JP5854029B2 - 電磁アクチュエータ - Google Patents
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Description
例えば特許文献1に記載の電磁アクチュエータは、コイルに通電すると、作動時の衝撃によって永久磁石が割れることを防止しつつ、永久磁石の磁力が電磁力と反発することによって規制ピンが作動する。
摺動部の外径をD1、くびれ部の最小外径をD2、拡径部の最大外径をD3とすると、
D1>D2、D3>D2、D1≧D3
の関係が成立している。
また、規制ピンが後退した時、くびれ部が軸受け部に入り込むことを特徴とする。
これにより、規制ピンの突出量を小さくすることができるため、電磁アクチュエータとスライダとの距離を近づけ、設置スペースを低減することができる。また、規制ピンの先端に作用する曲げ応力を低減することができる。さらに、規制ピンをスリーブに対してどちらの方向からでも挿入可能となるため、組立作業の自由度が増す。
そこで、規制ピンが後退した時、軸受け部に完全に入り込むのでなく、先端面がスリーブの端面から少し突出している状態にすることが好ましい。これにより、異物や変形による規制ピンのロックを防止することができる。
この電磁アクチュエータは、特許文献1(特開2013−217265号公報)に開示されたとおり、カムシャフトと共に回転するスライダに一体に設けられたカムによって、内燃機関の吸気バルブ又は排気バルブのリフト量を調整するバルブリフト調整装置に適用される。
バルブリフト調整装置の詳細な構成や作動に関しては特許文献1のとおりであるので、ここでは説明を省略する。
本発明の第1実施形態による電磁アクチュエータの構成について、図1、図2を参照して説明する。ここで、規制ピンの構成を除く全体構成は、特許文献1の図7に開示された構成とほぼ同様である。以下の実施形態の説明において、本発明の特徴との関連性が低い部分についての説明を適宜省略する。
プランジャ50と規制ピン601とは一体に結合され、最後退位置から最前進位置まで、他の部材に対して往復移動する。以下の説明で、「前進方向」または「前方」は、図1の下方向に対応し、「後退方向」または「後方」は、図1の上方向に対応する。
コイル42は、図示しないコネクタを経由して通電されることにより、プランジャ50を前進方向に吸引する電磁力を発生する。
リアステータ43及びフロントステータ44は、内壁に沿ってプランジャ50の筒部52を摺動させるとともに、通電によりコイル42が発生した磁束の伝達経路を構成する。このとき、間隙部45が形成されることにより、磁束は、リアステータ43からプランジャ50を経由してフロントステータ44に流れる。
ヨーク46の後方の開口461には、永久磁石41を収容する有底筒状のホルダ47が接合されている。ホルダ47は、磁性体で形成され、プランジャ50の被吸着面511と対向する側が開口している。
フランジ部51の永久磁石41側の被吸着面511は、永久磁石41の磁石吸着力の作用を常に受ける。筒部52の外壁521は、リアステータ43及びフロントステータ44の内壁に沿って摺動する。筒部52の連結穴522は、規制ピン601の連結部61が挿入され、プランジャ50と規制ピン601とが一体に結合される。筒部52の先端面523には、規制ピン601のスプリング挿着部62の突当て面621が当接する。
ストッパ部63は、摺動部64よりも大径に形成されている。ストッパ部63の基端側の段差面631は、スプリング75の前方の端部を支持する座面を構成する。ストッパ部63の先端側の段差面632は、規制ピン601が前進した時、スリーブ701の収容穴721の底724に当接し、前進限のストロークを規制する。
D1>D2 ・・・(1)
D3>D2 ・・・(2)
D1≧D3 ・・・(3)
したがって、最大外径D3は、軸受け部722を通過可能である。
この突出量Hr1は、テーパ部661の角度や想定される異物の大きさ、変形の程度等によって適宜設定してよい。ただし、突出量を大きくし過ぎると、後述のように設置スペースや規制ピン601の強度の点で不利となるため、必要最小限とすることが好ましい。
フランジ部71は、径外壁がヨーク46の前方の開口462に接合されている。また、フランジ部71の後方の端面は、周縁部がフロントステータ44に当接し、周縁部の内側に、スプリング押さえ板76を収容する凹部711が形成されている。
本体部72は、規制ピン601及びスプリング75を収容する収容穴721と、規制ピン601の摺動部64をガイドする軸受け部722とが形成されている。本実施形態におけるスリーブ701は、規制ピン601のガイド部材としての機能が主要な機能である。
スプリング押さえ板76は、スリーブ701のフランジ部71の凹部711に収容され、スプリング75の後方の端部を支持する。
図1及び図4(a)に示すコイル42の非通電時には、永久磁石41による磁石吸着力がプランジャ50を後退させる方向に作用し、スプリング75によるスプリング力がプランジャ50を前進させる方向に作用する。最後退位置では、磁石吸着力がスプリング力を上回るように設定されるため、プランジャ50は永久磁石41に吸着保持される。
図3、図4に示すように、スライダ21の外周には、規制ピン601の先端部が係合することで、スライダ21を軸方向に移動させるための係合溝14が形成されている。係合溝14は、規制ピン601が挿入される挿入部141では、口元の溝幅と溝底の溝幅とが等しい内壁142が形成されており、それ以外の係合部143では、口元の溝幅W1が溝底の溝幅W2より狭くなるように傾斜した内壁144が形成されている。
W1<D3<W2
となるように設定されている。
(A)本実施形態では、規制ピン601の先端部に「拡径部」としてのテーパ部661が形成されているため、テーパ部661が前進し、スライダ21の係合溝14に係合した時、テーパ部661が内壁144に引っ掛かり、外れなくなる、よって、作動時の衝撃によるはね返りやカムシャフトの回転に伴うばたつきによって規制ピン601が係合溝14から脱離することを防止することができる。
なお、図9において、スリーブ701の軸受け部722の長さは図4よりも短く図示されているが、軸受け部722の機能自体は同一であるため、同じ符号を付してある。
これにより、本実施形態では、バルブリフト調整装置において電磁アクチュエータ401とスライダ21との距離を近づけ、設置スペースを低減することができる。また、規制ピン601の前進時突出量Hf1が小さいため、先端部に作用する曲げ応力が比較的小さくなり、要求強度の確保が有利となる。さらに、電磁アクチュエータ401の組立工程において、規制ピン601をスリーブ701に対してどちら側からでも挿入可能であり、組立作業の自由度が増す。
そこで本実施形態では、規制ピン601が後退した時、軸受け部722に完全に入り込むのでなく、先端面681がスリーブ701の端面723から少し突出している状態にする。これにより、異物や変形によって規制ピン601が軸受け部722に噛み込み、ロックすることを防止することができる。
本発明の第2実施形態について、規制ピン後退時の図である図5を参照して説明する。
図5に示すように、第2実施形態の規制ピン602は、後退時の先端面682の位置がスリーブ701の端面723から突出していない点のみが第1実施形態と異なる。図5では、規制ピン602の後退時の先端面682とスリーブ701の端面723とが同一の位置にある例を示している。この他、先端面682がスリーブ701の端面723より内側に入り込む場合も、本実施形態の意図する射程範囲に含まれる。
本発明の第3実施形態について、規制ピン後退時の図である図6を参照して説明する。
図6に示すように、第3実施形態の規制ピン603の先端部は、第1実施形態と同様の「拡径部」としてのテーパ部663の先端側に、さらに延長部673が形成されている。規制ピン603の外径は、テーパ部663と延長部673との境界で最大外径D3となっている。延長部673は、テーパ部663との境界から先端に向かって縮径する逆テーパ状であり、延長部673の先端径D4は、最大外径D3よりも小さく形成されている。
D4≦D3 ・・・(4)
つまり、第3実施形態では、上記の式(1)−(3)に加えて、式(4)が成立する。また、後退時の規制ピン603の先端面683は、スリーブ701の端面723から突出している(突出量Hr3)。
本発明の第4実施形態について、規制ピン後退時の図である図7を参照して説明する。
図7(a)に示すように、第4実施形態の規制ピン604の先端部は、軸方向の中央が膨らんだ太鼓状を呈している。最大外径D3を有する仮想境界面Mよりも基端側の部分を上半部664、仮想境界面Mよりも先端側の部分を下半部674というとすると、第4実施形態では上半部664が「拡径部」に相当する。なお、図7(a)に例示するくびれ部654は、上半部664に接続する部分が外径D2のストレート状となっている。
また、後退時の規制ピン604の先端面684は、スリーブ701の端面723から突出している(突出量Hr4)。
第4実施形態では、第1実施形態の作用効果のうち、(D)を除く(A)、(B)、(C)を奏する。また、上半部664及び下半部674が曲面で形成されることで、エッジを可及的に無くし、応力集中を最小限にすることができる。よって、規制ピン604の強度を向上させることができる。
上記第1〜第4実施形態は、スリーブ701の本体部72に、1つの規制ピン601、602、603、604が収容されている。これに対し、図8に示す第5実施形態の電磁アクチュエータ405は、スリーブ705の本体部74に、第1実施形態と実質的に同一の仕様の規制ピン601が2つ並列に収容されている。
この2ピン式の電磁アクチュエータ405は、例えば、スライドの移動方向に応じて、一方の規制ピンを択一的に作動させる方式のバルブリフト調整装置に適用される。図8には、左側の規制ピン601(L)が前進し、右側の規制ピン601(R)が後退した時の状態を示している。
なお、第1実施形態と実質的に同一の仕様の規制ピン601に代えて、第2〜第4実施形態と実質的に同一の仕様の規制ピン602、603、604を2つ用いてもよい。
上記第1実施形態等のくびれ部651は、軸方向断面において摺動部64から直線的に径内方向に傾斜する逆テーパ状に図示されているが、くびれ部の形状はこれに限らない。また、例えば、くびれ部651とテーパ部661との境界を曲面で滑らかに接続することで、応力集中をより低減することができる。
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
401、405・・・電磁アクチュエータ
41 ・・・永久磁石、 42 ・・・コイル、
50 ・・・プランジャ、
601、602・・・規制ピン、
64 ・・・摺動部、
651、654・・・くびれ部、
661、664・・・拡径部、
70 ・・・スリーブ、 722・・・軸受け部、
75 ・・・スプリング。
Claims (3)
- 内燃機関の吸気バルブ又は排気バルブのリフト量を調整するバルブリフト調整装置に適用され、前記バルブリフト調整装置のカムシャフトと共に回転しつつ前記カムシャフトに対し軸方向に相対移動可能なスライダ(21)に形成された係合溝(14)に規制ピン(601、602、603、604)の先端部を係合させるとき電磁力によって前記規制ピンを前進させ、前記規制ピンの先端部を前記係合溝から離間させるとき前記カムシャフトのトルクによって前記規制ピンが押し戻される電磁アクチュエータ(401、405)であって、
前記係合溝に対し前進可能に設けられる前記規制ピンと、
前記規制ピンを摺動可能に収容するスリーブ(701、705)と、
磁性体で形成され、一方の端部に前記規制ピンが連結されるプランジャ(50)と、
前記プランジャに対して前記規制ピンの基端側に固定され、前記プランジャの被吸着面(511)を後退方向に吸引する永久磁石(41)と、
通電により前記プランジャを前進方向に吸引する電磁力を発生するコイル(42)と、
前記規制ピンを前進方向に付勢するスプリング(75)と、
を備え、
前記規制ピンは、基端側から先端側に向かって順に、
前記スリーブの軸受け部(722)に沿って摺動可能な摺動部(64)、
前記摺動部に対し径内方向に凹んだくびれ部(651、654)、及び、
前記くびれ部から先端側に向かって拡径する拡径部(661、664)を有しており、
前記摺動部の外径をD1、前記くびれ部の最小外径をD2、前記拡径部の最大外径をD3とすると、
D1>D2、D3>D2、D1≧D3
の関係が成立しており、
前記規制ピンが後退した時、前記くびれ部が前記軸受け部に入り込むことを特徴とする電磁アクチュエータ。 - 前記規制ピンが後退した時、前記規制ピン(601、603、604)の先端面(681、683、684)は、前記スリーブの端面(723、743)から突出していることを特徴とする請求項1に記載の電磁アクチュエータ。
- 前記拡径部は、軸方向断面において外径が直線的に変化するテーパ部(661)であることを特徴とする請求項1または2に記載の電磁アクチュエータ。
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