレングリコールモノイソブチルエーテル(3質量%)とを使用した。また、表1中の「潮解剤」として、ソルビトール(表5に示される潮解剤A)を使用した。また、表1中、「X」(アミン化合物の量)を0.3質量%、「Y」(1,2−オクタンジオールの量)を0.7質量%、「Z」(潮解剤の量)を1質量%とした。また、表2中の「樹脂」として、スチレン−アクリル酸系樹脂(表3に示される樹脂A)を使用した。
インクB−1〜B−4の製造方法はそれぞれ、トリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルに代えてトリエチレングリコールモノイソブチルエーテルを使用した以外は、インクA−1の製造方法と概ね同じであった。ただし、インクB−2の製造では、アミン化合物としてN−メチルジエタノールアミンの代わりに2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール(表4に示されるアミン化合物B)を使用した。インクB−3の製造では、アミン化合物としてN−メチルジエタノールアミンの代わりに2−(ジメチルアミノ)エタノール(表4に示されるアミン化合物C)を使用した。また、インクB−4の製造方法では、アミン化合物を使用しなかった。
インクB−1〜B−4の各々についての評価結果を、表7に示す。
評価3に係るインクC−1〜C−4ではそれぞれ、表1中の「グリコールエーテル」として、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(3質量%)と、トリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル(3質量%)とを使用した。また、表1中の「アミン化合物」として、N−メチルジエタノールアミン(表4に示されるアミン化合物A)を使用した。また、表1中の「潮解剤」として、ソルビトール(表5に示される潮解剤A)を使用した。また、表1中、「Y」(1,2−オクタンジオールの量)を0.7質量%、「Z」(潮解剤の量)を1質量%とした。また、表2中の「樹脂」として、スチレン−アクリル酸系樹脂(表3に示される樹脂A)を使用した。
インクC−1〜C−4の製造方法はそれぞれ、表1中の「X」(アミン化合物の量)を0.3質量%から表8に示すように変更した以外は、インクA−1の製造方法と同じであった。
インクA−1及びC−1〜C−4の各々についての評価結果を、表8に示す。なお、インクA−1についての評価結果は、表6に示した評価結果と同じである。
評価4に係るインクD−1〜D−3ではそれぞれ、表1中の「グリコールエーテル」として、トリエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(6質量%)を使用した。また、表1中の「アミン化合物」として、N−メチルジエタノールアミン(表4に示されるアミン化合物A)を使用した。また、表1中の「潮解剤」として、ソルビトール(表5に示される潮解剤A)を使用した。また、表1中、「X」(アミン化合物の量)を0.3質量%、「Y」(1,2−オクタンジオールの量)を0.7質量%、「Z」(潮解剤の量)を1質量%とした。
インクD−1〜D−3の製造方法はそれぞれ、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びトリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルに代えてトリエチレングリコールモノイソプロピルエーテルを使用し、表2中の「樹脂」として、表3に示される樹脂A(スチレン−アクリル酸系樹脂)の代わりに、表3に示される樹脂B−1〜B−3(スチレン−アクリル酸系樹脂)を使用した以外は、インクA−1の製造方法と同じであった(詳しくは、後述する表9参照)。樹脂B−1〜B−3の各々の合成方法は、樹脂の分子量及び酸価が表3に示される値になるように、樹脂の合成に使用した材料(モノマー)の配合比、及び重合条件(より具体的には、重合温度、重合時間、及び開始剤の使用量等)を調整した以外は、樹脂Aの合成方法と同じであった。
インクD−1〜D−3の各々についての評価結果を、表9に示す。
評価5に係るインクE−1〜E−5ではそれぞれ、表1中の「グリコールエーテル」として、ジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル(6質量%)を使用した。また、表1中の「アミン化合物」として、N−メチルジエタノールアミン(表4に示されるアミン化合物A)を使用した。また、表1中の「潮解剤」として、ソルビトール(表5に示される潮解剤A)を使用した。また、表1中、「X」(アミン化合物の量)を0.3質量%、「Y」(1,2−オクタンジオールの量)を0.7質量%とした。
インクE−1〜E−5の製造方法はそれぞれ、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びトリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルに代えてジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルを使用し、表1中の「Z」(潮解剤の量)を1質量%から表10に示すように変更した以外は、インクA−1の製造方法と同じであった。
インクE−1〜E−5の各々についての評価結果を、表10に示す。
Claims (6)
- 液中に、それぞれ樹脂で覆われた複数の顔料粒子が分散しているインクジェット記録液であって、
0.4質量%以上2.0質量%以下の割合でソルビトールを含有し、
0.2質量%以上0.5質量%以下の割合でN−メチルジエタノールアミンをさらに含有し、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、及びジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールからなる群より選択される1種以上のモノマーに由来する親水性基と、炭素数12以上20以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、及び(メタ)アクリル酸ベンジルからなる群より選択される1種以上のモノマーに由来する疎水性基とを有するノニオン界面活性剤をさらに含有する、インクジェット記録液。 - 前記樹脂の酸価は100mgKOH/g以上180mgKOH/g以下である、請求項1に記載のインクジェット記録液。
- 前記樹脂は、スチレン系モノマーに由来する1種以上の繰返し単位と、アクリル酸系モノマーに由来する1種以上の繰返し単位とを含む共重合体である、請求項1又は2に記載のインクジェット記録液。
- 前記樹脂の質量平均分子量は15000以上40000以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録液。
- 1,2−オクタンジオールをさらに含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録液。
- 乾燥させて前記インクジェット記録液の質量を84%まで減じた状態での前記インクジェット記録液の粘度が100Pa・s以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録液。
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