JP6293983B2 - ミクロ相分離構造粒を備える高分子微粒子並びにそれを用いる粒子免疫測定法用試薬及び粒子免疫測定法 - Google Patents

ミクロ相分離構造粒を備える高分子微粒子並びにそれを用いる粒子免疫測定法用試薬及び粒子免疫測定法 Download PDF

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Description

本発明は、非特異的反応を高度に抑制しながら、高感度な測定を可能とする粒子免疫測定法用高分子微粒子、当該高分子微粒子を用いた粒子免疫測定法用試薬、及び当該高分子微粒子を用いた粒子免疫測定法に関する。
臨床検査の分野において検体中の微量な検出対象物質を検出する方法として、抗原抗体反応を利用した免疫学的測定法が広く使用されている。中でも抗原や抗体を固定化した高分子微粒子(以下、感作高分子微粒子ということがある)を用いた粒子免疫比濁法は、測定操作が簡便で、測定に要する時間が短く、汎用されている臨床検査用機器に適用できることから、実用的な方法として普及している。粒子免疫比濁法による検体中の抗原または抗体の測定は、抗原と抗体による免疫複合体の形成に伴う感作高分子微粒子の凝集に由来する光学的な変化を検出することにより行われる。この測定試料の光学的な変化は、感作高分子微粒子の凝集による見かけの粒子径の変化に基づくものである。
上記粒子免疫比濁法には、検出対象物質と特異的に反応する抗原または抗体の固定化が容易であり、比較的安価で、かつ重合反応も制御しやすいことからポリスチレンを主成分とするポリスチレン系高分子微粒子が多く用いられてきた。しかし、ポリスチレンを主成分とする高分子微粒子は、抗原や抗体を物理的な吸着により粒子表面に簡易に固定化できるメリットがある一方、抗原や抗体の粒子表面への吸着を行う際、粒子表面における吸着部位などを制御することが困難であり、なんらかの規則性をもって抗原や抗体を粒子表面に吸着させることができないという課題があった。
特許文献1には、上記のようなポリスチレンを主成分とするポリスチレン系高分子微粒子が記載されている。
特許文献2には、主成分であるスチレンとスチレンスルホン酸の塩に加え、重合性の官能基を有する特定の界面活性剤を水溶性ラジカル重合開始剤を用いて水中で共重合させて高分子微粒子とした診断試薬用担体粒子が記載されている。しかし、当該方法で作製されたポリマー粒子は表面が当該界面活性剤で覆われており、抗原や抗体を粒子表面に物理吸着させにくいことから、抗原や抗体を粒子に吸着させ診断試薬とした場合、所望の感度を得ることが出来なかった。
特許文献3には、スチレンと、ホモポリマーの屈折率が1.6以上となるモノマーとの共重合体からなる診断薬用粒子が記載されている。しかしながら、当該粒子の表面は、上記二成分がランダムに混ざり合った状態であり、抗原や抗体の吸着を制御することはできなかった。
国際公開WO2003/005031号パンフレット 特開昭57-038806号公報 特開2001−296299号公報
上記の事情から、抗原や抗体を固定化するための高分子微粒子、それ自体に工夫をすることで、抗原や抗体の固定化状態を制御することができる高分子微粒子の製造方法の開発が望まれていた。
しかしながら、上記したポリスチレンを主成分とするポリスチレン系高分子微粒子は、基本的には単一種の重合体成分から構成される均一微粒子であり、異種成分が含まれる場合であっても、粒子表面に機能性の微細領域(例えば、疎水性の微細領域や親水性の微細領域)を形成させることは困難であった。
本発明は、抗原や抗体の粒子表面への固定化状態を制御することで、高感度測定を可能とする粒子免疫測定法用高分子微粒子、当該高分子微粒子を用いた粒子免疫測定試薬、及び当該高分子微粒子を用いた粒子免疫測定法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ね本発明を完成した。
本発明は、以下の内容に関する。
[1]2種類以上のセグメントを有するブロック共重合体から構成される高分子微粒子であって、上記高分子微粒子は、その表面にミクロ相分離構造を有し、かつ、数平均粒子径が50nm〜1000nmであり、かつ、変動係数が20%未満である、ことを特徴とする高分子微粒子。
[2]上記ミクロ相分離構造を有する表面が、検出対象物質との結合部を備える結合相と、検出対象物質に対する非結合相と、からなる、ことを特徴とする請求項1に記載の高分子微粒子。
[3]上記ミクロ相分離構造が、海島状又はラメラ状のミクロ相分離構造である、ことを特徴とする請求項2に記載の高分子微粒子。
[4]上記2種類以上のセグメントを有するブロック共重合体が、A-B-A構造を有するトリブロック共重合体である、ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の高分子微粒子。
[5]上記A-B-A構造を有するトリブロック共重合体が、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)トリブロック共重合体である、ことを特徴とする請求項4に記載の高分子微粒子。
[6]上記結合相と上記非結合相の比(上記結合相/上記非結合相)が、10/90〜40/60である、ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の高分子微粒子。
[7]請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の高分子微粒子を使用する、ことを特徴とする粒子免疫測定法用試薬。
[8]請求項7に記載の粒子免疫測定法用試薬を使用する、ことを特徴とする粒子免疫測定方法。
図1は実施例1に係るミクロ相分離構造を有する高分子微粒子の表面写真(SEM写真)である。 図2はミクロ相分離構造を有する高分子微粒子の表面写真(SEM写真)とその一部拡大模式図である。 図3は参考例1に係るミクロ相分離構造を有する高分子微粒子の表面写真(SEM写真)である。
以下、本発明の実施の形態につき、詳細に説明する。
本発明の高分子微粒子は、2種類以上のセグメントを有するブロック共重合体から構成される高分子微粒子であって、その表面にミクロ相分離構造を有し、数平均粒子径が、50nm〜1000nmであり、変動係数が20%未満である。
本発明の高分子微粒子の表面に形成されるミクロ相分離構造は、ブロック共重合体を構成している2種類以上のセグメント間の物性の相違に基づき形成されるものであり、より詳細には各セグメント間の斥力に基づくものである。本発明の高分子微粒子のミクロ相分離構造の具体的な形状は、それ自体公知である電子顕微鏡、光学顕微鏡、走査プローブ顕微鏡、小角X線(中性子)散乱、光散乱等を用いて確認することが出来る。この際、2種類以上のセグメントの一を構成するセグメントのみに選択的に反応する化合物(例えば四酸化オスミウムなど)を組み合わせて用いることが可能である。
本発明の高分子微粒子を構成するブロック共重合体の種類は、ミクロ相分離を形成できることを限度として特に制限はないが、ミクロ相分離構造の形成が、それを構成しているセグメント間の物性の相違、より詳細にはセグメント間の斥力に基づくものであることから、ブロック共重合体を構成しているセグメント間には微細領域を形成するのに十分な物性の相違、或いは斥力が存在することが必要である。
上記2種類以上のセグメントを有するブロック共重合体は粒子表面においてミクロ相分離構造を形成している。ミクロ相分離構造として、例えば、海島状、ラメラ状、ジャイロイド状、シリンダ状、共連続状等が挙げられる。これらのうち、粒子表面に抗原や抗体を一定の規則性をもって配列させることが出来ることから、海島状が好ましい。
2種類以上のセグメントを有するブロック共重合体とは、少なくとも1つのセグメントに検出対象物質との結合部を有している。
検出対象物質との結合部を有するセグメントに検出対象物質が結合する様式として、化学結合による吸着と物理吸着の2つがある。化学結合による吸着とは検出対象物質との結合部が有するセグメントに存在するカルボキシル基やグリシジル基と、タンパク質に存在するアミノ基や水酸基、チオール基が縮合反応により結合したものをいう。物理吸着は芳香族炭化水素に電気的相互作用により吸着するものをいう。
上記検出対象物質との結合部を有するセグメントとして、例えば、化学結合による吸着を用いる場合には、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基を有するモノマーを繰り返し単位とする重合体やグリシジル基を有するモノマーとしてはグリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基を有するモノマーを繰り返し単位とする重合体が挙げられる。
物理吸着を用いる場合には、芳香族炭化水素含有するモノマーを繰り返し単位とする重合体であり、具体的に例えば、スチレン、メチルスチレン等のC1−3アルキル置換スチレン、クロロスチレン等のハロゲン置換スチレン、4−ビニル安息香酸などのカルボキシ置換スチレン、スチレンスルホン酸などのスルホン酸置換スチレン、ビニルナフタレンなどのスチレンが縮合環を形成した化合物、ジビニルベンゼン等の多官能ビニルベンゼンなどをいう。なお、置換基の置換しうるベンゼン環上の位置は、2位、3位、4位のいずれでもよく、また、カルボキシ置換スチレン、スルホン酸置換スチレンは、ナトリウム、カリウムなどと塩を形成していてもよい。
上記検出対象物質との結合部を有していないセグメントは具体的に例えば、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、イソプレン、ブタジエン、エチレン、ブチレン、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルアクリレ−ト、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレ−ト、ジシクロペンタニルアクリレ−ト等の化学結合部位を持たず、極性が高いあるいは低いモノマーが挙げられる。なかでも、メタクリル酸メチル、イソプレン、ブタジエンが好ましい。
上記2種類以上のセグメントを有するブロック共重合体としては、特に制限はないが、合成が簡便であり、市販品も数多く存在していることからA-B構造を有するジブロック共重合体、A-B-A構造を有するトリブロック共重合体、A-B-C構造を有するトリブロック共重合体等が好ましい。
A-B構造を有するジブロック共重合体としては、例えば、スチレン-イソプレンジブロック共重合体、スチレン-メタクリル酸メチルジブロック共重合体等がある。
A-B-A構造を有するトリブロック共重合体としては、例えば、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)トリブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、イソプレン−スチレン−イソプレントリブロック共重合体、ブタジエン−スチレン−ブタジエントリブロック共重合体などのトリブロック共重合体等が挙げられる。
A-B-C構造を有するトリブロック共重合体としては、例えば、スチレン-ブタジエン-メチルメタクリレートトリブロック共重合体などのトリブロック共重合体が挙げられる。
これらは、公知の方法により合成してもよいが、市販品を使用してもよい。公知の方法とは例えば、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合、原子移動ラジカル重合(ATRP)、有機テルル化合物を用いるリビングラジカル重合法(TERP)、ニトロキシドを介したラジカル重合法(NMP)、イニファーター等のリビングラジカル重合やリビングアニオン重合、リビングカチオン重合、リビング配位重合、トランスファー重合等が挙げられる。
市販品の例としてはA-B構造を有するジブロック共重合体として、ポリ(スチレン−b−ブタジエン)(Polymer Source Inc.製、P2124-SBd、平均分子量74100、検出対象物質との結合部の含有率12.2w/w%)、ポリ(スチレン−b−メチルメタクリレート)(Polymer Source Inc.製、P18258P-SMMA、平均分子量391000、検出対象物質との結合部の含有率14.0w/w%)、ポリ(ビニルベンジルクロライド−b−メチルメタクリレート)(Polymer Source Inc.製、P19317B−4VBCMMA、平均分子量79000、検出対象物質との結合部の含有率30.3w/w%)等が挙げられる。
A-B-A構造を有するトリブロック共重合体としては、SISトリブロック共重合体として、製品名D1114P(クレイトンジャパン株式会社製、カタログ番号K0169、検出対象物質との結合部の含有率19.0w/w%)、製品名D1164P(クレイトンジャパン株式会社製、カタログ番号K0377、検出対象物質との結合部の含有率29.0w/w%)、SBSトリブロック共重合体として、製品名D1116B(クレイトンジャパン株式会社製、カタログ番号K0037、検出対象物質との結合部の含有率23.0w/w%)ポリ(メチルメタクリレート−b−スチレン-b-メチルメタクリレート)(Polymer Source Inc.製、P18287C−MMASMMA、平均分子量82000、検出対象物質との結合部の含有率16.5w/w%)等を挙げることができる。
A-B-C構造を有するトリブロック共重合体としては、スチレン-ブタジエン-メチルメタクリレートトリブロック共重合体(Polymer Source Inc.製、P8925−SBdMMA、平均分子量330000、検出対象物質との結合部の含有率14.0w/w%)等を挙げることが出来る。
上記2種類以上のセグメントを有するブロック共重合体としては、トリブロック共重合体の重量平均分子量3000〜3000000であり、かつ検出対象物質との結合部の含有率が5〜50w/w%であることが好ましい。そして重量平均分子量は、6000〜1000000がより好ましく、9000〜100000がさらに好ましい。また、検出対象物質との結合部の含有率は、10〜40w/w%であることがより好ましく、15〜35w/w%であることがさらに好ましい。
なお、検出対象物質との結合部の含有率とはポリマー全重量中に含まれる検出対象物質との結合部を有するモノマー単位の重量比を意味する。検出対象物質との結合部の含有率は熱分解ガスクロマトグラフィー等によって測定することができる。
本発明の高分子微粒子において、検出対象物質との結合相と検出対象物質との非結合相がミクロ相分離構造を形成している。タンパク質結合部相の微細領域と検出対象物質との非結合相の微細領域の高分子微粒子表面における面積の比は5/95〜50/50である。タンパク質結合部相の微細領域と検出対象物質との非結合相の微細領域の高分子微粒子表面における面積の比は10/90〜40/60であることがより好ましく、15/85〜35/65であることがさらに好ましい。
上記面積比の制御方法は高分子微粒子を構成するブロックポリマーの組成を制御することにより達成される。具体的にはタンパク質結合相の面積はポリマー全重量に含まれる検出対象物質との結合部を有するモノマー単位の重量比とほぼ一致する。
図2はミクロ相分離構造を有する高分子微粒子の表面写真(SEM写真)とその一部拡大模式図である。上記ミクロ相分離構造が海島構造である場合には、図2に示されるように、島状相分離構造(島状の微細領域)Aが検出対象物質との結合で形成されており、海状相分離構造(海状の微細領域)Bが検出対象物質との非結合相で形成されていることが好ましい。なお、図2に示される海島状高分子微粒子において、島状相分離構造Aの直径Dは1〜100nmが好ましい。より好ましくは3〜50nm、さらに好ましくは5〜30nmである。上記範囲であると、抗体1分子が島状相分離構造1つに固定化されるため、より効率を高めることができる。
上記島状の微細領域は検出対象物質との結合部を形成していることから、検出対象物質に対する抗体などを選択的に吸着することができ、従来の高分子微粒子のように抗体などの粒子表面への吸着ムラを生じにくい。一方、海状相分離構造は、検出対象物質との非結合相を形成していることから、従来の高分子微粒子のようにブロッキング処理の必要性が当然に低い。このような理由より、本発明の高分子微粒子は、非特異的反応の抑制と高感度な測定を両立させることが可能である。
上記本発明の、表面にミクロ相分離構造が形成された高分子微粒子は、例えば、ポリマーを原料とする粒子調製法、モノマーを原料として重合により粒子を合成する方法がある。前者は再沈法、溶媒拡散法、液中乾燥法および自己組織化析出法等が挙げられる。後者は乳化重合、分散重合法およびミニエマルション重合等が挙げられる。
本発明の高分子微粒子の平均粒子径は、1000nm以下であり、好適には50nm〜1000nmである。粒子免疫比濁法に用いる場合、50nm未満であると、高分子微粒子の凝集に由来する光学的変化量が小さすぎて測定に必要な感度が得られず、また試薬調製時の遠心分離の際に多くの時間がかかり試薬コストが高くなる。1000nmを超えると、検出対象物質が高濃度であるときに高分子微粒子の凝集による光学的変化量が測定可能領域を越えてしまい、検出対象物質の量に応じた光学的変化量が得られない。本発明の高分子微粒子を使用する測定方法、測定機器によって異なるが、好ましくは50nm〜700nm、より好ましくは50nm〜400nmである。
上記高分子微粒子の粒子径の変動係数(CV値)は、20%以下であることが好ましい。20%を超えると、試薬調製時のロット再現性が悪く、測定試薬の再現性が低下することがある。より好ましくは15%以下である。更に好ましくは10%以下である。なお、上記粒子径の変動係数は、次の式により算出される。
粒子径の変動係数(CV値)=粒子径の標準偏差/平均粒子径
2種類以上のセグメントを有するブロック共重合体から構成される高分子微粒子は、その表面にミクロ相分離構造による微細領域を形成することが報告されている。例えば、特開2006−077076号公報には、スチレン−イソプレン(SI)ジブロック共重合体から構成され、その表面にラメラ状のミクロ相分離構造を有する高分子微粒子が記載されている。この方法で作製したSIジブロック共重合体粒子の粒度分布が、およそ100nm〜600nmである旨の報告もある(Higichi et al;Macromolecular Rapid Communications,31,1773−1778(2010))。しかしながら、ブロック共重合体から構成され、その表面に相分離構造が形成された高分子微粒子の報告はあるものの、免疫測定に利用するには粒度分布がブロードであり、実用的な高分子微粒子は報告されていなかった。
この点、本発明の高分子微粒子は、上述のように所定の粒径と粒度分布を備え、しかも後述する結合部の粒子表面への固定化が再現性よくできることより、微細領域の特性の差を利用した免疫測定法への応用が可能である。
本発明の高分子微粒子は、上記した貧溶媒中に懸濁した状態で得られるので、粒子免疫比濁法用の試薬を調製する際には、緩衝液などなどの適宜な水性媒体に懸濁した状態で使用する。粒子の濃度としては特に限定されないが、通常は1〜20w/v%であることが好ましい。1w/v%未満であると、試薬調製時に濃縮する必要があり、20w/v%を超えると、粒子同士が凝集してしまうことがある。
物理的な吸着により検出対象物質と特異的に反応する物質(以下「結合部」ともいう)が表面に固定化された高分子微粒子(感作高分子微粒子)及び当該高分子微粒子を含む粒子免疫比濁法用試薬も本発明の1つである。上記「検出対象物質と特異的に反応する物質」としては、免疫学的凝集反応及び凝集阻止反応において使用されるものであれば特に限定されないが、なかでも、抗原抗体反応に利用できるものが好適である。
上記抗原抗体反応に利用できるものとしては、例えば、タンパク質、核酸、脂質、ホルモンなどの抗原又はそれらにする抗体が挙げられる。抗原としては、特に制限はないが、例えば、各種アレルゲン、各種ステロイドホルモン、梅毒脂質抗原、各種細菌由来の抗原や毒素抗原など検体中の抗体の検出に適したものであればよく、抗体としては、特に制限はないが、各種の病因、病態によってその存在量が変動する物質、例えば、病原菌や疾患特異的な分子マーカーに対する抗体が挙げられる。これら抗体の具体的な例としては、抗インフルエンザ抗体、抗AFP抗体、抗CRP抗体、抗インスリン抗体、抗BNP抗体などが挙げられる。なお、抗体としては、免疫グロブリン分子自体の他、例えば、F(ab’)のような断片であってもよい。さらに抗体としてはポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のどちらを用いてもかまわないし、その製造方法も制限はない。
上記高分子微粒子に検出対象物質と特異的に反応する物質を固定化(感作)させる方法としては、物理的な吸着方法であれば、特に限定されず、従来公知の方法により固定化させればよい。
また、固定化後には、必要に応じてウシ血清アルブミン(BSA)などでブロック処理を施し、適当な緩衝液に分散して感作高分子微粒子分散液を作製することができる。この感作高分子微粒子分散液に、測定に用いる緩衝液及び標準物質などを組み合わせて、粒子免疫比濁法用試薬(キット)として用いることができる。
本発明の高分子微粒子は、ブロック処理を行わない場合も良好な測定結果を得ることができるが、検出対象の物質によっては粒子表面に吸着しやすい場合も考えられるため、必要に応じてブロック処理を行うこともできる。ブロック処理剤としては例えば、ウシ血清アルブミン、スキムミルク、フィッシュゼラチン、界面活性剤等、公知の物質を選択することができる。このうち、好適にはウシ血清アルブミンが用いられる。
また、上記物質を用いた際のブロック処理時間、加温条件、濃度等は、ブロック処理対象の物質、粒子表面状態等に応じて、適宜選択されることが望ましい。
上記検出対象物質と特異的に反応する物質(結合部)が高分子微粒子に固定化される量は、用いられる被検物質と特異的に反応する物質の種類により異なり、特に限定されない。
検出対象物質と特異的に反応する物質の固定化量は、例えば、粒子と、検出対象と特異的に反応する物質とを混合し、粒子に検出対象と特異的に反応する物質の固定化を行った後、遠心分離を行い、粒子に固定化されずに上清中に残存する検出対象物質と特異的に反応する物質の量を測定することなどにより求めることができる。
抗原や抗体などを固定化する上記高分子微粒子を含む測定試薬を使用するにあたっては、測定感度の向上や抗原抗体反応の促進のために種々の増感剤を含有してもよい。上記増感剤としては、メチルセルロース、エチルセルロースなどのアルキル化多糖類、プルラン、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
本発明の高分子微粒子を用いることで、高度に非特異的反応が抑制されるが、検体中に存在する他の物質により引き起こされる非特異的反応をさらに抑制するため、又は、試薬の保存安定性を高めるために、アルブミン(ウシ血清アルブミン、卵性アルブミン)、カゼイン、ゼラチンなどのタンパク質やその分解物あるいはペプチド、アミノ酸又は界面活性剤など高分子微粒子を使用した免疫学的測定方法、試薬の分野で公知の成分を含有してもよい。
また、検出対象物質は、適当な希釈液で希釈してもよい。上記希釈液としてはpH5.0〜9.0の緩衝液であればどのようなものでも用いることができ、たとえば、リン酸緩衝液、グリシン緩衝液、トリス緩衝液、ホウ酸緩衝液、クエン酸緩衝液などが挙げられる。
本発明の抗原や抗体などを固定化する上記高分子微粒子を含む測定試薬を用いれば、検体中の検出対象物質と、高分子微粒子に固定化された検出対象物質に特異的に反応する物質との反応により生じる高分子微粒子の凝集の度合いを光学的に測定することにより、検体中の検出対象物質の反応量を測定することができる。上記光学的測定には、散乱光強度、透過光強度、吸光度などを検出できる光学機器、またはこれらの検出方法を複数備えた光学機器などに代表される一般の臨床検査用機器であればいずれも使用することができる。
上記凝集の度合いを光学的に測定する方法としては従来公知の方法が用いられ、例えば、凝集の形成を濁度の増加としてとらえる比濁法、凝集の形成を粒度分布又は平均粒径の変化としてとらえる方法、凝集の形成による前方散乱光の変化を積分球を用いて測定し透過光強度との比を比較する積分球濁度法などが挙げられる。
また、凝集度合いの変化量の測定法としては、例えば、異なる時点で少なくとも2つの測定値を得、これらの時点間における測定値の増加分(増加速度)に基づき凝集の程度を求める速度試験(レートアッセイ)、ある時点(通常は反応の終点と考えられる時点)で1つの測定値を得、この測定値に基づき凝集の程度を求める終点試験(エンドポイントアッセイ)などが挙げられる。なかでも、測定の簡便性、迅速性の点から比濁法による終点試験が好適である。
上記では、粒子免疫比濁法について説明してきたが、本発明の高分子微粒子は、色素や金属を微粒子に含有、結合、被覆などすることにより、ラテラルフロー法やイムノクロマト法などのメンブレンイムノアッセイ法にも使用することができる。
なお本明細書において「粒子免疫測定法」の語を使用する場合には、粒子免疫比濁法とメンブレンイムノアッセイ法の両方を含んでいる。また、本明細書において、上記色素や金属を含有、結合、被覆などした本発明の高分子微粒子を、本発明の複合粒子ということがある。
本発明の高分子微粒子に色素や金属を含有、結合、被覆させる方法としては、特開2010−185023に記載の方法をはじめ、従来公知の方法を適宜に選択し、改変したり、組み合わせたりして使用することができる。得られた本発明の複合粒子は、これも従来公知の方法により、メンブレンイムノアッセイ法用の試薬調製及び測定方法に使用することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。なお、得られた高分子微粒子の数平均粒子径は下記のようにして測定した。
高分子微粒子を常法に従ってコロジオン膜状に載せ、透過型電子顕微鏡(TEM)により粒子画像を撮影し、画像上の粒子径(100個)を計測することにより数平均粒子径及び標準偏差を求めた。
[比較例1]
(a)ポリスチレンを主成分とする高分子粒子(ポリスチレン粒子)の製造
攪拌機、還流用冷却器、温度検出器、窒素導入管及びジャケットを備えたガラス製反応容器(容量2L)に、蒸留水1500g、スチレン280g、スチレンスルホン酸ナトリウム5g及び、蒸留水10gに過硫酸カリウム0.5gを溶解した水溶液とを仕込み、容器内を窒素ガスで置換した後、70℃で攪拌しながら24時間重合した。重合終了後、上記溶液をろ紙にてろ過処理し、ポリスチレン粒子を取り出した。その後、透析膜にて48時間透析処理を行い、精製されたポリスチレン粒子を得た。得られた高分子微粒子の粒径は、215nm(CV16.1%)であった。
[参考例1]
<ミクロ相分離構造を有する高分子微粒子の製造>
(a)ブロック共重合体
ポリスチレン−ポリイソプレン(SI)ジブロック共重合体[Mn:ポリスチレン(17,800)−b−ポリイソプレン(12,000);Mw/Mn=1.02;PolymerSource, Inc.社製造]を使用した。
(b)高分子微粒子の製造
上記SIジブロック共重合体をテトラヒドロフラン(THF)溶液(安定剤含有、和光純薬工業製、EP級)中に溶解させて、0.1g/Lの濃度のTHF溶液を調製した。このTHF溶液を、THF溶液:ミリQ水=1:2となるように混合した。その後、常圧・室温で放置し、良溶媒であるTHFを完全に蒸発させて、高分子微粒子分散溶液を得た。上記溶液をろ紙にてろ過し、得られた高分子微粒子を取り出した。その後、透析膜にて48時間透析処理を行い、精製された高分子微粒子を得た。得られた高分子微粒子の粒径は、400nm(CV40.3%)であった。
(c)高分子微粒子の構造
得られたSIジブロック共重合体から構成される高分子微粒子に対して、ポリイソプレンブロックから構成されるセグメントのみに選択的に反応する四酸化オスミウムによって染色を行った後、高感度YAG反射電子検出器を取り付けたFE−SEM(S−4800、株式会社日立ハイテクノロジー社製)による観察を行った。図3は反射電子像であり、白色部にオスミウムが存在していることを示している。この高分子微粒子の表面には、ラメラ状の周期的なミクロ相分離構造が形成されていることが確認された。
[実施例1]
<本発明のミクロ相分離構造を有する高分子微粒子の製造>
(a)ブロック共重合体
ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン(SIS)トリブロック共重合体[D1114P、Mn:ポリスチレン(8000)−b−ポリイソプレン(26000)-b-ポリスチレン(5000);Mw/Mn=1.04;Polymer Source,Inc.社製造]を使用した。
(b)高分子微粒子の製造
上記SISトリブロック共重合体1.0gを酢酸エチル10mL中に溶解させてポリマー溶液を得た。このポリマー溶液を50mLの水に加え、超音波ホモジナイザーを用いて乳化分散させた。得られた乳化液を減圧装置付き反応器で50℃、6時間、0.1MPaの条件で加熱及び減圧して酢酸エチルを除去することにより、高分子微粒子分散液を得た。得られた高分子微粒子を水中で繰り返し遠心分離することで、微粒を取り除いた。得られた溶液をろ紙にてろ過し、得られた高分子微粒子を取り出した。その後、透析膜にて48時間透析処理を行い、精製された高分子微粒子を得た。得られた高分子微粒子の粒子径は、210nm(CV18.9%)であった。
(c)高分子微粒子の構造
得られたSISトリブロック共重合体から構成される高分子微粒子に対して、ポリイソプレンブロックから構成されるセグメントのみに選択的に反応する四酸化オスミウムによって染色を行った後、高感度YAG反射電子検出器を取り付けたFE−SEM(S−4800、株式会社日立ハイテクノロジー社製)による観察を行った。図1は反射電子像であり、白色部にオスミウムが存在していることを示している。本発明の高分子微粒子の表面には、海島状のミクロ相分離構造が形成されていることが確認された。
[実施例2]
<本発明のミクロ相分離構造を有する高分子微粒子の製造>
(a-2)モノマー
検出対象物質との結合部を有するモノマーとしてスチレン[和光純薬株式会社製]、検出対象物質との結合部を有していないモノマーとしてt-ブチルメタクリレート[和光純薬株式会社製]を使用した。
(b-2)高分子微粒子の製造
攪拌機、還流用冷却器、温度検出器、窒素導入管及びジャケットを備えたガラス製反応容器(容量50mL)に、蒸留水12g、エタノール8g、t-ブチルメタクリレート1.4g、S-ドデシル-S'-(α,α’-ジメチル-α’’-酢酸)トリチオカルボナート0.0036g、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.00012gを仕込み、容器内を窒素ガスで置換した後、80℃で攪拌しながら48時間重合した。その後、スチレン1.0gを加え、さらに80℃で攪拌しながら48時間重合した。重合終了後、テトラヒドロフランを10ml加え粒子を膨潤させた後、室温にて24時間攪拌することにより、THFを除去した。得られた溶液を遠心分離機にて固形分を回収し、水で繰り返し洗浄した後、透析膜にて48時間透析処理を行った。精製された相分離粒子を得た。得られた相分離粒子の粒径は、300nm(CV10.3%)であった。
(c−2)高分子微粒子の構造
得られたブロック共重合体から構成される高分子微粒子に対して、ポリt−ブチルメタクリレートブロックから構成されるセグメントのみに選択的に反応する四酸化ルテニウムによって染色を行った後、高感度YAG反射電子検出器を取り付けたFE−SEM(S−4800、株式会社日立ハイテクノロジー社製)による観察を行った。
上記のように実施例1、2の高分子微粒子は、従来の高分子微粒子に対して、臨床検査用として実用に供せる平均粒子径と変動係数であった。
[適用例]
本発明の高分子微粒子に、検出対象に応じた抗原や抗体を固定化して検出対象物質の測定試薬を調製し、汎用される臨床検査用の自動分析装置を用いて測定を行うことにより、粒子に固定化された抗原や抗体の制御状態を確認することができる。
用いた試薬及び材料は以下の通りである。
<試薬及び材料>
・抗Dダイマー抗体
・抗体固定化高分子微粒子調製用緩衝液:20mmol/L Tris−HCL(pH8.0)を用いた。
・ブロッキング用緩衝液:2%BSAを含む20mmol/L Tris−HCL(pH8.0)を用いた。
・検体希釈用緩衝液:0.15%BSAを含む30mmol/L Tris−HCL(pH8.5)を用いた。
<Dダイマー測定用試薬の調製>
実施例1及び比較例1で得られた高分子微粒子を遠心分離で精製した後、5%(w/v)となるよう抗体固定化高分子微粒子調製用緩衝液にて希釈して、希釈高分子微粒子液を調製した。
一方、抗Dダイマー抗体を濃度0.1mg/mLとなるよう抗体固定化高分子微粒子調製用緩衝液にて希釈して、希釈抗体溶液を調製した。
上記希釈高分子微粒子液1容量を攪拌しながら上記希釈抗体溶液1容量を添加・混合し、さらに攪拌した。その後、(1)抗体固定化高分子微粒子調製用緩衝液又は(2)ブロッキング用緩衝液2容量を追加添加し、攪拌を続けた。その後、これを回収し、抗体固定化高分子微粒子調製用緩衝液を用いて高分子微粒子の濃度が0.5%(w/v)となるように調整して、抗体固定化高分子微粒子分散液とした。ここで、(1)で調製されたものをブロッキングなし試験用、(2)で調製されたものをブロッキングあり試験用という。
当該抗体固定化高分子微粒子分散液を用い、Dダイマー抗原標準液にて検量線を作成した。
装置:日立 7170型自動分析装置
使用波長:570/800nm、測定温度:37℃
被検査物質(0〜60μg/mLのDダイマー標準液):12μL
第1試薬(0.15%BSAを含む30mmol/L Tris−HCL(pH8.5)):100μL
第2試薬(抗体固定化高分子微粒子(0.5%(w/v))分散液):100μL
測光ポイント:18−34
[測定例1]
実施例1及び比較例1の抗体固定化高分子微粒子(0.5%(w/v))分散液(ブロッキングなし試験用とブロッキングあり試験用)を用いて、上記測定方法に従い測定し、検量線を作成した。実施例1の高分子微粒子を用いた場合は、ブロッキングの有無によらずバックグラウンド凝集がわずかであり、かつ高感度の測定が可能であった。一方、比較例1の高分子微粒子を用いた場合は、実施例1に比較してバックグラウンド凝集が高く、実質的な感度は得られなかった。以上の結果より、本発明の高分子微粒子はブロッキング処理なしでもSN比に優れ、粒子免疫測定法などに有用であることが示された。
Figure 0006293983
本発明の粒子免疫測定法用高分子微粒子は、抗原抗体反応を利用した免疫測定法、なかでも高分子微粒子を用いた粒子免疫比濁法に用いることができる。

Claims (10)

  1. 2種類以上のセグメントを有するブロック共重合体から構成される高分子微粒子であって、
    上記高分子微粒子が、上記高分子微粒子自体により形成された、検出対象物質との結合部を備える結合相と検出対象物質に対する非結合相からなるミクロ相分離構造を上記高分子微粒子の表面に有し、かつ、
    数平均粒子径が50nm〜1000nmであり、かつ、
    変動係数が20%未満であり、
    但し、粒子の表面にマルチブロックビニルポリマーが結合したポリマー粒子は除かれる、ことを特徴とする高分子微粒子。
  2. 2種類以上のセグメントを有するブロック共重合体から構成される高分子微粒子であって、
    上記高分子微粒子が、上記高分子微粒子自体により形成された、検出対象物質との結合部を備える結合相と検出対象物質に対する非結合相からなるミクロ相分離構造を上記高分子微粒子の表面に有し、かつ、
    数平均粒子径が50nm〜1000nmであり、かつ、
    変動係数が20%未満である、ことを特徴とする高分子微粒子。
  3. 上記ミクロ相分離構造が、海島状又はラメラ状のミクロ相分離構造である、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高分子微粒子。
  4. 上記2種類以上のセグメントを有するブロック共重合体が、A-B-A構造を有するトリブロック共重合体であり、
    上記結合相を形成するセグメントが、上記検出対象物質を電気的相互作用により吸着するモノマーであり、
    上記非結合相を形成するセグメントが、化学結合部位を持たず、かつ、極性が高いあるいは低いモノマーである、ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の高分子微粒子。
  5. 上記2種類以上のセグメントを有するブロック共重合体が、A-B-A構造を有するトリブロック共重合体であり、
    上記結合相を形成するセグメントが、スチレン、ビニルナフタレン、多官能ビニルベンゼン又はそれらの誘導体からなる群から選択される1つのモノマーであり、
    上記非結合相を形成するセグメントが、メタクリル酸メチル、イソプレン、ブタジエン、アクリル酸メチル、エチレン、ブチレン、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルアクリレ−ト、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレ−ト、ジシクロペンタニルアクリレ−トからなる群から選択される1つのモノマーである、ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の高分子微粒子。
  6. 上記A-B-A構造を有するトリブロック共重合体が、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)トリブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、イソプレン−スチレン−イソプレントリブロック共重合体、ブタジエン−スチレン−ブタジエントリブロック共重合体からなる群から選択される1つである、ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の高分子微粒子。
  7. 上記結合相と上記非結合相の比(上記結合相/上記非結合相)が、10/90〜40/60である、ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の高分子微粒子。
  8. 前記高分子微粒子は、粒子免疫測定用である、ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の高分子微粒子。
  9. 請求項1から請求項のいずれか1項に記載の高分子微粒子を使用する、ことを特徴とする粒子免疫測定法用試薬。
  10. 請求項に記載の粒子免疫測定法用試薬を使用する、ことを特徴とする粒子免疫測定方法。
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