JP7034089B2 - 着色ラテックス粒子及びそれを用いた免疫測定法用試薬 - Google Patents

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Description

本発明は、着色ラテックス粒子及びそれを用いた免疫測定法用試薬に関する。
臨床検査の分野において検体中の微量物質を測定する方法として、抗原抗体反応を利用した免疫測定法が広く行われている。免疫測定法に区分される各種方法は、測定原理が抗原抗体反応(免疫反応)に基づくという共通点はあるが、その検出方法によって多岐に分類される。各種免疫測定法の例としては、ラテックス免疫比濁法等に代表される免疫凝集法、放射免疫測定法、酵素免疫測定法、イムノクロマトグラフ法、フロースルーメンブレンイムノアッセイ法などが挙げられる。
これら各種免疫測定法のうち、免疫反応とクロマトグラフィーの原理を併せ持つイムノクロマトグラフ法が、簡易迅速検査法として臨床検査などの領域で広く用いられている。イムノクロマトグラフ法について、被検出物質を抗原とするサンドイッチ法を例に説明すると以下である。被検出物質と結合する抗体により感作された粒子(以下、感作粒子ということがある)と被検出物質を混合して被検出物質と感作粒子の複合体を形成させ、これを被検出物質と結合する抗体が固定化されたクロマトグラフ媒体(以下、固定相ということがある)上を移動させて固定化された抗体に捕捉させて感作粒子-被検出物質-固定化抗体の三元複合体(サンドイッチ)を形成させ、当該三元複合体を検出する測定法である。前述したように、被検出物質と感作粒子の複合体は固定相に固定化された抗体と結合して捕捉され、クロマトグラフ媒体上の固定化された抗体の位置に集積するため、当該位置における感作粒子の集積度合いを観察することで被検出物質の存在の有無を目視判定することが出来る。
上記のイムノクロマトグラフ法を含む免疫測定法において、被検出物質の検出に用いる粒子としては目視判定を容易にするため、着色された粒子(以下、着色粒子ということがある)が使用されることがある。この着色粒子の例としては、その粒子径(以下、粒径ということがある)及び調製条件によって自然呈色するコロイド状金属粒子もしくはコロイド状金属酸化物粒子などのコロイド状粒子や、高分子化合物(ポリマー)系ラテックス粒子を着色してなる、もしくは反応性色素(染料)とモノマー由来の官能基とを化学結合させてなる着色粒子等が挙げられる。しかしながら、上記コロイド状粒子は、(1)その粒子径及び調製条件によって色調が決定してしまうため、所望の鮮明な濃い色調のものを得にくく、(2)平均粒径の変動係数(以下、CV値ということがある)が大きく粒子のサイズが不揃いであるため、メンブレンフィルターのようなクロマトグラフ媒体の細孔内への目詰まりを起こす場合や、固定相への捕捉不良などが生じることから測定結果の再現性が悪い、という問題があった。
所望の鮮明な濃い色調の粒子を得るための手段として、いくつかの技術が提案されている。例えば、特許文献1には、平均粒径が10nm~1000nmであり、発色強度が1.0~5.0であるセルロース由来の有機着色微粒子が開示されている。この微粒子は表面に大量の水酸基を有するため、多くの反応性色素を当該水酸基との化学結合(共有結合)により担持することができるので、色素含有量を高めることができる。しかし、上述のコロイド粒子と同様に平均粒径のCV値が大きくなることから、メンブレンフィルターのようなクロマトグラフ媒体の細孔内への目詰まりや、固定相への捕捉不良などをおこし測定結果の再現性は低かった。また、大量の水酸基を有することにより粒子表面が親水性となるため、含有(結合)させる色素の疎水性によって粒子表面に疎水性を与え、抗原又は抗体の粒子表面への物理吸着を可能にしているが、色素含有(結合)量のばらつき等に起因して抗原又は抗体の表面への物理吸着量もばらつくことになる。このため、抗原又は抗体を粒子に安定して担持させる方法は、実質的に特定の化学結合のみに限られることとなり、使い勝手の面においても改善すべき課題があった。また色素の含有(結合)量を高めるためには、着色工程を繰り返す必要があり、製造作業が煩雑となる課題もあった。これらの事情より、平均粒径のCV値、抗原又は抗体の表面への担持方法、色素の高含有化のいずれにも課題があるセルロース系粒子を使うよりは、平均粒径のCV値が小さく、使い勝手も良好な、高分子化合物系粒子において、色素含有量を高めることが求められていた。
一方、高分子化合物系の着色粒子として、例えば特許文献2には、平均粒径のCV値が10%以下であり、平均粒径0.05~3.0μm、平均比重1.02~3.0である、ポリスチレン等の高分子化合物よりなる着色ラテックス粒子が開示されているが、有機溶媒中でラテックス粒子の染色をするため、ラテックス粒子が不溶で、かつ色素が可溶の溶媒を選択したり、又はラテックス粒子に溶剤耐性を付与する必要がある一方、着色されたラテックス粒子の色素含有率は15.6%以下と低く、免疫測定の際に目視判定性や検出感度が低いという問題があった。
最近、着色した樹脂からの染料の溶出を抑制できる染料として重合性染料が報告された(非特許文献1)。該重合性染料は、染料骨格にラジカル重合性基を導入したもので、重合性の単量体(モノマー)と共重合することにより、得られる樹脂(共重合体:ポリマー)に染料を導入することができるとされている。また、電気泳動デバイスのための、重合性色素により着色されたポリマー粒子も報告されているが、重合性色素の含有率は最大でも30%との記載があるのみである(特許文献3)。このように、重合性色素を高度に含有(例えば40%以上)する着色粒子は報告されておらず、さらに、免疫測定法用試薬、特にイムノクロマトグラフ用の標識粒子として用いた報告はいまだない。
国際公開第2011/062157パンフレット 特開平10-206428号公報 特表2012-517486号公報
和光純薬工業株式会社ホームページ http://www.wako-chem.co.jp/kaseihin/rdw/ http://www.wako-chem.co.jp/gaiyo/report/report02_02.htm
本発明は、高分子化合物系粒子でありながら高い色素含有量を有し、粒子分散度が低く(平均粒径のCV値が小さく)使い勝手も良好な、着色ラテックス粒子及びそれを用いた免疫測定法用試薬を提供することを目的とする。
本発明は以下の内容に関する。
[1]着色ラテックス粒子であって、ラジカル重合性色素と高分子化合物とを含有し、粒子重量当りの前記色素の含有率が40%以上98%以下であり、平均粒径が0.05μm~3.0μmであり、平均粒径のCV値が20%以下である着色ラテックス粒子。
[2]高分子化合物含有率が2%以上である[1]に記載の着色ラテックス粒子。
[3]高分子化合物が、共重合体であり、共重合体がモノマーとして少なくともスチレンを含む[1]または[2]に記載の着色ラテックス粒子。
[4]高分子化合物が、スチレンおよびスチレンスルホン酸塩、親水性カルボキシモノマーからなる[1]~[3]のいずれかに記載の着色ラテックス粒子。
[5]着色ラテックス粒子が抗原または抗体を担持しており、粒子あたりの抗原の担持率が30%以上、または、抗体の担持率が30%以上である[1]~[4]のいずれかに記載の着色ラテックス粒子。
[6]着色ラテックス粒子が抗原または抗体を物理吸着または化学結合により担持している[5]記載の着色ラテックス粒子。
[7][1]~[6]のいずれかに記載の着色ラテックス粒子を用いる免疫測定法用試薬。
本発明によれば、高分子化合物系粒子でありながら高い色素含有率を有し、粒子分散度が低く(平均粒径のCV値が小さく)、使い勝手も良好な、着色ラテックス粒子及びそれを用いた免疫測定法用試薬が提供される。
図1Aは重合性色素モノマーの具体例を示す。 図1Bは重合性色素モノマーの具体例を示す。 図1Cは重合性色素モノマーの具体例を示す。 図1Dは重合性色素モノマーの具体例を示す。
以下に、実施形態を挙げて本発明の説明を行うが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
[着色ラテックス粒子]
本発明者は、高分子化合物系粒子でありながら、例えばソープフリー乳化重合法やシード重合法等の方法を用い、水中でラテックス粒子を着色することで、平均粒径のCV値が20%以下であり、かつ色素含有率が40%以上の着色ラテックスが得られることを知見した。
即ち本発明は、着色ラテックス粒子であって、ラジカル重合性色素と高分子化合物とを含有し、粒子重量あたりの前記色素の含有率が40%以上98%以下であり、平均粒径が0.05μm~3.0μmであり、平均粒径のCV値が20%以下である着色ラテックス粒子に関する。この着色ラテックス粒子は、高い色素含有率から免疫測定の際に目視判定性や検出感度に優れ、平均粒径のCV値が低いことから試薬測定結果の再現性も良好である。また、表面に疎水性高分子化合物のシェルを備えるため、抗原または抗体の担持性にも優れる。
高分子化合物としては特に限定はなく、例えば、ポリスチレン、スチレン-スチレンスルホン酸塩共重合体、メタクリル酸重合体、アクリル酸重合体、イタコン酸重合体、スチレン-親水性カルボキシモノマー共重合体:例えば、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-イタコン酸共重合体等が挙げられる。なかでも、スチレンホモ重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体もしくはスチレン-イタコン酸共重合体、スチレンおよびスチレンスルホン酸塩共重合体が好ましい。さらに、均一な粒度分布、優れた分散安定性を得る観点からは、スチレンホモ重合体、スチレンおよびスチレンスルホン酸塩共重合体、メタクリル酸などの親水性カルボキシルモノマーからなるポリマーが特に好ましい。
なお、各々のポリマー系ラテックス粒子の表面にスチレンスルホン酸が存在すると、スルホン酸基同士の静電的な反発力により、分散安定性に寄与する。また、分散安定性に寄与しつつ、抗体との化学結合部位となり得るため、粒子表面にカルボキシ基が存在することが好ましい。
スチレンスルホン酸塩の塩としては特に限定はなく、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、スチレンスルホン酸ナトリウムが好ましく用いられる。本発明に使用される親水性カルボキシルモノマーとしては、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などを用いることができる。好ましくは、メタクリル酸、アクリル酸を用いることができる。
高分子化合物の含有量(高分子化合物含有率)は、2%以上が好ましく、5%以上がより好ましい。上記下限値より高分子化合物の含有量が低くなると、粒子の形状を維持し、また色素の溶出を防止することが困難になるからである。また、後述のようにタンパク担持量をコントロールする観点からも、上記範囲とすることが好ましい。なお、色素の含有量を高める観点から、60%以下が好ましい。また、高分子化合物含有率は、後述する式(1)の色素含有率(%)を用いて、次式により算出される。
高分子化合物含有率(%)=100(%)- 色素含有率(%)
上記粒子の平均粒径に特に限定はなく、診断薬用着色ラテックス粒子として使用できればいかなる平均粒径でもよい。なかでもクロマトグラフィーで展開されれば特段問題はないが、小径な粒子を使用すると、充分な検出感度が得られないことがあるため、平均粒径0.05μm~3.0μmが好ましく、0.1μm~1μmがより好ましい。
なお、「平均粒径(粒子径)」は、任意の粒子500個を透過電子顕微鏡(TEM)にて観察計測し、粒子径の平均値を算出することにより求めることができる。
上記粒子の平均粒径の変動係数(CV値)は、試薬測定結果の再現性を良好なものとするため、20%以下のものに限られる。20%を超えると、試薬調製時のロット再現性が悪く、測定結果の再現性が低下することがある。当該平均粒径の変動係数(CV値)は小さいほどロット再現性、測定結果の再現性が向上するので、より好ましくは18%以下であり、さらに好ましくは17%以下であり、またさらに好ましくは16%以下であり、特に好ましくは15%以下である。なお、上記粒子径の変動係数は、透過電子顕微鏡(TEM)画像より得られた500個以上の粒子について、それぞれ粒子径を測定し、その平均値(平均粒径)、標準偏差から次の式により算出される。
平均粒径の変動係数(CV値)(%)=(測定した粒子の粒径の標準偏差/測定した粒子の粒径の平均値)×100
高分子化合物系粒子の懸濁液を調製する方法としては特に限定されず、公知の方法を用いることができるが、乳化剤(界面活性剤)を使用しないソープフリー乳化重合法が好ましい。このソープフリー乳化重合法に用いられる重合開始剤としては過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどが挙げられるが、好ましくは過硫酸カリウムが良い。本発明では、反応容器にイオン交換水、例えば、モノマー、重合開始剤を仕込み、攪拌しながら反応容器内を窒素置換した後、65℃~80℃で24~42時間反応を行うことにより製造することができる。得られた粒子は均一な粒度分布(すなわちCV値が小さい)、および優れた分散安定性を有する。
本発明の着色ラテックス粒子において、着色が完成した着色ラテックス粒子に含有される色素量を下記式(1)の色素含有率(%)で定義する。この色素含有率が40%以上であることが重要である。色素含有率が40%未満であると、測定試薬としたとき、満足する目視判定や検出感度が得られないからである。好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上である。なお、ラジカル重合性色素の含有量の上限は、特に制限されないが、98%である。
色素含有率(%)=ラジカル重合性色素量(g)/{ラジカル重合性色素量(g)+ラテックス乾燥質量(g)}×100・・・(1)
ここで、実際の色素含有率は次のようにして算出する。色素溶液の吸収スペクトルを測定し、色素の最大吸収波長を測定しておく。色素と着色前の粉体化したラテックス粒子粉体を任意の割合で有機溶媒に溶解し、色素の最大吸収波長での吸光度を測定する。色素濃度と吸光度測定値から検量線が作成できる。作製した着色ラテックスを粉体化して秤量し、有機溶媒に溶解させて最大吸収波長での吸光度を測定することで着色ラテックス粒子に含まれる色素量を検量線から算出し色素含有率とする。
ラジカル重合性色素としては、疎水性有機溶媒に可溶なラジカル重合性色素を用いることができる。疎水性有機溶媒に溶解させたラジカル重合性色素を、水中に液滴として存在させると、水中に微量に溶け出した色素溶液が高分子化合物系粒子に浸透し、粒子は膨潤されていく。すなわち、水中で粒子合成及び着色工程を行なうことで、より親水性の高い高分子化合物組成が粒子外側に分布し、より疎水性の高い色素成分が粒子内部に取り込まれ易くなる。溶媒の選択が必要な従来の着色法と異なり、使用する高分子化合物系粒子は水中に分散した状態なので、粒子への溶剤耐性の付与が不必要となり、高濃度な着色が可能となる。疎水性有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、塩化メチレンなどがある。なお、本明細書において、「色素」の語は、「染料」の概念を含み、「着色」の語は「染色」の概念を含んでいる。従って、本発明に使用できるラジカル重合性色素は、その販売名の如何等により左右されることはない。
ラジカル重合性色素としては、ラジカル重合性基を有する色素を用いることができる。ラジカル重合性とスチレンなどの重合性の単量体とを混合してラジカル重合性色素と重合性単量体の共重合体の粒子を作製することもできるが、上述のように水中で粒子とラジカル重合性色素を共存させることで、ラテックス粒子内において、ラジカル重合性色素の重合性基が重合し、色素の重合体を形成することで、粒子からの色素の溶出を防止することができ、また量論的に粒子を着色させることが可能となるため、着色ラテックス粒子の発色強度を高く維持すると共に発色強度を制御でき、また、粒子の分散度を低く抑えることができる。
具体的には、和光純薬工業株式会社から「重合性染料RDWシリーズ」として販売されている、重合性基としてメタクリル基を有するモノマーと色素の共重合体を用いることができる。より具体的には、RDW-R13(染料骨格:キサンテン系。色:紫。最大吸収波長:559nm)、RDW-R60(染料骨格:キサンテン系。色:赤。最大吸収波長:499nm)、RDW-Y03(染料骨格:シアニン系。色:黄。最大吸収波長:419nm)、RDW-G01(染料骨格:トリアリールメタン系。色:緑。最大吸収波長:643nm)、RDW-B01(染料骨格:トリアリールメタン系。色:青。最大吸収波長:624nm)、RDW-K01(染料骨格:キサンテン系。色:黒。最大吸収波長:600nm)、RDW-R56(染料骨格:キサンテン系。色:濃赤。最大吸収波長:524nm)を好適に用いることができる。
その他にも、接着の技術誌;Vol.33、No.3、p52(2013)や特許文献3に記載されている、ソルベントレッド49-VBC(SR49-VBC)、スダンIV-MOI(SudanIV-MOI)、ディスパースレッド-MOI(DR-MOI)、ソルベントブルー5-MOI(SB5-MOI)、インディゴ(Indigo-MOI)、メチレンブルー-VBC(MB-VBC)、ディスパースイエロー7-MOI(DY7-MOI)、ソルベントイエロー29-MOI(SY20-MOI)、4-ジエチルアミノアゾベンゼン-VBC(DAAB-VBC)等、MOI基、VBC基を有する重合性色素の単量体、ディスパースレッド1(メタ)アクリレート、ディスパースレッド13(メタ)アクリレート、ディスパースイエロー7(メタ)アクリレート等、(メタ)アクリル基を有する重合性色素の単量体、ディスパースオレンジ3(メタ)アクリルアミド等、(メタ)アクリルアミド基を有する重合性色素の単量体、特許文献3の表中15~29の構造を持つモノマー(図1A~図1D参照、なお、図中、Meはメチル基、Etはエチル基を示す。)を用いることができる。なお、本明細書において(メタ)アクリレートとは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリルアミドとは、アクリルアミド又はメタクリルアミドを意味する。
ラテックス粒子を診断薬用途に適用するには、粒子表面に抗原・抗体等のタンパク質を担持できることが必要である。ラテックス粒子のタンパク担持能は、粒子の表面状態に依存する。例えば、高分子化合物にスチレンを用いた場合、ラテックス粒子表面はスチレンで構成され、任意のタンパク質を、疎水性相互作用を用いて吸着させることが出来る(物理吸着)。このときの吸着量は、スチレンの含有量が高いほうが吸着しやすい。また、高分子化合物に親水性カルボキシ基を有するモノマー(親水性カルボキシモノマーともいう)を用いた場合、タンパク質を化学結合させることが出来、その結合量は親水性カルボキシモノマー量が高いほど多くなる。タンパク担持率は、適当なタンパク質を用いて、物理吸着処理前後で粒子に吸着された(または吸着されなかった)タンパク質の量を測定したり、化学結合処理前後で粒子に結合した(または結合しなかった)タンパク質の量を測定することにより求めることができる。以下、物理吸着によりタンパク質を粒子に担持させる場合を例にタンパク担持率(%)の算出方法を説明する。なお、本明細書においては、物理吸着によるタンパク吸着率と、化学結合によるタンパク結合率を総称してタンパク担持率と表記している。
(1)着色ラテックス粒子懸濁液と任意のタンパク質溶液を混合し、穏やかに混和させながら粒子にタンパク質を吸着させる。
(2)上記混合液に適当な電解質水溶液を加え、塩析により粒子のみを凝集沈降させた後、濾紙により混合液から粒子を除去する。
(3)濾液および上記タンパク質溶液それぞれの280nmでの吸光度を測定し、液量補正をした上で、下記の式に従ってタンパク担持率を算出する。
担持率(%)={1-(濾液の吸光度/タンパク質溶液(ラテックス未添加)の吸光度)}×100
上記タンパク担持率は、30%以上が好ましく、より好ましくは40%以上である。上記タンパク担持率が30%未満であると、抗体抗原反応が十分に行われない為、免疫測定時の目視判定性や検出感度が低下する恐れがある。
[着色ラテックス粒子の製造方法]
ラジカル重合性色素を含有する着色ラテックス粒子の製造方法としては特に限定はされず、懸濁重合法、乳化重合法、ソープフリー重合法、シード重合法、分散重合法等の従来公知の重合法が挙げられ、いずれの重合法であってもよいが、好ましくは水中で行なえ、均一粒子径の粒子を得ることが可能な、乳化重合法、ソープフリー重合法、シード重合法が良い。一例としては以下の方法が挙げられる。高分子化合物系粒子が分散した水中に疎水性有機溶剤に溶解した色素溶液を加えて攪拌し、油溶性色素分子をラテックス粒子内に包含させる。その後、加熱し疎水性有機溶剤を蒸発させ、着色ラテックス粒子を得る(シード重合法)。重合性色素(染料)の場合は、同時に油溶性のラジカル重合開始剤を共存させることで、色素を内包後、重合することができる。その他にも水中にスチレンと疎水性有機溶剤に溶解した色素溶液を加えて加熱・攪拌し、重合することで、着色ラテックス粒子を得てもよい(ソープフリー重合法)。
[着色ラテックス粒子の用途:免疫測定法用試薬]
本発明の着色ラテックス粒子は、表面に抗原(または抗体)を担持することにより、抗原-抗体反応を利用した酵素免疫測定法、蛍光免疫測定法、ラテックス凝集法、イムノクロマトグラフ法等の生物学的反応を利用した種々の方法に好適に用いることができる。
本発明によれば上述の着色ラテックス粒子を用いる免疫測定法用試薬(抗原または抗体を担持したラジカル重合性色素を含有する着色ラテックス粒子)が提供される。
上記着色ラテックス粒子の表面に抗原(または抗体)を担持させる方法としては特に限定はされず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、抗原(または抗体)を含む緩衝液中に着色ラテックス粒子を浸漬させ、一定温度で一定時間インキュベートするなどの物理吸着による担持方法や、化学結合を利用した担持方法があり、いずれも好適に使用できる。物理吸着による担持方法は、操作が簡便であり、着色ラテックス粒子のカルボキシ基と抗体分子中のアミノ基を架橋させて抗原(または抗体)を担持させる化学結合を利用した担持方法は、立体構造の変化により特性も変化する抗原(または抗体)の担持に好ましく使用される。
本発明によれば、充分に濃色な着色ラテックス粒子を作製できる。また、この着色ラテックス粒子を免疫測定法用試薬として使用した際に、目視判定性が格段に向上し、検出感度を向上させることができる。また平均粒径のCV値が低いことから、試薬調製時のロット再現性および測定結果の再現性が向上する。なお、本明細書では、本発明の利益を享受しやすいことから「目視判定」に主眼をおいた記載をしているが、機器による測定を排除する意図はなく、機器による測定においても適用可能であり、本発明の利益を享受できうることは当業者であれば当然に理解されることはいうまでも無い。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
[実施例1]
本発明の着色ラテックス粒子製造に用いるシード粒子を、ソープフリー乳化重合法により作製した。まず、反応容器にイオン交換水1200mL、ラテックスモノマーとして、スチレン120mL、を加え攪拌し、その後、反応容器内を窒素置換した。反応容器内の温度が70℃に達した後、3%(w/v)過硫酸カリウム水溶液13mLを滴下した。3%(w/v)過硫酸カリウム水溶液の滴下から24時間後、反応を停止し、濾過してシード粒子懸濁液を得た。
上記ソープフリー乳化重合法により得られたシード粒子は、透過型電子顕微鏡JEM-1010型(日本電子社製)により粒子径を測定した。その結果、平均粒径は254nm、粒子径のCV値は5.3%であった。
本発明の着色ラテックス粒子をシード重合法を用いて作製した。ラジカル重合性色素(RDW-R60)1.5g及び油溶性重合開始剤(過酸化ベンゾイル)0.01gを酢酸エチル70.0gに溶解させ、常温で一晩攪拌して濾過し、色素溶液を得た。この時、濾紙(孔径5μm)上には沈渣はなく、色素はすべて溶解していた。スチレンからなる上記ソープフリー乳化重合法により得られたシード粒子の懸濁液100.0gに上記色素溶液を混合し、常温で5時間攪拌することで上記シード粒子に色素を内包させた。その後70℃で10時間加熱攪拌を行い、ラジカル重合色素の重合及び酢酸エチルを蒸発除去することで、本発明の着色ラテックス粒子を得た。得られた着色ラテックス粒子は、透過型電子顕微鏡JEM-1010型(日本電子社製)により平均粒径を測定した。その結果、平均粒径は293nm、平均粒径のCV値は3.6%であった。
得られた着色ラテックス粒子の色素含有率(%)を算出した。着色ラテックス粒子を95℃で2時間加熱し、乾燥させた後、メノー乳鉢で擂りつぶし、均一な着色ラテックス粒子の粉体を得た。粉体を秤量し、トルエンに溶解させた。RDW-R60のλmax(499nm)で吸光度を測定し、RDW-R60、シード粒子の粉体をトルエンに溶解させて調製した希釈系列から作成した検量線により色素含有率(%)を算出したところ41%であった(表1参照)。
得られた着色ラテックス粒子のタンパク担持率(%)を算出した。着色ラテックス粒子懸濁液(0.03g/mL)1.0mLに、ウシ血清アルブミン溶液(0.05g/mL)0.05mLを混合し、4℃、3時間、穏やかに攪拌し、着色ラテックス粒子にウシ血清アルブミンを物理吸着により担持させた。当該混合液に、着色ラテックス粒子は凝集沈降させるが、ウシ血清アルブミンは凝集沈降させない電解質溶液(500mmol/Lリン酸緩衝液(pH7.4))6.0mLを添加混合し、着色ラテックス粒子のみを凝集沈降させた。当該電解質含有混合液を濾紙(孔径0.22μm)により濾過して、凝集した着色ラテックス粒子を除去し、濾液(7mL)を収集した。当該濾液及びウシ血清アルブミン溶液を電解質溶液で140倍希釈した着色ラテックス未添加ウシ血清アルブミン液(着色ラテックス未添加液)の280nmにおける吸光度をそれぞれ測定し、以下の式により着色ラテックス粒子のタンパク担持率(%)を算出した。
着色ラテックス粒子のタンパク担持率(%)={1-(濾液の吸光度/着色ラテックス未添加液の吸光度)}×100={1-(0.234/0.530)}×100。
着色ラテックス粒子のタンパク担持率の算出結果は、52.8%であった(表1参照)。
[実施例2]
本発明の着色ラテックス粒子製造に用いるシード粒子を、ソープフリー乳化重合法を用いて作製した。まず、反応容器にイオン交換水1200mL、ラテックスモノマーとして、スチレン120mL、メタクリル酸16mLを加え攪拌し、その後、反応容器内を窒素置換した。反応容器内の温度が70℃に達した後、3%(w/v)過硫酸カリウム水溶液13mLを滴下した。3%(w/v)過硫酸カリウム水溶液の滴下から24時間後、反応を停止し、濾過してシード粒子懸濁液を得た。実施例1と同様にして粒子径を測定したところ、平均粒径は276nm、粒子径のCV値は5.7%であった。
本発明の着色ラテックス粒子をシード重合法を用いて作製した。ラジカル重合性色素(ディスパースレッド1アクリレート)3.0g及び油溶性重合開始剤(過酸化ベンゾイル)0.01gを酢酸エチル100.0gに溶解させたこと(この時、濾紙上には沈渣はなく、色素はすべて溶解していた。)以外は、実施例1と同様に操作して着色ラテックス粒子を得た。また、実施例1と同様にして、色素含有率(%)を算出したところ73%であった(表1参照)。また、本実施例で得られた着色ラテックス粒子についてタンパク担持率(%)を測定したところ、48.3%であった(表1参照)。また、実施例1と同様にして粒子径を測定したところ、平均粒径は380nm、平均粒径のCV値は14.0%であった。
[実施例3]
ラジカル重合性色素(RDW-R60)2.5g及び油溶性重合開始剤(過酸化ベンゾイル)0.01gを酢酸エチル90.0gに溶解させたこと(この時、濾紙上には沈渣はなく、色素はすべて溶解していた。)以外は、実施例2と同様に操作し、ソープフリー重合法によりシード粒子にラジカル重合性色素を含有させ着色ラテックス粒子を得た。また、同様に、色素含有率(%)を算出し、平均粒径、平均粒径のCV値を測定した(表1参照)。
[実施例4]
ラジカル重合性色素(メチレンブルーVBC)2.5g及び油溶性重合開始剤(過酸化ベンゾイル)0.01gを酢酸エチル90.0gに溶解させたこと(この時、濾紙上には沈渣はなく、色素はすべて溶解していた。)以外は、実施例1と同様に着色ラテックス粒子を得た。また、同様に、色素含有率(%)を算出し、平均粒径、粒子径のCV値を測定した(表1参照)。
[実施例5]
ラジカル重合性色素(ソルベントレッド49-VBC)2.5g及び油溶性重合開始剤(過酸化ベンゾイル)0.01gを酢酸エチル150.0gに溶解させたこと(この時、濾紙上には沈渣はなく、色素はすべて溶解していた。)以外は、実施例2と同様に着色ラテックス粒子を得た。また、同様に、色素含有率(%)を算出し、平均粒径、平均粒径のCV値を測定した(表1参照)。
[実施例6]
ラジカル重合性色素(ディスパースレッドMOI)3.0g及び油溶性開始剤(過酸化ベンゾイル)0.01gを酢酸エチル100.0gに溶解させたこと(この時、濾紙上には沈渣はなく、色素はすべて溶解していた。)以外は、実施例2と同様に着色ラテックス粒子を得た。また、同様に、色素含有率(%)、タンパク担持率(%)を算出し、平均粒径、平均粒径のCV値を測定した(表1参照)。
[比較例1]
非重合性色素(ソルベントレッド197)0.5gを酢酸エチル40.0gに溶解させたこと(この時、濾紙上には沈渣はなく、色素はすべて溶解していた。)以外は、実施例2と同様に着色ラテックス粒子を得た。また、同様に、色素含有率(%)、タンパク担持率(%)を算出し、平均粒径、平均粒径のCV値を測定した(表1参照)。
[比較例2]
本検討の着色ラテックスは懸濁重合法を用いて作製した。まず、反応容器にイオン交換水1200mL、モノマーとして、スチレン120mL、油溶性重合開始剤(過酸化ベンゾイル)0.01g、分散剤としてポリビニルピロリドン0.5g、非重合性色素としてソルベントレッド197を1.5g加え、ホモジナイザー(分散機、IKAホモジナイザーULTRA-TURRAX)を用いて5分間攪拌し、乳化液を得た。70℃で10時間加熱を行い、反応を完了させ、その後、濾過してポリマー系ラテックス粒子懸濁液を得た。実施例1と同様にして粒子径を測定したところ、粒子径は532nm(CV値25.0%)であった。また、同様に、色素含有率(%)、タンパク担持率(%)を算出し、平均粒径、平均粒径のCV値を測定した(表1参照)。
[比較例3]
本検討で着色を施される有機微粒子は、セルロースをその良溶媒に溶解し、水、有機溶媒、アンモニア等を混合した凝固液を用いることで作製した。まず、セルロースリンターをセルロースの良溶媒(銅アンモニア溶液)に溶解し、凝固液(有機溶媒+水+アンモニア混合系)を攪拌しながら、上記銅アンモニアセルロース溶液を加えて凝固を行なった。さらに硫酸を加え中和し、再生を行なうことでセルロース粒子懸濁液を得た。
次に、反応性染料を用いてセルロース粒子の染色を行った。セルロース由来のものからなる微粒子は大量の水酸基を有するため、多くの反応性染料を共有結合により保持することができる。染色は特許第5788330号公報に記載の方法を使用した。色素含有率(%)、タンパク担持率(%)を算出し、平均粒径、平均粒径のCV値を測定した(表1参照)。
[比較例4]
本検討の色素粒子は懸濁重合法を用いて作製した。まず、反応容器にイオン交換水1200mL、油溶性色素(RDW-R60)2.5g及び油溶性開始剤(過酸化ベンゾイル)0.01gを酢酸エチル90.0gに溶解させた色素溶液、分散剤としてポリビニルピロリドン0.5gを加え、ホモジナイザー(分散機、IKAホモジナイザーULTRA-TURRAX)を用いて5分間攪拌し、乳化液を得た。70℃で10時間加熱を行い、有機溶媒の蒸発除去と重合反応を完了させ、その後、濾過してポリマー系ラテックス粒子懸濁液を得た。実施例1と同様にして粒子径を測定したところ、粒子径は712nm(CV値60.0%)であった。また、同様に、色素含有率(%)を算出し、平均粒径、粒子径のCV値を測定した(表1参照)。
得られた結果をまとめて表1に示す。
Figure 0007034089000001
[適用例]
<インフルエンザウィルス測定用イムノクロマトグラフ法試薬の作製>
1. 実施例1~6のラジカル重合性色素を含有する着色ラテックス粒子、比較例1、2の非重合性色素を含有する着色ラテックス粒子、比較例3の反応性染料を用いたセルロース由来有機微粒子、ラジカル重合性色素粒子の各々で標識された抗A型インフルエンザウィルス抗体の調製
(1)下記(i)から(iv)を準備し、(i)5mL、(ii)0.2mL及び(iii)0.8mLを混合して攪拌後、これに(iv)を4mL添加し、室温で2時間攪拌した。
(2)上記(1)で得られた溶液を13,000rpmで10分間遠心分離し、上清を除去後、10%スクロース含有2%ウシ血清アルブミン(BSA)水溶液を10mL添加し、さらに2時間攪拌後、13,000rpmで10分間遠心分離し、コンジュゲートを得た。
(3)上記(2)により得られたコンジュゲートに対し、10%スクロース含有2%BSA水溶液を10mL添加しコンジュゲートを懸濁させて、実施例1~6、比較例1,2の着色ラテックス粒子、比較例3の有機微粒子、比較例5,6の色素粒子、各々標識抗A型インフルエンザウィルス抗体を得た。
(i)2%各着色ラテックス粒子、色素粒子、有機微粒子を含む20mmol/LMES(pH6.5)緩衝液
(ii)20mmol/LMES(pH6.5)緩衝液
(iii)架橋剤1-エチル-3-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミド(EDC)15mg/mL
(iv)2.5mg/mL抗A型インフルエンザウィルスモノクロナール抗体を含む20m
mol/L MES(pH6.5)緩衝液試薬性能評価において、コンジュゲートの吸光度
の測定は、各粒子の色素の最大吸収波長で行った。
2.緑色着色ラテックス粒子標識KLH(カコ貝ヘモシアニン:Keyhole-limpet hemocyanin)の調製
(1)下記(i)から(iv)を準備し、(i)5mLに、(ii)1.4mL、(iii)1.6mLを加えて攪拌後、(iv)2mLを添加し、室温で2時間攪拌した。
(2)上記(1)で得られた溶液を13,000rpm10分間遠心分離し、上清を除去後、10%スクロース含有2%BSA水溶液を10mL添加し、さらに2時間後、13,000rpmで10分間遠心分離し、コンジュゲートを得た。
(3)上記(2)で得られたコンジュゲートに対し、10%スクロース含有2%BSA水溶液を10mL添加しコンジュゲートを懸濁させて、緑色着色ラテックス粒子標識KLHを得た。
(i)2%緑色着色ラテックス粒子を含む20mMMES(pH6.5)緩衝液
(ii)20mmol/LMES(pH6.5)緩衝液
(iii)架橋剤 EDC) 15mg/mL
(iv)0.5mg/mL KLHを含む20mmol/L MES(pH6.5)緩衝液
試薬性能評価において、コンジュゲートの吸光度の測定は、678nm(緑色着色ラテックス粒子の最大吸収波長)で測定した。
3.コンジュゲート塗布パッドの作製
上記1.および上記2.で調製したコンジュゲートを各色素含有粒子6.4OD/mL、
緑色6.5OD/mLとなるように、0.5%カゼイン及び10%スクロース含有トリス
緩衝液(pH8.5)と混合してコンジュゲート溶液を作製した。次に、22.0mm×254mm×0.56mm(幅×長さ×厚さ)のグラスファイバー製パッド(Lydall社製)にイムノクロマトグラフ法用のディスペンサー「XYZ3050」(BIO DOT社製)を用いて該コンジュゲート溶液を10μL/cmで滲みこませた。その後、ドライオーブン内で70℃、30分間加温して乾燥させ、コンジュゲート塗布パッドとした。
4.抗インフルエンザウィルス抗体固定化膜の作製
25.0mm×254mm×0.235mm(短辺×長辺×厚さ)のニトロセルロース膜(Sartorius社製)に、0.75mg/mLに調製した前記各色素含有粒子標識抗A型インフルエンザウィルス抗体とはエピトープを異にする抗A型インフルエンザウィルス抗体、0.75mg/mLに調製した抗KLH抗体、及び2.5%スクロースを含む10mMリン酸緩衝液(pH7.2)を、幅約1mmのライン状に塗布した。塗布は、イムノクロマトグラフ法用のディスペンサー「XYZ3050」(BIO DOT社製)を用い、吐出量を1uL/cmとなるように設定した。ライン塗布後のニトロセルロース膜をドライオーブン内で70℃、45分間乾燥させ、抗インフルエンザウィルス抗体固定化膜とした。
5.テストストリップの作製
プラスチック製粘着シートに上記抗インフルエンザウィルス抗体固定化膜を貼り、上記3.で作製したコンジュゲート塗布パッドを配置装着し、反対側の端には吸収パッド(Whatman社製、740-E)を配置装着した。最後に、抗体固定化膜および吸収パッドを被覆するように上面にポリエステルフィルムを配置装着し、ラミネートした。このように各構成要素を重ね合わせた構造物を4mm幅に切断し、テストストリップを作成した。該テストストリップの該寸は、4mm×98mm(幅×長さ)であり、イムノクロマトテストストリップの形態にした。
<試薬性能評価>
6.検体抽出液の調製
200mmol/L 塩化カリウム、150mmol/L L-アルギニン、0.5%Brij35、0.25%BSA、及び0.05%プロクリン(登録商標)950を含む50mMトリス緩衝液(pH8.5)を検体抽出液とした。
7.サンプルの調製
a.鼻腔吸引検体の場合
鼻腔吸引液に綿棒1本を浸し、検体をしみこませた綿棒を320uLのPBSへ入れて、検体成分をPBSへ溶解させて試薬性能評価のサンプルとした。
b.鼻腔拭い検体の場合
綿棒2本で鼻腔を拭い、綿棒を320uLのPBSへ溶解させて試薬性能評価のサンプルとした。
8.発色強度測定
サンプルに上記5.で作製したテストストリップを浸し、10分後にAライン、コントロールラインの発色強度を測定し、試薬性能評価とした。発色強度測定には、各色素、及び緑の発色見本から0.5を単位として1~5の数値をつけたカラーチャートを用い、n=3で測定し、その平均値を試薬性能評価値とした。色素含有率が40%以上の着色ラテックス粒子の場合、試薬性能評価値が3.5以上であるならば、イムノクロマトグラフ法において目視判定や検出感度に優れたものである。試薬性能評価値は好ましくは、4.0以上である。得られた結果を上述の表1に示す。
9.再現性評価
上記8.において、n=3で測定した各値について、すべて一致した場合:○○、最大値と最小値の幅(以下、誤差という)0.5以内の場合:○、誤差1以上の場合:×、誤差1.5以上の場合:××、として評価を行った。再現性が○以上であるならば試薬再現性が良好なものである。より好ましくは○○である。得られた結果を上述の表1に示す。
ラジカル重合性色素により着色した粒子を用いた実施例1~6および前記以外の粒子を用いた比較例1~4によれば、色素含有率が40%以上のラジカル重合性色素着色ラテックス粒子を用いた実施例1~6では、試薬性能評価値がすべて3.5以上であり、色素含有率40%未満(29%)の非重合性色素着色ラテックス粒子を用いた比較例1の試薬性能評価値2.0に比べて格段に優れていた。また、平均粒径のCV値20%以下のラジカル重合性色素着色ラテックス粒子を用いた実施例1~6の再現性は、すべて○以上であり、平均粒径のCV値が20%を超える非重合性色素着色ラテックス粒子または反応性染料有機微粒子をそれぞれ用いた比較例2、3の×又は××に比べて格段に優れていた。なお、比較例4は、製造途中で凝集してしまい色素粒子を得ることさえできなかった。
本発明の着色ラテックス粒子をイムノクロマトグラフ法等の免疫測定法の着色ラテックス粒子として使用した場合、目視判定性や検出感度に優れるため、疾患の早期診断、誤判断の防止に貢献する。また、測定感度が従来程度で足りる場合には、試薬調製に使用する抗体量を減少させることができ、コストダウンにもつながり有用である。

Claims (7)

  1. 着色ラテックス粒子であって、
    ラジカル重合性色素の重合体と高分子化合物とを含有し、
    粒子重量あたりの前記色素の含有率が40%以上98%以下であり、
    平均粒径が0.05μm~3.0μmであり、
    平均粒径のCV値が20%以下であることを特徴とする着色ラテックス粒子。
  2. 高分子化合物含有率が2%以上であることを特徴とする請求項1記載の着色ラテックス粒子。
  3. 前記高分子化合物が、共重合体であり、
    前記共重合体がモノマーとして少なくともスチレンを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の着色ラテックス粒子。
  4. 前記高分子化合物が、スチレンおよびスチレンスルホン酸塩、親水性カルボキシモノマーからなることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の着色ラテックス粒子。
  5. 着色ラテックス粒子が抗原または抗体を担持しており、
    粒子あたりの前記抗原の担持率が30%以上、または、前記抗体の担持率が30%以上であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の着色ラテックス粒子。
  6. 着色ラテックス粒子が前記抗原または前記抗体を物理吸着または化学結合により担持していることを特徴とする請求項5記載の着色ラテックス粒子。
  7. 前記請求項1~6のいずれかに記載の着色ラテックス粒子を含むことを特徴とする免疫測定法用試薬。
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