JP6677151B2 - インクジェット記録用インクセット、カートリッジ、及び画像形成方法 - Google Patents

インクジェット記録用インクセット、カートリッジ、及び画像形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、インクジェット記録用インクセットと、カートリッジと、画像形成方法とに関する。
インクジェット法による画像形成方法が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載のインク組成物は、顔料と、水と、アクリルアミド構造を有する重合性化合物と、重合開始剤と、所定のSP値を有する糖アルコールとを含有する。
特開2013−53173号公報
インクジェット法による画像形成方法では、インクを記録ヘッドの吐出面から記録媒体へ吐出する。記録ヘッドには、多数のノズルが形成されており、ノズルの各々は、吐出面で開口している。そのため、インクは、ノズルの開口(吐出口)から記録媒体へ吐出される。
インクが吐出口から記録媒体へ吐出されると、吐出面がインクで汚染されることがあり、その結果、インクが吐出面で乾燥して吐出面に固着することがある。吐出面への洗浄液の供給と、パージ動作と、ワイプ動作とを行えば、固着したインク(以下、「固着インク」と記載することがある)を吐出面から除去できる。これにより、固着インクが吐出口を塞ぐことを防止できる。よって、インクの吐出性能の低下を防止できる。例えば、インクが吐出され難くなることを防止できる。また、インクが所望の吐出方向とは異なる方向に吐出されることを防止できる。なお、「パージ動作」は、インクを加圧して吐出口から排出させる動作を意味する。以下、パージ動作で排出されるインクを「パージインク」と記載することがある。また、「ワイプ動作」は、吐出面を払拭する動作を意味し、パージ動作よりも後に行われる。
長期間(例えば1週間以上)にわたってインクを吐出しない場合には、ワイプ動作の後にキャップ動作を行う。「キャップ動作」は、吐出口を密閉する動作を意味する。キャップ動作を行えば、吐出口が密閉されるため、ノズル内のインクが乾燥することを防止できる。これにより、ノズルで目詰まりが起こることを防止できる。よって、吐出口の密閉状態を解除する動作(以下、「アンキャップ動作」と記載する)の後にインクの吐出を再開したときには、インクの吐出性能の低下を招くことなく画像形成を行うことができる。
しかしながら、ワイプ動作においてインクの拭き残りが発生すると、インクが吐出面で乾燥して増粘することがある。増粘したインク(以下、「増粘インク」と記載することがある)が吐出面に存在する状態でキャップ動作を行うと、増粘インクが吐出口の密閉を阻害することがある。吐出口の密閉が阻害されると、ノズル内のインクが乾燥し易くなるため、ノズルで目詰まりが起こることがある。そのため、アンキャップ動作の後にインクの吐出の再開を試みたときに、インクの吐出性能が低下することがある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、アンキャップ動作後においても水性インクの吐出性能を維持可能なインクセットの提供と、アンキャップ動作後においても水性インクの吐出性能を維持可能なカートリッジの提供と、アンキャップ動作後においても水性インクの吐出性能を維持可能なインクセットを用いた画像形成方法の提供とを目的とする。
本発明に係るインクジェット記録用インクセットは、水性インクと、水性洗浄液とを有する。前記水性インクと、前記水性洗浄液とは、各々、潮解剤を含有する。前記水性インクにおける前記潮解剤の含有量は、0.10質量%以上7.0質量%以下である。前記水性洗浄液における前記潮解剤の含有量は、0.10質量%以上10質量%以下である。前記水性洗浄液は、両性界面活性剤をさらに含有する。
本発明に係るカートリッジは、上記構成を有するインクジェット記録用インクセットが有する前記水性インクを、収容する第1タンクと、上記構成を有するインクジェット記録用インクセットが有する前記水性洗浄液を、収容する第2タンクと、を含む。
本発明に係る画像形成方法は、水性インクを、記録ヘッドの吐出面から記録媒体へ吐出する吐出工程と、水性洗浄液を、前記吐出面へ供給する供給工程と、前記水性インクを、加圧して前記吐出面から排出させるパージ工程と、前記吐出面を、払拭するワイプ工程と、を含む。前記供給工程と、前記パージ工程とは、各々、前記吐出工程よりも後であって前記ワイプ工程よりも前に、行われる。前記水性インクと、前記水性洗浄液とは、各々、潮解剤を含有する。前記水性インクにおける前記潮解剤の含有量は、0.10質量%以上7.0質量%以下である。前記水性洗浄液における前記潮解剤の含有量は、0.10質量%以上10質量%以下である。前記水性洗浄液は、両性界面活性剤をさらに含有する。
本発明によれば、アンキャップ動作後においても水性インクの吐出性能を維持できる。
本発明に係る画像形成方法に使用される画像形成装置の構成の一例を示す図である。 本発明に係る画像形成方法を説明する図である。 本発明に係る画像形成方法を説明する図である。
本発明の実施形態について説明する。なお、粉体に関する評価結果(形状又は物性などを示す値)は、何ら規定していなければ、相当数の粒子について測定した値の個数平均である。また、粉体の体積中位径(D50)の測定値は、何ら規定していなければ、レーザー回折式粒度分布測定装置(マルバーン社製の「ゼータサイザー ナノZS」)を用いて測定した値である。ここで、粉体は、例えば、後述する顔料分散体である。
また、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。また、アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。
また、「アンキャップ動作後においても水性インクの吐出性能を維持できる」とは、アンキャップ動作後における水性インクの吐出性能がアンキャップ動作前(より具体的にはキャップ動作前)における水性インクの吐出性能よりも低下することを防止できることを意味する。
また、水性インクが含有する潮解剤と水性洗浄液が含有する潮解剤とを区別する場合には、「水性インクが含有する潮解剤」を「第1潮解剤」と記載し、「水性洗浄液が含有する潮解剤」を「第2潮解剤」と記載する。水性インクが含有する潮解剤と水性洗浄液が含有する潮解剤とを区別しない場合には、単に「潮解剤」と記載する。
[本実施形態に係るインクジェット記録用インクセット]
本実施形態に係るインクジェット記録用インクセット(以下、単に「インクセット」と記載することがある)は、水性インクと、水性洗浄液とを有する。水性インクと、水性洗浄液とは、各々、潮解剤を含有する。水性インクにおける潮解剤(第1潮解剤)の含有量は、0.10質量%以上7.0質量%以下である。水性洗浄液における潮解剤(第2潮解剤)の含有量は、0.10質量%以上10質量%以下である。水性洗浄液は、両性界面活性剤をさらに含有する。本実施形態に係るインクセットを用いて画像形成を行えば、アンキャップ動作後においても水性インクの吐出性能を維持できる。
本実施形態に係るインクセットを用いて画像を形成する方法としては、例えば、次に示す方法が挙げられる。詳しくは、まず、インクセットが有する水性インクを、記録ヘッド(インクジェット記録装置が備える記録ヘッド)の吐出面から記録媒体へ吐出する。次に、インクセットが有する水性洗浄液を吐出面へ供給し、パージ動作を行う。続いて、ワイプ動作を行う。
長期間にわたって水性インクを吐出しない場合には、ワイプ動作の後にキャップ動作を行うことが好ましい。キャップ動作の後に水性インクの吐出を再開する場合には、アンキャップ動作を行う。好ましくは、アンキャップ動作の後に、予備ワイプを行い、その後、水性インクの吐出を再開する。「予備ワイプ」とは、ワイプ動作の一種であり、アンキャップ動作よりも後であって水性インクの再吐出よりも前に行われるワイプ動作を意味する。以下では、説明の都合上、水性インクの好ましい構成と固着インクの形成プロセスとを順に説明する。
<水性インクの好ましい構成>
水性インクは、水性溶媒と顔料分散体とを有することが好ましい。顔料分散体は、複数の顔料粒子が水性媒体中において互いに分散されて構成されたものを意味する。顔料粒子は、各々、顔料を含有する顔料コアと、顔料コアの表面に設けられた被覆樹脂とを含むことが好ましい。
水性インクでは、顔料粒子が、互いに分散している。詳しくは、多くの場合、被覆樹脂としては、樹脂塩を使用する。ここで、樹脂塩は、分子内に電離可能な官能基を有し、例えば分子内にCOONa基を有する。また、水性インクは、十分な量の水性溶媒を含有する。これらのことから、被覆樹脂の表面では、電離が起こり易い。そのため、被覆樹脂の表面には、電気二重層が形成される。例えば被覆樹脂として分子内にCOONa基を有する樹脂塩を使用した場合には、被覆樹脂の表面はマイナスに帯電し(COO-)、被覆樹脂の表面にはNa+が電気的引力により付着する。このように被覆樹脂の表面には電気二重層が形成されるため、顔料粒子同士が電気的に反発する。その結果、顔料粒子は互いに分散する。
<固着インクの形成プロセス>
固着インクは以下に示すプロセスで形成される、と考えられる。
水性インクを記録ヘッドの吐出面から記録媒体へ吐出すると、水性インクが吐出面に付着することがある。水性インクが吐出面に付着すると、水性インクと空気との接触に起因して水性インクが乾燥する。水性インクが乾燥すると、被覆樹脂が膜を形成し易い。
詳しくは、水性インクが乾燥していない状態では、水性インクが十分な量の水性溶媒を含有する、と考えられる。そのため、被覆樹脂の表面では電離が起こり易い(上記<水性インクの好ましい構成>参照)。
しかし、水性インクが乾燥すると、水性インクにおける水性溶媒の含有量が減少するため、被覆樹脂の表面では電離が起こり難くなる。これにより、顔料粒子同士は電気的に反発し難くなるため、顔料粒子は互いに凝集し易くなる。顔料粒子が互いに凝集すると、互いに異なる顔料コアの表面に存在する被覆樹脂が接触し易くなる。その結果、被覆樹脂からなる膜(以下、「樹脂膜」と記載する)が形成され易くなる。このように、水性インクが乾燥すると、顔料コアの凝集体が樹脂膜で被覆される。このようにして、固着インクが形成される。
<所定の効果が得られる理由>
続いて、本実施形態に係るインクセットを用いて画像形成を行った場合に所定の効果が得られる理由として考えられる事項を説明する。ここで、「所定の効果」には、アンキャップ動作後においても水性インクの吐出性能を維持できるという効果が含まれる。
上記<固着インクの形成プロセス>で説明したように、固着インクの表面は、樹脂膜で構成される。ここで、樹脂膜は、被覆樹脂からなり、被覆樹脂としては、樹脂塩を使用することが多い。そのため、固着インクと水性溶媒を含む液体(例えば水性洗浄液又はパージインク)とが接触すると、固着インクの表面では電離が起こり易く、固着インクの表面はマイナスに帯電し易い。また、固着インクの表面で電離が起こり易ければ、固着インクの表面は親水性を示し易い。
本実施形態に係るインクセットでは、水性洗浄液は、両性界面活性剤を含有する。両性界面活性剤は、酸性液体中ではカチオン界面活性剤の性質を示し、塩基性液体中ではアニオン界面活性剤の性質を示す。ここで、水性インクは、一般に、弱塩基性を示す。そのため、固着インクと水性洗浄液とが接触すると、得られた溶液は弱塩基性を示し易い。よって、水性洗浄液を記録ヘッドの吐出面へ供給すると、両性界面活性剤は、アニオン界面活性剤の性質を示し易くなる。
アニオン界面活性剤は、水性溶媒中で電離し易い。アニオン界面活性剤が水性溶媒中で電離すると、疎水基がマイナスに帯電し易く、親水基がプラスに帯電し易い。そのため、水性洗浄液を吐出面へ供給すると、両性界面活性剤では、疎水基がマイナスに帯電し易く、親水基がプラスに帯電し易い。また、上述したように、水性洗浄液を吐出面へ供給すると、固着インクの表面はマイナスに帯電し易い。これらのことから、水性洗浄液を吐出面へ供給すると、固着インクの表面と両性界面活性剤の親水基との間には電気的引力が働き易い。
また、上述したように、水性洗浄液を吐出面へ供給すると、固着インクの表面は親水性を示し易い。一方、吐出面は、一般に、疎水性を示し易い。そのため、水性洗浄液を吐出面へ供給すると、両性界面活性剤のうち、親水基は固着インクの表面に対して親和性(親水性相互作用)を示し、疎水基は吐出面に対して親和性(疎水性相互作用)を示す。
以上をまとめると、水性洗浄液を吐出面へ供給すれば、両性界面活性剤の親水基は、電気的引力と親水性相互作用とにより、固着インクの表面に対して親和性を示し易い。また、両性界面活性剤の疎水基は、疎水性相互作用により、吐出面に対して親和性を示し易い。これらのことから、両性界面活性剤は、固着インクと吐出面との間に安定して存在できる。ここで、両性界面活性剤は、水性洗浄液に含有されている。そのため、両性界面活性剤が固着インクと吐出面との間に安定して存在できれば、水性洗浄液は、固着インクの表面よりも固着インクと吐出面との間に存在し易い。よって、吐出面へ供給された水性洗浄液は、固着インクの表面から固着インクと吐出面との間へ浸入し易い。
本実施形態に係るインクセットでは、水性洗浄液は、第2潮解剤を含有する。ここで、本実施形態に係るインクセットは水性インクを有するため、パージインクは水性インクである。そのため、吐出面への水性洗浄液の供給とパージ動作とを行うと、パージインクは水性洗浄液(より具体的には第2潮解剤)に吸収され易い。よって、水性洗浄液が固着インクの表面から固着インクと吐出面との間へ浸入すれば、水性洗浄液に吸収されたパージインク(詳しくは、第2潮解剤に吸収されたパージインク)は、固着インクの表面から固着インクと吐出面との間へ浸入し易い。
また、本実施形態に係るインクセットでは、水性インクは、第1潮解剤を含有する。ここで、固着インクは、水性インクが乾燥して形成されたものである。そのため、水性インクが第1潮解剤を含有する場合には、固着インクも第1潮解剤を含有する。これにより、吐出面への水性洗浄液の供給とパージ動作とを行うと、パージインクは固着インク(より具体的には固着インクが含有する第1潮解剤)に吸収され易い。このことによっても、パージインクは、固着インクの表面から固着インクと吐出面との間へ浸入し易い。
このように、本実施形態では、パージインクは、固着インクの表面から固着インクと吐出面との間へ浸入し易い。これにより、吐出面への水性洗浄液の供給とパージ動作とを行うと、固着インクは、パージインクに溶解され易い。よって、吐出面への水性洗浄液の供給とパージ動作とを行った後にワイプ動作を行うと、固着インクを吐出面から除去できる。したがって、水性インクの吐出性能の低下を防止できる。
また、ワイプ動作により固着インクを吐出面から除去できれば、キャップ動作を行って吐出口を密閉できる。これにより、長期間にわたって水性インクを吐出しない場合であっても、ノズル内の水性インクが乾燥することを防止できる。ノズル内の水性インクが乾燥することを防止できれば、ノズルで目詰まりが起こることを防止できる。よって、アンキャップ動作後においても水性インクの吐出性能を維持できる。
それだけでなく、本実施形態に係るインクセットでは、水性インクは、第1潮解剤を含有する。これにより、ワイプ動作において水性インクの拭き残りが発生しても、インクの吐出性能の低下を防止できる。詳しくは、本実施形態における水性インクが第1潮解剤を含有するため、拭き残りインクも第1潮解剤を含有する。そのため、アンキャップ動作を行えば、拭き残りインクは、空気中の水分を吸収して液化する。拭き残りインクが液化すれば、予備ワイプを行うことで拭き残りインクを除去できる。このことによっても、アンキャップ動作後に水性インクの吐出性能が低下することを防止できる。
その上、本実施形態に係るインクセットでは、水性インクだけでなく水性洗浄液も、潮解剤を含有する。これにより、ワイプ動作において水性インクの拭き残りとともに水性洗浄液の拭き残りが発生しても、インクの吐出性能の低下を防止できる。詳しくは、本実施形態における水性洗浄液が第2潮解剤を含有するため、拭き残り洗浄液も第2潮解剤を含有する。そのため、アンキャップ動作を行えば、拭き残りインクだけでなく拭き残り洗浄液も、空気中の水分を吸収して液化する。拭き残りインクと拭き残り洗浄液とが液化すれば、予備ワイプを行うことでこれらを除去できる。また、拭き残りインクと拭き残り洗浄液とが液化すれば、水性インクと水性洗浄液とのうち水性インクのみが潮解剤を含有する場合に比べ、拭き残りインクと拭き残り洗浄液とを容易に除去できる。このことによっても、アンキャップ動作後に水性インクの吐出性能が低下することを防止できる。以下、潮解剤と両性界面活性剤とを順に説明する。
<潮解剤>
潮解剤は、ソルビトール、トリメチロールプロパン、及び1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチル−2,4−イミダゾリジンジオンのうちの少なくとも1つであることが好ましい。第1潮解剤と第2潮解剤とは、互いに同一であっても良いし、互いに異なっても良い。
このように、潮解剤は、電荷を有しておらず、また、多糖類ではない。よって、アンキャップ動作後においても水性インクの吐出性能が維持され易い。
詳しくは、上記<水性インクの好ましい構成>で説明したように、顔料粒子の表面には電気二重層が形成されている。そのため、第1潮解剤として電荷を有する材料を使用すると、第1潮解剤と顔料粒子との間に電気的引力が発生することがある。このような水性インクが記録ヘッドの吐出面で乾燥すると、第1潮解剤は、顔料粒子の表面、又は顔料粒子の凝集体の表面に存在し易い。そのため、第1潮解剤は、固着インクの表面に存在し難い。これにより、パージインクは、固着インクに吸収され難くなるため、固着インクと吐出面との間へ浸入し難くなる。しかし、第1潮解剤は電荷を有さないため、このような不具合の発生を防止できる。
また、固着インクと水性溶媒を含む液体(例えば水性洗浄液)とが接触すると、固着インクの表面では電離が起こり易くなる。そのため、第2潮解剤として電荷を有する材料を使用すると、第2潮解剤と固着インクの表面との間に電気的引力が発生することがある。よって、第2潮解剤が固着インクの表面に存在し易くなる。したがって、パージインクは、第2潮解剤に吸収されても、固着インクと吐出面との間へ浸入し難い。しかし、第2潮解剤は電荷を有さないため、このような不具合の発生を防止できる。
多糖類は、単糖の多数重合体を意味し、例えばデンプン又はグリコーゲンである。そのため、多糖類の粘度は、潮解剤の粘度よりも高い。よって、ワイプ動作又は予備ワイプを行っても、多糖類が拭き取られずに吐出面に残存することがある。しかし、潮解剤は多糖類ではないため、このような不具合の発生を防止できる。
また、第2潮解剤として多糖類を使用すれば、水性洗浄液の粘度が高くなるため、水性洗浄液が固着インクと吐出面との間へ浸入し難くなる。そのため、パージインクが固着インクと吐出面との間へ浸入し難くなる。しかし、第2潮解剤は多糖類ではないため、このような不具合の発生を防止できる。
水性インクにおける第1潮解剤の含有量は、0.10質量%以上7.0質量%以下である。水性インクにおける第1潮解剤の含有量が0.10質量%以上であれば、パージインクの浸入量を確保できる(例えば後述の比較例2、4及び5参照)。水性インクにおける第1潮解剤の含有量が7.0質量%以下であれば、水性インクの間欠吐出性能の低下を防止できる(例えば後述の比較例15、16及び18参照)。好ましくは、水性インクにおける第1潮解剤の含有量は、0.50質量%以上5.0質量%以下である。ここで、「水性インクの間欠吐出性能」とは、キャップ動作が行われることなく水性インクが間欠的に吐出されている場合における水性インクの吐出性能を意味する。例えば、水性インクの間欠吐出性能は、数時間の間隔をあけて水性インクが吐出される場合における水性インクの吐出性能である。
なお、水性インクが2種以上の潮解剤を含有する場合には、水性インクにおける潮解剤の含有量の合計が0.10質量%以上7.0質量%以下である。好ましくは、水性インクにおける潮解剤の含有量の合計が0.50質量%以上5.0質量%以下である。
水性洗浄液における第2潮解剤の含有量は、0.10質量%以上10質量%以下である。水性洗浄液における第2潮解剤の含有量が0.10質量%以上であれば、水性洗浄液が吸収するパージインクの量を確保できるため、パージインクの浸入量を確保できる(例えば後述の比較例6、8及び12参照)。水性洗浄液における第2潮解剤の含有量が10質量%以下であれば、水性洗浄液において第2潮解剤が析出することを防止できる(例えば後述の比較例7、9及び13参照)。好ましくは、水性洗浄液における第2潮解剤の含有量は、0.50質量%以上7.0質量%以下である。なお、水性洗浄液が2種以上の潮解剤を含有する場合には、水性洗浄液における潮解剤の含有量の合計が0.10質量%以上10質量%以下である。好ましくは、水性洗浄液における潮解剤の含有量の合計が0.50質量%以上7.0質量%以下である。
<両性界面活性剤>
両性界面活性剤は、ラウリルジメチルアミンオキシド、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、及びオクタン酸アミドプロピルベタインのうちの少なくとも1つであることが好ましい。このような両性界面活性剤は容易に入手可能なため、水性洗浄液を容易に作製できる。よって、本実施形態に係るインクセットを容易に提供できる。
水性洗浄液における両性界面活性剤の含有量は、0.10質量%以上であることが好ましい。水性洗浄液における両性界面活性剤の含有量が0.10質量%以上であれば、水性洗浄液の浸入量が確保され易いため、パージインクの浸入量が確保され易い(例えば後述の比較例10参照)。より好ましくは、水性洗浄液における両性界面活性剤の含有量は0.10質量%以上10質量%以下である。水性洗浄液における両性界面活性剤の含有量が10質量%以下であれば、水性洗浄液において、両性界面活性剤を除く他の材料の含有量が確保され易い。さらに好ましくは、水性洗浄液における両性界面活性剤の含有量は0.10質量%以上5.0質量%以下である。
なお、水性洗浄液が2種以上の両性界面活性剤を含有する場合には、水性洗浄液における両性界面活性剤の含有量の合計が0.10質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、水性洗浄液における両性界面活性剤の含有量の合計が0.10質量%以上10質量%以下である。さらに好ましくは、水性洗浄液における両性界面活性剤の含有量の合計が0.10質量%以上5.0質量%以下である。
ところで、界面活性剤としては、両性界面活性剤とは別に、アニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤と非イオン性界面活性剤とが知られている。しかし、本実施形態における水性洗浄液は、カチオン界面活性剤とアニオン界面活性剤と両性界面活性剤と非イオン性界面活性剤とのうち、両性界面活性剤を含有する。これにより、水性洗浄液の発泡性を低く抑えることができる。また、人体にとって低害な水性洗浄液を提供できる。さらには、両性界面活性剤は、固着インクに対して、親水性相互作用による親和性を示すだけでなく、電気的相互作用による親和性も示す、と考えられる。そのため、両性界面活性剤を含有する水性洗浄液は、他の界面活性剤を含有する水性洗浄液に比べ、固着インクの表面から固着インクと吐出面との間へ浸入し易い。よって、アンキャップ動作後においても水性インクの吐出性能が維持され易い(例えば後述の比較例11参照)。ここで、他の界面活性剤とは、両性界面活性剤を除く界面活性剤を意味する。他の界面活性剤には、例えば、アニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤と非イオン性界面活性剤とが含まれる。
[本実施形態に係るカートリッジ]
本実施形態に係るカートリッジは、本実施形態に係るインクセットと、水性インクを収容する第1タンクと、水性洗浄液を収容する第2タンクとを含む。これにより、本実施形態に係るカートリッジをインクジェット記録装置に装填すれば、本実施形態に係るインクセットを用いた画像形成を容易に実施できる。よって、アンキャップ動作後においても水性インクの吐出性能を維持できる。
[本実施形態に係る画像形成方法]
本実施形態に係る画像形成方法は、吐出工程と、供給工程と、パージ工程と、ワイプ工程とを含む。吐出工程では、水性インクを、記録ヘッドの吐出面から記録媒体へ吐出する。供給工程では、水性洗浄液を、吐出面へ供給する。パージ工程では、パージ動作が行われる。より具体的には、水性インク(パージインク)を、加圧して吐出面から排出させる。ワイプ工程では、ワイプ動作が行われる。より具体的には、吐出面を払拭する。供給工程と、パージ工程とは、各々、吐出工程よりも後であってワイプ工程よりも前に、行われる。より具体的には、供給工程は、パージ工程の前に行われても良いし、パージ工程の後に行われても良いし、パージ工程と同時に行われても良い。
使用される水性インク及び水性洗浄液については、各々、上記[本実施形態に係るインクジェット記録用インクセット]で説明したとおりである。そのため、アンキャップ動作後においても水性インクの吐出性能を維持できる。
本実施形態における水性インクが装填されたインクジェット記録装置を用いて画像形成を行えば、吐出工程とパージ工程とワイプ工程とを行うことができる。
上述したように、供給工程では、本実施形態に係る水性洗浄液を吐出面へ供給する。水性洗浄液の供給方法としては、例えば、インクジェット法による水性洗浄液の吐出、ローラーを用いた水性洗浄液の塗布、又は水性洗浄液の噴霧が挙げられる。
本実施形態に係る画像形成方法では、本実施形態に係るカートリッジをインクジェット記録装置に装填して画像を形成しても良いし、別々に準備された水性インク及び水性洗浄液を用いて画像を形成しても良い。
[本実施形態に係る画像形成方法の一例]
以下、図1〜図3を用いて、本実施形態に係る画像形成方法の一例を具体的に説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成方法に使用される画像形成装置の構成を示す図である。図2及び図3は、各々、本実施形態に係る画像形成方法を説明する図である。より具体的には、図2は、供給工程を説明する図である。また、図3は、パージ動作とワイプ動作とを説明する図である。ここで、図1〜図3に示すX軸、Y軸、及びZ軸は、互いに直交する。また、図2及び図3は、各々、図1に示す画像形成装置1の要部を側面から見た図である。
まず、図1に示す画像形成装置1の構成を説明する。図1に示す画像形成装置1は、給紙部3と、記録ヘッド4と、液体収容部5と、用紙搬送部7と、排出部8と、メンテナンスユニット9とを備える。
給紙部3は、給紙カセット31と、給紙ローラー32aとを有する。給紙カセット31には、複数の記録媒体(例えばコピー用紙)Sが重ねられた状態で収納されている。
記録ヘッド4には、図2及び図3に示すように、ノズル41と、インク流入口43と、インク流出口45とが形成されている。また、記録ヘッド4は、吐出面47を有する。ノズル41は、吐出面47において開口しており、水性インクを記録媒体S(図1参照)へ向かって吐出する。水性インクは、第1タンク52(図1参照)に収容されている。水性インクは、第1タンク52からインク流入口43を通って記録ヘッド4へ流入し、インク流出口45を通って記録ヘッド4から流出する。
液体収容部5には、図1に示すように、カートリッジ51が設けられている。カートリッジ51は、画像形成装置1に着脱自在に装着される。カートリッジ51は、本実施形態に係るインクセットと、第1タンク52と、第2タンク53とを有する。第1タンク52は、本実施形態における水性インクを収容する。第2タンク53は、本実施形態における水性洗浄液を収容する。
用紙搬送部7は、第1搬送ユニット71と、第2搬送ユニット72とを有する。排出部8は、排出トレイ81を有する。
メンテナンスユニット9は、スポンジ91と、ブレード92とを有する。スポンジ91と、ブレード92とは、各々、吐出面47(図2及び図3参照)に対向する位置と第2搬送ユニット72に対向する位置(図1に示す位置)との間を移動可能である。スポンジ91は、図2に示すように、上昇方向D1及び下降方向D2の各々の方向に沿って移動可能である。スポンジ91は、水性洗浄液を含浸する。水性洗浄液は、第2タンク53(図1参照)に収容されており、第2タンク53からスポンジ91へ供給される。ブレード92は、図3に示すように、上昇方向D1、下降方向D2、及びワイピング方向D3の各々の方向に沿って移動可能である。ここで、「上昇方向D1」は、Z軸方向に沿って吐出面47へ近づく方向を意味する。また、「下降方向D2」は、Z軸方向に沿って吐出面47から遠ざかる方向を意味する。また、「ワイピング方向D3」は、吐出面47に沿う方向を意味する。
図1に示す画像形成装置1を用いて画像を記録媒体Sに形成する場合には、まず、給紙ローラー32aが、給紙カセット31に収納された記録媒体Sを最上部から一枚ずつ取り出し、取り出した記録媒体Sを第1搬送ユニット71へ送出する。記録媒体Sが吐出面47(図2参照)に対向する位置に到達すると、水性インクが、吐出面47(より具体的にはノズル41の開口)から記録媒体Sへ吐出される(吐出工程)。その後、記録媒体Sは、第2搬送ユニット72へ送出されて、排出トレイ81へ排出される。
吐出工程では、水性インクが吐出面47に付着することがある。水性インクが吐出面47に付着すると、水性インクと空気との接触に起因して固着インク(不図示)が形成される。そのため、吐出工程の後に、供給工程とパージ工程とワイプ工程とが行われる。
図2を参照しながら、供給工程を説明する。供給工程では、まず、水性洗浄液がスポンジ91に含浸される。次に、スポンジ91が、吐出面47に対向する位置(図2に示す位置)まで移動した後、上昇方向D1に沿って移動して吐出面47に押し当てられる。このとき、スポンジ91が吐出面47に押し当てられた状態(以下、「スポンジ91の押し当て状態」と記載する)が、所定時間、維持されることが好ましい。また、スポンジ91の押し当て状態が維持されながら、スポンジ91が上昇方向D1に沿って移動する動作とスポンジ91が下降方向D2に沿って移動する動作とが繰り返されても良い。また、スポンジ91の押し当て状態が維持されながら、スポンジ91が吐出面47に沿う方向(図2に示すX軸方向に沿う方向)に移動しても良い。
所定時間が経過すると、スポンジ91が下降方向D2に沿って移動し、スポンジ91の押し当て状態が解除される。これにより、供給工程が終了する。供給工程の後に、パージ工程が行われる。
図3を参照しながら、パージ工程を説明する。パージ工程では、パージ動作が行われる。パージ動作では、記録ヘッド4がパージ処理を行う。これにより、パージインクNfが、吐出面47(より具体的にはノズル41の開口)から強制的に排出される。パージ工程の後に、ワイプ工程が行われる。
図3を参照しながら、ワイプ工程を説明する。ワイプ工程では、ワイプ動作が行われる。ワイプ動作では、ブレード92が、吐出面47に対向する位置(図3に示す位置)まで移動した後、上昇方向D1に沿って移動して吐出面47に押し当てられる。そして、ブレード92が吐出面47に押し当てられた状態が維持されながら、ブレード92が吐出面47に沿う方向(図3に示すワイピング方向D3)に移動する。これにより、固着インクが除去される。
長期間にわたって水性インクを吐出しない場合には、ワイプ工程の後にキャップ動作を行う。キャップ動作では、吐出面47をゴム製のキャップ(不図示)で覆う。これにより、ノズル41の開口が密閉される。
キャップ動作の後に水性インクの吐出を再開する場合には、アンキャップ動作を行う。アンキャップ動作では、ゴム製のキャップを吐出面47から取り外す。これにより、ノズル41の開口の密閉状態が解除される。その後、予備ワイプを行った後に、吐出工程を行う。予備ワイプでは、図3に示すワイプ動作と同様に、ブレード92が吐出面47に沿う方向(図3に示すワイピング方向D3)に移動する。以上、図1〜図3を用いて本実施形態に係る画像形成方法の一例を説明した。
以下、水性インクの材料の例示と、水性インクの好ましい製造方法と、水性洗浄液の材料の例示と、水性洗浄液の好ましい製造方法とを順に説明する。
[水性インクの材料の例示]
上述したように、水性インクは、第1潮解剤を含有する。第1潮解剤については、上記<潮解剤>で説明したとおりである。水性インクは、記録ヘッドの吐出面から吐出されることが好ましい。
好ましくは、水性インクは、第1潮解剤と、顔料分散体と、水性溶媒とを含有する。より好ましくは、水性インクは、第1潮解剤と、顔料分散体と、水性溶媒と、成分Cとを含有する。成分Cは、界面活性剤、溶解安定剤、保湿剤、及び浸透剤のうちの少なくとも1つを含有することが好ましい。
<顔料分散体>
顔料分散体は、複数の顔料粒子を含む。顔料粒子は、各々、顔料コアと、被覆樹脂とを含む。
(顔料コア)
顔料コアは、顔料を含有する。顔料としては、例えば、黄色顔料、橙色顔料、赤色顔料、青色顔料、紫色顔料、又は黒色顔料を使用できる。黄色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー74、93、95、109、110、120、128、138、139、151、154、155、173、180、185、又は193が挙げられる。橙色顔料としては、例えばC.I.ピグメントオレンジ34、36、43、61、63、又は71が挙げられる。赤色顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド122又は202が挙げられる。赤色顔料として、キナクリドン・マゼンタ(PR122)を使用しても良い。青色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー15又は15:3が挙げられる。紫色顔料としては、例えばC.I.ピグメントバイオレット19、23、又は33が挙げられる。黒色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブラック7が挙げられる。黒色顔料として、カーボンブラックを使用しても良い。
水性インクにおける顔料コアの含有量は、4質量%以上8質量%以下であることが好ましい。水性インクにおける顔料コアの含有量が4質量%以上であれば、所望の画像濃度を有する画像が得られ易い。水性インクにおける顔料コアの含有量が8質量%以下であれば、水性インクの流動性が確保され易い。このことによっても、所望の画像濃度を有する画像が得られ易い。また、記録媒体に対する水性インクの浸透性が確保され易い。
顔料コアの体積中位径(D50)は、30.0nm以上200nm以下であることが好ましい。これにより、水性インクの色濃度、色相、又は安定性が向上する。より好ましくは、顔料コアの体積中位径(D50)は70.0nm以上130nm以下である。
(被覆樹脂)
被覆樹脂は、顔料コアの表面に設けられる。被覆樹脂は、アニオン性を有することが好ましく、例えば、スチレン−アクリル酸系樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、及びビニルナフタレン−マレイン酸共重合体のうちの少なくとも1つであることが好ましい。より好ましくは、被覆樹脂は、スチレン−アクリル酸系樹脂である。被覆樹脂がスチレン−アクリル酸系樹脂であれば、顔料粒子を容易に作製できる。また、顔料コアの分散性を高めることができる。
スチレン−アクリル酸系樹脂は、スチレンに由来する単位と、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、又はメタクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂である。好ましくは、スチレン−アクリル酸系樹脂は、スチレンとアクリル酸とアクリル酸アルキルエステルとの共重合体、スチレンとメタクリル酸とメタクリル酸アルキルエステルとアクリル酸アルキルエステルとの共重合体、スチレンとアクリル酸との共重合体、スチレンとマレイン酸とアクリル酸アルキルエステルとの共重合体、スチレンとメタクリル酸との共重合体、及びスチレンとメタクリル酸アルキルエステルとの共重合体のうちの少なくとも1つである。より好ましくは、スチレン−アクリル酸系樹脂は、スチレンとメタクリル酸とメタクリル酸アルキルエステルとアクリル酸アルキルエステルとの共重合体である。より具体的には、スチレン−アクリル酸系樹脂は、スチレンとメタクリル酸とメタクリル酸メチルとアクリル酸ブチルとの共重合体である。
被覆樹脂の含有量は、100質量部の顔料コアに対して、15.0質量部以上100質量部以下であることが好ましい。被覆樹脂の含有量が過小であれば、画像形成後の記録媒体に裏抜けが生じる場合がある。一方、被覆樹脂の含有量が過大であれば、所望の画像濃度が得られない場合がある。
<水性溶媒>
水性溶媒は、水を含有することが好ましく、より好ましくはイオン交換水を含有する。水性インクにおける水の含有量は、20質量%以上70質量%以下であることが好ましい。これにより、適切な粘度を有する水性インクを提供できる。
例えば、水性溶媒は、イオン交換水と、グリセリン及び/又はグリコールと、アルコール及び/又はグリコールエーテルとを含有することが好ましい。水性インクがグリセリン及び/又はグリコールを含有すれば、水性インクの乾燥をさらに防止できる。水性インクがアルコール及び/又はグリコールエーテルを含有すれば、記録媒体に対する水性インクの浸透性を高めることができる。
グリコールエーテルとしては、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、又はジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルが挙げられる。
<界面活性剤>
水性インクが界面活性剤を含有すれば、記録媒体に対する水性インクの濡れ性が向上する。水性インクに含有される界面活性剤は、非イオン性界面活性剤であることが好ましい。水性インクにおける非イオン性界面活性剤の含有量は、0.050質量%以上2.0質量%以下であることが好ましい。これにより、画像のオフセットを抑制しつつ、画像濃度が向上する。
水性インクに含有される非イオン性界面活性剤は、好ましくはアセチレングリコール系界面活性剤であり、より具体的には日信化学工業株式会社製「オルフィン(登録商標)E1010」である。
<溶解安定剤>
水性インクが溶解安定剤を含有すれば、水性インクに含まれる成分が相溶し易くなるため、水性インクの溶解状態を安定化できる。溶解安定剤は、好ましくは、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、及びγ−ブチローラークトンのうちの少なくとも1つである。水性インクにおける溶解安定剤の含有量は、好ましくは1.0質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは3.0質量%以上15質量%以下である。
<保湿剤>
水性インクが保湿剤を含有すれば、水性インクからの液体成分の揮発を抑制できるため、水性インクの粘性を安定化できる。保湿剤は、好ましくは、ポリアルキレングリコール類、アルキレングリコール類、及びグリセリンのうちの少なくとも1つである。ポリアルキレングリコール類は、ポリエチレングリコール、又はポリプロピレングリコールであることが好ましい。アルキレングリコール類は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール(1,3−プロピレングリコール)、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、1,3−ブタンジオール、又は1,5−ペンタンジオールであることが好ましい。水性インクにおける保湿剤の含有量は、好ましくは2.0質量%以上30質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上25質量%以下である。
<浸透剤>
水性インクが浸透剤を含有すれば、記録媒体への水性インクの浸透性が向上する。浸透剤は、好ましくは、1,2−へキシレングリコール、1,2−オクタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルのうちの少なくとも1つである。水性インクにおける浸透剤の含有量は、好ましくは0.50質量%以上20質量%以下である。
[水性インクの好ましい製造方法]
水性インクの好ましい製造方法は、顔料分散液の調製工程と、顔料分散液と他のインク成分との混合工程とを含む。
<顔料分散液の調製工程>
まず、被覆樹脂を合成する。詳しくは、所定の溶媒に、重合により被覆樹脂を合成可能なモノマー又はプレポリマーと、重合開始剤とを加え、所定の温度で加熱還流を行う。このようにして、被覆樹脂が合成される。より具体的には、イソプロピルアルコールとメチルエチルケトンとの混合液に、スチレンと、(メタ)アクリル酸と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、重合開始剤とを加え、70℃で加熱還流を行う。これにより、スチレン−アクリル酸系樹脂が合成される。
次に、メディア型分散機を用いて、合成された樹脂と、顔料コアと、水性溶媒とを混練する。このようにして、多数の顔料粒子を含む顔料分散液を得る。メディア型分散機で用いるメディアの粒子径(例えば、ビーズの径)を変えることで、顔料粒子の分散度合、顔料分散液において顔料粒子から遊離する樹脂の量、又は顔料粒子の粒子径を調整できる。例えば、メディアの粒子径を小さくするほど、顔料粒子の粒子径が小さくなる傾向がある。
<顔料分散液と他のインク成分との混合工程>
得られた顔料分散液と、他のインク成分とを混合する。攪拌機(例えば、新東科学株式会社製「スリーワンモーター(登録商標) BL−600」)を用いて、顔料分散液と他のインク成分とを混合することが好ましい。他のインク成分としては、第1潮解剤が挙げられる。好ましくは、他のインク成分は、第1潮解剤と、水性溶媒とを含有する。より好ましくは、他のインク成分は、第1潮解剤と、水性溶媒と、成分Cとを含有する。成分Cは、界面活性剤、溶解安定剤、保湿剤、及び浸透剤のうちの少なくとも1つを含有することが好ましい。顔料分散液と他のインク成分とを混合した後、必要に応じてろ過を行う。このようにして、水性インクが得られる。
[水性洗浄液の材料の例示]
上述したように、水性洗浄液は、第2潮解剤と、両性界面活性剤とを含有する。第2潮解剤については、上記<潮解剤>で説明したとおりである。両性界面活性剤については、上記<両性界面活性剤>で説明したとおりである。水性洗浄液は、記録ヘッドの吐出面の洗浄に使用されることが好ましい。また、水性洗浄液は、吐出面の洗浄だけでなく、ワイプ動作において使用されたブレードの洗浄、又は搬送ローラーの洗浄にも使用できる。
好ましくは、水性洗浄液は、上記<水性溶媒>に記載の水性溶媒と上記<溶解安定剤>に記載の溶解安定剤とのうちの少なくとも1つをさらに含有する。これにより、水性インクと水性洗浄液とでは、水性溶媒及び溶解安定剤のうちの少なくとも1つの材料が互いに同一又は類似となる。よって、水性洗浄液と水性インクとの親和性を高めることができる。ここで、固着インクは、水性インクが乾燥して形成されたものである。そのため、水性洗浄液と水性インクとの親和性を高めることができれば、水性洗浄液と固着インクとの親和性を高めることができる。したがって、水性洗浄液の浸入がさらに容易となる。
[水性洗浄液の好ましい製造方法]
水性洗浄液の好ましい製造方法は、材料(例えば、第2潮解剤と、両性界面活性剤)を所定の配合量で均一に混合する工程を含む。攪拌機(例えば、新東科学株式会社製「スリーワンモーター BL−600」)を用いて材料を混合することが好ましい。
本発明の実施例を説明する。なお、複数の粒子を含む粉体に関する評価結果(形状又は物性などを示す値)は、何ら規定していなければ、相当数の粒子について測定した値の個数平均である。誤差が生じる評価においては、誤差が十分小さくなる相当数の測定値を得て、得られた測定値の算術平均を評価値とした。
実施例及び比較例に係るインクセットS−1〜S−33を用いて、アンキャップ動作後における水性インクの吐出性能と、水性インクの間欠吐出性能と、水性洗浄液におけるソルビトールの析出の有無とを評価した。表1に、インクセットS−1〜S−23の各構成を示す。表2に、インクセットS−24〜S−33の各構成を示す。
Figure 0006677151
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以下では、まず、水性インクの製造方法と水性洗浄液の製造方法とを順に説明する。次に、インクセットの評価方法及び評価結果を順に説明する。
[水性インクの製造方法]
表3に、水性インクI−1〜I−5の各構成を示す。水性インクI−1〜I−5は、各々、シアン系水性インクと、イエロー系水性インクと、マゼンタ系水性インクと、ブラック系水性インクとを含んでいた。以下では、主に、シアン系水性インクの製造方法を説明する。なお、水性インクの色を表記しない場合には、単に「水性インク」と記載する。
Figure 0006677151
表3において、「アセチレンジオールのEO付加物」は、日信化学工業株式会社製「オルフィンE1010」を意味し、「EO」は、エチレンオキシドを意味する。また、「エーテル」は、トリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルを意味する。また、「イオン交換水の配合量が調整量であること」と「グリセリンの配合量が調整量であること」とは、水性インクI−1〜I−5の各々の25℃での粘度が6.0±0.20となるようにイオン交換水の配合量とグリセリンの配合量とを調整したことを意味する。なお、水性インクI−1〜I−5の各々の粘度は、「JIS Z 8803:2011(液体の粘度測定方法)」に記載の方法に準拠して、測定された。また、「顔料分散液L1」の構成は、表4に示すとおりである。
Figure 0006677151
表4において、「樹脂A−Na」とは、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液で中和された樹脂Aを意味する。シアン系水性インクは、40.0質量%の顔料分散液L1を含有していた(表3参照)。ここで、顔料分散液L1は、15.0質量%のシアン系顔料を含有していた(表4参照)。そのため、シアン系水性インクは、6.00質量%のシアン系顔料を含有していた。
<顔料分散液L1の製造方法>
(樹脂Aの合成)
まず、樹脂Aを合成した。詳しくは、四つ口フラスコ(容量1000mL)に、スターラーと、窒素導入管と、コンデンサー(攪拌機)と、滴下ロートとをセットした。次に、フラスコに、100gのイソプロピルアルコールと300gのメチルエチルケトンとを入れた。フラスコ内容物に窒素をバブリングしながら、70℃で加熱還流を行った。
また、40.0gのスチレンと、10.0gのメタクリル酸と、40.0gのメタクリル酸メチルと、10.0gのアクリル酸ブチルと、0.400gのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN、重合開始剤)とを混合して、モノマー溶液を得た。70℃で加熱還流させた状態で、約2時間かけて、モノマー溶液をフラスコに滴下した。滴下後、さらに6時間、70℃で加熱還流を行った。
0.200gのAIBNとメチルエチルケトンとを含有する溶液を、15分かけて、フラスコに滴下した。滴下後、さらに5時間、70℃で加熱還流を行った。このようにして、樹脂A(スチレン−アクリル酸系樹脂)を得た。得られた樹脂Aでは、質量平均分子量(Mw)が20000であり、酸価が100mgKOH/gであった。
ここで、樹脂Aの質量平均分子量Mwは、ゲルろ過クロマトグラフィー(東ソー株式会社製「HLC−8020GPC」)を用いて、下記条件で、測定された。
カラム:東ソー株式会社製「TSKgel SuperMultiporeHZ−H」(4.6mmI.D.×15cmのセミミクロカラム)
カラム本数:3本
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.35mL/分
サンプル注入量:10μL
測定温度:40℃
検出器:IR検出器
なお、検量線は、東ソー株式会社製のTSKgel標準ポリスチレンから、F−40、F−20、F−4、F−1、A−5000、A−2500、及びA−1000の7種とn−プロピルベンゼンとを選択して作成された。
また、樹脂Aの酸価は、「JIS(日本工業規格)K0070−1992(化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価及び不けん化物の試験方法)」に記載の方法に準拠して、求められた。
(顔料分散液L1の調製)
次に、合成された樹脂Aを用いて、顔料分散液L1を調製した。詳しくは、メディア型分散機(ウィリー・エ・バッコーフェン社(WAB社)製「ダイノミル」)のベッセル(容量0.6L)に、6.00質量%の樹脂Aと、15.0質量%のフタロシアニンブルー15:3(東洋インキ株式会社製「リオノール(登録商標)ブルーFG−7330」)と、0.500質量%の1,2−オクタンジオールと、イオン交換水(残量)とを入れた。
また、樹脂Aの中和に必要な量の水酸化ナトリウム水溶液をベッセルに加えた。ここで、ベッセル内容物のpHが8になるように、NaOH水溶液をベッセルに加えた。より具体的には、中和当量の1.1倍の質量のNaOH水溶液をベッセルに加えた。ベッセルに加えるべきNaの質量は、樹脂Aの質量に加えた。また、NaOH水溶液に含まれる水の質量と中和反応で生じた水の質量とは、イオン交換水の質量に加えた。
充填量がベッセルの容量に対して70体積%となるように、メディア(径が0.5mmのジルコニアビーズ)をベッセルに充填した。温度が10℃であり且つ周速が8m/秒である条件でベッセルを水冷しながら、顔料粒子の体積中位径(D50)が70.0nm以上130nm以下の範囲に入るようにメディア型分散機を用いてベッセル内容物を混練した。このようにして、顔料分散液L1が得られた。
ここで、顔料粒子の体積中位径(D50)は、レーザー回折式粒度分布測定装置(マルバーン社製の「ゼータサイザー ナノZS」)を用いて測定した値である。
<顔料分散液L1と他のインク成分との混合>
表3に記載の材料を、表3に記載の配合量でビーカーに入れた。攪拌機(新東科学株式会社製「スリーワンモーター BL−600」)を用いてビーカーの内容物を回転速度400rpmで攪拌して、ビーカーの内容物を均一に混合した。フィルター(孔径5μm)を用いて得られた混合液をろ過し、混合液に含有される異物及び粗大粒子を除去した。このようにして、シアン系水性インクを得た。
次に示す点を除いてはシアン系水性インクの製造方法に従い、イエロー系水性インクを製造した。詳しくは、顔料としてイエロー系顔料(より具体的にはC.I.ピグメントイエロー74)を用い、イエロー系顔料の配合量を16.3質量%として、顔料分散液L1を製造した。得られた顔料分散液L1を用いて、イエロー系水性インクを製造した。
イエロー系水性インクは、40.0質量%の顔料分散液L1を含有していた(表3参照)。ここで、顔料分散液L1は、16.3質量%のイエロー系顔料を含有していた。そのため、イエロー系水性インクは、6.50質量%のイエロー系顔料を含有していた。
次に示す点を除いてはシアン系水性インクの製造方法に従い、マゼンタ系水性インクを製造した。詳しくは、顔料としてマゼンタ系顔料(より具体的にはキナクリドン・マゼンタ(PR122))を用い、マゼンタ系顔料の配合量を20.0質量%として、顔料分散液L1を製造した。得られた顔料分散液L1を用いて、マゼンタ系水性インクを製造した。
マゼンタ系水性インクは、40.0質量%の顔料分散液L1を含有していた(表3参照)。ここで、顔料分散液L1は、20.0質量%のマゼンタ系顔料を含有していた。そのため、マゼンタ系水性インクは、8.00質量%のマゼンタ系顔料を含有していた。
次に示す点を除いてはシアン系水性インクの製造方法に従い、ブラック系水性インクを製造した。詳しくは、顔料としてブラック系顔料(より具体的にはカーボンブラック)を用い、ブラック系顔料の配合量を20.0質量%として、顔料分散液L1を製造した。得られた顔料分散液L1を用いて、ブラック系水性インクを製造した。
ブラック系水性インクは、40.0質量%の顔料分散液L1を含有していた(表3参照)。ここで、顔料分散液L1は、20.0質量%のブラック系顔料を含有していた。そのため、ブラック系水性インクは、8.00質量%のブラック系顔料を含有していた。
[水性洗浄液の製造方法]
表5に、水性洗浄液C−01〜C−05の各構成を示す。表6に、水性洗浄液C−11〜C−14の各構成を示す。表7に、水性洗浄液C−21〜C−24の各構成を示す。
Figure 0006677151
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表5〜表7において、「イオン交換水の配合量が調整量であること」と「1,3−プロピレングリコールの配合量が調整量であること」とは、水性洗浄液の25℃での粘度が15±2.0となるようにイオン交換水の配合量と1,3−プロピレングリコールの配合量とを調整したことを意味する。なお、水性洗浄液の各々の粘度は、「JIS Z 8803:2011(液体の粘度測定方法)」に記載の方法に準拠して、測定された。また、界面活性剤a〜eは、表8に示すとおりである。
Figure 0006677151
表5〜表7に記載の材料を、表5〜表7に記載の配合量でビーカーに入れた。攪拌機(新東科学株式会社製「スリーワンモーター BL−600」)を用いてビーカーの内容物を回転速度400rpmで攪拌して、ビーカーの内容物を均一に混合した。このようにして、水性洗浄液C−01〜C−05、C−11〜C−14、及びC−21〜C−24を得た。
[インクセットの評価方法]
<アンキャップ動作後における水性インクの吐出性能>
以下に示す方法に従い、アンキャップ動作後における水性インクの吐出性能を評価した。
詳しくは、まず、評価機を準備した。評価機として、4つの記録ヘッド(それぞれラインヘッド)を備えるインクジェット記録装置(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製の試作評価機)を用いた。記録ヘッドは、各々、解像度360dpi(=180dpi×2列)、ノズル数512個(=256個×2列)、液滴量14pL、駆動周波数12.8kHzのピエゾ型ヘッド(コニカミノルタ株式会社製)であった。また、記録ヘッドは、その長手方向が紙の搬送方向に直交するように、間隔20mmで配列されていた。また、4つの記録ヘッドには、色が互いに異なる水性インク(実施例及び比較例のインクセットが有する水性インク)を充填した。また、ノズル面は、洗浄されており、そのため、水性インクで汚染されていなかった。
次に、評価機において、パージ動作と、水性洗浄液の供給と、ワイプ動作とを行った。詳しくは、まず、4つの記録ヘッドの各々がパージ処理を行った(パージ動作)。また、3gの水性洗浄液(実施例及び比較例のインクセットが有する水性洗浄液)を浸み込ませたシート(旭化成株式会社製「ベンコット(登録商標)M−3II」の裁断品、裁断品の大きさはノズル面の大きさよりも大きかった)を準備した。そのシートを、4つの記録ヘッドの各々のノズル面に30秒間接触させた(水性洗浄液の供給)。次に、評価機が備えるブレードの先端を、4つの記録ヘッドの各々のノズル面にワイプさせた(ワイプ動作)。この一連の動作(以下、「メンテナンス動作」と記載する)を600回にわたって行った。
続いて、キャップ動作を行った。キャップ動作では、4つの記録ヘッドの各々のノズル面をゴム製のキャップで覆った。これにより、ノズルの開口が密閉された。ノズルの開口が密閉された状態で、評価機を常温常湿環境(より具体的には温度25℃且つ湿度60%RHの環境)下で1週間にわたって静置した。その後、アンキャップ動作を行った。アンキャップ動作では、4つの記録ヘッドの各々のノズル面からゴム製のキャップを外した。これにより、ノズルの開口の密閉状態が解除された。
続いて、水性インクが4つの記録ヘッドの全てのノズルから正常に吐出されるまで、メンテナンス動作を行った。ここで、「水性インクが正常に吐出される」とは、水性インクが困難を伴うことなく所望の吐出方向に吐出されることを意味する。そして、水性インクが正常に吐出されるまでに必要なメンテナンス動作の実施回数(以下、単に「メンテナンス動作の実施回数」と記載する)を数えて、アンキャップ動作後における水性インクの吐出性能を評価した。
良好(○):メンテナンス動作の実施回数が1回
不良(×):メンテナンス動作の実施回数が2回以上
<水性インクの間欠吐出性能>
以下に示す方法に従い、水性インクの間欠吐出性能を評価した。
詳しくは、まず、上記<アンキャップ動作後における水性インクの吐出性能>に記載の方法に従い、評価機を準備した。また、記録ヘッドから吐出される水性インクの量がインク一滴あたり11pLとなるように、評価機を調整した。
次に、評価機を用いて、温度25℃且つ湿度60%RHの環境下で、1枚の記録シート(富士ゼロックス株式会社製「C2」、A4サイズの普通紙、)の搬送方向後端に、1列のドット列を形成した。より具体的には、1枚の記録シートの搬送方向後端に対して、4つの記録ヘッドの全てのノズルから一滴の水性インクを吐出した。このとき、記録シートの長手方向が記録シートの搬送方向に対して垂直になるように、記録シートを搬送した。そして、ドット列の乱れの有無を目視で確認して、水性インクの間欠吐出性能を評価した。
良好(○):ドット列に乱れが確認されなかった
不良(×):ドット列に乱れが確認された
<水性洗浄液におけるソルビトールの析出の有無>
まず、水性洗浄液を、温度32.5℃且つ湿度10%RHの環境下で、1週間にわたって、静置した。そして、水性洗浄液におけるソルビトールの析出の有無を目視で確認した。
良好(○):ソルビトールの析出が確認されなかった
不良(×):ソルビトールの析出が確認された
[インクセットの評価結果]
表9及び表10に、インクセットの評価結果を示す。表9及び表10において、評価Aには、アンキャップ動作後における水性インクの吐出性能の評価結果を示す。また、評価Bには、水性インクの間欠吐出性能の評価結果を示す。また、評価Cには、水性洗浄液におけるソルビトールの析出の有無の評価結果を示す。
Figure 0006677151
Figure 0006677151
[考察]
実施例1〜15に係るインクセットは、水性インクと、水性洗浄液とを有していた。詳しくは、水性インクと、水性洗浄液とは、各々、ソルビトールを含有していた。水性インクにおけるソルビトールの含有量は、0.10質量%以上7.0質量%以下であった。水性洗浄液におけるソルビトールの含有量は、0.10質量%以上10質量%以下であった。水性洗浄液は、両性界面活性剤をさらに含有していた。これにより、アンキャップ動作後においても水性インクの吐出性能を維持できた。また、水性インクの間欠吐出性能の低下を防止できた。さらに、水性洗浄液においてソルビトールが析出することを防止できた。
なお、本発明者らは、次に示すことを確認している。詳しくは、ソルビトールの代わりにトリメチロールプロパン、及び1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチル−2,4−イミダゾリジンジオンのうちの少なくとも1つを使用した場合であっても、表9及び表10に記載の結果と同様の傾向を示す結果が得られた。
本発明に係るインクセットは、例えばカラープリンターにおいて画像を形成するために用いることができる。
4 記録ヘッド
47 吐出面
51 カートリッジ
52 第1タンク
53 第2タンク
S 記録媒体


Claims (6)

  1. 水性インクと、水性洗浄液とを有し、
    前記水性インクと、前記水性洗浄液とは、各々、潮解剤を含有し、
    前記水性インクにおける前記潮解剤の含有量は、0.10質量%以上7.0質量%以下であり、
    前記水性洗浄液における前記潮解剤の含有量は、0.10質量%以上10質量%以下であり、
    前記水性洗浄液は、両性界面活性剤をさらに含有し、
    前記水性インクが含有する前記潮解剤と、前記水性洗浄液が含有する前記潮解剤とは、各々独立に、ソルビトール、トリメチロールプロパン、及び1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチル−2,4−イミダゾリジンジオンのうちの少なくとも1つである、インクジェット記録用インクセット。
  2. 前記両性界面活性剤は、ラウリルジメチルアミンオキシド、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、及びオクタン酸アミドプロピルベタインのうちの少なくとも1つである、請求項1に記載のインクジェット記録用インクセット。
  3. 前記水性洗浄液における前記両性界面活性剤の含有量は、0.10質量%以上である、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用インクセット。
  4. 前記水性インクは、記録ヘッドの吐出面から吐出され、
    前記水性洗浄液は、前記吐出面の洗浄に使用される、請求項1〜の何れか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
  5. 請求項1〜の何れか1項に記載のインクジェット記録用インクセットが有する前記水性インクを、収容する第1タンクと、
    請求項1〜の何れか1項に記載のインクジェット記録用インクセットが有する前記水性洗浄液を、収容する第2タンクと、
    を含む、カートリッジ。
  6. 水性インクを、記録ヘッドの吐出面から記録媒体へ吐出する吐出工程と、
    水性洗浄液を、前記吐出面へ供給する供給工程と、
    前記水性インクを、加圧して前記吐出面から排出させるパージ工程と、
    前記吐出面を、払拭するワイプ工程と、
    を含み、
    前記供給工程と、前記パージ工程とは、各々、前記吐出工程よりも後であって前記ワイプ工程よりも前に、行われ、
    前記水性インクと、前記水性洗浄液とは、各々、潮解剤を含有し、
    前記水性インクにおける前記潮解剤の含有量は、0.10質量%以上7.0質量%以下であり、
    前記水性洗浄液における前記潮解剤の含有量は、0.10質量%以上10質量%以下であり、
    前記水性洗浄液は、両性界面活性剤をさらに含有し、
    前記水性インクが含有する前記潮解剤と、前記水性洗浄液が含有する前記潮解剤とは、各々独立に、ソルビトール、トリメチロールプロパン、及び1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチル−2,4−イミダゾリジンジオンのうちの少なくとも1つである、画像形成方法。
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