JP4036106B2 - 電磁弁 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁駆動部のプランジャの軸線方向移動により弁部のスプールを作動させるようにした電磁弁、特に車両の電子制御式自動変速機のオイルパンなどの内部に設けて使用するのに適した電磁弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の電磁弁には、第1のソレノイドハウジング(コア)および第2のソレノイドハウジング(ヨーク)を同軸的に配列し、このソレノイドハウジングに形成した摺動孔によりプランジャを摺動可能に案内支持し、ソレノイドハウジングをソレノイドにより磁化させてプランジャをスプリングに抗して軸線方向に移動させることにより、ソレノイドハウジングに取り付けられたスプールハウジング内のスプールを作動させるようにしたものがある。ソレノイドハウジングに形成された摺動孔とプランジャの端面とカバーの間に形成される空間はプランジャの移動に応じて容積が変化するので、この空間は吸排通路を介して外部に連通されている(例えば特許文献1、特にその従来技術の記載参照)。この技術では、プランジャを摺動孔により摺動可能に案内支持しているので、プランジャと摺動孔の間に異物がかみ込んだとき、プランジャがロックするおそれがある。そこでこのような問題を解決するために、プランジャを、嵌合孔に進退可能に嵌合され中心に圧入穴を形成した磁性体からなる可動部材と、可動部材の圧入穴に圧入され可動部材からスプール側へ突出したシャフトで構成し、可動部材を嵌合孔から浮いた状態で支持すべくスプールにシャフトの一端が嵌め込まれる凹みを形成することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、上述した後の技術では、磁性体からなる可動部材とソレノイドハウジングの間に隙間が生じ、これにより磁気回路の磁気抵抗が増大してソレノイドハウジングと可動部材の磁化が減少し、このためプランジャに加わる磁気的吸引力が減少して電磁弁の作動特性が不安定になり、あるいは同じ作動特性を得るためにはソレノイドが大型化するという問題がある。
【0004】
このような問題を解決する手段として、図3および図4に示す技術がある。これは、電磁駆動部1と弁部20よりなる電磁弁で、電磁駆動部1は、磁性体よりなるヨーク3とコア4をエアギャップ(非磁性部)6を介して同軸的に配列しこの両者の外側を覆うカバー5によりそれらの両端部を磁気的に接続してステータ2を形成し、このステータ2内のヨーク3およびコア4にわたり形成した内孔2aに磁性体よりなるプランジャ7を摺動可能に案内支持し、ヨーク3およびコア4とカバー5の間に電磁コイル8を設けたものである。また弁部20は、ステータ2に取り付けられる弁スリーブ21内にスプール22を摺動自在に嵌合支持したもので、スプール22は弁スリーブ21の後端に設けた栓部材23との間に介装したスプリング24によりプランジャ7に向けて付勢されてその前端の突出部22aがプランジャ7に当接され、これにより不作動状態ではプランジャ7の前端はカバー5の内端面に当接されている(図3の上半部参照)。電磁コイル8に通電すれば通電量に応じてステータ2が磁化されてプランジャ7はスプリング24に抗してコア4側に向かって吸引され、スプール22を移動させて弁部20を作動させる(図3の下半部参照)。
【0005】
ヨーク3に形成された内孔2aの内面とプランジャ7の先端面とカバー5の内端面の間に形成される空間Aは吸排通路9を介して外部に連通され、この吸排通路9は、図3および図4に示すように、カバー5の内端面の中央に形成された凹部9aと、ヨーク3の外周面とカバー5の内周面の間に形成された環状空間9cと、カバー5の内端面に形成されて凹部9aを環状空間9cの上部に連通する溝9bと、カバー5の外周部の下部に設けられて環状空間9cに開口する穴9dにより形成されている。空間Aはプランジャ7の移動に応じて容積が変化し、この電磁弁がオイルパンなどの内部に設けられている場合は、プランジャ7の往復動に伴い吸排通路9を介して周囲のオイルが空間A内に出入りされる。
【0006】
この図3および図4に示す従来技術では、磁性体からなるプランジャ7はヨーク3およびコア4に摺動自在に嵌合支持され、それらの間の隙間は僅かであるのでこれらにより形成される磁気回路の磁気抵抗の増大により、ステータ2およびプランジャ7の磁化が減少することはないので、プランジャ7に加わる吸引力が減少して電磁弁の作動特性が不安定になったり、あるいは同じ作動特性を得るためにソレノイドが大型化するという問題はない。また、電磁弁の外部となる周囲のオイルは吸排通路9を介して空間A内に出入りされるが、この吸排通路9は凹部9a、溝9b、環状空間9cおよび穴9dよりなる長くかつ大きく上下する形状であるので、周囲のオイル中に浮遊する微細な異物は上下に長い環状空間9c内を往復動している間に沈降することにより大部分が除去され、すぐに空間A内に入ることはない。この図3および図4に示す技術は比較例として示すもので公知技術ではなく、またそのような構造を記載した文献は見当たらない。
【0007】
【特許文献1】
特開平1−242884号公報(第1頁右下欄第10行〜第2頁右上欄第2行目、第1図および第2図)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
図3および図4に示す技術のプランジャ7は空間A側となる先端まで磁性体により形成されているので、電磁コイル8への通電によりプランジャ7が、図3の下半部に示すように移動された状態では、磁束Gは露出されるヨーク3の内孔2aの内面の近くを通り、従ってこの露出された内孔2aの内面も強く帯磁される。またこの技術では、吸排通路9を通って外部から空間Aに出入りするオイル内に浮遊する異物は時間の経過とともに次第に空間A内に入り、長時間経過後にはその含有量は周囲のオイルと同じになる。この異物のうち軸受や歯車などの摩擦部分で発生した微細な鉄粉異物は、スプリング24に抗してプランジャ7が移動した際に露出される強く帯磁されたヨーク3の内孔2aの内面に磁力により吸着され、一旦このように吸着された鉄粉が再び離れることは期待できないので内孔2aの内面に吸着される鉄粉は蓄積されて増加する一方となり、これが互いに摺動するヨーク3とプランジャ7間に入り込んでプランジャ7の動きを次第に悪くし、ついにはプランジャ7をロックさせるおそれがある。
【0009】
本発明はプランジャ7が移動した際に露出されるヨーク3の内孔2aの内面の帯磁を減少させて、このような問題を解決することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このために、本発明による電磁弁は、軸線方向に沿って同軸的に配列されたヨークおよびコアとこの両者の外側を覆うとともにそれらの両端部を磁気的に接続して磁路を形成するカバーよりなるステータと、このステータ内にヨークおよびコアにわたり形成された内孔と、この内孔により摺動自在に案内支持されスプリングにより一方向に付勢されたプランジャと、ステータを磁化させてプランジャをスプリングに抗して軸線方向に移動させる電磁コイルと、ステータに取り付けられた弁スリーブと、この弁スリーブに摺動自在に案内支持されてプランジャにより作動されるスプールよりなり、ヨークに形成された内孔の内面とプランジャの一方の端面により形成されプランジャの移動に応じて容積が変化する空間を吸排通路を介して外部に連通してなる電磁弁において、プランジャおよびヨークの少なくとも何れか一方は、空間側となるプランジャの外面またはヨークの内面を構成する部分を、その端面からプランジャの最大ストロークよりも大きい範囲にわたり非磁性体により形成し、ヨークは電磁コイル内に挿入される小径部とそれより空間側となる大径部よりなるものとし、プランジャの外面またはヨークの大径部の内面を構成する部分の非磁性体により形成される範囲は、プランジャが最大ストロークした状態において、ヨークの大径部の内面を構成する部分の磁性体により形成される範囲とプランジャの外面を構成する部分の磁性体により形成される範囲が相当な長さにわたり重合されるように充分小さくし、プランジャの外面およびヨークの内面の少なくとも何れか一方には、空間側となる端面からプランジャの最大ストロークよりも大きい距離だけ離れた位置に環状の異物除去溝を形成したことを特徴とするものである。
【0013】
前項に記載の電磁弁の異物除去溝は、空間側となるプランジャまたはヨークの端面から、非磁性体により形成される範囲の長さと同程度またはそれより小さい距離だけ離れた位置に形成することが好ましい。
【0014】
【発明の作用および効果】
本発明によれば、プランジャおよびヨークの少なくとも何れか一方は、空間側となるプランジャの外面またはヨークの内面を構成する部分を、その端面からプランジャの最大ストロークよりも大きい範囲にわたり非磁性体により形成し、また電磁弁のヨークは電磁コイル内に挿入される小径部とそれより空間側となる大径部よりなるものとし、プランジャの外面またはヨークの大径部の内面を構成する部分の非磁性体により形成される範囲は、プランジャが最大ストロークした状態において、ヨークの大径部の内面を構成する部分の磁性体により形成される範囲とプランジャの外面を構成する部分の磁性体により形成される範囲が相当な長さにわたり重合されるように充分小さくしたので、この非磁性体により形成された範囲ではプランジャおよびヨークの何れも帯磁されることがなくなり、あるいは帯磁されることが少なくなり、しかもこのような非磁性体を設けてもプランジャに加わる磁気的吸引力が減少することはない。これによりスプリングに抗してプランジャが移動した際に露出されるヨークの内孔の内面も帯磁されることがなくなり、あるいは帯磁されることが少なくなってヨークの内孔の内面に磁力により鉄粉が吸着されることは殆どなくなり、一旦吸着された鉄粉も比較的容易に離れるので、ヨークの内孔の内面に吸着される鉄粉が蓄積されることはなくなり、あるいは蓄積の速度が減少する。従ってこのような鉄粉の吸着によりプランジャの動きを悪くしたり、プランジャをロックしたりするおそれはなくなり、あるいはそのような状態に達するまでの時間を延ばすことができ、またこれによりプランジャの動きが軽くなるので、電磁コイルを小さくして電磁弁を小形化することができ、しかも電磁弁の作動特性に悪影響を及ぼすことはない。さらに本発明では、プランジャの外面およびヨークの内面の少なくとも何れか一方には、空間側となる端面からプランジャの最大ストロークよりも大きい距離だけ離れた位置に環状の異物除去溝を形成したので、ヨークとプランジャ間に入り込んでプランジャの移動に伴い移動する異物は異物除去溝内に入って除去され、それより奥に達することは殆どなくなる。従って異物によりプランジャの動きが悪くなったり、プランジャをロックしたりするおそれは一層少なくなり、またそのような状態に達するまでの時間を一層増大させることができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、異物除去溝を、空間側となるプランジャまたはヨークの端面から、非磁性体により形成される範囲の長さと同程度またはそれより小さい距離だけ離れた位置に形成したので、ヨークとプランジャ間に入り込んだ異物はヨークとプランジャの両方が磁性体よりなる奥部に達することは殆どなくなる。従ってヨークとプランジャの両方が磁性体よりなる範囲に鉄粉が入り込み蓄積されてプランジャの動きを悪くしたり、プランジャをロックしたりするおそれはさらに一層少なくなり、あるいはそのような状態に達するまでの時間をさらに一層増大させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、図1に示す実施の形態により、本発明による電磁弁の説明をする。この実施の形態の電磁弁は、互いに同軸的に設けられた電磁駆動部10および弁部20よりなるもので、電磁駆動部10のヨーク12およびプランジャ16を除き図3および図4に示す従来技術と同一である。
【0019】
電磁駆動部10はステータ11とプランジャ16と電磁コイル17よりなるものである。ステータ11は、非磁性体のパイプ15を介して同軸的に連結され間にエアギャップ(非磁性部)15aが形成された磁性体よりなるヨーク12およびコア13と、このヨーク12およびコア13を覆うとともにこの両者の両端部を磁気的に接続して磁気回路を形成する磁性体のカバー14よりなるもので、ヨーク12とコア13にわたり軸心が同一(図示の実施形態では同一径)の内孔11aが形成されている。ヨーク12は、電磁コイル17内に挿入される小径部と、それより空間A(後述)側となる大径部により形成されている。
【0020】
内孔11a内に摺動自在に案内支持されるプランジャ16は、互いに同一径の本体部16aと帯磁防止部16bよりなり、この両者は非磁性体よりなる帯磁防止部16bの一端に形成した突起を、磁性体よりなる本体部16aの先端に形成した穴に圧入することにより互いに同軸的に固着したものである。このプランジャ16は帯磁防止部16bがヨーク12側となるように内孔11a内に挿入され、帯磁防止部16b側の先端がカバー14の内端面に当接する位置(図1の上半部参照)と、本体部16a側の後端が非磁性体のワッシャ13aを介してコア13の段部に当接する位置(図1の下半部参照)の間で移動可能である。帯磁防止部16b側となるプランジャ16の先端面と、ヨーク12に形成された内孔11aの内面と、カバー14の内端面の間には、プランジャ16の移動に応じて容積が変化する空間Aが形成される。空間Aは、カバー14の内端面の中央に形成された凹部18a、溝18b、環状空間18cおよび穴18dよりなる吸排通路18を介して外部に連通されているが、その構造は図3および4に示す従来技術と同一なので詳細な説明は省略する。
【0021】
プランジャ16の先端部に設ける帯磁防止部16bの外周部の軸線方向長さDは、プランジャ16の最大ストロークCよりも大きくし(例えば最大ストロークCの約2倍)、また最大ストロークした状態において、全体が磁性体により形成されるヨーク12の大径部の内面の全範囲と、プランジャ16のうち帯磁防止部16bを除く磁性体により形成される本体部16aの外面の範囲が、相当な長さEにわたり重合されて必要な磁束を確保できる程度に充分小さくする(例えばE>2×B、Bはヨーク12の小径部の肉厚)。また空間A側となるヨーク12の内孔11aの内面には環状の異物除去溝19が形成され、空間A側となるヨーク12の端面からこの異物除去溝19間での距離は、プランジャ16の最大ストロークCよりも大きくし、帯磁防止部16bの軸線方向長さDと同程度またはそれより小さくする。
【0022】
弁部20は、弁スリーブ21とこれに摺動自在に嵌合支持されたスプール22よりなるもので、弁スリーブ21はその一端のフランジ部がカバー14の端部によりコア13にかしめられて、ステータ11と同軸的に固定されている。スプール22は、弁スリーブ21の後端にねじ込まれた栓部材23との間に介装したスプリング24により電磁駆動部10側に向けて付勢されてその先端に形成された突出部22aがプランジャ16の後端面に当接され、これにより不作動状態ではプランジャ16の前端はカバー14の内端面に当接されている(図3の上半部参照)。
【0023】
電磁コイル17に通電すれば、通電量に応じてステータ11が磁化されてプランジャ16はコア13側に向かって吸引され、スプール22をスプリング24に抗して移動させて弁部20を作動させる(図3の下半部参照)。このプランジャ16の移動に応じて空間Aの容積が変化し、この電磁弁がオイルパンなどの内部に設けられている場合は、プランジャ16の往復動に伴い吸排通路18を介して周囲のオイルが空間A内に出入りされる。従って空間A内の鉄粉を含む異物の浮遊量は前述した従来技術の場合と同様、長時間経過後には周囲のオイルと同じになる。
【0024】
電磁コイル17に通電され、ステータ11が磁化されて、図1の下半部に示すようにプランジャ16がスプリング24に抗して移動された状態では、磁束は主として磁性体よりなるプランジャ16の本体部16a内を通り、非磁性体の帯磁防止部16b内を通る磁束は僅かであるので、磁束Gは空間A内に露出されるヨーク12の内孔11aの内面から離れた位置を通る。従って空間A内に露出される内孔11aの内面が強く帯磁されることはないので、空間A内のオイル中に浮遊する鉄粉が磁力により内孔11aの内面に吸着されることは少なく、一旦吸着された鉄粉も比較的容易に離れる。従って、このような鉄粉が内孔11aの内面に吸着されて蓄積され、互いに摺動するヨーク12とプランジャ16の間に入り込んでプランジャ16の動きを悪くしたり、プランジャ16をロックさせたりするおそれはなくなり、あるいはそのような状態に達するまでの時間を延ばすことができる。またこれによりプランジャ16の動きが軽くなるので、電磁コイル17を小さくして電磁弁を小形化することができる。
【0025】
空間A内に露出する内孔11aの内面に付着したオイル中の異物は、プランジャ16の往復動により移動され、内孔11aとプランジャ16の間の隙間内に入って次第にこの隙間の奥に移動しようとするが、この異物は内孔11aの内面に形成した異物除去溝19内に入ってプランジャ16の外周面およびヨーク12の内孔11aから除去され、それより奥のヨーク12とプランジャ16の両方の何れもが磁性体よりなる範囲に達することは殆どなくなる。従ってヨーク12とプランジャ16の両方が磁性体よりなる範囲の隙間に鉄粉が入り込み蓄積されてプランジャの動きを悪くしたり、プランジャをロックさせたりするおそれは一層減少し、あるいはそのような状態に達するまでの時間は一層増大される。
【0026】
上述した実施の形態では、プランジャ16の先端部に設ける非磁性体の帯磁防止部16bの外周部の軸線方向長さDを、最大ストロークした状態におけるプランジャ16の本体部16aとヨーク12の大径部の間の重合部分の長さEが必要な磁束を確保できる程度に充分小さくしており、このようにすればプランジャ16の本体部16aとヨーク12の間の重合部分の長さEが減少し過ぎることはないので、プランジャ16に非磁性体の帯磁防止部16bを設けてもプランジャ16に加わる磁気的吸引力が減少して電磁弁の作動特性に悪影響を及ぼすことはない。
【0027】
なお上述した実施の形態では、吸排通路18の環状空間18cは電磁コイル17の一端とカバー14の内端面の間の全幅にわたって形成したが、本発明は、電磁コイル17の一端と穴18dの間となるヨーク12の外周部にカバー14の内周面に当接する大径部12a(二点鎖線参照)を形成し環状空間18cの幅を小さくするようにして実施してもよい。このようにすれば、電磁コイル17によりステータ11が磁化された際の磁束Gが通る位置はヨーク12の内孔11aの内面から一層離れるので、露出された内孔11aの内面の帯磁はさらに減少される。
【0028】
また上述した実施の形態では、プランジャ16の本体部16aと帯磁防止部16bの結合は、帯磁防止部16bの一端に形成した突起を本体部16aの先端に形成した穴に圧入することにより行っているが、本体部16aの先端に形成した突起を帯磁防止部16bに形成した穴に圧入して行ってもよいし、後の場合には帯磁防止部16bを環状として本体部16aの先端の突起に圧入するようにしてもよい。
【0029】
次に図2に示す変形例の説明をする。この変形例はプランジャ16は磁性体のみからなるものとし、ヨーク12を本体部12bと帯磁防止部12cよりなるものとした点が図1に示す実施の形態と異なるだけであるので、主としてこの相違点について説明する。
【0030】
この変形例のヨーク12は、磁性体よりなる本体部12bの空間A側となる端部に内孔11aと同軸的にやや大径の嵌合孔12dを形成し、この嵌合孔12dに内孔11aと同一内径の非磁性体よりなる環状の帯磁防止部12cを圧入固着し、嵌合孔12dの奥部と帯磁防止部12cの間に異物除去溝19aを形成したものである。この帯磁防止部12cの軸線方向長さは、プランジャ16の最大ストロークCよりも大きくし、また最大ストロークした状態において、ヨーク12の大径部のうち帯磁防止部12cおよび異物除去溝19aを除く磁性体により形成される本体部12bの内面の範囲と、全体が磁性体により形成されるプランジャ16の外面の全範囲が、相当な長さにわたり重合されて必要な磁束を確保できる程度に充分小さくしている。これ以外の構成は、プランジャ16が磁性体のみからなるものである点を除き、前述した実施の形態と同一であるので、同一部分に同一の符号を付して示すだけとし、詳細な説明は省略する。
【0031】
電磁コイル17(図示省略)に通電され、ステータ11が磁化されて、図2の下半部に示すようにプランジャ16がスプリング24に抗して移動された状態では、磁束は主として磁性体よりなるヨーク12の本体部12b内を通り、空間A内に露出される内孔11aの内面を形成する非磁性体の帯磁防止部12cは磁化されない。従って前述した実施の形態と同様、空間A内のオイル中に浮遊する鉄粉が磁力により内孔11aの内面に吸着されることはなく、一旦付着された鉄粉も比較的容易に離れる。従って、このような鉄粉が互いに摺動するヨーク12とプランジャ16の間に入り込んでプランジャ16の動きを悪くしたり、プランジャ16をロックさせたりするおそれはなくなり、あるいはそのような状態に達するまでの時間を延ばすことができる。またこれによりプランジャ16の動きが軽くなるので、電磁コイル17を小さくして電磁弁を小形化することができる。異物除去溝19aの作用および効果は、前述した実施の形態で述べたのと同じである。
【0032】
なお上述した各実施の形態では、プランジャ16に帯磁防止部16bを設けた例と、ヨーク12に本体部12bを設けた例を示したが、本発明はプランジャ16には帯磁防止部16bを設けヨーク12には本体部12bを設けるようにして実施してもよい。また異物除去溝19,19aは内孔11aの内面に形成した例を示したが、異物除去溝はプランジャ16の外周面に形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による電磁弁の一実施形態を示す長手方向断面図である。
【図2】 図1に示す実施の形態の変形例を示す部分断面図である。
【図3】 従来技術による電磁弁の一例を示す長手方向断面図である。
【図4】 図3の4−4断面図である。
【符号の説明】
11…ステータ、11a…内孔、12…ヨーク、13…コア、14…カバー、16…プランジャ、17…電磁コイル、18…吸排通路、19,19a…異物除去溝、21…弁スリーブ、22…スプール、24…スプリング、A…空間。
Claims (2)
- 軸線方向に沿って同軸的に配列されたヨークおよびコアとこの両者の外側を覆うとともにそれらの両端部を磁気的に接続して磁路を形成するカバーよりなるステータと、このステータ内に前記ヨークおよびコアにわたり形成された内孔と、この内孔により摺動自在に案内支持されスプリングにより一方向に付勢されたプランジャと、前記ステータを磁化させて前記プランジャを前記スプリングに抗して軸線方向に移動させる電磁コイルと、前記ステータに取り付けられた弁スリーブと、この弁スリーブに摺動自在に案内支持されて前記プランジャにより作動されるスプールよりなり、前記ヨークに形成された前記内孔の内面と前記プランジャの一方の端面により形成され前記プランジャの移動に応じて容積が変化する空間を吸排通路を介して外部に連通してなる電磁弁において、
前記プランジャおよびヨークの少なくとも何れか一方は、前記空間側となる前記プランジャの外面または前記ヨークの内面を構成する部分を、その端面から前記プランジャの最大ストロークよりも大きい範囲にわたり非磁性体により形成し、
前記ヨークは前記電磁コイル内に挿入される小径部とそれより前記空間側となる大径部よりなるものとし、前記プランジャの外面または前記ヨークの大径部の内面を構成する部分の非磁性体により形成される範囲は、前記プランジャが最大ストロークした状態において、前記ヨークの大径部の内面を構成する部分の磁性体により形成される範囲と前記プランジャの外面を構成する部分の磁性体により形成される範囲が相当な長さにわたり重合されるように充分小さくし、
前記プランジャの外面および前記ヨークの内面の少なくとも何れか一方には、前記空間側となる端面から前記プランジャの最大ストロークよりも大きい距離だけ離れた位置に環状の異物除去溝を形成したことを特徴とする電磁弁。 - 請求項1に記載の電磁弁において、前記異物除去溝は、前記空間側となる前記プランジャまたはヨークの端面から、前記非磁性体により形成される範囲の長さと同程度またはそれより小さい距離だけ離れた位置に形成したことを特徴とする電磁弁。
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