次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の第1実施例としてのパーキング装置1の構成の概略を示す構成図であり、図2は、パーキング装置1の要部の構成の概略を示す構成図であり、図3は、油圧アクチュエータ10の一部の構成の概略を示す構成図であり、図4は、磁気ロック装置20の構成の概略を示す構成図である。
第1実施例のパーキング装置1は、車両に搭載され、図示しない変速機のトランスミッションケースの内部または外部に配置される。そして、このパーキング装置1は、シフトレバーの操作位置(シフトレンジ)に応じて出力される電気信号に基づいて変速機のいずれかの回転軸をロックすると共にその回転軸のロックを解除するいわゆるシフトバイワイヤ式のパーキング装置として構成されている。
パーキング装置1は、図1に示すように、複数の歯2aを有すると共に変速機のいずれかの回転軸に取り付けられるパーキングギヤ2と、パーキングギヤ2と係合可能な突部3aを有すると共に図示しないスプリングによりパーキングギヤ2から離間するよう付勢されるパーキングポール3と、往復移動可能なパーキングロッド4と、パーキングロッド4の軸方向に移動可能な筒状のカム部材5と、例えばトランスミッションケースにより回転自在に支持されてパーキングポール3と共にカム部材5を挟持する支持ローラ6と、パーキングロッド4により一端が支持されると共にパーキングポール3をパーキングギヤ2に押し付けるようにカム部材5を付勢するカムスプリング7と、パーキングロッド4に連結されたディテントレバー8と、ピストンロッド12の往復移動によりディテントレバー8を介してパーキングロッド4を往復移動させる油圧アクチュエータ10と、ピストンロッド12の往復移動を規制することによりパーキングロッド4の往復移動を規制する磁気ロック装置20と、を備える。このパーキング装置1では、図示するように、パーキングポール3の突部3aがパーキングギヤ2の隣り合う2つの歯2aの間の凹部と係合することにより、変速機の回転軸がロックされる(パーキングロックが行なわれる)。
パーキングギヤ2やパーキングポール3,パーキングロッド4,カム部材5,支持ローラ6,カムスプリング7は、いずれも周知の構成を有する。ディテントレバー8は、略L字状に形成されており、第1遊端部8aと第2遊端部8bとを有する。第1遊端部8aは、パーキングロッド4の基端部(図1中右端部)に回転自在に連結されている。第2遊端部8bは、例えばトランスミッションケースにより支持される図示しないディテントスプリングに取り付けられた係合部材9と係合可能な係合凹部8rが形成されている。ディテントレバー8のコーナー部(第1,第2遊端部8a,8bの基端部)は、例えばトランスミッションケースにより支持された支軸8sにより回動自在に支持されている。
油圧アクチュエータ10は、シフトレバーの操作位置(シフトレンジ)に応じて出力される電気信号に基づいて電子制御装置により制御される変速機の油圧制御装置からの油圧により動作するよう構成されている。この油圧アクチュエータ10は、図2に示すように、複数の部材から構成されるケース11と、ディテントレバー8の第2遊端部8bに連結されると共にケース11により軸方向(図2中上下方向(第1方向))に移動自在に支持されるピストンロッド12と、ピストンロッド12と一体に成形されると共にケース11に形成されたピストン室11p内に配置されるピストン14と、を備える。
ピストンロッド12は、先端部(図2中上端部)がケース11から外部(図2中上側)に突出するようにケース11により支持されている。このピストンロッド12の先端部には、図3に示すように、先端側から基端側に向けて延びる連結凹部12rが形成されており、この連結凹部12rには、ディテントレバー8の第2遊端部8bが差し込まれている。ディテントレバー8には、連結凹部12r内に位置にするように長穴8hが形成されており、長穴8hには、ピストンロッド12の先端部により支持された連結ピン12pが挿通されている。長穴8hは、その内周と連結ピン12pの外周面との間に空間が画成されるよう形成されている。これにより、ピストンロッド12とディテントレバー8とは、互いにある程度の相対移動を許容するように連結される。
また、ピストンロッド12の軸方向(図2中上下方向)の中央部付近には、ピストンロッド12をその軸方向と直交する方向(図2中左右方向)に貫通すると共に軸方向に延在する穴部12hが形成されており、穴部12hの内部には、被当接部としてのローラ13が配置されている。ローラ13は、ローラベアリングとして構成されており、穴部12hの長手方向(図2,図3中上下方向)の長さより小さい外径を有する。このローラ13は、連結ピン12pと平行に延在するようにピストンロッド12によって支持される支持シャフト12sにより、穴部12h内で回転自在となるよう支持されている。なお、穴部12hは、図2中左右方向に貫通しないものとしてもよい。
ピストン14は、ピストンロッド12の基端部(図2中下端部)にピストンロッド12と一体成形され、シール部材15を介してピストン室11pの内壁面によりピストンロッド12の軸方向に移動自在に支持されている。このピストン14は、ピストン室11pの内部を油室11fとスプリング室11sとに区画する。油室11fは、ピストン室11pのピストン14より図2中下側に画成され、ケース11に形成された油孔11hと連通する。油室11f内には、図示しない油路や油孔11hを介して油圧制御装置からの油圧(作動油)が供給される。スプリング室11sは、ピストン室11pのピストン14より図2中上側に画成される。スプリング室11sのケース11とピストン14との間には、弾性部材としてのリターンスプリング16が配置され、ピストン14は、リターンスプリング16により、スプリング室11s側から油室11f側に向けて(図2中下側に)付勢される。
こうして構成される油圧アクチュエータ10は、組立状態(組立完了時の状態)において、ピストン14が、リターンスプリング16により図1中下向きに付勢されて油室11fの底部に最接近または当接し、ピストンロッド12のケース11からの突出量が最小となる。これにより、ピストンロッド12にディテントレバー8を介して連結されたパーキングロッド4がパーキングポール3の基端部に最接近し、カムスプリング7により付勢されたカム部材5によってパーキングポール3がパーキングギヤ2と係合するように押圧され、変速機の回転軸がロックされる(パーキングロックが行なわれる)。
図1に示すように変速機の回転軸がロックされている状態(以下、適宜「パーキングロック状態」という)で、油圧制御装置からの油圧が油圧アクチュエータ10の油室11fに供給されると、ピストンロッド12は、油室11f内の油圧によりリターンスプリング16の弾性力(付勢力)に抗してピストンロッド12の移動方向(第1方向)における図1中上側(以下、適宜「ロック解除側」という)に移動する。これにより、ディテントレバー8が支軸8sの周りに図1中時計回りに回動すると共にパーキングロッド4が図1中右側に移動する。そして、パーキングロッド4が図1中右側に移動することにより、カム部材5によるパーキングポール3の押圧が解除され、パーキングギヤ2とパーキングポール3との係合、即ち、変速機の回転軸のロックが解除される(パーキングロックが解除される)。したがって、車両の走行中に油圧制御装置からの油圧が油圧アクチュエータ10の油室11fに供給されているときには、変速機の回転軸はロックされない(パーキングロックは行なわれない)。
また、パーキングロックが解除されている状態(以下、適宜「パーキングロック解除状態」という)で、油圧制御装置から油孔11hへの油圧の供給が停止して油室11fから油孔11hを介して作動油が流出し始めると、ピストンロッド12およびピストン14は、リターンスプリング16の弾性力(付勢力)によりピストンロッド12の移動方向における図1中下側(以下、適宜「ロック側」という)に移動する。これにより、ディテントレバー8が支軸8sの周りに図1中反時計回りに回動すると共にパーキングロッド4が図1中左側に移動する。そして、パーキングロッド4が図1中左側に移動することにより、カムスプリング7により付勢されたカム部材5によってパーキングポール3がパーキングギヤ2と係合するように押圧され、変速機の回転軸がロックされる(パーキングロックが行なわれる)。なお、ディテントレバー8の第2遊端部8bの係合凹部8rと係合部材9とが係合することにより、ディテントレバー8の支軸8s周りの回動が図示しないディテントスプリングによってある程度規制され、それにより、パーキングロッド4の移動もある程度規制される。
磁気ロック装置20は、例えばアイドルストップ等により車両のエンジンとエンジンにより駆動されるオイルポンプとが停止するのに伴って油圧アクチュエータ10の油室11fに供給される油圧が低下したときに、リターンスプリング16の弾性力(付勢力)によってピストンロッド12およびピストン14がロック側(図1中下側)に移動するのを規制し、パーキングロック解除状態からパーキングロック状態に移行しないようにするために用いられる。
この磁気ロック装置20は、図4に示すように、ピストンロッド12に設けられた被当接部としてのローラ13(図2参照)と当接可能な当接部210を有するロックシャフト21と、ロックシャフト21の図4中右側に配置されてロックシャフト21と当接する伝達シャフト24と、ロックシャフト21を軸方向(図4中左右方向(第2方向))に移動自在に支持するシャフトホルダ28と、シャフトホルダ28を保持すると共に磁力によりロックシャフト21および伝達シャフト24をロックする(図4中左右方向の移動を規制する)磁気部30と、を備える。
ロックシャフト21は、ステンレスなどの非磁性体や鉄などの磁性体に少なくとも表面を硬化させる表面硬化処理(例えば焼き入れ処理など)が施されて形成されており、図4に示すように、一端部(先端部)に当接部210が設けられると共に当接部210付近を除いて円柱状の小径部22と、小径部22から当接部210とは反対側に延出し且つ小径部22より大径で且つ円柱状の大径部23と、を有する。なお、ステンレスなどの非磁性体や鉄などの磁性体に焼き入れ処理が施されると、一般に、処理後は磁性体となっている。また、ロックシャフト21の伝達シャフト24側(図4中右側)の端面214は、ロックシャフト21の軸方向と直交する方向に延在する平坦面とされている。小径部22と大径部23との境界付近の小径部22の外周面には、テーパ部220が形成されている。このテーパ部220は、小径部22の外周面が当接部210側から大径部23側に向かうにつれて先細となる(外径が小さくなる)ように形成されている。
小径部22の先端部に形成される当接部210は、二面幅形状を有するように成形されている。この当接部210は、ピストンロッド12の移動方向(図4中上下方向)におけるロック側(図中下側)に位置する第1当接面211と、ピストンロッド12の移動方向におけるロック解除側(図中上側)に位置する第2当接面212と、を有する。第1当接面211は、当接部210側から大径部23側に向かうにつれてロック側に傾斜するように形成されており、具体的には、ローラ13の外周面の半径(曲率半径)より小さい曲率半径を有すると共にロック側に凸となる断面円弧状の曲面とされている。第2当接面212は、当接部210側から大径部23側に向かうにつれてロック解除側に傾斜するよう形成されており、具体的には、ロック解除側に一定角度で傾斜する(平坦な)斜面とされている。
伝達シャフト24は、ステンレスなどの非磁性体により形成されており、図4に示すように、円柱状の小径部25と、小径部25からロックシャフト21側に延出し且つ小径部25より大径で且つ円柱状の大径部26と、を有する。この伝達シャフト24のロックシャフト21側(図4中左側)の端面240は、ロックシャフト21側に凸となる球面状に形成されている。また、伝達シャフト24のロックシャフト21とは反対側(図4中右側)の端面241は、図4中右側に凸となる球面状に形成されている。小径部25と大径部26との境界付近の小径部25の外周面には、テーパ部250が形成されている。このテーパ部250は、小径部25の外周面が小径部25の端面241側から大径部26側に向かうにつれて先細となる(外径が小さくなる)ように形成されている。
シャフトホルダ28は、アルミニウムなどの非磁性体により形成されており、図4に示すように、中空円筒状の円筒部280と、円筒部280の磁気部30側(図4中右側)の端部から径方向内側に延出する環状の内側フランジ部281と、円筒部280の磁気部30側の端部から径方向外側に延出する環状の外側フランジ部282と、を有する。円筒部280の軸方向の長さは、ロックシャフト21の小径部22の軸方向の長さより小さい値に定められている。また、内側フランジ部281の内径は、ロックシャフト21の小径部22の外径より大きく且つロックシャフト21の大径部23の外径より小さい値に定められている。シャフトホルダ28の内部には、小径部22の外周面を摺動自在に支持する直動軸受29が固定されている。直動軸受29は、中空円筒状の外筒,その外筒に収容されると共に複数の球体循環路を有する筒状の球体保持器,その球体保持器の各球体循環路に配置される複数の球体などを有する周知の直動軸受として構成されている。ロックシャフト21は、磁気部30側(図4中右側)からシャフトホルダ28の内側フランジ部281および直動軸受29に挿通され、当接部210周辺がシャフトホルダ28および直動軸受29から図4中左側に突出する。第1実施例では、直動軸受29によってロックシャフト21の小径部22を支持することにより、ロックシャフト21のガタつきを抑制しつつロックシャフト21を軸方向(図4中左右方向)にスムーズに移動させることができる。また、ロックシャフト21の大径部23の外径がシャフトホルダ28の内側フランジ部281の内径より大きいことにより、ロックシャフト21や伝達シャフト24がシャフトホルダ28から図4中左側に抜け出してしまうのを抑止することができる。
磁気部30は、図4に示すように、軸方向(図4中左右方向)に移動可能なプランジャ31と、プランジャ31の外周を囲むように配置される第1コア32と、プランジャ31および第1コア32よりシャフトホルダ28側(図4中左側)で且つ伝達シャフト24の外周を囲むように配置される第2コア33と、第1コア32と第2コア33との間で両者に接するように配置されるギャップ部材34と、第1コア32とギャップ部材34と第2コア33との大部分の外周を囲むように配置されるコイル35と、コイル35よりシャフトホルダ28とは反対側(図4中右側)で且つ第1コア32の図4中右端部の外周を囲むように配置される環状の永久磁石36と、伝達シャフト24やプランジャ31,第1コア32,第2コア33,ギャップ部材34,コイル35,永久磁石36などを収容するケースとして機能すると共にシャフトホルダ28を保持するヨーク37と、永久磁石36やヨーク37の図4中右端部を保持するように装着されるリヤキャップ38と、プランジャ31とリヤキャップ38との間に配置されると共に弾性力によりプランジャ31をシャフトホルダ28側に付勢する弾性部材としてのスプリング39と、を備える。
プランジャ31は、鉄などの磁性体の表面に非磁性体の層が設けられて円筒状に形成されており、図4に示すように、軸方向のシャフトホルダ28側(図4中左側)に形成された凹部310と、凹部310を囲む平坦面(具体的には、プランジャ31の軸方向とは直交する方向に延在する平坦面)でかつ環状の端面313と、軸方向の凹部310とは反対側に形成された凹部315と、凹部315を囲む平坦かつ環状の端面316と、を有する。このプランジャ31には、凹部310と凹部315とを連通するように空気孔319が形成されている。
凹部310は、底面311と内周面とを有する円孔部として形成されており、この凹部310には、伝達シャフト24のプランジャ31側(図4中右側)の端面241が底面311に当接するように伝達シャフト24が挿入される。凹部310の底面311は、プランジャ31の軸方向と直交する方向に延在する平坦面とされている。凹部310の深さは、伝達シャフト24の小径部25の軸方向の長さより浅い値に定められており、凹部310の内径は、伝達シャフト24の小径部25の外径より若干大きく且つ第2コア33の吸引部331(後述)の内径より大きい値に定められている。
このプランジャ31は、凹部310と凹部315とが同一形状に形成され、全体として、軸方向の中心を通り且つ軸方向と直交する第1平面(図4参照)に対して伝達シャフト24側とその反対側とで対称となるように形成されている。これにより、プランジャ31を図4の位置に配置する際に、端面313側と端面316とのいずれを伝達シャフト24側としてもよいから、作業性を向上させることができる。
第1コア32は、鉄などの磁性体により形成されており、内径がプランジャ31の外径より若干大きい中空円筒状に形成されている。第1コア32のシャフトホルダ28側の大部分は、コイル35と径方向(軸方向と直交する方向)で重なっている。
ギャップ部材34は、第1コア32と第2コア33との間に所定間隔(磁気回路における磁気ギャップ)を設けると共に第1コア32と第2コア33とを互いに固定するために銅ロウなどの非磁性体により形成されており、内径および外径が第1コア32の内径および外径と同一の環状に形成されている。このギャップ部材34は、コイル35の軸方向の中心を通り且つ軸方向と直交する第2平面(図4参照)を含むように配置されている。
第2コア33は、鉄などの磁性体により形成されており、内径が伝達シャフト24の小径部25の外径より若干大きく且つプランジャ31の凹部310の内径より若干小さいと共に外径が第1コア32やギャップ部材34と同一の中空円筒状の第1内径部330と、第1内径部330からシャフトホルダ28側(図4中左側)に延出し且つ内径が第1内径部330の内周面の内径より大きいと共に外径が第1内径部330と同一の中空円筒状の第2内径部333と、第2内径部333のシャフトホルダ28側の端部から径方向外側に延出する環状のフランジ部334と、を有する。第1内径部330および第2内径部333のフランジ部334より第1内径部330側の部分は、コイル35と径方向で重なっている。第2コア33のシャフトホルダ28側(図4中左側)の端面は、シャフトホルダ28の第2コア33側(図4中右側)の端面と当接している。
第1内径部330のプランジャ31側(図4中右側)の端部は、ギャップ部材34より径方向内側でプランジャ31側に延出しており、ギャップ部材34と径方向で重なっている。この第1内径部330のプランジャ31側の端部は、永久磁石36,ヨーク37,第2コア33(フランジ部334,第2内径部333,第1内径部330),プランジャ31,第1コア32,永久磁石36により構成される磁路を通る磁束(以下、適宜「磁石起因磁束」という)によりプランジャ31を第2コア33側に吸引する部分となるから、以下、この部分を吸引部331という。上述したように、ギャップ部材34は、第2平面を含むように配置されているから、このギャップ部材34と径方向で重なっている吸引部331は、コイル35より径方向内側で且つコイル35の軸方向の中央に配置されていると言える。この吸引部331のプランジャ31側の端面332は、第2コア33の軸方向とは直交する方向に延在する平坦面として形成されている。
コイル35は、ケースとしてのヨーク37に取り付けられる図示しないコネクタに接続される端子を有する。コイル35には、油圧制御装置を制御する電子制御装置などにより制御される電源回路やコネクタを介して図示しない車両の補機バッテリから電流が印加される。永久磁石36は、環状に形成されており、径方向外側がN極で径方向内側がS極となるように着磁されている。なお、N極とS極とが反対となるように着磁されるものとしてもよい。ヨーク37は、鉄などの磁性体により形成されており、中空円筒状の円筒部370と、円筒部370からシャフトホルダ28側に延出すると共に第2コア33のシャフトホルダ28側(図4中左側)の端面とによりシャフトホルダ28を保持するホルダ支持部371と、を有する。ホルダ支持部371は、シャフトホルダ28の外側フランジ部282の外周および図4中左側の端面を覆うように形成されている。スプリング39は、図4に示すように、油圧アクチュエータ10のリターンスプリング16より小さいバネ定数(剛性)を有する。このスプリング39は、互いに固定されていないロックシャフト21と伝達シャフト24とプランジャ31とを一体にシャフトホルダ28側(図4中左側)に付勢する。
こうして構成される磁気部30では、コイル35への非通電時には、ロックシャフト21と伝達シャフト24とプランジャ31とは、磁石起因磁束に基づく吸引部331によるプランジャ31に対する吸引力とスプリング39の弾性力とにより、シャフトホルダ28側に付勢される。また、コイル35への通電時には、その通電に伴って発生する、磁石起因磁束をキャンセルするための磁束(以下、適宜「キャンセル磁束」という)により、吸引部331によるプランジャ31の吸引がキャンセルされ、ロックシャフト21と伝達シャフト24とプランジャ31とは、スプリング39の弾性力だけによりシャフトホルダ28側に付勢される。第1実施例では、吸引部331によるプランジャ31に対する吸引力およびスプリング39の弾性力との和が、ピストンロッド12のローラ13とロックシャフト21の当接部210の第2当接面212との当接時にリターンスプリング16の弾性力(図2,図4中下向きの力)によりローラ13から第2当接面212に作用する力のロックシャフト21等の軸方向の分力(以下、適宜「リターンスプリング分力」という)より大きくなり、且つ、スプリング39の弾性力がリターンスプリング分力より小さくなるように、磁気部30の仕様が定められている。したがって、ロックシャフト21と伝達シャフト24とプランジャ31とは、コイル35への非通電時には、リターンスプリング分力によりリヤキャップ38側に移動しないが、コイル35への通電時には、リターンスプリング分力により一体にリヤキャップ38側に移動する。
なお、第1実施例では、ロックシャフト21と伝達シャフト24とプランジャ31との軸方向(図4中左右方向)の最大ストローク量(図4の例では、プランジャ31の端面316とリヤキャップ38の内底面との距離)は、第2コア33の第2内径部333の軸方向の長さより短い値に定められている。また、図4に示すように、プランジャ31の端面313が吸引部331の端面332に当接するときに、ロックシャフト21の大径部23は、シャフトホルダ28の磁気部30側の端面に当接しない。したがって、ロックシャフト21と伝達シャフト24とプランジャ31とが軸方向に移動するときに、ロックシャフト21の大径部23がシャフトホルダ28の磁気部30側の端面に当接したり伝達シャフト24の大径部26が第2コア33の第1内径部330のシャフトホルダ28側の端面に当接したりするのを抑制することができる。
こうして構成される磁気ロック装置20は、組立状態(組立完了時の状態)において、磁石起因磁束に基づく吸引部331によるプランジャ31に対する吸引力とスプリング39の弾性力とにより、プランジャ31の端面313が吸引部331の端面332に当接するように、ロックシャフト21と伝達シャフト24とプランジャ31とが一体にシャフトホルダ28側(図4中左側)に付勢されている。
第1実施例では、伝達シャフト24が非磁性体により形成されている。これにより、伝達シャフト24が磁性体により形成されるものに比して、磁石起因磁束やキャンセル磁束の伝達シャフト24による磁束漏れを低減することができ、磁気効率を高くすることができる。しかも、シャフトホルダ28も非磁性体により形成されている。これにより、磁石起因磁束やキャンセル磁束のシャフトホルダ28による磁束漏れも低減することができる。また、プランジャ31の伝達シャフト24側には、凹部310が形成されている。これにより、凹部310が形成されていないものに比して、吸引部331とプランジャ31の端面313付近の部分との磁路の面積の差が小さくなるから、吸引部331とプランジャ31(特に端面313付近)との間での磁束漏れを抑制することができる。しかも、プランジャ31の凹部310の内径は、吸引部331の内径より大きい値に定められている。これにより、吸引部331とプランジャ31(特に端面313付近)との間での磁束漏れをより抑制することができる。
また、第1実施例では、磁気部30の永久磁石36が、第1コア32の図4中右端部の外周を囲むように配置されている。したがって、永久磁石36がプランジャ31と図4中左右方向で対向する位置(例えば、吸引部331の位置)などに配置されるものに比して、プランジャ31の移動時にプランジャ31と永久磁石36とが当接しないようにすることができ、永久磁石36を保護することができる。しかも、この永久磁石36が、コイル35よりシャフトホルダ28とは反対側に配置されると共に径方向に着磁されている。これにより、この位置に配置されて軸方向に着磁されるものに比して、磁石起因磁束を形成する磁気回路(永久磁石36,ヨーク37,第2コア33,プランジャ31,第1コア32,永久磁石36)の磁路長、特に、図4中左右方向の長さを短くすることができる。
この磁気ロック装置20は、油圧アクチュエータ10のピストンロッド12の軸方向(図1,図2中上下方向)と磁気ロック装置20のロックシャフト21および伝達シャフト24およびプランジャ31の軸方向(図1,図2中左右方向)とが直交すると共にロックシャフト21の当接部210がピストンロッド12の穴部12h内でローラ13と当接可能となるように、油圧アクチュエータ10のケース11に取り付けられる(固定される)。このようにピストンロッド12の軸方向とロックシャフト21等の軸方向とが直交するように磁気ロック装置20が油圧アクチュエータ10に取り付けられることにより、両者が同一軸線上に配置されるものに比して、トランスミッションケースの内部または外部の限られたスペースに油圧アクチュエータ10および磁気ロック装置20を容易に配置することができる。また、このときには、ピストンロッド12の軸方向(図2中上下方向)から見て、ロックシャフト21の当接部210とローラ13の外周面の少なくとも一部とが重なり、両者の間には第1所定間隔が形成される。これにより、磁気ロック装置20がケース11に取り付けられるときに、第1当接面211とローラ13とが当接してその当接によってロックシャフト21等がリヤキャップ38側に移動する(ロックシャフト21等が、磁石起因磁束に基づく吸引部331によるプランジャ31に対する吸引力とスプリング39の弾性力との和の力に抗してリヤキャップ38側に移動させられる)ものに比して、磁気ロック装置20の油圧アクチュエータ10への取付を容易なものとすることができる。
また、磁気ロック装置20がケース11に取り付けられるときには、図2に示すように、ヨーク37が支持部材50を介してケース11に固定される。コイル35への非通電時に、ピストンロッド12のローラ13とロックシャフト21の当接部210(第1当接面211や第2当接面212)との当接時にローラ13から当接部210に作用する力の図2,図4中右向きの分力は、図2や図4から分かるように、ロックシャフト21,伝達シャフト24,プランジャ31,プランジャ31との間に吸引力が生じる第2コア33(第1内径部330,第2内径部333,フランジ部334)を介してヨーク37のホルダ支持部371に作用する。このため、ヨーク37が支持部材50を介してケース11に固定されていないときには、ヨーク37が図2,図4中右側に移動しようとしてホルダ支持部371とシャフトホルダ28の外側フランジ部282との間に比較的大きな力が作用する。これに対して、第1実施例では、ヨーク37が支持部材50を介してケース11に固定されるから、ホルダ支持部371と外側フランジ部282との間に大きな力が作用するのを抑制することができる。この結果、ヨーク37やシャフトホルダ28をより保護することができる。
次に、こうして構成された第1実施例のパーキング装置1および磁気ロック装置20の動作について説明する。
油圧アクチュエータ10の油室11fに油圧制御装置からの油圧(作動油)が供給されておらず且つ磁気ロック装置20の磁気部30のコイル35に通電されていないときには、油圧アクチュエータ10および磁気ロック装置20は、図2に示す状態となっており、パーキング装置1により変速機の回転軸がロックされている(パーキングロックが行なわれている)。このとき、油圧アクチュエータ10では、ピストンロッド12が、リターンスプリング16の弾性力によりロック側(図2中下側)に付勢されてケース11の底部に最接近または当接している。また、磁気ロック装置20では、磁石起因磁束に基づく吸引部331によるプランジャ31に対する吸引力とスプリング39の弾性力とにより、ロックシャフト21と伝達シャフト24とプランジャ31とが一体にピストンロッド12側(図2中左側)に付勢され、プランジャ31の端面313が第2コア33の吸引部331の端面332に当接すると共にロックシャフト21の当接部210が穴部12h内でローラ13と当接可能となっている。さらに、ロックシャフト21の当接部210の第1当接面211とローラ13との間には第1所定間隔が形成されている。
そして、車両の走行開始に際してパーキングロック状態からパーキングロック解除状態に移行させるときには、油圧アクチュエータ10の油室11fに油圧制御装置からの油圧(作動油)の供給が開始されると共に磁気部30のコイル35への通電が開始される。コイル35への通電が開始されると、その通電によって発生するキャンセル磁束により、第2コア33の吸引部331によるプランジャ31の吸引がキャンセルされる。したがって、ロックシャフト21と伝達シャフト24とプランジャ31とは、スプリング39の弾性力だけによりピストンロッド12側(図2中左側)に付勢されている状態となる。
油圧制御装置からの油圧が油圧アクチュエータ10の油室11fに供給されると、ピストンロッド12およびピストン14は、図5に示すように、油室11f内の油圧によりリターンスプリング16の弾性力に抗してロック解除側(図5中上側)に移動し、ピストンロッド12のローラ13がロックシャフト21の当接部210の第1当接面211と当接する。なお、このときには、ロックシャフト21では、第1当接面211のローラ13から力を受ける受圧部が力点となると共に小径部22の直動軸受29により支持される被支持部が支点や作用点となり、それぞれ、ローラ13,直動軸受29から力を受ける。そして、ローラ13が第1当接面211上を転動し、それに伴って、ローラ13から第1当接面211に、ローラ13と第1当接面211との接線と直交する方向の力(以下、適宜「第1法線方向力」という)が作用する。この第1法線方向力のロックシャフト21の軸方向の分力(図5中右向きの力)により、互いに固定されていないロックシャフト21と伝達シャフト24とプランジャ31とは、スプリング39の弾性力に抗して一体となってピストンロッド12から離間する(リヤキャップ38側に移動する)。
そして、図6に示すように、ピストンロッド12のロック解除側への移動に伴ってローラ13とロックシャフト21の当接部210の第1当接面211との当接が終了すると、ロックシャフト21と伝達シャフト24とプランジャ31とは、スプリング39の弾性力によりピストンロッド12側(図6中左側)に移動し、ローラ13が第2当接面212上を転動するようになる。なお、このときには、ローラ13がピストンロッド12と共にロック解除側(図6中上側)に移動していくことから、基本的に、ローラ13から第2当接面212にロックシャフト21等をリヤキャップ38側(図6中右側)に移動させる力は作用しない。その後、油圧により、ピストンロッド12は更にロック解除側に移動し、図7に示すように、ローラ13と第2当接面212との間に第2所定間隔が形成される位置で停止する。
このようにして、ピストンロッド12が油圧によりロック解除側への移動を開始してから停止するまでの間に、ディテントレバー8が支軸8sの周りに図1の時計回りに回動すると共に、パーキングロッド4が図1中右側に移動する。これにより、パーキングロッド4の移動に伴ってカム部材5によるパーキングポール3の押圧が解除され、パーキングロックが解除される。こうしてパーキングロック解除状態が形成されると、コイル35への通電が終了される。
第1実施例では、ピストンロッド12が油圧によりロック解除側に移動する際に、磁気部30のコイル35への通電が開始されて、磁気部30の第2コア33の吸引部331によるプランジャ31の吸引がキャンセルされる。したがって、コイル35に通電されない即ち吸引部331によるプランジャ31の吸引がキャンセルされないものに比して、ロックシャフト21と伝達シャフト24とプランジャ31とをピストンロッド12からより容易に離間させる(リヤキャップ38側に移動させる)ことができる。これにより、ピストンロッド12をロック解除側に迅速に移動させたり、ピストンロッド12をロック解除側に移動させるのに要する油圧を小さくしたりすることができる。
また、第1実施例では、ピストンロッド12が油圧によりロック解除側に移動する際にローラ13から力を受ける第1当接面211が、ローラ13の外周面の半径(曲率半径)より小さい曲率半径を有する。これにより、ピストンロッド12がロック解除側に移動する際にローラ13からロックシャフト21に作用する第1法線方向力におけるロックシャフト21の軸方向の分力をより大きくすることができるから、パーキングロックを解除する際に油圧アクチュエータ10の油室11fに供給すべき油圧の上昇を抑制することができる。
さらに、第1実施例では、ローラ13がピストンロッド12により回転自在に支持されており、ピストンロッド12がロック解除側に移動する際に、ローラ13が第1当接面211や第2当接面212上を転動する。これにより、ローラ13と第1当接面211や第2当接面212との間の摩擦抵抗を低減させて両者の耐摩耗性(耐久性)を向上させることができる。
図7に示すように、油圧によりピストンロッド12がロック解除側に移動してパーキングロックが解除された後、油圧制御装置からの油圧が油圧アクチュエータ10の油室11fに供給されているときには、パーキングロック解除状態を保持することができる。なお、このときには、上述したように、ロックシャフト21の当接部210の第2当接面212とピストンロッド12のローラ13とは互いに離間している。また、コイル35への通電は行なわれない。したがって、磁気ロック装置20では、磁石起因磁束に基づく吸引部331によるプランジャ31に対する吸引力とスプリング39の弾性力とにより、ロックシャフト21と伝達シャフト24とプランジャ31とが一体にピストンロッド12側(図7中左側)に付勢され、プランジャ31の端面313が第2コア33の吸引部331の端面332に当接すると共にロックシャフト21の当接部210が穴部12h内でローラ13と当接可能となっている。さらに、ロックシャフト21の当接部210の第2当接面212とローラ13との間には第2所定間隔が形成されている。
図7のパーキングロック解除状態で、アイドルストップの実行等によるエンジンとこのエンジンにより駆動されるオイルポンプとが停止されると、油圧制御装置から油圧アクチュエータ10の油室11fに十分な油圧が供給されなくなり、図8に示すように、ピストンロッド12およびピストン14がリターンスプリング16の弾性力によりロック側(図8中下側)に移動して、ピストンロッド12のローラ13がロックシャフト21の当接部210の第2当接面212に当接する。なお、このときには、ロックシャフト21では、第2当接面212のローラ13から力を受ける受圧部が力点となると共に小径部22の直動軸受29により支持される被支持部が支点や作用点となり、それぞれ、ローラ13,直動軸受29から力を受ける。
第1実施例では、上述したように、磁石起因磁束に基づく吸引部331によるプランジャ31に対する吸引力とスプリング39による弾性力との和が上述のリターンスプリング分力より大きくなるように磁気部30の仕様が定められているから、ロックシャフト21等がピストンロッド12から離間する側に移動するのを規制することができ、ピストンロッド12がロック側に移動するのを規制することができる。この結果、アイドルストップ等の実行により油圧アクチュエータ10の油室11fの油圧が低下したときでも、パーキングロック解除状態を保持することができる。しかも、この際にコイル35に電流を印加する必要がないから、電力消費を抑制することができると共に何らかの事情によりコイル35に通電することができないときでもパーキングロック解除状態を保持することができる。
また、第1実施例では、磁気部30の第2コア33の吸引部331がコイル35より径方向内側で且つコイル35の軸方向の中央に配置されている。磁石起因磁束やキャンセル磁束は、コイル35より径方向内側では、コイル35の軸方向の端部付近より中央付近で軸方向に揃いやすい(軸方向の磁束密度が高くなりやすい)。したがって、第2コア33の軸方向とは直交する方向に延在する平坦面として形成された吸引部331の端面332は、コイル35より径方向内側を通る磁束(軸方向の磁束)に対して垂直となる位置に形成されている、と言える。また、この吸引部331の端面332は、プランジャ31の軸方向とは直交する方向に延在する平坦面として形成されたプランジャ31の吸引部331側の端面313と平行となる。このように、吸引部331がコイル35の軸方向の中央に配置され且つ吸引部331の端面332がコイル35より径方向内側を通る磁束に対して垂直となる位置に形成され且つこの吸引部331の端面332がプランジャ31の端面313と平行であることにより、コイル35の軸方向の中央以外(端部など)に配置されることによって磁束の向きが揃いにくいものや、吸引部331の端面がコイル35より径方向内側を通る磁束に対して垂直となる位置に形成されていないもの,吸引部331の端面331とプランジャ31の端面313とが平行でないものに比して、軸方向の磁束密度を高くすることができる。これにより、装置の大型化を抑制しながら、コイル35への非通電時における吸引部331によるプランジャ31に対する吸引力を大きくすることができ、ロックシャフト21および伝達シャフト24およびプランジャ31の軸方向の移動をより確実に(より大きな力で)規制することができる。この結果、装置のコンパクト化を図りながら、ピストンロッド12のローラ13とロックシャフト21の当接部210の第2当接面212との当接時にピストンロッド12のロック側への移動をより確実に規制することができる。しかも、コイル35への非通電時には(図7や図8参照)、磁石起因磁束に基づく吸引部331によるプランジャ31に対する吸引力とスプリング39の弾性力とにより、プランジャ31の端面313が吸引部331の端面332に当接するように、ロックシャフト21と伝達シャフト24とプランジャ31とが一体にシャフトホルダ28側に付勢されている。これにより、吸引部331の端面332とプランジャ31の端面313とが当接しないものに比して、吸引部331とプランジャ31との間隔を短くすることができるから、コイル35への非通電時における吸引部331によるプランジャ31に対する吸引力をより大きくすることができる。
さらに、第1実施例では、ロックシャフト21の当接部210の第2当接面212は、当接部210側から大径部23側に向かうにつれてロック解除側に一定角度で傾斜する(平坦な)斜面とされている。これにより、ローラ13から第2当接面212に作用する力は、ローラ13と第2当接面212との当接位置に拘わらず一定となる。この結果、コイル35への非通電時における吸引部331によるプランジャ31に対する吸引力を必要以上に大きくする必要がないから、磁気ロック装置20ひいてはパーキング装置1が必要以上に大型化するのを抑制することができる。
図7や図8のパーキングロック解除状態で、磁気部30のコイル35への通電が開始されると、その通電に伴って発生するキャンセル磁束により、第2コア33の吸引部331によるプランジャ31の吸引がキャンセルされる。したがって、ロックシャフト21と伝達シャフト24とプランジャ31とは、スプリング39の弾性力だけによりピストンロッド12側(図2中左側)に付勢されている状態となる。コイル35への通電が行なわれながら油圧制御装置から油圧アクチュエータ10の油室11fへの油圧が低下すると、油室11fから油孔11hを介して作動油が流出し、図7の状態からは、ピストンロッド12およびピストン14がリターンスプリング16の弾性力によりロック側(図7中下側)に移動して、ピストンロッド12のローラ13がロックシャフト21の当接部210の第2当接面212に当接する。また、図8の状態では、ローラ13が第2当接面212に既に当接している。そして、ローラ13が第2当接面212上を転動し、それに伴って、ローラ13から第2当接面212に、ローラ13と第2当接面212との接線と直交する方向の力(以下、適宜「第2法線方向力」という)が作用する。この第2法線方向力のロックシャフト21の軸方向の分力(上述のリターンスプリング分力、図7,図8中右向きの力)により、互いに固定されていないロックシャフト21と伝達シャフト24とプランジャ31とは、スプリング39の弾性力に抗して一体となってピストンロッド12から離間する(リヤキャップ38側に移動する)。
そして、ピストンロッド12のロック側への移動に伴ってローラ13とロックシャフト21の当接部210の第2当接面212との当接が終了すると、ロックシャフト21と伝達シャフト24とプランジャ31とは、スプリング39の弾性力によりピストンロッド12側に移動し、ローラ13が第1当接面211上を転動するようになる。なお、このときには、ローラ13がピストンロッド12と共にロック側に移動していくことから、基本的に、ローラ13から第1当接面211にロックシャフト21等をリヤキャップ38側に移動させる力は作用しない。そして、リターンスプリング16の弾性力により、ピストンロッド12は更にロック側に移動し、図2に示すように、ローラ13と第1当接面211との間に第1所定間隔が形成される位置で停止する。
このようにして、ピストンロッド12がリターンスプリング16の弾性力によりロック側への移動を開始してから停止するまでの間に、ディテントレバー8が支軸8sの周りに図1の反時計回りに回動すると共に、パーキングロッド4が図1中左側に移動する。これにより、パーキングロッド4の移動に伴ってカムスプリング7により付勢されたカム部材5によってパーキングポール3がパーキングギヤ2と係合するよう押圧され、パーキングロックが行なわれる。こうしてパーキングロック状態が形成されると、コイル35への通電が終了される。
ピストンロッド12がロック側に移動する際にも、ロック解除側に移動する際と同様に、ローラ13が第2当接面212や第1当接面211上を転動する。これにより、ローラ13と第2当接面212や第1当接面211との間の摩擦抵抗を低減させて両者の耐摩耗性(耐久性)を向上させることができる。
第1実施例では、磁気ロック装置20のロックシャフト21と伝達シャフト24とが別体に構成されており、これらが一体に軸方向に移動する際に、伝達シャフト24が第2コア33の吸引部331より径方向内側で軸方向に移動する。ロックシャフト21と伝達シャフト24とが別体に構成されていることにより、ピストンロッド12のローラ13とロックシャフト21の当接部210の第1当接面211との当接時(図5参照)やピストンロッド12のローラ13とロックシャフト21の当接部210の第2当接面212との当接時(図8参照)などに、ロックシャフト21が径方向にガタついたとしても、そのガタつきが伝達シャフト24に伝達されるのを抑制することができ、伝達シャフト24が径方向にガタつくのを抑制することができる。これにより、ロックシャフト21と伝達シャフト24とが1つの部材として形成されるものに比して、伝達シャフト24の外周と吸引部331の内周とのクリアランスを小さくする、即ち、第1内径部330の内周面の内径を小さくすることができる。この結果、磁気ロック装置20の磁気効率の向上やコンパクト化を図ることができる。しかも、ロックシャフト21の伝達シャフト24側の端面214がロックシャフト21の軸方向と直交する方向に延在する平坦面とされると共に、伝達シャフト24のロックシャフト21側の端面240がロックシャフト21側に凸となる球面状に形成されている。これにより、ロックシャフト21の端面214と伝達シャフト24の端面240とが比較的狭い範囲で当接し、ロックシャフト21が径方向にガタついたとしてもそのガタつきが伝達シャフト24に伝達されるのをより抑制することができ、伝達シャフト24が径方向にガタつくのをより抑制することができる。この結果、伝達シャフト24の外周と第2コア33の吸引部331の内周とのクリアランスをより小さくすることができる。そして、これに加えて、伝達シャフト24のプランジャ31側の端面241がプランジャ31側に凸となる球面状に形成されると共にプランジャ31の凹部310の底面311がプランジャ31の軸方向と直交する方向に延在する平坦面とされている。これにより、ロックシャフト21から伝達シャフト24に径方向の若干のガタつきが伝達されたとしてもそのガタつきを伝達シャフト24により吸収してプランジャ31に伝達されるのを抑制することができ、プランジャ31が径方向にガタつくのをより抑制することができる。この結果、プランジャ31と第1コア32やギャップ部材34との間のクリアランスを小さくすることができる。また、プランジャ31の伝達シャフト24側の凹部310の内径は、伝達シャフト24の小径部25の外径より若干大きい値に定められている。これにより、伝達シャフト24が径方向に若干ガタついたとしても、そのガタつきを伝達シャフト24の小径部25の外周面と凹部310の内周面との間のクリアランスにより吸収することができ、プランジャ31が径方向にガタつくのをより抑制することができる。
また、第1実施例では、磁気ロック装置20のロックシャフト21が、表面硬化処理が施されて硬度が高くなるように形成されている。これにより、表面硬化処理が施されないものに比して、ピストンロッド12のローラ13とロックシャフト21の当接部210とが当接していないときには、ロックシャフト21の小径部22が直動軸受29から受ける力によって変形する(表面が凹むなど)のを抑制することができる。また、ピストンロッド12のローラ13とロックシャフト21の当接部210の第1当接面211との当接時には(図5参照)、ロックシャフト21の第1当接面211や小径部22がローラ13や直動軸受29から受ける力によって変形する(表面が凹むなど)のを抑制することができる。さらに、ピストンロッド12のローラ13とロックシャフト21の当接部210の第2当接面212との当接時には(図8参照)、ロックシャフト21の第2当接面212や小径部22がローラ13や直動軸受29から受ける力によって変形する(表面が凹むなど)のを抑制することができる。これらの結果、ロックシャフト21の耐久性を向上させることができる。なお、ローラ13と当接部210(第1当接面211や第2当接面212)との当接時には、ローラ13から当接部210に図5や図8中左右方向とは異なる方向の力が作用することにより、ローラ13と当接部210とが当接していないときに比して、直動軸受29からロックシャフト21の小径部22に大きな力が作用する。このため、ローラ13と当接部210との当接時のために、小径部22の硬度を高くすることの意義が大きい。また、図5や図8から分かるように、当接部210(第1当接面211や第2当接面212)のローラ13から力を受ける受圧部(力点)が小径部22の直動軸受29により支持される被支持部(支点や作用点)からある程度離間しているときには、基本的には、当接部210の受圧部より小径部22の被支持部に大きな力が作用する。このため、小径部22の硬度を高くすることは、当接部210の硬度を高くすることに比してより意義が大きい。
さらに、第1実施例では、磁気ロック装置20のプランジャ31に、凹部310と凹部315とを連通するように空気孔319が形成されている。これにより、プランジャ31が軸方向に移動する際に(図6参照)、プランジャ31よりシャフトホルダ28側の空間(プランジャ31と第2コア33とシャフトホルダ28とにより形成される空間)の圧力が変化する、具体的には、プランジャ31が磁気ロック装置20の組立状態の位置(図4参照)からリヤキャップ38側に移動する(図6参照)のに伴ってプランジャ31よりシャフトホルダ28側の空間の圧力が低くなる(負圧になる)のを抑制することができる。これにより、ロックシャフト21および伝達シャフト24およびプランジャ31のリヤキャップ38側への移動の動作を滑らかなものとすることができる。
以上説明した第1実施例のパーキング装置1では、磁気ロック装置20の磁気部30の第2コア33の吸引部331のプランジャ31側の端面332が、コイル35より径方向内側を通る磁束(軸方向の磁束)に対して垂直となる位置に形成されている。これにより、磁気ロック装置20ひいてはパーキング装置1の大型化を抑制しながら、コイル35への非通電時における吸引部331によるプランジャ31に対する吸引力を大きくすることができ、ロックシャフト21および伝達シャフト24およびプランジャ31の軸方向の移動をより確実に(より大きな力で)規制することができる。この結果、磁気ロック装置20ひいてはパーキング装置1の装置のコンパクト化を図りながら、ピストンロッド12のローラ13とロックシャフト21の当接部210の第2当接面212との当接時にピストンロッド12のロック側への移動をより確実に規制することができる。
しかも、第1実施例のパーキング装置1では、磁気ロック装置20の磁気部30のコイル35への非通電時には、磁石起因磁束に基づく吸引部331によるプランジャ31に対する吸引力とスプリング39の弾性力とにより、プランジャ31の端面313が吸引部331の端面332に当接するように、ロックシャフト21と伝達シャフト24とプランジャ31とが一体にシャフトホルダ28側に付勢されている。これにより、吸引部331の端面332とプランジャ31の端面313とが当接しないものに比して、吸引部331とプランジャ31との間隔を短くすることができるから、コイル35への非通電時における吸引部331によるプランジャ31に対する吸引力をより大きくすることができる。
もとより、第1実施例のパーキング装置1では、油圧アクチュエータ10のピストンロッド12の軸方向と磁気ロック装置20のロックシャフト21および伝達シャフト24およびプランジャ31の軸方向とが直交するように油圧アクチュエータ10と磁気ロック装置20とが配置される。これにより、両者が同一方向に移動するように(同一軸線上に)配置されるものに比して、限られたスペースへの配置を良好なものとすることができる。
第1実施例のパーキング装置1では、磁気ロック装置20のロックシャフト21には、表面硬化処理が施されるものとしたが、ロックシャフト21の直動軸受29により支持される被支持部にだけまたは当接部210から被支持部までの部分に表面硬化処理が施されるものとしてもよく、表面硬化処理が施されないものとしてもよい。
第1実施例のパーキング装置1では、磁気ロック装置20のロックシャフト21と伝達シャフト24とが別体に構成されるものとしたが、一体に構成されるものとしてもよい。この場合、一体に構成された部材は、磁石起因磁束やキャンセル磁束の磁束漏れを低減するために、少なくとも伝達シャフト24に相当する部分は、非磁性体により形成されるのが好ましい。
第1実施例のパーキング装置1では、磁気ロック装置20のロックシャフト21の伝達シャフト24側の端面214がロックシャフト21の軸方向と直交する方向に延在する平坦面とされると共に伝達シャフト24のロックシャフト21側の端面240がロックシャフト21側に凸となる球面状に形成されるのに加えて、磁気ロック装置20の伝達シャフト24のプランジャ31側の端面241がプランジャ31側に凸となる球面状に形成されると共にプランジャ31の凹部310の底面311がプランジャ31の軸方向と直交する方向に延在する平坦面とされるものとしたが、伝達シャフト24のプランジャ31側の端面241が伝達シャフト24の軸方向と直交する方向に延在する平坦面とされると共にプランジャ31の凹部310の底面311がプランジャ31の軸方向と直交する方向に延在する平坦面とされるものとしてもよい。
第1実施例のパーキング装置1では、磁気ロック装置20のロックシャフト21の伝達シャフト24側の端面214がロックシャフト21の軸方向と直交する方向に延在する平坦面とされると共に伝達シャフト24のロックシャフト21側の端面240がロックシャフト21側に凸となる球面状に形成されるものとしたが、端面214が伝達シャフト24側に凸となる球面状に形成されると共に、端面240が伝達シャフト24の軸方向と直交する方向に延在する平坦面とされるものとしてもよい。この場合、伝達シャフト24のプランジャ31側の端面241が伝達シャフト24の軸方向と直交する方向に延在する平坦面とされると共にプランジャ31の凹部310の底面311がプランジャ31の軸方向と直交する方向に延在する平坦面とされるか、伝達シャフト24のプランジャ31側の端面241が伝達シャフト24の軸方向と直交する方向に延在する平坦面とされると共にプランジャ31の凹部310の底面311が伝達シャフト24側に凸となる球面状に形成されるのが好ましい。
第1実施例のパーキング装置1では、磁気ロック装置20のロックシャフト21の伝達シャフト24側の端面214がロックシャフト21の軸方向と直交する方向に延在する平坦面とされると共に伝達シャフト24のロックシャフト21側の端面240がロックシャフト21側に凸となる球面状に形成されるものとしたが、端面214がロックシャフト21の軸方向と直交する方向に延在する平坦面とされると共に端面240が伝達シャフト24の軸方向と直交する方向に延在する平坦面とされるものとしてもよい。
第1実施例のパーキング装置1では、磁気ロック装置20の磁気部30のプランジャ31の凹部310の内径は、吸引部331の内径より大きい値に定められるものとしたが、吸引331の内径と同一またはそれより若干小さい値に定められるものとしてもよい。
第1実施例のパーキング装置1では、磁気ロック装置20の磁気部30のプランジャ31は、伝達シャフト24側の凹部310とその反対側の凹部315とが同一形状に形成されるものとしたが、図9の磁気ロック装置20Bに示すように、磁気部30Bのプランジャ31Bは、凹部310Bの深さが凹部315の深さより浅い値に定められるものとしてもよい。この場合、伝達シャフト24Bの小径部25Bは、プランジャ31Bの凹部310Bがプランジャ31の凹部310より浅くなった分だけ磁気ロック装置20の伝達シャフト24の小径部25に比して軸方向の長さが短くなる。伝達シャフト24Bは、上述の磁気部30と同様に、その小径部25Bの端面241が凹部310Bの底面311Bと当接するように凹部310Bに挿入される。また、図10の磁気ロック装置20Cに示すように、磁気部30Cのプランジャ31Cは、伝達シャフト24C側に凹部を有しないものとしてもよい。この場合、伝達シャフト24Cの小径部25Cは、伝達シャフト24C側に凹部を有しない分だけ磁気ロック装置20の伝達シャフト24の小径部25に比して軸方向の長さが短くなる。また、伝達シャフト24Cは、その小径部25Cの端面241がプランジャ31Cの伝達シャフト24C側の端面313Cと当接する。
第1実施例のパーキング装置1では、磁気ロック装置20の磁気部30の第2コア33の吸引部331がコイル35より径方向内側で且つコイル35の軸方向の中央に配置されると共に、吸引部331のプランジャ31側の端面332がコイル35より径方向内側を通る磁束に対して垂直となる位置に形成され、さらに、吸引部331の端面332とプランジャ31の端面313とが平行であるものとしたが、吸引部331のプランジャ31側の端面332が、コイル35より径方向内側を通る磁束に対して垂直となる位置に形成されるものであれば、コイル35の軸方向の中央以外の位置に配置されるものとしてもよいし、吸引部331の端面332とプランジャ31の端面313とが平行でない、例えば、プランジャ31の端面313が略球面状などに形成されるものとしてもよい。
第1実施例のパーキング装置1では、磁気ロック装置20の磁気部30の第2コア33の吸引部331は、コイル35の軸方向の中心を通り且つ軸方向と直交する第2平面を含むように配置される環状のギャップ部材34と径方向で重なるように配置されるものとしたが、コイル35より径方内側で且つコイル35の軸方向の中央であれば、ギャップ部材34と径方向で重ならないように、例えば、ギャップ部材34のシャフトホルダ28側の端面と吸引部331の端面332とが径方向で揃うように配置されるものとしてもよい。
第1実施例のパーキング装置1では、磁気ロック装置20の磁気部30のコイル35への非通電時には、磁石起因磁束に基づく吸引部331によるプランジャ31に対する吸引力とスプリング39の弾性力とにより、プランジャ31の端面313が吸引部331の端面332に当接するように、ロックシャフト21と伝達シャフト24とプランジャ31とが一体にシャフトホルダ28側に付勢されるものとしたが、プランジャ31の端面313と吸引部331の端面332との間に所定の間隔が形成される(他のいずれかの位置で当接する、例えば、ロックシャフト21の大径部23の小径部22側の端面とシャフトホルダ28の磁気部30側の端面とが当接するなど)ものとしてもよい。
第1実施例のパーキング装置1では、磁気ロック装置20の磁気部30の永久磁石36は、コイル35よりシャフトホルダ28とは反対側で且つ第1コア32より径方向外側の位置に配置されるものとしたが、コイル35よりシャフトホルダ28側の位置(フランジ部334の位置)に配置されるものとしてもよいし、プランジャ31と軸方向で対向する位置、例えば、吸引部331の位置などに配置されるものとしてもよい。
第1実施例のパーキング装置1では、磁気ロック装置20の磁気部30は、コイル35よりリヤキャップ38側で且つ第1コア32より径方向外側に、永久磁石36が配置されるものとしたが、図11の磁気ロック装置20Dに示すように、磁気部30Dのコイル35よりリヤキャップ38側で且つ第1コア32より径方向外側には、永久磁石36に代えて、磁性体により形成される環状のリング36Dが配置されるものとしてもよい。この場合、コイル35への非通電時には、スプリング39の弾性力により、プランジャ31の端面313が第2コア33の吸引部331の端面332に当接するように、ロックシャフト21と伝達シャフト24とプランジャ31とが一体にシャフトホルダ28側(図11中左側)に付勢され、コイル35への通電時には、ヨーク37,第2コア33(フランジ部334,第2内径部333,第1内径部330),プランジャ31,第1コア32,リング36D,ヨーク37を通る磁束に基づく第2コア33の吸引部331によるプランジャ31に対する吸引力とスプリング39の弾性力とにより、プランジャ31が第2コア33側(図4中左側)に吸引されてロックされる。
この磁気ロック装置20Dでは、磁気ロック装置20と同様に、磁気部30Dの第2コア33の吸引部331がコイル35より径方向内側で且つコイル35の軸方向の中央に配置されている。したがって、コイル35への通電時における吸引部331によるプランジャ31に対する吸引力を大きくすることができる。そして、コイル35への通電開始前には、スプリング39の弾性力により、プランジャ31の端面313が吸引部331の端面332に当接するように、ロックシャフト21と伝達シャフト24とプランジャ31とが一体にシャフトホルダ28側に付勢されている。これにより、吸引部331の端面332とプランジャ31の端面313とが当接しないものに比して、吸引部331とプランジャ31との間隔を短くすることができるから、コイル35への通電時における吸引部331によるプランジャ31に対する吸引力をより大きくすることができる。
また、この磁気ロック装置20Dでは、磁気ロック装置20で永久磁石36が配置される位置に、リング36Dが配置されるものとしたが、第1コア32の右端部から径方向外側に環状のフランジ部が延出するものとしてもよいし、ヨーク37の右端部付近から径方向内側に環状のフランジ部が延出するものとしてもよい。
第1実施例のパーキング装置1では、油圧アクチュエータ10に磁気ロック装置20が取り付けられたときに、ロックシャフト21の当接部210の第1当接面211とローラ13とが当接しないものとしたが、第1当接面211とローラ13とが当接して、それによってロックシャフト21と伝達シャフト24とプランジャ31とが一体にリヤキャップ38側に移動し、プランジャ31の端面313と第2コア33の吸引部331の端面332との間に隙間が形成されるものとしてもよい。この場合、パーキングロック状態において、第1当接面211とローラ13とが当接している。これにより、油圧によりピストンロッド12をロック解除側に移動させる際のピストンロッド12の移動ストローク量を小さくすることができ、パーキングロック状態からパーキングロック解除状態に迅速に移行させることができる。また、油圧によりピストンロッド12をロック解除側に移動させる際にローラ13と第1当接面211とが衝突するの回避することにより、ロックシャフト21やローラ13の耐久性を向上させると共にノイズやショックの発生を抑制することができる。
第1実施例のパーキング装置1では、ロックシャフト21の当接部210の第1当接面211(ロック側の当接面)は、ロック側に凸となる断面円弧状の曲面とされるものとしたが、ロック側に凸となる円弧以外の断面形状の曲面とされるものとしてもよいし、当接部210側から大径部23側に向かうにつれてロック側に一定角度で傾斜する(平坦な)斜面とされるものとしてもよい。
第1実施例のパーキング装置1では、ロックシャフト21の当接部210の第2当接面212(ロック解除側の当接面)は、ロック解除側に一定角度で傾斜する(平坦な)斜面とされるものとしたが、ロック解除側に凸となる断面形状(例えば断面円弧状)の曲面とされるものとしてもよい。
第1実施例のパーキング装置1では、磁気ロック装置20のロックシャフト21は、小径部22と大径部23とを有し、伝達シャフト24は、小径部25と大径部26とを有するものとしたが、図12の磁気ロック装置20Eに示すように、ロックシャフト21Eは、大径部を有さずに小径部22Eのみを有し、伝達シャフト24Eは、大径部を有さずに小径部25Eのみを有するものとしてもよい。
第1実施例のパーキング装置1では、シャフトホルダ28は、非磁性体により形成されるものとしたが、磁性体により形成されるものとしてもよい。
第1実施例のパーキング装置1では、ピストンロッド12の被当接部として、ピストンロッド12によって支持される支持シャフト12sにより回転自在に支持されるローラ13を用いるものとしたが、ピストンロッド12により回転自在に支持される円柱体を用いるものとしてもよいし、ピストンロッド12に対して回転不能に構成されるもの(例えば、支持シャフト12sと同様のもの)を用いるものとしてもよい。
第1実施例のパーキング装置1では、ピストンロッド12は、リターンスプリング16の弾性力によりロック側に付勢され、リターンスプリング16の弾性力に抗する油圧によりロック解除側に移動するものとしたが、逆に、リターンスプリングの弾性力によりロック解除側に付勢され、リターンスプリングの弾性力に抗する油圧によりロック側に移動するものとしてもよい。
第1実施例のパーキング装置1では、パーキングロック解除状態からパーキングロック状態に移行する際には、リターンスプリング16の弾性力によりピストンロッド12をロック側に移動させるものとしたが、この際に、油圧制御装置からの油圧(作動油)を油圧アクチュエータ10のスプリング室11sに供給するものとしてもよい。こうすれば、リターンスプリング16の弾性力とスプリング室11sの油圧とにより、ピストンロッド12をロック側により迅速に移動させることができる。
第1実施例のパーキング装置1では、パーキングロック状態からパーキングロック解除状態に移行する際には、磁気部30のコイル35への通電により第2コア33の吸引部331によるプランジャ31の吸引をキャンセルしながら、ピストンロッド12を油圧によりロック解除側に移動させるものとしたが、コイル35に通電せずにピストンロッド12を油圧によりロック解除側に移動させるものとしてもよい。この場合、コイル35に通電する場合に比して、電力消費を抑制することができるが、ピストンロッド12をロック解除側に移動させるために大きな油圧が必要となる。
図13は、本発明の第2実施例としてのパーキング装置1Fの構成の概略を示す構成図であり、図14は、パーキング装置1Fの要部の構成の概略を示す構成図であり、図15は、油圧アクチュエータ10Fの一部の構成の概略を示す構成図であり、図16は、磁気ロック装置20Fの構成の概略を示す構成図であり、図17は、磁気ロック装置20Fのロックシャフト21Fの構成の概略を示す構成図である。
第2実施例のパーキング装置1Fは、車両に搭載され、図示しない変速機のトランスミッションケースの内部または外部に配置される。そして、このパーキング装置1Fは、図示しないシフトレバーの操作位置(シフトレンジ)に応じて出力される電気信号に基づいて変速機のいずれかの回転軸のロックおよびロックの解除を行なう、いわゆるシフトバイワイヤ式のパーキング装置として構成されている。
パーキング装置1Fは、図13に示すように、複数の歯2aFを有すると共に変速機のいずれかの回転軸に取り付けられるパーキングギヤ2Fと、パーキングギヤ2Fと係合可能な突部3aFを有すると共に図示しないスプリングによりパーキングギヤ2Fから離間するよう付勢されるパーキングポール3Fと、進退移動可能なパーキングロッド4Fと、パーキングロッド4Fの軸方向に移動可能な筒状のカム部材5Fと、例えばトランスミッションケースにより回転自在に支持されてパーキングポール3Fと共にカム部材5Fを挟持する支持ローラ6Fと、パーキングロッド4Fにより一端が支持されると共にパーキングポール3Fをパーキングギヤ2Fに押し付けるようにカム部材5Fを付勢するカムスプリング7Fと、パーキングロッド4Fに連結されたディテントレバー8Fと、ピストンロッド12Fの移動によりディテントレバー8Fを介してパーキングロッド4Fを進退移動させる油圧アクチュエータ10Fと、ピストンロッド12Fの移動を規制することによりパーキングロッド4Fの進退移動を規制する磁気ロック装置20Fと、を備える。このパーキング装置1Fでは、図示するように、パーキングポール3Fの突部3aFがパーキングギヤ2Fの隣り合う2つの歯2aFの間の凹部と係合することにより、変速機の回転軸がロックされる(パーキングロックが行なわれる)。
パーキングギヤ2Fやパーキングポール3F,パーキングロッド4F,カム部材5F,支持ローラ6F,カムスプリング7Fは、いずれも周知の構成を有する。ディテントレバー8Fは、略L字状に形成されており、第1遊端部8aFと第2遊端部8bFとを有する。第1遊端部8aFは、パーキングロッド4Fの基端部(図13中右端部)に回転自在に連結されている。第2遊端部8bFは、例えばトランスミッションケースにより支持される図示しないディテントスプリングに取り付けられた係合部材9Fと係合可能な係合凹部8rFが形成されている。ディテントレバー8Fのコーナー部(第1,第2遊端部8aF,8bFの基端部)は、例えばトランスミッションケースにより支持された支軸8sFにより回動自在に支持されている。
油圧アクチュエータ10Fは、シフトレバーの操作位置(シフトレンジ)に応じて出力される電気信号に基づいて電子制御装置により制御される変速機の油圧制御装置からの油圧により動作するよう構成されている。この油圧アクチュエータ10Fは、図14に示すように、複数の部材から構成されるケース11Fと、ディテントレバー8Fの第2遊端部8bFに連結されると共にケース11Fにより軸方向(図14中上下方向(第1方向))に移動自在に支持されるピストンロッド12Fと、ピストンロッド12Fに固定されると共にケース11Fに形成されたピストン室11pF内に配置されるピストン14Fと、を備える。
ピストンロッド12Fは、先端部(図14中上端部)がケース11Fから外部に突出するようにケース11Fにより支持されている。このピストンロッド12Fの先端部には、図15に示すように、先端側から基端側に向けて延びる連結凹部12rFが形成されており、この連結凹部12rFには、ディテントレバー8Fの第2遊端部8bFが差し込まれている。ディテントレバー8Fには、連結凹部12rF内に位置にするように長穴8hFが形成されており、長穴8hFには、ピストンロッド12Fの先端部により支持された連結ピン12pFが挿通されている。長穴8hFは、その内周と連結ピン12pFの外周面との間に空間が画成されるよう形成されている。これにより、ピストンロッド12Fとディテントレバー8Fとは、互いにある程度の相対移動を許容するように連結される。
また、ピストンロッド12Fの軸方向の中央部付近には、ピストンロッド12Fを軸方向と直交する方向(図14中左右方向)に貫通すると共に軸方向に延在する穴部12hFが形成されており、穴部12hFの内部には、被当接部としてのローラ13Fが配置されている。ローラ13Fは、ローラベアリングとして構成されており、穴部12hFの長手方向(図14,図15中上下方向)の長さより小さい外径を有する。このローラ13Fは、連結ピン12pFと平行に延在するようにピストンロッド12Fによって支持される支持シャフト12sFにより、穴部12hF内で回転自在となるよう支持されている。なお、穴部12hFは、図2中左右方向に貫通しないものとしてもよい。
ピストン14Fは、ピストンロッド12Fの基端部(図14中下端部)に固定され、シール部材15Fを介してピストン室11pFの内壁面によりピストンロッド12Fの軸方向に移動自在に支持されている。このピストン14Fは、ピストン室11pFの内部を油室11fFとスプリング室11sFとに区画する。油室11fFは、ピストンロッド12Fの先端部(図14中上端部)やディテントレバー8Fから離間するようにピストン室11pFの図14中下側に画成され、ケース11Fに形成された油孔11hFと連通する。油室11fF内には、図示しない油路や油孔11hFを介して油圧制御装置からの油圧(作動油)が供給される。また、スプリング室11sFは、ピストンロッド12Fの先端部やディテントレバー8Fに近接するようにピストン室11pFの図14中上側に画成される。スプリング室11sFには、ケース11Fとピストン14Fとの間に位置するように弾性部材としてのリターンスプリング16Fが配置され、ピストン14Fは、リターンスプリング16Fにより、スプリング室11sF側から油室11fF側に向けて(図中下側に)付勢される。
こうして構成される油圧アクチュエータ10Fは、組立状態(組立完了時の状態)で、ピストン14Fが、リターンスプリング16Fにより図13中下向きに付勢されて油室11fFの底部に最接近し、ピストンロッド12Fのケース11Fからの突出量が最小となる。これにより、ディテントレバー8Fを介してピストンロッド12Fに連結されたパーキングロッド4Fがパーキングポール3Fの基端部に最接近し、カムスプリング7Fにより付勢されたカム部材5Fによってパーキングポール3Fがパーキングギヤ2Fと係合するように押圧され、変速機の回転軸がロックされる(パーキングロックが行なわれる)。
図13に示すように変速機の回転軸がロックされている状態(以下、適宜「パーキングロック状態」という)で、油圧制御装置からの油圧が油圧アクチュエータ10Fの油室11fFに供給されると、ピストン14Fは、油室11fF内の油圧によりリターンスプリング16Fの弾性力(付勢力)に抗してピストンロッド12Fの移動方向(第1方向)における図13中上側(以下、適宜「ロック解除側」という)に移動する。これにより、ピストン14Fに固定されたピストンロッド12Fもロック解除側に移動し、それに伴ってディテントレバー8Fが支軸8sFの周りに図13中時計回りに回動すると共にパーキングロッド4Fが図13中右側に移動する。そして、パーキングロッド4Fが図13中右側に移動することにより、カム部材5Fによるパーキングポール3Fの押圧が解除され、パーキングギヤ2Fとパーキングポール3Fとの係合、即ち、変速機の回転軸のロックが解除される(パーキングロックが解除される)。したがって、車両の走行中に油圧制御装置からの油圧が油圧アクチュエータ10Fの油室11fFに供給されているときには、変速機の回転軸はロックされない(パーキングロックは行なわれない)。
また、パーキングロックが解除されている状態(以下、適宜「パーキングロック解除状態」という)で、油圧制御装置から油孔11hFへの油圧の供給が断たれて油室11fFから油孔11hFを介して作動油が流出していくと、ピストン14Fは、リターンスプリング16Fの弾性力によりピストンロッド12Fの移動方向における図13中下側(以下、適宜「ロック側」という)に移動する。これにより、ピストン14Fに固定されたピストンロッド12Fもロック側に移動し、それに伴ってディテントレバー8Fが支軸8sFの周りに図13中反時計回りに回動すると共にパーキングロッド4Fが図13中左側に移動する。そして、パーキングロッド4Fが図13中左側に移動することにより、カムスプリング7Fにより付勢されたカム部材5Fによってパーキングポール3Fがパーキングギヤ2Fと係合するように押圧され、変速機の回転軸がロックされる(パーキングロックが行なわれる)。なお、ディテントレバー8Fの第2遊端部8bFの係合凹部8rFと係合部材9Fとが係合することにより、ディテントレバー8Fの支軸8sF周りの回動が図示しないディテントスプリングによってある程度規制され、それにより、パーキングロッド4Fの移動もある程度規制される。
磁気ロック装置20Fは、例えばアイドルストップ等により車両のエンジンとエンジンにより駆動されるオイルポンプとが停止されるのに伴って油圧アクチュエータ10Fの油室11fFに供給される油圧が低下したときに、リターンスプリング16Fの弾性力(付勢力)によってピストンロッド12Fがロック側に移動するのを規制し、パーキングロック解除状態からパーキングロック状態に移行しないようにするために用いられる。
この磁気ロック装置20Fは、図16に示すように、ピストンロッド12Fに設けられた被当接部としてのローラ13F(図14参照)と当接可能な当接部210Fを有するロックシャフト21Fと、ロックシャフト21Fを軸方向(図16中左右方向(第2方向))に移動自在に支持するシャフトホルダ25Fと、磁力によりロックシャフト21Fをロック可能な磁気部30Fと、を備える。
ロックシャフト21Fは、ステンレスなどの非磁性体により形成されており、図16および図17に示すように、一端部(先端部)に当接部210Fを有する小径部22Fと、小径部22Fから当接部210Fとは反対側に延出し且つ小径部22Fより大径の大径部23Fと、を有する。小径部22Fは、略円柱状に形成されており、その先端部に形成される当接部210Fは、二面幅形状を有するように成形されている。大径部23Fは、略円柱状に形成されており、小径部22F側の環状の端面23aFと、小径部22F側とは反対側の平坦な端面23bFと、を有する。小径部22Fと大径部23Fとの境界付近の小径部22Fの外周面には、テーパ部22tFが形成されている。このテーパ部22tFは、大径部23Fとの境界付近で小径部22Fの外周面が当接部210F側から大径部23Fの端面23aF側に向けて先細となる(外径が小さくなる)よう形成されている。
小径部22Fの当接部210Fは、ピストンロッド12Fの移動方向(図16,図17中上下方向)におけるロック側(図中下側)に位置する第1当接面211Fと、ピストンロッド12Fの移動方向におけるロック解除側(図中上側)に位置する第2当接面212Fと、を有する。第1当接面211Fは、当接部210F側から大径部23F側に向かうにつれてロック側に傾斜するよう形成されており、具体的には、ローラ13Fの外周面の半径(曲率半径)より小さい曲率半径を有すると共にロック側に凸となる断面円弧状の曲面として形成されている。第2当接面212Fは、当接部210F側から大径部23F側に向かうにつれてロック解除側に傾斜するよう形成されており、具体的には、ロック解除側に一定角度で傾斜する(平坦な)斜面として形成されている。
シャフトホルダ25Fは、図16に示すように、アルミニウムなどの非磁性体により略有底筒状に形成されており、磁気部30Fにより保持されている。シャフトホルダ25Fの底部には、ロックシャフト21Fの小径部22Fが挿通される孔が形成されており、ロックシャフト21Fの小径部22Fの当接部210Fは、シャフトホルダ25Fから図中左側に突出している。また、シャフトホルダ25Fの内部には、小径部22Fの外周面を摺動自在に支持する直動軸受27Fが固定されている。このように直動軸受27Fによって小径部22Fを支持することにより、ロックシャフト21Fのガタつきを抑制しつつロックシャフト21Fを軸方向にスムーズに移動させることができる。
磁気部30Fは、図16に示すように、軸方向(図中左右方向(第2方向))に移動可能な軸部材31Fと、軸部材31Fの外周を囲むように配置されるコイル34Fと、シャフトホルダ25Fを保持すると共に軸部材31Fやコイル34Fを収容するケースとして機能するヨーク35Fと、軸部材31Fとコイル34Fとの間に配置されるコア36Fと、弾性力により軸部材31Fをシャフトホルダ25F側(図中左側)に付勢する弾性部材としてのスプリング37Fと、を備える。
軸部材31Fは、鉄などの磁性体により形成されたプランジャ32Fと、プランジャ32Fと同一の外径を有すると共にプランジャ32Fの軸方向の一端側(図中左端側)に固定された(プランジャ32Fと一体に構成された)環状の永久磁石33Fと、を有する。永久磁石33Fは、プランジャ32F(図中右側)がN極でその反対側(図中左側)がS極となるように着磁されている。なお、N極とS極とが反対となるように着磁されるものとしてもよい。プランジャ32Fへの永久磁石33Fの固定を接着や一体成型によって行なうことにより、容易に且つ精度よく行なうことができる。軸部材31Fは、軸方向の一端側に形成された凹部310Fと、凹部310Fの周囲の平坦且つ環状の端面31aFと、を有する。端面31aFは、永久磁石33Fの一端側の端面として形成される。凹部310Fは、軸方向と直交する方向の底面310bFと内周面とを有する円孔部であり、底面310bFは、プランジャ32Fの一端側の端面として形成され、内周面は、永久磁石33Fの内周面として形成される。この凹部310F内には、ロックシャフト21Fの大径部23Fの端面23bFが底面310bFと当接するようロックシャフト21Fの大径部23Fが挿入される。
軸部材31Fの凹部310Fの深さ(永久磁石33Fの軸方向の長さ)は、ロックシャフト21Fの大径部23Fの軸方向の長さより若干(例えば、0.1mm程度)浅い値に定められている。したがって、凹部310Fに挿入されたロックシャフト21Fの大径部23Fの端面23aFは、軸部材31Fの端面31aFより外側(図中左側)に突出する。
また、軸部材31Fの凹部310Fの内周面の内径(永久磁石33Fの内径)は、ロックシャフト21Fの大径部23Fの外径より若干(例えば、0.5mm〜1mm程度)大きな値に定められている。したがって、凹部310F(永久磁石33F)の内周面と凹部310Fに挿入されたロックシャフト21Fの大径部23Fの外周面との間には、所定のクリアランスが形成される。これにより、ロックシャフト21Fが径方向にガタついたとしても、そのガタつきを大径部23Fの外周面と凹部310Fの内周面との間のクリアランスによって吸収して、軸部材31Fが径方向にガタつくのを抑制することができる。この結果、軸部材31F(プランジャ32F)とコア36Fとの間の磁気ギャップを小さくすることができる。また、上述したように、ロックシャフト21Fが非磁性体により形成されているから、磁気ロック装置20Fでの磁束漏れを低減することができる。これらの結果、磁気部30Fの大型化を抑制しつつ磁気効率を高くすることができる。第2実施例では、大径部23Fの外周面と軸部材31Fの凹部310Fの内周面(永久磁石33Fの内周面)とのクリアランスより、大径部23Fの軸方向の長さと軸部材31Fの凹部310Fの深さ(永久磁石33Fの第2方向の長さ)との差が小さな値に定められている。
コイル34Fは、ケースとしてのヨーク35Fに取り付けられる図示しないコネクタに接続される端子を有する。コイル34Fには、油圧制御装置を制御する電子制御装置や他の電子制御装置により制御される電源回路やコネクタを介して図示しない車両の補機バッテリから電流が印加される。ヨーク35Fは、鉄などの磁性体により略円筒状に形成されており、一端側(図中左端側)に、径方向内側に突出すると共に環状のフランジ部35aFが形成されている。このフランジ部35aFの内径は、軸部材31Fの永久磁石33Fの内径より小さく且つロックシャフト21Fの小径部22Fが摺動可能な値に定められている。即ち、このフランジ部35aFは、ロックシャフト21Fの大径部23Fの小径部22F側の端面23aFや永久磁石33Fと図中左右方向で対向している。即ち、このフランジ部35aFのコイル34Fより径方向内側の部分は、本発明の第1のパーキング装置におけるコアに該当する。コイル34Fへの非通電時には、軸部材31Fの永久磁石33Fとヨーク35Fのフランジ部35aFとの吸引力によりロックシャフト21Fおよび軸部材31F(プランジャ32F)が一体にシャフトホルダ25F側(図中左側)に付勢され(ロックされ)、コイル34Fへの通電時には、ヨーク35F,永久磁石33F,プランジャ32F,コア36Fにより構成される磁路を通る磁束により、永久磁石33Fとフランジ部35aFとの吸引がキャンセルされる。なお、ロックシャフト21Fが非磁性体により形成されているから、磁気ロック装置20Fでの磁束漏れを低減することができる。
ヨーク35Fの他端部(図16中右端部)には、コイル34Fやコア36Fを保持するようにリヤキャップ38Fが装着され、軸部材31Fの凹部310F側とは反対側の端部(図中右端部)とリヤキャップ38Fとの間には、スプリング37Fが配置される。スプリング37Fは、互いに固定されていないロックシャフト21Fと軸部材31Fとをシャフトホルダ25F側(図中左側)に一体に付勢する。また、スプリング37Fは、油圧アクチュエータ10Fのリターンスプリング16Fより小さいバネ定数(剛性)を有する。さらに、永久磁石33Fとヨーク35Fのフランジ部35aFとの吸引力とスプリング37Fの弾性力との和(ロックシャフト21Fや軸部材31Fに作用する図中左向きの力)が、油圧アクチュエータ10Fのリターンスプリング16Fの弾性力(図14,図16中下向きの力)によりピストンロッド12Fのローラ13Fとロックシャフト21Fの第2当接面212Fとの当接時にローラ13Fから第2当接面212Fに作用する力の図16中右向きの分力(以下、リターンスプリング分力という)より大きくなるよう定められている。したがって、ロックシャフト21Fおよび軸部材31F(プランジャ32F)は、コイル34Fへの非通電時には、リターンスプリング分力によりリヤキャップ38F側(図16中右側)に移動しない(ロックされる)が、コイル34Fへの通電時には、リターンスプリング分力により一体となってリヤキャップ38F側に移動する。
ここで、ヨーク35F内の軸部材31F(プランジャ32F)の軸方向の最大ストローク量Smax(図16の例では、軸部材31F(プランジャ32F)の右端面とリヤキャップ38Fの内底面との間の間隔)は、ロックシャフト21Fの大径部23Fの軸方向の長さより短い値に定められている。これにより、ロックシャフト21Fおよび軸部材31Fが軸方向(図中左右方向)に移動する際に、大径部23Fが軸部材31Fの凹部310Fから抜け出してしまうのを抑止することができる。
こうして構成される磁気ロック装置20Fは、組立状態(組立完了時の状態)すなわち油圧アクチュエータ10Fに取り付けられる前の状態で、スプリング37Fの弾性力(および永久磁石33Fとヨーク35Fのフランジ部35aFとの吸引力)により、軸部材31Fの凹部310Fの底面310bF(プランジャ32Fの一端側の端面)がロックシャフト21Fの大径部23Fの端面23bFと当接すると共に大径部23Fの端面23aFがヨーク35Fのフランジ部35aFに当接するよう付勢される。このとき、軸部材31Fの凹部310Fの周囲の端面31aF(永久磁石33Fの一端側の端面)とフランジ部35aFとの間には僅かな隙間が形成される。これは、上述したように、凹部310Fの深さ(永久磁石33Fの軸方向の長さ)が大径部23Fの軸方向の長さより若干浅いためである。これにより、ロックシャフト21Fと軸部材31Fとが一体にピストンロッド12F側に付勢されて大径部23Fの端面23aFがフランジ部35aFと当接するから、大径部23Fの端面23aFがフランジ部35aFに当接せずに軸部材31Fの端面31aFだけがフランジ部35aFに当接してロックシャフト21Fがフランジ部35aFと凹部310Fの底面310bFとの間で軸方向にガタついてしまうのを抑制することができる。また、軸部材31Fの移動に伴って永久磁石33Fがフランジ部35aFに当接するのを抑制して、永久磁石33Fを保護することができる。しかも、第2実施例では、大径部23Fの外周面と軸部材31Fの凹部310Fの内周面(永久磁石33Fの内周面)とのクリアランスより、大径部23Fの軸方向の長さと軸部材31Fの凹部310Fの深さ(永久磁石33Fの第2方向の長さ)との差が小さな値に定められる。これにより、ロックシャフト21Fの径方向のガタツキを吸収しつつ大径部23Fとフランジ部35aFとの当接時のフランジ部35aFと永久磁石33Fとの間隔を小さくして両者間の吸引力を大きくすることができる。
また、ロックシャフト21Fの小径部22Fには、大径部23Fとの境界付近にテーパ部22tFが形成されているから、大径部23Fの端面23aFにおけるフランジ部35aFとの当接範囲をできるだけ小径部22F側に寄せることが可能となり、大径部23Fの外径の増加を抑制して、磁気ロック装置20Fのコンパクト化を図ることが可能となる。
磁気ロック装置20Fは、図13および図14に示すように、油圧アクチュエータ10Fのピストンロッド12Fの軸方向(図中上下方向(図13の一点鎖線参照))と、ロックシャフト21Fおよび軸部材31Fの軸方向(図中左右方向(図13の二点差線参照))とが直交するよう、油圧アクチュエータ10Fに磁気ロック装置20Fが取り付けられる。これにより、両者を同軸に配置する構成に比して、トランスミッションケースの内部または外部の限られたスペースに油圧アクチュエータ10Fおよび磁気ロック装置20Fを容易に配置することができる。
磁気ロック装置20Fが油圧アクチュエータ10Fのケース11Fに取り付けられた際、ロックシャフト21Fの当接部210F(第1当接面211Fおよび第2当接面212F)は、ピストンロッド12Fの軸方向から見て(図14の上側または下側から見て)ローラ13Fの外周面の少なくとも一部と重なり合う。そして、第2実施例では、磁気ロック装置20Fは、図14に示すように、ロックシャフト21Fの当接部210Fの第1当接面211Fがローラ13Fの外周面と当接する(第1当接面211Fがローラ13Fから力を受ける)ように油圧アクチュエータ10Fのケース11Fに取り付けられる。これにより、ロックシャフト21Fの当接部210F(第1当接面211F)には、ピストンロッド12Fのローラ13Fからロックシャフト21Fの軸方向の力(強制力)が作用し、それにより、磁気ロック装置20Fのロックシャフト21Fおよび軸部材31Fがスプリング37Fの弾性力に抗してリヤキャップ38F側(図中右側)に僅かに移動する。したがって、ロックシャフト21Fの大径部23Fの小径部22F側の端面23aFと、ヨーク35Fのフランジ部35aFとの間に若干の隙間が形成される。
次に、こうして構成された第2実施例のパーキング装置1Fおよび磁気ロック装置20Fの動作について説明する。
油圧アクチュエータ10Fの油室11fFに油圧制御装置からの油圧(作動油)が供給されておらず且つ磁気ロック装置20Fの磁気部30Fのコイル34Fに通電されていないときには、油圧アクチュエータ10Fおよび磁気ロック装置20Fは、図14に示す状態となっており、パーキング装置1Fにより変速機の回転軸がロックされる(パーキングロックが行なわれる)。このとき、磁気ロック装置20Fでは、軸部材31Fの永久磁石33Fとヨーク35Fのフランジ部35aFとの吸引力とスプリング37Fの弾性力とにより、ロックシャフト21Fおよび軸部材31Fが図中左側に付勢されている(ロックされている)。
そして、車両の走行開始に際してパーキングロック状態からパーキングロック解除状態に移行させるときには、油圧アクチュエータ10Fの油室11fFに油圧制御装置からの油圧が供給される。また、このときには、磁気部30Fのコイル34Fへの通電を開始する。コイル34Fへの通電が開始されると、その通電によって発生する磁束により、永久磁石33Fとヨーク35Fのフランジ部35aFとの吸引がキャンセルされる。したがって、ロックシャフト21Fおよび軸部材31Fは、スプリング37Fだけにより図14中左側に付勢されている状態となる。
油圧制御装置からの油圧が油圧アクチュエータ10Fの油室11fFに供給されると、ピストン14Fおよびピストンロッド12Fは、図18に示すように、油室11fF内の油圧によりリターンスプリング16Fの弾性力に抗してロック解除側(図中上側)に移動する。上述したように、パーキングロック状態では、ローラ13Fがロックシャフト21Fの当接部210Fの第1当接面211Fと当接しているから、ピストンロッド12Fがロック解除側に移動し始めると、ローラ13Fがロックシャフト21Fの第1当接面211F上を転動しながら、ピストンロッド12Fからロックシャフト21Fにローラ13Fと第1当接面211Fとの接線方向と直交する方向(法線方向)の力が作用する。そして、その法線方向の力により、互いに固定されていないロックシャフト21Fと軸部材31F(プランジャ32Fおよび永久磁石33F)とは、スプリング37Fの弾性力に抗して一体となってリヤキャップ38F側(図18の右側)に移動する。
また、図18に示すように、ピストンロッド12Fのロック解除側への移動に伴ってローラ13Fがロックシャフト21Fの第1当接面211Fから離れると、ロックシャフト21Fと軸部材31Fとがスプリング37Fにより付勢されて穴部12hFの奥側(図18の左側)に移動し、その後、ローラ13Fがロックシャフト21Fの第2当接面212F上を転動するようになる。なお、このときには、ローラ13Fがピストンロッド12Fと共にロック解除側(図18の上側)に移動していくことから、ローラ13Fから第2当接面212Fにロックシャフト21F等をリヤキャップ38F側に移動させる力は作用しない。その後、油圧により、ピストンロッド12Fは更にロック解除側に移動し、図19に示すように、ローラ13Fとロックシャフト21Fの第2当接面212Fとの間に所定の間隔が形成される位置で停止する。
このようにして、ピストンロッド12Fが油圧によりロック解除側への移動を開始してから停止するまでの間に、ディテントレバー8Fが支軸8sFの周りに図13の時計回りに回動すると共に、パーキングロッド4Fが図13中右側に移動する。これにより、パーキングロッド4Fの移動に伴ってカム部材5Fによるパーキングポール3Fの押圧が解除され、パーキングロックが解除される。
第2実施例では、ピストンロッド12Fが油圧によりロック解除側に移動する際に、磁気部30Fのコイル34Fへの通電により、永久磁石33Fとヨーク35Fのフランジ部35aFとの吸引力をキャンセルする。これにより、この際にコイル34Fに通電しないものに比して、ピストンロッド12Fのローラ13Fによってロックシャフト21Fおよび軸部材31Fをピストンロッド12Fから後退させる(リヤキャップ38F側に移動させる)のに要する力を小さくすることができる。この結果、ピストンロッド12Fをロック解除側(図18の上側)に迅速に移動させたり、ピストンロッド12Fのロック解除側への移動に要する油圧を小さくしたりすることができる。
また、第2実施例では、図14に示すパーキングロック状態で、ピストンロッド12Fのローラ13Fがロックシャフト21Fの第1当接面211Fと当接している。これにより、パーキングロック状態でローラ13Fがロックシャフト21Fの第1当接面211Fと当接しない構成に比して、ピストンロッド12Fの移動ストロークを小さくしてパーキング装置1Fのコンパクト化を図ることができる。また、パーキングロック状態からパーキングロック解除状態に速やかに移行させることができる。さらに、ピストンロッド12Fがロック側からロック解除側に移動する際にローラ13Fと第1当接面211Fとが衝突しないようにして、ロックシャフト21Fやローラ13Fの耐久性を向上させると共にノイズの発生を抑制することができる。
さらに、ピストンロッド12Fが油圧によりロック解除側に移動する際にローラ13Fからの力を受ける第1当接面211Fは、ローラ13Fの外周面の半径(曲率半径)より小さい曲率半径を有している。これにより、ピストンロッド12Fがロック解除側に移動する際にローラ13Fからロックシャフト21Fに作用する軸方向の力(上述の法線方向の力の分力)をより大きくすることができるから、パーキングロックを解除する際に油圧アクチュエータ10Fの油室11fFに供給すべき油圧の上昇を抑制することができる。
加えて、被当接部としてのローラ13Fをピストンロッド12Fにより回転自在に支持して第1当接面211Fや第2当接面212F上を転動可能とすることにより、ローラ13Fと第1当接面211Fや第2当接面212Fとの間の摩擦抵抗を低減させて両者の耐摩耗性(耐久性)を向上させることができる。
図19に示すように、油圧によりピストンロッド12Fがロック解除側に移動してパーキングロックが解除された後、油圧制御装置からの油圧が油圧アクチュエータ10Fの油室11fFに供給されているときには、パーキングロック解除状態を維持することができる。第2実施例では、上述したように、油圧によりピストンロッド12Fがロック解除側に移動してパーキングロックが解除されているときには、ピストンロッド12Fのローラ13Fとロックシャフト21Fの当接部210Fの第2当接面212Fとは互いに離間している。したがって、ロックシャフト21Fおよび軸部材31Fは、永久磁石33Fとヨーク35Fのフランジ部35aFとの吸引力とスプリング37Fの弾性力とにより、ロックシャフト21Fの当接部210Fの第2当接面212Fがピストンロッド12Fの軸方向から見てローラ13Fの外周面の一部と重なり合うように穴部12hF内に突出し、ロックシャフト21Fの大径部23Fの小径部22F側の端面23aFがヨーク35Fのフランジ部35aFと当接する。なお、第2実施例では、軸部材31Fの凹部310Fの深さ(永久磁石33Fの軸方向の長さ)がロックシャフト21Fの大径部23Fの軸方向の長さより浅いため、このときには、軸部材31F(永久磁石33F)の端面31aFは、フランジ部35aFに当接しない。これにより、永久磁石33Fがフランジ部35aFに当接するものに比して永久磁石33Fを保護することができる。
図19に示すパーキングロック解除状態で、アイドルストップの実行等によるエンジンの停止に伴って油圧アクチュエータ10Fの油室11fFへの油圧が低下すると、リターンスプリング16Fの弾性力によりピストンロッド12Fがロック側に移動して、ピストンロッド12Fのローラ13Fとロックシャフト21Fの当接部210Fの第2当接面212Fとが当接する。第2実施例では、上述したように、コイル34Fへの非通電時の軸部材31Fの永久磁石33Fとヨーク35Fのフランジ部35aFとの吸引力とスプリング37Fの弾性力との和がリターンスプリング分力より大きいから、ピストンロッド12Fの図中下側すなわちロック側への移動を規制することができる。この結果、アイドルストップ等の実行により油圧アクチュエータ10Fへの油圧が低下したときでも、パーキングロック解除状態を保持することができる。しかも、この際にコイル34Fに電流を印加する必要がないから、電力消費を抑制することができると共に何らかの事情によりコイル34Fに通電できないときでもパーキングロック解除状態を保持することができる。
また、パーキングロック解除状態で、磁気部30Fのコイル34Fへの通電を開始すると、その通電に伴って発生する磁束により、永久磁石33Fとヨーク35Fのフランジ部35aFとの吸引がキャンセルされる。また、スプリング37Fのバネ定数は、リターンスプリング16Fのバネ定数より小さい。したがって、コイル34Fに通電しながら油圧アクチュエータ10Fの油室11fFへの油圧が低下すると、油室11fFから油孔11hFを介して作動油が流出し、ピストン14Fおよびピストンロッド12Fは、リターンスプリング16Fの弾性力により、図中下側すなわちロック側に移動する。そして、ピストンロッド12Fのローラ13Fとロックシャフト21Fの当接部210Fの第2当接面212Fとが当接し、ローラ13Fから第2当接面212Fにその法線方向の力が作用し、法線方向の力の第2方向(ロックシャフト21Fの軸方向)の分力により、互いに固定されていないロックシャフト21Fと軸部材31Fとがスプリング37Fの弾性力に抗して一体となって図中右側すなわちリヤキャップ38F側に移動する。なお、このとき、ローラ13Fは、第2当接面212F上を転動する。
そして、ピストンロッド12Fのロック側への移動に伴ってローラ13Fがロックシャフト21Fの第2当接面212Fから離れると、ロックシャフト21Fとロックシャフト21Fと軸部材31Fとがスプリング37Fにより付勢されて穴部12hFの奥側(図19の左側)に移動し、ローラ13Fがロックシャフト21Fの第1当接面211F上を転動するようになる。なお、このときには、ローラ13Fがピストンロッド12Fと共にロック解除側(図19の下側)に移動していくことから、ローラ13Fから第1当接面211Fにロックシャフト21F等をリヤキャップ38F側に移動させる力は作用しない。その後、油圧により、ピストンロッド12Fは更にロック側に移動し、図14に示す位置(組立状態)で停止する。
このようにして、ピストンロッド12Fがリターンスプリング16Fの弾性力によりロック側への移動を開始してから停止するまでの間に、ディテントレバー8Fが支軸8sFの周りに図13の反時計回りに回動すると共に、パーキングロッド4Fが図13中左側に移動する。これにより、パーキングロッド4Fの移動に伴ってカムスプリング7Fにより付勢されたカム部材5Fによってパーキングポール3Fがパーキングギヤ2Fと係合するよう押圧され、パーキングロックが行なわれる。
ピストンロッド12Fがロック側に移動する際にも、ロック解除側に移動する際と同様に、ローラ13Fが第1当接面211Fや第2当接面212F上を転動するから、ローラ13Fと第1当接面211Fや第2当接面212Fとの間の摩擦抵抗を低減させて両者の耐摩耗性(耐久性)を向上させることができる。
以上説明した第2実施例のパーキング装置1Fでは、磁気ロック装置20Fのロックシャフト21Fおよび軸部材31F(プランジャ32Fおよび永久磁石33F)の移動方向が油圧アクチュエータ10Fのピストンロッド12Fの移動方向と直交するよう磁気ロック装置20Fが配置される(油圧アクチュエータ10Fに取り付けられる)。これにより、両者が同一方向に移動するよう(同一軸線上に)配置されるものに比して、限られたスペースへの配置を良好なものとすることができる。
また、第2実施例のパーキング装置1Fでは、パーキングロック解除状態で、コイル34Fへの非通電時には、永久磁石33Fとヨーク35Fのフランジ部35aFとの吸引力によりロックシャフト21Fおよび軸部材31Fがピストンロッド12Fから後退しないようにロックされ、リターンスプリング16Fの弾性力によるピストンロッド12Fのロック側への移動(パーキングロック状態への切替)が規制される。一方、パーキングロック解除状態で、コイル34Fへの通電時には、永久磁石33Fとヨーク35Fのフランジ部35aFとの吸引力がキャンセルされ、ロックシャフト21Fおよび軸部材31Fがピストンロッド12Fから後退するのが許容され、リターンスプリング16Fの弾性力によるピストンロッド12Fのロック側への移動が許容される。したがって、パーキングロック解除状態を保持するために、コイル34Fに通電する必要がないから、電力消費を抑制することができると共に、何らかの事情によりコイル34Fに通電できないときに、パーキングロック状態に切り替わってしまうのを抑制することができる。
さらに、第2実施例のパーキング装置1Fでは、永久磁石33Fがプランジャ32Fに固定されて軸部材31Fが構成されると共に永久磁石33Fの軸方向の長さがロックシャフト21Fの大径部23Fの軸方向の長さより短く形成される。これにより、軸部材31Fの移動時に、永久磁石33Fがヨーク35Fのフランジ部35aFに当接するのを抑制することができ、永久磁石33Fを保護することができる。
加えて、第2実施例のパーキング装置1Fでは、ロックシャフト21Fおよび軸部材31Fが、スプリング37Fの弾性力(および永久磁石33Fとヨーク35Fのフランジ部35aFとの吸引)により、軸部材31Fの凹部310Fの底面310bF(プランジャ32Fの一端側の端面)がロックシャフト21Fの大径部23Fの端面23bFと当接し、大径部23Fの端面23aFがヨーク35Fのフランジ部35aFに当接するよう付勢される。これにより、ロックシャフト21Fと軸部材31Fとが一体にピストンロッド12F側に付勢されてロックシャフト21Fの大径部23Fの端面23aFがフランジ部35aFと当接するから、ロックシャフト21Fがその移動方向にガタつくのを抑制することができる。
また、第2実施例のパーキング装置1Fでは、軸部材31Fの凹部310Fにロックシャフト21Fの大径部23Fが挿入される(永久磁石33Fが大径部23Fの外周を囲むように位置する)。これにより、ロックシャフト21Fが径方向にガタついたとしても、そのガタツキを大径部23Fの外周面と永久磁石33Fの内周面との間のクリアランスで吸収することができる。この結果、プランジャ32Fの外周に形成される磁気ギャップを小さくすることができる。また、ロックシャフト21Fが非磁性体により形成されているから、磁気ロック装置20Fでの磁束漏れを低減することができる。これらの結果、磁気ロック装置20Fの大型化を抑制しつつコイル34Fへの電流印加時の磁気効率を高くすることができる。
第2実施例のパーキング装置1Fでは、パーキングロック解除状態で、コイル34Fに通電して永久磁石33Fとヨーク35Fのフランジ部35aFとの吸引力をキャンセルすると共に油圧アクチュエータ10Fの油室11fFへの油圧が低下したときに、リターンスプリング16Fの弾性力により、ピストンロッド12Fがロックシャフト21Fおよび軸部材31Fを後退(リヤキャップ38F側に移動)させながらロック側に移動するものとしたが、このときに、図19の二点鎖線に示すように、油圧アクチュエータ10Fのスプリング室11sFに油圧制御装置からの油圧(作動油)を供給するものとしてもよい。こうすれば、ピストンロッド12Fをロック側により迅速に移動させることができる。
第2実施例のパーキング装置1Fでは、パーキングロック状態からパーキングロック解除状態に移行する際に、磁気部30Fのコイル34Fに通電して永久磁石33Fとフランジ部35aFとの吸引力をキャンセルしながら、ピストンロッド12Fを油圧によりロック解除側に移動させるものとしたが、コイル34Fに通電せずに、ピストンロッド12Fを油圧によりロック解除側に移動させるものとしてもよい。この場合、ピストンロッド12Fを移動させるためには、リターンスプリング16Fの弾性力に抗すると共にピストンロッド12Fのローラ13Fからロックシャフト21Fの第2当接面212Fに作用する力の図14中右向きの分力が永久磁石33Fとヨーク35Fのフランジ部35aFとの吸引力とスプリング37Fの弾性力との和(ロックシャフト21Fや軸部材31Fに作用する図14中左向きの力)より大きくなる油圧、即ち、コイル34Fに通電する第2実施例に比して永久磁石33Fとヨーク35Fのフランジ部35aFとの吸引力に抗する分だけ大きな油圧が必要となる。
第2実施例のパーキング装置1Fでは、ロックシャフト21Fの大径部23Fの外周面と軸部材31Fの凹部310Fの内周面(永久磁石33Fの内周面)とのクリアランスより、大径部23Fの軸方向の長さと軸部材31Fの凹部310Fの深さ(永久磁石33Fの第2方向の長さ)との差が小さくなるものとしたが、両者が同程度に定められるものとしてもよいし、ロックシャフト21Fの大径部23Fの外周面と軸部材31Fの凹部310Fの内周面とのクリアランスが大径部23Fの軸方向の長さと軸部材31Fの凹部310Fの深さとの差より小さくなるものとしてもよい。
第2実施例のパーキング装置1Fでは、永久磁石33Fの軸方向(図中左右方向)の長さが、ロックシャフト21Fの大径部23Fの軸方向の長さより短く形成されるものとしたが、ロックシャフト21Fの大径部23Fの軸方向の長さと同一の長さに形成されるものとしてもよい。
第2実施例のパーキング装置1Fでは、図16に示したように、磁気部30Fの永久磁石33Fがプランジャ32Fに固定される(プランジャ32Fと一体に構成される)ものとしたが、図20の変形例の磁気ロック装置20Gに示すように、磁気部30Gの永久磁石33Gがヨーク35Fのフランジ部35aFに固定されるものとしてもよい。この場合、永久磁石33Gとプランジャ32Fとの吸引力によりロックシャフト21Fおよびプランジャ32Fが一体にシャフトホルダ25F側に付勢される(ロックされる)。この場合も、図示するように、永久磁石33Gの軸方向(図中左右方向)の長さがロックシャフト21Fの大径部23Fの軸方向の長さより短く形成されることにより、ロックシャフト21Fおよびプランジャ32Fの移動時に、永久磁石33Gがプランジャ32Fに当接するのを抑制して、永久磁石33Gを保護することができる。なお、永久磁石33Gの軸方向の長さは、ロックシャフト21Fの大径部23Fの軸方向の長さと同一の長さに形成されるものとしてもよい。
第2実施例のパーキング装置1Fでは、ロックシャフト21Fの小径部22Fの当接部210Fの第1当接面211F(ロック側の当接面)は、ロック側に凸となる断面円弧状の曲面として形成されるものとしたが、ロック側に凸となり円弧以外の断面形状の曲面として形成されるものとしてもよいし、当接部210F側から大径部23F側に向かうにつれてロック側に一定角度で傾斜する(平坦な)斜面として形成されるものとしてもよい。
第2実施例のパーキング装置1Fでは、ロックシャフト21Fの小径部22Fの当接部210Fの第2当接面212F(ロック解除側の当接面)は、ロック解除側に一定角度で傾斜する(平坦な)斜面として形成されるものとしたが、ロック解除側に凸となる断面形状の曲面として形成されるものとしてもよい。
第2実施例のパーキング装置1Fでは、ロックシャフト21Fの小径部22Fは、大径部23Fとの境界付近の外周面が当接部210F側から大径部23Fの端面23aF側に向けて先細となる(外径が小さくなる)よう形成されるものとしたが、先細ではなく外径が一定となるよう形成されるものとしてもよい。
第2実施例のパーキング装置1Fでは、シャフトホルダ25Fの内部に固定されると共にロックシャフト21Fの小径部22Fの外周面を摺動自在に支持する直動軸受27Fを備えるものとしたが、この直動軸受27Fを備えないものとしてもよい。
第2実施例のパーキング装置1Fでは、油圧アクチュエータ10Fに磁気ロック装置20Fが取り付けられたときにおいて、ロックシャフト21Fの当接部210Fの第1当接面211Fとローラ13Fの外周面とが当接して、ロックシャフト21Fの大径部23Fの端面23aFとヨーク35Fのフランジ部35aFとの間に若干の隙間が形成されるものとしたが、ロックシャフト21Fの大径部23Fの端面23aFとヨーク35Fのフランジ部35aFとが当接した状態となるものとしてもよい。この場合、ピストンロッド12Fのローラ13Fの外周面が、ロックシャフト21Fの当接部210Fの第1当接面211Fからロック側に離間しているものとしてもよい。
第2実施例のパーキング装置1Fでは、ピストンロッド12Fの被当接部として、ピストンロッド12Fによって支持される支持シャフト12sFにより回転自在に支持されるローラ13Fを用いるものとしたが、ピストンロッド12Fにより回転自在に支持される円柱体を用いるものとしてもよいし、ピストンロッド12Fに対して回転不能に構成されるもの(例えば、支持シャフト12sFと同様のもの)を用いるものとしてもよい。
第2実施例のパーキング装置1Fでは、ロックシャフト21Fとプランジャ32Fとが別体として構成されるものとしたが、一体に構成されるものとしてもよい。
第2実施例のパーキング装置1Fでは、ピストンロッド12Fは、リターンスプリング16Fの弾性力により図14中下側(ロック側)に付勢され、リターンスプリング16Fの弾性力に抗する油圧により図14中上側(ロック解除側)に移動するものとしたが、逆に、リターンスプリングの弾性力によりロック解除側に付勢され、そのリターンスプリングの弾性力に抗する油圧によりロック側に移動するものとしてもよい。
第2実施例例のパーキング装置1Fでは、磁気ロック装置20Fは、略円筒状に形成されると共にコイル34Fよりシャフトホルダ25F側で径方向内側に突出するフランジ部35aFを有するヨーク35F、即ち、本発明の第1のパーキング装置におけるコアに該当する部分(コイル34Fより径方向内側の部分)が一体に構成されたヨーク35Fを用いるものとしたが、フランジ部aFのコイル34Fより径方向内側の部分がコアとして、ヨークとは別体に構成されるものとしてもよい。
第1実施例や第2実施例のパーキング装置1,1Fでは、磁気ロック装置20,20Fのロックシャフト21,21Fなどの移動方向が油圧アクチュエータ10,10Fのピストンロッド12,12Fの移動方向と直交するように磁気ロック装置20,20Fが配置される(油圧アクチュエータ10,10Fに取り付けられる)ものとしたが、両者の移動方向が同一となるように磁気ロック装置20,20Fが配置されるものとしてもよい。図21は、変形例のパーキング装置1Hの要部の構成の概略を示す構成図である。図21のパーキング装置1Hは、油圧アクチュエータ10Hと、磁気ロック装置20Hと、を備える。
油圧アクチュエータ10Hは、ケース11Hと、ケース11H内で軸方向に移動可能となるように配置されると共に図示しないパーキングロッドに連結されたピストンユニット12Hと、を備える。ピストンユニット12Hの図中右端部には、径方向外側に突出するフランジ部13Hが形成されている。フランジ部13Hは、図中右側がテーパ状に形成されると共にその反対側が軸方向に直交する方向の平坦面となるように形成されている。また、ピストンユニット12Hの図中右端部には、開口部が形成されており、その開口部には、緩衝ばね14Hとディスク15Hとが配置されている。さらに、ピストンユニット12Hは、図示しないばね装置によってパーキングロックの実行側(図中左側)に付勢されており、ケース11H内の空間16Hに油圧が供給されると、パーキングロックの解除側(図中右側)に移動する。
磁気ロック装置20Hは、複数のスプリングアームを有すると共にピストンユニット12Hの図中左側への移動を規制可能なラッチ機構21Hを有する。ここで、ラッチ機構21Hは、先端部の内周側に形成された爪部22Hと、爪部22Hより基端部側の内周側に形成された案内部23Hと、を有する。
また、磁気ロック装置20Hは、軸方向に移動するプランジャ31Hと、プランジャ31Hに固定されたプランジャシャフト32Hと、プランジャシャフト32Hに装着された円筒状の引外し部材33Hと、引外し部材33Hをピストンユニット12H側(図中左側)に付勢するスプリング34Hと、を備える。
さらに、磁気ロック装置20Hは、プランジャ31Hの外周を囲むように配置されたコイル35Hと、プランジャ31Hよりピストンユニット12Hとは反対側(図中右側)に配置された第1コア36Hと、プランジャ31Hやコイル35Hとケース11Hやラッチ機構21H,引外し部材33H,スプリング34Hとの間に配置された第2コア37Hと、プランジャ31Hとコイル34Hとの間で且つ第1コア36Hと第2コア37Hとの間に配置されたギャップ部材38Hと、コイル35Hより第2コア37Hとは反対側に配置された永久磁石39Hと、コイル35Hや第2コア37H,永久磁石39Hなどの外周を覆うヨーク40Hと、永久磁石39Hなどを保持するようにヨーク40Hに装着されるリヤキャップ41Hと、を備える。永久磁石39Hは、環状に形成されており、径方向外側がN極で径方向内側がS極となるように着磁されている。なお、N極とS極とが反対となるように着磁されるものとしてもよい。
この磁気ロック装置20Hでは、コイル35Hへの非通電時には、永久磁石39H,第1コア36H,プランジャ31H,第2コア37H,ヨーク40H,永久磁石39Hを通る磁束により、プランジャ31Hが第1コア36H側(図中右側)に吸引され、プランジャ31Hとプランジャシャフト32Hと引外し部材33Hとが第1コア36H側で保持される(これらの移動が規制される)。また、コイル35Hへの通電時には、その通電に伴って発生する磁束によって永久磁石39Hに起因する磁束がキャンセルされ、スプリング34Hの弾性力により、プランジャ31Hとプランジャシャフト32Hと引外し部材33Hとがピストンユニット12H側(図中左側)に移動する。このとき、引外し部材33Hは、その先端部(図中左端部)がラッチ機構21Hの案内部23Hに当接し、ラッチ機構21Hを外側に押し広げる。
こうして構成されたパーキング装置1Hでは、パーキングロック状態で、コイル35Hへの非通電時に、油圧によりピストンユニット12Hが図中右側に移動すると、ピストンユニット12Hのフランジ部13Hがラッチ機構21Hの爪部22Hに当接し、ラッチ機構21Hを外側に押し広げながら更に移動し、フランジ部13Hがラッチ機構21Hの爪部22Hと案内部23Hとの間となる位置で停止する。これにより、パーキングロック解除状態が形成される。そして、その状態で、コイル35Hへ非通電を継続すると、ピストンユニット12Hのフランジ部13Hとラッチ機構21Hの爪部22Hとの係合により、ピストンユニット12Hに油圧が作用していないときでも、パーキングロック解除状態が維持される。そして、パーキングロック解除状態でピストンユニット12Hに油圧が作用していないときに、コイル35Hへの通電が行なわれると、上述したように、引外し部材33Hがピストンユニット12H側に移動してラッチ機構21Hを外側に押し広げることにより、ラッチ機構21Hによるピストンユニット12Hの移動の規制が解除され、ばね装置による付勢力によってピストンユニット12Hが図中左側に移動し、パーキングロック状態が形成される。
この変形例のパーキング装置1Hでは、第1実施例や第2実施例のパーキング装置1,1Fと同様に、パーキングロック解除状態を保持するために、コイル34に通電する必要がないから、電力消費を抑制することができると共に、何らかの事情によりコイル34に通電できないときに、パーキングロック状態に切り替わってしまうのを抑制することができる。
次に、本発明のパーキング装置について説明する。
本発明の第1のパーキング装置は、車両に搭載され、変速機の出力軸に設けられたパーキングギヤと噛合するパーキングポールと、該パーキングポールを前記パーキングギヤに係脱するカムと、前記カムを駆動し、油圧で作動するピストンと、前記ピストンを油圧で作動した側に保持する移動規制部材と、を有するパーキング装置であって、前記移動規制部材による前記ピストンの保持状態を維持可能なロック部材を備え、前記ロック部材は、通電して磁束を発生させるコイル部と、前記コイル部の内周側で前記移動規制部材と当接する磁性体からなるプランジャと、前記コイル部の内周側で前記プランジャと対向する磁性体からなるコアと、前記コイル部と前記プランジャと前記コアとの外周側に配置されたヨークと、前記プランジャと前記コアと前記ヨークと共に磁路を形成する永久磁石と、を有し、該永久磁石の磁路は、前記コイル部の磁束が通過する磁路と少なくとも一部が共通である、ことを特徴とする。
この本発明の第1のパーキン装置では、移動規制部材によるピストンの保持状態を維持可能なロック部材は、通電して磁束を発生させるコイル部と、コイル部の内周側で移動規制部材と当接する磁性体からなるプランジャと、コイル部の内周側でプランジャと対向する磁性体からなるコアと、コイル部とプランジャとコアとの外周側に配置されたヨークと、プランジャとコアとヨークと共に磁路を形成する永久磁石と、を有する。そして、永久磁石の磁路は、コイル部の磁束が通過する磁路と少なくとも一部が共通である。これにより、コイル部への非通電時には、永久磁石の磁束に起因する磁路の磁束によってプランジャの移動を規制することにより、移動規制部材の移動を規制する。この結果、移動規制部材により、ピストンを油圧で作動した側に保持することができる。また、コイル部への通電時には、その通電に起因する磁束によって永久磁石の磁束に起因する磁束をキャンセルすることにより、プランジャの移動の規制を解除し、移動規制部材の移動の規制を解除する。この結果、移動規制部材によるピストンの油圧で作動した側での保持を解除する。以上より、移動規制部材によりピストンを油圧で作動した側に保持する際に、コイルに通電する必要がないから、電力消費を抑制することができる。
こうした本発明の第1のパーキング装置において、前記プランジャは、前記コアに当接すると供に前記永久磁石の磁束で前記コアに吸引される、ものとすることもできる。
また、本発明の第1のパーキング装置において、前記移動規制部材の移動を許容するときに、前記コイル部に通電することで前記共通磁路の前記永久磁石の磁束を減少させることにより前記プランジャ及び前記コアを通過する磁束を減少させる、ものとすることもできる。
さらに、本発明の第1のパーキング装置において、前記ソレノイドは、弾性力により前記移動規制部材を前記ピストン側に付勢する弾性部材を有する、ものとすることもできる。この場合、前記プランジャは、前記弾性部材が挿入される凹部を有する、ものとすることもできる。また、前記弾性部材は、前記ピストンを付勢するピストン用弾性部材より小さいバネ定数を有する、ものとすることもできる。
本発明の第1のパーキング装置において、前記永久磁石は、前記コイル部の軸方向における前記移動規制部材側と反対側に取り付けられている、ものとすることもできるし、前記コアの軸方向における前記プランジャ側に取り付けられている、ものとすることもできるし、前記プランジャの軸方向における前記コア側に取り付けられている、ものとすることもできる。
本発明の第1のパーキング装置において、前記ソレノイドの軸に対する径方向において、前記コイルおよび前記永久磁石と前記プランジャとの間に配置された磁性体からなるスリーブを有すると共に、前記ソレノイドの軸方向において前記スリーブと前記コアとの間には非磁性体からなる磁束遮断部材を有する、ものとすることもできる。
本発明の第2のパーキング装置は、
車両に搭載され、変速機の出力軸に設けられたパーキングギヤと噛合するパーキングポールと、該パーキングポールを前記パーキングギヤに係脱するカムと、
前記カムを駆動し、油圧で作動するピストンと、
前記ピストンを油圧で作動した側に保持する移動規制部材と、を有するパーキング装置であって、
前記移動規制部材の移動を規制と許容とに切り替えるソレノイドとを有し、
前記ソレノイドは、磁力により前記移動規制部材の移動を規制する永久磁石と、コイル部への通電を伴って前記永久磁石による前記移動規制部材の移動の規制を解除する規制解除部とを有する、
ことを特徴とする。
この本発明の第2のパーキング装置では、移動規制部材の移動を規制と許容とに切り替えるソレノイドは、磁力により移動規制部材の移動を規制する永久磁石と、コイル部への通電を伴って永久磁石による移動規制部材の移動の規制を解除する規制解除部と、を有する。したがって、コイルへの非通電時には、永久磁石の磁束によって移動規制部材の移動を規制することにより、ピストンを油圧で作動した側に保持することができる。また、コイル部への通電時には、その通電に起因する磁束によって永久磁石の磁束に起因する磁束をキャンセルすることにより、移動規制部材の移動の規制を解除し、移動規制部材によるピストンの油圧で作動した側での保持を解除する。以上より、移動規制部材によりピストンを油圧で作動した側に保持する際に、コイルに通電する必要がないから、電力消費を抑制することができる。
本発明の第2のパーキング装置において、前記永久磁石は、前記コイル部より前記ピストンとは反対側に配置されている、ものとすることもできる。
本発明の第2のパーキング装置において、前記永久磁石は、前記移動規制部材に固定されており、前記規制解除部は、磁性体により形成されると共に前記永久磁石と前記移動規制部材の移動方向で対向する対向部を有し、前記移動規制部材は、前記永久磁石と前記対向部との吸引により移動が規制される、ものとすることもできる。
本発明の第2のパーキング装置において、前記永久磁石は、前記規制解除部に固定されており、前記移動規制部材は、磁性体により形成された磁性体部を有し、前記永久磁石と前記磁性体部とが前記移動規制部材の移動方向で対向するよう配置されており、前記移動規制部材は、前記永久磁石と前記磁性体部との吸引により移動が規制される、ものとすることもできる。
永久磁石が移動規制部材または規制解除部に固定される態様の本発明の第2のパーキング装置において、前記ソレノイドは、弾性力により前記移動規制部材を前記ピストン側に付勢する弾性部材を有し、前記移動規制部材は、非磁性体により形成されたシャフトと、磁性体により形成されたプランジャとを有し、前記シャフトは、前記当接部を有する小径部と、該小径部から前記当接部とは反対側に延出し且つ前記小径部より大径の大径部とを有し、前記プランジャは、前記大径部より大径に形成されており、前記シャフトおよび前記プランジャは、前記弾性部材の弾性力により、前記プランジャの前記ピストン側の端面が前記大径部の前記小径部側とは反対側の端面と当接し且つ前記大径部の前記小径部側の端面が前記規制解除部の一部と当接し且つ前記当接部が前記被当接部と当接可能となるよう前記ピストン側に付勢されており、前記永久磁石は、前記大径部の外周を囲むように配置されている、ものとすることもできる。こうすれば、シャフトとプランジャとが弾性部材の弾性力によりピストン側に一体に付勢されてシャフトの大径部の小径部側の端面が規制解除部の一部と当接するから、シャフトがその軸方向にガタつくのを抑制することができる。また、永久磁石がシャフトの大径部の外周を囲むように配置されるから、シャフトが径方向にガタついたとしても、そのガタつきを大径部の外周面と永久磁石の内周面との間のクリアランスで吸収することができる。この結果、シャフトとプランジャと永久磁石とが一体に構成されるものに比して、プランジャの外周に形成される磁気ギャップを小さくすることができる。また、シャフトが非磁性体により形成されるから、磁気ユニットでの磁束の漏れを低減することができる。これらの結果、磁気ユニットの大型化を抑制しつつ磁気効率を高くすることができる。
永久磁石がシャフトの大径部の外周を囲むように配置される態様の本発明の第2のパーキング装置において、前記永久磁石の軸方向の長さは、前記大径部の軸方向の長さより短い、ものとすることもできる。こうすれば、永久磁石がプランジャに固定されている場合には、シャフトおよびプランジャがピストン側に移動するときに、永久磁石が規制解除部の一部(永久磁石と軸方向で対向する対向部)と当接(衝突)するのを抑制することができ、永久磁石をより保護することができる。また、永久磁石が規制解除部に固定されている場合には、シャフトおよびプランジャがピストン側に移動するときに、永久磁石がプランジャと当接(衝突)するのを抑制することができ、永久磁石をより保護することができる。
本発明の第2のパーキング装置において、前記ソレノイドは、弾性力により前記移動規制部材を前記ピストン側に付勢する弾性部材を有する、ものとすることもできる。この場合、前記プランジャは、前記弾性部材が挿入される凹部を有する、ものとすることもできる。また、前記弾性部材は、前記ピストンを付勢するピストン用弾性部材より小さいバネ定数を有する、ものとすることもできる。
本発明の第2のパーキング装置において、前記移動規制部材は、非磁性体により形成されたシャフトと、磁性体により形成されたプランジャとを有する、ものとすることもできる。
プランジャを有する態様の本発明の第1,第2のパーキング装置において、前記ソレノイドは、前記永久磁石に起因する前記コイル部より径方向内側を通る磁束により前記プランジャを前記ピストン側に吸引する吸引部を有し、前記吸引部の前記プランジャ側の面は、前記コイル部より径方向内側を通る磁束に対して垂直となる位置に形成されている、ものとすることもできる。これにより、装置の大型化をより抑制しながら、吸引部によってプランジャをピストン側に吸引してロックする際の吸引力をより大きくすることができ、プランジャの移動をより確実に(より大きな力で)規制することができる。
ソレノイドが吸引部を有する態様の本発明の第1,第2のパーキング装置において、前記吸引部の前記プランジャ側の面は、前記プランジャの移動方向に対して垂直で且つ前記プランジャの前記吸引部側の面と平行である、ものとすることもできる。
ソレノイドが吸引部を有する態様の本発明の第1,第2のパーキング装置において、前記吸引部は、前記コイルより径方向内側で且つ該コイルの軸方向の中央に配置される、ものとすることもできる。吸引部によってプランジャを吸引する際の磁束は、コイルより径方向内側では、コイルの軸方向の端部付近より中央付近で軸方向に揃いやすい(軸方向の磁束密度が高くなりやすい)。したがって、吸引部がコイルの軸方向の中央に配置されることにより、コイルの軸方向の中央以外(端部など)に配置されるものに比して、装置の大型化を抑制しながら、吸引部によってプランジャをピストン側に吸引する際の吸引力を大きくすることができ、プランジャの軸方向の移動をより確実に(より大きな力で)規制することができる。
ソレノイドが吸引部を有する態様の本発明の第1,第2のパーキング装置において、前記プランジャより径方向外側に配置される第1コアと、前記プランジャおよび前記第1コアより前記ピストン側に配置されると共に前記プランジャ側の端部に前記吸引部を有する第2コアと、記プランジャより径方向外側で且つ前記第1コアと前記第2コアとの間で且つ前記第1コアと前記第2コアとに接するように配置されると共に非磁性体により形成されるギャップ部材と、を備え、前記第1コアの少なくとも前記ギャップ部材側の一部および前記第2コアの少なくとも前記ギャップ部材側の一部は、前記コイルと径方向で重なり、前記ギャップ部材は、前記コイルの軸方向の中心を通り且つ該コイルの軸方向に直交する平面を含むように配置される、ものとすることもできる。この場合、前記吸引部は、前記ギャップ部材より径方向内側で且つ該ギャップ部材と径方向で重なる、ものとすることもできる。
プランジャを有する態様の本発明の第1,第2のパーキング装置において、前記プランジャは、前記移動規制部材が挿入される凹部を有する、ものとすることもできる。この場合、前記凹部の径は、前記吸引部の内径より大きい、ものとすることもできる。これらの場合、吸引部とプランジャ(特に吸引部側の端部付近)との間での磁束漏れを抑制することができる。
本発明の第1,第2のパーキング装置において、前記ピストンは、第1方向に移動し、前記移動規制部材は、前記第1方向とは直交する第2方向に移動する、ものとすることもできる。こうすれば、ピストンと移動規制部材とが同一方向に移動するよう(同一軸線上に)配置されるものに比して限られたスペースへの配置を良好なものとすることができる。
本発明の第1,第2のパーキング装置において、前記ピストンを油圧で作動する側とは反対側に付勢するピストン用弾性部材を備え、前記移動規制部材は、前記ピストンに設けられた被当接部と当接可能な当接部を有し、前記移動規制部材は、前記コイル部への通電時には、前記ピストン用弾性部材の弾性力または油圧によって前記被当接部から前記当接部に作用する力により、前記ピストンから離間する側に移動する、ものとすることもできる。これにより、コイルへの通電時には、ピストン用弾性部材の弾性力または油圧によって被当接部から当接部に作用する力により移動規制部材をピストンから離間する側に移動させながら、ピストンが移動することができる。
ピストンに被当接部が設けられると共に移動規制部材が当接部を有する態様の本発明の第1,第2のパーキング装置において、前記当接部は、前記移動規制部材の先端部に形成されており、前記ピストンがパーキングロック状態が形成されるロック側に移動する際に前記被当接部から力を受けるロック解除側当接面を有し、前記ロック解除側当接面は、前記移動規制部材の先端部側から基端部側に向かうにつれて前記ロック側とは反対側に傾斜するよう形成されている、ものとすることもできる。こうすれば、ピストンがロック側に移動する際におけるピストンの被当接部と移動規制部材の当接部のロック解除側当接面との当接時に、ピストンから移動規制部材に作用する力の分力により、移動規制部材をピストンから後退させることができる。
ピストンに被当接部が設けられると共に移動規制部材が当接部を有する態様の本発明の第1,第2のパーキング装置において、前記当接部は、前記移動規制部材の先端部に形成されており、前記ピストンがパーキングロック解除状態が形成されるロック解除側に移動する際に前記被当接部から力を受けるロック側当接面を有し、前記ロック側当接面は、前記移動規制部材の先端部側から基端部側に向かうにつれて前記ロック解除側とは反対側に傾斜するよう形成されている、ものとすることもできる。こうすれば、ピストンがロック解除側に移動する際におけるピストンの被当接部と移動規制部材の当接部のロック側当接面との当接時に、ピストンから移動規制部材に作用する力の分力により、移動規制部材をピストンから後退させることができる。
ピストンに被当接部が設けられると共に移動規制部材が当接部を有する態様の本発明の第1,第2のパーキング装置において、前記被当接部は、前記ピストンに対して回転可能なローラとして構成されている、ものとすることもできる。こうすれば、ピストンの被当接部と移動規制部材の当接部との間の摩擦抵抗を低減することができる。
ピストンに被当接部が設けられると共に移動規制部材が当接部を有する態様の本発明の第1,第2のパーキング装置において、前記ピストンには、前記移動規制部材の当接部が進入可能で且つ前記ピストンを貫通する穴部が形成されており、前記移動規制部材の当接部は、前記穴部内に位置している、ものとすることもできる。
本発明の第1,第2のパーキング装置において、前記ピストンは、ピストン用弾性部材の弾性力により、パーキングロックが形成されるロック側に付勢され、前記ピストン用弾性部材の弾性力に抗する油圧により、パーキングロック解除状態が形成されるロック解除側に移動する、ものとすることもできる。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。