JP6308379B2 - 制御システム - Google Patents

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Description

この発明は、電動モータと電動モータのモータトルクを増幅する減速機構とを含む制御システムに関する。このような制御システムの一例は、電動パワーステアリング装置(EPS:Electric Power Steering System)である。
電動パワーステアリング装置として、コラム部に電動モータと減速機構とが配置されているコラムアシスト式電動パワーステアリング装置(以下、「コラム式EPS」という)が知られている。コラム式EPSは、ステアリングホイール、ステアリングシャフト、中間軸、転舵機構、電動モータ、減速機構等を含んでいる。ステアリングシャフトは、ステアリングホイールに連結された入力軸と、中間軸に連結された出力軸と、入力軸と出力軸とを連結しているトーションバーからなる。電動モータは、減速機構を介して出力軸に連結されている。
この明細書において「コラム」とは、ステアリングホイール、入力軸、トーションバーおよび出力軸から構成される部分をいう。また、この明細書において「パワーコラム」とは、ステアリングホイール、入力軸、トーションバー、出力軸、減速機構、電動モータ、および電動モータの制御装置から構成される部分をいう。また、この明細書において「一般的なコラム式EPS」とは、減速機構の摩擦を補償する機能を備えていなコラム式EPSをいうものとする。
一般的なコラム式EPSでは、電動モータによって発生したモータトルク(アシストトルク)は、減速機構を介して出力軸に伝達される。出力軸に伝達されたアシストトルクは、中間軸を介して、たとえばラックアンドピニオン機構を含む転舵機構に伝達される。減速機構は、たとえばウォームギヤとウォームホイールとからなるウォームギヤ機構である。減速機構で発生する摩擦は大きいため、その摩擦の影響によってステアリングの操舵入力に対する応答性が悪化するという問題がある。
そこで、ステアリングの操舵入力に対する応答性を向上させるために、減速機構で発生する摩擦を補償する方法が開発されている。最も簡単な摩擦補償方法は、操舵速度の符号に応じてある一定の摩擦力をアシストトルク指令値に加算する方法である。
下記特許文献1には、トルクセンサによって検出された検出操舵トルクに基いて演算されたアシストトルク指令値と、検出操舵トルクとに基いて摩擦補償を行う方法が開示されている。具体的には、アシストトルク指令値に基いて減速機構の摩擦力の大きさが推定される。検出操舵トルクに基いて減速機構の摩擦力の符号が決定される。このようにして、減速機構の摩擦力が推定される。そして、推定された減速機構の摩擦力が、アシストトルク指令値に加算される。
特開2003-170856号公報 特開2000-103349号公報 特開2003-291834号公報
「自動車の運動と制御 車両運動力学の理論形成と応用」 安部正人著 東京電気大学出版局 2008年3月20日 第1版1刷発行 2009年9月20日 第1版2刷発行
この発明の目的は、減速機構で発生する摩擦を新規な摩擦補償手法によって補償することができる制御システムを提供することである。
請求項1記載の発明は、電動モータ(18)と前記電動モータのモータトルクを増幅する減速機構(19)を含む制御システム(1)であって、前記電動モータの基本モータトルク指令値(T)を演算する基本モータトルク指令値演算手段(47)と、前記減速機構に加えられているモータトルク以外の外部トルク(Ttb,Tload;Ttb,Tload2)を特定する外部トルク特定手段(11,54,91)と、前記減速機構で摩擦が発生しないと仮定したモデル、あるいは前記減速機構で摩擦が発生しないと仮定したモデルを、実測したモータ角速度によって修正したモデル(55,92)によって前記電動モータの角速度(ωm,ref,ωm,obs)を演算するモータ角速度演算手段(43,86)と、前記外部トルク特定手段によって特定される外部トルクと、前記モータ角速度演算手段によって演算される角速度と、前記基本モータトルク指令値演算手段によって演算される基本モータトルク指令値と、前記制御システム内で発生する摩擦のうちの少なくとも前記減速機構で発生する摩擦を含む補償対象の摩擦が考慮された前記制御システムのシミュレーションモデル(71)とを用いて、前記補償対象の摩擦を推定する摩擦推定手段(44,44A,87)と、前記摩擦推定手段によって推定された摩擦と、前記基本モータトルク指令値演算手段によって演算された基本モータトルク指令値とを用いて、前記電動モータから発生させるべきモータトルクの目標値であるモータトルク指令値(Tabc)を演算するモータトルク指令値演算手段(49,85)と、前記モータトルク指令値演算手段によって演算されたモータトルク指令値に基いて、前記電動モータを制御する制御手段(51,52)とを含む、制御システムである。なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表すが、むろん、この発明の範囲は当該実施形態に限定されない。以下、この項において同じ。
この発明では、減速機構に加えられているモータトルク以外の外部トルクと、減速機構で摩擦が発生しないと仮定した場合の電動モータの角速度と、基本モータトルク指令値と、制御システムのシミュレーションモデルとを用いて、補償対象の摩擦が推定される。そして、推定された摩擦と基本モータトルク指令値とを用いて、モータトルク指令値が演算される。これにより、減速機構で発生する摩擦を新規な摩擦補償手法によって補償することができるようになる。
請求項2記載の発明は、前記摩擦推定手段は、前記外部トルク特定手段によって特定される外部トルクと、前記基本モータトルク指令値演算手段によって演算される基本モータトルク指令値とを用いて、前記減速機構の接触形態を判別する判別手段(61)と、前記モータ角速度演算手段によって演算される角速度に基いて、前記減速機構の摩擦係数(μ)を推定する摩擦係数推定手段(62)と、前記判別手段の判別結果と、前記摩擦係数推定手段によって推定された摩擦係数と、前記外部トルク特定手段によって特定される外部トルクと、前記モータ角速度演算手段によって演算される角速度とに基いて、前記補償対象の摩擦を演算する演算手段(63)とを含む、請求項1に記載の制御システムである。
請求項3記載の発明は、前記判別手段は、前記減速機構を構成する2つのギヤの接触形態が一点接触形態であるか二点接触形態であるかを判別するように構成されており、前記演算手段は、予め設定されている前記一点接触形態用の摩擦演算式(式(25))と前記二点接触形態用の摩擦演算式(式(23))のうち、前記判別手段の判別結果に対応した演算式を用いて、前記補償対象の摩擦を演算するように構成されている請求項2に記載の制御システムである。
請求項4記載の発明は、前記電動モータの角速度(ωm,meas)を検出するモータ角速度検出手段(42)と、前記モータ角速度演算手段によって演算される角速度と前記モータ角速度検出手段によって検出される角速度との偏差に基いて、モータトルク補正値(Ta,PI)を演算する補正値演算手段(45,46)とをさらに含み、前記モータトルク指令値演算手段は、前記基本モータトルク指令値演算手段によって演算される基本モータトルク指令値と、前記補正値演算手段によって演算される前記モータトルク補正値と、前記摩擦推定手段によって推定された摩擦とを用いて、モータトルク指令値を演算するように構成されている、請求項2または3に記載の制御システムである。
請求項5記載の発明は、前記判別手段は、前記外部トルク特定手段によって特定される外部トルク(Ttb,Tload)と、前記基本モータトルク指令値演算手段によって演算される基本モータトルク指令値に前記補正値演算手段によって演算される前記モータトルク補正値を加算した値(Tab)とを用いて、前記減速機構の接触形態を判別するように構成されている、請求項4に記載の制御システムである。
請求項6記載の発明は、前記摩擦推定手段は、前記外部トルク特定手段によって特定される外部トルクと、前記基本モータトルク指令値演算手段によって演算される基本モータトルク指令値とを用いて、前記減速機構の歯面に作用する垂直抗力(dN)を演算する垂直抗力演算手段(64,201)と、前記モータ角速度演算手段によって演算される角速度に基いて、前記減速機構の摩擦係数(μ)を推定する摩擦係数推定手段(65,202)と、前記垂直抗力演算手段によって演算される垂直抗力と、前記摩擦係数推定手段によって推定された摩擦係数とに基いて、前記補償対象の摩擦を演算する演算手段(66,203)とを含む、請求項1に記載の制御システムである。
請求項7記載の発明は、前記電動モータの角速度(ωm,meas)を検出するモータ角速度検出手段(42)と、前記モータ角速度演算手段によって演算される角速度と前記モータ角速度検出手段によって検出される角速度との偏差に基いて、モータトルク補正値(Ta,PI)を演算する補正値演算手段(45,46)とをさらに含み、前記モータトルク指令値演算手段は、前記基本モータトルク指令値演算手段によって演算される基本モータトルク指令値と、前記補正値演算手段によって演算される前記モータトルク補正値と、前記摩擦推定手段によって推定された摩擦とを用いて、モータトルク指令値を演算するように構成されている、請求項6に記載の制御システムである。
請求項8記載の発明は、前記垂直抗力演算手段は、前記外部トルク特定手段によって特定される外部トルク(Ttb,Tload)と、前記基本モータトルク指令値演算手段によって演算される基本モータトルク指令値に前記補正値演算手段によって演算されるモータトルク補正値が加算された値(Tab)とを用いて、前記減速機構の歯面に作用する垂直抗力を演算するように構成されている、請求項7に記載の制御システムである。
請求項9記載の発明は、前記電動モータの回転角目標値(θm,tag)を設定する回転角目標値設定手段(81)と、前記回転角目標値設定手段によって設定される回転角目標値と前記モータ回転角演算手段によって演算される回転角との偏差に基いて、モータトルク補正値(Ta,PD)を演算する補正値演算手段(82,83)とをさらに含み、前記モータトルク指令値演算手段は、前記基本モータトルク指令値演算手段によって演算される基本モータトルク指令値と、前記補正値演算手段によって演算されるモータトルク補正値と、前記摩擦推定手段によって推定された摩擦とを用いて、モータトルク指令値を演算するように構成されている、請求項6に記載の制御システムである。
請求項10記載の発明は、前記垂直抗力演算手段は、前記外部トルク特定手段によって特定される外部トルク(Ttb,Tload2)と、前記基本モータトルク指令値演算手段によって演算される基本モータトルク指令値に前記補正値演算手段によって演算されるモータトルク補正値が加算された値(Tab)とを用いて、前記減速機構の歯面に作用する垂直抗力を演算するように構成されている、請求項9に記載の制御システムである。
請求項11記載の発明は、前記摩擦係数推定手段は、前記モータ角速度演算手段によって演算される角速度と、LuGreモデルを用いて前記摩擦係数を推定するように構成されている、請求項2〜10のいずれか一項に記載の制御システムである。
請求項12記載の発明は、前記制御システムがコラムアシスト式電動パワーステアリング装置であり、前記外部トルクが、運転者によって操舵部材(2)に加えられる操舵トルク(Ttb)と、転舵輪(3)側から前記減速機構に加えられる負荷トルク(Tload,Tload2)とを含んでおり、前記外部トルク特定手段は、前記操舵トルクを検出するための操舵トルク検出手段(11)と、前記負荷トルクを推定する負荷トルク推定手段(54,91)とを含んでいる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の制御システムである。
請求項13記載の発明は、車速(V)を検出する車速検出手段(26)をさらに含み、前記基本モータトルク指令値演算手段は、前記車速検出手段によって検出される車速と、前記操舵トルク検出手段によって検出される操舵トルクとに基いて、基本モータトルク指令値を演算するように構成されている、請求項12に記載の制御システムである。
図1は、本発明の第1実施形態に係るコラム式EPSの概略構成を示す模式図である。 図2は、図1のECUの電気的構成を示す概略図である。 図3は、摩擦補償制御部の構成を示すブロック図である。 図4は、一般的なコラム式EPSのシミュレーションモデルの構成を示す模式図である。 図5は、ウォームギヤ機構の噛み合いモデルを示す模式図である。 図6は、図4内のパワーコラムのモデルをより簡素化したシミュレーションモデル(制御モデル)の構成を示す模式図である。 図7は、実験装置の構成を図式的に示す模式図である。 図8Aは入力トルクと出力トルクの変化を示すタイムチャートであり、図8Bはアシストモータの角速度の変化を示すタイムチャートである。 図9Aは入力トルクと出力トルクの変化を示すタイムチャートであり、図9Bはアシストモータの角速度の変化を示すタイムチャートであり、図9Cは第1アシストトルク補正値Ta,FCおよび第2アシストトルク補正値Ta,PIの変化を示すタイムチャートである。 図10は、摩擦補償制御部の他の構成例を示すブロック図である。 図11は、第2実施形態におけるECUの電気的構成を示す概略図である。 図12は、プラントオブザーバ部の構成を示すブロック図である。 図13は、摩擦補償制御部の構成を示すブロック図である。
以下では、この発明をコラム式EPSに適用した場合の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るコラム式EPSの概略構成を示す模式図である。
コラム式EPS1は、車両を操向するための操舵部材としてのステアリングホイール2と、このステアリングホイール2の回転に連動して転舵輪3を転舵する転舵機構4と、運転者の操舵を補助するための操舵補助機構5とを備えている。ステアリングホイール2と転舵機構4とは、ステアリングシャフト6、第1のユニバーサルジョイント28、中間軸7および第2のユニバーサルジョイント29を介して機械的に連結されている。
ステアリングシャフト6は、ステアリングホイール2に連結された入力軸8と、中間軸7に連結された出力軸9とを含む。入力軸8と出力軸9とは、トーションバー10を介して同一軸線上で相対回転可能に連結されている。すなわち、ステアリングホイール2が回転されると、入力軸8および出力軸9は、互いに相対回転しつつ同一方向に回転するようになっている。出力軸9は、第1のユニバーサルジョイント28を介して中間軸7に連結されている。
ステアリングシャフト6の周囲には、トルクセンサ11が設けられている。トルクセンサ11は、入力軸8および出力軸9の相対回転変位量に基いて、トーションバー10に加えられているトーションバートルク(以下、「操舵トルクTtb」という)を検出する。トルクセンサ11によって検出される操舵トルクTtbは、ECU(電子制御ユニット:Electronic Control Unit)12に入力される。
転舵機構4は、ピニオン軸13と、転舵軸としてのラック軸14とを含むラックアンドピニオン機構からなる。ラック軸14の各端部には、タイロッド15およびナックルアーム(図示略)を介して転舵輪3が連結されている。ピニオン軸13は、第2のユニバーサルジョイント29を介して中間軸7に連結されている。ピニオン軸13は、ステアリングホイール2の操舵に連動して回転するようになっている。ピニオン軸13の先端には、ピニオン16が連結されている。
ラック軸14は、自動車の左右方向(直進方向に直交する方向)に沿って直線状に延びている。ラック軸14の軸方向の中間部には、ピニオン16に噛み合うラック17が形成されている。このピニオン16およびラック17によって、ピニオン軸13の回転がラック軸14の軸方向移動に変換される。ラック軸14を軸方向に移動させることによって、転舵輪3を転舵することができる。
ステアリングホイール2が操舵(回転)されると、この回転が、ステアリングシャフト6および中間軸7を介して、ピニオン軸13に伝達される。そして、ピニオン軸13の回転は、ピニオン16およびラック17によって、ラック軸14の軸方向移動に変換される。これにより、転舵輪3が転舵される。
操舵補助機構5は、操舵補助力を発生するための電動モータ18と、電動モータ18の出力トルクを増幅して転舵機構4に伝達するための減速機構19とを含む。電動モータ18は、この実施形態では、三相ブラシレスモータからなる。減速機構19は、ウォームギヤ20と、このウォームギヤ20と噛み合うウォームホイール21とを含むウォームギヤ機構からなる。減速機構19は、伝達機構ハウジングとしてのギヤハウジング22内に収容されている。
ウォームギヤ20は、電動モータ18によって回転駆動される。また、ウォームホイール21は、ステアリングシャフト6とは同方向に回転可能に連結されている。ウォームホイール21は、ウォームギヤ20によって回転駆動される。
運転者がステアリングホイール2を操舵することによって、電動モータ18によってウォームギヤ20が回転駆動される。これにより、ウォームホイール21が回転駆動され、ステアリングシャフト6にモータトルクが付与されるとともにステアリングシャフト6が回転する。そして、ステアリングシャフト6の回転は、中間軸7を介してピニオン軸13に伝達される。ピニオン軸13の回転は、ラック軸14の軸方向移動に変換される。これにより、転舵輪3が転舵される。すなわち、電動モータ18によってウォームギヤ20を回転駆動することによって、電動モータ18による操舵補助が可能となっている。
減速機構19に加えられるトルクとしては、電動モータ18によるモータトルクと、モータトルク以外の外部トルクとがある。モータトルク以外の外部トルクには、運転者によってステアリングホイール2に加えられる操舵トルクと、転舵輪(3)側からラック軸14(減速機構19)に加えられる負荷トルクとが含まれる。
電動モータ18のロータの回転角(ロータ回転角)は、レゾルバ等の回転角センサ25によって検出される。また、車速は車速センサ26によって検出される。回転角センサ25の出力信号および車速センサ26によって検出される車速Vは、ECU12に入力される。電動モータ18は、モータ制御装置としてのECU12によって制御される。
図2は、ECU12の電気的構成を示す概略図である。
ECU12は、トルクセンサ11によって検出される検出操舵トルクTtb、車速センサ26によって検出される車速Vおよび回転角センサ25の出力に基いて演算される電動モータ18の回転角θに応じて電動モータ18を駆動することによって、操舵状況に応じた適切な操舵補助を実現する。また、ECU12は、電動モータ18を駆動制御することにより、パワーコラム内の摩擦の影響を低減するための摩擦補償を実現する。この実施形態では、電動モータ18は、ブラシ付き直流モータである。
ECU12は、マイクロコンピュータ40と、マイクロコンピュータ40によって制御され、電動モータ18に電力を供給する駆動回路(Hブリッジ回路)31と、電動モータ18に流れる電流(以下、「モータ電流」という)を検出するための電流検出用抵抗(シャント抵抗)32および電流検出回路33とを備えている。
マイクロコンピュータ40は、CPUおよびメモリ(ROM、RAM、不揮発性メモリなど)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能するようになっている。この複数の機能処理部には、回転角演算部41と、モータ角速度演算部42と、モータ角速度推定部(リファレンスモデル)43と、摩擦補償制御部44と、角速度偏差演算部45と、PI(比例積分)制御部46と、基本アシストトルク指令値演算部47と、第1加算部48と、第2加算部49と、電流指令値演算部50と、電流偏差演算部51と、PI(比例積分)制御部52と、PWM(Pulse Width Modulation)制御部53とを含む。
回転角演算部41は、回転角センサ25の出力信号に基いて、電動モータ18の回転角θを演算する。モータ角速度演算部42は、回転角演算部41によって演算された回転角θを時間微分することによって電動モータ18のロータの角速度(以下、「実モータ角速度ωm,meas」という)を演算する。
モータ角速度推定部43は、トルクセンサ11によって検出される検出操舵トルクTtbに基いて、パワーコラム内に摩擦が発生しないと仮定した場合の電動モータ18のロータの角速度(以下、「推定モータ角速度ωm,ref」という)を推定するものであり、車両モデル54と摩擦無しコラム式EPSモデル55とを含んでいる。この実施形態では、車両モデル54は、非特許文献1に記載されている二輪車モデル(4輪車の等価的な二輪車モデル)である。
車両モデル54は、摩擦無しコラム式EPSモデル55によって演算される推定モータ角速度ωm,refを入力として、推定負荷トルクTloadを出力する。推定負荷トルクTloadは、転舵輪3側からラック軸14(減速機構19)に加えられる負荷トルクの推定値である。摩擦無しコラム式EPSモデル55は、パワーコラム内に摩擦が発生しない仮想的なコラム式EPSのモデルである。摩擦無しコラム式EPSモデル55は、トルクセンサ11によって検出される検出操舵トルクTtbと車両モデル54によって演算される推定負荷トルクTloadとを入力として、推定モータ角速度ωm,refを出力する。トルクセンサ11によって検出される検出操舵トルクTtbと、車両モデル54によって演算される推定負荷トルクTloadとが、減速機構19に加えられるモータトルク以外の外部トルクとなる。摩擦無しコラム式EPSモデル55の詳細については、後述する。
角速度偏差演算部45は、モータ角速度推定部43によって推定された推定モータ角速度ωm,refと、モータ角速度演算部42によって演算された実モータ角速度ωm,meansとの角速度偏差Δω(=ωm,ref−ωm,means)を演算する。
PI制御部46は、摩擦補償のロバスト性を改善するために設けられている。PI制御部46は、角速度偏差演算部45によって演算される角速度偏差Δωに対してPI演算を行うことにより、第1アシストトルク補正値Ta,PIを出力する。
基本アシストトルク指令値演算部47は、車速センサ26によって検出される車速Vと、トルクセンサ11によって検出される検出操舵トルクTtbとに基いて、基本アシストトルク指令値Tを演算する。
第1加算部48は、基本アシストトルク指令値演算部47によって演算される基本アシストトルク指令値Tと、PI制御部46によって演算される第1アシストトルク補正値Ta,PIとを加算することによって、第1アシストトルク指令値Tabを演算する。
摩擦補償制御部(摩擦制御コントローラ)44には、トルクセンサ11によって検出される検出操舵トルクTtb、摩擦無しコラム式EPSモデル55によって演算される推定モータ角速度ωm,ref、車両モデル54によって演算される推定負荷トルクTloadおよび第1アシストトルク指令値Tabが入力する。摩擦補償制御部44は、これらの入力と後述する制御モデル71を用いて、パワーコラム内に発生する摩擦力を推定し、推定した摩擦力に応じた第2アシストトルク補正値Ta,FCを出力する。摩擦補償制御部44の詳細については後述する。
第2加算部49は、第1加算部48によって演算される第1アシストトルク指令値Tabに、摩擦補償制御部44によって演算される第2アシストトルク補正値Ta,FCを加算することにより、第2アシストトルク指令値Tabcを演算する。
電流指令値演算部50は、アシストトルク指令値Tabcを電動モータ18のトルク定数で除することにより、電流指令値I を演算する。電流偏差演算部51は、電流指令値演算部50によって演算される電流指令値I と、電流検出回路33によって検出される実モータ電流Iとの偏差ΔI(=I −I)を演算する。PI制御部52は、電流偏差演算部51によって演算される電流偏差ΔIに対してPI演算を行うことにより、電動モータ18に印加すべき電圧指令値を演算する。
PMW制御部53は、PI制御部52によって演算される電圧指令値に対応するデューティのPWM信号を生成して、モータ駆動回路31に与える。モータ駆動回路31は、Hブリッジ回路であり、複数のパワー素子を含んでいる。これらの複数のパワー素子が、PMW制御部から与えられるPWM信号に基いてオンオフされることにより、前記電圧指令値に応じた電圧が電動モータ18に印加される。
電流偏差演算部51およびPI制御部52は、電流フィードバック制御手段を構成している。この電流フィードバック制御手段の働きによって、電動モータ18に流れるモータ電流が、電流指令値I に近づくように制御される。
次に、図3〜図6を参照して、摩擦補償制御部44について説明する。
図3は、摩擦補償制御部44の構成を示すブロック図である。摩擦補償制御部44は、減速機構19の接触形態を判別する接触形態判別部61と、パワーコラムの摩擦係数を推定する摩擦係数推定部62と、パワーコラム内に発生する摩擦力を推定する摩擦力推定部63とを含んでいる。前述したように、摩擦補償制御部44は、コラム式EPSのシミュレーションモデルを用いて、パワーコラム内に発生する摩擦力を推定するものである。摩擦補償制御部44で利用されるシミュレーションモデルについて説明する。
図4は、一般的なコラム式EPSのシミュレーションモデルの構成を示す模式図である。このシミュレーションモデル60は、8自由度のモデルである。このシミュレーションモデル60の入力は、ステアリングホイールトルクTswと、ラック軸力Fldと、入力トルク信号Ereq(トーションバートルクTtbに相当する)と、車速信号Eveh(車速Vに相当する)とがある。
このシミュレーションモデル60は、パワーコラム61と、中間軸と、2つのユニバーサルジョイントと、ラックアンドピニオンギヤ機構とを含む。パワーコラム61は、ステアリングホイール、アシストモータシステム、ウォームギヤおよびウォームホイールを含んでいる。ウォームギヤおよびウォームホイールから減速機構(ウォームギヤ機構)が構成されている。アシストモータシステムは、アシストモータと、アシストモータを制御するモータ制御装置とを含んでいる。このシミュレーションモデル60に含まれているモータ制御装置は、摩擦補償機能を備えていない一般的なモータ制御装置である。たとえば、このモータ制御装置は、入力トルク信号Ereqと車速信号Evehとに基いて電流指令値を演算し、アシストモータに流れる電流が電流指令値に等しくなるように、フィードバック制御を行うものである。ラックアンドピニオンギヤ機構は、ピニオンとラックとを含んでいる。
図4において、Jは慣性を表している。Mは質量を表している。ωは角速度または速度を表している。kは剛性係数を表している。cは粘性係数を表している。摩擦としては、減速機構の噛み合い部の摩擦Fcf,ww,Fcf,wgと、ラックアンドピニオンギヤ機構の噛み合い部の摩擦Fcf,p,Fcf,rと、ウォームギヤ、ウォームホイールおよびピニオンをそれぞれ支持する軸受の摩擦Tf,ww,Tf,wg,Tf,pと、ラックガイドの摩擦Ff,grが考慮されている。添字のswはステアリングホイールを、mはアシストモータを、wwはウォームホイールを、wgはウォームギヤを、u1,u2はユニバーサルジョイントを、pはピニオンギヤを、rはラックを、tbはトーションバーを、intは中間軸をそれぞれ示している。
図4のシミュレーションモデル60内のパワーコラム61について、さらに詳しく説明する。
減速機構は、噛み合い分の滑りによる摩擦損失が大きい。そこで、図5に示すようなウォームギヤとウォームホイールの噛み合い接触部における等価質量mwg,mww(ギヤ慣性Jwg,Jwwから算出される)についてのピッチ円接触方向の並進運動モデルにすることで、噛み合い力と滑り速度に依存する摩擦損失を考慮できるようにした。座標系は、ウォームギヤとウォームホイールのピッチ円上の噛み合い点における接線と一致する直線をそれぞれx軸、y軸とする。そして、それぞれのギヤの回転軸が最短となる直線をz軸と定義する。また、このモデルでは、ウォームギヤはx軸上のみを運動し、ウォームホイールはy軸上のみを運動すると仮定した。また、ウォームギヤとウォームホイールとは、ピッチ円上の1歯のみで噛み合うと仮定した。また、ウォームギヤとウォームホイールとの接触点は、1点または2点であると仮定した。また、ウォームホイールの噛み合い圧力角βが常に一定であると仮定した。さらに、歯面の摩擦力は、ウォームホイールの進み角γの方向に働くと仮定した。図5より、運動方程式は、次式(1),(2)で表わされる。
Figure 0006308379
ここで、vwgおよびvwwは、それぞれウォームギヤおよびウォームホイールの速度である。ウォームギヤおよびウォームホイールの速度vwg,vwwのそれぞれのx方向およびy方向成分は、各ギヤのピッチ円半径rwg,rwwと角速度ωwg,ωwwの積で表わされる。また、Fwg,totは、ウォームギヤに作用する外力Fwgとウォームギヤを支持する軸受の摩擦によるトルク損失(ラジアル力Fbr,wgおよびアキシャル力Fba,wgに依存する)の和である。ただし、以下の説明においては、トルク損失が零であると仮定している。Fww,totは、ウォームホイールに作用する外力Fwwとウォームホイールを支持する軸受の摩擦によるトルク損失(ラジアル力Fbr,wwおよびアキシャル力Fba,wwに依存する)の和である。ただし、以下の説明においては、トルク損失が零であると仮定している。歯面の垂直抗力Ni,jは、歯の噛み合い点の剛性係数kcwおよび粘性係数ccwを用いて次式(3)で表わされる。
Figure 0006308379
ここで、添字のiは、図5中の上側と下側の噛み合い点を示す。h0,cwは初期接触荷重による初期たわみであり、Δhi,cwはたわみの変動成分であり、各ギヤの変位xwg,ywgを用いて以下の式(4)で表わされる。
Δhi,cw=±(xwgsin(γ)−ywwcos(γ)) i=1,2 …(4)
また、歯面の摩擦力Fcfi,jは、垂直抗力と、滑り速度vcwに依存する摩擦係数μcwとを用いて次式(5),(6)のように表わされる。
Figure 0006308379
摩擦係数については、後述するLuGreモデルに基いて得ることができる。
この実施形態は、摩擦補償制御部44は、図4内のパワーコラムのモデル61を簡素化したシミュレーションモデル(以下、「制御モデル71」という)を用いて、パワーコラム内の摩擦(補償対象の摩擦)を推定する。
図6は、制御モデル71の構成を示す模式図である。図4内のパワーコラムのモデル61が4自由度のモデルであるのに対し、図6の制御モデル71は2自由度のモデルである。この制御モデル71では、図4内のパワーコラムのモデル61におけるアシストモータとウォームギヤとウォームホイールとが、ロアコラムとしてまとめられている。図6において、Jはロアコラムの慣性を表し、ωはロアコラムの角速度を表している。
制御モデル71におけるステアリングホイールに関する運動方程式およびロアコラム(ウォームギヤおよびウォームホイール)に関する運動方程式は、それぞれ次式(7),(8)で表わされる。
Figure 0006308379
ここで、Jswは、ステアリングホイールの慣性である。dωsw/dtは、ステアリングホイールの加速度である。Tswは、ステアリングホイールに加えられたトルクである。Ttbは、トーションバートルク(操舵トルク)である。Tloadは、ラックからロアコラム(減速機構)に伝達される負荷トルクである。Tは、アシストモータによってウォームギヤに与えられるウォームギヤトルク(アシストトルク)である。式(8)の左辺の(Jww+(Jwg+J)iη)がロアコラムの慣性Jである。Jwwはウォームホイールの慣性であり、Jwgはウォームギヤの慣性であり、Jはアシストモータの慣性である。dω/dtは、ロアコラムの加速度である。
ウォームギヤは、図示しない予圧機構によってウォームホイールに押し付けられている。Fは、予圧機構によるウォームギヤのウォームホイールへの押付力(ギヤの径方向の押付力)であり、予圧ということにする。μは、パワーコラムの摩擦係数であり、ウォームギヤ機構の噛み合い部の摩擦係数と、ウォームギヤとそれを支持する軸受との間の摩擦係数と、ウォームホイールとそれを支持する軸受との間の摩擦係数とを含んでいる。rwwは、ウォームホイールのピッチ円半径である。βは、ウォームギヤ機構の圧力角である。γは、ウォームギヤ機構の進み角である。iは、ウォームギヤ機構のギヤ比(減速比)であり、ウォームホイールの角速度に対するウォームギヤの角速度の比ωwg/ωwwとして定義される。ηは、ウォームギヤ機構の効率である。減速比iおよびウォームギヤ機構の効率ηは、それぞれ次式(9),(10)で表わされる。
Figure 0006308379
ここで、rwgは、ウォームギヤのピッチ円半径である。
前記式(8),(10)から明らかなように、ウォームホイールに関する運動方程式にはパワーコラムの摩擦係数μが含まれており、ウォームホイール(ロアコラム)に作用する力は、パワーコラム内で発生する摩擦の影響を受ける。
ウォームギヤは、予圧Fによってウォームホイールに押し付けられているため、ウォームギヤとウォームホイールとの接触形態(以下、「減速機構の接触形態」という)には、両者が1点で接触する1点接触形態と、両者が2点で接触する2点接触形態とがある。減速機構の接触形態は、減速機構に伝達されるトルクの大きさに応じて変化する。
前記式(8)内のτおよび前記式(10)内のτは、減速機構の接触形態に応じて変化する変数である。変数τ,τの値は、与圧Fによる初期接触力(歯面の法線方向の接触力)Nと接触力の変動分dNによって決定される。接触力の変動分dNは、例えば、次のようにして求めることができる。
前記式(1),(2)で示される運動方程式は、前記式(3)と図5より、それぞれ次式(11),(12)で表すことができる。
Figure 0006308379
前記式(11),(12)から、回転方向の運動方程式(13),(14)が得られる。
Figure 0006308379
前記式(13)内のTwgは、ウォームギヤに作用するトルクである。前記式(14)内のTwwは、ウォームホイールに作用するトルクである。Tww=Ttb+Tloadである。
Δh2,cw=−Δh1,cwの関係が成り立つので、前記式(13),(14)内の垂直抗力の項は、それぞれ次式(15),(16)のように表すことができる。
Figure 0006308379
前記式(15),(16)において、(A)は、A≧0であれば(A)=Aとなり、A<0であれば(A)=0となることを表している。以下同じ。
一方、前記式(13),(14)内の摩擦力の項は、それぞれ次式(17),(18)のように表すことができる。
Figure 0006308379
前記式(15),(16)内のkcw((h0,cw+Δh1,cw−(h0,cw−Δh1,cw)を、接触力の変動分dNと置き、前記式(17),(18)内のkcw((h0,cw+Δh1,cw+(h0,cw−Δh1,cw)を、垂直抗力dNと置くと、前記回転方向の運動方程式(13),(14)は、次式(19),(20)のように表すことができる。
Figure 0006308379
dN=0と置いて、ωwg=i×ωwwの関係を用いると、前記式(19),(20)から、接触力の変動分dNを求めることができる。この際、Twgとしては、第1アシストトルク指令値Tabが用いられる。また、トーションバートルクTtbとしては、トルクセンサ11によって検出された操舵トルクTtbが用いられる。また、負荷トルクTloadとしては、車両モデル54から出力される負荷トルクTloadが用いられる。なお、Twgとして、基本アシストトルク指令値Tを用いてもよい。
一方、初期接触力Nは、F/sinβから求めることができる。
−|dN|>0であれば、2点接触形態であると判別され、N−|dN|≦0であれば、1点接触形態であると判別される。
表1は、減速機構の接触形態を判別するための条件を示している。
Figure 0006308379
−|dN|>0であれば、2点接触形態であると判別され、τの値は1となり、τの値が0となる。N−|dN|≦0でかつdN≧0であれば、1点接触形態であると判別され、τの値が0となり、τの値が1となる。N−|dN|≦0でかつdN≦0であれば、1点接触形態であると判別され、τの値が0となり、τの値が−1となる。
接触形態判別部61(図3参照)は、前述のようにして、減速機構の接触形態を判別し、その判別結果およびその判別結果に対応したτの値を、摩擦力推定部63に与える。
図6の制御モデル71内に摩擦が無くかつアシストトルクTが零であると仮定した場合には、前記式(8)の運動方程式は、次式(21)(以下、「摩擦が無いと仮定したときの運動方程式(21)」という)で表わされる。
Figure 0006308379
制御モデル71内に摩擦が無い場合には、前記式(8)および前記式(10)内のμが0となる。したがって、ηは1となる。前記式(21)は、前記式(8)内のηを1とし、前記式(8)内のTおよびμを0とすることによって、導くことができる。
前記式(8)はパワーコラム内の摩擦を考慮した場合の運動方程式であるのに対し、前記式(21)はパワーコラム内に摩擦が無いと仮定した場合の運動方程式である。摩擦力推定部63(図3参照)は、これらの両運動方程式(8),(21)に基いて、パワーコラム内に発生している摩擦力を推定し、推定した摩擦力を打ち消すためのアシストトルクを第2アシストトルク補正値Ta,FCとして演算する。
第2アシストトルク補正値Ta,FCの演算方法(摩擦力の推定方法)は、減速機構の接触形態に応じて異なる。まず、減速機構の接触形態が二点接触形態である場合の第2アシストトルク補正値Ta,FCの演算方法について説明する。
図6の制御モデル71において、減速機構の接触形態が二点接触形態である場合(減速機構に伝達されたトルクの大きさが小さい場合)には、τ=1、τ=0となる(表1参照)。したがって、減速機構の接触形態が二点接触形態である場合のフォームホイールに関する運動方程式は、τ=1、τ=0を前記式(8)に代入することにより、次式(22)で表わされる。
Figure 0006308379
前記式(22)の右辺の式[Ti−μF{rww/sin(γ)sin(β)}]を零にできれば、摩擦が無いと仮定したときの運動方程式(21)が成立する。そこで、摩擦力推定部63(図3参照)は、前記式[Ti−μF{rww/sin(γ)sin(β)}]が零となるようなアシストトルクTを、第2アシストトルク補正値Ta,FCとして演算する。
言い換えれば、前記式(22)の右辺の第4項の−μF{rww/sin(γ)sin(β)}は、減速機構の接触形態が二点接触形態である場合にパワーコラムで発生する摩擦力を表している。そこで、摩擦力推定部63は、前記摩擦力を打ち消すためのアシストトルクTを、第2アシストトルク補正値Ta,FCとして演算する。減速機構の接触形態が二点接触形態である場合の第2アシストトルク補正値Ta,FCの演算式は、次式(23)で表わされる。
Figure 0006308379
ここで、摩擦係数μとしては、後述する摩擦係数推定部62によって推定される摩擦係数μが用いられる。
次に、減速機構の接触形態が一点接触形態である場合の第2アシストトルク補正値Ta,FCの演算方法について説明する。図6の制御モデル71において、減速機構の接触形態が一点接触形態である場合(減速機構に伝達されたトルクの大きさが大きい場合)には、τ=0、τ=1またはτ=−1となる(表1参照)。したがって、減速機構の接触形態が一点接触形態である場合のフォームホイールに関する運動方程式は、τ=0を前記式(8)に代入することにより、次式(24)で表わされる。
Figure 0006308379
摩擦がないと仮定したときの運動方程式(21)の形式を、前記式(24)の形式にあわせるために次式(21a)のように変形する。
Figure 0006308379
そして、式(21a)の左辺のΔxの項を右辺に移動させると、式(21b)が得られる。
Figure 0006308379
前記式(24)の右辺の第2項のTiが前記式(21a)の右辺内の式(−Δx・dω/dt+Δx)と等しくなれば、摩擦が無いと仮定したときの運動方程式(21b)が成立する。そこで、摩擦力推定部63は、Ti=−Δx・dω/dt+Δxが成立するようなアシストトルクTを、第2アシストトルク補正値Ta,FCとして演算する。
言い換えれば、前記式(21b)の右辺内の式(−Δx・dω/dt+Δx)の符号を反転させた式(Δx・dω/dt−Δx)が、減速機構の接触形態が一点接触形態である場合にパワーコラムで発生する摩擦力を表している。そこで、摩擦力推定部63は、前記摩擦力を打ち消すためのアシストトルクTを、第2アシストトルク補正値Ta,FCとして演算する。減速機構の接触形態が一点接触形態である場合の第2アシストトルク補正値Ta,FCの演算式は、次式(25)で表わされる。
Figure 0006308379
ここで、効率ηとしては、摩擦係数推定部62によって推定される摩擦係数μと前記式(10)とから推定される効率ηが用いられる。ロアコラムの角速度ωは、モータ角速度推定部43によって推定される推定モータ角速度ωm,refとギヤ比iとの積(ωm,ref・i)として求められる。ロアコラムの角加速度dω/dtは、ロアコラムの角速度ωから求められる。トーションバートルクTtbとしては、トルクセンサ11によって検出された操舵トルクTtbが用いられる。負荷トルクTloadとしては、車両モデル54から出力される負荷トルクTloadが用いられる。
つまり、摩擦力推定部63は、減速機構の接触形態が二点接触形態であると判別された場合には、前記式(23)に基いて、第2アシストトルク補正値Ta,FCを演算する。一方、減速機構の接触形態が一点接触形態であると判別された場合には、摩擦力推定部63は、前記式(25)に基いて、第2アシストトル補正値Ta,FCを演算する。
摩擦係数推定部62について説明する。摩擦係数推定部62は、LuGreモデルを用いて、パワーコラムの摩擦係数を推定する。LuGreモデルによる摩擦係数μは、二物体間の滑り速度vとブラシの撓み量pとを用いて次式(26)で表わされる。
Figure 0006308379
ここで、μは、クーロン摩擦係数である。μbaは、最大摩擦係数である。vsbは、ストライベック効果が生じる滑り速度である。σは、ブラシの剛性係数である。σは、ブラシの減衰係数である。σは粘性摩擦係数である。これらの6つのパラメータは、実験的に求められる。LuGreモデルの入力である滑り速度vは、次式(27)に基いて、演算される。
=rwg・ωm,ref/cos(γ) …(27)
つまり、摩擦係数推定部62は、モータ角速度推定部43によって推定された推定モータ角速度ωm,refとLuGreモデル(前記式(26))とを用いて、パワーコラムの摩擦係数μを演算(推定)する。
摩擦無しコラム式EPSモデル55は、たとえば、図4に示される一般的なコラム式EPSのシミュレーションモデル60から、パワーコラム内の摩擦Fcf,ww,Fcf,wg,Tf,ww,Tf,wgを除外したモデルが用いられる。
摩擦無しコラム式EPSモデル55は、図6に示される制御モデル71からパワーコラム内の摩擦Fcf,ww,Fcf,wg,Tf,ww,Tf,wgを除外したモデルであってもよい。この場合には、摩擦無しコラム式EPSモデル55は、次のようにして、推定モータ角速度ωm,refを演算する。すなわち、摩擦無しコラム式EPSモデル55は、トルクセンサ11によって検出された操舵トルクTtbと、車両モデル54から出力された推定負荷トルクTloadと、前述した摩擦がないと仮定したときの運動方程式(21)とを用いて、ロアカラムの加速度dω/dtを求める。次に、摩擦無しコラム式EPSモデル55は、求めた加速度dω/dtからロアカラムの角速度ωを演算する。次に、摩擦無しコラム式EPSモデル55は、ロアカラムの角速度ωをギヤ比iで除することにより、推定モータ角速度ωm,refを演算する。
前記第1実施形態では、摩擦補償制御部44は、減速機構19で発生する摩擦が考慮され、かつ減速機構19に加えられる負荷トルクTloadを入力として含む制御モデル71に基づいて、減速機構19で発生する摩擦を推定している。このため、前記第1実施形態では、減速機構19に伝達される負荷に依存する摩擦を考慮することができる。また、前記第1実施形態では、摩擦補償制御部44は、減速機構19の滑り速度vに依存する摩擦係数μを用いて、減速機構19で発生する摩擦を推定しているので、減速機構19の滑り速度vに依存する摩擦係数の変化分を補償することができる。
前記第1実施形態の摩擦補償効果を、パワーコラムテストベンチを用いて実験によって検証した。図7は、実験装置の構成を図式的に示す模式図である。
パワーコラム100の入力軸は、軸継手101を介して第1回転軸102に連結されている。第1回転軸102には、パワーコラム100に入力トルクを供給するためのサーボモータ104の出力軸が軸継手103を介して連結されている。第1回転軸102の周囲には、パワーコラム100の入力トルクを検出するための第1トルクセンサ111が配置されている。
パワーコラム100の出力軸は、軸継手105を介して第2回転軸106に連結されている。第2回転軸106には、実際のラック負荷の代わりにねじりばね107によって負荷が加えられている。ねじりばね107のねじりばね定数は、この例では、0.6[Nm/rad]である。第2回転軸106の周囲には、パワーコラム100の出力トルクを検出するための第2トルクセンサ112が配置されている。パワーコラム100には、アシストモータ(電動モータ18)の回転角を検出するための回転角センサ113が設けられている。サーボモータ104によって、小さな振幅(この例では1Nm)で低周波数(この例では0.1Hz)の正弦波の入力トルクをパワーコラム100に与えた。
図8Aおよび図8Bは、パワーコラムのオープンループパフォーマンス(本実施形態の摩擦補償を行わなかった場合の実験結果)を示している。図8Aは入力トルクと出力トルクの変化を示し、図8Bはアシストモータの角速度の変化を示している。図8Aに示すように、入力トルクの勾配の符号が変化するときには、それぞれの変化点において出力トルク応答の非線形性が観察される。その結果、図8Bに示すようにアシストモータの角速度の不連続性が観察される。
図9A,図9Bおよび図9Cは、本実施形態の摩擦補償を行った場合の実験結果を示している。図9Aは入力トルクと出力トルクの変化を示し、図9Bはアシストモータの角速度の変化を示し、図9Cは第2アシストトルク補正値(Assist torque command)Ta,FCおよび第1アシストトルク補正値(Assist torque command)Ta,PIの変化を示している。
図9Aから出力トルクの非線形性が除去されていることがわかる。また、図9Bから、アシストモータの角速度(実モータ角速度)が、推定モータ角速度に従っていることがわかる。また、図9Cから、摩擦補償制御部44の補償項としての作用効果が、PI制御部46による効果に比べて、大きいことがわかる。
以上、この発明の第1実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。たとえば、摩擦補償制御部44は、図10に示すような摩擦補償制御部44Aであってもよい。
図10は、摩擦補償制御部の他の構成例を示すブロック図である。この摩擦補償制御部44Aは、垂直抗力演算部64と、摩擦係数推定部65と、摩擦力推定部66とを含んでいる。摩擦係数推定部65の動作は、図3の摩擦係数推定部62の動作と同じであるので、その説明を省略する。以下、垂直抗力演算部64と摩擦力推定部66について説明する。
次式(19),(20)は、前述したように、回転方向の運動方程式(13),(14)を、接触力の変動分dNおよび垂直抗力dNを用いて整理した式である。
Figure 0006308379
ωwg=i×ωwwの関係を用いて、前記式(19),(20)内のdNを消去すると、次の運動方程式(28)が得られる。
Figure 0006308379
この運動方程式(28)の右辺の第4項がロアコラムに発生している摩擦トルクであるので、この摩擦トルクを補償するためのトルク(μdN・rww/sin(γ))を第2アシストトルク補正値Ta,FCとして、第1アシストトルク指令値Tabに加算すればよい。
垂直抗力演算部64は、前記式(19),(20)のdNを0と置き、ωwg=i×ωwwの関係を用いて、前記式(19),(20)から、接触力の変動分dNを求める。この際、Twgとしては、第1アシストトルク指令値Tabが用いられる。トーションバートルクTtbとしては、トルクセンサ11によって検出された操舵トルクTtbが用いられる。負荷トルクTloadとしては、車両モデル54から出力される負荷トルクTloadが用いられる。なお、Twgとして、基本アシストトルク指令値Tを用いてもよい。
また、垂直抗力演算部64は、N=F/sinβに基いて、初期接触力Nを求める。N−|dN|>0であれば、2点接触形態であり、N−|dN|≦0であれば、1点接触形態である。
垂直抗力演算部64は、次式(29)に基いて、垂直抗力dNを演算する。
dN=max(|dN|,N)…(29)
つまり、垂直抗力dNは、|dN|およびNのうちの大きい方の値となる。摩擦力Ffric,compは、次式(30)で表される。
fric,comp=μdN …(30)
摩擦係数推定部65は、次式(31)に基いて、第2アシストトルク補正値Ta,FCを演算する。
a,FC=μdN・rww/sin(γ) …(31)
この摩擦補償制御部44Aを用いた場合においても、減速機構19に伝達される負荷に依存する摩擦を考慮することができるとともに、減速機構19の滑り速度vに依存する摩擦係数の変化分を補償することができる。
前述した第1実施形態では、車両モデル54は2輪の車両モデルであるが、車両モデル54は2輪の車両モデル以外の車両モデルであってもよい。同様に、摩擦無しコラム式EPSモデル55は、前述した2種類のモデル以外のモデルであってもよい。同様に、制御モデル71は、コラム式EPS内の摩擦のうち減速機構の摩擦が考慮され、かつ減速機構への負荷トルクが入力されるモデルであれば、図6に示したモデル以外のモデルであってもよい。
また、前述の第1実施形態では、基本アシストトルク指令値Tに第1アシストトルク補正値Ta,PIが加算された第1アシストトルク指令値Tabに、第2アシストトルク補正値Ta,FCを加算することにより、第2アシストトルク指令値Tabcを演算しているが、基本アシストトルク指令値Tに第2アシストトルク補正値Ta,FCを加算することにより、第2アシストトルク指令値Tabcを演算するようにしてもよい。この場合には、摩擦補償制御部44,44Aには、第1アシストトルク指令値Tabに代えて基本アシストトルク指令値Tが入力される。このようにすると、角速度偏差演算部45とPI制御部46と第1加算部48を省略することができる。
以下、図11〜図13を参照して、この発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態においても、コラム式EPSの概略構成(図1参照)は第2実施形態と同じである。第2実施形態では、ECUの構成が第1実施形態と異なっている。
図11は、第2実施形態におけるECU12Aの電気的構成を示す概略図である。図11において、前述の図2の各部に対応する部分には、図2と同じ符号を付して示す。
ECU12Aは、トルクセンサ11(図1参照)によって検出される検出操舵トルクTtb、車速センサ26(図1参照)によって検出される車速Vおよび回転角センサ25の出力に基いて演算される電動モータ18の回転角θに応じて電動モータ18を駆動することによって、操舵状況に応じた適切な操舵補助を実現する。また、ECU12Aは、電動モータ18を駆動制御することにより、パワーコラム内の摩擦の影響を低減するための摩擦補償を実現する。この実施形態では、電動モータ18は、ブラシ付き直流モータである。
ECU12Aは、マイクロコンピュータ40Aと、マイクロコンピュータ40Aによって制御され、電動モータ18に電力を供給する駆動回路(Hブリッジ回路)31と、電動モータ18に流れる電流(以下、「モータ電流」という)を検出するための電流検出用抵抗(シャント抵抗)32および電流検出回路33とを備えている。
マイクロコンピュータ40Aは、CPUおよびメモリ(ROM、RAM、不揮発性メモリなど)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能するようになっている。この複数の機能処理部には、回転角演算部41と、モータ回転角目標値設定部81と、角度偏差演算部82と、PD(比例微分)制御部83と、基本アシストトルク指令値演算部47と、第1加算部84と、第2加算部85と、プラントオブザーバ部86と、摩擦補償制御部87と、電流指令値演算部50と、電流偏差演算部51と、PI(比例積分)制御部52と、PWM(Pulse Width Modulation)制御部53とを含む。
回転角演算部41は、回転角センサ25の出力信号に基いて、電動モータ18の回転角θを演算する。
モータ回転角目標値設定部81は、トルクセンサ11によって検出される検出操舵トルクTtbに基いて、モータ回転角目標値θm,tagを設定する。モータ回転角目標値設定部81は、車両モデル88と所望のEPS特性を定義するためのEPS規範モデル89とを含んでいる。この実施形態では、EPS規範モデル89は、パワーコラム内に摩擦が発生しない仮想的なコラム式EPSのモデル(以下、「摩擦無しコラム式EPSモデル89」という。)である。
車両モデル88は、摩擦無しコラム式EPSモデル89によって設定されるモータ回転角目標値θm,tagを入力として、推定負荷トルクTload1を出力する。推定負荷トルクTload1は、転舵輪3(図1参照)側からラック軸14に加えられる負荷トルクの推定値である。この実施形態では、車両モデル88は、非特許文献1に記載されている二輪車モデル(4輪車の等価的な二輪車モデル)である。摩擦無しコラム式EPSモデル89は、トルクセンサ11によって検出される検出操舵トルクTtbと車両モデル88によって演算される推定負荷トルクTload1とを入力として、モータ回転角目標値θm,tagを出力する。摩擦無しコラム式EPSモデル89の詳細については、後述する。
角度偏差演算部82は、モータ角度目標値設定部81から出力されるモータ回転角目標値θm,tagと、後述するプラントオブザーバ部82から出力されるモータ回転角推定値θm,obsとの角度偏差Δθm1(=θm,tag−θm,obs)を演算する。
PD制御部83は、角度偏差演算部82によって演算された角度偏差Δθm1に対してPD演算を行うことにより、第1アシストトルク補正値Ta,PDを出力する。
基本アシストトルク指令値演算部47は、車速センサ26によって検出された車速Vと、トルクセンサ11によって検出された検出操舵トルクTtbとに基いて、基本アシストトルク指令値Tを演算する。
第1加算部84は、基本アシストトルク指令値演算部47によって演算される基本アシストトルク指令値Tと、PD制御部83によって演算される第1アシストトルク補正値Ta,PDとを加算することによって、第1アシストトルク指令値Tabを演算する。
第2加算部85は、第1加算部84によって演算される第1アシストトルク指令値Tabに、後述する摩擦補償制御部87から出力される第2アシストトルク補正値Ta,FCを加算することにより、第2アシストトルク指令値Tabcを演算する。
電流指令値演算部50は、第2加算部85によって演算されるアシストトルク指令値Tabcを電動モータ18のトルク定数で除することにより、電流指令値I を演算する。電流偏差演算部51は、電流指令値演算部50によって演算される電流指令値I と、電流検出回路33によって検出される実モータ電流Iとの偏差ΔI(=I −I)を演算する。PI制御部52は、電流偏差演算部51によって演算される電流偏差ΔIに対してPI演算を行うことにより、電動モータ18に印加すべき電圧指令値を演算する。
PMW制御部53は、PI制御部52によって演算される電圧指令値に対応するデューティのPWM信号を生成して、モータ駆動回路31に与える。モータ駆動回路31は、Hブリッジ回路であり、複数のパワー素子を含んでいる。これらの複数のパワー素子が、PMW制御部から与えられるPWM信号に基いてオンオフされることにより、前記電圧指令値に応じた電圧が電動モータ18に印加される。
電流偏差演算部51およびPI制御部52は、電流フィードバック制御手段を構成している。この電流フィードバック制御手段の働きによって、電動モータ18に流れるモータ電流が、電流指令値I に近づくように制御される。
以下、プラントオブザーバ部86および摩擦補償制御部87について詳しく説明する。
図12は、プラントオブザーバ部86の構成を示すブロック図である。
プラントオブザーバ部86は、車両モデル91と、摩擦無しコラム式EPSモデル92と、第1減速比乗算部93と、角度偏差演算部94と、第1ゲイン乗算部95と、モータ角速度演算部96と、第2減速比乗算部97と、角速度偏差演算部98と、第2ゲイン乗算部99とを含んでいる。
車両モデル91は、摩擦無しコラム式EPSモデル92によって演算されるウォームホイール角速度推定値ωww,obsを入力として、推定負荷トルクTload2を出力する。推定負荷トルクTload2は、転舵輪3側からラック軸14に加えられる負荷トルクの推定値である。この実施形態では、車両モデル91は、非特許文献1に記載されている二輪車モデル(4輪車の等価的な二輪車モデル)である。
摩擦無しコラム式EPSモデル92は、パワーコラム内に摩擦が発生しない仮想的なコラム式EPSのモデルである。ただし、摩擦無しコラム式EPSモデル92の構造は、後述する第1モデル補正項G1・Δθm2および第2モデル補正項G2・Δωによって修正されるようになっている。
摩擦無しコラム式EPSモデル92には、トルクセンサ11によって検出される検出操舵トルクTtbと、車両モデル91によって演算される推定負荷トルクTload2と、第1加算部84(図11参照)によって演算される第1アシストトルク指令値Tabと、第1モデル補正項G1・Δθm2と、第2モデル補正項G2・Δωとが入力される。摩擦無しコラム式EPSモデル92は、これらの入力に基いて、パワーコラム内に摩擦が発生しないと仮定した場合の、ウォームホイール回転角推定値θww,obs、ウォームホイール角速度推定値θww,obsおよびウォームホイールトルク推定値Tww,obsを演算する。ウォームホイールトルク推定値Tww,obsは、トルクセンサ11によって検出される検出操舵トルクTtbと、車両モデル91によって演算される推定負荷トルクTload2との和(Ttb+Tload2)である。したがって、ウォームホイールトルク推定値Tww,obsは、減速機構19に加えられるモータトルク以外の外部トルクの推定値である。
第1減速比乗算部93は、摩擦無しコラム式EPSモデル9によって演算されたウォームホイール回転角推定値θww,obsに、減速機構19の減速比i(=ωwg/ωww)を乗算することにより、モータ回転角推定値θm,obsを演算する。
角度偏差演算部94は、回転角演算部41(図11参照)によって演算されるモータ回転角θと、第1減速比乗算部93によって演算されるモータ回転角推定値θm,obsとの角度偏差Δθm2(=θm,obs−θ)を演算する。第1ゲイン乗算部95は、角度偏差演算部94によって演算される角度偏差Δθm2に予め設定された第1ゲインG1を乗算することにより、第1モデル補正項(位置)G1・Δθm2を演算する。
モータ角速度演算部96は、回転角演算部41によって演算されたモータ回転角θを時間微分することによって電動モータ18のロータの角速度(以下、「実モータ角速度ωm,meas」という)を演算する。
第2減速比乗算部97は、摩擦無しコラム式EPSモデル92によって演算されたウォームホイール角速度推定値ωww,obsに、減速機構19の減速比i(=ωwg/ωww)を乗算することにより、モータ角速度推定値ωm,obsを演算する。
角速度偏差演算部98は、モータ角速度演算部96によって演算される実モータ角速度ωm,measと、第2減速比乗算部97によって演算されるモータ角速度推定値ωm,obsとの角速度偏差Δω(=ωm,obs−ωm,meas)を演算する。第2ゲイン乗算部99は、角速度偏差演算部98によって演算される角速度偏差Δωに予め設定された第2ゲインG2を乗算することにより、第2モデル補正項(速度)G2・Δωm2を演算する。
第1モデル補正項(位置)G1・Δθm2および第2モデル補正項(速度)G2・Δωm2は、摩擦無しコラム式EPSモデル92の構造を修正するためのものである。つまり、摩擦無しコラム式EPSモデル92の出力に基いて演算されるモータ回転角推定値θm,obsが実際のモータ回転角θに等しくなり、摩擦無しコラム式EPSモデル92の出力に基いて演算されるモータ角速度推定値ωm,obsが実モータ角速度ωm,measに等しくなるように、摩擦無しコラム式EPSモデル92の構造が修正される。
プラントオブザーバ部86からは、パワーコラム内に摩擦が発生しないと仮定したモデルを、実測値によって修正したモデルによって演算された、モータ回転角推定値θm,obs(第1減速比乗算部93の出力)、モータ角速度推定値ωm,obs(第2減速比乗算部97の出力)およびウォームホイールトルク推定値Tww,obsが出力される。
図13は、摩擦補償制御部87の構成を示すブロック図である。
摩擦補償制御部87は、第1加算部84(図11参照)によって演算される第1アシストトルク指令値Tabと、プラントオブザーバ部86によって演算されるウォームホイールトルク推定値Tww,obsおよびモータ角速度推定値ωm,obsと、前述した制御モデル71とを用いて、第2アシストトルク補正値Ta,FCを演算する。
摩擦補償制御部87は、垂直抗力演算部201と、摩擦係数推定部202と、摩擦力推定部203とを含んでいる。摩擦係数推定部202の動作は、図3の摩擦係数推定部62の動作と同じであるので、その説明を省略する。以下、垂直抗力演算部201と摩擦力推定部203について説明する。
次式(19),(20)は、前述したように、回転方向の運動方程式(13),(14)を、接触力の変動分dNおよび垂直抗力dNを用いて整理した式である。
Figure 0006308379
tb+Tload=Twwであるので、前記式(20)は、Twwを用いて次式(20a)で表すことができる。
Figure 0006308379
ωwg=i×ωwwの関係を用いて、前記式(19),(20a)内のdNを消去すると、次の運動方程式(28a)が得られる。
Figure 0006308379
この運動方程式(28a)の右辺の第4項がロアコラムに発生している摩擦トルクであるので、この摩擦トルクを補償するためのトルク(μdN・rww/sin(γ))を第2アシストトルク補正値Ta,FCとして、第1アシストトルク指令値Tabに加算すればよい。
垂直抗力演算部201は、前記式(19),(20a)のdNを0と置き、ωwg=i×ωwwの関係を用いて、前記式(19),(20a)から、接触力の変動分dNを求める。この際、Twgとしては、第1アシストトルク指令値Tabが用いられる。また、Twwとしては、プラントオブザーバ部86によって演算されるウォームホイールトルク推定値Tww,obsが用いられる。なお、Twgとして、基本アシストトルク指令値Tを用いてもよい。
また、垂直抗力演算部201は、N=F/sinβに基いて、初期接触力Nを求める。N−|dN|>0であれば、2点接触形態であり、N−|dN|≦0であれば、1点接触形態である。
垂直抗力演算部201は、次式(32)に基いて、垂直抗力dNを演算する。
dN=max(|dN|,N)…(32)
摩擦力Ffric,compは、次式(33)で表される。
fric,comp=μdN …(33)
摩擦係数推定部203は、次式(34)に基いて、第2アシストトルク補正値Ta,FCを演算する。
a,FC=μdN・rww/sin(γ) …(34)
前記第2実施形態においても、前記第1実施形態と同様に、減速機構19に伝達される負荷に依存する摩擦を考慮することができるともに、減速機構19の滑り速度vに依存する摩擦係数の変化分を補償することができる。
摩擦無しコラム式EPSモデル89,92は、たとえば、図4に示される一般的なコラム式EPSのシミュレーションモデル60から、パワーコラム内の摩擦Fcf,ww,Fcf,wg,Tf,ww,Tf,wgを除外したモデルが用いられる。摩擦無しコラム式EPSモデル89,92は、図6に示される制御モデル71からパワーコラム内の摩擦Fcf,ww,Fcf,wg,Tf,ww,Tf,wgを除外したモデルであってもよい。
また、車両モデル88,91は、前述した2輪の車両モデル以外の車両モデルであってもよい。同様に、摩擦無しコラム式EPSモデル89,92は、前述した2種類のモデル以外のモデルであってもよい。
また、前述の第2実施形態では、EPS規範モデル89として、摩擦無しコラム式EPSモデルが用いられているが、それ以外の所望のEPS特性を有するモデルであってもよい。
また、前述の第2実施形態では、基本アシストトルク指令値Tに第1アシストトルク補正値Ta,PDが加算された第1アシストトルク指令値Tabに、第2アシストトルク補正値Ta,FCを加算することにより、第2アシストトルク指令値Tabcを演算しているが、基本アシストトルク指令値Tに第2アシストトルク補正値Ta,FCを加算することにより、第2アシストトルク指令値Tabcを演算するようにしてもよい。この場合には、プラントオブザーバ部86および摩擦補償制御部87には、第1アシストトルク指令値Tabに代えて基本アシストトルク指令値Tが入力される。このようにすると、モータ回転角目標値設定部81と角度偏差演算部82とPD制御部83と第1加算部84を省略することができる。
前述の第1および第2実施形態では、電動モータ18は、ブラシ付直流モータであるが、たとえば三相ブラシレスモータ等の、ブラシ付直流モータ以外の電動モータであってもよいし、あるいはリニアモータ等の直動モータであってもよい。
また、この発明は、自動車のパワーウンドウシステム、ワイパー駆動システムあるいはボールネジを使用したシステム等のように電動モータと電動モータのモータトルクを増幅または減少させる減速機構とを含む制御システムであれば、コラム式EPS以外の制御システムにも適用することができる。
なお、この発明は、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1…コラム式EPS、8…入力軸、9…出力軸、10…トーションバー、11…トルクセンサ、12,12A…ECU、18…電動モータ、19…減速機構、20…ウォームギヤ、21…ウォームホイール、25…回転角センサ、26…車速センサ、42…モータ角速度演算部、43…モータ角速度推定部、44,44A,87…摩擦補償制御部、45…角速度偏差演算部、46…PI制御部、47…基本アシストトルク指令値演算部、48,49,84,85…加算部、51…電流偏差演算部、52…PI制御部、54,91…車両モデル、55,92…摩擦無しコラム式EPSモデル、71…制御モデル、81…モータ回転角目標値設定部、82…角度偏差演算部、83…PD制御部、86…プラントオブザーバ部

Claims (13)

  1. 電動モータと前記電動モータのモータトルクを増幅する減速機構を含む制御システムであって、
    前記電動モータの基本モータトルク指令値を演算する基本モータトルク指令値演算手段と、
    前記減速機構に加えられているモータトルク以外の外部トルクを特定する外部トルク特定手段と、
    前記減速機構で摩擦が発生しないと仮定したモデル、あるいは前記減速機構で摩擦が発生しないと仮定したモデルを、実測したモータ角速度によって修正したモデルによって前記電動モータの角速度を演算するモータ角速度演算手段と、
    前記外部トルク特定手段によって特定される外部トルクと、前記モータ角速度演算手段によって演算される角速度と、前記基本モータトルク指令値演算手段によって演算される基本モータトルク指令値と、前記制御システム内で発生する摩擦のうちの少なくとも前記減速機構で発生する摩擦を含む補償対象の摩擦が考慮された前記制御システムのシミュレーションモデルとを用いて、前記補償対象の摩擦を推定する摩擦推定手段と、
    前記摩擦推定手段によって推定された摩擦と、前記基本モータトルク指令値演算手段によって演算された基本モータトルク指令値とを用いて、前記電動モータから発生させるべきモータトルクの目標値であるモータトルク指令値を演算するモータトルク指令値演算手段と、
    前記モータトルク指令値演算手段によって演算されたモータトルク指令値に基いて、前記電動モータを制御する制御手段とを含む、制御システム。
  2. 前記摩擦推定手段は、
    前記外部トルク特定手段によって特定される外部トルクと、前記基本モータトルク指令値演算手段によって演算される基本モータトルク指令値とを用いて、前記減速機構の接触形態を判別する判別手段と、
    前記モータ角速度演算手段によって演算される角速度に基いて、前記減速機構の摩擦係数を推定する摩擦係数推定手段と、
    前記判別手段の判別結果と、前記摩擦係数推定手段によって推定された摩擦係数と、前記外部トルク特定手段によって特定される外部トルクと、前記モータ角速度演算手段によって演算される角速度とに基いて、前記補償対象の摩擦を演算する演算手段とを含む、請求項1に記載の制御システム。
  3. 前記判別手段は、前記減速機構を構成する2つのギヤの接触形態が一点接触形態であるか二点接触形態であるかを判別するように構成されており、
    前記演算手段は、予め設定されている前記一点接触形態用の摩擦演算式と前記二点接触形態用の摩擦演算式のうち、前記判別手段の判別結果に対応した演算式を用いて、前記補償対象の摩擦を演算するように構成されている請求項2に記載の制御システム。
  4. 前記電動モータの角速度を検出するモータ角速度検出手段と、
    前記モータ角速度演算手段によって演算される角速度と前記モータ角速度検出手段によって検出される角速度との偏差に基いて、モータトルク補正値を演算する補正値演算手段とをさらに含み、
    前記モータトルク指令値演算手段は、前記基本モータトルク指令値演算手段によって演算される基本モータトルク指令値と、前記補正値演算手段によって演算される前記モータトルク補正値と、前記摩擦推定手段によって推定された摩擦とを用いて、モータトルク指令値を演算するように構成されている、請求項2または3に記載の制御システム。
  5. 前記判別手段は、前記外部トルク特定手段によって特定される外部トルクと、前記基本モータトルク指令値演算手段によって演算される基本モータトルク指令値に前記補正値演算手段によって演算される前記モータトルク補正値を加算した値とを用いて、前記減速機構の接触形態を判別するように構成されている、請求項4に記載の制御システム。
  6. 前記摩擦推定手段は、
    前記外部トルク特定手段によって特定される外部トルクと、前記基本モータトルク指令値演算手段によって演算される基本モータトルク指令値とを用いて、前記減速機構の歯面に作用する垂直抗力を演算する垂直抗力演算手段と、
    前記モータ角速度演算手段によって演算される角速度に基いて、前記減速機構の摩擦係数を推定する摩擦係数推定手段と、
    前記垂直抗力演算手段によって演算される垂直抗力と、前記摩擦係数推定手段によって推定された摩擦係数とに基いて、前記補償対象の摩擦を演算する演算手段とを含む、請求項1に記載の制御システム。
  7. 前記電動モータの角速度を検出するモータ角速度検出手段と、
    前記モータ角速度演算手段によって演算される角速度と前記モータ角速度検出手段によって検出される角速度との偏差に基いて、モータトルク補正値を演算する補正値演算手段とをさらに含み、
    前記モータトルク指令値演算手段は、前記基本モータトルク指令値演算手段によって演算される基本モータトルク指令値と、前記補正値演算手段によって演算される前記モータトルク補正値と、前記摩擦推定手段によって推定された摩擦とを用いて、モータトルク指令値を演算するように構成されている、請求項6に記載の制御システム。
  8. 前記垂直抗力演算手段は、前記外部トルク特定手段によって特定される外部トルクと、前記基本モータトルク指令値演算手段によって演算される基本モータトルク指令値に前記補正値演算手段によって演算されるモータトルク補正値が加算された値とを用いて、前記減速機構の歯面に作用する垂直抗力を演算するように構成されている、請求項7に記載の制御システム。
  9. 前記電動モータの回転角目標値を設定する回転角目標値設定手段と、
    前記回転角目標値設定手段によって設定される回転角目標値と前記モータ回転角演算手段によって演算される回転角との偏差に基いて、モータトルク補正値を演算する補正値演算手段とをさらに含み、
    前記モータトルク指令値演算手段は、前記基本モータトルク指令値演算手段によって演算される基本モータトルク指令値と、前記補正値演算手段によって演算されるモータトルク補正値と、前記摩擦推定手段によって推定された摩擦とを用いて、モータトルク指令値を演算するように構成されている、請求項6に記載の制御システム。
  10. 前記垂直抗力演算手段は、前記外部トルク特定手段によって特定される外部トルクと、前記基本モータトルク指令値演算手段によって演算される基本モータトルク指令値に前記補正値演算手段によって演算されるモータトルク補正値が加算された値とを用いて、前記減速機構の歯面に作用する垂直抗力を演算するように構成されている、請求項9に記載の制御システム。
  11. 前記摩擦係数推定手段は、前記モータ角速度演算手段によって演算される角速度と、LuGreモデルを用いて前記摩擦係数を推定するように構成されている、請求項2〜10のいずれか一項に記載の制御システム。
  12. 前記制御システムがコラムアシスト式電動パワーステアリング装置であり、
    前記外部トルクが、運転者によって操舵部材に加えられる操舵トルクと、転舵輪側から前記減速機構に加えられる負荷トルクとを含んでおり、
    前記外部トルク特定手段は、前記操舵トルクを検出するための操舵トルク検出手段と、前記負荷トルクを推定する負荷トルク推定手段とを含んでいる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の制御システム。
  13. 車速を検出する車速検出手段をさらに含み、
    前記基本モータトルク指令値演算手段は、前記車速検出手段によって検出される車速と、前記操舵トルク検出手段によって検出される操舵トルクとに基いて、基本モータトルク指令値を演算するように構成されている、請求項12に記載の制御システム。
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