JP2015105749A - クラッチ装置 - Google Patents

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孝児 安井
Koji Yasui
孝児 安井
砂田 洋尚
Hironao Sunada
洋尚 砂田
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Abstract

【課題】係止部材に傾斜溝の側壁が当接する際の接触荷重を緩和することができるクラッチ装置を提供する。【解決手段】駆動側回転体に対して従動側回転体5を進退移動自在に設ける。従動側回転体5を駆動側回転体に対して前進させボールロック機構によりクラッチ装置を係合状態にする。従動側回転体5の外周面に傾斜溝57を形成し、従動側回転体5が前進位置にある際に、係止部材61のピン69を傾斜溝57に挿入して、この傾斜溝57の側面57aIIをピン69に当接させることで、従動側回転体5を、その回転に伴って後退移動させてクラッチ装置を開放状態にする。係止部材61のピン69の基端側に凹部9を設け、ピン69と傾斜溝57の側面57aIIとが当接した際、凹部9周辺の弾性変形により、ピン69を側面57aIIから後退する方向に移動させ、接触荷重を緩和する。【選択図】図7

Description

本発明はクラッチ装置に係る。特に、本発明は、駆動側回転体に対して従動側回転体を進退移動させることによって、これら両者の連結状態を切り換えるクラッチ装置の改良に関する。
従来、エンジンの動力をウォータポンプに伝達する係合状態と伝達しない解放状態とを切り換えるクラッチ装置が知られている。例えば特許文献1には、クランク軸に連繋された駆動側回転体と、ウォータポンプに連繋された従動側回転体とを備え、これら回転体同士を、磁力を利用して圧接することにより係合状態となるクラッチ装置が開示されている。具体的に、この特許文献1に開示されているクラッチ装置は、駆動側回転体に向かう磁力を従動側回転体に付与する磁石と、通電されることによって前記磁石の磁界を打ち消すコイルとを備えている。そして、コイルの非通電時には、磁石の磁力によって駆動側回転体と従動側回転体とが圧接して係合状態となる。これにより、ウォータポンプに動力が伝達される。一方、コイルの通電時には、コイルの周囲に発生する磁界によって磁石の磁界が打ち消されて駆動側回転体と従動側回転体とが離間して解放状態となる。これにより、ウォータポンプには動力が伝達されないことになる。
しかしながら、この特許文献1の構成では、ウォータポンプに伝達すべきトルクが大きい場合、回転体同士を圧接させるための圧接力を大きくしておく必要がある。この場合、前記磁石を大型化する必要がある。また、この大型の磁石の磁界を打ち消すための(係合状態から解放状態へ切り換えるための)前記コイルも大型化しておく必要がある。このため、特許文献1の構成ではクラッチ装置全体としての小型化を図ることが難しい。
そこで、本願特許出願人は、従動側回転体の回転力を利用して係合状態から解放状態への切り換えを可能にするクラッチ装置について出願している(特願2012−211046号および特願2013−154986号)。
具体的には、従動側回転体を駆動側回転体に対して進退移動自在とする。また、駆動側回転体に向かう付勢力を従動側回転体に作用させる付勢手段を設ける。また、従動側回転体の外周面に傾斜溝および環状溝を互いに隣接して設けると共に、この傾斜溝に挿入可能な係止部材を設ける。そして、傾斜溝に係止部材が挿入されていない状態では、前記付勢手段の付勢力によって従動側回転体が駆動側回転体に向かって前進移動し、これら回転体同士が連結されてクラッチ装置が係合状態となる。一方、傾斜溝に係止部材が挿入されると、係止部材と傾斜溝の側面との当接により、従動側回転体の回転力が、この従動側回転体をスライド移動させる力に変換される。これにより、従動側回転体が回転しながら駆動側回転体から後退し、これら回転体同士が離間してクラッチ装置が解放状態となる。そして、従動側回転体の回転が更に進んで係止部材が傾斜溝から環状溝に移ると、係止部材と環状溝の側面とが当接する。これにより、従動側回転体の進退移動が規制されることでクラッチ装置の解放状態が維持されるようになっている。
特開2010−203406号公報
本発明の発明者らは、前記出願に係るクラッチ装置の実用性を高めるための更なる改良について考察した。そして、傾斜溝に係止部材が挿入され、この係止部材に傾斜溝の側面が当接する際に、この両者間に生じる接触荷重(衝撃荷重)を緩和できるようにしておく必要があることに着目した。
つまり、クラッチ装置の係合状態で回転している従動側回転体の傾斜溝に係止部材が挿入された時点では、この係止部材と傾斜溝の側面との間に僅かな隙間(回転軸心に沿う方向の隙間)が生じている可能性が高い。そして、この傾斜溝に係止部材が挿入された時点から従動側回転体の回転が進むに従って傾斜溝の側面が係止部材に近付いていき、この両者が接触(当接)する。この際、比較的大きな接触荷重が発生することになる。このような接触荷重が、クラッチ装置の解放動作が行われる度に発生すると、係止部材の一部(傾斜溝の側面に対向する面)が摩耗するなどして、クラッチ装置の解放動作に悪影響を与えたり、係止部材の長寿命化に悪影響を与えたりしてしまう可能性がある。また、この接触荷重によって傾斜溝の側面の一部が摩耗してしまう可能性もある。このため、係止部材と傾斜溝の側面とが当接する際における接触荷重を緩和することは、クラッチ装置の動作の信頼性の向上、および、クラッチ装置を構成する各部材の長寿命化を図る上で重要であることを本発明の発明者らは見出し、本発明に至った。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、係止部材に傾斜溝の側面が当接する際の接触荷重を緩和することができるクラッチ装置を提供することにある。
−発明の解決原理−
前記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、係止部材と傾斜溝の側面とが当接する際、係止部材が弾性変形することによって、傾斜溝の側面との間に生じる接触荷重を緩和できるようにしている。
−解決手段−
具体的に、本発明は、動力発生源からの動力を受ける駆動側回転体と、この駆動側回転体に連結される連結位置とその連結が解除される解除位置との間で移動可能であると共に、周方向に対して軸心方向の一方側に向かうように傾斜した側面を有する傾斜溝を備えた従動側回転体と、前記従動側回転体の前記傾斜溝に挿入可能な係止部材とを備え、前記従動側回転体が前記連結位置にある状態で、前記係止部材が前記従動側回転体の傾斜溝に挿入された際、この傾斜溝の前記側面が係止部材に当接することにより、前記従動側回転体がその回転に伴って前記解除位置に向かって移動するクラッチ装置を対象とする。このクラッチ装置に対し、前記係止部材において、前記傾斜溝の側面との当接位置よりも基端側に、前記傾斜溝の側面の当接により生じる応力を吸収する応力吸収部を設ける。
ここで、前記応力吸収部は、係止部材において、傾斜溝の側面の当接により生じる応力が特に大きくなる部分(応力が集中する部分)であって、係止部材の各所のうち、前記傾斜溝の側面の当接により生じる弾性変形の変形量が特に大きくなる部分(意図的に変形量が大きくなるようにした部分)と定義される。
この特定事項により、従動側回転体が連結位置にある状態で、係止部材が傾斜溝に挿入された場合、従動側回転体の回転が進むに従って傾斜溝の側面が係止部材に近付いていき、その後、傾斜溝の側面が係止部材に当接することになる。この当接によって接触荷重が発生することになるが、係止部材には、傾斜溝の側面との当接位置よりも基端側に応力吸収部が設けられており、この応力吸収部が弾性変形する。このため、係止部材は、傾斜溝の側面との当接時に、この側面から後退する方向に移動する。これにより、この傾斜溝の側面との間の接触荷重を吸収することが可能となる。または、前記接触荷重によって、係止部材における摺接面(傾斜溝の側面に摺接する面)が傾斜溝の側面に沿うように傾く(係止部材の先端部分に回動力が発生して傾斜溝の側面に沿うように傾く)ことになる。これにより、係止部材の摺接面の比較的広い範囲に接触荷重を分散させることが可能となる。このようにして、係止部材に作用する接触荷重を緩和することができる。その結果、係止部材の摩耗や傾斜溝の側面の摩耗を抑制することができ、クラッチ装置の動作の信頼性の向上、および、クラッチ装置を構成する各部材の長寿命化を図ることが可能になる。
前記応力吸収部として具体的には、前記傾斜溝の側面との当接位置よりも基端側に凹部が形成されていることにより成る薄肉部で構成されている。
これにより、比較的簡素な構成で応力吸収部を実現することができ、本発明の実用性の向上を図ることができる。
前記凹部の形態として以下のものが挙げられる。先ず、前記係止部材に、前記傾斜溝に挿入される先端部を備えさせ、前記凹部を、この先端部の基端部分において、この先端部に対して傾斜溝の側面が近付いてくる方向とは略直交する方向に凹陥する形状とするものである。
また、前記凹部を、前記先端部の基端部分において、この先端部に対して傾斜溝の側面が近付いてくる方向と略平行な方向に凹陥する形状としてもよい。
これら特定事項により、凹部が形成されている箇所にあっては、肉厚が小さくされた薄肉部が形成されることになり、係止部材に向かって傾斜溝の側面が近付いて当接した際には、この薄肉部が弾性変形して、係止部材の先端部が傾斜溝の側面から後退する方向に移動する。これにより、この傾斜溝の側面との間で発生する接触荷重を吸収することが可能となり、係止部材に作用する接触荷重を緩和することができる。その結果、係止部材の摩耗や傾斜溝の側面の摩耗を抑制することができ、クラッチ装置の動作の信頼性の向上、および、クラッチ装置を構成する各部材の長寿命化を図ることが可能になる。
また、前記係止部材に、前記従動側回転体の傾斜溝に挿入される先端部と、この先端部に連続するアーム部とを備えさせ、前記応力吸収部を、前記アーム部に設けた構成も挙げられる。
この構成によれば、係止部材の先端部が、傾斜溝の側面との当接により生じる接触荷重を受けることにより、アーム部が弾性変形し、これに伴って前記先端部は、傾斜溝の側面の傾斜角度に沿うように傾くことになる。つまり、アーム部における応力吸収部を回動中心としてアーム部および先端部が回動し、これにより、先端部の摺接面(傾斜溝の側面に摺接する面)が傾くことで、その摺接面の比較的広い面が傾斜溝の側面に当接する。このため、前記先端部の摺接面の略全体に接触荷重を分散させることが可能となり、摺接面の一部分に接触荷重が集中してしまうことを抑制できる。
この場合、前記アーム部は、前記傾斜溝に向けて屈曲する形状となっている。
このように前記傾斜溝に向けて屈曲したアーム部によって前記先端部に掛かる荷重を吸収することで、この先端部には、傾斜溝の側面との当接に伴って回転力が発生する。この作用により、先端部と傾斜溝の側面との接触が維持されるので、クラッチ装置の作動が確実なものとなる。
また、前記アーム部は、前記先端部に繋がる位置から従動側回転体の回転方向に略沿って延びている。
また、前記係止部材は、傾斜溝に挿入する位置と、この傾斜溝から脱する位置との間で回動自在となっている。そして、これら位置同士の間で係止部材を回動させるアクチュエータが設けられている。
前述した如く係止部材に応力吸収部が設けられていることにより、傾斜溝の側面が係止部材に当接することにより発生する接触荷重がアクチュエータにまで伝達されてしまうことはなく、アクチュエータの動作の信頼性を確保できる。
また、従動側回転体を、駆動側回転体に連結される連結位置に向けて移動させるための構成としては、この従動側回転体に、前記連結位置に向けて付勢する付勢部材を連繋させる構成が挙げられる。
この構成によれば、従動側回転体の溝に係止部材が挿入されている状態を解除すれば、付勢部材の付勢力によって従動側回転体は連結位置に向けて移動する。これにより、クラッチ装置は解放状態から係合状態に切り換わることになる。このため、この切り換え動作を行うための構成の簡素化を図ることができる。
また、従動側回転体を前記解除位置に保持させるための構成としては、前記傾斜溝に隣接して、この傾斜溝よりも深さ寸法が大きい環状溝を設けておく。そして、前記傾斜溝の側面が係止部材に当接した状態で前記従動側回転体が回転し、この従動側回転体が前記解除位置に達した際に、係止部材が傾斜溝から脱して環状溝に嵌り込む構成としている。
この構成によれば、係止部材が環状溝に嵌り込んでいることにより従動側回転体の移動(連結位置に向かう方向への移動)が規制されることになり、駆動側回転体と従動側回転体との連結が解除された状態(クラッチ装置の解放状態)を確実に保持することが可能になる。
本発明では、係止部材における傾斜溝の側面との当接位置よりも基端側に応力吸収部を設けている。これにより、傾斜溝の側面との当接時に、係止部材の摺接面が傾斜溝の側面から後退移動したり、または、摺接面が傾斜溝の側面に沿うように傾くことで、係止部材に作用する接触荷重を緩和することができる。
実施形態に係るクラッチ装置の断面図である。 従動側回転体の斜視図である。 クラッチ装置の解放状態を示す側面図である。 クラッチ装置の係合状態を示す側面図である。 係止部材が傾斜溝に挿入された状態であって、図3のV−V線に対応した位置における断面図である。 従動側回転体の傾斜溝形成領域および環状溝形成領域それぞれを展開して示す図である。 第1実施形態に係る係止部材および従動側回転体の小径部を示す斜視図である。 第1実施形態に係る係止部材のピンおよびその周辺を示す図であって、図8(a)は側面図であり、図8(b)は図8(a)におけるB矢視図である。 第1実施形態の作用を説明するための図であって、図9(a)はピンが傾斜溝に挿入した時点を、図9(b)は傾斜溝の側面がピンに当接した時点をそれぞれ示す図である。 第1実施形態において係止部材のピンが受ける接触荷重の推移の計測結果を示す図である。 比較例において係止部材のピンが受ける接触荷重の推移の計測結果を示す図である。 ウォータポンプの回転速度と係止部材のピンが受ける接触荷重との関係を示す図である。 第1実施形態の変形例に係る係止部材のピンおよびその周辺を示す図であって、図13(a)は側面図であり、図13(b)は図13(a)におけるB矢視図である。 第2実施形態に係る係止部材の斜視図である。 第2実施形態に係る係止部材のピンおよびその周辺を示す図であって、図15(a)は側面図であり、図15(b)は図15(a)におけるB矢視図である。 第2実施形態の作用を説明するための図であって、図16(a)はピンが傾斜溝に挿入した時点を、図16(b)は傾斜溝の側面がピンに当接した時点をそれぞれ示す図である。 第2実施形態の変形例に係る係止部材のピンおよびその周辺を示す図であって、図17(a)は側面図であり、図17(b)は図17(a)におけるB矢視図である。 第3実施形態に係る係止部材の一部を破断して示す下面図である。 第3実施形態に係る係止部材の変形状態を説明するための図である。 第3実施形態において傾斜溝の各所におけるピンの傾斜状態を示す図である。 第3実施形態の第1の変形例に係る係止部材の一部を破断して示す下面図である。 第3実施形態の第2の変形例に係る係止部材の一部を破断して示す下面図である。 第3実施形態の第3の変形例に係る係止部材の一部を破断して示す下面図である。 第4実施形態に係る係止部材の下面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、本発明に係るクラッチ装置を自動車用エンジン(内燃機関)の冷却系に備えられたウォータポンプに適用した場合について説明する。つまり、エンジンからウォータポンプへ動力を伝達する動力伝達系に備えられたクラッチ装置であって、エンジンの動力をウォータポンプへ伝達する状態(係合状態)と伝達しない状態(解放状態)とを切り換えるものとして説明する。
図1は、本実施形態に係るクラッチ装置1の断面図である。この図1では、エンジンの動力をクラッチ装置1へ伝達するための構成部品およびウォータポンプ8の主たる構成部品をそれぞれ仮想線で示している。
この図1に示すように、クラッチ装置1は、クラッチハウジング2と、このクラッチハウジング2の内側空間に配設されたクラッチ機構3とを備えている。
(クラッチハウジングおよびクラッチ出力軸)
クラッチハウジング2は、例えばエンジンのシリンダブロック(図示省略)に固定されており、鉛直方向に延びる平板状のベース部21と、このベース部21の一方側の面(図中における左側の面)に形成された略円筒形状のクラッチ機構収容部22とを備えている。このクラッチ機構収容部22の内側空間に前記クラッチ機構3が配設されている。
クラッチハウジング2のベース部21の中央部には水平方向に貫通した貫通孔23が形成されている。この貫通孔23には、略円筒形状の支持部材24が嵌め込まれている。この支持部材24は、その内側に配設された第1ベアリングB1を介して、クラッチ出力軸11を回転自在に支持している。
クラッチ出力軸11の先端側(図1における右端側)には、ウォータポンプ8のインペラ81が一体回転可能に取り付けられている。
一方、クラッチ出力軸11の基端側(図1における左端側)には、クラッチ機構3を構成する駆動側回転体4および従動側回転体5が設けられている。これら駆動側回転体4および従動側回転体5の配設位置としては、従動側回転体5が駆動側回転体4よりもウォータポンプ寄りとなっている。駆動側回転体4は、第2ベアリングB2を介してクラッチ出力軸11に、相対回転自在に支持されている。従動側回転体5は、スプライン嵌合によってクラッチ出力軸11に、一体回転可能に且つ軸心方向に沿って移動自在に支持されている。これら駆動側回転体4および従動側回転体5の構成については後述する。
(クラッチ機構)
クラッチ機構3は、所謂ボールロック式のクラッチ機構で構成されており、前記駆動側回転体4および従動側回転体5を備えている。このクラッチ機構3は、駆動側回転体4と従動側回転体5とを連結することによってクラッチ装置1の係合状態を成立させ、これにより、ウォータポンプ8を作動させる。また、クラッチ機構3は、駆動側回転体4と従動側回転体5との連結を解除することによってクラッチ装置1の解放状態を成立させ、これにより、ウォータポンプ8を停止または減速させる。例えば、所定期間内においてクラッチ装置1を係合状態にする期間と解放状態にする期間との比を調整することによって、ウォータポンプ8の回転速度を任意に調整することが可能である。以下、駆動側回転体4および従動側回転体5の構成について具体的に説明する。
駆動側回転体4は、ボルト止め等の手段によって従動側プーリ71に一体回転可能に連結されている。この従動側プーリ71は、クラッチ機構3の外周側および前記クラッチハウジング2のクラッチ機構収容部22の外周側を囲む形状となっている。また、この従動側プーリ71は、第3ベアリングB3を介してクラッチハウジング2により回転自在に支持されている。一方、エンジン(動力発生源)のクランクシャフト72の端部には駆動側プーリ73が一体回転可能に連結されている。そして、これら従動側プーリ71と駆動側プーリ73とに亘って補機用ベルト74が架け渡されている。これにより、クランクシャフト72の回転力が駆動側プーリ73および補機用ベルト74を介して従動側プーリ71に伝達されるようになっている。この回転力の伝達によって従動側プーリ71が回転すると、それに伴って駆動側回転体4も回転する。
従動側回転体5は、図2(従動側回転体5の斜視図)にも示すように、外径寸法が互いに異なる大径部51と小径部52とを備えている。大径部51は軸心方向の駆動側回転体4側(図1における左側)に位置している。小径部52は軸心方向のウォータポンプ8側(図1における右側)に位置している。
従動側回転体5の小径部52には、ウォータポンプ8側に向かって開放する凹部52a(図1を参照)が形成されている。この凹部52aの内径寸法は前記支持部材24の外径寸法よりも僅かに大きく設定され、この凹部52aの内部に支持部材24の一部が挿入されている。
この凹部52aの底部には、付勢部材SPを収容するための収容凹部52bが形成されている。この収容凹部52bは前記クラッチ出力軸11の外周側において周方向に亘る複数箇所に設けられている。
前記付勢部材SPは例えばコイルスプリングで成る。前記クラッチ出力軸11の外周面には、前記収容凹部52bに対面するフランジ形状の係止突起11aが設けられている。前記付勢部材SPは、この係止突起11aと前記従動側回転体5の収容凹部52bとの間に圧縮された状態で配設されている。これにより、従動側回転体5は、駆動側回転体4に向かって(図1における左側に向かって)付勢されている。
前記駆動側回転体4には、従動側回転体5側に向かって開放する凹部41が設けられている。この凹部41の内径寸法は前記従動側回転体5の大径部51よりも大径となっており、この凹部41内に従動側回転体5の大径部51が挿入されている。これにより、従動側回転体5の大径部51の外周面と、駆動側回転体4の凹部41の内周面とが、半径方向で対面している。
従動側回転体5の大径部51には、前記駆動側回転体4の凹部41に向かって延びる複数(例えば3個)の延長部51a,51a,51aが設けられている。これら延長部51a,51a,51aは、図2に示すように、大径部51の周方向で等間隔を存した位置に設けられている。
これら延長部51a,51a,51aの外周面には、球体収容溝53がそれぞれ形成されている。この球体収容溝53は、連結解除溝部54と連結溝部55とを備えている。連結解除溝部54は、従動側回転体5の軸心方向に沿って延びている。連結溝部55は、連結解除溝部54の一端(小径部52寄りの一端)から従動側回転体5の周方向に沿って延びている。この連結解除溝部54の一端からの連結溝部55の延長方向は、前記クランクシャフト72から回転力を受けた際の駆動側回転体4の回転方向の下流側に向かう方向(クラッチ出力軸11の先端側(図1における右側)から駆動側回転体4を見た場合の時計回り方向)となっている。
前記球体収容溝53の深さ寸法としては、連結解除溝部54が最も深く、連結溝部55が最も浅くなっている。そして、この深さ寸法は、連結解除溝部54から連結溝部55に向かって次第に浅くなっている。
一方、駆動側回転体4の凹部41の内周面には、その全周囲に亘って円弧溝42が形成されている。この円弧溝42は、図1に示すように断面形状が略円弧状である。この円弧溝42の深さ寸法は、駆動側回転体4の全周囲に亘って略同一となっている。これにより、この駆動側回転体4の円弧溝42と前記従動側回転体5の球体収容溝53とが対面している。そして、これら円弧溝42と球体収容溝53とによって形成される空間に球体31が収容されている(図1、図3、図4を参照)。
前述した如く従動側回転体5は、クラッチ出力軸11の軸心方向に沿って移動自在となっている。つまり、従動側回転体5は、駆動側回転体4に近付く位置(図4に示す位置)と、駆動側回転体4から後退する位置(図3に示す位置)との間で軸心方向に沿って進退移動(スライド移動)自在となっている。
図4(クラッチ装置1の係合状態を示す側面図)に示すように、従動側回転体5が前記付勢部材SPの付勢力によって駆動側回転体4に近付く位置に移動した場合には、駆動側回転体4の円弧溝42と従動側回転体5の連結溝部55とが対面する。前述した如く、連結溝部55の深さは浅くなっている。具体的に、駆動側回転体4の凹部41の内周面と従動側回転体5の大径部51の外周面との間の間隔寸法と、連結溝部55の深さ寸法と、円弧溝42の深さ寸法との総和は、球体31の外径寸法よりも僅かに小さくなっている。このため、図4に示すように球体31が連結溝部55の近傍に位置している場合には、この連結溝部55と円弧溝42との間に挟まれることで球体31の回転は不能となる。つまり、球体31が連結溝部55と円弧溝42との間に回転不能に嵌合され、これによって、駆動側回転体4の回転力が、球体31を介して従動側回転体5に伝達されることになる。すなわち、駆動側回転体4と従動側回転体5とが連結される。この場合、従動側回転体5の回転に伴ってクラッチ出力軸11およびウォータポンプ8のインペラ81も回転し、ウォータポンプ8から冷却水が吐出されることになる。以下では、この駆動側回転体4と従動側回転体5とが連結された状態における従動側回転体5の位置(軸心に沿ったスライド移動位置)をロック位置(本発明でいう連結位置)と呼ぶ。
一方、図3(クラッチ装置1の解放状態を示す側面図)に示すように、従動側回転体5が前記付勢部材SPの付勢力に抗して駆動側回転体4から後退する位置に移動した場合には、駆動側回転体4の円弧溝42と従動側回転体5の連結解除溝部54とが対面する。前述した如く、連結解除溝部54の深さは深くなっている。具体的に、駆動側回転体4の凹部41の内周面と従動側回転体5の大径部51の外周面との間の間隔寸法と、連結解除溝部54の深さ寸法と、円弧溝42の深さ寸法との総和は、球体31の外径寸法よりも僅かに大きくなっている。このため、図3に示すように球体31が連結解除溝部54に位置している場合には、この連結解除溝部54と円弧溝42との間に球体31の回転(空転)を許容する隙間が形成される。この場合、クランクシャフト72から回転力を受けることで駆動側回転体4が回転しても、球体31による従動側回転体5への回転力の伝達は行われないことになる。すなわち、駆動側回転体4と従動側回転体5との連結が解除される。この場合、クラッチ出力軸11およびウォータポンプ8のインペラ81への回転力の伝達も行われないため、ウォータポンプ8は停止または減速されることになる。以下では、この駆動側回転体4と従動側回転体5との連結が解除された状態における従動側回転体5の位置(軸心に沿ったスライド移動位置)をアンロック位置(本発明でいう解除位置)と呼ぶ。
このように、駆動側回転体4と従動側回転体5との連結状態および連結解除状態は、従動側回転体5を駆動側回転体4に向かって進退移動させる機構によって実現される。つまり、従動側回転体5を駆動側回転体4に向けて前進させてロック位置にすることで駆動側回転体4と従動側回転体5とは連結状態(クラッチ装置1の係合状態)となる。一方、従動側回転体5を駆動側回転体4から後退させてアンロック位置にすることで駆動側回転体4と従動側回転体5とは連結解除状態(クラッチ装置1の解放状態)となる。
以下、この従動側回転体5を進退移動させるための機構(進退移動機構)について説明する。
(進退移動機構)
図3および図4に示すように、進退移動機構32は、従動側回転体5の外周面に形成された溝56、および、この溝56に挿入可能な係止部材61を有する係止ユニット6を備えている。以下、具体的に説明する。
従動側回転体5の小径部52の外周面において、大径部51に近接した位置には、周方向に延びる前記溝56が形成されている。この溝56は、周方向(軸心方向に直交する方向)に対して軸心方向の一方側に向かうように所定角度だけ傾斜した側面57aII(図6を参照)を有する傾斜溝57と、軸心方向に対して直交する方向に延びる側面58aを有する環状溝58とを備えている。これら傾斜溝57および環状溝58の配設位置としては、環状溝58が傾斜溝57よりも大径部51寄りとなっている。
前記傾斜溝57は、半径方向に延びる側面57a(後述するピン挿入側面57aIおよび傾斜された(周方向に対して所定角度だけ傾斜された)側面57aIIで成る;図6を参照)と、この側面57aの内周端から環状溝58側に向かって軸心に沿う方向に延びる底面57bとを備えている。
図6は、前記従動側回転体5の小径部52において傾斜溝57が形成されている領域(以下、傾斜溝形成領域という)および環状溝58が形成されている領域(以下、環状溝形成領域という)それぞれを展開して示す図である。この図6では、左右方向が小径部52の周方向であり、上下方向が小径部52の軸心方向である。この図6に示すように、小径部52の外周面には、それぞれ周方向に亘る傾斜溝形成領域および環状溝形成領域が隣接して設けられている。
前記傾斜溝形成領域における側面57aの周方向の所定範囲は、駆動側回転体4の回転方向(クラッチ装置1が係合状態にある場合には従動側回転体5の回転方向でもあるので、以下では、従動側回転体5の回転方向と呼ぶ場合もある)の上流側に向かって(図6における右方向に向かって)駆動側回転体4に次第に近付くように(環状溝58に次第に近付くように)傾斜した側面57aIIとなっている。この側面57aIIの傾斜角度および傾斜範囲(側面57aIIが設けられている周方向の角度範囲)は、従動側回転体5の小径部52の全周囲長さや従動側回転体5に必要な移動量(前記ロック位置とアンロック位置との間での移動量)に応じて適宜設定される。例えば前記ロック位置とアンロック位置との間での移動量(図中における寸法t1)は2.0mmであり、側面57aIIの傾斜角度(図中における角度α)は3°に設定されている。また、この側面57aIIが設けられている領域の周方向の角度範囲(図中における範囲t2)としては250°の範囲に設定されている。これらの値はこれに限定されるものではない。
このように周方向に対して傾斜した側面57aIIが形成されているため、この側面57aIIが設けられている範囲t2にあっては、前記底面57bの幅寸法(軸心に沿う方向の寸法)は、周方向に亘って(従動側回転体5の回転方向の上流側に向かって)次第に狭くなっている。
また、この側面57aIIよりも従動側回転体5の回転方向の下流側(図6における左側)には、軸心方向に対して直交する方向に延びる(傾斜していない)ピン挿入側面57aIが設けられている。このピン挿入側面57aIが設けられている範囲t3にあっては、前記底面57bの幅寸法(軸心に沿う方向の寸法)は、周方向に亘って均一となっている。
また、側面57aIIよりも従動側回転体5の回転方向の上流側(図6における右側)にあっては、傾斜溝57が形成されておらず、この領域は小径部52の外周面と面一の(小径部52の外周面と径方向の寸法が一致した)円弧面57aIIIとなっている。
前記ピン挿入側面57aIが設けられている部分は、係止ユニット6の係止部材61に備えられたピン(本発明でいう先端部)69が傾斜溝57に挿入される場合の挿入開始領域に相当する。以下では、この領域を始端部57cと呼ぶ。図6に示す形状の傾斜溝57にあっては、前述した図中の範囲t3が前記始端部57cを構成するピン挿入側面57aIの形成範囲となっている。また、側面57aIIにおける従動側回転体5の回転方向の上流側の端部は、係止ユニット6の係止部材61に備えられたピン69が傾斜溝57から脱して環状溝58に挿入される場合の挿入開始位置に相当する。以下では、この部分を終端部57dと呼ぶ。
また、傾斜溝57の深さ寸法として、前記ピン挿入側面57aIの形成範囲t3にあっては、側面57aIIの形成範囲t2に向けて次第に深くなっている。また、側面57aIIの形成範囲t2にあっては、その全周囲に亘って傾斜溝57の深さ寸法が一定となっている(図5(図3のV−V線に対応した位置における断面図)に示した傾斜溝57の深さを参照)。
一方、環状溝58は、前記傾斜溝57に隣接し且つ従動側回転体5の外周面の全周に亘って形成されている。また、この環状溝58は、半径方向に延びる前記側面58aと、この側面58aの内周端から大径部51側に向かって軸心に沿う方向に延びる底面58bとを備えている。この環状溝58の側面58aはその全面が軸心に対して直交する平面となっている。つまり、この側面58aは傾斜していない。また、環状溝58の底面58bは、前記傾斜溝57の底面57bよりも内周側に位置している。つまり、環状溝58の深さ寸法は、傾斜溝57の深さ寸法よりも大きくなっている。このため、環状溝58と傾斜溝57とは、これらの間に段差が存在する状態で隣接している。さらに、この環状溝58では、前記傾斜溝57の終端部57dに隣接する位置が、前記ピン69の挿入が開始される始端部58cとなっている。
このように、傾斜溝57および環状溝58が形成されていることにより、図4に示すように従動側回転体5がロック位置にあって、駆動側回転体4と従動側回転体5とが連結状態である場合に、係止部材61が溝56に向けて回動した場合には、この係止部材61のピン69が前記傾斜溝57の始端部57c(ピン挿入側面57aIが形成されている領域)から傾斜溝57に挿入される。このように傾斜溝57にピン69が挿入された場合、傾斜溝57の側面57aIIがピン69に当接した状態で従動側回転体5が回転することになる。そして、傾斜溝57の側面57aIIがピン69に摺動する間に、従動側回転体5がロック位置からアンロック位置に向かって軸心に沿う方向(図4における右方向)に移動する。この従動側回転体5の移動に伴い、前記球体31は、従動側回転体5に設けられている前記連結溝部55から前記連結解除溝部54に向けて相対移動していく。
そして、ピン69が傾斜溝57の終端部57dに達すると、ピン69は環状溝58の始端部58cから環状溝58に挿入される。つまり、ピン69は傾斜溝57から脱して環状溝58に嵌り込む。これにより、従動側回転体5はロック位置からアンロック位置への移動が完了することになる。これに伴い、前記球体31は前記連結解除溝部54に嵌り込むことになる。このようにして、クラッチ装置1では、溝56に係止部材61のピン69を挿入し、傾斜溝57の側面57aIIにピン69を係合させることによって前記付勢部材SPの付勢力に抗して従動側回転体5をロック位置からアンロック位置までスライド移動させて、係合状態から解放状態に切り換わる。
ここで、前記係止部材61を回動させるためのアクチュエータ62について説明する。図5に示すように、アクチュエータ62は、第1ケース64内にコイル64aが収容されており、このコイル64aに通電することによって発生する磁界の作用を利用して駆動する電磁アクチュエータである。
前記第1ケース64は、有底筒状であって、その底部に固定芯64bが設けられている。第1ケース64の内部には、固定芯64bを取り囲むように前記コイル64aが配設されている。すなわち、このアクチュエータ62では、固定芯64bとコイル64aとによって電磁石が構成されている。また、コイル64aの内側には、固定芯64bと対向する位置に可動芯64cが移動可能に収容されている。なお、これら固定芯64bおよび可動芯64cはそれぞれ鉄芯である。
第1ケース64の先端側(図5における上端側)には、筒状の第2ケース65が取り付けられている。この第2ケース65において第1ケース64側の端部には可動芯64cの周囲を囲むように永久磁石65aが配設されている。可動芯64cは、前述したように基端部(図5における下側の端部)が固定芯64bと対向するように第1ケース64内に収容されている一方、先端部(図5における上側の端部)が第2ケース65から外側に突出している。
可動芯64cにおいて第2ケース65内に収容されている部分にはリング部材65bが取り付けられている。そして、第2ケース65内には、この第2ケース65とリング部材65bとの間にコイルばね65cが圧縮された状態で収容されている。このコイルばね65cは、可動芯64cを第2ケース65から突出させる方向に付勢している。そして、可動芯64cにおいて第2ケース65から突出した先端側は、固定ピン64dを介して係止部材61に連結されている。
係止部材61は、基端が可動芯64cに回動可能に連結されるとともに、回動軸63によって回動可能に支持されている。従って、係止部材61は、可動芯64cの移動に伴って、回動軸63を中心に回動する。そのため、図5に実線で示すように、コイルばね65cの付勢力によって可動芯64cが第2ケース65から突出した度合が大きくなることによって、係止部材61のピン69が従動側回転体5の溝56に挿入される。
そして、この状態でコイル64aに通電すると、この通電によって発生する磁界によって固定芯64bおよび可動芯64cが磁化され、可動芯64cはコイルばね65cの付勢力に抗して固定芯64b側に引き込まれる。なお、このときにコイル64aに発生する磁界の大きさは、永久磁石65aの磁界の向きと一致している。
引き込まれた可動芯64cが固定芯64bに近付く方向(図5における下方向)に移動すると、係止部材61は図5における反時計回り方向に回動して、係止部材61のピン69が溝56から引き抜かれる。すなわち、アクチュエータ62は、コイル64aへの通電によって生じる磁力を利用して可動芯64cを吸引することにより、係止部材61を溝56から引き抜く。
そして、吸引された可動芯64cが固定芯64bに当接する位置(図5に仮想線で示す位置)まで移動すると、その後に通電を停止しても、永久磁石65aの磁力によって、可動芯64cが固定芯64bに当接した状態が保持される。
一方、可動芯64cが図5に仮想線で示す当接位置にあるときに、可動芯64cを吸引するときとは反対方向の電流をコイル64aに通電すると、永久磁石65aの磁界の向きとは逆向きの磁界が発生する。これにより、永久磁石65aの吸引力が弱められ、コイルばね65cの付勢力によって可動芯64cが固定芯64bから離間して、図5に実線で示す突出位置に移動する。そして、可動芯64cが当接位置から突出位置に移動するとき、係止部材61は図5における時計回り方向に回動して、係止部材61のピン69が溝56に挿入される。
可動芯64cが固定芯64bから離間した突出位置にあるときには、コイルばね65cによる付勢力の方が永久磁石65aによる吸引力よりも大きくなる。そのため、コイル64aへの通電によって可動芯64cを固定芯64bから離間させれば、その後に通電を停止しても、可動芯64cは突出位置に保持される。
すなわち、本実施形態のアクチュエータ62は、異なる方向に直流電流を流して可動芯64cを移動させることによってクラッチ装置1の連結状態を切り換える一方で、連結させた状態または連結を解除した状態を維持するときには通電を要さない自己保持式のソレノイドである。
(クラッチ装置の動作)
次に、前述の如く構成されたクラッチ装置1の動作について説明する。
アクチュエータ62の可動芯64cが当接位置にあるとき、図5に仮想線で示すように、係止部材61のピン69は溝56から後退している。このとき、図4に示すように、従動側回転体5は付勢部材SPの付勢力によってロック位置に保持されているため、球体31は連結溝部55に位置しており、クラッチ装置1は係合状態にある。すなわち、クラッチ装置1は駆動側回転体4の回転を、従動側回転体5を介してクラッチ出力軸11に伝達している。これによりウォータポンプ8は作動している。
このウォータポンプ8の作動状態において、アクチュエータ62のコイル64aに永久磁石65aの磁界の向きとは逆向きの磁界を発生させるように通電すると、可動芯64cがコイルばね65cの付勢力によって当接位置から図5に実線で示す突出位置に移動する。すると、係止部材61が図5における時計回り方向に回動するのに伴って、係止部材61のピン69が、従動側回転体5の溝56における傾斜溝57に対し、その始端部57c(ピン挿入側面57aIが形成されている領域)から挿入される。なお、この際、係止部材61のピン69が傾斜溝57の始端部57c以外の領域に向けて移動した場合には、ピン69は前記小径部52の外周面に当接することになり、その後、従動側回転体5の回転に伴って、傾斜溝57の始端部57cがピン69に対向する位置に達すると、このピン69が、この始端部57cから傾斜溝57に挿入されることになる。
ピン69が傾斜溝57に挿入され、このピン69が側面57aIIに当接した状態で、従動側回転体5が駆動側回転体4とともに回転すると、ピン69が傾斜溝57内を相対的に移動する間に、従動側回転体5はロック位置からアンロック位置に向かって移動する。つまり、図4に示す状態から図3に示す状態へと変化する。その後、従動側回転体5の回転が進むと、ピン69は、傾斜溝57の終端部57dから環状溝58の始端部58cを経て環状溝58に挿入される状態となる。これにより、従動側回転体5がアンロック位置に到達する。従動側回転体5がアンロック位置に達すると、球体31が連結解除溝部54に位置することになり、駆動側回転体4の回転が従動側回転体5に伝達されなくなり、クラッチ装置1は解放状態となる。
従動側回転体5と駆動側回転体4との連結が解除された直後は、図3に示すように、従動側回転体5は、環状溝58にピン69が挿入された状態で、このピン69との間に生じる摩擦力の作用を受けつつ、慣性力によって回転を続ける。このようにピン69が環状溝58に挿入された状態では、ピン69が傾斜溝57と環状溝58との境界に存在する段差、すなわち、環状溝58の側面58aに係合している。そのため、ピン69が環状溝58から引き抜かれるように変位してこの段差を乗り越えない限りは、ピン69が傾斜溝57に変位することはない。こうして、従動側回転体5の環状溝58に係止部材61のピン69が挿入された状態で、従動側回転体5は回転し、その回転速度が次第に低下していく。この状態が継続されると、ウォータポンプ8は停止される。
一方、クラッチ装置1を、解放状態から係合状態に切り換えるときには、アクチュエータ62のコイル64aに永久磁石65aの磁界の向きと同じ向きの磁界を発生させるように通電する。すると、可動芯64cは通電によって生じる磁力によって固定芯64bに近付くように吸引されて、図5に実線で示す突出位置から仮想線で示す当接位置に移動する。これにより、係止部材61が図5における反時計回り方向に回動して係止部材61のピン69が溝56から完全に引き抜かれる。
そして、係止部材61による係止が解除された従動側回転体5は、付勢部材SPの付勢力によってロック位置に移動し、従動側回転体5と駆動側回転体4とが連結され、クラッチ装置1が係合状態に切り換わる。
このようにしてクラッチ装置1の係合状態と開放状態とが切り換わるようになっているため、前述した如く、所定期間内においてクラッチ装置1を係合状態にする期間と解放状態にする期間との比を調整することによって、ウォータポンプ8の回転速度を任意に調整することが可能となっている。
(係止部材の構成)
次に、本実施形態の特徴とする部材である前記係止部材61の構成について複数の実施形態を説明する。
<第1実施形態>
まず、第1実施形態について説明する。
図7は本実施形態に係る係止部材61および従動側回転体5の小径部52を示す斜視図である。この図7に示すように係止部材61は、ベース部66、延長部67、ピンベース68、および、前記ピン69を備えている。
以下の説明では、従動側回転体5の軸心に沿う方向(前記回動軸63の軸心に沿う方向)をX方向と呼び、このX方向に直交する方向であって係止部材61の長手方向(図7における略水平方向)をY方向と呼び、X方向に直交する方向であって係止部材61の高さ方向(図7における略鉛直方向)をZ方向と呼ぶこととする。
前記ベース部66は、前記回動軸63によって回動自在に支持される部分であって、略直方体形状に形成されている。また、このベース部66の中央部には、X方向に貫通し、前記回動軸63が挿入される貫通孔66aが形成されている。また、このベース部66には前記固定ピン64dが連繋される一対の連繋部66bが設けられている。この連繋部66bには、固定ピン64dを挿入するための長孔66cが形成されている。
前記延長部67は、前記ベース部66から、前記貫通孔66aの軸心に対して略直交するY方向に延長されている。この延長部67のX方向の寸法(厚さ寸法)は、前記ベース部66のX方向の寸法よりも小さくなっている。具体的に、この延長部67の前面(図中のX方向の手前側の面)はベース部66の前面と面一になっている。これに対し、延長部67の背面(図中のX方向の奥側の面)はベース部66の背面に対して段部を介してX方向の手前側に位置しており、この段部の段差分だけ、延長部67の厚さ寸法(X方向の寸法)はベース部66の厚さ寸法よりも小さくなっている。また、この延長部67のY方向の寸法(長さ寸法)は、前記ピン69が前記小径部52の溝56の上側に位置するように設定されている。さらに、この延長部67のZ方向の寸法(高さ寸法)は、前記ベース部66のZ方向の寸法よりも僅かに小さくなっている。具体的に、この延長部67の上面はベース部66の上面と面一になっている。これに対し、延長部67の下面はベース部66の下面に対して段部(図示省略)を介してZ方向の上側に位置しており、この段部の段差分だけ、延長部67の高さ寸法(Z方向の寸法)はベース部66の高さ寸法よりも小さくなっている。
前記ピンベース68は、前記延長部67からY方向に延長されて形成されている。このピンベース68のX方向の寸法(厚さ寸法)は、前記延長部67のX方向の寸法よりも大きくなっている。具体的に、このピンベース68の背面(図中のX方向の奥側の面)は延長部67の背面と面一になっている。これに対し、ピンベース68の前面(図中のX方向の手前側の面)は延長部67の前面に対して段部を介してX方向の手前側に位置しており、この段部の段差分だけ、ピンベース68の厚さ寸法(X方向の寸法)は、延長部67のX方向の寸法よりも大きくなっている。また、このピンベース68の下部は、延長部67の下端よりも下方に延長されて前記ピン69に繋がっている。つまり、このピンベース68の下部は、前記傾斜溝57に向けて(傾斜溝57の外側から内側に向けて)屈曲された形状となっている。
このように前記延長部67および前記ピンベース68が構成されていることにより、これら延長部67およびピンベース68によって本発明でいうアーム部60が構成されている。そして、前述した如く、ピンベース68の下部は、前記傾斜溝57に向けて屈曲された形状となっているため、前記アーム部60の形状としても、前記傾斜溝57に向けて屈曲した形状となっている。
前記ピン69は、前記ピンベース68の下部に一体成形されており、前述した如く、係止部材61において溝56に挿入される部分を構成している。このピン69のX方向の寸法(厚さ寸法)は、前記ピンベース68のX方向の寸法よりも小さくなっている。具体的に、このピン69の前面(図中のX方向の手前側の面)はピンベース68の前面と面一になっている。これに対し、このピン69の背面(図中のX方向の奥側の面)はピンベース68の背面に対してX方向の手前側に位置しており、このピン69の厚さ寸法(X方向の寸法)は、ピンベース68のX方向の寸法よりも小さくなっている。より具体的に、このピン69の厚さ寸法は、前記傾斜溝形成領域におけるピン挿入側面57aIの形成範囲t3の溝幅寸法(底面57bの幅寸法)や前記環状溝形成領域の溝幅寸法(底面58bの幅寸法)に略一致する寸法、または、これら寸法よりも僅かに小さい寸法に設定されている。また、ピン69のY方向の寸法(幅寸法)は、前記ピンベース68のY方向の寸法に略一致している。さらに、ピン69のZ方向の寸法(高さ寸法)は、前記傾斜溝57の側面57aの高さ寸法や環状溝58の側面58aの高さ寸法に略一致する寸法、または、これら寸法よりも僅かに大きい寸法に設定されている。
そして、本実施形態に係る係止部材61の特徴として、ピン69の基端側(傾斜溝57の側面57aIIとの当接位置よりも基端側)には凹部9が設けられている。以下、この凹部9について説明する。
図8は、ピン69およびその周辺を示す図であって、図8(a)は側面図(Y方向に沿って図7の右側から見た図)であり、図8(b)は図8(a)におけるB矢視図(Z方向に沿って図7の下側から見た図)である。これらの図に示すように、前記ピン69とピンベース68との境界部分であって、ピンベース68の下面には、そのY方向の全体に亘って凹部9が形成されている。つまり、この凹部9は、ピン69に対して傾斜溝57の側面57aIIが近付いてくる方向(X方向)とは略直交する方向(Z方向)に凹陥している。この凹部9の幅寸法(X方向の寸法)としては、例えばピン69の厚さ寸法(X方向の寸法)と略同一寸法に設定されている。なお、この凹部9の一方側の内面(X方向に直交する内面)は前記ピン69の摺接面69a(側面57aIIが接触する面)に面一となっている。また、この凹部9の深さ寸法(Z方向の寸法)としては、例えばピンベース68の高さ寸法(Z方向の寸法)の約1/2に設定されている。凹部9の幅寸法および深さ寸法はこれに限定されるものではなく。係止部材61の材質やピン69に作用する後述する接触荷重(想定される接触荷重)の大きさ等に基づいて適宜設定される。
このようにピン69の基端側に凹部9が設けられていることにより、このピン69の基端側には薄肉部(本発明でいう、傾斜溝の側面の当接により生じる応力を吸収する応力吸収部)91が形成されている。本実施形態の場合、ピンベース68の上側部分に薄肉部91が形成されている。つまり、ピンベース68の上面と凹部9の底面との間に肉厚寸法が図中T1の薄肉部91が形成されている。このため、この薄肉部91では、その他の部分に比べて剛性が低くなっており、ピン69に対してX方向に沿う外力が作用した場合に、この薄肉部91の弾性変形によってピン69が僅かに移動(略X方向に沿って移動)できる構成となっている。なお、この凹部9が設けられていることによって形成される薄肉部91の肉厚寸法T1は、薄肉部91の弾性変形(撓み)による応力が疲労限界未満となるように、予め実験やシミュレーションによって設定されている。
以下、この凹部9が設けられていることによる作用効果について説明する。
前述したように、クラッチ装置1が係合状態である場合には、駆動側回転体4と共に従動側回転体5も回転している。そして、この回転している従動側回転体5の傾斜溝57に係止部材61のピン69が挿入された時点では、図9(a)に示すように、ピン69の摺接面69aと傾斜溝57の側面57aとの間に僅かな隙間(回転軸心に沿う方向の隙間)が生じている可能性が高い。そして、この傾斜溝57にピン69が挿入された時点から従動側回転体5の回転が進むに従って傾斜溝57の側面57aIIがピン69に近付いてくることになるが、この両者が当接する際には、ピン69が側面57aIIから受ける接触荷重によって前記薄肉部91が弾性変形してピン69の摺接面69aが側面57aIIから後退するように移動する。これにより、前記接触荷重は軽減される。具体的に、図9(a)に示すように、傾斜溝57の側面57aがピン69に近付いて、この傾斜溝57の側面57aがピン69の摺接面69aに当接した時点では、ピン69が接触荷重を受けることになる。この場合に、図9(b)に実線で示すように、ピン69は、前記薄肉部91を起点として、前記凹部9の開口幅が僅かに拡がるように移動する。つまり、ピン69の摺接面69aが、傾斜溝57の側面57aIIから後退する方向(図9(b)における左方向)に移動することになる。より具体的には、ピン69は、前記薄肉部91の略中央部分(例えば図中の点C)を中心として回動するように移動することで側面57aIIから後退する。その結果、この側面57aIIとの間の接触荷重をピン69の後退によって吸収することが可能となり、ピン69に作用する接触荷重が軽減されることになる。なお、前記薄肉部91の略中央部分(図中の点C)からピン69までの距離を長くすれば、ピン69の回動角度に対する後退移動量を大きく得ることができ、接触荷重の軽減効果を大きく発揮することができる。そのためには、前記凹部9の深さ寸法を可能な限り大きく設定しておくことが好ましい。
以上のようにして接触荷重が軽減されることにより、ピン69の摺接面69aの摩耗が抑制される。このため、クラッチ装置1を解放状態にするための動作に悪影響を及ぼすことがなくなる。また、係止部材61の長寿命化を図ることもできる。また、この接触荷重の軽減により、傾斜溝57の側面57aIIの摩耗も抑制することができる。これによっても、クラッチ装置1を解放状態にするための動作に悪影響を及ぼすことがなくなる。また、従動側回転体5の長寿命化を図ることもできる。
このように、本実施形態の構成によれば、係止部材61のピン69と傾斜溝57の側面57aIIとの接触荷重を緩和することにより、クラッチ装置1の動作の信頼性の向上、および、クラッチ装置1を構成する各部材の長寿命化を図ることが可能になる。
また、前記従動側回転体5は付勢部材SPの付勢力を受けており、前記アンロック位置に向けて移動している途中では、側面57aIIとピン69の摺接面69aとの間での接触力の変動によって従動側回転体5がその軸心に沿う方向に振動して前記接触荷重が一時的に大きくなってしまう可能性がある。このような状況においても、本実施形態によれば、接触荷重の大きさに応じてピン69が側面57aIIから後退する方向に移動するため、接触荷重が軽減され、ピン69の摺接面69aの摩耗が抑制できる。
なお、前述した薄肉部91の弾性変形によるピン69の後退移動量は、従動側回転体5の回転が進むに従って小さくなっていく。このため、ピン69が傾斜溝57の終端部57dに達した時点(ピン69の位置が傾斜溝57から環状溝58に移る時点)では、従動側回転体5に適正な後退移動量(駆動側回転体4からの後退移動量)が得られており、この従動側回転体5は前記アンロック位置に達することになる。
図10は、本実施形態において係止部材61のピン69が受ける接触荷重の推移の計測結果を示す図である。また、図11は、比較例(前記凹部9を設けていないもの)において係止部材のピンが受ける接触荷重の推移の計測結果を示す図である。これらの図においては、図中のタイミングIにおいてピン69が傾斜溝57に挿入され、タイミングIIにおいてピン69に側面57aIIが当接している。また、タイミングIIIにおいてピン69が傾斜溝57から環状溝58に移動している。
これらの図からも解るように、比較例にあってはピンに側面が当接した時点(タイミングII)において大きな接触荷重が発生している。これに対し、本実施形態のものにあっては、ピン69に側面57aIIが当接した時点での接触荷重は大幅に軽減されている。例えば、比較例のものに比べて約1/2となっている。これにより、本発明の効果が確認されたことになる。
また、図12は、ウォータポンプ8の回転速度と係止部材61のピン69が受ける接触荷重との関係を示す図である。この図12における実線は本実施形態のものであり、破線は比較例のもの(前記凹部9を設けていないもの)である。
ウォータポンプ8の回転速度は、傾斜溝57の側面57aIIがピン69に近付いてくる速度に相関がある。つまり、ウォータポンプ8の回転速度が高いほど、従動側回転体5の1回転に要する時間が短いため、側面57aIIがピン69に近付いてくる速度は速くなる。つまり、前記接触荷重は大きくなりやすい。
図12に示すように、比較例のものにあっては、ウォータポンプの高回転域では、ピンが受ける接触荷重が極端に大きくなっている。この場合、ピンや傾斜溝の側面に摩耗が生じる虞がある。これに対し、本実施形態のものでは、ウォータポンプ8の高回転域においても、ピン69が受ける接触荷重は比較的低く抑えられている。例えば、比較例のものに比べて1/4程度に抑えられている。このため、ピン69の摺接面69aや傾斜溝57の側面57aIIに摩耗が生じる可能性は大幅に低くなる。
<第1実施形態の変形例>
次に、前述した第1実施形態の変形例について説明する。本例は、ピン69の基端側に設けられる凹部9の位置が第1実施形態のものと異なっている。ここでは、第1実施形態との相違点(凹部9の位置)についてのみ説明する。
図13は、ピン69およびその周辺を示す図であって、図13(a)は側面図(図8(a)と同じ方向から見た図)であり、図13(b)は図13(a)におけるB矢視図(前記Z方向に沿って上側から見た図)である。これらの図に示すように、前記ピンベース68の上面には、そのY方向の全体に亘って凹部9が形成されている。つまり、この凹部9は、ピン69に対して傾斜溝57の側面57aIIが近付いてくる方向とは略直交する方向に凹陥している。この凹部9の幅寸法(X方向の寸法)としては、例えばピン69の厚さ寸法(X方向の寸法)と略同一寸法に設定されている。なお、この凹部9の一方側の内面(X方向に直交する内面)の位置は、前記ピン69の摺接面69aの位置と略同一面上(同一仮想面上)に設定されている。また、この凹部9の深さ寸法(Z方向の寸法)としては、例えばピンベース68の高さ寸法(Z方向の寸法)の約1/2に設定されている。凹部9の幅寸法および深さ寸法はこれに限定されるものではなく。係止部材61の材質や想定される接触荷重の大きさ等に基づいて適宜設定される。
このようにピン69の基端側に凹部9が設けられていることにより、本変形例においても、ピン69の基端側には薄肉部91が形成されている。本実施形態の場合、ピンベース68の下側部分に薄肉部91が形成されている。つまり、ピンベース68の下面と凹部9の底面との間に肉厚寸法が図中T2の薄肉部91が形成されている。このため、この薄肉部91では、その他の部分に比べて剛性が低くなっており、ピン69に対してX方向に沿う外力が作用した場合に、この薄肉部91の弾性変形によってピン69が僅かに移動(略X方向に沿って移動)できる構成となっている。なお、この凹部9が設けられていることによって形成される薄肉部91の肉厚寸法T2も、薄肉部91の弾性変形(撓み)による応力が疲労限界未満となるように、予め実験やシミュレーションによって設定されている。
このようにピン69の基端部(ピンベース68の上面)に凹部9が設けられた場合、傾斜溝57の側面57aIIがピン69に当接する際には、この側面57aIIからピン69が受ける接触荷重によって前記薄肉部91が弾性変形してピン69の摺接面69aが側面57aIIから後退するように移動する。具体的に、図13(a)に仮想線で示すように、ピン69は、前記薄肉部91を起点として、前記凹部9の開口幅が僅かに狭くなるように移動する。つまり、この場合にも、ピン69の摺接面69aが、傾斜溝57の側面57aIIから後退する方向に移動することになる。これにより、この側面57aIIとの間の接触荷重をピン69の後退によって吸収することが可能となり、ピン69に作用する接触荷重が軽減されることになる。その結果、ピン69の摩耗が抑制され、クラッチ装置1を解放状態にするための動作に悪影響を及ぼすことがなくなる。また、係止部材61の長寿命化を図ることもできる。また、この接触荷重の軽減により、傾斜溝57の側面57aIIの摩耗も抑制することができる。
<第2実施形態>
次に、前記係止部材61の構成についての第2実施形態を説明する。本実施形態も、ピン69の基端部分に設けられる凹部9の位置が第1実施形態のものと異なっている。ここでも、第1実施形態との相違点(凹部9の位置)についてのみ説明する。
図14は、本実施形態に係る係止部材61の斜視図である。また、図15は、本実施形態に係る係止部材61のピン69およびその周辺を示す図であって、図15(a)は側面図(図8(a)と同じ方向から見た図)であり、図15(b)は図15(a)におけるB矢視図である。
これらの図に示すように、前記ピン69とピンベース68との境界部分であって、ピン69の摺接面69aの基端部分には、そのY方向の全体に亘って凹部9が形成されている。つまり、この凹部9は、ピン69に対して傾斜溝57の側面57aIIが近付いてくる方向と略平行な方向に凹陥している。この凹部9の幅寸法(Z方向の寸法)としては、例えばピン69の高さ寸法(Z方向の寸法)の約1/5に設定されている。また、この凹部9の深さ寸法(X方向の寸法)としては、例えばピン69の厚さ寸法(X方向の寸法)の約1/3に設定されている。凹部9の幅寸法および深さ寸法はこれに限定されるものではなく。係止部材61の材質や想定される接触荷重等に基づいて適宜設定される。
このようにピン69の基端側に凹部9が設けられていることにより、このピン69の基端側には薄肉部91(本発明でいう、傾斜溝の側面の当接により生じる応力を吸収する応力吸収部)が形成されている。本実施形態の場合、ピン69の前面と背面との間に肉厚寸法が図中T3の薄肉部91が形成されている。このため、この薄肉部91では、その他の部分に比べて剛性が低くなっており、ピン69に対してX方向に沿う外力が作用した場合に、この薄肉部91の弾性変形によってピン69が僅かに移動(略X方向に沿って移動)できる構成となっている。なお、この凹部9が設けられていることによって形成される薄肉部91の肉厚寸法T3は、薄肉部91の弾性変形(撓み)による応力が疲労限界未満となるように、予め実験やシミュレーションによって設定されている。
以下、この凹部9が設けられていることによる作用効果について説明する。
クラッチ装置1の係合状態において、図16(a)に示すように、回転している従動側回転体5の傾斜溝57に係止部材61のピン69が挿入された後に、傾斜溝57の側面57aがピン69に近付いて、この両者が当接すると、図16(b)に実線で示すように、ピン69は、前記薄肉部91を起点として、前記凹部9の開口幅が僅かに拡がるように移動する。つまり、ピン69の摺接面69aが、傾斜溝57の側面57aIIから後退する方向(図16(b)における左方向)に移動することになる。その結果、この側面57aIIとの間の接触荷重をピン69の後退によって吸収することが可能となり、ピン69に作用する接触荷重が軽減されることになる。
このようにして接触荷重が軽減されることにより、本実施形態によってもピン69の摩耗は抑制される。このため、クラッチ装置1を解放状態にするための動作に悪影響を及ぼすことがなくなる。また、係止部材61の長寿命化を図ることもできる。また、この接触荷重の軽減により、傾斜溝57の側面57aIIの摩耗も抑制することができる。これによっても、クラッチ装置1を解放状態にするための動作に悪影響を及ぼすことがなくなる。また、従動側回転体5の長寿命化を図ることもできる。
<第2実施形態の変形例>
次に、前述した第2実施形態の変形例について説明する。本例は、ピン69の基端側に設けられる凹部9の位置が第2実施形態のものと異なっている。ここでは、第2実施形態との相違点(凹部9の位置)についてのみ説明する。
図17は、ピン69およびその周辺を示す図であって、図17(a)は側面図(図15(a)と同じ方向から見た図)であり、図17(b)は図17(a)におけるB矢視図(前記X方向に沿って前面側から見た図)である。これらの図に示すように、前記ピン69とピンベース68との境界部分であって、ピン69の摺接面69aとは反対側の前面には、そのY方向の全体に亘って凹部9が形成されている。つまり、この凹部9は、ピン69に対して傾斜溝57の側面57aIIが近付いてくる方向と略平行な方向に凹陥している。この凹部9の幅寸法(Z方向の寸法)としては、例えばピン69の高さ寸法(Z方向の寸法)の約1/5に設定されている。また、この凹部9の深さ寸法(X方向の寸法)としては、例えばピン69の厚さ寸法(X方向の寸法)の約1/3に設定されている。凹部9の幅寸法および深さ寸法はこれに限定されるものではなく。係止部材61の材質やピン69に作用する接触荷重の大きさ等に基づいて適宜設定される。
このようにピン69の基端側に凹部9が設けられていることにより、本変形例においても、ピン69の基端側には薄肉部91が形成されている。本変形例の場合、ピン69の前面と背面との間に肉厚寸法が図中T4の薄肉部91が形成されている。このため、この薄肉部91では、その他の部分に比べて剛性が低くなっており、ピン69に対してX方向に沿う外力が作用した場合に、この薄肉部91においてピン69が弾性変形できる構成となっている。
このようにピン69の基端部に凹部9が設けられた場合、側面57aIIがピン69に当接する際には、この側面57aIIからピン69が受ける接触荷重によって前記薄肉部91が弾性変形してピン69の摺接面69aが側面57aIIから後退するように移動する。具体的に、図17(a)に仮想線で示すように、ピン69は、前記薄肉部91を起点として、前記凹部9の開口幅が僅かに狭くなるように移動する。つまり、この場合にも、ピン69の摺接面69aが、傾斜溝57の側面57aIIから後退する方向に移動することになる。これにより、この側面57aIIとの間の接触荷重をピン69の後退によって吸収することが可能となり、ピン69に作用する接触荷重が軽減されることになる。その結果、ピン69の摩耗が抑制され、クラッチ装置1を解放状態にするための動作に悪影響を及ぼすことがなくなる。また、係止部材61の長寿命化を図ることもできる。また、この接触荷重の軽減により、傾斜溝57の側面57aIIの摩耗も抑制することができる。
<第3実施形態>
次に、前記係止部材61の構成についての第3実施形態を説明する。本実施形態は、ピン69の基端部分に設けられる凹部9の位置が前述したのものと異なっている。ここでも、前記実施形態との相違点(凹部9の位置)についてのみ説明する。
図18は、係止部材61の一部を破断して示す下面図である。つまり、この図18は、係止部材61をZ方向の下側から見た図である。
この図18に示すように、本実施形態における凹部9は、前記アーム部60(より詳しくは延長部67)に形成されている。具体的には、延長部67において、ピン69に対して傾斜溝57の側面57aIIが近付いてくる方向(X方向)に向く面(側面57aIIが近付いてくる方向に対して直交する面)およびその面とは反対側の面のそれぞれに凹部9,9が形成されている。これら凹部9,9は、延長部67における高さ方向(Z方向)の全体に亘って形成されている。これにより応力吸収部が構成されている。なお、このアーム部60は、ピン69に繋がる位置から従動側回転体5の回転方向の下流側に向かう方向(図18および図19における左方向)に略沿って延びている。
このように延長部67に凹部9,9が形成された場合、この延長部67の剛性が低くなることから、ピン69に外力(傾斜溝57の側面57aIIが当接することによる接触荷重)が作用した場合には、それに応じて延長部67が弾性変形可能となっている。特に、本実施形態の場合には、この延長部67がその高さ方向(Z方向)を回動軸心として回動する(捩れる)ことが可能となっている。この延長部67が捩れる状況では、ピン69の摺接面69aを傾けることが可能となる。つまり、図18に矢印で示すように、延長部67において凹部9,9が形成されている箇所を中心(例えば図中における点Dを中心に)に延長部67が弾性変形することで、ピン69の摺接面69aが傾くようになっている。
次に、本実施形態において、ピン69に傾斜溝57の側面57aIIが当接した場合の動作について説明する。図19は、ピン69に傾斜溝57の側面57aIIが当接した場合を示す下面図である。この図19では、係止部材61のうち、ピン69のみを実線で示し、その他を仮想線で示している。
この図19に示すように、ピン69に傾斜溝57の側面57aIIが当接する場合、ピン69の摺接面69aに対して側面57aIIは所定の角度を存して当接することになるが、この場合、この当接により生じる接触荷重を受けることにより、延長部67が弾性変形し、これに伴ってピン69の摺接面69aは、側面57aIIの傾斜角度に沿うように傾くことになる。つまり、このピン69の摺接面69aが傾くことで、その摺接面69aの略全面が側面57aIIに当接する状況となる。
このため、前記接触荷重をピン69の摺接面69aの略全体に分散させることが可能となり、ピン69の一部分に接触荷重が集中してしまうことを抑制できる。つまり、ピン69に作用する接触荷重が軽減されることになる。
このような状況は、ピン69に傾斜溝57の側面57aIIが当接した時点だけでなく、ピン69の摺接面69aが傾斜溝57の側面57aに摺接している全期間において生じている。つまり、側面57aの角度(曲率)が変化しても、それに応じて、ピン69の摺接面69aが傾くことになる。図20は、傾斜溝57の側面57aの各所においてピン69の摺接面69aが傾いている状態を示している。このように、ピン69の摺接面69aは側面57aに沿うことになる。
このようにして接触荷重が軽減されることにより、ピン69の摩耗が抑制される。このため、クラッチ装置1を解放状態にするための動作に悪影響を及ぼすことがなくなる。また、この接触荷重の軽減により、傾斜溝57の側面57aIIの摩耗も抑制することができる。
<第3実施形態の第1の変形例>
次に、前述した第3実施形態の第1の変形例について説明する。本例は、アーム部60(延長部67)に設けられる凹部9の形状および係止部材61の各部の寸法が第3実施形態のものと異なっている。ここでは、第3実施形態との相違点についてのみ説明する。
本例において延長部67に設けられる凹部9,9の形状として、係止部材61のベース部66からピンベース68に向かって延長部67の厚さ寸法を小さくするように傾斜された傾斜面67a(図21を参照)と、係止部材61のベース部66からピンベース68に向かって延長部67の厚さ寸法を大きくするように傾斜された傾斜面67bとで成る所謂V字型の溝(凹部)9,9が延長部67の前面および背面の両方に形成されている。
そして、図21(a)に示すものは、ベース部66の幅寸法とピンベース68の幅寸法とを同一寸法としたものである。また、図21(b)に示すものは、ピンベース68の幅寸法をベース部66の幅寸法よりも小さくしたものである。さらに、図21(c)に示すものは、ピンベース68の幅寸法をベース部66の幅寸法よりも大きくしたものである。
<第3実施形態の第2の変形例>
次に、前述した第3実施形態の第2の変形例について説明する。本例は、アーム部60(延長部67)に設けられる凹部9の形成位置および係止部材61の各部の寸法が前述した第3実施形態の第1の変形例のものと異なっている。
本例において延長部67に設けられる凹部9は、延長部67の前面のみに設けられている。そして、本例における凹部9の形状も、係止部材61のベース部66からピンベース68に向かって延長部67の厚さ寸法を小さくするように傾斜された傾斜面67aと、係止部材61のベース部66からピンベース68に向かって延長部67の厚さ寸法を大きくするように傾斜された傾斜面67bとで成る所謂V字型となっている。
そして、図22(a)に示すものは、ベース部66の幅寸法とピンベース68の幅寸法とを同一寸法としたものである。また、図22(b)に示すものは、ピンベース68の幅寸法をベース部66の幅寸法よりも小さくしたものである。さらに、図22(c)に示すものは、ピンベース68の幅寸法をベース部66の幅寸法よりも大きくしたものである。
<第3実施形態の第3の変形例>
次に、前述した第3実施形態の第3の変形例について説明する。本例も、アーム部60(延長部67)に設けられる凹部9の形成位置および係止部材61の各部の寸法が前述した第3実施形態の第1の変形例および第2の変形例のものと異なっている。
本例において延長部67に設けられる凹部9は、延長部67の背面のみに設けられている。そして、本例における凹部9の形状も、係止部材61のベース部66からピンベース68に向かって延長部67の厚さ寸法を小さくするように傾斜された傾斜面67aと、係止部材61のベース部66からピンベース68に向かって延長部67の厚さ寸法を大きくするように傾斜された傾斜面67bとで成る所謂V字型となっている。
そして、図23(a)に示すものは、ベース部66の幅寸法とピンベース68の幅寸法とを同一寸法としたものである。また、図23(b)に示すものは、ピンベース68の幅寸法をベース部66の幅寸法よりも小さくしたものである。さらに、図23(c)に示すものは、ピンベース68の幅寸法をベース部66の幅寸法よりも大きくしたものである。
これら第3実施形態の各変形例においても、前述した第3実施形態と同様の作用効果を得ることができる。つまり、ピン69に傾斜溝57の側面57aIIが当接した場合、この当接により生じる接触荷重を受けて延長部67が弾性変形し、これに伴ってピン69の摺接面69aが、側面57aIIの傾斜角度に沿うように傾くことになる。つまり、このピン69の摺接面69aが傾くことで、その摺接面69aの略全面が側面57aIIに当接する状況となる。
このため、前記接触荷重をピン69の摺接面69aの略全体に分散させることが可能となり、ピン69の一部分に接触荷重が集中してしまうことを抑制できる。つまり、ピン69に作用する接触荷重が軽減されることになる。
<第4実施形態>
次に、前記係止部材61の構成についての第4実施形態を説明する。ここでも、前記実施形態との相違点についてのみ説明する。
図24は、係止部材61の下面図(Z方向の下側から見た図)である。この図24に示すように、本実施形態における係止部材61のアーム部60(延長部67)にあっては、前記凹部は形成されておらず、この延長部67の基端部分であって、前記ベース部66との連続部分の段部における図中の点Eを中心に延長部67が弾性変形することで、ピン69の摺接面69aが傾くようになっている。つまり、ピン69に傾斜溝57の側面57aIIが当接することで接触荷重が作用した場合には、この点Eおよびその周辺部が本発明でいう応力吸収部として機能し、この点Eを中心に延長部67が弾性変形することになる。これにより、ピン69の摺接面69aは、側面57aIIの傾斜角度に沿うように傾くことになる。つまり、このピン69の摺接面69aが傾くことで、その摺接面69aの略全面が側面57aIIに当接する状況となる。
このため、本実施形態にあっても、接触荷重が軽減されることにより、ピン69の摩耗が抑制される。この接触荷重の軽減により、傾斜溝57の側面57aIIの摩耗も抑制することができる。
−他の実施形態−
以上説明した各実施形態および各変形例では、傾斜溝57の側面57aIIの形成範囲t2における溝深さは周方向に亘って均一となっていた。本発明はこれに限らず、側面57aIIの形成範囲t2において、前記始端部57cから終端部57dにかけて漸次深くなっていく構成としてもよい。
また、前記各実施形態および各変形例では、環状溝58の深さはその全周囲に亘って一定となっていた。本発明はこれに限らず、環状溝58における始端部58cの溝深さがその他の部分の溝深さよりも浅くなっていてもよい。
また、前記各実施形態および各変形例では、係止部材61に凹部9を形成して薄肉部91を設け、この薄肉部91を応力吸収部として機能させていた。本発明はこれに限らず、係止部材61の一部分を剛性の低い材料によって構成し、この部分を応力吸収部として機能させることにより、接触荷重に応じたピン69の移動を行わせるようにしてもよい。
また、前記第3実施形態およびその変形例では、延長部67において、ピン69に対して傾斜溝57の側面57aIIが近付いてくる方向に向く面(側面57aIIが近付いてくる方向に対して直交する面)のそれぞれに凹部9,9を設けていた。本発明はこれに限らず、この面に対して直交する面に凹部を設けてもよく、また、これら4つの面の全てに凹部を設けるようにしてもよい。つまり、接触荷重を受けた際にピン69の摺接面69aが側面57aIIの傾斜角度に沿うように傾く構成となっておれば、凹部9の形成位置は特に限定されない。
また、前記各実施形態および各変形例では、係止部材61のピン69が挿入される溝56(傾斜溝57および環状溝58)を従動側回転体5の外周面に設けていた。本発明はこれに限らず、これら溝56を従動側回転体5の内周面に設け、従動側回転体5の内部空間に挿入された係止部材61のピン69が外周側に移動することで溝56に挿入される構成としてもよい。
また、前記付勢部材SPの数は任意に変更することが可能である。例えば、従動側回転体5を1つの付勢部材で付勢することも可能である。また、この付勢部材SPは従動側回転体5をロック位置に向かって付勢するものであればよく、前述した圧縮コイルスプリングには限定されない。例えば、従動側回転体5をロック位置に向かって引っ張る引張スプリングを付勢部材として適用するようにしてもよい。
前記アクチュエータ62は自己保持式のソレノイドには限定されず、例えばコイルに通電している間のみ、係止部材61が溝56に挿入されるソレノイドで構成してもよい。この構成によれば、コイルに通電しているときにのみクラッチ装置1が解放状態となるため、コイルに通電できない場合にはクラッチ装置1は係合状態となる。従って、アクチュエータ62の作動不良時にもウォータポンプ8を駆動させることが可能になる。
前記アクチュエータ62はソレノイドに限らず、例えば油圧式のアクチュエータ等、ソレノイド以外のアクチュエータであってもよい。
クラッチ装置1の構成としてはボールロック式には限定されない。例えば圧着式のクラッチ装置としてもよい。
前記各実施形態および各変形例では、クランクシャフト72からウォータポンプ8への動力の伝達状態を切り換えるクラッチ装置1に本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、オイルポンプやコンプレッサ等、他の補機とクランクシャフト72との間に配設されたクラッチ装置に対しても適用可能である。また、クランクシャフト72からの動力の伝達状態を切り換えるものに限らず、他の動力源からの動力の伝達状態を切り換えるクラッチ装置として本発明を適用してもよい。
本発明は、エンジンの動力をウォータポンプに伝達する係合状態と伝達しない解放状態とを切り換えるクラッチ装置に適用可能である。
1 クラッチ装置
3 クラッチ機構
4 駆動側回転体
5 従動側回転体
57 傾斜溝
57aII 側面
58 環状溝
60 アーム部
61 係止部材
62 アクチュエータ
67 延長部
69 ピン(先端部)
69a 摺接面
9 凹部
91 薄肉部(応力吸収部)
SP 付勢部材

Claims (10)

  1. 動力発生源からの動力を受ける駆動側回転体と、
    この駆動側回転体に連結される連結位置とその連結が解除される解除位置との間で移動可能であると共に、周方向に対して軸心方向の一方側に向かうように傾斜した側面を有する傾斜溝を備えた従動側回転体と、
    前記従動側回転体の前記傾斜溝に挿入可能な係止部材とを備え、
    前記従動側回転体が前記連結位置にある状態で、前記係止部材が前記従動側回転体の傾斜溝に挿入された際、この傾斜溝の前記側面が係止部材に当接することにより、前記従動側回転体がその回転に伴って前記解除位置に向かって移動するクラッチ装置であって、
    前記係止部材には、前記傾斜溝の側面との当接位置よりも基端側に、前記傾斜溝の側面の当接により生じる応力を吸収する応力吸収部が設けられていることを特徴とするクラッチ装置。
  2. 請求項1記載のクラッチ装置において、
    前記応力吸収部は、前記傾斜溝の側面との当接位置よりも基端側に凹部が形成されていることにより成る薄肉部で構成されていることを特徴とするクラッチ装置。
  3. 請求項2記載のクラッチ装置において、
    前記係止部材は、前記傾斜溝に挿入される先端部を備えており、前記凹部は、この先端部の基端部分において、この先端部に対して傾斜溝の側面が近付いてくる方向とは略直交する方向に凹陥する形状となっていることを特徴とするクラッチ装置。
  4. 請求項2記載のクラッチ装置において、
    前記係止部材は、前記傾斜溝に挿入される先端部を備えており、前記凹部は、この先端部の基端部分において、この先端部に対して傾斜溝の側面が近付いてくる方向と略平行な方向に凹陥する形状となっていることを特徴とするクラッチ装置。
  5. 請求項1〜4のうち何れか一つに記載のクラッチ装置において、
    前記係止部材は、前記従動側回転体の傾斜溝に挿入される先端部と、この先端部に連続するアーム部とを備えており、
    前記応力吸収部は、前記アーム部に設けられていることを特徴とするクラッチ装置。
  6. 請求項5記載のクラッチ装置において、
    前記アーム部は、前記傾斜溝に向けて屈曲する形状となっていることを特徴とするクラッチ装置。
  7. 請求項5または6記載のクラッチ装置において、
    前記アーム部は、前記先端部に繋がる位置から従動側回転体の回転方向に略沿って延びていることを特徴とするクラッチ装置。
  8. 請求項1〜7のうち何れか一つに記載のクラッチ装置において、
    前記係止部材は、傾斜溝に挿入する位置と、この傾斜溝から脱する位置との間で回動自在となっており、
    これら位置同士の間で係止部材を回動させるアクチュエータが設けられていることを特徴とするクラッチ装置。
  9. 請求項1〜8のうち何れか一つに記載のクラッチ装置において、
    前記従動側回転体は、この従動側回転体を連結位置に向けて付勢する付勢部材が連繋されていることを特徴とするクラッチ装置。
  10. 請求項1〜9のうち何れか一つに記載のクラッチ装置において、
    前記傾斜溝に隣接して、この傾斜溝よりも深さ寸法が大きい環状溝が設けられており、
    前記傾斜溝の側面が係止部材に当接した状態で前記従動側回転体が回転し、この従動側回転体が前記解除位置に達した際に、係止部材が傾斜溝から脱して環状溝に嵌り込む構成となっていることを特徴とするクラッチ装置。
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