JP7164780B2 - インキセット - Google Patents
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Description
上記マゼンタインクジェットインキが、水と、水溶性有機溶剤と、β-ナフトール系アゾ顔料と、樹脂粒子とを含み、
上記メンテナンス液が、水と、下記一般式1~5のいずれかの構造を有する有機化合物とを含む、インキセットに関する。
HO-CHR1-CR2R3-X
(一般式1中、Xは、-OH、または、-NR19R20を表し、R1及びR2は、それぞれ、-H、または、-CH3を表し、R3は、-H、-OH、-CnH2n+1、または、-CnH2nOHを表し、R19及びR20は、それぞれ、-H、-CnH2n+1、または、-CnH2nOHを表す。また、nは1~4の整数を表す。ただし、1分子中に複数の-CnH2n+1及び/または-CnH2nOHが存在する場合、前記nはそれぞれが同じであっても異なっていてもよい)
H-(O-CHR4-CH2-)pa-O-R5
(一般式2中、R4は、-H、または、-CH3を表し、R5は、-CqaH2qa+1を表す。また、paは1~4の整数を表し、qaは1~4の整数を表す)
H-(O-CH2CH2-)pb-O-R6
(一般式3中、R6は、-CqbH2qb+1、または、-CqbH2qb-1を表す。また、pbは2~50の整数を表し、qbは6~18の整数を表す)
[H-(O-CH2CH2-)pc-]2-N-R7
(一般式4中、R7は、-CqcH2qc+1、または、-CqcH2qc-1を表す。また、pcは1~30の整数を表し、qcは8~18の整数を表す。ただし、1分子中に2個存在するpcは、それぞれ同じであっても異なっていてもよい)
(一般式5中、R8及びR10は、それぞれ、-H、-OH、または、-CH3を表し、R9及びR11は、それぞれ-CqdH2qd+1を表す。また、pd及びpeは、それぞれ、0~30の整数を表し、qdは1~6の整数を表す。ただし、pd及びpeが同時に0になることはなく、また、前記R9におけるqdと前記R11におけるqdとは、同じであっても異なっていてもよい)
HO-CHR1-CR2R3-X
H-(O-CHR4-CH2-)pa-O-R5
H-(O-CH2CH2-)pb-O-R6
[H-(O-CH2CH2-)pc-]2-N-R7
まず、マゼンタインクジェットインキの構成成分について説明する。上述した通り、本発明のインキセットを構成するマゼンタインキは、水と、水溶性有機溶剤と、β-ナフトール系アゾ顔料と、樹脂粒子とを含有する。
マゼンタインキに含まれる水は、イオン性不純物を除去した水である、イオン交換水を使用することが好ましい。またイオン交換水の含有量は、マゼンタインキ全質量中30~90質量%の範囲であることが好ましく、50~80質量%の範囲であることが更に好ましい。
マゼンタインキは、水溶性有機溶剤を含む。本明細書における「水溶性有機溶剤」とは、物質を溶解及び/または分散させるのに用いられる有機化合物であり、25℃・1気圧下において液体であり、かつ、25℃の水に対する溶解度が5g/100gH2O以上であるものを指す。
1価アルコール系溶剤として、エタノール(沸点78℃)、1-プロパノール(沸点97℃)、イソプロパノール(沸点82℃)、1-ブタノール(沸点117℃)、2-ブタノール(沸点100℃)、イソブタノール(沸点108℃)、1-ペンタノール(沸点138℃)、3-メチル-1-ブタノール(沸点132℃)、3-メチル-2-ブタノール(沸点112℃)、2-メチル-2-ブタノール(沸点102℃)、3-ペンタノール(沸点116℃)、2-メチル-1-ペンタノール(沸点148℃)、2-エチルブチルアルコール(沸点147℃)、n-ヘキサノール(沸点157℃)、n-ヘプタノール(沸点176℃)、2-ヘプタノール(沸点160℃)、3-ヘプタノール(沸点156℃)、n-オクタノール(沸点195℃)、2-オクタノール(沸点179℃)、2-エチルヘキサノール(沸点185℃)、3,5,5-トリメチルヘキサノール(沸点194℃)、1-ノナノール(沸点214℃)、n-デシルアルコール(沸点233℃)、n-ドデカノール(沸点257℃)、シクロヘキサノール(沸点161℃)、2-メチルシクロヘキサノール(沸点174℃)、ベンジルアルコール(沸点205℃)、グリシドール(沸点167℃)、フルフリルアルコール(沸点170℃)、テトラヒドロフルフリルアルコール(沸点178℃)、α-テルピネオール(沸点221℃)、3-メトキシ-1-ブタノール(沸点161℃)、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール(沸点174℃)、2-(2-メトキシメトキシ)エタノール(沸点168℃)、2-(2-メトキシエトキシ)エタノール(沸点194℃)、1-ブトキシエトキシプロパノール(沸点229℃)等があり、
2価アルコール系溶剤として、エチレングリコール(沸点198℃)、プロピレングリコール(1,2-プロパンジオール、沸点188℃)、1,3-プロパンジオール(沸点214℃)、1,2-ブタンジオール(沸点193℃)、1,3-ブタンジオール(沸点207℃)、1,4-ブタンジオール(沸点230℃)、2,3-ブタンジオール(沸点182℃)、1,2-ペンタンジオール(沸点206℃)、1,3-ペンタンジオール(沸点209℃)、1,2-ヘキサンジオール(沸点223℃)、1,6-ヘキサンジオール(沸点250℃)、2-メチル-1,3-プロパンジオール(沸点214℃)、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(沸点208℃)、3-メチル-1,3-ブタンジオール(沸点203℃)、2-エチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール(沸点226℃)、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール(沸点244℃)、ジエチレングリコール(沸点245℃)、トリエチレングリコール(沸点287℃)、テトラエチレングリコール(沸点328℃)、ジプロピレングリコール(沸点232℃)、トリプロピレングリコール(沸点271℃)、テトラプロピレングリコール(沸点271℃)、ポリエチレングリコール400(沸点250℃以上)、ポリエチレングリコール600(沸点250℃以上)等があり、
グリコールモノアルキルエーテル系溶剤として、エチレングリコールモノメチルエーテル(沸点124℃)、エチレングリコールモノエチルエーテル(沸点135℃)、エチレングリコールモノブチルエーテル(沸点171℃)、エチレングリコールモノイソブチルエーテル(沸点161℃)、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(沸点208℃)、エチレングリコールモノ2-エチルヘキシルエーテル(沸点229℃)、エチレングリコールモノベンジルエーテル(沸点256℃)、エチレングリコールモノアリルエーテル(沸点159℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点193℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(沸点196℃)、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(沸点207℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点230℃)、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル(沸点220℃)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(沸点259℃)、ジエチレングリコールモノ2-エチルヘキシルエーテル(沸点272℃)、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル(沸点302℃)、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル(沸点283℃)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点249℃)、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(沸点255℃)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点271℃)、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点248℃)、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点304℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点121℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(沸点160℃)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(沸点150℃)、プロピレングリコールモノn-ブチルエーテル(沸点170℃)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点187℃)、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(沸点231℃)、ジプロピレングリコールモノn-ブチルエーテル(沸点212℃)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点242℃)等がある。
なお、これらの水溶性有機溶剤は単独で使用してもよく、また複数を混合して使用してもよい。
マゼンタインキは、β-ナフトール系アゾ顔料を含む。ナフトール系顔料は発色性に優れており、マゼンタインキとして使用することで、発色性及び色再現性に優れた印刷物が得られる。
マゼンタインキでは、β-ナフトール系アゾ顔料とともに、当該β-ナフトール系アゾ顔料以外の顔料(以下、「その他顔料」とも呼ぶ)を使用してもよい。
β-ナフトール系アゾ顔料をインキ中で安定的に分散保持する方法として、(1)顔料表面の少なくとも一部を顔料分散樹脂によって被覆する方法、(2)水溶性及び/または水分散性の界面活性剤を顔料表面に吸着させる方法、(3)顔料表面に親水性官能基を化学的・物理的に導入し、顔料分散樹脂や界面活性剤なしでインキ中に分散させる方法(自己分散顔料)などを挙げることができる。
本発明のインキセットを構成するマゼンタインキは、樹脂粒子を含む。一般に樹脂粒子は、印刷物の耐擦過性、耐水性、耐溶剤性、印刷濃度等を向上させるために使用される。また、これらの効果に加えて本発明者らは、樹脂粒子とβ-ナフトール系アゾ顔料とを併用し、更に後述するメンテナンス液と組み合わせて使用することにより、流路洗浄性及び混合安定性が高められることを見出した。詳細な理由は不明であるが、樹脂粒子は、水性媒体との間に界面を形成するため、マゼンタインキ内に共在するβ-ナフトール系アゾ顔料との間に相互作用を形成しにくいと考えられる。そのため、上記β-ナフトール系アゾ顔料と、メンテナンス液中に存在する、一般式1~5のいずれかの構造を有する有機化合物との間に形成される相互作用が阻害されることがなくなり、上述した効果が十分に発現することで、印刷物の耐擦過性及び印刷濃度といった効果を維持しながら、流路洗浄性及び混合安定性も向上できると考えられる。
なおいずれかの樹脂を1種のみ使用してもよいし、2種以上を併用して使用してもよい。また、同一種の樹脂が2種以上含まれていてもよい。
マゼンタインキに含まれる樹脂粒子は、ワックスエマルジョン(以下、単に「ワックス」ともいう)であることが好ましい。マゼンタインキがワックスエマルジョンを含むことで、印刷物の耐擦過性、着色力が向上するだけでなく、メンテナンス液と組み合わせた際に、流路洗浄性及び固化・析出成分の除去性に優れる。
一方、マゼンタインキに含まれる樹脂粒子は、上述したワックスエマルジョン以外の樹脂粒子であってもよい。また、上記ワックスエマルジョン以外の樹脂粒子を、ワックスエマルジョンと併用してもよい。
本発明のインキセットを構成するマゼンタインキは、印刷物の耐擦過性、耐水性、耐溶剤性、印刷濃度等を向上させるため、上述した樹脂粒子以外の樹脂(以下、「その他樹脂」とも呼ぶ)を使用してもよい。
マゼンタインキは、発色性及び耐擦過性に優れた印刷物が得られ、メンテナンス液と組み合わせた際の固化・析出成分の除去性も向上するという観点から、界面活性剤を1種以上含むことが好ましい。
HLB値=20×(親水性部分の分子量の総和)÷(材料の分子量)
HLB値=0.89×A+1.11
マゼンタインキは、上述した成分の他に、pH調整剤を添加することができる。pH調整剤として利用できる化合物として、含窒素化合物(アンモニア水、尿素、アルキルアミン類、アルカノールアミン類、芳香族アミン類、含窒素複素環化合物類等)、アルカリ金属塩(アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の酢酸塩、アルカリ金属の炭酸塩等)、無機酸、有機酸、無機酸塩(無機酸のアンモニウム塩等)、有機酸塩(無機酸のアンモニウム塩等)等が任意に使用できる。なお、これらの化合物を1種のみ使用してもよいし、pHの微調整及び/または緩衝能の付与のため、2種以上を併用してもよい。
またマゼンタインキには、上述した成分の他に、所望の物性値を持つインキとするために、防腐剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤などの添加剤を必要に応じて適宜に添加することができる。これらの添加剤の添加量は、インキの全質量に対して、0.01~5質量%が好適である。一方でマゼンタインキは、重合性単量体を実質的に含まないことが好ましい。
上述した成分を含むマゼンタインキは、従来既知の方法によって製造できる。特に、分散安定性及び吐出安定性に優れたインキが得られる点から、β-ナフトール系アゾ顔料を含む顔料分散液をあらかじめ製造したのち、当該顔料分散液、水溶性有機溶剤、樹脂粒子、及び、必要に応じて界面活性剤等の成分を混合する、という製造方法が好適に選択される。以下にβ-ナフトール系アゾ顔料を1種含むマゼンタインキの製造方法の例を説明するが、上記の通り、製造方法は以下に限定されるものではない。また、β-ナフトール系アゾ顔料を2種以上含むマゼンタインキを製造する方法の概要は上述した通りであるが、例えば、好ましい分散条件、構成材料との混合方法、粗大粒子の除去方法等の詳細に関しては、下記内容に準じるものとする。
(1-1)水溶性樹脂である顔料分散樹脂を用いて分散処理する方法
顔料分散樹脂として水溶性樹脂を用いる場合、上記顔料分散樹脂と水と、必要に応じて水溶性有機溶剤とを混合及び攪拌し、顔料分散樹脂水溶液を作製する。前記顔料分散樹脂水溶液に、β-ナフトール系アゾ顔料、及び、必要に応じて、追加の水、追加の水溶性有機溶剤を添加し、混合及び攪拌(プレミキシング)した後、分散機を用いて分散処理を行う。その後、必要に応じて遠心分離、濾過、固形分の調整を行い、顔料分散液を得る。
また、非水溶性樹脂である顔料分散樹脂により被覆された、β-ナフトール系アゾ顔料の分散液を製造する場合、あらかじめ、メチルエチルケトン等の樹脂溶解用有機溶媒に顔料分散樹脂を溶解させ、必要に応じて上記顔料分散樹脂を中和した、顔料分散樹脂溶液を作製する。上記顔料分散樹脂溶液に、β-ナフトール系アゾ顔料と、水と、必要に応じて水溶性有機溶剤、追加の樹脂溶解用有機溶媒を添加し、混合及び攪拌(プレミキシング)した後、分散機を用いて分散処理を行う。その後、減圧蒸留により上記樹脂溶解用有機溶媒を留去し、必要に応じて、遠心分離、濾過、固形分の調整を行い、顔料分散液を得る。
更に本発明では、以下に示す、摩砕混練処理による方法も好適に利用できる。β-ナフトール系アゾ顔料、顔料分散樹脂、有機溶剤、及び無機塩を、混練機により混練したのち、得られた混合物に水を添加し、混合及び攪拌する。そして、遠心分離、濾過、洗浄によって、無機塩、及び、必要に応じて有機溶剤を除去し、更に固形分の調整を行い、顔料分散液を得る。
上記で得られた顔料分散液に、樹脂粒子、水溶性有機溶剤、水、及び必要に応じて上記で挙げた界面活性剤、pH調整剤、及びその他成分を加え、混合及び攪拌する。なお、必要に応じて前記混合物を40~100℃の範囲で加熱しながら混合及び攪拌してもよい。
上記混合物に含まれる粗大粒子を、濾過、遠心分離などの手法により除去し、マゼンタインキとする。濾過分離の方法としては、既知の方法を適宜用いることができるが、フィルターを使用する場合、その開孔径は、好ましくは0.3~5μm、より好ましくは0.5~3μmである。また濾過を行う際は、フィルターは単独種を用いても、複数種を併用してもよい。
本発明のインキセットを構成するマゼンタインキは、25℃における粘度を3~20mPa・sに調整することが好ましい。この粘度領域であれば、4~10KHzの周波数を有するインクジェットヘッドだけではなく、10~70KHzの高周波数のインクジェットヘッドにおいても、安定した吐出特性を示す。特に、25℃における粘度を4~10mPa・sとすることで、600dpi以上の設計解像度を有するインクジェットヘッドで用いても、安定的に吐出させることができる。なお、上記粘度はコーンプレート型粘度計により測定することができる。具体的にはE型粘度計(東機産業社製TVE25L型粘度計)を用い、インキ1mLを使用して測定することができる。
続いて、メンテナンス液の構成成分について説明する。上述した通り、本発明のインキセットを構成するメンテナンス液は、水と、上記一般式1~5のいずれかの構造を有する有機化合物とを含有する。
本発明のメンテナンス液に含まれる水は、上述したマゼンタインキの場合と同様、イオン交換水であることが好ましい。またその含有量は、メンテナンス液全質量中50~99.9質量%の範囲であることが好ましく、70~99.5質量%の範囲であることが更に好ましく、80~99質量%の範囲であることが特に好ましい。
本発明のメンテナンス液は、上記一般式1~5のいずれかの構造を有する有機化合物を含む。なお、一般式1~5のいずれかの構造を有する有機化合物を2種以上含んでもよいし、互いに一般式が異なる有機化合物を複数含んでもよい。
2価アルコールとして、エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2-プロパンジオール)、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、2,3-ブタンジオール、2,3-ペンタンジオール、2,3-ヘキサンジオール、2,3-ヘプタンジオール、2-メチル-1,2-プロパンジオール、2-メチル-1,2-ブタンジオール、2-メチル-1,2-ペンタンジオール、2-メチル-1,2-ヘキサンジオール、2-メチル-2,3-ブタンジオール、3-メチル-2,3-ペンタンジオール、3-メチル-2,3-ヘキサンジオール等が、
3価以上のアルコール系溶剤として、グリセリン、1,2,3-ブタントリオール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、1,2,6-ヘキサントリオール、2,3,5-ペンタントリオール、2,3,6-ヘキサントリオール、2-メチル-1,2,3-プロパントリオール、2-メチル-1,2,3-ブタントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、2-メチル-1,2,5-ペンタントリオール、2-メチル-1,2,6-ヘキサントリオール、3-メチル-2,3,5-ペンタントリオール、3-メチル-2,3,6-ヘキサントリオール等が、
アルカノールアミン類として、2-アミノエタノール、2-アミノプロパノール、2-アミノブタノール、2-アミノペンタノール、2-アミノヘキサノール、2-メチルアミノエタノール、2-(N-メチルアミノ)プロパノール、2-(N-メチルアミノ)ブタノール、2-(N-メチルアミノ)ペンタノール、2-(N-メチルアミノ)ヘキサノール、2-(N-エチルアミノ)プロパノール、2-(N-エチルアミノ)ブタノール、2-(N-エチルアミノ)ペンタノール、2-(N-エチルアミノ)ヘキサノール、2-(N-ブチルアミノ)プロパノール、2-(N-ブチルアミノ)ブタノール、2-(N-ブチルアミノ)ペンタノール、2-(N-ブチルアミノ)ヘキサノール、N,N-ジメチルアミノエタノール、N-エチル-N-メチルアミノエタノール、N,N-ジエチルアミノエタノール、N-メチル-N-プロピルアミノエタノール、N,N-ジブチルアミノエタノール、N-ブチル-N-メチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノプロパノール、2-ジメチルアミノブタノール、2-ジメチルアミノペンタノール、2-ジメチルアミノヘキサノール、2-ジメチルアミノ-2-メチルプロパノール、2-ジメチルアミノ-2-メチルブタノール、2-ジメチルアミノ-2-メチルペンタノール、2-ジメチルアミノ-2-メチルヘキサノール、ジエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N-ブチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、1-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-プロパノール、1-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-1,2-プロパンジオール等が、
それぞれ挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの化合物は単独で使用してもよいし、複数を混合して使用してもよい。
一般式2の構造を有する有機化合物として、上述したグリコールモノアルキルエーテル系溶剤である、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの化合物は単独で使用してもよいし、複数を混合して使用してもよい。
詳細な理由は不明ながら、マゼンタインキと組み合わせた際の流路洗浄性及び固化・析出成分の除去性、並びに、当該マゼンタインキとの混合安定性の観点から、一般式3におけるpbは5~50の整数であることが好ましく、qbは8~18の整数であることが好ましい。
上記一般式3の構造を有する有機化合物の場合と同様の理由及び観点から、一般式4におけるpcは2~20の整数であることが好ましく、2~15の整数であることがより好ましい。更に、qcは12~18の整数であることが好ましい。
上記一般式3及び4の構造を有する有機化合物の場合と同様の理由及び観点から、一般式5におけるpdとpeの和(pd+pe)は3~30であることが好ましく、3~10であることがより好ましい。更に、R9及びR11は、ともにイソブチル基であるか、ともにイソペンチル基であることが好ましい。
本発明のインキセットを構成するメンテナンス液は、上記一般式1~5の構造を有さない有機溶剤(本明細書では「その他有機溶剤」と呼ぶ)を含んでもよい。
本発明のインキセットを構成するメンテナンス液は、上記一般式1~5の構造を有さない界面活性剤(本明細書では「その他界面活性剤」と呼ぶ)を含んでもよい。
更に、メンテナンス液の消泡性、及び、マゼンタインキとの混合安定性の点から、ノニオン性界面活性剤のなかでも、アセチレンジオール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、シロキサン系界面活性剤からなる群から選択される1種以上が好ましく選択される。
メンテナンス液は、樹脂を含むことができる。当該樹脂として、非水溶性樹脂及び水溶性樹脂のどちらを使用してもよく、併用してもよい。中でも、マゼンタインキとの混合安定性の点から、水溶性樹脂を含むことが好ましい。更に、マゼンタインキと組み合わせた際の固化・析出成分の除去性、及び、当該マゼンタインキとの混合安定性の点から、マゼンタインキ中に含まれる樹脂と同種の樹脂であることが好ましい。例えば、マゼンタインキが、顔料分散樹脂としてアクリル系樹脂を含み、かつ、樹脂粒子としてオレフィン系樹脂を含む場合、併用されるメンテナンス液は、アクリル系樹脂及び/またはオレフィン系樹脂を含むことが好適である。
メンテナンス液は、pH調整剤として、上述したマゼンタインキで使用できる化合物が好ましく使用できる。
またメンテナンス液のpHは、7~13の範囲であることが好ましい。pHが7以上、すなわち中性~アルカリ性であれば、メンテナンス液とマゼンタインキとを混合した際に、β-ナフトール系アゾ顔料が凝集することがなく、混合安定性に優れたインキセットとなる。また、インクジェット記録装置の金属部材を腐食することもない。一方、pHが13以下であれば、インクジェットヘッド部材(例えば撥液面)が劣化することがなく、また、マゼンタインキとの混合安定性にも悪影響を及ぼすことがない。なお、詳細な理由は不明であるが、メンテナンス液が弱アルカリ性であると、マゼンタインキ中に含まれる樹脂の溶解性が増し、固化・析出成分の除去性が向上する。この観点から、メンテナンス液におけるより好ましいpH領域は8~11の範囲であり、更に好ましくは8.5~10の範囲である。
本発明のインキセットを構成するメンテナンス液の製造方法として、例えば下記の方法が挙げられるが、当該メンテナンス液の製造方法は、この方法に限定されるものではない。始めに、水と、一般式1~5のいずれかの構造を有する有機化合物と、必要に応じてその他有機溶剤とを添加し、混合及び攪拌する。次に、必要に応じて、その他界面活性剤、pH調整剤等を添加し、混合及び攪拌した後、濾過を行い、メンテナンス液とする。
本発明のインキセットは、インクジェット記録装置を用いた印刷及びメンテナンスに使用される。また上記インキセットを構成するメンテナンス液は、上述した、洗浄液、充填液、保湿液のいずれとしても、好適に使用することができる。
本発明のインキセットを用いて印刷を行うにあたり、従来既知の記録媒体を任意に使用できる。中でも、本発明のインキセットを構成するマゼンタインキは、印刷物の耐擦過性にも優れることから、インキの浸透が起こりにくい、難吸収性基材または非吸収性基材に対して好適に使用できる。前記難吸収性基材または非吸収性基材の例として、コート紙、アート紙、キャスト紙のような塗工紙基材、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリスチレンの様なプラスチック基材、アルミニウム、鉄、ステンレスの様な金属基材、ガラス基材等が挙げられる。
ベース成分として、3-アミノ-4-メトキシベンズアニリド23.4部を水364.4部に添加し、よく攪拌して懸濁液を調製したのち、氷を加えて液温を5℃に調整した。次いで、当該懸濁液に35%塩酸39.7部を添加し、1時間攪拌した。その後、亜硝酸ナトリウム7.1部を水22部に溶解させた水溶液を添加し、1時間攪拌することにより、ジアゾ化を行った。次いで、反応混合物にスルファミン酸1部を加え、亜硝酸を消失させたのち、酢酸ナトリウム20.7部、酢酸1.8部、水165部からなる水溶液を添加し、ジアゾニウム水溶液とした。
攪拌器を備えた混合容器に、C.I.ピグメントレッド150(東京色材社製「Toshiki Red 150TR」)15部と、顔料分散樹脂(スチレン/アクリル酸/ラウリルメタクリレート=35/30/35の質量比で重合させた水溶性樹脂、重量平均分子量16,000、酸価230)の水性化溶液(固形分30%)15部と、水70部とを、順次投入したのち、プレミキシングを行った。その後、直径0.5mmのジルコニアビーズ1800gを充填した、容積0.6Lのダイノーミルを用いて本分散を行うことで、顔料分散液1(顔料濃度15%、固形分19.5%)を得た。
・顔料分散液2: C.I.ピグメントレッド146(クラリアント社製「Perma nent Pink FBB02」)
・顔料分散液3: C.I.ピグメントレッド147(クラリアント社製「Perma nent Pink F3B」)
・顔料分散液4: C.I.ピグメントレッド184(クラリアント社製「Perma nent Rubine F6B」)
・顔料分散液5: C.I.ピグメントレッド269(東京色材社製「Toshiki Red 269N」)
・顔料分散液6: C.I.ピグメントレッド150とC.I.ピグメントレッド26 9の混晶顔料(上記で製造したナフトール系混晶顔料)
・顔料分散液7: C.I.ピグメントレッド122(クラリアント社製「Ink J et Magenta E-S」)
・顔料分散液8: C.I.ピグメントバイオレット19とC.I.ピグメントレッド 202との混晶顔料(BASF社製「CINQUASIA Magenta D4500 J」)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、水40部、及び、界面活性剤としてアクアロンKH-10(第一工業製薬製)0.2部を仕込み、界面活性剤水溶液を作製した。また別の混合容器に、重合性単量体としてスチレン25部、メタクリル酸3部、メチルメタクリレート62部、ブチルアクリレート10部、界面活性剤としてアクアロンKH-10を1.8部、及び、水51.2部を投入し、よく混合してエマルジョン前駆体を作製した。
重合性単量体を表1記載のように変更した以外は、上記樹脂粒子1と同様の操作によって、シロキサン鎖構造を有するスチレン(メタ)アクリル系樹脂である樹脂粒子4の水分散液、及び、シロキサン鎖構造を有する(メタ)アクリル系樹脂である樹脂粒子5の水分散液(どちらも固形分40%)を得た。
・St:スチレン
・MAA:メタクリル酸
・MMA:メチルメタクリレート
・BA:ブチルアクリレート
・StMA:ステアリルメタクリレート
・PME-400:メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレンオキ サイド基数9)
・DiMSiMA:下記式8で表される、ポリジメチルシロキサンメタクリレート
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メチルエチルケトン150部、及び、重合性単量体として1,6-ヘキサンジオールを主骨格としたポリカーボネートジオール(分子量2,000)69部、イソホロンジイソシアネート11.8部、ヘキサメチレンジイソシアネート9部、ジメチロールプロピオン酸8.3部を仕込み、窒素ガスで置換したのち、反応容器内を80℃に加熱し、6時間重合反応を行った。次いで、更にトリメチロールプロパン1.9部を添加し、80℃で反応を継続した。その後、反応系を室温まで冷却した後、水を添加し、更に水酸化カリウム水溶液を攪拌しながら添加し、中和した。そして、減圧下で混合溶液を加熱してメチルエチルケトンを留去したのち、水を用いて固形分が40%になるように調整することで、ウレタン樹脂粒子である、樹脂粒子6の水分散液(固形分40%)を得た。なお、上記に記載した方法で測定した、樹脂粒子6の酸価は37、SP値は12.9であった。
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、ブタノール93.4部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を110℃に加熱し、重合性単量体としてメタクリル酸2部、メチルメタクリレート88部、ブチルメタクリレート10部、及び、重合開始剤としてV-601(和光純薬製)6部の混合物を2時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、110℃で3時間反応させた後、V-601を0.6部添加し、更に110℃で1時間反応を継続した。その後、反応系を室温まで冷却した後、ジメチルアミノエタノールを2.2部添加して中和したのち、水を100部添加した。その後、混合溶液を100℃以上に加熱してブタノールを留去したのち、水を用いて固形分が40%になるように調整することで、その他樹脂1の水性化液(固形分40%)を得た。
攪拌機で攪拌を行いながら、下記表3に記載した材料を混合容器へ投入し、それぞれが十分に均一になるまで攪拌した。その後、孔径1μmのメンブランフィルターで濾過を行い、マゼンタインキ1~49を得た。
(樹脂粒子)
・AQ515:AQUACER 515(ビックケミー社製、ポリエチレン系ワック ス、固形分35%、融点135℃、平均粒子径36nm)
・P5300:ハイテック P5300(東邦化学工業社製、ポリプロピレン系ワッ クス、固形分30%、融点146℃、平均粒子径78nm)
(その他樹脂)
・J678:ジョンクリル678(BASF社製、(メタ)アクリル系水溶性樹脂)
(有機溶剤)
・MB:3-メトキシブタノール(沸点:161℃、SP値:10.9)
・PG:プロピレングリコール(沸点:188℃、SP値:13.5)
・1.2-BD:1.2-ブタンジオール(沸点:193℃、SP値:14.0)
・1.2-HexD:1.2-ヘキサンジオール(沸点:223℃、SP値:11. 8)
・グリセリン(沸点:290℃、SP値:16.4)
・iPDG:ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(沸点:207℃、S P値:10.6)
・BDG:ジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点230℃、SP値10. 5)
・ETG:トリエチレングリコールモノエチルエーテル(沸点255℃、SP値10 .6)
(界面活性剤)
・サーフィノール104(日信化学工業社製ノニオン系界面活性剤、アセチレン系界 面活性剤、HLB値:3.0)
・サーフィノール465(日信化学工業社製ノニオン系界面活性剤、アセチレン系界 面活性剤、HLB値:13.0)
・TW280:TEGO Wet 280(エボニック社製ノニオン系界面活性剤、 シロキサン系界面活性剤、HLB値:3.5)
(pH調整剤)
・TEA:トリエタノールアミン(沸点:335℃、SP値13.7、pKa値:7 .8)
・DMAE:ジメチルアミノエタノール(沸点:163℃、SP値11.3、pKa 値:9.9)
(防腐剤)
・プロキセルGXL:アーチケミカルズ社製1,2-ベンゾイソチアゾール-3-オ ン溶液
上記で作製したマゼンタインキを用いて、以下の評価1~2を行った。なお、評価結果は表4に示した通りであった。
記録媒体を搬送できるコンベヤの上部にインクジェットヘッドKJ4B-QA(京セラ社製、設計解像度600dpi)を設置し、上記で製造したマゼンタインキをそれぞれ充填した後、ドロップボリューム12pLで、王子製紙社製OKトップコート+(コート紙、坪量104.7g/m2)上にベタ画像(印字率100%、インキ膜厚6μm相当)を印刷し、10秒以内に印刷物を70℃エアオーブンに投入した。1分間乾燥させた後に印刷物をオーブンから取り出し、分光濃度計(X-RITE社製eXact)を用いて光学濃度(OD値)の測定を行った。なお、光源はD50、視野角は2°、濃度ステータスはISO Status T、濃度白色基準は絶対値とした。評価基準は以下の通りとし、評価基準値2~4を実用可能領域とした。
4:OD値1.00以上
3:OD値0.95以上1.00未満
2:OD値0.90以上0.95未満
1:OD値0.90未満
評価1で使用したインクジェット記録装置に、上記で製造したマゼンタインキをそれぞれ充填した後、ドロップボリューム12pLで、王子製紙社製OKトップコート+(コート紙、坪量104.7g/m 2 )上にベタ画像(印字率100%、インキ膜厚6μm相当)を印刷し、10秒以内に印刷物を70℃エアオーブンに投入した。1分間乾燥させた後に印刷物をオーブンから取り出し、200gの加重をかけながら、試験用白綿布(カナキン3号)で所定回数擦り、インキが取れるかどうかを目視観察することで、耐擦過性を評価した。評価基準は以下の通りとし、評価基準値2~4を実用可能領域とした。
4:20回擦っても、印刷面の傷やインキの剥がれは見られなかった
3:10回擦っても、印刷面の傷やインキの剥がれは見られなかったが、20回擦ると 、印刷面の傷やインキの剥がれが見られた
2:5回擦っても、印刷面の傷やインキの剥がれは見られなかったが、10回擦ると、 印刷面の傷やインキの剥がれが見られた
1:5回擦ったところで、印刷面の傷やインキの剥がれが見られた。
攪拌機で攪拌を行いながら、下記表5に記載した材料を混合容器へ投入し、それぞれが十分に均一になるまで攪拌した。その後、孔径1μmのメンブランフィルターで濾過を行い、メンテナンス液1~58を得た。
(一般式1の構造を有する有機化合物)
・1,2,4-BtOH:1,2,4-ブタントリオール(沸点:345℃、SP値 :15.2)
・1,2,6-HextOH:1,2,6-ヘキサントリオール(沸点:345℃、 SP値:13.7)
・2,3-BD:2,3-ブタンジオール(沸点:177℃、SP値:12.6)
・TiPrA:トリイソプロパノールアミン(沸点:318℃、SP値:12.2)
・DEA:ジエタノールアミン(沸点:217℃、SP値:13.4)
・DiPrA:ジイソプロパノールアミン(沸点:250℃、SP値:12.1)
・BuDEA:ブチルジエタノールアミン(沸点:275℃、SP値:11.3)
・DEAE:ジエチルアミノエタノール(沸点:163℃、SP値:10.7)
(一般式2の構造を有する有機化合物)
・MTeG:テトラエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点:248℃、SP 値:10.8)
(一般式3の構造を有する有機化合物)
・エマルゲン350(花王社製ノニオン系界面活性剤、ポリオキシアルキレン系界面 活性剤、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、SP値:9.4、HLB値:1 7.8)
・エマルゲン306P(花王社製ノニオン系界面活性剤、ポリオキシアルキレン系界 面活性剤、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、SP値:9.4、HLB値: 9.4)
・エマルゲン150(花王社製ノニオン系界面活性剤、ポリオキシアルキレン系界面 活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、SP値:9.4、HLB値:18 .4)
・エマルゲン106(花王社製ノニオン系界面活性剤、ポリオキシアルキレン系界面 活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、SP値:9.6、HLB値:10 .5)
(一般式4の構造を有する有機化合物)
・ナイミーンO-205(日油社製ノニオン系界面活性剤、ポリオキシアルキレンア ルキルアミン系界面活性剤、ポリオキシエチレンオレイルアミン、SP値:9.8 、HLB値:9)
・ナイミーンS-210(日油社製ノニオン系界面活性剤、ポリオキシアルキレンア ルキルアミン系界面活性剤、ポリオキシエチレンステアリルアミン、SP値:9. 7、HLB値:12.5)
・ナイミーンL-207(日油社製ノニオン系界面活性剤、ポリオキシアルキレンア ルキルアミン系界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルアミン、SP値:9.9 、HLB値:12.5)
(一般式5の構造を有する有機化合物)
・サーフィノール485(日信化学工業社製ノニオン系界面活性剤、アセチレン系界 面活性剤、SP値:9.7、HLB値:17)
・サーフィノール440(日信化学工業社製ノニオン系界面活性剤、アセチレン系界 面活性剤、SP値:10.8、HLB値:8)
(その他有機溶剤)
・1.3-BD:1.3-ブタンジオール(沸点:207℃)
・1.6-HexD:1.6-ヘキサンジオール(沸点:250℃)
・TeEG:テトラエチレングリコール(沸点:328℃)
(その他界面活性剤)
・アセタミン24(花王社製カチオン系界面活性剤、アルキルアミン塩)
・エマール20T(花王社製アニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエ ーテル硫酸エステル塩)
・ネオペレックスG-15(花王社製アニオン系界面活性剤、ドデシルベンゼンスル ホン酸ナトリウム)
・サーフィノールDF110D(日信化学工業社製ノニオン系界面活性剤、アセチレ ン系界面活性剤)
・サーフィノール104(日信化学工業社製ノニオン系界面活性剤、アセチレン系界 面活性剤)
・メガファックF-142D(DIC社製ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性 剤)
(pH調整剤)
・NaOHaq:1mol/l水酸化ナトリウム水溶液
上記で作製したマゼンタインキ及びメンテナンス液を、表6記載のように組み合わせてインキセットとし、以下の評価3~6を行った。なお、評価結果は表6に示した通りであった。
表6記載のマゼンタインキとメンテナンス液との組み合わせをインキセットとして、当該マゼンタインキ10gと、当該メンテナンス液10gとを混合したのち、密閉容器に封入した。このような密閉容器を3個作製し、それぞれ、60℃、70℃、80℃の恒温槽内に静置した後、1カ月間保存した。そして保存後、凝集物の有無を目視で観察することで、混合安定性の評価を行った。評価基準は下記の通りとし、評価基準値2~4を実用可能領域とした。
4:いずれの保存温度品においても凝集物が見られなかった。
3:80℃で保存したものでは凝集物が見られたが、70℃以下で保存したものでは 凝集物が見られなかった。
2:70℃以上で保存したものでは凝集物が見られたが、60℃で保存したものでは 凝集物が見られなかった。
1:いずれの保存温度品においても凝集物が見られた。
サンゴバン社製TYGON(登録商標)2375耐薬チューブ(品番AKJ00007、内径1/8インチ)を、チューブ内容量が10mlになるような長さに切り取ったのち、シリンジを用いてマゼンタインキを20ml通液した。その後、マゼンタインキと同様に、チューブ内にメンテナンス液を所定量流し、チューブ内に残った液体の着色の有無を目視で観察することで、流路洗浄性の評価を行った。評価基準は下記の通りとし、評価基準値2~4を実用可能領域とした。
4:メンテナンス液を30ml流した後、チューブ内に残った液体は無色透明であっ た。
3:メンテナンス液を30ml流した後にチューブ内に残った液体は着色していたが 、40ml流した後にチューブ内に残った液体は無色透明であった。
2:メンテナンス液を40ml流した後にチューブ内に残った液体は着色していたが 、50ml流した後にチューブ内に残った液体は無色透明であった。
1:メンテナンス液を50ml流した後にチューブ内に残った液体が着色していた。
容量が30mlであるアルミ製小分け容器にマゼンタインキを0.3g加え、35℃エアオーブンで所定時間乾燥及び固化させた。なおいずれのマゼンタインキも、1時間乾燥後に指触した際、指先に未乾燥のマゼンタインキが付着することはなかった。その後、メンテナンス液を10g加えて1時間静置し、当該メンテナンス液を別の容器に移し替えた。そして、固化したマゼンタインキがメンテナンス液内に剥離または溶出したかを、小分け容器底面及び静置後のメンテナンス液を目視で観察することで、固化成分の除去性を評価した。評価基準は下記の通りであり、評価基準値2~4を実用可能領域とした。
4:35℃エアオーブンで12時間乾燥及び固化させたマゼンタインキであっても、メ ンテナンス液内に剥離または溶解した。
3:35℃エアオーブンで12時間乾燥及び固化させたマゼンタインキではメンテナン ス液には完全には剥離または溶解しなかったが、6時間乾燥及び固化させたマゼンタイ ンキでは剥離または溶解した。
2:35℃エアオーブンで6時間乾燥及び固化させたマゼンタインキではメンテナンス 液には完全には剥離または溶解しなかったが、1時間乾燥及び固化させたマゼンタイン キでは剥離または溶解した。
1:35℃エアオーブンで1時間乾燥及び固化させたマゼンタインキであっても、メン テナンス液には完全には剥離または溶解しなかった。
京セラ社製インクジェトヘッド(KJ4B-YHモデル)を搭載したトライテック社製インクジェット吐出観察装置(DotView)にマゼンタインキを充填した後、全ノズルから、インキを100発ずつ吐出し、吐出異常が発生しているノズルの数を計測した。
次に、上記インクジェットヘッド内にマゼンタインキが充填されている状態のまま、撥液面がメンテナンス液の蒸気雰囲気環境下に曝される状態になるよう、メンテナンス液を充填したキャップを装着し(ただし、前記キャップ内のメンテナンス液と、インクジェットヘッドが接触しないように、前記メンテナンス液量を調整した)、常温下で12時間静置した。
静置後、上記キャップを取り外し、再度、上述した方法で、全ノズルからインキを100発ずつ吐出し、吐出異常が発生しているノズルの数を計測した。そして、吐出異常が発生したノズルの数の増加数を算出することで、保湿性を評価した。評価基準は下記の通りとし、2~4評価を実用可能領域とした。
4:吐出異常の発生したノズルの数の増加数が5以下であった。
3:吐出異常の発生したノズルの数の増加数が6~10であった。
2:吐出異常の発生したノズルの数の増加数が11~20であった。
1:吐出異常の発生したノズルの数の増加数が21以上であった。
Claims (7)
- マゼンタインクジェットインキと、メンテナンス液と、を含むインキセットであって、
前記マゼンタインクジェットインキが、水と、水溶性有機溶剤と、β-ナフトール系アゾ顔料と、樹脂粒子とを含み、
前記メンテナンス液が、水と、下記一般式1~5のいずれかの構造を有する有機化合物とを含む、インキセット。
一般式1:
HO-CHR1-CR2R3-X
(一般式1中、Xは、-OH、または、-NR19R20を表し、R1及びR2は、それぞれ、-H、または、-CH3を表し、R3は、-H、-OH、-CnH2n+1、または、-CnH2nOHを表し、R19及びR20は、それぞれ、-H、-CnH2n+1、または、-CnH2nOHを表す。また、nは1~4の整数を表す。ただし、1分子中に複数の-CnH2n+1及び/または-CnH2nOHが存在する場合、前記nはそれぞれが同じであっても異なっていてもよい)
一般式2:
H-(O-CHR4-CH2-)pa-O-R5
(一般式2中、R4は、-H、または、-CH3を表し、R5は、-CqaH2qa+1を表す。また、paは1~4の整数を表し、qaは1~4の整数を表す)
一般式3:
H-(O-CH2CH2-)pb-O-R6
(一般式3中、R6は、-CqbH2qb+1、または、-CqbH2qb-1を表す。また、pbは2~50の整数を表し、qbは6~18の整数を表す)
一般式4:
[H-(O-CH2CH2-)pc-]2-N-R7
(一般式4中、R7は、-CqcH2qc+1、または、-CqcH2qc-1を表す。また、pcは1~30の整数を表し、qcは8~18の整数を表す。ただし、1分子中に2個存在するpcは、それぞれ同じであっても異なっていてもよい)
一般式5:
(一般式5中、R8及びR10は、それぞれ、-H、-OH、または、-CH3を表し、R9及びR11は、それぞれ-CqdH2qd+1を表す。また、pd及びpeは、それぞれ、0~30の整数を表し、qdは1~6の整数を表す。ただし、pd及びpeが同時に0になることはなく、また、前記R9におけるqdと前記R11におけるqdとは、同じであっても異なっていてもよい) - 前記マゼンタインクジェットインキが、前記水溶性有機溶剤として、2価アルコール系溶剤及び/またはグリコールモノアルキルエーテル系溶剤を含む、請求項1に記載のインキセット。
- 前記2価アルコール系溶剤及び/または前記グリコールモノアルキルエーテル系溶剤が、前記一般式1の構造を有する有機化合物及び/または前記一般式2の構造を有する有機化合物である、請求項2に記載のインキセット。
- 前記樹脂粒子が、ワックスエマルジョンを含む、請求項1~3のいずれかに記載のインキセット。
- 前記マゼンタインクジェットインキが、HLB値が0~5であるアセチレンジオール系界面活性剤と、HLB値が0~5であるシロキサン系界面活性剤とを含む、請求項1~4のいずれかに記載のインキセット。
- 前記メンテナンス液に含まれる、前記一般式1~5のいずれかの構造を有する有機化合物のSP値と、前記マゼンタインクジェットインキに含まれる、前記樹脂粒子のSP値との差が1以上である、請求項1~5のいずれかに記載のインキセット。
- 前記β-ナフトール系アゾ顔料が、C.I.ピグメントレッド150及び/またはC.I.ピグメントレッド269を含む、請求項1~6のいずれかに記載のインキセット。
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