JP6243137B2 - 液体洗浄剤組成物および液状増粘剤組成物 - Google Patents

Description

本発明は、特定条件を満たすポリオキシアルキレンアルキルアミンおよび脂肪酸を含有する液体洗浄剤組成物に関するものである。また本発明は、特定条件を満たすポリオキシアルキレンアルキルアミンおよび脂肪酸を含有する液状増粘剤組成物に関する。

シャンプー、ボディーシャンプー、洗顔フォームなどの洗浄剤は、その使用上の簡便性から液状の剤形であることが多い。液状剤形は、その粘性が低い場合、手に取り難く、また一度手の平に受けてもこぼれ落ち易い欠点があり、逆に高すぎると容器からの取り出し難いなどの問題があり、これらの問題を解決するために処方内に粘度制御剤を加え適切な粘性を液状剤形に与えてきた。

メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースのような水溶性高分子系の増粘剤、又は水溶性高分子と電解質、微粉無機物、シリコーン系、又は脂肪酸アルカノールアミドの併用系増粘剤を用いる増粘技術が開示されてきた。

例えば、液体石鹸に脂肪酸アルカノールアミドを添加する例が開示されている（特許文献１）。

また、液体石鹸に高分子増粘剤であるアクリル酸アルキルコポリマーを配合する例が開示されている（特許文献２）。

また、アルキル鎖長が６〜１０のポリオキシアルキレンアルキルアミンに関しては、速泡性を付与する増泡剤としての効果があることが開示されている（特許文献３）。

特開昭５８−０２１４９９号公報 特開２００６−３４８２５８号公報 特開２０１３−０３２４９９号公報

しかしながら、従来の増粘効果は十分なものではなく、他の添加剤への配合制限が付く場合などあり、満足できるものではなかった。本発明の課題は、これらの課題を解決する技術を提供することにある。

本発明者らは、アニオン界面活性剤の酸タイプにポリオキシアルキレンアルキルアミンを加え、ポリオキシアルキレンアルキルアミンを対イオンとするアニオン性界面活性剤の物性研究を実施している際、脂肪酸を代表とする一部のアニオン界面活性剤から誘導されるポリオキシアルキレンアルキルアミンを対イオンとするアニオン性界面活性剤の凝固点が室温に近いことを見出した。更にこの組み合わせを液体洗浄剤組成物に配合したところ、強い増粘作用を発揮できることを見出し本発明を完成させた。

即ち本発明は、
（Ａ）一般式（１）

［但し式中Ｒ^１は直鎖、分枝鎖又は不飽和を含んでもよい炭素数６〜１０のアルキル基を示し、Ａ^１Ｏ、Ａ^２Ｏは、各々独立にオキシエチレン基、オキシプロピレン基から選ばれる基を示し、Ａ^１Ｏ、Ａ^２Ｏが同時にオキシエチレン基、オキシプロピレン基の混合でも良い。ｍ，ｎは互いに独立に０以上の実数であり、１≦ｍ＋ｎ≦３の関係がある。］
で示されるポリオキシアルキレンアルキルアミンと（Ｂ）脂肪酸とを含有する液体洗浄剤組成物であって、
Ａ成分及びＢ成分の組み合わせが、Ｂ成分とＡ成分を混合して得られる塩の凝固点が１０℃以上３０℃未満であるＡ成分とＢ成分からなり、
Ａ成分とＢ成分を７５：２５〜４０：６０の重量比率で含有し、
Ａ成分とＢ成分の純分合計が液体洗浄剤組成物全体に対して１．０〜１５．０Wt％の割合で含有する液体洗浄剤組成物および液状増粘剤組成物に関する。

好適には、成分Ｂが、オクタン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、ヤシ脂肪酸、パーム脂肪酸およびパーム核脂肪酸からなる群より選ばれる少なくとも１種の脂肪酸であることが好ましい。

同時配合成分に制限が無く、少量の添加で実用的な粘度が形成できるため、本発明を利用することにより、洗浄剤組成物の性能・使用感を変えることなく増粘することができる。

以下、本発明の実施形態について説明する。

前記一般式（１）で示されるＡ成分であるポリオキシアルキレンアルキルアミンは、一般的には無触媒、又はアルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物などのアルカリ触媒の存在下において、対応する脂肪族アミンにアルキレンオキサイドを付加して製造される。

［但し式中Ｒ^１は直鎖、分枝鎖又は不飽和を含んでもよい炭素数６〜１０のアルキル基を示し、Ａ^１Ｏ、Ａ^２Ｏは、各々独立にオキシエチレン基、オキシプロピレン基から選ばれる基を示し、Ａ^１Ｏ、Ａ^２Ｏが同時にオキシエチレン基、オキシプロピレン基の混合でも良い。
ｍ，ｎは互いに独立に０以上の実数であり、 １≦ｍ＋ｎ≦３の関係がある。］

ポリオキシアルキレンアルキルアミンの疎水基であるＲ^１基は炭素数６〜１０であることが好ましい。Ｒ^１が１０より大きい場合、脂肪酸と組み合わせて形成する塩の凝固点が３０℃を超えてしまい好ましくなく、６より小さい場合は、塩の凝固点が１０℃未満になる為好ましくない。

ポリオキシアルキレンアルキルアミン混合物（Ａ）の好適要素例としては、ＰＥＧ−２ヘキシルアミン、ＰＥＧ−１／ＰＰＧ−１ヘキシルアミン、ＰＰＧ−２ヘキシルアミン、ＰＥＧ−２オクチルアミン、ＰＥＧ−１／ＰＰＧ−１オクチルアミン、ＰＰＧ−２オクチルアミン、ＰＥＧ−２デシルアミン、ＰＥＧ−１／ＰＰＧ−１デシルアミン、ＰＰＧ−２デシルアミンが挙げられる。

これらの好適要素例がポリオキシアルキレンアルキルアミン混合物（Ａ）全体の平均として、一般式（１）に示されるｎとｍが１≦ｍ＋ｎ≦３となるように混合されている。

本発明においては、Ａ成分であるポリオキシアルキレンアルキルアミンとＢ成分である脂肪酸とで形成される塩の凝固点が重要な要素であるため、選択する脂肪酸の種類によっても異なるが、脂肪酸の疎水基の炭素数とポリオキシアルキレンアルキルアミンの疎水基の炭素数の合計が１４〜２４である組み合わせが好ましい。

Ｂ成分である脂肪酸には、特に制限はないが、本発明の条件であるＡ成分であるポリオキシアルキレンアルキルアミンとＢ成分である脂肪酸とで形成される塩の凝固点を１０℃以上３０℃以下となることが必要である。

好適な脂肪酸としては、オクタン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、ヤシ脂肪酸、パーム脂肪酸、パーム核脂肪酸が例示される。

推定される事象に拘束されるものではないが、脂肪酸と、ポリオキシアルキレンアルキルアミンを混合し、加熱溶解すると、主剤として下記式（２）に示される複合塩が形成される。

［但し式中ＲＣＯＯ⁻グループは各種脂肪酸から誘導されるアニオン成分である。］
この複合塩の凝固点が本発明液体洗浄剤の粘度を左右すると考えている。

Ａ成分であるポリオキシアルキレンアルキルアミンとＢ成分である脂肪酸とで形成される塩の凝固点が１０℃を下回る組み合わせは、本発明効果である増粘性を示さない。また、形成される塩の凝固点が３０℃を上回ると、その組み合わせを配合した場合液体洗浄剤組成物は結晶沈殿を起こしたり、低温安定性が悪くなるなどの問題を引き起こすため好ましくない。

Ａ成分であるポリオキシアルキレンアルキルアミンとＢ成分である脂肪酸が本発明条件である形成される塩の凝固点が１０℃〜３０℃である組み合わせであれば、増粘を所望する液体洗浄剤組成物にＡ成分であるポリオキシアルキレンアルキルアミンとＢ成分である脂肪酸をＡ成分とＢ成分の重量比率が７５：２５〜４０：６０の比率で含有し、Ａ成分とＢ成分の純分合計を液体洗浄剤組成物全体に対して１．０〜１５．０Wt％の割合で含有することにより本発明の効果が発現する。

Ａ成分とＢ成分の純分合計を液体洗浄剤組成物全体に対して１．０Wt％未満の配合では増粘効果は得られず好ましくなく、１５Wt％を超えて配合した場合低温安定性が悪くなり好ましくない。

Ａ成分であるポリオキシアルキレンアルキルアミンとＢ成分である脂肪酸とで形成される塩凝固点が本発明の範囲内にあるということは室温において液状を保つということを意味する。この液状組成物を増粘剤組成物として配合利用することも本発明の範囲内である。

本発明液体洗浄剤組成物には、Ａ成分及びＢ成分の他に界面活性剤を配合することができる。例えば、粘度が出にくいとされるＮ−アシルアミノ酸主剤の液体洗浄剤に対してもＡ成分及びＢ成分を重量比率が７５：２５〜４０：６０の比率で含有し、Ａ成分とＢ成分の純分合計を液体洗浄剤組成物全体に対して１．０〜１５．０Wt％配合することにより増粘効果が発現する。

補助界面活性剤として両性界面活性剤、双性界面活性剤、半極性界面活性剤、ノニオン界面活性剤から選ばれる少なくとも１種又は２種以上を０．１〜１０．０Wt％の範囲で配合されることがより好ましい。

具体的には、イミダゾリン型、カルボキシベタイン型などの両性界面活性剤、スルホベタイン型等の双性界面活性剤、アミンオキサイド、アミドアミンオキサイド等の半極性界面活性剤、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のノニオン界面活性剤が挙げられる。

本発明液体洗浄剤には、発明の効果を損なわない範囲で化粧品に用いられる他の成分、例えば、動物、植物、魚貝類、微生物由来の抽出物、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級アルコール、エステル類、シリコーン、保湿剤、水溶性高分子、被膜剤、紫外線吸収剤、消炎剤、金属封鎖剤、低級アルコール、糖類、アミノ酸類、有機アミン類、合成樹脂エマルジョン、ｐＨ調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン類、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料、などを必要に応じて一種乃至は２種以上用いても良い。

本発明の液体洗浄剤組成物を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの製造例および実施例に限定されるものではない。なお、例中の百分率は特記しない限り重量基準である。

表１の記載に従って、Ａ成分をＮ，Ｎ−ビスヒドロキシエチルオクチルアミンとし、Ｂ成分である脂肪酸を表１記載の脂肪酸と設定して凝固点測定を行った。

測定法は、表１の重量比でＡ成分及びＢ成分を混合後加熱して均一溶液とした後冷却し、式（２）の化合物を中心とした混合物の凝固点測定を行った。

［但し式中ＲＣＯＯ⁻グループは各種脂肪酸から誘導されるアニオン成分である。］

いずれの組み合わせも、凝固点が１０℃〜３０℃を超えない温度範囲にあり、本発明の範囲内にある。実施例１〜５の混合物は、ベース処方に１．０〜１５．０％の割合で含有させることにより液体洗浄剤組成物に実用的な粘度を付与できる。

表２の実施例６〜１０は、実施例１〜５で試作した組成物を、低粘度液体洗浄剤組成物である比較例１に２％添加した例である。実施例１〜５の組成物がきわめてすぐれた増粘剤として作用していることは、通常液体洗浄剤組成部に増粘剤として使用される脂肪酸モノエタノールアミドやラウリン酸ＰＥＧ−２に比較して強い増粘効果があるから明らかである。また、アニオン界面活性剤との２成分系での比較を表した表３を見ると、実施例１２〜１３と比較例７〜１０、１２〜１４との比較より、実施例３の組成物の増粘性が他のノニオン界面活性剤と比較して高いことは明らかである。

更に、比較例３、４、１１の結果より、Ｎ，Ｎ−ビスヒドロキシエチルオクチルアミン単独、乃至はラウリン酸単独での増粘性は弱いことがわかる。

実施例３の結果より成分（Ａ）としてＮ，Ｎ−ビスヒドロキシエチルオクチルアミン、成分（Ｂ）としてラウリン酸塩を選択した場合、本発明の範囲内の凝固点を示すことが判明している。実施例１１の増粘は、予め成分（Ａ）と成分（Ｂ）の塩を混合する必要が無いことを意味している。

なお、実施例１１と比較例２からＢ成分が脂肪酸であることが重要であることは明らかである。ラウロイルサルコシン／Ｎ，Ｎ−ビスヒドロキシエチルオクチルアミン塩の凝固点は３〜４℃であった。

特定のポリオキシアルキレンアルキルアミンと脂肪酸を含む組成物は、増粘剤として他の成分との配合制限が少なく、増粘効果に優れ、液体洗浄剤に配合することができ好適である。

Claims (1)

1. （Ａ）Ｎ，Ｎ‐ビスヒドロキシエチルオクチルアミンと、（Ｂ）オクタン酸、ラウリン酸、又はミリスチン酸との混合物であり、その凝固点が１０℃以上３０℃未満である複合塩。