JP6819470B2 - インクジェット記録装置、及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
図1は、本実施形態に係るインクジェット記録装置を示す図である。インクジェット記録装置1は、給紙部2と、液体収容部3と、ノズルヘッド4と、用紙搬送部6と、排出部7と、クリーニング部材8と、制御部9とを備える。
図1〜図3を用いて、ノズルヘッド4を説明する。図2は、インクジェット記録装置1に含まれるノズルヘッド4の側面構造を示す図である。図3は、ワイプ工程前におけるインクジェット記録装置1の側面構造を示す図である。ここで、「ワイプ工程前」とは、パージ工程及び水性洗浄液の供給工程の各工程の後であってワイプ工程の前を意味する。ノズルヘッド4は、水性インクを吐出及び排出するとともに、水性洗浄液を供給する。そのため、ノズルヘッド4の下面には、水性インクが吐出及び排出される領域(第1領域R1)と、水性洗浄液が供給される領域(第2領域R2)とが、存在する。本実施形態では、ノズルヘッド4は、記録ヘッド41と、洗浄液供給部141とを有する。記録ヘッド41は、水性インクの吐出工程において水性インクを吐出し、パージ工程において水性インクを排出する。よって、第1領域R1は、記録ヘッド41の下面42に位置する。つまり、記録ヘッド41の下面42が吐出面に相当する。また、洗浄液供給部141は、水性洗浄液の供給工程において、水性洗浄液を供給する。よって、第2領域R2は、洗浄液供給部141の下面142に位置する。
記録ヘッド41は、インク流路により、第1タンク32に接続されている。水性インクは、ポンプにより第1タンク32から汲み上げられてインク流路の上流端へ供給され、インク流路の上流端からインク流路の下流端まで移動して記録ヘッド41に供給される。
洗浄液供給部141は、洗浄液流路により、第2タンク33に接続されている。水性洗浄液は、ポンプにより第2タンク33から汲み上げられて洗浄液流路の上流端へ供給され、洗浄液流路の上流端から洗浄液流路の下流端まで移動して洗浄液供給部141に供給される。
クリーニング部材8は、記録ヘッド41のメンテナンス時において、特にワイプ工程において、ノズルヘッド4の下面を洗浄する。以下、図1及び図4を用いて、クリーニング部材8を説明する。図4は、ワイプ工程中におけるインクジェット記録装置1の側面構造を示す図である。
次に、図1〜図4を用いて、インクジェット記録装置1を用いた画像形成方法を説明する。インクジェット記録装置1を用いた画像形成方法は、制御部9がROMに記憶させた所定の制御プログラムをCPUで実行することによって、行われる。
続いて、図1〜図4を用いて、インクジェット記録装置1が所定の効果を奏する理由として考えられる事項を説明する。ここで、所定の効果には、効果1と効果2とが含まれ、好ましくは効果3がさらに含まれる。効果1は、インクジェット記録装置1の小型化を図ることができることである。効果2は、インクジェット記録装置1が水性インクの吐出性能に優れることである。効果3は、インクジェット記録装置1が耐久時においても水性インクの吐出性能に優れることである。
インクジェット記録装置1では、洗浄液供給部141は、記録ヘッド41の長手方向の一端に固定されており、洗浄液用ノズル147を有する。洗浄液用ノズル147は、洗浄液供給部141の下面142において開口し、水性洗浄液を半球状の液滴52の状態で洗浄液供給部141の下面142に供給する。そして、ブレード81は、洗浄液供給部141の下面142と記録ヘッド41の下面42とに順に当接しながら、記録ヘッド41の長手方向に沿って移動する。
効果2の説明に先立ち、水性インクの一般的な構成と固着インクの形成プロセスとを順に説明する。なお、<効果2>では、「記録ヘッド41の下面42」を「吐出面42」と記載する。
水性インクは、一般的に、水性溶媒と顔料分散体とを有する。顔料分散体は、複数の顔料粒子が水性溶媒中において互いに分散されて構成されたものを意味する。顔料粒子の各々は、一般的に、顔料を含有する顔料コアと、顔料コアの表面に設けられた被覆樹脂とを含む。
固着インクは以下に示すプロセスで形成される、と考えられる。
水性インクを吐出面42から記録媒体Sへ吐出すると、水性インクが吐出面42に付着することがある。水性インクが吐出面42に付着すると、水性インクと空気との接触に起因して水性インクが乾燥する。水性インクが乾燥すると、被覆樹脂が膜を形成し易い。
前述の(固着インクの形成プロセス)で説明したように、顔料粒子が互いに凝集して、固着インクが形成される。しかし、多くの場合、水性洗浄液は、固着インクの形成中に吐出面42へ供給されるため、顔料粒子が互いに凝集する前に吐出面42へ供給される。
ワイプ工程では、ブレード81は、まず、第2傾斜部145Aの下面に接触する。そのため、ワイプ工程においてブレード81に作用する負荷を小さくすることができる。これにより、ブレード81の経時劣化を軽減することができる。よって、耐久時においてもワイプ動作を行うことができるため、耐久時においても固着インクを記録ヘッド41の下面42から除去できる。したがって、インクジェット記録装置1は、耐久時においても、インクの吐出性能に優れる。
粉体に関する評価結果(形状又は物性などを示す値)は、何ら規定していなければ、相当数の粒子について測定した値の個数平均である。また、粉体の体積中位径(D50)の測定値は、何ら規定していなければ、レーザー回折式粒度分布測定装置(マルバーン社製の「Zetasizer nano−ZS(ゼータサイザー ナノZS)」)を用いて測定した値である。
ポリオール類は、水性インク及び水性洗浄液の各々において、水性媒体を構成することができ、保湿剤として機能することもできる。また、ポリオール類は、水性インクにおいて、浸透剤として機能することもできる。
BTGは、水性インク及び水性洗浄液の各々において、水性媒体を構成することができる。また、BTGは、水性インクにおいて、浸透剤として機能することもできる。
2−ピロリドンは、水性インク及び水性洗浄液の各々において、溶解安定剤として機能することができる。
(顔料分散体)
顔料分散体は、複数の顔料粒子を含む。顔料粒子は、各々、顔料コアと、被覆樹脂とを含む。
顔料コアは、顔料を含有する。顔料としては、例えば、黄色顔料、橙色顔料、赤色顔料、青色顔料、紫色顔料、又は黒色顔料を使用できる。黄色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー74、93、95、109、110、120、128、138、139、151、154、155、173、180、185、又は193が挙げられる。橙色顔料としては、例えばC.I.ピグメントオレンジ34、36、43、61、63、又は71が挙げられる。赤色顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド122又は202が挙げられる。赤色顔料として、キナクリドン・マゼンタ(PR122)を使用することもできる。青色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー15又は15:3が挙げられる。紫色顔料としては、例えばC.I.ピグメントバイオレット19、23、又は33が挙げられる。黒色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブラック7が挙げられる。黒色顔料として、カーボンブラックを使用することもできる。
被覆樹脂は、顔料コアの表面に設けられる。被覆樹脂は、アニオン性を有することが好ましく、例えば、スチレン−アクリル酸系樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、及びビニルナフタレン−マレイン酸共重合体のうちの少なくとも1つであることが好ましい。より好ましくは、被覆樹脂は、スチレン−アクリル酸系樹脂である。被覆樹脂がスチレン−アクリル酸系樹脂であれば、顔料粒子を容易に作製できる。また、顔料コアの分散性を高めることができる。
水性溶媒は、水を含有することが好ましく、より好ましくはイオン交換水を含有する。水性インクにおける水の含有量は、20質量%以上70質量%以下であることが好ましい。これにより、粘度が5.0mPa・s以上6.5mPa・s以下の水性インクを提供し易い。
水性インクが界面活性剤を含有すれば、記録媒体に対する水性インクの濡れ性が向上する。水性インクが含有する界面活性剤は、非イオン性界面活性剤であることが好ましい。水性インクにおける非イオン性界面活性剤の含有量は、0.05質量%以上2.00質量%以下であることが好ましい。これにより、画像のオフセットを抑制しつつ、画像濃度が向上する。より好ましくは、水性インクは、アセチレン型界面活性剤を含有する。アセチレン型界面活性剤としては、例えば、日信化学工業株式会社製「オルフィン(登録商標)E1010」を使用できる。
水性インクが溶解安定剤を含有すれば、水性インクに含まれる成分が相溶し易いため、水性インクの溶解状態を安定化できる。溶解安定剤は、2−ピロリドンを含むことが好ましい。溶解安定剤は、N−メチル−2−ピロリドン、及びγ−ブチローラークトンのうちの少なくとも1つをさらに含んでもよい。水性インクにおける溶解安定剤の含有量は、好ましくは1質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは3質量%以上15質量%以下である。
水性インクが保湿剤を含有すれば、水性インクからの液体成分の揮発を抑制できるため、水性インクの粘性を安定化できる。保湿剤は、好ましくは、ポリアルキレングリコール類、アルキレングリコール類、及びグリセリンのうちの少なくとも1つである。ポリアルキレングリコール類は、ポリエチレングリコール、又はポリプロピレングリコールであることが好ましい。アルキレングリコール類は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール(C3−ジオール)、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、1,3−ブタンジオール、又は1,5−ペンタンジオールであることが好ましい。より好ましくは、アルキレングリコール類は、C3−ジオールを含む。水性インクにおける保湿剤の含有量は、好ましくは2質量%以上30質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上25質量%以下である。
水性インクが浸透剤を含有すれば、記録媒体への水性インクの浸透性が向上する。浸透剤は、好ましくは、1,2−へキシレングリコール、1,2−オクタンジオール(C8−ジオール)、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(BTG)、及びジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルのうちの少なくとも1つである。より好ましくは、浸透剤は、C8−ジオール及びBTGのうちの少なくとも1つを含む。水性インクにおける浸透剤の含有量は、好ましくは0.5質量%以上20.0質量%以下である。
水性インクがpH調整剤を含有すれば、水性インクが弱塩基性を示し易い。例えば、水性インクのpHが8.5以上10以下となるように、水性インクにおけるpH調整剤の含有量を決定することが好ましい。
水性インクの好ましい製造方法は、顔料分散液の調製工程と、顔料分散液と他のインク成分との混合工程とを含む。
まず、被覆樹脂を合成する。詳しくは、所定の溶媒に、重合により被覆樹脂を合成可能なモノマー又はプレポリマーと、重合開始剤とを加え、所定の温度で加熱還流を行う。このようにして、被覆樹脂が合成される。より具体的には、イソプロピルアルコールとメチルエチルケトンとの混合液に、スチレンと、(メタ)アクリル酸と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、重合開始剤とを加え、70℃で加熱還流を行う。これにより、スチレン−アクリル酸系樹脂が合成される。
得られた顔料分散液と、他のインク成分とを混合する。攪拌機(例えば、新東科学株式会社製「スリーワンモーター(登録商標) BL−600」)を用いて、顔料分散液と他のインク成分とを混合することが好ましい。他のインク成分は、界面活性剤と溶解安定剤と保湿剤と浸透剤とpH調整剤とのうちの少なくとも1つを含有することが好ましい。顔料分散液と他のインク成分とを混合した後、必要に応じてろ過を行う。このようにして、水性インクが得られる。
(アミン型界面活性剤)
アミン型界面活性剤は、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルアミンであることが好ましい。ポリオキシアルキレンアルキルアミンは、下記式(1−1)で表される構造を有することが好ましい。ポリオキシアルキレンアルキルアミンとしては、例えば、花王株式会社製「アミート(登録商標)105A」、花王株式会社製「アミート320」、又は、三洋化成工業株式会社製「ピュアミール(登録商標)EP−300S」を使用できる。
水性洗浄液は、前述の(水性溶媒)に記載の水性溶媒と、前述の(溶解安定剤)に記載の溶解安定剤と、前述の(保湿剤)に記載の保湿剤と、前述の(pH調整剤)に記載のpH調整剤とのうちの少なくとも1つをさらに含有することが好ましい。これにより、水性インクに対する水性洗浄液の親和性をさらに高めることができる。よって、隣り合う顔料粒子の間への水性洗浄液の浸入がさらに容易となる。
水性溶媒は、水を含有することが好ましく、より好ましくはイオン交換水を含有する。水性洗浄液における水の含有量は、20質量%以上70質量%以下であることが好ましい。これにより、粘度が3.5mPa・s以上5.0mPa・s以下の水性洗浄液を提供し易い。
溶解安定剤は、2−ピロリドンを含むことが好ましい。溶解安定剤は、N−メチル−2−ピロリドン、及びγ−ブチローラークトンのうちの少なくとも1つをさらに含んでもよい。水性洗浄液における溶解安定剤の含有量は、好ましくは1質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは3質量%以上15質量%以下である。
保湿剤は、好ましくは、ポリアルキレングリコール類、アルキレングリコール類、及びグリセリンのうちの少なくとも1つである。ポリアルキレングリコール類は、ポリエチレングリコール、又はポリプロピレングリコールであることが好ましい。アルキレングリコール類は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール(C3−ジオール)、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、1,3−ブタンジオール、又は1,5−ペンタンジオールであることが好ましい。より好ましくは、アルキレングリコール類は、C3−ジオールを含む。水性洗浄液における保湿剤の含有量は、好ましくは2質量%以上30質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上25質量%以下である。
pH調整剤は、アルカリ金属塩であることが好ましい。アルカリ金属塩は、アルカリ金属の水酸化物であることが好ましい。より好ましくは、アルカリ金属塩は、水酸化リチウムと水酸化ナトリウムと水酸化カリウムと水酸化セシウムとのうちの少なくとも1つを含む。
水性洗浄液の好ましい製造方法は、材料(例えば、アミン型界面活性剤)を所定の配合量で均一に混合する工程を含む。攪拌機(例えば、新東科学株式会社製「スリーワンモーター BL−600」)を用いて材料を混合することが好ましい。材料を混合した後、必要に応じてろ過を行う。
実施例及び比較例における水性インク(より具体的には水性インクB−1〜B−8)を製造した。また、実施例及び比較例における水性洗浄液(より具体的には水性洗浄液C−1〜C−5)を製造した。次に、図1に示す構成を有する試作機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製)を準備した。そして、試作機に、製造した水性インク及び水性洗浄液を各々充填した。このようにして、実施例及び比較例に係る装置(より具体的には装置A−1〜A−15)を製造した。
実施例及び比較例における水性インク(より具体的には水性インクB−1〜B−8)は、何れも、シアン顔料を含有する水性インク(シアンインク)と、イエロー顔料を含有する水性インク(イエローインク)と、マゼンタ顔料を含有する水性インク(マゼンタインク)と、ブラック顔料を含有する水性インク(ブラックインク)とを、含んでいた。以下では、シアンインクの製造方法を主に説明する。なお、水性インクの色を表記する必要がない場合には、「水性インク」と記載する。
まず、樹脂Aを合成した。詳しくは、四つ口フラスコ(容量1000mL)に、スターラーと、窒素導入管と、コンデンサー(攪拌機)と、滴下ロートとをセットした。次に、フラスコに、100gのイソプロピルアルコールと300gのメチルエチルケトンとを入れた。フラスコ内容物に窒素をバブリングしながら、70℃で加熱還流を行った。
カラム:東ソー株式会社製「TSKgel SuperMultiporeHZ−H」(4.6mmI.D.×15cmのセミミクロカラム)
カラム本数:3本
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.35mL/分
サンプル注入量:10μL
測定温度:40℃
検出器:IR検出器
なお、検量線は、東ソー株式会社製のTSKgel標準ポリスチレンから、F−40、F−20、F−4、F−1、A−5000、A−2500、及びA−1000の7種とn−プロピルベンゼンとを選択して作成された。
次に、合成された樹脂Aを用いて、表4に示す構成を有する顔料分散液L1を調製した。詳しくは、メディア型分散機(ウィリー・エ・バッコーフェン社(WAB社)製「ダイノミル」)のベッセル(容量0.6L)に、6.0質量%の樹脂Aと、15.0質量%のフタロシアニンブルー15:3(シアン顔料、東洋インキ株式会社製「リオノール(登録商標)ブルーFG−7330」)と、0.5質量%のC8−ジオールと、イオン交換水(残量)とを入れた。
表2及び表3に記載の材料を、表2及び表3に記載の配合量でビーカーに入れた。攪拌機(新東科学株式会社製「スリーワンモーター BL−600」)を用いてビーカーの内容物を回転速度400rpmで攪拌して、ビーカーの内容物を均一に混合した。フィルター(孔径5μm)を用いて得られた混合液をろ過し、混合液に含有される異物及び粗大粒子を除去した。このようにして、シアンインクを得た。
表5に記載の材料を、表5に記載の配合量でビーカーに入れた。攪拌機(新東科学株式会社製「スリーワンモーター(登録商標) BL−600」)を用いてビーカーの内容物を回転速度400rpmで攪拌して、ビーカーの内容物を均一に混合した。フィルター(孔径5μm)を用いて得られた混合液をろ過し、混合液に含有される異物及び粗大粒子を除去した。このようにして、実施例及び比較例における水性洗浄液(より具体的には水性洗浄液C−1〜C−5)を得た。
試作機は、実施例及び比較例における水性インクを収容する第1タンクを4つ備え、実施例及び比較例における水性洗浄液を収容する第2タンクを1つ備えていた。また、試作機は、図2に示すノズルヘッドを4つ備えていた。ノズルヘッドは、各々、記録ヘッドと、洗浄液供給部とを有していた。
4つの第1タンクに、互いに色の異なる水性インク(実施例及び比較例における水性インク)を収容した。また、第2タンクに、実施例及び比較例における水性洗浄液を収容した。このようにして、実施例及び比較例に係る装置(より具体的には装置A−1〜A−15)を得た。
<ノズル面における固着インクの拭き取り性能の評価>
まず、実施例及び比較例に係る装置(より具体的には装置A−1〜A−15)を用いて、耐刷試験を行った。耐刷試験は、温度25℃且つ湿度60%RHの環境下で、搬送速度350mm/秒の条件で、行われた。耐刷試験では、色が互いに異なるソリッド画像(サイズ10cm×10cm、印字率100%)を、記録シート(富士ゼロックス株式会社製「C2」、A4サイズの普通紙)上に重なるように形成し、記録シート5000枚に連続して印刷した。
優良(◎):ノズル面においてインク汚れが全く確認されなかった。
不良(×):ノズル面においてインク汚れが明確に確認された。
まず、初期の着弾精度(3σ値)を求めた。
次に、前述の<ノズル面における固着インクの拭き取り性能の評価>に記載の方法に従い、耐刷試験と記録ヘッドのメンテナンスとを行った。その後、1週間、実施例及び比較例に係る装置(より具体的には装置A−1〜A−15)を放置した。その後、着弾精度(3σ値)を求めた。このようにして求められた着弾精度(3σ値)を放置後の着弾精度(3σ値)と記載する。
表6に、装置A−1〜A−15の評価結果を示す。表6において、「比率」には、粘度の比率を記す。より具体的には、水性インクの粘度に対する水性洗浄液の比率を記す。「評価A」には、ノズル面における固着インクの拭き取り性能の評価結果を記す。「評価B」には、1週間放置後における水性インクの着弾精度の評価結果を記す。
実施例1〜7に係る装置(より具体的には装置A−1〜A−7)は、各々、以下に示す基本構成を有していた。より具体的には、実施例1〜7に係る装置は、水性インクを収容する第1タンクと、水性洗浄液を収容する第2タンクと、下面の第1領域において開口するインク用ノズルを有するノズルヘッドと、ノズルヘッドの下面に当接しながら下面に沿って移動するクリーニング部材と、を備えていた。インク用ノズルは、水性インクを、インク用ノズルの開口から鉛直方向下側へ吐出可能であった。ノズルヘッドは、さらに、下面のうち第1領域を除く第2領域において開口する洗浄液用ノズルを有していた。洗浄液用ノズルは、水性洗浄液を、半球状の液滴の状態で、第2領域に供給可能であった。クリーニング部材は、第2領域に当接する位置から、第1領域に当接する位置へ、移動可能であった。水性インクと、水性洗浄液とは、各々独立に、ポリオール類を、含有していた。水性洗浄液は、さらに、非イオン性界面活性剤を含有し、非イオン性界面活性剤は、アミン型界面活性剤を含んでいた。水性インクの粘度が、5.0mPa・s以上6.5mPa・s以下であった。水性洗浄液の粘度が、3.5mPa・s以上5.0mPa・s以下であった。粘度の比率が、0.60以上0.85以下であった。
4 ノズルヘッド
8 クリーニング部材
32 第1タンク
33 第2タンク
41 記録ヘッド
42 下面
47 インク用ノズル
48 開口
52 液滴
141 洗浄液供給部
142 下面
147 洗浄液用ノズル
148 開口
R1 第1領域
R2 第2領域
S 記録媒体
Z2 鉛直方向下側
Claims (8)
- 水性インクを用いて画像を記録媒体に形成するインクジェット記録装置であって、
前記水性インクを収容する第1タンクと、
水性洗浄液を収容する第2タンクと、
下面の第1領域において開口するインク用ノズルを有するノズルヘッドと、
前記ノズルヘッドの前記下面に当接しながら前記下面に沿って移動するクリーニング部材と、
を備え、
前記インク用ノズルは、前記水性インクを、前記インク用ノズルの開口から鉛直方向下側へ吐出し、
前記ノズルヘッドは、さらに、前記下面のうち前記第1領域を除く第2領域において開口する洗浄液用ノズルを有し、
前記洗浄液用ノズルは、前記水性洗浄液を、前記洗浄液用ノズルの開口から鉛直方向下側へ突出する液滴の状態で、前記第2領域に供給し、
前記クリーニング部材は、前記第2領域に当接する位置から、前記第1領域に当接する位置へ、移動し、
前記水性インクと、前記水性洗浄液とは、各々独立に、分子内に2つ以上の水酸基を有するポリオール類を、含有し、
前記水性洗浄液は、さらに、非イオン性界面活性剤を含有し、
前記非イオン性界面活性剤は、アミン型界面活性剤を含み、
前記水性インクの粘度が、5.0mPa・s以上6.5mPa・s以下であり、
前記水性洗浄液の粘度が、3.5mPa・s以上5.0mPa・s以下であり、
前記水性インクの粘度に対する前記水性洗浄液の粘度の比率が、0.60以上0.85以下であり、
前記水性インクが含有するポリオール類は、1,3−プロパンジオールを含み、
前記1,3−プロパンジオールの含有量が、8質量%以上12質量%以下である、インクジェット記録装置。 - 前記水性洗浄液が含有するポリオール類は、1,3−プロパンジオールを含み、
前記1,3−プロパンジオールの含有量が、5質量%以上15質量%未満である、請求項1に記載のインクジェット記録装置。 - 前記水性洗浄液は、さらに、10質量%以下の2−ピロリドンと、10質量%以下のトリエチレングリコールモノブチルエーテルとを、含有する、請求項1〜3の何れか一項に記載のインクジェット記録装置。
- 水性インクを用いて画像を記録媒体に形成するインクジェット記録装置であって、
前記水性インクを収容する第1タンクと、
水性洗浄液を収容する第2タンクと、
下面の第1領域において開口するインク用ノズルを有するノズルヘッドと、
前記ノズルヘッドの前記下面に当接しながら前記下面に沿って移動するクリーニング部材と、
を備え、
前記インク用ノズルは、前記水性インクを、前記インク用ノズルの開口から鉛直方向下側へ吐出し、
前記ノズルヘッドは、さらに、前記下面のうち前記第1領域を除く第2領域において開口する洗浄液用ノズルを有し、
前記洗浄液用ノズルは、前記水性洗浄液を、前記洗浄液用ノズルの開口から鉛直方向下側へ突出する液滴の状態で、前記第2領域に供給し、
前記クリーニング部材は、前記第2領域に当接する位置から、前記第1領域に当接する位置へ、移動し、
前記水性インクと、前記水性洗浄液とは、各々独立に、分子内に2つ以上の水酸基を有するポリオール類を、含有し、
前記水性洗浄液は、さらに、非イオン性界面活性剤を含有し、
前記非イオン性界面活性剤は、アミン型界面活性剤を含み、
前記水性インクの粘度が、5.0mPa・s以上6.5mPa・s以下であり、
前記水性洗浄液の粘度が、3.5mPa・s以上5.0mPa・s以下であり、
前記水性インクの粘度に対する前記水性洗浄液の粘度の比率が、0.60以上0.85以下であり、
前記水性インクが含有するポリオール類は、1,2−オクタンジオールを含み、
前記1,2−オクタンジオールの含有量が、1.5質量%未満である、インクジェット記録装置。 - 水性インクを用いて画像を記録媒体に形成するインクジェット記録装置であって、
前記水性インクを収容する第1タンクと、
水性洗浄液を収容する第2タンクと、
下面の第1領域において開口するインク用ノズルを有するノズルヘッドと、
前記ノズルヘッドの前記下面に当接しながら前記下面に沿って移動するクリーニング部材と、
を備え、
前記インク用ノズルは、前記水性インクを、前記インク用ノズルの開口から鉛直方向下側へ吐出し、
前記ノズルヘッドは、さらに、前記下面のうち前記第1領域を除く第2領域において開口する洗浄液用ノズルを有し、
前記洗浄液用ノズルは、前記水性洗浄液を、前記洗浄液用ノズルの開口から鉛直方向下側へ突出する液滴の状態で、前記第2領域に供給し、
前記クリーニング部材は、前記第2領域に当接する位置から、前記第1領域に当接する位置へ、移動し、
前記水性インクと、前記水性洗浄液とは、各々独立に、分子内に2つ以上の水酸基を有するポリオール類を、含有し、
前記水性洗浄液は、さらに、非イオン性界面活性剤を含有し、
前記非イオン性界面活性剤は、アミン型界面活性剤を含み、
前記水性インクの粘度が、5.0mPa・s以上6.5mPa・s以下であり、
前記水性洗浄液の粘度が、3.5mPa・s以上5.0mPa・s以下であり、
前記水性インクの粘度に対する前記水性洗浄液の粘度の比率が、0.60以上0.85以下であり、
前記ノズルヘッドは、記録ヘッドと、洗浄液供給部とを有し、
前記記録ヘッドには、前記インク用ノズルが設けられ、
前記洗浄液供給部には、前記洗浄液用ノズルが設けられ、
前記インク用ノズルは、前記記録ヘッドの下面において開口し、
前記洗浄液用ノズルは、前記洗浄液供給部の下面において開口し、
前記洗浄液供給部の前記下面は、前記記録ヘッドの前記下面よりも、鉛直方向下側に位置する、インクジェット記録装置。 - 前記記録ヘッドは、前記記録媒体の搬送方向に対して垂直に延びるラインヘッドである、請求項6に記載のインクジェット記録装置。
- 請求項1〜7の何れか一項に記載のインクジェット記録装置を用いて画像を前記記録媒体に形成する方法であって、
前記水性インクを、前記インク用ノズルから前記記録媒体へ吐出させる吐出工程と、
前記水性インクを、前記インク用ノズルから排出させるパージ工程と、
前記水性洗浄液を、前記洗浄液用ノズルの開口から鉛直方向下側へ突出する液滴の状態で、前記第2領域に供給する供給工程と、
前記クリーニング部材を、前記ノズルヘッドの前記下面に当接させながら、前記第2領域に当接する位置から前記第1領域に当接する位置へ前記下面に沿って移動させるワイプ工程と、
を含み、
前記パージ工程と、前記供給工程とは、各々、前記吐出工程よりも後であって前記ワイプ工程よりも前に、行われる、画像形成方法。
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