JP3460344B2 - エマルジョンおよびその製造方法並びにポリマー粒子 - Google Patents

エマルジョンおよびその製造方法並びにポリマー粒子

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JP3460344B2 JP30264194A JP30264194A JP3460344B2 JP 3460344 B2 JP3460344 B2 JP 3460344B2 JP 30264194 A JP30264194 A JP 30264194A JP 30264194 A JP30264194 A JP 30264194A JP 3460344 B2 JP3460344 B2 JP 3460344B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリ−α−アミノ酸よ
りなるブロック成分(A)と、他の重合体よりなるブロ
ック成分(B)とにより構成される(A)−(B)ブロ
ック共重合体または(A)−(B)−(A)ブロック共
重合体よりなるポリマー粒子によるエマルジョンおよび
その製造方法、並びに前記ブロック共重合体よりなる、
内孔を有する中空状であるポリマー粒子に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】現在、ポリマー粒子が水系媒体中に分散
されてなるエマルジョンとしては、スチレン−ブタジエ
ン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル
共重合体等のポリマー粒子によるものが知られており、
これらは乳化重合法により直接的に製造することが可能
である。そして、そのエマルジョンは、接着剤、紙コー
ティング材等の各種の用途に用いられている。
【0003】一方、α−アミノ酸の重合体は微生物によ
って分解される性質を有すると共に、酸素および水の透
過性を有する点で優れた特性を有するものであり、α−
アミノ酸の重合体よりなるブロック成分(A)と、適宜
の重合体よりなるブロック成分(B)とよりなる(A)
−(B)ブロック共重合体または(A)−(B)−
(A)ブロック共重合体(以下、「ポリアミノ酸ブロッ
ク共重合体」ともいう。)は、興味ある物性を有する機
能性高分子として知られている。従って、このようなポ
リアミノ酸ブロック共重合体よりなるポリマー粒子によ
るエマルジョンは、上記の特性を考慮するとき、紙、樹
脂、ゴム、繊維等のコーティング材、機能性粒子、化粧
品、医用材料、あるいは遅効性肥料、農薬、医薬のカプ
セル化材等の用途において、新しい素材として有用であ
る。
【0004】従来、ポリアミノ酸ブロック共重合体の製
造方法としては、末端に重合開始能を有するアミノ基を
有する適宜の重合体(以下、「アミノ基含有プレポリマ
ー」ともいう。)を製造し、このアミノ基含有プレポリ
マーの存在下に、α−アミノ酸−N−炭酸無水物(以
下、「アミノ酸−NCA」ともいう。)を水を含有しな
い有機溶剤に溶解した状態で、均一溶液重合によって重
合する方法が知られている(特開昭58ー136623
号公報参照)。
【0005】一方、ポリアミノ酸ブロック共重合体のポ
リマー粒子が水系媒体中に分散されてなるエマルジョン
を製造する方法としては、固体のポリアミノ酸ブロック
共重合体を有機溶剤に溶解する手段、有機溶剤中におい
てアミノ基含有プレポリマーの存在下にアミノ酸−NC
Aを重合する手段等によって、ポリアミノ酸ブロック共
重合体のポリマー溶液を調製し、このポリマー溶液に水
と乳化剤とを加えて乳化し、その上で、有機溶剤を除去
する方法が考えられる。然るに、このような方法におい
ては、ポリアミノ酸ブロック共重合体のポリマー溶液を
水系媒体中で所望の粒径を有する微粒子に分割すること
は相当に困難であって、ポリマー粒子の平均粒子径が比
較的大きいものとなり、例えば平均粒子径が1μm以下
であるような小粒径のポリマー粒子によるエマルジョン
を得ることはできない。また、このようにして得られる
エマルジョンはポリマー粒子の粒子径分布が広いものと
なり、粒子径の揃ったポリマー粒子によるエマルジョン
を得ることは困難である。また、α−アミノ酸の種類に
よっては、得られる固体のポリアミノ酸ブロック共重合
体が溶媒に溶解しない場合があり、そのような場合に
は、ポリマー調製後に乳化させる方法によりエマルジョ
ンを得ることは不可能である。
【0006】また、水中においてアミノ基含有プレポリ
マーの存在下にアミノ酸−NCAを重合する場合には、
アミノ酸−NCAは、非常に加水分解しやすいものであ
り、水中または活性水素を有する化合物が多量に存在す
る条件下ではすみやかに分解するため、アミノ酸−NC
Aの重合反応は高い重合度に達するまでには進行せず、
その結果、分子量が十分に大きく、しかもα−アミノ酸
に由来する構成単位(以下、「アミノ酸構成単位」とも
いう。)を大きい割合で含有するポリアミノ酸ブロック
共重合体のポリマー粒子を生成させることは困難であ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、所望の平均粒子径を有するポリアミノ酸ブロック共
重合体のポリマー粒子が水系媒体中に分散されてなり、
しかも工業的に容易に製造することのできるポリアミノ
酸ブロック共重合体のポリマー粒子によるエマルジョン
を提供することにある。本発明の第2の目的は、アミノ
酸構成単位の含有割合が大きいポリアミノ酸ブロック共
重合体のポリマー粒子によるエマルジョンを、直接的
に、かつ容易に製造する方法を提供することにある。本
発明の第3の目的は、平均粒子径が小さくて粒子径分布
の狭いポリアミノ酸ブロック共重合体のポリマー粒子に
よるエマルジョンを容易にかつ確実に製造する方法を提
供することにある。本発明の第4の目的は、所望の平均
分子量を有し、かつ粒子体が内孔を有する中空状である
ポリアミノ酸ブロック共重合体のポリマー粒子が水系媒
体中に分散されてなり、しかも工業的に容易に製造する
ことのできるポリアミノ酸ブロック共重合体のポリマー
粒子によるエマルジョンを提供することにある。本発明
の第5の目的は、平均粒子径が小さくて粒子径分布が狭
く、かつ粒子体が内孔を有する中空状であるポリアミノ
酸ブロック共重合体のポリマー粒子を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のエマルジョン
は、ポリ−α−アミノ酸よりなるブロック成分(A)
と、他の重合体よりなるブロック成分(B)とにより構
成される(A)−(B)ブロック共重合体または(A)
−(B)−(A)ブロック共重合体よりなるポリマー粒
子によるエマルジョンであって、ブロック成分(B)を
構成する重合体は、ジエン系重合体、ポリオレフィン系
重合体、酢酸ビニル系重合体、ポリウレタン、ポリカプ
ロラクトンおよびポリジメチルシロキサンから選ばれた
ものであり、当該ポリマー粒子の平均粒子径が0.01
〜100μmの範囲にあり、かつ該平均粒子径の変動係
数(以下、「CV値」ともいう。)が1〜30%である
ことを特徴とする。
【0009】本発明のエマルジョンの製造方法は、少な
くとも、水と、水の溶解度が10g/100ミリリット
ル以下である有機溶剤とを乳化することにより、重合反
応のための場を形成する水中油分散型の基礎エマルジョ
ンを調製し、この基礎エマルジョン中において、末端に
アミノ基を有する重合体の存在下にα−アミノ酸−N−
炭酸無水物を重合することにより、ポリ−α−アミノ酸
よりなるブロック成分(A)と、前記重合体よりなるブ
ロック成分(B)とにより構成される(A)−(B)ブ
ロック共重合体または(A)−(B)−(A)ブロック
共重合体を生成させ、その後、有機溶剤を除去すること
を特徴とする。
【0010】本発明のエマルジョンは、ポリ−α−アミ
ノ酸よりなるブロック成分(A)と、他の重合体よりな
るブロック成分(B)とにより構成される(A)−
(B)ブロック共重合体または(A)−(B)−(A)
ブロック共重合体よりなるポリマー粒子によるエマルジ
ョンであって、当該ポリマー粒子の平均粒子径が0.0
1〜100μmの範囲にあり、かつ該平均粒子径の変動
係数が1〜30%であり、かつ該ポリマー粒子の粒子体
が内孔を有する中空状であることを特徴とする。
【0011】本発明のポリマー粒子は、ポリ−α−アミ
ノ酸よりなるブロック成分(A)と、他の重合体よりな
るブロック成分(B)とにより構成される(A)−
(B)ブロック共重合体または(A)−(B)−(A)
ブロック共重合体よりなるポリマー粒子であって、当該
ポリマー粒子の平均粒子径が0.01〜100μmの範
囲にあり、かつ該平均粒子径の変動係数が1〜40%で
あり、かつ該ポリマー粒子の粒子体が内孔を有する中空
状であることを特徴とする。
【0012】
【作用】本発明によれば、特定の条件を満足する水中油
分散型の基礎エマルジョン中において、アミノ基含有プ
レポリマーの存在下にアミノ酸−NCAを重合するの
で、アミノ酸−NCAをその加水分解を有効に抑制しな
がら確実に乳化重合することができ、これにより、生成
されたポリ−α−アミノ酸と、前記アミノ基含有プレポ
リマーに係る重合体とをそれぞれブロック成分とするブ
ロック共重合体が生成される。従って、分子量が大き
く、しかも、アミノ酸構成単位の含有割合の大きいポリ
アミノ酸ブロック共重合体のポリマー粒子によるエマル
ジョンを、直接的に、かつ容易に製造することができ
る。また、得られるポリアミノ酸ブロック共重合体のポ
リマー粒子の粒径の状態は、基礎エマルジョン中におけ
る有機溶剤の油滴の粒径の状態に依存するので、当該油
滴の粒径の状態を制御することにより、平均粒子径が小
さくて粒子径分布の狭いポリアミノ酸ブロック共重合体
のポリマー粒子によるエマルジョンを製造することがで
きる。このように、本発明によれば、所望の平均粒子径
を有するポリアミノ酸ブロック共重合体のポリマー粒子
が水系媒体中に分散されてなり、しかも工業的に容易に
製造することのできるポリアミノ酸ブロック共重合体の
ポリマー粒子によるエマルジョンを提供することができ
る。また、本発明によれば、α−アミノ酸−N−炭酸無
水物の重合後におけるエマルジョンに貧溶剤を添加し、
その後に有機溶剤を除去することにより、生成されるポ
リマー粒子は、個々の粒子体が内孔を有する中空状のも
のとなり、これにより、所望の平均分子量を有し、かつ
粒子体が内孔を有する中空状であるポリアミノ酸ブロッ
ク共重合体のポリマー粒子によるエマルジョンおよび当
該ポリマー粒子を提供することができる。
【0013】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明においては、アミノ酸−NCAをモノマーとして用
い、これをアミノ基含有プレポリマーの存在下に特定の
条件に従って乳化重合することにより、ポリ−α−アミ
ノ酸よりなるブロック成分(A)と、アミノ基含有プレ
ポリマーに係る重合体よりなるブロック成分(B)とに
より構成される(A)−(B)ブロック共重合体または
(A)−(B)−(A)ブロック共重合体であるポリア
ミノ酸ブロック共重合体よりなるポリマー粒子によるエ
マルジョンを製造する。具体的には、先ず、少なくと
も、水と、特定の有機溶剤とを、好ましくは乳化剤を用
いて乳化することにより、重合反応のための場を形成す
る、水中油分散型の基礎エマルジョンを調製する。次い
で、この基礎エマルジョン中に、アミノ基含有プレポリ
マーの存在下でアミノ酸−NCAを添加することによ
り、有機溶剤の粒子中において、アミノ酸−NCAの重
合を行う。この重合反応においては、アミノ基含有プレ
ポリマーの末端のアミノ基が重合開始剤として作用し、
このアミノ基を重合開始点としてこれに続いてアミノ酸
−NCAの開環離脱重合が開始される。
【0014】以上において、基礎エマルジョンにアミノ
酸−NCAを添加する方法としては、アミノ酸−NCA
の粉末をそのまま基礎エマルジョンに添加する方法、ま
たは、基礎エマルジョンの調製に用いられる有機溶剤と
同一または異なる有機溶剤を別個に用意し、この有機溶
剤にアミノ酸−NCAを加え、これを基礎エマルジョン
に添加する方法等が挙げられる。また、アミノ基含有プ
レポリマーを添加する方法としては、基礎エマルジョン
の調製に用いられる有機溶剤に予めアミノ基含有プレポ
リマーを添加する方法、基礎エマルジョンに用いられる
有機溶剤と同一または異なる有機溶剤を別個に用意し、
この有機溶剤にアミノ基含有プレポリマーを単独でまた
はアミノ酸−NCAと共に加え、これを基礎エマルジョ
ンに添加する方法が挙げられる。
【0015】〔基礎エマルジョンの調製〕本発明におい
て、基礎エマルジョンの調製に用いられる有機溶剤は、
1気圧、25℃の条件下における水の溶解度が10g/
100ミリリットル以下、好ましくは5g/100ミリ
リットル以下のものである。当該水の溶解度が10g/
100ミリリットルを超える有機溶剤を用いる場合に
は、基礎エマルジョンの調製工程において当該有機溶剤
に水が溶解し、これによりアミノ酸−NCAが加水分解
されるため、重合収率が低下すると共に、分子量が大き
く、アミノ酸構成単位の含有割合が大きいポリアミノ酸
ブロック共重合体の生成が困難となる。
【0016】また、有機溶剤としては、1気圧、25℃
の条件下で、アミノ酸−NCAを少なくとも0.1g/
100ミリリットル以上、特に0.3g/100ミリリ
ットル以上溶解し得るものが好ましい。
【0017】このような有機溶剤の具体例としては、
(イ)クロロメタン、ジクロロメタン、クロロホルム、
四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロ
ロエタン、1,1,2−トリクロロエタン等の脂肪族ハ
ロゲン化炭化水素類、(ロ)クロルベンゼン、o−ジク
ロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン等の芳
香族ハロゲン化炭化水素類、(ハ)酢酸エチル、酢酸ブ
チル、酪酸エチル等のエステル類、(ニ)エチルエーテ
ル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル、オクチルエー
テル、アニソール、エトキシベンゼン等のエーテル類、
(ホ)ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサ
ン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素化合
物、その他が挙げられる。これらの有機溶剤を単独で若
しくは2種類以上組み合わせて用いることにより、水の
溶解度、アミノ酸−NCAの溶解度等の重要な特性が好
ましく調節された有機溶剤を得ることができる。
【0018】本発明において、基礎エマルジョンの調製
に用いられる水は、特に制限されるものではない。
【0019】乳化剤としては、用いられるアミノ酸−N
CAの重合反応を阻害せず、水と有機溶剤とを均一に乳
化する作用を有するものであれば特に限定されるもので
はない。そのような乳化剤の具体例としては、(イ)ポ
リオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレ
ンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンポ
リオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチ
レン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリ
オキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン
脂肪酸エステル等のノニオン系乳化剤、(ロ)脂肪酸
塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホ
ン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキ
ルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン
縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等
のアニオン系乳化剤、(ハ)ラウリルトリメチルアンモ
ニュウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニュ
ウムクロライド等のカチオン系乳化剤、(ニ)ラウリル
ベタイン等の両性イオン系乳化剤が挙げられる。これら
の乳化剤は、単独で若しくは2種類以上組み合わせて用
いることができる。また、これらの乳化剤のうち好まし
いものとしては、ノニオン系乳化剤が挙げられる。
【0020】以上において、水と有機溶剤との使用割合
は、水:有機溶剤が、95〜50:5〜50(重量
比)、特に80〜55:20〜45(重量比)であるこ
とが好ましい。有機溶剤の使用割合が5重量%未満の場
合には、水の使用割合が大きいために、アミノ酸−NC
Aの加水分解が生ずるようになり、分子量が大きく、ア
ミノ酸構成単位の含有割合が大きいポリアミノ酸ブロッ
ク共重合体のポリマー粒子の生成が困難となる傾向があ
る。一方、有機溶剤の使用割合が50重量%を超える場
合には、安定な水中油分散型の基礎エマルジョンを形成
することが困難となる場合がある。
【0021】乳化剤の使用割合は、用いられるアミノ酸
−NCAの種類、有機溶剤の種類、乳化剤の種類によっ
て異なるが、通常、水と有機溶剤との合計量に対して
0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%であ
る。
【0022】水と有機溶剤とを乳化して基礎エマルジョ
ンを調製する手段としては、特に限定されるものではな
いが、反応器中で機械的に攪拌する手段、超音波照射に
よる手段、またはそれらの併用等が好ましい。
【0023】〔アミノ酸−NCAおよびアミノ基含有プ
レポリマー〕本発明において、ブロック成分(A)を形
成するためのモノマーとして用いられるアミノ酸−NC
Aには、すべてのα−アミノ酸から導かれるアミノ酸−
NCAが含まれる。なお、側鎖にカルボキシル基、水酸
基、チオール基、アミノ基、グアニジル基等の官能基を
有するα−アミノ酸を原料としてアミノ酸−NCAを製
造する場合には、これらの官能基を適当な保護基を用い
て保護した後にアミノ酸−NCAに導く必要がある。
【0024】このようなα−アミノ酸の具体例として
は、(イ)グリシン、アラニン、バリン、ノルバリン、
ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、フェニルアラ
ニン、メチオニン、プロリン等の中性アミノ酸類、
(ロ)グルタミン酸−γ−エステル、アスパラギン酸−
β−エステル等の酸性アミノ酸−ω−エステル類(ここ
でエステルとは、メチルエステル、エチルエステル、プ
ロピルエステル、ブチルエステル、オクチルエステル、
2−エチルヘキシルエステル、シクロヘキシルエステ
ル、フェニルエステル、ベンジルエステル等を示
す。)、(ハ)N−カルボベンゾキシリシン、N−カル
ボベンゾキシオルニチン、N−アセチルリシン等のN−
アシル塩基性アミノ酸類、(ニ)セリン、トレオニン、
システィン、チロシン等の水酸基含有α−アミノ酸のエ
ステル類(ここでエステルとは、メチルエステル、エチ
ルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、オク
チルエステル、2−エチルヘキシルエステル、シクロヘ
キシルエステル、フェニルエステル、ベンジルエステル
等を示す。)などが挙げられる。
【0025】これらのα−アミノ酸より得られるアミノ
酸−NCAは、光学活性体またはラセミ体あるいはこれ
らの混合物であってもよく、また、必要に応じて2種類
以上組み合わせて用いることができる。また、アミノ酸
−NCAの使用割合は、用いられる有機溶剤100重量
部に対して、通常、1〜100重量部、好ましくは5〜
90重量部である。アミノ酸−NCAは、有機溶剤に完
全に溶解されていない状態においてもアミノ酸−NCA
の重合反応が進行するので、完全に溶解させる必要はな
く、従って、その最大使用量は、有機溶剤の使用量に厳
密に制限されるものではない。
【0026】アミノ基含有プレポリマーは、ブロック成
分(B)を形成する、その末端の一方または両方に重合
開始能を有するアミノ基を有してなるものであり、用い
られる有機溶剤に溶解し得るものであれば特に限定され
るものではない。なお、アミノ基含有プレポリマーがそ
の末端の一方にのみアミノ基を有するものである場合に
は、得られるポリアミノ酸ブロック共重合体は(A)−
(B)ブロック共重合体となり、アミノ基含有プレポリ
マーがその末端の両方にアミノ基を有するものである場
合には、得られるポリアミノ酸ブロック共重合体は
(A)−(B)−(A)ブロック共重合体となる。
【0027】アミノ基含有プレポリマーを構成する重合
体の具体例としては、(イ)ポリブタジエン、ポリイソ
プレン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニト
リル−ブタジエン共重合体等のジエン系重合体、(ロ)
ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン
共重合体等のポリオレフィン系重合体、(ハ)ポリアク
リル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸エステル、
アクリル酸エステル共重合体等の極性ビニル系重合体、
(ニ)ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体
等の酢酸ビニル系重合体、(ホ)ポリウレタン、ポリア
ミド、ポリビニルアルコール、ポリカプロラクトン、ポ
リジメチルシロキサン、その他の重合体が挙げられる。
これらの重合体の重量平均分子量は特に制限されるもの
ではないが、好ましくは500〜600000であり、
これは目的とするアミノ酸ブロック共重合体のポリマー
粒子によるエマルジョンに要求される特性に応じて選択
することができる。
【0028】アミノ基含有プレポリマーを製造する方法
としては、例えば次の(1)〜(5)のいずれかによる
方法を用いることができる。 (1)アミノ基を有する連鎖移動剤の存在下に、モノマ
ーのラジカル重合を行う方法(例えば、A.Nakaj
ima,Polymer Journal,11,99
5(1979))。 (2)保護基と第1級アミノ基とを有する有機リチウム
(例えば〔(CH3 3Si〕2 N−C6 4 −Li)
をアニオン重合開始剤として共役ジエン類を重合させ、
しかる後に加水分解を行う方法(D.N.Schult
zら,J.Polymer Sci.,Polym.C
hem.Ed.,15,2401(1977))。 (3)カチオンリビングポリマーをアンモニア処理する
方法。
【0029】(4)共役ジエンおよび/またはα−オレ
フィンの少なくとも1種の単量体を一般式RMまたはM
RM(ここで、Rは炭素数が1〜12の炭化水素基、M
はアルカリ金属を表す。)で表される有機アルカリ金属
を重合開始剤として重合させたアニオンリビングポリマ
ーと、一般式XR4 N(SiR1 2 3 2 またはR
5 6 C=N−Y(ここで、Xはハロゲン原子、R1
2 およびR3 は炭素数が1〜12の炭化水素基、R4
は炭素数が1〜12のアルキレン基、R5 およびR6
水素原子あるいは炭素数が1〜10の炭化水素基、Yは
炭素数が1〜12の炭化水素基、−SiR7 8
9 (ここで、R7 、R8 およびR9 は炭素数が1〜12
の炭化水素基を表す。)で示される基または−S−C6
5 で示される基を表す。)で表されるアミノ化剤とを
反応させ、末端に第1級アミノ基または第2級アミノ基
を導入する方法(特公平1−44203号公報参照)。 (5)上記(4)で得られたアニオンリビングポリマー
に塩素ガスを吹き込み、当該ポリマーの末端を塩素化し
た後、アンモニアまたはアミンと反応させることによ
り、末端に第1級アミノ基または第2級アミノ基を導入
する方法(特公平1−2601号公報、特公平1−49
368号公報参照)。
【0030】以上において、アミノ基含有プレポリマー
の使用割合は、用いられるアミノ酸−NCA1モルに対
して、通常、1/10〜1/5000モル、好ましくは
1/30〜1/1000モルであり、得られるエマルジ
ョンの用途に応じて、当該使用割合を選択することがで
きる。
【0031】〔アミノ酸−NCAの重合反応〕アミノ酸
−NCAの重合反応は、アミノ基含有プレポリマーとア
ミノ酸−NCAとが接触することにより生ずる。すなわ
ち、アミノ基含有プレポリマーのアミノ基が重合開始剤
として作用し、このアミノ基を重合開始点として、アミ
ノ酸−NCAはその開環および二酸化炭素の離脱を繰り
返しながら重合し、これにより、ポリ−α−アミノ酸よ
りなるブロック成分(A)が形成される。その結果、ポ
リ−α−アミノ酸よりなるブロック成分(A)と、アミ
ノ基含有プレポリマーに係る重合体よりなるブロック成
分(B)とにより構成されるポリアミノ酸ブロック共重
合体が生成される。
【0032】重合温度は、アミノ酸−NCAの種類、有
機溶剤の種類、重合開始剤の種類によっても異なるが、
通常、−30〜100℃、好ましくは0〜90℃であ
る。この重合温度によって、目的とする大きさの分子量
を有し、アミノ基含有プレポリマー100重量部に対
し、1〜1000重量部のアミノ酸構成単位が含有され
たポリアミノ酸ブロック共重合体のポリマー粒子を製造
することができる。また、重合圧力は特に限定されるも
のではない。重合反応中は、系を攪拌して乳化状態を保
つ必要がある。この攪拌は、例えば反応器で機械的に攪
拌することが好ましく、その回転数は、通常、20〜3
000r.p.m.である。
【0033】〔エマルジョンの調製〕アミノ酸−NCA
の重合反応が終了した後、反応生成物について有機溶剤
の除去処理を行うことにより、目的とするポリアミノ酸
ブロック共重合体のポリマー粒子によるエマルジョンが
得られる。有機溶剤を除去する手段としては、減圧蒸留
等の種々の手段を用いることができる。
【0034】このようにして製造されるエマルジョン
(以下、「反応生成エマルジョン」という。)は、基礎
エマルジョンにおける油滴の粒径の状態を制御すること
により、ポリアミノ酸ブロック共重合体のポリマー粒子
の平均粒子径が0.01〜100μm、好ましくは0.
05〜10μmの範囲にあり、該平均粒子径のCV値が
1〜30%であり、しかも、ポリマー粒子を構成するポ
リアミノ酸ブロック共重合体の分子量が大きく、アミノ
酸−NCAの使用割合に応じてアミノ酸構成単位の含有
割合を調節することができる。従って、このエマルジョ
ンは、例えば、紙、樹脂、ゴム、繊維等のコーティング
材、機能性粒子、化粧品、医用材料、あるいは遅効性肥
料、農薬若しくは医薬のカプセル化材、その他の用途に
おいて、新しい素材として有用である。
【0035】以上において、反応生成エマルジョンに、
水および有機溶剤の両者と混和する貧溶剤を添加し、そ
の後、有機溶剤の除去処理を行う方法によって、ポリア
ミノ酸ブロック共重合体のエマルジョンを製造すること
ができる。この場合には、得られるエマルジョンのポリ
アミノ酸ブロック共重合体のポリマー粒子は、その個々
の粒子体が内孔を有する中空状のものとなる。すなわ
ち、反応生成エマルジョンに貧溶剤を添加することによ
り、当該反応生成エマルジョンにおける油滴を有機溶剤
と共に構成するポリマー粒子が当該油滴の表面から固化
され、この状態で有機溶剤の除去処理を行うことによ
り、粒子体の収縮が抑制された状態で粒子体の内部から
有機溶剤が除去されるため、内孔を有する中空状のポリ
マー粒子が生成される。
【0036】貧溶剤は、水および用いられた有機溶剤の
両者と相溶し、かつ生成したポリマーを溶解しないもの
であり、その具体例としては、メチルアルコール、エチ
ルアルコール、イソプロピルアルコールなどの低級アル
コール類、アセトン、メチルエチルケトンなどの低級ケ
トン類の如き溶剤が挙げられる。
【0037】反応生成エマルジョン100重量部に対す
る貧溶剤の添加割合は、1〜50重量部、特に2〜30
重量部であることが好ましい。この割合が1重量部未満
の場合には、ポリマー粒子の粒子体が中空状のものとな
る効率が低くなる場合がある。一方、この割合が50重
量部を超える場合には、ポリマー粒子が凝集し、エマル
ジョン状態を形成することができなくなる場合がある。
【0038】この方法における有機溶剤を除去する方法
としては、前述の有機溶剤の除去と同様の手段を用いる
ことができる。除去処理中に系を攪拌することにより、
個々の油滴の表面に対する分散媒を更新して貧溶剤の十
分に達成すると共に、一部の水と共に有機溶剤が除去さ
れる。攪拌手段としては、機械的に攪拌する手段、超音
波により攪拌する手段等を用いることができる。
【0039】〔中空ポリマー粒子の調製〕本発明のポリ
アミノ酸ブロック共重合体よりなる個々の粒子体が中空
状のポリマー粒子は、上述のようにして反応生成エマル
ジョンに貧溶剤を添加した後、有機溶剤を除去すること
により、中空ポリマー粒子が水系媒体中に分散されてな
るエマルジョンを製造し、その後、水系媒体物質と中空
ポリマー粒子とを分離することにより得られる。
【0040】水系媒体物質と中空ポリマー粒子とを分離
する手段としては、スプレードライヤーなどを用いて一
度に水系媒体物質を蒸発させる手段、エマルジョンを遠
心分離処理することにより、中空ポリマー粒子よりなる
固形物を沈降させ、当該固形物を乾燥する手段、エマル
ジョンを水分離膜を用いて濃縮した後、乾燥する手段な
どが挙げられる。ポリマー粒子が少量の場合には、乾燥
のために凍結乾燥法を利用することが好ましい。また、
必要に応じて、水などによりポリマー粒子を洗浄して乳
化剤の除去処理を行うことができる。
【0041】また、本発明の中空ポリマー粒子は、反応
生成エマルジョンに貧溶剤を添加した後、スプレードラ
イヤーなどを用いて、水、有機溶剤および貧溶剤を一括
的に蒸発させることによっても得ることができる。
【0042】このようにして得られるポリアミノ酸ブロ
ック共重合体よりなる中空ポリマー粒子は、ポリアミノ
酸ブロック共重合体のポリマー粒子の平均粒子径が0.
01〜100μm、好ましくは0.05〜10μmの範
囲にあり、ポリマー粒子のCV値が1〜40%である。
しかも、当該ポリマー粒子の粒子体は、内孔を有する中
空状のものであるので、その粒子体の内孔に医薬物質を
内蔵または保持させることにより、ポリアミノ酸ブロッ
ク共重合体の生体内での分解を利用したドラッグデリバ
リーの用途に有用であり、また、粒子体の内孔に農薬、
肥料などを内蔵または保持させることにより、ポリアミ
ノ酸ブロック共重合体の土中での分解を利用した遅効性
農薬、肥料の用途に有用であり、さらに、粒子体の内孔
に化粧料物質を内蔵または保持させることにより、ポリ
アミノ酸ブロック共重合体の優れた保水性を利用した化
粧品の用途に有用である。
【0043】さらに、本発明のポリアミノ酸ブロック共
重合体よりなる中空ポリマー粒子ならびにエマルジョン
においては、当該ポリマー粒子を下記の方法により変性
することもできる。例えば、アミノ酸−NCAとして、
グルタミン酸エステル、アスパラギン酸エステルなどの
酸性アミノ酸エステルのN−炭酸無水物、またはN−カ
ルボキシベンゾキシリシン、N−カルボベンゾキシオル
ニチンなどの塩基性アミノ酸のN−炭酸無水物を用いた
り、ポリ−α−アミノ酸としてそれらのN−炭酸無水物
および中性アミノ酸のN−炭酸無水物の混合物(以下、
「アミノ酸−NCA混合物」という。)を用いた場合
に、得られたポリアミノ酸ブロック共重合体のポリマー
粒子表面を加水分解し、アミノ基またはカルボキシル基
を生成させることにより、該粒子表面の親水化を行うこ
とができる。また、アミノ酸−NCA混合物を用いて得
られるポリアミノ酸ブロック共重合体のポリマー粒子
と、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノー
ルアミンなどのアミノアルコール類とを反応させること
により、該粒子表面の親水化を行うことができる。さら
に、アミノ酸−NCA混合物を用いて得られるポリアミ
ノ酸ブロック共重合体のポリマー粒子と、エチレンジア
ミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、
オクタメチレンジアミンなどのジアミン類、エチレング
リコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、
またはマロン酸、コハク酸、アジピン酸などのジカルボ
ン酸類と反応させることにより、ポリアミノ酸ブロック
共重合体のポリマー粒子内部の架橋を行うことができ
る。
【0044】
【実施例】以下、本発明の実施例について詳細に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0045】〔実施例1〕水50ミリリットルと1,2
−ジクロロエタン10ミリリットルとを、ポリオキシエ
チレンソルビタンモノラウレート(Tween 20:
花王株式会社製)1gを用いて十分に乳化することによ
り、水中油分散型の基礎エマルジョンを調製した。1,
2−ジクロロエタンに対する水の溶解度は、1気圧、2
5℃において0.9g/100ミリリットルである。
1,2−ジクロロエタン10ミリリットルに、ベンジル
−L−グルタメート−N−炭酸無水物(以下、「BLG
−NCA」という。)1gとポリブタジエンの末端の一
方にアミノ基を有する重量平均分子量が約5,000の
アミノ変性ポリブタジエン(以下、「NH2 −BR」と
いう。)0.5gとを溶解し、この溶液を上記の基礎エ
マルジョンに加え激しく攪拌した。次いで、撹伴を続け
乳化状態を保ちながら、室温で5時間重合することによ
り、ポリベンジル−L−グルタメートよりなるブロック
成分(A)と、ポリブタジエンよりなるブロック成分
(B)とにより構成される(A)−(B)ブロック共重
合体であるポリアミノ酸ブロック共重合体のポリマー粒
子を生成させた。
【0046】このポリマー粒子が生成した反応生成エマ
ルジョンを減圧蒸留処理して有機溶剤を除去することに
より、本発明のエマルジョンを製造した。このエマルジ
ョン中のポリマー粒子の平均粒子径は0.3μmであ
り、CV値は12%であった。また、上記エマルジョン
をメタノール中に注ぐことにより、ポリアミノ酸ブロッ
ク共重合体を凝固して乾燥した。得られたポリアミノ酸
ブロック共重合体の収率、およびポリアミノ酸ブロック
共重合体におけるアミノ酸構成単位の含有割合を測定し
た。結果を表1に示す。
【0047】〔実施例2〕1,2−ジクロロエタンの代
わりにクロロベンゼンを用いたこと以外は実施例1と同
様の操作を行うことにより、ポリベンジル−L−グルタ
メートよりなるブロック成分(A)と、ポリブタジエン
よりなるブロック成分(B)とにより構成される(A)
−(B)ブロック共重合体であるポリアミノ酸ブロック
共重合体のポリマー粒子を生成させ、本発明のエマルジ
ョンを製造した。クロロベンゼンに対する水の溶解度
は、1気圧、25℃において0.2g/100ミリリッ
トルである。この際、BLG−NCAはクロルベンゼン
に完全には溶解しなかったが、そのまま重合を行ったと
ころ、重合の進行とともにBLG−NCAが溶解した。
得られたエマルジョン中におけるポリマー粒子の平均粒
子径およびCV値、並びに、生成したポリアミノ酸ブロ
ック共重合体の収率およびアミノ酸構成単位の含有割合
を測定した。結果を表1に示す。
【0048】〔実施例3〕1,2−ジクロロエタンの代
わりにo−ジクロロベンゼンを用いたこと以外は実施例
1と同様の操作を行うことにより、ポリベンジル−L−
グルタメートよりなるブロック成分(A)と、ポリブタ
ジエンよりなるブロック成分(B)とにより構成される
(A)−(B)ブロック共重合体であるポリアミノ酸ブ
ロック共重合体のポリマー粒子を生成させ、本発明のエ
マルジョンを製造した。o−ジクロロベンゼンに対する
水の溶解度は、1気圧、25℃において約0g/100
ミリリットルである。この際、BLG−NCAはo−ジ
クロロベンゼンに完全には溶解しなかったが、そのまま
重合を行ったところ、重合の進行とともにBLG−NC
Aが溶解した。得られたエマルジョン中におけるポリマ
ー粒子の平均粒子径およびCV値、並びに、生成したポ
リアミノ酸ブロック共重合体の収率およびアミノ酸構成
単位の含有割合を測定した。結果を表1に示す。
【0049】〔実施例4〕水50ミリリットルと、クロ
ロベンゼン20ミリリットルと、NH2 −BR0.5g
とを、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート
「Tween 20」1gを用いて十分に乳化すること
により、水中油分散型の基礎エマルジョンを調製した。
このエマルジョンにBLG−NCAの粉末1gを加え、
激しく攪拌して乳化状態を保ちながら、室温で5時間重
合することにより、ポリベンジル−L−グルタメートよ
りなるブロック成分(A)と、ポリブタジエンよりなる
ブロック成分(B)とにより構成される(A)−(B)
ブロック共重合体であるポリアミノ酸ブロック共重合体
を生成させた。
【0050】このポリマー粒子が生成した反応生成エマ
ルジョンを減圧蒸留処理して有機溶剤を除去することに
より、本発明のエマルジョンを製造した。また、上記エ
マルジョンをメタノール中に注ぐことにより、ポリアミ
ノ酸ブロック共重合体を凝固して乾燥した。得られたエ
マルジョン中におけるポリマー粒子の平均粒子径および
CV値、並びに、生成したポリアミノ酸ブロック共重合
体の収率およびアミノ酸構成単位の含有割合を測定し
た。結果を表1に示す。
【0051】〔実施例5〕ポリオキシエチレンソルビタ
ンモノラウレートの代わりにドデシルベンゼンスルホン
酸ナトリウムを用いたこと以外は実施例1と同様の操作
を行うことにより、ポリベンジル−L−グルタメートよ
りなるブロック成分(A)と、ポリブタジエンよりなる
ブロック成分(B)とにより構成される(A)−(B)
ブロック共重合体であるポリアミノ酸ブロック共重合体
のポリマー粒子を生成させ、本発明のエマルジョンを製
造した。得られたエマルジョン中におけるポリマー粒子
の平均粒子径およびCV値、並びに、生成したポリアミ
ノ酸ブロック共重合体の収率およびアミノ酸構成単位の
含有割合を測定した。結果を表1に示す。
【0052】〔実施例6〕NH2 −BRの代わりにポリ
イソプレンの末端の一方にアミノ基を有する重量平均分
子量が約5,000のアミノ変性ポリイソプレン0.5
gを用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行うこと
により、ポリベンジル−L−グルタメートよりなるブロ
ック成分(A)と、ポリイソプレンよりなるブロック成
分(B)とにより構成される(A)−(B)ブロック共
重合体であるポリアミノ酸ブロック共重合体を生成さ
せ、本発明のエマルジョンを製造した。得られたエマル
ジョン中におけるポリマー粒子の平均粒子径およびCV
値、並びに、生成したポリアミノ酸ブロック共重合体の
収率およびアミノ酸構成単位の含有割合を測定した。結
果を表1に示す。
【0053】〔実施例7〕NH2 −BRの代わりにポリ
ブタジエンの末端の両方にアミノ基を有する重量平均分
子量が約10,000のアミノ変性ポリブタジエン0.
5gを用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行うこ
とにより、ポリベンジル−L−グルタメートよりなるブ
ロック成分(A)と、ポリブタジエンよりなるブロック
成分(B)とにより構成される(A)−(B)−(A)
ブロック共重合体であるポリアミノ酸ブロック共重合体
を生成させ、本発明のエマルジョンを製造した。得られ
たエマルジョン中におけるポリマー粒子の平均粒子径お
よびCV値、並びに、生成したポリアミノ酸ブロック共
重合体の収率およびアミノ酸構成単位の含有割合を測定
した。結果を表1に示す。
【0054】〔実施例8〕NH2 −BRの代わりにポリ
ウレタンの末端の一方にアミノ基を有する重量平均分子
量が約3,000のアミノ変性ポリウレタン0.5gを
用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行うことによ
り、ポリベンジル−L−グルタメートよりなるブロック
成分(A)と、ポリウレタンよりなるブロック成分
(B)とにより構成される(A)−(B)ブロック共重
合体であるポリアミノ酸ブロック共重合体を生成させ、
本発明のエマルジョンを製造した。得られたエマルジョ
ン中におけるポリマー粒子の平均粒子径およびCV値、
並びに、生成したポリアミノ酸ブロック共重合体の収率
およびアミノ酸構成単位の含有割合を測定した。結果を
表1に示す。
【0055】〔実施例9〕NH2 −BRの代わりにポリ
カプロラクトンの末端の一方にアミノ基を有する重量平
均分子量が約5,000のアミノ変性ポリカプロラクト
ン0.5gを用いたこと以外は実施例1と同様の操作を
行うことにより、ポリベンジル−L−グルタメートより
なるブロック成分(A)と、ポリカプロラクトンよりな
るブロック成分(B)とにより構成される(A)−
(B)ブロック共重合体であるポリアミノ酸ブロック共
重合体を生成させ、本発明のエマルジョンを製造した。
得られたエマルジョン中におけるポリマー粒子の平均粒
子径およびCV値、並びに、生成したポリアミノ酸ブロ
ック共重合体の収率およびアミノ酸構成単位の含有割合
を測定した。結果を表1に示す。
【0056】〔実施例10〕NH2 −BRの代わりにポ
リジメチルシロキサンの末端の両方にアミノ基を有する
重量平均分子量が約2,300の変性ポリジメチルシロ
キサン0.5gを用いたこと以外は実施例1と同様の操
作を行うことにより、ポリベンジル−L−グルタメート
よりなるブロック成分(A)と、ポリジメチルシロキサ
ンよりなるブロック成分(B)とにより構成される
(A)−(B)−(A)ブロック共重合体であるポリア
ミノ酸ブロック共重合体を生成させ、本発明のエマルジ
ョンを製造した。得られたエマルジョン中におけるポリ
マー粒子の平均粒子径およびCV値、並びに、生成した
ポリアミノ酸ブロック共重合体の収率およびアミノ酸構
成単位の含有割合を測定した。結果を表1に示す。
【0057】〔実施例11〕BLG−NCAの代わりに
メチル−L−グルタメート−N−炭酸無水物を用いたこ
と以外は実施例1と同様の操作を行うことにより、ポリ
メチル−L−グルタメートよりなるブロック成分(A)
と、ポリブタジエンよりなるブロック成分(B)とによ
り構成される(A)−(B)ブロック共重合体であるポ
リアミノ酸ブロック共重合体を生成させ、本発明のエマ
ルジョンを製造した。得られたエマルジョン中における
ポリマー粒子の平均粒子径およびCV値、並びに、生成
したポリアミノ酸ブロック共重合体の収率およびアミノ
酸構成単位の含有割合を測定した。結果を表1に示す。
【0058】〔実施例12〕BLG−NCAの代わりに
N−カルボベンゾキシリシン−N−炭酸無水物を用いた
こと以外は実施例1と同様の操作を行うことにより、ポ
リ−N−カルボベンゾキシリシンよりなるブロック成分
(A)と、ポリブタジエンよりなるブロック成分(B)
とにより構成される(A)−(B)ブロック共重合体で
あるポリアミノ酸ブロック共重合体を生成させ、本発明
のエマルジョンを製造した。得られたエマルジョン中に
おけるポリマー粒子の平均粒子径およびCV値、並び
に、生成したポリアミノ酸ブロック共重合体の収率およ
びアミノ酸構成単位の含有割合を測定した。結果を表1
に示す。
【0059】〔実施例13〕BLG−NCA1.0gの
代わりにBLG−NCA0.5gとL−アラニン−N−
炭酸無水物0.5gを用いたこと以外は実施例1と同様
の操作を行うことにより、ベンジル−L−グルタメート
とL−アラニンとの共重合体よりなるブロック成分
(A)と、ポリブタジエンよりなるブロック成分(B)
とにより構成される(A)−(B)ブロック共重合体で
あるポリアミノ酸ブロック共重合体を生成させ、本発明
のエマルジョンを製造した。得られたエマルジョン中に
おけるポリマー粒子の平均粒子径およびCV値、並び
に、生成したポリアミノ酸ブロック共重合体の収率およ
びアミノ酸構成単位の含有割合を測定した。結果を表1
に示す。
【0060】〔実施例14〕水50ミリリットルと1,
2−ジクロロエタン10ミリリットルとを、ポリオキシ
エチレンソルビタンモノラウレート(Tween 2
0)1gを用いて十分に乳化することにより、水中油分
散型の基礎エマルジョンを調製した。1,2−ジクロロ
エタン10ミリリットルに、BLG−NCA1gとNH
2 −BR0.5gとを溶解し、この溶液を上記の基礎エ
マルジョンに加え激しく攪拌した。次いで、撹伴を続け
乳化状態を保ちながら、室温で5時間重合することによ
り、ポリベンジル−L−グルタメートよりなるブロック
成分(A)と、ポリブタジエンよりなるブロック成分
(B)とにより構成される(A)−(B)ブロック共重
合体であるポリアミノ酸ブロック共重合体を生成させ
た。
【0061】この反応生成エマルジョンを1/2量ずつ
に分け、一方の反応生成エマルジョンにドデシルベンゼ
ンスルホン酸ナトリウム0.1gを溶解した水溶液10
ミリリットルを加え、攪拌下にメチルアルコール1ミリ
リットルをゆっくりと加え、その後、減圧蒸留処理して
有機溶剤を除去することにより、中空ポリマー粒子から
なるエマルジョン(これを「エマルジョンE1」とい
う。)を製造した。エマルジョンE1中におけるポリマ
ー粒子の平均粒子径およびCV値を測定した。結果を表
1に示す。エマルジョンE1に水30ミリリットルを加
えて攪拌し、これを遠心分離した後、デカンテーション
を行い、さらにこの操作を2回繰り返すことにより乳化
剤を除去した。得られた固形物に水1ミリリットルを加
えて攪拌し、次いで、凍結乾燥することにより、微粉末
状のポリアミノ酸ブロック共重合体のポリマー粒子を得
た。得られたポリマー粒子を透過型電子顕微鏡により観
察したところ、このポリマー粒子は、粒子体が内孔を有
する中空状のものであった。このポリマー粒子の平均粒
子径およびCV値を測定した。結果を表1に示す。ま
た、上記の他方の反応生成エマルジョンを有するメチル
アルコール中に注ぐことにより、ポリアミノ酸ブロック
共重合体を凝固させ、これを乾燥した。生成したポリア
ミノ酸ブロック共重合体の収率、およびポリアミノ酸ブ
ロック共重合体におけるアミノ酸構成単位の含有割合を
測定した。結果を表1に示す。
【0062】〔実施例15〕実施例14において、NH
2 −BRの代わりに、一方の末端にアミノ基を有する重
量平均分子量が約5000のポリイソプレン0.5gを
用いたこと以外は、実施例14と同様の操作を行うこと
により、ポリベンジル−L−グルタメートよりなるブロ
ック成分(A)と、ポリイソプレンよりなるブロック成
分(B)とにより構成される(A)−(B)ブロック共
重合体であるポリアミノ酸ブロック共重合体を生成させ
た。この反応生成エマルジョンを1/2量ずつに分け、
一方の反応生成エマルジョンを用いて実施例14と同様
にしてメチルアルコールで処理した後、有機溶剤を除去
して中空ポリマー粒子からなるエマルジョン(これを
「エマルジョンE2」という。)を製造した。このエマ
ルジョンE2中におけるポリマー粒子の平均粒子径およ
びCV値を測定した。結果を表1に示す。また、他方の
反応生成エマルジョンを用いて実施例14と同様にして
ポリアミノ酸ブロック共重合体を凝固させてこれを乾燥
し、生成したポリアミノ酸ブロック共重合体の収率およ
びアミノ酸構成単位の含有割合を測定した。結果を表1
に示す。さらに、エマルジョンE2に対して実施例14
と同様の操作を行うことにより、微粉末状のポリアミノ
酸ブロック共重合体のポリマー粒子を得た。得られたポ
リマー粒子を透過型電子顕微鏡により観察したところ、
このポリマー粒子は、その粒子体が内孔を有する中空状
のものであった。このポリマー粒子の平均粒子径および
CV値を測定した。結果を表1に示す。
【0063】〔実施例16〕実施例14において、NH
2 −BRの代わりに、両方の末端にアミノ基を有する重
量平均分子量が約10000のポリブタジエン0.5g
を用いたこと以外は、実施例14と同様の操作を行うこ
とにより、ポリベンジル−L−グルタメートよりなるブ
ロック成分(A)と、ポリブタジエンよりなるブロック
成分(B)とにより構成される(A)−(B)−(A)
ブロック共重合体であるポリアミノ酸ブロック共重合体
を生成させた。この反応生成エマルジョンを1/2量ず
つに分け、一方の反応生成エマルジョンを用いて実施例
14と同様にしてメチルアルコールで処理した後、有機
溶剤を除去して中空ポリマー粒子からなるエマルジョン
(これを「エマルジョンE3」という。)を製造した。
このエマルジョンE3中におけるポリマー粒子の平均粒
子径およびCV値を測定した。結果を表1に示す。ま
た、他方の反応生成エマルジョンを用いて実施例14と
同様にしてポリアミノ酸ブロック共重合体を凝固させて
これを乾燥し、生成したポリアミノ酸ブロック共重合体
の収率およびアミノ酸構成単位の含有割合を測定した。
結果を表1に示す。さらに、エマルジョンE3に対して
実施例14と同様の操作を行うことにより、微粉末状の
ポリアミノ酸ブロック共重合体のポリマー粒子を得た。
得られたポリマー粒子を透過型電子顕微鏡により観察し
たところ、このポリマー粒子は、その粒子体が内孔を有
する中空状のものであった。このポリマー粒子の平均粒
子径およびCV値を測定した。結果を表1に示す。
【0064】〔実施例17〕実施例14において、NH
2 −BRの代わりに、一方の末端にアミノ基を有する重
量平均分子量が約3000のポリウレタン0.5gを用
いたこと以外は、実施例14と同様の操作を行うことに
より、ポリベンジル−L−グルタメートよりなるブロッ
ク成分(A)と、ポリウレタンよりなるブロック成分
(B)とにより構成される(A)−(B)ブロック共重
合体であるポリアミノ酸ブロック共重合体を生成させ
た。この反応生成エマルジョンを1/2量ずつに分け、
一方の反応生成エマルジョンを用いて実施例14と同様
にしてメチルアルコールで処理した後、有機溶剤を除去
して中空ポリマー粒子からなるエマルジョン(これを
「エマルジョンE4」という。)を製造した。このエマ
ルジョンE4中におけるポリマー粒子の平均粒子径およ
びCV値を測定した。結果を表1に示す。また、他方の
反応生成エマルジョンを用いて実施例14と同様にして
ポリアミノ酸ブロック共重合体を凝固させてこれを乾燥
し、生成したポリアミノ酸ブロック共重合体の収率およ
びアミノ酸構成単位の含有割合を測定した。結果を表1
に示す。さらに、エマルジョンE4に対して実施例14
と同様の操作を行うことにより、微粉末状のポリアミノ
酸ブロック共重合体のポリマー粒子を得た。得られたポ
リマー粒子を透過型電子顕微鏡により観察したところ、
このポリマー粒子は、その粒子体が内孔を有する中空状
のものであった。このポリマー粒子の平均粒子径および
CV値を測定した。結果を表1に示す。
【0065】〔実施例18〕実施例14において、NH
2 −BRの代わりに、一方の末端にアミノ基を有する重
量平均分子量が約3000のポリカプロラクトン0.5
gを用いたこと以外は、実施例14と同様の操作を行う
ことにより、ポリベンジル−L−グルタメートよりなる
ブロック成分(A)と、ポリカプロラクトンよりなるブ
ロック成分(B)とにより構成される(A)−(B)ブ
ロック共重合体であるポリアミノ酸ブロック共重合体を
生成させた。この反応生成エマルジョンを1/2量ずつ
に分け、一方の反応生成エマルジョンを用いて実施例1
4と同様にしてメチルアルコールで処理した後、有機溶
剤を除去して中空ポリマー粒子からなるエマルジョン
(これを「エマルジョンE5」という。)を製造した。
このエマルジョンE5中におけるポリマー粒子の平均粒
子径およびCV値を測定した。結果を表1に示す。ま
た、他方の反応生成エマルジョンを用いて実施例14と
同様にしてポリアミノ酸ブロック共重合体を凝固させて
これを乾燥し、生成したポリアミノ酸ブロック共重合体
の収率およびアミノ酸構成単位の含有割合を測定した。
結果を表1に示す。さらに、エマルジョンE5に対して
実施例14と同様の操作を行うことにより、微粉末状の
ポリアミノ酸ブロック共重合体のポリマー粒子を得た。
得られたポリマー粒子を透過型電子顕微鏡により観察し
たところ、このポリマー粒子は、その粒子体が内孔を有
する中空状のものであった。このポリマー粒子の平均粒
子径およびCV値を測定した。結果を表1に示す。
【0066】〔実施例19〕実施例14において、BL
G−NCAの代わりに、メチル−L−グルタメート−N
−炭酸無水物1gを用いたこと以外は、実施例14と同
様の操作を行うことにより、ポリメチル−L−グルタメ
ートよりなるブロック成分(A)と、ポリブタジエンよ
りなるブロック成分(B)とにより構成される(A)−
(B)ブロック共重合体であるポリアミノ酸ブロック共
重合体を生成させた。この反応生成エマルジョンを1/
2量ずつに分け、一方の反応生成エマルジョンを用いて
実施例14と同様にしてメチルアルコールで処理した
後、有機溶剤を除去して中空ポリマー粒子からなるエマ
ルジョン(これを「エマルジョンE6」という。)を製
造した。このエマルジョンE6中におけるポリマー粒子
の平均粒子径およびCV値を測定した。結果を表1に示
す。また、他方の反応生成エマルジョンを用いて実施例
14と同様にしてポリアミノ酸ブロック共重合体を凝固
させてこれを乾燥し、生成したポリアミノ酸ブロック共
重合体の収率およびアミノ酸構成単位の含有割合を測定
した。結果を表1に示す。さらに、エマルジョンE6に
対して実施例14と同様の操作を行うことにより、微粉
末状のポリアミノ酸ブロック共重合体のポリマー粒子を
得た。得られたポリマー粒子を透過型電子顕微鏡により
観察したところ、このポリマー粒子は、その粒子体が内
孔を有する中空状のものであった。このポリマー粒子の
平均粒子径およびCV値を測定した。結果を表1に示
す。
【0067】〔実施例20〕実施例14において、BL
G−NCAの代わりに、N−カルボベンゾキシリシン−
N−炭酸無水物1gを用いたこと以外は、実施例14と
同様の操作を行うことにより、ポリ−N−カルボベンゾ
キシリシンよりなるブロック成分(A)と、ポリブタジ
エンよりなるブロック成分(B)とにより構成される
(A)−(B)ブロック共重合体であるポリアミノ酸ブ
ロック共重合体を生成させた。この反応生成エマルジョ
ンを1/2量ずつに分け、一方の反応生成エマルジョン
を用いて実施例14と同様にしてメチルアルコールで処
理した後、有機溶剤を除去して中空ポリマー粒子からな
るエマルジョン(これを「エマルジョンE7」とい
う。)を製造した。このエマルジョンE7中におけるポ
リマー粒子の平均粒子径およびCV値を測定した。結果
を表1に示す。また、他方の反応生成エマルジョンを用
いて実施例14と同様にしてポリアミノ酸ブロック共重
合体を凝固させてこれを乾燥し、生成したポリアミノ酸
ブロック共重合体の収率およびアミノ酸構成単位の含有
割合を測定した。結果を表1に示す。さらに、エマルジ
ョンE7に対して実施例14と同様の操作を行うことに
より、微粉末状のポリアミノ酸ブロック共重合体のポリ
マー粒子を得た。得られたポリマー粒子を透過型電子顕
微鏡により観察したところ、このポリマー粒子は、その
粒子体が内孔を有する中空状のものであった。このポリ
マー粒子の平均粒子径およびCV値を測定した。結果を
表1に示す。
【0068】〔比較例1〕1,2−ジクロルエタン30
ミリリットルに、BLG−NCA1gおよびNH2 −B
R0.5gを加え、室温で20時間重合することによ
り、ポリベンジル−L−グルタメートよりなるブロック
成分(A)と、ポリブタジエンよりなるブロック成分
(B)とにより構成される(A)−(B)ブロック共重
合体であるポリアミノ酸ブロック共重合体のポリマー溶
液を得た。このホリマー溶液にオキシエチレンソルビタ
ンモノラウレート0.5gと水700ミリリットルとを
加え、これを十分に乳化させた後、減圧蒸留処理して有
機溶剤を除去することにより、再乳化エマルジョンを製
造した。このエマルジョン中のポリマー粒子の平均粒子
径およびCV値を測定した。結果を表1に示す。また、
上記のポリマー溶液をメタノール中に注ぐことにより、
ポリアミノ酸ブロック共重合体を凝固させ、これを乾燥
した。生成したポリアミノ酸ブロック共重合体の収率、
およびポリアミノ酸ブロック共重合体におけるアミノ酸
構成単位の含有割合を測定した。結果を表1に示す。
【0069】〔比較例2〕実施例1において、1,2−
ジクロルエタンの代わりにテトラヒドロフランを用いた
こと以外は同様の操作を行ったところ、テトラヒドロフ
ランは水に対して任意の割合で溶解するものであるた
め、テトラヒドロフランと水との均一な溶液が形成さ
れ、エマルジョンが得られなかった。また、上記溶液を
メチルアルコール中に注いだところ粘稠な溶液となっ
た。この反応においてはポリアミノ酸ブロック共重合体
の生成に比べ、BLG−NCAの加水分解反応が優先し
て起こっていた。
【0070】
【表1】
【0071】
【発明の効果】本発明によれば、特定の条件を満足する
水中油分散型の基礎エマルジョン中において、アミノ基
含有プレポリマーの存在下にアミノ酸−NCAを重合す
るので、アミノ酸−NCAをその加水分解を有効に抑制
しながら確実に重合することができ、これにより、生成
されたポリ−α−アミノ酸と、前記アミノ基含有プレポ
リマーに係る重合体とをそれぞれブロック成分とするブ
ロック共重合体が生成される。従って、アミノ酸構成単
位の含有割合の大きいアミノ酸ブロック共重合体のポリ
マー粒子によるエマルジョンを、直接的に、かつ容易に
製造することができる。また、得られるアミノ酸ブロッ
ク共重合体のポリマー粒子の粒径の状態は、基礎エマル
ジョン中における有機溶剤の油滴の粒径の状態に依存す
るので、当該油滴の粒径の状態を制御することにより、
平均粒子径が小さくて粒子径分布の狭いアミノ酸ブロッ
ク共重合体のポリマー粒子によるエマルジョンを製造す
ることができる。このように、本発明によれば、所望の
平均粒子径を有するアミノ酸ブロック共重合体のポリマ
ー粒子が水系媒体中に分散されてなり、しかも工業的に
容易に製造することのできるアミノ酸ブロック共重合体
のポリマー粒子によるエマルジョンを提供することがで
きる。また、本発明によれば、α−アミノ酸−N−炭酸
無水物の重合後における反応生成エマルジョンに貧溶剤
を添加し、その後に有機溶剤を除去することにより、生
成されるポリマー粒子は、個々の粒子体が内孔を有する
中空状のものとなり、これにより、所望の平均粒子径を
有し、かつ粒子体が内孔を有する中空状であるポリアミ
ノ酸ブロック共重合体のポリマー粒子によるエマルジョ
ンおよび当該ポリマー粒子を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒田 恭子 東京都中央区築地2丁目11番24号 日本 合成ゴム株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−300133(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 69/00 - 69/50 C08L 77/00 - 77/12 C08D 177/00 - 177/12

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリ−α−アミノ酸よりなるブロック成
    分(A)と、他の重合体よりなるブロック成分(B)と
    により構成される(A)−(B)ブロック共重合体また
    は(A)−(B)−(A)ブロック共重合体よりなるポ
    リマー粒子によるエマルジョンであって、ブロック成分(B)を構成する重合体は、ジエン系重合
    体、ポリオレフィン系重合体、酢酸ビニル系重合体、ポ
    リウレタン、ポリカプロラクトンおよびポリジメチルシ
    ロキサンから選ばれたものであり、 当該ポリマー粒子の平均粒子径が0.01〜100μm
    の範囲にあり、かつ該平均粒子径の変動係数が1〜30
    %であることを特徴とするエマルジョン。
  2. 【請求項2】 少なくとも、水と、水の溶解度が10g
    /100ミリリットル以下である有機溶剤とを乳化する
    ことにより、重合反応のための場を形成する水中油分散
    型の基礎エマルジョンを調製し、この基礎エマルジョン
    中において、末端にアミノ基を有する重合体の存在下に
    α−アミノ酸−N−炭酸無水物を重合することにより、
    ポリ−α−アミノ酸よりなるブロック成分(A)と、前
    記重合体よりなるブロック成分(B)とにより構成され
    る(A)−(B)ブロック共重合体または(A)−
    (B)−(A)ブロック共重合体を生成させ、その後、
    有機溶剤を除去することを特徴とするエマルジョンの製
    造方法。
  3. 【請求項3】 ポリ−α−アミノ酸よりなるブロック成
    分(A)と、他の重合体よりなるブロック成分(B)と
    により構成される(A)−(B)ブロック共重合体また
    は(A)−(B)−(A)ブロック共重合体よりなるポ
    リマー粒子によるエマルジョンであって、 当該ポリマー粒子の平均粒子径が0.01〜100μm
    の範囲にあり、該平均粒子径の変動係数が1〜30%で
    あり、かつ該ポリマー粒子の粒子体が内孔を有する中空
    状であることを特徴とするエマルジョン。
  4. 【請求項4】 ポリ−α−アミノ酸よりなるブロック成
    分(A)と、他の重合体よりなるブロック成分(B)と
    により構成される(A)−(B)ブロック共重合体また
    は(A)−(B)−(A)ブロック共重合体よりなるポ
    リマー粒子であって、 当該ポリマー粒子の平均粒子径が0.01〜100μm
    の範囲にあり、該平均粒子径の変動係数が1〜40%で
    あり、かつ該ポリマー粒子の粒子体が内孔を有する中空
    状であることを特徴とするポリマー粒子。
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