JP2021027744A - モータ制御装置、モータ制御方法および電動パワーステアリング装置 - Google Patents

モータ制御装置、モータ制御方法および電動パワーステアリング装置 Download PDF

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Abstract

【課題】処理負荷を抑制しつつ、モータ駆動時に生じるトルクリップルを適切に推定することができるモータ制御装置、モータ制御方法および電動パワーステアリング装置を提供する。【解決手段】モータ制御装置は、モータを駆動制御する。このモータ制御装置は、モータ角度からカルマンフィルタを用いてモータの回転情報を推定する回転情報推定部と、回転情報推定部により推定された回転情報に基づいて、モータに発生するトルクリップルを推定するトルクリップル推定部と、を備える。【選択図】 図1

Description

本発明は、モータ制御装置、モータ制御方法および電動パワーステアリング装置に関する。
従来、電動モータは自然なトルクの出方を実現する必要があり、電動パワーステアリングでは操舵感覚を阻害する騒音の要因となる振動を生じさせるトルクリップルを抑制することが求められている。トルクリップルを抑制する技術として、例えば特許文献1に記載の技術がある。この技術は、モータの回転速度を周波数解析することで、特定周波数で発生するトルクリップルの振幅および位相を推定してトルクリップル推定値とし、トルクリップル推定値からトルクリップル補正電流値を演算して、モータ制御装置の電流指令値を補正する技術である。
国際公開第2018/154733号
上記特許文献1に記載の技術では、トルクリップル推定値を得るために、モータを駆動しながらモータ回転速度の周波数解析を同時に実行する必要があるため、処理が複雑となり演算装置の処理負荷が大きい。
そこで、本発明は、処理負荷を抑制しつつ、モータ駆動時に生じるトルクリップルを適切に推定することができるモータ制御装置、モータ制御方法および電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一つの態様のモータ制御装置は、モータを駆動制御するモータ制御装置であって、モータ角度からカルマンフィルタを用いて前記モータの回転情報を推定する回転情報推定部と、前記回転情報推定部により推定された前記回転情報に基づいて、前記モータに発生するトルクリップルを推定するトルクリップル推定部と、を備える。
このように、軽量なカルマンフィルタを用いるので、処理負荷の増大を抑制しつつ、適切にトルクリップルを推定することができる。また、モータ使用時にオンラインでトルクリップルを推定可能であるため、例えば、推定したトルクリップル情報を記憶しておくといった処理が必要ない。
また、上記のモータ制御装置において、前記回転情報推定部は、前記モータの回転情報としてモータ角速度を推定する角速度推定部を有し、前記トルクリップル推定部は、前記角速度推定部により推定されたモータ角速度に基づいてモータ角加速度を推定する角加速度推定部を有し、前記角加速度推定部により推定されたモータ角加速度とモータイナーシャとに基づいて前記トルクリップルを推定してもよい。
この場合、モータ角度からモータ角速度を得るために離散時間微分を計算する一般的な手法と比較して、高精度で、かつ位相遅れの小さいモータ角速度を推定することが可能である。そして、高精度に推定されたモータ角速度情報に基づいてトルクリップルを推定するため、高精度なトルクリップル推定値を得ることができる。
さらに、上記のモータ制御装置において、前記カルマンフィルタは、前記モータと前記モータにより駆動される負荷とを慣性体とした2慣性系の機械システムを数学モデル化して構成されていてもよい。この場合、モータと負荷とで構成される2慣性系の機械システムの運動方程式を用いて、適切にカルマンフィルタを構成することができる。
また、上記のモータ制御装置において、前記カルマンフィルタは、モータ角度、モータ角速度、負荷角度および負荷角速度を状態変数とする線形カルマンフィルタであってもよい。この場合、比較的容易にカルマンフィルタを構成し、トルクリップルの推定が可能となる。
さらに、上記のモータ制御装置において、前記カルマンフィルタは、モータ角度、モータ角速度、モータ側粘性抵抗係数、負荷角度、負荷角速度および負荷側粘性抵抗係数を状態変数とする拡張カルマンフィルタであってもよい。この場合、粘性抵抗係数を考慮してカルマンフィルタを構成するので、より高精度な推定が可能となる。
また、上記のモータ制御装置において、前記トルクリップル推定部により推定されたトルクリップルに基づいて、トルク指令値を補正するトルク指令補正部をさらに備えていてもよい。この場合、トルクリップル推定値をそのままトルク指令値の補正値として用いることができるので、補正処理が容易である。また、トルク指令値を直接補正するので、トルクリップル分を高精度に低減させることができる。
さらにまた、上記のモータ制御装置において、トルク指令値に基づいて電流指令値を生成する電流指令生成部と、前記トルクリップル推定部により推定されたトルクリップルに基づいて、前記電流指令生成部により生成された電流指令値を補正する電流指令値補正部と、をさらに備えていてもよい。この場合にも、モータ駆動時に生じるトルクリップルを適切に抑制することができる。
また、本発明の一つの態様のモータ制御方法は、モータを駆動制御するモータ制御方法であって、モータ角度からカルマンフィルタを用いて前記モータの回転情報を推定するステップと、推定された前記回転情報に基づいて、前記モータに発生するトルクリップルを推定するステップと、を含む。このように、軽量なカルマンフィルタを用いるので、処理負荷の増大を抑制しつつ、適切にトルクリップルを推定することができる。
さらに、本発明の一つの態様の電動パワーステアリング装置は、上記のいずれかのモータ制御装置を備える。
これにより、操舵補助制御(操舵アシスト)を行うための車載のモータのトルクリップルを適切に推定することができる。また、推定されたトルクリップル推定値を用いて当該トルクリップルを抑制するように制御すれば、ステアリングホイールの振動や車室内の騒音を低減させることができる。
本発明の一つの態様によれば、処理負荷を抑制しつつ、モータ駆動時に生じるトルクリップルを適切に推定することができる。なお、推定されたトルクリップルに基づいて、モータのトルク指令値を補正すれば、モータから出力されるトルクリップルを低減することができる。
図1は、トルク指令値とトルク出力値とを示す概念説明図である。 図2は、トルクリップル出力値とトルクリップル推定値とを示す概念説明図である。 図3は、補正後トルク指令値と補正制御後のトルク出力値とを示す概念説明図である。 図4は、電動パワーステアリング装置を搭載した車両の図である。 図5は、電動パワーステアリング装置の模式図である。 図6は、トルクリップル推定器の構成を示すブロック図である。 図7は、2慣性系の機械システムを示す図である。 図8は、2慣性系の機械システムを数学モデル化した図である。 図9は、モータシステムの構成図である。 図10は、指令生成部のブロック図である。 図11は、モータ制御装置の機能ブロック図である。
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
本実施形態は、トルクリップル推定値を用いてトルク指令値を補正し、モータを駆動制御する処理(補正処理)を行うものである。
まず、本実施形態の作用効果について、具体的に説明する。
図1は、本実施形態のような補正制御を行わない場合のトルク指令値とトルク出力値とを示す概念説明図である。図1において、破線Aはトルク指令値、実線Bはトルク出力値を示している。
この図1に示すように、モータを一定回転数で一定のトルク指令値Aを与えて駆動制御している定常状態であっても、出力されるトルク(トルク出力値B)はトルクリップルを含んだものとなっている。
そこで、本実施形態では、トルクリップル推定器において、モータ角度情報からモータのトルクリップルを推定する。そして、トルクリップル推定器により推定されたトルクリップル推定値でトルク指令値を補正し、モータを駆動制御する。
図2は、本実施形態における補正制御を行った場合のトルクリップルの変化を示す概念説明図である。図2において、破線Cはトルクリップル出力値、実線Dはトルクリップル推定値である。また、図3は、本実施形態における補正制御を行った場合のトルク指令値とトルク出力値とを示す概念説明図である。図3において、破線A´は補正後のトルク指令値、実線B´は補正制御後のトルク出力値である。ここで、図3の補正後トルク指令値A´は、図1のトルク指令値Aを図2のトルクリップル推定値Dによって補正したものである。
このように、推定されたトルクリップルの分だけトルク指令値を補正してモータを駆動制御することで、出力されるトルクに含まれるトルクリップルを適切に低減することができる。つまり、図2のトルクリップル出力値Cに示すように、徐々にトルクリップルを小さくすることができる。
また、図2のトルクリップル推定値Dに示すように、モータ角度情報からトルクリップルを精度良く推定することができるので、図3の補正後のトルク指令値A´に示すように、トルク指令値を適切に補正することができる。その結果、図1のトルク出力値Bと図3の補正制御後のトルク出力値B´との比較からも明らかなように、適切にトルクリップルを低減させることができる。
上記の補正制御を行うモータシステムは、例えば図4に示すように、車両1に搭載された電動パワーステアリング装置10に適用することができる。
図5は、電動パワーステアリング装置10の模式図である。
この図5に示すように、電動パワーステアリング装置10はコラムタイプEPS(電動パワーステアリング装置)であり、運転者から与えられる力が伝達する順に、ステアリングホイール11、ステアリングシャフト12、操舵補助機構13、ユニバーサルジョイント14a、インターミディエイトシャフト15、ユニバーサルジョイント14b、ピニオンシャフト16、ステアリングギヤ17、タイロッド18a、18b、ハブユニット19a、19b、および転舵輪20L、20Rを備える。
ステアリングシャフト12は、入力軸12aと、出力軸12bと、を備える。入力軸12aの一方の端部はステアリングホイール11に連結され、入力軸12aの他方の端部は、トルクセンサ31を介して出力軸12bの一方の端部に連結される。出力軸12bの他方の端部はユニバーサルジョイント14aに連結される。これら入力軸12aおよび出力軸12b間には、図示しないトーションバーが介装されている。
運転者から作用される操舵力は、ステアリングホイール11から入力軸12aと出力軸12bとを有するステアリングシャフト12に伝達される。そして、出力軸12bに伝達された操舵力は、ユニバーサルジョイント14aを介してインターミディエイトシャフト15に伝達され、さらに、ユニバーサルジョイント14bを介してピニオンシャフト16に伝達される。このピニオンシャフト16に伝達された操舵力は、ステアリングギヤ17を介してタイロッド18a、18bにそれぞれ伝達され、ハブユニット19a、19bを介して転舵輪20L、20Rを転舵させる。
ここで、ステアリングギヤ17は、ピニオンシャフト16に連結されたピニオン17aと、このピニオン17aに噛合するラック17bと、を備え、ピニオン17aに伝達された回転運動をラック17bによって直進運動に変換している。
操舵補助機構13は、ステアリングシャフト12の出力軸12bに連結され、操舵補助力を出力軸12bに伝達する。この操舵補助機構13は、出力軸12bに連結された減速ギヤ21と、この減速ギヤ21に連結されて操舵系に対して補助操舵力を発生する電動モータ22と、を備える。
ここで、電動モータ22は、例えば3相ブラシレスモータとすることができる。また、減速ギヤ21は、例えばウォームギヤとすることができる。この場合、電動モータ22で生じたトルクは、減速ギヤ21の内部のウォームを介してウォームホイールに伝達され、ウォームホイールを回転させる。これにより、減速ギヤ21は、電動モータ22で生じたトルクを増加させ、出力軸12bに補助操舵トルクを与える。
トルクセンサ31は、ステアリングホイール11に付与されて入力軸12aに伝達された操舵トルクを検出するためのもので、図示しないトーションバーで連結された入力軸12aと出力軸12bとの相対的な変位(回転変位)を、コイル対のインピーダンスの変化に対応させて検出する。このトルクセンサ31から出力されるトルク検出値は、コントロールユニット(ECU)30に入力される。
ECU30は、車載電源であるバッテリ38から電源供給されることによって作動する。バッテリ38の負極は接地され、その正極は、エンジン始動を行うイグニッションスイッチ39を介してECU30に接続されるとともに、イグニッションスイッチ39を介さずに直接、ECU30に接続されている。
ECU30は、所定のプログラムを実行することで後述するモータ制御装置320(図11参照)の機能を実現するCPUを具備する。
ECU30は、トルクセンサ31により検出されたトルク検出値の他に、車速センサ32により検出された車速検出値を取得する。そして、ECU30は、これらに応じた操舵補助力を操舵系に付与する操舵補助制御(操舵アシスト)を行う。具体的には、ECU30は、トルク検出値と車速検出値とに基づいて操舵補助指令値(操舵補助トルク指令値)を算出する。そして、ECU30は、算出した操舵補助トルク指令値に基づいて、電動モータ22に供給する駆動電流を制御する。
ここで、ECU30は、上記の操舵補助トルク指令値を図11のトルク指令値τ*とし、上記の電動モータ22を図11のモータ310として、図11に示すモータ制御装置320と同様の機能を実現することができる。
以上の構成により、電動モータ22の駆動時におけるトルクリップルを適切に抑制することができる。
図5に示すようなコラムタイプEPSの場合、電動モータ22が運転者(ステアリングホイール11)に近いため、電動モータ22の振動が機械要素を通じて運転者に伝わりやすい。また、電動モータ22の振動が原因で騒音が発生し、これが車室内に伝わり、搭乗者へ不快感を与えてしまう。
これに対して、上記の実施例では、電動モータ22のトルクリップルを適切に抑制することができるので、トルクリップルに起因する騒音を低減することができ、車室内の静粛性を向上させることができる。
(第一の実施形態)
図6〜8に基づいて第一の実施形態について説明する。
図6は、本実施形態におけるトルクリップル推定器100の構成を示すブロック図である。
本実施形態におけるトルクリップル推定器100は、モータ角度情報を入力として、カルマンフィルタを用いてモータの回転情報を推定し、当該回転情報からモータのトルクリップルを推定する。
トルクリップル推定器100は、図6に示すように、角速度推定部101と、角加速度推定部102と、トルクリップル推定部103と、を備える。
角速度推定部101は、不図示のモータ角度検出センサにより検出されたモータ角度θMを入力とし、カルマンフィルタを用いて、上記回転情報としてモータ角速度ωMを推定する。角速度推定部101は、回転情報推定部に対応している。
角加速度推定部102は、角速度推定部101により推定されたモータ角速度ωMを微分してモータ角加速度αMを推定する。トルクリップル推定部103は、角加速度推定部102により推定されたモータ角加速度αMにモータイナーシャJMを乗じてトルクリップルτrを推定する。
本実施形態では、モータを利用した機械システムを数式モデル化し、モータ角度θMを入力としたカルマンフィルタを構成してモータ角速度ωMを推定する。例えば、モータを利用した機械システムは、モータと負荷とにより構成される2慣性系として考えることができる。
具体的には、図7に示すように、測定対象のモータ201と、モータ201により駆動される負荷202とが、カップリング203、204を介して接続されたシステムを考える。なお、カップリング203、204の間には、トルクメータ205が介在されていてもよい。
図7に示す機械システムは、図8に示すように数学モデル化することができる。この図8において、符号JMは、駆動側慣性体である図7のモータ201のイナーシャ、符号JLは、従動側慣性体である図7の負荷202のイナーシャである。また、符号DMは、モータ201の粘性抵抗係数、符号DLは、負荷202の粘性抵抗係数である。さらに、符号Ceqは、図7のカップリング203、204のばね定数である。このシステムの左側の駆動側慣性体(モータ201)にトルクτMを与えると、左右の各慣性体に角度変位θM、θLが発生する。
このように、モータを利用した機械システムとして、モータと負荷とで構成される2慣性系を考え、当該機械システムの運動方程式を用いてカルマンフィルタを構成する。本実施形態では、図8に示す粘性抵抗係数DMおよびDLを一定として考え、カルマンフィルタとして線形カルマンフィルタを用いる。つまり、システムの状態変数は、モータ角度θM、モータ角速度ωM、負荷角度θL、負荷角速度ωLとする。そして、図1に示す角速度推定部101に、その線形カルマンフィルタを用いる。
以上のように、本実施形態におけるモータ制御方法は、モータ角度からカルマンフィルタを用いてモータの回転情報(モータ角速度)を推定するステップと、推定された回転情報(モータ角速度)に基づいて、モータに発生するトルクリップルを推定するステップと、を含む。ここで、本実施形態では、カルマンフィルタとして線形カルマンフィルタを構成してモータ角速度を推定する。
このように、軽量なカルマンフィルタを用いるので、演算装置の処理負荷を抑制しつつ、適切にトルクリップルを推定することができる。また、モータ使用時にオンラインでトルクリップルを推定することができる。
オンラインでトルクリップルを推定できない場合、推定したトルクリップル情報を、モータを使用する全ての領域で記録しておく必要がある。そのため、トルクリップル情報を記録しておくためのメモリが必要となる。また、モータ使用時には、記録しておいたトルクリップル情報を参照するためにメモリへのアクセスが頻繁に発生する。
これに対して、本実施形態では、上述したようにオンラインでトルクリップルを推定することができるため、上記のようなメモリは不要となる。
ところで、モータ角度からモータ角速度を得る場合、通常は離散時間微分を計算するが、サンプリングタイムが小さくなるほど、モータ角度検出センサの分解能によってモータ角速度計算値の分解能が粗くなる。そこで、モータ角速度計算値信号にローパスフィルタをかけたり、モータ角速度計算を行う部分だけサンプリングタイムを大きくしたりといった対策がよくとられている。しかしながら、これらの手法では位相遅れが大きくなるという問題点があった。
これに対して、本実施形態では、モータ角度検出センサによって検出されたモータ角度とシステムモデルとを用いて線形カルマンフィルタを構成し、モータ角速度を推定している。したがって、モータ角度センサ分解能による精度の制約があるモータ角速度を高精度に推定することができるとともに、位相遅れの小さいモータ角速度を得ることができる。そして、このように高精度に推定されたモータ角速度情報に基づいてトルクリップルを推定するため、高精度なトルクリップル推定値を得ることができる。
(第二の実施形態)
次に、本実施形態における第二の実施形態について説明する。
上述した第一の実施形態では、カルマンフィルタとして線形カルマンフィルタを構成する場合について説明した。本実施形態では、カルマンフィルタとして拡張カルマンフィルタを構成する場合について説明する。
本実施形態におけるトルクリップル推定器の構成は、図1に示すトルクリップル推定器100と同様である。ただし、図1に示す角速度推定部101に拡張カルマンフィルタを用いる点で異なる。
本実施形態では、システムの状態変数として、図8に示すモータ角度θM、モータ角速度ωM、負荷角度θL、負荷角速度ωLに加えて、モータ側粘性抵抗係数DMおよび負荷側粘性抵抗係数DLを考える。
この場合にも、上述した第一の実施形態と同様に、演算装置の処理負荷を抑制しつつ、トルクリップルを適切に推定することができる。特に、本実施形態では、粘性抵抗係数DM、DLを状態変数として加えて拡張カルマンフィルタを構成しているため、より高精度にモータ角速度を推定することができる。その結果、より高精度なトルクリップルを推定することができる。
(第三の実施形態)
次に、図9〜11に基づいて本実施形態の第三の実施形態について説明する。
本実施形態では、上述した第一の実施形態および第二の実施形態で説明したトルクリップル推定器100によって推定されたトルクリップルτrを用いて、モータ駆動時に生じるトルクリップルを低減させるモータ制御装置について説明する。
図9は、モータシステム300の構成図である。
モータシステム300は、モータ310と、モータ制御装置320と、インバータ330と、を備える。モータ制御装置320は、指令生成部321と、電流制御器322と、を備える。
指令生成部321は、モータ310のトルク指令値τ*から電流指令値i*を生成する。ここで、指令生成部321は、トルクリップル推定値に基づいて補正された電流指令値i*を生成する。指令生成部321の具体的構成については後述する。
電流制御器322は、電流指令値i*に基づいて、モータ電流をフィードバック制御して電圧指令値v*を出力する。
インバータ330は、電圧指令値v*に基づいて生成されたPWM信号をもとに当該インバータ330を構成するスイッチング素子をオン/オフし、モータ310に電圧vを供給する。これにより、モータ310にトルクτが発生する。
図10は、指令生成部321の構成を示すブロック図である。
この図10に示すように、指令生成部321は、トルクリップル推定器321aと、減算器321bと、指令値変換器321cと、を備える。
トルクリップル推定器321aは、上述した第一の実施形態および第二の実施形態で説明したトルクリップル推定器100と同様の構成を有する。つまり、モータ角度θMを入力とし、カルマンフィルタを用いてトルクリップル推定値τrを推定し出力する。
減算器321bは、与えられたトルク指令値τ*からトルクリップル推定値τrを減算し、補正後のトルク指令値τ*’を出力する。このように、本実施形態では、トルクリップル推定値τrを、トルク指令値τ*を補正するためのトルクリップル補正値として用いる。
指令値変換器321cは、補正後のトルク指令値τ*’を電流指令値i*に変換して出力する。
なお、図10において、トルクリップル推定器321aがトルクリップル推定部に対応し、減算器321bがトルク指令補正部に対応し、指令値変換器321cが電流指令生成部に対応している。
以下、モータ制御装置320の機能について、具体的に説明する。
図11は、モータ制御装置320の機能ブロック図である。
この図11に示すように、モータ制御装置320は、角度検出部301と、角速度演算部302と、3相/2相変換部303と、トルク指令補正部304と、電流指令生成部305と、電流制御部306と、2相/3相変換部307と、を備える。
角度検出部301は、角度センサ310aにより検出されたモータ角度(機械角)θMをモータ角度(電気角)θEに変換する。
角速度演算部302は、角度検出部301から出力されたモータ角度θEを微分してモータ角速度ωを演算する。
3相/2相変換部303は、3相モータ電流iu、ivおよびiwを3相/2相変換してdq軸電流id、iqを出力する。
トルク指令補正部304は、トルク指令値τ*をトルクリップル補正値τrによって補正し、補正後のトルク指令値τ*’を電流指令生成部305(図9における指令生成部321に相当)に出力する。ここで、トルクリップル補正値τrは、上述した図10のトルクリップル推定器321aにより推定されたトルクリップル推定値である。
電流指令生成部305は、トルク指令値τ*’、モータ角度θEおよびモータ加速度ωを入力し、図9の電流指令値i*として、dq軸電流指令値id*、iq*を生成する。
電流制御部306(図9における電流制御322に相当)は、dq軸電流指令値id*、iq*とdq軸電流id、iqとの電流偏差をそれぞれ算出する。そして、電流制御部306は、算出した電流偏差に対してそれぞれ比例積分制御を行って、図9の電圧指令値v*として、dq軸電圧指令値vd、vqを算出する。
2相/3相変換部307は、2相の電圧指令値vd、vqを、3相の電圧指令値vu、vvおよびvwに変換する。この電圧指令値vu、vvおよびvwに基づいてモータ310に駆動電力が供給される。
このように、モータ制御装置320は、推定されたトルクリップルτrを用いてトルク指令値τ*を補正することで、電流指令値i*(id*、iq*)を補正し、モータ310を駆動制御する。
これにより、モータ310の駆動時に生じるトルクリップルを適切に抑制することができる。また、トルクリップルが抑制されることで、トルクリップルに起因する騒音を低減することができる。したがって、モータシステム300の静粛性を向上させることができる。
(変形例)
上記各実施形態においては、モータを利用するシステムを、モータと負荷とで構成される2慣性系として考え、カルマンフィルタを構成する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、モータを利用するシステムを、3慣性系として考えてもよい。
また、上記第三の実施形態においては、トルクリップル推定値をトルクリップル補正値としてトルク指令値τ*に重畳することでトルク指令値τ*を補正し、トルクリップルを低減する場合について説明した。つまり、トルクリップル推定値によりトルク指令値τ*を補正することで、トルクリップル推定値に基づいて補正された電流指令値i*を生成する場合について説明した。しかしながら、トルクリップル推定値をトルクリップル補正電流値に変換し、トルク指令値τ*から生成された電流指令値へ重畳するようにしてもよい。つまり、トルクリップル推定値に基づいてトルク指令値を補正するトルク指令補正部に替えて、トルクリップル推定値に基づいて電流指令値を補正する電流指令値補正部を備えてもよい。この場合にも、トルクリップル推定値に基づいて補正された電流指令値i*を生成することができ、トルクリップルを低減することができる。
さらに、上記第三の実施形態においては、モータシステム300の適用例として、電動パワーステアリング装置10を示したが、上記に限定されるものではない。モータシステム300は、例えば、ブレーキペダル操作を電気信号に変換し、アクチュエータを介して摩擦ブレーキを差動させる電動ブレーキ(ブレーキ・バイ・ワイヤ)や、ステアリング操作を電気信号に変換し、アクチュエータを介して車輪を転舵するステア・バイ・ワイヤなどにも適用可能である。なお、制御対象のモータは、上述したような車載のモータに限定されるものではない。
なお、本発明は、上述した実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワークまたは記憶媒体を介して、システムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出し実行することによっても実現可能である。この場合、記録媒体から読み出されたプログラム自体が実施形態の機能を実現することになる。また、当該プログラムを記録した記録媒体は本発明を構成することができる。
また、コンピュータが読み出したプログラムを実行することにより、実施形態の機能が実現されるだけでなく、プログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上記した実施形態の機能が実現されてもよい。
10…電動パワーステアリング装置、100…トルクリップル推定器、101…角速度推定部、102…角加速度推定部、103…トルクリップル推定部、300…モータシステム、320…モータ制御装置、321…指令生成部、321a…トルクリップル推定器、321b…減算器、321c…指令値変換器

Claims (10)

  1. モータを駆動制御するモータ制御装置であって、
    モータ角度からカルマンフィルタを用いて前記モータの回転情報を推定する回転情報推定部と、
    前記回転情報推定部により推定された前記回転情報に基づいて、前記モータに発生するトルクリップルを推定するトルクリップル推定部と、を備えることを特徴とするモータ制御装置。
  2. 前記回転情報推定部は、前記モータの回転情報としてモータ角速度を推定する角速度推定部を有し、
    前記トルクリップル推定部は、前記角速度推定部により推定されたモータ角速度に基づいてモータ角加速度を推定する角加速度推定部を有し、前記角加速度推定部により推定されたモータ角加速度とモータイナーシャとに基づいて前記トルクリップルを推定することを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記カルマンフィルタは、前記モータと前記モータにより駆動される負荷とを慣性体とする2慣性系の機械システムを数学モデル化して構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のモータ制御装置。
  4. 前記カルマンフィルタは、モータ角度、モータ角速度、負荷角度および負荷角速度を状態変数とする線形カルマンフィルタであることを特徴とする請求項3に記載のモータ制御装置。
  5. 前記カルマンフィルタは、モータ角度、モータ角速度、モータ側粘性抵抗係数、負荷角度、負荷角速度および負荷側粘性抵抗係数を状態変数とする拡張カルマンフィルタであることを特徴とする請求項3に記載のモータ制御装置。
  6. 前記トルクリップル推定部により推定されたトルクリップルに基づいて、トルク指令値を補正するトルク指令補正部をさらに備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  7. トルク指令値に基づいて電流指令値を生成する電流指令生成部と、
    前記トルクリップル推定部により推定されたトルクリップルに基づいて、前記電流指令生成部により生成された電流指令値を補正する電流指令値補正部と、をさらに備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  8. モータを駆動制御するモータ制御方法であって、
    モータ角度からカルマンフィルタを用いて前記モータの回転情報を推定するステップと、
    推定された前記回転情報に基づいて、前記モータに発生するトルクリップルを推定するステップと、を含むことを特徴とするモータ制御方法。
  9. 請求項1から7のいずれか1項に記載のモータ制御装置を備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  10. コンピュータを、請求項1から7のいずれか1項に記載のモータ制御装置の各部として機能させるためのプログラム。
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