JP6291558B2 - 光学用フィルム、並びにディスプレイ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光学用フィルム、並びに当該光学用フィルムを用いたディスプレイ装置に関する。
携帯電話等のモバイル機器の表面に、傷つき防止を目的として、ハードコート(以下、「HC」ともいう)層を有するHCフィルムが粘着剤を介して貼付される場合が多い。また、そのHCフィルムのHC層表面には、モバイル機器の表面の意匠性を高める目的として、加飾印刷が施される場合がある。
しかしながら、HC層は、多数の不飽和結合の重合により高密度に架橋した樹脂層よりなるため、HC層に対するインキ等の印刷材料との密着性は低い傾向にある。
また、HC層を形成するための材料には、表面を平滑にする目的や塗工性を向上させる目的で、シリコーン系やフッ素系等のレベリング剤が配合される場合がある。通常、レベリング剤として使用されるシリコーン系やフッ素系等を配合すると、得られるHC層表面は低極性になるため、印刷材料との親和性が低くなり、印刷材料との密着性が更に低下するという問題がある。
上記の問題を解決することを目的として、様々な提案がなされている。
例えば、特許文献1には、傷つき防止性能及び印刷適正を有するHC層を有するHCフィルムを提供することを目的として、光重合開始剤、(メタ)アクリレートモノマーとアルキルアミド基を有する(メタ)アクリルモノマー及び/又はリン酸塩(メタ)アクリレートとを特定の質量比で含有するHC層を有するHCフィルムが開示されている。
また、特許文献2には、熱転写プリンタを使用した熱転写印刷法によりHC層に直接印刷が可能なHCフィルムを提供することを目的として、基材の少なくとも一方の面に、表面張力が特定値以上のHC層を設けたHCフィルムが開示されている。
特開2009−161609号公報 特開2011−110902号公報
しかしながら、特許文献1のように、HC層を形成するための材料として、アルキルアミド基を有する(メタ)アクリレートモノマー等の特殊なモノマーを用いたとしても、印刷材料との密着性向上の効果は未だ不十分である。
また、特許文献2では、HC層面の表面張力を特定値以上とするための具体的な手段についての開示がない。
加えて、HCフィルムを液晶ディスプレイに用いる場合、液晶ディスプレイおいては、通常基板と液晶の間には、種々の光学要素向上のために多数の層が積層された、多層からなる積層構造が形成される。そのため、液晶ディスプレイに用いられるHCフィルムの表面は、別の層(光学用フィルム)と粘着剤を介して貼付される場合が多い。
しかしながら、HC層の印刷材料との密着性が低いことと同じ理由により、HC層の表面は、粘着剤との接着性も悪いため、粘着剤との接着性を向上させることも求められている。
本発明は、印刷材料との密着性及び粘着剤との接着性に優れると共に、表面硬度が高いため良好な傷つき防止性能を有し、高温高湿の環境下で長時間放置したとしてもこれらの特性が維持される優れた耐久性を有する、光学用フィルム、並びに該光学用フィルムを用いたディスプレイ装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、HC層となる光学用フィルムの樹脂層を形成する硬化性樹脂組成物中に、特定の構造を有する2種類の重合性化合物を、特定の割合で含有することで、上記課題を解決することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔9〕を提供する。
〔1〕少なくとも基材の一方の面上に、硬化性樹脂組成物の硬化物を含む樹脂層が設けられた、光学用フィルムであって、
前記硬化性樹脂組成物が、一分子中に2個以上の下記式(1)で表される基を有し、且つ、該基を除いた残りの構造中にアルキレンオキサイド単位を含まない重合性化合物(A)、一分子中に3個以上の下記一般式(2)で表される基を有する重合性化合物(B)、及び重合開始剤(C)を含有し、(A)成分と(B)成分との質量比〔(A)/(B)〕が15/85〜85/15である、光学用フィルム。

〔上記式(1)中、Rは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、*は結合部分を示す。〕

〔上記式(2)中、Rは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Aは、それぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基を示す。nは、それぞれ独立に1以上の整数である。*は結合部分を示す。〕
〔2〕重合性化合物(B)の一分子における、前記一般式(2)中のnの合計値が4〜20である、上記〔1〕に記載の光学用フィルム。
〔3〕前記一般式(2)中のAが、それぞれ独立にエチレン基又はプロピレン基である、上記〔1〕又は〔2〕に記載の光学用フィルム。
〔4〕前記硬化性樹脂組成物が、さらにレベリング剤(D)を含有する、上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の光学用フィルム。
〔5〕前記樹脂層の表面張力が、30mN/m以上である、上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の光学用フィルム。
〔6〕前記基材の両面に、前記硬化性樹脂組成物の硬化物を含む樹脂層が設けられた、上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の光学用フィルム。
〔7〕前記基材の樹脂層が設けられた面と反対側及び/又は同じ側の面上に、粘着剤からなる粘着剤層を有する、上記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の光学用フィルム。
〔8〕上記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の光学用フィルムを用いた、ディスプレイ装置。
本発明の光学用フィルムは、印刷材料との密着性及び粘着剤との接着性に優れると共に、表面硬度が高いため良好な傷つき防止性能を有し、高温高湿の環境下で長時間放置したとしてもこれらの特性が維持される優れた耐久性を有する。
本発明の光学用フィルムの第1形態である基材の一方の面上に樹脂層が設けられた光学用フィルムの断面図である。 本発明の光学用フィルムの第2形態である基材の両面の面上に樹脂層が設けられた光学用フィルムの断面図である。 本発明の光学用フィルムの第3形態である粘着剤層を有する光学用フィルムの断面図である。 本発明の光学用フィルムの第4形態である粘着剤層を有する光学用フィルムの断面図である。
[光学用フィルム]
本発明の光学用フィルムは、少なくとも基材の一方の面上に、硬化性樹脂組成物の硬化物を含む樹脂層が設けられたものである。本発明の光学用フィルムは、図1に示すような、基材11の一方の面上に樹脂層12が設けられた光学用フィルム1に限らず、図2に示すような、基材11の両面の面上に樹脂層12a、12bが設けられた光学用フィルム2も含まれる。
また、本発明の光学用フィルムは、さらに粘着剤からなる粘着剤層を有していてもよい。
粘着剤層の位置は、基材の樹脂層が設けられた面と反対側の面上に設けてもよく、同じ側の面上に設けてもよく、反対側及び同じ側の面上に設けてもよい。
図3には、粘着剤層を有する本発明の光学用フィルムの構成の一例を示している。図3(a)の光学用フィルム1aは、基材11の樹脂層12が設けられた面と反対側の面上に粘着剤層13を有する光学用フィルムである。また、図3(b)の光学用フィルム1bは、基材11の樹脂層12が設けられた面と同じ側の面上に粘着剤層13を有する光学用フィルムであり、樹脂層12上に粘着剤層13を有する。加えて、図3(c)の光学用フィルム1cは、基材11の樹脂層12が設けられた面と同じ側及び反対側の面上に、粘着剤層13a、13bを有する光学用フィルムであり、樹脂層12上に粘着剤層13aを有する。
なお、粘着剤層が表出する場合には、さらに粘着剤層上に剥離材を積層してもよい。
なお、基材の両面の面上に樹脂層が設けられた光学用フィルムについても、さらに粘着剤層を有していてもよい。そのような粘着剤層が設けられた光学用フィルムの構成としては、例えば、図4に示す光学用フィルム2a、2bの構成が挙げられる。光学用フィルム2aは、基材11の両面の面上に、樹脂層12a、12bが設けられ、さらに樹脂層12bの面上のみに、粘着剤層13を有する。一方、光学用フィルム2bは、基材11の両面に設けられた樹脂層12a、12bの双方の面上に、粘着剤層13a、13bを有する。
以下、本発明の光学用フィルムを構成要素について説明する。
〔基材〕
本発明で用いる基材は、光学用フィルムとして用いることができるものであれば、特に限定されない。このような基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアラミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルフィド、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、フッ素樹脂、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、トリアセチルセルロース等の樹脂フィルム等が挙げられる。これらの中でも、加工性、透明性等の光学特性、汎用性、及びコスト面の観点から、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
なお、これらの基材の表面には、プライマー処理やコロナ処理等の易接着処理が施されていてもよい。
基材の厚さは、用途に応じて適宜選択されるが、好ましくは5〜300μm、より好ましくは10〜100μmである。
〔樹脂層〕
本発明の光学用フィルムを構成する樹脂層は、硬化性樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ともいう)の硬化物を含む層である。
当該樹脂層における、硬化性樹脂組成物の硬化物の含有量は、樹脂層の全質量に対して、好ましくは70〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%、更に好ましくは90〜100質量%である。
この樹脂組成物は、一分子中に2個以上の上記一般式(1)で表される基を有し、且つ、該基を除いた残りの構造中にアルキレンオキサイド単位を含まない重合性化合物(A)、一分子中に3個以上の上記一般式(2)で表される基を有する重合性化合物(B)、及び重合開始剤(C)を含有する。
また、当該樹脂組成物は、さらにレベリング剤(D)やその他の添加剤を含有してもよい。
本発明で用いる樹脂組成物は、重合性化合物(A)と共に重合性化合物(B)を含有することで、得られる樹脂層の表面硬度を高め、耐久性を向上させると共に、樹脂層の印刷材料との密着性及び粘着剤との接着性を良好なものとすることができる。
((A)成分:一分子中に2個以上の一般式(1)で表される基を有し、且つ、該基を除いた残りの構造中にアルキレンオキサイド単位を含まない重合性化合物(A))
本発明で用いる樹脂組成物は、一分子中に2個以上の下記一般式(1)で表される基を有し、且つ、該基を除いた残りの構造中にアルキレンオキサイド単位を含まない重合性化合物(A)を含有する。重合性化合物(A)を含有することで、得られる樹脂層の表面硬度を高めることができる。また、樹脂層の耐久性を向上させることもできる。

〔上記式(1)中、Rは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、*は結合部分を示す。〕
重合性化合物(A)の一分子中に有する上記一般式(1)で表される基の数は、2個以上であり、好ましくは2〜16個、より好ましくは2〜12個、更に好ましくは3〜10個、より更に好ましくは3〜8個である。
当該基の数が2個未満であると、十分な架橋構造が形成されず、得られる樹脂層の表面硬度が低下するため好ましくない。一方、16個以下であれば、架橋密度が高くなり過ぎることによる、得られる樹脂層の印刷特性や密着性の低下を抑えることができるため好ましい。また、硬化収縮によるカールの発生も抑制することもできる。
また、重合性化合物(A)は、上記一般式(1)で表される基を除いた残りの構造中にアルキレンオキサイド単位を含まない化合物である。アルキレンオキサイド単位を含む化合物は、アルキレンオキサイド構造の鎖長が長いために、架橋点間距離が伸び、得られる樹脂層全体の構造が疎になる傾向があり、結果として樹脂層の表面硬度の低下の原因となると考えられる。そのため、本発明では(A)成分として、このような重合性化合物を用いることで、得られる樹脂層の表面硬度を高めていると考えられる。
このような重合性化合物(A)としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、エチレングルコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、及び分子内に2個以上の上記一般式(1)で表される基を有し、該基を除いた残りの構造中にアルキレンオキサイド単位を含まないオリゴエステル(メタ)アクリレート類、オリゴエーテル(メタ)アクリレート類、オリゴウレタン(メタ)アクリレート類、及びオリゴエポキシ(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
なお、これらの(A)成分は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
((B)成分:一分子中に3個以上の一般式(2)で表される基を有する重合性化合物(B))
本発明で用いる樹脂組成物は、一分子中に3個以上の下記一般式(2)で表される基を有する重合性化合物(B)を含有する。
一般式(2)で表されるような(メタ)アクリロイル基とアルキレンオキサイド鎖とが直接結合した基を一分子中に3個以上有する重合性化合物(B)を、(A)成分と共に含有することで、得られる樹脂層の架橋密度を適度に低下させることができるため、ある程度の表面硬度を保ちながら、樹脂層に極性を付与し、印刷材料との密着性や粘着剤との接着性を向上させることができると考えられる。

上記一般式(2)中、Rは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。なお、*は結合部分を示す。
Aは、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキレン基を示すが、エチレン基又はプロピレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。Aが当該アルキレン基であることで、得られる樹脂層の架橋密度を適度に低下させ、印刷材料との密着性や粘着剤との接着性を向上させることができる。
なお、重合性化合物(B)の一分子中に含まれる全アルキレンオキサイド単位に対する、エチレンオキサイド単位の含有量は、印刷材料との密着性や粘着剤との接着性を向上させる観点から、好ましくは60〜100モル%、より好ましくは75〜100モル%、更に好ましくは85〜100モル%、より更に好ましくは実質100モル%である。
nは、アルキレンオキサイド単位の数を示し、それぞれ独立に1以上の整数である。
また、重合性化合物(B)の一分子における、上記一般式(2)中のnの合計値(重合性化合物(B)の一分子中のアルキレンオキサイド単位の合計数)は、3以上であるが、好ましくは4〜20、より好ましくは6〜16、更に好ましくは8〜14である。
当該合計値が4以上であれば、得られる樹脂層の架橋密度を適度に低下させ、印刷材料との密着性や粘着剤との接着性を向上させることができる。
一方、当該合計値が20以下であれば、架橋密度を過度に低下させることがないため、ある程度の表面硬度を保つことができるので好ましい。
重合性化合物(B)の一分子中に有する上記一般式(2)で表される基の数は、3個以上であり、好ましくは3〜16個、より好ましくは3〜12個、更に好ましくは3〜10個、より更に好ましくは5〜8個である。
当該基の数が3個未満であると、得られる樹脂層の架橋密度が低下することになり、表面硬度が低下するため好ましくない。加えて、樹脂層の耐久性が低下する。
一方、16個以下であれば、架橋密度が高くなり過ぎることによる印刷特性や密着性の低下を抑えることができるため好ましい。
このような重合性化合物(B)としては、例えば、アルキレンオキサイド変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、これらの(B)成分は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いる樹脂組成物において、(A)成分と(B)成分との質量比〔(A)/(B)〕は、15/85〜85/15であるが、好ましくは20/80〜80/20、より好ましくは28/72〜72/28、より好ましくは35/65〜65/35、更に好ましくは41/59〜59/41、より更に好ましくは46/54〜54/46である。
当該質量比が15/85未満であると、(B)成分の量が多すぎるため、得られる樹脂層の表面硬度が低下するため好ましくない。加えて、樹脂層の耐久性が低下する。
一方、当該質量比が85/15を超えると、(A)成分の量が多すぎるため、得られる樹脂層の印刷材料との密着性及び粘着剤との接着性が劣る。
((C)成分:重合開始剤)
本発明で用いる重合開始剤(C)としては、(A)成分及び(B)成分の重合性化合物の重合反応を促進させるものであれば、特に限定されず、光重合開始剤、もしくは熱重合開始剤のいずれも使用することができ、これらを併用してもよい。
光重合性開始剤としては、例えば、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、ベンゾイン系、チオキサントン系、及びイミダゾール系光重合開始剤等が挙げられる。
アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等が挙げられる。
ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4,4’−ビス−ジメチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾイン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物等が挙げられる。
チオキサントン系光重合開始剤としては、例えば、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等が挙げられる。
イミダゾール系光重合開始剤としては、例えば、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビスイミダゾリル、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ−(p−メトキシフェニル)ビスイミダゾリル、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等のヘキサアリールビスイミダゾール系化合物等が挙げられる。
これらの光重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、熱重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ジアセチルパーオキシドのような有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]のようなアゾ系化合物が挙げられる。
これらの熱重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの重合開始剤の中でも、反応性の観点から、光重合開始剤が好ましく、アセトフェノン系光重合開始剤がより好ましい。
重合開始剤(C)の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは1〜20質量部、更に好ましくは3〜15質量部である。
((D)成分:レベリング剤)
本発明で用いる樹脂組成物には、得られるHC層の平滑性、並びに塗工性を向上させる観点から、さらにレベリング剤(D)を配合することが好ましい。
レベリング剤(D)としては、例えば、アクリル系、シリコーン系、フッ素系、アクリル系、ビニル系レベリング剤、及びシロキサン変性アクリル系レベリング剤等が挙げられる。
シリコーン系レベリング剤としては、ポリオキシアルキレンとポリジメチルシロキサンの共重合体等を用いることができる。シリコーン系レベリング剤の市販品としては、FZ−2118、FZ−77、FZ−2161(商品名、東レ・ダウコーニング株式会社製)等、KP321、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(商品名、信越化学工業株式会社製)等、TSF4440、TSF4441、TSF4445、TSF4450、TSF4446、TSF4452、TSF4453、TSF4460(商品名、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)等、BYK−300、BYK−302、BYK−306、BYK−307、BYK−320、BYK−325、BYK−330、BYK−331、BYK−333、BYK−337、BYK−341、BYK−344、BYK−345、BYK−346、BYK−348、BYK−377、BYK−378、BYK−UV3500、BYK−3510、BYK−3570(ビックケミー・ジャパン株式会社製)等のポリエーテル変性シリコーンオイル(ポリオキシアルキレン変性シリコーンオイル)等が挙げられる。
フッ素系レベリング剤としては、ポリオキシアルキレンとフルオロカーボンとの共重合体等を用いることができる。フッ素系レベリング剤の市販品としては、DIC株式会社製のMEGAFACシリーズ、住友スリーエム株式会社製のFCシリーズ等が挙げられる。
アクリル系レベリング剤の市販品としては、BYK−350、BYK−352、BYK−354、BYK−355、BYK358N、BYK−361N、BYK−380N、BYK−381、BYK−392(商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)等が挙げられる。
また、シロキサン変性アクリル系レベリング剤の市販品としては、BYK−3550(商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)等が挙げられる。
これらのレベリング剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、得られるHC層の平滑性、並びに塗工性を向上させる観点から、アクリル系レベリング剤又はシロキサン変性アクリル系レベリング剤が好ましく、シロキサン変性アクリル系レベリング剤がより好ましい。
レベリング剤(D)の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.03〜5質量部、更に好ましくは0.06〜3質量部である。
(その他の添加剤)
本発明で用いる樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の添加剤を配合してもよい。
そのような添加剤としては、例えば、消泡剤、増粘剤、界面活性剤、有機系潤滑剤、有機系微粒子、無機系微粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料、帯電防止剤等が挙げられる。
(樹脂層の形成方法)
本発明で用いる樹脂組成物には、基材に塗工し易くし、作業性を向上させるために、更に有機溶媒で希釈して、樹脂層形成用塗工液を調製してもよい。
有機溶媒としては、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、トルエン、キシレン、n−プロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
樹脂層形成用塗工液の固形分濃度としては、好ましくは10〜60質量%、より好ましくは10〜45質量%、更に好ましくは15〜30質量%である。10質量%以上であれば、溶剤の使用量としては十分であり、60質量%以下であれば、適度な粘度となり、塗布作業が容易となる。
上記樹脂層形成用塗工液を基材に塗工する方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、グラビアコート法、バーコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ロールコート法、ダイコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、カーテンコート法等が挙げられる。
なお、該塗工液を塗工し塗工膜を形成させた後、溶媒や低沸点成分の残留を防ぐ観点から、形成された塗工膜に対して、80℃〜150℃程度の温度で、30秒〜5分間程度乾燥させることが好ましい。
樹脂層は、上記塗工膜を硬化させることで形成することができる。
硬化させる方法としては、(C)成分として光重合開始剤を用いる場合は、活性エネルギー線の照射により、また(C)成分として熱重合開始剤を用いる場合は、加熱することにより、進行させることができ、これらを併用することもできる。
活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、α線、β線等が挙げられ、紫外線が好ましい。例えば、紫外線の照射により硬化反応を進行させる場合、紫外線の積算光量は、好ましくは100mJ/cm〜2000mJ/cm、より好ましくは150mJ/cm〜1000mJ/cmある。
このようにして得られる樹脂層の厚みとしては、ハードコート性とコストの観点、並びに収縮を小さくしカールの発生を抑制する観点から、好ましくは1〜20μm、より好ましくは1〜15μmである。
(樹脂層の物性)
樹脂層の表面張力は、インキ等の印刷材料のはじきを抑制する観点から、好ましくは30mN/m以上、より好ましくは33mN/m以上、更に好ましくは35mN/m以上である。なお、上記の表面張力は、「JIS K6768:1999」のぬれ張力試験方法に準拠して測定された値であり、具体的には実施例の記載に基づいて測定された値である。
樹脂層の表面硬度を示す鉛筆硬度としては、F以上の硬さであることが好ましく、H以上の硬さであることがより好ましく、2H以上の硬さであることが更に好ましい。なお、上記の樹脂層の鉛筆硬度は、JIS K 5600−5−4に準じて測定された値であり、具体的には実施例の記載に基づいて測定された値である。
〔粘着剤層〕
本発明の光学用フィルムに設けられる粘着剤層は粘着剤からなる。用いる粘着剤は、特に制限はなく、慣用されているものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。このような粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等が挙げられる。また、粘着剤は、エマルション型、溶剤型、無溶剤型のいずれでもよく、架橋タイプ又は非架橋タイプのいずれであってもよい。
粘着剤の厚さは、用途に応じて適宜選択されるが、好ましくは3〜100μm、より好ましくは5〜80μmである。
[ディスプレイ装置]
以上の構成を有する本発明の光学用フィルムは、印刷材料との密着性及び粘着剤との接着性に優れると共に、表面硬度が高いため良好な傷つき防止性能を有し、優れた耐久性を有する。このような特徴を有する光学用フィルムの用途としては、画像表示部分の保護部材として当該光学用フィルムを用いた液晶ディスプレイ等のディスプレイ装置等が挙げられる。
当該ディスプレイ装置は、画像表示部分の保護部材として、本発明の光学用フィルムが用いられているため、画像表示部分の傷つき防止性能が良好であり、優れた耐久性を有する。
以下の本発明の実施例をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。
〔実施例1、2、7、8、参考例、比較例1〜13〕
表1及び2に示す配合量(いずれも質量部(固形分比))で、(A)〜(D)成分を混合して、硬化性樹脂組成物を調製した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈して、固形分濃度30質量%の樹脂層形成用塗工液を得た。
そして、基材として用いた、両面に易接着処理が施された易接着層付きのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「ルミラーU48」、東レ(株)製、膜厚100μm)の一方の面上に、マイヤーバーを用いて、乾燥後の膜厚が3μmとなるように、調製した樹脂層形成用塗工液を塗布し、塗工膜を形成した。その後、塗工膜を80℃で1分間乾燥後、高圧水銀ランプを用いて、紫外線を300mJ/cm(積算光量)照射して、塗工膜を硬化させて、膜厚3μmの樹脂層を有する光学用フィルムを作製した。
表1及び2中の各成分として用いた化合物は、以下のとおりである。
〔(A)成分〕
・A−TMN−3L:ペンタエリスリトールトリアクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名、上記一般式(1)で表される基(R:水素原子)を2個有するアクリレート)。
・A−DPH:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名、上記一般式(1)で表される基(R:水素原子)を6個有するアクリレート)。
〔(B)成分〕
・A−DPH−12E:エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名、上記一般式(2)で表される基(R:水素原子、A:エチレン基)を6個有するアクリレート(一分子における、上記一般式(2)中のnの合計値は12である))。
・A−GLY−9E:エチレンオキサイド変性グリセリントリアクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名、上記一般式(2)で表される基(R:水素原子、A:エチレン基)を3個有するアクリレート(一分子における、上記一般式(2)中のnの合計値は9である))。
〔その他の重合性化合物〕
・DMAA:ジメチルアクリルアミド。
・A−200:ポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名、上記一般式(2)で表される基(R:水素原子、A:エチレン基)を2個有するアクリレート(一分子における、上記一般式(2)中のnの合計値は4である))。
・A−BPE−6:エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名、上記一般式(2)で表される基(R:水素原子、A:エチレン基)を2個有するアクリレート(一分子における、上記一般式(2)中のnの合計値は6である))。
〔(C)成分〕
・イルガキュア184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製、商品名)。
〔(D)成分〕
・BYK−3550:シロキサン変性アクリルポリマーのレベリング剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名)。
作製した光学用フィルムについて、以下の試験を行い、光学用フィルムの特性について評価した。評価結果を表1及び2に示す。
<表面張力>
「JIS K6768:1999」のぬれ張力試験方法に準拠して、樹脂層の表面張力(mN/m)を測定した。
<印刷材料との密着性>
光学用フィルムの樹脂層の表面に、紫外線硬化型インキ(商品名「UVPAL911墨」、帝国インキ(株)社製)を塗布し、紫外線照射してインキを硬化させ、膜厚1μmの印刷層を形成した光学用フィルムを得た。
そして、印刷層の表面に碁盤目状に1mm幅のクロスカットを施し、その碁盤目状にクロスカットされた印刷層の表面に、粘着テープ(ニチバン社製、商品名「セロテープ(登録商標)」)を貼り、「JIS K5600−5−6」の碁盤目テープ法(クロスカット法)に準拠して、粘着テープの剥離試験を行い、下記の基準で樹脂層の印刷材料との密着性を評価した。
AA:塗膜が、カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にも剥がれが無い。
A:塗膜が、カットの交差点において小さな剥がれがある。クロスカット部分で明確に影響を受けていると判断される部分の割合が、全体の5%以下である。
B:塗膜が、カットの縁に沿って及び/又は交差点において剥がれている。クロスカット部分で明確に影響を受けていると判断される部分の割合が、全体の5%超15%以下である。
C:塗膜が、カットの縁に沿って部分的又は全面的に大剥がれを生じており、及び/又は、数ヶ所の目が部分的又は全面的に剥がれている。クロスカット部分で明確に影響を受けていると判断される部分の割合が、全体の15%超35%以下である。
D:塗膜が、カットの縁に沿って部分的又は全面的に大剥がれを生じており、及び/又は、数ヶ所の目が部分的又は全面的に剥がれている。クロスカット部分で明確に影響を受けていると判断される部分の割合が、全体の35%超65%以下である。
E:クロスカット部分で明確に影響を受けていると判断される部分の割合が、全体の65%超である。
<インキはじき>
樹脂層の表面に、紫外線硬化型インキ(製品名「UVPAL911墨」、帝国インキ株式会社製)を塗布した際のインキのはじきを目視にて確認し、以下の基準にて評価した。
A:はじきが見られない。
B:端部にのみはじきが見られる(それ以外の部分には、はじきが見られない)。
C:全面にはじきが見られる。
<粘着剤との接着性(粘着力の測定)>
実施例及び比較例で得られた光学用フィルムを、両面テープ(リンテック社製、製品名「TL−85S−12」)を用いて、ガラス板(エヌ・エス・ジー・プレシジョン社製、製品名「コーニングガラス イーグルXG」、サイズ:70mm×150mm×0.3mm)に貼付し、樹脂層が表出した被着体を準備した。
そして、粘着力評価用の粘着シート(リンテック社製、製品名「PET25(A)P1069111LL」)を25mm×250mmのサイズに切り出し、粘着シートの剥離材を剥がした後、上記被着体の樹脂層の面上に貼付した。
その後、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で24時間放置し、同環境下で、引張試験機(オリエンテック社製、製品名「テンシロン」)を用いて、JIS Z0237に準じて剥離速度300mm/分、剥離角度180°の条件にて、粘着力(N/25mm)を測定した。
<鉛筆硬度>
JIS K 5600−5−4に準じて、鉛筆引っかき硬度試験機(安田精機製作所社製、製品名「No.553−M」)を用いて、樹脂層表面の鉛筆硬度を測定した。引っかき速度は、1mm/秒とした。
<塗工適性>
上述の光学用フィルムの作製過程において、PETフィルムの面上に、調製したハードコート塗工液を塗布した際、はじきによるピンホールが発生したか否かを目視にて確認し、以下の基準にて評価した。
A:ピンホールの発生は見られなかった。
B:わずかにピンホールの発生が見られた。
C:ピンホールの発生が顕著に見られた。
<耐久性試験>
本試験においては、上述の「印刷材料との密着性」での記載と同様の方法にて作製した、印刷層を形成した光学用フィルムを用いた。当該光学用フィルムを、60℃、90%RH(相対湿度)環境下にて、240時間促進した後に印刷層の表面に、10×10の合計100マスのマス目が形成されるように、碁盤目状に1mm幅の10×10の100マスのクロスカットを施し、その碁盤目状にクロスカットされた印刷層の表面に粘着テープ(ニチバン社製、商品名「セロテープ(登録商標)」)を貼った。そして、JIS K5600−5−6(クロスカット法)の碁盤目テープ法に準拠し該粘着テープを剥離して、剥離試験を行い、樹脂層の耐久性を評価した。表1及び2には、マス目の総数100マスの内、剥離試験後に、印刷層が剥離せずに残ったマス目の数を記載している。
表1から、実施例1〜12の本発明の光学用フィルムは、該フィルムの樹脂層の表面張力が高く、印刷材料との密着性及び粘着剤との接着性に優れると共に、且つ表面硬度が高いため傷つき防止性能に優れていることが分かる。一方、表2から、比較例1〜13の光学用フィルムは、印刷材料との密着性、粘着剤との接着性、該フィルムの樹脂層の表面強度、及び耐久性のいずれかが劣る結果となった。
本発明の光学用フィルムは、印刷材料との密着性及び粘着剤との接着性に優れると共に、表面硬度が高いため良好な傷つき防止性能を有し、優れた耐久性を有する。このような特性を有するため、本発明の光学用フィルムは、例えば、液晶ディスプレイ等のディスプレイ装置の部材として好適である。
1、1a、1b、1c、2、2a、2b 光学用フィルム
11 基材
12、12a、12b 樹脂層
13、13a、13b 粘着剤層

Claims (10)

  1. 少なくとも基材の一方の面上に、硬化性樹脂組成物の硬化物を含む樹脂層が設けられた、光学用フィルムであって、
    前記硬化性樹脂組成物が、一分子中に2個以上の下記式(1)で表される基を有し、且つ、該基を除いた残りの構造中にアルキレンオキサイド単位を含まない重合性化合物(A)(ただし、イソシアヌル酸環含有のポリイソシアネートとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応により得られるウレタン(メタ)アクリレートを除く)、一分子中に5個以上の下記一般式(2)で表される基を有する重合性化合物(B)、及び重合開始剤(C)を含有し、(A)成分と(B)成分との質量比〔(A)/(B)〕が15/85〜59/41であり、前記重合性化合物(B)の一分子における、下記一般式(2)中のnの合計値が6〜20である、光学用フィルム。

    〔上記式(1)中、Rは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、*は結合部分を示す。〕

    〔上記式(2)中、Rは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Aは、それぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基を示す。nは、それぞれ独立に1以上の整数である。*は結合部分を示す。〕
  2. 重合性化合物(B)の一分子における、前記一般式(2)中のnの合計値が8〜20である、請求項1に記載の光学用フィルム。
  3. 前記一般式(2)中のAが、それぞれ独立にエチレン基又はプロピレン基である、請求項1又は2に記載の光学用フィルム。
  4. 前記硬化性樹脂組成物が、さらにレベリング剤(D)を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の光学用フィルム。
  5. 前記樹脂層のぬれ張力が、30mN/m以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の光学用フィルム。
  6. 前記基材の両面に、前記硬化性樹脂組成物の硬化物を含む樹脂層が設けられた、請求項1〜5のいずれかに記載の光学用フィルム。
  7. 前記樹脂層が、粘着剤からなる粘着剤層又は印刷材料からなる印刷層と積層されるために使用される、請求項1〜6のいずれかに記載の光学用フィルム
  8. 粘着剤層又は印刷層を少なくとも有する、請求項1〜7のいずれかに記載の光学用フィルム。
  9. 前記基材の樹脂層が設けられた面と反対側及び/又は同じ側の面上に、粘着剤からなる粘着剤層を有する、請求項1〜8のいずれかに記載の光学用フィルム。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の光学用フィルムを用いた、ディスプレイ装置。
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